(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178055
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】疑似負荷装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/00 20220101AFI20241217BHJP
【FI】
H05B45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096556
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】390031521
【氏名又は名称】トキコーポレーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上村 精也
(72)【発明者】
【氏名】大谷 興治
(72)【発明者】
【氏名】荒川 佳亮
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA19
3K273CA02
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA23
3K273GA12
(57)【要約】
【課題】ライティングダクトにおけるLED照明器具の安定した位相制御調光点灯を実現する。
【解決手段】
ライティングダクトに装着でき、定常的な負荷をかけることができる疑似負荷装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED調光照明器具が装着され、位相制御調光波形を投入されるライティングダクトに装着でき、照明器具と別体である疑似負荷装置であり、ブリッジダイオードで構成された整流回路と、MOSFETで構成された定電流回路からなり、前記整流回路で整流した電流を、前記定電流回路に流すことによって、定常的に負荷をかけることが特徴の疑似負荷装置。
【請求項2】
ライティングダクトに脱着可能である請求項1の疑似負荷装置。
【請求項3】
位相制御調光器が、逆位相位相調光器である、請求項1または2の疑似負荷装置。
【請求項4】
位相制御調光器が、正位相位相調光器であり、前記定電流回路の電流値が、前記調光器に内蔵されたトライアック保持電流以上である、請求項1または2の疑似負荷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源が供給される照明用ダクトレール(以下ライティングダクトという)に接続する位相制御調光器、およびLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ライティングダクトは、接続された電源よりレール部分全体に給電され、レール上の任意の位置に装着したスポットライトなどの照明器具をとりつけることができる器具である。任意の位置に任意の台数の照明器具を装着できる、その利便性から一般住宅や店舗、博物館などの施設など幅広く利用されている。
【0003】
ライティングダクトは日本工業規格によって規定されており、一般に商用交流電源が接続され、給電ラインは2線の構造である。また、白熱ランプ照明器具が主に利用されてきた背景から、調光点灯を行う場合は位相調光方式を採用していることが多い。
【0004】
LED照明器具においても、ライティングダクトに適合した製品が求められることは多く、数多くの製品が販売されている。しかしながら、位相制御調光は白熱電球向けの調光方式であり、LED照明器具で利用するためには、位相制御調光を適した出力に変換して使用する必要がある。そのため、LED照明器具側で位相調光方式に対応する技術が多く開発されており、LED照明器具に内蔵された調光点灯ドライバが供給される位相角の状態を読み取り、LED光源部に供給する電流量を制御することが一般的である。
【0005】
また、調光器も白熱電球という抵抗負荷を前提とした設計となっており、LED照明器具が対応するためには何らかの抵抗負荷要素をもたせることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
位相制御調光方式は、トライアックやMOSFETなどを使い、交流波形の一部角度の領域を切り取り、供給する電流量を制御して明るさを変化させる。LED照明器具は内部回路の特性により、交流電圧の変動周期内で負荷電流が低下するもしくは流れなくなる領域があるため、波形が乱れることにより、正しく調光操作ができないという問題があった。先の通り、この問題を解決するため、LED照明器具内に抵抗負荷回路を内蔵することで、調光器を正しく動作させるような構造となっていることがあるが、器具消費電力が上昇してしまうため、特定の電圧値で負荷回路がオフになるように構成されていることが多く、当然器具は大型化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、書面の走査位置またはその直前(直後)を常に目視可能とするため、書面に垂直な方向に対して傾斜した光路で受光することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
ライティングダクトに装着される、ブリッジダイオードで構成された整流回路と、MOSFETで構成された定電流回路からなる本発明の疑似負荷回路により、前記整流回路で整流した電流を、前記定電流回路に流すことによって、前記位相制御調光波形の位相角の全域で定常的に負荷をかけることによって、位相制御調光器のトライアックのオン・オフを安定動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の使用状態の概略図である。(実施例1、2)
【
図2】本発明を使用しない場合にライティングダクトが示す電圧波形である。(実施例1)
【
図3】逆位相調光器で使用する場合の本発明の回路図である。(実施例1)
【
図4】本発明を使用した場合にライティングダクトが示す電圧波形である。(実施例1)
【
図5】本発明を使用しない場合にライティングダクトが示す電圧波形である。(実施例2)
【
図6】正位相調光器で使用する場合の本発明の回路図である。(実施例2)
【
図7】本発明を使用した場合にライティングダクトが示す電圧波形である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
位相制御調光器は、交流電流のサイクル毎の導通角を制御することで負荷への電流値を調整する機器であるが、正位相タイプと呼ばれる波形の立ち上がりを切り取りオンの位置が変化する、主にトライアックとオン遅延タイマーを用いたものと、逆位相タイプと呼ばれる波形の立ち下がりを切り取りオフの位置が変化する、主にMOSFETやIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)とオフ遅延タイマーを用いたものが存在する。
【0012】
本発明の一形態は、逆位相タイプの位相制御調光器に接続され、安定した調光点灯を行うことができる。
【0013】
本発明の別の形態は、正位相タイプの位相制御調光器に接続され、安定した調光点灯を行うことができる。
【実施例0014】
本実施例では、位相制御調光器が逆位相タイプの位相制御調光器である場合について説明する。
図1は、本発明の使用状態の概略図である。ライティングダクト103に、本発明の疑似負荷装置101および任意の数量のLED照明器具104が装着され、逆位相制御調光器102をを介して商用交流電源が接続されている。LED照明器具104は、逆位相制御調光に対応したLED照明器具である。本実施例におけるLED照明器具104は、位相制御波形を安定化させるための負荷回路を持たないが、負荷回路を持つものを使用してもよい。逆位相制御調光器102は、IGBTとオフ遅延タイマを用いたものを使用したが、他の方式でも挙動はほぼ同じとなるので、詳細については省略する。LED照明器具104は、電源回路を搭載し位相制御調光に対応した器具であり、入力された位相角を読み取り、電源回路がPWMなどLEDに適した出力を行い点灯する。
【0015】
まず、本発明の効果を説明するため、本発明による疑似負荷装置101をライティングダクトに装着しない場合における、LED照明器具104およびライティングダクトに流れる電圧の挙動について説明する。
図2は、本発明を使用しない場合、調光器で明るさ50%に設定した場合にライティングダクトが示す電圧波形である。ポイント201が、調光器102側でオフとなる点弧角である。図に示されるように点弧角以降も電圧が落ちきらず、なだらかな低下となっている。これは、調光器102側がオフとなった際に、LED照明器具104の負荷回路が浮遊状態となり、負荷回路内に残った電荷が徐々に放出する挙動を取っているためである。このなだらかな電圧の低下によって、LED照明器具104が点弧角を正しく認識することができずに、調光器102で設定する明るさでLED照明器具104が正しく点灯することができない。
【0016】
図3は、逆位相タイプの位相制御調光器に対応した本発明の概略回路図である。310は、整流回路である。ライティングダクト103を介して入力した電流を整流して直流に変換する。ブリッジダイオードを用いた既知の一般的な整流回路であるため、商用電源を接続した際の詳細な挙動については省略する。320は、定電流回路である。整流回路310によって整流後の直流回路において、定電流回路を構成している。
【0017】
整流回路310のブリッジダイオードによって、ライティングダクト103を介して入力された電流は整流され、MOSFETと抵抗を含む定電流回路320に流れ込む。これによって、位相制御調光器102がオフになる時、すなわち点弧角となった場合にも、負荷回路内に残った電荷が流れ込み、速やかに放電が行われる。
【0018】
図4は、本発明を使用した場合に、位相制御調光器102で50%の明るさを設定した場合にライティングダクト103が示す電圧波形である。ポイント401が、調光器側でオフとなる点弧角である。図に示されるように、本発明を使用しない場合と比べて点弧角以降、電圧がすみやかに低下する。これによって、LED照明器具104は点弧角を正しく認識することができ、位相制御調光器102で設定した明るさで点灯することができる。
【0019】
このように、本発明の疑似負荷装置を接続したライティングダクトでは、調光器と疑似負荷装置のみで、位相制御波形を正しく出力されるので、LED照明器具に位相制御波形を安定化させるための負荷回路を搭載する必要がないので、LED照明器具の消費電力を低減することができ、さらに、放熱要素が少なくなることで、サイズを小型化することができる。さらにまた、負荷回路による変動を無くすことによって、ライティングダクトに装着するLED照明器具の接続台数による影響を低減することもできる。
この現象は、LEDの内部回路の特性に原因があり、交流電圧の変動周期内で負荷電流が低下するもしくは流れなくなる領域があるためである。これを回避するため、逆位相タイプの位相制御調光器の場合と同じように、正位相調光器に対応するLED照明器具では、負荷回路などの対応策を設けていることが多い。LED照明器具104は、位相制御調光に対応したLED照明器具である。本実施例におけるLED照明器具104は、位相制御波形を安定化させるための負荷回路を持たないが、負荷回路を持つものを使用してもよい。
このように、本発明の疑似負荷装置101を接続したライティングダクト103では、実施例1で示した逆位相調光器の場合と同じく、調光器と疑似負荷装置のみで、位相制御波形を正しく出力されるので、LED照明器具に位相制御波形を安定化させるための負荷回路を搭載する必要がないので、LED照明器具の消費電力を低減することができ、さらに、放熱要素が少なくなることで、サイズを小型化することができる。さらにまた、負荷回路による変動を無くすことによって、ライティングダクトに装着するLED照明器具の接続台数による影響を低減することもできる。