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特開2024-178058方法、情報処理装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178058
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096571
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 直也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】対象地域における電力需給を調整する技術を改善する。
【解決手段】情報処理装置10が実行する方法であって、対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が需給予測情報に基づき検出されると、対象地域の住民の健康情報に基づいて、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように住民の睡眠計画を決定すること、及び住民に対して睡眠計画を提案するメッセージを通知することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が実行する方法であって、
対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定すること、及び
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知すること
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記健康情報は、過去の所定期間における前記住民の平均睡眠時間又は合計睡眠時間を示す情報を含み、
前記方法は、前記対象期間が検出されると、前記住民の平均睡眠時間又は合計睡眠時間に基づいて、前記睡眠期間の長さを決定することを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記健康情報は、前記住民が最後に睡眠から覚めた第1時刻を示す情報を含み、
前記情報処理装置は、前記第1時刻から前記対象期間に含まれる第2時刻までの時間が第1閾値以上である場合、前記睡眠計画を決定する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記情報処理装置は、前記第1時刻から前記第2時刻までの時間が、前記第1閾値よりも長い第2閾値以上である場合、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複し、且つ前記睡眠期間の開始時刻が前記対象期間の開始時刻よりも前になるように、前記睡眠計画を決定する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記住民が前記睡眠計画の提案を承諾した場合、前記睡眠期間における需要電力を低減するように前記需給予測情報を修正すること、及び
修正された前記需給予測情報に基づいて前記対象地域の電力制御を実施すること
を更に含む、方法。
【請求項6】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象地域における電力の需給予測情報を取得し、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定し、
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知する、情報処理装置。
【請求項7】
対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定すること、及び
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知すること
を含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばCEMS(Community Energy Management System)を用いて、対象地域における電力需給を調整する技術が知られている。例えば特許文献1には、消費電力の削減が必要となる時間帯に、特定の需要者群に属する需要者宅に電力使用抑制依頼を要請する電力管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-033199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、需要家に対して単に電力使用抑制依頼を要請するだけでは、要請に応じる十分な動機付けを需要家に与えることができない場合がある。このように、対象地域における電力需給を調整する技術には改善の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、対象地域における電力需給を調整する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る方法は、
情報処理装置が実行する方法であって、
対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定すること、及び
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知することを含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象地域における電力の需給予測情報を取得し、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定し、
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、
対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定すること、及び
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知すること
を含む動作をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、対象地域における電力需給を調整する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、情報処理装置10と、複数の端末装置20と、を備える。情報処理装置10及び各端末装置20は、例えばインターネット等のネットワーク30を介して互いに通信可能である。
【0013】
情報処理装置10は、例えばサーバ又はPC(Personal Computer)等のコンピュータである。本実施形態において情報処理装置10は、所望の対象地域の電力制御を行うCEMS(Community Energy Management System)と通信可能であってもよく、或いはCEMSの一部又は全部を構成してもよい。典型的には、CMESは、対象地域における電力の過去の需給情報を蓄積し、蓄積された情報から、対象地域における将来の電力需給を予測する。またCEMSは、対象地域における電力需給の健全なバランスを維持するために、需要電力及び/又は供給電力を調整する電力制御を行う。
【0014】
例えば需要電力が供給電力を上回ることが予測された場合、CEMSは、対象地域の住民及び/又は事業者に対して節電を呼びかけるデマンドレスポンスを行ってもよく、対象地域に設けられた蓄電装置から電力を追加で供給してもよい。また例えば、供給電力が需要電力を上回ることが予測された場合、CEMSは、発電事業者から購入する供給電力を削減してもよく、又は余剰の供給電力を対象地域に設けられた蓄電装置の充電に利用してもよい。しかしながら、CEMSが実行する対象地域の電力制御の内容は、これらの例に限られない。
【0015】
端末装置20は、例えばPC、スマートフォン、タブレット端末、スマートスピーカ、スマートディスプレイ、又はウェアラブル端末等のコンピュータである。本実施形態において端末装置20は、対象地域の住民によって利用される。
【0016】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置10は、対象地域における電力の需給予測情報を取得する。情報処理装置10は、対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が需給予測情報に基づき検出されると、対象地域の住民の健康情報に基づいて、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように当該住民の睡眠計画を決定する。そして情報処理装置10は、当該住民に対して睡眠計画を提案するメッセージを通知する。
【0017】
このように本実施形態によれば、対象期間と睡眠期間とが少なくとも一部において重複するように決定された睡眠計画が住民に対し提案される。ここで、住民が睡眠状態にある期間は、住民が覚醒状態にある期間と比較して、当該住民の需要電力が少なくなる蓋然性が高い。本実施形態によれば、対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間の少なくとも一部において住民が睡眠をとる蓋然性が高まり、結果として対象期間における需要電力が低減し得る。また本実施形態によれば、住民の健康情報に基づいて睡眠計画の決定及び提案がなされるので、例えば連続覚醒時間が比較的長い住民に対して睡眠計画の提案がなされることにより、住民が当該提案に承諾する蓋然性が向上し得る。したがって本実施形態によれば、住民が当該提案に承諾する蓋然性を向上させつつ、対象期間における需要電力を低減し得る点で、対象地域における電力需給を調整する技術が改善される。
【0018】
(情報処理装置の構成)
図2を参照して、情報処理装置10が備える各構成要素について詳細に説明する。情報処理装置10は、通信部11と、記憶部14と、制御部13と、を備える。
【0019】
通信部11は、例えばインターネット等のネットワーク30に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)若しくは5G(5th Generation)等の移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず任意の通信規格に対応してもよい。
【0020】
記憶部12は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部12に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、情報処理装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム及びアプリケーションプログラム等を記憶してもよい。
【0021】
制御部13は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部13は、情報処理装置10全体の動作を制御する。
【0022】
(情報処理装置の動作)
図3を参照して、情報処理装置10の動作について説明する。
【0023】
ステップS100:情報処理装置10の制御部13は、対象地域における電力の需給予測情報を取得する。
【0024】
「需給予測情報」は、将来の一定期間における電力需給の予測値(すなわち、需要電力及び供給電力の予測値)を含む情報である。需給予測情報の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば制御部13は、通信部11及びネットワーク30を介して対象地域のCEMSから需給予測情報を取得してもよい。或いは制御部13は、対象地域における電力の過去の需給情報(すなわち、需要電力及び供給電力の実績値)を記憶部12に蓄積してもよい。そして制御部13は、例えばAI(Artificial Intelligence)又は所定のアルゴリズムにより、記憶部12に蓄積された過去の需給情報から、対象地域における将来の電力需給の予測値を決定してもよい。或いは制御部13は、対象地域の各需要家の需要計画に示される需要電力の合計を、需要電力の予測値として取得してもよい。また制御部13は、対象地域に電力を供給する各発電施設の発電計画に示される供給電力の合計を、供給電力の予測値として取得してもよい。
【0025】
ステップS101:制御部13は、ステップS100で取得された需給予測情報に基づいて、対象地域で電力需給が逼迫すると予測される将来の期間(以下、「対象期間」ともいう。)が検出されたか否かを判定する。対象期間が検出されたと判定された場合(ステップS101-Yes)、プロセスはステップS102に進む。一方、対象期間が検出されないと判定された場合(ステップS101-No)、プロセスはステップS108に進む。
【0026】
対象期間の検出には、任意の手法が採用可能である。例えば制御部13は、需要予測情報において、供給電力の予測値に対する需要電力の予測値の割合が所定値(例えば、1)以上である期間が存在する場合、当該期間を対象期間として検出する。
【0027】
ステップS102:ステップS101で対象期間が検出されたと判定された場合(ステップS101-Yes)、制御部13は、対象地域の住民の健康情報を取得する。
【0028】
「健康情報」は、住民の健康に関する任意の情報を含む。本実施形態において、覚醒状態にある住民の健康情報は、当該住民が最後に睡眠から覚めた時刻(以下、第1時刻ともいう。)を示す情報を含む。なお、睡眠状態にある住民の健康情報は、第1時刻を示す情報を含まなくてもよい。
【0029】
健康情報の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば、情報処理装置10は、住民の端末装置20から健康情報を取得してもよい。ここでは、覚醒状態にある住民の健康情報が取得されるものとして説明する。具体的には、住民の端末装置20は、例えば自装置に搭載された生体センサ及び振動センサを用いて、当該住民が睡眠状態にあるか覚醒状態にあるかを監視する。端末装置20は、当該住民が覚醒状態にある場合、当該住民が最後に睡眠から覚めた第1時刻を示す情報を、ネットワーク30を介して情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10の制御部13は、ネットワーク30及び通信部11を介して端末装置20から受信した第1時刻を示す情報を、健康情報として取得する。
【0030】
ステップS103:制御部13は、ステップS102で取得された健康情報に基づき、当該住民が条件を満たすか否かを判定する。当該住民が条件を満たすと判定された場合(ステップS103-Yes)、プロセスはステップS104に進む。一方、当該住民が条件を満たさないと判定された場合(ステップS103-No)、プロセスはステップS108に進む。
【0031】
本実施形態において「条件」は、第1時刻から第2時刻までの時間が第1閾値th1以上であるという条件である。「第2時刻」は、例えばステップS101で検出された対象期間に含まれる任意の時刻(例えば、対象期間の開始時刻)である。また「第1時刻から第2時刻までの時間」は、住民が第1時刻から第2時刻まで睡眠をとらず覚醒したままでいると仮定した場合における、第2時刻の時点での当該住民の連続覚醒時間を意味する。
【0032】
したがって換言すると、ステップS103では、住民が第1時刻から第2時刻まで睡眠をとらず覚醒したままでいると仮定したときに、第2時刻の時点での連続覚醒時間が比較的長くなる場合(すなわち、連続覚醒時間が第1閾値th1以上となる場合)、当該住民は条件を満たすと判定される。一方、第2時刻の時点での連続覚醒時間が比較的短くなる場合(すなわち、連続覚醒時間が第1閾値th1未満となる場合)、当該住民は条件を満たさないと判定される。
【0033】
ステップS104:ステップS103で当該住民が条件を満たすと判定された場合(ステップS103-Yes)、制御部13は、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように当該住民の睡眠計画を決定する。
【0034】
ステップS105:制御部13は、当該住民に対して、ステップS104で決定した睡眠計画を提案するメッセージを通知する。
【0035】
具体的には、制御部13は、通信部11及びネットワーク30を介して、当該住民の端末装置20へ、当該メッセージを送信する。
【0036】
ステップS106:制御部13は、当該住民が睡眠計画の提案を承諾したか否かを判定する。当該住民が提案を承諾したと判定された場合(ステップS106-Yes)、プロセスはステップS107に進む。一方、当該住民が提案を承諾しなかったと判定された場合(ステップS106-No)、プロセスはステップS108に進む。
【0037】
具体的には、住民は、睡眠計画の提案を承諾するか否かの回答を端末装置20に入力する。端末装置20は、住民が入力した回答を示す情報を情報処理装置10へ送信する。そして情報処理装置10の制御部13は、住民が当該提案を承諾することを示す情報を端末装置20から受信した場合、当該住民が提案を承諾したと判定する。一方、制御部13は、住民が当該提案を承諾しないことを示す情報を端末装置20から受信した場合、又はメッセージの通知から所定時間経過しても回答を示す情報を端末装置20から受信できなかった場合、当該住民が提案を承諾しなかったと判定する。
【0038】
ステップS107:ステップS106で当該住民が提案を承諾したと判定された場合(ステップS106-Yes)、制御部13は、需給予測情報を修正する。
【0039】
上述のように、睡眠計画に示される睡眠期間は、少なくとも一部において対象期間と重複している。したがって、住民が睡眠計画に従って睡眠をとった場合、対象期間の少なくとも一部における対象地域の需要電力は低減し得る。これに対して制御部13は、睡眠計画に示される睡眠期間における対象地域の需要電力を低減するように、需給予測情報を修正する。なお需給予測情報の修正に際して、需要電力の低減量は、規定値として予め定められていてもよい。或いは、制御部13は、当該住民の需要電力の過去の実績値から、当該住民が覚醒状態にあるときの需要電力と睡眠状態にあるときの需要電力の差分を算出し、当該差分を需要電力の低減量としてもよい。
【0040】
なお、上述したステップS102~S107は、対象地域の一部又はすべての住民について実行されてもよい。
【0041】
ステップS108:制御部13は、需給予測情報に基づいて対象地域の電力制御を実施する。
【0042】
需給予測情報に基づく電力制御には、任意の手法が採用可能である。例えば、需給予測情報に示される対象期間は電力需給が逼迫する可能性が高い。これに対して制御部13は、例えば対象地域に設置された蓄電池等のリソースからの供給電力を、対象期間内に限り増加させてもよい。また例えば、制御部13は、対象地域の需要家に対して、対象期間内の需要電力を低減するデマンドレスポンスを要求してもよい。なお本実施形態では、ステップS107で修正された需給予測情報に基づいて対象地域の電力制御が実施され得る。需給予測情報の修正により、上述のように対象期間における需要電力が低減し得る。
【0043】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置10は、情報処理装置10は、対象地域における電力の需給予測情報を取得する。情報処理装置10は、対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が需給予測情報に基づき検出されると、対象地域の住民の健康情報に基づいて、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように当該住民の睡眠計画を決定する。そして情報処理装置10は、当該住民に対して睡眠計画を提案するメッセージを通知する。
【0044】
かかる構成によれば、上述したように、住民が睡眠計画の提案に承諾する蓋然性を向上させつつ、対象期間における需要電力を低減し得る点で、対象地域における電力需給を調整する技術が改善される。
【0045】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0046】
例えば、上述した実施形態において、情報処理装置10の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また例えば、上述したステップS103を省略して、睡眠計画の決定及び提案を行う住民に条件を設けない実施形態も可能である。
【0047】
また、上述した実施形態では、最後に睡眠から覚めた第1時刻から対象期間に含まれる第2時刻までの時間(すなわち、第2時刻の時点での連続覚醒時間)が第1閾値th1以上であるという条件を満たす住民に対して、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように睡眠計画が決定される。ここで、第1時刻から第2時刻までの時間の長さに応じて、睡眠期間の開始時刻が決定される実施形態も可能である。例えば、情報処理装置10の制御部13は、第1時刻から第2時刻までの時間が第1閾値th1よりも長い第2閾値th2以上である場合、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複し、且つ睡眠期間の開始時刻が対象期間の開始時刻よりも前になるように、睡眠計画を決定してもよい。一方、制御部13は、第1時刻から第2時刻までの時間が第1閾値th1以上第2閾値th2未満である場合、対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複し、且つ睡眠期間の開始時刻が対象期間の開始時刻以降となるように、睡眠計画を決定してもよい。かかる構成によれば、第2時刻の時点での連続覚醒時間が第2閾値th2以上となる住民に対しては、連続覚醒時間が第1閾値th1以上第2閾値th2未満となる住民と比較して早急な就寝が促進されるので、住民の健康が維持され又は向上し得る。
【0048】
また、上述した実施形態では、覚醒状態にある住民の健康情報には、当該住民が最後に睡眠から覚めた第1時刻を示す情報が含まれる。しかしながら、健康情報は当該例に限られない。例えば、住民の健康情報が、過去の所定期間における当該住民の平均睡眠時間又は合計睡眠時間を示す情報を更に含む実施形態も可能である。例えば、情報処理装置10の制御部13は、睡眠計画の決定に際して、平均睡眠時間又は合計睡眠時間に基づいて、睡眠計画に係る睡眠期間の長さを決定してもよい。例えば、制御部13は、平均睡眠時間又は合計睡眠時間が短いほど、睡眠期間を長くする。かかる構成によれば、睡眠が不足している住民に対して、比較的長い睡眠時間の確保が促進されるので、住民の健康が維持され又は向上し得る。
【0049】
また、上述した実施形態では、覚醒状態にある住民の健康情報には、当該住民が最後に睡眠から覚めた第1時刻を示す情報が含まれる。そして、ステップS103において、第1時刻から第2時刻までの時間が第1閾値th1以上であるという条件を住民が満たすか否かが判定される。しかしながら、住民の健康情報、及びステップS103で判定される住民の条件は、当該例に限られない。例えば、住民の健康情報が、第1時刻を示す情報に代えて、過去の所定期間における当該住民の平均睡眠時間又は合計睡眠時間を示す情報を含む実施形態も可能である。例えば、情報処理装置10の制御部13は、上述したステップS103において、平均睡眠時間又は合計睡眠時間が所定の閾値未満であるという条件を住民が満たすか否かを判定してもよい。かかる構成によれば、睡眠が不足している住民に対して睡眠計画の提案がなされるので、上述した実施形態と同様に、住民が当該提案に承諾する蓋然性を向上させつつ、対象期間における需要電力を低減し得る。
【0050】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置10として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【0051】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
情報処理装置が実行する方法であって、
対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定すること、及び
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知すること
を含む、方法。
[付記2]
付記1に記載の方法であって、
前記健康情報は、過去の所定期間における前記住民の平均睡眠時間又は合計睡眠時間を示す情報を含み、
前記方法は、前記対象期間が検出されると、前記住民の平均睡眠時間又は合計睡眠時間に基づいて、前記睡眠期間の長さを決定することを更に含む、方法。
[付記3]
付記1又は2に記載の方法であって、
前記健康情報は、前記住民が最後に睡眠から覚めた第1時刻を示す情報を含み、
前記情報処理装置は、前記第1時刻から前記対象期間に含まれる第2時刻までの時間が第1閾値以上である場合、前記睡眠計画を決定する、方法。
[付記4]
付記1から3の何れか一項に記載の方法であって、
前記情報処理装置は、前記第1時刻から前記第2時刻までの時間が、前記第1閾値よりも長い第2閾値以上である場合、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複し、且つ前記睡眠期間の開始時刻が前記対象期間の開始時刻よりも前になるように、前記睡眠計画を決定する、方法。
[付記5]
付記1から4の何れか一項に記載の方法であって、
前記住民が前記睡眠計画の提案を承諾した場合、前記睡眠期間における需要電力を低減するように前記需給予測情報を修正すること、及び
修正された前記需給予測情報に基づいて前記対象地域の電力制御を実施すること
を更に含む、方法。
[付記6]
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
対象地域における電力の需給予測情報を取得し、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定し、
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知する、情報処理装置。
[付記7]
対象地域における電力の需給予測情報を取得すること、
前記対象地域で電力需給が逼迫すると予測される対象期間が前記需給予測情報に基づき検出されると、前記対象地域の住民の健康情報に基づいて、前記対象期間と睡眠期間が少なくとも一部において重複するように前記住民の睡眠計画を決定すること、及び
前記住民に対して前記睡眠計画を提案するメッセージを通知すること
を含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0052】
1 システム
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 端末装置
30 ネットワーク
図1
図2
図3