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特開2024-178060ネットワークノード、情報処理システム、情報処理方法、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178060
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ネットワークノード、情報処理システム、情報処理方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/029 20180101AFI20241217BHJP
   H04W 8/08 20090101ALI20241217BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20241217BHJP
【FI】
H04W4/029
H04W8/08
H04W64/00 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096573
(22)【出願日】2023-06-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和也
(72)【発明者】
【氏名】馬 じん
(72)【発明者】
【氏名】金子 直矢
(72)【発明者】
【氏名】邵 校
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 拓也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE16
5K067JJ53
(57)【要約】
【課題】ユーザ端末が指定された位置または領域に含まれるか否かを簡易に判断可能とする技術を提供する。
【解決手段】無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、を実行するプロセッサを有し、前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、ことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、
ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、
前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、
を実行するプロセッサを有し、
前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とするネットワークノード。
【請求項2】
前記応答に含まれる前記位置情報は、ヒルベルト曲線またはZ階数曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項3】
前記応答に含まれる位置情報は領域を表し、前記領域の広さに応じたビット数を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項4】
前記応答に含まれる前記位置情報は、第1の方向を特定する第1のビット列と、第2の方向を特定する第2のビット列とを、交互に配置したビット列により表現される、
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記ユーザ端末から位置情報を取得することと、
前記ユーザ端末の位置情報を、空間充填曲線に基づくビット列の形式で記憶することと、
を更に実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項6】
前記問い合わせ要求は、前記ユーザ端末が所定の領域に位置するか否かについての確認の要求を含み、
前記応答は、前記ユーザ端末が前記所定の領域に位置するか否かの情報を含み、
前記プロセッサは、前記所定の領域を表す空間充填曲線に基づくビット列と、前記記憶した空間充填曲線に基づくビット列とを比較することにより、前記ユーザ端末が前記所定の領域に位置するか否か確認することを、更に実行する、
ことを特徴とする請求項5に記載のネットワークノード。
【請求項7】
前記所定の領域は、前記問い合わせ要求において空間充填曲線に基づくビット列として表現されており、
前記ユーザ端末が前記所定の領域に位置するか否か確認は、前記問い合わせ要求に含まれるビット列と、前記記憶したビット列との比較により行われる、
請求項6に記載のネットワークノード。
【請求項8】
前記所定の領域は、複数の矩形を組み合わせた領域であり、
前記問い合わせ要求は、前記複数の矩形のそれぞれを空間充填曲線に基づいて表現したビット列を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のネットワークノード。
【請求項9】
前記所定の領域は、前記問い合わせ要求において緯度経度形式またはGAD(Geographical Area Description)形式により表現されており、
前記プロセッサは、前記問い合わせ要求に含まれる所定の領域を、空間充填曲線に基づくビット列に変換することを更に実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載のネットワークノード。
【請求項10】
ネットワークノードとクライアントとを含む情報処理システムであって、
前記クライアントは、ユーザ端末の位置情報の問い合わせ要求を前記ネットワークノードに送信し、
前記ネットワークノードは、前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を前記クライアントに送信し、
前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
前記応答に含まれる前記位置情報は、ヒルベルト曲線またはZ階数曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記クライアントは、前記ユーザ端末が所定の領域に位置するか否かを、前記応答に含まれる空間充填曲線に基づくビット列と、前記所定の領域を空間充填曲線に基づいて表現したビット列とを比較することにより判断する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項13】
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードが実行する情報処理方法であって、
ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、
前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、
を含み、
前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項13に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークノード、情報処理システム、情報処理方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、時空間情報を1次元ビット列に変換、分割し、変換した1次元ビット列の前方ビット列を少なくともキーに格納させ、該キーのバリューに後方ビット列及び対応データを、格納先のノードに格納させる、ことを開示する。また、特許文献1は、検索対象の時空間情報の範囲条件を1次元ビット列に変換、分割し、検索先のノードから、少なくとも分割した前方ビットを用いてキーを検索し、検索されたキーのバリューから、分割した後方ビット列に対応するバリューを検索し、検索したバリューに含まれる対応データを検索結果として出力する、ことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-13539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の態様の一つは、ユーザ端末が指定された位置または領域に含まれるか否かを簡易に判断可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、
ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、
前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、
を実行するプロセッサを有し、
前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とするネットワークノードである。
【0006】
本開示の態様の他の一つは、
ネットワークノードとクライアントとを含む情報処理システムであって、
前記クライアントは、ユーザ端末の位置情報の問い合わせ要求を前記ネットワークノードに送信し、
前記ネットワークノードは、前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を前記クライアントに送信し、
前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とする情報処理システムである。
【0007】
本開示の態様の更に他の一つは、
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードが実行する情報処理方法であって、
ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、
前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、
を含み、
前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、
ことを特徴とする情報処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様の一つは、ユーザ端末が指定された位置または領域に含まれるか否かを簡易に判断可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成要素を例示する図。
図2】無線通信システムの構成要素を例示する図。
図3A】NF、OAM端末、外部サーバとして動作可能な情報処理装置の構成例を示す図。
図3B】ユーザ端末として動作可能な情報処理装置の構成例を示す図。
図4】位置サービスに関するシーケンス図。
図5】空間充填曲線に基づく位置情報のコード表現を説明する図。
図6】位置問い合わせ要求に対する処理の流れを示すフローチャート。
図7】UEの位置情報の取得および記憶処理の流れを示すフローチャート。
図8】空間充填曲線に基づくコード表現での任意形状の領域指定を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(概要)
3GPPの標準であるTS 29.572では、Location Service(位置サービス)においてUE (User Equipment)に応じてサービスを提供する際の仕組みが定義されている。Location Serviceでは、LMF (Location Management Function)に対して、UEの位置情報を問い合わせるインターフェイスが定義されている。
【0011】
ここで、問合せ応答で利用される位置情報の表現は、TS 23.032においてGAD (Geographical Area Description)という表現形式が規定されている。GADでは、緯度経度の情報を
直接記載することで位置(点)を表現し、また領域を形成する複数の点を列挙することで領域を表現している。
【0012】
UEの位置情報を利用する際に、例えば、UEの位置が特定の領域に含まれるか否かを判断したいケースが存在する。しかしながら、領域およびUE位置がGAD形式で表現されている
場合、その判断のための処理は複雑となる。
【0013】
そこで、本開示は、UEが指定された位置または領域に含まれるか否かを簡易に判断可能とするための技術を提供することを目的とする。
【0014】
本開示の一つの態様は、無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、を実行するプロセッサを有し、前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、ことを特徴とするネットワークノードである。
【0015】
本開示における「位置」は、点(point)および任意形状の領域を含む概念である。点
(point)は所定の不確かさ(uncertainty)を含んでもよく、不確かさは例えば円、楕円、矩形であってよい。任意形状の領域の一例は、多角形(矩形・平行四辺形・台形などの任意の四角形、および三角形や五角形以上の多角形を含む)、円、楕円、およびこれらの少なくとも一部の組み合わせであってよい。本開示において、これらの位置を表す情報および位置に関連する情報の少なくともいずれかが「位置情報」に該当する。
【0016】
本態様においては、ネットワークノードが空間充填曲線に基づくビット列で表現された位置情報を送信することから、この情報の提供を受けたノード(クライアントと称することもできる)は、UEが同様の形式で表された領域内に含まれるか否かを容易に判断できる。
【0017】
本態様における空間充填曲線は、例えば、ヒルベルト曲線またはZ階数曲線を採用できる。したがって、前記応答に含まれる位置情報は、ヒルベルト曲線またはZ階数曲線に基づくビット列により表現されうる。
【0018】
本態様において、前記応答に含まれる位置情報は領域を表し、前記領域の広さに応じたビット数を有してもよい。典型的には、領域が広いほど短いビット数で位置情報が表現され、領域が狭いほど長いビット数で位置情報が表現されうる。
【0019】
本態様において、前記応答に含まれる前記位置情報は、第1の方向を特定する第1のビット列と、第2の方向を特定する第2のビット列とを、所定数のビットずつ(例えば1ビ
ットずつ)交互に配置したビット列により表現されうる。ここで、第1の方向と第2の方向は異なる方向であり、一例として第1の方向と第2の方向は直交する。例えば、第1の方向は緯度方向であり第2の方向は経度方向であってよい。
【0020】
本態様におけるネットワークノードは、前記ユーザ端末から位置情報を取得することと、前記ユーザ端末の位置情報を、空間充填曲線に基づくビット列の形式で記憶することと、を更に実行してもよい。ここで、ネットワークノードは、空間充填曲線に基づくビット列形式の位置情報をユーザ端末から取得してもよい。あるいは、ネットワークノードは、ユーザ端末からはその他の形式(例えば緯度経度形式またはGAD形式)で表現されたビッ
ト列を取得して、取得した位置情報を空間充填曲線に基づくビット列形式に変換してもよい。
【0021】
本態様において、前記問い合わせ要求は、前記ユーザ端末が所定の領域に位置するか否かについての確認の要求を含み、前記応答は、前記ユーザ端末が前記所定の領域に位置するか否かの情報を含み、前記プロセッサは、前記所定の領域を表す空間充填曲線に基づくビット列と、前記記憶した空間充填曲線に基づくビット列とを比較することにより、前記ユーザ端末が前記所定の領域に位置するか否か確認することを、更に実行してもよい。
【0022】
このような構成によれば、ネットワークノードはユーザ端末が所定の領域に含まれるか否かを応答として返すことができ、また、空間充填曲線に基づく表現を採用していることから包含関係の判断を迅速に実行可能である。本態様に係るネットワークノードは、位置の包含関係を迅速に判断できるため、多量のユーザ端末を対象とする位置情報サービスにおいて特に有効に利用可能である。
【0023】
本態様において、前記所定の領域は、前記問い合わせ要求において空間充填曲線に基づくビット列として表現されており、前記ユーザ端末が前記所定の領域に位置するか否か確認は、前記問い合わせ要求に含まれるビット列と、前記記憶したビット列との比較により行われうる。例えば、所定の領域とユーザ端末の位置を表す位置情報ビット列を上位ビットから比較し、所定領域を表すビット列がユーザ端末位置の上位のビット列と一致すれば
ユーザ端末位置が当該所定の領域に含まれ、そうでなければ含まれないと判断できる。
【0024】
本態様において、前記所定の領域は、複数の矩形を組み合わせた領域であり、前記問い合わせ要求は、前記複数の矩形のそれぞれを空間充填曲線に基づいて表現したビット列を含んでもよい。所定の領域が複数の矩形領域の組み合わせとして表されるので、任意の形状を表すことができる。なお、それぞれの矩形領域の大きさは特に限定されず、互いに異なっていてもよい。また、それぞれの矩形領域にユーザ端末が含まれるか否かの判断は上述のようにして行えるので、これらの矩形領域を組み合わせた所定の領域にユーザ端末が含まれるか否かの判断も、同様に迅速に行える。
【0025】
本開示の他の態様は、ネットワークノードとクライアントとを含む情報処理システムであって、前記クライアントは、ユーザ端末の位置情報の問い合わせ要求を前記ネットワークノードに送信し、前記ネットワークノードは、前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を前記クライアントに送信し、前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、ことを特徴とする情報処理システムである。
【0026】
本開示の更に他の態様は、無線通信ネットワークを構成するネットワークノードが実行する情報処理方法であって、ユーザ端末(UE)の位置情報の問い合わせ要求を受信することと、前記問い合わせ要求に応答して、前記ユーザ端末の位置情報を含む応答を送信することと、を含み、前記応答に含まれる前記位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列により表現される、ことを特徴とする情報処理方法である。
【0027】
本開示は更に、上記の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム、および、上記のネットワークノードまたは情報処理システムをコンピュータによって実現するためのコンピュータプログラムを含む。本開示は更に、上記のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ可読媒体を含む。
【0028】
本開示における無線通信ネットワークの一例は、5G、4G、LTE、LTE-A、SUPER 3G、IMT-Advanced、NR、その他を利用するシステムおよびこれらに基づいて拡張された次世代システムである。また、無線通信ネットワークの他の例は、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB、Bluetooth(登録商標)、その他のシステムおよびこれらに基づいて拡張された次世代システムである。無線通信ネットワークは、複数のシステムが組み合わされたシステムであってもよい。
【0029】
(実施形態1)
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態は説明のための例示に過ぎず、本開示は実施形態の構成に限定されない。本開示が適用可能な無線通信ネットワークの一例は、5G、4G、LTE、LTE-A、SUPER 3G、IMT-Advanced、NR、その他を利用するシステムおよびこれらに基づいて拡張された次世代システムである。また、本開示が適用可能な無線通信ネットワークの他の例は、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB、Bluetooth(登録商標)、その他のシステムおよびこれらに基づいて拡張された次世代システムである。本開示が適用される無線通信ネットワークは、複数のシステムが組み合わされたシステムであってもよい。
【0030】
<情報処理システムの構成>
図1および図2は、第5世代移動通信システム(5G網)を構成するコンポーネント(
構成要素)を示す。図1は5Gにおけるサービスベースアーキテクチャ(SBA)の概要を示す図であり、図2は5GにおけるLocation Serviceに関するリファレンスポイント表現によるアーキテクチャを示す図である。
【0031】
図において、UE(User Equipment)2は、ユーザ(加入者)の端末である。RAN(Radio Access Network)3は、5Gコアネットワーク(5GC)へのアクセス網である。RAN3は、基地局(gNB)によって構成される。5G網は、5Gコアネットワーク(5GC)及びアクセス網((R)AN)を有し、5G網には、UE2、DN5、及びAF12が接続されている。NF11a~11oの夫々は、1又は2以上のコンピュータ(情報処理装置)がプログラムを実行することによって実現される機能である。ただし、単一のコンピュータがNF11a~11oのいずれか2以上を実現してもよい。NF11a~11oの夫々はネットワークノードあるいはネットワークコンポーネントと称することもできる。
【0032】
5GCは、NF(Network Function)と呼ばれる所定の機能を有するコンポーネントの集合によって構成される。図1には、5GCを構成するNF11として、以下が図示されている。
UPF(User Plane Function)11a
AMF(Access and Mobility Management Function)11b
SMF(Session Management Function)11c
PCF(Policy Control Function)11d
NEF(Network Exposure Function)11e
NRF(Network Repository Function)11g
NSSF(Network Slice Selection Function)11h
AUSF(Authentication Server Function)11i
UDM(Unified Data Management)11j
NWDAF(Network Data Analytics Function)11k
LMF(Location Management Function)11m
GMLC(Gateway Mobile Location Centre)11n
LRF(Location Retrieval Function)11o
【0033】
UPF11aは、ユーザパケット(UE2が送受信するユーザプレーンのパケット)のルーティング及び転送、パケット検査、QoS処理を行う。
【0034】
AMF11bは、5GCにおけるUEの在圏収容装置である。AMF11bは、RAN3を収容し、加入者認証制御、UE2の位置(モビリティ)管理などを行う。
【0035】
SMF11cは、PDU(Protocol Data Unit)セッションを管理し、QoS(Quality of Service)制御及びポリシー制御の実施のためにUPF11aを制御する。PDUセッションは、UE2とDN(Data Network)5との間でデータのやり取りを行うための仮想的な通信路である。DN5は、5GC外部のデータネットワーク(インターネット等)である。
【0036】
PCF11dは、SMF11cの制御下で、QoS制御、ポリシー制御、課金制御などを行う。QoS制御では、パケットの優先転送などの通信の品質の制御が行われる。ポリシー制御では、ネットワーク或いは加入者情報に基づくQoS、パケット転送可否、課金などの通信制御が行われる。
【0037】
NEF11eは、外部ノードと制御プレーン内のノードの通信を仲介する役割を果たす。
【0038】
NRF11gは、5GC内におけるNF(例えば、AMF、SMF、UPFなど)の情報を記憶及び管理している。NRF11gは、使用を所望するNFに係る問い合わせに対して、複数のNFの候補を問い合わせ元に返信することができる。
【0039】
NSSF11hは、ネットワークスライシングによって生成されたネットワークスライスの中から、加入者が使用するネットワークスライスを選択する機能を有する。ネットワークスライスは、用途に応じたスペックを有する仮想のネットワークである。
【0040】
AUSF11iは、AMF11bの制御下で加入者認証を行う加入者認証用サーバである。
【0041】
UDM11jは、加入者関連情報を保持し、加入者情報の提供、或いは、UE2の状態の取得、登録、削除、変更を行う。
【0042】
NWDAF11kは、各NF11、OAM端末8(図2)、外部サーバなどからのデータ収集、解析を行う機能を有している。ネットワークの分析情報を提供するNFである。
【0043】
LMF11mは、5GCに登録されているまたは5GCにアクセスしているUEの位置決定に必要なリソースの全体的な調整およびスケジューリングを管理する。LMF11mは、また、UEの最終的な位置および速度の推定値を計算または検証し、達成された精度を推定してもよい。LMF11mは、Nlmfインターフェイスを使用して、サービングAMFからターゲットUEの位置要求を受信する。LMF11mは、UE支援およびUEベースの測位方法に適用できる位置情報を交換するためにUEと対話し、位置情報を取得するためにRAN等と対話する。LMF11mは、UE位置決定の結果を所定の表現形式で表す。LMF11mは、位置情報の表現形式を位置要求を受信した際に、LCSクライアントのタイプ、サポートする形式等に基づいて決定してもよい。
【0044】
GMLC11nは、Location Serviceをサポートするために必要な機能を含む。GMLC11nはLCSクライアント13が最初にアクセスするノードである。GMLC11nは、UDMから対象UEのルーティング情報をおよびプライバシー情報を取得し、プライバシーの確認が取れたら位置要求をサービングAMFに送信する。また、GMLC11mは、NFによるUEの位置決定(location determination)の要求を可能とする。
【0045】
LRF11oは、位置情報の取得(retrieval)または検証(validation)を担当する
。LRF11oは、GMLC11nと併置してもよいし別個に配置してもよい。
【0046】
AF12は、5GCの一部としてNRF11gを介してアプリケーションサービスを提供するNF、または、5GCの外部にありNEF11eを介してアプリケーションサービスを提供するNFである。AF12は、例えば、Ngmlcインターフェイスを使用して、同
じ信頼ドメイン(同じPLMN 内など)内のGMLC11nからLCSサービスにアクセスし
、取得された位置情報に基づくサービスを提供する。
【0047】
LCS(Location Service)クライアント13は、Leリファレンスポイントを使用してGMLC11nからLCSサービスにアクセスし、取得された位置情報に基づくサービスを提供する。LCSクライアント13は、UE2内に存在してもよい。
【0048】
5GCにおいて、同種類の複数のNFが用意される場合がある。例えば、NF11がデータセンタ(局舎)毎に用意される場合がある。また、データセンタ間で1つのNF11が共用される場合もある。また、1つのデータセンタで複数個の同種類のNF11を構成
する場合もある。データセンタの数、NF11の数は、NF11とデータセンタとの対応関係は適宜設定することができる。
【0049】
LMF11mは、LCSクライアント13またはAF12から対象UEの位置情報を問い合わせる要求を受け付け、当該UEの位置情報を応答として送信する。ここで、LMF11mが提供する位置情報は、空間充填曲線に基づくビット列で表現することができる。空間充填曲線の例は、例えば、ヒルベルト曲線またはZ階数曲線を採用できる。本開示では、空間充填曲線に基づくビット列で表現された位置情報のことを「位置コード表現された位置情報」または単に「位置コード」とも称する。また、LMF11mは、LCSクライアント13またはAF12から対象UEが所定の領域に含まれるか否かの問い合わせを受け付け、その結果を応答として送信してもよい。
【0050】
<情報処理装置及び端末の構成>
図3Aは、NF11a~11o、OAM端末、外部サーバの夫々として動作可能な情報処理装置の構成例を示す図である。図3Aにおいて、情報処理装置20は、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、又はサーバマシンなどの専用又は汎用の情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成可能である。もっとも、情報処理装置20は、1又は2以上のコンピュータの集合体(クラウド)であってもよい。
【0051】
情報処理装置20は、バスを介して相互に接続された、処理部又は制御部(コントローラ)としてのプロセッサ21と、記憶装置22と、通信装置23と、入力装置24と、ディスプレイ25とを含む。
【0052】
記憶装置22は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、プログラム及びデータの記憶領域、プログラムの展開領域、プログラムの作業領域、及び通信データのバッファ領域などの少なくとも一つとして使用される。主記憶装置はRAM(Random Access Memory)、又はRAMとROM(Read Only Memory)との組み合わせで構成される。補助記憶装置は、データ及びプログラムの記憶領域として使用される。補助記憶装置には、不揮発性記憶媒体が適用される。不揮発性記憶媒体は、例えば、ハードディスク、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などである。また、記憶装置22は、ディスク記録媒体のドライブ装置を含むことができる。
【0053】
通信装置23は、通信処理を行う回路である。例えば、通信装置23は、ネットワークインタフェースカード(NIC)である。また、通信装置23は、無線通信(5G、無線LAN(Wi-Fi(登録商標))、BLEなど)を行う無線通信回路であってもよい。
また、通信装置23は、有線の通信処理を行う回路と、無線通信回路との組み合わせであってもよい。
【0054】
入力装置24は、キー、ボタン、ポインティングデバイス、及びタッチパネル等を含み、情報の入力に使用される。ディスプレイ25は例えば液晶ディスプレイなどであり、情報及びデータを表示する。
【0055】
プロセッサ21は、記憶装置22に記憶された各種のプログラムを実行することによって、様々な処理を行う。プロセッサ21が記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することによって、情報処理装置20は、NF11a~11k、OAM端末8、外部サーバ12a及び12bの夫々として動作することができる。
【0056】
図3Bは、UE2として動作可能な端末40の構成例を示す図である。端末40は、バスを介して相互に接続された、プロセッサ41と、記憶装置42と、通信装置43と、入
力装置44と、ディスプレイ45、センサ46とを含む。プロセッサ41、記憶装置42、通信装置43、入力装置44、及びディスプレイ45は、プロセッサ21、記憶装置22、通信装置23、入力装置24、及びディスプレイ25と同様のものを使用可能である。このため、これらの説明は省略する。
【0057】
プロセッサ21及び41は、例えば、Central Processing Unit(CPU)である。C
PUはMicroprocessor Unit(MPU)とも呼ばれる。プロセッサ21及び41は、単一
のプロセッサ構成であってもマルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一の物理CPUがマルチコア構成を有していても良い。プロセッサ21及び41は、Digital Signal Processor(DSP)、或いはGraphics Processing Unit(GPU)などの様々な回路構成の演算装置を含んでも良い。また、プロセッサ21及び41は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路、及びアナログ回路などの少なくとも一つと連携する構成を有していてもよい。集積回路は、LSI、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、及びプログラマブルロジックデバイス(PLD)など
を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。プロ
セッサ21及び41は、例えば、マイクロコントローラ(MCU)、SoC(System-on-a-chip)、システムLSI、或いはチップセットなどと呼ばれるものも含む。
【0058】
センサ46の例は、ミリ波レーダーなどのレーダーセンサ、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサ、超音波センサ、画像センサ、音響センサ、測位センサ、照度
センサ、降雨センサ、温度センサ、湿度センサのようなUE2の外部環境を測定するためのセンサである。センサ46の他の例は、速度センサ、加速度センサ、およびUE2の内部状態を測定するためのセンサである。ここで挙げたセンサは例示に過ぎず、本開示は任意のセンサを含む。センサ46の一例は、GPS装置などのGNSS(Global Navigation Satellite System)測位装置である。
【0059】
<動作例:Location Service>
図4は、位置サービスの一例として、商用位置サービスのための5GC-MT-LR(5GC Mobile
Terminated Location Request)手順を示す。図4は、TS23.273 v18.1.0の図6.1.2-1(商用位置サービスのための5GC-MT-LR手順)の一部を抜粋した図であり、処理番号は同図の
番号に対応する。なお、図4の処理は一例に過ぎず、本開示は規制(regulatory)位置サービスおよび5GC-MO-LR(5GC Mobile Originated Location Request)手順、あるいはその
他の手順にも適用可能である。
【0060】
ステップ1aまたは1cにおいて、LCSクライアント13またはNF11は、対象UE2の位置要求をGMLC11nに送信する。ステップ1b(1b-1および1b-2)において、AF12は対象UE2の位置要求を、NEF11eを介してGMLC11nに送信する。これらの要求を本開示においてLCS要求と称する。LCS要求には、オプションで対象UEの速度の要求が含まれてもよい。また、LCS要求には、必要なQoS、サポートされている位置情報の表現形式および形状、その他の属性が含まれてもよい。LCS要求は、サービスID、コードワード、およびサービスカバレッジ情報が含まれてもよい。
【0061】
LCS要求を受けたGMLC11nは、UDM11jからUE2のプライバシー設定を取得し、LCSプライバシープロファイルを確認する。対象UE2の位置特定が許可されている場合にGMLC11nは以降の処理を行う。また、GMLC11nは、UDM11jから現在サービスを提供しているAMF11bのネットワークアドレスを取得する。
【0062】
ステップ5において、GMLC11nは、AMF11bに対してNamf_Location_ProvidePositioningInfoサービス操作を呼び出して、対象UE2の現在位置を要求する。UE2
がアイドル状態にあるときは、AMF11bはネットワークトリガーのサービス要求手順を開始して、UE2とのシグナリング接続を確立し、必要に応じてプライバシー検証を行う。
【0063】
ステップ11において、AMF11bは、LMF11mに対してNlmf_Location_DetermineLocationサービス操作を呼び出して、対象UE2の現在位置を要求する。当該サービ
ス操作は、LCS相関識別子(LCS Correlation identifier)、マスターRANノードにおけるプライマリセルのサービングセル識別子、DC(Dual Connectivity)シナリオで
はセカンダリRANにおけるプライマリセルのサービングセル識別子、クライアントタイプを含む。当該サービス操作は、UE2がサポートする位置情報の表現形式や形状の情報を含んでもよい。
【0064】
ステップ13において、LMF11mは、対象UE2の位置決定手順を実行し、決定されたUE2の現在位置を含むNlmf_Location_DetermineLocation ResponseをAMF11bに返す。ステップ14において、AMF11bは、対象UE2の現在位置を含むNamf_Location_ProvidePositioningInfo ResponseをGMLC11nに返す。GMLC11nは、
必要に応じてプライバシー検証を再度行った上で、ステップ24a,24b(24b-1,24b-2),24cにおいて位置サービス応答を、LCSクライアント13、AF12,NF11に返す。
【0065】
<メッセージおよびパラメータ>
Nlmf_Locationサービスにおけるサービス操作は、LCSクライアント13等のサービ
ス要求元へUE位置情報を提供するDetermineLocationサービス操作を含む。DetermineLocation Request(位置問い合わせ要求)は、例えば、外部クライアントの種類、LCS相関識別子、サービングセル識別子、位置QoS、サポートするデータ形式および形状等の情報を含みうる。サポートするデータ形式の例は、緯度経度高度による表現形式および空間充填曲線に基づく位置コード表現形式である。サポートする形状の例は、点、不確かさを含む点、円、楕円、多角形、および矩形の集合である。
【0066】
対象UEの位置情報取得に成功した場合、LMF11mはDetermineLocation Request
への応答として位置データを含むDetermineLocation Responseを返す。一実施形態では、この応答には空間充填曲線に基づく位置コード表現された位置情報が含まれる。ここで、空間充填曲線に基づく位置情報のビット列表現について説明する。
【0067】
図5Aおよび図5Bは空間充填曲線に基づく位置情報のビット列表現(言い換えると、位置コードの生成方法)を説明するための図である。位置コードは、位置を所定の範囲を有する矩形として表現する。具体的には、緯度方向(第1の方向)の位置を特定する第1のビット列と、経度方向(第2の方向)の位置を特定する第2のビット列を定義して、これらのビットの組み合わせにより矩形領域が指定される。
【0068】
図5Aの例は、全体領域50を緯度経度方向にそれぞれ2分割して合計4つの領域を定義する例である。緯度方向および経度方向を2分割しているので、緯度方向および経度方向の位置を表すビット列は1ビットの長さである。例えば、領域51は、緯度方向の位置
を表すビット「0」と経度方向のビット「0」を組み合わせて「00」と2ビットで表現される。
【0069】
図5Bの例は、全体領域50を緯度経度方向にそれぞれ4分割して合計16個の領域を定義する例である。緯度方向および経度方向を4分割しているので、緯度方向および経度方向の位置を表すビット列は2ビットの長さである。ここで、図5Bでは図5Aの分割を細分化しているため、緯度方向および経度方向を特定するビット列は、図5Aにおけるビ
ット列に1ビット付加することにより作成される。図5Bにおける各領域52~55は、緯度方向を表すビット列と経度方向を表すビット列を交互に配置したビット列により表現される。例えば、領域53は経度方向を特定するビット列「00」と緯度方向を特定するビット列「01」を交互に配置することにより「0001」と表現される。なお、図5Aおよび図5Bにおいて説明のために、緯度方向を特定するビット列に下線を付加して示している。
【0070】
このような規則に基づいて位置コードが決定されているので、位置コードによって表される領域(矩形)の広さは、位置コードのビット数に応じた広さとなる。具体的には、ビット数が少ないほど領域の広さは広くなり、ビット数が多いほど領域の広さは狭くなる。また、分割の階層が1段階増えるごとに、領域の広さは4分の1となり位置コードは2ビット増える。上位階層の領域(例えば領域51)は下位階層の領域(例えば領域52~55)の合計と等しい領域である。
【0071】
なお、ここでは、2次元の位置コードについて説明したが、高度を加えた3次元空間充填曲線に基づいて、3次元空間中の位置および領域を表現可能である。本開示において、UEの3次元位置を位置コード形式で表現してもよいし、UEの3次元位置を2次元の位置コード形式と高度の組み合わせで表現してもよい。
【0072】
また、上位階層の領域に含まれる下位階層の領域の位置コードは、その上位ビットが上位階層の領域の位置コードと等しい。例えば、領域52~55の各領域の上位2ビットは、これらの領域を含む上位階層の領域51の位置コード「00」と等しい。したがって、このようなコード表現によれば、領域同士の包含関係をビット列の比較、言い換えるとビット論理演算だけで簡単に行える。なお、このような上位ビットの一致判定による包含関係の確認は、任意の階層間の領域比較に適用可能である。
【0073】
LMF11mは、DetermineLocation Responseの本文に上記のような位置コード表現されたUE2の位置情報を含めてAMF11bに送信する。なお、LMF11mは、その他ケースでは緯度経度高度形式などその他の表現形式の位置情報をAMF11bに送信してもよい。
【0074】
<LMF11mの動作例>
図6は、LMF11mが位置問い合わせ要求に対して行う処理を示すフローチャートである。ステップS61において、対象UE2の位置問い合わせ要求を受信する。ステップS62において、LMF11mは、対象UE2の位置コード形式のUE位置情報を取得する。ステップS63において、LMF11mは、位置コード形式のUE位置情報を含む応答を作成して、位置問い合わせの要求元に送信する。
【0075】
図7は、ステップS62においてLMF11mが行うUE位置情報の取得および格納に関する処理を説明するフローチャートである。
【0076】
ステップS71において、LMF11mは、UE位置情報を取得する。UE位置情報の取得方法は特に限定されず、RAN3を用いた位置決定が行われてもよいし、UE2が自ら備えるセンサ(測位装置)を用いて位置決定が行われてもよい。あるいは、LMF11mは他のNFにUE位置情報を要求することにより取得してもよい。LMF11mが取得する位置情報の表現形式は任意であってよく、例えば、緯度経度高度形式、空間充填曲線に基づく位置コード表現形式であってよい。
【0077】
ステップS72において、LMF11mは、取得した位置情報が空間充填曲線に基づく位置コード表現形式であるか否か判断する。位置コード形式である場合には処理はステッ
プS73に進み、そうでない場合には処理はステップS74に進む。なお、LMF11mが取得する位置情報の表現形式があらかじめ定められている場合、あるいは事前に把握可能である場合には、ステップS72の判定処理を省略してもよい。
【0078】
ステップS73において、LMF11mは位置情報を位置コード形式に変換する。位置コード形式の変換処理は、他の表現形式(例えば緯度経度高度表現)で表現された位置情報が、位置コード表現形式におけるいずれの矩形領域に属するかを判定し、当該矩形領域を表す位置コードを出力することにより行える。なお、出力する位置コードのビット数は、あらかじめ固定されていてもよいし、取得された位置情報の精度または不確かさが明らかな場合には、この精度または不確かさに応じたビット数としてもよい。
【0079】
ステップS74において、LMF11mは、このようにして得られた位置コード形式のUE位置情報を記憶装置に記憶する。
【0080】
図6に示す処理を実行するLMF11m、より詳細には位置問い合わせ要求(図4の11. Nlmf_Location_DetermineLocation Request)に対して位置コード形式のUE位置情報
を含む応答(13. Nlmf_Location_DetermineLocation Response)を返すLMF11mが、本開示における「ネットワークノード」に相当する。ただし、AMF11bが返すNamf_Location_ProvidePositioningInfo Responseも位置コード形式のUE位置情報を含むこと
から、AMF11bも本開示における「ネットワークノード」に相当する。同様に、GMLC11nがLCSクライアント13、AF12、NF11に返す応答(図4の処理24a
~24c)も位置コード形式のUE位置情報を含むことから、GMLC1nも本開示におけ
る「ネットワークノード」に相当する。
【0081】
<その他の要求>
上記の位置問い合わせ要求は、対象UEの現在位置の要求(Immediate Location Request)であるとして説明した。しかしながら、LCS Serviceにおける位置問い合わせ要求は
、イベントに基づいて発生しうる将来の位置の要求(Deferred Location Request)であ
ってもよい。トリガイベントの例として、UEの利用可能性、所属エリアの変更、定期的報告、UEの移動に関するイベントが挙げられる。
【0082】
エリア変更イベントの例として、UEが所定の領域から退出したこと、UEが所定の領域に進入したこと、UEが所定のエリアに現在位置していることが挙げられる。このようなイベントベースのUE位置問い合わせ要求に対応するためには、LMF11mは、要求に含まれる所定の領域を空間充填曲線に基づく位置コード形式に変換して記憶する。LMF11mは、UE位置が所定の領域に含まれるか否かを、UE位置と所定領域の位置コードの上位ビットの比較により判断する。所定の領域を位置コード形式に変換するためのオーバヘッドを考慮しても、包含関係の判断が容易となるため全体としては処理効率が向上することが見込める。
【0083】
図8は、任意形状の領域を位置コード表現する例の一つとして、円形状の領域80を、位置コード形式で表す例を説明する図である。この例では、破線で示される円形状の領域80が、4ビットで表現される4つの矩形領域81と、6ビットで表現される8つの矩形領域82の組み合わせにより表現できることが示されている。このように、任意形状の領域は、複数の矩形領域を表すビット列を列挙することにより表現できる。なお、図8の説明は概要を示すものであり、各矩形領域を表すビット列はより多くてよい。
【0084】
このように位置コード形式で表された領域とUEの位置の包含関係を判定するためには、領域を構成する各矩形領域とUE位置の包含関係を上位ビットの比較により行い、UE位置がいずれかの矩形領域に含まれるか否かを判定すればよい。ビット列の比較(ビット
論理和演算)という簡単な処理なので、領域を構成する矩形の数が多くても、迅速な判定処理が可能である。
【0085】
また、位置問い合わせ要求は、UEの位置情報の要求に加えて、あるいは代えて、UEが所定の領域に位置するか否かについての確認要求が含まれてもよい。「所定の領域」は位置問い合わせ要求において緯度経度形式あるいはGAD形式で表現されてもよいし、位置コード形式で表現されてもよい。所定の領域が緯度経度形式あるいはGAD形式で表現されている場合には、LMF11mは当該情報を位置コード形式に変換した上で、UE位置との包含関係判断を行う。本願関係の判断は、上述のように領域を表す位置コードとUE位置を表す位置コードの上位ビットの比較により行える。また、所定の領域が複数の領域で表現されている場合には、各領域についてUE位置との包含関係の判断を行えばよい。
【0086】
なお、所定の領域は、LCSクライアント13(あるいはAF13,NF11)が位置コード形式で位置問い合わせ要求に含めてもよいし、GMLC11n、AF11b、LMF11mのいずれかのNFまたはその他のNFにおいて形式変換を行ってもよい。
【0087】
<本実施形態の有利な効果>
本実施形態によれば、空間充填曲線に基づく位置コード形式でUEの位置が表現されるため、端末位置が指定領域に含まれるか否かの判断を論理演算により実施でき、高速な判定が可能となる。また、位置コード形式での表現を用いることで、任意形状の領域を柔軟に表現可能という利点もある。
【0088】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0089】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0090】
2:ユーザ端末(UE)
11m:LMF(Location Management Function)
11n:GMLC(Gateway Mobile Location Centre)
11o:LRF(Location Retrieval Function)
12:AF(Application Function)
13:LCS(Location Service)クライアント
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8