(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178066
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】イオン注入装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/265 20060101AFI20241217BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20241217BHJP
G21K 5/04 20060101ALI20241217BHJP
G21K 5/00 20060101ALI20241217BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L21/265 603C
G21F9/00 Z
G21K5/04 A
G21K5/00 S
G01T1/167 Z
H01L21/265 T
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096581
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】302054866
【氏名又は名称】日新イオン機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大村 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】平井 裕也
(72)【発明者】
【氏名】趙 維江
(72)【発明者】
【氏名】中西 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】井上 真輔
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA07
2G188BB17
2G188CC00
2G188EE25
(57)【要約】
【課題】処理済みウェーハの安全な取り出しを実現する。
【解決手段】イオン注入装置IMは、複数枚のウェーハWが収納されたカセット3a-3dから1枚ずつウェーハWを取り出して、真空予備室6、7を通して処理室1へ搬送し、ウェーハWに対してイオン注入処理を実施する枚葉式のイオン注入装置IMで、処理室1からカセット3a-3dまでの間に、注入処理済みのウェーハWを留めておく待機部Tを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のウェーハが収納されたカセットから1枚ずつ前記ウェーハを取り出して、真空予備室を通して処理室へ搬送し、前記ウェーハに対してイオン注入処理を実施する枚葉式のイオン注入装置で、
前記真空予備室から前記カセットまでの間に、注入処理済みの前記ウェーハを留めておく待機部を有する、イオン注入装置。
【請求項2】
前記待機部から前記ウェーハの取り出し可否を判別する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記ウェーハの注入処理後の経過時間または前記待機部での放射線量に応じて、前記ウェーハの取り出し可否を判別する、請求項1記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記待機部は、前記カセットである請求項1または請求項2記載のイオン注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イオンビームをウェーハに照射することで、ウェーハ内に不純物を注入するイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MeV級のエネルギーのイオンビームを扱うイオン注入装置では、イオンビームが部材に衝突することで、γ線やX線、中性子線等の放射線が発生する。こうした放射線の装置外部への流出を防止するため、様々な対策が取られている。
【0003】
特許文献1では、中性子線の散乱効果の大きい水素や硼素の含有率が高い材料からなる中性子線散乱部材を、中性子線量率が相対的に高い箇所に重点的に配置することが提案されている。
【0004】
特許文献2では、アモルファスカーボン、ダイヤモンド状カーボン、熱分解グラファイト、炭化珪素等からなる低放出インサートをビームラインに配置して、イオンビームの衝突時に発生する中性子を低減することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-155256
【特許文献2】特表2022-517366
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2では、いずれもイオンビームの輸送経路に配置された部材とイオンビームとの衝突により発生する放射線を低減することが述べられているが、ウェーハから発生する放射線については何ら言及されていない。
例えば、特定エネルギー以上でイオンビームがウェーハに照射される場合、ウェーハ材料とそれに注入されるイオン種との組み合わせにより、壊変現象によりウェーハから放射線が発生する。
【0007】
例えば、エネルギーが326KeV以上のプロトンのイオンビームをシリコンウェーハに照射した場合、ウェーハからβ+壊変によりγ線が発生する。このγ線の発生は、注入処理内容によっては、避けることができない。
【0008】
放射壊変が発生すると、構成の不安定性を持つ原子核が放射線(α線、β線、γ線等)を放出することで、他の安定な原子核に変化する。これは上述したプロトン注入の例に限らず、他のイオン種、ウェーハの組み合わせでも起こりうる。
放射線を放出する処理済みウェーハを装置外部に搬送した場合、放射線量によっては人体に悪影響を及ぼしてしまう。
【0009】
本発明では、処理済みウェーハの安全な取り出しを実現するイオン注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
イオン注入装置は、
複数枚のウェーハが収納されたカセットから1枚ずつ前記ウェーハを取り出して、真空予備室を通して処理室へ搬送し、前記ウェーハに対してイオン注入処理を実施する枚葉式のイオン注入装置で、
前記処理室から前記カセットまでの間に、注入処理済みの前記ウェーハを留めておく待機部を有する。
【0011】
前記待機部から前記ウェーハの取り出し可否を判別する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記ウェーハの注入処理後の経過時間または前記待機部での放射線量に応じて、前記ウェーハの取り出し可否を判別することが望ましい。
【0012】
前記待機部は、前記カセットであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
処理済みウェーハが放出する放射線量は、時間の経過とともに減衰する。このことから、処理室からカセットまでの間に、処理済みのウェーハを留めておく待機部を設けることで、ウェーハから放出される放射線量を十分に低減した上で、ウェーハの安全な取り出しが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】イオン注入装置の処理室周りの構成を示す模式的平面図である。
【
図2】処理済みウェーハの排出についての一例を示すフローチャートである。
【
図3】処理済みウェーハの排出についての別の例を示すフローチャートである。
【
図4】イオン注入装置の処理室周りの別の構成を示す模式的平面図である。
【
図5】イオン注入装置の処理室周りの他の構成を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、枚葉式のイオン注入装置IMにおける処理室1周りの構成が描かれている。カセット3a-3dには、複数枚のウェーハWが収納されている。基板搬送部5には、大気ロボット9とアライナー4が設けられている。
いずれかのカセット3a-3dから、大気ロボット9で取り出されたウェーハWは、アライナー4に搬送されて、周方向の向きが揃えられた後、第1の真空予備室6に搬送される。
【0016】
第1の真空予備室6にウェーハWが搬送されると、第1の真空予備室6内は密閉されて、室内が真空引きされる。第1の真空予備室6の真空引きが終わると、真空ロボット8が、室内のウェーハWを取り出し、プラテン2上にウェーハWを搬送する。
図示されるプラテン2の姿勢は、円形状のプラテン2が起立したときのものである。 真空ロボット8からのウェーハWの受け取り時、プラテン2は、図示される姿勢からX軸周りに90°回転し、ウェーハWの支持面がY軸に垂直となる。
【0017】
処理室1には、X軸と平行な方向で走査されたイオンビームIBもしくは非走査のリボン状のイオンビームIBが輸送される。
プラテン2は、ウェーハWを受け取った後、不図示の駆動源によりY軸と平行な方向に往復搬送される。これにより、ウェーハWの全面へのイオン注入処理が実施される。
【0018】
イオン注入処理の終了後、真空ロボット8が、プラテン2上の処理済みウェーハWを第2の真空予備室7へ搬送する。このとき、第2の真空予備室7は、処理室1と同じ真空雰囲気にある。第2の真空予備室7には待機部Tが設けられている。
待機部Tは、例えば、ZX平面でのウェーハWの搬送が可能な棚で構成されている。この棚は、一段でもよく、Y軸の方向に多段に重ねられていてもよい。
【0019】
処理済みウェーハWの待機部Tへの搬送が行われると、空いたプラテン2には未処理のウェーハWが搬送される。待機部Tにある処理済みウェーハWが所定条件を充足したとき、第2の真空予備室7は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスによりパージされる。これにより、第2の真空予備室7内の圧力が基板搬送部5と同等の圧力に変更される。
第2の真空予備室7の圧力を変更した後、大気ロボット9が、待機部Tからカセット3a-3dに処理済みウェーハWを搬送する。
【0020】
待機部TでのウェーハWの所定条件は、注入処理後に所定時間を経過しているか、待機部TでウェーハWから放出される放射線量が基準値以下であるか等、ウェーハWの取り出しにあたっての安全性を確保するための条件である。
【0021】
処理済みウェーハが放出する放射線量は、時間の経過とともに減衰するため、予め実験により、十分に減衰するまでに要する時間を求めておき、この時間を所定時間として設定する。あるいは、ウェーハWから放出される放射線を線量計で計測し、実測値と安全性が確保できる基準値とを比較する。なお、放射線量を実測する場合、待機部Tや第2の真空予備室7に線量計を設けておく。
【0022】
処理済みウェーハWについて、1枚ずつ所定条件を充足するかどうかを判別し、条件を充足するたびに、第2の真空予備室7の真空大気を切換えて、カセット3a-3dに処理済みウェーハWを戻すようにしてもよい。
しかしながら、ウェーハWに対するイオン注入処理の時間が、待機部TでウェーハWが所定条件を充足するまでに要する時間に比べて非常に短い場合には、プラテン2から待機部TへのウェーハWの搬送に支障を来しうる。
【0023】
例えば、待機部Tに設けられた棚が1段であれば、物理的に次の処理済みウェーハWを配置することができなくなる。また、待機部Tに設けられた棚が複数段であっても、第2の真空予備室7の真空大気を切換えるタイミングと次の処理済みウェーハWを搬送するタイミングがかち合えば、次の処理済みウェーハWを待機部Tへ搬送することができなくなる。
そうなると、次の処理済みウェーハWを待機部Tへ搬送するまでに長い待ち時間が発生するため、イオン注入装置IMの生産性が著しく悪化する。
【0024】
そこで、イオン注入処理の対象にしている1ロットのウェーハW(例えば、25枚)の全てを格納できる棚を待機部Tに設けておく。そして、最後に待機部Tに搬送された処理済みウェーハWでの注入処理後の経過時間をカウントする等し、最後の処理済みウェーハWに対する条件の充足判別を実施する。このようにすれば、イオン注入装置IMの生産性の著しい悪化を避けることができる。また、各ウェーハWについての充足判別を行わず、最後のウェーハWだけを対象にして充足判別を実施する場合、充足判別処理の簡略化も可能となる。
【0025】
上記判別については、イオン注入装置IMが有する制御装置Cで実施する。
制御装置Cは、記憶部と演算部を有している。記憶部には、比較の基準となる時間や線量が記録されている。
具体例を挙げると、時間による判別を実施する場合、制御装置Cはイオン注入装置IMから最後のウェーハに対するイオン注入処理が実施された時間情報を入力信号Siとして受信する。制御装置Cは、入力信号Siの受信をトリガーにして時間をカウントし、記憶部に記録されている基準時間と比較し、待機部TからのウェーハWの取り出し可否を判別する。ウェーハWの取り出し可と判別した場合には、制御装置Cは、待機部TよりウェーハWを搬送するための出力信号Soをイオン注入装置IMへ送信する。
【0026】
線量による判別を実施する場合、制御装置Cは、イオン注入装置IMで計測された放射線量の計測結果を受信し、記憶部に記録されている基準値との比較から、ウェーハWの取り出し可否を判別する。ウェーハWの取り出し可と判別した場合には、制御装置Cは、待機部TよりウェーハWを搬送するために、待機部TよりウェーハWを搬送するための出力信号Sоをイオン注入装置IMへ送信する。
【0027】
入力信号Siには、例えば、各ウェーハWへの注入処理が完了したときの時間情報や注入処理を実施しているウェーハWが何枚目のウェーハWであるのかを示す情報が含まれていてもいい。
また、出力信号Soは、イオン注入装置IMの各部を制御する制御信号としてもよい。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、イオン注入装置IMの操作者に対して、判別結果を知らせる信号であってもよい。その場合、出力信号Soは、イオン注入装置IMの操作用ディスプレイへの通知や音による通知を行うための信号であってもよい。これらの通知を受け、イオン注入装置IMの操作者が、ウェーハWの取り出しを実施する。
【0028】
図2、
図3は、ウェーハWに対するイオン注入処理の時間が、待機部TでウェーハWが所定条件を充足するまでに要する時間に比べて非常に短い場合を想定したときのフローチャートである。例えば、イオン注入処理の時間は30-40秒であり、待機部TでウェーハWが所定条件を充足するまでに要する時間は10分程度を想定している。
【0029】
簡単に各図のフローチャートについて説明する。
図2では、1枚ずつプラテン2にウェーハWを搬送してイオン注入処理を実施し、処理済みウェーハWを待機部Tへ順次搬送する(処理S1)。つぎに、対象とするカセット3a-3dに収納されているウェーハWで最後のウェーハWへのイオン注入を実施し、それまでに処理したウェーハWと同じく、待機部Tへ搬送する(処理S2)。
【0030】
処理S2で、最後のウェーハWへの注入処理が実施されてからの経過時間を計測する(処理S3)。処理S3での経過時間が基準時間以上であるかどうかを判別する(処理S4)。基準時間は、処理済みウェーハWから放出される放射線が所定線量以下となるまでに要する時間である。
【0031】
処理S4で、最後のウェーハWへの注入処理が終了してからの経過時間が基準時間以上となった段階で、待機部Tから処理済みウェーハWの排出を順次実施する(処理S5)。
なお、処理S3、処理S4の実施時点で、待機部Tに全てのウェーハWが搬送されている場合には、第2の真空予備室7での真空大気の切替を実施してもよい。
【0032】
図3のフローチャートで、
図2と同じ符号が使用されている処理は、
図2と同一の処理であるため、個々の処理についての説明は省略する。
図2との違いは、処理S2で所定のカセット3a-3d内の最後のウェーハWに対するイオン注入処理が実施され、待機部Tに最後のウェーハWが搬送された後、待機部Tで線量の計測が実施される(処理S11)。
【0033】
処理S12では、処理S11で計測された放射線が、基準値以下であるかどうかの判別が行われる。処理S12で放射線量が基準値以下となれば、待機部Tより処理済みウェーハWの排出を実施する(処理S5)。
【0034】
図1の実施形態では、待機部Tを第2の真空予備室7に設けていたが、待機部Tの配置場所はこの場所に限られない。例えば、
図4に示すように、処理室1内に待機部Tを設け、ここに処理済みウェーハWを搬送し、所定条件を充足するまで待機させておく。
【0035】
図4のように、処理室1内に待機部Tを設ける構成でもいいが、線量計での計測を実施する場合、処理中のウェーハWから放射線が放出されることで、計測を誤ることが懸念される。このことから、処理室内で発生される放射線を遮蔽するための仕切りを設け、待機部Tを空間的に切り離しておくことが望ましい。
また、待機部Tを処理室1の外に出し、第2の真空予備室7とは別に、処理室1に隣接した部屋を用意し、その部屋に待機部Tを設けるようにしてもよい。
【0036】
さらに、
図5に示すように、待機部Tをカセット3dと兼用してもよい。
図5では、兼用対象をカセット3dとしているが、注入対象とするウェーハWが収納されている任意のカセットであればよく、カセット3dに限定されるものではない。
いずれかのカセット3a-3dを待機部Tとする場合、カセットには既にウェーハWを収納するための棚が設けられているため、待機部Tに処理済みウェーハWを待機させておく特別な棚を必要としない点で有利である。
【0037】
第2の真空予備室7に待機部Tを設ける場合、第2の真空予備室7の容積を大きくする必要がある。第2の真空予備室7の容積を大きくした場合、予備室内の真空大気を切換えに要する時間が長くなることや大量のパージ用ガスが必要になることが懸念される。しかしながら、カセット3a-3dを待機部Tと兼用する場合には、予備室の容積は小さくて済むので、このような懸念事項は発生しない。
【0038】
イオン注入装置IMでは、装置筐体は金属板で構成されていることから、筐体内側で発生する放射線の筐体外部への漏洩はある程度抑制されるが、必要に応じて、放射線遮蔽用の鉛や鉄等を部分的に筐体壁面に設けてもよい。
なお、装置筐体には、カセット3a-3dの取り付けられる基板搬送部5とそれよりも処理室1側の部位が収納される。
【0039】
カセット3a-3dは、装置筐体外部にあることから、ここを待機部Tと兼用する場合には、ウェーハWより放出される放射線が、カセットから漏洩することが懸念される。
この点については、例えば、カセット3a-3dをアクリル樹脂や鉄などのシールドで覆い、放射線の漏洩を防止する。また、カセット3a-3dは、パーティクルの関係で、装置間の搬送時には密閉構造の容器に入れられていることから、前述のシールドが、ウェーハ搬送容器の筐体を兼ねていてもよい。
【0040】
図1で説明した実施形態では、第2の真空予備室7に待機部Tを設ける構成を説明したが、第1の真空予備室6に待機部Tを設けてもよい。また、イオン注入装置IMは、2つの真空予備室6、7のうち、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。
【0041】
待機部Tの場所は、
図1、
図4、
図5で説明した場所に限定されるものではない。ウェーハWへの注入処理後、カセット3a-3dに収納されるまでのウェーハWの搬送経路、つまり、処理室1からカセット3a-3dまでの間であれば、イオン注入装置IMの装置構成に応じ、任意の場所に待機部Tを設けてもよい。
【0042】
カセット3a-3dの全てに、未処理のウェーハWが収納されている必要はない。例えば、4つのカセット3a-3dのうち、1つを空にしておき、待機部T専用としてもよい。
【0043】
放射壊変は、イオン注入処理時のイオンビームのエネルギー、イオン種、ウェーハ材料に応じて発生するため、注入処理内容によっては、上記実施形態での判別処理を実施する必要はない。上記実施形態で説明した判別処理は、放射壊変が発生する場合を前提にして実施されるものである。
放射壊変の発生有無を判断する処理と上記実施形態で説明した判別処理とを組み合わせるのであれば、上記実施形態で説明した判別処理の前に、注入処理内容に応じて、判別処理を実施するか否かを判断する。具体的には、
図2、
図3のフローチャートにおいて、処理S1の前にこの判断を実施する。
【0044】
判断にあたっては、イオンビームのエネルギー、イオン種、ウェーハ材料からなるリストを制御装置Cの記憶部に予め記録しておき、実施する注入処理内容をリストと照合し、リストに該当するものがあれば、上記実施形態で説明した判別処理を実施する。この判断については、制御装置Cで実施してもよいが、イオン注入装置IMの操作者が上記リストを参照した上で、判断するようにしてもよい。
【0045】
上記実施形態では、待機部Tで放射線量を計測し、制御装置Cの記憶部に記録されている基準値と比較する構成について説明したが、イオン注入装置IMの外部環境下における放射線量を線量計で実測しておき、この実測値を基準値として、待機部Tでの実測値と比較してもよい。
【0046】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 処理室
3a-3d カセット
6 第1の真空予備室
7 第2の真空予備室
IM イオン注入装置
W ウェーハ
T 待機部
C 制御装置