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特開2024-178075水面浮遊物捕捉船 水面浮遊物陸揚げシステム 水面浮遊物捕捉機構
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  • 特開-水面浮遊物捕捉船  水面浮遊物陸揚げシステム  水面浮遊物捕捉機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178075
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】水面浮遊物捕捉船 水面浮遊物陸揚げシステム 水面浮遊物捕捉機構
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/32 20060101AFI20241217BHJP
   B63B 27/18 20060101ALI20241217BHJP
   E02B 15/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B63B35/32 C
B63B27/18
E02B15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023106504
(22)【出願日】2023-06-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケブラー
(71)【出願人】
【識別番号】523240958
【氏名又は名称】保田 真二
(72)【発明者】
【氏名】保田 真二
【テーマコード(参考)】
2D025
【Fターム(参考)】
2D025AA01
(57)【要約】
【課題】水面に浮遊する浮遊物、特に流木を効率的に捕捉し、陸揚げする手段を提供する。
【解決手段】駆動源と、前記駆動源に牽引される牽引ロープと、前記牽引ロープの張力方向を変えるための張力方向変換部と、前記牽引ロープに掛かる張力によって回転するアームと、前記アームのふらつきを抑制するためのふらつき抑制機構と、前記アームに揺動可能に支持された捕捉部と、前記捕捉部が捕捉した物体を保持または解放するための保持解放機構とを備えて成る水面浮遊物捕捉船とした。
また、前記水面浮遊物捕捉船と搬送船と重機とを備えて成る水面浮遊物陸揚げシステムとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源に牽引される牽引ロープと、
前記牽引ロープの張力方向を変えるための張力方向変換部と、
前記牽引ロープに掛かる張力によって回転するアームと、
前記アームのふらつきを抑制するためのふらつき抑制機構と、
前記アームに揺動可能に支持された捕捉部と、
前記捕捉部が捕捉した物体を保持または解放するための保持解放機構と、
を有することを特徴とする水面浮遊物捕捉船
【請求項2】
請求項1に記載の水面浮遊物捕捉船と、
浮遊物を積載し陸揚げ位置まで搬送する積載船と、
前記浮遊物を陸揚げするための重機と、
を有することを特徴とする水面浮遊物陸揚げシステム
【請求項3】
駆動源と、
前記駆動源に牽引される牽引ロープと、
前記牽引ロープの張力方向を変えるための張力方向変換部と、
前記牽引ロープに掛かる張力によって回転するアームと、
前記アームのふらつきを抑制するためのふらつき抑制機構と、
前記アームに揺動可能に支持された捕捉部と、
前記捕捉部が捕捉した物体を保持または解放するための保持解放機構と、
を有することを特徴とする水面浮遊物捕捉機構
【請求項4】
前記牽引ロープの張力を増強する増力機構を有することを特徴とする
請求項1に記載の水面浮遊物捕捉船
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面浮遊物を効率的に捕捉する水面浮遊物捕捉船と、前記水面浮遊物捕捉船及び搬送船及び重機から成る水面浮遊物陸上げシステムと、前記水面浮遊物捕捉船に搭載された水面浮遊物捕捉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、実開昭61―102626に示された従来の技術を示した側面図である。前端が水面に浸かった状態で斜めに配置された金網チェーンコンベア4を搭載した作業船体1と、当該作業船体1と着脱可能な運搬船体2を使用し、水面に浮遊する被除去物Aを金網チェーンコンベア4で運搬船体2に積載する装置に関する発明である。
【0003】
図7は、実開昭53-65974に示された従来の技術を示した側面図である。無端コンベア4を一対の歯車1,2にかけわたして前端を水面下に投入し、後端を水面上に突出するよう傾斜配置し、水面下から水面上に走行循環させて水面の浮遊物5を回収する回収装置に関する発明である。
【0004】
上記の従来の技術は、共にベルトコンベア等の電動搬送方式を用いた方式を用いている点が共通している。
【先行技術文献】
【実用新案文献】
【0005】
【実用新案文献1】
実開昭61―102626
【0006】
【実用新案文献2】
実開昭53―65974
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術には以下の問題点があった。
【0008】
例えばダム等の中に流入する流木は、大小様々な大きさを有しており、例えば長さ10メートルを超える巨木が浮遊していることも多い。これらの巨木を従来技術の電動搬送方式で捕捉しようとした場合、特に流木の中心軸と搬送方向が平行な状態で流木を捕捉しようとすると、船内の流格納長さは流木の大きさ分より長いが必要となる。また、流木の長さが格納長さを超える場合はそもそも捕捉ができないという問題があった。
【0009】
さらに、流木の重心が電動搬送装置の搬送面上からずれた位置である場合は、搬送中の流木の挙動が不安定となり、時には流木がバランスを崩して落水してしまうという問題があった。さらに、電動搬送装置の方式は、流木を揃えて搬送船に積載することは困難であり、搬送船の積載スペース効率が悪くなるという問題があった。
【0010】
本発明は、かかる問題点を新規の方式で解決するためになされたもので、水面の浮遊物、例えば大小様々な長さや大きさの流木等の軸を揃えた状態で整理して搬送船に乗せ、必要に応じて流木の長さを調整可能とし、水面に浮遊する物体を効率的に陸揚げすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
駆動源と、前記駆動源に牽引される牽引ロープと、前記牽引ロープの張力方向を変えるための張力方向変換部と、前記牽引ロープに掛かる張力によって回転するアームと、前記アームのふらつきを抑制するためのふらつき抑制機構と、前記アームに揺動可能に支持された捕捉部と、前記捕捉部が捕捉した物体を保持または解放するための保持解放機構とを備えて成る水面浮遊物捕捉船とした。また、前記水面浮遊物捕捉船と搬送船と重機とを備えて成る水面浮遊物陸揚げシステムとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明により効果が得られる。
【0013】
水面の浮遊物、例えば流木の軸を揃えた状態で整理して搬送船に乗せることが可能となり積載効率が向上する。また、捕捉部が左舷方向と右舷方向が解放されているため必要に応じてチェーンソー等で流木の長さを調整し積載することが可能となる。さらに、人力では捕捉できないような巨大な流木等を捕捉することができる。さらに、捕捉と搬送の機能が分かれているため、例えば2隻の搬送船を用い、片方に積載中に他方が搬送を行いこれを交互に繰り返すことにより効率的に流木等を陸揚げすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかる捕捉船の側面図である。
図2】本発明にかかる捕捉船の斜視図である。
図3】本発明にかかる捕捉船の保持時の側面図である。
図4】本発明にかかる捕捉船及び搬送船の側面図である。
図5】本発明にかかる搬送船及びクレーンの斜視図である。
図6】従来の技術を示した側面図である。
図7】従来の技術を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明における捕捉船010の側面図である。図2は本発明における捕捉船010の斜視図である。以下、図1及び図2を用いて捕捉船010について説明を行う。
【0016】
アーム004はコの字状の形状を有しており捕捉船010の船首及び右左舷の外部を取り囲むように配置されている。また、アーム004は右左舷方向に平行な回転軸を有する回転中心017に回転可能に保持されている。アーム004の船首側には係留部015があり、係留部015には牽引ロープ002がの一端が係留されており、牽引ロープ002は張力の方向を変換するための滑車003を介して他端がウィンチ001に接続されている。
【0017】
これにより、ウィンチ001が巻き上げ方向に駆動し牽引ロープ002に張力が発生すると、係留部015が上方に力を受けアーム004が紙面に向かって右に回転する。(以下、保持位置と称す。)一方、ウインチ001が緩み方向に駆動するとアーム004の自重によりアーム004が紙面に向かって左に回転する。(以下、捕捉位置と称す。)アーム004の可動域は、捕捉位置(水面下約1メートル)から保持位置(水面上約2メートル)までとなっている。
【0018】
牽引ロープ002の張力を増強する場合は、例えば動滑車や減速機構を備えることも有効である。また、牽引ロープ002は、金属ワイヤーに限らず、ケブラー紐やカーボンファイバー紐など、張力に耐え得る素材であれば何でも構わない。また、ウィンチ001は、モーター、プランジャー、その他の動力源で代用可能である。さらに、動力源を作動させるエネルギーを供給する発電機等のエネルギー発生装置を搭載するのも有効である。
【0019】
捕捉船010にはスタビライザー005が装備されている。スタビライザー005の一端は船体に固定され、他端はアーム004に回転可能に係合されており、アーム004先端部のふらつきを抑制する。
【0020】
アーム004の船首の先には捕捉部006がある。捕捉部006は右左舷方向に平行な回転軸を有する揺動中心013に揺動可能に保持されている。捕捉部006はL字状の形状を右左舷方向に引き延ばした形状をしており、捕捉部006上の物体が滑り落ちるように底面が傾斜した位置(以下、滑落可能位置と称す。)と、滑り落ちないように底面が傾斜した位置(以下、滑落不能位置と称す。)を取ることができる。尚、水面に浮遊する流木009等を捕捉する時は捕捉部006の底面はほぼ水平となっている。
【0021】
捕捉船010は保持解放機構を有する。捕捉部006にはL字形状の垂直立ち上がり部分に係合部014があり、操船位置付近には解放レバー007がある。
係合部014及び解放レバー007は連結棒008により連結されており、解放レバー007を船尾側に倒し、ある一定の位置まで来ると解放レバー007に紙面に向かって右回転の力が発生するようになり、捕捉部006が滑落不能位置に機械的にロックされる。同時に解放レバー007の一部がストッパー(図示しない)に当たり動きが止まる。
【0022】
一方、解放レバー007を船首側に倒しある一定以上の位置まで来ると、解放レバー007に紙面に向かって左回転の力が掛かるようになり機械的ロックが解除され捕捉部006は自重により滑落可能位置に遷移する。同時に解放レバー007の一部がストッパー(図示しない)に当たり動きが止まる。これにより、捕捉部006は流木009等の物体を自在に保持したり、落下させることができる。
【0023】
また、捕捉部006は右左舷方向が解放されており船体の幅を超える長い流木009をすくいあげることが可能である。また、長い流木009を捕捉部006で掬いすくいあげた状態で、必要に応じてチェーンソーなどで捕捉部006の左右で流木を切断することにより適切な長さに調整することができる。
【0024】
捕捉部006は、格子状の構造を有しており、水面に浮かぶ流木009等を捕捉した場合、流木009等と共に掬いあげられた水が格子の隙間から落下し流木009等と水が分離される。
【0025】
以下、図1図3及び図4を用いて水面に浮かぶ浮遊物、特に流木009の場合の例を挙げて捕捉船010の動作を説明する。図1図3図4は、それぞれ捕捉時の捕捉船010の様子、保持時の捕捉船010の様子、解放時の捕捉船010及び搬送船011の様子を表している。
【0026】
図1で示すように、捕捉部006を滑落不能位置かつアーム004を捕捉位置に保持した状態で、水面に浮かぶ流木009の側面に向かって捕捉船010を前進させる。流木009が捕捉部006に収まったら、図3に示すように、アーム004の位置を保持位置に遷移させ流木009を水面016から掬いあげ保持する。この状態を保持したまま図4に示すように、捕捉船010を搬送船011の右舷または左舷に向かって前進させ両船を近接させる。この時、捕捉部006及びこれに捕捉された流木009は搬送船011の船体上に位置する。
【0027】
次に、捕捉部006の位置を滑落可能位置に遷移させる。これにより、流木009は自重により搬送船011上に流木009が落下する。この時、複数の流木009を数回の動作で回収する場合は、各流木009の中心軸が平行となるように調整することが肝要である。また、流木009が落下する位置には予めクレーン吊り上げようのモッコ018を敷いておき、この上に流木009が落下するようにする。
【0028】
次に、搬送船011に積まれた流木009を陸揚げする様子を図5を用いて説明する。
【0029】
図5は搬送船011及び、クレーン012の様子を示した斜視図である。搬送船011の積載物が目標重量に達したら、搬送船011をクレーン012がある陸揚げ位置まで移動させ、モッコ018の四隅にと連結されたリング019にクレーンフック020を引っ掛けこれを吊り上げて、流木009を陸に揚げる。
【0030】
尚、水面に浮遊する浮遊物は、流木009に限らず例えば水草やごみなどでも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は水面に浮かぶ形状や、大小様々な大きさの浮遊物特に流木を捕捉する際に利用可能である。ダム、河川、海、湖、池などの水面の清掃を効率的に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0032】
001ウィンチ
002牽引ロープ
003滑車
004アーム
005スタビライザー
006捕捉部
007解放レバー
008連結棒
009流木
010捕捉船
011搬送船
012クレーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7