(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178101
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】微細構造を介した光結合を用いた発光時計表示
(51)【国際特許分類】
G04B 19/30 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G04B19/30 B
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058792
(22)【出願日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】23178675.7
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ゲルネ、 シリル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気ワイピング接点を使用せずに、必要に応じて時計の針を照明することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの光源を含み、上面上に少なくとも1つの基準スケールを担持する文字盤とユーザに面する側の風防との間に、回転軸Dの周りに同軸であり、かつ少なくとも1つの光源によって放射された光の一部を拡散するように配置された第1の導光体11を含む少なくとも1つの第1の発光インジケータ1を含む一組の針を含む腕時計用の表示装置であって、第1の導光体11は、光が第1の導光体11に入ること及び/又は光が第1の導光体11から出ることを可能にするように配置された第1の結合微細構造110を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計(1000)用の表示装置(100)であって、
少なくとも1つの光源(200)を含み、かつ、上面(301)上の少なくとも1つの基準スケールを担持する文字盤(300)とユーザに面する側の風防(400)との間に、前記少なくとも1つの光源(200)によって放射された光の一部を拡散するように配置された第1の導光体(11)を含む少なくとも第1の発光インジケータ(1)を含む回転軸(D)の周りに同軸の一組の針(10)を含み、
前記第1の導光体(11)は、前記第1の導光体の透明層に配置された第1の結合微細構造(110)を含み、前記第1の結合微細構造(110)は、光が前記第1の導光体(11)に入ること及び/又は光が前記第1の導光体(11)から出ることを可能にするように配置される、表示装置(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の発光インジケータ(1)は、前記第1の導光体(11)を形成しかつ第1のヘッド(15)及び第1の本体(16)を形成する透明層と不透明金属層(36)とを含む複数の層を含み、前記第1のヘッド(15)は、前記回転軸(D)に対して中心合わせされ、かつユーザには見えない第1の下面(152)において光束を受けるように配置されており、
前記第1の結合微細構造(110)は、前記透明導光体層への入力結合を提供するように、前記ヘッド(15)において前記透明導光体層上又はその中に配置される、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項3】
前記同軸の一組の針(10)は、前記第1の発光インジケータ(1)と前記風防(400)との間に、前記少なくとも1つの光源(200)及び/又は前記第1の発光インジケータ(1)によって放射された光の一部を拡散するように配置された第2の導光体(21)を含む少なくとも1つの第2の発光インジケータ(2)を含み、
前記第2の導光体(21)は、前記第1の導光体の透明層に配置される第2の結合微細構造(210)を含み、前記第2の結合微細構造(210)は、光が前記第2の導光体(21)に入ること及び/又は前記第2の導光体(21)から出ることを可能にするように配置される、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項4】
前記同軸の一組の針(10)は、前記第1の発光インジケータ(1)と前記風防(400)との間に、複数の重ね合わせられた同軸の発光インジケータを含み、それぞれが、前記少なくとも1つの光源(200)及び/又は前記風防(400)から離れた方を向いた側においてその下に配置された前記発光インジケータによって放射された光の一部を拡散するように配置された導光体を含み、それぞれが、光が前記導光体に入ること及び/又は光が前記導光体から出ることを可能にするように配置された結合微細構造を含む、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項5】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、不透明金属層(36)及び透明導光体形成層を含む複数の層を備え、かつヘッド及び本体を形成し、前記ヘッドは回転軸(D)に対して中心合わせされ、ユーザには見えない第1の下面において光束を受けるように配置され、
前記結合微細構造は、前記光束の少なくとも一部を吸収し、かつ第2の光束を前記透明導光体層内に再放射するように、前記ヘッドにおいて前記透明導光体層上又はその中に配置される、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項6】
前記光束の少なくとも一部を吸収し、かつ前記透明導光体層に第2の蛍光又は燐光光束をそれぞれ再放射するために、前記ヘッドにおいて、前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータの前記透明導光体層(38)上又はその中に蛍光又は燐光材料が配置される、請求項5に記載の表示装置(100)。
【請求項7】
前記風防(400)に最も近いインジケータが、結合微細構造を互いにグループ化する結合面を有しており、前記結合面は、前記風防(400)から離れた方を向いた側において直下にあるインジケータの結合面よりも大きい、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項8】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、透明導光体層(38)を含み、前記透明導光体層(38)は、前記回転軸(D)に実質的に垂直な第2の光束の光線の全内部反射を生成するように配置される、請求項5又は6に記載の表示装置(100)。
【請求項9】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、不透明金属層(36)及び透明導光体層(38)を含む複数の層を備え、かつ前記不透明金属層(36)と前記透明導光体層(38)との間に光絶縁層(40)を含み、
前記光絶縁層の屈折率と前記透明導光体層(38)の屈折率との差Δnが0.1以上0.5以下の範囲にある、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項10】
前記光絶縁層(40)は、5μm~15μmの範囲の厚さを有する、請求項9に記載の表示装置(100)。
【請求項11】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、前記回転軸(D)に垂直な平坦な上面及び平坦な下面を含む、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項12】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、不透明材料から作られたソケットが配置される中央孔を含むヘッドを備える、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項13】
前記同軸の一組の針(10)は、前記第1の発光インジケータ(1)と前記風防(400)との間に、複数の重ね合わされた同軸の発光インジケータを含み、それぞれが前記回転軸(D)を中心とするヘッド、及び前記回転軸(D)に対して実質的に垂直に延びる本体を含み、
前記風防(400)の側において、下部インジケータの直上に位置する上部インジケータよりも前記文字盤(300)に近接して位置する前記下部インジケータは、前記ヘッドにおいて中央孔の周囲に配置された少なくとも1つの第2の穴を有し、それによって、前記光束の少なくとも一部が前記上部インジケータの導光体によって吸収されるように、前記光束が前記少なくとも1つの第2の穴を介して前記下部インジケータを通過することが可能になる、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光源(200)は、前記文字盤(300)に対して前記風防(400)から離れた方を向いた前記文字盤(300)の底面(302)の近傍で前記文字盤(300)の下方に位置するか、前記文字盤(300)に埋め込まれるか、又は前記文字盤(300)の前記底面(302)の近傍で前記文字盤(300)の下方に位置するPCB(201)上に位置する、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源(200)は、前記回転軸(D)の周りに分布する発光ダイオード及び/又は有機発光ダイオード及び/又はVCSELタイプの小型レーザ源を含む固定照明源である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、その導光体が蛍光材料を含む少なくとも1つの発光インジケータを含み、
前記光源(200)は、前記回転軸(D)に実質的に平行であり、かつ前記蛍光材料によって再放射される波長よりも短い波長を有する光束によって、前記同軸の一組の針(10)に含まれるインジケータの全てのヘッドを下から照らすように配置された固定照明源である、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項17】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、その導光体が異なる色で発光する蛍光材料を含む少なくとも2つの発光インジケータを含む、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項18】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つのインジケータが、発光針である、請求項1に記載の少なくとも1つの表示装置(100)含む腕時計(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光源を含み、上面に少なくとも1つの基準スケールを担持する文字盤とユーザに面する側の風防との間に、回転軸の周りに同軸であり、かつ前記少なくとも1つの光源によって放射された光の一部を拡散するように配置された第1の導光体を含む少なくとも1つの第1の発光インジケータを含む一組の針を含む時計表示装置に関する。
【0002】
本発明は、時計、特に腕時計の表示の分野に関し、より詳細には発光表示に関する。
【背景技術】
【0003】
EP19220169には、いくつかの光源を用いた針の照明の原理が記載されている。第1の光源、典型的にはLED又はLED群は、第2の光源、特に針の下に配置された蛍光顔料を含むドットを遠隔的に励起する。したがって、一次光源の発光スペクトル及び二次光源の励起スペクトルは、システムが有効であるために一致しなければならない。これにより、400nm付近で十分に発光するLEDの選択が制限される。蛍光顔料は、紫外線波長において最大吸収ピークを有する。同文献にはさらに、短針の頭部に開口部があり、光が分針まで通過することを可能にすることが記載されており、これはそのような針の製造を明らかに複雑にするものである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の蛍光又は燐光コーティングの代替物を用いて、夜間又は暗い環境での表示用の時計用発光インジケータを発展させることである。
【0005】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載の表示装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照して与えられる以下の詳細な説明を読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【
図1】本発明による針の第1の代替実施形態の、前記針の回転軸を通る断面図である。
【
図2】本発明による針の第2の代替実施形態の、前記針の回転軸を通る断面図である。
【
図3】本発明による同軸の一組の針の、重ね合わせた2本の針を示し、前記針の共通の回転軸を通る断面図である。
【
図4】本発明による同軸の一組の針を含む腕時計の、下方光源によって照らされた重ね合わせた2本の針を示し、前記針の共通の回転軸を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、微細構造を介した光結合を用いた発光時計表示に関する。
【0008】
参照として本明細書に組み込まれているEP3845974A1には、アナログ表示装置用の可動インジケータ、特に針のような1つ以上の可動インジケータを含む時計表示装置が記載されている。このインジケータは、不透明金属層及び透明導光体層を含み、インジケータの本体及びヘッドを形成する多層部分を備える。ヘッドは、インジケータの回転軸に対して中心合わせされ、ユーザから離れた側を向いたその下面で光束を受けるように配置される。蛍光材料は、インジケータのヘッドの透明導光体層上に配置され、この光束の少なくとも一部を吸収して、第2の蛍光光束を透明導光体層に再放射する。
【0009】
より詳細には、この特許文献EP3845974A1による表示装置は、文字盤と、文字盤の上方、すなわち時計の風防側に配置され、かつユーザに見えるそのようなインジケータとを含み、インジケータのそれぞれのヘッドは、共通の回転軸を中心に回転するように重ね合わせられ、かつそれぞれのアーバーに固定されており、この装置は、下から、すなわち、ユーザから離れた側を向いており、かつスケルトン又はミステリアス時計の場合を除いては見えない文字盤の底部側に配置され、共通の回転軸に実質的に平行であり、かつ蛍光材料によって再放射される波長よりも短い波長を有する光束によってインジケータの全てのヘッドを照明するように配置された固定照明源を含む。固定照明源は、以下ではLEDと称する発光ダイオード及び/又は有機LEDを含んでもよく、これらは、前記アーバーの周囲に分布し、かつ文字盤の下に配置された以下ではPCBと称するプリント回路素子上に搭載されており、又は同様に配置されたVCSELタイプの小型レーザ源を含み得る。
【0010】
同様に、かつ代替的に、本発明は、特に微細構造を介した光学的結合によって、少なくとも1つの発光針を含む時計表示を製造することを提案する。微細構造が存在するため、この発光針は、必然的に蛍光材料を含むEP3845974A1に詳細に記載されているものよりも簡単であり、したがって、針のコストを削減することが可能である。
【0011】
本発明の特定の目的は、電気ワイピング接点を使用せずに、必要に応じて時計の針を照明することである。
【0012】
最初の提案は、時針に関する。いくつかの針では、針ヘッドは針本体に対してあまり展開していないか、又はほとんど存在しない。すなわち、針本体に対して穴の周りに広がりがない。したがって、分針への光の流れを妨げることはない。このような設計によって、開口部を形成する必要性及び複雑な設計を製造する必要性が回避される。回避すべき唯一のことは、横から又はグレージング角で見たときの直接的な光漏れである。
【0013】
第2の提案は、針に含まれる導光体への光の結合に関する。光がその経路を変化させる構造(プリズム又はコーン等)によって導光体から出ることができるのと同様に、同じタイプの構造を使用して、LEDから光を導光体に取り込むことが可能であり、これらは、特に、文字盤の下又は上に位置するか又は文字盤を形成するPCB上に配置される。
【0014】
これは、表面粗さを修正する単純な表面エッチングにも適用される。したがって、プロセスを複雑にする蛍光インクを堆積させるのではなく、針の導光体上にこれらの構造を複製するために使用されるマスターに直接、抽出構造と同時に結合構造をエッチングすることが可能である。
【0015】
複数の針を含む針のセットの通常の場合、いくつかの選択肢を選択することができる。
【0016】
最初の選択肢は、少なくとも2つの隣接する針の光度を標準化することであり、この目的のために異なる結合ゾーン設計(表面、形状、深さ)を考慮する必要がある。分針に対して十分に大きな結合表面を提供することにより、光路に時針が存在するにもかかわらず、この針における連続的な発光結合が保証される。
【0017】
所定の発光針における蛍光顔料の使用は、多くの場合、2つの隣接する針の間で生じる色の違いによって妨げられる。導光体に結合される光の大部分は蛍光ドットから来ているが、その一部は、特別な装置を使用せずに、例えば導光体のエッジを介して結合され得る。これには、蛍光顔料によって放射される光とLEDからの元の光との間の色の混合が含まれる。例えば、UV LEDも青色光を放射する。この色の混合は、制御が困難であり、時針と分針とで異なるものであるが、結合が微細構造を介して行われる場合は、これらの微細構造を介して色が変化しないため、存在しない。
【0018】
別の代替実施形態は、この効果を利用して、異なる色の針を有することである。これは、蛍光体とLEDの原色との間の色の混合を強調することによって行うことができるが、これを制御することは困難である。より簡単には、異なる色を放射する蛍光ドットを使用することができる。
【0019】
別の代替実施形態は、蛍光材料を燐光材料に置き換えることを含む。短時間の励起の後、ユーザは燐光のみを見ることになり、したがって、両方の針において同じ色を見ることになる。このアプローチはまた、最小のエネルギーバランスで発光効果の持続時間を最大化するという点で有利であり得る。時計及び針によって見られる周囲光は、燐光材料を再充電し、かつ夕方に光を生成するために部分的に使用され得る。
【0020】
したがって、必ずしも発光又は燐光材料の使用に依存することなく、着色された代替実施形態のために本発明に加えて依然として使用され得る発光表示を提供するために、本発明は、より詳細には、上面301上に少なくとも1つの基準スケールを担持する文字盤300とユーザに面する側の風防400との間に、少なくとも1つの光源200を含み、かつ一組の針10を含む時計1000用の表示装置100に関する。この一組の針10は、回転軸Dの周りを移動可能であり、いくつかのインジケータを含む場合、この回転軸Dの周りで同軸である。この一組の針10は、少なくとも1つの光源200によって放射された光の一部を拡散するように配置された第1の導光体11を含む、少なくとも1つの第1の発光インジケータ1を含む。
【0021】
本発明によれば、第1の導光体11は、光が第1の導光体11に入ることを可能にし、かつ/又は光が第1の導光体11から出ることを可能にするように配置された第1の結合微細構造110を含む。
【0022】
より詳細には、少なくとも1つの第1の発光インジケータ1は、第1の導光体11を形成しかつ第1のヘッド15及び第1の本体16を形成する透明層38及び不透明金属層36を含む複数の層を含み、第1のヘッド15は、前記回転軸Dに対して中心合わせされ、ユーザには見えない第1の下面152上で光束54を受けるように配置される。このような第1の結合微細構造110は、ヘッド15において、透明導光体層への入力結合を提供するように、透明導光体層上に又はその中に配置される。
【0023】
代替実施形態では、蛍光材料が、ヘッド15において、透明導光体層上に又はその中に配置される。
【0024】
別の代替実施形態では、燐光材料が、ヘッド15において、透明導光体層上に又はその中に配置される。
【0025】
より詳細には、同軸の一組の針10は、第1の発光インジケータ1と風防400との間に、少なくとも1つの光源200及び/又は第1の発光インジケータ1によって放射された光の一部を拡散するように配置された第2の導光体21を含む少なくとも第2の発光インジケータ2を含む。第2の導光体21は、光が第2の導光体21に入り、かつ/又は光が第2の導光体21から出るように配置された第2の結合微細構造210を含む。
【0026】
より詳細には、同軸の一組の針10は、第1の発光インジケータ1と風防400との間に、複数の重ね合わせられた同軸の発光インジケータを含み、それぞれが、風防400から離れる方向を向いた側でその下に配置された発光インジケータ及び/又は少なくとも1つの光源200によって放射された光の一部を拡散するように配置された導光体を含み、それぞれが、光が導光体に入ることを可能にし、かつ/又は光が導光体から出ることを可能にするように配置された結合微細構造を含む。
【0027】
より詳細には、この同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、不透明金属層及び透明導光体形成層を含む複数の層を含み、ヘッド及び本体を形成し、ヘッドは回転軸Dに対して中心合わせされ、ユーザには見えない第1の下面上で光束54を受けるように配置される。このような結合微細構造は、光束の少なくとも一部を吸収して、第2の光束を透明導光体層内に再放射するように、ヘッドにおいて透明導光体層上に又はその中に配置される。
【0028】
より詳細には、蛍光材料は、光束の少なくとも一部を吸収して、第2の蛍光光束を透明導光体層内に再放射するように、ヘッドにおいて同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータの透明導光体層上に又はその中に配置される。
【0029】
より詳細には、燐光材料は、光束の少なくとも一部を吸収して、第2の燐光光束を透明導光体層内に再放射するように、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータの透明導光体層上に又はその中に配置される。
【0030】
別の一実施形態では、光源200と発光インジケータとの間に蛍光材料又は燐光材料を介在させることにより、着色が容易になるが、蛍光材料によって導光体に対して提供される光結合ソリューションが損なわれる。
【0031】
より詳細には、風防400に最も近いインジケータは、風防400から離れた方を向いた側で、直下のインジケータの結合表面よりも大きい結合微細構造を互いにグループ化する結合表面を有する。
【0032】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、前記回転軸Dに実質的に垂直な第2の光束の光線の全内部反射を生成するように配置された透明導光体層を含む。
【0033】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、不透明金属層及び透明導光体形成層を含む複数の層を含み、不透明金属層と透明導光体層との間に光絶縁層を含む。より詳細に及び非限定的に、針の金属部と導光体部との組み立てに接着剤、特に樹脂を用い、この接着剤又は樹脂は導光体部よりも低い屈折率を有する絶縁層として作用する。光絶縁層の屈折率と透明導光体層の屈折率との差Δnは、0.1以上0.5以下である。特に限定されるものではないが、この目的のために屈折率が1.1以上の樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
より詳細には、光絶縁層の厚さは、5μm~15μmの範囲である。これは、液状樹脂を用いることに相当する。振り子又は掛け時計等、厚さの制限が少ない他の時計用途では、最大厚さが100μmに制限されるフィルム樹脂を用いることも可能である。
【0035】
より詳細には、同軸の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、回転軸Dに対して垂直な平坦な上面及び平坦な下面を有する。
【0036】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、不透明材料から作られるソケットが配置された中央孔を含むヘッドを有する。
【0037】
より詳細には、同軸の一組の針10は、第1の発光インジケータ1と風防400との間に、複数の重ね合わせられた同軸の発光インジケータを含み、それぞれが回転軸Dの周りのヘッド、及び回転軸Dに対して実質的に垂直に延びる本体を含み、この下部インジケータの直上に位置する上部インジケータよりも文字板300に近い位置にある下部インジケータが、風防400側において、そのヘッドの中央孔の周りに配置された少なくとも1つの第2の穴を有し、それによって、該光束が、この少なくとも1つの第2の穴を介して下部インジケータを通過することが可能になり、それによって、該光束の少なくとも一部が上部インジケータの導光体によって吸収される。
【0038】
より詳細には、少なくとも1つの光源200は、文字盤300に対して風防400から離れた方を向いた文字盤300の底面302の近傍で文字盤300の下に配置されるか、文字盤300に埋め込まれるか、又は文字盤300の底面302の近傍で文字盤300の下に配置されるPCB201上に配置される。
【0039】
さらに詳細には、少なくとも1つの光源200は、回転軸Dの周りに分布する発光ダイオード及び/又は有機発光ダイオード及び/又はVCSELタイプの小型レーザ源を含む固定光源である。
【0040】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、その導光体が蛍光材料を含む少なくとも1つの発光インジケータを含む。光源200は、回転軸Dに実質的に平行であり、かつ蛍光材料によって再放射される波長よりも短い波長を有する光束によって、この同軸の一組の針10に含まれるインジケータの全てのヘッドを下から照らすように配置された固定照明源である。
【0041】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つの発光インジケータは、その導光体が異なる色で発光する蛍光材料を含む少なくとも2つの発光インジケータを含む。
【0042】
本発明は、少なくとも1つのそのような表示装置100を含む時計1000にさらに関する。
【0043】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つのインジケータは発光針である。
【0044】
より詳細には、同軸の一組の針10に含まれる少なくとも1つのインジケータはディスクである。
【0045】
要するに、本発明は、微細構造を介して光が直接結合されることを可能にする。蛍光材料を介した吸収/再発光によって光を結合する必要はもはやない。本発明による微細構造を蛍光又は燐光要素と組み合わせて使用することにより、特定の色効果を得ることが可能になる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計(1000)用の表示装置(100)であって、
少なくとも1つの光源(200)を含み、かつ、上面(301)上の少なくとも1つの基準スケールを担持する文字盤(300)とユーザに面する側の風防(400)との間に、前記少なくとも1つの光源(200)によって放射された光の一部を拡散するように配置された第1の導光体(11)を含む少なくとも1つの第1の発光インジケータ(1)を含む回転軸(D)の周りに同軸の一組の針(10)を含み、
前記第1の導光体(11)は、前記第1の導光体の透明層に配置された第1の結合微細構造(110)を含み、前記第1の結合微細構造(110)は、光が前記第1の導光体(11)に入ること及び/又は光が前記第1の導光体(11)から出ることを可能にするように配置される、表示装置(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の発光インジケータ(1)は、前記第1の導光体(11)を形成しかつ第1のヘッド(15)及び第1の本体(16)を形成する透明層と不透明金属層(36)とを含む複数の層を含み、前記第1のヘッド(15)は、前記回転軸(D)に対して中心合わせされ、かつユーザには見えない第1の下面(152)において光束を受けるように配置されており、
前記第1の結合微細構造(110)は、前記第1の導光体(11)の透明層への入力結合を提供するように、前記ヘッド(15)において前記第1の導光体(11)の前記透明層上又はその中に配置される、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項3】
前記同軸の一組の針(10)は、前記第1の発光インジケータ(1)と前記風防(400)との間に、前記少なくとも1つの光源(200)及び/又は前記第1の発光インジケータ(1)によって放射された光の一部を拡散するように配置された第2の導光体(21)を含む少なくとも1つの第2の発光インジケータ(2)を含み、
前記第2の導光体(21)は、前記第2の導光体(21)の透明層に配置される第2の結合微細構造(210)を含み、前記第2の結合微細構造(210)は、光が前記第2の導光体(21)に入ること及び/又は前記第2の導光体(21)から出ることを可能にするように配置される、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項4】
前記同軸の一組の針(10)は、前記第1の発光インジケータ(1)と前記風防(400)との間に、複数の重ね合わせられた同軸の発光インジケータを含み、それぞれが、前記少なくとも1つの光源(200)及び/又は前記風防(400)から離れた方を向いた側においてその下に配置された前記発光インジケータによって放射された光の一部を拡散するように配置された導光体を含み、それぞれが、光が前記導光体に入ること及び/又は光が前記導光体から出ることを可能にするように配置された結合微細構造を含む、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項5】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、不透明金属層(36)及び透明導光体層を含む複数の層を備え、かつヘッド及び本体を形成し、前記ヘッドは回転軸(D)に対して中心合わせされ、ユーザには見えない第1の下面において光束を受けるように配置され、
前記結合微細構造は、前記光束の少なくとも一部を吸収し、かつ第2の光束を前記透明導光体層内に再放射するように、前記ヘッドにおいて前記透明導光体層上又はその中に配置される、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項6】
前記光束の少なくとも一部を吸収し、かつ前記透明導光体層に第2の蛍光又は燐光光束をそれぞれ再放射するために、前記ヘッドにおいて、前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータの前記透明導光体層(38)上又はその中に蛍光又は燐光材料が配置される、請求項5に記載の表示装置(100)。
【請求項7】
前記風防(400)に最も近いインジケータが、結合微細構造を互いにグループ化する結合面を有しており、前記結合面は、前記風防(400)から離れた方を向いた側において直下にあるインジケータの結合面よりも大きい、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項8】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、透明導光体層(38)を含み、前記透明導光体層(38)は、前記回転軸(D)に実質的に垂直な第2の光束の光線の全内部反射を生成するように配置される、請求項5又は6に記載の表示装置(100)。
【請求項9】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、不透明金属層(36)及び透明導光体層(38)を含む複数の層を備え、かつ前記不透明金属層(36)と前記透明導光体層(38)との間に光絶縁層(40)を含み、
前記光絶縁層の屈折率と前記透明導光体層(38)の屈折率との差Δnが0.1以上0.5以下の範囲にある、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項10】
前記光絶縁層(40)は、5μm~15μmの範囲の厚さを有する、請求項9に記載の表示装置(100)。
【請求項11】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、前記回転軸(D)に垂直な平坦な上面及び平坦な下面を含む、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項12】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、不透明材料から作られたソケットが配置される中央孔を含むヘッドを備える、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項13】
前記同軸の一組の針(10)は、前記第1の発光インジケータ(1)と前記風防(400)との間に、複数の重ね合わされた同軸の発光インジケータを含み、それぞれが前記回転軸(D)を中心とするヘッド、及び前記回転軸(D)に対して実質的に垂直に延びる本体を含み、
前記風防(400)の側において、下部インジケータの直上に位置する上部インジケータよりも前記文字盤(300)に近接して位置する前記下部インジケータは、前記ヘッドにおいて中央孔の周囲に配置された少なくとも1つの第2の穴を有し、それによって、前記光束の少なくとも一部が前記上部インジケータの導光体によって吸収されるように、前記光束が前記少なくとも1つの第2の穴を介して前記下部インジケータを通過することが可能になる、請求項5に記載の表示装置(100)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光源(200)は、前記文字盤(300)に対して前記風防(400)から離れた方を向いた前記文字盤(300)の底面(302)の近傍で前記文字盤(300)の下方に位置するか、前記文字盤(300)に埋め込まれるか、又は前記文字盤(300)の前記底面(302)の近傍で前記文字盤(300)の下方に位置するPCB(201)上に位置する、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源(200)は、前記回転軸(D)の周りに分布する発光ダイオード及び/又は有機発光ダイオード及び/又はVCSELタイプの小型レーザ源を含む固定照明源である、請求項14に記載の表示装置(100)。
【請求項16】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、その導光体が蛍光材料を含む少なくとも1つの発光インジケータを含み、
前記光源(200)は、前記回転軸(D)に実質的に平行であり、かつ前記蛍光材料によって再放射される波長よりも短い波長を有する光束によって、前記同軸の一組の針(10)に含まれるインジケータの全てのヘッドを下から照らすように配置された固定照明源である、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項17】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つの発光インジケータが、その導光体が異なる色で発光する蛍光材料を含む少なくとも2つの発光インジケータを含む、請求項1に記載の表示装置(100)。
【請求項18】
前記同軸の一組の針(10)に含まれる少なくとも1つのインジケータが、発光針である、請求項1に記載の少なくとも1つの表示装置(100)含む腕時計(1000)。
【外国語明細書】