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特開2024-178104微細構造物の複製による発光針を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178104
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】微細構造物の複製による発光針を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/30 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G04B19/30 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071445
(22)【出願日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】23178673.2
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ゲルネ、 シリル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】産業上利用可能な発光針を製造する方法を提供する。
【解決手段】発光時計針80を製造する方法であって、一方で第1群の動作1000を通じて、少なくとも一つの導光体30又は一の導光体ストリップを、初期にマスター1に作られた微細構造物の複製によって製造することと、他方で第2群の動作2000を通じて、少なくとも一つの針本体50又は一の針本体ストリップを製造することとを別個に行い、少なくとも一つの針本体50又は一の針本体ストリップが、接合動作600及び組み立て動作700を通じて前記少なくとも一つの導光体30又は一の導光体ストリップと組み立てられた後、発光針80が最終切断動作800を通じて完成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光時計針(80)を製造する方法であって、
一方で第1群の動作(1000)を通じて、少なくとも一つの導光体(30)又は一の導光体ストリップ(35)を、初期にマスター(1)に作られた微細構造物の複製によって製造することと、他方で第2群の動作(2000)を通じて、少なくとも一つの針本体(50)又は一の針本体ストリップ(55)を製造することとを別個に行い、前記少なくとも一つの針本体(50)又は前記一の針本体ストリップ(55)が、接合動作(600)及び組み立て動作(700)を通じて前記少なくとも一つの導光体(30)又は前記一の導光体ストリップ(35)と組み立てられた後、前記発光針(80)が最終切断動作(800)を通じて完成されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1群の動作(1000)において、第1動作(100)のときに、前記少なくとも一つの導光体(30)又は前記一の導光体ストリップ(35)に転写される微細レリーフのポジモデルである前記マスター(1)が、エッチング手段(110)によって作られ、前記微細レリーフは微細構造物を含み、前記微細構造物は、いくつかが光の結合及び抽出のために設けられ、他のいくつかが他の製造ステップのための位置合わせ標識として設けられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1群の動作(1000)において、第2動作(200)のときに、微細構造物を印刷するべく前記マスター(1)に基づいてネガツール(2)が作られ、プラスチックから作られた基材(20)が設けられ、前記基材(20)の上に樹脂が堆積され、前記樹脂によって前記プラスチック基材(20)における前記マスター(1)にもたらされた微細構造物を再生することによって、前記プラスチック基材(20)の上に事前に堆積された前記樹脂に前記微細構造物を印刷することを許容する前記ネガツール(2)の作用のもとで、少なくとも一つの未加工導光体(30)又は一の導光体ストリップ(35)を作るべく、前記前記プラスチック基材(20)に微細構造物が複製されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材(20)が、50から100マイクロメートルの厚さを有するPET又はTACから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記微細構造物の前記複製がUVエンボス加工又はホットエンボス加工によって行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2動作(200)の後に、第3動作(300)において、切断手段(310)又はCOレーザーを使用して前記未加工導光体が、前記針の管が配置されるべき位置で事前切断され、前記未加工導光体に存在する前記位置合わせ標識に位置合わせされることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記最終切断動作(800)の間にレーザー切断手段を使用して前記発光針(80)はそれぞれが完成及び解放され、前記光を、前記針まわりから前記腕時計の装着者の方へ、この目的のために設けられた前記抽出微細構造物によって逃がすべく、前記切断が、前記針の公称幅よりも近似的に0.1mm広くなされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、周縁が照明される針が製造されることを目的として実装され、前記針には前記微細構造物が複製されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、スケルトン針が、前記針の少なくとも複数の開口全体にわたって照明されるように製造されることを目的として実装されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、針が一側のみに又は前記針の先端のみに照明されるように製造されることを目的として実装されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光時計針を製造する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、この方法に従って製造された針に関する。
【0003】
本発明は、時計針、詳しくは発光針、の製造に関する。
【背景技術】
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、蛍光照明される針の動作原理及びかかる針を製造する方法が記載されており、その主要コンポーネントは、シートメタルと、金属表面を光学的に分離する機能を有する低屈折率層と、蛍光を針のエッジの方に導く機能を有する中間屈折率層と、例えばLED等のような遠隔一次光源によって励起される蛍光顔料の堆積体とからなる。
【0005】
特許文献2には、特に、事前切断されたシートメタルへの異なる樹脂の堆積に基づく製造方法が記載されている。この方法は、開口(この場合は金属シートの事前切断部)に液体樹脂を保持することが困難であるため、実装することが難しい。また、針まわりの開口を閉じるための犠牲膜の使用が、特に細心の注意を要する。加えて、かかる方法によれば、針の先端の取り付け部を、導光体を形成する樹脂を超えたところで切断し、針の全周にわたって光を取り出せるようにする必要がある。よって、取り付け部は可視のままとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3845974号明細書
【特許文献2】国際公開第2022/122199号
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、産業上利用可能な発光針を製造する方法を開発することにある。
【0008】
この目的に向けて、本発明は、請求項1に記載の発光時計針を製造する方法に関する。
【0009】
本発明はまた、この方法に従って作られた針に関する。
【0010】
本発明は、腕時計ディスプレイ、詳しくは腕時計針、さらに詳しくは発光針、の分野に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の詳細な説明を読み、添付図面から、目的、利点及び特徴が良好に理解される。
【0012】
図1から図5は、本発明に係る方法のステップを、導光体を製造する第1群の動作と針本体を製造する第2群の動作とが、第3群の組み立て動作の前に並列に遂行され、その後、第4群の完成動作が続く、いくつかの代替的なシーケンスで模式的に示す。
【0013】
図1】導光体の一体製造と、針本体の一体製造と、第3群の組み立て動作中の針本体の接合とに関する。
図2】導光体の一体製造と、針本体の一体製造と、第3群の組み立て動作中の導光体の接合とに関する。
図3】ストリップ状の導光体の製造と、針本体の一体製造と、第3群の組み立て動作中の針本体の接合とに関する。
図4】ストリップ状の導光体の製造と、針本体の一体製造と、第3群の組み立て動作中の針本体の接合とに関する。
図5】ストリップ状の導光体の製造と、ストリップ状の針本体の製造と、第3群の組み立て動作中の針本体の接合とに関する。
図6図6及び図7は、本発明に従って作られてそれぞれが3つのLEDの群と結合された発光針の2つの例を模式的な形式でかつ平面図で示す。
図7図6及び図7は、本発明に従って作られてそれぞれが3つのLEDの群と結合された発光針の2つの例を模式的な形式でかつ平面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る方法は、時計針、詳しくは腕時計針、を製造することを目的とし、その針のエッジが、光を導光体に光学的に結合することによって照明され、当該針が照明され得る。
【0015】
詳しくは、この方法は、針本体、詳しくは金属針本体、導光システム、光を導光体に結合する手段、及び光を導光体の外側に拡散させる手段のモノリシックな組み立てを可能にするように意図される。
【0016】
詳しくは、本発明は、参照によりここに組み入れられる特許文献1に記載される技法を使用する。
【0017】
この方法は、微細構造物の複製に基づく。
【0018】
本発明に係る方法は、針本体と、事前に切断された導光体との、詳しくは接合による組み立てに基づく。詳しくは、針本体は、この導光体に重ねられる。
【0019】
導光体は、シート又はストリップの形態であってよく、移送基材として使用されてよい。
【0020】
同様に、針本体のストリップも、移送基材として使用されてよい。
【0021】
針本体は、当業者に周知の従来の態様で製造されてよく、標準的な針と同様である。
【0022】
詳しくは、限定ではなく、導光体は、樹脂が堆積されて構造化された、できるだけ非拡散性の薄い透明プラスチック基材を含む。プラスチック基材は、異なる材料、例えば、限定ではなく、PET、TAC、PMMA及びPCから作られてよい。PET及びTACは、非常に良好な光学的/機械的トレードオフを与える。
【0023】
プラスチック基材上に樹脂を堆積させて構造化する方法は、プラスチックシートの指数(index)に近い指数を有する樹脂を選択することを含む。詳しくは、限定ではなく、樹脂はUVエンボス加工(紫外線エンボス加工と訳してよい)によって、結合エリア及び光抽出エリアをもたらすように構造化される。
【0024】
プラスチック基板と針本体との組み立てに使用される接着剤は、透明かつ非拡散性でなければならず、基材の光学指数(optical index)よりも低い光学指数を有する必要がある。
【0025】
方法は、以下に記載される時系列的に異なる動作を含む。
【0026】
並列動作が、一方で導光体の製造に関し、他方で針本体の製造に関する。
【0027】
第1群の動作1000は、導光体の製造に関する。すなわち、一体型導光体30の製造、又は導光体ストリップ35の製造のいずれかに関する。
【0028】
いずれの場合も、第1動作100が、導光体に転写される微細レリーフのポジモデルであるマスター1を作る。詳しくは、限定ではなく、このマスター1は、PMMA等のような材料から作られ、エッチング手段110を使用して機械加工される。このエッチング手段110は、レーザーエッチング手段、詳しくはCOレーザー、ピコレーザー若しくはフェムトレーザー、マイクロミリング手段、又はサーマルエッチング手段等から構成され得る。結合及び光抽出の微細構造物のレリーフは、このマスター1上にもたらされ、その後、複製プロセス中に再生される。すなわち、異なる微細構造物が作られ、いくつかが光を結合/抽出するように意図され、他のいつくかが、後続の製造ステップのための位置合わせ標識とされる。
【0029】
第2動作200は、微細構造物を印刷するべく、マスター1に基づいてスタンプのようなネガツール2を作ることにある。このネガツール2は、詳しくは、ニッケル、若しくはシリコーン、又は任意の適切な材料から作られてよい。プラスチック基材20が設けられ、その上に適切な樹脂が堆積される。詳しくは、限定ではなく、基材20は、例えば、50から100マイクロメートルの厚さを有するPET又はTACから作られてよい。微細構造物の複製は、プラスチック基材20の上に事前に堆積された樹脂に微細構造物を印刷することと、その後少なくとも一つの未加工導光体30を作ることとを許容するバッファ2の作用の下で、プラスチック基材20上のマスター1に、この樹脂によってもたらされた微細構造物を複製することによって達成される。この複製は、UVエンボス加工、ホットエンボス加工、すなわちホットスタンピング、又はマイクロ構造物の細部を正確に再現できる同様の方法によって行われ得る。この複製方法は、一体的な態様で、シート状で(製造方法に応じてプレートからプレートへ、ロールからプレートへ)、又はストリップ状で遂行されてよい。UVエンボス加工法は、これにより得られる機械的な可能性ゆえに、詳しくは深さ30マイクロメートルの構造物を複製できる可能性ゆえに、特に効果的である。この第2動作の出力は、一体製造の場合には未加工導光体30であり、又はストリップ製造の場合には複数の未加工導光体30を含む導光体ストリップ35である。
【0030】
第3動作300は、導光体の事前切断に関する。導光体と針とを一緒に接合できるようにするべく、未加工導光体30を、針の管が配置される位置で切断する必要がある。これがなければ、組み立てができなくなる。針の管によって、針の表面全体を接触させることが妨げられるからである。この切断は、COレーザーを含むがこれに限定されない切断手段310を使用して行われる。そして、この切断は、未加工導光体30上に存在する異なる微細構造物に位置合わせされる必要がある。好ましくは、位置合わせ標識が、すでにマスター1上に事前配置されており、これを目的として未加工導光体30に再生される。
【0031】
導光体ストリップ35のストリップ製造の場合、この第3切断動作300の前に、途中に又は後に、切断によって各未加工導光体を分離することが可能である。
【0032】
導光体の製造に関するこの第1群の動作1000と並列して、第2群の動作2000が、針本体50の製造のための一体的な態様で、又はスタンピングによる最終切断をともなう標準的な方法に従うストリップ形態で、針本体製造動作400を含む。ストリップ製造の場合、針本体50は、スタンピング手段又は他の適切な切断手段のような分離手段510を使用する分離動作500において、針本体製造動作400の直後に分離され得る。一変形例において、針本体55のストリップは、これらのプロセスにおいて後の分離まで保持されてよい。
【0033】
第3群の組み立て動作3000が、導光体と針本体との組み立てに先立って、未加工導光体30若しくは導光体ストリップ35、及び/又は針本体50若しくは針本体ストリップ55を接合する接合動作600を含む。この目的に向けて、導光体の光学指数よりも低い光学指数を有する接着剤6が選択される。この接着剤6は、典型的には分配手段610によって、針本体の上に及び/又は導光体の上に堆積される。
【0034】
図1図3から図5は、針本体において接合が遂行される場合を示す。図1及び図3が一体型50を、又は図4及び図5が針本体ストリップ55を示す。接合済み製品がその後、接合済み針本体68、又は接合済み針本体ストリップ685それぞれとなる。図2は、導光体が接合される場合を示す。この図において、導光体は、接合動作600の後に接合済み導光体38となる一体型導光体30から構成される。
【0035】
この接合動作600に引き続き、選択された接着剤の特性によって許容される時間内に組み立て動作700が行われる。この組み立て動作700の間に、針本体が光学的に位置合わせされて導光体に対して配置され、その後、重合による接合が進められる。詳しくは、限定ではなく、UV光学接着剤が、その迅速な重合ゆえに選択される。有利なことに、適切な位置合わせ及び位置決めを保証するべく、光学認識手段に結合されたロボットのようなロボットハンドリング手段710が使用される。この組み立て動作700の最後に、仕上げが残されている組み立て済み未加工針70が得られる。
【0036】
ストリップ製造の場合、導光体ストリップ35及び/又は針本体ストリップ55のいずれであっても、第3群の動作3000を同様の方法で遂行し得る。それにもかかわらず、導光体ストリップ35と針本体ストリップ55とを組み立てる場合、組み立て動作700には細心の注意を要する。
【0037】
第4群の動作4000は、最終切断動作800を含み、その目的は、各発光針80を完成させて解放することである。詳しくは、この最終切断動作800は、既に述べたように、レーザー切断手段によって遂行される。詳しくは、PETに良好な結果を与えるフェムトレーザーによる切断、又はCOレーザー等による切断によって遂行される。
【0038】
一体製造の場合、この最終切断動作800の間に、導光体が最終的に切断されて針が解放されてよい。好ましくは、光を針まわりから腕時計装着者の方へ、この目的のために設けられた抽出微細構造物によって逃がすべく、切断は、針の公称幅よりも近似的に0.1mm広くなされる。
【0039】
上述の方法は、針の周縁を経由して当該針が照明される針の製造について詳述した。スケルトン針の場合、針における複数の開口全体で照明を生じさせることも、これらの双方も可能である。照明デザインは周縁全体に限られることはなく、抽出器及び最終的な切り欠きの位置に応じて、例えば、針の片側のみ、又は針の先端のみとしてよい。
【0040】
同様のステップを含むが順序が異なる代替方法が実装されてよい。詳しくは、この方法は、針を事前にストリップ状に切断することを含み得る。有利なことに、光を針まわりから腕時計装着者の方へ、この目的のために設けられた抽出微細構造物によって逃がすべく、切断は、組み立て済み未加工針70の公称幅よりも近似的に0.1mm狭い。同時に、導光体は、導光体ストリップ35の形態で、ストリップ状に製造されてよく、導光体は、切り取られ/固定されてよい。針本体と導光体との組み立て動作中に、導光体の光学指数よりも低い光学指数を有する接着剤が、導光体の上に(代替的には針本体の上に)、典型的には分配によって堆積される。その後、導光体を針本体に対して光学的に位置合わせ及び配置し、接着剤を硬化させる。最終切断動作中に、針は最終的にストリップ状に切断され、組み立て済みの針が解放される。有利には、切断はレーザー又はスタンピングによってなされる。
【0041】
要するに、微細構造物は、単数又は複数のLED90のような外部光源から生じる発光を利用するのに十分であり、その光は、針ヘッドの下にある発光針80の入力導光体70に「入り」、針の長さに沿って配列されている導光体30の微細構造物から「出る」。図6及び図7は、発光針の例を示す。各発光針は、三角形に配列された3つのLEDによって放射された光を透過する。ここで、光結合エリアは、図6においてのように回転対称であるか又は図7においてように点状である入力導光体70に関連し、周縁エリアは、針の全長に沿って導光体30の微細構造物による光の抽出のエリアであり、その端が針本体50に対してわずかに突出する。これにより、切断位置合わせの精度に応じて複数の光抽出構造物のうちのいくつかが切り取られ又は除去されても、光の連続性を保証することができる。
【0042】
材料に関し、導光体は、有利には、プラスチック基材20(支持体)と、異なる微細構造物が印刷された樹脂との組み合わせであり、詳しくは、この印刷は、非常に良好な結果を与える好ましいUVエンボス加工法による。ただし、基材20に直接微細構造物をホットエンボス加工することも考慮してよい。
【0043】
基材及び樹脂は双方とも、光の損失を回避するべくできるだけ透明でなければならない。「透明」材料を使用する選択が有利である。所望の厚さでアクセス可能だからである。原理的には、透明なままで着色材料(例えば蛍光性)を考慮することもできる。しかしながら、2つの材料の屈折率(refractive index)ができるだけ近いことが不可欠である。導光体を針に組み付ける接着剤の屈折率は、導光体を光学的に分離するべく、基材の屈折率に比べてできるだけ低くする必要がある。導光体の中に何らかの種類の粒子を挿入する必要はない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光時計針(80)を製造する方法であって、
一方で第1群の動作(1000)を通じて、少なくとも一つの導光体(30)又は一の導光体ストリップ(35)を、初期にマスター(1)に作られた微細構造物の複製によって製造することと、他方で第2群の動作(2000)を通じて、少なくとも一つの針本体(50)又は一の針本体ストリップ(55)を製造することとを別個に行うことを含み
前記少なくとも一つの針本体(50)又は前記一の針本体ストリップ(55)が、接合動作(600)及び組み立て動作(700)を通じて前記少なくとも一つの導光体(30)又は前記一の導光体ストリップ(35)と組み立てられた後、前記発光時計針(80)が最終切断動作(800)を通じて完成される、方法。
【請求項2】
前記第1群の動作(1000)において、第1動作(100)のときに、前記少なくとも一つの導光体(30)又は前記一の導光体ストリップ(35)に転写される微細レリーフのポジモデルである前記マスター(1)が、エッチング手段(110)によって作られ、
前記微細レリーフは微細構造物を含み、
前記微細構造物は、いくつかが光の結合及び抽出のために設けられ、他のいくつかが他の製造ステップのための位置合わせ標識として設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1群の動作(1000)において、第2動作(200)のときに、微細構造物を印刷するべく前記マスター(1)に基づいてネガツール(2)が作られ、プラスチックから作られたプラスチック基材(20)が設けられ、前記プラスチック基材(20)の上に樹脂が堆積され、前記樹脂によって前記プラスチック基材(20)における前記マスター(1)にもたらされた微細構造物を再生することによって、前記プラスチック基材(20)の上に事前に堆積された前記樹脂に前記微細構造物を印刷することを許容する前記ネガツール(2)の作用のもとで、少なくとも一つの未加工導光体(30)又は一の導光体ストリップ(35)を作るべく、前記前記プラスチック基材(20)に微細構造物が複製される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチック基材(20)、50から100マイクロメートルの厚さを有するPET又はTACから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記微細構造物の前記複製がUVエンボス加工又はホットエンボス加工によって行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2動作(200)の後に、第3動作(300)において、切断手段(310)又はCOレーザーを使用して前記未加工導光体が、前記発光時計(80)の管が配置されるべき位置で事前切断され、前記未加工導光体に存在する前記位置合わせ標識に位置合わせされる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記最終切断動作(800)の間にレーザー切断手段を使用して前記発光時計針(80)はそれぞれが完成及び解放され、前記発光時計(80)まわりから前記発光時計針(80)を含む腕時計の装着者の方へ、この目的のために設けられた前記微細構造物によって光を逃がすべく、前記最終切断動作(800)における切断が、前記発光時計(80)の公称幅よりも近似的に0.1mm広くなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、周縁が照明される針が製造されることを目的として実装され、前記針には前記微細構造物が複製される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、スケルトン針が、前記スケルトン針の少なくとも複数の開口全体にわたって照明されるように製造されることを目的として実装される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、針が一側のみに又は前記針の先端のみに照明されるように製造されることを目的として実装される、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】