(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178109
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】解除可能な充電ポートを備えた自動車
(51)【国際特許分類】
B60L 53/16 20190101AFI20241217BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20241217BHJP
【FI】
B60L53/16
B60L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024081036
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】102023000010077
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア・アロイージ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単で確実な方法で、悪意のある攻撃者による潜在的攻撃に対して、自動車およびその運転者の安全性を高めること。
【解決手段】外部充電源に電気的に接続可能な自動車は、ユーザを収容するための乗員室を画定する本体と、定位置に本体によって担持されているベース部分、および外部充電源の電気コネクタに連結して受容するように構成されている充電ポートを含む充電アセンブリと、充電ポートをベース部分に解除可能に取り付けるように構成されている解除可能な連結手段と、ベース部分に対して充電ポートを解除するために、解除可能な連結手段を制御するように動作可能な解除手段と、解除手段を動作させて、ベース部分に対して充電ポートを解放するように、ユーザによって操作可能な解除コントローラと、を含み、解除コントローラが、解除手段を動作させるために、乗員室内からユーザによって使用可能であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部充電源(8)に電気的に接続可能な自動車(1)であって、
- ユーザを収容するための乗員室(3)を画定する本体(2)と、
- 定位置に前記本体(2)によって担持されているベース部分(11)、および前記外部充電源(8)の電気コネクタ(7)に連結して受容するように構成されている充電ポート(6)を含む充電アセンブリ(5)と、
- 前記充電ポート(6)を前記ベース部分(11)に解除可能に取り付けるように構成されている解除可能な連結手段(13)と、
- 前記ベース部分(11)に対して前記充電ポート(6)を解除するために、前記解除可能な連結手段(13)を制御するように動作可能な解除手段(24)と、
- 前記解除手段(24)を動作させて、前記ベース部分(11)に対して前記充電ポート(6)を解除するように、前記ユーザによって操作可能な解除コントローラ(30)と、
を備える、自動車(1)において、
前記解除コントローラ(30)は、前記解除手段(24)を動作させるために、前記乗員室(3)内から前記ユーザによって使用可能であることを特徴とする、自動車(1)。
【請求項2】
前記解除コントローラ(30)は、前記乗員室(3)内から前記ユーザによって、少なくとも選択的にまたは直接、到達可能である、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記本体(2)に結合されており、かつ前記乗員室(3)内に配置されているシート(3s)をさらに備え、前記解除コントローラ(30)は、前記シート(3s)上に座っている前記ユーザによって、少なくとも選択的にまたは直接、到達可能である、請求項1または2に記載の自動車。
【請求項4】
前記解除可能な連結手段(13)は、前記充電ポート(6)および前記ベース部分(11)によってそれぞれ担持されている一対の磁気要素(20、21)を含み、前記一対の磁気要素(20、21)は、前記磁気要素(20、21)が互いに磁気的に協働して、前記充電ポート(6)と前記ベース部分(11)とを互いに磁気的に固定することができるように、全体として電力で動力供給可能であり、前記解除手段(24)は、前記一対の磁気要素(20、21)に電気的に供給するように構成されている電気系統(22)を含み、前記電気系統(22)は、前記解除コントローラ(30)によって前記一対の磁気要素(20、21)の前記供給を中断するように制御可能であり、それにより、前記磁気要素(20、21)間の、および、その結果として前記充電ポート(6)と前記ベース部分との間の、磁気分離を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項5】
前記解除可能な連結手段(13)は、前記充電ポート(6)と前記ベース部分(11)とのうちの一方によって担持されている機構(16)を含み、前記機構(16)は、第1の係止要素(17)を担持しており、少なくとも前記充電ポート(6)と前記ベース部分(11)との間の所定の相互位置決めに関して、第1の構成と第2の構成との間で制御可能であり、前記第1の構成において、前記第1の係止要素(17)が、前記充電ポート(6)と前記ベース部分(11)とのうちの他方の一部である第2の係止要素(18)に係合し、前記第2の構成において、前記第1の係止要素(17)が、前記充電ポート(6)と前記ベース部分(11)とのうちの他方の一部である第2の係止要素(18)から解除され、それにより、前記充電ポート(6)と前記ベース部分(11)とは、前記機構(16)の前記第1の構成において互いに機械的に連結され、前記機構(16)の前記第2の構成において互いに機械的に解除される、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項6】
前記第1の係止要素(17)および前記第2の係止要素(18)は、前記磁気要素(20、21)をそれぞれ含む、請求項4を引用する場合の請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記解除手段(24)は、前記第2の構成において前記機構(16)を駆動するように、前記解除コントローラ(30)により制御可能であるアクチュエータデバイス(25)を含む、請求項5または6に記載の自動車。
【請求項8】
前記機構(16)が前記第1の構成から変えられると、前記第1の構成に向かって、前記機構(16)に弾性反応をもたらすように構成されている弾性戻り手段(19)をさらに備える、請求項5から7のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項9】
前記乗員室(3)内に位置付けられている前記ユーザによって到達可能な、かつ前記ユーザによって前記解除コントローラ(30)へのアクセスを可能にするように操作可能なアクセスデバイスまたはアクセスコントローラ(31)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2023年5月18日に出願された、イタリア特許出願第102023000010077号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、自動車に関し、特に、外部充電源に電気的に接続される充電ポートを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車には、バッテリなどの1つまたは複数の電荷貯蔵デバイスと、電荷貯蔵デバイスからの電流によって動力を供給される1つまたは複数の電気推進ユニットと、を備えるものがある。
【0004】
いくつかの場合には、自動車が、電荷貯蔵デバイスに電気的に接続されている充電ポートを含むので、電荷貯蔵デバイスは外部充電源によって再充電され得る。
【0005】
外部充電源は、例えば、特別な充電スタンドであってよく、適切なケーブルによって充電ポートに接続され得る。
【0006】
通常、自動車は、充電ポートが外部充電源に接続された場合に検出するセンサと、充電ポートが外部充電源に接続されたことをセンサが検出すると自動車の車輪へのトルクの送達を妨げる制御デバイスと、を含む。
【0007】
したがって、充電ポートが外部充電源に接続されている場合、すなわち、充電ポートによる電荷貯蔵デバイスの充電プロセス中、自動車は運転者によって動かされることが不可能である。
【0008】
このことは、充電ポートおよび外部充電源への損傷を回避するために、および自動車が外部充電源に機械的に接続されている間、自動車を動かすことに関連する明らかな危険を回避するために必要である。
【0009】
他方、自動車は静止したままであることを余儀なくされ、したがって、悪意のある攻撃者の潜在的標的になる。
【0010】
さらに、充電プロセス中、運転者が自動車内に留まることを決めた場合、運転者の安全は、攻撃者が自動車に対して行い得る潜在的攻撃の観点から、深刻な危険に晒される可能性がある。
【0011】
外部充電源が、大抵そうであるように、人がまばらで、かつ一般に監視されていない場所に配置されている場合、危険はさらに高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、悪意のある攻撃者による潜在的攻撃に対して、自動車およびその運転者の安全性を高める必要がある。
【0013】
本発明の目的は、好ましくは簡単で確実な方法で、上記の必要を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0015】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を明確にしている。
【0016】
下記において、本発明の実施形態を、非限定的な例として、添付の図面を参照して、本発明のよりよい理解のために説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】外部充電源に接続されている、本発明による自動車の斜視図である。
【
図2】
図1の自動車の乗員室の内部の斜視図である。
【
図3】外部充電源を
図1の自動車の充電インターフェースに接続するためのステップを示す概略平面図である。
【
図4】外部充電源を
図1の自動車の充電インターフェースに接続するためのステップを示す概略平面図である。
【
図5】自動車の残部に対する、充電インターフェースの部分の解除を示す概略平面図である。
【
図6】
図5の解除部分を充電インターフェースの残存部分に解除可能に取り付ける機構を備えた充電インターフェースの詳細な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1では、全体として自動車を示すのに、参照番号1が使用されている。
【0019】
全ての自動車と同様に、自動車1は、シャシと、シャシに担持されておりかつ自動車1の外面を画定している車体と、を含む本体2を有する。
【0020】
本体2は、自動車1の乗員室3、すなわち運転者および1人または複数人の乗客を含む、自動車1の1人または複数人のユーザを収容することが意図されている内部環境、を画定している。
【0021】
自動車1はハイブリッド電気自動車または完全電気自動車である。すなわち、自動車は、少なくとも1つの電気パワートレインと、電気パワートレインに電気的に接続されかつ電気エネルギーを送って、電気パワートレインに電力を供給するように構成されている1つの電気エネルギーストレージデバイス(図示せず)と、を有する。
【0022】
電気エネルギーストレージデバイスは再充電可能である。すなわち、電気エネルギーストレージデバイスは、電流を供給されると、電気エネルギーを貯蔵するように構成されている。
【0023】
例えば、電気エネルギーストレージデバイスは、1つまたは複数のバッテリを含むか、またはそれによって画定されている。電気エネルギーストレージデバイスは、あるいはまたはさらに、コンデンサまたはスーパーキャパシタなどの容量媒体を含み得る。
【0024】
自動車1は、外部充電源8の電気コネクタ7に連結して受容するように構成されている充電ポート6を含む充電アセンブリ5を含む。
【0025】
充電ポート6は電気エネルギーストレージデバイスに電気的に接続されている。
図3~
図5は、特定の足の形態の2つのコネクタ4を具体的に示しており、コネクタ4は充電アセンブリ5の一部であり、充電ポート6を電気エネルギーストレージデバイスに接続するのに有用である。
【0026】
それにより、電気エネルギーストレージデバイスは、充電ポート6によって、源8から電流を供給され得る。
【0027】
実際、源8は、電流の形の電気エネルギーを供給するように構成されている。より詳細には、コネクタ7に加えて、源8は、例えば既知の種類の、充電柱Qと、充電柱Qをコネクタ7に電気的に接続するケーブル10と、を含む。
【0028】
詳細には、充電ポート6は、雄コネクタであるコネクタ7と連結するようになされている雌コネクタを有する。
【0029】
図3では、コネクタ7は充電ポート6から切り離されているが、充電ポート6に対向している。
【0030】
図4では、
図1の場合と同様に、コネクタ7は充電ポート6に接続されている。
【0031】
充電アセンブリ5は、充電ポート6に加えて、本体2自体に関して定位置に、本体2によって担持されているベース部分11を含む。
【0032】
ベース部分11は自動車1の充電区画12内に配置されており、充電区画12は、本体2上に配置されており、詳細には選択的に、より詳細には図示されていない既知の種類のドアの開放によって、自動車1の外側からアクセス可能である。ドアは、ドアが本体2と同一平面にありかつ充電区画12を覆っている閉形態と、ドアが充電区画12を覆っておらず、したがって充電区画12を自動車1の外側からアクセス可能にする開形態と、の間で、可動である。
【0033】
充電ポート6は、一般に自動車1の一部を形成する解除可能な連結デバイス13によって、ベース部分11に解除可能に取り付けられる。
【0034】
図3および
図4は、解除可能な連結デバイス13によって、ベース部分11に取り付けられている充電ポート6を示す。
【0035】
ベース部分11に取り付けられると、充電ポート6は、例えば充電ポート6の導電部材およびコネクタ4それぞれの間の電気接触によって、コネクタ4に電気的に接続される。
【0036】
導電部材は、必ずしも互いに直接取り付けられているとは限らないが、解除可能な連結デバイス13によるベース部分11への充電ポート6の取付けに因り、やはりもっぱら相互接触になり得る。
【0037】
コネクタ4は、例えば、ベース部分11を横断して、充電ポート6と電気的に接続し得る。
【0038】
図示されている特定の例では、充電ポート6は充電アセンブリ5の部分15上の定位置に配置されており、部分15は、自動車1の外側または充電区画12に向かって、ベース部分に対して突出している。
【0039】
換言すれば、ここで、充電ポート6は、コネクタ7とベース部分との間に、詳細には直線軸Aに沿った整列に従って、配置されている。
【0040】
部分15およびベース部分11は充電区画12内に収容されることが好ましい。
【0041】
詳細には、解除可能な連結デバイス13は、充電ポート6または部分15によって担持されている機構16(
図6)を含む。あるいは、機構16は、一般性を失うことなく、部分15の代わりにベース部分11によって担持されていてもよい。
【0042】
より詳細には、機構16は、例えばフックの形の係止要素17を含み、係止要素17は、それがベース部分11の係止要素18と係合しているかまたは接続している係合構成と、それが係止要素18と離れている解除構成との間で制御され得る。あるいは、機構16がベース部分11によって担持されていたとしたら、係止要素は、ベース部分11の代わりに、部分15または充電ポート6の一部であり得たと考えられる。
【0043】
機構16が係合構成および解除構成それぞれにある場合、充電ポート6または部分15とベース部分11とは互いに機械的に連結されており、解除されている。
【0044】
図5は、互いに解除されている充電ポート6とベース部分11とを示す。
図5では、コネクタ7が充電ポート6に依然として取り付けられている。
【0045】
例えば、係合構成では、係止要素17、18は、例えば歯によっての形状嵌合により、またはさらに係止要素17、18間の摩擦ベースの連結により、すなわち係止要素17、18間の相互接触に基づく連結により、互いに接続または係合することができる。
【0046】
係合構成および解除構成に関して述べられていることが、部分15または充電ポート6とベース部分11との間の少なくとも1つのまたは1つだけの特定の相対位置決めに適用される。したがって、この特定の相対位置決めは、充電ポート6とベース部分11との機械的協働の相対位置決めを定める。
【0047】
換言すれば、機構16は、少なくとも部分15または充電ポート6のどちらかとベース部分11とが特定の位置決めに従って配置される場合に、またはその場合のみに、係合構成において実施され得る。
【0048】
解除構成では、充電ポート6とベース部分11とが互いに取り外される。すなわち、それらは自由に分離または離間され得る。
【0049】
図6に示されている実施形態では、係止要素17は、係止要素18と係合するように構成されている自由端17aを有し、端部17bが部分15または充電ポート6に対してヒンジで動くようにされており、それにより係止要素17は端部17bにおいてヒンジ軸Kを中心として回転可能である。より詳細には、充電ポート6とベース部分11との間の特定の相互位置決めにおいて、係止要素17は、係合構成と解除構成との間で、軸Kを中心として回転可能である。
【0050】
特定の相互位置決め以外では、係合構成および解除構成は、本明細書において第1の構成および第2の構成とそれぞれ呼ばれる、機構16の2つの異なる一般的な形態に相当するであろう。
【0051】
自動車1は、機構16が第1の構成から変えられた場合、第1の構成に向かって、弾性戻り、すなわち弾性反応力もしくはより簡単には弾性反応を、機構16にまたはより正確には係止要素17にもたらすように構成されている弾性戻りデバイス19、例えばばね、を含むことが好ましい。
【0052】
詳細には、弾性戻り要素19は、軸Kを中心として配置されており、かつ係止要素17および充電ポート6または部分15にそれぞれ取り付けられており、軸Kを中心としたトルクに応答して機構16を第2の構成にする逆の反応と弾性反応する、2つの端部を有する捻じりばねを含む。
【0053】
連結デバイス13は、充電ポート6または部分15によってかつベース部分11によってそれぞれ担持されている一対の磁気要素20、21をさらに含むことが好ましい。
【0054】
磁気要素20、21は、それらが互いに磁気的に協働して、充電ポート6とベース部分11とを互いに磁気的に取り付けることができるように、全体として、電力で動力供給され得る対を形成する。
【0055】
ここで、「全体として」という表現は、両磁気要素20、21の動力供給の非不可欠性を指す。換言すれば、充電ポート6とベース部分11とが共に取り付けられ得るように、動力供給は、磁気要素20、21間の磁気的協働を確実にするのに十分でなければならない。したがって、動力供給は、もっぱら、磁気要素20、21のうちの一方に影響を及ぼし得る。詳細には、磁気要素20、21間で効率的に供給され得る一方は電磁石を画定すると考えられ、一方また、磁気要素20、21間の他方は、もっぱら、供給された電磁石によって引き付けられるように構成され得る。
【0056】
より具体的には、磁気要素20、21は、対が電流を供給された場合、少なくとも充電ポート6とベース部分11とが特定の相対位置決めに従って、すなわち充電ポート6とベース部分11との磁気的協働の相対位置決めに従って、好ましくは機械的協働の相対位置決めと一致して、配置された場合またはその場合にのみ、互いに協働することができるようにそれぞれ配置されている。
【0057】
以下、詳細には充電ポート6とベース部分11とが磁気的協働の相対位置決めに従って配置されている場合、磁気要素20、21の両方が個々に関与させられることを必要とせずに、しかし磁気要素20、21のうちの一方が、一対の一部として、磁気要素20、21の他方の直接的関与によって、少なくとも間接的に関与させられることに関連して、磁気要素20、21によって形成されている対へのいかなる言及も、全体として対と理解されるべきである。
【0058】
自動車1は、磁気要素20、21によって形成されている対すなわち磁気要素20、21のうちの少なくとも一方に電気的に動力供給するように構成されている電気系統22をさらに含む。
【0059】
詳細には、電気系統22は、上述の電気エネルギーストレージデバイスを、磁気要素20、21によって形成されている対と、すなわち磁気要素のうちの前記一方と電気的に接続するように構成されている。
【0060】
電気系統22は、磁気要素20、21によって形成されている一対の動力供給を中断するように制御可能であり、その方法は、例えば、電気系統22が、2つの位置間で選択的に制御可能なスイッチを含み、スイッチが、磁気要素20、21すなわち磁気要素20、21のうちの一方または両方によって形成される対をそれぞれ、電気エネルギーストレージデバイスすなわち別の代替的電流源と接続および切断するというものである。
【0061】
したがって、磁気要素20、21(およびしたがって充電ポート6およびベース部分11)は、動力供給を中断することによって、磁気的に分離され得る。
【0062】
係止要素17、18は、磁気要素20、21をそれぞれ含むことが好都合である。
【0063】
詳細には、端部17aは磁気要素20で終了し、係止要素18と、またはより詳細には係止要素の磁気要素21と接触する。
【0064】
具体的には、磁気要素20、21は、機構16が係合構成に、詳細には機械的協働の相対位置決めにある場合、互いにそれぞれ接触している。
【0065】
しかし、磁気要素20、21は機構16の存在と無関係であるのが好都合であり、すなわち、それらはまた機構16を伴わずに存在して、充電ポート6とベース部分11とを磁気的にすなわち磁気特性によって取り付ける機能を実施し得る。
【0066】
さらに、自動車1は、ベース部分11に対して充電ポート6または部分15を解除するために、連結デバイス13を制御するように動作可能な解除装置24を含む。
【0067】
換言すれば、解除装置24は、ベース部分11から充電ポート6または部分15を解除する機能を有し、したがって、詳細には、相互分離、またはそれらの相互協働を中止すること、を可能にする。
【0068】
例えば、解除装置24は、詳細には係合構成からの解除構成において、より詳細には弾性戻りデバイス19の反応に対して、機構16を駆動するように構成されているアクチュエータデバイス25を含む。
【0069】
詳細には、アクチュエータデバイス25は、係止要素17をヒンジ軸Kを中心として回転させるように構成されている。
【0070】
あるいはまたはさらに、解除装置24は電気系統22を含み得る。実際、電気系統22は、磁気要素20、21によって形成されたトルクの供給を中断し、したがって、磁気要素間の、およびその結果として充電ポート6とベース部分11との間の、磁気分離(magnetic decoupling)を引き起こすように制御され得る。
【0071】
磁気分離は、ベース部分11に対して充電ポート6または部分15を解除するのに役立つ。
【0072】
詳細には、磁気分離は、存在するならば、アクチュエータデバイス25が制御されて、機構16を係合構成からの解除構成において駆動する前に実施される。
【0073】
自動車1は、ユーザによって、解除装置24を動作させるのに使用可能なまたは操作可能な解除コントローラ30を含む。
【0074】
解除装置24を動作させることが、解除装置24自体の機能を実施すること、すなわちベース部分11に対して充電ポート6を解除するかまたは解除を制御することに相当する。
【0075】
より詳細には、解除装置24またはより一般的には自動車1は、例えば解除コントローラ30の使用に応答して、またはより正確には解除コントローラ30がどのように使用されているかに基づいて、アクチュエータデバイス25および/または電気系統22を制御することによる、ベース部分11に対する充電ポート6の解除を制御するように構成されている制御ユニットを含み得る。
【0076】
詳細には、制御ユニットは、例えばベース部分11に対して充電ポート6を解除するというユーザの要求に対応して、解除コントローラ30の使用を示す入力信号を受信する。
【0077】
したがって、制御ユニットは、入力信号の受信に応答して、1つまたは複数の制御信号を発し、制御信号は、解除装置24またはその構成要素を制御するように構成されており、その結果、解除装置またはその構成要素はベース部分11に対する充電ポート6の解除を達成する。
【0078】
具体的には、制御信号は、最初に、電気系統22を制御して、磁気要素20、21によって形成されているトルクの動力供給を中断し、次いで、アクチュエータデバイス25が機構16を係合構成から解除構成に駆動するように、アクチュエータデバイス25を制御する。
【0079】
それにより、充電ポート6はベース部分11に対して解除されるかまたは自由になる。
【0080】
解除コントローラ30は、ユーザによって操作可能であり得ると考えられ、より詳細には、解除コントローラ30は、例えば、解除コントローラ30が実質的に動作不可能である休止位置から、解除コントローラ30が、解除装置24によって、すなわち詳細には入力信号の発出により解除装置24を制御することによって、充電ポート6の解除を制御する解除位置へ可動であり得る。
【0081】
したがって、この特定の非限定的例によれば、ユーザは、解除コントローラを休止位置から解除位置へ動かすことによって、解除コントローラ30を操作し、したがって、ベース部分11に対する充電ポート6の解除を効果的に要求することができる。
【0082】
この場合、解除コントローラ30は、一般性を失うことなく、それ自体がレバー、ボタン、クローシュ(cloche)、取っ手、キーボード、マウス、および既知の種類の同様の制御装置であり得る操作可能な部分を含むことになる。さらに、解除コントローラ30は、入力信号を発するように操作可能な部分によって励起可能なエミッタを含むと考えられる。したがって、操作可能な部分は休止位置から解除位置へ動かされ得るものであり得る。
【0083】
さらなる例によれば、解除コントローラ30は、本明細書において、ユーザにより操作可能な物体、すなわち例えばスクリーンのタッチセンサ式部分、またはさらには例えば、音声式の、光学式の、もしくは電磁式の信号受信機、のいかなる動きもなく実質的に使用可能なコントローラと理解される、純粋にコンピュータベースのコントローラであり得る。
【0084】
したがって、純粋にコンピュータベースのコントローラは、係合信号、例えばユーザとの接触(タッチセンサ式部分)に因る電気インパルス、サウンド信号(音声命令)、またはキーボード、携帯電話、無線制御装置、仮想キー等の他の入力デバイスからの電磁信号、を受信するように構成されている受信機デバイスであると考えられる。
【0085】
また、受信機デバイスは、それが係合信号を受信したかまたはより正確には上述の入力信号を発した場合、解除装置24を動作させるように構成されている。
【0086】
解除コントローラ30は乗員室3内から使用可能である。
【0087】
より正確には、解除コントローラ30は、ユーザによって、乗員室3内から到達可能である。詳細には、解除コントローラ30は、ユーザによって、少なくとも選択的にまたは直接、到達可能である。
【0088】
本明細書における「選択的に」という表現は、解除コントローラ30に到達するかまたはそれを使用することが、詳細には直接または即時に、実際にできるためには、ユーザが乗員室3内で1つもしくは複数の特定の所定の行動を実施しなければならない可能性があることを指す。
【0089】
自動車1は、解除コントローラ30へのアクセスを可能にするために、乗員室3内からユーザによって操作可能なアクセスデバイスまたはアクセスコントローラ31を含むことが好ましい。
【0090】
本明細書において、アクセスが、詳細には直接の、解除コントローラ30の使用可能性または到達可能性と理解される。
【0091】
換言すれば、解除コントローラ30へのアクセスを可能にするために、アクセスデバイス31が使用されないかまたは操作されない限り、ユーザは解除コントローラ30自体を使用することまたはそれに到達することができない。すなわち、ユーザは解除コントローラ30を(直接)使用することまたはそれに到達することを阻止される。
【0092】
アクセスデバイス31は、乗員室3内のユーザによって、到達可能であることが好ましい。
【0093】
図2に示されている実施形態では、アクセスデバイス31は、本明細書では詳細にはレバーによって画定されている、解除コントローラ30の操作可能な部分を含有する区画を閉鎖して配置されている(例えばカバー自体を軽く押すことによって)除去可能なカバーを含む。
【0094】
区画は、乗員室3内に、自動車1のダッシュボード上に得られることが好ましい。
【0095】
別の例によれば、アクセスコントローラ31は(物理的なまたは仮想の)ボタンであり、その押圧は、自動車1のスクリーンのタッチセンサ式部分としての、解除コントローラ30の出現を制御する。逆に、ボタンを押さないと、解除コントローラ30は隠されたままであり、したがってユーザによって到達不可能である。
【0096】
解除コントローラ30は、乗員室3内に、例えば物理的に、配置されていることが好ましい。
【0097】
解除コントローラ30が仮想制御装置である場合、上述の入力デバイスは、やはり、乗員室3内の定位置に配置され得るが、これは必須ではない。
【0098】
解除コントローラ30は、自動車1のシート3s内に座っているユーザによって、詳細には少なくとも選択的にまたは直接、到達され得ることが好都合である。
【0099】
シート3sは本体2に結合されており、乗員室3内に配置されている。シート3sは、運転者用にまたは乗客の1人もしくは複数人用に構成され得る。
【0100】
前段から、本発明による自動車1の利点が明らかである。
【0101】
乗員室3内からの、解除コントローラ30の有用性のお蔭で、ユーザは、乗員室3内で、電気エネルギーストレージデバイスの充電の完了を安全に待つことができる。
【0102】
実際、自動車1への取付けの場合には、ユーザは乗員室3を離れることに関連するリスクを恐れる必要がなく、解除コントローラ30を使用して、ベース部分11から充電ポート6を解除することができる。
【0103】
それにより、自動車1は、充電ポートが解除され次第、再始動することができる。
【0104】
したがって、後に残されると考えられる自動車1の唯一の構成要素が充電ポート6であると考えられ、一方、ユーザは、自動車1の残部と共に迅速に逃げることができる。
【0105】
さらに、アクセスデバイス31は、ベース部分11に対する充電ポート6の自発的な解除動作を過度に妨げないが、解除装置24の不注意な動作を防止するのを助ける。
【0106】
最後に、修正および変形が本発明による自動車1に対して施され得ることが明らかであるが、それらは、本特許請求の範囲によって定められている保護範囲から逸脱することなく行われる。
【0107】
詳細には、説明され図示されている構成要素の数および形状は異なる可能性があると考えられる。
【0108】
さらに、説明されている様々な例は、上述の保護範囲内で互いに組み合わせられて、さらなる実施形態を定め得る。
【0109】
最後に、機構16は、1つだけの可能性のある非限定的実施形態を示す。さらに、機構16は、充電ポート6を、解除可能にばかりでなく、例えばそれをベース部分11から離して押すことによって、能動的に押し出すようにも構成され得る。
【符号の説明】
【0110】
1 自動車
2 本体
3 乗員室
3s (自動車1の)シート
4 コネクタ
5 充電アセンブリ
6 充電ポート
7 電気コネクタ
8 外部充電源
10 ケーブル
11 ベース部分
12 充電区画
13 解除可能な連結デバイス
15 (充電アセンブリの)部分
16 機構
17 (機構の)係止要素、第1の係止要素
17a (係止要素17の)自由端、端部
17b (係止要素17の)端部
18 (ベース部分の)係止要素、第2の係止要素
19 弾性戻りデバイス、弾性戻り要素、弾性戻り手段
20、21 磁気要素
22 電気系統
24 解除装置、解除手段
25 アクチュエータデバイス
30 解除コントローラ
31 アクセスコントローラ、アクセスデバイス
A 直線軸
K ヒンジ軸
Q 充電柱
【外国語明細書】