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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178112
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】半導体素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241217BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 653C
H01L29/78 652T
H01L29/78 658E
H01L29/78 652M
H01L29/78 658F
H01L29/78 658A
H01L29/78 652D
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082362
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0075002
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505087780
【氏名又は名称】マグナチップセミコンダクター有限会社
【氏名又は名称原語表記】MAGNACHIP SEMICONDUCTOR LTD
【住所又は居所原語表記】1 Hyangjeong-dong,Heungduk-gu,Cheongju City,Chung Cheong Bok-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク, チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ホ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, デ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨン ソク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチング特性を改善した半導体素子及び製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子は、第1導電型の半導体基板100、半導体基板の上に配置された第1導電型エピ層110、エピ層に形成された複数のトレンチ120、複数のトレンチの内部に形成されたシールド絶縁膜130、複数のトレンチ内の下部でシールド絶縁膜に囲まれて形成されたシールド電極140、シールド絶縁膜とシールド電極の上に形成されたインター電極の絶縁膜層150、インター電極の絶縁膜層の上に配置されたゲート絶縁膜160、ゲート絶縁膜の上に配置されたゲート電極170、複数のトレンチの間でエピ層の上部に形成された第2導電型のボディ領域210、ボディ領域の上に形成されたソース領域220及びゲート電極の上面とソース領域の上面とに形成された層間絶縁膜230を備え、インター電極の絶縁膜層の位置と厚さとによってゲート電極の位置及び厚さを決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の上に配置された第1導電型のエピ層と、
前記エピ層に形成された複数のトレンチと、
前記複数のトレンチの内部に形成されたシールド絶縁膜と、
前記複数のトレンチ内の下部で前記シールド絶縁膜に囲まれて形成されたシールド電極と、
前記シールド絶縁膜及び前記シールド電極の上に形成されたインター電極の絶縁膜層と、
前記インター電極の絶縁膜層の上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に配置されたゲート電極と、
前記複数のトレンチの間で前記エピ層の上部に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の上に形成されたソース領域と、
前記ゲート電極の上面及び前記ソース領域の上面に形成された層間絶縁膜と、
前記ソース領域及び前記ボディ領域に接触するボディコンタクト領域と、を備え、
前記インター電極の絶縁膜層の位置及び厚さによって前記ゲート電極の位置及び厚さが決定されることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記インター電極の絶縁膜層の位置及び厚さは、前記シールド電極がエッチングされた深さによって決定されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記インター電極の絶縁膜と前記ゲート電極との厚さの比率は、1:1~1:10であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記インター電極の絶縁膜と前記シールド電極との厚さの比率は、1:3~1:15であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記ボディ領域の上部表面は、前記ゲート電極の上部表面よりも下に配置されることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記シールド電極と前記ゲート電極との厚さの比率は、1:1~15:1であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記複数のトレンチは、その入口を基準にして前記トレンチの側面の傾きが85゜~90゜の角度で形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記シールド絶縁膜は、1次熱酸化(Thermal Oxidation)膜工程によって蒸着されるか、又は1次熱酸化膜工程の後に2次CVD(Chemical Vapor Deposition)工程を進めて蒸着されることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記ボディ領域、前記ソース領域、及び前記層間絶縁膜の上に形成されたメタル層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項10】
第1導電型の半導体基板の上に第1導電型のエピ層を形成する段階と、
前記エピ層に複数のトレンチを形成する段階と、
前記複数のトレンチの内部にシールド絶縁膜を形成する段階と、
前記複数のトレンチ内の下部で前記シールド絶縁膜に囲まれるシールド電極を形成する段階と、
前記複数のトレンチの内部で前記シールド絶縁膜及び前記シールド電極の上にインター電極の絶縁膜層を形成する段階と、
前記インター電極の絶縁膜層の上に配置されるゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜の上に配置されるゲート電極を形成する段階と、
前記複数のトレンチの間で前記エピ層の上部に第2導電型のボディ領域を形成する段階と、
前記ボディ領域の上にソース領域を形成する段階と、
前記ゲート電極の上面及び前記ソース領域の上面に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記ソース領域及び前記ボディ領域に接触するボディコンタクト領域を形成する段階と、を有し、
前記インター電極の絶縁膜層を形成する位置及び厚さによって前記ゲート電極を形成する位置及び厚さが決定されることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項11】
前記複数のトレンチの内部で前記シールド絶縁膜及び前記シールド電極の上にインター電極の絶縁膜層を形成する段階は、前記シールド電極がエッチングされる深さによって前記インター電極の絶縁膜層の位置及び厚さを決定する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記エピ層を形成する段階は、少なくとも2つ以上のエピ層を形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項13】
前記エピ層を形成する段階は、前記トレンチの深さの3倍以内の厚さで形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項14】
前記トレンチを形成する段階は、前記エピ層を形成した後にマスクを蒸着してからトレンチエッチング工程を進めて形成し、前記トレンチの入口を基準にして前記トレンチの側面の傾きを85゜~90゜の角度で形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項15】
前記トレンチを形成する段階は、前記トレンチを形成するエッチング工程において前記エピ層の内壁に発生する損傷又は均一ではない領域を回復させる犠牲酸化膜を形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記シールド絶縁膜を形成する段階は、前記シールド絶縁膜を1次熱酸化(Thermal Oxidation)膜工程で形成するか、又は1次熱酸化膜工程の後に2次CVD(Chemical Vapor Deposition)工程を進めて形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記シールド電極を形成する段階は、前記シールド絶縁膜の内部からその上面の上までシールドポリを蒸着し、前記シールドポリに対してCMP工程を進めて前記トレンチの上面までエッチングするか、又はブランケットエッチング(Blanket Etching)工程を進めて前記エピ層の上面の高さになるまでエッチングし、前記トレンチの上面又は前記エピ層の上面の高さになるまでエッチングされた前記シールドポリを前記トレンチの内部で前記インター電極の絶縁膜が形成される位置までエッチングして前記シールド電極を形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記シールド電極を形成する段階は、前記シールド電極の上に配置される前記シールド絶縁膜の開口部の幅を広げるために、前記シールド絶縁膜の側面の一部をエッチングする段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項19】
前記インター電極の絶縁膜層を形成する段階は、CVD工程を通じて前記シールド電極の上面及び前記シールド絶縁膜の表面にポリオキサイド(Poly Oxide)を蒸着し、その後にCMP工程、ブランケットエッチング工程、又は前記CMP工程及び前記ブランケットエッチング工程の混合工程を進めて前記ポリオキサイドを前記エピ層の上面までエッチングし、前記エピ層の上面までエッチングされたインター電極の絶縁膜が前記トレンチ内に形成されるように前記インター電極の絶縁膜を乾式エッチング、湿式エッチング、又は乾式及び湿式の混合エッチングする段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項20】
前記トレンチの内部に形成される前記インター電極の絶縁膜と前記ゲート電極との厚さの比率は、1:1.2~1:3であることを特徴とする請求項19に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項21】
前記ゲート電極を形成する段階は、前記シールド絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜の上にゲートポリ(Gate Poly)を蒸着して前記ゲートポリを前記エピ層の上面までCMP工程を行い、前記CMP工程を行った前記ゲートポリに対して前記エピ層の上面よりも低くなるようにリセスエッチング(Recess Etching)工程を進める段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項22】
前記リセスエッチング工程は、500Å~5000Åの厚さで前記ゲートポリをエッチングする段階を含むことを特徴とする請求項21に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項23】
前記ボディ領域を形成する段階は、前記エピ層の上部から前記インター電極の絶縁膜層の上面に形成される前記ゲート電極の深さまで、最大の厚さで形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項24】
前記ボディ領域、前記ソース領域、及び前記層間絶縁膜の上にメタル層を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の半導体素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及びその製造方法に関し、より詳細には、スプリットゲート(Split Gate)のトレンチ(Trench)構造を適用して、トレンチ内の下部にシールド電極(Shield Electrode)又はソース電極(Source Electrode)を形成し、トレンチ内の上部にゲート電極を形成した、トレンチモスフェット(Trench MOSFET)構造を有する半導体素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気製品及び電子製品には、ますます複雑な回路と高性能の技術が要求される。このような製品の電力消耗を減らし、且つ効率を極大化するためには、高性能のパワー半導体素子が要求され、特にパワーディスクリートトレンチモスフェット(Power Discrete Trench MOSFET)素子に対する需要が多く増加している。
【0003】
パワートレンチモスフェット(Power Trench MOSFET)構造有する半導体素子では、降伏電圧(Breakdown Voltage)及びスイッチングの特性がMOSFET素子の性能を計る重要な要素である。更に、高い降伏電圧、及びオン抵抗(ON-Resistance)を減少させることも、半導体素子の特性を改善するために必要である。
【0004】
従来技術の一例として、トリプルポリ(Triple Poly)構造を有するパワーモスフェット(Power MOSFET)は、トレンチ内にシールドポリ電極(Shield Poly Electrode)が形成され、そしてシールドポリ電極の上部の両側にゲートポリ電極(Gate Poly Electrode)が形成される構造である。この従来技術では、安定した降伏電圧及びON-OFFスイッチングを同時に確保することが容易ではない。トリプルポリ構造を有するパワーモスフェット構造では、シールドポリ電極の上部の両側にゲートポリ電極を形成しなければならないため、シールドポリ電極とゲートポリ電極との間に寄生キャパシタンス(Parasitic capacitance)が発生し、これによりシールドポリ電極とゲートポリ電極との間に高い寄生キャパシタンス値を有する。寄生キャパシタンス値を減少させるためには、ゲートポリ電極の面積を減少させるか、又はシールドポリ電極とゲートポリ電極との間に形成される絶縁膜であるオキサイド(Oxide)の厚さを確保しなければならないが、仮にゲートポリ電極の面積を減らした場合、一定以上の降伏電圧を確保することが難しくなる。また、寄生キャパシタンスを改善するためには、ゲートポリ電極とシールドポリ電極との間に配置されるオキサイドの厚さを増加させなければならないが、この場合、オキサイドの厚さを増加させることにより、トレンチの幅が増加し、小さなセルピッチを確保することが難しくなる。即ち、パワートレンチモスフェット(Power Trench MOSFET)素子内に多くのセルを確保することが難しく、MOSFET素子内にセルの集積度を高めることが難しくなる。
【0005】
また、従来技術のトリプルポリ(Triple Poly)構造は、シールドポリ電極の上部の両側にゲートポリ電極を形成するため、入力キャパシタンス(Ciss)値も増加する。ここで、入力キャパシタンスは、素子がターンオンする場合に充電されるキャパシタンスを意味する。この値が小さいほど、ターンオンする場合の入力スイッチングの速度が向上する。入力キャパシタンス値はCiss=Cgs+Cgdで表されるが、2つのゲートポリ電極を有するため、Cgs(ゲート・ソース間のキャパシタンス)が増加する問題がある。これにより、入力キャパシタンス(Ciss)値を充電するために必要なゲートの総電荷量(Q)の値が大きくなり、スイッチング損失が発生する。ゲートの電荷量の値が大きいと、パワーモスフェットをオン(ON)するために必要な容量まで充電するのに時間がかかり、スイッチング損失が大きくなる。したがって、スイッチング特性を改善することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-56552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、スイッチング特性を改善した半導体素子及びその製造方法を提供することにある、
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、上述した問題点を解決するために、本発明の多様な実施形態では、パワートレンチモスフェット素子にスプリットゲート(Split Gate)のトレンチ構造を適用し、トレンチ内の下部にはシールド電極を形成し、トレンチ内の上部にはゲート電極を形成することによって、小さなセルピッチを具現しようとする。
【0009】
また、ゲート電極の厚さを適正化することによって、降伏電圧を維持しながらも、入力キャパシタンス及び寄生キャパシタンス値を減少させ、速いスイッチング特性を具現しようとする。
【0010】
また、シールド電極のエッチング工程、及びシールド電極とゲート電極との間に形成されるインター電極の絶縁膜層の厚さを適正化することによって、低い入力キャパシタンス(Ciss)値を確保しようとする。
【0011】
また、スプリットゲート(Split Gate)のトレンチ構造を適用して、従来技術に比べてセルピッチ(Cell Pitch)を減少させ、MOSFET素子内にセルの集積度を向上させようとする。
【0012】
また、ボディ領域に対する複数のイオン注入(Body Region Multi Implantation)工程、ゲートポリリセス(Gate Poly Recess)工程、及びマルチエピ構造を形成する素子の製造工程を通じて、希望する降伏電圧値を維持しながらも、素子のオン抵抗(Ron)及びキャパシタンス特性を改善させようとする。
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によれる半導体素子は、第1導電型半導体基板と、前記半導体基板の上に配置された第1導電型エピ層と、前記エピ層に形成された複数のトレンチと、前記複数のトレンチの内部に形成されたシールド絶縁膜と、前記複数のトレンチ内の下部で前記シールド絶縁膜に囲まれて形成されたシールド電極と、前記シールド絶縁膜及び前記シールド電極の上に形成されたインター電極の絶縁膜層と、前記インター電極の絶縁膜層の上に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に配置されたゲート電極と、前記複数のトレンチの間で前記エピ層の上部表面に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の上に形成されたソース領域と、前記ゲート電極の上面及び前記ソース領域の上面に形成された層間絶縁膜と、前記ソース領域及びボディ領域に接触するボディコンタクト領域と、を備え、前記インター電極の絶縁膜層の位置及び厚さによって前記ゲート電極の位置及び厚さが決定されることを特徴とする。
【0014】
一実施形態によると、前記インター電極の絶縁膜層の位置及び厚さは、前記シールド電極がエッチングされた深さによって決定される。
一実施形態によると、前記インター電極の絶縁膜と前記ゲート電極との厚さの比率は、1:1~1:10である。
一実施形態によると、前記インター電極の絶縁膜と前記シールド電極との厚さの比率は、1:3~1:15である。
一実施形態によると、前記ボディ領域の上部表面は、前記ゲート電極の上部表面よりも下に配置される。
一実施形態によると、前記シールド電極と前記ゲート電極との厚さの比率は、1:1~15:1である。
一実施形態によると、前記複数のトレンチは、その入口を基準にして前記トレンチの側面の傾きを85°~90°の角度で形成される。
一実施形態によると、前記シールド絶縁膜は、1次熱酸化(Thermal Oxidation)膜工程によって蒸着されるか、又は1次熱酸化膜工程の後に2次CVD(Chemical Vapor Deposition)工程を進めて蒸着される。
一実施形態によると、前記ボディ領域、前記ソース領域、及び前記層間絶縁膜の上に形成されたメタル層を更に含む。
【0015】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による半導体素子の製造方法は、第1導電型の半導体基板の上に第1導電型のエピ層を形成する段階と、前記エピ層に複数のトレンチを形成する段階と、前記複数のトレンチの内部にシールド絶縁膜を形成する段階と、前記複数のトレンチ内の下部で前記シールド絶縁膜に囲まれるシールド電極を形成する段階と、前記複数のトレンチの内部で前記シールド絶縁膜及び前記シールド電極の上にインター電極の絶縁膜層を形成する段階と、前記インター電極の絶縁膜層の上に配置されるゲート絶縁膜を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜の上に配置されるゲート電極を形成する段階と、前記複数のトレンチの間で前記エピ層の上部に第2導電型のボディ領域を形成する段階と、前記ボディ領域の上にソース領域を形成する段階と、前記ゲート電極の上面及び前記ソース領域の上面に層間絶縁膜を形成する段階と、前記ソース領域及び前記ボディ領域に接触するボディコンタクト領域を形成する段階と、を有し、前記インター電極の絶縁膜層を形成する位置及び厚さによって前記ゲート電極を形成する位置及び厚さが決定されることを特徴とする。
【0016】
一実施形態によると、前記複数のトレンチの内部で前記シールド絶縁膜及び前記シールド電極の上にインター電極の絶縁膜層を形成する段階は、前記シールド電極がエッチングされる深さによって前記インター電極の絶縁膜層の位置及び厚さを決定する段階を含む。
一実施形態によると、前記エピ層を形成する段階は、少なくとも2つ以上のエピ層を形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記エピ層を形成する段階は、前記トレンチの深さの3倍以内の厚さで形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記トレンチを形成する段階は、前記エピ層を形成した後にマスクを蒸着してから前記トレンチのエッチング工程を進めて形成し、前記トレンチの入口を基準にして前記トレンチの側面の傾きを85°~90°の角度で形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記トレンチを形成する段階は、前記トレンチを形成するエッチング工程において前記エピ層の内壁に発生する損傷又は均一ではない領域を回復させる犠牲酸化膜を形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記シールド絶縁膜を形成する段階は、前記シールド絶縁膜を1次熱酸化(Thermal Oxidation)膜工程で形成するか、又は1次熱酸化膜工程の後に2次CVD(Chemical Vapor Deposition)工程を進めて形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記シールド電極を形成する段階は、前記シールド絶縁膜の内部からその上面の上までシールドポリを蒸着し、前記シールドポリに対してCMP工程を進めて前記トレンチの上面までエッチングするか、又はブランケットエッチング(Blanket Etching)工程を進めて前記エピ層の上面の高さまでエッチングし、前記トレンチの上面又は前記エピ層の上面の高さまでエッチングされた前記シールドポリを前記トレンチの内部で前記インター電極の絶縁膜が形成される位置まで追加エッチングして前記シールド電極を形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記シールド電極を形成する段階は、前記シールド電極の上に配置される前記シールド絶縁膜の開口部の幅を広げるために、前記シールド絶縁膜の側面の一部をエッチングする段階を含む。
一実施形態によると、前記インター電極の絶縁膜層を形成する段階は、CVD工程を通じて前記シールド電極の上面及び前記シールド絶縁膜の表面にポリオキサイド(Poly Oxide)を蒸着し、その後にCMP工程、ブランケットエッチング工程、又は前記CMP工程及び前記ブランケットエッチング工程の混合工程を進めて前記ポリオキサイドを前記エピ層の上面までエッチングし、前記エピ層の上面までエッチングされたインター電極の絶縁膜が前記トレンチ内に形成されるように前記インター電極の絶縁膜を乾式エッチング、湿式エッチング、又は乾式及び湿式の混合エッチングする段階を含む。
一実施形態によると、前記トレンチ内に形成される前記インター電極の絶縁膜とゲート電極との厚さの比率は、1:1.2~1:3である。
一実施形態によると、前記ゲート電極を形成する段階は、前記シールド絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜の上にゲートポリ(Gate Poly)を蒸着して前記ゲートポリを前記エピ層の上面までCMP工程を行い、前記CMP工程を行った前記ゲートポリに対して前記エピ層の上面よりも低くなるようにリセスエッチング工程を進める段階を含む。
一実施形態によると、前記リセスエッチング工程は、500Å~5000Åの厚さで前記ゲートポリをエッチングする段階を含。
一実施形態によると、前記ボディ領域を形成する段階は、前記エピ層の上部から前記インター電極の絶縁膜層の上面に形成される前記ゲート電極の深さまで、最大の厚さで形成する段階を含む。
一実施形態によると、前記製造方法は、前記ボディ領域、前記ソース領域、及び前記層間絶縁膜の上にメタル層を形成する段階を更に含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、パワートレンチモスフェット素子は、スプリットポリ(Split Poly)のトレンチ構造を適用して、トレンチの内部にシールド電極を形成し、その上部にゲート電極を形成することで、小さなセルピッチを具現することができ、結果的にMOSFET素子の集積度を向上させることができる。
【0018】
また、ゲート電極の厚さを適正化することによって、キャパシタンス特性及びこれによるゲートの総電荷量(Q)値を減少させて、速いスイッチング特性を具現することができる。
【0019】
また、シールド電極とゲート電極との間に適正な厚さのインター電極の絶縁膜(IPO:Inter Poly Oxide)層を確保することによって、降伏電圧の減少なしに入力キャパシタンス及び寄生キャパシタンスを含む素子のスイッチング特性を改善することができる。
【0020】
また、インター電極の絶縁膜の厚さ、ボディ領域の深さ(Body Junction Depth)、及びゲートポリの厚さ(Gate Poly Thickness)を調節する素子の製造工程を適用して、希望する入力キャパシタンス(Ciss)値、帰還キャパシタンス(Crss)値、及び降伏電圧値を確保することができる。
【0021】
また、シールド電極、ゲート電極、及びインター電極の絶縁膜などの厚さの比率を適正化して、希望する入力キャパシタンス(Ciss)値、帰還キャパシタンス(Crss)値、及び降伏電圧値を確保することができる。
【0022】
本発明で得られる効果は、以上で言及した効果に制限されない。言及しなかった他の効果は、以下の記載から、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者において明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1a】本発明の一実施形態による半導体素子の構造を示す図である。
図1b】本発明の一実施形態による半導体素子の構成要素の厚さを示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるエピ層に形成されたトレンチの構造を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるシールド絶縁膜の構造を示す図である。
図4a】本発明の一実施形態によるシールド電極を形成する過程を示す図である。
図4b】本発明の一実施形態によるシールド電極を形成する過程を示す図である。
図4c】本発明の一実施形態によるシールド電極を形成する過程を示す図である。
図4d】本発明の一実施形態によるシールド電極を形成する過程を示す図である。
図4e】本発明の一実施形態によるシールド電極を形成する過程を示す図である。
図5a】本発明の一実施形態によるインター電極の絶縁膜層を形成する過程を示す図である。
図5b】本発明の一実施形態によるインター電極の絶縁膜層を形成する過程を示す図である。
図5c】本発明の一実施形態によるインター電極の絶縁膜層を形成する過程を示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるゲート絶縁膜の構造を示す図である。
図7a】本発明の一実施形態によるゲート電極を形成する過程を示す図である。
図7b】本発明の一実施形態によるゲート電極を形成する過程を示す図である。
図7c】本発明の一実施形態によるゲート電極を形成する過程を示す図である。
図8】本発明の一実施形態によるボディ領域、ソース領域、及び層間絶縁膜を形成する過程を示す図である。
図9】本発明の一実施形態によるメタル層の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、図面と共に以下で詳細に記載する実施形態を参照することで明確に理解できるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、それぞれ異なる多様な形態でも具現することができる。したがって、以下で開示する実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにすると共に、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者に本発明の内容を完全に知らせるために提供するものであると理解しなければならない。即ち、本発明は、特許請求の範囲の記載によって定義されるのみである。そして本明細書の全体に亘って、同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0025】
本発明の実施形態の記載において、一つの構成要素が他の構成要素に「連結された(connected to)」又は「カップリングされた(coupled to)」と記載する場合は、他の構成要素に直接に連結又はカップリングされる場合のみならず、その中間に他の構成要素を介在する場合も含む。その反面、一つの構成要素が他の構成要素に「直接接続された(directly connecty to)」又は「直接カップリングされた(directly coupled to)」と記載する場合は、途中で他の構成要素を介在しないことを言う。そして「及び/又は」は、言及するもののそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。
【0026】
本発明の実施形態の記載で使用する用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。実施形態の記載において、単数形は、文言で特に言及しない限り、複数形も含む。そして実施形態の記載で使用する「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprsing)」は、言及する構成要素、段階、動作、及び/又は素子が1つ以上の異なる構成要素、段階、動作、及び/又は素子を有することを排除しない。
【0027】
また、「第1」、「第2」などの用語が多様な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素はこれらの用語によって制限されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素から区別するために使用するものである。
【0028】
したがって、以下で言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想の範囲内で第2構成要素でありうる。他の定義がない場合、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者において、共通に理解される意味で使用される。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、特に定義しない限り、理想的又は過度に解釈されない。
【0029】
本発明の実施形態で使用する「部」又は「モジュール」という用語は、ソフトウエアの構成要素、FPGA又はASICのようなハードウエアの構成要素を意味し、「部」又は「モジュール」はある役割を果たす。しかし、「部」又は「モジュール」は、ソフトウエア又はハードウエアに限定される意味ではない。「部」又は「モジュール」は、アドレス可能な記録媒体に常駐するように構成することもでき、1つ又はそれ以上のプロセッサを再生するように構成することもできる。したがって、一例として、「部」又は「モジュール」は、ソフトウエアの構成要素、オブジェクト指向のソフトウエアの構成要素、クラスの構成要素、タスクの構成要素などのような構成要素、及びプロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバー、ファームウエア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データの構造、テーブル、アレイ、及び変数などを含む。これらの構成要素及び「部」又は「モジュール」で提供される機能は、より少ない数の構成要素と「部」又は「モジュール」に結合されるか、追加の構成要素から「部」又は「モジュール」に更に分離される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態に関連して説明する方法又はアルゴリズムの各段階は、プロセッサによって実行されるハードウエア、ソフトウエアモジュール、又はこれらの結合によって具現される。ソフトウエアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、着脱型ディスク、CD-ROM、又は当業界に知られている任意の異なる形態の記録媒体に常駐する。例示的に、記録媒体はプロセッサにカップリングされ、プロセッサは記録媒体から情報を判読し、その情報を記録媒体に記録する。別の方法として、記録媒体はプロセッサと一体型である。プロセッサ及び記録媒体は、オンデマンド型集積回路(ASIC)内に常駐することもできる。また、ASICはユーザーの端末内に常駐することもできる。
【0031】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0032】
以下では、本発明の一実施形態による半導体素子の構造について説明する。
【0033】
図1aは、本発明の一実施形態による半導体素子の構造を示す図である。
【0034】
図1aを参照すると、本発明の一実施形態による半導体素子の半導体基板100は、第1導電型を有する。半導体基板100の上にエピ層110を形成する。
【0035】
半導体基板100の第1導電型は、エピ層110よりも高い高濃度の第1導電型のドーパントを有する。
【0036】
エピ層110は、第1導電型を有する半導体基板100と同一の第1導電型を有する。エピ層110は、マルチエピの形成工程を進めて、少なくとも2つ以上の層で形成され、半導体基板100の上には下部のエピ層(未図示)が形成され、そして下部のエピ層の上には上部のエピ層(未図示)が形成される。下部のエピ層は、後工程として進める熱工程によって半導体基板100内の第1導電型のドーパントが下部のエピ層に拡散され、下部のエピ層の濃度の増加によって非抵抗値が減少する。上部のエピ層は、相対的に第1導電型のドーパントの拡散が少なく、第1導電型のドーパントの濃度が下部のエピ層よりも低いため、相対的にエピ層の比抵抗が高くなる。これにより、ドリフト層(Drift Layer)のエピ層の比抵抗が全体的に減少し、ドレイン・ソース間の低いオン抵抗(Rdson)を具現することができる。エピ層110の厚さは、2μm~15μmで形成され、トレンチ120の深さ(Depth)の3倍以内の厚さで形成される。
【0037】
シールド絶縁膜130は、複数のトレンチ120の内部に形成される。シールド絶縁膜130は、1次熱酸化(Thermal Oxidation)膜工程及び2次蒸着工程を通じて形成される。
【0038】
シールド電極(Shield Electrode)140は、複数のトレンチ120の内部でシールド絶縁膜130に囲まれて形成される。シールド電極140は、シールド絶縁膜130内にシールドポリ(Shield Poly)の蒸着工程を進めて形成される。
【0039】
インター電極の絶縁膜層150は、複数のトレンチ120の内部でシールド絶縁膜130及びシールド電極140の上に形成される。インター電極の絶縁膜層150の面積を調節することで、目的とする入力キャパシタンス値、及び入力キャパシタンス値をドライブするためのゲートの総電荷量(Q)値を調節することができる。インター電極の絶縁膜層150は、オキサイドからなるインター電極の絶縁膜、インター電極の酸化膜層(Inter Poly Oxide Layer)、又はインター電極の誘電体層(Inter Poly Dielectric)とも呼ばれる。
【0040】
ゲート絶縁膜160は、複数のトレンチ120の内部でインター電極の絶縁膜層150の上に配置されるように形成される。ゲート絶縁膜160は、インター電極の絶縁膜層150の上面、トレンチ120の側壁、及びエピ層110の上面の一部に蒸着工程を通じて形成される。
【0041】
ゲート電極170は、ゲート絶縁膜160の上に配置されるように形成される。ゲート電極170は、ゲートポリをエピ層110の上面からトレンチ120の内部にリセスエッチング(Recess Etching)して形成される。リセスエッチング工程を通じてゲート電極170の厚さAを調節することで、入力キャパシタンス(Ciss)値、及び入力キャパシタンス値をドライブするためのゲートの総電荷量(Q)値を調節することができる。
【0042】
トレンチ120内に配置されるゲート電極170を上部電極と呼び、シールド電極140を下部電極と呼ぶ。
【0043】
ボディ領域210は、複数のトレンチ120の両側にあるエピ層110の上部表面に形成される。
【0044】
ボディ領域210が形成される深さによって、オン抵抗(Ron)及びキャパシタンス値を調節することができるため、目的とする素子アプリケーションに合わせて、ボディ領域210の深さを異なるように形成する。
【0045】
ソース領域220は、ボディ領域210の上に形成される。
【0046】
層間絶縁膜230は、ゲート電極170の上面とソース領域220の上面の一部とに形成される。
【0047】
ボディコンタクト領域215は、ソース領域220及びボディ領域210に接触する。ボディコンタクト領域215は、複数のトレンチ120の間に形成されるボディ領域210内に形成される。
【0048】
メタル層(Metal Layer)240は、ボディ領域210、ソース領域220、及び層間絶縁膜230の上に形成される。メタル層240は、ソース領域220に電気的に連結されるソース電極とも呼ばれる。
【0049】
図1bは、本発明の一実施形態による半導体素子の構成要素の厚さを示す図である。
【0050】
図1bを参照すると、図面に記載した「A」はゲート電極170の厚さを示し、「B」はシールド電極140の厚さを示し、「C」はインター電極の絶縁膜層150の厚さを示す。
【0051】
また、シールド電極140の厚さBとゲート電極170の厚さAとの比率は、1:1~15:1である。
【0052】
ゲート電極170の厚さAを調節することで、ゲート電極170の上に形成される層間絶縁膜230の面積を調節することができる。また、ゲート電極170の厚さAを調節することで、ゲート電極170の面積を減少させることができ、これによってキャパシタンス値に変化を与えることができる。また、ゲート電極170及びシールド電極140の厚さBを調節することで、MOSFET電圧(保証耐圧)を調節することができる。ゲート電極170の厚さAに比べてシールド電極140の厚さBが増加するほど、高い保証耐圧のパワーモスフェット(Power MOSFET)素子を具現することができる。
【0053】
インター電極の絶縁膜層150の厚さCとゲート電極170の厚さAとの比率は、1:1~1:10である。
【0054】
また、インター電極の絶縁膜層150の厚さCとシールド電極140の厚さBとの比率は、1:3~1:15である。
【0055】
上述した厚さを調節することで、素子の特性に合わせてキャパシタンス値を調節することができる特徴を有するようになる。
【0056】
以下では、本発明の一実施形態による半導体素子の製造方法について説明する。
【0057】
図2は、本発明の一実施形態によるエピ層の内部に形成されたトレンチの構造を示す図である。図3は、本発明の一実施形態によるシールド絶縁膜の構造を示す図である。図4a~図4eは、本発明の一実施形態によるシールド電極を形成する過程を示す図である。図5a~図5cは、本発明の一実施形態によるインター電極の絶縁膜層を形成する過程を示す図である。図6は、本発明の一実施形態によるゲート絶縁膜の構造を示す図である。図7a~図7cは、本発明の一実施形態によるゲート電極を形成する過程を示す図である。図8は、本発明の一実施形態によるボディ領域、ソース領域、及び層間絶縁膜を形成する過程を示す図であり、そして図9は、本発明の一実施形態によるメタル層の構造を示す図である。
【0058】
図2を参照すると、半導体基板100の上にエピ層110を形成する。半導体基板100は、第1導電型で形成される。エピ層110は、半導体基板100と同様に第1導電型で形成される。エピ層110は、少なくとも2つ以上、即ちマルチエピ層(Multi-Epitaxial Layer)で形成される。半導体基板100の上に下部のエピ層(未図示)を形成し、そして下部のエピ層の上に上部のエピ層(未図示)を形成する。下部のエピ層は、後工程として進める熱工程によって、半導体基板100の第1導電型のドーパントが下部のエピ層に拡散され、下部のエピ層の濃度の増加によって非抵抗値が減少する。上部のエピ層は、相対的に第1導電型のドーパントの拡散が少なくなり、第1導電型のドーパントの濃度が下部のエピ層よりも低いため、相対的にエピ層の比抵抗が高くなる。これにより、ドリフト層(Drift Layer)のエピ層110の非抵抗を減少させ、ドレイン・ソース間の低いオン抵抗(Rdson)を具現することができる。エピ層110の厚さは、2μm~15μmで形成され、後述するトレンチ120の深さ(Depth)の3倍以内の厚さに形成される。
【0059】
図2を参照すると、複数のトレンチ120は、エピ層110に形成される。複数のトレンチ120は、エピ層110を形成した後、マスク工程及びエッチング工程を進めて形成される。複数のトレンチ120は、エピ層110の上面から下方向にトレンチエッチングを行い、トレンチ120の入口を基準にして、トレンチ120の側面の傾きを85°~90°の角度で形成する。また、複数のトレンチ120は、その入口を基準にして、トレンチ120の側面の傾きを90°~95°の角度で形成する。即ち、トレンチ120は、その下部の幅が上部の幅よりも狭いか又は同じように形成される。
【0060】
これは、トレンチ120の内部に形成されるポリシールド、及びゲート電極170のステップカバレッジ(Step Coverage)、セルピッチ(Cell Pitch)、降伏電圧などの特性を最適化するためである。
【0061】
トレンチ120をエッチングする時に、エッチングされる角度によってU字形(U-shape)又はV字形(V-Shape)に形成する。
【0062】
半導体基板100及びエピ層110は、シリコン(Silicon)又はシリコンカーバイド(Silicon Carabid)で形成される。
【0063】
トレンチ120をエッチングした後、トレンチ120の側面に犠牲酸化膜(未図示)を形成する段階を更に含む。エピ層110にエッチングされたトレンチ120の側面に犠牲酸化膜を形成する。犠牲酸化膜(Sacrificial Oxide)は、トレンチ120をエッチングする時に、エピ層110の内壁に形成されるダメージや均一ではない部分を回復させるために使用される。犠牲酸化膜は、約900℃~1200℃の熱工程を進めて、100Å~1500Åの厚さに薄く形成される。犠牲酸化膜は、エピ層110の内壁に発生したダメージや均一ではない部分を回復させた後、除去される。
【0064】
図3を参照すると、シールド絶縁膜130は、複数のトレンチ120の内部に形成される。シールド絶縁膜130は、1次熱酸化(Thermal Oxidation)膜工程で蒸着して形成される。1次熱酸化膜工程では、1000Å~7000Åの厚さでシールド絶縁膜130を蒸着して形成する。他の実施形態によると、1次熱酸化膜工程を進めた後、追加で2次CVD(Chemical Vapor Deposition)工程を進めて形成する。2次CVD(Chemical Vapor Deposition)工程では、500Å~5000Åの厚さでシールド絶縁膜を蒸着して形成する。この時、1次熱酸化膜は、バッファ層(Buffer Layer)の役割を果たす。シールド絶縁膜130は、1次熱酸化膜工程だけで形成されるか、又は1次熱酸化膜工程及び2次CVD工程で形成される。
【0065】
2次CVD工程は、SACVD(Sub-atmospheric Pressure CVD)、PECVD(Plasma-Enhanced CVD)、HDPCVD(High Density Plasma CVD)などの工程である。
【0066】
シールド絶縁膜130は、1次熱酸化膜工程を通じてシリコン酸化膜(Silicon Oxide)で形成される。また、2次CVD工程の時には、酸化膜(Oxide Layer)又は窒化膜(Nitride Layer)で形成されるか、他の実施形態として、酸化膜(Oxide Layer)と窒化膜(Nitride Layer)とが積層された構造で形成される。
【0067】
図4a~図4dを参照すると、シールドポリ(140a~140d)の蒸着及びエッチングを通じてシールド電極140を形成する。
【0068】
先ず、図4aを参照すると、シールド絶縁膜130を形成した後、シールド絶縁膜130にシールドポリ140aの蒸着工程を進める。シールド絶縁膜130に蒸着されたシールドポリ140aの厚さは0.3μm~8μmである。
【0069】
図4bを参照すると、シールド絶縁膜130に蒸着されたシールドポリ140aの一部をエッチングして除去する。CMP工程を進めてトレンチ120の入口の高さになるまでシールドポリ140aの一部を除去した後、更にブランケットエッチング(Blanket Etching)工程を進めてエピ層110の上面の高さになるまでシールドポリ140aを除去する。
【0070】
図4cを参照すると、エピ層110の上面の高さになるまでエッチングされたシールドポリ140bに対して追加エッチングをして、その上面がトレンチの内部に位置するシールドポリ140cを形成する。トレンチ120の内部において、シールドポリ140cがエッチングされる深さによって、インター電極の絶縁膜層150の厚さが決定される。シールドポリ140cは、シールド電極140の役割をする。
【0071】
図4dを参照すると、シールドポリ140dの上部側のトレンチの側面に形成されているシールド絶縁膜130の一部をエッチングする。シールド絶縁膜130の一部をエッチングしてシールド絶縁膜130の開口部(Opening)131の幅を広げる。これによって、インター電極の絶縁膜層150がシールド絶縁膜130及びトレンチ120の内部に容易に蒸着することができる。エッチング工程は、部分エッチング工程(Partial Etching Process)と呼ぶ。
【0072】
図4eを参照すると、図4dで説明した工程とは異なる実施形態として、シールドポリ140dの上部側のトレンチの側面に形成されているシールド絶縁膜130の上部をエッチングする。シールド絶縁膜130の上部をエッチングして、シールド絶縁膜130の開口部132の幅を図4dで示した開口部131の幅よりも広げる。シールド絶縁膜130は、シールドポリ140dの上面よりも深くエッチングされる。これによって、インター電極の絶縁膜層150がシールド絶縁膜130及びトレンチ120の内部により容易に蒸着される。
【0073】
エッチング工程は、乾式エッチング(Dry Etching)工程、湿式エッチング(Wet Etching)工程、又はこれらの混合エッチング工程である。
【0074】
図5a~図5cを参照すると、複数のトレンチ120の内部において、シールド絶縁膜130及びシールド電極140の上にインター電極の絶縁膜層(150a~150c)を蒸着し、その後エッチングをしてインター電極の絶縁膜層150を形成する。
【0075】
先ず、図5aを参照すると、図4dで示した部分エッチング工程を進めた後、シールド絶縁膜130及びシールド電極140の上にインター電極の絶縁膜層150aを蒸着する。インター電極の絶縁膜層150aは、CVD工程によって蒸着される。或いは、インター電極の絶縁膜層150aは、CVD工程の中のSACVD(Sub-atmospheric Pressure CVD)工程によって蒸着される。インター電極の絶縁膜層150aは、シールド絶縁膜130の表面から1000Å~15000Åの厚さで蒸着される。
【0076】
更に、CVD工程は、PECVD(Plasma-Enhanced CVD)、HDPCVD(High Density Plasma CVD)などの工程である。
【0077】
シールド絶縁膜130とインター電極の絶縁膜層150aとは、互いに同一の物質の絶縁膜を使用するか、又は互いに異なる物質の絶縁膜を使用する。
【0078】
図5bを参照すると、エピ層110の上面に蒸着されたシールド絶縁膜130の一部及びインター電極の絶縁膜層150aの一部にCMP工程及びブランケットエッチング(Blanket Etching)工程を進めて、エピ層110の上面にシールド絶縁膜130の一部が存在するようにエッチングする。この時、エピ層110の上面に存在するシールド絶縁膜130の表面とインター電極の絶縁膜の表面とは同じ高さになり、インター電極の絶縁膜層を「150b」という。
【0079】
図5cを参照すると、シールド絶縁膜130及びインター電極の絶縁膜層150bに追加エッチングをして、トレンチ内でインター電極の絶縁膜層150の厚さCを調節する。追加エッチング工程を通じて、トレンチ120の内部に形成された一部のシールド絶縁膜130及びインター電極の絶縁膜層150bの上部の一部を、乾式エッチング(Dry Etching)工程、湿式エッチング(Wet Etching)工程、又はこれらの混合エッチング工程を通じて除去する。シールド絶縁膜130及びインター電極の絶縁膜層150bの上部の一部を除去して、トレンチ120の内部にインター電極の絶縁膜層150cを形成する。トレンチ120内において、シールド電極140の上に形成されたインター電極の絶縁膜層150cの厚さCは1000Å~8000Åである。このようなエッチング工程によって、インター電極の絶縁膜層150cの厚さCを調節することで、インター電極の絶縁膜層150cの面積を調節することができる。また、インター電極の絶縁膜層150cの面積を調節することによって、入力キャパシタンス(Ciss)値、及び入力キャパシタンス(Ciss)値をドライブするためのゲートの総電荷量(Q)値を調節することができる。
【0080】
図6は、本発明の一実施形態によるゲート絶縁膜160の構造を示す図である。
【0081】
ゲート絶縁膜160は、蒸着工程によってトレンチ120の内部に形成されたインター電極の絶縁膜層150の上面、トレンチ120の側面、及びエピ層110の上面に形成される。ゲート絶縁膜160の厚さは、約100Å~1000Åで形成される。
【0082】
図7a~図7cを参照すると、ゲート絶縁膜160の上にゲートポリ(170a~170c)を蒸着し、且つエッチングする。
【0083】
先ず、図7aを参照すると、ゲート絶縁膜160の表面にゲートポリ170aを蒸着する。したがって、ゲートポリ170aを、トレンチ120の内部からエピ層110の上部表面の上まで蒸着する。
【0084】
図7bを参照すると、CMP工程によって、エピ層110の上に蒸着されたゲートポリ170aを、ゲート絶縁膜160の表面の高さまで除去する。ここで、ゲート絶縁膜160を挟んで、トレンチ120の内部に残っているゲートポリを「170b」という。
【0085】
図7cを参照すると、トレンチの内部に向けてゲートポリ170bをリセスエッチングする。リセスエッチングで形成されたゲートポリ170cがゲート電極170であり、これによってゲート電極170の厚さAを調節する。エピ層110の上面の高さからゲートポリ170cをリセスエッチングする厚さは、500Å~5000Åである。リセスエッチングの後のゲート電極170の厚さAは、0.3μm~1μmである。リセスエッチング工程によって、ゲート電極170の厚さAを調節することで、入力キャパシタンス値、及びこれをドライブするためのゲートの総電荷量(Q)値を調節することができる。
【0086】
図8を参照すると、複数のトレンチ120の間でエピ層110の上面にボディ領域210を形成する。ここで、半導体基板100及びエピ層110は第1導電型を有し、ボディ領域210は第2導電型を有する。ボディ領域210は、単独のインプラント工程又は複数のインプラント工程によって形成される。複数のインプラント工程では、第1ボディ領域の形成工程と第2ボディ領域の形成工程とに分けて進め、互いの濃度が異なるように調節して形成する。
【0087】
また、ボディ領域210の上部表面は、ゲート電極170の上部表面よりも下に配置される。
【0088】
ボディ領域210には、イオンを注入する時に、ホウ素(Boron)、フッ化ホウ素(BF2)などの不純物でイオン注入をする。
【0089】
ボディ領域210が形成される深さによって、オン抵抗(Ron)値、入力キャパシタンス(Ciss)値、及び帰還キャパシタンス(Crss)値が調節されるため、パワー半導体素子のアプリケーションによって、ボディ領域210の深さを異なるように形成する。
【0090】
ボディ領域210を形成した後、ソースパターン工程によって、ソース領域220を形成する。ボディ領域210の上において、ソース領域220が形成されるアクティブ領域(Active Region)を除いたターミネーション領域(Termination Region)などにソース領域220が形成されることを防止するために、ソースフォトパターン(Source Photo Pattern)工程を進める。ソースフォトパターン工程を進めた後、ソース領域220を形成する。ソース領域220は、ボディ領域210の上に形成される。ソース領域220は、ボディ領域210とは反対に、第1導電型を有する。ソース領域220を形成した後に、ソースフォトパターン工程に使われたソースパターンマスクを除去する。
【0091】
ソース領域220を形成する時の不純物としては、ヒ素(Arsenic)、リン(Phosphorus)などが使用される。ソース領域220を形成した後、層間絶縁膜230を形成する。層間絶縁膜230は、ILD(Inter Layer Dielectric)である。層間絶縁膜230は、ゲート電極170の上面及びソース領域220の上面に形成される。層間絶縁膜230は、TEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)工程、BPSG(Boro Phosphorus Silicate Glass)工程などによって形成される。層間絶縁膜230をTEOS工程で形成する場合、約1000Å~5000Åの厚さで形成する。また、層間絶縁膜230をBPSG工程で形成する場合、約1000Å~5000Åの厚さで形成する。
【0092】
ボディコンタクト領域215を形成する。ボディコンタクト領域215は、複数のトレンチ120の間に形成されるボディ領域210内に形成される。ボディコンタクト領域215は、層間絶縁膜230をエッチングして形成される。また、ボディコンタクト領域215は、コンタクトリセスエッチング(Contact Recess Etching)工程によって形成される。層間絶縁膜230の間に形成されるボディコンタクト領域215には、メタル層240が蒸着して形成される。
【0093】
ボディコンタクト領域215は、高濃度の第2導電型でイオン注入が行われ、これはボディ領域210よりも高い濃度である。
【0094】
図9を参照すると、メタル層240を形成する。メタル層240は、ボディ領域210、ボディコンタクト領域215、ソース領域220、及び層間絶縁膜230を覆いながら(cover)形成される。メタル層240は、一定の厚さで蒸着工程を進めた後にCMP工程を進めて形成される。
【0095】
メタル層240は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、銅(Cu)などの金属物質で形成される。
【0096】
メタル層240の上には、素子の保護のためにパッシベーション(Passivation)膜(未図示)を形成する。
【0097】
メタル層240は、ソース電極と呼ぶ。
【0098】
上述したように、本発明の実施形態による半導体素子の製造方法は、スプリットゲート(Split Gate)のトレンチ構造を適用して、トレンチ120の内部にシールド電極140を形成し、シールド電極140の上部にゲート電極170を形成することで小さなセルピッチを具現することができる。また、ゲート電極170の厚さAを最小化することによって、入力キャパシタンス値、及び入力キャパシタンス値をドライブするためのゲートの総電荷量(Q)値を減少させ、速いスイッチング特性を具現することができる。
【0099】
また、シールドポリリセス(Recess)工程及びオキサイド(Oxide)の形成工程によって、シールド電極140とゲート電極170との間に、素子の特性に適合する厚さのインター電極の絶縁膜層150を形成することで、低い入力キャパシタンス(Ciss)値を確保することができる。
【0100】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 半導体基板
110 エピ層
120 トレンチ
130 シールド絶縁膜
131、132 開口部
140 シールド電極
140a~140d シールドポリ
150、150a~150c 絶縁膜層
160 ゲート絶縁膜
170 ゲート電極
170a~170c ゲートポリ
210 ボディ領域
215 ボディコンタクト領域
220 ソース領域
230 層間絶縁膜
240 メタル層

図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9