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特開2024-178113改善された電気的性能を有するパワーエレクトロニクスデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178113
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】改善された電気的性能を有するパワーエレクトロニクスデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082380
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】102023000010677
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】18/662,577
(32)【優先日】2024-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312014443
【氏名又は名称】エスティマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】カッシーノ,サルバトーレ
(72)【発明者】
【氏名】サッジョ,マリオ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】プルヴィレンティ,マリオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドリフト層とドレイン層との間の界面における少数電荷キャリアの突然の再結合に起因したスナッピー挙動を低減する。
【解決手段】エレクトロニクスデバイス10は、第1の軸(Z)に沿って互いに対向する上面15a及び下面15bを有するSiCの半導体本体15を含み、半導体本体は、底面から始まり半導体本体内に延在し、第1の導電型を有するドレイン基板16と、上面15aから始まり半導体本体内に延在し、第1の導電型及び第2のドーパント濃度を有するドリフト層17と、ドリフト層に収容された本体領域19と、本体領域に収容されたソース領域20と、上面の上のゲート構造23と、を含む。半導体本体は、ドリフト層に埋め込まれ、第2の導電型を有し、第1の軸に沿ってソース領域及び/又はゲート構造と位置合わせされた少なくとも1つのドープポケット領域25をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロニクスデバイスであって、
第1の軸に沿って互いに対向する上面及び下面を有するシリコンカーバイドの半導体本体を備え、
前記半導体本体は、
前記半導体本体の前記下面から始まり前記半導体本体内に延在し、第1の導電型及び第1のドーパント濃度を有するドレイン基板と、
前記半導体本体の前記上面から始まり前記ドレイン基板まで前記半導体本体内に延在し、前記第1の導電型及び前記第1のドーパント濃度よりも低い第2のドーパント濃度を有するドリフト層と、
前記半導体本体の前記上面から始まり、前記ドレイン基板から離れて前記半導体本体内に延在し、前記ドリフト層内に収容され、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する少なくとも1つの第1の本体領域と、
前記半導体本体の前記上面から始まり前記半導体本体内に延在し、前記ドリフト層から離間するように前記第1の本体領域内に収容され、前記第1の導電型を有する少なくとも1つの第1のソース領域と、
を含み、
前記エレクトロニクスデバイスは、
前記第1のソース領域、前記第1の本体領域、前記ドリフト層及び前記ドレイン基板とともに、第1のMOSFETの第1のMOSFET部分を形成するように、前記半導体本体の前記上面上に延在し、前記第1の軸に沿って前記第1の本体領域上に重ね合わされた少なくとも1つの第1のゲート構造、をさらに備え、
前記半導体本体は、前記ドリフト層に埋め込まれ、前記第2の導電型を有し、前記第1の軸に沿って前記第1のソース領域及び/又は前記第1のゲート構造と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第1のドープポケット領域をさらに含む、エレクトロニクスデバイス。
【請求項2】
前記第1のドープポケット領域は、前記第1の軸に沿って前記ドレイン基板から最小ドープポケット距離を有し、前記第1の本体領域は、前記第1の軸に沿って前記ドレイン基板から最小本体距離を有し、
前記最小ドープポケット距離と前記最小本体距離との間の第1の比は、0%~70%であるか、又は0%若しくは70%に等しい、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項3】
前記第1のMOSFETが1A/ns以下の前記回復電流の変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上70%以下であり、
前記第1のMOSFETが1A/ns~2A/ns又は2A/nsに等しい前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上60%以下であり、
前記第1のMOSFETが2A/ns~3A/ns又は3A/nsに等しい前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上50%以下であり、
前記第1のMOSFETが3A/ns~4A/ns又は4A/nsに等しい前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上40%以下であり、
前記第1のMOSFETが4A/ns~5A/ns又は5A/nsに等しい前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上30%以下であり、
前記第1のMOSFETが5A/ns~6A/ns又は6A/nsに等しい前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上20%以下であり、
前記第1のMOSFETが6A/ns~7A/ns又は7A/nsに等しい前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1の比は0%以上10%以下であり、
前記第1のMOSFETが7A/ns以上の前記回復電流の前記変化率で動作するように構成されている場合、前記第1のドープポケット領域は前記ドレイン基板と接触している、請求項2に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項4】
前記第1のドープポケット領域は、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って、最大ドープポケット幅を有し、前記第1のMOSFETは、前記第2の軸に沿って、平均MOSFET幅を有し、
前記最大ドープポケット幅と前記平均MOSFET幅との間の第2の比は、15%~30%であるか、又は15%若しくは30%に等しい、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項5】
前記第1のドープポケット領域は、前記第1の軸に沿って最大ドープポケット厚さを有し、
前記最大ドープポケット厚さと前記最小本体距離との間の第3の比は、10%~30%であるか、又は10%若しくは30%に等しい、請求項2に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項6】
前記第1のドープポケット領域は、前記ドリフト層の前記第2のドーパント濃度よりも高いドープポケットドーパント濃度を有し、特に、1×1017at/cm~5×1017at/cmであるか、又は1×1017at/cm若しくは5×1017at/cmに等しい、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項7】
前記第1のドープポケット領域は、前記第1の軸に沿って、
前記第1のソース領域と位置合わせされ、かつ前記第1のゲート構造に対してずらして配置されるか、
前記第1のゲート構造と位置合わせされ、かつ前記第1のソース領域に対してずらして配置されるか、又は
前記第1のソース領域と部分的に位置合わせされ、かつ前記第1のゲート構造と部分的に位置合わせされる、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項8】
前記半導体本体が、
前記半導体本体の前記上面から始まり、前記ドレイン基板から離れて前記半導体本体内に延在し、前記第1の軸に直交して前記第1の本体領域の側方にあり、前記第1の軸に直交して前記第1の本体領域から離れており、前記ドリフト層内に収容され、前記第2の導電型を有する少なくとも1つの第2の本体領域と、
前記半導体本体の前記上面から始まり前記半導体本体内に延在し、前記ドリフト層から離間するように前記第2の本体領域内に収容され、前記第1の導電型を有する少なくとも1つの第2のソース領域と、
をさらに含み、
前記第1のゲート構造はまた、前記第2のソース領域、前記第2の本体領域、前記ドリフト層及び前記ドレイン基板とともに、前記第1のMOSFETの第2のMOSFET部分を形成するように、前記第2の本体領域上に前記第1の軸に平行に重ね合わされ、
前記半導体本体は、前記ドリフト層に埋め込まれ、前記第2の導電型を有し、前記第1の軸に平行に、前記第2のソース領域及び/又は前記第1のゲート構造と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第2のドープポケット領域をさらに含む、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項9】
前記第1のドープポケット領域及び前記第2のドープポケット領域は、前記第1の軸に直交して互いに少なくとも部分的に位置合わせされるか、又は前記第1の軸に直交して互いに対してずらして配置される、請求項8に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項10】
前記半導体本体は、前記半導体本体の前記上面から始まり前記半導体本体内に延在し、前記第2のソース領域の側方であって前記ドリフト層及び前記第2のソース領域から離間するように前記第2の本体領域内に収容され、前記第1の導電型を有する少なくとも1つの第3のソース領域をさらに含み、
前記エレクトロニクスデバイスは、前記第3のソース領域、前記第2の本体領域、前記ドリフト層及び前記ドレイン基板とともに、第2のMOSFETのそれぞれの第1のMOSFET部分を形成するように、前記半導体本体の前記上面の上に延在し、前記第1のゲート構造の側方にあり、前記第2の本体領域上に前記第1の軸に平行に重ね合わされた少なくとも1つの第2のゲート構造をさらに備え、
前記半導体本体は、前記ドリフト層に埋め込まれ、前記第2の導電型を有し、前記第1の軸に平行に、前記第3のソース領域及び/又は前記第2のゲート構造と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第3のドープポケット領域をさらに含む、請求項8に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項11】
前記半導体本体は、前記ドリフト層に埋め込まれ、前記第2の導電型を有し、前記第1の軸に沿って前記第1のドープポケット領域と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つのさらなるドープポケット領域をさらに含む、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項12】
前記ドリフト層は、ドリフト主領域と、前記第1の軸に沿って前記ドリフト主領域と前記ドレイン基板との間に介在するドリフトバッファ領域とを含み、
前記ドリフト主領域は、前記第1の導電型及び前記第2のドーパント濃度を有し、前記ドリフトバッファ領域は、前記第1の導電型及び前記第2のドーパント濃度よりも高いバッファドーパント濃度を有する、請求項1に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項13】
前記ドリフトバッファ領域の前記バッファドーパント濃度は、前記第2のドーパント濃度よりも25%高い濃度から3×1016at/cmの間に含まれるか、又は前記第2のドーパント濃度よりも25%高い濃度若しくは3×1016at/cmに等しい、請求項12に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項14】
前記ドリフトバッファ領域は、前記第1の軸に沿って最大厚さを有し、
前記最大厚さと前記最小本体距離との間の第4の比は、30%~50%であるか、又は30%若しくは50%に等しい、請求項2に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項15】
エレクトロニクスデバイスであって、
シリコンカーバイドの半導体本体を備え、
前記半導体本体は、
第1の導電型及び第1のドーパント濃度のドレイン基板と、
前記ドレイン基板の上方に位置し、前記第1の導電型及び前記第1のドーパント濃度よりも低い第2のドーパント濃度を有するドリフト層と、
前記ドリフト層の上面と同一平面上にあり、前記ドリフト層によって前記ドレイン基板から分離された上面を有し、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する本体領域と、
前記本体領域に埋め込まれ、前記本体領域によって前記ドリフト層から分離され、前記第1の導電型を有するソース領域と、
前記ドリフト層に埋め込まれ、前記本体領域の底面よりも低い上面と前記ドレイン基板の上面よりも高い底面とを有する前記第2の導電型の第1のドープポケット領域と、
を含み、
前記エレクトロニクスデバイスは、
少なくとも一部第1の本体領域及び前記第1のドープポケット領域の少なくとも一部の真上にあるゲート構造、をさらに備え、
前記ソース領域、前記本体領域、前記ドリフト層及び前記ドレイン基板がMOSFETを形成する、エレクトロニクスデバイス。
【請求項16】
前記第1のドープポケット領域及び前記ゲート構造は、同じ垂直軸上に位置合わせされる、請求項15に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項17】
前記半導体本体が、前記ドリフト層に埋め込まれ、前記本体領域の前記底面よりも低い上面と、前記ドレイン基板の前記上面よりも高い底面とを有する、前記第2の導電型の第2のドープポケット領域を含み、前記第2のドープポケット領域が直接前記本体領域である、請求項16に記載のエレクトロニクスデバイス。
【請求項18】
エレクトロニクスデバイスを製造する方法であって、
シリコンカーバイドの半導体本体を形成することと、
前記半導体本体内に第1の導電型及び第1のドーパント濃度のMOSFETのドレイン基板を形成することと、
前記ドレイン基板の上方の前記半導体本体内に、前記第1の導電型及び前記第1のドーパント濃度より低い第2のドーパント濃度を有する前記MOSFETのドリフト層を形成することと、
前記半導体本体内に、前記ドリフト層の上面と同一平面上にあり、前記ドリフト層によって前記ドレイン基板から分離された上面を有し、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する前記MOSFETの本体領域を形成することと、
前記本体領域に埋め込まれ、前記本体領域によって前記ドリフト層から分離され、前記第1の導電型を有する前記MOSFETのソース領域を形成することと、
前記ドリフト層に埋め込まれ、前記本体領域の底面よりも低い上面と前記ドレイン基板の上面よりも高い底面とを有する前記第2の導電型の第1のドープポケット領域を形成することと、
少なくとも一部第1の本体領域及び前記第1のドープポケット領域の少なくとも一部の真上に前記MOSFETのゲート構造を形成することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1のドープポケット領域及び前記ゲート構造は、同じ垂直軸上に位置合わせされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ドリフト層に埋め込まれ、前記本体領域の前記底面よりも低い上面と、前記ドレイン基板の前記上面よりも高い底面とを有する、前記第2の導電型の第2のドープポケット領域を形成することを含み、前記第2のドープポケット領域は直接前記本体領域である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された電気的性能を有するパワーエレクトロニクスデバイスに関する。特に、本開示は、改善された電気的動作及び信頼性を有する1つ以上のパワーMOSFETを含むシリコンカーバイドエレクトロニクスデバイスに関する。さらに、このパワーエレクトロニクスデバイスを含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
知られているように、パワーデバイスは、高電圧及び/又は高電流、例えば、禁止状態において1700Vに達する電圧、及び電流において数十/数百アンペアまでで動作するためのエレクトロニクスデバイスであり、複数の適用分野において使用される。例えば、それらは、オーディオ増幅器、モータ制御デバイス、電源又はパワースイッチにおいて一般的に使用され、パワーダイオード、パワートランジスタ、サイリスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistors、IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistors、MOSFET)を含む。
【0003】
パワーデバイスでは、広いバンドギャップ(例えば、1.1eVよりも大きいバンドギャップのエネルギー値Egを有する)、低いオン状態抵抗(RON)、高い値の熱伝導率、高い動作周波数、及び電荷キャリアの高い飽和速度を有する半導体材料が一般に使用される。これらの特性を有し、電子部品の製造に使用されるように設計された材料は、シリコンカーバイド(SiC)である。特に、シリコンカーバイドは、その異なるポリタイプ(例えば、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiC)において、上に列挙した特性に関してケイ素よりも好ましい。
【0004】
シリコンカーバイド基板から出発して形成されたエレクトロニクスデバイスは、シリコン基板上に設けられた同様のデバイスと比較して、伝導時の低い出力抵抗、低い漏れ電流、高い動作温度及び高い動作周波数などの多くの利点を有する。
【0005】
特に、SiC MOSFETは、より高いスイッチング性能を実証しており、このことは、これらのSiCパワーデバイスを高周波用途に特に好ましいものにしている。
【0006】
特に、パワーMOSFETは、ゲート-ソース電圧VGSの値を変化させることによって調整される定電流源として、飽和モード(活性領域での動作)で使用されることがある。実際に、飽和モードでは、ドレイン-ソース電流IDSは、ドレイン-ソース電圧VDSにほとんど依存しないが、ゲート-ソース電圧VGSの関数として変化する。
【0007】
異なる用途において、パワーMOSFETは、オン状態からオフ状態へのスイッチング、及びその逆のスイッチングの線形モード(オーム領域又はトライオード領域とも呼ばれる)で動作する。線形モードは、電流IDS及び電圧VDS間の線形関係、したがって、ドレイン-ソースオン抵抗RDSon(以下、オン抵抗RDsonとも称される)の定数値によって特徴づけられる。この動作モードでは、オフ状態とオン状態との間のスイッチング速度がパワーMOSFETデバイスの特性に影響を及ぼす。実際、オン状態からオフ状態への遷移が遅いほど、スイッチング中の電力消費が大きくなり、パワーMOSFETの閾値電圧VTHの熱ドリフトの確率が大きくなる。
【0008】
したがって、SiCパワーMOSFETは、スイッチング時間を最小にするように設計され、したがって、これらの欠点が生じる確率を低減する。しかしながら、スイッチング時間を減少させることは、動的及び過渡レジームにおいて、スイッチングフェーズ中のMOSFET電流及び電圧の既知の「リンギング」現象(すなわち、スイッチング時に始まり、スイッチングの瞬間から始まる過渡期間後に終了まで経時的に振幅が減少する、電流及び電圧における実質的に正弦波の発振の現象)を引き起こす。リンギング現象は、MOSFETが安全に耐えるように設計されているものよりもしばしば大きい電流及び電圧「オーバーシュート」(すなわち、かなりの振幅を有する電流及び電圧振動ピーク)を引き起こす。したがって、オーバーシュートは、MOSFETを損傷し、電力損失を増加させ、無視できない重要性のノイズ及び電磁干渉をもたらす可能性がある。
【0009】
さらに、SiCパワーMOSFETにおける一般的な傾向は、それらを継続的に小型化させることであり、それによって同じ単位面積におけるMOSFETのより高い密度を可能にし、したがって、対応してそれらのサイズを増加させる必要なく、MOSFETを有するデバイスの計算性能を増加させる。特に、垂直構造MOSFETにおいて、これは、ゲート構造の下にある各MOSFETセルの本体領域間の距離を減少させることによって行われる。これは、MOSFETを小型化するが、MOSFETのドリフト層とゲート構造との間の接触面が減少するので、ゲート-ドレイン容量の減少も引き起こす。ゲート-ドレイン容量の減少は、ドレイン領域がゲート構造に動的に容量結合されることをより少なくし、したがって、ドレイン領域がドレイン電圧の突然の変動によりさらされやすくなる。したがって、この負の結果は、MOSFETのオーバーシュート、より一般的には、リンギング現象の原因となる。
【0010】
ゲート-ドレイン容量の減少は、MOSFETの「寄生ターンオン」(Parasitic Turn-On、PTO)現象、すなわち、MOSFETが逆モードで動作するように制御されるが、ゲート構造とドレイン領域との間の動的容量結合に起因して、いかなる場合でもMOSFETの導通を活性化するようなゲート電圧の対応する振動を生成するドレイン電圧の振動が存在する場合の、MOSFETの導通チャネルのターンオンを低減する。PTOは、MOSFETの信頼性を低下させ、誤動作をより起こりやすくするので一般に望ましくないが、MOSFETオーバーシュートの最大振幅を減少させるので、リンギング現象を減少させる正の効果も有する。しかしながら、MOSFETを小型化するとPTOが小さくなるため、微細化されたMOSFETではこの現象を有効に利用してリンギング現象を低減することができない。
【0011】
MOSFETリンギング問題に対するいくつかの解決策が知られている。
【0012】
例えば、MOSFETに集積された抵抗又はMOSFETの外部の抵抗などのさらなる直列抵抗をゲート構造に追加することによって、ゲート抵抗を増加させることが知られている。これにより、MOSFETのリンギングリスクが低減されることが確認されている。しかしながら、MOSFETの電気的特性を過度に劣化させることなく、ゲート構造に追加される抵抗を適切に選択することは一般に非常に困難である。実際に、ゲート抵抗の増加は、通常、MOSFETのスイッチング時間の著しい増加を生じさせ、したがって、線形モードで使用されるときにその動作の悪化を生じさせる。
【0013】
さらに、ゲート構造の電気的制御を改善し、したがってMOSFETのオーバーシュートを低減するために、外部電子回路(例えば、RC回路に基づく「スナバ」又は「ダンピング」回路)を使用することが知られている。しかしながら、MOSFETの外部にこれらの電子回路が存在することは、MOSFETを含むデバイスの設計を複雑にし、それらのコスト及び電力消費を増加させる。
【0014】
さらに、特に高電力MOSFET(すなわち、約1200Vより大きいドレイン-ソース電圧で動作するように構成されたMOSFET)において、別の一般的に発生する問題は、MOSFETの「スナッピー」挙動の問題である。
【0015】
特に、この挙動は、例えば、高電力MOSFETが、約1200Vの動作電圧、約850Vに等しいドレイン-ソース電圧、175C/200Cの温度、及び約2.5A/nsより大きい回復電流の変化率di/dtの値で動作されるときに生じる、ドレイン-ソース電圧及びドレイン-ソース電流曲線における勾配の突然の変化によって識別される。これは、ドレイン-ソース電圧のオーバーシュートの発生を引き起こし、これは、MOSFETの不安定性及び誤動作、MOSFETの電気的性能の劣化、並びに結果として生じるノイズ及び電磁干渉妨害を伴うリンギング現象をもたらし得る。極端な場合には、このオーバーシュートの振幅は、アバランシェ降伏電圧に達するか又はそれを超えることさえあり、MOSFETのアバランシェによる降伏を引き起こし得る。
【0016】
スナッピー挙動は、ドリフト層とドレイン層との間の界面における少数電荷キャリアの突然の再結合に起因して生じることが確認されている。
【0017】
実際、正確な電気的動作を保証するために、高出力MOSFETは、ドリフト層において低いドーパント濃度(例えば、約1×1016at/cmより低い)を有し、したがって、ドリフト層の空乏領域において多数の少数キャリアを有する。MOSFETが高温(例えば、約170℃より高い温度)で動作する場合、知られているようにMOSFETの温度に比例するこれらの少数キャリアの寿命は、ドレイン領域に達する前に完全な再結合を不可能にする程度まで増加する可能性がある。この場合、少数キャリアの一部はドリフト層で再結合せず、ドリフト層とドレイン層との界面で消滅するだけである。少数キャリアがドリフト層とドレイン層との間の界面で再結合し始める瞬間から始まる特定の時間間隔の間、この再結合は、MOSFETの出力寄生容量Coss(ドレイン-ソース容量とゲート-ソース容量の合計と等しい)を生成し、これは一定であり、したがって、この時間間隔の間、MOSFETのスナッピー挙動を引き起こす。
【0018】
この問題は、代わりに、低電力MOSFET(すなわち、約1200Vよりも低く、例えば約650Vに等しいドレイン-ソース電圧で動作するように構成されたMOSFETであって、ドリフト層においてより高いドーパント濃度を有し、したがって少数キャリアのより高い再結合速度を有し、その平均寿命を減少させるMOSFET)、並びに高温で動作しないMOSFET(例えば、約170℃よりも低く、例えば約30~100℃に等しい温度で動作し、したがって少数キャリアよりも短い平均寿命を有するMOSFET)において二次的である。
【0019】
この問題に対する既知の解決策は、MOSFETのリンギングに対抗するために以前に提示されたものと同様であり、したがって、ゲート構造の抵抗を増加させること、又はMOSFETに結合された外部電子回路を使用することを含む。したがって、前述したのと同じ欠点がこれらの解決策にも当てはまる。
【0020】
本開示の目的は、従来技術の欠点を克服するパワーエレクトロニクスデバイス及び対応する装置を提供することである。
【発明の概要】
【0021】
本開示の実施形態は、従来の解決策の欠点を少なくとも部分的に克服するパワーエレクトロニクスデバイス及び対応する装置を提供する。
【0022】
一実施形態において、エレクトロニクスデバイスは、第1の軸に沿って互いに対向する上面及び下面を有するシリコンカーバイドの半導体本体を含む。半導体本体は、半導体本体の下面から始まり半導体本体内に延在し、第1の導電型及び第1のドーパント濃度を有するドレイン基板を含む。半導体本体は、半導体本体の上面から始まりドレイン基板まで半導体本体内に延在し、第1の導電型及び第1のドーパント濃度よりも低い第2のドーパント濃度を有するドリフト層を含む。半導体本体は、少なくとも1つの第1の本体領域を含み、第1の本体領域は、半導体本体の上面から始まり、ドレイン基板から離れて半導体本体内に延在し、ドリフト層内に収容され、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する。半導体本体は、半導体本体の上面から始まり半導体本体内に延在し、ドリフト層から離間するように第1の本体領域内に収容され、第1の導電型を有する少なくとも1つの第1のソース領域を含む。エレクトロニクスデバイスは、第1のソース領域、第1の本体領域、ドリフト層及びドレイン基板とともに第1のMOSFETの第1のMOSFET部分を形成するように、半導体本体の上面上に延在し、第1の軸に沿って第1の本体領域上に重ね合わされた少なくとも1つの第1のゲート構造を含む。半導体本体は、ドリフト層に埋め込まれ、第2の導電型を有し、第1の軸に沿って第1のソース領域及び/又は第1のゲート構造と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第1のドープポケット領域をさらに含む。
【0023】
一実施形態において、エレクトロニクスデバイスは、シリコンカーバイドの半導体本体を含む。半導体本体は、第1の導電型及び第1のドーパント濃度のドレイン基板と、ドレイン基板の上方に位置し、第1の導電型及び第1のドーパント濃度より低い第2のドーパント濃度を有するドリフト層と、ドリフト層の上面と同一平面上にあり、ドリフト層によってドレイン基板から分離された上面を有し、第1の導電型と反対の第2の導電型を有する本体領域とを含む。半導体本体は、本体領域に埋め込まれ、本体領域によってドリフト層から分離され、第1の導電型を有するソース領域と、ドリフト層に埋め込まれ、本体領域の底面よりも低い上面及びドレイン基板の上面よりも高い底面を有する第2の導電型の第1のドープポケット領域とを含む。エレクトロニクスデバイスは、少なくとも一部第1の本体領域及び第1のドープポケット領域の少なくとも一部の真上にゲート構造を含む。ソース領域、本体領域、ドリフト層及びドレイン基板は、MOSFETを形成する。
【0024】
一実施形態では、方法は、シリコンカーバイドの半導体本体を形成することと、半導体本体内に第1の導電型及び第1のドーパント濃度のMOSFETのドレイン基板を形成することと、ドレイン基板の上方の半導体本体内に、第1の導電型及び第1のドーパント濃度より低い第2のドーパント濃度を有するMOSFETのドリフト層を形成することとを含む。本方法は、半導体本体内に、ドリフト層の上面と同一平面上にあり、ドリフト層によってドレイン基板から分離された上面を有し、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有するMOSFETの本体領域を形成することを含む。この方法は、本体領域に埋め込まれ、本体領域によってドリフト層から分離され、第1の導電型を有するMOSFETのソース領域を形成することと、ドリフト層に埋め込まれ、本体領域の底面よりも低い上面及びドレイン基板の上面よりも高い底面を有する第2の導電型の第1のドープポケット領域を形成することと、第1の本体領域の少なくとも一部及び第1のドープポケット領域の少なくとも一部の真上にMOSFETのゲート構造を形成することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示のより良い理解のために、好ましい実施形態が、純粋に非限定的な例として、添付の図面を参照してここで説明される。
図1】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の断面図である。
図2】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の断面図である。
図3】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の断面図である。
図4】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の断面図である。
図5】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の断面図である。
図6A】MOSFETの電気制御条件が変化するときの、図1図5のエレクトロニクスデバイスのMOSFETの一部の空乏領域の変化を示す断面図である。
図6B】MOSFETの電気制御条件が変化するときの、図1図5のエレクトロニクスデバイスのMOSFETの一部の空乏領域の変化を示す断面図である。
図6C】MOSFETの電気制御条件が変化するときの、図1図5のエレクトロニクスデバイスのMOSFETの一部の空乏領域の変化を示す断面図である。
図6D】MOSFETの電気制御条件が変化するときの、図1図5のエレクトロニクスデバイスのMOSFETの一部の空乏領域の変化を示す断面図である。
図6E】MOSFETの電気制御条件が変化するときの、図1図5のエレクトロニクスデバイスのMOSFETの一部の空乏領域の変化を示す断面図である。
図6F】MOSFETの電気制御条件が変化するときの、図1図5のエレクトロニクスデバイスのMOSFETの一部の空乏領域の変化を示す断面図である。
図7A図1~5のエレクトロニクスデバイスのそれぞれの電気信号を示す図である。
図7B図1~5のエレクトロニクスデバイスのそれぞれの電気信号を示す図である。
図8】エレクトロニクスデバイスのそれぞれのさらなる実施形態の断面図である。
図9】エレクトロニクスデバイスのそれぞれのさらなる実施形態の断面図である。
図10A】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の隠れた部分を有する上面図である。
図10B】エレクトロニクスデバイスのそれぞれの実施形態の隠れた部分を有する上面図である。
図11】エレクトロニクスデバイスさらなる実施形態の断面図である。
【0026】
特に、図面は、互いに直交する軸X、軸Y及び軸Zによって定義される三軸デカルト系を参照して示されている。
【0027】
以下の説明において、異なる実施形態に共通の要素は、同じ参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、パワーエレクトロニクスデバイス10の一実施形態の横断面図を示す。
【0029】
特に、パワーエレクトロニクスデバイス10(以下、エレクトロニクスデバイス10又はより単純にデバイス10とも呼ばれる)は、図1において、軸X及びZによって画定される平面XZ内に示される。デバイス10は、軸Yに平行な主延在部を有し、図1は、この主延在部に垂直な断面を示す。
【0030】
デバイス10は、例えば、装置(図示せず、ノートブック、携帯電話、サーバ、TV、自動車、自動車充電ステーション、又は光起電力パネル用変換システムなどの電気/電子タイプの装置)内にある。
【0031】
デバイス10は、1つ以上のMOSFET10’、特に垂直構造MOSFET(例えば、エンハンスメント型のもの)が収容される活性領域(図示せず)を有する。図1の例示的かつ非限定的な実施形態では、3つのMOSFET10’が、MOSFETアレイを形成するように軸Xに沿って互いに横方向に配置されて示されている。しかしながら、MOSFET10’の数は、それ自体明らかな方法で変化してもよく、例えば、より多く(例えば、10又は100)又はより少なく(例えば、1つのMOSFETのみ)てもよい。
【0032】
デバイス10は、シリコンカーバイド、SiC(4H-SiCなど)の基板(又はドレイン基板)16を含む。基板16は、MOSFET10’のドレイン領域を形成する。
【0033】
基板16は、第1の導電型(以下、N型導電性を考慮する)と、例えば1018at/cm程度の第1のドーパント濃度(又は第1の導電値)とを有する。
【0034】
基板16は、軸Zに沿って互いに対向する上面16a及び下面16bを有する。例えば、基板16は、表面16aと表面16bとの間の軸Zに沿って、約50μm~約350μm、より具体的には約160μm~約200μm、例えば約180μmに等しい厚さを有する。
【0035】
デバイス10は、基板16上に延在するSiC(4H-SiCなど)のドリフト層17を含む。特に、ドリフト層17は、基板16上にエピタキシャル成長される。
【0036】
ドリフト層17は、第1の導電型(ここではN型)と、第1のドーパント濃度よりも低い第2のドーパント濃度(例えば、約2.5×1016at/cmよりも低い)とを有する。
【0037】
ドリフト層17は、軸Zに沿って互いに対向する上面17a及び下面17bを有し、ドリフト層17の下面17bは、基板16の上面16aに接触している。
【0038】
例えば、ドリフト層17は、表面17aと17bとの間で軸Zに沿って約4μm~約15μm、例えば約6.5μmに等しい厚さを有する。
【0039】
デバイス10はまた、基板16の底面16bに延在してオーミックコンタクトを形成するドレインオーミックコンタクト領域又は層(図示せず、例えばニッケルシリサイド)を含む。例えば、それ自体公知の方法で、ドレインオーミックコンタクト領域は、基板16の下面16b上に延在してもよく、又は、下面16bにおいて基板16によって露出されるように、基板16内に延在してもよい。
【0040】
デバイス10はまた、基板16と直接電気的に接触してドレイン電気端子を形成するように、ドレインオーミックコンタクト領域の上に延在するドレインメタライゼーション18を含む。ドレインメタライゼーション18は、導電性材料からなり、例えば、Ti/NiV/Ag又はTi/NiV/Auなどの金属層の積層によって形成される。
【0041】
デバイス10はまた、ドリフト層17内に収容され、ドリフト層17の上面17aから始まり基板16に向かって(基板16に達することなく)延在する複数の本体領域19を含む。
【0042】
詳細には、各本体領域19は、ドリフト層17によって露出され、軸Zに沿ってドリフト層17の上面17aと実質的に位置合わせされたそれぞれの上面19aを有する。
【0043】
本体領域19は、ドリフト層17を介して軸Xに沿って互いに離間しており、軸Xに沿って互いに横方向に配置されている。本体領域19は、それぞれ軸Yに平行な主延在部を有する。
【0044】
本体領域19は、第1の導電型とは反対の第2の導電型(ここではP型)を有する。本体領域19は、(例えば約3×1017at/cmと約3×1018at/cmとの間の)第3のドーパント濃度を有する。
【0045】
特に、2つの本体領域19が各MOSFET10’に対して予め設定され、各本体領域19は、以下により詳細に説明するように、MOSFETアレイ内で互いに連続する2つのMOSFET10’間で共有される。
【0046】
デバイス10はまた、各本体領域19に対して、本体領域19内に収容され、本体領域19の上面19aから始まりドリフト層17に向かって(ドリフト層17に達することなく)延在する2つのそれぞれのソース領域20を含む。
【0047】
詳細には、各ソース領域20は、本体領域19によって露出され、軸Zに沿って本体領域19の上面19aと実質的に位置合わせされたそれぞれの上面20aを有する。
【0048】
ソース領域20は、本体領域19を貫通する軸Xに沿って互いに離間している。ソース領域20はそれぞれ、軸Yに平行な主延在部を有する。
【0049】
ソース領域20は、第1の導電型(ここでは、N型)を有し、第1のドーパント濃度よりも高い第4のドーパント濃度(例えば、約1×1019at/cm~約1×1021at/cm、例えば約1×1020at/cmに等しい)を有する。
【0050】
特に、各本体領域19に対して2つのソース領域20が存在し、これらの2つのソース領域20の各々は、考慮される本体領域19を共有する2つのMOSFET10’のうちのそれぞれのMOSFET10’に属する。
【0051】
ソース領域20とドリフト層17との間に軸Xに沿って介在する各本体領域19の部分は、MOSFET10’のそれぞれのチャネル領域19’を画定し、MOSFET10’が適切にバイアスされたときに、チャネル領域19’を通じて電気伝導が生じる。
【0052】
基板16、ドリフト層17、本体領域19及びソース領域20は共に、デバイス10のSiCの半導体本体15を形成し、半導体本体15は、軸Zに沿って互いに対向する上面15a(ドリフト層17、本体領域19及びソース領域20の上面17a、19a及び20aによって画定される)及び下面15b(基板16の下面16bによって画定される)を有する。
【0053】
デバイス10はまた、各MOSFET10’用のそれぞれのゲート構造21を含む。
【0054】
各ゲート構造21は、ドリフト層17を介して互いに対向し、軸Xに沿って互いに連続する2つの本体構造19の一部である2つのそれぞれのチャネル領域19’にわたって延在する。換言すれば、各ゲート構造21は、それぞれのMOSFET10’のチャネル領域19’にわたって延在する。ゲート構造21はまた、軸Yに平行な主延在部を有する。
【0055】
特に、各ゲート構造21は、それぞれのチャネル領域19’の上、軸Xに沿ってこれらのチャネル領域19’の間に挟まれたドリフト層17の部分の上、及び場合によってはそれぞれのソース領域20の一部の上に延在する。
【0056】
各ゲート構造21は、半導体本体15の上面15a上のゲート絶縁層22と、平面XZ内においてゲート絶縁層22によって囲まれたゲート領域23とを含む。
【0057】
ゲート絶縁層22は、二酸化シリコン(SiO)などの絶縁材料からなり、ゲート領域23は、金属又はドープされたポリシリコンなどの導電材料からなる。このようにして、ゲート領域23は、ゲート絶縁層22によって、半導体本体15から(詳細には、ゲート領域23が重ね合わされるチャネル領域19’から)物理的かつ電気的に絶縁される。
【0058】
ゲート領域23はまた、当業者にそれ自体知られている方法で、デバイス10のゲートメタライゼーション(図示せず)に電気的に接続される。ゲートメタライゼーションは、デバイス10のゲート端子を画定する。
【0059】
図1に示すように、垂直構造を有する各MOSFET10’は、第1及び第2のMOSFET部分10’及び10’を含む。第1のMOSFET部分10’は、ゲート構造21、ドリフト層17の左側のソース領域20、ドリフト層17の左側のそれぞれの本体領域19(特に、ドリフト層17の左側のチャネル領域19’)、ドリフト層17及び基板16によって画定され、第2のMOSFET部分10’は、ゲート構造21、ドリフト層17の右側のソース領域20、ドリフト層17の右側のそれぞれの本体領域19(特に、ドリフト層17の右側のチャネル領域19’)、ドリフト層17及び基板16によって画定される。
【0060】
さらに、デバイス10は、各ソース領域20に対して、それぞれのソースオーミックコンタクト領域又は層(図示せず、例えばニッケルシリサイド)を含む。ソースオーミックコンタクト領域は、それぞれのソース領域20の上面20aに延在し、それぞれのオーミックコンタクトを形成する。例えば、それ自体公知の方法で、各ソースオーミックコンタクト領域は、ソース領域20の上面20a上に延在してもよく、あるいは、上面20aにおいてソース領域20によって露出されるようにソース領域20内に延在してもよい。
【0061】
デバイス10はまた、ソース領域20と直接電気的に接触し、したがってソース電気端子を形成するように、ソースオーミックコンタクト領域上に延在するソースメタライゼーション24を含む。実際には、ソースメタライゼーション24は、ソース領域20と直接電気的に接触するように、ゲート構造21の上、及びゲート構造21によって覆われていない半導体本体15の上面15aの領域上に延在する。ソースメタライゼーション24は、導電性材料からなり、例えば、Ti/AlSiCu又はNi/AlSiCuなどの金属層の積層によって形成される。
【0062】
デバイス10はまた、ソースメタライゼーション24を保護するためにソースメタライゼーション24の上に延在するパッシベーション層(図示せず)を含むことができる。
【0063】
例えば、図示されておらず、それ自体知られている方法で、デバイス10の活性領域は、軸X及びYによって画定され、半導体本体15の上面15aに実質的に平行な平面XYにおいて、平面XYにおいてMOSFET10’を完全に取り囲むエッジ終端領域又は保護リングによって、外部から画定される。例えば、エッジ終端領域は、P型注入領域である。任意選択的に、デバイス10は、軸Zに沿ってエッジ終端領域上に重ね合わされ、MOSFET10’を完全に取り囲み、ソースメタライゼーション24を横方向に画定するように、半導体本体15の上面15a上に延在するエッジ絶縁層(図示せず)を含むこともできる。
【0064】
さらに、デバイス10は、1つ以上のドープポケット領域25を含む。
【0065】
図1の例示的かつ非限定的な実施形態では、各MOSFET10’に対して2つのドープポケット領域25が存在し、特に、各MOSFET部分10’及び10’に対してそれぞれのドープポケット領域25が存在する。それにもかかわらず、以下でより良く説明するように、ドープポケット領域25の数は変化してもよく、例えば、前述したものよりも多くても少なくてもよい(例えば、各MOSFET10’に対して1つのドープポケット領域25のみでもよい)。
【0066】
図1の例示的かつ非限定的な実施形態において、ドープポケット領域25は、平面XZにおいて実質的に矩形(例えば、角が丸められた矩形)の断面を有する。しかしながら、ドープポケット領域25の平面XZにおける断面の他の閉じた多角形形状、例えば、台形形状、T字形状、マッシュルーム形状なども同様に考慮され得る。
【0067】
ドープポケット領域25は、ドリフト層17内に埋め込まれ、それぞれのMOSFET10’のソース領域20及び/又はゲート構造21と少なくとも部分的に軸Zに沿って位置合わせされる。特に、ドープポケット領域25は、本体領域19及び半導体本体15の上面15aから距離をおいて延在する。
【0068】
詳細には、ドープポケット領域25は、ドリフト層17を貫通する軸Xに沿って互いに離間している。
【0069】
ドープポケット領域25は、軸Yに平行な主延在部を有し得る。例えば、ドープポケット領域25は、図10Aにより良く示されるように、軸Yに平行なストリップの形状を有し得る。例えば、ドープポケット領域25は、軸Yに平行に測定された長さを有し、この長さは、軸Yに平行に測定された本体領域19の長さにほぼ等しい。
【0070】
ドープポケット領域25は、第2の導電型(ここではP型)を有し、ドリフト層17の第2のドーパント濃度より高いドープポケットドーパント濃度を有する。例えば、ドープポケット領域25は、ホウ素又はアルミニウムでドープされる。
【0071】
特に、ドープされたポケットドーパント濃度は、約1×1017at/cm~約5×1017at/cmであり(すなわち、ドリフト層17の第2のドーパント濃度の約10倍~約50倍)、例えば、約3×1017at/cmに等しく、その結果、ドープポケット領域25は、MOSFET10’の降伏電圧で空乏化される。
【0072】
一実施形態によれば、ドープポケット領域25は、軸Zに沿って実質的に同じ高さで、軸Xに沿って互いに横方向に配置される。換言すれば、ドープポケット領域25は、基板16に対して同じ高さで、軸Xに沿って互いに連続して配置される。
【0073】
各本体領域19が基板16からの最小距離(又は最小本体距離)Dを有すること、及び各ドープポケット領域25が基板16からの最小距離(又は最小ドープポケット距離)Dを有することを考慮すると、最小距離Dは、最小距離Dよりも小さい。
【0074】
特に、以下でより良く説明されるように、最小距離Dと最小距離Dとの間の比率(又は第1の比率)D/Dは、0%~約70%(境界値を含む)である。
【0075】
各MOSFET10’が軸Xに沿って平均幅(又は平均MOSFET幅)Lを有すること、及び各ドープポケット領域25が軸Xに沿って最大幅(又は最大ドープポケット幅)Lを有することを考慮すると、最大幅Lは平均幅Lよりも小さく、特に、最大幅Lと平均幅Lとの間の比(又は第2の比)L/Lは、約15%~約30%(境界値を含む)である。例えば、各MOSFET10’の平均幅Lは、考慮されるMOSFET10’の2つの本体領域19の、軸Zに平行なそれぞれの中央軸の間で測定される。言い換えれば、それは、それぞれの本体領域19内に存在する2つのソース領域20からそれぞれ等距離にあるそれぞれの本体領域19の上面19aの2つの点の間で軸Xに平行に測定される。
【0076】
さらに、ドープポケット領域25がそれぞれ軸Zに沿った最大厚さ(又は最大ドープポケット厚さ)Sを有することを考慮すると、最大厚さSと最小距離Dとの間の比(又は第3の比)S/Dは、約10%~約30%(境界値を含む)であり得る。
【0077】
より詳細には、各本体領域19は、軸Zに沿って上面19aの反対側にある下面19bを有する。さらに、各ドープポケット領域25は、軸Zに沿って互いに対向する上面25a及び下面25bを有し、軸Xに沿って互いに対向し、表面25a及び25bに接合されて横断する第1の側面25c及び第2の側面25dを有する。最小距離Dは、各本体領域19の下面19bと基板16の上面16aとの間の軸Zに沿って画定される。最小距離Dは、各ドープポケット領域25の下面25bと基板16の上面16aとの間の軸Zに沿って画定される。最大幅Lは、各ドープポケット領域25の第1の側面25cと第2の側面25dとの間の軸Xに沿って画定される。最大厚さSは、各ドープポケット領域25の上面25aと下面25bとの間の軸Zに沿って画定される。
【0078】
例示的かつ非限定的な実施形態によれば、最小距離Dは約5.2μm~約5.7μmであり、最小距離Dは約0μm~約0.5μmであり、平均幅Lは約4.5μm~約5μmであり、最大幅Lは約0.9μm~約1.5μmであり、最大厚さSは約0.5μm~約1.2μmである。
【0079】
デバイス10の一実施形態によれば(例えば、図1に示され、各MOSFET10’に対して2つのドープポケット領域25が予め設定されている)、各ソース領域20は、ドープポケット領域25のそれぞれ1つと垂直に(すなわち、軸Zに平行に)少なくとも部分的に位置合わせされている。次に、ドープポケット領域25はまた、それぞれのMOSFET10’のゲート構造21と垂直に位置合わせされてもよく、又はそれに対して垂直にずらして配置されてもよい(すなわち、それに対して垂直に位置合わせされなくてもよい)。
【0080】
デバイス10の異なる実施形態(例えば、図2に示され、各MOSFET10’に対して1つのドープポケット領域25のみが存在する)によれば、各ゲート構造21は、ドープポケット領域25のうちのそれぞれ1つと少なくとも部分的に垂直に位置合わせされ、ドープポケット領域25は、ソース領域20に対して垂直にずらして配置されてもよい。
【0081】
これらの実施形態は互いに組み合わされてもよい。例えば、デバイス10のさらなる実施形態(例えば、図3に示され、各MOSFET10’に対して3つのドープポケット領域25が存在する)によれば、ゲート構造21は、ドープポケット領域25のいくつかと少なくとも部分的に垂直に位置合わせされ、ドープポケット領域25のいくつかはソース領域20に対して垂直にずらして配置され、ソース領域20は、他のドープポケット領域25と少なくとも部分的に垂直に位置合わせされる。
【0082】
前述したものの代替として、例えば図4に示すように、ドープポケット領域25は、軸Xに沿って互いに横方向に、しかし軸Zに沿って互いに異なる高さに配置されてもよい。換言すれば、ドープポケット領域25は、軸Xに沿って互いに連続して配置され得るが、基板16に対して互いに異なる高さに配置され得る。この場合、異なる最小距離Dが存在することになり(図4の例では、第1及び第2の最小距離Ds1及びDs2)、それらの各々は、比D/Dに関して前述した条件を満たす。
【0083】
さらに、図5に示されるように、互いに重ね合わされ、軸Zに平行な方向に相互に離間された複数のドープポケット領域25を有することも可能である。言い換えれば、ドープポケット領域25は、少なくとも部分的に互いに垂直に位置合わせされてもよい。例えば、軸Xに沿って互いに横方向にドープポケット領域25の複数グループを有することが可能であり、各グループは、軸Zに平行に互いに重ね合わされた2つ以上のそれぞれのドープポケット領域25を含む。例えば、軸Zに平行に互いに重ね合わされたドープポケット領域25は、軸Zに平行に、例えば約0.5μmより大きくてもよいそれぞれの相互距離Dを有する。この実施形態は、本明細書に記載される実施形態のいずれかと組み合わせることができる。
【0084】
既知の方法では、使用中に、デバイス10は、ソース電圧V(例えば、接地基準電圧GND、すなわち、0V)をソースメタライゼーション24に、したがってソース領域20に印加することによってバイアスされ、一方、ドレイン電圧V(例えば、30V~1700V)がドレインメタライゼーション18に、したがって基板16に印加される。すなわち、MOSFET10’のソース端子とドレイン端子との間には、ドレイン-ソース電圧VDSが印加される。
【0085】
さらに、ゲート領域23が、ゲート閾値電圧VG,thよりも大きいゲート電圧Vにバイアスされ、MOSFET10’のチャネル領域19’を通る電荷キャリア(ここでは電子)のそれぞれの流れを生成するとき、デバイス10は導通状態にある。逆に、ゲート領域23に印加されるゲート電圧Vがゲート閾値電圧VG,thよりも低く、MOSFET10’のチャネル領域19’を流れる電荷キャリアの生成を抑制するような場合、デバイス10は禁止状態にある。
【0086】
したがって、デバイス10の全体的な導通は、すべてのMOSFET10’の関数であり、特に、各MOSFET10’の両方の電子流(それぞれがそれぞれのMOSFET部分10’、10’に対応する)の関数である。その結果、適切にバイアスされると、デバイス10は、MOSFET10’のソース端子とドレイン端子との間にドレイン-ソース電流IDSを生成する。
【0087】
ドープポケット領域25が、ドープポケット領域25が存在しない既知の場合に対してデバイス10のリンギング現象を低減し、例えば、MOSFET10’のスイッチング中のドレイン-ソース電圧VDS及びドレイン-ソース電流IDSのオーバーシュートの振幅も70~80%低減することが確認されている。この有益な効果は、MOSFET10’におけるPTOの確立によるものではなく、この現象とは無関係であることが確認されている。
【0088】
実際に、ドープポケット領域25は、ソース端子とドレイン端子との動的容量結合を増加させ、したがって、MOSFET10’のスイッチング中のドレイン-ソース電圧VDSの振動の減少を可能にする。
【0089】
特に、図6A図6Fは、ドレイン-ソース電圧VDSが増加するときのMOSFET10’のうちの1つの空乏領域27の、動的段階中の挙動を示す。例として、図6A図6Fは、MOSFET10’のうちの1つの第1のMOSFET部分10’のみを示しているが、同様の考察が第2のMOSFET部分10’及びすべてのMOSFET10’にも当てはまる。
【0090】
図6A図6Fに見られるように、ドレイン-ソース電圧VDSが増加するにつれて(図6Aはドレイン-ソース電圧VDSの最小値の場合に対応し、図6Fはドレイン-ソース電圧VDSの最大値の場合に対応する)、空乏領域27も拡大し、ソース領域20から始まり、基板16に向かって進む。言い換えれば、空乏領域27は、ドレイン-ソース電圧VDSが増加するほど基板16に向かってより多く延在する下側境界面27’(空乏領域27の軸Zに沿った下限に対応し、したがって、少数電荷キャリア、ここでは正孔が多数電荷キャリア、ここでは電子よりも大きいドリフト層17の領域の下限に対応する)を有する。
【0091】
図6A及び図6Bでは、空乏領域27の下側境界面27’は、下にあるドープポケット領域25にまだ達しておらず、したがって、これは、電界の分布及び考慮されるMOSFET10’内の正孔の分布に何の役割も持たない。換言すれば、空乏領域27の下側境界面27’は、ドープポケット領域25の上方に延在する。
【0092】
図6Cにおいて、空乏領域27は、ドープポケット領域25にちょうど到達し、接触している。この場合、空乏領域27の下側境界面27’は、軸Zに沿って、ドープポケット領域25の直下に移動する。言い換えれば、空乏領域27は、ドープポケット領域25の上に配置されたドリフト層17の部分とドープポケット領域25との両方を通って延在する。この場合、ソース領域20とドープポケット領域25との間に、実質的に垂直方向を有する正孔の流れが確立されることが確認されている。
【0093】
図6D図6Fでは、空乏領域27は、ドープポケット領域25の下で基板16に向かって次第に拡大する。換言すれば、ドープポケット領域25と基板16との間に軸Zに沿って介在する空乏領域27の下側境界面27’は、ドープポケット領域25から離れ、基板16に向かってますます移動する。同時に、ソース領域20とドープポケット領域25との間の正孔の流れが強まり、ソース領域20とドープポケット領域25との間の電気的結合が増大する。
【0094】
空乏領域27がドープポケット領域25を通って延在するようになるとき、ドレイン-ソース電圧VDS及びドレイン-ソース電流IDSは、それらの経時的な変化率を、MOSFET10’の同じ他の電気的及び物理的パラメータによって低減することが確認されている。これにより、ドレイン-ソース電圧VDS及びドレイン-ソース電流IDSは、ドープポケット領域25が存在しない場合に対してより小さい最大振幅で経時的に振動し、したがって、リンギング効果を低減する。
【0095】
図7A及び図7Bは、MOSFET10’のうちの1つについて、MOSFET10’がオン状態からオフ状態に切り替わるときのドレイン-ソース電圧VDS及びドレイン-ソース電流IDSのそれぞれの経時的な傾向を示す(約t=t*=0.1μs以下で示される)。特に、これは、それぞれの電気的特性を比較するために、MOSFET10’の1つ、及びドープポケット領域25が存在しない既知のMOSFETの両方について示されている。
【0096】
t=t*=0.1μsでスイッチングした後、過渡時間間隔が存在し、ドレイン-ソース電圧VDS及びドレイン-ソース電流IDSは、それぞれの平均値に向かって収束する前に、それぞれの平均値の周辺で減衰して振動する(図7A及び図7Bの例では、それぞれ約400 V及び約0A)。
【0097】
この過渡時間間隔の間、ドレイン-ソース電圧VDS及びドレイン-ソース電流IDSの振動の振幅は、ドープポケット領域25が存在する場合の方が、ドープポケット領域25が存在しない既知の場合よりも小さい。
【0098】
さらに、ドープポケット領域25の存在は、デバイス10の他の電気的特性及び動作特性(例えば、降伏電圧、ドレイン-ソースオン抵抗、MOSFET10’の本体ダイオード電流)を著しく変更しないことが確認されている。
【0099】
リンギング低減の有効性は、一般に、ドープポケット領域25の基板16からの最小距離Dが0(すなわち、Ds=0μm)であるとき、したがってドープポケット領域25が基板16の上面16aと接触しているときに最大である。
【0100】
さらに、一般に、ドリフト層17内のドープポケット領域25の垂直位置は、MOSFET10’が動作するように設計され電気的に制御されるMOSFET10’の回復電流の変化率di/dtに依存する。詳細には、回復電流は、直流電流が流れた後にドレイン-ソース電流が符号を変えるドレイン-ソース電圧の上昇段階の間の過渡時間間隔においてMOSFET10’を流れる逆方向ドレイン-ソース電流である。回復電流の変化率di/dtはまた、MOSFET10’の静的又は動的レジームを示す(例えば、di/dt<1A/nsの場合は静的レジーム、di/dtより大きい値の場合は動的レジーム)。
【0101】
換言すれば、最小距離Dと最小距離Dとの第1の比D/Dの変化範囲(特にその上限)は、MOSFET10’の回復電流di/dtの変化率に依存する。これは、回復電流の変化率di/dtが増加するとき、ソース領域20と基板16との間の動的容量結合がリンギングの高い減衰を有するのに十分であることを保証し続けるために、ドープポケット領域25が基板16により近くなるという事実による。
【0102】
一実施形態によれば、MOSFET10’が、0A/ns<di/dt≦1A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約70%(特に、約50%~約70%)である。
【0103】
一実施形態によれば、MOSFET10’が1A/ns<di/dt≦2A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約60%(特に、約40%~約60%)である。
【0104】
一実施形態によれば、MOSFET10’が2A/ns<di/dt≦3A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約50%(特に、約30%~約50%)である。
【0105】
一実施形態によれば、MOSFET10’が3A/ns<di/dt≦4A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約40%(特に、約20%~約40%)である。
【0106】
一実施形態によれば、MOSFET10’が4A/ns<di/dt≦5A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約30%(特に、約10%~約30%)である。
【0107】
一実施形態によれば、MOSFET10’が5A/ns<di/dt≦6A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約20%である。
【0108】
一実施形態によれば、MOSFET10’が6A/ns<di/dt≦7A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは、0%~約10%である。
【0109】
一実施形態によれば、MOSFET10’がdi/dt>7A/nsで動作するように構成されている場合、第1の比D/Dは約0%に等しい。
【0110】
図8は、デバイス10のさらなる実施形態を示している。特に、図8のデバイス10は、高電力デバイスである(すなわち、例えば約1200Vより高いドレイン-ソース電圧VDSで動作するように設計及び構成されている)。
【0111】
図8の例では、デバイス10は、図1の実施形態と同様であり、2つのドープポケット領域25が、各MOSFET10’に対して、軸Xに沿って互いに横方向に、軸Zに沿って同じ高さに存在する。それにもかかわらず、デバイス10は、前述の実施形態のいずれかに同様に基づくことができ、したがって、以下の考察は、他の実施形態にも同様に適用される。
【0112】
特に、ドリフト層17全体が第2のドーパント濃度を有する図1とは異なり、図8では、ドリフト層17は、第1の導電型(ここではN型)及び第2のドーパント濃度を有する主ドリフト領域17’と、第1の導電型(ここではN型)及び第2のドーパント濃度よりも高いバッファドーパント濃度を有するドリフトバッファ領域17’’とを含む。言い換えれば、図1では、ドリフト層17は、唯一のドリフト主領域17’によって形成されているが、図8では、ドリフト層17は、ドリフト主領域17’及びドリフトバッファ領域17’’によって形成されている。
【0113】
特に、ドリフトバッファ領域17’’のバッファドーパント濃度は、第2のドーパント濃度よりも約25%大きい値(すなわち、第2のドーパント濃度と第2のドーパント濃度の約25%との合計)と約3×1016at/cmとの間であり、例えば、約1.3×1016at/cmに等しい。その結果、バッファドーパント濃度は、第2のドーパント濃度よりも少なくとも約25%高い。
【0114】
ドリフトバッファ領域17’’は基板16上に延在し、ドリフト主領域17’はドリフトバッファ領域17’’上に延在する。したがって、ドリフトバッファ領域17’’は、軸Zに沿って、基板16とドリフト主領域17’との間に介在する。
【0115】
より詳細には、ドリフトバッファ領域17’’は、軸Zに沿って互いに対向する上面17’’a及び下面17’’b(基板16の上面16aに接し、ドリフト層17の下面17bを画定する)を有し、ドリフト主領域17’は、軸Zに沿って互いに対向する上面17’a(ドリフト層17の上面17aを画定する)及び下面17’b(ドリフトバッファ領域17’’の上面17’’aに接する)を有する。
【0116】
ドリフトバッファ領域17’’は軸Zに沿って最大厚さSを有し、ドリフト主領域17’は軸Zに沿って最小厚さSを有し、これはドリフトバッファ領域17’’の最大厚さS以上である。特に、ドリフトバッファ領域17’’及びドリフト主領域17’は、軸Zに平行に実質的に一定である厚さS及びSを有する。例えば、ドリフトバッファ領域17’’の最大厚さSは、ドリフトバッファ領域17’’の上面17’’aと下面17’’bとの間で軸Zに沿って測定され、ドリフト主領域17’の最小厚さSは、本体領域19(詳細には、1つの本体領域19の下面19b)とドリフト主領域17’の下面17’bとの間で軸Zに沿って測定される。
【0117】
一実施形態によれば、ドリフトバッファ領域17’’の最大厚さSと本体領域19の基板16からの最小距離Dとの間の比(又は第4の比)S/Dは、約30%~約50%(境界値を含む)であり、例えば約40%に等しい。
【0118】
ドープポケット領域25は、ドリフトバッファ領域17’’内に完全に延在してもよいし、ドリフト主領域17’内に完全に延在してもよいし、ドリフトバッファ領域17’’内に部分的に延在し、かつドリフト主領域17’内に部分的に延在してもよい。
【0119】
特に、ドリフト主領域17’よりも高いドーピングを有するドリフトバッファ領域17’’の存在が、MOSFET10’のスナッピー挙動を防止することが確認されている。
【0120】
実際、ドリフトバッファ領域17’’は、そのより高いドーピングのために少数電荷キャリア(ここでは正孔)の再結合速度を増加させる。言い換えれば、ドリフト層17内の正孔の平均寿命が短縮され、したがって、デバイス10が高温(例えば、約170℃よりも高い温度)で動作する場合であっても、正孔は、基板16に到達する前に再結合させられ、したがって、正孔が基板16の上面16aに接触して突然再結合することを防止する。特に、ドリフトバッファ領域17’’は、静的レジームにおいて、空乏領域27の下側境界面27’が基板16の上面16aに達することを防止する。したがって、これは、MOSFET10’のスナッピー挙動を回避する。
【0121】
さらに、ドリフト層17内のドリフトバッファ領域17’’の存在は、デバイス10の動作及び他の電気的パラメータ(例えば、MOSFET10’のオン抵抗及び降伏電圧)を著しく変更しないことが確認されている。特に、ドリフトバッファ領域17’’のバッファドーパント濃度及び最大厚さSの値は、MOSFET10’のオン抵抗を実質的に変化させないように、前述の範囲内で選択される。
【0122】
本開示に従って行われる本開示の特徴の検討から、本開示がもたらす利点は明らかである。
【0123】
ドープポケット領域25の存在は、デバイス10のMOSFET10’におけるリンギング現象が、MOSFET10’の「回復」段階中に効果的に低減されることを可能にするが、デバイス10の他の電気的及び物理的特性を負の方向に変更することはない。
【0124】
さらに、この利点は、MOSFET10’のスイッチング速度を低下させることなく、デバイス10の面積を増大させることなく、かつデバイス10の外部に複雑な電子回路を追加することなく達成される。
【0125】
さらに、ドープポケット領域25は、ドーピング種の注入又は「チャネリング」によってドリフト層17内に形成されてもよい。これは、デバイス10が簡単な方法で製造されることを可能にし、特にチャネリング技術に関して、ドープポケット領域25のサイズの正確な制御及びデバイス10の電気的特性の正確な制御を確実にする。
【0126】
さらに、ドリフトバッファ領域17’’及びドリフト主領域17’を含むドリフト層17を使用することにより、デバイス10のMOSFET10’がスナッピー挙動を呈することが防止され、したがって、デバイス10の電気的特性、動作及び信頼性が改善される。
【0127】
最後に、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明及び図示されるものに対して修正及び変形が行われ得ることは明らかである。例えば、記載された異なる実施形態は、さらなる解決策を提供するために互いに組み合わされてもよい。
【0128】
ドープポケット領域25の形状、数及び配置は、前述したように、かつ前述した範囲内で変化してもよい。
【0129】
さらに、前述したことは、デバイス10が単一の部分10’又は10’を有する(例えば、第1のMOSFET部分10’aのみを有する)単一のMOSFET10’を含む場合にも適用される。
【0130】
さらに、それ自体公知の方法で、デバイス10のドリフト層17は、図9に示すように、電流拡散層(Current Spreading Layer、CSL)40を含むことができる。
【0131】
詳細には、図9は、例として、図1のものと同様のデバイス10の実施形態を示す。それにもかかわらず、CSL40は、本明細書に記載される実施形態の各々において同様に存在し得る。
【0132】
CSL40は、本体領域19がCSL40内に収容される(例えば、完全に収容される)ように、半導体本体15の上面15aから始まり基板16に向かって、基板16に達することなくドリフト層17内に(特に、ドリフト主領域17’内に)延在する。特に、CSL40は、軸Zに沿って、基板16から、及びドリフトバッファ領域17’’が存在する場合にはドリフトバッファ領域17’’から、ある距離にある。
【0133】
例えば、軸Zに沿って本体領域19の下で、CSL40は、約0.1μm又は0.2μmに等しい厚さを有する。言い換えれば、CSL40は、軸Zに沿って互いに対向する上面40a(ドリフト層17の上面17aを形成する)及び下面40bを有する。CSL40の下面40bは、軸Zに沿って本体領域19の下に延在し、軸Zに沿って本体領域19の下面19bから約0.1μm~0.2μmだけ離れている。
【0134】
CSL40は、第1の導電型(ここではN型)を有し、第2のドーパント濃度よりも高いCSLドーパント濃度(例えば、約1×1017at/cm程度)を有する。
【0135】
知られているように、CSL40は、ドリフト層17内のゲート構造21の下を流れる電荷流の拡散を増大させ、均質化する。
【0136】
さらに、図10A及び図10Bに示されるように、平面XYにおけるドープポケット領域25の形状は変化してもよい。
【0137】
特に、図10A及び10Bは、デバイス10の上面図(すなわち、平面XYに平行な図)を示す。見やすくするために、図10A及び図10Bは、半導体本体15の上面15aのみを示し、半導体本体15に埋め込まれたドープポケット領域25を点線で示す。言い換えれば、先に説明したデバイス10の他の要素(例えば、本体領域19、ソース領域20、ゲート構造21など)は、図の理解を不明瞭にしないようにここでは示されていないが、それらは明らかに存在する。
【0138】
詳細には、図10Aは、前述したデバイス10の実施形態を示し、ドープポケット領域25は、軸Yに平行な主延在部と、軸Yに沿った本体領域19の長さに実質的に等しい軸Yに沿った長さとを有するストリップの形状を有する。例えば、この図では、ドープポケット領域25は、矩形形状を有する。
【0139】
それにもかかわらず、例えば図10Bに示されるように、軸Yに平行なドープポケット領域25の形状は異なっていてもよい。
【0140】
例えば、ドープポケット領域25は、軸Yに平行に不連続であってもよい。
【0141】
特に、図10Bは、ドープポケット領域25が平面XYに平行なマトリクス又は市松模様に配置されている場合を示す。マトリクスにおいて、ドープポケット領域25は、(図10Aに示されるように)軸Yに平行な列に位置合わせされてもよく、又は軸Yに平行に互いに位置合わせされなくてもよい(例えば、ある行のドープポケット領域25は、マトリクスにおいて当該行に隣接する2つの第1の隣接行のドープポケット領域25に対して横方向にずらして配置されてもよく、マトリクスにおいてこれら2つの第1の隣接行に隣接する2つの行のドープポケット領域25と軸Yに平行に位置合わせされてもよい)。
【0142】
平面XYに平行に、これらのドープポケット領域25は、(図10Bに示されるような)長方形形状、正方形形状、円形形状、六角形形状などを有し得る。
【0143】
さらに、図11に示すように、デバイス10は、ドリフトバッファ領域17’’及びドリフト主領域17’を含むドリフト層17を有してもよく、代わりにドープポケット領域25を有しなくてもよい。ドープポケット領域25が存在しないこの実施形態では、デバイス10はスナッピー挙動を有さず、したがって、高電力で最適化された方法で動作することができる。
【0144】
エレクトロニクスデバイス(10)は、第1の軸(Z)に沿って互いに対向する上面(15a)及び下面(15b)を有するシリコンカーバイド(SiC)の半導体本体(15)を含み、半導体本体(15)は、半導体本体(15)の下面(15b)から始まり半導体本体(15)内に延在し、第1の導電型及び第1のドーパント濃度を有するドレイン基板(16)と、半導体本体(15)の上面(15a)から始まりドレイン基板(16)まで半導体本体(15)内に延在し、第1の導電型及び第1のドーパント濃度よりも低い第2のドーパント濃度を有するドリフト層(17)と、半導体本体(15)の上面(15a)から始まり、ドレイン基板(16)から離れて半導体本体(15)内に延在し、ドリフト層(17)内に収容され、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する少なくとも1つの第1の本体領域(19)と、半導体本体(15)の上面(15a)から始まり半導体本体(15)内に延在し、ドリフト層(17)から離間するように第1の本体領域(19)内に収容され、第1の導電型を有する少なくとも1つの第1のソース領域(20)と、を含み、エレクトロニクスデバイス(10)は、第1のソース領域(20)、第1の本体領域(19)、ドリフト層(17)及びドレイン基板(16)とともに、第1のMOSFET(10’)の第1のMOSFET部分(10’a)を形成するように、半導体本体(15)の上面(15a)上に延在し、第1の軸(Z)に沿って第1の本体領域(19)上に重ね合わされた少なくとも1つの第1のゲート構造(21)をさらに含み、半導体本体(15)は、ドリフト層(17)内に埋め込まれ、第2の導電型を有し、第1の軸(Z)に沿って第1のソース領域(20)及び/又は第1のゲート構造(21)と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第1のドープポケット領域(25)をさらに含む、ものとして要約されてもよい。
【0145】
第1のドープポケット領域(25)は、第1の軸(Z)に沿ってドレイン基板(16)から最小ドープポケット距離(D)を有することができ、第1の本体領域(19)は、第1の軸(Z)に沿ってドレイン基板(16)から最小本体距離(D)を有することができ、最小ドープポケット距離(D)と最小本体距離(D)との間の第1の比(D/D)は、0%~70%とすることができ、又は0%若しくは70%に等しい。
【0146】
第1のMOSFET(10’)が、0A/ns~1A/ns又は1A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~70%であってもよく、又は0%若しくは70%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が、1A/ns~2A/ns又は2A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~60%であってもよく、又は0%若しくは60%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が、2A/ns~3A/ns又は3A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~50%であってもよく、又は0%若しくは50%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が、3A/ns~4A/ns又は4A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~40%であってもよく、又は0%若しくは40%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が4A/ns~5A/ns又は5A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~30%であってもよく、又は0%若しくは30%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が5A/ns~6A/ns又は6A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~20%であってもよく、又は0%若しくは20%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が、6A/ns~7A/ns又は7A/nsに等しい回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1の比(D/D)は、0%~10%であってもよく、又は0%若しくは10%に等しくてもよい。第1のMOSFET(10’)が、7A/ns以上の回復電流の変化率(di/dt)で動作するように構成されている場合、第1のドープポケット領域(25)は、ドレイン基板(16)と接触していてもよい。
【0147】
第1のドープポケット領域(25)は、第1の軸(Z)に直交する第2の軸(X)に沿って最大ドープポケット幅(L)を有してもよく、第1のMOSFET(10’)は、第2の軸(X)に沿って平均MOSFET幅(L)を有してもよく、最大ドープポケット幅(L)と平均MOSFET幅(L)との間の第2の比(L/L)は、15%~30%であってもよく、又は15%若しくは30%に等しい。
【0148】
第1のドープポケット領域(25)は、第1の軸(Z)に沿って最大ドープポケット厚さ(S)を有してもよく、最大ドープポケット厚さ(S)と最小本体距離(D)との間の第3の比(S/D)は、10%~30%であってもよく、又は10%若しくは30%に等しい。
【0149】
第1のドープポケット(25)は、ドリフト層(17)の第2のドーパント濃度よりも高いドープポケットドーパント濃度を有することができ、特に、1×1017at/cm~5×1017at/cmであってもよく、又は1×1017at/cm若しくは5×1017at/cmに等しくてもよい。
【0150】
第1のドープポケット領域(25)は、第1の軸(Z)に沿って、第1のソース領域(20)と位置合わせされ、かつ第1のゲート構造(21)に対してずらして配置され、又は第1のゲート構造(21)と位置合わせされ、かつ第1のソース領域(20)に対してずらして配置され、又は、第1のソース領域(20)と部分的に位置合わせされ、かつ第1のゲート構造(21)と部分的に位置合わせされてもよい。
【0151】
半導体本体(15)は、半導体本体(15)の上面(15a)から始まり、ドレイン基板(16)から離れて半導体本体(15)内に延在し、第1の軸(Z)に直交して第1の本体領域(19)の側方にあり、第1の軸(Z)に直交して第1の本体領域(19)から離れており、ドリフト層(17)内に収容され、第2の導電型を有する少なくとも1つの第2の本体領域(19)と、半導体本体(15)の上面(15a)から始まり半導体本体(15)内に延在し、ドリフト層(17)から離間するように第2の本体領域(19)内に収容され、第1の導電型を有する少なくとも1つの第2のソース領域(20)と、をさらに含んでもよく、第1のゲート構造(21)はまた、第2のソース領域(20)、第2の本体領域(19)、ドリフト層(17)及びドレイン基板(16)とともに、第1のMOSFET(10’)の第2のMOSFET部分(10’)を形成するように、第2の本体領域(19)上に第1の軸(Z)に平行に重ね合わされ、半導体本体(15)は、ドリフト層(17)に埋め込まれ、第2の導電型を有し、第1の軸(Z)に平行に、第2のソース領域(20)及び/又は第1のゲート構造(21)と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第2のドープポケット領域(25)をさらに含んでもよい。
【0152】
第1のドープポケット領域(25)及び第2のドープポケット領域(25)は、第1の軸(Z)に直交して互いに少なくとも部分的に位置合わせされてもよく、又は第1の軸(Z)に直交して互いに対してずらして配置されてもよい。
【0153】
半導体本体(15)は、半導体本体(15)の上面(15a)から始まり半導体本体(15)内に延在し、第2のソース領域(20)の側方であってドリフト層(17)及び第2のソース領域(20)から離間するように第2の本体領域(19)内に収容され、第1の導電型を有する少なくとも1つの第3のソース領域(20)をさらに含んでもよく、エレクトロニクスデバイス(10)は、第3のソース領域(20)、第2の本体領域(19)、ドリフト層(17)及びドレイン基板(16)とともに、第2のMOSFET(10’)のそれぞれの第1のMOSFET部分(10’)を形成するように、半導体本体(15)の上面(15a)の上に延在し、第1のゲート構造(21)の側方にあり、第2の本体領域(19)上に第1の軸(Z)に平行に重ね合わされた少なくとも1つの第2のゲート構造(21)をさらに含むことができ、半導体本体(15)は、ドリフト層(17)に埋め込まれ、第2の導電型を有し、第1の軸(Z)に平行に、第3のソース領域(20)及び/又は第2のゲート構造(21)と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つの第3のドープポケット領域(25)をさらに含んでもよい。
【0154】
半導体本体(15)は、ドリフト層(17)に埋め込まれ、第2の導電型を有し、第1の軸(Z)に沿って第1のドープポケット領域(25)と少なくとも部分的に位置合わせされた少なくとも1つのさらなるドープポケット領域(25)をさらに含んでもよい。
【0155】
ドリフト層(17)は、ドリフト主領域(17’)及びドリフトバッファ領域(17’’)を含んでもよく、ドリフトバッファ領域(17’’)は、ドリフト主領域(17’)とドレイン基板(16)との間に第1の軸(Z)に沿って挿入され、ドリフト主領域(17’)は、第1の導電型及び第2のドーパント濃度を有してもよく、ドリフトバッファ領域(17’’)は、第1の導電型及び第2のドーパント濃度より高いバッファドーパント濃度を有してもよい。
【0156】
ドリフトバッファ領域(17’’)のバッファドーパント濃度は、第2のドーパント濃度よりも25%高い濃度から3×1016at/cmの間であってもよく、又は第2のドーパント濃度よりも25%高い濃度又は3×1016at/cmに等しくてもよい。
【0157】
ドリフトバッファ領域(17’’)は、第1の軸(Z)に沿って最大厚さ(S)を有してもよく、最大厚さ(S)と最小本体距離(D)との間の第4の比(S/D)は、30%~50%であってもよく、又は30%若しくは50%に等しい。
【0158】
装置は、エレクトロニクスデバイス(10)を含むものとして要約することができる。
【0159】
上で説明される様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及された、及び/又は出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用するように変更して、さらなる実施形態を提供することができる。
【0160】
これらの変更及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともにすべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
【外国語明細書】