IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-178115電流突入リミッタのためのディセーブル回路
<>
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図1
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図2
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図3
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図4
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図5
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図6
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図7
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図8
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図9
  • 特開-電流突入リミッタのためのディセーブル回路 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178115
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電流突入リミッタのためのディセーブル回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20241217BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241217BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H02M1/00 H
H02J1/00 309R
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024085283
(22)【出願日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】18/450,575
(32)【優先日】2023-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202341036859
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】アブヒジート ゴッドボール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンデンサへの突入電流を抑制する。
【解決手段】電力制御回路が、第1の制御入力と第1の電流端子とを有するトランジスタを含む。コントローラが、第1の制御入力に結合されるコントローラ出力を有する。電流突入制限回路が、出力と、第1の制御入力に結合される入力とを有する。ディセーブル回路が、第1の入力と、感知入力と、供給基準端子とを有する。第1の入力は、電流突入制限回路の出力に結合される。感知入力は、第1の電流端子に結合される。ディセーブル回路は、第1の電流端子の電圧が閾値を下回ることに応答して、電流突入制限回路の出力を供給基準端子に結合し、第1の電流端子の電圧が閾値を上回ることに応答して、電流突入制限回路の出力を供給基準端子から結合解除するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1の制御入力と第1の電流端子とを有するトランジスタと、
前記第1の制御入力に結合されるコントローラ出力を有するコントローラと、
入力及び出力を有する電流突入制限回路であって、前記電流突入制限回路の前記入力が前記第1の制御入力に結合される、前記電流突入制限回路と、
第1の入力と、感知入力と、供給基準端子と、を有するディセーブル回路であって、前記ディセーブル回路の前記第1の入力が、前記電流突入制限回路の前記出力に結合され、前記感知入力が前記第1の電流端子に結合される、前記ディセーブル回路と、
を含み、
前記ディセーブル回路が、
前記第1の電流端子の電圧が閾値を下回ることに応答して、前記電流突入制限回路の前記出力を前記供給基準端子に結合し、
前記第1の電流端子の前記電圧が前記閾値を上回ることに応答して、前記電流突入制限回路の前記出力を前記供給基準端子から結合解除する、
ように構成される、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記トランジスタが第1のトランジスタであり、前記ディセーブル回路が、前記電流突入制限回路の前記出力と前記供給基準端子との間に結合される第2のトランジスタを含み、
前記ディセーブル回路が、
前記第2のトランジスタをオンにすることによって前記電流突入制限回路の前記出力を前記供給基準端子に結合し、
前記第2のトランジスタをオフにすることによって前記電流突入制限回路の前記出力を前記供給基準端子から結合解除する、
ように構成される、
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記ディセーブル回路が更に、
前記感知入力と前記供給基準端子との間に結合される抵抗器ディバイダと、
前記抵抗器ディバイダに結合される制御入力を有し、前記第2のトランジスタの制御入力に結合される第2の電流端子を有する、第3のトランジスタと、
前記装置の電圧入力と前記第2のトランジスタの前記御入力との間に結合される抵抗器と、
を含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、イネーブル入力を有する非活性化回路を更に含み、前記非活性化回路が、前記装置の前記電圧入力と前記抵抗器との間に結合される、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記コントローラが、前記非活性化回路の前記イネーブル入力に結合されるコントローライネーブル入力を有する、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、前記非活性化回路が、前記装置の前記電圧入力と前記抵抗器との間に結合される第4のトランジスタを含む、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記電流突入制限回路が、前記突入制限回路の前記入力と前記出力との間のコンデンサと直列に結合される抵抗器を含む、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記ディセーブル回路が、ヒステリシスを有する前記閾値を実装するように構成される、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記トランジスタが第1のトランジスタであり、前記コントローラが第1のコントローラであり、前記電流突入制限回路が第1の電流突入制限回路であり、前記ディセーブル回路が第1のディセーブル回路であり、前記装置が更に、
第2の制御入力と第2の電流端子とを有する第2のトランジスタと、
前記第2の制御入力に結合される第2のコントローラ出力を有する第2のコントローラと、
第2の入力と第2の出力とを有する第2の電流突入制限回路であって、前記電流突入制限回路の前記第2の入力が前記第2の制御入力に結合される、前記第2の電流突入制限回路と、
前記第2の出力に結合される第2のディセーブル回路と、
を更に含み、
前記第2のディセーブル回路が、第2の感知入力と第2の供給基準端子とを有し、前記第2の感知入力が前記第2の電流端子に結合され、
前記第2のディセーブル回路が、
前記第2の電流端子の第2の電圧が第2の閾値を下回ることに応答して、前記第2の電流突入制限回路の前記第2の出力を前記第2の供給基準端子に結合し、
前記第2の電流端子の前記第2の電圧が前記第2の閾値を上回ることに応答して、前記第2の電流突入制限回路の前記第2の出力を前記第2の供給基準端子から結合解除する、
ように構成される、
装置。
【請求項10】
電力制御回路であって、
第1の制御入力と第1の電流端子とを有する第1のトランジスタと、
前記第1の制御入力に結合されるコントローラ出力を有するコントローラと、
第2の制御入力端子と、第2及び第3の電流端子と、を有する第2のトランジスタであって、前記第3の電流端子が供給基準端子に結合される、前記第2のトランジスタと、
入力及び出力を有する電流突入制限回路であって、前記電流突入制限回路の前記入力が前記第1の制御入力に結合され、前記電流突入制限回路の前記出力が前記第2の電流端子に結合される、前記電流突入制限回路と、
前記電力制御回路の電圧入力と前記第2の制御入力との間に結合される第1の抵抗器と、
第3の制御入力と第4の電流端子とを有する第3のトランジスタであって、前記第3の制御入力が前記第1の電流端子に結合され、前記第4の電流端子が前記第2の制御入力に結合される、前記第3のトランジスタと、
を含む、電力制御回路。
【請求項11】
請求項10に記載の電力制御回路であって、前記第1の電流端子と前記供給基準端子との間に結合される抵抗器ディバイダを更に含み、前記抵抗器ディバイダが、前記第3の制御入力に結合される出力を有する、電力制御回路。
【請求項12】
請求項10に記載の電力制御回路であって、前記電力制御回路の前記電圧入力と前記第1の抵抗器との間に結合される第4のトランジスタを更に含む、電力制御回路。
【請求項13】
請求項12に記載の電力制御回路であって、前記第4のトランジスタが第4の制御入力を有し、前記電力制御回路が更に、
第5の制御入力と第5の電流端子とを有する第5のトランジスタであって、前記第5の制御入力がイネーブル入力に結合される、前記第5のトランジスタと、
前記第5の電流端子と前記第4の制御入力との間に結合される第2の抵抗器と、
を含む、電力制御回路。
【請求項14】
請求項13に記載の電力制御回路であって、前記コントローラが前記イネーブル入力に結合される、電力制御回路。
【請求項15】
請求項10に記載の電力制御回路であって、前記電流突入制限回路が、前記電流突入制限回路の前記入力と前記電流突入制限回路の前記出力との間のコンデンサと直列に結合される第1の抵抗器を含む、電力制御回路。
【請求項16】
回路であって、
第1の制御入力と第1の電流端子と第2の電流端子とを有する第1のトランジスタであって、前記第2の電流端子が供給基準端子に結合される、前記第1のトランジスタ、
第1の電圧入力と前記第1の制御入力との間に結合される第1の抵抗器と、
第2の制御入力と第3の電流端子とを有する第2のトランジスタであって、前記第2の制御入力が第2の電圧入力に結合され、前記第3の電流端子が前記第1の制御入力に結合される、前記第2のトランジスタと、
を含む、回路。
【請求項17】
請求項16に記載の回路であって、前記第2の電圧入力と前記供給基準端子との間に結合される抵抗器ディバイダを更に含み、前記抵抗器ディバイダが、前記第2の制御入力に結合される出力を有する、回路。
【請求項18】
請求項16に記載の回路であって、前記第1の電圧入力と前記第1の抵抗器との間に結合される第3のトランジスタを更に含む、回路。
【請求項19】
請求項18に記載の回路であって、前記第3のトランジスタが第3の制御入力を有し、前記回路が更に、
第4の制御入力と第4の電流端子とを有する第4のトランジスタであって、前記第4の制御入力がイネーブル入力に結合される、前記第4のトランジスタと、
前記第4の電流端子と前記第3の制御入力との間に結合される第2の抵抗器と、
を含む、回路。
【請求項20】
請求項16に記載の回路であって、前記第2のトランジスタが、前記供給基準端子に結合される第4の電流端子を有する、回路。
【請求項21】
請求項16に記載の回路であって、更に、
第3の制御入力と第4の電流端子とを有する第3のトランジスタと、
入力及び出力を有する電流突入制限回路と、
を含み、
前記電流突入制限回路の前記入力が、前記第3の制御入力に結合され、前記電流突入制限回路の前記出力が、前記第1の電流端子に結合される、
回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2023年5月26日に出願されたインド仮出願番号202341036859、発明の名称「容量性負荷を有する高突入電流制御応用例におけるゲートドライバのより高速なライン過渡応答のための新規な回路」の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
望ましくない電源電圧変動を低減するために、電気的負荷の電源入力端子と供給基準端子(例えば、接地)との間に結合されるコンデンサを有することは一般的な手法である。そのようなコンデンサは、そのような電気的負荷を含むシステムの電源投入事象の間に初期的に充電される。コンデンサにステップ電圧を印加すると、大きな、それゆえ悪影響を及ぼし得る、コンデンサへの突入電流が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
一例において、電力制御回路が、第1の制御入力と第1の電流端子とを有するトランジスタを含む。コントローラが、第1の制御入力に結合されるコントローラ出力を有する。電流突入制限回路が入力及び出力を有する。電流突入制限回路の入力は、第1の制御入力に結合される。ディセーブル回路が、第1の入力と、感知入力と、供給基準端子とを有する。ディセーブル回路の第1の入力は、電流突入制限回路の出力に結合される。感知入力は第1の電流端子に結合される。ディセーブル回路は、第1の電流端子の電圧が閾値を下回ることに応答して、電流突入制限回路の出力を供給基準端子に結合し、第1の電流端子の電圧が閾値を上回ることに応答して、電流突入制限回路の出力を供給基準端子から結合解除するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】一例において、バッテリと電子機器ユニットとの間の過剰な電流レベルから保護するためのヒューズを含む、例示のシステムの概略図である。
【0005】
図2】一例において、ヒューズの代わりに固体スイッチを含む、別の例示のシステムの概略図である。
【0006】
図3】一例において、電流突入制限回路を含むシステムである。
【0007】
図4図3のシステムと電流突入制限回路の動作を図示する例示の波形である。
【0008】
図5】一例において、電流突入制限回路に結合されるディセーブル回路を含む電力制御回路である。
【0009】
図6】一例におけるディセーブル回路の概略図である。
【0010】
図7】別の例における、電流突入制限回路に結合されるディセーブル回路を含む電力制御回路である。
【0011】
図8】一例における図7のディセーブル回路の概略図である。
【0012】
図9図6及び図8の回路の動作を図示する例示の波形である。
【0013】
図10】一例における、一次電力回路と補助電力回路とを含む例示のシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において、同一の参照番号又は他の参照符号が、(機能及び/又は構造が)同一又は類似の特徴を示すために用いられる。
【0015】
図1は、バッテリ120に結合される1つ又は複数の電子機器ユニット110及び112を含むシステム100の概略図である。バッテリ120は、電子機器ユニット110及び112の各々に対して動作電圧及び電流を提供する。1つ又は複数のヒューズが、バッテリ120と電子機器ユニット110及び112との間に結合される。図1において、個々のヒューズ132を含むバッテリヒューズボックス130が含まれる。電気ケーブルが、各電子機器ユニットをバッテリヒューズボックス130に結合する。例えば、電気ケーブル135が、バッテリヒューズボックス130を電子機器ユニット110に結合し、電気ケーブル136が、電子機器ユニット112をバッテリヒューズボックスに結合する。ヒューズが、各電気ケーブル内に含まれてもよく、又は各電気ケーブルに結合されてもよい。例えば、ヒューズ140が、電気ケーブル135及び電気ユニット110と関連付けられ、電子機器ユニット110への電流が、ヒューズ140を介して流れる。同様に、ヒューズ142が、電気ケーブル136及び電気ユニット112と関連付けられ、電子機器ユニット112への電流がヒューズ142を介して流れる。図1において、ヒューズ132、140、及び142は溶融ヒューズとすることができ、溶融ヒューズにおいて、ヒューズを介する過剰な電流がヒューズを過熱して、ヒューズ内の導体を溶融させ、導体の第1の部分を第2の部分から分離したままにし、それによって電流の流れを遮断する。
【0016】
システム100には、種々の応用例が可能である。例えば、システム100は、車両(例えば、自動車、トラック、バス、飛行機など)の一部であってもよい。自動車の文脈において、電子機器ユニット110は、エミッションコントローラであり得、電子機器ユニット112は、ボディ制御モジュールであり得る。電子機器ユニット110及び112は、様々な構成要素を含み得る。例えば、電子機器ユニット110は、マイクロコントローラユニット(MCU)111と、センサ113と、レジスタ114とを含む。電子機器ユニット112は、MCU111、ドライバ115、116を含み、ドライバ115、116はそれぞれ、光(例えば、発光ダイオード)117、118をオンにし、それらに対して電流を提供する。自動車は、バッテリ120から動作電力を受け取る、1つ又は複数の、典型的には多くの、電子機器ユニットを含み得る。
【0017】
各電子機器ユニットはまた、その電源端子入力と供給基準端子(例えば、接地)との間に結合されるコンデンサを含み得る。例えば、電子機器ユニット110がコンデンサC1を含み、電子機器ユニット112がコンデンサC2を含む。上述のように、そのようなコンデンサは、バッテリ120から各電子機器ユニット内の回路への供給電圧上のリップルを低減する。そのようなコンデンサは比較的大きい(例えば、5mF)場合がある。
【0018】
車両は、複数のヒューズボックス130にわたって分散された多数のヒューズ(例えば、80個を超えるヒューズ)を有し得る。電気ケーブル135及び136は、ヒューズを溶融させることなくヒューズが導通し得る最大量の電流を安全に導通するために、それらの厚み(断面積)に関して寸法決めされるべきである。例えば、20アンペア(A)の定格のヒューズの場合、電気ケーブルは、少なくとも20Aまでの電流を安全に導通するような寸法にする必要がある。しかしながら、溶融ヒューズの電流定格には、かなりのばらつきがある。例えば、20Aのヒューズは、その電流が25Aに達するまで融解しないことがある。このようなばらつきに起因して、車両内の電気ケーブルは概して、ヒューズの記載された電流定格より多くの電流を適応するように寸法決めされる。より大きな電流容量のケーブルは、ケーブルの断面積がより大きく、そのため、車両内でより多くの空間を占め、ケーブルもより重いことを意味する。
【0019】
上述の問題に対処するために、自動車における1つ又は複数の溶融ヒューズは、固体スイッチで置換することができる。例えば、図2は、融解ヒューズ(例えば、図1のヒューズ140)の代わりに、固体トランジスタ、例えば、トランジスタQ1、が含まれるシステム200の概略図である。ヒューズのうち任意のもの又はすべてを固体スイッチで置換することができる。固体トランジスタは、電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。コントローラ250が、トランジスタQ1の制御入力(例えば、ゲート)に結合される。トランジスタQ1を介する電流は、コントローラ250によって正確に監視され得、コントローラ250は、トランジスタを介する電流が所定の電流(例えば、20A)を超えることに応答して、トランジスタQ1をオフにし得る。コントローラ250によって実装される過電流閾値は、ヒューズを溶融する電流よりも変動が小さいので、固体スイッチと電子機器ユニットとの間に結合される電気ケーブルは、溶融ヒューズの場合よりも小さなゲージのワイヤを使用し得る。固体トランジスタQ1及びそれらの関連するコントローラ250は、車両内の配電ボックス/ゾーンモジュール240の一部として含まれ得る。
【0020】
溶融ヒューズの代わりにスイッチとしてトランジスタを用いることにより、車両においてより小型で軽量なケーブル配線を使用し得るが、このようなトランジスタを用いると、コンデンサC1を充電するためにトランジスタを介する突入電流がトランジスタを損傷させるという問題が生じることがある。例えば、車両がオフの場合、コントローラ250はオフであり得、コントローラ250がオフの場合、トランジスタQ1もオフである。トランジスタQ1がオフの場合、コンデンサC1は放電され得る。車両がオンになること応答して、コントローラ250はトランジスタQ1をオンにする。コンデンサへの電流は、時間に関してコンデンサの両端の電圧の変化率に比例する(コンデンサ電流∝dv/dt)。従って、トランジスタQ1がオンになるときのコンデンサ電圧の急激な変化は、トランジスタQ1が損傷するほど充分に大きな可能性があるコンデンサへの突入電流を引き起こす可能性がある。
【0021】
図3は、トランジスタQ1がオンにされたときの大きな突入電流に対する解決策を図示する電力制御回路300の概略図である。図3の電力制御回路300は、トランジスタQ1と、コントローラ250と、電流突入制限回路310とを含む。トランジスタQ1のドレイン上の電圧は、例えば、バッテリ(例えば、自動車バッテリ)からの入力電圧VINと標示される。トランジスタQ1のソース上の電圧は、出力電圧(VOUT)と標示され、出力電圧は、電子機器ユニット及びそのコンデンサ(例えば、コンデンサC1)に提供される。
【0022】
この例では、電流突入制限回路は、トランジスタQ1のゲートに結合される入力311と、接地基準360に結合される出力312とを有する。電流突入制限回路310は、入力311、及びそのためトランジスタQ1のゲートと、出力312、及びそのため接地基準360との間のコンデンサC3に直列に結合される、抵抗器R2を含み得る。コントローラ250は、感知入力351、353、及び354と、出力352とを含む。感知入力351は、トランジスタQ1のドレインに結合され、感知入力354は、トランジスタQ1のソースに結合される。トランジスタQ1のソースと感知入力353との間に抵抗器R1が結合される。コントローラ出力352は、トランジスタQ1のゲート及び抵抗器R2に結合される。
【0023】
コントローラ250がトランジスタQ1のターンオンを開始すると、コントローラ250は、その出力352を介して電流I1をソースする。電流I1は、トランジスタQ1のゲート静電容量への電流I2と、電流突入制限回路310への電流I3とに分かれる。電流I2は、トランジスタのゲート静電容量を充電し、電流I3は、コンデンサC3を充電する。コンデンサC3が充電されている間、トランジスタQ1のゲート上の電圧(HGATE)の上昇は、抵抗器R2の抵抗とコンデンサC3の静電容量との組み合わせによって実装される時定数に起因して制限される。HGATEが立ち上がり得る速さを制限することによって、トランジスタQ1は、電流突入制限回路310がない場合に生じ得るものと比較して、よりゆっくりとオンになる。電流突入制限回路310は、トランジスタQ1を介するコンデンサC1への突入電流の大きさを制限するが、電流突入制限回路310は、入力電圧VINに過渡電流が存在する場合、いくつかの問題を生じさせる可能性がある。
【0024】
図4は、電流突入制限回路310に関するいくつかの課題を図示する例示の波形を含む。図4の例示の波形は、VIN、VOUT、HGATE、トランジスタQ1のゲート-ソース間電圧(Vgs_Q1)、及びトランジスタQ1のドレイン-ソース間電圧(Vds_Q1)を含む。VIN波形は、VINがその公称レベル(例えば、12V)から40Vに急速に増加し、1ミリ秒(ms)で12Vに戻る過渡現象410を図示する。トランジスタQ1(VOUT)のソース上の電圧はまた、入力電圧VINの過渡現象410をほぼ追跡する過渡現象411を有する。しかしながら、ゲート電圧(HGATE)は、電流突入制限回路310の静電容量C3に起因して、VIN又はVOUTほど急速に上昇することができない。従って、HGATEの過渡現象412は、VIN及びVOUTの過渡現象410及び411より小さいスルーレートである。電流突入制限回路310は、トランジスタQ1のゲート電圧HGATEがトランジスタのソース電圧と同じくらい急速に上昇することを防止するので、Vgs_Q1は、Vgs_Q1の過渡現象413によって図示されるように減少する。Vgs_Q1の減少が引き起こし得る問題の一つは、Vgs_Q1がトランジスタの閾値電圧(Vth)まで降下すると、トランジスタQ1が望ましくなくオフになり、それによって電子機器ユニットへの電力がオフになることである。
【0025】
電流突入制限回路310の存在によって起こり得る別の問題は、コントローラ250の過電流検出能力の誤トリガである。トランジスタQ1がオンであり、完全に増強されているとき、そのオン抵抗(Rdson)は、かなり低く、既知の抵抗レベル(例えば、100ミリオーム)にある。Vds_Q1のレベルは、トランジスタQ1を流れる電流とそのオン抵抗との積である。コントローラ250の感知入力351及び353は、トランジスタQ1のソース及びドレインに(抵抗器R1を介して)結合され得る。感知入力351と353との間の電圧降下はVds_Q1に比例し、そのため、トランジスタを介する電流に比例する。コントローラ250は、感知入力351と353との間の電圧差と内部基準電圧とを比較する電圧比較器を含み得る。感知入力351と353との間の電圧差が基準電圧を超える場合(これは電子回路ユニット内の短絡などの過電流状態に応答して起こり得る)、コントローラ250はトランジスタQ1をオフにし得る。しかしながら、過渡現象413におけるVgs_Q1の減少は、トランジスタQ1のRdsonを増加させる。トランジスタQ1のRdsonの増大は、過渡現象414に図示されるように、そのVds_Q1を増大させる。コントローラ250は、望ましくないことに、トランジスタQ1をオフにすることによってVds_Q1の正の過渡現象414に応答することがある。すなわち、Vds_Q1の正の過渡現象414は、コントローラ250の過電流保護の誤ったトリガを引き起こし得る。
【0026】
図5は、トランジスタQ1と、コントローラ240と、電流突入制限回路310と、ディセーブル回路510とを含む電力制御回路500の概略図である。ディセーブル回路510を含むことにより、VINの過渡現象に応答して電流突入制限回路310によって引き起こされる上述の問題のいずれか又は両方を改善することができる。
【0027】
ディセーブル回路510は、第1の入力511と、感知入力512と、接地基準360に結合される接地端子513とを含む。電流突入制限回路310の出力312は、ディセーブル回路510の入力511に結合される。従って、電流突入制限回路310は、トランジスタQ1のゲートとディセーブル回路510の第1の入力511との間に結合される。従って、抵抗器R2及びコンデンサC3が、トランジスタQ1のゲートと第1の端子511との間に直列に結合される。ディセーブル回路510の感知入力512は、VOUTを受け取る。ディセーブル回路510は、VOUTが閾値を下回るか又は閾値を上回るかを検出する。閾値は、VINより小さいが、VINに近い。
【0028】
起動の間(例えば、自動車がオンにされると)、コントローラ250は、トランジスタQ1をオンにし始め、電流突入制限回路310は、トランジスタQ1のゲートへの電流I2が、電流突入制限回路がない場合よりも小さくなることを確実にし、それによって、トランジスタQ1が完全にオンになる速度を減速させる。トランジスタQ1がオンし始めると、VOUTは、0VからVINのレベル(例えば、12V)に向かって増加する。VOUTが閾値未満であることを検出したことに応答して、ディセーブル回路510は、第1の入力511を接地端子513に、そのため接地基準360に結合し、それによって、電流突入制限回路310の動作をイネーブルして、コンデンサC1への突入電流を制限する。VOUTが閾値を超えることを検出したことに応答して(例えば、コンデンサC1がほぼ完全に充電されているとき)、ディセーブル回路510は、電流突入制限回路310を結合解除し、それによって、電流突入制限回路310をディセーブルする。電流突入制限回路310が接地端子513及び接地基準360から結合解除されると、トランジスタQ1のゲートから抵抗器R2及びコンデンサC3を介して接地基準360までの電流経路が切断され、それによって、電流突入制限回路310が上述の問題のいずれか又は両方を引き起こすことを防止する。
【0029】
図6は、図5のものと同様であるが、ディセーブル回路510の例示の実装を含む概略図である。この例では、ディセーブル回路510は、トランジスタQ2及びQ3と、抵抗器R3と、抵抗ディバイダ620とを含む。トランジスタQ2及びQ3は、この例ではNPNバイポーラ接合トランジスタ(BJT)である。コレクタトランジスタQ2は、第1の入力511に、そのためコンデンサC3に結合される。抵抗器R3は、VINとトランジスタQ2のベース及びトランジスタQ3のコレクタとの間に結合される。トランジスタQ2及びQ3のエミッタは、共に結合され、接地端子513に結合される。抵抗器ディバイダ620は、感知入力512と接地端子513との間に直列に結合される抵抗器R4及びR5を含む。この例では、抵抗器ディバイダ620が2つの抵抗器R4及びR5を含むが、他の例において、抵抗器ディバイダ620が3つ以上の抵抗器を含むこともできる。抵抗器R4とR5との間の接続は、抵抗器ディバイダ620の出力621であり、トランジスタQ3のベースに結合される。
【0030】
抵抗器ディバイダ620の出力621における電圧は、VOUTと、抵抗器R4及びR5の相対抵抗値とに基づく。例えば、V_621=VOUT×R5/(R4+R5)であり、V_621は、出力621における電圧である。トランジスタQ3は、そのベース電圧V_621がトランジスタのベース-エミッタ間電圧(Vbe、例えば、0.6V)未満であるとき、オフである。トランジスタQ3は、そのベース電圧V_621がそのVbeを上回るとき、オンである。抵抗器ディバイダ620は、VOUTがVINに近づくまでトランジスタQ3をオフにし、その時点で、トランジスタQ3のベース-エミッタ間電圧は、トランジスタQ3をオンにするのに充分に高い。VINが12Vである例では、抵抗器R4及びR5の値は、VOUTが約11VであるときにVOUT×R5/(R4+R5)が0.7Vに達するように選択することができる。上述の閾値は、R4及びR5の値に基づいて設定され、一例において、0.7Vである。
【0031】
起動の間、トランジスタQ3はオフであるが、トランジスタQ2は、そのベースが抵抗器R3によってVINにプルアップされているためオンである。トランジスタQ2がオンの場合、電流突入制限回路310は、イネーブルされ、接地基準360に結合される。トランジスタQ1のゲートと接地基準360との間の抵抗器R2とコンデンサC3との直列の組み合わせを介する電流経路がイネーブルされると、電流突入制限回路310は、トランジスタQ1がオンになる速度を制限するように動作可能であり、それによって、コンデンサC1への電流突入電流を制限する。
【0032】
VOUTがVINに近い値に達すると、V_621は、トランジスタQ3をオンにするのに充分な大きさ(例えば、0.7V)になる。トランジスタQ3がオンになると、トランジスタQ2のベースは、トランジスタQ3を介して接地にプルされ、それによってトランジスタQ2をオフにする。トランジスタQ2がオフの場合、電流突入制限回路310は接地基準360から結合解除され、それによって、トランジスタQ1のゲートから抵抗器R2及びコンデンサC3を介する接地への電流経路をオフにする。この状態では、電流突入制限回路310は、ディセーブルされ、VINの過渡現象の間に起こり得る上述の問題のいずれか又は両方を引き起こさない。
【0033】
図7は、図6のものと同様であるが、相違点を有する概略図である。相違点は、図7の例におけるディセーブル回路510が、コントローラ250のイネーブル入力509に結合されるイネーブル入力714を含む点である。入力509及び714をイネーブルするためにイネーブル信号(EN)が提供され得る。イネーブル信号ENが第1の論理状態(例えば、論理0/低)にあることに応答して、コントローラ250及びディセーブル回路510はディセーブルされ、それによって、例えば、自動車が駐車(オフ)されているときの静止電流を低減する。イネーブル信号ENが第2の論理状態(例えば、論理1/高)にあることに応答して、コントローラ250及びディセーブル回路510がイネーブルされ、それによって、コントローラ250及びディセーブル回路510に、本明細書で説明されるようなそれらの機能性を実施させる。
【0034】
図8は、図6のものと同様の概略図であるが、ディセーブル回路510は、イネーブル信号ENの論理状態に応答するために、非活性化回路810を含む。この例では、非活性化回路810は、トランジスタQ4及びQ5と抵抗器R6及びR7とを含む。この例では、トランジスタQ4はNPN BJTであり、トランジスタQ5はPNP BJTである。トランジスタQ5のエミッタはVINに結合される。抵抗器R3は、トランジスタQ5のコレクタと、トランジスタQ2のベース及びトランジスタQ3のコレクタとの間に結合される。抵抗器R7は、トランジスタQ5のベースとトランジスタQ4のコレクタとの間に結合される。抵抗器R6は、トランジスタQ4のベースとイネーブル入力714との間に結合される。
【0035】
イネーブル信号ENが論理高であるとき、トランジスタQ4はオンであり、トランジスタQ5のベースを接地にプルし、それによってトランジスタQ5をオンにする。トランジスタQ5がオンの場合、ディセーブル回路510は、上述のように動作して、VOUTが抵抗器ディバイダ620によって設定された閾値よりも小さいときに第1の入力511を接地端子513に結合し、VOUTが閾値よりも大きいときに第1の入力511を接地端子513から結合解除して電流制限回路310をディセーブルする。イネーブル信号ENが論理低であるとき、トランジスタQ4はオフになり、これにより、トランジスタQ5もオフになる。トランジスタQ5がオフの場合、ディセーブル回路510は、ディセーブルされ、静止電流をほとんど又は全く消費しない。
【0036】
図9は、図6及び図8のディセーブル回路の動作を図示する例示の波形を含む。図9における波形には、VIN、VOUT、EN(図6ではなく図8に関連する)、Vgs_Q1、及びVds_Q1が含まれる。この例では、VINは、上述のように過渡現象410を受ける。VOUTは過渡現象912で応答する。VIN過渡現象410が起こる間、イネーブル信号ENは論理高であり、それによってディセーブル回路510がイネーブルされる(そして図6のディセーブル回路510は常にイネーブルされる)。Vgs_Q1は、ディセーブル回路510がない図4の場合のような下向きの過渡現象413を受けない。Vgs_Q1にドループがない場合、トランジスタQ1は、ディセーブル回路510がない場合に起こり得るように、そのままであり、意図せずオフになることを回避する。また、Vgs_Q1はドループしないので、トランジスタQ1のオン抵抗は実質的に増加せず、そのためVds_Q1は、VINの過渡現象410の間、比較的一定のままである。Vds_Q1は、それ自体の過渡現象を経験しないので、コントローラ250が過電流状態を誤って検出して、トランジスタQ1をオフにするリスクは実質的に低い。
【0037】
図9の例において、イネーブル信号ENは強制的に低にされる(915)。これは、例えば、自動車が駐車されている場合に起こり得る。ENが論理低状態である場合、コントローラ250は、トランジスタQ1をオフにし、それによってVOUTを0Vまで低下させる(916)。トランジスタQ1のドレイン電圧はVINであり、そのソース電圧は0Vである。従って、Vds_Q1は、918において、ほぼVINまで増加する。920において、イネーブル信号ENは、論理高状態に強制的に戻される(例えば、自動車が、駐車から動作状態に遷移される)。コントローラ250は、その出力352からの電流I1に強制的にトランジスタQ1をオンにさせることによって応答する。Vgs_Q1はそれに応答して増加し(925)、Vds_Q1は、トランジスタQ1がオンになるにつれて減少する(927)。
【0038】
図6及び図8の例示のディセーブル回路510はBJTを含む。他の例において、ディセーブル回路のトランジスタのうちの1つ又は複数を電界効果トランジスタ(FET)とし得る。例えば、図8において、トランジスタQ2及びQ3をBJTとし得、トランジスタQ4及びQ5をFETとし得る。あるいは、トランジスタQ2及びQ3はFETであってもよく、トランジスタQ4及びQ5はBJTであってもよい。更に別の例において、トランジスタQ2~Q5はFETとし得る。
【0039】
図10は、補助電力回路1060に結合される一次電力回路1020を含むシステム1000の概略図である。各電力回路1020、1060は、図5に示したものとほぼ同じとし得る。一次及び補助電力回路1020、1060の各々におけるディセーブル回路510は、上記で説明した図6及び図8の例に示すように実装され得る。電力回路1020、1060への入力は異なる電圧源に結合されるが、電圧源の大きさは同じとし得る。一次電力回路1020は一次電圧(VPRIMARY)を受け取り、補助電力回路1060は補助電圧(VAUX)を受け取る。一次及び補助電力回路1020、1060の出力は、出力電圧(VOUT)を負荷に提供するために共に結合される。
【0040】
コントローラ250の各々は、電圧感知入力(VSNS)を含む。一次電力回路1020のコントローラ250のVSNS入力は、一次電圧VPRIMARYに結合され、補助電力回路1060のコントローラ250のVSNS入力は、補助電圧VAUXに結合される。一次電圧VPRIMARYがアクティブである(例えば、閾値を上回る)間、一次電力回路1020は、負荷に出力電圧VOUTを供給し、コントローラ250は、補助電力回路1060のトランジスタQ1をオフすることによって一次電圧を感知することに応答する。一次電圧VPRIMARYが閾値を下回ると、一次電力回路1020のコントローラ250は、一次電力回路のトランジスタQ1をオフにし、補助電力回路1060のコントローラ250は、補助電力回路のトランジスタQ1をオンにする。
【0041】
いくつかの例において、第2のトランジスタが、電圧源(例えば、VPRIMARY又はVAUX)と負荷との間で、電力回路1020及び1060の各々内のトランジスタQ1に直列に結合される。例えば、そのような第2のトランジスタは、電圧源(例えば、VPRIMARY又はVAUX)とそれぞれのトランジスタQ1のドレインとの間に結合され得、第2のトランジスタのドレイン及びトランジスタQ1は共に結合される。従って、第2のトランジスタのバックゲートダイオードの極性は、トランジスタQ1のバックゲートダイオードの極性とは逆になる。VPRIMARYとVAUXとの間に電圧差が存在する場合、それぞれの電力回路1020、1060内のこのようなバックツーバックトランジスタは、一次側から補助側へのフィードバック電流のリスクを低減するのに役立ち、逆もまた同様である。例えば、電圧VPRIMARYがVAUXより大きい場合、補助電力回路1060における第2のトランジスタのバックゲートダイオードはオフになり(第2のトランジスタのチャネルもオフになり)、それにより、一次電源回路1020内のVOUTからのいかなるフィードバック電流も、補助電力回路を介して電圧VAUXにフィードバックすることが阻止される。同様に、電圧VAUXがVPRIMARYより大きい場合、一次電力回路1020における第2のトランジスタのバックゲートダイオードはオフにされ、それによって、補助電力回路1060内のVOUTからのいかなるフィードバック電流も電圧VPRIMARYにフィードバックすることが阻止される。
【0042】
各電力回路1020、1060は、上述のように、電流突入制限回路310とディセーブル回路510との組合せを含むことから利点を得る。加えて、ディセーブル回路510が上述のように、一次電力回路の電流突入制限回路310をディセーブルすることによって、一次電力回路1020から補助電力回路1060への切替えは、電流突入制限回路310がディセーブルされなかった場合より速い。
【0043】
本記載において、「結合する」という用語は、本記載と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行うためにデバイスBを制御する信号を生成する場合、(a)第1の例において、デバイスAは直接接続によってデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更しない場合に、デバイスAが、介在構成要素Cを介してデバイスBに結合されて、デバイスBはデバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAによって制御される。
【0044】
また、本記載において、「~に基づく」という記載は「~に少なくとも部分的に基づく」ことを意味する。そのため、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0045】
或るタスク又は機能を実施する「ように構成される」デバイスは、その機能を実施するように製造業者によって製造時に構成され(例えば、プログラム及び/又は配線接続され)、及び/又は、その機能及び/又は、他の付加的な又は代替の機能を実施するように製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介してもよく、ハードウェア構成要素の構築及び/又はレイアウトを介してもよく、デバイスの相互接続を介してもよく、又はそれらの組み合わせを介してもよい。
【0046】
本記載で用いる場合、「端子」、「ノード」、「相互接続」、「ピン」、及び「リード」という用語は、交換可能に用いられる。特に断りのない限り、これらの用語は概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又は、他の電子機器もしくは半導体構成要素、の間の相互接続、又はそれらの終端を意味するために用いられる。
【0047】
特定の構成要素を含むものとして本明細書に記載される回路又はデバイスが、代わりに、記載される回路要素又はデバイスを形成するようにそれらの構成要素に結合されるように適合され得る。例えば、1つ又は複数の半導体素子(トランジスタなど)、1つ又は複数の受動素子(抵抗器、コンデンサ、及び/又はインダクタなど)、及び/又は1つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流源など)を含むものとして記載される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内の半導体素子のみを含み得、製造時又は製造の後に、例えばエンドユーザー及び/又は第三者によって、記載される構造を形成するために、受動素子及び/又は供給源の少なくともいくつかに結合されるように適合され得る。
【0048】
本明細書では特定のトランジスタの使用について説明するが、代わりに、他のトランジスタ(又は同等のデバイス)を、残りの回路にほとんど又は全く変化を加えずに用いることもできる。例えば、電界効果トランジスタ(「FET」)(例えば、nチャネルFET(NFET)又はpチャネルFET(PFET))、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:例えば、NPNトランジスタ又はPNPトランジスタ)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、及び/又は、接合電界効果トランジスタ(JFET)が、本明細書に記載されるデバイスの代わりに、又はそれと併せて用いられ得る。トランジスタは、空乏モードデバイス、ドレイン拡張デバイス、エンハンスメントモードデバイス、ナチュラルトランジスタ、又は他のタイプのデバイス構造トランジスタであり得る。また、デバイスは、シリコン基板(Si)、炭化シリコン基板(SiC)、窒化ガリウム基板(GaN)、又はヒ化ガリウム基板(GaAs)内/上に実装され得る。
【0049】
特許請求の範囲において、トランジスタの制御入力及びその電流端子について言及され得る。FETの文脈において、制御入力はゲートであり、電流端子はドレイン及びソースである。BJTの文脈において、制御入力はベースであり、電流端子はコレクタ及びエミッタである。
【0050】
本記載における「オン」又は「イネーブル」であるFETについての言及は、FETの導電チャネルが存在し、FETを介してドレイン電流が流れ得ることを意味する。本記載において、「オフ」又は「ディセーブル」であるFETについての言及は、導電チャネルが存在せず、そのため、FETを介してドレイン電流が流れないことを意味する。しかしながら、「オフ」であるFETは、トランジスタのボディダイオードを介して電流を流し得る。
【0051】
本明細書において記載される回路は、構成要素交換前に利用可能な機能性と少なくとも部分的に同様の機能性を提供するように、付加的な又は異なる構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として示される構成要素が、別途記載がない限り、概して、示される抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するために直列及び/又は並列に結合される、任意の1つ又は複数の要素を表す。例えば、単一の構成要素として本記載に示され記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、同じノード間で並列に結合される、それぞれ、複数の抵抗器又はコンデンサであってもよい。例えば、単一の構成要素として本記載に示され記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、単一の抵抗器又はコンデンサと同じ2つのノード間に直列に結合される、それぞれ、複数の抵抗器又はコンデンサであってもよい。
【0052】
記載される例の或る要素が集積回路に含まれ、他の要素が集積回路の外部にあるが、他の例示の実施例において、付加的な又はより少ない特徴が集積回路に組み込まれてもよい。また、集積回路の外部にあるものとして図示された特徴の一部又は全部が集積回路に含まれてもよく、及び/又は、集積回路の内部にあるものとして図示されたいくつかの特徴が、集積回路の外部に組み込まれてもよい。本記載で用いる場合、「集積回路」という用語は、(1)半導体基板内/上に組み込まれる、(2)単一の半導体パッケージ内に組み込まれる、(3)同じモジュール内に組み込まれる、及び/又は(4)同じ印刷回路基板内/上に組み込まれる、1つ又は複数の回路を意味する。
【0053】
前述の説明における「接地」という用語の使用は、シャーシ接地、アース接地、浮動接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は、本記載の教示に適用可能であるか又は本記載の教示に適した、任意の他の形態の接地接続を含む。本記載では、特に明記しない限り、或るパラメータに先行する、「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、そのパラメータの+/-10パーセント以内であること、又は、パラメータがゼロである場合、ゼロ付近の値の妥当な範囲を意味する。
【0054】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】