(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178125
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ロータ積層コアの装着性を向上させた電気機械用のロータおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/22 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088370
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】10 2023 114 241.0
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、シュレーレス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、フスニク
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト、ケスラー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】技術的に簡単で柔軟な方法で可能な、階段状ロータ積層コアまたはロータの製造方法を提供する。
【解決手段】ロータシャフト(2b)と、互いに軸方向に積み重ねられたn個のサブコア(SP
1..SP
6)を有する、ロータシャフト(2b)上に装着されたロータ積層コアと、サブコア(SP
1..SP
6)内に配置された複数のロータ磁石と、を備える電気機械用のロータ(3b)が明示される。少なくとも2つのサブコア(SP
1..SP
6)の磁極(P
1、P
2)は、段階変化角度(α
ST)だけ互いに対してねじれている。加えて、ロータシャフト(2b)上に装着されたディスクは、角距離だけ互いに離間した複数の窪みを有する。本発明はさらに、上述のタイプのロータ(3b)を有する電気機械、そのような電気機械を有する車両、およびそのようなロータ(3b)のための製造方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ロータシャフト(2、2a..2f)、
-互いに軸方向に積み重ねられておりかつ各々が互いに軸方向に積み重ねられた複数のロータ積層体(13)を有するn個のサブコア(SP1..SP6)を有する、前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に装着されたロータ積層コア(12)、
-前記サブコア(SP1..SP6)内に配置されておりかつ前記サブコア(SP1..SP6)の磁極(P1、P2)を形成する複数のロータ磁石(15)であって、サブコア(SP1..SP6)の隣接する磁極(P1、P2)が、各々極角度(αP)だけ互いに離間しており、少なくとも2つのサブコア(SP1..SP6)の前記磁極(P1、P2)が、段階変化角度(αST)だけ互いに対してねじれている、複数のロータ磁石(15)
を備える電気機械(1)用のロータ(3a、3b)において、
-前記ロータシャフト(2、2a..2f)または前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に装着されたディスク(14b、21a、21b)が、複数の窪み(V、V1、V2)を有し、インデックスi+1を有する窪み(V、V1、V2)が、インデックスiを有する窪み(V、V1、V2)から角距離
∝i,i+1=k・∝p+∝ST
だけ離間しており、
式中、kが、偶数であることを特徴とする、
ロータ(3a、3b)。
【請求項2】
前記窪み(V、V1、V2)が、前記ロータシャフト(2、2a..2f)内または前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に装着されたディスク(14b、21a、21b)内の周方向側面または端部側面上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のロータ(3a、3b)。
【請求項3】
前記窪み(V、V1、V2)が、前記ロータシャフト(2、2a..2f)のカラー(17、17a..17d)上に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のロータ(3a、3b)。
【請求項4】
前記窪み(V、V1、V2)が、円筒形のボアとして設計されているか、または円錐形もしくは楔形のプロファイルを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のロータ(3a、3b)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のロータ(3a、3b)を有する電気機械(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の電気機械(1)を有する車両(25)であって、前記電気機械(1)が、前記車両(25)を駆動するために設けられている、車両(25)。
【請求項7】
電気機械(1)用のロータ(3a、3b)を製造するための方法であって、前記ロータ(3a、3b)が、間に極角度(αP)を有する複数の磁極(P1、P2)と、n個の軸方向に隣接するサブコア(SP1..SP6)を有するロータ積層コア(12)と、を有し、少なくとも2つのサブコア(SP1..SP6)の前記磁極(P1、P2)が、段階変化角度(αST)だけ互いに対してねじれており、
a)前記ロータ(3a、3b)のロータシャフト(2、2a..2f)を、前記ロータシャフト(2、2a..2f)内または前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に装着されたディスク(14b、21a、21b)内のインデックスiを有する窪み(V、V1、V2)によって画定されたインデックスiによる角度位置で組立装置(23)内にクランプするステップと、
b)サブコア(SP1..SP6)を、前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に前記インデックスiをもって装着するステップと、
c)前記組立装置(23)を使用して、前記ロータシャフト(2、2a..2f)を、前記ロータシャフト(2、2a..2f)内または前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に装着された前記ディスク(14b、21a、21b)内の前記インデックスi+1を有する窪み(V、V1、V2)によって画定された前記インデックスi+1による角度位置に回転させるステップであって、前記インデックスi+1を有する前記窪み(V、V1、V2)が、前記インデックスiを有する前記窪み(V、V1、V2)から角距離
∝i,i+1=k・∝p+∝ST
だけ離間しており、
式中、kが、偶数である、回転させるステップと、
d)前記サブコア(SP1..SP6)のすべてが装着されるまでの、ステップa)の前記インデックスi=1によって開始し、ステップb)の前記インデックスi=nによって終了する、昇順のインデックスiによりステップb)およびc)を再帰的に繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記ディスク(21a、21b)が、ステップa)の前に前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に装着され、最終のサブコア(SP1..SP6)の組立て後に再び前記ロータシャフト(2、2a..2f)から取り外されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ディスク(14b、21a、21b)が、前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に形状嵌合式に装着されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
形状嵌合が、前記ロータシャフト(2、2a..2f)のスプラインによって、フックスパナ用の前記ロータシャフト(2、2a..2f)の溝によって、またはフェイススパナ用の前記ロータシャフト(2、2a..2f)内の穴によって生成され、前記ディスク(14b、21a、21b)が、装着状態で形状嵌合要素と相互作用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組立装置(23)のロックピン(18a..18c)が、ステップb)の前に前記インデックスiを有する前記窪み(V、V1、V2)内に係合することを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記サブコア(SP1..SP6)が、すべて、前記組立装置(23)に対して同じ角度位置で前記ロータシャフト(2、2a..2f)上に押し付けられることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記段階変化角度(αST)が、
-前記サブコア(SP1..SP6)のすべてに対して同じ大きさであるか、または
-nが奇数である場合、前記段階変化角度(αST)の符号が軸方向を中心として変化するか、または
-軸方向を中心としてゼロであり、nが偶数である場合、前記段階変化角度(αST)の符号が変化する
ことを特徴とする、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータシャフトと、互いに軸方向に積み重ねられたn個のサブコアを有する、ロータシャフト上に装着されたロータ積層コアと、サブコア内に配置された複数のロータ磁石と、を備える電気機械用のロータに関する。サブコアは各々、互いに軸方向に積み重ねられた複数のロータ積層体を有し、ロータ磁石は、サブコアの磁極を形成し、サブコアの隣接する磁極は各々、極角度αPだけ互いに離間しており、少なくとも2つのサブコアの磁極は、段階変化角度αSTだけ互いに対してねじれている。加えて、本発明は、上述のタイプのロータを有する電気機械、およびそのような電気機械を有する車両に関する。最後に、本発明はまた、上述のタイプのロータを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプのロータ、電気機械、車両、および製造方法は、原理上先行技術から知られている。このようなロータの場合、関連する電気機械のより滑らかなトルクプロファイルを達成するために、ロータ積層コア内に磁極が階段状に配置されている。したがって、このようなロータ積層コアは「階段状ロータ積層コア」とも呼ばれ、またはこのようなロータは「階段状ロータ」とも呼ばれる。このようなロータの製造中、複数のサブコアがロータシャフト上に装着され、そのうちの少なくともいくつかは互いに対してねじれている。磁極の所定の角度オフセットが確実に守られるように特に注意する必要があり、そうしないと、望ましくない振動および過度のノイズが発生する場合があるためである。ロータ積層体は、この目的のために、ピンまたはねじが挿入されてロータ積層体を整列させるオフセット穴を用いて作製されることが多い。欠点は、穴の必要なオフセットのためにサブコアが異なり、製造および保管を困難にすることである。加えて、サブコアの設計を毎回変更しなければならないため、非常に労力をかけてのみ異なる段階変化を実現することができ、これは先行技術による階段状ロータの製造が、時間がかかるだけでなく柔軟性もないことを意味する。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改善されたロータ、改善された電気機械、改善された車両、および電気機械のロータのための改善された製造方法を提供することである。特に、階段状ロータ積層コアまたはロータの製造は、技術的に簡単で柔軟な方法で可能にされることが意図されている。特に、同一のロータ積層体の使用が可能になるように意図されている。
【0004】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプのロータによって達成され、ロータシャフトまたはその上に装着されたディスクは複数の窪みを有し、インデックスi+1を有する窪みは、インデックスiを有する窪みから角距離
∝i,i+1=k・∝p+∝ST
だけ離間しており、
式中、kは、偶数である。
【0005】
さらに、本発明の目的は、上述のタイプのロータを有する電気機械によって達成される。電気機械は、特に、ハウジングと、ハウジング内に配置されたステータと、ステータ内に配置されており、ハウジング内にロータ軸を中心に回転可能に装着された上述のタイプのロータと、を備え得る。
【0006】
さらに、本発明の目的は、車両を駆動するために設けられた上述のタイプの電気機械を有する車両によって達成される。
【0007】
加えて、本発明の目的は、電気機械用のロータを製造するための方法であって、ロータが、間に極角度αPを有する複数の磁極と、n個の軸方向に隣接するサブコアを有するロータ積層コアと、を有し、少なくとも2つのサブコアの磁極が、段階変化角度αSTだけ互いに対してねじれており、方法が、以下の
a)ロータのロータシャフトを、ロータシャフト内またはロータシャフト上に装着されたディスク内のインデックスiを有する窪みによって画定されたインデックスiによる角度位置で組立装置内にクランプするステップと、
b)サブコアを、ロータシャフト上にインデックスiをもって装着するステップと、
c)組立装置を使用して、ロータシャフトを、ロータシャフト内またはロータシャフト上に装着されたディスク内のインデックスi+1を有する窪みによって画定されたインデックスi+1による角度位置に回転させるステップであって、インデックスi+1を有する窪みが、インデックスiを有する窪みから角距離
∝i,i+1=k・∝p+∝ST
だけ離間しており、
式中、kが、偶数である、回転させるステップと、
d)サブコアのすべてが装着されるまでの、ステップa)のインデックスi=1によって開始し、ステップb)のインデックスi=nによって終了する、昇順のインデックスiによりステップb)およびc)を再帰的に繰り返すステップと、
を含む、方法によって達成される。
【0008】
組立装置のロックピンが、ステップb)の前にインデックスiを有する窪み内に係合する場合、有利である。その結果、ロータシャフトの位置固定が特に成功する。例えば、ロックピンは、ばね荷重式または電動式であり得る。さらに、ロックピンは、円筒形状または楔形状または円錐形状を有し得る。
【0009】
提案された方策は、隣接するサブコアの正確な位置決め、したがって階段状ロータ積層コアまたはロータの製造を、技術的に簡単で柔軟な方法で達成することを可能にする。これにより、隣接するサブコアの磁極の角度オフセットを正確に維持することが可能になり、その結果、電気機械の動作中の振動および過度のノイズの発生を回避することができる。サブコアおよびロータ積層コアの製造に同一のロータ積層体を使用できることも特に有利である。これは、段階変化の変更をあまり手間をかけずに実施できることを意味し、ロータの製造における柔軟性を大幅に改善する。
【0010】
本発明のさらなる有利な構成および展開は、図と併せて考慮したとき、従属請求項および説明から明らかである。
【0011】
窪みは、ロータシャフト内またはその上に装着されたディスク内の周方向側面または端部側面上に有利に配置され得る。窪みがロータシャフト内に直接配置される場合、ロータシャフトを特に正確に定位置に固定することができるが、ディスクの場合、窪みのねじれ角の設計においてより柔軟性を提示する。ディスクは、別の目的、例えば、ロータ積層体の軸方向の固設にも使用することができる。周方向の窪みは、一般に、組立装置のロックピンが軸方向にわずかな空間しか必要としないという利点をもたらす。逆に、端部側面の窪みは、組立装置のロックピンが半径方向にわずかな空間しか必要としないという利点をもたらす。
【0012】
窪みがロータシャフトのカラー上に配置される場合、有利である。これにより、ロータシャフトの弱化を防ぐことができる。
【0013】
窪みが円筒形のボアとして設計されているか、または円錐形もしくは楔形のプロファイルを有する場合、さらに有利である。楔形のプロファイルは、ロックピンがロータシャフトを特に高精度で定位置に固定することができるという利点をもたらすが、円筒形のボアの場合、より容易に製造することができる。
【0014】
ディスクがステップa)の前にロータシャフト上に装着され、最終のサブコアの組立て後に再びロータシャフトから取り外される場合も、特に有利である。このようにして、ディスクは複数回使用することができる。
【0015】
ディスクがロータシャフト上に形状嵌合式に装着される場合も有利である。これにより、ディスクとロータシャフトとの間の望ましくない相対回転を回避することができる。
【0016】
形状嵌合が、ロータシャフトのスプラインによって、フックスパナ用のロータシャフトの溝によって、またはフェイススパナ用のロータシャフト内の穴によって生成され、ディスクが、装着状態で上述された形状嵌合要素と相互作用する場合も、特に有利である。このようにして、いずれの場合にも存在し得、別の目的にも使用されるロータシャフトの要素を、ディスクとロータシャフトとの間の形状嵌合接続に使用することができる。例えば、その後の動作中のロータシャフト上のピニオンの形状嵌合接続のために、スプラインを使用することができる。例えば、シャフトナットの装着中の保持目的のために、フックスパナ用の溝またはフェイススパナ用の穴を使用することもできる。
【0017】
サブコアが、すべて、組立装置に対して同じ角度位置でロータシャフト上に押し付けられる場合も、有利である。これにより、サブコアの供給が簡略化され、任意選択で自動的に実行され得る。
【0018】
一般に、段階変化角度は、
-サブコアのすべてに対して同じ大きさであり得るか、または
-nが奇数である場合、段階変化角度の符号が軸方向を中心として変化し得るか、または
-軸方向を中心としてゼロであり得、nが偶数の場合、段階変化角度の符号が変化し得る。
【0019】
第1の実施形態の変形例は、直線的な階段状ロータの製造を可能にするが、一方、2つの他の実施形態の変形例は、矢形状またはV形状の階段状ロータを製造するために使用することができる。
【0020】
本発明の例示的な実施形態は、添付の概略図に例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】半断面で概略的に示された例示的な電気機械を示す。
【
図2】電気機械用の例示的なロータの斜視図を示す。
【
図3】ロータシャフトを定位置に固定するための周方向に配置された窪みを有するロータシャフトの正面図を示す。
【
図4】ロータシャフトを定位置に固定するための端部側面上に配置された窪みを有するロータシャフトの正面図を示す。
【
図5】ロータシャフトと、ロータシャフト上に装着されておりロータシャフトを定位置に固定するための周方向に配置された窪みを有するディスクと、を有する構成の正面図を示す。
【
図6】ロータシャフトと、ロータシャフト上に装着されておりロータシャフトを定位置に固定するための端部側面上に配置された窪みを有するディスクと、を有する構成の上面図を示す。
【
図7】ロータ積層コアの装着中のシーケンスを概略的に示す。
【
図8】提案されたタイプの電気機械を有する例示的な車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
導入として、異なる実施形態における同一の部品には、同じ参照符号または同じ構成要素の名称が付され、必要に応じて異なるインデックスが付されることを述べる。したがって、説明に含まれる構成要素の開示は、同じ参照符号または同じ構成要素の名称を有する別の構成要素に移され得る。また、「頂部」、「底部」、「後方」、「前方」、「側面」などの説明で選択された位置を表す用語は、直接説明および図示された図に関連し、位置が変更された場合には、それに応じて新しい位置に移されるべきである。
【0023】
図1は、半断面で概略的に示された例示的な電気機械1を示している。電気機械1は、ロータ3aの一部としてロータシャフト2aを備え、ロータシャフト2aは、ステータ5に対してロータ軸または回転軸Aを中心として(転がり)軸受4a、4bによって回転可能に装着されている。具体的には、第1の軸受4aは第1の前端板6に着座し、第2の軸受4bは第2の後端板7に着座する。さらに、電気機械1は、前端板6と後端板7とを接続しかつステータ5を収容する、中央ハウジング部品8を備える。この例では、前端板6、後端板7、およびハウジング部品8は、電気機械1のハウジング9を形成する。ステータ5は、複数のステータ積層体を有する詳細には図示されていないステータ積層コア10と、その中に配置されたステータ巻線11と、を備える。
【0024】
ロータ3aは、互いに軸方向に積み重ねられたn個のサブコアSP
1..SP
5を備えるロータ積層コア12を備え、nは自然数であり、具体例ではn=5である。サブコアSP
1..SP
5は各々、互いに軸方向に積み重ねられておりこの例ではロータシャフト2a上に装着された任意選択の端部ディスク14a、14bによって軸方向に固設された、複数のロータ積層体13を備える。ロータ積層コア12はまた、ロータシャフト2aのシャフトショルダおよび/またはロータシャフト2a上にねじ込まれたシャフトナットによって軸方向に固設され得る。加えて、ロータ積層コア12は、サブコアSP
1..SP
5内に配置されたロータ磁石15を有する。最後に、
図1では、端部ディスク14b内に窪みVが設けられているが、その重要性については以下で詳細に説明する。
【0025】
図2は、別の例示的なロータ3bを斜視図で示している。この例では、ロータ3bは、互いに軸方向に積み重ねられておりかつ各々が段階変化角度α
STだけ互いに対してねじれている、n=6個のサブコアSP
1..SP
6を有する。したがって、サブコアSP
1..SP
6における磁極P
1、P
2は、各々異なる角度位置にあり、その結果、階段状ロータ3bが得られる。いずれの場合も、サブコアSP
1..SP
6の磁極P
1、P
2間には極角度α
Pが存在する。例えば、磁極P
1はN極Nである一方、磁極P
2はS極Sである。磁石15は
図2には明示されていない。代わりに、
図2は、完成したロータ3bにおいて磁石15が中に配置される凹部16a..16cを示している。ロータ3bは直線的に階段状になっているが、
図2に点線で示すように、矢形状の段階変化も考えられ得る。
【0026】
ロータシャフト2b上、具体的にはシャフトショルダ内またはシャフトカラー17内には、式を満たす互いに角距離α1,2にある窪みV1、V2が配置されている。
∝1,2=k・∝p+∝ST
式中、kは、偶数である。
【0027】
窪みV
1、V
2は、ロータ積層コア12の装着中にロータシャフト2bを定位置に固定するために使用される(この点については
図7も参照されたい)。
図2の窪みV
1、V
2の設計は単なる一例であり、他の設計も可能である。
【0028】
この目的のために、
図3は、この例では楔形断面を有する軸方向に延びる溝によって形成された周方向に配置された窪みV
1、V
2を有するロータシャフト2cの正面図を示している。ロータシャフト2cを定位置に固定するために、例えば、ばね荷重ロックピン18aが窪みV
1、V
2内に係合またはラッチし得る。窪みV
1、V
2に加えて、ロータシャフト2cは、例えばシャフトナット(図示せず)をロータシャフト2c上に装着するときにロータシャフト2cを保持できるようにするために、フックスパナ用の任意選択の凹部19も有する。
【0029】
図4は、
図3に示すロータシャフト2cとよく似た別のロータシャフト2dを示している。これに対して、シャフトカラー17b内には、ロータシャフト2dを固定するための窪みV
1、V
2が周方向ではなく端部側面上に配置されている。加えて、ロータシャフト2dは、フェイススパナ用の任意選択の凹部20を有し、凹部はまた、シャフトナットの装着を容易にするのに役立つ。
【0030】
図5は、ディスク21aが上に装着されたロータシャフト2eの構成を示している。この例では、ロータシャフト2eを定位置に固定するための窪みV
1、V
2はディスク21a上に配置されている。この場合、ディスク21aが、フックスパナ用の凹部19内に係合するかまたは凹部19と相互作用し、よってロータシャフト2eに対する定位置へのディスク21aの形状嵌合固定を確実にする、延在部22aを有すると有利である。ディスク21aは、ロータシャフト2e上に恒久的に装着されてもよいし、ロータ積層コア12の装着中に一時的にのみロータシャフト2e上に装着されてもよい。
【0031】
図6は、ディスク21bが上に装着されたロータシャフト2fのさらなる構成を上面図で示している。この例では、ロータシャフト2fを定位置に固定するための窪みV
1、V
2もディスク21b内に配置されているが、
図5とは異なり、それらは端部側面上に配置されている。加えて、窪みV
1、V
2は楔形ではなく、むしろ円筒形のボアの形態である。ディスク21bは、今度は、フェイススパナ用の凹部20内に係合するか、またはそれと相互作用し、よってロータシャフト2fに対する定位置へのディスク21bの形状嵌合固定を確実にする、延在部22bを有する場合、有利である。ディスク21bは、今度は、ロータシャフト2f上に恒久的に取り付けられてもよいし、ロータ積層コア12の装着中にロータシャフト2f上に一時的にのみ装着されてもよい。
【0032】
図5および
図6に示す例では、凹部19および20によって形状嵌合が生成されている。あるいは、例えば、ロータシャフト2a..2fのスプラインによって形状嵌合を生成することも考えられ得る。
【0033】
図7は、ロータ積層コア12の装着中のシーケンスを概略的に示している。具体的には、
図7は、ロータシャフト2がそれによってクランプされる2つのクランプジョー24a、24bを有する組立装置23を示している。また、4つのサブコアSP
1..SP
4が
図7に示されている。
【0034】
ロータ3a、3bを製造するための方法は、以下の
a)ロータ3a、3bのロータシャフト2、2a..2fを、ロータシャフト2、2a..2f内またはロータシャフト2、2a..2f上に装着されたディスク14b、21a、21b内のインデックスiを有する窪みV、V1、V2によって画定されたインデックスiによる角度位置で組立装置23内にクランプするステップと、
b)サブコアSP1..SP6を、ロータシャフト2、2a..2f上にインデックスiをもって装着するステップと、
c)組立装置23を使用して、ロータシャフト2、2a..2fを、ロータシャフト2、2a..2f内またはロータシャフト2、2a..2f上に装着されたディスク14b、21a、21b内のインデックスi+1を有する窪みV、V1、V2によって画定されたインデックスi+1による角度位置に回転させるステップであって、インデックスi+1を有する窪みV、V1、V2が、インデックスiを有する窪みV、V1、V2から角距離
∝i,i+1=k・∝p+∝ST
だけ離間しており、
式中、kが、偶数である、回転させるステップと、
d)サブコアSP1..SP6のすべてが装着されるまでの、ステップa)のインデックスi=1によって開始し、ステップb)のインデックスi=nによって終了する、昇順のインデックスiによりステップb)およびc)を再帰的に繰り返すステップと、
を含み得る。
【0035】
ロータシャフト2、2a..2fの定位置への確実な固定を保証するために、組立装置23のロックピン18a..18cが、
図7のロックピン18cに示すように、ステップb)の前に、インデックスiを有する窪みV
1、V
2内に係合するようにされ得る。例えば、ロックピン18cは、ばね荷重式または電動式であり得る。さらに、ロックピン18cは、円筒形状または楔形状または円錐形状を有し得る。
【0036】
提案された方策により、隣接するサブコアSP1..SP6の磁極P1、P2のオフセットを段階変化角度αSTだけ正確に維持することが可能となり、その結果、電気機械1の動作中の振動および過度のノイズの発生を回避することができる。また、サブコアSP1..SP6およびロータ積層コア12の製造に同一のロータ積層体13を使用できることも特に有利である。
【0037】
有利には、サブコアSP1..SP4は、すべて、組立装置23に対して同じ角度位置でロータシャフト2上に押し付けられる。これにより、サブコアSP1..SP4の供給が簡略化され、任意選択で自動的に実行され得る。
【0038】
1つの実施形態の変形例では、ロータ積層コアの装着後、ディスク14b、21a、21bがロータシャフト2、2a..2f上に残るようにされ得る。これは、例えば、電気機械が動作しているときでもロータ積層コア12を軸方向に固設するように意図されたディスク14bに当てはまる。しかしながら、ディスク21a、21bはステップa)の前にロータシャフト2、2a..2f上(のみ)に装着され、最終のサブコアSP1..SP6の装着後にロータシャフト2、2a..2fから再度取り外されることも考えられる。このようにして、ディスク21a、21bを複数回使用してもよい。
【0039】
一般に、段階変化角度α
STは、例えば
図2の場合のように、サブコアSP
1..SP
6のすべてに対して同じ大きさであり得る。この実施形態の変形例は、直線的な階段状ロータ3bの製造を可能にする。また、段階変化角度α
STが軸方向を中心としてゼロであり、nが偶数であるときにその符号が変化することも考えられ、その結果、矢形状の階段状ロータ3bが製造され得る。
図2では、このような実施形態が点線で示されている。最後に、nが奇数である場合、段階変化角度α
STの符号が軸方向を中心として変化することも考えられる。これにより、同様に、矢形状の階段状ロータ3bが製造されるが、この場合nは奇数であるため、中心に同じ角度位置を有するサブコアSP
3、SP
4は存在しない。
【0040】
最後に、
図8は、車両25内に設置された電気機械1を示している。車両25は、2つの車軸を有し、2つの車軸のうちの一方が駆動される。具体的には、電気機械1は、任意選択のギヤボックス26を介して後車軸または前車軸の半車軸27に接続されている。最後に、被駆動車輪28が半車軸27上に装着されている。電気機械1、ギヤボックス26、および半車軸27は、車両25のドライブトレインの一部である。車両25の駆動は、電気機械1によって少なくとも部分的または一時的に実行される。これは、電気機械1が車両25の唯一の駆動装置として機能してもよいし、例えば内燃機関(ハイブリッド駆動装置)とともに提供されてもよいことを意味する。
【0041】
結論として、保護の範囲は特許請求の範囲によって決定されるということが強調される。しかしながら、明細書および図面は、特許請求の範囲を解釈するために使用されるべきである。図に含まれる特徴は、必要に応じて互いに交換され、組み合わせられ得る。特に、図示されている装置は、実際には図示されているよりもさらに多いまたはさらに少ない構成部品を備え得ることも強調される。場合によっては、図示されている装置またはそれらの構成部品はまた、一定の縮尺ではなく、かつ/または拡大された縮尺で、かつ/または縮小された縮尺で図示され得る。
【符号の説明】
【0042】
1 電気機械
2、2a..2f ロータシャフト
3a、3b ロータ
4a、4b 軸受
5 ステータ
6 第1の端板
7 第2の端板
8 ステータハウジング
9 機械ハウジング
10 ステータ積層コア
11 ステータ巻線
12 ロータ積層コア
13 ロータ積層体
14a、14b 端部ディスク
15 ロータ磁石
16a..16c ロータ磁石用の凹部
17、17a、17d シャフトショルダ/シャフトカラー
18a..18c ロックピン
19 フックスパナ用の凹部
20 フェイススパナ用の凹部
21a、21b (ラッチ)ディスク
22a、22b 延在部
23 組立装置
24a、24b クランプジョー
25 車両
26 ギヤボックス
27 半車軸
28 車輪
A ロータ軸
N N極
P1、P2 磁極
S S極
SP1..SP6 サブコア
V、V1、V2 窪み
αST 段階変化角度
αP 極角度
α1,2 窪み間の角距離
【外国語明細書】