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特開2024-178129CAR T細胞療法のための配列決定法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178129
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】CAR T細胞療法のための配列決定法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20241217BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20241217BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241217BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20241217BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20241217BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
A61K35/17 ZNA
A61K39/00 H
A61K47/55
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K35/17
C12N5/10
C07K19/00
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091419
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2020544671の分割
【原出願日】2019-02-22
(31)【優先権主張番号】62/634,573
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/656,265
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/724,345
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/736,730
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】508347801
【氏名又は名称】エンドサイト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOCYTE, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】505194066
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】518337658
【氏名又は名称】シアトル チルドレンズ ホスピタル (ディービーエイ シアトル チルドレンズ リサーチ インスティテュート)
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・メスマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ポール・リーモン
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン・チュー
(72)【発明者】
【氏名】インジュアン・ジューン・ル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ステュワート・ロウ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・シー・ジェンセン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・マッテイ
(72)【発明者】
【氏名】ナビン・ロバート・チャールズ・ピント
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・ルッジェーリ・パーク
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076EE59
4C085AA02
4C085BB11
4C085CC03
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オフターゲット毒性低減およびCAR T細胞活性化のより厳密な制御を提供する、さらなるCAR T細胞治療プロトコールを提供する。
【解決手段】患者にCAR T細胞を含む組成物を投与し、かつ患者にリンカーにより標的化部分に結合した小分子を投与することによる、癌を有する患者を処置する方法を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される、方法。
【請求項2】
化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程および3回目の用量漸増過程で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程および4回目の用量漸増過程で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程および5回目の用量漸増過程で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程、5回目の用量漸増過程および6回目の用量漸増過程で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者にCAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が投与される、請求項1~5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
CAR T細胞の初回用量が患者のCAR T細胞に対する認容性のモニターのための試験用量である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
CAR T細胞の第二用量がCAR T細胞の初回用量より高用量のCAR T細胞を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、請求項1~8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
2回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、請求項1~9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
3回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、請求項2~10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
4回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、請求項3~11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
5回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、請求項4~12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
6回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、請求項5~13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
期間が約7日間である、請求項9~14の何れかに記載の方法。
【請求項16】
1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、請求項1~15の何れかに記載の方法。
【請求項17】
2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、請求項1~16の何れかに記載の方法。
【請求項18】
3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、請求項2~17の何れかに記載の方法。
【請求項19】
4回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、請求項3~18の何れかに記載の方法。
【請求項20】
5回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、請求項4~19の何れかに記載の方法。
【請求項21】
6回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、請求項5~20の何れかに記載の方法。
【請求項22】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項16~21の何れかに記載の方法。
【請求項23】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約20μg/kg~約40μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項16~22の何れかに記載の方法。
【請求項24】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項16~23の何れかに記載の方法。
【請求項25】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項16~24の何れかに記載の方法。
【請求項26】
患者で1回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を2回目の用量漸増過程に進める、請求項1~25の何れかに記載の方法。
【請求項27】
患者で2回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を3回目の用量漸増過程に進める、請求項2~26の何れかに記載の方法。
【請求項28】
患者で3回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を4回目の用量漸増過程に進める、請求項3~27の何れかに記載の方法。
【請求項29】
患者で4回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を5回目の用量漸増過程に進める、請求項4~28の何れかに記載の方法。
【請求項30】
患者で5回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を6回目の用量漸増過程に進める、請求項5~29の何れかに記載の方法。
【請求項31】
用量漸増過程の何れかで患者で低血圧を伴わない発熱が観察され、患者で神経毒性が観察されなければ、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に低血圧を伴わない発熱を引き起こしたその用量漸増過程レベルで投与する、請求項1~30の何れかに記載の方法。
【請求項32】
用量漸増過程の何れかで患者に重度CRSまたは神経毒性が生じたら、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に重度CRSまたは神経毒性を引き起こしたその用量漸増過程レベルより低い用量漸増過程レベルで患者に投与する、請求項1~30の何れかに記載の方法。
【請求項33】
癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低いものである、方法。
【請求項34】
低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩が、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約0.5%、約5%および約50%で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項34~35の何れかに記載の方法。
【請求項37】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項34~36の何れかに記載の方法。
【請求項38】
CAR T細胞が配列番号4を含む核酸を含む、請求項1~37の何れかに記載の方法。
【請求項39】
CAR T細胞が配列番号5を含むポリペプチドを含む、請求項1~38の何れかに記載の方法。
【請求項40】
核酸がキメラ抗原受容体をコードする、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約2%および約20%で投与することを含み、2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約6%および約60%で投与することを含み、そして3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、請求項2~15の何れかに記載の方法。
【請求項42】
1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、請求項2~15の何れかに記載の方法。
【請求項43】
1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、請求項2~15の何れかに記載の方法。
【請求項44】
1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、請求項2~15の何れかに記載の方法。
【請求項45】
化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約500nmol/kgである、請求項41~44の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、2018年2月23日出願の米国仮出願62/634,573、2018年4月11日出願の米国仮出願62/656,265、2018年8月29日出願の米国仮出願62/724,345および2018年9月26日出願の米国仮出願62/736,730に基づく優先権を主張し、これら全ての開示は、引用により明示的に全体として本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、患者にCAR T細胞を含む組成物を投与し、かつ患者にリンカーにより標的化部分に結合した小分子を投与することによる、癌を有する患者を処置する方法に関する。本発明はまたそのような方法で使用する組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
リンパ球(例えば、T細胞)の患者への養子移入に基づく免疫療法は、癌および他の疾患の処置における価値ある治療である。リンパ球の養子移入に基づく免疫療法の展開で、重要な進歩がなされている。種々のタイプの免疫療法剤において、開発中の最も有用な免疫療法剤の一つは、キメラ抗原受容体を発現するT細胞(CAR T細胞)である。キメラ抗原受容体(CAR)は、特異的抗原、例えば、腫瘍抗原を標的とするよう設計された遺伝子改変受容体である。このターティングは、例えば、CARを発現するCAR T細胞が特異的腫瘍抗原を介して腫瘍を標的とし、致死させるように、腫瘍に対する細胞毒性をもたらし得る。
【0004】
第一世代CARは、腫瘍により発現される抗原の認識および結合のための認識領域、例えば、抗体由来一本鎖フラグメント可変(scFv)領域および活性化シグナル伝達ドメインからなり、例えば、T細胞のCD3ζ鎖は、CARにおけるT細胞活性化シグナルとして働き得る。CAR T細胞はインビトロで良い成果を出しているが、臨床治験における疾患(例えば、癌)根絶の成功は限定的である。一つの問題は、インビボでCAR T細胞集団が長期に活性化および増大できないことである。
【0005】
この問題に取り組むために、インビボでT細胞の長期活性化を達成するための、共刺激ドメイン(例えば、CD137、CD28またはCD134)が第二世代CARに取り込まれている。共刺激ドメインの付加はCARを含むT細胞のインビボ増殖および生存を増強し、初期の臨床データは、このような構築物が癌などの疾患の処置に有望な治療剤であることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CAR T細胞療法で改善がなされているが、いくつかの問題が残っている。第一に、CAR T細胞により標的とされる抗原(例えば、腫瘍関連抗原)を発現する正常細胞により、「オフターゲット」毒性が生じ得る。第二に、無制御のCAR T細胞活性化が、CAR T細胞による罹患細胞(例えば、癌細胞)の迅速かつ無制御な排除が患者とって致命的となり得る腫瘍溶解症候群またはサイトカイン放出症候群(CRS)と称される一群の代謝障害により誘発され際にみられ得る。腫瘍溶解症候群およびCRSは、容易に制御できず、制御不能に活性化される投与されたCAR T細胞によるものであり得る。従って、CAR T細胞は癌などの疾患の処置におけるツールとして非常に有望であるが、オフターゲット毒性低減およびCAR T細胞活性化のより厳密な制御を提供する、さらなるCAR T細胞治療プロトコールが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
ここに記載する種々の実施態様において、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドは、CAR T細胞を癌改善のために該癌に指向させる、癌とCAR T細胞の間の架橋として使用される。ある実施態様において、「小分子リガンド」は、例えば、フォレート、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、NKG2DリガンドまたはCCK2Rリガンドであってよく、この各々は癌細胞に特異的に結合する小分子リガンドである(すなわち、これらのリガンドに対する受容体は正常組織に比して癌で過剰発現される)。
【0008】
ある実施態様において、「小分子リガンド」は、CAR T細胞により発現されるCARに結合する「標的化部分」に結合する。種々の実施態様において、「標的化部分」は、例えば、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル(PFP)、テトラフルオロフェニルエステル(TFP)、ノッチン、センチリンおよびDARPinから選択され得る。
【0009】
「標的化部分」は、CAR T細胞により発現される遺伝子改変CARの認識領域に結合する。従って、CARの認識領域(例えば、抗体の一本鎖フラグメント可変領域(scFv)、Fab、Fv、Fc、(Fab’)フラグメントなど)が「標的化部分」に指向される。故に、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドは、癌とCAR T細胞の間の架橋として働き、癌の改善のためにCAR T細胞を該癌に指向させる。
【0010】
ある実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される。
【0011】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法はi)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低い。ある実施態様において、低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩は、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量(full dose)の約0.5%、約5%および約50%で投与され得る。
【0012】
さらなる実施態様を次の番号付けした項によっても記載する。本出願の概要部分、説明的実施態様の詳細な記載部分、実施例部分または特許請求の範囲に記載した任意の適用し得る実施態様と組み合わせた次の実施態様の何れかも考慮される。
【0013】
1. 癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される、方法。
【0014】
2. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程および3回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0015】
3. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程および4回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0016】
4. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程および5回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0017】
5. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程、5回目の用量漸増過程および6回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0018】
6. 患者にCAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が投与される、項1~5の何れかに記載の方法。
【0019】
7. CAR T細胞の初回用量が患者のCAR T細胞に対する認容性のモニターのための試験用量である、項6に記載の方法。
【0020】
8. CAR T細胞の第二用量がCAR T細胞の初回用量より高用量のCAR T細胞を含む、項6に記載の方法。
【0021】
9. CAR T細胞の初回用量が患者体重kgあたり約0.5×10のCAR T細胞~患者体重kgあたり約1.5×10のCAR T細胞を含む、項6~8の何れかに記載の方法。
【0022】
10. CAR T細胞の第二用量が患者体重kgあたり約0.8×10のCAR T細胞~患者体重kgあたり約2×10のCAR T細胞を含む、項6~9の何れかに記載の方法。
【0023】
11. 1回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項1~10の何れかに記載の方法。
【0024】
12. 2回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項1~11の何れかに記載の方法。
【0025】
13. 3回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項2~12の何れかに記載の方法。
【0026】
14. 4回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項3~13の何れかに記載の方法。
【0027】
15. 5回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項4~14の何れかに記載の方法。
【0028】
16. 6回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項5~15の何れかに記載の方法。
【0029】
17. 期間が約7日間である、項11~16の何れかに記載の方法。
【0030】
18. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項1~17の何れかに記載の方法。
【0031】
19. 2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、項1~18の何れかに記載の方法。
【0032】
20. 3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、項2~19の何れかに記載の方法。
【0033】
21. 4回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項3~20の何れかに記載の方法。
【0034】
22. 5回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、項4~21の何れかに記載の方法。
【0035】
23. 6回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、項5~22の何れかに記載の方法。
【0036】
24. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~23の何れかに記載の方法。
【0037】
25. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約20μg/kg~約40μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~24の何れかに記載の方法。
【0038】
26. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~25の何れかに記載の方法。
【0039】
27. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~26の何れかに記載の方法。
【0040】
28. CAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が第1週の間に患者に投与される、項6~27の何れかに記載の方法。
【0041】
29. CAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が第1週の月曜日および木曜日に患者に投与される、項6~28の何れかに記載の方法。
【0042】
30. 化合物またはその薬学的に許容される塩の1回目の用量漸増過程を第2週および第3週の間に行う、項1~29の何れかに記載の方法。
【0043】
31. 化合物またはその薬学的に許容される塩の2回目の用量漸増過程を第4週および第5週の間に行う、項1~30の何れかに記載の方法。
【0044】
32. 化合物またはその薬学的に許容される塩の3回目の用量漸増過程を第6週および第7週の間に行う、項2~31の何れかに記載の方法。
【0045】
33. 化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日に投与し、該連続していない3日が第2週の月曜日および木曜日ならびに第3週の月曜日である、項30に記載の方法。
【0046】
34. 化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日に投与し、該連続していない3日が第4週の月曜日および木曜日ならびに第5週の月曜日である、項31に記載の方法。
【0047】
35. 化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日に投与し、該連続していない3日が第6週の月曜日および木曜日ならびに第7週の月曜日である、項32に記載の方法。
【0048】
36. 患者にCAR T細胞組成物を投与する前に、患者でリンパ球が除去される、項1~35の何れかに記載の方法。
【0049】
37. 患者に血小板を投与すること、患者に濃厚赤血球を投与すること、患者に寒冷沈降物を投与すること、患者に静脈内免疫グロブリンを投与することおよび/または患者に抗菌療法を施すことをさらに含む、項1~36の何れかに記載の方法。
【0050】
38. 患者で1回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を2回目の用量漸増過程に進める、項1~37の何れかに記載の方法。
【0051】
39. 患者で2回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を3回目の用量漸増過程に進める、項2~38の何れかに記載の方法。
【0052】
40. 患者で3回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を4回目の用量漸増過程に進める、項3~39の何れかに記載の方法。
【0053】
41. 患者で4回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を5回目の用量漸増過程に進める、項4~40の何れかに記載の方法。
【0054】
42. 患者で5回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を6回目の用量漸増過程に進める、項5~41の何れかに記載の方法。
【0055】
43. 用量漸増過程の何れかで患者で低血圧を伴わない発熱が観察され、患者で神経毒性が観察されなければ、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に低血圧を伴わない発熱を引き起こしたその用量漸増過程レベルで投与する、項1~42の何れかに記載の方法。
【0056】
44. 用量漸増過程の何れかで患者に重度CRSまたは神経毒性が生じたら、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に重度CRSまたは神経毒性を引き起こしたその用量漸増過程レベルより低い用量漸増過程レベルで患者に投与する、項1~43の何れかに記載の方法。
【0057】
45. 癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低いものである、方法。
【0058】
46. 低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩が、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約0.5%、約5%および約50%で投与される、項45に記載の方法。
【0059】
47. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項46に記載の方法。
【0060】
48. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項46~47の何れかに記載の方法。
【0061】
49. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項46~48の何れかに記載の方法。
【0062】
50. リガンドがフォレート、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項1~49の何れかに記載の方法。
【0063】
51. リガンドがフォレートである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0064】
52. リガンドがNK-1Rリガンドである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0065】
53. リガンドがDUPAである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0066】
54. リガンドがCCK2Rリガンドである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0067】
55. リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンドである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0068】
56. 標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリンおよびDARPinからなる群から選択される、項1~55の何れかに記載の方法。
【0069】
57. 標的化部分がFITCである、項1~56の何れかに記載の方法。
【0070】
58. 標的化部分がDNPである、項1~56の何れかに記載の方法。
【0071】
59. 標的化部分がTNPである、項1~56の何れかに記載の方法。
【0072】
60. リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項1~59の何れかに記載の方法。
【0073】
61. リンカーがPEGを含む、項1~60の何れかに記載の方法。
【0074】
62. 化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化1】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、Tは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化2】
(式中、nは0~200の整数である)
を有する構造を含む。〕
を有する、項1~61の何れかに記載の方法。
【0075】
63. nが0~150の整数である、項62に記載の方法。
【0076】
64. nが0~110の整数である、項62に記載の方法。
【0077】
65. nが0~20の整数である、項62に記載の方法。
【0078】
66. nが15~20の整数である、項62に記載の方法。
【0079】
67. nが15~110の整数である、項62に記載の方法。
【0080】
68. 癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頚部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、小児または非小児骨肉腫を含む骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー細胞白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項1~67の何れかに記載の方法。
【0081】
69. 癌が葉酸受容体発現癌である、項1~51または56~68の何れかに記載の方法。
【0082】
70. 癌が骨肉腫である、項1~69の何れかに記載の方法。
【0083】
71. CARが認識領域を有し、認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~70の何れかに記載の方法。
【0084】
72. CARが認識領域を有し、CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~57または60~71の何れかに記載の方法。
【0085】
73. CARが共刺激ドメインを有し、共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項1~72の何れかに記載の方法。
【0086】
74. CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項1~73の何れかに記載の方法。
【0087】
75. CARが認識領域を有し、認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項1~57または60~74の何れかに記載の方法。
【0088】
76. 患者が化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前またはCAR T細胞組成物の投与前に造影される、項1~75の何れかに記載の方法。
【0089】
77. 化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項1~76の何れかに記載の方法。
【0090】
78. 標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項1~77の何れかに記載の方法。
【0091】
79. 患者でオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が発生せず、癌に対するCAR T細胞毒性が発生する、項1~78の何れかに記載の方法。
【0092】
80. オフターゲット組織毒性が患者において発生せず、癌に対するCAR T細胞毒性が発生する、項1~78の何れかに記載の方法。
【0093】
81. 癌が腫瘍を含み、患者で腫瘍サイズが減少し、オフターゲット毒性が生じない、項1~78の何れかに記載の方法。
【0094】
82. CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項1~81の何れかに記載の方法。
【0095】
83. CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項1~82の何れかに記載の方法。
【0096】
84. 核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項82に記載の方法。
【0097】
85. CAR T細胞が配列番号4を含む核酸を含む、項1~81の何れかに記載の方法。
【0098】
86. CAR T細胞が配列番号5を含むポリペプチドを含む、項1~81または85の何れかに記載の方法。
【0099】
87. 核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項85に記載の方法。
【0100】
88. CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項1~87の何れかに記載の方法。
【0101】
89. CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項1~87の何れかに記載の方法。
【0102】
90. 患者にフォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与することをさらに含む、項1~89の何れかに記載の方法。
【0103】
91. フォレートが投与される、項90に記載の方法。
【0104】
92. 葉酸またはロイコボリンが投与される、項90に記載の方法。
【0105】
93. フォレートを含むコンジュゲートが投与される、項90に記載の方法。
【0106】
94. フォレートを含むコンジュゲートが1以上のアミノ酸に結合したフォレートを含む、項93に記載の方法。
【0107】
95. フォレートを含むコンジュゲートが式
【化3】
を有する、項93に記載の方法。
【0108】
96. フォレートが式
【化4】
〔式中、XおよびYは各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは各々独立して-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここで、Xは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
*は、何らかのさらなる化学部分がフォレートの一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合である。〕
を有する、項91に記載の方法。
【0109】
97. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、IL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、BTK阻害剤、EC2319および化合物またはその薬学的に許容される塩へのCAR T細胞の結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤からなる群から選択される、項90に記載の方法。
【0110】
98. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である、項90に記載の方法。
【0111】
99. リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤がダサチニブである、項98に記載の方法。
【0112】
100. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がPI3キナーゼ阻害剤である、項90に記載の方法。
【0113】
101. PI3キナーゼ阻害剤がGDC0980である、項100に記載の方法。
【0114】
102. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がIL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤である、項90に記載の方法。
【0115】
103. IL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤がBMS-509744である、項102に記載の方法。
【0116】
104. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、化合物またはその薬学的に許容される塩へのCAR T細胞の結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤である、項90に記載の方法。
【0117】
105. 薬剤がフルオレセインアミン、FITCまたはナトリウムフルオレセインである、項104に記載の方法。
【0118】
106. 薬剤がナトリウムフルオレセインである、項105に記載の方法。
【0119】
107. フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与が患者におけるサイトカインレベルの減少をもたらす、項90~106の何れかに記載の方法。
【0120】
108. サイトカインレベルの減少がほぼ未処置患者のサイトカインレベルまでの減少である、項107に記載の方法。
【0121】
109. 癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズが患者にフォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与したとき増加しない、項90~108の何れかに記載の方法。
【0122】
110. CRSグレードが1、2、3または4に達したとき患者にCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される、項104~106の何れかに記載の方法。
【0123】
111. CRSグレードが3または4に達したとき患者にCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される、項110に記載の方法。
【0124】
112. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.01~約300μmole/kg患者体重の用量で投与される、項104~106の何れかに記載の方法。
【0125】
113. CRSが患者で低減または阻止され、方法が患者における腫瘍体積の減少をもたらす、項1~112の何れかに記載の方法。
【0126】
114. CRSによる体重減少が低減または阻止される、項1~113の何れかに記載の方法。
【0127】
115. 患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を再投与することをさらに含む、項90~114の何れかに記載の方法。
【0128】
116. 化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の投与が患者におけるCAR T細胞活性化およびサイトカインレベル増加をもたらす、項115に記載の方法。
【0129】
117. CAR T細胞組成物が化合物またはその薬学的に許容される塩の前に投与される、項1~116の何れかに記載の方法。
【0130】
118. CAR T細胞が自己である、項1~117の何れかに記載の方法。
【0131】
119. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約2%および約20%で投与することを含み、2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約6%および約60%で投与することを含み、そして3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0132】
120. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0133】
121. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0134】
122. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0135】
123. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約500nmol/kgである、項119~122の何れかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1】本願発明方法による例示的投与スキームの略図を示す。この例示的スキームにおいて、E2 CAR T細胞(配列番号4の核酸配列によりコードされるタンパク質を発現するCAR T細胞)の投与を第1週の月曜日および木曜日に行い、その後リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)の投与を第2週に開始する。第2週に、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)が用量漸増過程を使用して、月曜日および木曜日、続いて第3週の月曜日に投与される(すなわち、過程1)。リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)は、第3週の火曜日から日曜日まで投与しない。第2~3週は、「サイクル1」と称する。第4週に、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)が用量漸増過程を使用して、月曜日および木曜日、続いて第5週の月曜日に投与される(すなわち、過程2)。リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)は、第5週の火曜日から日曜日まで投与しない。第4~5週は、「サイクル2」と称する。第6週に、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)が用量漸増過程を使用して、月曜日および木曜日、続いて第7週の月曜日に投与される(すなわち、過程3)。リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)は、第7週の火曜日から日曜日まで投与しない。第6~7週は、「サイクル3」と称する。第2~7週は、「コース1」と称する。過程1中、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)が、それぞれ標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)の全用量(例えば、31μg/kg)の1%、10%および100%の用量で、第2週にの月曜日および木曜日、次いで第3週の月曜日に投与される。過程2中、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)が、それぞれ標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)の全用量(例えば、31μg/kg)の1%、30%および300%の用量で、第4週の月曜日および木曜日、次いで第5週の月曜日に投与される。過程3中、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)が、それぞれ標的化部分に結合した小分子リガンド(例えば、EC17)の全用量(例えば、31μg/kg)の1%、50%および500%の用量で、第6週の月曜日および木曜日、次いで第7週の月曜日に投与される。コース1を、その後治療的利益および容認できる毒性を考慮して繰り返す。
【0137】
図2】CAR T形質導入に使用する構築物の概略図を示す。
【0138】
図3】E2構築物対4M5.3構築物を図式的に示し、E2構築物の地図を示す。
【0139】
図4】(上部パネル)E2 CAR T細胞のみ(●)およびE2 CAR T細胞+EC-17(〇)で処置したときのHOS-FRα腫瘍の腫瘍体積を示すチャートである。(下部パネル)E2 CAR T細胞のみ(●)およびE2 CAR T細胞+EC-17(〇)で処置したときのHOS-FRα腫瘍担持マウスの体重変化を示すチャートである。
【0140】
図5】Car-T無(●);EC-17無(■);EC-17 SIW 500nmol/kg(▲);EC-17 TIW(5nmol/kg、50nmol/kg、500nmol/kgオン/オフ);(◆)EC-17用量漸増(M/Th/Mオン/オフ)で処置したTHP-1-FRβ AML担持マウスの体重変化を示すチャートである。
【0141】
図6】(左パネル)肝転移腫瘍負荷を示すチャートである。(右パネル)非肝転移腫瘍負荷を示すチャートである。
【0142】
図7】対数目盛で39日目の100μL血液あたりの循環THP1-FRβ細胞数を示す。
【0143】
図8】種々のEC-17投与レジメンで固形肝臓腫瘍(y軸)から単離した総E2 CAR T細胞のパーセンテージを示すチャートである。各投与レジメンで、一番左側のバーはPD1+LAG3+TIM3+、左から二番目のバーはPD1+LAG3+TIM3-、中央のバーはPD1+LAG3-TIM3+;右から二番目のバーはPD1+LAG3-TIM3-;一番右のバーはPD1-LAG3-TIM3-である。
【0144】
図9】抗FITC scFv(クローンE2)、全長IgG4スペーサー(Fc由来ヒンジ-CH2(L235D、N297Q)-CH3)、CD28tm膜貫通ドメイン、4-1BB/CD3ζ細胞質活性化ドメインおよび上皮細胞増殖因子受容体の非機能的切断細胞表面ポリペプチド(EGFRt)を含む完全ヒトCAR構築物を示す。下部:EGFRt選別(左パイチャート)CAR T細胞調製物および未選別「臨床模写株(clinical facsimile)」(右パイチャート)のフローサイトメトリーにより実施したCD4/CD8 T細胞表現型解析の例。カラーキーは示すとおりである。
【0145】
図10】パネルA:37℃で2時間インキュベーション後のFR+標的細胞によるH-EC17取り込みのKd値(細胞あたりに結合した分子の数から計算)。パネルB:室温で2時間インキュベーション後のE2-CAR T細胞(約24%EGFRt+、約95:5 CD8/CD4比)によるH-EC17取り込みのKd値(総細胞関連放射活性から計算、DPM)。
【0146】
図11H-FAベースの結合アッセイにより測定した腫瘍細胞上の機能的FRレベル(100nM、1時間、37℃)。
【0147】
図12】腫瘍対無腫瘍マウスにおけるEC17用量設定およびCRS評価。パネルA:予め確立されたMDA-MB-231異種移植片を有しないまたは有するNSGマウスに3つの異なる方法で投与したCAR T細胞(約1000万「臨床模写株」(clinical facsimile))+EC17の投与スケジューリングを示す模式図である。無腫瘍マウスは、EC17 SIW 500nmol/kgを受けた(2日目および10日目に2回投与)。腫瘍担持マウスはEC17を次のとおり受けた:EC17 SIW 500nmol/kg(2日目、10日目、17日目、24日目および31日目に5回投与)、EC17 M/Th/M_漸増-1(月曜日/木曜日/月曜日に5/50/500nmol/kg、続いて1週間休薬の繰り返し、すなわち2日目、6日目、10日目、17日目、20日目、24日目および31日目)またはEC17 M/Th/M_漸増-2(月曜日/木曜日/月曜日に5/100/1000nmol/kg、続いて1週間休薬の繰り返し、すなわち2日目、6日目、10日目、17日目、20日目、24日目および31日目)。パネルB:腫瘍担持対無腫瘍マウスのCAR T細胞注射後11日目および12日目(すなわち、全処置コホートで、先のEC17投与から約20時間および42時間後)のマウス血漿におけるlog2メモリでのヒトIFNγの全身レベル。パネルC:フローサイトメトリーにおいてヒトCD3ε+EGFRt+事象として同定され、全血100μLあたりで列挙されるマウス血中循環CAR T細胞。パネルD:CAR T細胞のみまたはCAR T細胞+3つの異なる方法で投与したEC17(点線は各EC17投与を示す)を受けた腫瘍担持マウスにおける体重および腫瘍体積変化の測定。n=5マウス/群。全データは平均±s.e.m.を表す。*一元配置ANOVA検定によりp<0.05。
【0148】
図13】インビボでの安全性および抗白血病活性におけるEC17用量漸増を示す。パネルA:1日齢静脈内THP1-FRβ異種移植片を有するNSGマウスにおけるEC17+未選別EGFRt CAR T細胞(約600万、0日目)の投与スケジューリングを示す模式図を示す。CAR T細胞注射3日後から開始して、EC17を3つの異なる方法で投与した:EC17 SIW 500nmol/kg(3日目、10日目、17日目、24日目、31日目および38日目に5回投与)、EC17 TIW 5/50/500nmol/kg(月曜日/水曜日/金曜日に5/50/500nmol/kg、続いて9日間休薬の3反復、すなわち3/5/7日目、17/19/21日目および31/33/35日目)または月曜日/木曜日/月曜日のEC17 M/Th/M_用量漸増(サイクル1の5/10/100nmol/kg、サイクル2の5/30/300nmol/kgおよびサイクル3の5/50/500nmol/kgの3漸増サイクル、すなわち3/6/10日目、17/20/24日目および31/34/38日目)。パネルB:体重変化の測定(n=5)。パネルC:対数目盛での、31日目のマウス全血100μLあたりにみられるヒトCD3ε+EGFRt+事象としての循環CAR T細胞。パネルD:左棒グラフ:試験最終日(39日目)に測定した全コホートにおける全血100μLあたりの循環腫瘍細胞(GFP+);中央棒グラフ:肝転移負荷を表すTHP1-FRβ浸潤肝臓重量;右棒グラフ:全非肝臓マクロ転移の総腫瘍重量。パネルE:プレインフュージョンCAR T細胞産物(トリプルネガティブ)および肝転移から単離した腫瘍浸潤CAR T細胞のT細胞疲弊マーカー、PD1、LAG3、TIM3のフローサイトメトリー分析。完全に疲弊したT細胞の重要な特性は、複数阻害性受容体マーカーの共発現である(すなわちトリプルポジティブ)。
【0149】
図14】小児骨肉腫の攻撃的モデルにおける抗腫瘍活性およびCRSレスキューを示す。パネルA:3日齢皮下HOS-FRα異種移植片を有するNSGマウス(n=5)におけるCAR T細胞(約600万、0日目)+EC17の投与スケジューリングを示す模式図。CAR T細胞注射3日後から開始して(腫瘍移植6日後)、月曜日/木曜日/月曜日に、サイクル1で5/10/100nmol/kg、サイクル2で5/30/300nmol/kgおよびサイクル3で5/50/500nmol/kg、すなわち3/6/10日目、17/20/24日目および31/34/38日目の3サイクルのEC17 M/Th/M「患者内」用量漸増。パネルB:腫瘍体積および体重変化の測定。腫瘍進行により、CAR T細胞のみ(EC17無)を受けた5匹のマウスは23~31日目に屠殺し、5匹のEC17処置マウスは33日目(2マウス)および47日目(3マウス)にそれぞれ屠殺した。パネルC:対数目盛でプロットした全血100μLあたりのCAR T細胞(ヒトCD3ε+EGFRt+)(左)および屠殺時点の腫瘍浸潤CAR T細胞(右)のフローサイトメトリー分析。
【発明を実施するための形態】
【0150】
定義
ここで使用する単数表現は、1以上を意味し得る。ここで使用する、例えば、整数、分数およびパーセンテージを含む、数値に関係する「約」は、一般に当業者が記載する値と同等(例えば、同じ機能または結果を有する)と考える、数値の範囲(例えば、記載する値の±5%~10%)をいう。
【0151】
ここで使用する用語「処置」または「処置する」は、治療的処置および予防または予防的処置の両者をいう。
【0152】
ここで使用する、癌に関係するする用語「改善」、「改善する」または「改善された」は、癌の症状軽減、腫瘍サイズ減少、腫瘍の完全なまたは部分的除去(例えば、完全または部分応答)、疾患安定誘発、癌進行阻止(例えば、無進行生存)または医師が癌の治療的、予防的または防止的処置であると考える癌に対する何らかの他の効果を意味し得る。
【0153】
ここで使用する用語「投与」または「投与する」は、ここに記載する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物を患者に導入する全ての手段を意味し、経口、静脈内、筋肉内、皮下および経皮を含むが、これらに限定されない。
【0154】
ここで使用する用語「オフターゲット毒性」は、患者を処置する医師にとり許容されない臓器損傷または患者の体重減少または患者を処置する医師にとり許容されない他の何らかの影響、例えば、B細胞形成不全、発熱、血圧低下または肺浮腫を意味する。
【0155】
ここで使用する用語「形質導入」および「トランスフェクション」は同等に使用し、これら用語はウイルス法および非ウイルス法を含む任意の人為的方法で核酸を細胞に導入することを意味する。
【0156】
ここで使用する用語「用量漸増過程」は、化合物またはその薬学的に許容される塩の用量が経時的に増やされて投与されることを意味する。ここで使用する「2回目の用量漸増過程」、「3回目の用量漸増過程」、「4回目の用量漸増過程」、「5回目の用量漸増過程」および「6回目の用量漸増過程」などと組み合わせた「1回目の用量漸増過程」の記載は、複数用量漸増過程を行い、各別々の用量漸増過程について、1回目の用量漸増過程の後は、後続の用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量が、先の用量漸増過程の化合物またはその薬学的に許容される塩の最終用量より低いことを意味する(例えば、図1および図面の簡単な説明の図1の説明参照)。
【0157】
説明的実施態様の詳細な記載
ここに記載する種々の実施態様において、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドは、癌とCAR T細胞(すなわち、キメラ抗原受容体を発現するT細胞)の間の架橋として使用される。架橋は、癌の改善のためにCAR T細胞を癌に指向させる。ある実施態様において、「小分子リガンド」はフォレート、CAIXリガンド、DUPA、NK-1Rリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、NKG2DリガンドまたはCCK2Rリガンドであってよく、この各々は癌細胞型に特異的に結合する小分子リガンドである(すなわち、これらリガンドの各々に対する受容体は正常組織に比して癌で過剰発現される)。
【0158】
小分子リガンドに結合した「標的化部分」は、CAR T細胞により発現される遺伝子改変CARの認識領域に結合する。従って、CARの認識領域(例えば、抗体の一本鎖フラグメント可変領域(scFv)、Fab、Fv、Fcまたは(Fab’)フラグメントなど)は「標的化部分」に指向される。故に、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドは、癌の改善のためにCAR T細胞を癌に指向させる癌とCAR T細胞の間の架橋として働く。種々の実施態様において、癌とCAR T細胞の間の架橋は、実施例に示す適用し得るコンジュゲートの何れでもよい。
【0159】
架橋は小有機分子であり、よって血流からのクリアランスが迅速に達成され得る(例えば、約20分以内)。ある態様において、CAR T細胞応答は、‘架橋’の小分子リガンド部分に対する受容体を発現する癌細胞のみを標的とでき、それにより正常組織へのオフターゲット毒性が低減される。さらに、1タイプのCAR T細胞構築物を使用して、種々の‘架橋’を使用して広範な癌を標的とするのに使用できるため、このシステムは‘汎用性’であり得る。実例として、CAR T細胞により認識される標的化部分は、1つのタイプのCAR T細胞構築物が使用され得るように一定のままであり得るが、癌に結合する小分子リガンドは、広範な癌のターティングを可能とするよう改変され得る。
【0160】
ある実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される。
【0161】
他の実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低い。他の実施態様において、低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩は、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約0.5%、約5%および約50%で投与され得る。
【0162】
下記項一覧および特許請求の範囲ならびに本明細書に記載される種々の実施態様において、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを「化合物」と称する。
【0163】
数実施態様が次の番号付けした項によって記載される。次の実施態様の何れかと本特許出願の概要部分、本特許出願の概説明的実施態様の詳細な記載部分、実施例部分または特許請求の範囲に記載した適用し得る実施態様の何れかの組み合わせも考慮される。
【0164】
1. 癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される、方法。
【0165】
2. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程および3回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0166】
3. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程および4回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0167】
4. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程および5回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0168】
5. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程、5回目の用量漸増過程および6回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
【0169】
6. 患者にCAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が投与される、項1~5の何れかに記載の方法。
【0170】
7. CAR T細胞の初回用量が患者のCAR T細胞に対する認容性のモニターのための試験用量である、項6に記載の方法。
【0171】
8. CAR T細胞の第二用量がCAR T細胞の初回用量より高用量のCAR T細胞を含む、項6に記載の方法。
【0172】
9. CAR T細胞の初回用量が患者体重kgあたり約0.5×10のCAR T細胞~患者体重kgあたり約1.5×10のCAR T細胞を含む、項6~8の何れかに記載の方法。
【0173】
10. CAR T細胞の第二用量が患者体重kgあたり約0.8×10のCAR T細胞~患者体重kgあたり約2×10のCAR T細胞を含む、項6~9の何れかに記載の方法。
【0174】
11. 1回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項1~10の何れかに記載の方法。
【0175】
12. 2回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項1~11の何れかに記載の方法。
【0176】
13. 3回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項2~12の何れかに記載の方法。
【0177】
14. 4回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項3~13の何れかに記載の方法。
【0178】
15. 5回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項4~14の何れかに記載の方法。
【0179】
16. 6回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項5~15の何れかに記載の方法。
【0180】
17. 期間が約7日間である、項11~16の何れかに記載の方法。
【0181】
18. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項1~17の何れかに記載の方法。
【0182】
19. 2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、項1~18の何れかに記載の方法。
【0183】
20. 3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、項2~19の何れかに記載の方法。
【0184】
21. 4回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項3~20の何れかに記載の方法。
【0185】
22. 5回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、項4~21の何れかに記載の方法。
【0186】
23. 6回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、項5~22の何れかに記載の方法。
【0187】
24. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~23の何れかに記載の方法。
【0188】
25. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約20μg/kg~約40μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~24の何れかに記載の方法。
【0189】
26. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~25の何れかに記載の方法。
【0190】
27. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項18~26の何れかに記載の方法。
【0191】
28. CAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が第1週の間に患者に投与される、項6~27の何れかに記載の方法。
【0192】
29. CAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が第1週の月曜日および木曜日に患者に投与される、項6~28の何れかに記載の方法。
【0193】
30. 化合物またはその薬学的に許容される塩の1回目の用量漸増過程を第2週および第3週の間に行う、項1~29の何れかに記載の方法。
【0194】
31. 化合物またはその薬学的に許容される塩の2回目の用量漸増過程を第4週および第5週の間に行う、項1~30の何れかに記載の方法。
【0195】
32. 化合物またはその薬学的に許容される塩の3回目の用量漸増過程を第6週および第7週の間に行う、項2~31の何れかに記載の方法。
【0196】
33. 化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日に投与し、該連続していない3日が第2週の月曜日および木曜日ならびに第3週の月曜日である、項30に記載の方法。
【0197】
34. 化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日に投与し、該連続していない3日が第4週の月曜日および木曜日ならびに第5週の月曜日である、項31に記載の方法。
【0198】
35. 化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日に投与し、該連続していない3日が第6週の月曜日および木曜日ならびに第7週の月曜日である、項32に記載の方法。
【0199】
36. 患者にCAR T細胞組成物を投与する前に、患者でリンパ球が除去される、項1~35の何れかに記載の方法。
【0200】
37. 患者に血小板を投与すること、患者に濃厚赤血球を投与すること、患者に寒冷沈降物を投与すること、患者に静脈内免疫グロブリンを投与することおよび/または患者に抗菌療法を施すことをさらに含む、項1~36の何れかに記載の方法。
【0201】
38. 患者で1回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を2回目の用量漸増過程に進める、項1~37の何れかに記載の方法。
【0202】
39. 患者で2回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を3回目の用量漸増過程に進める、項2~38の何れかに記載の方法。
【0203】
40. 患者で3回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を4回目の用量漸増過程に進める、項3~39の何れかに記載の方法。
【0204】
41. 患者で4回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を5回目の用量漸増過程に進める、項4~40の何れかに記載の方法。
【0205】
42. 患者で5回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を6回目の用量漸増過程に進める、項5~41の何れかに記載の方法。
【0206】
43. 用量漸増過程の何れかで患者で低血圧を伴わない発熱が観察され、患者で神経毒性が観察されなければ、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に低血圧を伴わない発熱を引き起こしたその用量漸増過程レベルで投与する、項1~42の何れかに記載の方法。
【0207】
44. 用量漸増過程の何れかで患者に重度CRSまたは神経毒性が生じたら、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に重度CRSまたは神経毒性を引き起こしたその用量漸増過程レベルより低い用量漸増過程レベルで患者に投与する、項1~43の何れかに記載の方法。
【0208】
45. 癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低いものである、方法。
【0209】
46. 低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩が、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約0.5%、約5%および約50%で投与される、項45に記載の方法。
【0210】
47. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項46に記載の方法。
【0211】
48. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項46~47の何れかに記載の方法。
【0212】
49. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項46~48の何れかに記載の方法。
【0213】
50. リガンドがフォレート、DUPA、NK-1Rリガンド、CAIXリガンド、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド、NKG2DリガンドおよびCCK2Rリガンドからなる群から選択される、項1~49の何れかに記載の方法。
【0214】
51. リガンドがフォレートである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0215】
52. リガンドがNK-1Rリガンドである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0216】
53. リガンドがDUPAである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0217】
54. リガンドがCCK2Rリガンドである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0218】
55. リガンドがガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンドである、項1~50の何れかに記載の方法。
【0219】
56. 標的化部分が2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリンおよびDARPinからなる群から選択される、項1~55の何れかに記載の方法。
【0220】
57. 標的化部分がFITCである、項1~56の何れかに記載の方法。
【0221】
58. 標的化部分がDNPである、項1~56の何れかに記載の方法。
【0222】
59. 標的化部分がTNPである、項1~56の何れかに記載の方法。
【0223】
60. リンカーがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含む、項1~59の何れかに記載の方法。
【0224】
61. リンカーがPEGを含む、項1~60の何れかに記載の方法。
【0225】
62. 化合物またはその薬学的に許容される塩が式
【化5】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、Tは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化6】
(式中、nは0~200の整数である)
を有する構造を含む。〕
を有する、項1~61の何れかに記載の方法。
【0226】
63. nが0~150の整数である、項62に記載の方法。
【0227】
64. nが0~110の整数である、項62に記載の方法。
【0228】
65. nが0~20の整数である、項62に記載の方法。
【0229】
66. nが15~20の整数である、項62に記載の方法。
【0230】
67. nが15~110の整数である、項62に記載の方法。
【0231】
68. 癌が肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頚部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜癌の悪性腫瘍、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、小児または非小児骨肉腫を含む骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー細胞白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌からなる群から選択される、項1~67の何れかに記載の方法。
【0232】
69. 癌が葉酸受容体発現癌である、項1~51または56~68の何れかに記載の方法。
【0233】
70. 癌が骨肉腫である、項1~69の何れかに記載の方法。
【0234】
71. CARが認識領域を有し、認識領域が抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~70の何れかに記載の方法。
【0235】
72. CARが認識領域を有し、CARの認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域である、項1~57または60~71の何れかに記載の方法。
【0236】
73. CARが共刺激ドメインを有し、共刺激ドメインがCD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)およびCD278(ICOS)からなる群から選択される、項1~72の何れかに記載の方法。
【0237】
74. CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖またはFc受容体γである、項1~73の何れかに記載の方法。
【0238】
75. CARが認識領域を有し、認識領域が抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、該CARが共刺激ドメインを有し、共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、そして該CARが活性化シグナル伝達ドメインを有し、活性化シグナル伝達ドメインがT細胞CD3ζ鎖である、項1~57または60~74の何れかに記載の方法。
【0239】
76. 患者が化合物またはその薬学的に許容される塩投与前またはCAR T細胞組成物投与前に造影される、項1~75の何れかに記載の方法。
【0240】
77. 化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない、項1~76の何れかに記載の方法。
【0241】
78. 標的化部分がペプチドエピトープを含まない、項1~77の何れかに記載の方法。
【0242】
79. 患者でオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出が発生せず、癌に対するCAR T細胞毒性が発生する、項1~78の何れかに記載の方法。
【0243】
80. オフターゲット組織毒性が患者において発生せず、癌に対するCAR T細胞毒性が発生する、項1~78の何れかに記載の方法。
【0244】
81. 癌が腫瘍を含み、患者で腫瘍サイズが減少し、オフターゲット毒性が生じない、項1~78の何れかに記載の方法。
【0245】
82. CAR T細胞が配列番号1を含む核酸を含む、項1~81の何れかに記載の方法。
【0246】
83. CAR T細胞が配列番号2を含むポリペプチドを含む、項1~82の何れかに記載の方法。
【0247】
84. 核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項82に記載の方法。
【0248】
85. CAR T細胞が配列番号4を含む核酸を含む、項1~81の何れかに記載の方法。
【0249】
86. CAR T細胞が配列番号5を含むポリペプチドを含む、項1~81または85の何れかに記載の方法。
【0250】
87. 核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項85に記載の方法。
【0251】
88. CARがヒト化アミノ酸配列を含む、項1~87の何れかに記載の方法。
【0252】
89. CARがヒト化アミノ酸配列からなる、項1~87の何れかに記載の方法。
【0253】
90. 患者にフォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与することをさらに含む、項1~89の何れかに記載の方法。
【0254】
91. フォレートが投与される、項90に記載の方法。
【0255】
92. 葉酸またはロイコボリンが投与される、項90に記載の方法。
【0256】
93. フォレートを含むコンジュゲートが投与される、項90に記載の方法。
【0257】
94. フォレートを含むコンジュゲートが1以上のアミノ酸に結合したフォレートを含む、項93に記載の方法。
【0258】
95. フォレートを含むコンジュゲートが式
【化7】
を有する、項93に記載の方法。
【0259】
96. フォレートが式
【化8】
〔式中、XおよびYは各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは各々独立して-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここで、Xは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
*は、何らかのさらなる化学部分がフォレートの一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合である。〕
を有する、項91に記載の方法。
【0260】
97. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、IL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、BTK阻害剤、EC2319および化合物またはその薬学的に許容される塩へのCAR T細胞の結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤からなる群から選択される、項90に記載の方法。
【0261】
98. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である、項90に記載の方法。
【0262】
99. リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤がダサチニブである、項98に記載の方法。
【0263】
100. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がPI3キナーゼ阻害剤である、項90に記載の方法。
【0264】
101. PI3キナーゼ阻害剤がGDC0980である、項100に記載の方法。
【0265】
102. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、該薬剤がIL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤である、項90に記載の方法。
【0266】
103. IL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤がBMS-509744である、項102に記載の方法。
【0267】
104. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与され、化合物またはその薬学的に許容される塩へのCAR T細胞の結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤である、項90に記載の方法。
【0268】
105. 薬剤がフルオレセインアミン、FITCまたはナトリウムフルオレセインである、項104に記載の方法。
【0269】
106. 薬剤がナトリウムフルオレセインである、項105に記載の方法。
【0270】
107. フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与が患者におけるサイトカインレベルの減少をもたらす、項90~106の何れかに記載の方法。
【0271】
108. サイトカインレベルの減少がほぼ未処置患者のサイトカインレベルまでの減少である、項107に記載の方法。
【0272】
109. 癌が腫瘍を含み、患者における腫瘍サイズが患者にフォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を投与したとき増加しない、項90~108の何れかに記載の方法。
【0273】
110. CRSグレードが1、2、3または4に達したとき患者にCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される、項104~106の何れかに記載の方法。
【0274】
111. CRSグレードが3または4に達したとき患者にCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される、項110に記載の方法。
【0275】
112. CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が約.01~約300μmole/kg患者体重の用量で投与される、項104~106の何れかに記載の方法。
【0276】
113. CRSが患者で低減または阻止され、方法が患者における腫瘍体積の減少をもたらす、項1~112の何れかに記載の方法。
【0277】
114. CRSによる体重減少が低減または阻止される、項1~113の何れかに記載の方法。
【0278】
115. 患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を再投与することをさらに含む、項90~114の何れかに記載の方法。
【0279】
116. 化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の投与が患者におけるCAR T細胞活性化およびサイトカインレベル増加をもたらす、項115に記載の方法。
【0280】
117. CAR T細胞組成物が化合物またはその薬学的に許容される塩の前に投与される、項1~116の何れかに記載の方法。
【0281】
118. CAR T細胞が自己である、項1~117の何れかに記載の方法。
【0282】
119. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約2%および約20%で投与することを含み、2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約6%および約60%で投与することを含み、そして3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0283】
120. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0284】
121. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0285】
122. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
【0286】
123. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約500nmol/kgである、項119~122の何れかに記載の方法。
【0287】
従って、種々の実施態様が先の段落および上に挙げた項およびこの「説明的実施態様の詳細な記載」、「概要」部分、実施例および特許請求の範囲に記載される全ての適用し得る実施態様がこれら実施態様に適用される。
【0288】
ここで使用する「患者」は、ヒトであってよく、または、獣医適用において、患者は実験動物、農業用動物、家庭用動物または野生動物であり得る。種々の態様において、患者は齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスターなど)、ウサギ、サル、チンパンジーなどの実験動物、イヌ、ネコまたはウサギなどの家庭用動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどの農業用動物またはクマ、パンダ、ライオン、トラ、ヒョウ、ゾウ、シマウマ、キリン、ゴリラ、イルカまたはクジラなどの捕獲された野生動物であり得る。
【0289】
種々の実施態様において、処置される癌は、癌腫、肉腫、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、鼻咽頭癌、白血病、腺癌または骨髄腫から選択され得る。他の実施態様において、癌は肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頚部癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、小児または非小児骨肉腫を含む骨肉腫、尿道癌、前立腺癌、慢性白血病、急性骨髄性白血病を含む急性白血病、リンパ球性リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、ヘアリー細胞白血病、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および食道胃接合部腺癌であり得る。
【0290】
これら実施態様のある態様において、癌は葉酸受容体発現癌である。他の実施態様において、癌は葉酸受容体α発現癌である。さらに他の実施態様において、癌は葉酸受容体β発現癌である。これら実施態様のある態様において、癌は子宮内膜癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、小児または非小児骨肉腫を含む骨肉腫またはトリプルネガティブ乳癌である。他の実施態様において、処置される癌は腫瘍である。他の実施態様において、癌は悪性である。他の実施態様において、癌は小児または非小児骨肉腫を含む骨肉腫である。
【0291】
ある実施態様において、「小分子リガンド」はフォレート、DUPA(PSMA陽性ヒト前立腺癌細胞および他の癌細胞型により結合されるリガンド)、NK-1Rリガンド(NK-1Rリガンドに対する受容体は、例えば、結腸および膵臓の癌で見られる)、CAIXリガンド(CAIXリガンドに対する受容体は、例えば、腎臓、卵巣、外陰および乳癌で見られる)、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼのリガンド(トランスペプチダーゼは、例えば、卵巣癌、結腸癌、肝臓癌、アストロサイト神経膠腫、黒色腫および白血病で過剰発現される)、NKG2Dリガンド(NKG2Dリガンドの受容体は、例えば、肺、結腸、腎臓、前立腺の癌およびTおよびB細胞リンパ腫で見られる)またはCCK2Rリガンド(CCK2Rリガンドの受容体は、数ある中で、甲状腺、肺、膵臓、卵巣、脳、胃、消化器間質および結腸の癌で見られる)であり得て、この各々は癌細胞型に特異的に結合する小分子リガンドである(すなわち、これらリガンドの各々に対する受容体は正常組織に比して癌で過発現され得る)。
【0292】
ある実施態様において、小分子リガンドは約10,000ダルトン未満、約9000ダルトン未満、約8,000ダルトン未満、約7000ダルトン未満、約6000ダルトン未満、約5000ダルトン未満、約4500ダルトン未満、約4000ダルトン未満、約3500ダルトン未満、約3000ダルトン未満、約2500ダルトン未満、約2000ダルトン未満、約1500ダルトン未満、約1000ダルトン未満または約500ダルトン未満の質量を有し得る。他の実施態様において、小分子リガンドは約1~約10,000ダルトン、約1~約9000ダルトン、約1~約8,000ダルトン、約1~約7000ダルトン、約1~約6000ダルトン、約1~約5000ダルトン、約1~約4500ダルトン、約1~約4000ダルトン、約1~約3500ダルトン、約1~約3000ダルトン、約1~約2500ダルトン、約1~約2000ダルトン、約1~約1500ダルトン、約1~約1000ダルトンまたは約1~約500ダルトンの質量を有し得る。
【0293】
ある実施態様において、DUPA誘導体は、標的化部分に結合した小分子リガンドのリガンドであってよく、DUPA誘導体は、引用により本明細書に包含されるWO2015/057852に記載される。
【0294】
ある実施態様において、「リンカーに結合した小分子リガンド」との記載での小分子リガンドはフォレートである。種々の実施態様において、フォレートは葉酸、葉酸アナログまたは他の葉酸受容体結合分子であり得る。種々の実施態様において、使用し得るフォレートのアナログは、フォリン酸(例えば、ロイコボリン)、プテロポリグルタミン酸および葉酸受容体結合プテリジン、例えばテトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸およびそのデアザおよびジデアザアナログであり得る。用語「デアザ」および「ジデアザ」アナログは、天然に存在する葉酸構造の1または2窒素原子の代わりに炭素原子を有する、当分野で認識されるアナログをいう。例えば、デアザアナログは1-デアザ、3-デアザ、5-デアザ、8-デアザおよび10-デアザアナログを含む。ジデアザアナログは例えば、1,5-ジデアザ、5,10-ジデアザ、8,10-ジデアザおよび5,8-ジデアザアナログを含む。前記葉酸アナログは、葉酸受容体への結合能を反映して、慣用的に「フォレート」と称される。他の葉酸受容体結合アナログは、アミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキサート)、N10-メチルフォレート、2-デアミノ-ヒドロキシフォレート、デアザアナログ、例えば1-デアザメトプテリンまたは3-デアザメトプテリンおよび3’,5’-ジクロロ-4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイルグルタミン酸(ジクロロメトトレキサート)を含む。
【0295】
他の実施態様において、「リンカーに結合した小分子リガンド」との記載での小分子リガンドは、式
【化9】
〔式中、XおよびYは各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは各々独立して-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここで、Xは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
*は、何らかのさらなる化学部分がフォレートの一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合である。〕
を有し得る。
【0296】
ある態様において、CAR T細胞により発現されるCARに結合する「標的化部分」は、例えば、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、DARPin、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環ペプチド、FN3スキャフォールド、cysノット、フィノマー、クーニッツドメインまたはObodyから選択され得る。標的化部分の特性は、それがCARにより、好ましくは特異的に、認識され、結合され、かつ比較的低分子量であることによってのみ限定される。種々の態様において、例示的ターティング部分は、小分子量有機分子を含むハプテンである。
【0297】
ある説明的実施態様において、標的化部分は、次の説明的構造
【化10】
〔式中、Xは酸素、窒素または硫黄であり、XはリンカーLに結合し;YはOR、NR またはNR であり;そしてY’はO、NRまたはNR であり;各Rは各場合H、フルオロ、スルホン酸、スルホネートおよびそれらの塩などから独立して選択され;そしてRは水素またはアルキルである。〕
を有し得る。
【0298】
ある説明的態様において、リンカーはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロリン、親水性アミノ酸、糖、非天然ペプチドグリカン、ポリビニルピロリドン、プルロニックF-127またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0299】
他の説明的態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的に許容される塩におけるリンカーは、直接結合を含んでよく(例えば、小分子リガンドのFITCのイソチオシアネート基と遊離アミン基間の反応)または結合は中間リンカーを介してよい。ある実施態様において、存在するならば、中間リンカーは、二価リンカーなどの当分野で知られる任意の生体適合性リンカーであり得る。ある説明的実施態様において、二価リンカーは、約1~約30炭素原子を含み得る。他の説明的実施態様において、二価リンカーは約2~約20炭素原子を含み得る。他の実施態様において、低分子量二価リンカー(すなわち、おおよその分子量約30~約300ダルトンを有するもの)が用いられる。他の実施態様において、適当なリンカー長は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40またはそれ以上の原子を有するリンカーを含むが、これらに限定されない。
【0300】
種々の実施態様において、標的化部分に結合する小分子リガンドは、式
【化11】
〔式中、Bは小分子リガンドであり、Lはリンカーであり、Tは標的化部分であり、ここで、Lは式
【化12】
(式中、nは0~200の整数である)
を有する構造を含む。〕
を有するものであり得る。他の実施態様において、nは0~150、0~110、0~100、0~90、0~80、0~70、0~60、0~50、0~40、0~30、0~20、0~15、0~14、0~13、0~12、0~11、0~10、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、0~1、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、15~31、15~32、15~33、15~34、15~35、15~36、15~37、15~38、15~39、15~40、15~50、15~60、15~70、15~80、15~90、15~100、15~110、15~120、15~130、15~140、15~150の整数であり得てまたはnは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90、100、108、110、120、130、140または150であり得る。
【0301】
他の実施態様において、リンカーは、1以上のスペーサーを含んでよい二価リンカーであり得る。説明的スペーサーを下表に示す。次の非限定的、説明的スペーサーは、*が小分子リガンドまたは標的化部分または他の二価リンカー部分への結合点を示すとして記載する。
【表1】
【0302】
他の実施態様において、標的化部分に結合する小分子リガンド(架橋)は次の構造の何れかを有し得る。
【化13】
【化14】
【化15】
【0303】
他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩が抗体ではなく、抗体のフラグメントを含まない。さらに他の実施態様において、標的化部分がペプチドエピトープを含まない。
【0304】
ある説明的実施態様において、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド(架橋)は、小分子リガンドに結合するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を含む。ある態様において、癌は、小分子リガンドに対する受容体を過剰発現し得る。他の態様において、例えば、細胞毒性T細胞または他のタイプのT細胞を抗FITC scFvを含むCARを発現するよう、形質転換できる。この態様において、CARは標的FITCであってよく、ここで、癌への小分子リガンドの結合の結果として、癌がFITC分子で装飾される。故に、正常、非標的細胞への毒性は回避または低減され得る。この実施態様において、抗FITC CAR発現T細胞がFITCに結合するとき、CAR T細胞は活性化され、癌が改善される。
【0305】
リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドの「薬学的に許容される塩」が考慮される。ここで使用する用語「薬学的に許容される塩」は、カウンターイオンが医薬で使用され得る塩をいう。種々の実施態様において、このような塩は、1)遊離塩基の親化合物と無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などまたは有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、(D)または(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの反応により得ることができる酸付加塩;または2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウムイオンで置き換えられたとき;または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタミン、N-メチルグルカミンなどとの配位により形成される塩を含むが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は当業者に周知であり、あらゆるこのような薬学的に許容される塩がここに記載する実施態様と関連して考慮される。
【0306】
種々の実施態様において、適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。説明的例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、べシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0307】
種々の実施態様において、適当な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。説明的例は、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を含む。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0308】
ある説明的態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的に許容される塩は、1以上のキラル中心を含み得るかまたは他に複数立体異性体として存在可能であり得る。従って、種々の実施態様は、純粋立体異性体ならびに立体異性体混合物、例えばエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーまたはジアステレオマー富化混合物を含み得る。ある態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的に許容される塩は、幾何異性体として存在し得る。従って、種々の実施態様は、純粋幾何異性体または幾何異性体混合物を含み得る。
【0309】
ある態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的に許容される塩は溶媒和されていない形態および水和形態を含む溶媒和された形態で存在し得る。一般に、溶媒和された形態は溶媒和されていない形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。
【0310】
ここに記載する方法はまた架橋の標的化部分(例えば、FITC、DNPまたはTNP)を認識し、結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたTリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)も利用する。ある実施態様において、ここに記載するCARは、1)標的化部分を特異性をもって認識し、結合する認識領域(例えば、抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域、Fabフラグメントなど)、2)Tリンパ球の増殖および生存を増強する共刺激ドメインおよび3)Tリンパ球活性化シグナルを産生する活性化シグナル伝達ドメインを含む3個のドメインを含む。
【0311】
種々の態様において、非限定的例として、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、2,4,6-トリニトロフェノール(TNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、ノッチン、センチリン、DARPin、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環ペプチド、FN3スキャフォールド、cysノット、フィノマー、クーニッツドメインまたはObodyに結合する抗体のscFv領域が使用され得る。説明的非限定的実施態様において、scFv領域は、(i)当分野で標的化部分に結合することが知られる抗体、(ii)ハプテンなどの選択標的化部分を使用して新たに調製される抗体および(iii)このような抗体のscFv領域由来の配列バリアント、例えば、由来するscFv領域のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するscFv領域から製造され得る。
【0312】
ある態様において、共刺激ドメインは、CARの標的化部分への結合により、細胞毒性Tリンパ球の増殖および生存を増強するために働く。適当な共刺激ドメインは、活性化T細胞に発現されるCD28、CD137(4-1BB)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーメンバー、CD134(OX40)、受容体のTNFRスーパーファミリーのメンバー、CD27、CD30、CD150、DAP10、NKG2DおよびCD278(ICOS)、CD28スーパーファミリー共刺激分子またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。当業者は、これら共刺激ドメインの配列バリアントを、本発明に不利に影響することなく利用できることを理解し、ここで、バリアントはそれらがモデルとしたドメインと同じまたは類似する活性を有する。種々の実施態様において、このようなバリアントは、由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有する。
【0313】
説明的実施態様において、活性化シグナル伝達ドメインは、CARの標的化部分への結合により、Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)を活性化するために働く。種々の実施態様において、適当な活性化シグナル伝達ドメインは、T細胞CD3ζ鎖、CD3デルタ受容体タンパク質、mbl受容体タンパク質、B29受容体タンパク質およびFc受容体γを含む。当業者は、これら活性化シグナル伝達ドメインの配列バリアントが、該バリアントがモデルとしたドメインと同じまたは類似する活性を有するとき、使用できることを認識する。種々の実施態様において、バリアントは、由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有する。
【0314】
ある態様において、CARをコードする構築物は、遺伝子工学技術を使用して製造される。このような技術は、引用により本明細書に包含させるSambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001), incorporated herein by reference, and Green and Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)に詳述される。
【0315】
例として、フレーム内に、5’から3’方向で結合した、認識領域、1以上の共刺激ドメインおよび活性化シグナル伝達ドメインを含む融合タンパク質をコードする、プラスミドまたはウイルス発現ベクター(例えば、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、sleeping beautyおよびpiggyback(非ウイルス介在CAR遺伝子送達系を含むトランスポゾン/トランスポザーゼ系))を、製造できる。他の実施態様において、他の配置が許容され、認識領域、活性化シグナル伝達ドメインおよび1以上の共刺激ドメインを含む。ある実施態様において、融合タンパク質への認識領域の配置は、一般にCAR T細胞の外部上への領域の呈示が達成されるようなものである。ある実施態様において、CARは、融合タンパク質の細胞表面への適切な輸送を確実にするためのシグナルペプチド(例えば、CD8αシグナルペプチド)、融合タンパク質が膜内在性膜タンパク質(例えば、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメインまたはCD3ζ膜貫通ドメイン)として維持されることを確実にする膜貫通ドメインおよび認識領域に柔軟性を付与し、標的化部分との強い結合を可能とするヒンジドメイン(例えば、CD8αヒンジ)などの付加的要素を含み得る。
【0316】
例示的CARの略図を図2および3に示す。図2に関して、融合タンパク質配列はレンチウイルス発現ベクターに取り込まれ得て、ここで、「SP」はシグナルペプチド、CARは抗FITC CARであり、CD8αヒンジおよびCD8α膜貫通ドメインは存在し、共刺激ドメインは4-1BBであり、活性化シグナル伝達ドメインはCD3ζである。CARインサートの例示的核酸配列が配列番号1および3として提供され、コードされるアミノ酸配列が配列番号2として提供される。さらに他の実施態様において、配列番号2は、ヒト化またはヒトアミノ酸配列を含むまたはそれからなることができる。
【0317】
図3に関して、発現されるCARがE2抗フルオレセイン抗体フラグメントを含む例示的CAR構築物の略図が示され、ここで、融合タンパク質配列は発現ベクターに取り込まれ得て、CARはE2抗フルオレセイン抗体フラグメント、IgG4ヒンジドメイン、CD28膜貫通ドメインを含み、共刺激ドメインがCD137(4-1BB)であり、活性化シグナル伝達ドメインはCD3ζである。CARはさらなる適当なドメインを含み得る。このようなCARインサートの例示的核酸配列は配列番号4として提供され、例示的なコードされるアミノ酸配列は配列番号5として提供される。ここで使用する「配列番号4」は、下線「agc」コドンから始まり、下線「ggc」コドンで終わる配列を意味する。長い配列のこの部分は、T細胞膜に挿入されたCARをコードする。長い配列の他の部分は、膜に挿入されたCARの一部ではなく、キメラ抗原受容体として機能する、シグナルペプチド、EGFRtドメインなどのコード配列を含む。ここで使用する「配列番号5」は、下線「S」から始まり、下線「G」で終わる配列を意味する。長い配列のこの部分は、T細胞膜に挿入されたCARのアミノ酸配列である。長い配列の他の部分は、膜に挿入されたCARの一部ではなく、キメラ抗原受容体として機能する、シグナルペプチド、EGFRtドメインなどのアミノ酸配列を含む。さらに他の実施態様において、配列番号5は、ヒト化またはヒトアミノ酸配列を含むまたはそれからなることができる。配列番号4および5は上記のとおりであり、下に示す。長い核酸配列の開始コドンおよび停止コドンは下線を付し、長い配列は、ここに記載する方法において使用するT細胞の形質導入に使用され得る例示的配列である。
【0318】
配列番号4(E2抗フルオレセイン抗体フラグメントCAR核酸配列(インサート))
【表2】
【0319】
配列番号5(E2抗フルオレセイン抗体フラグメントCARアミノ酸配列(インサート))
【表3】
【0320】
他の例示的CAR構築物は、図3に図式的に示される4M5.3 CARである。ここで使用する「配列番号6」は、下線「gac」コドンから始まり、下線「ggc」コドン終わる下記配列を意味する。長い配列のこの部分は例示的4M5.3 CARをコードする。CARはT細胞膜に挿入される。長い配列の他の部分は、膜に挿入されたCARの一部ではなく、キメラ抗原受容体として機能する、シグナルペプチド、EGFRtドメインなどのコード配列を含む。ここで使用する「配列番号7」は、下線「D」から始まり、下線「G」終わる下記配列を意味する。長い配列のこの部分は、T細胞膜に挿入されるCARのアミノ酸配列である。長い配列の他の部分は、膜に挿入されたCARの一部ではなく、キメラ抗原受容体として機能する、シグナルペプチド、EGFRtドメインなどのアミノ酸配列を含む。さらに他の実施態様において、配列番号7は、ヒト化またはヒトアミノ酸配列を含むまたはそれからなることができる。配列番号6および7は上記のとおりであり、下に示す。長い核酸配列の開始コドンおよび停止コドンは下線を付し、長い配列は、4M5.3 CARを製造するためにT細胞の形質導入に使用され得る例示的配列である。
【0321】
配列番号7[4M5.3-CARアミノ酸配列(インサート)]
【表4】
【0322】
配列番号6[4M5.3-CARヌクレオチド酸配列(インサート)]
【表5】
【0323】
ある実施態様において、CARは認識領域を有し、認識領域は抗FITC抗体の一本鎖フラグメント可変(scFv)領域であり、共刺激ドメインおよび共刺激ドメインはCD137(4-1BB)であり、そして活性化シグナル伝達ドメインはT細胞CD3ζ鎖である。抗FITC scFvと抗フルオレセインscFvが同義の用語であることは、当業者には周知である。
【0324】
ある実施態様において、Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)を、CAR構築物をコードする発現ベクターでTリンパ球の集団をトランスフェクトすることにより、CAR構築物を発現するよう遺伝子改変できる。選択CAR構築物を発現する形質導入Tリンパ球集団の製造に適当な方法は当業者に周知であり、Sambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001)(引用により本明細書に包含する)およびGreen and Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)(引用により本明細書に包含する)に記載される。
【0325】
ある実施態様において、配列番号1、3、4または6の核酸を含むCAR T細胞が提供される。他の実施態様において、配列番号2、5または7のポリペプチドを含むCAR T細胞が提供される。他の説明的態様において、配列番号1、3、4または6を含み、キメラ抗原受容体をコードする核酸(例えば、単離核酸)が提供される。さらに他の実施態様において、配列番号2、5または7を含むキメラ抗原受容体ポリペプチドが提供される。他の実施態様において、配列番号1、3、4または6を含むベクターが提供される。他の態様において、配列番号1、3、4または6を含むレンチウイルスベクターが提供される。さらに他の実施態様において、配列番号2、5または7は、ヒト化またはヒトアミノ酸配列を含むまたはそれからなることができる。
【0326】
これらの実施態様の各々において、配列番号1~7に少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するバリアント核酸配列またはアミノ酸配列が考慮される。他の実施態様において、核酸配列は、バリアント配列が配列番号2(配列番号1および3について)、配列番号5(配列番号4について)または配列番号7(配列番号6について)のポリペプチドをコードする限り、配列番号1、3、4または6に少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するバリアント核酸配列であり得る。他の実施態様において、核酸配列またはアミノ酸配列は、配列番号1、3、4もしくは6に関して200核酸にわたってまたは配列番号2、5もしくは7に関して200アミノ酸にわたって、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%配列同一性を有するバリアント核酸またはアミノ酸配列であり得る。ある実施態様において、配列間の%同一性または類似性決定は、例えば、GAPプログラム(Genetics Computer Group、ソフトウェア;現在http://www.accelrys.comのAccelrysから入手可能)を使用して決定でき、アラインメントは、例えば、ClustalWアルゴリズム(VNTIソフトウェア、InforMax Inc.)を使用して実施できる。配列データベースを、目的の核酸またはアミノ酸配列を使用してサーチできる。データベースサーチのためのアルゴリズムは、一般にBLASTソフトウェアに基づく(Altschul et al., 1990)。ある実施態様において、パーセント同一性を、核酸またはアミノ酸配列の全長にわたり、決定できる。
【0327】
また、本発明の範囲内であるのは配列番号1、3、4または6により表される核酸に相補的な核酸および高ストリンジェント条件下で、配列番号1、3、4または6により表される核酸とハイブリダイズするまたはその相補体とハイブリダイズする核酸である。本発明によって「高ストリンジェント条件」は、65℃で5×SSPEおよび50%ホルムアミド中でハイブリダイゼーションおよび65℃で0.5×SSPEで洗浄を意味する。高ストリンジェンシー、低ストリンジェンシーおよび中ストリンジェンシーハイブリダイゼーションのための条件は、Sambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001)(引用により本明細書に包含する)およびGreen and Sambrook, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)(引用により本明細書に包含する)に記載される。ある説明的態様において、ハイブリダイゼーションは、核酸の全長にわたり起こる。
【0328】
ある実施態様において、ここに記載する方法において使用するTリンパ球(例えば、CAR T細胞の製造に使用した細胞毒性Tリンパ球)は自己細胞であり得るが、処置されている患者が、該患者の免疫系を破壊するために高用量化学療法または放射線処置を受けているときなど、異種細胞も使用できる。ある実施態様において、同種異系細胞が使用され得る。
【0329】
ある態様において、Tリンパ球を、当分野で周知の手段により患者から得ることができる。例えば、T細胞(例えば、細胞毒性T細胞)を、患者から末梢血を採取し、該血液をFicoll密度勾配遠心分離に付し、次いで陰性T細胞単離キット(例えばEasySepTM T細胞単離キット)を使用して、末梢血からT細胞集団を単離することにより、得ることができる。ある説明的実施態様において、Tリンパ球(例えば、細胞毒性T細胞)の集団は純粋である必要はなく、他のタイプのT細胞(例えば、細胞毒性T細胞の場合)、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞およびB細胞などの他の細胞を含んでよい。ある態様において、採取される集団は、選択細胞型を少なくとも約90%、選択細胞型を少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%含み得る。
【0330】
ある実施態様において、Tリンパ球(例えば、CAR T細胞の製造に使用する細胞毒性T細胞)を得た後、該細胞を、細胞の活性化を促進する条件下で培養する。この実施態様において、培養条件は、培養培地成分との反応性の懸念なく、細胞を患者に投与できるようなものであり得る。例えば、培養条件は、ウシ血清アルブミンなどのウシ血清製品を含まない。ある説明的態様において、活性化は、細胞毒性T細胞の場合抗CD3抗体など、既知アクティベーターの培養培地への導入により達成できる。他の適当なアクティベーターは抗CD28抗体を含む。ある態様において、リンパ球の集団は、約1~約4日間、活性化を促進する条件下で培養され得る。ある実施態様において、活性化の適切なレベルは、細胞サイズ、増殖速度またはフローサイトメトリーにより決定される活性化マーカーにより決定され得る。
【0331】
ある説明的実施態様において、Tリンパ球(例えば、CAR T細胞の製造に使用した細胞毒性Tリンパ球)の集団が活性化を促進する条件下で培養された後、細胞は、CARをコードする発現ベクターでトランスフェクトされ得る。種々の実施態様において使用する適当なベクターおよびトランスフェクション方法は上に記載される。ある態様において、トランスフェクション後、細胞を患者にすぐに投与してよくまたは細胞を、例えば、該細胞にトランスフェクションから回復するための時間を与えるため、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日またはそれ以上または約5~約12日、約6~約13日、約7~約14日または約8~約15日培養してよい。ある態様において、適当な培養条件は、活性化を促進するために使用した薬剤を含むかまたは含まない、細胞が活性化のために培養された条件に類似したものであり得る。
【0332】
故に、上記のとおり、ある説明的態様において、ここに記載する処置方法は、さらに、1)自己または異種Tリンパ球(例えば、CAR T細胞の製造に使用した細胞毒性Tリンパ球)の集団を得て、2)細胞の活性化を促進する条件下にTリンパ球を培養し、そして3)リンパ球をCARをコードする発現ベクターでトランスフェクトして、CAR T細胞を形成することを含む。
【0333】
ある実施態様において、ウシ血清などのあらゆる動物資材を含まない培養培地がCAR T細胞の培養に使用され得る。他の実施態様において、一般に当業者が細菌、真菌およびマイコプラズマでの汚染を避けるために使用する組織培養条件が使用され得る。例示的実施態様において、患者に投与する前に、細胞(例えば、CAR T細胞)をペレット化し、洗浄し、薬学的に許容される担体または希釈剤に再懸濁する。CAR発現Tリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)を含む例示的組成物は、無菌290mOsm食塩水、注射可能凍結保存培地(Plasma-Lyte A、デキストロース、塩化ナトリウム注射、ヒト血清アルブミンおよびDMSO含有)、2%ヒト血清アルブミン添加0.9%NaClまたは何らかの他の無菌290mOsm注射可能物質中に細胞を含む組成物である。あるいは、他の実施態様において、培養培地の特性によって、CAR T細胞を組成物として培養培地に投与できまたは投与前に濃縮し、培養培地に再懸濁できる。種々の実施態様において、CAR T細胞組成物を、非経腸投与、例えば、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内または髄腔内などの何れかの適当な手段で患者に投与し得る。
【0334】
ある態様において、患者に投与する組成物中のCAR T細胞の総数および細胞の濃度は、使用するTリンパ球(例えば、細胞毒性Tリンパ球)のタイプ、CARの結合特異性、標的化部分および小分子リガンドの特性、癌の特性、患者における癌の部位、患者に組成物を投与するのに使用する手段および処置する患者の健康状態、年齢および体重を含む、多数の因子により変わる。種々の実施態様において、適当な形質導入CAR T細胞を含む組成物は、約0.1ml~約200mlおよび約0.1ml~約125mlの体積を有するものである。
【0335】
種々の実施態様において、患者に投与される形質導入CAR T細胞は、約1×10~約1×1015または1×10~約1×1015の形質導入CAR T細胞からなり得る。種々の実施態様において約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約2×10、約1×10~約3×10、約1×10~約1.5×10、約1×10~約1×10、約1×10~約9×10、約1×10~約8×10、約1×10~約7×10、約1×10~約6×10、約1×10~約5×10、約1×10~約4×10、約1×10~約3×10、約1×10~約2×10、約2×10~約6×10、約2×10~約5×10、約3×10~約6×10、約4×10~約6×10、約4×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約1.5×10、約1×10~約2×10、約0.2×10~約1×10、約0.2×10~約1.5×10、約0.2×10~約2×10、約0.2×10~約3×10、約0.2×10~約4×10、約0.2×10~約5×10、約0.2×10~約1.5×10、約0.5×10~約1.5×10、約0.2×10~約1.4×10、約0.2×10~約1.3×10、約0.5×10~約1.3×10、約0.8×10~約2×10、約0.8×10~約1.5×10、約0.9×10~約1.2×10または約0.5×10、1×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、1.5×10、2×10、3×10、4×10または5×10 CAR T細胞を患者に投与し得る。これらの量は、患者体重kgあたりである。
【0336】
他の実施態様において、CAR T細胞組成物で患者に投与するCAR T細胞の用量は、約100万、約200万、約300万、約400万、約500万、約600万、約700万、約800万、約900万、約1000万、約1100万、約1200万、約1250万、約1300万、約1400万および約1500万のCAR T細胞からなる群から選択される。これらの量は、患者体重kgあたりである。
【0337】
本段落に記載する実施態様の何れにおいても、CAR T細胞用量は、患者体重kgあたりのCAR T細胞数であり得る。ある態様において、ここに記載する何れの実施態様においても、単一用量または複数用量のCAR T細胞を患者に投与できる。ある説明的実施態様において、CAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二回用量を患者に投与し得る。ある態様において、CAR T細胞の初回用量は、患者のCAR T細胞に対する認容性をモニターするための試験用量であってよく、CAR T細胞の第二回用量は、CAR T細胞の初回用量より高用量のCAR T細胞を含み得る。ある実施態様において、CAR T細胞の初回用量は、約0.5×10のCAR T細胞~約1.5×10のCAR T細胞を含み得る。他の実施態様において、CAR T細胞の第二回用量は、約0.8×10のCAR T細胞~約2×10のCAR T細胞を含み得る。CAR T細胞の初回および第二回用量を含むこれらの実施態様において、ここに記載するあらゆる用量のCAR T細胞が投与され得る。
【0338】
ここに記載する何れの実施態様においても、CAR T細胞を化合物またはその薬学的に許容される塩の投与前または後に投与してよい。理解されるとおり、ここに記載するあらゆる方法の工程についての指定i)、ii)およびiii)などは、特に断らない限り順番を示すものではない。
【0339】
ここに記載する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物を、当分野で知られる任意の適当な方法を使用して患者に投与し得る。ここで使用する用語「投与する」または「投与」は、経口、静脈内、筋肉内、皮下、経皮などを含むが、これらに限定されない、患者に化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物を導入する全ての手段を含む。ある態様において、ここに記載する化合物またはその薬学的に許容される塩を、慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび媒体を含む、単位剤型および/または製剤で投与し得る。
【0340】
ある態様において、ここに記載する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物を、血流、筋肉または内臓に直接投与し得る。種々の実施態様において、このような非経腸投与のための適当な経路は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内および皮下送達を含む。ある実施態様において、非経腸投与手段は、有針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および点滴技術を含む。
【0341】
ある説明的態様において、非経腸製剤は、一般に塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3~9)などの担体または添加物を含み得る水溶液であるが、無菌非水溶液または無菌、発熱性物質除去水または無菌食塩水などの適当な媒体と組み合わせて使用すべき乾燥形態として製剤されるのがより好適であり得る。他の実施態様において、ここに記載する液体製剤の何れもここに記載する非経腸投与に適合させ得る。非経腸製剤用無菌凍結乾燥粉末を製造するための、凍結乾燥による無菌条件下の製造は、当業者に周知の標準製薬技術を使用して容易に達成され得る。ある実施態様において、非経腸製剤の製造に使用する化合物またはその薬学的に許容される塩の溶解度を、溶解促進剤の取り込みなどの適切な製剤技術の使用により、増加させ得る。
【0342】
ある実施態様において、患者に投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、処置される癌、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与経路および組織分布により顕著に変わり得る。ある態様において、患者に投与される量は、体表面積、体重および医師の評価に基づき得る。
【0343】
種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、1)少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程、2)少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程および3回目の用量漸増過程、3)少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程および4回目の用量漸増過程、4)少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程および5回目の用量漸増過程、5)少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程、5回目の用量漸増過程および6回目の用量漸増過程で投与できまたは6)1以上のさらなる用量漸増過程が含まれ得る。
【0344】
種々の実施態様において、1回目、2回目、3回目、4回目、5回目または6回目などの用量漸増過程について、患者に投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約0.1μg/kg~約2000μg/kg、0.1μg/kg~約1500μg/kg、0.1μg/kg~約1000μg/kg、0.1μg/kg~約500μg/kg、約0.1μg/kg~約100μg/kg、約0.1μg/kg~約80μ/kg、約0.1μg/kg~約70μg/kg、約0.1μg/kg~約50μg/kg、約0.1μg/kg~約40μg/kg、約0.1μg/kg~約30μg/kg、約0.3μg/kg~約500μg/kg、約0.3μg/kg~約400μg/kg、約0.3μg/kg~約300μg/kg、約0.3μg/kg~約200μg/kg、約0.3μg/kg~約100μg/kg、約0.3μg/kg~約90μg/kg、約0.1μg/kg~約400μg/kg、約0.1μg/kg~約350μg/kg、約0.1μg/kg~約300μg/kg、約0.1μg/kg~約250μg/kg、約0.1μg/kg~約200μg/kg、約0.1μg/kg~約150μg/kgまたは約0.3μg/kg~約150μg/kgまたは5μg/kg~約2000μg/kg、5μg/kg~約1500μg/kg、5μg/kg~約1000μg/kg、5μg/kg~約500μg/kg、約5μg/kg~約100μg/kg、約5μg/kg~約80μ/kg、約5μg/kg~約70μg/kg、約5μg/kg~約50μg/kg、約5μg/kg~約40μg/kgまたは約5μg/kg~約30μg/kgであり得る。他の実施態様において、1回目および4回目の用量漸増過程について、患者に投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量は約0.1μg/kg~約100μg/kg、約0.1μg/kg~約80μg/kg、約0.1μg/kg~約70μg/kg、約0.1μg/kg~約50μg/kg、約0.1μg/kg~約40μg/kg、約0.1μg/kg~約30μg/kgまたは約0.3μg/kg~約30μg/kg、約5μg/kg~約100μg/kg、約5μg/kg~約80μg/kg、約5μg/kg~約70μg/kg、約5μg/kg~約50μg/kg、約5μg/kg~約40μg/kg、約5μg/kg~約30μg/kgまたは約5μg/kg~約2000μg/kgまたは約5μg/kg~約1500μg/kgまたは約5μg/kg~約1000μg/kgまたは約5μg/kg~約500μg/kgであり得る。他の実施態様において、2回目および5回目の用量漸増過程について、患者に投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量は約0.3μg/kg~約500μg/kg、約0.3μg/kg~約400μg/kg、約0.3μg/kg~約300μg/kg、約0.3μg/kg~約200μg/kg、約0.3μg/kg~約100μg/kgまたは約0.3μg/kg~約90μg/kgまたは約5μg/kg~約100μg/kg、約5μg/kg~約80μg/kg、約5μg/kg~約70μg/kg、約5μg/kg~約50μg/kg、約5μg/kg~約40μg/kg、約5μg/kg~約30μg/kgまたは約5μg/kg~約2000μg/kgまたは約5μg/kg~約1500μg/kgまたは約5μg/kg~約1000μg/kgまたは約5μg/kg~約500μg/kgであり得る。さらに他の実施態様において、3回目および6回目の用量漸増過程について、患者に投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量は0.1μg/kg~約400μg/kg、約0.1μg/kg~約350μg/kg、約0.1μg/kg~約300μg/kg、約0.1μg/kg~約250μg/kg、約0.1μg/kg~約200μg/kg、約0.1μg/kg~約150μg/kgまたは約0.3μg/kg~約150μg/kgまたは約5μg/kg~約100μg/kg、約5μg/kg~約80μg/kg、約5μg/kg~約70μg/kg、約5μg/kg~約50μg/kg、約5μg/kg~約40μg/kg、約5μg/kg~約30μg/kgまたは約5μg/kg~約2000μg/kgまたは約5μg/kg~約1500μg/kgまたは約5μg/kg~約1000μg/kgまたは約5μg/kg~約500μg/kgであり得る。これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。
【0345】
これらの実施態様の何れにおいても、化合物またはその薬学的に許容される塩の量の範囲は、該化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージの計算に基づく範囲であり得て、ここで、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」は約30μg/kgであってよく、パーセンテージは、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」の約1%~約100%(図1の過程1参照)、約1%~約300%(図1の過程2参照)および約1%~約500%(図1の過程3参照)である。他の実施態様において、用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%または約500%であり得て、投与量はそれぞれ約0.3μg/kg、約3μg/kg、約9μg/kg、約15μg/kg、約30μg/kg、約90μg/kgまたは約150μg/kgであるかまたは約17%、約333%、約1666%または約3333%であり、投与量はそれぞれ約5μg/kg、約100μg/kg、約500μg/kgまたは約1000μg/kgであり得る。これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。
【0346】
他の実施態様において、用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、1回目の用量漸増過程について約1%、約2%および約20%、2回目の用量漸増過程について約1%、約6%および約60%、そして3回目の用量漸増過程について約1%、約10%および約100%であり、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」は500nmol/kgであり得る。この実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、各用量漸増サイクルの間が約6日間で月曜日、木曜日および月曜日に投与し得る。
【0347】
他の実施態様において、用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、1回目の用量漸増過程について約1%、約10%および約100%および2回目の用量漸増過程について約1%、約20%および約200%であってよく、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」は500nmol/kgであり得る。この実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、各用量漸増サイクルの間が約6日間で月曜日、木曜日および月曜日に投与し得る。
【0348】
他の実施態様において、用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、1回目の用量漸増過程について約1%、約10%および約100%、そして2回目の用量漸増過程については約1%、約10%および約100%であってよく、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」は500nmol/kgであり得る。この実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、各用量漸増サイクルの間が約6日間で月曜日、木曜日および月曜日に投与し得る。他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩、を、各用量漸増サイクルの間が約9日間で月曜日、木曜日および月曜日に投与し得る。他の実施態様において、用量漸増を回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回または何れか適当な回数繰り返し得る。
【0349】
さらに他の実施態様において、用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは1回目の用量漸増過程について約1%、約20%および約200%、そして2回目の用量漸増過程について約1%、約20%および約200%であってよく、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」は500nmol/kgであり得る。この実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、各用量漸増サイクルの間が約6日間で月曜日、木曜日および月曜日に投与し得る。他の実施態様において、用量漸増を回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回または何れかの適当な回数繰り返し得る。
【0350】
他の実施態様において、1回目または4回目の用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、漸増用量で化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」の約1%、約10%および約100%(約10~約50μg/kg、約20~約40μg/kg、約25~約35μg/kgまたは約30μg/kg)であってよく、投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量はそれぞれ約0.3μg/kg、約3μg/kgおよび約30μg/kgであり得る。さらに他の実施態様において、2回目または5回目の用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、漸増用量で化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」の約1%、約30%および約300%(約10~約50μg/kg、約20~約40μg/kg、約25~約35μg/kgまたは約30μg/kg)であってよく、投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量はそれぞれ約0.3μg/kg、約9μg/kgおよび約90μg/kgであり得る。さらに他の実施態様において、3回目または6回目の用量漸増過程で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、漸増用量で化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」の約1%、約50%および約500%(約10~約50μg/kg、約20~約40μg/kg、約25~約35μg/kgまたは約30μg/kg)であってよく、投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の量はそれぞれ約0.3μg/kg、約15μg/kgおよび約150μg/kgであり得る。これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。
【0351】
種々の他の実施態様において、患者に投与すべき量は、例えば、約0.05mg~約30mg、0.05mg~約25.0mg、約0.05mg~約20.0mg、約0.05mg~約15.0mg、約0.05mg~約10.0mg、約0.05mg~約9.0mg、約0.05mg~約8.0mg、約0.05mg~約7.0mg、約0.05mg~約6.0mg、約0.05mg~約5.0mg、約0.05mg~約4.0mg、約0.05mg~約3.0mg、約0.05mg~約2.0mg、約0.05mg~約1.0mg、約0.05mg~約0.5mg、約0.05mg~約0.4mg、約0.05mg~約0.3mg、約0.05mg~約0.2mg、約0.05mg~約0.1mg、約.01mg~約2mg、約0.3mg~約10mg、約0.1mg~約20mgまたは約0.8~約3mgの範囲であり得る。
【0352】
他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば、約50nmol/kg~約3000nmol/kg患者体重、約50nmol/kg~約2000nmol/kg、約50nmol/kg~約1000nmol/kg、約50nmol/kg~約900nmol/kg、約50nmol/kg~約800nmol/kg、約50nmol/kg~約700nmol/kg、約50nmol/kg~約600nmol/kg、約50nmol/kg~約500nmol/kg、約50nmol/kg~約400nmol/kg、約50nmol/kg~約300nmol/kg、約50nmol/kg~約200nmol/kg、約50nmol/kg~約100nmol/kg、約100nmol/kg~約300nmol/kg、約100nmol/kg~約500nmol/kg、約100nmol/kg~約1000nmol/kg、約100nmol/kg~約2000nmol/kg患者体重の範囲であり得る。他の実施態様において、用量は約1nmol/kg、約5nmol/kg、約10nmol/kg、約20nmol/kg、約25nmol/kg、約30nmol/kg、約40nmol/kg、約50nmol/kg、約60nmol/kg、約70nmol/kg、約80nmol/kg、約90nmol/kg、約100nmol/kg、約150nmol/kg、約200nmol/kg、約250nmol/kg、約300nmol/kg、約350nmol/kg、約400nmol/kg、約450nmol/kg、約500nmol/kg、約600nmol/kg、約700nmol/kg、約800nmol/kg、約900nmol/kg、約1000nmol/kg、約2000nmol/kg、約2500nmol/kgまたは約3000nmol/kg患者体重であり得る。さらに他の実施態様において、用量は約0.1nmol/kg、約0.2nmol/kg、約0.3nmol/kg、約0.4nmol/kgまたは約0.5nmol/kg、約0.1nmol/kg~約1000nmol/kg、約0.1nmol/kg~約900nmol/kg、約0.1nmol/kg~約850nmol/kg、約0.1nmol/kg~約800nmol/kg、約0.1nmol/kg~約700nmol/kg、約0.1nmol/kg~約600nmol/kg、約0.1nmol/kg~約500nmol/kg、約0.1nmol/kg~約400nmol/kg、約0.1nmol/kg~約300nmol/kg、約0.1nmol/kg~約200nmol/kg、約0.1nmol/kg~約100nmol/kg、約0.1nmol/kg~約50nmol/kg、約0.1nmol/kg~約10nmol/kgまたは約0.1nmol/kg~約1nmol/kg患者体重であり得る。他の実施態様において、用量は約0.3nmol/kg~約1000nmol/kg、約0.3nmol/kg~約900nmol/kg、約0.3nmol/kg~約850nmol/kg、約0.3nmol/kg~約800nmol/kg、約0.3nmol/kg~約700nmol/kg、約0.3nmol/kg~約600nmol/kg、約0.3nmol/kg~約500nmol/kg、約0.3nmol/kg~約400nmol/kg、約0.3nmol/kg~約300nmol/kg、約0.3nmol/kg~約200nmol/kg、約0.3nmol/kg~約100nmol/kg、約0.3nmol/kg~約50nmol/kg、約0.3nmol/kg~約10nmol/kgまたは約0.3nmol/kg~約1nmol/kg患者体重であり得る。これらの実施態様において、「kg」はすべて患者体重キログラムである。
【0353】
他の実施態様において、化合物(例えば、ここで、各用量漸増段階は50nmol/kg、次いで500nmol/kgである)またはその薬学的に許容される塩の1回目の用量漸増段階および2回目の用量漸増段階を、CAR T細胞(例えば、ここに記載する何れかの量で)投与後実施する。この実施態様において、例えば、1週目および2週目の1回目および2回目の用量漸増段階後、化合物またはその薬学的に許容される塩のレベルは、2週目に投与された最終用量に比して、3週目は一定に維持され得る(例えば、500nmol/kgで一定に維持)。ここに記載する何れの実施態様においても、化合物またはその薬学的に許容される塩のレベルは、先の週に投与された最終用量に比して、後の週は一定に維持され得る。
【0354】
種々の他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば、約10nmol/kg~約10000nmol/kg、約10nmol/kg~約5000nmol/kg、約10nmol/kg~約3000nmol/kg、約10nmol/kg~約2500nmol/kg、約10nmol/kg~約2000nmol/kg、約10nmol/kg~約1000nmol/kg、約10nmol/kg~約900nmol/kg、約10nmol/kg~約800nmol/kg、約10nmol/kg~約700nmol/kg、約10nmol/kg~約600nmol/kg、約10nmol/kg~約500nmol/kg、約10nmol/kg~約400nmol/kg、約10nmol/kg~約300nmol/kg、約10nmol/kg~約200nmol/kg、約10nmol/kg~約150nmol/kg、約10nmol/kg~約100nmol/kg、約10nmol/kg~約90nmol/kg、約10nmol/kg~約80nmol/kg、約10nmol/kg~約70nmol/kg、約10nmol/kg~約60nmol/kg、約10nmol/kg~約50nmol/kg、約10nmol/kg~約40nmol/kg、約10nmol/kg~約30nmol/kg、約10nmol/kg~約20nmol/kg、約200nmol/kg~約900nmol/kg、約200nmol/kg~約800nmol/kg、約200nmol/kg~約700nmol/kg、約200nmol/kg~約600nmol/kg、約200nmol/kg~約500nmol/kg、約250nmol/kg~約600nmol/kg、約300nmol/kg~約600nmol/kg、約300nmol/kg~約500nmol/kgまたは約400nmol/kg~約600nmol/kg患者体重の範囲であり得る。これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。
【0355】
上記用量実施態様の全てにおいて、用量漸増過程の任意の段階で投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」のパーセンテージは、化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%または約500%であり得る。化合物またはその薬学的に許容される塩の「全用量」は、用量漸増過程で投与される用量として先の段落に記載した、化合物またはその薬学的に許容される塩の何れの用量でもよい。
【0356】
種々の他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の用量は、例えば、約1nmol/kg~約10000nmol/kg、約1nmol/kg~約5000nmol/kg、約1nmol/kg~約3000nmol/kg、約1nmol/kg~約2500nmol/kg、約1nmol/kg~約2000nmol/kg、約1nmol/kg~約1000nmol/kg、約1nmol/kg~約900nmol/kg、約1nmol/kg~約800nmol/kg、約1nmol/kg~約700nmol/kg、約1nmol/kg~約600nmol/kg、約1nmol/kg~約500nmol/kg、約1nmol/kg~約400nmol/kg、約1nmol/kg~約300nmol/kg、約1nmol/kg~約200nmol/kg、約1nmol/kg~約150nmol/kg、約1nmol/kg~約100nmol/kg、約1nmol/kg~約90nmol/kg、約1nmol/kg~約80nmol/kg、約1nmol/kg~約70nmol/kg、約1nmol/kg~約60nmol/kg、約1nmol/kg~約50nmol/kg、約1nmol/kg~約40nmol/kg、約1nmol/kg~約30nmol/kgまたは約1nmol/kg~約20nmol/kgの範囲であってよく、これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。
【0357】
他の実施態様において、約20μg/kg患者体重~約3mg/kg患者体重の化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与し得る。他の態様において、量は約0.2mg/kg患者体重~約0.4mg/kg患者体重であり得る。
【0358】
上記用量実施態様のいずれにおいても、単独用量または反復用量の化合物またはその薬学的に許容される塩が患者に投与され得る。
【0359】
ある実施態様において、標的化部分に結合した小分子リガンドをCAR T細胞組成物前に患者に投与し得る。他の実施態様において、標的化部分に結合した小分子リガンドをCAR T細胞組成物と同時に、異なる製剤または同じ製剤で患者に投与し得る。さらに他の実施態様において、標的化部分に結合した小分子リガンドをCAR T細胞組成物後に患者に投与し得る。
【0360】
ある説明的態様において、CAR T細胞と標的化部分に結合した小分子の投与の間のタイミングは、使用するCAR T細胞のタイプ、CARの結合特異性、標的化部分および小分子リガンドの特性、癌の特性、患者における癌の部位、患者にCAR T細胞および標的化部分に結合した小分子リガンドを投与するのに使用する手段および患者の健康状態、年齢および体重を含む因子により広範に変わり得る。ある態様において、標的化部分に結合した小分子リガンドをCAR T細胞の投与前または後、例えば、約3時間、6時間、9時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、27時間、30時間、33時間、36時間、39時間、42時間、45時間、48時間または51時間または約0.5日、1日、1.5日、2日、2.5日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日またはそれ以上の時間以内に投与してよい。
【0361】
ある実施態様において、当分野で知られるあらゆる適用し得る投与スケジュールを、化合物またはその薬学的に許容される塩またはCAR T細胞組成物の投与に使用し得る。ある態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩およびCAR T細胞組成物について選択される投与スケジュールは、CAR T細胞組成物の細胞毒性制御およびCRS制御のために投与される化合物またはその薬学的に許容される塩の濃度およびCAR T細胞の数を考慮に入れ得る。
【0362】
ある例示的実施態様において、1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程、5回目の用量漸増過程、6回目の用量漸増過程またはさらなる用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある。種々の説明的実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間または10日間であり得る。他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間は6日間、7日間または8日間であり得るさらに他の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間は7日間であり得る。
【0363】
ある態様において、CAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二回用量は、第1週の間に、例えば、月曜日および木曜日に、患者に投与されるこの実施態様において、次いで、化合物またはその薬学的に許容される塩の1回目の用量漸増過程を、第2週および第3週に行い得る。例えば、化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日で投与でき、連続していない3日は第2週の月曜日および木曜日および第3週の月曜日であり得る(図1の過程1参照)。この実施態様において、次いで、化合物またはその薬学的に許容される塩の2回目の用量漸増過程を、第4週および第5週に行い得る(図1の過程2参照)。例えば、化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日で投与でき、連続していない3日は第4週の月曜日および木曜日ならびに第5週の月曜日であり得る。この実施態様において、次いで、化合物またはその薬学的に許容される塩の3回目の用量漸増過程を、第6週および第7週に行い得る(図1の過程3参照)。例えば、化合物またはその薬学的に許容される塩を連続していない3日で投与でき、連続していない3日は第6週の月曜日および木曜日ならびに第7週の月曜日であり得る。他の実施態様において、後の用量漸増過程は類似の順番に従い得るまたは過程3を過程3終了約7日後に「コース2」として繰り返してよく、「コース3」開始まで化合物またはその薬学的に許容される塩でのさらなる処置は行わない(「コース2」の長さは、「コース」1について図1に示す時間の長さに基づく)。ある実施態様において、患者は、4コースの治療を受け得る。
【0364】
他の説明的実施態様において、癌を処置する方法が提供される。該方法は、i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む)、ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低い。この実施態様において、低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩が、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約0.5%、約5%および約50%で投与される。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量は約10μg/kg~約50μg/kg、約20μg/kg~約40μg/kg、約25μg/kg~約35μg/kgまたは約30μg/kgであり得る。これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。
【0365】
種々の関連実施態様において、リンパ球を、例えば、シトキサン、フルダラビンおよび/またはエトポシドを使用して、患者にCAR T細胞組成物を投与する前に患者で枯渇でき、方法は、さらに、患者に血小板を投与すること、患者に濃厚赤血球を投与すること、患者に寒冷沈降物を投与すること、患者に静脈内免疫グロブリンを投与すること、カルシウムサプリメント、酸-クエン酸塩-デキストロースおよび/またはヘパリンで処置することおよび/または患者に抗菌療法を施すことを含むが、これらに限定されないさらなる過程を含み得る。ある実施態様において、リンパ球枯渇を、CAR T細胞投与少なくとも約24時間前に行う。
【0366】
他の態様において、方法はCRSモニタリング段階を含み得る。ある説明的態様において、1回目の用量漸増過程の間に患者にCRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を2回目の用量漸増過程に進めてよい。2回目の用量漸増過程の間に患者にCRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を3回目の用量漸増過程に進めてよい。3回目の用量漸増過程の間に患者にCRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を4回目の用量漸増過程に進めてよい。4回目の用量漸増過程の間に患者にCRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を5回目の用量漸増過程に進めてよい。5回目の用量漸増過程の間に患者にCRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を6回目の用量漸増過程に進めてよいなどである。
【0367】
他の説明的実施態様において、用量漸増過程の何れかの間に低血圧を伴わない発熱(すなわち、非重度CRS)が患者で確認され、神経毒性が患者で確認されなければ、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、低血圧を伴わない発熱を引き起こした用量漸増過程レベルで患者に投与し得る。他の態様において、用量漸増過程の何れかの間にCRS(すなわち、重度CRS)または神経毒性が患者で生じたら、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に重度CRSまたは神経毒性を引き起こした用量漸増過程レベルより低い用量漸増過程レベルで患者に投与し得る。
【0368】
ある態様において、重度CRSは、セツキシマブの使用を必要とするあらゆる毒性、何らかの≧グレード3 自己免疫性毒性、CAR T細胞投与または化合物またはその薬学的に許容される塩投与に起因し得て、処置開始後28日以内に起こる何らかの≧グレード3毒性を含み得るが、処置開始後の継続が48時間未満である≦グレード4 発熱、処置開始後の継続が24時間である≦グレード3 悪寒、処置開始後の継続が24時間である≦グレード3 咳嗽、処置開始後の継続が7日未満である≦グレード3 トランスアミナーゼ、処置開始後の継続が48時間未満である≦グレード3 低血圧、処置開始後の継続が48時間未満である≦グレード3 CRS、ベナドリルおよび/またはエピネフリンで解消可能なDMSOに関連する≦グレード3 アナフィラキシーまたは経口またはIV麻薬治療で制御される≦グレード3 疼痛は例外であり、または、さらに、継続が5日間までである≦グレード3 悪寒、継続が2週間までである≦グレード3 トランスアミナーゼ、継続が2週間までである≦グレード3 CRS、≦グレード4 リンパ球減少症、≦グレード4 白血球減少または経口またはIV麻薬治療で制御される継続が2週間までである≦グレード3 疼痛を含む、CAR T細胞注入約3週間後に生じる毒性を含み得る。
【0369】
患者におけるCRSを予防または阻止するある実施態様において、方法は、患者にフォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻止する薬物を投与する過程をさらに含み得る。この実施態様において、フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻止する薬物の何れも、ここで「レスキュー剤」と称し得る。ある実施態様において、葉酸などのフォレートを、患者におけるCRSの予防または阻止のために投与し得る。この実施態様において、フォレートは架橋(すなわち、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド)と、腫瘍上の架橋の受容体の相互作用を阻害し、腫瘍溶解を阻止し、患者におけるCRSを予防または阻止する。
【0370】
ある実施態様において、架橋の腫瘍への結合の阻害剤として投与されるフォレートは、例えば、葉酸、葉酸アナログまたは他の葉酸受容体結合分子であり得る。種々の実施態様において、使用され得るフォレートのアナログはフォリン酸、プテロポリグルタミン酸および葉酸受容体結合プテリジン、例えばテトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸およびそのデアザおよびジデアザアナログを含む。用語「デアザ」および「ジデアザ」アナログは、天然に存在する葉酸構造の1または2窒素原子の代わりに炭素原子を有する、当分野で認識されるアナログをいう。例えば、デアザアナログは1-デアザ、3-デアザ、5-デアザ、8-デアザおよび10-デアザアナログを含む。ジデアザアナログは例えば、1,5-ジデアザ、5,10-ジデアザ、8,10-ジデアザおよび5,8-ジデアザアナログを含む。前記葉酸アナログは、葉酸受容体への結合能を反映して、慣用的に「フォレート」と称される。他の葉酸受容体結合アナログは、アミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキサート)、N10-メチルフォレート、2-デアミノ-ヒドロキシフォレート、デアザアナログ、例えば1-デアザメトプテリンまたは3-デアザメトプテリンおよび3’,5’-ジクロロ-4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイルグルタミン酸(ジクロロメトトレキサート)を含む。
【0371】
他の実施態様において、架橋の腫瘍への結合の阻害剤として投与されるフォレートは、式
【化16】
〔式中、XおよびYは各々独立してハロ、R、OR、SRおよびNRからなる群から選択され;
U、VおよびWは各々独立して-(R6a)C=、-N=、-(R6a)C(R7a)-および-N(R4a)-からなる群から選択される二価部分であり;QはCおよびCHからなる群から選択され;TはS、O、Nおよび-C=C-からなる群から選択され;
およびXは各々独立して酸素、硫黄、-C(Z)-、-C(Z)O-、-OC(Z)-、-N(R4b)-、-C(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)-、-OC(Z)N(R4b)-、-N(R4b)C(Z)O-、-N(R4b)C(Z)N(R5b)-、-S(O)-、-S(O)-、-N(R4a)S(O)-、-C(R6b)(R7b)-、-N(C≡CH)-、-N(CHC≡CH)-、C-C12アルキレンおよびC-C12アルキレンオキシからなる群から選択され、ここで、Xは酸素または硫黄であり;
は水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;
、R、R、R4a、R4b、R、R5b、R6bおよびR7bは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、C-C12アルカノイル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、(C-C12アルコキシ)カルボニルおよび(C-C12アルキルアミノ)カルボニルからなる群から選択され;
およびRは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはRおよびRは一体となってカルボニル基を形成し;
6aおよびR7aは各々独立して水素、ハロ、C-C12アルキルおよびC-C12アルコキシからなる群から選択され;またはR6aおよびR7aは一体となってカルボニル基を形成し;
p、r、sおよびtは各々独立して0または1であり;そして
*は、何らかのさらなる化学部分がフォレートの一部であるならば、コンジュゲートの残りへの任意の共有結合である。〕
を有する。
【0372】
さらに他の実施態様において、フォレートを含むコンジュゲートを投与して、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を阻止または予防できる。CRSは、体重減少、高熱、肺浮腫および危険な血圧低下を含むが、これらに限定されない有害作用を患者で引き起こし得る。
【0373】
この実施態様において、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まず、故に、コンジュゲートは架橋と腫瘍の相互作用を阻害して、腫瘍溶解を予防し、患者におけるCRSを低減する。この実施態様において、フォレートを含むコンジュゲートのフォレート部分は、標的化部分を含まない化学部分に結合した、先の段落に記載するフォレートのいずれかを含み得る。ある態様において、フォレートを含むコンジュゲートは、標的化部分を含まない1以上のアミノ酸に結合したフォレートを含み得る。実例として、フォレートを含むコンジュゲートは式
【化17】
を有し得る。
【0374】
この化合物は、「EC923」とも称される。これらの実施態様において、フォレートまたはフォレートを含むコンジュゲートを、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドに対してフォレートまたはフォレートを含むコンジュゲートが10倍過剰、100倍過剰、200倍過剰、300倍過剰、400倍過剰、500倍過剰、600倍過剰、700倍過剰、800倍過剰、900倍過剰、1000倍過剰または10,000倍過剰のように、架橋(すなわち、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド)に対してモル過剰で患者に投与し得る。架橋と腫瘍の相互作用を阻害するのに必要なリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドの量に対するフォレートまたはフォレートを含むコンジュゲートの量は、当業者により決定され得る。
【0375】
他の実施態様において、CAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を、CAR T細胞活性化を阻害し、患者におけるCRSを阻止または予防するために、患者に投与し得る。ある態様において、本薬剤を、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ)、PI3キナーゼ阻害剤(例えば、GDC0980)、トシリズマブ、IL-2誘導型T細胞キナーゼ阻害剤(例えば、BMS-509744)、JAK阻害剤、BTK阻害剤、SIPアゴニスト(例えばシポニモドおよびオザニモド)および架橋へのCAR T細胞結合を遮断するが、癌に結合しない薬剤(例えば、フルオレセインアミン、FITCまたはナトリウムフルオレセイン)からなる群から選択される。生理学的条件または、例えば、生理学的pHの緩衝液でFITC(すなわち、フルオレセイン)は塩(例えば、ナトリウムフルオレセイン)またはその非塩形であり得ることは、当業者には理解される。従って、ある実施態様において、フルオレセインが患者に投与されるとき、塩形態(例えば、ナトリウムフルオレセイン)と非塩形態の間で平衡であり得る。他の実施態様において、CAR T細胞の活性化を阻害するレスキュー剤は、式
【化18】
の化合物であり得る。この化合物は「EC2319」とも称される。
【0376】
種々の実施態様において、レスキュー剤は、例えば、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、10ml、100mlまたは1000mlを含む何れかの適切な体積で、約.001nM~約100mM、約.01nM~約100mM、約1nM~約100mM、約10nM~約100mM、約50nM~約100mMまたは約100nM~約100mMの濃度で投与され得る。他の実施態様において、レスキュー剤は、約.01~約300μmole/kg患者体重、約.06~約100μmole/kg患者体重、約.06~約90μmole/kg患者体重、約.06~約80μmole/kg患者体重、約.06~約70μmole/kg患者体重、約.06~約60μmole/kg患者体重、約.06~約50μmole/kg患者体重、約.06~約40μmole/kg患者体重、約.06~約30μmole/kg患者体重、約.06~約20μmole/kg患者体重、約.06~約10μmole/kg患者体重、約.06~約8μmole/kg患者体重または約.06~約6μmole/kg患者体重の用量で投与され得る。
【0377】
これらの実施態様において、レスキュー剤を、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドに対してレスキュー剤が約10倍過剰、約20倍過剰、約30倍過剰、約40倍過剰、約50倍過剰、約60倍過剰、約70倍過剰、約80倍過剰、約90倍過剰、約100倍過剰、約200倍過剰、約300倍過剰、約400倍過剰、約500倍過剰、約600倍過剰、約700倍過剰、約800倍過剰、約900倍過剰、約1000倍過剰または約10,000倍過剰のように化合物またはその薬学的に許容される塩(すなわち、リンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンド)に対してモル過剰で患者に投与し得る。化合物またはその薬学的に許容される塩と腫瘍および/またはCAR T細胞の相互作用の阻害に必要なリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドの量に対するレスキュー剤の量は、当業者により決定され得る。
【0378】
他の実施態様において、フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を1回を超えて患者に投与し得る。
【0379】
ここに記載する‘レスキュー剤’実施態様において、フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤を化合物またはその薬学的に許容される塩の前および/または後に患者に投与し得る。他の態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与の前および後に投与し得る。この実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の後の投与は、CAR T細胞活性化および患者におけるサイトカインレベル増加を引き起こし得る。
【0380】
他の実施態様において、フォレート、フォレートを含むコンジュゲート(ここで、フォレートを含むコンジュゲートは標的化部分を含まない)またはCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤の投与は、患者におけるサイトカインレベルの減少を引き起こし得る。他の実施態様において、サイトカインレベルの減少がほぼ未処置患者のサイトカインレベルまでの減少である。他の実施態様において、CRSグレードが1、2、3または4に達したときまたはCRSグレードが3または4に達したとき、患者にCAR T細胞の活性化を阻害する薬剤が投与される。
【0381】
フォレートがリンカーにより標的化部分に結合したリガンドであるここに記載する実施態様のいずれにおいても、患者に、ここに記載する方法での処置前フォレート欠損食事を課してよくまたは患者に食餌中のフォレートを投与してよい。患者がフォレートを投与される実施態様において、用量は、例えば、約50nmol/kg~約3000nmol/kg患者体重、約50nmol/kg~約2000nmol/kg、約50nmol/kg~約1000nmol/kg、約50nmol/kg~約900nmol/kg、約50nmol/kg~約800nmol/kg、約50nmol/kg~約700nmol/kg、約50nmol/kg~約600nmol/kg、約50nmol/kg~約500nmol/kg、約50nmol/kg~約400nmol/kg、約50nmol/kg~約300nmol/kg、約50nmol/kg~約200nmol/kg、約50nmol/kg~約100nmol/kg、約100nmol/kg~約300nmol/kg、約100nmol/kg~約500nmol/kg、約100nmol/kg~約1000nmol/kg、約100nmol/kg~約2000nmol/kg患者体重の範囲であり得る。他の実施態様において、用量は約100nmol/kg、約150nmol/kg、約200nmol/kg、約250nmol/kg、約300nmol/kg、約350nmol/kg、約400nmol/kg、約450nmol/kg、約500nmol/kg、約600nmol/kg、約700nmol/kg、約800nmol/kg、約900nmol/kg、約1000nmol/kg、約2000nmol/kgまたは約3000nmol/kg患者体重であり得る。これらの実施態様において、「kg」は患者体重キログラムである。ある態様において、フォレートを、例えば、連日、毎週、週2回、週3回または、フォレートの投与に何らかの適当なレジメンを使用して投与し得る。
【0382】
ここに記載する種々の実施態様において、CAR T細胞は、CAR T細胞投与後、最長約10日間、最長約15日間、最長約20日間、最長約25日間、最長約30日間、最長約35日間、最長約40日間、最長約45日間、最長約50日間、最長約55日間、最長約60日間、最長約65日間、最長約70日間、最長約75日間または最長約80日間、循環CAR T細胞数が高いままで維持され得る。
【0383】
ここに記載する種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩の半数値効果濃度(EC50)は、約1pM~約2nM、約1pM~約5nM、約1pM~約10nM、約1pM~約20nM、約1pM~約30nM、約1pM~約40nM、約1pM~約50nM、約1pM~約60nM、約1pM~約70nM、約1pM~約80nM、約1pM~約90nM、約1pM~約100nM、約1pM~約200nM、約1pM~約300nM、約1pM~約400nM、約1pM~約500nM、約1pM~約600nM、約1pM~約700nM、約1pM~約800nM、約1pM~約900nM、約1pM~約1nM、約1pM~約900pM、約1pM~約800pM、約1pM~約700pM、約1pM~約600pM、約1pM~約500pM、約1pM~約400pM、約1pM~約300pM、約1pM~約200pM、約1pM~約100pM、約1pM~約90pM、約1pM~約80pM、約1pM~約70pM、約1pM~約60pM、約1pM~約50pM、約1pM~約40pM、約1pM~約30pM、約1pM~約20pM、約1pM~約10pMまたは約1pM~約5pMであり得る。
【0384】
ここに記載する種々の実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩のCAR T細胞への結合のKdは、約1nM~約100nM、約1nM~約200nM、約1nM~約300nM、約1nM~約400nM、約1nM~約500nM、約1nM~約600nM、約1nM~約700nM、約1nM~約800nM、約1nM~約900nM、約100nM~約500nM、約100nM~約400nM、約100nM~約300nM、約100nM~約200nM、約100nM~約150nMまたは約130nMであり得る。
【0385】
ここに記載する種々の実施態様において、EGFRt選別または未選別CAR T細胞が使用され得る。他の実施態様において、低分化プロファイルのCAR T細胞の「臨床模写株」バッチが使用され得る。他の実施態様において、CAR T細胞の「研究バッチ」が使用され得る。「臨床模写株」バッチ(約39%EGFRt+)は、約66%TSCMおよび約32%TCMでCD4+サブセットならびに約95%TSCMおよび約3%TCMでCD8サブセットを含み得る。研究バッチ(約23%EGFRt+)は、約32%TSCM、約53%TCM、約11%TEMおよび約3.7%TEFFでCD4サブセットならびに約44%TSCM、約0.28%TCM、約3.4%TEMおよび約52%TEFFでCD8サブセットを含み得る。
【0386】
ここに記載する種々の説明的実施態様において、化合物またはその薬学的に許容される塩を、CAR T細胞の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日または約10日前または後またはCAR T細胞の前または後の何れかの適切な日に患者に投与し得る。
【0387】
ここに記載する方法のある実施態様において、癌は、患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する前または患者にCAR T細胞組成物を投与する前に造影される。ある説明的実施態様において、造影をPET造影により行う。他の説明的実施態様において、造影をMRI造影またはSPECT/CT造影により行う。造影方法は、当分野で知られる任意の適当な造影方法であり得る。ある実施態様において、造影方法は、患者が葉酸受容体発現について陽性であるかを決定するために、ここに記載するが、ここに記載する造影のタイプに適当な造影剤に結合した、小分子リガンドの使用を含み得る。他の実施態様において、免疫組織化学分析を、この目的のために使用し得る。
【0388】
ここに記載する実施態様のいずれにおいても、患者でオフターゲット毒性をもたらすサイトカイン放出は、癌に対するCAR T細胞毒性が生じても、患者において生じ得ない。ここに記載する何れの実施態様においても、オフターゲット組織毒性は、癌に対するCAR T細胞毒性が生じても、患者において生じ得ない。ここに記載する何れの実施態様においても、癌は腫瘍を含み得て、腫瘍サイズは、オフターゲット毒性が生じなくても、患者で減少される。ここに記載する実施態様の何れかにおいて、CRSは低減または予防され得て、方法は患者における腫瘍体積減少をもたらし得る。ここに記載する何れの実施態様においても、CRSによる体重減少およびCAR T細胞疲弊は低減または予防され得る。ここに記載する何れの実施態様においても、癌は腫瘍を含み得て、腫瘍に対する完全応答が得られ得る。
【実施例0389】
実施例1
FITC-フォレートの合成
【化19】
フォレート-γ-エチレンジアミンを、テトラメチルグアニジンおよびジイソプロピルアミンの存在下、無水ジメチルスルホキシド(DMF)中でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)異性体I(Sigma-Aldrich)とカップリングさせた。粗生成物をXterra RP18分取HPLCカラム(Waters)に負荷し、99%5mM ナトリウムリン酸塩(移動相A、pH7.4)および1%アセトニトリル(移動相B)から始まり、90%Aおよび10%Bに20mL/分の流速で10分で達する勾配条件で溶出した。これら条件下、FITC-フォレート主ピークは、一般に27~50分で溶出した。FITC-フォレートフラクションの品質を、UV検出器を備えた分析的逆相HPLCでモニターした。98.0%純度(LCMS)を超えるフラクションを凍結乾燥して、最終FITC-フォレート生成物を得た。当分野で知られるとおり、この構造の化合物はEC17とも称される。
【0390】
実施例2
FITC-PEG12-フォレートの合成
【化20】
汎用性ポリエチレングリコール(PEG)Nova TagTM樹脂(0.2g)をペプチド合成器に加え、イソプロピルアルコール(i-PrOH)(3×10mL)およびジメチルホルムアミド(DMF、3×10mL)で洗浄した。9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)脱保護をDMF中20%ピペリジン(3×10mL)を使用して実施した。反応進行を追跡するために、カイザーテストを実施した。次いで、合成器にFmoc-L-グルタミン酸5-tert-ブチルエステル(Fmoc-Glu-(O-t-Bu)-OH)(23.5mg)のDMF溶液、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(i-PrNEt)(4当量)およびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)(2当量)を加えた。Fmoc脱保護をDMF中20%ピペリジン(3×10mL)を使用して実施した。次いで、合成器にN10-TFA-Pte-OH(22.5mg)、DMF、i-PrNEt(4当量)およびPyBOP(2当量)の溶液を加えた。アルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。ジクロロメタン(DCM)で樹脂を膨潤させた後、1Mヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)のDCM/トリフルオロエタン(TFE)(1:1)(2×3mL)溶液を加えた。アルゴンを1時間通気し、溶媒を除去し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、Fmoc-NH-(PEG)12-COOH(46.3mg)のDMF溶液、i-PrNEt(4当量)およびPyBOP(2当量)を加えた。アルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。Fmoc脱保護をDMF中20%ピペリジン(3×10mL)を使用して実施した。反応進行を追跡するために、カイザーテストを実施した。次いで容器にFITC(Life Technologies 21.4mg)のDMF溶液およびi-PrNEt(4当量)を入れ、次いでアルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。次いで容器にDMF中2%NHNH(2×2mL)を加えた。最終化合物をTFA:HO:トリイソプロピルシラン(TIS)(95:2.5:2.5)(開裂溶液)を使用して樹脂から開裂させ、減圧下濃縮した。濃縮生成物をEtOで沈殿させ、減圧下乾燥させた。粗製生成物を分取RP-HPLC(移動相:A=10mM 酢酸アンモニウムpH=7、B=ACN;方法:0%B~30%Bを、13mL/分で30分間)を使用して精製した。精製フラクションを集め、凍結乾燥させ、FITC-PEG12-フォレートを得た。
【0391】
実施例3
FITC-PEG20-フォレートの合成
【化21】
エチレンジアミン、ポリマー結合(200~400メッシュ)樹脂(50mg)をペプチド合成器に加え、DCM(3mL)、続いてDMF(3mL)で膨潤させた。次いで、容器にDMF中Fmoc-PEG20-COOH溶液(131mg、1.0当量)、i-PrNEt(6.0当量)およびPyBOP(4.0当量)を加えた。アルゴンを6時間通気し、カップリング溶液を廃棄し、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄した。反応進行を追跡するために、カイザーテストを実施した。Fmoc脱保護をDMF中20%ピペリジン(3×10mL)を使用して行い、その後各アミノ酸カップリングをした。上記の一連をFmoc-Glu-OtBu(72mg、2.0当量)およびTfa.プテロイン酸(41mg、1.2当量)カップリング工程の反応を完了させるために繰り返した。樹脂をDMF中2%ヒドラジン3×10mL(5分)で洗浄して、プテロイン酸のトリフルオロ-アセチル保護基を開裂させ、i-PrOH(3×10mL)、続いてDMF(3×10mL)で洗浄した。樹脂をアルゴン下30分間乾燥させた。フォレート-ペプチドを開裂溶液を使用して、樹脂から開裂した。10mLの開裂混合物を加え、アルゴンを1.5時間通気した。開裂混合物を新たなフラスコに排出した。樹脂をさらなる開裂混合物で3回洗浄した。合わせた混合物を、小体積(約5mL)まで減圧下濃縮し、エチルエーテルで沈殿させた。
沈殿を遠心分離で回収し、エチルエーテル(3回)で洗浄し、高真空下で乾燥させた。乾燥フォレート-PEG20-EDA(1.0当量)を、DMSOおよびDIPEA中のFITC(50mg、1.5当量)で、室温で処理した。LCMSにより反応の進行をモニターした。8時間後、出発物質は消費されて、生成物を得た。粗製反応混合物を分取HPLC(移動相A=10mM 酢酸アンモニウム、pH=7;有機相B=アセトニトリル;方法:0%B~30%Bを、13mL/分で35分間)で精製して、FITC-PEG20-フォレートを60%収率で得た。
【0392】
実施例4
FITC-PEG108-フォレートの合成
【化22】
エチレンジアミン、ポリマー結合(200~400メッシュ)樹脂(50mg)をペプチド合成器に加え、DCM(3mL)、続いてDMF(3mL)で膨潤させた。次いで、合成器にDMF中Fmoc-PEG36-COOH溶液(161mg、1.0当量)、i-PrNEt(6.0当量)およびPyBOP(4.0当量)を加えた。アルゴンを6時間通気し、カップリング溶液を廃棄し、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄した。反応進行を追跡するために、カイザーテストを実施した。Fmoc脱保護をDMF中20%ピペリジン(3×10mL)を使用して行い、その後各アミノ酸カップリングをした。上記の一連を2X Fmoc-PEG36-COOH(161mg、1.0当量)、Fmoc-Glu-OtBu(72mg、2.0当量)およびTfa.プテロイン酸(41.0mg、1.2当量)カップリング工程の反応を完了させるために繰り返した。最後に、樹脂をDMF中2%ヒドラジン3×10mL(5分)で洗浄して、プテロイン酸のトリフルオロ-アセチル保護基を開裂させ、i-PrOH(3×10mL)、続いてDMF(3×10mL)で洗浄した。樹脂をアルゴン下30分間乾燥させた。フォレート-ペプチドを開裂溶液を使用して、樹脂から開裂した。10mLの開裂混合物を加え、アルゴンを1.5時間通気した。開裂混合物を清潔なフラスコに排出した。樹脂をさらなる開裂混合物で3回洗浄した。合わせた混合物を、小体積(約5mL)まで減圧下濃縮し、エチルエーテルで沈殿させた。
沈殿を遠心分離で回収し、エチルエーテル(3×)で洗浄し、高真空下で乾燥させた。乾燥フォレート-PEG108-EDA(1.0当量)を、DMSOおよびDIPEA中のFITC(50mg、1.5当量)で、室温で処理した。LCMSにより反応進行をモニターした。After 10 h 出発物質は消費されて、生成物を得た。粗製反応混合物を分取HPLC(移動相A=10mM 酢酸アンモニウム、pH=7;有機相B=アセトニトリル;方法:0%B~30%Bを、13mL/分で35分間)で精製して、FITC-PEG108-フォレートを64%収率で得た。
【0393】
実施例5
FITC-DUPAの合成
【化23】
DUPA-FITCを、下記のとおり固相合成法により合成した。汎用性Nova TagTM樹脂(50mg、0.53mM)をDCM(3mL)、続いてDMF(3mL)で膨潤させた。DMF中20%ピペリジン溶液(3×3mL)を樹脂に加え、アルゴンを5分間通気した。樹脂をDMF(3×3mL)およびイソプロピルアルコール(i-PrOH、3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、DUPA-(OtBu)-OH(1.5当量)、HATU(2.5当量)およびi-PrNEt(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DCMで樹脂を膨潤させた後、1M HOBtのDCM/TFE(1:1)(2×3mL)溶液を加えた。アルゴンを1時間通気し、溶媒を除去し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、Fmoc-Phe-OH(2.5当量)、HATU(2.5当量)およびDIPEA(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。上記の一連を8-アミノオクタン酸およびフルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンBイソチオシアネートの付加のために、さらに2カップリング工程繰り返した。最終化合物を開裂溶液を使用して、樹脂から開裂し、減圧下濃縮した。濃縮生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、減圧下乾燥させた。粗製生成物を分取RP-HPLC[λ=488nm;溶媒勾配:1%B~80%Bを25分間、80%B洗浄30分間実施;A=10mM NHOAc、pH=7;B=アセトニトリル(ACN)]を使用して精製した。ACNを減圧下除去し、精製フラクションを凍結乾燥させて、FITC-DUPAを帯褐色-橙色固体として得た。RP-HPLC:tR=8.0分(A=10mM NHOAc、pH=7.0;B=ACN、溶媒勾配:1%B~50%Bを10分間、80%B洗浄15分間実施)。1H NMR (DMSO-d6/D2O):δ 0.98-1.27 (ms, 9H);1.45 (b, 3H);1.68-1.85 (ms, 11H);2.03 (m, 8H);2.6-3.44 (ms, 12H);3.82 (b, 2H);4.35 (m, 1H);6.53 (d, J=8.1 Hz, 2H), 6.61 (dd, J=5.3, 3.5 Hz, 2H);6.64 (s, 2H);7.05 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.19 (m, 5H);7.76 (d, J=8.0 Hz, 1H);8.38 (s, 1H). HRMS (ESI)(m/z):(M+H)+ C51H59N7O15Sの計算値1040.3712, 実測値, 1040.3702. UV/vis:λ max=491nm
【0394】
実施例6
FITC-PEG12-DUPAの合成
【化24】
1,2-ジアミノエタントリチル樹脂(0.025g)をペプチド合成器に加え、i-PrOH(3×10mL)、続いてDMF(3×10mL)で洗浄した。次いで、容器にFmoc-NH-(PEG)12-COOH(42.8mg)のDMF溶液、i-PrNEt(2.5当量)およびPyBOP(2.5当量)を加えた。得られた溶液にArを1時間通気し、カップリング溶液を廃棄し、樹脂 DMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄した。反応進行を追跡するために、カイザーテストを実施した。Fmoc脱保護をDMF中20%ピペリジン(3×10mL)を使用して実施した。この工程を全カップリング工程が完了するまで繰り返した(2×1.5当量のFmoc-Phe-OHおよび1.5当量の8-アミノオクタン酸および1.2当量のDUPAを、各カップリング工程の各々で使用した)。DUPAカップリング後、樹脂をDMF(3×10mL)およびi-PrOH(3×10mL)で洗浄し、減圧下乾燥させた。ペプチドを、、ペプチド合成器中で開裂溶液を使用して、樹脂から開裂させた。15mLの開裂溶液をペプチド合成器に加え、反応物をArで15分間通気した。樹脂をさらに2回10mL量の開裂溶液で、各5分処理した。開裂混合物を約5mLに濃縮し、エチルエーテルで沈殿させた。沈殿を遠心分離で回収しエチルエーテル(3×)で洗浄し、高減圧下乾燥させ、粗製物質を回収した。撹拌中の粗製DUPA-(PEG)12-EDA(10mg)およびFITC(5.6mg)のジメチルスルホキシド(DMSO、1mL)溶液に、室温でi-PrNEt(5当量)を加え、アルゴン下6時間撹拌した。反応をLCMSでモニターし、分取HPLC(移動相:A=10mM 酢酸アンモニウムpH=7、B=ACN;方法:0%B~50%Bを、13mL/分で30分間)で精製した。精製フラクションを集め、凍結乾燥させ、FITC-PEG12-DUPAを得た。
【0395】
実施例7
FITC-PEG11-NK1の合成
【化25】
撹拌中のNK-1(0.02g、0.0433mmol、1.0当量)、O-(2-アミノエチル)-O’-[2-(Boc-アミノ)エチル]デカエチレングリコール(BocNH-PEG11-NH)(Sigma、0.0336g、0.0521mmol、1.2当量)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)(0.027g、0.0521mmol、1.2当量)の乾燥CHCl溶液に、室温でアルゴン下、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.076mL、0.4338mmol、10当量)を加えた。反応進行をLCMSでモニターし、分取RP-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、勾配10~100%Bを30分間、13mL/分、λ=220nm、254nm)で精製した。精製フラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥させて、NK1-PEG11-NHBocを得た。収量:40.13mg(97%)。NK1-PEG11-NHBoc(0.0165g、0.015mmol)の乾燥DCM溶液にトリフルオロ酢酸(TFA、20当量)を加え、反応混合物を4時間、r.t.で撹拌した。過剰TFAを除去し、残存溶液を水で希釈し、CHCl(3×5mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。得られた残留物を減圧下乾燥させ、さらに精製することなく次工程で使用した。撹拌中のNK1-PEG11-NH(0.008g、0.0081mmol、1.0当量)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Sigma、0.0037g、0.0097mmol、1.2当量)の乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO、0.3mL)溶液に、室温でアルゴン下、ジイソプロピルエチルアミン(0.0028mL、0.0162mmol、2.0当量)を加えた。反応進行をLCMSでモニターし、生成物を分取RP-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、勾配10~100%Bを30分間、13mL/分、λ=280nm)で精製した。純粋フラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥させて、FITC-PEG11-NK1を8.54mg(77%)の収量で得た。
*注:NK-1化合物を文献法を使用して製造した塩基性リガンドから出発する2工程法により合成した(DESIGN AND DEVELOPMENT OF NEUROKININ-1 RECEPTOR-BINDING AGENT DELIVERY CONJUGATES、出願番号PCT/US2015/44229;引用により本明細書に包含。)。
【0396】
実施例8
FITC-PEG2-CA9の合成
【化26】
CA9リガンド(53.6mg)を、テフロン磁気撹拌棒を使用して、50mL丸底フラスコ中、DMF(2~3mL)に溶解した。空気を減圧と窒素ガスでの置換を使用して除去し、この操作を3サイクル行った。丸底フラスコを窒素ガス下に維持した。このフラスコに、28.9mgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、続いて21.6mg 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)および18.9μLのBoc-PEG-NH(Sigma Aldrich)を加えた。5.4μLのトリエチルアミン(TEA)を加え、反応物を一夜撹拌した。反応混合物をHPLCを使用して精製し、UHPLC-MS(標的m/z831)で確認した。アセトニトリルを高真空回転蒸発を使用して除去し、生成物を凍結乾燥させた。化合物を1:1 TFA:DCMと30分間混合した。TFA/DCMを高真空回転蒸発、続いて30分間、高真空を使用して除去した。次いで、化合物をDMFに溶解し、5モル当量のi-PrNEt、16mgのフルオレセインイソチオシアネート(Life Technologies)と合わせ、1時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、標的化合物をUHPLC-MS(標的m/z1120)で確認した。サンプルを凍結乾燥させ、-20℃で保存した。
【0397】
実施例9
T細胞調製
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、健常ドナーの全血からFicoll密度勾配遠心分離(GE Healthcare Lifesciences)を使用して単離した。次いで、T細胞をEasySepTMヒトT細胞単離キット(STEM CELL technologies)を使用してPBMCから単離した。T細胞を、40~100IU/mLヒトIL-2(Miltenyi Biotech)、2%ヒトAB型血清および1%ペニシリン/硫酸ストレプトマイシン添加TexMACS培地(Miltenyi Biotech Inc)で培養した。DynabeadsヒトT-アクティベーターCD3/CD28(ThermoFisher Scientific)をT細胞に1:1比で加えて、T細胞を活性化した。活性化12~24時間後、T細胞を、8μg/mLポリブレン(Santa Cruiz Biotech)存在下、1,200gで90分間、22~32℃でスピンフェクションによりFITC-CARレンチウイルス粒子で形質導入した。CAR修飾したもの(CAR-Ts)およびCAR修飾がないもの(非形質転換Ts)を含むT細胞混合物を、活性化ビーズ存在下、6日間培養し、その後活性化ビーズを除去した。蛍光活性化セルソーティングを使用して、GFP発現に基づき、CAR T細胞(GFP陽性)および非形質転換T細胞(GFP陰性)をふるい分けした。ふるい分けしたT細胞を7~15日間培養し、その後マウスに注射した。T細胞混合物を使用したとき、CAR T細胞および非形質転換T細胞を、マウスに注射する前に所望の比で混合した。
【0398】
実施例10
CAR遺伝子をコードするレンチウイルスベクターの産生
オーバーラップPCR方法を使用して、フルオレセインに対するscFvを含むCAR構築物を産生した。抗フルオレセイン(4-4-20)抗体由来のフルオレセインに対するscFvである4M5.3(Kd=270fM、762bp)を合成した。図2に示すヒトCD8αシグナルペプチド(SP、63bp)、ヒンジおよび膜貫通領域(249bp)、4-1BBの細胞質ドメイン(CD137、141bp)およびCD3ζ鎖(336bp)の配列を、オーバーラップPCRにより抗フルオレセインscFVと融合した。得られたCAR構築物(1551bp)を、EcoRI/NotI開裂レンチウイルス発現ベクターpCDH-EF1-MCS-(PGK-GFP)に挿入した(図2、System Biosciences)。レンチウイルスベクター中のCAR構築物の配列を、DNAシークエンシングにより確認した。
【0399】
例示的CAR核酸コード配列は次を含み得る。
【表6】
【0400】
上記例示的核酸配列(配列番号1)において、最初のATGは開始コドンである。例示的CARアミノ酸配列は次を含み得る。
【表7】
【0401】
例示的インサートは次を含み得る。
【表8】
【0402】
上記例示的インサート(配列番号3)において、最初のGCCACC配列は制限酵素開裂部位、続いてATG開始コドンを含み得る。コードされるアミノ酸配列は次を含み得る。
【表9】
【0403】
実施例11
ヒトT細胞形質導入のためのCAR遺伝子を含むレンチウイルスの産生
抗フルオレセイン(すなわち、抗FITC)一本鎖フラグメント可変(scFv)CARを含むレンチウイルスウイルスを産生するために、HEK-293TNパッケージング細胞株を抗フルオレセインscFv CARをコードするレンチウイルスベクターおよび第二世代レンチウイルスパッケージングプラスミドミックス(Cellecta)またはViraPower Lentivrial Packaging Mix(ThermoFisher)と共トランスフェクトした。トランスフェクション24時間および48時間後、CAR遺伝子を伴うレンチウイルスを含む上清を回収し、ウイルス粒子をヒトT細胞での後の形質導入のために、標準ポリエチレングリコールウイルス濃縮方法(Clontech)により濃縮した。
【0404】
実施例12
ヒトPBMCからのヒトT細胞の単離
T細胞を、Ficoll密度勾配遠心分離(GE Healthcare Lifesciences)によりヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離した。残存Ficoll溶液を洗い流した後、T細胞をEasySepTMヒトT細胞単離キット(STEM CELL technologies)を使用して単離した。精製T細胞を、ヒトIL-2(100IU/mL、Miltenyi Biotech Inc)存在下、1%ペニシリンおよび硫酸ストレプトマイシン添加TexMACSTM培地(Miltenyi Biotech Inc)で培養した。T細胞を1×10細胞/mL密度で、多ウェルプレートで培養した。T細胞を分割し、2~3日毎に再給餌した。
【0405】
実施例13
ヒトT細胞の形質導入
単離T細胞を、ヒトIL-2(100IU/mL)存在下、12~24時間抗CD3/CD28抗体(Life Technologies)に結合したDynabeadsで活性化し、次いで抗フルオレセインCAR遺伝子をコードするレンチウイルスで形質導入した。細胞を72時間後採取し、形質導入T細胞におけるCAR発現を、フローサイトメトリーを使用するGFP蛍光細胞の計数により確認した。
【0406】
実施例14
FITC-フォレートの合成
フォレート-γ-エチレンジアミンを、テトラメチルグアニジンおよびジイソプロピルアミンの存在下、無水ジメチルスルホキシド(DMF)中でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)異性体I(Sigma-Aldrich)とカップリングさせた。粗生成物をXterra RP18分取HPLCカラム(Waters)に負荷し、99%5mM ナトリウムリン酸塩(移動相A、pH7.4)および1%アセトニトリル(移動相B)から始まり、90%Aおよび10%Bに20mL/分の流速で10分で達する勾配条件で溶出した。これら条件下、FITC-フォレート主ピークは、一般に27~50分で溶出した。FITC-フォレートフラクションの品質を、UV検出器を備えた分析的逆相HPLCでモニターした。98.0%純度(LCMS)を超えるフラクションを凍結乾燥して、最終FITC-フォレート生成物を得た。
【化27】
【0407】
実施例15
FITC-DUPAの合成
DUPA-FITCを、下記のとおり固相合成法により合成した。汎用性NovaTag樹脂(50mg、0.53mM)をジクロロメタン(DCM)(3mL)、続いてジメチルホルムアミド(DMF、3mL)で膨潤させた。DMF中20%ピペリジン溶液(3×3mL)を樹脂に加え、アルゴンを5分間通気した。樹脂をDMF(3×3mL)およびイソプロピルアルコール(i-PrOH、3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、DUPA-(OtBu)-OH(1.5当量)、HATU(2.5当量)およびDIPEA(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DCMで樹脂を膨潤させた後、1M HOBtのDCM/トリフルオロエタン(TFE)(1:1)(2×3mL)溶液を加えた。アルゴンを1時間通気し、溶媒を除去し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。DMFで樹脂を膨潤させた後、Fmoc-Phe-OH(2.5当量)、HATU(2.5当量)およびDIPEA(4.0当量)のDMF溶液を加えた。アルゴンを2時間通気し、樹脂をDMF(3×3mL)およびi-PrOH(3×3mL)で洗浄した。上記の一連の工程を8-アミノオクタン酸およびフルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンBイソチオシアネートの付加のために、さらに2カップリング繰り返した。最終化合物をトリフルオロ酢酸(TFA):H2O:トリイソプロピルシラン:カクテル(95:2.5:2.5)を使用して樹脂から開裂させ、減圧下濃縮した。濃縮生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、減圧下乾燥させた。粗製生成物を分取RP-HPLC[λ=488nm;溶媒勾配:1%B~80%Bを25分間、80%B洗浄30分間ラン;A=10mM NH4OAc、pH=7;B=アセトニトリル(ACN)]を使用して精製した。ACNを減圧下除去し、精製フラクションを凍結乾燥させて、DUPA-FITCを帯褐色-橙色固体として得た。RP-HPLC:tR=8.0分(A=10mM NH4OAc、pH=7.0;B=ACN、溶媒勾配:1%B~50%Bを10分間、80%B洗浄15分間ラン)。1H NMR (DMSO-d6/D2O):δ 0.98-1.27 (ms, 9H);1.45 (b, 3H);1.68-1.85 (ms, 11H);2.03 (m, 8H);2.6-3.44 (ms, 12H);3.82 (b, 2H);4.35 (m, 1H);6.53 (d, J=8.1 Hz, 2H), 6.61 (dd, J=5.3, 3.5 Hz, 2H);6.64 (s, 2H);7.05 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.19 (m, 5H);7.76 (d, J=8.0 Hz, 1H);8.38 (s, 1H). HRMS (ESI)(m/z):(M+H)+ C51H59N7O15Sの計算値1040.3712, 実測値, 1040.3702. UV/vis:λ max=491nm
【化28】
【0408】
実施例16
FITC-CA9の合成
50mL丸底フラスコに、CA9リガンド(53.6mg、実験室で合成)を、所望量のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(2~3mL)に、テフロン磁気撹拌棒を使用して溶解した。外気を減圧と窒素ガスでの置換を使用して除去し、これを3サイクル行った。次いで、丸底フラスコを一定の窒素ガス下に維持した.このフラスコに、28.9mgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、続いて21.6mg 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)および18.9μLのBoc-PEG2-NH(Sigma Aldrichから購入)を加えた。5.4μLのトリエチルアミン(TEA)を最後に加え、反応物を一夜撹拌した。反応混合物をHPLCを使用して精製し、UHPLC-MS(標的m/z831)で確認した。アセトニトリルを高真空回転蒸発を使用して除去し、凍結乾燥機に48時間入れた。Boc脱保護を1:1 TFA:DCMで30分間実施した。TFA/DCMを高真空回転蒸発、続いて30分間、高真空を使用して除去した。次いで、化合物をDMFに溶解し、5モル当量のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と合わせた。16mgのフルオレセインイソチオシアネート(Life Technologiesから購入)を溶液に加え、1時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、標的化合物をUHPLC-MS(標的m/z1120)で確認した。サンプルを48時間凍結乾燥機に入れ、化合物を-20℃で保存した。
【化29】
【0409】
実施例17
FITC-NK1Rの合成
撹拌中のNK-1(0.02g、0.0433mmol、1.0当量)、O-(2-アミノエチル)-O’-[2-(Boc-アミノ)エチル]デカエチレングリコール(BocNH-PEG11-NH2)(Sigma、0.0336g、0.0521mmol、1.2当量)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PYBOP)(0.027g、0.0521mmol、1.2当量)の乾燥CH2Cl2溶液に、室温でアルゴン下、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.076mL、0.4338mmol、10当量)を加えた。反応進行をLCMSでモニターし、分取RP-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、勾配10~100%Bを30分間、13mL/分、λ=220nm、254nm)で精製した。精製フラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥させて、NK1-PEG11-NHBocを得た。収量:40.13mg(97%)。NK1-PEG11-NHBoc(0.0165g、0.015mmol)の乾燥CH2Cl2溶液にトリフルオロ酢酸(TFA、20当量)を加え、反応混合物を4時間、r.t.で撹拌した。過剰のTFAを除去し、水で希釈し、CHCl(3x5mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。得られた残留物を減圧下乾燥させ、さらに精製することなく次工程で使用した。撹拌中のNK1-PEG11-NH(0.008g、0.0081mmol、1.0当量)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Sigma、0.0037g、0.0097mmol、1.2当量)の乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO、0.3mL)溶液に、室温でアルゴン下、ジイソプロピルエチルアミン(0.0028mL、0.0162mmol、2.0当量)を加えた。反応進行をLCMSでモニターし、分取RP-HPLC(Waters、XBridgeTM Prep C18、5μm;19×100mmカラム、移動相A=20mM 酢酸アンモニウム緩衝液、pH7、B=アセトニトリル、勾配10~100%Bを30分間、13mL/分、λ=280nm)で精製した。精製フラクションを取得し、全有機溶媒を蒸発させ、サンプルを48時間凍結乾燥させて、NK1-PEG11-FITC(5)を得た。収量:8.54mg(77%)。
NK-1化合物を文献法を使用して製造した塩基性リガンドから出発する2工程法により合成した(DESIGN AND DEVELOPMENT OF NEUROKININ-1 RECEPTOR-BINDING AGENT DELIVERY CONJUGATES、出願番号PCT/US2015/44229、引用により全体として本明細書に包含。)。
【0410】
実施例18
HOS-FR-αおよびAML試験概要
【表10】
EC17の連続漸増投与は、下記に従い実施される。
・CRSまたは神経毒性がなければ、計画に沿ってEC17用量漸増を進める。
・CRSグレード≦2であれば、その後の全てのEC17用量を、同じサイクルで非重度CRSを引き起こしたその用量漸増過程レベルで投与する。
・CRSグレード>2であれば、現サイクルでのEC17のさらなる投与を中断し、sCRSを引き起こしたものより低い中で一番高い用量過程でその後の全サイクルを実施する。
【0411】
A. 腫瘍移植
HOS-FRα(すなわちHOS-143b-LV-FRα)は、ヒトFRαで安定にトランスフェクトしたHOS-143B(ATCC CRL-8303)のサブクローンである。HOS-143Bは、もともと骨肉腫を有する13歳白人女児由来であった。腫瘍細胞を、5%FBSを添加したフォレート欠損RPMI 1640で、37℃で5%CO加湿雰囲気で増殖させた。インビボ試験のため、腫瘍細胞を動物あたり1×10細胞で皮下接種した。
【0412】
B. CAR T細胞投与
EGFRt選別抗FITC E2 scFv-CAR T細胞をT細胞凍結培地で凍結させた。到着時、凍結CAR T細胞のバイアルを直ぐに-80℃で保存した。CAR T細胞を37℃で急速に解凍し、PBSで2回洗浄し、動物あたり600万生存可能EGFRt+E2 CAR T細胞(CD4/CD8約1:1)で動物注射に使用した。E2-CAR T細胞表現型のフローサイトメトリー分析のため、注射日に小量を採った。
【0413】
C. 投与薬物溶液調製
EC17投薬溶液を、各化合物を適切な量秤量し、PBS、pH7.4で再構成し、0.22μm PVDFシリンジフィルターで薬物溶液を濾過滅菌し、各投与日に-20℃で一定量凍結させることにより投与を開始するとき調製した。
【0414】
D. 化合物投与
全EC17用量を、夜間に可能性のあるCRS(サイトカイン放出症候群)が発症するように、1日の最後(午後3~4時)に投与した。翌朝、動物をCRSグレーディングシステムにより採点した(下記参照)。
【0415】
E. 評価
【表11】

【0416】
腫瘍増殖、体重および全体的評価:腫瘍サイズを2~3回/週モニターし、体重を2~3回/週測定した。何れかのEC17用量投与直後の日、体重測定を連日行い、全体的な動物の形態および行動に注意した。
【0417】
屠殺:マウスが体重の≧20%を失ったとき、腫瘍が≧1500mmに達したとき、屠殺した。マウスが短期間で大幅に体重を失ったとき(例えば、重度の頭位傾斜により)またはCRSグレーディングシステムで瀕死条件に近づいたときもまた屠殺した。
【0418】
EC17宿主内用量漸増処置(3サイクル)
【表12】
抗腫瘍活性(N=5)
【0419】
図4に示すとおり:
コホート1(E2-CAR T細胞のみ)は、EC17処置なしでHOS-FRαが攻撃的に増殖することが示された。
コホート2(EC17 5/100/1000nmol/kg、M/Th/M)は、本試験をとおして、体重減少またはCRSなく、顕著な腫瘍退縮を示した。
ゆっくりしたEC17用量漸増(M/Th/M)レジメンは安全であった。体重減少またはサイトカイン放出症候群(CRS)の症状は、HOS-FRα腫瘍担持マウスで見られなかった。
【0420】
このE2-CAR T細胞試験の一つの目標は、CAR-T注入3日後に開始する、複数投与レジメンを使用するEC17/E2 CAR T細胞活性および関連毒性(例えばsCRS)の試験であった。3つの異なるEC17投与レジメンは、(a)週1回(SIW)、500nmol/kg、(b)9日間間隔を開けた月曜日/水曜日/金曜日の5nmol/kg、50nmol/kgおよび500nmol/kgでの「TIW様」および(c)7日間間隔を開けた月曜日/木曜日/月曜日の5nmol/kg、100nmol/kgおよび1000nmol/kgでの「TIW様」を含む。
【表13】

* 群4~5: 各サイクルの2週目投与せず。
【0421】
試験図
群1(処置せず):効果比較のためのみ。
【0422】
群2(CAR-Tのみ):
【表14】
【0423】
群3(EC17 SIW):
【表15】
【0424】
群4(EC17真のTIW):
【表16】
【0425】
群5 - EC17低用量「TIW」(M/Th/M、6日間オフ)、有効性を伴う。
【表17】
【0426】
A. 腫瘍移植
THP-1-FRβ AML腫瘍細胞を、5~10%FBSを添加したフォレート欠損RPMI 1640で、37℃で5%CO加湿雰囲気で増殖させた。無血清フォレート欠損RPMI1640培地中のTHP-1-FRβ腫瘍細胞を、動物あたり5×10細胞でi.v.注射した。
【0427】
B. CAR T細胞投与
抗FITC E2 scFv-CAR T細胞をT細胞凍結培地で凍結した。到着時、凍結CAR T細胞のバイアルを直ぐに-80℃で保存した。CAR T細胞を37℃で急速に解凍し、CAR T細胞培養培地で2回洗浄し、動物あたり600万生存可能EGFRt+E2 CAR T細胞(CD4/CD8約1:1)で動物注射に使用した。E2-CAR T細胞表現型のフローサイトメトリー分析のため、注射日に小量を採った。
【0428】
C. 投与薬物溶液調製
EC17およびビス-EDA-FITC投薬溶液を、各化合物を適切な量秤量し、PBS、pH7.4で再構成し、0.22μm PVDFシリンジフィルターで薬物溶液を濾過滅菌し、および各投与日に-20℃で一定量凍結させることにより投与を開始するとき調製した。
【0429】
D. 化合物投与
全EC17用量を、夜間に可能性のあるCRS(サイトカイン放出症候群)が発症するように、1日の最後(午後3~4時)に投与した。翌朝、動物をCRSグレーディングシステムにより採点した(下記参照)。
【0430】
EC17投与スケジュール
コホート1~2:EC17投与せず
【0431】
コホート3:
【表18】
【0432】
コホート4:
【表19】
【0433】
コホート5:
【表20】
【0434】
モニタリング/有効性
EC17投与後、毎日の体重測定が必要である。全体的な動物の形態および行動に注意した。マウスが短期間で大幅に体重を失ったときまたはCRSグレーディングシステムまたは神経毒性で瀕死条件に近づいたとき屠殺した。
【0435】
【表21】

【0436】
腫瘍増殖、体重および全体的評価:体重を2~3回/週測定した。何れかのEC17用量投与直後の日、体重測定を連日行い、全体的な動物の形態および行動に注意した。
【0437】
フローサイトメトリー分析
全血細胞分析:血漿を、全EDTA処理血液から予定体積除去し、RBCをRBC溶解溶液で溶解した。次いで白血球ペレットをフローサイトメトリー染色溶液(1%ウシ血清アルブミン、50mg/mLヒトIgG(Equitech Bio, cat#SLH56-0001)、リン酸緩衝化食塩水中0.9%ナトリウムアジド、pH=7.4)に再懸濁し、白血球表面マーカー染色を次の抗体を使用して実施した:抗ヒトCD45(クローンHI30、eBioscience #47-0459-42、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD137(clone 4B4-1, BD Bioscience #564092、1:20(v/v)希釈)、抗ヒトCD8α[clone RPA-T8, BD Bioscience, catalog #557746、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトCD4[clone SK3, eBioscience catalog #46-0047-42、1:20(v/v)希釈]、抗ヒトEGFR[R&D systems, clone Hu1, catalog #FAB9577B @ 1:10(v/v)]、抗ヒトPD1[BD Biosciences, clone EH12.1, catalog#562511 @1:20(v/v)]、抗ヒトLAG3[BD Biosciences, clone T47-530, catalog #565616 @1:20(v/v)]、抗ヒトTIM3[BD Biosciences, clone 7D3, catalog #565558 @1:20(v/v)]、抗ヒトCD3ε[BD Biosciences, clone SK7, catalog #557832 @1:20(v/v)]。白血球染色後、細胞をPBSで洗浄し、53,000 CountBrightTMビーズ[Invitrogen catalog #C36950]含有冷PBSに再懸濁し、フローサイトメトリーコレクションチューブに移した。フローサイトメトリーデータを、Galliosフローサイトメーター(Beckman Coulter, Brea, CA)で集めた。各血液サンプルのCAR T細胞の濃度決定を、Invitrogenの指示に従い計算した。CAR T細胞をヒトCD3ε +EGFRt+事象として同定し、KaluzaTMフローサイトメトリーソフトウェアを使用して容易に区別され、計数された。次いで、各注入したマウスの循環中のCAR T細胞の数を、分析した50μLの全血あたりのCAR T細胞の総数としてグラフにした。統計的有意を、独立、両側スチューデントt検定を用いて決定し、有意をp<0.05に設定した。
【0438】
腫瘍および組織分析:固形腫瘍(100~1000mm)を採取し、秤量し、小片に切断し、次いで、20mLの腫瘍消化カクテルを含む50mLチューブに移した。酵素腫瘍消化カクテルは、抗生物質添加無血清およびフォレート欠損RPMI1640培地中、0.5mg/mL コラゲナーゼIV(Sigma-Aldrich, Catalog# C5138)、0.5mg/mL ヒアルロニダーゼ(Sigma-Aldrich, Catalog# H3506)および0.1mg/mL DNase I(Sigma-Aldrich, Catalog# DN25)からなった。腫瘍断片を1時間、37℃で300rpmで、往復振とう式シェーカーで消化させた。その後、腫瘍消化物を400×gで5分間遠心分離し、腫瘍細胞ペレットを赤血球溶解工程に付し、次いで冷リン酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄し、最後に40μmナイロンセルストレイナーをとおした。
【0439】
結果および結論
EC17投与の3つの異なる投与スケジュールは、異なる体重減少パターンおよび異なるCRSレベルを示した。
図5に示すとおり、コホート1(処置なし)およびコホート2(CAR-Tのみ)は大きな体重減少を示さず、CRSはなかった。コホート3(EC17 SIW)は各EC17投与後EC17用量依存性体重減少を示し、グレード1~2 CRSを試験をとおして示した。コホート5(EC17用量漸増)は最初の2サイクルの間はほとんど体重減少を示さなかったが、2サイクル目のEC17投与の終了後、コホート2に類似する体重減少を示し始めた。コホート4(EC17 TIWオン/オフ)は、3処置群の中でもっとも軽度の体重減少を示した。コホート4または5は、1より大きなCRSをなんら示さなかった。
【0440】
コホート3
【表22】
【0441】
コホート4
【表23】
【0442】
コホート5
【表24】
【0443】
EC17投与の3つの異なる投与スケジュールは、異なる抗腫瘍活性を示した
図6にみられるとおり、肝臓および非肝臓腫瘍負荷を39日目に全コホートにわたり評価した。コホート2(CAR-Tのみ)は、コホート1(処置なし)と比較して、何ら差異を示さなかった。コホート4は、3つの異なるEC17投与スケジュールで最良の抗腫瘍活性を示した。
【0444】
循環AML細胞株、THP1-FRβの排除
CD19特異的抗ALL治療を使用する試験で、血中のCAR T細胞の拡大および持続性は、治療への完全応答をもたらす循環CD19+ALL細胞の排除と相関することが報告されている。本実験で、CAR Tアダプター分子、EC17の種々の投与レジメンに応答した、GFP標識ヒトAML細胞株、THP1-FRβを調べることにより、アダプター制御E2 CAR T細胞の抗腫瘍活性を決定するために、マウスAMLモデルで類似アッセイを実施した。図7は、循環THP1-FRβ細胞を示し、y軸は全血100μLあたりのGFP+細胞の総数を対数目盛で示す。異なるバーは異なる処置コホートを表す。高AML細胞負荷が、CAR T細胞もEC17も受けていないマウスで、AML細胞注入40日後循環で存在することが示された。血中AML細胞の減少は、AML細胞およびE2 CAR T細胞注入両者を受けたが、EC17無処置のマウスで見られなかった。これは、ヒトT細胞と同種異系THP1細胞の潜在的同種異系反応性による抗腫瘍活性は無視できることを示した。興味深いことに、種々の投与レジメンでE2 CAR T細胞+EC17を注入された全3コホートのマウスで、循環THP1細胞負荷の顕著な減少が見られ、故に、3つの異なるアダプター投与レジメン下のCAR T治療の有効性が示された。
【0445】
E2-CAR-T疲弊表現型
慢性抗原刺激下、例えば慢性ウイルス感染または癌の場合、T細胞は、もはや増殖できず、炎症性サイトカインを分泌できず、抗原提示標的細胞を殺せない、疲弊の過程を受ける。CAR T細胞はまたscFv刺激抗原の慢性的存在により、CARの慢性刺激下に、疲弊する可能性がある。E2 CAR T細胞は、FR+腫瘍細胞表面に結合した架橋分子、EC17の存在下でしか反応しないため、EC17での処置を止め、故に表面結合抗原の存在を除去することにより、E2 CAR T細胞が慢性抗原刺激を防止する能力を有する。表面抗原不在により特徴付けられる残りの期間は、E2 CAR T細胞の慢性抗原暴露を予防し、もたらされる結果的な疲弊を予防する。
【0446】
EC17投与レジメンがE2 CAR T細胞疲弊をもたらさないことを確認するために、フローサイトメトリー分析をTHP1-FRβ肝転移からの単一細胞調製物および疲弊T細胞で特異的に発現される表面マーカーで実施した。T細胞が疲弊に近づくにつれて、表面阻害性受容体、PD1、LAG3およびTIM3の共発現が増加する。図8は、y軸が異なるバーにより表される3表面マーカーの種々の組み合わせを発現する固形肝臓腫瘍から単離した総E2 CAR T細胞のパーセンテージを示す、棒グラフを示す。注意すべきは、全3マーカーを同時に発現する完全に疲弊したT細胞が各群の左手側に示される。左群は、3つの異なるEC17処置コホートから単離した肝臓腫瘍CAR T細胞へのE2 CAR T細胞の前注入を示す。阻害性受容体発現は、T細胞の大部分が全3表面マーカー陰性であるため、プレインフュージョンCAR T細胞産物でほとんど0である。重要なことに、全3EC17処置コホートE2 CAR T細胞は、疲弊トリプルポジティブ細胞を有し、興味深いことに、コホート4(EC17 TIW)のダブルおよびトリプルポジティブ事象数は最小であり、さらに、相当数のトリプルネガティブCAR T細胞からなった。これらのデータは、このマウス実験で使用した全3EC17投与レジメンが、相当な抗腫瘍活性があり、CAR T疲弊の誘発が極めて少ない点で、臨床で有用である。
【0447】
実施例19~25 - 図9~14参照。
実施例19
細胞株および試薬
特に断らない限り、全FR+およびFR陰性癌細胞株を、2.4μM 葉酸(FA)不添加(FFRPMI)または添加(RPMI)した、10%熱不活性化ウシ胎児血清添加RPMI-1640培地(Gibco BRL)に維持した。KB(HeLaマーカーを伴うFRα発現ヒト子宮頸癌)およびCHO-β(ヒトFRβでトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣細胞)を、それぞれ放射性リガンド結合アッセイのFRαおよびFRβの源として使用した。MDA-MB-231は、ヒトTNBC(トリプルネガティブ乳癌)細胞株のFRαサブクローンを表す。AML試験のために、FRβ陽性(THP1-FRβ)およびFR陰性(THP1-FG12)細胞株の緑色蛍光タンパク質(GFP)発現同質遺伝子的対が提供された。両者とも、もともと急性単球性白血病の1歳男児由来の小児AML試験に一般に使用される細胞モデルであるTHP-1(ATCC、TIB-202)から確率された。骨肉腫試験のために、HOS-FRαは、ヒトFRαをコードするFOLR1遺伝子でFR陰性HOS-143b(ATCC、CRL8303)をレンチウイルス形質導入することにより確率した。HOS-143bは、もともと13歳白人女児の原発性腫瘍から確率され、NSGマウスで高度に腫瘍原性である。FR+HOS-FRαfLucおよびFR陰性HOS-143bfLucのGFP発現生物発光対を、レンチウイルスホタルルシフェラーゼで形質導入した。
【0448】
LEGENDplexTMヒトサイトカインパネルをBioLegend(San Diego, CA)から購入した。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)ベースのCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイキットをPromega(Madison, WI)から購入した。多色フローサイトメトリーに使用した市販の抗ヒト抗体は、のCD45RA(クローンHI100)、CD45RO(クローンUCHL1)、CD4(クローンSK3)およびCD69(クローンFN50);BD Bioscience(San Jose, CA)のCD3ε(クローンSK7)、CD8α(クローンRPA-T8)、CD137/4-1BB(クローン4B4-1)、CD25(クローンM-A251)、PD1(クローンEH12.1)、LAG3(クローンT47-530)およびTIM3(クローン7D3);R&D systems(Minneapolis, MN)のビオチニル化抗ヒトEGFR(セツキシマブ、クローンHu1);およびBioLegend(San Diego, CA)のFRα(クローンLK26)であった。フルオロフォアコンジュゲート抗ビオチンをBioLegendから購入した。APCコンジュゲート抗FITCマウスIgG2a/カッパ抗体(クローンNAWESLEE)、CountBrightTMビーズ(Invitrogen)、Annexin V染色緩衝液およびAlexaFluor-647コンジュゲートAnnexin VをThermo Fisher Scientificから購入した。腫瘍組織の酵素消化のために、コラゲナーゼIV、ヒアルロニダーゼおよびDNase Iを全てSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。
【0449】
EC17またはフォレート-FITC[FA-(γ)-エチレンジアミン-FITC]はEndocyteで合成した。H-EC17は、約0.952Ci/mmolの比活性でMoravek biochemicals(Brea, CA)から購入したかまたは約1.2Ci/mmolの比活性でViTrax(Placentia, CA)により製造したFITCとH-FA-(γ)-エチレンジアミンのコンジュゲートによr, Endocyteで製造した。H-FAも、59Ci/mmolの比活性でViTraxから購入した。CRSレスキューのために、ナトリウムフルオレセイン投与溶液を、Purdue Pharmacy(NDC 17478-250-25)から購入したAK-FLUOR(登録商標)25%(フルオレセイン注射、USP)で希釈した。
【0450】
実施例20
ヒト化CAR構築物およびCAR修飾T細胞
先の試験は、ヒンジおよびCD8αの膜貫通配列および4-1BB/CD3ζシグナル伝達ドメインを含むGFP+第二世代抗FITC scFv(クローン4M5.3)CAR(すなわち、FITC-4M5.3-scFv-CD8αヒンジ-CD8αtm-4-1BB/CD3ζ)を使用した。ヒトで最初の治験に転換するために、第二世代完全ヒトFITC特異的(クローンE2)CAR構築物(ここではE2と称する)を開発した(図9、上部略図)。CAR修飾T細胞を図9、下部パイチャートとして示す。
ここに記載する構築物は、(1)完全ヒト抗FITC scFv(クローンE2、Kd=0.75nM)、(2) CD28-膜貫通ドメインに融合したIgG4ヒンジ-CH2(L235D、N297Q)-CH3スペーサー、(3)第二世代4-1BB/CD3ζ-エンドドメインおよび(4)細胞表面ヒトEGFRtタグを含むFITC特異的CAR構築物である(図9、上部略図)(配列番号4および5はそれぞれ核酸およびアミノ酸配列である)。CAR修飾T細胞を三世するために、レンチウイルスを、CARコード化epHIV7レンチウイルスベクターで共トランスフェクトした293T細胞に製造した。ドナーCD4+およびCD8+T細胞を免疫磁気選択で精製し、別々にまたは約50:50比で形質導入した。一般に、1ラウンドのみのCD3/CD28ビーズ活性化、続いて1または2ラウンドの迅速インビトロ拡大を実施した。前臨床評価のために、数バッチのEGFRt選別CD4、CD8および未選別CD4/CD8 CAR T細胞を使用した。全CAR T細胞調製物を、フローサイトメトリーにより、凍結保存前およびEGFRt発現およびCD4/CD8比決定のために解凍後分析した。表面マーカーの組み合わせを使用して、注入日のCD4+およびCD8+CAR T細胞サブセットの分化状態を分析し、T、CD45RA+CD45RO- CD62L+CD95-ナイーブT細胞;TSCM、CD45RA+CD45RO- CD62L+CD95+stem細胞記憶T細胞;TCM、CD45RA- CD45RO+CD62L+CD95+中央記憶T細胞;TEM、CD45RA- CD45RO+CD62L- CD95+エフェクター記憶細胞;およびTEFF、CD45RA+CD45RO- CD62L- CD95+エフェクターT細胞として定義した。下記前臨床試験のために、試験は、2バッチのEGFRt選別純粋CD4およびCD8サブセット(約1:1比で混合後)および低分化プロファイルの「臨床模写株」調製物を含む数バッチの未選別約1:1 EGFRt+CD4/CD8混合物を含んだ。
【0451】
合成および評価した一連の種々のCAR構築物中、完全ヒト抗FITC scFv(FITC-E2)CARを前臨床開発のために選択した(図9)。この第二世代完全ヒトCARは、抗FITC scFv(クローンE2)、FcγRへの結合を低減するためのIgG4-Fcスペーサー/ヒンジとCH2領域の二重変異(L235DおよびN297Q)、CD28膜貫通ドメインおよびT2Aリボソームスキップ配列により細胞表面EGFRtタグに結合した4-1BB/CD3ζシグナル伝達ドメインを含んだ(すなわち、FITC-E2-scFv-IgG4ヒンジ-CD28tm-4-1BB/CD3ζ-T2A-EGFRt)。前臨床試験のために、EGFRt選別および未選別E2 CAR T細胞両者を約1:1 CD4/CD8比で調製し、T細胞サブタイプ表現型解析を、日常的に各インビボ実験についてCAR T細胞注入時(0日目)、フローサイトメトリーにより実施した。EGFRt選別CAR T細胞の典型的発現パターンは、約42%TSCM、10%TCM、12%TEMおよび34%TEFFでCD4およびCD8サブセット両者を含んだ(図9、左のパイチャート)。EGFRt選別CAR T細胞のみを共培養および薬物動態試験に使用した。腫瘍治療のため、MDA-MB-231に関する低分化プロファイルの「臨床模写株」バッチ(図9、右のパイチャート)を使用し、試験バッチをTHP1-FRβおよびHOS-FRα試験に使用した。「臨床模写株」バッチ(約39%EGFRt+)は、約66%TSCMおよび約32%TCMのCD4+サブセットおよび約95%TSCMおよび約3%TCMのCD8サブセットを含んだ。試験バッチ(約23%EGFRt+)は、より分解しており、約32%TSCM、約53%TCM、約11%TEMおよび約3.7%TEFFのCD4サブセットおよび約44%TSCM、約0.28%TCM、約3.4%TEMおよび約52%TEFFのCD8サブセットを含んだ。
【0452】
実施例21
EC17 CAMの二特異的親和性
EC17 CAMの二特異的親和性(CAMは本願の「架橋」または「化合物」に等しい)を、細胞ベースの放射性リガンド結合アッセイでH-EC17を使用してアッセイした。FR+標的への結合のために、KBおよびCHO-β細胞を24ウェル組織培養プレートに一夜前播種し、0.1nM、0.5nM、1nM、5nM、10nM、20nMおよび40nMのH-EC17とFFRPMI中、2時間、37℃でインキュベートした。その後、細胞をリン酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)ですすぎ、1%ドデシル硫酸ナトリウムで溶解した。全細胞ライセートを標準Pierce BCAタンパク質アッセイで放射活性レベルおよび細胞タンパク質含量を定量した。細胞あたりに結合したH-EC17分子数を、FRα(KB)およびFRβ(CHO-β)それぞれの解離定数(Kd)決定のために計算した(図10)。
EC17は、免疫療法および光学造影目的で臨床ですでに試験されている。二特異的結合親和性を直接定量するために、H-EC17を合成し、放射性リガンド結合アッセイを、それぞれFRα+およびFRβ+標的細胞を表すKBおよびCHO-β細胞株およびエフェクター細胞を表す未選別EGFRt CAR T細胞で実施した。標的に結合したとき、EC17は、FRαおよびFRβ両者に、1.7nMおよび0.8nMの低Kd値で類似親和性を示した (図10、パネルA)。)。未選別E2-CAR T細胞(約24%EGFRt+、~95:5 CD8/CD4比)への結合により、Kd値は約130nMと推定された(図10、パネルB)。
【0453】
実施例22
腫瘍モデル
全動物ケアおよび使用は、NIHガイドラインに従い、Purdue University Animal Use and Care Committee承認プロトコールに従い、実施した。雌4~5週齢NOD/SCIDガンマ(NSGTM)マウス(ストック番号:005557)をThe Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入した。特に断らない限り、全動物を、到着時から試験をとおして、FA欠損餌(TestDiet, St. Louis, MO)で飼育した。皮下異種移植片を確立するために、MDA-MB-231およびHOS-FRαを、それぞで動物あたり2.5×10および1×10細胞で右脇腹領域に移植した。静脈内異種移植について、THP1-FRβ細胞を動物あたり5×10細胞で接種した。皮下腫瘍を週2~3回カリパスで測定し、楕円式(長さ×幅)/2で計算した。試験設計に従いまたは(i)動物が体重の≧20%を失ったときまたは瀕死条件に近づいたとき、(ii)皮下腫瘍が≧1500mmサイズに達したときまたは(iii)動物が腹部腫大および重度窮迫の徴候を示したとき(すなわち、THP1-FRβ)、屠殺を実施した。全動物用量(CAR T細胞、EC17、ナトリウムフルオレセイン)は静脈内で与えた。
【0454】
実施例23
腫瘍治療
治療設定で、EC17 CAMは、CAR T細胞注射前または後に与えてよい。ここで使用するEC17の初回用量を、CAR T細胞2~3.5日後に与え、腫瘍担持マウスにおけるヒトT細胞の観察期間を確保した。2バッチの未選別E2-CAR T細胞(23%または39%EGFRt+、1:1 CD4/CD8)をインビボ試験で使用した。各実験の注入日(0日目)、凍結CAR T細胞を37℃で急速に解凍し、Dulbeccoの1X PBS(pH7.4)で2回洗浄し、尾静脈に所望のEGFRt+E2-CAR T細胞用量を注射した。さらに、小量のCAR T細胞を、CAR T細胞のCD4対CD8比および分化状態についてフローサイトメトリーで分析した。EC17投与初日、腫瘍担持動物を腫瘍サイズまたは静脈内移植(すなわち、THP1-FRβ)から同じ日数であることに基づき、無作為に群に分けた。
MDA-MB-231試験について、マウスは、低分化プロファイルのE2-CAR T細胞(約39%EGFRt+)の「臨床模写株」の高用量(約1000万)を受けた(図9)。2日後、EC17の3つの異なる処置レジメンを、平均腫瘍サイズ約293±39mmで開始した(図12)。EC17投与を、週1回(SIW)、500nmol/kgで月曜日または5nmol/kg、50nmol/kgまたは100nmol/kgおよび500または1000nmol/kgの漸増用量(すなわち、5/50/500または5/100/1000)で月曜日、木曜日および月曜日にサイクル間6日間休薬で与えた。対照マウスは未処置のままであった(CAR T細胞を受けたが、EC17は無かった)。比較のため、無腫瘍同腹仔コホートも同じCAR T細胞の数を、EC17 SIW、500nmol/kgと併用してまたは併用せずに受けた。
【0455】
AML試験のために(図13)、マウスに、低用量の約600万E2-CAR T細胞(約23%EGFRt+)を受ける1日前に、THP1-FRβ腫瘍細胞を静脈内注入した。CAR T細胞注入約3.5日後、EC17を、i)SIWを500nmol/kg、ii)5/50/500nmol/kgを月曜日/水曜日/金曜日3回、続いてサイクル間9日間休薬(TIWオン/オフ)およびiii)サイクル1で5/10/100nmol/kg、サイクル2で5/30/300nmol/kgおよびサイクル3で5/50/500nmol/kgの漸増用量で、全て月曜日/木曜日/月曜日で、サイクル間6日間休薬(M/Th/M_オン/オフ)を含む3つの異なる方法で投与した。31日目、サテライト動物を、マウス血中のヒトCD3ε+EGFRt+事象として同定されるCAR陽性T細胞および100μLの全血あたりの絶対数の定量のために集めた。屠殺または38日目の試験終了時、THP1-FRβ腫瘍担持マウスの総腫瘍負荷を、フローサイトメトリーにより血中GFP+腫瘍細胞を計数し、肝重量(転移病巣を含む)および体内で見られた非肝臓マクロ転移の総重量で補正することにより、評価した。肝転移腫瘍断片を、単一細胞懸濁液に酵素消化し、生存可能細胞集団を抗ヒトPD1、LAG3およびTIM3(それぞれ、クローンEH12.1、T47-530および7D3)を使用して、CAR T細胞疲弊状態を分析した。
骨肉腫試験について(図14)、マウスの2コホートに、HOS-FRα腫瘍細胞を皮下移植し、3日後、約600万のTHP1-FRβ試験に使用したのと同じCAR T細胞調製物を与えた(図13)。CAR T細胞注入約3.5日後、マウスの1コホートに最大3サイクルのEC17を、サイクル1で5/10/100nmol/kg、サイクル2で5/30/300nmol/kgおよびサイクル3で5/50/500nmol/kgで、全て月曜日/木曜日/月曜日レジメンに従い、サイクル間6日間休薬で投与した。試験終了時、マウス血液100μLあたりの循環CD3ε+EGFRt+CAR T細胞を数え上げた。HOS-FRα腫瘍(±EC17処置)も採取し、腫瘍浸潤CAR T細胞のフローサイトメトリー分析のために消化した。
【0456】
攻撃的骨肉腫モデルに対する用量漸増治験
意図する目的のために、HOS-FRαは、低FR発現であるが、約5.82±1.45pmol/mgタンパク質の機能的FRレベルを有する最も攻撃的腫瘍モデルである。上記THP1-FRβ試験と併行して、3日齢HOS-FRα腫瘍を有するマウスの2コホートwに、同じE2-CAR T細胞を同じ用量(約600万)で与えた。1コホートを、サイクル1で5/10/100nmol/kg、サイクル2で5/30/300nmol/kgおよびサイクル3で5/50/500nmol/kg、月曜日/木曜日/月曜日スケジュール、続いて6日間休薬の同じ加速EC17用量漸増レジメンで処置した(図14、パネルA)。HOS-FRα腫瘍がEC17処置無しで攻撃的に増殖するため、このCAR T細胞用量の家族EC17用量漸増は安全であり(CRSまたは体重減少なし)、最初の2サイクルの処置内で腫瘍増殖の顕著な遅延をもたらした(図14、パネルB)。腫瘍サイズ(≧1500mm)のみによるプロトコール指定屠殺により、全血で実施したフローサイトメトリー分析は、47日目までの、しかし、33日目て高いEC17依存性CAR T細胞拡大を示した(図14、パネルC、左棒グラフ)。33日目のエクスビボ腫瘍分析は、EC17処置動物で、低いが、顕著な腫瘍内CD3ε+EGFRt+CAR T細胞集団を示し、これは、約1%総生存可能消化腫瘍由来細胞からなった(図14、パネルC、右棒グラフ)。大きなHOS-FRα腫瘍がサイクル3で処置への応答を停止したため(図14、パネルB)、腫瘍内CAR T細胞も47日目に減少した(図14、パネルC)。顕著なことに、疾患進行によるH-FA放射性リガンドアッセイにより分析したHOS-FRα腫瘍は、EC17処置有りおよび無しで、類似FRαレベルを示した。故に、インビトロ共培養により示唆されるとおり、NSGマウスのHOS-FRα腫瘍は急速にCAR T細胞の腫瘍浸潤能を伸長させ、T細胞疲弊により細胞溶解性活性を低減すると考えられる。
【0457】
腫瘍含有および無腫瘍マウスのEC17用量設定試験
初期EC17用量設定試験を、実験レイアウトの模式図に示すとおり、MDA-MB-231腫瘍担持マウスで実施した(図12、パネルA)。MDA-MB-231腫瘍(約211±65mm)が無いまたは有るNSGマウスに、0日目に約1000万のE2-CAR T細胞(約39%EGFRt+、51:49 CD4/CD8)の「臨床模写株」バッチを移植した。CAR T細胞のこのバッチは、大部分TSCMおよびTCM表現型からなった(図9参照)。CAR T細胞注射2日後、腫瘍担持マウスの1コホートは未処置のままであり、3コホートは、500nmol/kgの週あたり1回注射(SIW)または月曜日/木曜日/月曜日スケジュールで、1週間休薬間隔の5/50/500(漸増-1)または5/100/1000nmol/kg(漸増-2)の漸増EC17用量レベルを含む、EC17の種々のレジメンで処置した。比較のため、2無腫瘍コホートは、未処置またはEC17 SIWの500nmol/kg処置を含んだ。
マウス血液のヒトT細胞由来IFNγレベルを、11日目および12日目にサテライト動物を使用して、全コホートで測定した(先のEC17用量後約20時間および42時間)。CAR T細胞のみを受けた腫瘍担持マウスと比較して、全EC17処置腫瘍コホートは、約30×(11日目)および~10×(12日目)に、マウス血漿で高いIFNγ産生を示し、このサイトカインレベルは20時間~42時間後に自然に
減少した(図12、パネルB)。IFNγ放出に従って、EC17はマウス血中でヒトCD3ε+EGFRt+事象として同定されるCAR T細胞拡大も誘発し、細胞は、腫瘍担持動物で54日目まで持続した(最終測定)(図12、パネルC)。無腫瘍コホートで、CAR-T細胞拡大はフローサイトメトリーで検出されなかったが、低レベルのIFNγが、同じCAR T細胞の数+EC17を受けた動物で11日目および12日目に検出された(図12、パネルB~C)。さらに、CRS症状(0~5スケールのうちグレード0)または体重減少は、500nmol/kgのEC17の週2回投与で、無腫瘍マウスで観察されなかった。
中度~重度CRS症状(グレード2~3)および顕著な体重減少(図12、パネルD)が、腫瘍担持コホートで観察され、レジメン無関係のEC17投与を続けた。EC17 SIW、500nmol/kgはCRSおよび体重減少の早期発生を起こしたが、攻撃的EC17漸増-2レジメン(最大1000nmol/kg)は、EC17用量中止後、動物回復と共に、持続する体重減少を引き起こした(図12、パネルD、上部行)。顕著なことに、移植変対宿主病(GVHD)の症状は、赤く、掻痒感のある皮膚および脱毛を含み、CAR T細胞移植約1ヶ月後明らかになった。CAR T細胞のみを受けた動物は、非特異的CAR T細胞/腫瘍アロ反応性の徴候を示したが、EC17のみ処置コホートは、100%治癒をもたらした(図12、パネルD、下部行)。それ故に、FR+腫瘍存在下のEC17投与は、i)CAR T細胞活性化、ii)サイトカイン産生およびiii)インビボCAR T細胞拡大および持続の駆動に重要であった。しかしながら、特異的条件下、重度CRS(グレード≧3)は、500nmol/kg以上のEC17用量と組み合わせた、高CAR T細胞用量により駆動された。
【0458】
抗白血病活性におけるEC17 CAM投与管理
静脈内移植GFP発現THP1-FRβ腫瘍細胞は、循環および肝臓/体中の非肝転移の腫瘍細胞を有するNSGマウスで播種性疾患を発生させた。THP1-FRβ腫瘍細胞は、腫瘍進行初期段階で炎症が出現したマウス卵巣にも局在化した。それ故に、試験コホートにおける各動物の総腫瘍負荷を、血中循環GFP+腫瘍細胞、肝臓重量および裸眼で可視の全包含非肝臓マクロ転移の定量により評価した。THP1-FRβはインビトロで低レベルのFRを発現したが、THP1-FRβ腫瘍転移は約8.9±2.8pmol/mg膜タンパク質レベルで、予想より高い機能的FRを発現することが判明した。故に、THP1-FRβ腫瘍担持マウスに、EGFRt-未選別E2-CAR T細胞(約23%EGFRt+、1:1 CD4:CD8)を約600万/動物の試験バッチを移植し、ついで、3つの異なるEC17投与レジメンで処置した(図13)。CAR T細胞注射3日後から開始して、EC17投与レジメンを、SIWで500nmol/kgで連続的に、週3回(TIW)、5/50/500nmol/kgで月曜日/水曜日/金曜日に、続いて9日間休薬またはサイクル1で5/10/100nmol/kg、サイクル2で5/30/300nmol/kgおよびサイクル3で5/50/500nmol/kgの加速用量漸増レジメンで、月曜日/木曜日/月曜日(M/Th/M)に、続いて6日間休薬で開始した(図13、パネルA)。サイクル2および3で、多少の体重減少およびグレード1~2 CRSがEC17 SIW処置を受けた動物で観察されたが、EC17 TIWを受けた動物は、グレード0~1 CRSのみで体重減少が最小であった(図13、パネルB)。3サイクルのEC17 M/Th/M用量漸増を受けた動物のうち、グレード0~1 CRSおよび極めて軽度の体重減少が、サイクル2の300nmol/kgのEC17の最終用量後観察された。31日目にサテライト動物を使用して、CAR T細胞を血液で数え上げ、データは、全処置コホートでEC17依存性CAR T細胞拡大および持続を示した(図13、パネルC)。腫瘍細胞のみまたはEC17無しで腫瘍細胞+CAR T細胞を受けた対照動物と比較して、3「患者内」漸増形式のいずれかで投与したEC17は、血中循環THP1-FRβ腫瘍細胞を効率的に減少させ、肝臓腫瘍転移に類似活性を示した(図13、パネルD、左および中央棒グラフ)。軽度同種異系反応性のみが、CAR T細胞のみを受けたマウスのTHP1-FRβ肝転移で観察された。10倍用量漸増(オン/オフ)のEC17 SIWおよびTIWは、非肝臓マクロ転移の完全制御に成功したが、サイクルあたりゆっくりしたペースのEC17 M/Th/M用量漸増(図13、パネルA)は、非肝臓マクロ転移制御ができなかった(図13、パネルD、最右パネル)。試験終了時(すなわち、CAR T細胞注射後39日)、肝臓THP1-FRβ腫瘍転移から単離したCAR T細胞は、ダブルおよびトリプルポジティブT細胞阻害性受容体、PD1、LAG3およびTIM3発現が最小であることが見られた(図13、パネルE)。全体的、重度CRS(すなわち、グレード≧3)はEC17処置コホートのいずれでも観察されなかった。それにも関わらず、より攻撃的EC17 TIW用量漸増(オン/オフ)スケジュールは、これらマウスで全THP1-FRβ腫瘍負荷の軽減に最良のレジメンである傾向を示した。
【0459】
実施例24
機能的FR評価
これらの機能的FR評価を、ここに記載する実施例に適用した。FRα(HOS-FRα)およびFRβ(THP1-FRβ)でトランスフェクトした小児癌細胞株以外、種々の組織学およびFR発現レベルの癌細胞株(図11)を包含させた。放射性リガンド結合アッセイ(100nM H-FA、1時間、37℃)で概算して、これら細胞株の総利用可能FRの順序は、9×10(OV90、低FR発現卵巣癌細胞株)、1.9×10(THP1-FRβ)、2.4×10(HOS-FRαfLuc)、7×10(HOS-FRα)、2.1×10(MDA-MB-231)および4.8×10(KB)FA分子/細胞であった。FR陰性対照として、HOS-143b(fLuc)およびTHP1-FG12親細胞株もまた包含させた。故に、共培養FR+癌細胞株の機能的FR発現順は、KB>MDA-MB-231>HOS-FRα>HOS-FRαfLuc>THP1-FRβ(AML)>OV90であった。
【0460】
実施例25
統計
統計分析を、コンピュータプログラムGraphPad Prism(GraphPad Software Inc., San Diego, CA)で実施した。データを、スチューデントt検定または一元配置ANOVAを使用して解析した。適用可能であれば、データをさらに適切な複数後検定を使用して、複数処置群にわたり解析した。*=p<0.05を全試験で統計学的有意とした。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14
【配列表】
2024178129000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0460
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0460】
実施例25
統計
統計分析を、コンピュータプログラムGraphPad Prism(GraphPad Software Inc., San Diego, CA)で実施した。データを、スチューデントt検定または一元配置ANOVAを使用して解析した。適用可能であれば、データをさらに適切な複数後検定を使用して、複数処置群にわたり解析した。*=p<0.05を全試験で統計学的有意とした。
本願はさらに以下の態様を包含する。
1. 癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は少なくとも1回目の用量漸増過程および2回目の用量漸増過程により投与される、方法。
2. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程および3回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
3. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程および4回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
4. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程および5回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
5. 化合物またはその薬学的に許容される塩が少なくとも1回目の用量漸増過程、2回目の用量漸増過程、3回目の用量漸増過程、4回目の用量漸増過程、5回目の用量漸増過程および6回目の用量漸増過程で投与される、項1に記載の方法。
6. 患者にCAR T細胞の初回用量およびCAR T細胞の第二用量が投与される、項1~5の何れかに記載の方法。
7. CAR T細胞の初回用量が患者のCAR T細胞に対する認容性のモニターのための試験用量である、項6に記載の方法。
8. CAR T細胞の第二用量がCAR T細胞の初回用量より高用量のCAR T細胞を含む、項6に記載の方法。
9. 1回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項1~8の何れかに記載の方法。
10. 2回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項1~9の何れかに記載の方法。
11. 3回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項2~10の何れかに記載の方法。
12. 4回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項3~11の何れかに記載の方法。
13. 5回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項4~12の何れかに記載の方法。
14. 6回目の用量漸増過程の後に化合物またはその薬学的に許容される塩が投与されない期間がある、項5~13の何れかに記載の方法。
15. 期間が約7日間である、項9~14の何れかに記載の方法。
16. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項1~15の何れかに記載の方法。
17. 2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、項1~16の何れかに記載の方法。
18. 3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、項2~17の何れかに記載の方法。
19. 4回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項3~18の何れかに記載の方法。
20. 5回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約30%および約300%で投与することを含む、項4~19の何れかに記載の方法。
21. 6回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約50%および約500%で投与することを含む、項5~20の何れかに記載の方法。
22. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項16~21の何れかに記載の方法。
23. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約20μg/kg~約40μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項16~22の何れかに記載の方法。
24. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項16~23の何れかに記載の方法。
25. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項16~24の何れかに記載の方法。
26. 患者で1回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を2回目の用量漸増過程に進める、項1~25の何れかに記載の方法。
27. 患者で2回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を3回目の用量漸増過程に進める、項2~26の何れかに記載の方法。
28. 患者で3回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を4回目の用量漸増過程に進める、項3~27の何れかに記載の方法。
29. 患者で4回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を5回目の用量漸増過程に進める、項4~28の何れかに記載の方法。
30. 患者で5回目の用量漸増過程中CRSまたは神経毒性が観察されなければ、方法を6回目の用量漸増過程に進める、項5~29の何れかに記載の方法。
31. 用量漸増過程の何れかで患者で低血圧を伴わない発熱が観察され、患者で神経毒性が観察されなければ、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に低血圧を伴わない発熱を引き起こしたその用量漸増過程レベルで投与する、項1~30の何れかに記載の方法。
32. 用量漸増過程の何れかで患者に重度CRSまたは神経毒性が生じたら、化合物またはその薬学的に許容される塩のその後の全ての用量を、患者に重度CRSまたは神経毒性を引き起こしたその用量漸増過程レベルより低い用量漸増過程レベルで患者に投与する、項1~30の何れかに記載の方法。
33. 癌を処置する方法であって、
i)患者に少なくとも一用量のCAR T細胞組成物を投与すること(ここでCAR T細胞は標的化部分を指向するCARを含む);
ii)患者に化合物またはその薬学的に許容される塩を投与すること(ここで、化合物はリンカーにより標的化部分に結合した小分子リガンドを含む)を含み、ここで、該化合物またはその薬学的に許容される塩は1回目の用量漸増過程で投与され、重度CRSが1回目の用量漸増過程で生じたならば、該化合物またはその薬学的に許容される塩を低用量漸増過程を使用して投与し、ここで、該低用量漸増過程における化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量は、1回目の用量漸増過程で投与される該化合物またはその薬学的に許容される塩の初回用量より低いものである、方法。
34. 低用量漸増過程において、該化合物またはその薬学的に許容される塩が、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約0.5%、約5%および約50%で投与される、項33に記載の方法。
35. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約10μg/kg~約50μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項34に記載の方法。
36. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約25μg/kg~約35μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項34~35の何れかに記載の方法。
37. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約30μg/kgの化合物またはその薬学的に許容される塩である、項34~36の何れかに記載の方法。
38. CAR T細胞が配列番号4を含む核酸を含む、項1~37の何れかに記載の方法。
39. CAR T細胞が配列番号5を含むポリペプチドを含む、項1~38の何れかに記載の方法。
40. 核酸がキメラ抗原受容体をコードする、項38に記載の方法。
41. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約2%および約20%で投与することを含み、2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約6%および約60%で投与することを含み、そして3回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項2~15の何れかに記載の方法。
42. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、項2~15の何れかに記載の方法。
43. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約10%および約100%で投与することを含む、項2~15の何れかに記載の方法。
44. 1回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含み、そして2回目の用量漸増過程が、患者に、連続していない3日で、該化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量の約1%、約20%および約200%で投与することを含む、項2~15の何れかに記載の方法。
45. 化合物またはその薬学的に許容される塩の全用量が約500nmol/kgである、項41~44の何れかに記載の方法。
【外国語明細書】