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特開2024-1781313次元オブジェクトを付加製造するシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178131
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】3次元オブジェクトを付加製造するシステム
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/44 20210101AFI20241217BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20241217BHJP
   B22F 12/42 20210101ALI20241217BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20241217BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20241217BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241217BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241217BHJP
【FI】
B22F12/44
B22F10/28
B22F12/42
B29C64/153
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024092992
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】63/472,049
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、ブライアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シマーモン、デイヴィッド スコット
(72)【発明者】
【氏名】スティール、ウィリアム ジョセフ
(57)【要約】
【解決手段】3次元オブジェクトを付加製造するシステム(10)を提供する。システム(10)は、ビルドプラットフォーム(112)と、レーザダイオードのアレイ(200)であって、前記レーザダイオードの前記アレイ(200)の各レーザダイオード(210)はレーザビーム(220)を前記ビルドプラットフォーム(112)に向けるように構成されている、レーザダイオードのアレイ(200)と、コントローラ(102)であって、制御信号が前記コントローラ(102)から各レーザダイオード(210)に個別に伝達されるように、前記レーザダイオードの前記アレイ(200)の各レーザダイオード(210)に通信可能に結合されている、コントローラ(102)と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元オブジェクトを付加製造するシステムであって、
ビルドプラットフォームと、
レーザダイオードのアレイであって、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードはレーザビームを前記ビルドプラットフォームに向けるように構成されている、レーザダイオードのアレイと、
コントローラであって、制御信号が前記コントローラから各レーザダイオードに個別に伝達されるように、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードに通信可能に結合されている、コントローラと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記アレイの前記レーザダイオードが第1方向の複数の行にあり、前記第1方向に直交する第2方向の複数の列にあるように、前記レーザダイオードの前記アレイは配置され、
各レーザダイオードが、各隣接するレーザダイオードから離間している、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の行の隣接する行は、前記第1方向に互い違いに配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の列の隣接する列は、前記第2方向に互い違いに配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザダイオードの前記アレイは、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向の複数の層に配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、
前記コントローラは、前記光学素子を利用することによって、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、
前記光学素子は複数の光学素子を含み、
複数の前記光学素子の各々は、各々の前記レーザビームを操作するように構成されている、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記レーザダイオードの前記アレイは、第1方向または前記第1方向に直交する第2方向に移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードは、第1方向または前記第1方向に直交する第2方向に移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記レーザダイオードの前記アレイは、前記ビルドプラットフォームのビルド面よりも大きい領域に分配されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記レーザダイオードは、積層2次元パターンで配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記レーザダイオードは、3次元パターンで複数の層に配置されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、
前記コントローラは、前記光学素子を利用することによって、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、
請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、粉末床溶融法に使用される装置などの3次元オブジェクトを付加製造するためのレーザビームを生成する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造システムはビルドマテリアル(例えば、粉末)からオブジェクトを層状にビルドするために利用され得る。3次元オブジェクトは、粉末マテリアルの連続層を溶融および/または焼結するために、レーザビームを粉末床(例えば、ビルドプラットフォーム)上に向ける粉末床溶融プロセスを用いて付加製造することができる。粉末マテリアルを溶融および/または融合することによって形成される3次元オブジェクトの特性は、レーザビームを生成するためのシステムによって提供されるエネルギビームの1つまたは複数の特性に少なくとも部分的に依存し得る。したがって、当技術分野では、部品ごとのビルド費用の低減につながるビルドスピードを高めることができる改善されたエネルギビームシステムおよび/または方法を含む、改善された付加製造システムおよび方法を提供することが歓迎されるのであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一形態は、3次元オブジェクトを付加製造するシステムであって、ビルドプラットフォームと、レーザダイオードのアレイであって、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードはレーザビームを前記ビルドプラットフォームに向けるように構成されている、レーザダイオードのアレイと、コントローラであって、制御信号が前記コントローラから各レーザダイオードに個別に伝達されるように、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードに通信可能に結合されている、コントローラと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、3次元オブジェクトを付加製造するシステムを概略的に示す。
図2A図2Aは、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、ビルドプラットフォーム上の粉末の層を照射する図1のシステムのレーザダイオードのアレイを概略的に示す。
図2B図2Bは、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、例示的なレーザダイオードアレイを概略的に示す。
図3A図3Aは、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、レーザダイオードの互い違いの行を有する例示的なレーザダイオードアレイを概略的に示す。
図3B図3Bは、本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、レーザダイオードの互い違いの列を有する例示的なレーザダイオードアレイを概略的に示す。
図3C図3Cは、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、別の例示的なレーザダイオードアレイを概略的に示す。
図4A図4Aは、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、レーザダイオードのアレイの各レーザダイオードによって生成されるレーザビームを選択的に操作する図1のシステムを概略的に示す。
図4B図4Bは、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、レーザダイオードのアレイとビルドプラットフォームとの間に配置される光学素子を含む、図1のシステムを概略的に示す。
図4C図4Cは、本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、レーザダイオードのアレイとビルドプラットフォームとの間に配置される複数の光学素子を含む、図1のシステムを概略的に示す。
図5図5は、本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による、可動であるレーザダイオードのアレイを伴う、図1のシステムを概略的に示す。
図6図6は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、3次元オブジェクトを付加製造する装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面に示される実施形態は本質的に例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照符号で示されている添付の図面と併せて読むと理解することができる。
【0006】
本明細書に記載の実施形態は、3次元オブジェクトを付加製造するシステムおよび方法を対象とする。このシステムには、ビルドプラットフォーム上に配置された粉末マテリアルを溶融または融解させるために、ビルドプラットフォームにレーザビームを照射するレーザダイオードを含むレーザダイオードのアレイが含まれる。各レーザダイオードは、レーザビームを操作(例えば、ステアリング)するコントローラの要求に応じて、任意の順序でレーザエネルギーを放出するように個別に制御される。これにより、微細構造形成の精密な制御が可能となり、結果としてマテリアル特性を向上させることができる。3次元オブジェクトを付加製造するシステムおよび方法の様々な実施形態が、本明細書でより詳細に説明される。可能な場合は常に、同じまたは同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照符号が使用される。
【0007】
特に明示しない限り、本明細書に記載された方法が、そのステップを特定の順序で実行することを要求するものであると解釈されること、また、いかなる装置においても特定の方向性を要求するものであると解釈されることは、決して意図されていない。したがって、方法クレームが実際にそのステップに従うべき順序を列挙していない場合、または任意の装置クレームが実際に個々の構成要素に対する順序または向きを列挙していない場合、またはステップが特定の順序に限定されるべきであること、または装置の構成要素に対する特定の順序または向きが列挙されていないことが、特許請求の範囲または説明において別段具体的に述べられていない場合、順序または向きがいかなる点においても推論されることは決して意図されていない。これは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、または構成要素の向きに関する論理の問題、文法的編成または句読点から導出される平易な意味、および本明細書に記載される実施形態の数またはタイプを含む、解釈のための任意の可能な非明示的基礎に当てはまる。
【0008】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの」などは文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、「1つの」構成要素への言及は文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0009】
本明細書に記載されるように、本開示の主題は、3次元オブジェクトを付加製造するためのシステム、装置、または方法の使用を含む。本明細書で使用するとき、「付加製造」という語は一般に、構成要素がピースごと又は層ごとに製造される製造技術を指す。例示的な付加製造機は、任意の好適な付加製造技術を利用するように構成され得る。付加製造機は、直接金属レーザ溶融(DMLM)技術、選択的レーザ溶融(SLM)技術、直接金属レーザ焼結(DMLS)技術、または選択的レーザ焼結(SLS)技術などの粉末床溶融(PBF)技術を含む付加製造技術を利用することができる。例示的なPBF技術では、粉末マテリアルの薄層がビルド面に連続的に適用され、次いで、1つまたは複数の3次元オブジェクトを形成するために、層ごとに互いに選択的に溶融または融着される。付加的に製造されたオブジェクトは一般に、本質的にモノリシックであり、様々な一体のサブコンポーネントを有することができる。
【0010】
さらに、または代替的に適した付加製造技術としては、例えば、FDM技術、直接エネルギ堆積(DED)技術、レーザエンジニアリングネットシェーピング(LENS)技術、レーザネットシェイプ製造(LNSM)技術、直接金属堆積(DMD)技術、デジタル光処理(DLP)技術、Vat重合(VP)技術、ステレオリソグラフィー(SLA)技術、およびエネルギビームまたは他のエネルギ源を利用して粉末マテリアルなどの付加製造マテリアルを固化する他の付加製造技術が挙げられる。実際、任意の好適な付加製造様式が、本開示の主題とともに利用され得る。
【0011】
付加製造技術は一般に、典型的には縦方向に、オブジェクトを点ごと、ラインごと、または層ごとでビルドすることによるオブジェクトの製造として説明することができる。他の製造方法も考えられ、本開示の範囲内である。例えば、本明細書での議論は連続する層を形成するためのマテリアルの追加に言及しているが、本開示の主題は層付加プロセス、層除去プロセス、または混成プロセスを含む、任意の付加製造技術または他の製造技術を用いて実施することができる。
【0012】
本明細書に記載の付加製造方法は、任意の好適なマテリアルを使用して構成要素を形成するために使用することができる。例えば、マテリアルは、金属、セラミック、ポリマー、エポキシ、フォトポリマー樹脂、プラスチック、コンクリート、または固体、液体、粉末、シートマテリアル、ワイヤ、もしくは任意の他の適切な形態、またはそれらの組み合わせであり得る任意の他の適切なマテリアルであり得る。例示的なマテリアルとしては、金属、ポリマ、またはセラミック、ならびにこれらの組み合わせが挙げられ得る。追加的に、または代替的に、例示的なマテリアルは、金属、セラミック、またはバインダ、ならびにこれらの組合せを含むことができる。例示的なセラミックは、超高温セラミック、および/またはポリマ前駆体などの超高温セラミックの前駆体を含むことができる。
【0013】
本明細書で使用するとき、「ビルド面」という語は、付加製造処理中にエネルギビームが衝突する面によって画定される面を指す。例えば、ビルド面111が図1に示されている。一般に、粉末床(例えば、図1の粉末床115)の表面は、ビルド面を画定する。粉末床のそれぞれの層の照射中、それぞれの層の以前に照射された部分はビルド面の一部を画定し得、および/またはビルドモジュール(例えば、図1のビルドモジュール110)、粉末床を支持するビルドプレート(例えば、図1のビルドプラットフォーム112)にわたって粉末マテリアルを分配する前に、粉末床は、一般にビルド面を画定する。
【0014】
「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、1つの構成要素を別の構成要素から区別するために互換的に使用され得、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図しないことを理解されたい。用語「1つの」などは、量の限定を示すものではなく、むしろ、参照されるものの少なくとも1つの存在を示す。
【0015】
図1を参照すると、3次元オブジェクトを付加製造するシステム10が示されている。システム10は、ビルドプラットフォーム112と、レーザダイオードのアレイ200と、コントローラ102とを含む。システム10は3次元オブジェクトを付加製造する様々な構成要素を含むデバイス100(例えば、3次元プリンタ、付加製造機など)を含むことができる。デバイス100は、ビルドモジュール110、粉末モジュール120、および/またはオーバーフローモジュール130を含むことができる。ビルドモジュール110、粉末モジュール120、および/またはオーバーフローモジュール130は、アセンブリラインプロセスなどでデバイス100に取り付けられ、そこから取り外されるように構成されたモジュール式コンテナの形態で提供されてもよい。加えて、または代替として、ビルドモジュール110、粉末モジュール120、および/またはオーバーフローモジュール130は、デバイス100の固定構成要素を画定し得る。
【0016】
ビルドモジュール110はビルドチャンバ118を含むことができ、ビルドチャンバ内でオブジェクト114を付加製造することができ、ビルドプラットフォーム112はビルドプラットフォーム112上に分配された粉末マテリアル113の1つ以上の層を支持し、ビルドピストン116はビルドプラットフォーム112を方向b(例えば、図1の座標軸の-Z方向)に下げて、粉末マテリアル113のための余地を作る。粉末マテリアル113のフレッシュ層または最上層(例えば、ビルド面111)は、粉末モジュール120によって粉末床115まで層ごとに順次作成され、レーザダイオード200のアレイによって選択的に溶融または融着されて、オブジェクト114を付加製造することができる。
【0017】
粉末モジュール120は、供給チャンバ128内に収容された粉末マテリアル124の供給を含むことができる。粉末モジュール120は、粉末供給床122を作動させる粉末ピストン126を含む。粉末ピストン126はデバイス100の動作中、粉末供給床122を方向c(例えば、図1の座標軸の+Z方向)に上昇させることができる。粉末供給床122が上昇すると、粉末マテリアル124の一部が粉末モジュール120から押し出される。ブレードまたはローラなどのリコータ140は、ビルドモジュール110のビルドのビルド面111にわたって粉末マテリアル124の薄層を連続的に分配する。リコータ140はビルドプラットフォーム112上に粉末マテリアル124を分配するために、方向a(例えば、図1の座標軸の+X方向)に移動され得る。
【0018】
オーバーフローモジュール130は、オーバーフローチャンバ138内の過剰な粉末マテリアル134を捕捉することができる。過剰な粉末マテリアル134はビルドプラットフォーム112の上方のビルド面111を横切って粉末マテリアル124の薄層を作り出すことによるオーバーフロー(例えば、残り)であってもよい。オーバーフローモジュール130は追加の過剰粉末マテリアル134のためにオーバーフローチャンバ138内に余地を作るために、粉末床132を方向d(例えば、図1の座標軸の-Z方向)に徐々に下げるオーバーフローピストン136を含むことができる。
【0019】
デバイス100は、粉末モジュール120および/またはオーバーフローモジュール130を利用しなくてもよく、異なる粉末供給システムおよび/または過剰な粉末再捕捉システムを含む、粉末マテリアル124を取り扱うための他のシステムが提供されてもよいことが理解されよう。本発明の主題は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の好適な付加製造機を用いて実施することができる。
【0020】
コントローラ102は制御信号がコントローラ102から各レーザダイオード210に個別に伝達されるように、レーザダイオード200のアレイの各レーザダイオード210に通信可能に結合される。コントローラ102はデバイス100の一部として含まれ得るか、またはコントローラ102はデバイス100に関連付けられ得る。コントローラ102は、デバイス100の一部として提供されてもよく、および/またはデバイス100とは別個に提供されてもよい。コントローラ102の様々な構成要素は、デバイス100の様々な構成要素に通信可能に結合され得る。コントローラ102は、管理システム106及び/又はユーザインターフェース108と通信可能に結合されてもよい。管理システム106は、システム10を動作させるためにコントローラ102とインタラクションするように構成され得る。管理システム106の動作は、管理システム106からコントローラ102にデータを送信すること、および/またはコントローラ102から管理システム106にデータを送信することを含み得る。ユーザインターフェース108は、ユーザがシステム10とインタラクションすることを可能にする1つまたは複数のユーザ入力/出力装置を含むことができる。
【0021】
コントローラ102は、機械可読および実行可能命令を実行することが可能な任意のデバイスであり得る1つまたは複数のプロセッサを含み得る。したがって、コントローラ102の1つまたは複数のプロセッサの各々は、集積回路、マイクロチップ、または任意の他のコンピューティングデバイスであり得る。プロセッサは、デバイス100、管理システム106、および/またはユーザインターフェース108を含むシステム10の様々な構成要素間のシグナル接続性を提供する通信経路104に結合され得る。したがって、通信経路104はシステム10の任意の数の構成要素を互いに通信可能に結合し、それらが分散コンピューティング環境において動作することを可能にし得る。本明細書で使用される場合、「通信可能に結合された」という語句は、結合された構成要素が、例えば、導電媒体を介した電気信号、空気を介した電磁信号、光導波路を介した光信号など、互いにデータ信号を交換(伝達)できることを意味する。
【0022】
レーザビームシステム230は、複数のレーザダイオード210を含むレーザダイオード200のアレイを含むことができる。例えば、複数のレーザダイオード210は任意の単一または多数の波長(例えば、複数の波長)を利用することができる。レーザダイオード200のアレイは、レーザダイオードアレイハウジング202に結合されてもよい。レーザダイオード200のアレイの各レーザダイオード210は、レーザビームをビルドプラットフォーム112に向けるように構成される。レーザビームは、ビルド面111のそれぞれの部分を選択的に凝固させることができる。レーザビームが粉末マテリアル113の連続層を選択的に溶融または融合すると、オブジェクト114は3次元形状に形成される。複数のレーザダイオード210は、それぞれ、レーザビームを放出するように構成されてもよい。例えば、複数のレーザダイオード210は、二重ヘテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分離閉じ込めヘテロ構造レーザダイオード、分離閉じ込めヘテロ構造量子井戸レーザダイオード、分布ブラッグ反射器レーザダイオード、分布帰還レーザダイオード、垂直共振器面発光レーザダイオード(VCSEL)、垂直外部共振器面発光レーザダイオード(VECSEL)、ブラッグ反射器レーザダイオードなどを含むことができる。
【0023】
典型的にはDMLM、EBM、またはSLMシステムでは粉末マテリアル113は完全に溶融され、それぞれの層はエネルギビームのそれぞれのパスで溶融または再溶融される。DMLSまたはSLSシステムでは、典型的には粉末マテリアル113の層は焼結され、一般に粉末マテリアルの融点に達することなく、粉末マテリアル113の粒子を互いに融合する。レーザビームシステム230は、デバイス100および/またはデバイス100とは別に設けられたコンポーネントの一部として統合されたコンポーネントであってもよい。
【0024】
図2Aを参照すると、レーザダイオード200のアレイの各レーザダイオード210は、レーザビーム220をビルドプラットフォーム112に向けるように構成される。各レーザダイオード210は、レーザビーム220を、ビルドプラットフォーム112によって支持された粉末床115のビルド面111に向けて方向付けることができる。実施形態では、レーザダイオード200のアレイがビルド面111全体を覆うようなサイズにすることができる。レーザダイオード200のアレイは、レーザビーム220をビルド面111の全表面領域に向けるのに十分な数のレーザダイオード210を含むことができる。レーザダイオード210は、レーザビーム220をビルド面111の表面領域全体に向けるように整列させることができる。レーザビーム220は任意の波長(例えば、UV、可視、赤外線等)であってもよい。実施形態では、レーザダイオード200のアレイがビルドプラットフォーム112に対して所定の位置に固定されてもよい。実施形態では、レーザダイオード210がレーザビーム220をビルド面111上の選択されたスポットに向けるように選択的に動作させることができる。例えば、レーザダイオード210の各々は、それぞれのレーザビーム220をビルド面111上のそれぞれのスポットまたは領域に向けて、ビルド面111の粉末マテリアル113を溶融または融合させて、ビルドされるオブジェクトの所望の形状を達成するように個別に動作される。図2Aにおけるいくつかの重複する要素番号(例えば、レーザダイオード210およびレーザビーム220)は、明確にするために省略されていることに留意されたい。
【0025】
さらに図2Aを参照すると、レーザ投射境界117は、ビルド面111および粉末床115よりも広い面積を画定する。すなわち、レーザ投射境界117はビルド面111および粉末床115の全領域よりも大きい領域を覆い、その結果、ビルド面111および粉末床115の全領域が、複数のレーザダイオード210の各々から放出されるレーザによって到達され得る。結果として、本明細書に記載されるレーザダイオードのアレイはオブジェクトを形成するために走査デバイスと光学的に結合された1つまたは2つのレーザを利用する従来のビルドチャンバと比較して、より迅速に、効率的に、かつ正確に、ビルド面111上にオブジェクトを形成する能力を有する。
【0026】
図2Bを参照すると、レーザダイオード200のアレイの例示的なパターンが示されている。レーザダイオード210は、層状の2次元パターンで配置されてもよい。例えば、レーザダイオード210は第1方向(例えば、図2Aの座標軸の+/-X方向)に複数の行(例えば、行1R、2R、3R、および4R)に配列され、第1方向に直交する第2方向(例えば、図2Aの座標軸の+/-Y方向)に複数の列(例えば、列1C、2C、3C、4C、および5C)に配列される。列1R~4Rは、互いから均等に離間され得る。レーザダイオード210の各々はレーザダイオード210が複数の行(例えば、行1R~4R)内で行ピッチで離間されるように、それぞれの行内の隣接するレーザダイオードから離間され得る。列1C~5Cは、互いに均等に離間されてもよい。行1R~4Rの間の空間は、列1C~5Cの間の空間と同じであってもよい。レーザダイオード210の各々はレーザダイオード210が複数の列(例えば、列1C~5C)内で列ピッチで離間されるように、それぞれの列内の隣接するレーザダイオードから離間されてもよい。実施形態では、複数のレーザダイオード210がビルドプラットフォームのビルド表面よりも大きい領域に分布されてもよい。例えば、レーザ投射境界117は、レーザダイオード210がその上にレーザビームを放出し得る領域を示す。
【0027】
図3A~3Cを参照すると、レーザダイオード200a~200cのアレイの例示的なパターンが示されている。図3A及び図3Bは、積層2次元パターンに配列されたレーザダイオード210a及び210bの例を示す。図3Aでは、レーザダイオード200aのアレイが複数の行1Ra~4Raに配列されたレーザダイオード210aを含む。複数の行1Ra~4Raの隣接する行(例えば、行1Raおよび2Ra、2Raおよび3Ra、ならびに3Raおよび4Ra)は、第1方向(例えば、図3Aの座標軸の+/-X方向)に互い違いに配置される。隣接する行は、互いに対して反対方向にシフトされていてもよい。例えば、行1Ra,3Raは、行2Ra,4Raに対して、図3Aの座標軸の-X方向にシフトされている。
【0028】
図3Bを参照すると、レーザダイオード200bのアレイは、複数の列1Cb~5Cbに配置されたレーザダイオード210bを含む。複数の列1Cb~4Cbの隣接する列(例えば、列1Cbおよび2Cb、2Cbおよび3Cb、3Cbおよび4Cb、ならびに4Cbおよび5Cb)は、第2方向(例えば、図3Bの座標軸の+/-Y方向)に互い違いに配置される。隣接する列は、互いに対して反対方向にシフトされ得る。例えば、列1Cb,3Cb,5Cbは、列2Cb,4Cbに対して、図3Bの座標軸の+Y方向にシフトされている。
【0029】
図3Cを参照すると、レーザダイオード200cのアレイは第1および第2方向(例えば、図3Cの座標軸の+/-Xおよび+/-Y方向)の両方に直交する第3方向(例えば、図3Cの座標軸の+/-Z方向)に複数の層(例えば、層1L、2L)に配列されたレーザダイオード(例えば、レーザダイオード211c、212c)を含む。複数のレーザダイオード211c、212cは、3次元パターンで配列されてもよい。例えば、層1Lは複数のレーザダイオード211cを含み、層2Lは、複数のレーザダイオード212cを含む。隣接する層(例えば、層1Lおよび層2L)は互いに隣接して積層されてもよく、レーザダイオード211cおよびレーザダイオード212cは、第3方向に互い違いに配置されてもよい。レーザダイオード211cとレーザダイオード212cとは、第3方向(例えば、図3Cの座標軸の+/-Z方向)において、互いに重なっていなくてもよい。実施形態において、層1Lは2次元パターンで配列されたレーザダイオード211cを有してもよく、層2Lは2次元パターンで配列されたレーザダイオード212cを有していてもよい。
【0030】
図3A~3Cに示されるレーザダイオード200a~200cのアレイの例示的なパターンは、図3A~3Cに示されるレーザダイオードの数よりも多い又は少ないレーザダイオードを整列させるために適用され得るパターンであることに留意されたい。レーザダイオード200a~200cのアレイの例示的なパターンは、アレイのレーザダイオードのすべてを整列させるために適用され得る。図3A図3Cに示されるレーザダイオード200a~200cのアレイの互い違いの配列は、ビルド面111に適用されるレーザエネルギのより微細な分解能を可能にし得る。
【0031】
図4Aを参照すると、コントローラ102(図1に示す)は、各レーザダイオード210を選択的に操作して、各レーザダイオード210からのレーザビームを個別に又は順番に放出することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ102がレーザビームを選択的に放出して、粉末床115のビルド面111の粉末マテリアルを特定の形状などに溶融または融合させて、粉末のボクセルの熱サイクルを精密に制御して微細構造を形成することができる。例えば、レーザビーム群222の各レーザビームは、単一のレーザダイオード210のレーザビームから形成され得る直径を有するようにサイズ決めされた、ドット形状または円形の溶融プール222aを生成し得る。レーザビーム222はビルド面111を、ビルド面111の異なる時間又は領域で同時に、連続して、又は段階的に照射することができる。別の例では、レーザビーム群224の各レーザビームが複数のライン形状の溶融プール224aを生成することができる。レーザビーム224はビルド面111を同時に照射して、ビルド面111の異なる時間または領域で同時に、連続的に、または段階的に、ライン形状の溶融プール224aを生成することができる。レーザビーム群226の各レーザビームはオフアングルライン(例えば、対角線)を含む、レーザダイオード210が整列され得る任意の方向に、ライン形状の溶融プール226aを生成し得る。ライン形状の溶融プール226a全体は同時に、長さに沿って互い違いに、または一端から他端まで連続して作り出すことができる。また、レーザビーム群228は粉末床115の予熱、後加熱、またはその場での熱制御のために、一次固化経路の周りの領域228bでビルド面111を加熱するために照射することができる。レーザビーム群228の各レーザビームのパワーは領域228bを照射して熱プロファイルを生成するように個別に制御されてもよく、これは、粉末床115内の熱ストレスを低減することができ、または調整された微細構造を達成するのを助けることができる。レーザビーム群229のグループの各々は、曲線形状の溶融プール229aを生成することができる。曲線形状の溶融プール229aは同時に、弧の長さに沿って互い違いに、または一端から他端まで連続的に生成されてもよい。個々のレーザビームの選択的制御は適切な熱入力バランス、溶融プールの維持、および得られる微細構造形成の厳密な制御を提供することができ、これは、機械的特性(例えば、強度、延性、硬度、耐衝撃性、破壊靭性など)、粗さなどの表面特徴、および製造されるオブジェクトの構造設計に対する制御を提供することができる。
【0032】
図4Bを参照すると、レーザビームシステム230は、ビルドプラットフォーム112とレーザダイオード200のアレイとの間に配置された光学素子240を含むことができる。実施形態において、光学素子240は、1つ以上の光学素子を含んでもよい。コントローラ102は、光学素子240を利用することによって、各レーザダイオード210を選択的に操作して、複数のレーザビーム220またはレーザビーム220の各々を放出、操縦、収束、または組み合わせることができる。光学素子240はレーザビーム220を操作してレーザビーム220の角度を変更し、ビルド面111を照射することができる。レーザビーム220は、ビルド面111に対して角度をなすように集中または収束することができる。傾斜したレーザビーム220は、レーザビーム220の入射角に応じて、様々な形状の1つまたは複数の溶融プール244bを生成することができる。例えば、溶融プール244bは入射角が0°に近いとき、ドットまたは円形に近い形状を有する可能性がある。また、溶融プール244bの形状は、入射角が大きくなるにつれて、楕円形に向かって変化してもよい。レーザビーム220は任意の角度の1つ以上のライン形状の溶融プール244aを生成するために、光学素子240によってラインに集中または収束され得る。例えば、レーザビーム220は光学素子240によってラインに集束または折り畳まれて、ライン形状の溶融プール246aを垂直に、またはライン形状の溶融プール244aに対して任意の角度で作り出すことができる。光学素子240は予熱、後加熱、または他の方法で粉末床115の熱制御のために、一次固化経路を取り囲むか、または調整する前に、領域248bを融合または溶融する代わりに、加熱するために、コントローラ102によって指示されるのと同じまたは低減された電力を有する選択ダイオードからレーザビーム220を操作(例えば、レーザ放射)および/または集束させるために使用され得る。光学素子240は、レーザビーム220を操作して、曲線形状の溶融プール249aを生成することができる。実施形態では、コントローラ102が光学素子240を制御して、レーザビーム220をビルド面111上の所望の位置に操作して固化をサポートするように回転させる。光学素子240は粉末床115上の所望の位置にビームを操作して、固化を支援し、したがって、機械的特性(例えば、強度、延性、硬度、耐衝撃性、破壊靭性など)、粗さなどの表面特徴、および製造されるオブジェクトの構造設計を制御することができる。
【0033】
図4Cを参照すると、光学素子250はビルドプラットフォーム112とレーザダイオード200のアレイとの間に、ダイオードの近くか、またはダイオードから離して配置され、各レーザダイオード210またはレーザダイオード210の組み合わせの放射に対処するように構成された複数の光学素子251、252、253、254、256、257、258を含むことができる。複数の光学素子の各々はそれぞれのレーザビーム220または複数のレーザビーム220を操作し、デフォーカスし、または集中させるように構成されたミラー、レンズ、または他の光学デバイスであってもよい。光学素子251、252、253、254、256、257、258は、レーザビーム220をビルド面111上に向けるように構成される。例えば、コントローラ102は光学素子251、252、253、254、256、257、258の各々を選択的に制御して、空間内の物理的位置(例えば、図4Cの座標軸の+/-X、+/-Y、+/-Z方向の移動)またはそれぞれの光学素子251、252、253、254、256、257、258の形状または形態を変更することができる。光学素子251の角度はそれぞれのレーザビームを操作するように変更されてもよく、光学素子252の形状は凸形状または任意の他の形状を有するように変更されてもよく、光学素子253の形状はそれぞれのレーザビームの焦点を変更してもよい。2つの光学素子254、256を使用して、それぞれのレーザビームを操作し、焦点を合わせ、または焦点をずらすことができる。光学素子256の1つは、粉末マテリアルを照射することによる煙やすすなどの汚染物質からレーザビームシステム230の1つ以上の構成要素(例えば、光学素子254)を保護する保護ガラスなどの窓であってもよい。光学素子257は上下に(例えば、図4Cの座標軸の+/-Z方向に)移動されてもよく、光学素子258は横方向に(例えば、図4Cの座標軸の+/-Xおよび/または+/-Y方向に)移動されてもよい。光学素子251、252、253、254、256、257、258の個々の制御は所望の幾何学的形状、微細構造、および物理的特性を生成するために放出されるレーザエネルギの最も効率的な使用を行うように、レーザダイオード210から来る個々のまたは集合的な光エネルギの集中を提供することができる。光学素子251、252、253、254、256、257、258の個々の制御は所望の溶融プール形成および/または加熱特性を生成するように、レーザダイオード210から来る個々のまたは集合的な光エネルギの集中を提供することができる。特に、光学素子251、252、253、254、256、257は同時に、連続的に、および/または代替的な溶融プール形成のために個々に制御されてもよい。光学素子251、252、253、254、256、257、258の個々の制御はビルドにおける熱ストレスを低減し、および/または調整された微細構造を達成するために、所望の熱プロファイルを保証することができる。
【0034】
図5を参照すると、レーザビームシステム230dは第1方向20aに(例えば、図5の座標軸の+/-X方向に)および/または第1方向20aに直交する第2方向20bに(例えば、図5の座標軸の+/-Y方向に)移動可能であり得るレーザダイオード200dのアレイを含み得る。レーザダイオード200dのアレイの代わりに、またはレーザダイオード200dのアレイに加えて、レーザダイオード210dの各々は第1方向21aに(例えば、図5の座標軸の+/-X方向に)および/または第1方向21aに直交する第2方向21bに(例えば、図5の座標軸の+/-Y方向に)移動可能であり得る。実施形態ではビルドプラットフォーム112のビルド面111が静止したままであり得る(例えば、ビルドプラットフォーム112のビルド面111は図5の座標軸の+/-X方向および+/-Y方向に移動しない)一方、レーザダイオード200dおよび/またはレーザダイオード210dのアレイはビルド面111を照射するように移動される。レーザダイオード200dまたは個々のダイオード210dの可動アレイは前述の操作可能な光学デバイス(例えば、光学素子240、光学素子250など)と併せて、またはそれらとは別個に使用され得る。図5の座標軸の+/-X、+/-Y方向のうちの少なくとも1つにおけるレーザダイオード200d、レーザダイオード210d、および/または光学素子(例えば、光学素子240、光学素子250など)のアレイの個々の移動は、レーザダイオード200のアレイのレーザダイオード210のピッチから生じ得る、粉末床115上に存在する任意のギャップのレーザ発振を提供し得る。
【0035】
図6を参照すると、図1のシステム10によって実行される3次元オブジェクトを付加製造するための装置600のフローチャートが示されている。ステップ602において、制御信号はレーザダイオードのアレイ(例えば、レーザダイオード200のアレイ)の各レーザダイオード(例えば、レーザダイオード210)に伝達される。例えば、各レーザダイオードは、それぞれの制御信号を受信することができる。それぞれの制御信号は、各レーザダイオードに固有であってもよい。制御信号はコントローラ(例えば、コントローラ102)から伝達され得る。実施形態では、制御信号が各レーザダイオードをオン及びオフし、及び/又は各レーザダイオードのパワーレベルを増加又は減少させる信号を含むことができる。実施形態では、制御信号が1つまたは複数の光学素子(たとえば、図4Bおよび図4Cの光学素子240、251、252、253、254、256、257、258)を制御するための信号を含み得る。例えば、制御信号は、1つまたは複数の光学素子の角度、形態、および/または位置を変更することができる。実施形態では、制御信号がレーザダイオードのアレイ(例えば、図5のレーザダイオード200dのアレイ)および/または各レーザダイオード(例えば、図5のレーザダイオード210d)の位置を制御するための信号を含むことができる。例えば、図5に示すように、制御信号は、レーザダイオード200dのアレイの位置を第1方向20a及び/又は第2方向20bに移動させることができる。制御信号は、各レーザダイオード210dを第1方向21aおよび/または第2方向21bに移動させることができる。
【0036】
さらに図6を参照すると、ステップ604において、レーザダイオードのアレイの各レーザダイオードのレーザビームは、制御信号に基づいてビルドプラットフォームに向けられる。例えば、レーザビーム(例えば、図2Aのレーザビーム220)は制御信号に基づいて、ビルドプラットフォーム(例えば、ビルドプラットフォーム112)に向けられる。レーザビームは製造されるオブジェクトの設計を達成するために、制御信号に基づいてビルドプラットフォーム上の粉末マテリアルを照射するように向けられてもよい。その結果、制御信号に基づいてレーザ光が制御され、特定の方法で粉末マテリアルに照射される。
【0037】
実施形態ではステップ604において、レーザダイオードのアレイまたは各レーザダイオードは制御信号に基づいて、第1方向および第1方向に直交する第2方向に移動され得る。図5を参照して前述したように、制御信号は、レーザダイオード200dのアレイを第1方向20a及び/又は第2方向20bに移動させることができる。制御信号は、各レーザダイオード210dを第1方向21aおよび/または第2方向21bに移動させることができる。
【0038】
実施形態ではステップ604において、各レーザダイオードのレーザビームは制御信号に基づいて選択的に操作され得る。各レーザダイオードのレーザビームは、各レーザダイオードを直接制御することによって選択的に操作することができる。例えば、各レーザダイオードの位置や、各レーザダイオードのレーザ光の強度等を変更するように、各レーザダイオードを制御してもよい。各レーザダイオードのレーザビームは、1つ以上の光学素子を制御することによって選択的に操作することができる。例えば、各光学素子は、角度が付けられてもよく、または各光学素子の位置もしくは形態が各レーザダイオードのレーザビームを操作するために変更されてもよい。
【0039】
ここで、本明細書に記載される実施形態は、3次元オブジェクトを付加製造するためのシステムおよび方法を対象とすることを理解されたい。システムはレーザダイオードを含むレーザダイオードのアレイを含み、レーザダイオードの各々はビルドプラットフォーム上に配置された粉末マテリアルを溶融ビルド融合するために、レーザビームをビルドプラットフォームに向ける。各レーザダイオードは、各レーザダイオードから生成された特定のパワーのレーザビームを放出するように個別に制御され、その後、任意の光学素子またはデバイスを介して操作される。個々に制御されたレーザビームは、微細構造形成の精密な制御、ひいては得られるマテリアル特性を提供することができる。結果として、本明細書に記載されるレーザダイオードのアレイはオブジェクトを形成するために走査デバイスに光学的に結合された1つまたは2つのレーザを利用する従来のビルドチャンバと比較して、より迅速に、効率的に、かつ正確に、ビルド面上にオブジェクトを形成する能力を有し得る。さらに、個々のレーザビームの選択的制御または操作は結果として生じる微細構造形成に対する適切な熱入力バランスおよび厳密な制御を提供することができ、これは、物理的および機械的特性(例えば、強度、延性、硬度、耐衝撃性、破壊靭性など)、粗さなどの表面特徴、および製造されるオブジェクトの構造設計に対する制御を提供することができる。
【0040】
本明細書に記載される実施形態のさらなる態様は、以下の節の主題によって提供される。
【0041】
3次元オブジェクトを付加製造するシステムであって、ビルドプラットフォームと、レーザダイオードのアレイであって、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードはレーザビームを前記ビルドプラットフォームに向けるように構成されている、レーザダイオードのアレイと、コントローラであって、制御信号が前記コントローラから各レーザダイオードに個別に伝達されるように、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードに通信可能に結合されている、コントローラと、を含むシステム。
【0042】
前記レーザダイオードの前記アレイは、第1方向の複数の行に配置され、前記第1方向に直交する第2方向の複数の列に配置され、各レーザダイオードが、各隣接するレーザダイオードから離間するように配置されている、前述のいずれかのシステム。
【0043】
前記複数の行の隣接する行は、前記第1方向に互い違いに配置されている、前述のいずれかのシステム。
【0044】
前記複数の列の隣接する列は、前記第2方向に互い違いに配置されている、前述のいずれかのシステム。
【0045】
前記レーザダイオードの前記アレイは、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向の複数の層に配置されている、前述のいずれかのシステム。
【0046】
前記コントローラは、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、前述のいずれかのシステム。
【0047】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、前記コントローラは、前記光学素子を利用することによって、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、前述のいずれかのシステム。
【0048】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、前記光学素子は複数の光学素子を含み、複数の前記光学素子の各々は、各々の前記レーザビームを操作するように構成されている、前述のいずれかのシステム。
【0049】
前記レーザダイオードの前記アレイは、第1方向または前記第1方向に直交する第2方向に移動可能である、前述のいずれかのシステム。
【0050】
前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードは、第1方向または前記第1方向に直交する第2方向に移動可能である、前述のいずれかのシステム。
【0051】
前記レーザダイオードの前記アレイは、前記ビルドプラットフォームのビルド面よりも大きい領域に分配されている、前述のいずれかのシステム。
【0052】
前記レーザダイオードは、積層2次元パターンで配置されている、前述のいずれかのシステム。
【0053】
前記レーザダイオードは、3次元パターンで複数の層に配置されている、前述のいずれかのシステム。
【0054】
前記コントローラは、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、前述のいずれかのシステム。
【0055】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、前記コントローラは、前記光学素子を利用することによって、各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、前述のいずれかのシステム。
【0056】
前記ビルドプラットフォームと前記レーザダイオードの前記アレイとの間に配置されている光学素子をさらに含み、前記光学素子が複数の光学素子を含み、複数の前記光学素子の各々が、各々の前記レーザビームを操作するように構成されている、前述のいずれかのシステム。
【0057】
前記レーザダイオードの前記アレイは、2次元パターンで配置されている複数のレーザダイオードの別の層を含む、前述のいずれかのシステム。
【0058】
3次元オブジェクトを付加製造する方法であって、レーザダイオードのアレイの各レーザダイオードに個別に制御信号を伝達し、前記レーザダイオードの前記アレイの各レーザダイオードのレーザビームを、前記制御信号に基づいてビルドプラットフォームに向ける、方法。
【0059】
前記制御信号に基づいて、第1方向、及び、前記第1方向に直交する第2方向に、前記レーザダイオードの前記アレイまたは各レーザダイオードを移動させる、ことをさらに含む、前述のいずれかの方法。
【0060】
前記制御信号に基づいて各レーザダイオードの前記レーザビームを選択的に操作する、ことをさらに含む、前述のいずれかの方法。
【0061】
プロセッサと、コンピュータコードを記憶する非一時的メモリとを含むコントローラであって、コンピュータコードはプロセッサによって実行されると、プロセッサに、レーザダイオードのアレイの各レーザダイオードに個別に制御信号を伝達させ、制御信号はレーザダイオードのアレイのレーザダイオードに、レーザビームをビルドプラットフォームに向けさせる、コントローラ。
【0062】
制御信号はさらに、制御信号に基づいて、レーザダイオードのアレイまたは各レーザダイオードを、第1方向および第1方向に直交する第2方向に移動させる、前述のいずれかのコントローラ。
【0063】
制御信号は、制御信号に基づいて、各レーザダイオードのレーザビームを選択的に操作させる、前述のいずれかのコントローラ。
【0064】
特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に対して様々な修正および変更を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような修正および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入ることを条件として、本明細書に記載される様々な実施形態の修正および変形を包含することが意図される。
【0065】
〔関連出願の相互参照〕
【0066】
本明細書は2023年6月9日に出願され、「レーザダイオードアレイを用いて3次元オブジェクトを付加製造する装置及び方法」と題された米国仮特許出願第63/472,049号の利益を主張し、その全体は、本明細書に参考として援用される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【外国語明細書】