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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178139
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ルアー及びルアー製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20241217BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024094175
(22)【出願日】2024-06-11
(31)【優先権主張番号】P 2023096098
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023124125
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523213686
【氏名又は名称】吉田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
2B307BB02
2B307BB10
(57)【要約】
【課題】 水中で生きている魚のように動き、魚がよく釣れるルアーを提供する。
【解決手段】 魚釣りに使用されるルアー1であって、ルアー1を構成するルアー構成部3と、ルアー構成部3の内部に設けられた重り10とを備え、ルアー構成部3において重り10が設けられる位置は、ルアー1の先端部から後端部までの全長長さLに対して、先端部から0.05L~0.4Lの先端側位置に設けられ、ルアー構成部3は可撓性素材で構成されている、ことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣りに使用されるルアーであって、
前記ルアーを構成するルアー構成部と、
前記ルアー構成部の内部に設けられた重りと、を備え、
前記ルアー構成部において前記重りが設けられる位置は、前記ルアーの先端部から後端部までの全長長さLに対して、前記先端部から0.05L~0.4Lの先端側位置に設けられ、
前記ルアー構成部は可撓性素材で構成された、ことを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記ルアーの頭部の方よりも尾部の方が大きく振れるように構成した、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔が設けられた、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記重りに重り貫通孔を設け、前記本体貫通孔の一部を前記重り貫通孔によって構成した、請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
前記重りは、前記ルアーの前後方向に延びる形で、前記ルアー構成部内に固定されている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項6】
前記ルアーの前後方向に延びるルアー前後方向線に対して、前記本体貫通孔の成す角度が3゜以上40゜以下である、請求項3に記載のルアー。
【請求項7】
前記本体貫通孔の前記下部開口が設けられる位置が、前記ルアーの前記先端部から前記後端部までの全長長さLに対して、半分の位置よりも後方側位置に設けられている、請求項3に記載のルアー。
【請求項8】
前記重りは、前記ルアーの鰓位置と重なった位置に配設される、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項9】
前記ルアーの前記先端部から測定した前記重りの重り後端部の位置までの長さNが、5mm以上70mm以下に設定されている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項10】
前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部に尾部側から連通する前記本体貫通孔の接続部の形状が、前記尾部側の断面積が狭く、前記重り収納部側に行くに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成されている、請求項3に記載のルアー。
【請求項11】
前記接続部の最幅広部Qの長さが4mm以上30mm以下である、請求項10に記載のルアー。
【請求項12】
前記接続部の前後方向の長さPが1mm以上15mm以下である、請求項10に記載のルアー。
【請求項13】
前記ルアーの前記先端部における前記本体貫通孔の最幅広部Sの長さが2mm以上10mm以下である、請求項3に記載のルアー。
【請求項14】
前記重りの重さは、10g以上1000g以下である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項15】
前記ルアーの釣り針を繋ぐ仕掛け線が前記本体貫通孔を通して、前記ルアーの後方位置に配置可能に構成されている、請求項3に記載のルアー。
【請求項16】
前記重りの前後方向と幅方向の最大長さは共に10mm以上50mm以下である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項17】
前記重りの外観形状は円柱体、球体又は楕円球体である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項18】
前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部よりも尾部側にある尾部側孔が尾部に向かうに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成されている、請求項3に記載のルアー。
【請求項19】
前記尾部側孔の前記重り収納部側の形状は、前記重り収納部の尾部側孔側の形状とは異なる形状とされている、請求項18に記載のルアー。
【請求項20】
前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部よりも尾部側にある尾部側孔の断面は円形と異なる異形部とされている、請求項3に記載のルアー。
【請求項21】
前記ルアーの表面の全部又は一部に、パールの粉、雲母、酸化チタン、酸化鉄、シリカの少なくとも一つを含んだ光を反射して輝きを示す光る粒体を有する表面装飾層を形成した、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項22】
前記表面装飾層が前記光る粒体を含んだゴム系層によって形成される、請求項21に記載のルアー。
【請求項23】
前記釣り針が係合用基端部を有し、前記係合用基端部が、前記下部開口から挿入され、前記釣り針に魚がかかるまで挿入状態を維持する形状に構成されている、請求項15に記載のルアー。
【請求項24】
前記釣り針が係合用基端部を有し、前記係合用基端部が、前記下部開口と係合して前記釣り針に魚がかかるまで係合状態を維持する構成とされている、請求項15に記載のルアー。
【請求項25】
請求項1に記載の前記ルアーを製造するルアー製造方法であって、
前記ルアーの全体形状を形成する金型に、重り貫通孔を有する前記重りに前記ルアーの前記先端部から前記ルアーの下部に至る棒形入れ子を通し、かつ前記重りを前記ルアーの前記先端側位置に配設した状態とした後で、前記可撓性素材を注入して、前記可撓性素材によって前記重り及び棒形入れ子を包み込むように前記ルアー構成部を形成するルアー構成部形成工程と、
形成された前記ルアー構成部から前記重りを内部に残して前記棒形入れ子を引き抜くことで、前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔を形成する本体貫通孔形成工程と、
を有する、ことを特徴とするルアー製造方法。
【請求項26】
前記金型内において前記棒形入れ子に対する前記重りの位置を規定する規定部を前記棒形入れ子に設けた、請求項25に記載のルアー製造方法。
【請求項27】
前記規定部が、前記棒形入れ子の抜き方向から見て、先が小さく後が大きいテーパー部に形成されている、請求項26に記載のルアー製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形を魚などに似せたルアー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のルアーが提案されている。
例えば、特許文献1に記載のルアーは、外形を魚に似せて形成した合成樹脂製の中実のルアー本体と、ルアー本体の幅方向中央付近に頭部から尾部にかけて配置されたステンレス板と、ステンレス板に連続して設けられルアー本体の頭部に突出した、釣糸を係止し得る釣糸係止部と、ステンレス板に連続して設けられルアー本体の腹部及び尾部にそれぞれ突出した釣り針とを有している。そして、このステンレス板には光輝性シートが貼り付けられている。このルアーであれば、ルアー本体内の金属板に光輝性シートが貼り付けられているので、魚の興味を引き立てられるとともに耐久性に優れると記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、キャスティングに用いられるルアーであって、ルアー本体と、ルアー本体の内部に設けられた通路状の重り案内部と、重り案内部の外周に設けられた円周型の磁石と、重り案内部内に前後方向に移動可能なように配置された非磁性体重りと、重り案内部内に重りと共に移動可能なように配置されたスチール製ボールとを有したルアーが開示されている。このルアーであれば、比重の大きい非磁性体製の重りを用いることができるので、体積の大きい重りを用いることなく重りを重くすることができ、円滑に重心移動させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-139273号公報
【特許文献2】特開平10-248438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記例示したルアーに関わらず、ルアーに最も要求されることは、単純、簡潔に言えば、釣ろうとする魚がよく釣れるルアーを提供することである。
そのためには、捕食魚から見て生きている魚のように動くルアーを構成することが重要になる。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。
本発明の目的は、水中で生きている魚のように動き、魚がよく釣れるルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るルアーは、
魚釣りに使用されるルアーであって、
前記ルアーを構成するルアー構成部と、
前記ルアー構成部の内部に設けられた重りと、を備え、
前記ルアー構成部において前記重りが設けられる位置は、前記ルアーの先端部から後端部までの全長長さLに対して、前記先端部から0.05L~0.4Lの先端側位置に設けられ、
前記ルアー構成部は可撓性素材で構成された、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2態様は、前記ルアーの頭部の方よりも尾部の方が大きく振れるように構成した、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3態様は、前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔が設けられた、ことを特徴とする。
本発明の第4態様は、前記重りに重り貫通孔を設け、前記本体貫通孔の一部を前記重り貫通孔によって構成した、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5態様は、前記重りは、前記ルアーの前後方向に延びる形で、前記ルアー構成部内に固定されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6態様は、前記ルアーの前後方向に延びるルアー前後方向線に対して、前記本体貫通孔の成す角度が3゜以上40゜以下である、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第7態様は、前記本体貫通孔の前記下部開口が設けられる位置が、前記ルアーの前記先端部から前記後端部までの全長長さLに対して、半分の位置よりも後方側位置に設けられている、ことを特徴とする。
本発明の第8態様は、前記重りは、前記ルアーの鰓位置と重なった位置に配設される、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第9態様は、前記ルアーの前記先端部から測定した前記重りの重り後端部の位置までの長さNが、5mm以上70mm以下に設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第10態様は、前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部に尾部側から連通する前記本体貫通孔の接続部の形状が、前記尾部側の断面積が狭く、前記重り収納部側に行くに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成されている、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第11態様は、前記接続部の最幅広部Qの長さが4mm以上30mm以下である、ことを特徴とする。
本発明の第12態様は、前記接続部の前後方向の長さPが1mm以上15mm以下である、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第13態様は、前記ルアーの前記先端部における前記本体貫通孔の最幅広部Sの長さが2mm以上10mm以下である、ことを特徴とする。
本発明の第14態様は、前記重りの重さは、10g以上1000g以下である、ことを特徴とする。
本発明の第15態様は、前記ルアーの釣り針を繋ぐ仕掛け線が前記本体貫通孔を通して、前記ルアーの後方位置に配置可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第16態様は、前記重りの前後方向と幅方向の最大長さは共に10mm以上50mm以下である、ことを特徴とする。
本発明の第17態様は、前記重りの外観形状は円柱体、球体又は楕円球体である、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第18態様は、前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部よりも尾部側にある尾部側孔が尾部に向かうに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第19態様は、前記尾部側孔の前記重り収納部側の形状は、前記重り収納部の尾部側孔側の形状とは異なる形状とされている、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第20態様は、前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部よりも尾部側にある尾部側孔の断面は円形と異なる異形部とされている、ことを特徴とする。
本発明の第21態様は、前記ルアーの表面の全部又は一部に、パールの粉、雲母、酸化チタン、酸化鉄、シリカの少なくとも一つを含んだ光を反射して輝きを示す光る粒体を有する表面装飾層を形成した、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第22態様は、前記表面装飾層が前記光る粒体を含んだゴム系層によって形成される、ことを特徴とする。
本発明の第23態様は、前記釣り針が係合用基端部を有し、前記係合用基端部が、前記下部開口から挿入され、前記釣り針に魚がかかるまで挿入状態を維持する形状に構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第24態様は、前記釣り針が係合用基端部を有し、前記係合用基端部が、前記下部開口と係合して前記釣り針に魚がかかるまで係合状態を維持する構成とされている、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の第25態様に係るルアーの製造方法は、
前記第1態様に記載の前記ルアーを製造するルアー製造方法であって、
前記ルアーの全体形状を形成する金型に、重り貫通孔を有する前記重りに前記ルアーの前記先端部から前記ルアーの下部に至る棒形入れ子を通し、かつ前記重りを前記ルアーの前記先端側位置に配設した状態とした後で、前記可撓性素材を注入して、前記可撓性素材によって前記重り及び棒形入れ子を包み込むように前記ルアー構成部を形成するルアー構成部形成工程と、
形成された前記ルアー構成部から前記重りを内部に残して前記棒形入れ子を引き抜くことで、前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔を形成する本体貫通孔形成工程と、を有する、ことを特徴とする。
本発明の第26態様は、前記金型内において前記棒形入れ子に対する前記重りの位置を規定する規定部を前記棒形入れ子に設けた、ことを特徴とする。
本発明の第27態様は、前記規定部が、前記棒形入れ子の抜き方向から見て、先が小さく後が大きいテーパー部に形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明であれば、水中で生きている魚のように動き、魚がよく釣れるルアーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は実施形態に係るルアーの正面図、(b)はその平面図である。
図2図1(b)のルアーのII-II線縦断面図である。
図3図1(a)のルアーのIII-III線縦断面図である。
図4】実施形態に係るルアーの引張り線と、釣り針を有する仕掛け線と、を取り付けた状態の縦断面図である。
図5】重りの構成の一例を説明するための図であり、(a)は円柱形の重りを示す斜視図、(b)は略繭形又は略楕円球形の重りを示す斜視図である。
図6】(a)は実施形態に係るルアーを上方から見た模式図、(b)はルアーの水中での動きを説明するための図である。
図7】(a)は棒形入れ子を抜き出して描いた正面図、(b)は射出成形金型を上方から見た模式的な平面図である。
図8】実施形態に係るルアーの効果の一例を示す図であり、釣り針に魚がかかった様子を示す図である。
図9】本実施形態に係るルアーの水中での動きの一例を示す説明図である。
図10】接続部が大きい構成のルアーの縦断面図である。
図11】(a)(b)はそれぞれ棒形入れ子の一例を示す図であり、棒形入れ子の形状から本体貫通孔、重り収納部の構成を説明するための図である。
図12】本体貫通孔の尾部側孔が、尾部側が広いテーパー形に構成されている一例を示す縦断面図である。
図13】(a)(c)はそれぞれ棒形入れ子の基台部に重りを乗せた状態を示す斜視図、(b)は基台部からの楕円錐の広がりを示す模式図である。
図14】(a)は係合用基端部を有する釣り針の側面図、(b)はその釣り針の斜視図である。
図15】(a)はルアーに釣り針が挿入されている状態を示す模式図、(b)は魚が食いついて釣り針がルアーから離れた状態を示す模式図である。
図16】光る粒体を表面にコーテイングしたルアーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る一実施形態であるルアーについて詳細に説明する。
本明細書におけるルアーの説明において、ルアーの前後方向とは、ルアーの長手方向に延びる方向である。ルアーの横方向(幅方向,左右方向)とは、前後方向と平面視で直交する方向である。また、ルアーの上下方向(縦方向)とは、例えば図1(a)において、ルアーの背上面から腹下部に向かう方向である。
【0024】
[ルアー1の構成]
図1(a)は実施形態に係るルアーの正面図、図1(b)はその平面図である。
図1に示すように、本実施形態のルアーは、実物の生きた魚のように似せて作られている。ルアー1は合成樹脂などの可撓性素材で構成されたルアー構成部3を有している。ルアー構成部3によってルアー本体部2が構成される。ルアー1は、頭部2a,胴部2b,尾部2cを有しており、後述する重り収納部8と重り貫通孔11を除いて、ルアー構成部3を構成する素材によってルアー1の内部が埋まった構成となっている。
【0025】
即ち、従来のルアーではルアーの内部は中空であるものが多いが、本実施形態のルアー1は実際の魚のように中身が詰まった構成となっている。ルアー構成部3は、一般的には後述するような射出成型法によって製造される。ルアー構成部3を可撓性素材で製造することで、必要に応じて尾部2cの方を頭部2aの方に比べて左右方向に大きく振れるように構成することもできる。
可撓性素材として使用される材料としては、ウレタン系樹脂、シリコン樹脂、ゴム系樹脂などの柔らかい素材が採用できる。可撓性素材の比重としては、1.1以上~1.4以下の範囲が好ましい。
【0026】
本実施形態のルアー1にはルアー構成部3の表面から隆起した膨出部によって目14、胸びれ17が形成されている。ルアー1の先端側には鰓蓋を示す鰓蓋線部13が設けられている。ルアー1の種類にもよるが、鯖、アジ、ツバスなどのサバ科、アジ科等のような魚形状をルアー1として採用する場合には、重り10(図2参照)は、鰓位置又は目位置と重なった位置に設けられることが多い。
【0027】
また、第1背びれ16a、第2背びれ16bや尻びれ19が外側に突出されるように設けられている。なお、図1に示すルアー1では腹ひれを設けていないが、腹ひれに特徴のある魚に似せてルアーを製造する場合は、必要に応じて設けることもできる。このように、本実施形態に係るルアーは、自然の生餌に近い形状と可撓性を有するルアーを構成することを一特徴としている。
【0028】
図2図1(b)におけるルアーのII-II線縦断面図、図3図1(a)におけるルアーのIII-III線縦断面図であり、共にルアーの内部構造を説明するための図である。
図4は実施形態に係るルアーに、リーダーとも呼ばれる引張り線と、釣り針を有する仕掛け線と、を取り付けた状態の縦断面図である。
【0029】
図2図4に示すように、先端部開口4はルアー1の先端部に設けられ、下部開口5はルアー1の胴部2b又は尾部2cの下部位置に設けられている。下部開口5は現実の魚の肛門位置又は肛門近くに設けることもできる。本体貫通孔6は先端部開口4から下部開口5まで貫通する細長い孔であり、仕掛け線31が通ることができる程度の幅又は内径に設定される。本体貫通孔6の縦断面形状は円形だけでなく、四角形などの各種の形状を採用することも可能である。
ルアー1の頭部2aには円柱形の重り収納部8が形成され、その重り収納部8内に重り10が収納されている。図4において、引張り線30と仕掛け線31の接続部にはスナップのような捻り抑制部36を設けることもできる。
【0030】
図5は重りの構成例を説明するための図であり、図5(a)は円柱形重りを示す斜視図、図5(b)は略繭形又は楕円球体形の重りを示す斜視図である。
重り10は長手方向に延びる構成であり、その重り10の短手方向の中心位置に長手方向に延びる重り貫通孔11が設けられた構成になっている。例えば、円柱形重り10cは、円柱の中心軸の延びる方向に重り貫通孔11が形成されている。図1図7に示すルアー1では、重り10として図5(a)に示す円柱形重り10cが採用された構成が示してある。略繭形重り10mも、略繭形又は楕円球体の長手方向に延びる重り貫通孔11を有している。
重り10が重り収納部8内に収納された状態では、重り10はルアー1の略前後方向に延びる形状に配置されることになる。
【0031】
重り収納部8の配設位置はルアー1の先端側に設けられるので、重り収納部8に収容された重り10の配設位置もルアー1の先端側に設けられることになる。重り収納部8はルアー1の頭部2aに設けられた例が示している。また、重り収納部8内に重り10は収容されることになるので、重り10はルアー1内に固定されることになる。
重り10はルアー1の先端側位置に設けられる。一例としては、ルアー1の先端部から後端部までの全長長さLに対して、前記先端部から重り後部までの長さMは、0.05L~0.4Lの位置、さらに好ましくは0.1L~0.3Lの位置に設けることもできる。
【0032】
図2に示すように、重り10が重り収納部8内に収納された状態では本体貫通孔6と重り貫通孔11とが接続されて一本の直線形又はその他の形状の貫通孔が形成される。この場合、本体貫通孔6の一部が重り貫通孔11によって構成されることになる。
本実施形態に係る本体貫通孔6では、ルアー1の前後方向に延びるルアー前後方向線12に対して、下方に傾けて設けてある。具体的には、本体貫通孔6のルアー前後方向線12に対してなす角度θが3゜以上40゜以下での範囲で下方に傾けて設けてある。
【0033】
下部開口5はルアー1が真似る魚の肛門近くに設けられることが多いので、下部開口5が設けられる位置は、ルアー1の先端部から後端部までの全長長さLに対して、半分の位置よりも後方側位置に設けられることが多い。
図4に示すように、このようにルアー1のルアー前後方向線12に対して下方に傾けた本体貫通孔6を設けることで、本体貫通孔6に仕掛け線31を通した状態において、一点鎖線で示すように、魚を引っ掛けて、釣りやすいルアー下部尾部寄りの所定位置に釣り針32を位置させることができる。
但し、本発明の変形例において、角度θが0゜、又は上記範囲以外の角度θである場合を除外するものではない。
【0034】
図6(a)は実施形態に係るルアーを上方から見た模式図、図6(b)はルアーの水中での動きを説明するための図である。
図6に示すように、ルアーの先端側に重り10があって重量があり、引張り線30の引っ張り方向の変動等に対して比較的、安定した頭部2aから弾性変形する胴部2b、尾部2cが延びていることになる。この構成であれば、図6(b)に示すように、水中で縦長のS字形をつなげたような動きを示すので、捕食魚からすると生きている魚のように見える利点がある。なお、可撓性と重量バランスを調整することで、頭部2aはあまり動かず、主に尾部2cから胴部2bにかけて大きく左右に動くように設定することもできる。
本体貫通孔6をルアー構成部3に貫通孔を設けることで形成しているので、例えば、金属製パイプを埋め込んだ場合のように、胴部2b及び尾部2cの動きを阻害することなく、主に尾部2cが、自然に魚が泳ぐような様子で左右に揺れるように動くようにできる。したがって、捕食者である、ルアー1よりも大型の魚の食い付きがよくなる。
【0035】
このようにルアー1の先端部開口4から下部開口5に至る本体貫通孔6が形成され、その本体貫通孔6内に釣り針32を取り付けるための仕掛け線31が通されることは、本発明の一特徴である。
ルアー1の尾部2cの自然な左右の動きを実現できる可撓性のある本体貫通孔6が形成されておれば、本体貫通孔6の作成方法は、本発明に係るルアーでは限定されない。
なお、仕掛け線31に釣り針32で釣れた魚の力が係ったときに、ルアー1の前側では重り10の重り貫通孔11によって仕掛け線31が支持されている構成になっているので、仕掛け線31のルアー1に対する保持安定性も良くなる。
【0036】
[ルアー1の製造方法]
以下、本発明に係るルアーの製造方法の一例を説明する。
図7(a)は棒形入れ子と重りの関係を説明するための平面図、図7(b)は射出成形の金型に棒形入れ子と重りを配置した状態を示す平面図である。
図7(a)に示すように、この棒形入れ子20は、重り10の重り貫通孔11を挿通することができる太さを有した棒部であり、重り10を支持すべき位置に位置を規定する規定部23を有している。
【0037】
本実施形態では、規定部23は棒形入れ子20の抜き方向27から見て、棒形入れ子20をルアー1の尾部の方向に引き抜きやすいように、尾部側の先端が小さく後端が大きいテーパー部24に形成してある。また、棒形入れ子20の抜き方向に引き基部26が設けられており、引き基部26を持って棒形入れ子20を引っ張ることができるように構成してある。
テーパー部24の先端側から重り10を通して、図7(a)の装着時の矢印33に示すようにテーパー部24に当接する状態で重り10の位置を規定する。
【0038】
図7(b)は、図1(b)に示すようなルアーを左右にほぼ2等分にして、上下方向に縦割りした2つの上下の射出成型用の金型21のうち、下側の金型21を模式的に示した図である。図7(b)において、引き基部26の側の所定対応部にルアーから見た前後方向及び上下方向の位置決めを行う入れ子位置決め部25が設けられている。図7(b)に示す入れ子位置決め部25の構成は一例であり、各種の構成が採用できる。必要であれば、入れ子位置決め部25は棒形入れ子20の先端側にも設けてもよい。
【0039】
図7(b)に示すように、ルアー1の全体形状が魚形の金型21を用意し、その金型21内のルアーの先端部寄り位置に、重り10を装着した棒形入れ子20を配置する。棒形入れ子20は、金型21のルアーの先端部からルアーの下部に至って金型21の魚形凹部22を先端側と後端側の双方において、魚形凹部22から突き出るように配置される。
そして、棒形入れ子20を通した状態で、ウレタン樹脂のような可撓性素材を注入することで、可撓性素材によって重り10及び棒形入れ子20を包み込むように魚形のルアー構成部3を形成するようにしている。このようにして、重り10及び棒形入れ子20と可撓性樹脂が一体化した成型物としてのルアー構成部3が形成される。上記ルアー構成部3が形成される工程が、ルアー構成部形成工程の一例となる。
【0040】
次いで、形成された一体物としてのルアー構成部3から重り10を内部に残して棒形入れ子20を引き基部26側から引き抜くことで、ルアーの先端部開口4から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔6を形成することができる。規定部23がテーパー面を有するテーパー部24で構成されるのは、抜き方向27に沿って引き抜くときに、引き抜きやすくするためである。このように本体貫通孔6を形成する工程が、本体貫通孔形成工程の一例となる。
【0041】
なお、図7に示す規定部23はテーパー部24として図面では分かりやすいように大きく描いているが実際の構成は小さくすることも可能である。また、規定部23がテーパー部24によって構成される場合だけでなく、重り10を位置決めすることができるとともに、可撓性素材の弾性変形によって引き出しやすい形状、例えば先細り形状等であっても、適宜、採用できる。
形成された本体貫通孔6を有するルアー構成部3の表面には、現実の魚表面に近いカラー彩色又は現実の魚の模様などを強調したカラー彩色を付けたり、転写シートを張り付ける等の方法によってルアー表面が形成される。
【0042】
[本実施形態に係るルアーの一例]
図2に示すように、マグロ・キハダ・カジキ用ルアーとして、円柱形重り10cをルアー1の内部に有し、前後方向の長さ200mm、胴部の横幅40mm、総重量210gのサバ、カツオ等を模したルアー1を上記したルアー製造方法によって製造した。
なお、ルアー1の重り10を含めた総重量G1に対して、重り10の重量G2の比率(G2/G1)は、0.1以上0.5以下とすることもできる。
【0043】
円柱形重り10cは鉛、ステンレス等の金属で構成され、高さ25mm、円の直径20mm、重り貫通孔11の直径4.5mmに構成した。円柱形重り10c単体の重量は56gである。本体貫通孔6の直径は約4.5mmである。図2のように構成されたルアー1の引張り線30をルアー1の先端部に位置させ、先端部開口4から仕掛け線31を挿入し、本体貫通孔6の中を通して、下部開口5から仕掛け線31を出すようにし、仕掛け線31の先端に釣り針32を取り付けて、ルアー1の仕掛けが完了する。
【0044】
また、ルアーに重り(ビン)をつけてマグロ、キハダ、カジキがいる水深でルアーを泳がして釣った場合、図8に示すように釣った魚の下顎40に釣り針32が掛かっている場合が多く見られる。これは本実施形態に係るルアーが海中でひっくり返ったり、引張り線30を中心としてクルクル回転したりすることがなく、自然な生き餌のように見えていることを示している。また、本実施形態のルアーであれば、先端側、例えば頭部2aの方に重り10があり、重り貫通孔11を通るように仕掛け線31が設けられ、その仕掛け線31に釣り針32が取り付けてあるので、ルアーを食べようとした魚を確実に釣る可能性を高めることができる。
【0045】
図9は、本実施形態に係るルアーの水中での移動経路の一例を示す図である。
図9に示すように、この実施形態に係るルアーは、水中で引張り線30(図4参照)によって引かれると、ルアーの進行方向に対して左右に蛇行する移動経路42を取ることになる。移動経路42は、進行方向に対して略円弧又は双曲線などのような曲線が左右に互い違いに接続されたような曲線になる。このように左右に蛇行してルアーが動くことで、左右に蛇行して泳いでいる魚のように見え、捕食魚の食い付きが非常に良くなることを確認している。
このような左右に蛇行する移動経路42とルアーの動きは、重り10(図2参照)の位置と重量のバランスによって適宜、食い付きがよくなるように調整することができる。
【0046】
[変形例]
以下、本発明の変形例について説明する。
前記したルアー製造法において使用する棒形入れ子20は単一の棒材で構成し、ルアーの後方から引き抜くように構成したが、ルアーの前方から引き抜く構成でもよい。また、粘性の高い可撓性素材を使用した場合などに、引き抜きやすいように、ルアーの後方と前方の2つの棒形入れ子に嵌合構造などを採用することで、接続状態と分離状態を取り得るように構成し、ルアーの後方と前方の2つの方向から引き抜くように構成することも可能である。
【0047】
前記ルアーではルアー構成部3は、鯖、アジ、ツバス(ワカナギ)などの魚に似せて、構成した例を示したが、ルアーが釣ろうとする魚が捕食する被捕食魚に似せてルアー構成部3の形状を構成することができることは明らかである。この場合、ルアーに似せる魚などの泳ぎ方に応じて、頭部の方よりも尾部の方が振れる方向を上下方向に設定することを除外するものではない。但し、左右方向に設定した方が、ルアーとしての動きが自然で格段に良く釣れるので左右方向が好ましいと言える。
【0048】
[その他の実施形態]
以下、本発明の特に好ましい範囲、変形例などの、その他の実施形態について説明する。
図2に示すように、ルアー1の先端部から測定した重り10の重り後端部10bの位置までの長さNが、5mm以上70mm以下に設定することができる。このような長さに設定することで、ルアーにおいて、図6及び図9に示すような生きた魚のようなS字運動を行わせることができる。
図7(b)及び図10に示すように、ルアー1の内部に重り10を収容する重り収納部8を有しており、重り収納部8に尾部2c側から連通する本体貫通孔6の接続部44の形状が、尾部2c側の断面積が狭く、重り収納部8側に行くに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成することもできる。
【0049】
図11(a)(b)はそれぞれ棒形入れ子20の一例を示す図である。図11に従って接続部44の一例の構成について説明する。ルアー側の接続部44を形成する規定部23は、棒形入れ子20をルアー1の尾部の方向に引き抜きやすいように、尾部側の先端が小さく後端が大きいテーパー部24に形成してある。接続部44の最幅広部Qの長さは4mm以上30mm以下であることが好ましい。接続部44の最狭部は棒形入れ子20の径と同じになる。なお、本明細書において「径」とは断面が円形のみならず、三角形、四角形、楕円形などの幅方向の長さを言う。接続部44の前後方向の長さPは1mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0050】
また、本体貫通孔6のルアー1の先端部の最幅広部Sの長さが2mm以上10mm以下であることが好ましい。この好ましい範囲は、本体貫通孔6のルアー1の先端部の範囲であって、本体貫通孔6の径はその位置によって変化することもできる。
但し、通常、本体貫通孔6の直径は2mm以上10mm以下に設定されることが多い。
なお、図10及び図12に示すように、本体貫通孔6は、重り収納部8よりも先端部側にある頭部側孔6aと、重り収納部8よりも尾部側にある尾部側孔6bを含んで構成されている。
また、重り10の重さは10g以上1000g以下であることが好ましく、その範囲の中でさらに好ましい範囲は、40g以上150g以下である。
【0051】
本ルアー1の通常の使用形態では、図4などに示されるように、ルアー1の釣り針32を繋ぐ仕掛け線31が本体貫通孔6を通して、ルアー1の後方位置に配置可能に構成されている。
重り10の前後方向と幅方向の最大長さは共に10mm以上50mm以下であることが好ましい。「前後方向と幅方向の最大長さ」は、図5(a)に示す前後方向の長さU,幅方向の長さVや、図11(b)に示す球体や、図5(b)に示す楕円球体における前後方向の長さW,幅方向の長さXの最大長さという意味である。
重り10の外観形状は円柱体、球体又は楕円球体であることが好ましい。「球体又は楕円球体」という文言にはそれぞれ観察者から見て「略円柱体、略球体又は略楕円球体」である場合も含む。
【0052】
図12に示すように、重り収納部8よりも尾部2c側にある尾部側孔6bが、尾部2cに向かうに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成することもできる。このような尾部側孔6bを形成するには、図13(a)に示すような楕円錐48(又は円錐)や、図13(c)に示すような四角錐のような多角錐49の棒形入れ子20の構成を採用できる。なお、各錐体において、重り10を受け止める基台部50は各錐体の頭部側の面で構成されている。樹脂を金型に充填した後の構成では、基台部50の形状は重り収容部8(図2参照)の形状とは異なっている。例えば図13に示す構成では、一方が球面であり、他方は基台部50を構成する楕円平面又は四角平面である。図13では重り10は球体のものが示されているが、円柱体、楕円球体であっても基台部50の形状は重り収容部8の形状とは異なっている。
【0053】
製造されたルアー1側で説明すると、尾部側孔6bの重り収納部8側の形状は、重り収納部8の尾部側孔6b側の形状とは異なる形状とされていることになる。
図13において棒形入れ子20で説明すれば、重り収納部8よりも尾部2c側にある尾部側孔6bの断面は円形と異なる異形部47とされていることが好ましい。これは、ルアーに釣り針を取り付けた時に、仕掛け線の軸線回りに回転しない下部開口5の形状を棒形入れ子20の形状で一度に形成することが、後加工するよりも製造コストの低減のために好ましいためである。
【0054】
なお、図13において、楕円錐48、四角錐49(多角錐49)の基台部50の横の長さE1は、2mm以上15mm以下とすることができ、縦の長さD1は4mm以上15mm以下とすることができる。また、尾部2c側の下部開口5の位置での横の長さE2は1mm以上15mm以下とすることができ、縦の長さD2は3mm以上15mm以下とすることができる。特に尾部2c側の下部開口5の位置の各長さは重要となる。
【0055】
図14及び図15は、釣り針32が、楕円錐48が作る末広がりの尾部側孔6bに嵌合する係合用基端部45を有していることを示した図である。
図14図15に示すように、釣り針32が係合用基端部45を有し、その係合用基端部45が、下部開口5から挿入され、釣り針32にマグロなどの魚がかかるまで挿入状態を維持する形状に構成されていることが好ましい。このような構成であれば、魚がかかるまでは、ルアーに釣り針32の引っ掛かり部分が露出した状態(図15(a)の状態)になって、ルアーを飲み込もうとする魚を確実に捕らえることができるとともに、魚がかかった後は、ルアーから離れた状態(図15(b)の状態)にして、釣り針32から魚が外れることを大幅に抑制できる。
【0056】
図14及び図15に示す構成では、リング形の係合用基端部45が形成された例が示してあり、リング形の係合用基端部45が可撓性を有する尾部側孔6bの内周壁に食い込むように押し込むことによって挿入状態を維持した状態にする。挿入する部分の長さ及びリング形の張り出し程度(直径等)は挿入状態を良好に維持できる程度に設定する。
図14(a)に示すように、釣り針32は、係合用基端部45がある基軸側と先端側の成す角度が外方に向いた角度φに設定することもできる。
【0057】
また、本発明は、尾部側孔6bに係合用基端部45を挿入する形態以外に釣り針32をルアーに魚がかかるまでの間、一時的に保持する他の構成も採用することができる。例えば、釣り針32が係合用基端部45を有し、係合用基端部45が、下部開口5(下部開口5の周辺も含む)と係合して釣り針32に魚がかかるまで係合状態を維持する構成を採用することもできる。係合状態を維持する構成としては、一定の力がかかった場合にルアーから外れる係止構造、又は嵌合構造など各種の構成が考えられる。
このような構成でも釣れた魚が暴れても、魚の口などに引っかかった釣り針32が外れることを大幅に低減することができる。前記した係止構造、嵌合構造などは、適宜、係合用基端部45の形状と下部開口5の形状の色々な組み合わせによっても実現可能である。
また、図10に示すように係合用基端部45には、仕掛け線31の軸線方向に延びる案内部46を設けてもよい。
なお、本発明は、釣り針32に繋がる仕掛け線31が本体貫通孔6を通らず、ルアーの外面の所定箇所に着脱自在に係止される構成を除外するものではない。
【0058】
図16はルアー1の表面の全部又は一部に、光を反射して輝きを示す「光る粒体51」を有する表面装飾層52を形成したルアー1を示す図である。「光る粒体51」は、パールの粉、雲母、酸化チタン、酸化鉄、シリカの少なくとも一つを含んだ粒体で構成される。表面装飾層52は光る粒体51を含んだゴム系層によって形成されることが好ましい。表面装飾層52の製造方法については、まず、ゴム系塗料などの塗料を下塗り層としてルアー1の全表面に吹き付け、次いで光る粒体51を下塗り層に吹き付けて固定し、その後、透明なゴム系などの塗料を吹き付けて表面を保護するようにして製造する方法がある。また、光る粒体51を含んだゴム系塗料をルアー1の表面に公知の方法及び手段で印刷することでも製造できる。
【0059】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の構成には限定されない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきであり、その範囲内であれば、多様な変形や構成の追加、又は改良が行えることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1:ルアー
2:ルアー本体部(ルアー構成部の一例)
2a:ルアーの頭部
2b:ルアーの胴部
2c: ルアーの尾部
3:ルアー構成部
4:先端部開口
5:下部開口
6:本体貫通孔
6a:頭部側孔
6b:尾部側孔
8:重り収納部
10:重り
10b:重り後端部
11:重り貫通孔
12:ルアー前後方向線
13:鰓蓋線部(鰓位置の一例)
20:棒形入れ子
21:金型
23:規定部
24:テーパー部
27:抜き方向
31:仕掛け線
32:釣り針
44:接続部
47:異形部
51:光る粒体
52:表面装飾層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣りに使用されるルアーであって、
前記ルアーを構成するルアー構成部と、
前記ルアー構成部の内部に設けられた重りと、を備え、
前記ルアー構成部において前記重りが設けられる位置は、前記ルアーの先端部から後端部までの全長長さLに対して、前記先端部から0.05L~0.4Lの先端側位置に設けられ、
前記ルアー構成部は可撓性素材で構成されており
前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔が設けられ
前記ルアーの釣り針を繋ぐ仕掛け線が前記本体貫通孔を通して、前記ルアーの後方位置に配置可能に構成されており、
前記釣り針が係合用基端部を有し、前記係合用基端部が、前記下部開口から挿入され、前記釣り針に魚がかかるまで挿入状態を維持する形状に構成されている、ことを特徴とするルアー。
【請求項2】
魚釣りに使用されるルアーであって、
前記ルアーを構成するルアー構成部と、
前記ルアー構成部の内部に設けられた重りと、を備え、
前記ルアー構成部において前記重りが設けられる位置は、前記ルアーの先端部から後端部までの全長長さLに対して、前記先端部から0.05L~0.4Lの先端側位置に設けられ、
前記ルアー構成部は可撓性素材で構成されており
前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔が設けられ
前記ルアーの釣り針を繋ぐ仕掛け線が前記本体貫通孔を通して、前記ルアーの後方位置に配置可能に構成されており、
前記釣り針が係合用基端部を有し、前記係合用基端部が、前記下部開口と係合して前記釣り針に魚がかかるまで係合状態を維持する構成とされている、ことを特徴とするルアー。
【請求項3】
前記ルアーの頭部の方よりも尾部の方が大きく振れるように構成した、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記重りに重り貫通孔を設け、前記本体貫通孔の一部を前記重り貫通孔によって構成した、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項5】
前記重りは、前記ルアーの前後方向に延びる形で、前記ルアー構成部内に固定されている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項6】
前記ルアーの前後方向に延びるルアー前後方向線に対して、前記本体貫通孔の成す角度が3゜以上40゜以下である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項7】
前記本体貫通孔の前記下部開口が設けられる位置が、前記ルアーの前記先端部から前記後端部までの全長長さLに対して、半分の位置よりも後方側位置に設けられている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項8】
前記重りは、前記ルアーの鰓位置と重なった位置に配設される、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項9】
前記ルアーの前記先端部から測定した前記重りの重り後端部の位置までの長さNが、5mm以上70mm以下に設定されている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項10】
前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部に尾部側から連通する前記本体貫通孔の接続部の形状が、前記尾部側の断面積が狭く、前記重り収納部側に行くに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成されている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項11】
前記接続部の最幅広部Qの長さが4mm以上30mm以下である、請求項10に記載のルアー。
【請求項12】
前記接続部の前後方向の長さPが1mm以上15mm以下である、請求項10に記載のルアー。
【請求項13】
前記ルアーの前記先端部における前記本体貫通孔の最幅広部Sの長さが2mm以上10mm以下である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項14】
前記重りの重さは、10g以上1000g以下である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項15】
前記重りの前後方向と幅方向の最大長さは共に10mm以上50mm以下である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項16】
前記重りの外観形状は円柱体、球体又は楕円球体である、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項17】
前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部よりも尾部側にある尾部側孔が尾部に向かうに従って徐々に断面積が広くなる形状に構成されている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項18】
前記尾部側孔の前記重り収納部側の形状は、前記重り収納部の尾部側孔側の形状とは異なる形状とされている、請求項17に記載のルアー。
【請求項19】
前記重りを収容する重り収納部を有しており、前記重り収納部よりも尾部側にある尾部側孔の断面は円形と異なる異形部とされている、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項20】
前記ルアーの表面の全部又は一部に、パールの粉、雲母、酸化チタン、酸化鉄、シリカの少なくとも一つを含んだ光を反射して輝きを示す光る粒体を有する表面装飾層を形成した、請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項21】
前記表面装飾層が前記光る粒体を含んだゴム系層によって形成される、請求項20に記載のルアー。
【請求項22】
ルアーを構成するルアー構成部と、
前記ルアー構成部の内部に設けられた重りと、を備え、
前記ルアー構成部において前記重りが設けられる位置は、前記ルアーの先端部から後端部までの全長長さLに対して、前記先端部から0.05L~0.4Lの先端側位置に設けられ、
前記ルアー構成部は可撓性素材で構成された、魚釣りに使用されるルアーを製造するルアー製造方法であって、
前記ルアーの全体形状を形成する金型に、重り貫通孔を有する前記重りに前記ルアーの前記先端部から前記ルアーの下部に至る棒形入れ子を通し、かつ前記重りを前記ルアーの前記先端側位置に配設した状態とした後で、前記可撓性素材を注入して、前記可撓性素材によって前記重り及び棒形入れ子を包み込むように前記ルアー構成部を形成するルアー構成部形成工程と、
形成された前記ルアー構成部から前記重りを内部に残して前記棒形入れ子を引き抜くことで、前記ルアーの先端部開口から前記ルアーの下部開口に至る本体貫通孔を形成する本体貫通孔形成工程と、
を有する、ことを特徴とするルアー製造方法。
【請求項23】
前記ルアーの頭部の方よりも尾部の方が大きく振れるように構成した、請求項22に記載のルアー製造方法。
【請求項24】
前記金型内において前記棒形入れ子に対する前記重りの位置を規定する規定部を前記棒形入れ子に設けた、請求項22又は請求項23に記載のルアー製造方法。
【請求項25】
前記規定部が、前記棒形入れ子の抜き方向から見て、先が小さく後が大きいテーパー部に形成されている、請求項24に記載のルアー製造方法。