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特開2024-178157フォトニック結晶ファイバアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178157
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】フォトニック結晶ファイバアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20241217BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20241217BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/02 451
G02B6/32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024135520
(22)【出願日】2024-08-15
(62)【分割の表示】P 2022030754の分割
【原出願日】2016-12-22
(31)【優先権主張番号】PA201570876
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】506179491
【氏名又は名称】エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アルケスクヨーア、トマス タンゴーア
(72)【発明者】
【氏名】リンスー、イェンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】マク、マーティン ディベンダール
(72)【発明者】
【氏名】ミキエレット、マッティア
(72)【発明者】
【氏名】パピオア、シゼル ルブナー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】PCFおよびフェルールのz方向の良好なアライメントを提供する。
【解決手段】本発明は、PCFと少なくとも1つのフェルール構造体とを備えるフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリを備える。PCFは、第1ファイバ端部が設けられた第1ファイバ端部区間を備える。フェルール構造体は中心軸を有し、第1ファイバ端部区間に取り付けられる。フェルール構造体は、内側フェルール構成と、第1ファイバ端部区間を取り囲む外側フェルール構成とを備える。内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間とを備え、内側フェルール区間の各々が内径を有し、少なくともその長さではPCFを完全に取り囲む。内側フェルール後区間はアンカー長区間で第1ファイバ端部区間に繋止されて、内側フェルール前区間は第1ファイバ端部の近位に第1ファイバ端部区間を支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック結晶ファイバ(PCF)と少なくとも1つのフェルール構造体とを備えるPCFアセンブリであって、前記PCFは中心軸を有し、コア領域およびクラッド領域と、第1ファイバ端部が設けられた第1ファイバ端部区間とを備え、前記フェルール構造体は中心軸を有し、前記第1ファイバ端部区間に取り付けられ、前記フェルール構造体は内側フェルール構成と前記第1ファイバ端部区間を取り囲む外側フェルール構成とを備え、前記内側フェルール構成は前記第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間と、前記第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間とを備え、前記内側フェルール区間の各々が内径を有し、少なくともその長さで前記PCFを完全に取り囲み、前記内側フェルール後区間はアンカー長区間で前記第1ファイバ端部区間に繋止されて、前記内側フェルール前区間は前記第1ファイバ端部区間を前記第1ファイバ端部の近位に支持し、前記第1ファイバ端部区間の前記PCFの中心軸と前記フェルール構造体の中心軸とが、好ましくは実質的に平行であり、より好ましくは、前記第1ファイバ端部区間の前記PCFの中心軸と前記フェルール構造体の中心軸とが一致している、PCFアセンブリ。
【請求項2】
前記アセンブリは、前記内側フェルール前区間と前記第1ファイバ端部区間との間に配置されるアライメントスリーブをさらに備え、前記内側フェルール前区間が前記アライメントスリーブを介して前記第1ファイバ端部区間を前記第1ファイバ端部の近位に支持し、前記アライメントスリーブは、好ましくは、前記第1ファイバ端部区間を前記第1ファイバ端部において取り囲んで支持するように配置される、請求項1に記載のPCFアセンブリ。
【請求項3】
前記内側フェルール前区間は前記アライメントスリーブを予め選択された軸方向の位置において取り囲んで保持し、前記内側フェルール前区間の前記内径は前記アライメントスリーブの最大外径よりも僅かに大きい、直径が例えば約0.1μmから約2mm大きいなど、例えば約1μmから約1mm大きいなど、例えば約0.1mmから約0.01mm大きいなど、請求項2に記載のPCFアセンブリ。
【請求項4】
前記内側フェルール前区間は、前記アライメントスリーブを介して、前記アライメントスリーブを軸方向の位置に機械的に保持することによって前記第1ファイバ端部区間を支持し、好ましくは前記アライメントスリーブの端部と前記内側フェルール前区間の端部とが前記フェルール構造体の中心軸に対して垂直な平面においてアラインされ、より好ましくは、前記第1ファイバ端部、前記アライメントスリーブの前記端部および前記内側フェルール前区間の前記端部は前記PCFの中心軸に対して垂直な平面においてアラインされる、請求項2または3に記載のPCFアセンブリ。
【請求項5】
前記アライメントスリーブは前記PCFを前記第1ファイバ端部の近位で取り囲み、好ましくは、前記第1ファイバ端部と前記アライメントスリーブの端部とが前記PCFの中心軸に対して垂直な平面においてアラインされ、前記アライメントスリーブは、好ましくは少なくとも約1mm、例えば約2mmから約5cmまでなど、例えば約5mmから約2cmまでなどの前記軸方向の長さを有する、請求項2~4のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項6】
前記アライメントスリーブは、前記第1ファイバ端部区間の前記外径に適合させたその支持区間に少なくとも沿った内径を有することによって、前記第1ファイバ端部区間を支持し、好ましくは、前記アライメントスリーブの前記支持区間の前記内径は前記内径よりも最大約0.5mm、例えば最大約0.1mmなど、例えば最大約0.01mmなど、大きい、請求項2~5のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項7】
前記アライメントスリーブは、前記第1ファイバ端部区間がその全長でまたは前記支持区間上にコラプスされることによって、前記第1ファイバ端部区間を支持し、前記アライメントスリーブは、好ましくは、前記PCFを取り囲むために施され、中央区間など少なくともその前記支持区間で熱によりコラプスされることによって前記PCFの第1ファイバ端部区間を支持するように配置されている毛細管であり、前記アライメントスリーブは、好ましくは中間材料なしで、好ましくは前記光ファイバに溶融される、請求項2~6のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項8】
前記アライメントスリーブはガラス、好ましくは溶融シリカガラス、溶融石英および/またはドープシリカなどのシリカガラス、および/または例えば約96%のシリカと4%の酸化ホウ素とを含むホウケイ酸ガラスなどのホウケイ酸ガラスから作られる、請求項2~7のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項9】
前記アライメントスリーブは、1μmの光に対して、例えば1μm~2μmの範囲の光に対してなど、最大1.45の屈折率を有する、請求項2~8のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項10】
前記アライメントスリーブは、例えばフッ素およびホウ素の両方または一方でドーピングされたシリカなどのダウンドープシリカから作られる、請求項2~9のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項11】
前記アライメントスリーブは、前記クラッド領域の有効屈折率よりも低い屈折率を有する、請求項2~10のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項12】
前記アライメントスリーブは、前記アライメントスリーブと前記内側フェルール前区間との間に中間材料なく、前記内側フェルール前区間内に保持され、好ましくは、前記アライメントスリーブは前記内側フェルール前区間に機械的に保持されるとともに溶融されるか、機械的に保持されるかまたは溶融される、請求項2~11のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項13】
前記内側フェルール前区間と前記内側フェルール後区間とが互いに直接的に固定されず、好ましくは、前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間は軸方向に中間隙間を有するように配置され、好ましくは、前記隙間は前記内側フェルール前区間と前記内側フェルール後区間との間に軸方向の距離を提供し、前記距離は、好ましくは、約1mmから約10cmまで、例えば約5mmから約2cmまでなどの範囲である、請求項1~12のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項14】
前記内側フェルール前区間は前記第1ファイバ端部区間を前記第1ファイバ端部の近位に直接的に、好ましくは前記第1ファイバ端部区間を前記第1ファイバ端部に軸方向の位置において近位に機械的に保持することによって支持し、好ましくは、前記内側フェルール前区間の端部と前記第1ファイバ端部とが前記PCFの中心軸に対して垂直な平面においてアラインされる、請求項1~13のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項15】
前記フェルール構造体は、前記第1ファイバ端部区間と前記内側フェルール後区間との間に環状ハーメチックシールを形成するために前記第1ファイバ端部区間を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素を備え、前記ハーメチック半田要素は前記内側フェルール後区間の前記アンカー長区間よりも前記前環状区間の近くに配置され、好ましくは、前記内側フェルール後区間のアンカー長区間は完全には環状形ではなく、前記内側フェルール後区間の前記アンカー長区間は、好ましくは、前記PCFに対して約20度から約350度、例えば約180度などで延びている、請求項1~14のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項16】
前記PCFは、前記内側フェルール後区間の前記アンカー区間から前記第1ファイバ端部まで、前記第1ファイバ端部区間にポリマーコーティングがない、請求項1~15のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項17】
前記内側フェルール前区間は、約200nmから約4μmの波長で、少なくとも部分的に透明な材料から作られ、前記内側フェルール前区間は、例えば溶融石英または水晶、例えば1μmの光に対して1.45の屈折率を有する実質的に非ドープシリカなどから作られる、請求項1~16のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項18】
前記内側フェルール後区間は、溶融石英もしくは水晶または金属もしくは合金から作られる、請求項1~17のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項19】
前記外側フェルール構成は金属、セラミックまたは例えばシリカなどのガラスから作られる、請求項1~18のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項20】
前記外側フェルール構成は、前記内側フェルール構成の前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置において保持し、前記PCFの前記第1ファイバ端部区間が、好ましくは、前記フェルール構造体内に実質的にまっすぐになるように支持され、前記外側フェルール構成は、好ましくは、接着剤、半田および溶融またはレーザ溶接のうちの少なくとも1つによって前記内側フェルール構成に固定される、請求項1~19のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項21】
前記第1ファイバ端部区間は、前記ファイバにかかる圧力を生成する応力を実質的に加えることなく、前記フェルール構造体に取り付けられる、請求項1~20のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項22】
前記第1ファイバ端部は、前記繋止を含め、前記内側フェルール後区間への1以上の接合を除いて前記ファイバに直接的に接合することなく、前記フェルール構造体に取り付けられる、請求項1~21のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項23】
前記フェルール構造体は前記第1ファイバ端部の前に配置されるエンドキャップを備え、前記エンドキャップは前記内側フェルール前区間から離してまたは離さずに取り付けられ、前記エンドキャップは、好ましくは、前記内側フェルール前区間に直接的に、または前記外側フェルール構成の外側フェルール前区間に固定される、請求項1~22のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項24】
前記エンドキャップは前記外側フェルール構成の前記外側フェルール前区間に固定され、前記外側フェルール構成は、好ましくは、前記外側フェルール前区間と前記外側フェルール後区間とを備え、前記外側フェルール後区間は前記内側フェルール後区間および前記内側フェルール前区間の両方に固定され、前記外側フェルール前区間は前記内側フェルール前区間に固定される、請求項23に記載のPCFアセンブリ。
【請求項25】
前記エンドキャップは、反射防止コーティングされたシリカエンドキャップであり、前記エンドキャップは、好ましくはレンズであるか、またはレンズを備える、請求項23または請求項24に記載のPCFアセンブリ。
【請求項26】
前記PCFは中空コアファイバまたはソリッドコアファイバであり、好ましくは、前記第1ファイバ端部(端面)は金属または反射防止コーティングを有する、請求項1~25のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項27】
前記PCFは100μm未満、好ましくは約50μm以下、例えば約5μmから約40μmまでなどのコア直径を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項28】
前記PCFは中空コアファイバであり、前記エンドキャップは、前記エンドキャップと前記内側フェルール前区間との間にエンドキャップ空間を設けるように、前記外側フェルール構成の前記外側フェルール前区間に固定され、オプションで、前記中空コアはコラプスされた端部部分と、前記ファイバ端面に金属または反射防止コーティングとを有する、請求項23および25~27のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項29】
前記内側フェルール構成は、流体を注入および注出または注入もしくは注出するための前記エンドキャップ空間に通じる通路を備え、前記通路は、好ましくは、前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間の各々における少なくとも1つの追加貫通孔によって提供され、前記追加貫通孔は、好ましくは、前記フェルール構造体の前記軸に対して実質的に平行であり、より好ましくは、前記追加貫通孔は前記内側フェルール後区間からの出口にバルブ構成を備える、請求項28に記載のPCFアセンブリ。
【請求項30】
前記内側フェルール前区間は後端部を有し、前記後端部の少なくとも半径方向外側部分は前記フェルール構造体の前記中心軸に対して傾斜して、前記内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合する、例えば前記後端部の半径方向半環状形または環状形外側部分が前記フェルール構造体の前記中心軸に対して傾斜して、前記内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合する、請求項1~29のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項31】
前記内側フェルール前区間は後端部を有し、前記後端部の少なくとも半径方向内側部分は前記中心軸に対して傾斜して漏斗形状を形成する、請求項1~30のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項32】
前記内側フェルール前区間は後端部を有し、前記後端部は光、例えば前記フェルール内で伝播する光などを後方反射するために、反射コーティングで被覆される、請求項1~31のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項33】
前記内側フェルール前区間は前端部を有し、前記前端部は入射光および後方反射光の少なくとも一方に対して前記フェルール構造体を保護するために、反射コーティングで被覆される、請求項1~32のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項34】
前記内側フェルール後区間は前端部を有し、前記前端部は前記フェルール構造体の前記中心軸に対して傾斜しているとともに前記前端部は入射光および後方反射光の少なくとも一方に対して保護するために反射コーティングで被覆されるか、前記前端部は前記フェルール構造体の前記中心軸に対して傾斜しているか、または前記前端部は入射光および後方反射光の少なくとも一方に対して保護するために反射コーティングで被覆される、請求項1~33のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項35】
前記第1ファイバ端部区間は少なくとも1つのモードストリッパ長さ区間を有し、前記モードストリッパ長さ区間は、前記モードストリッパ長さ区間で前記光ファイバと接触して施されるモードストリッピング高屈折率材料およびスキャッティング層の少なくとも一方を備えるとともに前記モードストリッパ長さ区間の前記ファイバは少なくとも約0.1μmの粗さRa値を有するか、前記モードストリッパ長さ区間は、前記モードストリッパ長さ区間で前記光ファイバと接触して施されるモードストリッピング高屈折率材料およびスキャッティング層の少なくとも一方を備えるか、または前記モードストリッパ長さ区間の前記ファイバは少なくとも約0.1μmの粗さRa値を有する、請求項1~34のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項36】
前記PCFの前記モードストリッパ長さ区間は、前記内側フェルール前区間と前記内側フェルール後区間との間に位置付けられる、請求項35に記載のPCFアセンブリ。
【請求項37】
前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間のうちの少なくとも1つは、前記PCFの前記PCFの前記モードストリッパ長さ区間を露出させる溝を有し、好ましくは前記溝は、好ましくは少なくとも約20度延びるように、前記ファイバを部分的に取り囲む、請求項35に記載のPCFアセンブリ。
【請求項38】
前記フェルール構造体は前記内側フェルール前区間の外面に直接的に接触して配置されるモードストリッパコーティングを備え、前記モードストリッパコーティングは、好ましくは、前記内側フェルール前区間と前記外側フェルール構成との間に含まれる、請求項1~37のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項39】
前記フェルール構造体は前記外側フェルール構成を取り囲む外側アライメントジャケットを備え、前記外側アライメントジャケットは、好ましくは、アライメント手段、好ましくは、前記軸方向(z方向)のアライメント手段、前記半径方向(x、y方向)のアライメント手段および回転方向のアライメント手段のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~38のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項40】
前記アライメント手段は、位置決め制御付きの取付用フランジなどの1以上のフランジを備える、請求項39に記載のPCFアセンブリ。
【請求項41】
前記アライメント手段は、回転方向のファイバ配向、例えば、PM配向のマーカを備える、請求項39または40に記載のPCFアセンブリ。
【請求項42】
前記フェルール構造体は冷却流体によって前記外側フェルール構成を冷却するように構成されているとともに前記外側アライメントジャケットは前記冷却流体の少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口をもつ通路を備えるか、前記フェルール構造体は冷却流体によって前記外側フェルール構成を冷却するように構成されているか、または前記外側アライメントジャケットは前記冷却流体の少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口をもつ通路を備える、請求項1~41のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項43】
前記アセンブリは、温度のモニタリング、コネクタのパフォーマンスのモニタリング、およびファイバの損傷のモニタリングのうちの少なくとも1つのために、1以上の光学センサおよび/または電気センサおよび/または化学センサなどの1以上のセンサをさらに備える、請求項1~42のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項44】
前記アセンブリは前記PCFの第2端部区間に接続される第2フェルール構造体を備え、前記第2フェルール構造体は、好ましくは、請求項1~43のいずれか1項に記載のフェルール構造体である、請求項1~43のいずれか1項に記載のPCFアセンブリ。
【請求項45】
請求項1~44のいずれか1項に記載のPCFアセンブリを備える、レーザシステム。
【請求項46】
前記レーザシステムはレーザ光源を備え、前記PCFアセンブリは前記レーザ光源から光を受光するために前記レーザ光源に光学的に接続されるとともに、前記光を装置の採光ステーションに伝送するように構成され、好ましくは、前記フェルール構造体が設けられた前記第1ファイバ端部は前記ユーザ装置に接続するように構成される、請求項45に記載のレーザシステム。
【請求項47】
前記レーザ光源はレーザ光パルスを生成するように構成され、好ましくは前記レーザ光源はフェムト秒レーザ光源である、請求項45または46に記載のレーザシステム。
【請求項48】
前記レーザ光源は約30fsから約30psまで、例えば約100fsから約10psまでなどのポンプ持続時間を有する、請求項47に記載のレーザシステム。
【請求項49】
前記レーザ光源は、少なくとも約5kW、例えば少なくとも約10kWなど、例えば少なくとも約30kWなど、例えば少なくとも約50kWなどの前記レーザ光源の前記出口において決定されるピーク出力を有する、請求項47または48に記載のレーザシステム。
【請求項50】
前記レーザ光源は、能動的モード同期レーザまたは受動的モード同期レーザなどのモード同期レーザであり、前記モード同期レーザは、好ましくは、1以上の増幅器を備える、請求項47~49のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項51】
前記PCFは中空コアPCFであり、好ましくは、前記中空コアPCFは約200nmから約4.5μmまでの範囲における少なくとも1つの波長、好ましくは1000nmから約1100nmまでの範囲における少なくとも1つの波長を備える光を案内するように構成される、請求項45~50のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項52】
前記PCFは、好ましくは少なくとも約0.1μm、例えば少なくとも約0.3μmなど、例えば少なくとも約0.5μmなどにまたがる光の波長の連続波を案内するように構成される、請求項51に記載のレーザシステム。
【請求項53】
前記中空コアPCFは、外側クラッド領域と、前記外側クラッド領域に取り囲まれているN本の中空管とを備え、前記中空管の各々が前記外側クラッドに溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングを形成し、前記中空コア領域は前記内側クラッド領域に取り囲まれ、好ましくは、Nは6から12、より好ましくは、Nは7である、請求項51または52に記載のレーザシステム。
【請求項54】
前記中空管は互いに接触しておらず、好ましくは、前記中空管は隣接する中空管に対して実質的に等しい距離を設けて配置される、請求項453に記載のレーザシステム。
【請求項55】
前記PCFはソリッドコアPCFであり、好ましくは、前記ソリッドコアPCFは複数の非中実のクラッド介在物および中実のクラッド介在物の少なくとも一方を備える微細構造化ソリッドコアPCFであり、前記ソリッドコアPCFは、好ましくは、約200nmから約4.5μmまでの範囲において少なくとも1つの波長、好ましくは、1000nmから約1100nmまでの範囲において少なくとも1つの波長を備える光を案内するように構成される、請求項45~50のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項56】
PCFは、約3μmから約100μmまで、例えば約10μmから約50μmまでなど、例えば約10μmから約30μmまでなどのコア領域直径を有する、請求項45~55のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項57】
請求項1~44のいずれか1項に記載のPCFアセンブリに適した1組の相関フェルール要素であって、前記1組のフェルール要素は、
・内側フェルール構成を形成するための内側フェルール前区間および内側フェルール後区間と、
・外側フェルール構成とを備え、
前記内側フェルール前区間、前記内側フェルール後区間および前記外側フェルール構成の各々が長さおよび中心軸を有し、前記それぞれの中心軸に平行な、またはそれらに一致する主中空貫通孔を備え、前記1組の相関フェルール要素は、好ましくは、長さおよび中心軸を有するアライメントスリーブをさらに備え、前記中心軸に平行な、またはそれに一致する主中空貫通孔を備える、1組の相関フェルール要素。
【請求項58】
前記要素は、前記アライメントスリーブを前記内側フェルール前区間の前記主中空貫通孔内に位置付けることができ、前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間を、前記内側フェルール構成を形成するために前記外側フェルール構成の前記主中空貫通孔内に取り付けることができるように相関される、請求項45に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項59】
前記アライメントスリーブは毛細管であり、前記アライメントスリーブの前記主中空貫通孔は約2mm以下、例えば約1mm以下など、例えば約0.5mm以下などの内径を有し、前記アライメントスリーブは、好ましくは、その長さの少なくとも一部でコラプス可能である、請求項57または58に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項60】
前記アライメントスリーブは、好ましくは少なくとも約1mm、例えば約2mmから約5cmまでなどの軸方向の長さを有する、請求項57~59のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項61】
前記1組は、前記内側フェルール前区間に取り付けることにより、または前記外側フェルール構成の外側フェルール前区間に取り付けることにより、前記内側フェルール前区間の前に配置されるように構成されるエンドキャップをさらに備え、前記エンドキャップは、好ましくは、反射防止コーティングされたシリカエンドキャップである、請求項57~60のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項62】
前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間の各々は、流体通路を提供するための1以上の追加貫通孔を備え、前記追加貫通孔は、好ましくは、それぞれの前記内側フェルール区間の前記軸に実質的に平行であり、さらに好ましくは、前記追加貫通孔は前記内側フェルール後区間からの出口にバルブ構成を備える、請求項57~61のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項63】
前記内側フェルール前区間は後端部を有し、前記後端部の少なくとも半径方向外側部分は前記内側フェルール前区間の前記中心軸に対して傾斜しているとともに前記後端部は反射コーティングで被覆されるか、前記後端部の少なくとも半径方向外側部分は前記内側フェルール前区間の前記中心軸に対して傾斜しているか、または前記後端部は反射コーティングで被覆される、請求項57~62のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項64】
前記内側フェルール前区間は前端部を有し、前記前端部は反射コーティングで被覆される、請求項57~63のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項65】
前記内側フェルール後区間は前端部を有し、前記前端部は前記内側フェルール後区間の中心軸に対して傾斜しているとともに前記前端部は反射コーティングで被覆されるか、前記前端部は前記内側フェルール後区間の前記中心軸に対して傾斜しているか、または前記前端部は反射コーティングで被覆される、請求項57~64のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項66】
前記内側フェルール前区間および前記内側フェルール後区間のうちの少なくとも1つはその主中空貫通孔に通じる溝を有し、前記溝は、好ましくは、少なくとも約20度延びている環状方向の延長部を有する、請求項57~65のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項67】
前記1組は、前記外側フェルール構成を取り囲むように配置できるよう前記外側フェルール構成に相関される外側アライメントジャケットをさらに備え、前記外側アライメントジャケットは、好ましくは、アライメント手段を備える、請求項57~66のいずれか1項に記載の1組の相関フェルール要素。
【請求項68】
請求項45~56のいずれか1項に記載のレーザシステムを備える装置であって、前記PCFアセンブリは前記装置の受光ステーションに光を伝送するように構成される、装置。
【請求項69】
前記装置は対象物を照射するように構成されている照明装置であり、前記照明装置は、好ましくは、顕微鏡、分光器、または内視鏡から選択される、請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記照明源は、蛍光イメージング、蛍光寿命イメージング(FLIM)、全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、パルス交替励起フォスター共鳴エネルギー移動(PIE-FRET)、ブロードバンド分光法、ナノフォトニクス、フローサイトメトリ、計測などの工業用検査、ガス検知などのリングダウン分光法、ハイパースペクトル分光法、例えば果実の作物分析および飛行時間分光法(TCSPC)などの分光分析法、1分子イメージング、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに適合される、請求項69に記載の装置。
【請求項71】
前記装置は、好ましくは穴明け、マーキング、切削、およびスクライビングのうちの少なくとも1つなどの材料加工用のマイクロ加工装置である、請求項68に記載の装置。
【請求項72】
前記装置は、目の手術(眼科)用の装置などの手術装置である、請求項68に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCFと少なくとも1つのフェルール構造体とを備えるフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリに関する。本発明は、また、レーザシステムおよびレーザシステムを備える装置も含む。さらに、本発明は1組の相関フェルール要素を備える。
【背景技術】
【0002】
本明細書においてPCFと呼ばれるフォトニック結晶ファイバは、運動光子に影響する光ナノまたはミクロ構造を備える1種のファイバに属する。PCF(ホーリーファイバ、空孔アシストファイバ、微細構造ファイバ、または微細構造化ファイバと呼ばれることもある)は、少なくとも部分的に、周囲の背景材料とは異なる屈折率を有する、例えば空気(もしくは気体)孔または中実の微細構造の形態の微細構造の構成によって導波管特性を得る。非常に多様な空孔/微細構造構成があることから、非常に異なる特性を有するPCFがもたらされる。
【0003】
PCFの例には、特許文献1、特許文献2、または特許文献3が含まれる。
このPCFの成端は、特に微細構造のために、オプションで中空微細構造および/または中空コアのために、より難しいことが多い。
【0004】
従来のステップインデックスファイバ、つまり、均一な屈折率を有するコアと、それより低い屈折率を有する周囲のクラッドとを備え、コア・クラッドの境界で屈折率が急激に低下する光ファイバの終端構造はよく知られている。特許文献4は、ファイバの端部にポンピングされる高出力の光がコネクタ材料を焼くまたは溶融するリスクを低くするように設計された大型コアステップインデックスファイバのコネクタを開示している。このコネクタは、金属製プラグボディを有するホルダと、光ファイバの端部端面から離れて光ファイバを支持するように構成された支持部を有する半径方向内側に配置されたスリーブとを備え、支持部は、融点が1500℃以上で屈折率が光ファイバのクラッドよりも高い透明または半透明の耐熱無機物質、たとえば、セラミック材料またはサファイアを採用する。ファイバがコネクタにどのように取り付けられるかは記述されていない。
【0005】
一般に、取り扱いやすく、埃、湿気および熱に対して十分に保護されるように、光ファイバを成端することが望ましい。
PCFの小さな直径およびコア直径、ならびに典型的に高い柔軟性は、精密なビーム伝送システムで実際に有用であるために、PCFの成端を成端点で機械的に剛性構造(通常、フェルールまたはフェルール構造体と呼ばれる)に保持することを要する。
【0006】
特許文献5は、ファイバを損傷する可能性のある高エネルギーの光信号を送信するファイバコア、および光信号をコアに向けるためにコアの周りにあり、コアよりも小さい内径でコアの周りに配設される薄い壁によって画定される複数のチャネルを特徴とする構造化領域を有する光ファイバと、光信号がファイバの微細構造化領域の障害となるのを阻止するブロック構造と協働するファイバ末端を包むファイバの端部に、ファイバを位置付けるための開口部が設けられているフェルールと、ファイバコアと嵌まり合う開口部が設けられたファイバの端部に配設されて、光信号がファイバの微細構造化領域の障害になるのを阻止するブロック構造と、を含むファイバ成端コンビネーションを開示している。
【0007】
特許文献6は、中空ファイバコアを備えており、中空ファイバコアのファイバの両端部の前面が開いており、各ファイバ端部が保護要素により防塵式に取り囲まれている光ファイバを開示している。保護要素は、光を中空ファイバコアに結合および減結合するために、ファイバ端部の前のその前面に窓を含む。
【0008】
特許文献7は、ファイバおよびフェルールを損傷せずに、光損失を最小限に抑え、典型的には、好ましくは約500W以上の高出力のレーザ放射を送信することのできるモノリシックユニットを形成するためにファイバを溶融で接着して成端させるモノリシック光フェルールを開示している。エンドキャップ、ファイバおよび可融性粉末は、全部を合わせて溶融したときに、そのように形成される構造がモノリシックになり、光経路が透明になるように、実質的に同じ物理的特性の材料から構成される。
【0009】
上記開示した先行技術のファイバ成端は、一般にファイバに取り付けるのが難しく、しばしばファイバを傷つけることになり、もしくはz方向(ファイバの軸方向)のアライメント不良になり、および/または光ファイバの繋止不良により別の要素へのファイバの結合不良になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6985661号明細書
【特許文献2】米国特許第8938146号明細書
【特許文献3】米国特許第7792408号明細書
【特許文献4】米国特許第4737011号明細書
【特許文献5】米国特許第7242835号明細書
【特許文献6】米国特許第7373062号明細書
【特許文献7】米国特許第7306376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前述した欠点のうちの少なくとも1つを軽減する、PCFの端部成端構造体を提供することである。
一実施形態において、PCFおよびフェルールのz方向の良好なアライメントを提供するとともに、比較的組立が簡単な、PCFの端部成端構造体を提供することが目的である。
【0012】
一実施形態において、PCFの成端した端部で、特に埃、湿気および/または熱に対してPCFの安全な保護を提供する、PCFの端部成端構造体を提供することが目的である。
【0013】
一実施形態において、クラッドモードをストリッピングするための新たなオプションを提供する、PCFの端部成端構造体を提供することが目的である。
一実施形態において、5kWを超える出力などの比較的高出力でPCFが動作する場合でも長い寿命を有する、PCFの端部成端構造体を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の目的および他の目的は、請求項に定義されるとともに本明細書中以下説明する、本発明およびその実施形態によって解決されている。
本発明またはその実施形態は、以下の説明から当業者には明らかになる多数の追加の利点を有することが分かっている。
【0015】
「z方向」という用語は、軸方向を意味し、「軸方向に」という用語は、軸に沿うことを意味する。
「半径方向距離」というフレーズは、議論している構造体、例えばPCF、フェルール構造体またはその要素の中心軸から半径方向に判断される距離を意味する。「半径方向」とは、中心軸から半径方向外側の方向であり、「半径方向に」というフレーズは、軸に対して半径の向きである。
【0016】
「実質的に」という用語は、本明細書において、通常の製品の差異および許容差がその用語の範囲内に含まれることを意味すると解釈するべきである。
「約」という用語は、一般に、測定の不確かさ内であるものを含むために使用される。「約」いう用語が範囲で使用されるとき、本明細書においては、測定の不確かさの範囲内であるものがその範囲に含まれることを意味すると解釈するべきである。
【0017】
「備える/備え」いう用語は、本明細書で使用される場合、非限定用語として解釈されるべき、つまり、要素、ユニット、整数、ステップ、コンポーネントおよびその組み合わせなど、具体的に述べられる特徴の存在を明記すると解釈されるべきであるが、述べられる1以上の他の特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0018】
本明細書または請求項を通し、別の規定がされていない限り、または文脈上要求されない限り、単数は複数を包含する。
すべての径は、別の規定がされていない限り、断面の径である。
【0019】
本発明によると、端部成端構造体はPCFアセンブリとして提供されている。
本発明のPCFアセンブリは、PCFと少なくとも1つのフェルール構造体とを備える。PCFは中心軸を有し、コア領域およびクラッド領域と、第1ファイバ端部が設けられた第1ファイバ端部区間とを備える。
【0020】
フェルール構造体は中心軸を有し、第1ファイバ端部区間に取り付けられる。フェルール構造体は、内側フェルール構成と、第1ファイバ端部区間を取り囲む外側フェルール構成とを備える。本発明によると、フェルール構造体に内側フェルール構成および外側フェルール構成を設けることにより、ファイバおよびフェルール構造体の組立がはるかに簡単になる新種のフェルール構造体が提供されることが分かっている。特に、内側フェルール構成を内側フェルール前区間と内側フェルール後区間とを備えるように形作ることにより、はるかに簡単な組立が行えることが分かっている。
【0021】
一実施形態において、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間とを備える。内側フェルール区間の各々は、内側断面直径を有し、少なくともその長さではPCFを完全に取り囲む。内側フェルール後区間はアンカー長区間で第1ファイバ端部区間に繋止され、内側フェルール前区間は第1ファイバ端部区間を第1ファイバ端部の近位に支持する。有利なことに、内側フェルール前区間は第1ファイバ端部区間に固定または繋止されずに、正確な半径方向アライメントを確保するために第1ファイバ端部区間を単に支持しているだけである。
【0022】
一実施形態において、「第1ファイバ端部の近位に」というフレーズは、第1ファイバ端部の近くである、好ましくは第1ファイバ端部に隣接していることを意味する。
第1ファイバ端部区間のPCF中心軸とフェルール構造体の中心軸とが、実質的に平行であることが好ましい。PCFは、原則として、フェルール構造体の中心軸から離れて配置されてもよいが、ほとんどのアプリケーションでは、第1ファイバ端部区間のPCF中心軸とフェルール構造体の中心軸とが一致し、それによって組立が簡単になることが望ましい。
【0023】
組立時、第1ファイバ端部区間は内側フェルール後区間に取り付けられて繋止される。その後、前、または同時に、第1ファイバ端部区間を内側フェルール前区間に取り付けて、第1ファイバ端部をz方向の所望の位置にアラインする。その後、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間を互いに対して適所に保持し、それによって、フェルール構造体に対する第1ファイバ端部アライメントを固定するように、外側フェルール構成を取り付ける。ファイバを専ら内側フェルール後区間に直接的に繋止することにより、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との距離がファイバ端部端面をz方向の所望の位置に位置付けるようになされてから、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間を外側フェルール構成に取り付けることによって内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との距離を固定できるため、はるかに簡単なファイバ端部端面のアライメントが得られる。
【0024】
一実施形態において、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間とが互いに直接的に固定されるのではなく、外側フェルール構成によって単に連結され、適所に保持されるだけである。好ましくは、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間は、軸方向に中間隙間を有するように配置される。隙間は、有利なことに、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間に、軸方向の距離を提供する。この距離は、約1mmから約10cmまで、例えば約5mmから約2cmまでなどの範囲であることが好ましい。
【0025】
一実施形態において、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間の中間隙間が部分的にPCFの周りに延びて、例えば半環状形の隙間を形成する。一実施形態において、隙間はPCFの全周に延びて、環状形の隙間を形成し、それによって内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間の距離を形成する。どちらの事例においても、第1ファイバ端部区間の一部は内側フェルール構成によって被覆されていない。
【0026】
一実施形態において、アセンブリは、内側フェルール前区間と第1ファイバ端部区間との間に配置されているアライメントスリーブをさらに備える。それによって内側フェルール前区間は、アライメントスリーブを介して第1ファイバ端部区間を第1ファイバ端部の近位に支持する。アライメントスリーブは第1ファイバ端部で第1ファイバ端部区間を取り囲んで支持するように配置するのが好ましい。
【0027】
組立時、アライメントスリーブは、第1ファイバ端部に対してz方向に所望の位置において第1ファイバ端部区間に取り付けられ、その後、内側フェルール前区間が取り付けられる。
【0028】
アライメントスリーブとその使用は、PCFが一般に外径が大幅に異なり、そのためアライメントスリーブがなければ個々のサイズの内側フェルール前区間が必要になることから、非常に有益であることが分かっている。また、以下説明するように、アライメントスリーブは、例えば、アライメントスリーブをファイバの周りに緊縮して十分な支持を与えることによって、外径の異なるPCFに適合するように設けてもよい。
【0029】
有利なことに、アライメントスリーブは、第1ファイバ端部区間がその全長に、またはその支持区間上にコラプスされることによって、第1ファイバ端部区間を支持する。そのため、アライメントスリーブに適した材料には、第1ファイバ端部区間上に、例えば熱を当てることによって、緊縮またはコラプスすることのできる材料が含まれる。有利なことに、アライメントスリーブは第1ファイバ端部区間に固定または繋止するのではなく、好ましくは蛍光体に所望の軸方向の支持を与えるために適所に機械的に保持される。
【0030】
一実施形態において、アライメントスリーブはPCFに溶融される。
有利なことに、アライメントスリーブはガラス、好ましくは、溶融シリカガラス、溶融石英および/もしくはドープシリカなどのシリカガラス、ならびに/または約96%のシリカと4%の酸化ホウ素とを含むホウケイ酸ガラスなど、例えば商品名Vycor(商標)で販売されるガラスなどのホウケイ酸ガラスから作られる。
【0031】
ドープガラスは、例えば、フッ化物ドープシリカ、ホウ素ドープシリカおよび/またはゲルマニウムドープシリカを含んでもよい。ガラスをドーピングすることにより、ガラスをより展性に、よりコラプスしやすくしてもよい。
【0032】
前記アライメントスリーブを、1μmの光に対して、例えば1~2μmの範囲の光などに対して、最大1.45の屈折率をもつシリカから作ると有利であることが分かっている。
【0033】
一実施形態において、アライメントスリーブは、例えばフッ素およびホウ素の両方または一方をドーピングしたシリカなどの、ダウンドープシリカから作られる。
一実施形態において、アライメントスリーブは、クラッド領域の有効屈折率よりも小さい屈折率を有する。
【0034】
有利なことに、アライメントスリーブは、PCFで送信されるまたは送信可能な光の波長に対して実質的に完全に透明であり、それによって吸光による過熱のリスクが低減され、さらには回避される。
【0035】
アライメントスリーブは、好ましくは、PCFを取り囲むために施されて、熱により、その中央区間など、少なくともその支持区間でコラプスされることによって、PCFの第1ファイバ端部区間を支持するように配置されている毛細管である。この構造は非常に単純かつ効果的で、そのため経済的に実現可能である。
【0036】
アライメントスリーブの、ある区間をコラプスするだけで、アライメントスリーブのコラプスされていない長さ部分を、内側フェルール前区間の断面内径に適合する断面外径を有するように形作るようにしてもよい。それにより、内側フェルール前区間の内径が、コラプスされていないアライメントスリーブの外径に相関され、アライメントスリーブの支持長区間をコラプスすることにより、外径の異なるPCFをアライメントスリーブに取り付けることができる。
【0037】
有利なことに、アライメントスリーブは、アライメントスリーブと内側フェルール前区間との間に中間材料なしで、前記内側フェルール前区間内に保持される。一実施形態において、アライメントスリーブは前記内側フェルール前区間に機械的に保持されるとともに溶融されるか、または、機械的に保持されるかもしくは溶融される。
【0038】
有利なことに、内側フェルール前区間は、アライメントスリーブを予め選択された軸方向の位置に取り囲んで保持する。内側フェルール前区間の内径は、有利なことに、アライメントスリーブの最大外径よりも僅かに大きく、例えばアライメントスリーブを内側フェルール前区間の中空貫通孔の口径に挿入可能なように僅かに大きく、例えば、直径が約0.1μmから約2mm大きく、例えば約1μmから約1mm大きくなど、例えば約0.1mmから約0.01mm大きくなどすることにより、アライメントスリーブに相関される。
【0039】
有利なことに、アライメントスリーブは第1ファイバ端部の近位でPCFを取り囲む。好ましくは、第1ファイバ端部およびアライメントスリーブの端部を、PCF中心軸に垂直な面でアラインする。
【0040】
アライメントスリーブは、原則として、最大で内側フェルール前区間の長さなどの、任意の長さ(軸方向で決まる)を有してもよい。実際には、アライメントスリーブは比較的短いが、電磁力の支持を確保できるだけの十分な長さであることが望ましい。有利なことに、アライメントスリーブは少なくとも約1mmまで、例えば約2mmから約5cmまでなど、例えば約5mmから約2cmまでなどの軸方向の長さを有する。ほとんどのPCFアセンブリの場合、アライメントスリーブの最適な長さは約10mmであることが分かっている。
【0041】
一実施形態において、アライメントスリーブは、少なくともその支持区間に沿って、第1ファイバ端部区間の外径に適合する内径を有することによって、第1ファイバ端部区間を支持する。この実施形態では、アライメントスリーブの支持区間の内径は、内径よりも最大約0.5mm大きい、例えば最大約0.1mmなど、例えば最大約0.01mmなど大きいことが望ましい。アライメントスリーブが第1ファイバ端部区間上に緊縮またはコラプスされるときに、コラプスされていないまたは緊縮されていない状態のアライメントスリーブの内径は大きくてもよく、例えばPCF直径よりも最大約5mm大きいなど、例えば最大約3mm大きいなど、例えばPCFよりも最大約1mm大きいなどでもよい。
【0042】
一実施形態では、内側フェルール前区間は、アライメントスリーブを介して、アライメントスリーブを軸方向の位置に機械的に保持することによって第1ファイバ端部区間を支持し、アライメントスリーブの端部と内側フェルール前区間の端部とがフェルール構造体の中心軸に対して垂直な平面でアラインする。好ましくは、第1ファイバ端部、アライメントスリーブの端部および内側フェルール前区間の端部は、PCFの中心軸に垂直な平面でアラインする。
【0043】
フェルールの組立時、アライメントスリーブはz方向に移動させて、例えば、外側フェルール基準点に対して、ファイバ端面のz方向の所望の位置を達成する。これにより、フェルールの所望の光学的な焦点が達成されることを確保する。その後、前、または同時に、ファイバを内側フェルール後区間に繋止する。
【0044】
一実施形態において、内側フェルール前区間は第1ファイバ端部区間をアライメントスリーブで直接的に第1ファイバ端部の近位に、好ましくは、第1ファイバ端部区間を第1ファイバ端部に軸方向の位置に機械的に保持することによって支持する。好ましくは、内側フェルール前区間の端部と第1ファイバ端部とが、PCF中心軸に対して垂直な平面でアラインされる。有利なことに、内側フェルール前区間の内径は、内径よりも最大約0.5mm、例えば最大約0.1mmなど、例えば最大約0.01mmなど大きいことが望ましい。
【0045】
実際の使用時には、PCFの光出口端部で光の一部が例えば反射および/または入射放射のためにクラッドモードとしてクラッドに案内されることがあり、さらにPCFの入力端部では、PCFファイバに集光されて送信される光の一部はコアによって案内されずに、例えば、ファイバに入るビームパラメータのミスマッチ、集光レンズの不完全さ、および光学面の埃/不完全さならびに同様なもののために、クラッドモードとして案内されることがある。これらのクラッドモードは、高出力送信用に使用される場合、非常に高温になることがある。また、特に、フェルール構造体内に密閉されているPCFの成端端部の温度が過度に高くなることがあり、PCFのポリマーコーティングを損傷し、それにより成端全体およびフェルール構造体とPCFとの間の定着状態を損傷させることがある。
【0046】
コアに結合されない入射放射の成分は、それが保護ポリマーコーティングに逸れるまでクラッド内に伝播し、保護ポリマーコーティングで除去される(「ストリッピングされる」)。ファイバに入力されるレーザ放射源が高出力レーザの場合、これらクラッドモード内の放射の強度は、容易に保護ポリマーコーティングを焼き、ファイバを破壊することが可能である。一例が、放射がファイバのコアではなくクラッドの外周に結合するように、ファイバに戻る実質的な出力が反射される、工業用工作物の対象物(特に金属製対象物)へのレーザ放射である。このため、保護ポリマーコーティングに逸れて破壊する可能性が出る前に、すべてのファイバ成端でクラッドモード放射を除去する必要がある。「モードストリッピング」とは、このようなクラッドモードを除去するために使用される多数の手法に与えられた名前である。
【0047】
この問題は、アンカー長区間から内側フェルール後区間およびその第1ファイバ端部までPCFからポリマーをなくした、本発明の一実施形態によって解決されている。一実施形態において、フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間と内側フェルール後区間との間に環状ハーメチックシールを形成するために第1ファイバ端部区間を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素を備える。ハーメチック半田要素は、内側フェルール後区間のアンカー長区間よりも前環状区間の近くに配置される。さらに、内側フェルール後区間のアンカー長区間は完全には環状形ではないことが好ましく、それによりPCFのアンカー長区間から、好ましくはハーメチック半田要素に熱が散逸できるようにする。内側フェルール後区間のアンカー長区間は、PCFの周りを約20度から約350度まで、例えば約180度(半環状形)などに延びていることが好ましい。
【0048】
ハーメチック半田要素は、追加で、埃および他の望ましくない汚染から、第1ファイバ端部を保護するのに役立つ。PCFアセンブリがエンドキャップを備える場合、ハーメチック半田要素は、第1ファイバ端部からハーメチック半田要素のz方向の位置まで、第1ファイバ端部区間のハーメチックシールを確保する。有利なことに、PCFのポリマーコーティングは、第1ファイバ端部からハーメチック半田要素のz方向の位置まで、第1ファイバ端部区間からストリッピングされる。
【0049】
一実施形態において、第1ファイバ端部区間は、実質的にPCFに圧力を加えなくても、前記フェルール構造体に取り付けられる。PCFに圧力を加えるとファイバに応力を生じることがあり、多くのアプリケーションでは、ビーム品質が低品質になることがあり、さらには応力がPCFを損傷させるか、またはPCFの寿命を縮めることがあるため、非常に望ましくない。
【0050】
一実施形態において、第1ファイバ端部区間は、繋止を含め、内側フェルール後区間への1以上の接合を除いてファイバに直接的に接合することなく、前記フェルール構造体に取り付けられる。
【0051】
一実施形態において、PCFは、内側フェルール後区間のアンカー区間から第1ファイバ端部まで、第1ファイバ端部区間にポリマーコーティングがない。
有利なことに、内側フェルール前区間は、約200nmと約4μmの間の波長で、少なくとも部分的に透明な材料、例えば、溶融石英または水晶から作られ、内側フェルール後区間は溶融石英もしくは水晶、または金属もしくは合金から作られる。一実施形態において、内側フェルール前区間は、1μmの光に対し最大1.45の屈折率を有する、実質的に非ドープシリカから作られる。
【0052】
一般に、内側フェルール後区間は、高い熱散逸を確保するため、高伝導性で低熱膨張性の材料から作られる。そのため、内側フェルール後区間を、材料の強度、硬度および耐摩耗性を高めるのに役立つ、ニッケルとシリコンを少量添加した高銅合金のColsibro(登録商標)などの金属または金属合金から作ることが特に望ましい。
【0053】
外側フェルール構成は主に内側フェルール構成区間を互いに対して適所に保持する機能を有するが、有利なことに、外側フェルール構成はフェルール構造体からの熱散逸も助ける。
【0054】
有利なことに、外側フェルール構成は金属、セラミックまたはガラス、例えばシリカから作られる。
一実施形態において、外側フェルール構成は、光を吸収するオプションの外側アライメントジャケットに光を逃がせるように、少なくとも部分的に透明である。特に、クラッドモードからの光は外側フェルール構成を介して逃がされ、オプションで、以下詳細に説明するように、ストリッピングされたクラッドモード光を、外側フェルール構成を介して逃がせる。
【0055】
一実施形態において、外側フェルール構成は内側フェルール構成の内側フェルール前区間および内側フェルール後区間の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置において保持して、PCFの第1ファイバ端部区間がフェルール構造体内で実質的にまっすぐに支持されることが好ましい。外側フェルール構成は、好ましくは、内側フェルール構成に、接着剤、半田、および溶融またはレーザ溶接のうちの少なくとも1つによって固定される。
【0056】
PCFアセンブリは、有利なことに、例えば、第1ファイバ端部を埃、湿気および同様な汚染に対して保護するために、エンドキャップ構成を備えてもよい。一実施形態において、フェルール構造体は、第1ファイバ端部の前に配置されるエンドキャップを備える。エンドキャップは、PCFの構造および意図される用途に応じて、内側フェルール前区間から離してまたは離さずに取り付けてもよい。エンドキャップは、以下詳細に説明するように、内側フェルール前区間に直接的に、または外側フェルール構成の外側フェルール前区間に固定される。
【0057】
一実施形態において、エンドキャップは外側フェルール構成の外側フェルール前区間に固定される。この実施形態において、外側フェルール構成は、好ましくは、外側フェルール前区間と外側フェルール後区間とを備え、外側フェルール後区間は内側フェルール後区間および内側フェルール前区間の両方に固定され、これらの内側フェルール構成区間を相対位置に保持し、外側フェルール前区間は内側フェルール前区間およびエンドキャップに固定されて、それによりエンドキャップを第1ファイバ端部に対して適所に保持する。
【0058】
エンドキャップは、例えば集光要素付き、またはなしで、先行技術のようにエンドキャップとしてもよい。有利なことに、エンドキャップは、反射防止コーティングされたシリカのエンドキャップである。エンドキャップを第1ファイバ端部から離して取り付ける場合、エンドキャップが両側に反射防止コーティングを備えることが望ましい。これは、PCFが中空コアPCFの場合、特に望ましい。
【0059】
一実施形態において、エンドキャップはレンズである。好ましくは、レンズはその両側に、つまり第1ファイバ端部に面する側およびその反対側に、反射防止コーティングを備える。
【0060】
PCFは、原則として、上記冒頭で述べたPCFなどの、任意の種類のPCFであってもよい。一実施形態において、PCFは、バンドギャップファイバ、カゴメファイバ、反共振反射(ARS:anti-resonant-reflection)ファイバ、またはソリッドコアファイバなどの、中空コアファイバから選択される。
【0061】
一実施形態において、PCFは、10μm未満、好ましくは約50μm以下、例えば約5μmから約40μmまでなどのコア直径を有する。
一実施形態において、PCFはその第1ファイバ端部区間に、後方反射からPCFの端部を保護するための中空毛細管ファイバの終端区間を備える。これは、1つの中空毛細管ファイバをPCFの前、例えば、アライメントスリーブ内または内側フェルール前区間内に位置付けることによって実現される。
【0062】
一実施形態において、第1ファイバ端部(端面)は金属または反射防止コーティングを有する。
一実施形態において、PCFは中空コアファイバであり、エンドキャップが外側フェルール構成の外側フェルール前区間に固定されて、エンドキャップと内側フェルール前区間との間にエンドキャップ空間が設けられる。キャップ空間は、1mmから、最大で例えば5cmなど、原則として、z方向に非常に小さく決定されてもよい。実際上、キャップ空間は実務的な理由で約1cm未満に保たれる。
【0063】
一実施形態において、中空コアは、コラプスした端部部分(長さが最大2mm、好ましくは長さが最大1mmなど)と、ファイバ端面に金属または反射防止コーティングを有する。一実施形態において、内側フェルール構成は、流体、特に気体を注入および注出または注入もしくは注出するためのエンドキャップ空間に通じる通路を備える。通路は、好ましくは、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間の各々に少なくとも1つの追加貫通孔によって提供される。追加貫通孔は、好ましくは、フェルール構造体の軸に対して実質的に平行である。好ましくは、追加貫通孔は内側フェルール後区間からの出口にバルブ構成を備える。
【0064】
流体を注入および注出または注入もしくは注出するためのエンドキャップ空間に通じる通路は、有利なことに、例えば、水分のない中空コアを確保するために、適切な気体を注入またはフラッシングするために使用されてもよい。適切な気体には、空気、アルゴン、窒素または前述の気体のいずれかを含む混合気を含む。オプションで、流体を注入および注出または注入もしくは注出するためのキャップ空間は、標準温度で、約100hPa(1mbar)以下の中空コア圧力、例えば約10hPa(0.1mbar)以下など、例えば約1hPa(0.01mbar)以下などを生成するために配置される。
【0065】
オプションで、流体を注入および注出または注入もしくは注出するためのキャップ空間は、標準温度で、最大200kPa(2bar)の中空コア圧力、例えば最大約150kPa(1.5bar)などを生成するために配置される。
【0066】
一実施形態において、内側フェルール構成は、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間の隙間に通じる少なくとも1つの通路を備える。通路は、有利なことに、内側フェルール後区間を貫通し、好ましくは、例えばフェルール構造体の中心軸に平行な貫通孔の形の通路である。前述した気体の注入および/または注出などの、流体の注入および/または注出。一実施形態において、内側フェルール構成は、例えば隙間を乾かすため、および/または熱散逸のために、隙間をフラッシングするため、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間の隙間に通じる少なくとも2つの通路を備える。
【0067】
一実施形態において、内側フェルール前区間は後端部を有し、そこで後端部の少なくとも半径方向外側部分は、内側フェルール構成内で伝播する光などの光を出力結合するために、フェルール構造体の中心軸に対して傾斜している。一実施形態において、内側フェルール前区間は後端部を有し、そこで後端部の少なくとも半径方向外側半環状形部分または環状形半径方向外側部分は、光を出力結合するためにフェルール構造体の中心軸に対して傾斜している。有利なことに、外側フェルール構成を通り抜けるように光を出力結合してもよい。
【0068】
一実施形態において、内側フェルール前区間は後端部を有し、そこで後端部の少なくとも半径方向内側部分は中心軸に対して傾斜して漏斗形状を形成する。それにより、PCFは内側フェルール前区間で、より取り付けやすくなるであろう。内側フェルール前区間の後端部は、ファイバの周りのその延長部の一部で、またはPCFの周りのその環状形延長部全体で傾斜してもよい。
【0069】
内側フェルール前区間の後端部は、有利なことに、第1ファイバ端部から副次的に放射される光、および/または内側フェルール構成内で伝播する光などの光を後方反射するために、反射コーティングで被覆してもよい。
【0070】
一実施形態において、内側フェルール前区間は前端部を有し、前端部は入射光および後方反射光の少なくとも一方に対してフェルール構造体を保護するために、反射コーティングで被覆される。
【0071】
一実施形態において、内側フェルール後区間は前端部を有し、前端部はフェルール構造体の中心軸に対して傾斜しているとともに前端部は入射光および後方反射光の少なくとも一方に対して保護するために反射コーティングで被覆されるか、前端部はフェルール構造体の中心軸に対して傾斜しているか、または前端部は入射光および後方反射光の少なくとも一方に対して保護するために反射コーティングで被覆される。内側フェルール後区間の前端部は、ファイバの周りのその延長部の一部で、またはPCFの周りのその環状形延長部全体で傾斜してもよい。
【0072】
上記説明したように、本発明のPCFアセンブリのフェルール構造体は、クラッドモードを反射し、直接ストリッピングすることによって、望ましくないクラッドモードをストリッピングするいくつかの機能を可能にする。以下説明するように、本発明は、望ましくない光をストリッピングするさらに別の機能を可能にする。
【0073】
一実施形態において、第1ファイバ端部区間は少なくとも1つのモードストリッパ長さ区間を有する。モードストリッパ長さ区間は、モードストリッパ長さ区間で光ファイバと接触して施されるモードストリッピング高屈折率材料およびスキャッティング層の少なくとも一方を備えるととともにモードストリッパ長さ区間のファイバは少なくとも約0.1μの粗さRa値を有するか、モードストリッパ長さ区間は、モードストリッパ長さ区間で光ファイバと接触して施されるモードストリッピング高屈折率材料およびスキャッティング層の少なくとも一方を備えるか、またはモードストリッパ長さ区間のファイバは少なくとも約0.1μの粗さRa値を有する。
【0074】
高い粗さRa値は、例えば、エッチング(例、レーザエッチングもしくは化学エッチング)または機械的研磨によって提供されてもよい。Ra値は規格ISO 4287、DIN 4762および/またはDIN 4768に従って測定されてもよい。
【0075】
モードストリッパ長さ区間は、順方向伝播するクラッド光を減少させ、または完全に防ぐ。モードストリッピング高屈折率材料は、例えば、(例えば屈折率を高めるためにドーピングされた)シリカ粒子を含む接着剤および/またはケミカルガラスであってもよい。
【0076】
一実施形態において、PCFのモードストリッパ長さ区間は、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間に位置付けられる。
一実施形態において、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間のうちの少なくとも1つは、PCFのPCFのモードストリッパ長さ区間を露出させる溝を有する。
【0077】
有利なことに、溝は、好ましくはファイバを部分的に取り囲んで、好ましくはPCFの周りの方向に、少なくとも約20度、および例えば最大約350度、好ましくは約20度から約90度延びるようにする。
【0078】
一実施形態において、フェルール構造体は、内側フェルール前区間の外面に直接的に接触して配置されるモードストリッパコーティングを備え、モードストリッパコーティングは、好ましくは、内側フェルール前区間と外側フェルール構成との間に含まれる。
【0079】
一実施形態において、フェルール構造体は、外側フェルール構成を取り囲む外側アライメントジャケットを備え、外側アライメントジャケットは、好ましくはアライメント手段、好ましくは軸方向(z方向)のアライメント手段および回転方向のアライメント手段のうちの少なくとも1つを備える。
【0080】
外側アライメントジャケットの主な目的は、フェルール構造体の剛性かつ機械的な強度を確保するとともに、光の出射ビームまたは入力結合ビームに対してPCFのより簡単なアライメントを確保することである。さらに、軸方向および回転方向のアライメントについては、外側アライメントジャケットは非常に有益である。
【0081】
一実施形態において、アライメント手段は、軸方向(z方向)のアライメント手段、半径方向(x,y方向)のアライメント手段、および回転方向のアライメント手段のうちの少なくとも1つを備える。
【0082】
有利なことに、アライメント手段は1以上のフランジ、1以上の突起、1以上の窪みおよび/または1以上のマーキングを備える。
好ましくは、アライメント手段は、位置決め制御付きの取付用フランジを備える。
【0083】
一実施形態において、アライメント手段は、回転方向のファイバ配向、例えばPM配向のマーカを備える。
一般に、PM軸がフェルールの外側でのアライメント手段に対してアラインされるように、フェルールのファイバを回転できることが望ましい。これは、例えば、アンカー長区間のすぐ隣の内側フェルール後区間に対応するマーキングを有することによって提供されてもよい。
【0084】
一実施形態において、フェルール構造体は外側フェルール構成を冷却流体によって冷却するように構成されているとともに外側アライメントジャケットは水などの冷却流体の少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口をもつ通路を備えるか、フェルール構造体は外側フェルール構成を冷却流体によって冷却するように構成されているか、または外側アライメントジャケットは水などの冷却流体の少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口をもつ通路を備える。外側フェルール構成の通路および外側アライメントジャケットの両方または一方は、有利なことに、良好な熱散逸を提供するため、下地要素をらせん状に取り囲むように配置される。ストリッピングおよび/または出力結合される光を、内側フェルール構成を介して外側フェルール構成が通すことを確保することにより、この光は外側フェルール構成を介して逃げ、外側アライメントジャケットに吸収されてもよい。それにより、外側アライメントジャケットが加熱されるが、冷却流体による外側アライメントジャケットの冷却により、PCFが高出力で光を伝送しているときでも、温度を許容レベルに保てる。
【0085】
一実施形態において、アセンブリは、温度のモニタリング、コネクタのパフォーマンスのモニタリング、およびファイバの損傷のモニタリングのうちの少なくとも1つのために、1以上のセンサ、例えば1以上の光学センサおよび/または電気センサおよび/または化学センサなどをさらに備える。センサは、有利なことに、外側フェルール構成および/または外側アライメントジャケットなど、フェルール構造体内に配置される。有利なことに、センサはファイバセンサであるが、原則として、非ファイバセンサも適用可能である。
【0086】
一実施形態において、アセンブリは、第2ファイバ端部を備えるPCFの第2端部区間に接続される第2フェルール構造体を備える。第2フェルール構造体は、好ましくは、前述したフェルール構造体であり、PCFの第2端部区間に、前述したように対応する方法で取り付けられる。一実施形態において、PCFの第2端部はファイバ接合端部であり、および/または自由空間結合を備えて結合される。
【0087】
本発明は、前述したPCFアセンブリを備えるレーザシステムも備える。
レーザシステムは、有利なことに、レーザ光源を備え、PCFアセンブリはレーザ光源から光を受光するためにレーザ光源に光学的に接続される。レーザ光源は、一実施形態では、例えばPCFに溶融することにより、PCFに光を直接的に送るために配置されてもよい。一実施形態において、レーザ光源は1以上の光学要素介しておよび/または自由空間を介してPCFに光を送るために配置される。
【0088】
好ましくは、PCFアセンブリは装置の採光ステーションに光を伝送するように構成される。好ましくは、フェルール構造体をもつ第1ファイバ端部はユーザ装置に接続するように構成される。
【0089】
装置は、例えば、顕微鏡、手術装置、測定装置(計測)、材料加工装置、照明装置、その任意の組み合わせ、および/または以下詳細に説明する装置である。
レーザ光源は、原則として、CWレーザ光源またはパルスレーザ光源などの、任意の種類のレーザ光源であってもよい。レーザ光源は当業界で周知であり、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。
【0090】
一実施形態において、レーザ光源はレーザ光パルスを生成するように構成され、好ましくは、レーザ光源はフェムト秒レーザ光源またはピコ秒レーザ光源またはナノ秒レーザ光源である。
【0091】
一実施形態において、レーザ光源は約30fsから約30psまで、例えば約100fsから約10psまでのポンプ持続時間を有する。
一実施形態において、レーザ光源は、少なくとも約5kW、例えば少なくとも約10kWなど、例えば少なくとも約30kWなど、例えば少なくとも約50kWなどのレーザ光源の出口において決定されるピーク出力を有する。
【0092】
レーザ光源は、有利なことに、モード同期レーザ光源である。一実施形態において、レーザ光源は能動的モード同期レーザである。一実施形態において、レーザ光源は受動的モード同期レーザである。モード同期レーザは、好ましくは、1以上の増幅器を備える。
【0093】
一実施形態において、レーザシステムはスーパーコンティニューム生成のために構成され、レーザ光源は、スーパーコンティニューム生成のためにPCFを供給するように配置されるモード同期ポンプパルス光源である。PCFは、好ましくは、国際公開第15144181号、国際公開第15003715号、国際公開第15003714号、米国特許出願公開第2015192732号明細書、および/または米国特許出願公開第2011013652号明細書に記述されるPCFなどの、スーパーコンティニューム生成に適したソリッドコアPCFである。
【0094】
PCFがソリッドコアPCFである一実施形態において、PCFは、複数の非中実のクラッド介在物および中実のクラッド介在物の両方または一方を備える微細構造化ソリッドコアPCFであることが望ましい。ソリッドコアPCFは、好ましくは、約200nmから約4.5μmまでの範囲の少なくとも1つの波長、好ましくは1000nmから約1100nmまでの範囲の少なくとも1つの波長を備える光、好ましくはシングルモード光を案内するように構成される。
【0095】
一実施形態において、PCFは中空コアPCFであり、好ましくは、中空コアPCFは、約200nmから約4.5μmまでの範囲の少なくとも1つの波長、好ましくは1000nmから約1100nmまでの範囲の少なくとも1つの波長を備える光、好ましくはシングルモード光を案内するように構成される。
【0096】
一実施形態において、PCFは、好ましくは少なくとも約0.1μm、例えば少なくとも約0.3μmなど、例えば少なくとも約0.5μmなどにまたがる光の波長の連続波を案内するように構成される。
【0097】
一実施形態において、中空コアPCFは、外側クラッド領域と、外側クラッド領域に取り囲まれているN本の中空管とを備え、中空管の各々が外側クラッドに溶融されて、内側クラッド領域および内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域を画定するリングを形成し、好ましくは、Nは6から12であり、より好ましくは、Nは7である。有利なことに、中空管は互いに接触しておらず、好ましくは、中空管は隣接する中空管に対して実質的に等距離を空けて配置される。
【0098】
中空コアPCFは、有利なことに、本件出願人による「中空コア光ファイバおよびレーザシステム(HOLLOW CORE OPTICAL FIBER AND A LASER SYSTEM)」の名称の同時継続出願であるデンマーク特許出願第201570877号明細書に記述される通りである。
【0099】
このレーザシステムのPCFは、有利なことに、約3μmから約100μmまで、例えば約10μmから約50μmまでなど、例えば約10μmから約30μmまでなどのコア領域直径を有する。
【0100】
本発明は、前述したPCFアセンブリに適した1組の相関フェルール要素も備える。
1組の相関フェルール要素は、前述したPCFアセンブリを生成するために、PCFにフェルール構造体を提供するために必要な要素を備える。
【0101】
1組の相関フェルール要素は、
・内側フェルール構成を形成するための内側フェルール前区間および内側フェルール後区間と、
・外側フェルール構成と、を備え、
内側フェルール前区間、内側フェルール後区間および外側フェルール構成の各々が長さおよび中心軸を有し、それぞれの中心軸に平行な、またはそれらと一致する主中空貫通孔を備え、1組の相関フェルール要素は、好ましくは、長さおよび中心軸を有するアライメントスリーブをさらに備え、中心軸に平行な、またはそれと一致する主中空貫通孔を備える。
【0102】
有利なことに、要素は、アライメントスリーブを内側フェルール前区間の主中空貫通孔内に位置付けることができ、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間を、内側フェルール構成を形成するために外側フェルール構成の主中空貫通孔内に取り付けることができるように相関される。それにより、1組の相関フェルール要素はPCFとともにPCFアセンブリに組み立てられてもよい。
【0103】
アライメントスリーブは、有利なことに、毛細管であり、アライメントスリーブの主中空貫通孔は約2mm以下、例えば約1mm以下など、例えば0.5mm以下などの内径を有し、アライメントスリーブは、好ましくは、前述した通りその長さの少なくとも一部でコラプス可能である。
【0104】
アライメントスリーブは、有利なことに、前述した通りにし、前述した材料から作られてもよい。
一実施形態において、アライメントスリーブは、好ましくは少なくとも約1mm、例えば約2mmから約5cmまでなどの軸方向の長さを有する。
【0105】
内側フェルール前区間および内側フェルール後区間ならびに外側フェルール構成は、有利なことに、前述した通りにし、前述した材料から作られる。
一実施形態において、1組は、内側フェルール前区間に取り付けることにより、または外側フェルール構成の外側フェルール前区間に取り付けることにより、内側フェルール前区間の前に配置されるように構成されるエンドキャップをさらに備える。エンドキャップは、好ましくは、例えば前述したように、反射防止コーティングされたシリカエンドキャップである。
【0106】
一実施形態において、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間のそれぞれは、流体通路を提供するための1以上の追加貫通孔を備え、追加貫通孔は、好ましくは、それぞれの内側フェルール区間の軸に実質的に平行であり、オプションで、追加貫通孔は内側フェルール後区間からの出口に、例えば前述したようなバルブ構成を備える。
【0107】
一実施形態において、内側フェルール前区間は後端部を有し、後端部の少なくとも半径方向外側部分は内側フェルール前区間の中心軸に対して傾斜しているとともに後端部は好ましくは前述したように光を出力結合するために反射コーティングで被覆されるか、後端部の少なくとも半径方向外側部分は内側フェルール前区間の中心軸に対して傾斜しているか、または後端部は好ましくは前述したように光を出力結合するために反射コーティングで被覆される。
【0108】
一実施形態において、内側フェルール前区間は後端部を有し、後端部の少なくとも半径方向内側部分は、中心軸に対して傾斜して漏斗形状を形成することによって、例えば前述したようにPCFを内側フェルール前区間に挿入しやすくなる。
【0109】
有利なことに、内側フェルール前区間は前端部を有し、前端部は反射コーティングで被覆される。
一実施形態において、内側フェルール後区間は前端部を有し、前端部は内側フェルール後区間の中心軸に対して傾斜しているとともに前端部は好ましくは前述したように反射コーティングで被覆されるか、前端部は内側フェルール後区間の中心軸に対して傾斜しているか、または前端部は好ましくは前述したように反射コーティングで被覆される。
【0110】
一実施形態において、内側フェルール前区間および内側フェルール後区間のうちの少なくとも1つはその主中空貫通孔に通じる溝を有し、溝は、好ましくは、少なくとも約20度、例えば最大約350度など、例えば最大約90度などで延びている環状方向の延長部を有する。
【0111】
一実施形態において、1組は、例えば前述したように、外側フェルール構成を取り囲むように配置することができるよう外側フェルール構成に相関される外側アライメントジャケットをさらに備える。外側アライメントジャケットは、好ましくは、例えば前述したアライメント手段を備える。
【0112】
有利なことに、外側フェルール構成および/または外側アライメントジャケットは、例えば前述したように、冷却流体用の少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口をもつ通路を備える。
【0113】
本発明は、前述したレーザシステムを備える装置も備え、PCFアセンブリは装置の受光ステーションに光を伝送するように構成される。
装置は、原則として、その操作にレーザ光を使用する任意の種類の装置であってもよい。一実施形態において、装置は対象物を照らすように構成されている照明装置であり、照明装置は、好ましくは、顕微鏡、分光器または内視鏡から選択される。
【0114】
一実施形態において、照明源は、蛍光イメージング、蛍光寿命イメージング(FLIM:Fluorescence Lifetime Imaging)、全反射照明蛍光(TIRF:Total Internal Reflection Fluorescence)顕微鏡法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:fluorescence resonance energy transfer)、パルス交替励起フォスター共鳴エネルギー移動(PIE-FRET:pulse interleave excitation foster resonance energy transfer)、ブロードバンド分光法、ナノフォトニクス、フローサイトメトリ、計測などの工業用検査、ガス検知などのリングダウン分光法、ハイパースペクトル分光法(例えば果実の作物分析、飛行時間分光法(TCSPC:time of flight spectroscopy))などの分光分析法、1分子イメージング、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに適合される。
【0115】
一実施形態において、装置は、好ましくは穴明け、マーキング、切削、およびスクライビングのうちの少なくとも1つなどの材料加工用のマイクロ加工装置である。
一実施形態において、装置は、目の手術(眼科)用の装置などの手術装置である。
【0116】
上記説明した本発明および本発明の実施形態のすべての特徴は、範囲および好適な範囲を含め、かかる特徴を組み合わせるべきではない特別の理由がない限り、本発明の範囲内で様々な形で組み合わせることができる。
【0117】
本発明の上記および/または追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の例示的かつ非限定的な本発明の実施形態の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】本発明によるPCFアセンブリの第1実施形態の断面図であり、後端部の半径方向内側部分は中心軸に対して傾斜して漏斗形状を形成している。
図2】本発明によるPCFアセンブリの第2実施形態の断面図であり、内側フェルール後区間は、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間の隙間に通じる通路を有する。
図3】本発明によるPCFアセンブリの第3実施形態の断面図であり、PCFはその第1ファイバ端部区間にモードストリッパ区間を有し、内側フェルール前区間は、PCFの前記モードストリッパ長さ区間を露出させる溝を有する。
図4】本発明によるPCFアセンブリの第4実施形態の断面図であり、PCFはその第1ファイバ端部区間にモードストリッパ区間を有し、内側フェルール後区間は、PCFの前記モードストリッパ長さ区間を露出させる溝を有する。
図5】本発明によるPCFアセンブリの第5実施形態の断面図であり、内側フェルール前区間の後端部の一部がフェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合する。
図6】本発明によるPCFアセンブリの第6実施形態の断面図であり、内側フェルール後区間の後端部は、その環状延長部全体が、フェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合する。
図7】本発明によるPCFアセンブリの第7実施形態の断面図であり、PCFはその第1ファイバ端部区間に、内側フェルール前区間と内側フェルール後区間との間の隙間にモードストリッパ区間を有する。
図8】本発明によるPCFアセンブリの第8実施形態の断面図であり、PCFアセンブリは、内側フェルール前区間に取り付けられるエンドキャップを備える。
図9】本発明によるPCFアセンブリの第9実施形態の断面図であり、PCFアセンブリは、外側フェルール前区間に取り付けられるエンドキャップを備える。
図9a図9に図示する第9実施形態の変型例であるPCFアセンブリの断面図である。
図10】本発明によるPCFアセンブリの第10実施形態の断面図であり、PCFアセンブリは外側アライメントジャケットを備える。
図11】本発明によるPCFアセンブリの第11実施形態の断面図であり、PCFアセンブリはアライメントスリーブを備える。
図12】本発明によるPCFアセンブリの第12実施形態の断面図であり、PCFアセンブリはアライメントスリーブを備え、PCFは中空コア毛細管の区画を備える。
図12b図12のPCFアセンブリのアライメントスリーブおよび支持される第1ファイバ端部区間の拡大断面図である。
図13】本発明によるPCFアセンブリの第13実施形態の断面図であり、PCFアセンブリは、コラプスされた支持区間をもつアライメントスリーブを備える。
図13b図13のPCFアセンブリのアライメントスリーブおよび支持される第1ファイバ端部区間の拡大断面図。
図14a】PCFファイバ端部区間の略断面図。
図14b】PCFファイバ端部区間の略断面図。
図14c】PCFファイバ端部区間の略断面図。
図14d】PCFファイバ端部区間の略断面図。
図15】本発明の一実施形態のレーザシステムおよびユーザ装置の略図。
図16】本発明の一実施形態の装置およびユーザ装置の略図。
図17a】レーザシステムがスーパーコンティニュームレーザシステムである本発明の一実施形態の装置およびユーザ装置の略図。
図17b】レーザシステムがスーパーコンティニュームレーザシステムである本発明の一実施形態の装置およびユーザ装置の略図。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図面は簡略図であり、明確にするために単純化していることがある。全体を通し、同一の部品または対応する部品には同じ参照符号を使用している。
図1のPCFアセンブリは、第1ファイバ端部1aが設けられた第1ファイバ端部区間1を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFと、フェルール構造体とを備える。フェルール構造体は、第1ファイバ端部1aの近位に内側フェルール前区間2と、第1ファイバ端部1aの遠位に内側フェルール後区間3とを備える内側フェルール構成を備える。内側フェルール前区間2および内側フェルール後区間3は、それぞれ、内側フェルール前区間2および内側フェルール後区間の中心軸に一致する中空貫通孔2a、3aを備える。PCF第1ファイバ端部区間は前記中空貫通孔2a、3aに取り付けられて、内側フェルール構成が第1ファイバ端部区間を取り囲むようにする。
【0120】
内側フェルール後区間3はアンカー長区間3bで前記第1ファイバ端部区間1に繋止され、PCFの1cの地点から第1ファイバ端部まで、PCFにはポリマーコーティングがない。内側フェルール前区間2は第1ファイバ端部区間1を、その第1ファイバ端部区間を軸方向の位置に第1ファイバ端部の近位に機械的に保持することによって、第1ファイバ端部1aの近位に支持する。見て分かるように、内側フェルール前区間と第1ファイバ端部とがPCFの中心軸に垂直な平面においてアラインされている。
【0121】
フェルール構造体は、内側フェルール構成を取り囲むように配置される外側フェルール構成5をさらに備える。外側フェルール構成5は内側フェルール前区間2および内側フェルール後区間3の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間4を形成する。外側フェルール構成5はその両端のそれぞれで、内側フェルール構成の各区間2、3に半田6によって固定される。
【0122】
PCF第1ファイバ端部区間は、有利なことに、内側フェルール前区間2と内側フェルール後区間3との間の隙間4に比較的まっすぐに保持される。図示していない代替実施形態では、PCPは内側フェルール前区間2と内側フェルール後区間3との間に余剰長さを有する。
【0123】
内側フェルール前区間2の後端部の半径方向内側部分2cは中心軸に対して傾斜して漏斗形状を形成するので、組立中PCF1を内側フェルール前区間に送り込みやすくなる。内側フェルール前区間2の後端部の半径方向外側部分2dは、有利なことに、傾斜した反射コーティングで被覆されて、内側フェルール構成内で伝播する光を後方反射する。
【0124】
さらに、内側フェルール前区間2の前端部2eは、好ましくは、反射コーティングで被覆されて、フェルール構造体を入射光および/または後方反射光に対して保護し、内側フェルール後区間の前端部3eは、好ましくは、反射コーティングで被覆されて、入射光および/または後方反射光に対して保護される。
【0125】
図2のPCFアセンブリは、第1ファイバ端部11aが設けられた第1ファイバ端部区間11を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFと、フェルール構造体とを備える。フェルール構造体は、第1ファイバ端部11aの近位に内側フェルール前区間12と、第1ファイバ端部11aの遠位に内側後区間13とを備える内側フェルール構成を備える。内側フェルール後区間13はアンカー長区間13bで第1ファイバ端部区間11に繋止されて、PCFの11cの地点から第1ファイバ端部まで、PCFにはポリマーコーティングがない。フェルール構造体は、内側フェルール前区間12および内側フェルール後区間13の各々に固定されて配置される外側フェルール構成15を備え、これらを互いに対して定位置に保持する。内側フェルール後区間の前端部3eは、好ましくは、反射コーティングで被覆されて、入射光および/または後方反射光に対して保護する。
【0126】
内側フェルール後区間13の前端部13eはフェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、フェルール光を出力結合するための外向き端面を形成する。外側フェルール構成15は、好ましくは、出力結合光に実質的に透明である。内側フェルール後区間13は、内側フェルール前区間12と内側フェルール後区間15との間の隙間14に通じる通路13fを備える。通路は前述したように隙間14に流体を充填し、または隙間14から流体を注出するために使用してもよい。
【0127】
図3のPCFアセンブリは、第1ファイバ端部21aが設けられた第1ファイバ端部区間21を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFと、フェルール構造体とを備える。フェルール構造体は、第1ファイバ端部21aの近位に内側フェルール前区間22と、第1ファイバ端部21aの遠位に内側フェルール後区間23とを備え、第1ファイバ端部区間21を取り囲む内側フェルール構成を備える。
【0128】
内側フェルール後区間23はアンカー長区間23bで前記第1ファイバ端部区間21に繋止され、PCFの21cの地点から第1ファイバ端部まで、PCFにはポリマーコーティングがない。内側フェルール前区間22は、前記第1ファイバ端部区間を軸方向の位置において第1ファイバ端部の近位に機械的に保持することによって、第1ファイバ端部区間21を第1ファイバ端部21aの近位に支持する。
【0129】
フェルール構造体は、内側フェルール前区間22および内側フェルール後区間23の各々に固定される外側フェルール構成25をさらに備え、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間24を形成する。外側フェルール構成25はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間22、23に半田26によって固定される。
【0130】
内側フェルール後区間23の前端部23eはフェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合するために外向き端面を形成するとともに、後方反射を低減する。内側フェルール後区間23は、内側フェルール前区間22と内側フェルール後区間25との間の隙間24に通じる通路23fをさらに備える。通路は前述したように隙間24に流体を充填し、または隙間24から流体を注出するために使用してもよい。PCFはその第1ファイバ端部区間21にモードストリッパ区間27を有し、内側フェルール前区間22はPCFモードストリッパ長さ区間27を露出させる溝27aを有する。
【0131】
モードストリッパ27の出力結合効率をモニタリングするために、PCFモードストリッパ長さ区間を露出させる溝27aの上の外側フェルール構成25にセンサ28が取り付けられる。
【0132】
図3のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間31を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間32と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間33とを備え、第1ファイバ端部区間31を取り囲む。
【0133】
内側フェルール後区間33は第1ファイバ端部区間31に繋止され、PCFの31cの地点からPCFの第1ファイバ端部まで、PCFにはポリマーコーティングがない。内側フェルール前区間32は、前記第1ファイバ端部区間を軸方向の位置において第1ファイバ端部の近位に機械的に保持することによって、第1ファイバ端部区間31を第1ファイバ端部31aの近位に支持する。
【0134】
フェルール構造体は、内側フェルール前区間32および内側フェルール後区間33の各々に固定される外側フェルール構成35をさらに備え、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間34を形成する。外側フェルール構成35はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間32、33に半田36で固定される。
【0135】
PCFはその第1ファイバ端部区間31にモードストリッパ区間37を有し、内側フェルール後区間33はPCFモードストリッパ長さ区間37を露出させる溝37aを有する。
【0136】
モードストリッパ37の出力結合効率をモニタリングするため、PCFモードストリッパ長さ区間を露出させる溝37aの上の外側フェルール構成35にセンサ38が取り付けられる。
【0137】
図5のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間41を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間42と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間43とを備え、第1ファイバ端部区間41を取り囲む。
【0138】
内側フェルール後区間43は第1ファイバ端部区間41に繋止されて、PCFの41cの地点から第1ファイバ端部まで、PCFにはポリマーコーティングがない。内側フェルール前区間42は、前記第1ファイバ端部区間を軸方向の位置において第1ファイバ端部の近位に機械的に保持することによって、第1ファイバ端部区間41を第1ファイバ端部41aの近位に支持する。
【0139】
フェルール構造体は、内側フェルール前区間42および内側フェルール後区間43の各々に固定される外側フェルール構成45をさらに備え、これらを互いに定位置に保持するとともに、その間に隙間44を形成する。外側フェルール構成45は、その端部のそれぞれに、内側フェルール構成のそれぞれの区間42、43に半田46で固定される。
【0140】
PCFはその第1ファイバ端部区間41にモードストリッパ区間47を有し、内側フェルール後区間43はPCFモードストリッパ長さ区間47を露出させる溝47aを有する。
【0141】
内側フェルール後区間43の前端部43eはフェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合するための外向き端面を形成するとともに、光の後方反射を低減する。部分42b(例えば、内側フェルール前区間の後端部の半環状形部分)はフェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合するとともに、光の後方反射を低減する。残りの部分42cは傾斜せずに、中心軸に対して実質的に垂直な端面を有する。内側フェルール前区間の後端部の傾斜しない部分42cは、有利なことに、光の後方反射を低減するために反射コーティングで被覆される。
【0142】
内側フェルール前区間の傾斜部分42bおよびモードストリッパ47のそれぞれの出力結合効率をモニタリングするために、内側フェルール前区間の後端部およびPCFモードストリッパ長さ区間を露出させる溝47aのそれぞれの上の外側フェルール構成45にセンサ48a、48bが取り付けられる。
【0143】
図6のPCFアセンブリは図5のPCFアセンブリの変型例であり、内側フェルール前区間の後端部の後端部42b全体がフェルール構造体の中心軸に対して傾斜して、内側フェルール構成内で伝播する光を出力結合するとともに、光の後方反射を低減する変更がなされている。
【0144】
図7のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間51を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間52と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間53とを備え、第1ファイバ端部区間51を取り囲む。
【0145】
内側フェルール後区間53は第1ファイバ端部区間51に繋止されて、PCFの51cの地点から第1ファイバ端部51aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。内側フェルール前区間52は、前記第1ファイバ端部区間を軸方向の位置において第1ファイバ端部の近位に機械的に保持することによって、第1ファイバ端部区間51を第1ファイバ端部51aの近位に支持する。
【0146】
フェルール構造体は、内側フェルール前区間52および内側フェルール後区間53の各々に固定される外側フェルール構成55をさらに備え、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間54を形成する。外側フェルール構成55はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間52、53に半田56で固定される。
【0147】
PCFはその第1ファイバ端部区間51に、内側フェルール前区間52と内側フェルール後区間53との間に位置付けられるモードストリッパ区間57を有する。
図8のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間61を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間62と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間63とを備え、第1ファイバ端部区間61を取り囲む。
【0148】
内側フェルール後区間63はアンカー長区間63bで第1ファイバ端部区間61に繋止され、PCFの61cの地点から第1ファイバ端部61aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。
【0149】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間61と内側フェルール後区間63との間に環状ハーメチックシール66aを形成するために第1ファイバ端部区間61を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素66aを備え、ハーメチック半田要素66aは内側フェルール後区間のアンカー長区間63bよりも前環状区間62の近くに配置される。図面で分かるように、内側フェルール後区間63のアンカー長区間63bは完全には環状形ではなく、内側フェルール後区間のアンカー長区間63は、好ましくは、PCFの周りを約20度から約350度まで、例えば約180度などで延びている。
【0150】
フェルール構造体は、内側フェルール前区間62および内側フェルール後区間63の各々に固定される外側フェルール構成65をさらに備え、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間64を形成する。外側フェルール構成65はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間62、63に半田66で固定される。
【0151】
フェルール構造体は第1ファイバ端部61cの前に、好ましくは第1ファイバ端部61cに直接的に接触して配置されるエンドキャップ67をさらに備える。エンドキャップ67は内側フェルール前区間に直接的に固定される。上記説明したように、この実施形態はPCFがソリッドコアPCFの場合に特に有益である。
【0152】
図9のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間71を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間72と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間73とを備え、第1ファイバ端部区間71を取り囲む。
【0153】
内側フェルール後区間73はアンカー長区間73bで第1ファイバ端部区間71に繋止され、PCFの71cの地点から第1ファイバ端部71aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。
【0154】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間71と内側フェルール後区間73との間に環状ハーメチックシール76aを形成するために第1ファイバ端部区間71を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素76aを備え、ハーメチック半田要素76aは内側フェルール後区間のアンカー長区間73bよりも前環状区間72の近くに配置される。
【0155】
ハーメチック半田要素は、第1ファイバ端部71cからハーメチック半田要素76aのz方向の位置まで、第1ファイバ端部区間71のハーメチックシールを確保する。
フェルール構造体は、外側フェルール前区間75aおよび外側フェルール後区間75を備える外側フェルール構成75、75aをさらに備える。外側フェルール後区間75は内側フェルール前区間72および内側フェルール後区間73の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間74を形成する。外側フェルール後区間75は、その端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間72、73に半田76で固定され、外側フェルール前区間75aは内側フェルール前区間72に半田76で固定される。
【0156】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部71cの前に配置されるエンドキャップ77をさらに備える。エンドキャップ77は内側フェルール前区間72から離して取り付けられることによって、エンドキャップ77と内側フェルール前区間72との間にエンドキャップ空間78を形成する。エンドキャップは外側フェルール構成の外側フェルール前区間75aに固定される。それによって、外側フェルール構成の外側フェルール前区間75aは、内側フェルール前区間72および第1ファイバ端部区間71cに対して所望の位置においてエンドキャップ77を保持する。上記説明したように、この実施形態はPCFが中空コアPCFである場合に特に有益である。
【0157】
内側フェルール構成72、73は、流体を注入および/または注出するためのエンドキャップ空間78に通じる通路を備える。通路は、内側フェルール前区間72および内側フェルール後区間73のそれぞれの追加貫通孔72f、73fによって提供される。有利なことに、貫通孔72f、73fおよびエンドキャップ空間78に通じる所望の開閉機能を確保するために、図示されていないバルブ構成が配置される。
【0158】
図9aに図示するPCFアセンブリは、図9のPCFアセンブリとは、エンドキャップがレンズ77aであること、好ましくはレンズ77aがその両面に反射防止コーティングを備える点が異なる。
【0159】
図10のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間81を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間82と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間83とを備え、第1ファイバ端部区間81を取り囲む。
【0160】
内側フェルール後区間83はアンカー長区間83bで第1ファイバ端部区間81に繋止され、PCFの81cの地点から第1ファイバ端部81aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。
【0161】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間81と内側フェルール後区間83との間に環状ハーメチックシール86aを形成するために第1ファイバ端部区間81を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素86aを備える。
【0162】
ハーメチック半田要素86aは、第1ファイバ端部81cからハーメチック半田要素86aのz方向の位置まで、第1ファイバ端部区間81のハーメチックシールを確保する。
外側フェルール後区間85は内側フェルール前区間82および内側フェルール後区間83の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間を形成する。外側フェルール後区間85はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間82、83に半田86で固定され、外側フェルール前区間85aは内側フェルール前区間82に半田86で固定される。
【0163】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部81cの前に配置されるエンドキャップ87をさらに備える。エンドキャップ87は内側フェルール前区間82から離して取り付けられ、それによってエンドキャップ87と内側フェルール前区間82との間にエンドキャップ空間88を形成する。エンドキャップは外側フェルール構成の外側フェルール前区間85aに固定される。
【0164】
フェルール構造体は外側フェルール構成85、85aを取り囲む外側アライメントジャケット89を備え、外側アライメントジャケットは、好ましくは、図示される実施形態におけるアライメント用フランジ89aと回転方向アライメント用、例えばファイバ回転配向用の突起89bとを含む、アライメント用手段89a、89bを備える。
【0165】
図11のPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間91を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間92と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間93とを備え、第1ファイバ端部区間91を取り囲む。
【0166】
アセンブリは、内側フェルール前区間92と第1ファイバ91の端部区間との間に配置されて第1ファイバ端部区間91を完全に取り囲むアライメントスリーブ90をさらに備え、内側フェルール前区間92はアライメントスリーブ90を介して第1ファイバ端部区間91を第1ファイバ端部91aの近位に支持するようになる。図11に図示する実施形態では、アライメントスリーブ90は毛細管の短い区間である。
【0167】
アライメントスリーブ90の前端部、内側フェルール前区間92の前端部、および第1ファイバ端部91aは、フェルール構造体の中心軸に対して垂直な平面においてアラインしている。
【0168】
内側フェルール後区間93はアンカー長区間93bで第1ファイバ端部区間91に繋止され、PCFの91cの地点から第1ファイバ端部91aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。
【0169】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間91と内側フェルール後区間93との間に環状ハーメチックシール96aを形成するために第1ファイバ端部区間91を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素96aを備える。
【0170】
外側フェルール後区間95は内側フェルール前区間92および内側フェルール後区間93の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間を形成する。外側フェルール後区間95はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間92、93に半田96で固定され、外側フェルール前区間95aは内側フェルール前区間92に半田96で固定される。
【0171】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部91cの前に配置されるエンドキャップ97をさらに備える。エンドキャップ97は内側フェルール前区間92から離して取り付けられる。エンドキャップは外側フェルール構成の外側フェルール前区間85aに固定される。
【0172】
フェルール構造体は外側フェルール構成95、95aを取り囲む外側アライメントジャケット99を備え、外側アライメントジャケットは、好ましくは、アライメント用手段99a、99bを備える。
【0173】
コネクタのパフォーマンスをモニタリングし、および/またはファイバの損傷をモニタリングするために、外側アライメントジャケット99にセンサ98が取り付けられる。
図12および図12aのPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間101を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間102と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間103とを備え、第1ファイバ端部区間101を取り囲む。
【0174】
アセンブリは、内側フェルール前区間102と第1ファイバ101の端部区間との間に配置されて第1ファイバ端部区間101を完全に取り囲むアライメントスリーブ100をさらに備え、内側フェルール前区間102はアライメントスリーブ100を介して第1ファイバ端部区間101を第1ファイバ端部101aの近位に支持するようになる。図11に図示する実施形態では、アライメントスリーブ100は毛細管の短い区間である。図12aではアライメントスリーブ100および支持される第1ファイバ端部区間101を拡大しており、PCFが別のファイバ101bの短い区間を備えることが分かり、これは有利なことに中空コア毛細管101bの1区画である。
【0175】
アライメントスリーブ100の前端部、内側フェルール前区間102の前端部、および第1ファイバ端部101aは、フェルール構造体の中心軸に対して垂直な平面においてアラインしている。
【0176】
内側フェルール後区間103はアンカー長区間103bで第1ファイバ端部区間101に繋止され、PCFの101cの地点から第1ファイバ端部101aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。
【0177】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間101と内側フェルール後区間103との間に環状ハーメチックシール106aを形成するために第1ファイバ端部区間101を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素86aを備える。
【0178】
外側フェルール後区間105は内側フェルール前区間102および内側フェルール後区間103の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間を形成する。外側フェルール後区間105はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間102、103に半田106で固定され、外側フェルール前区間105aは内側フェルール前区間102に半田106で固定される。
【0179】
フェルール構造体は第1ファイバ端部101cの前に配置されるエンドキャップ107をさらに備える。エンドキャップ107は内側フェルール前区間102から離して取り付けられる。エンドキャップは外側フェルール構成の外側フェルール前区間105aに固定される。
【0180】
フェルール構造体は外側フェルール構成105、105aを取り囲む外側アライメントジャケット109を備え、外側アライメントジャケットは、好ましくは、アライメント用手段109a、109bを備える。
【0181】
コネクタのパフォーマンスをモニタリングし、および/またはファイバの損傷をモニタリングするために、外側アライメントジャケット109にセンサ108が取り付けられる。
【0182】
図13および図13aのPCFアセンブリは、内側フェルール構成を備えるフェルール構造体とともに組み立てられる第1ファイバ端部区間111を有するフォトニック結晶ファイバ(PCF)アセンブリ用PCFを備え、内側フェルール構成は、第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間112と、第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間113とを備え、第1ファイバ端部区間111を取り囲む。
【0183】
アセンブリは、内側フェルール前区間112と第1ファイバ111の端部区間との間に配置されて第1ファイバ端部区間111を完全に取り囲むアライメントスリーブ110をさらに備え、内側フェルール前区間112はアライメントスリーブ110を介して第1ファイバ端部区間111を第1ファイバ端部111aの近位に支持するようになる。アライメントスリーブ100は、支持長区間110bで第1ファイバ端部区間111上にコラプスされることによって、第1ファイバ端部区間111を支持する。アライメントスリーブ110のコラプスされない部分110aでは、アライメントスリーブ110は内側フェルール前区間112の内径に相関される外径を有する。
【0184】
内側フェルール後区間113はアンカー長区間113bで第1ファイバ端部区間111に繋止され、PCFの111cの地点から第1ファイバ端部111aまで、PCFにはポリマーコーティングがない。
【0185】
フェルール構造体は、第1ファイバ端部区間111と内側フェルール後区間113との間に環状ハーメチックシール116aを形成するために第1ファイバ端部区間111を取り囲むように配置されたハーメチック半田要素86aを備える。
【0186】
外側フェルール後区間115は内側フェルール前区間112および内側フェルール後区間113の各々に固定されて、これらを互いに対して定位置に保持するとともに、その間に隙間を形成する。外側フェルール後区間115はその端部のそれぞれで、内側フェルール構成のそれぞれの区間112、113に半田116で固定され、外側フェルール前区間115aは内側フェルール前区間112に半田116で固定される。
【0187】
フェルール構造体は内側フェルール前区間112から離して取り付けられるエンドキャップ117をさらに備える。エンドキャップは外側フェルール構成の外側フェルール前区間115aに固定される。
【0188】
フェルール構造体は外側フェルール構成115、115aを取り囲む外側アライメントジャケット119を備え、外側アライメントジャケットは、好ましくは、アライメント用手段119a、119bを備える。
【0189】
図14aに図示するPCFの端部区間は中空コアPCFであり、中空コア121と、複数のクラッド孔122が設けられた周囲のクラッドとを備える。第1ファイバ端部123に、PCFは、入射光および/または後方反射に対する保護のために、ファイバ端面(ファイバ端部)に金属または反射防止コーティングを有する。
【0190】
図14bに図示するPCFの端部区間は中空コアPCFであり、中空コア131と、複数のクラッド孔132が設けられた周囲のクラッドとを備える。第1ファイバ端部133に隣接する短い端部部分では、例えば、長さが最大約2mmの長さlをもつ端部部分では、PCFクラッド孔は他の方法でコラプスまたは封止されている。中空コア131は封止されない。
【0191】
図14cは、図14bに図示する中空コアPCFの別の図を示す。封止されたクラッド孔133のために、PCF内に伝送される光は長さlの端部部分では完全には閉じ込められず、光は円錐形状144に広がることが分かる。これを軽減するために、レンズは、例えば、第1ファイバ端部133の前に配置してもよい。
【0192】
図14eでは、図14cに図示する中空コアPCFに、入射光および/または後方反射に対する保護のために、金属コーティング133aをさらに施している。
図15に図示するレーザシステムは、レーザ光源141と、レーザ光源141からユーザ装置144まで光を伝送するファイバ伝送ケーブル142とを備える。ファイバ伝送ケーブル142は、その導波管として、ユーザ装置に相関された1以上の低損失伝送帯域をもつ前述の中空コアPCFを備える。示すように、ファイバ伝送ケーブル142はかなり長くてもよいが、それでもなお基本モードで高効率かつ低損失で、ユーザ装置144にシングルモード光を伝送することができる。ファイバ伝送ケーブル142は第1端部143aと第2端部143bとを有する。図示する実施形態では、第1端部143aおよび第2端部143bのそれぞれは、ユーザ装置144およびレーザ光源141にそれぞれ接続するために、前述のフェルール構造体に取り付けられる。
【0193】
図16の装置は、ユーザ装置114に接続される図15のレーザシステムを備える。
図17aおよび図17bの装置は、パルス光を伝送するレーザ光源151と、スーパーコンティニューム光を生成してユーザ装置154に伝送するように配置されたスーパーコンティニューム生成PCFのケーブル152とを備える。ファイバ伝送ケーブル152は、その導波管として、ソリッドコア155を取り囲む複数の微細構造166を備える、図17bに図示するソリッドコアPCFを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図9a
図10
図11
図12
図12b
図13
図13b
図14a
図14b
図14c
図14d
図15
図16
図17a
図17b
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック結晶ファイバ(PCF)と少なくとも1つのフェルール構造体とを備えるPCFアセンブリであって、前記PCFは中心軸を有し、コア領域およびクラッド領域と、第1ファイバ端部が設けられた第1ファイバ端部区間とを備え、前記フェルール構造体は中心軸を有し、前記第1ファイバ端部区間に取り付けられ、前記フェルール構造体は内側フェルール構成と前記第1ファイバ端部区間を取り囲む外側フェルール構成とを備え、前記内側フェルール構成は前記第1ファイバ端部の近位に内側フェルール前区間と、前記第1ファイバ端部の遠位に内側フェルール後区間とを備え、前記内側フェルール区間の各々が内径を有し、少なくともその長さで前記PCFを完全に取り囲み、前記内側フェルール後区間はアンカー長区間で前記第1ファイバ端部区間に繋止されて、前記内側フェルール前区間は前記第1ファイバ端部区間を前記第1ファイバ端部の近位に支持し、前記第1ファイバ端部区間の前記PCFの中心軸と前記フェルール構造体の中心軸とが、好ましくは実質的に平行であり、より好ましくは、前記第1ファイバ端部区間の前記PCFの中心軸と前記フェルール構造体の中心軸とが一致している、PCFアセンブリ。
【外国語明細書】