(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178222
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】動的インプラント固定プレート
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20241217BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61F2/44
A61F2/28
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024154909
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2021504189の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】62/703,562
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518436928
【氏名又は名称】ナノハイブ メディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー レイン
(72)【発明者】
【氏名】イアン ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ディール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ティンリー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ディー シャピュイス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エフ サリバン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーン エメリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】応力遮蔽の生起を減少し、またインプラント部位の荷重増加を可能にすることができる固定プレート及び対応するインプラントを提供する。
【解決手段】動的インプラント固定プレート10及び該開示した固定プレート10を受け入れるよう構成されたインプラント20は、幾つかの態様において、インプラント20を1つ又はそれ以上の平面に対して固定するとともに、1つ又はそれ以上の平面に対する相対移動を可能にする手段を提供することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に埋め込むよう構成され少なくとも1つの側面を含むインプラントと、
前記インプラントの前記側面に選択的にかつ回転可能に固定される細長プレートと、
を備える医療インプラントシステムにおいて、
前記細長プレートは、1つ以上の緊締具を前記細長プレートに挿通するよう構成された
複数の開口を有する、医療インプラントシステム。
【請求項2】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記複数の開口は、前記緊締具の
周りに回転するよう更に構成されている、医療インプラントシステム。
【請求項3】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記複数の開口は、さらに、第1
直径を有する滑らかな環状形状であり、前記緊締具は、さらに、第2直径を有する滑らか
な環状形状のヘッドを備え、前記第2直径は前記第1直径よりも小さい、医療インプラン
トシステム。
【請求項4】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、
前記インプラントは、さらに、前後方向、側方方向及び軸線方向を有し、
前記細長プレートは、前記インプラントに対して少なくとも1つの自由度を許容するよ
う構成されている、医療インプラントシステム。
【請求項5】
請求項4記載の医療インプラントシステムにおいて、前記細長プレートは、さらに、前
記インプラントに対して前から後への方向に関する固定位置を有し、前記インプラントの
前から後への方向の軸線周りに回転するよう構成されている、医療インプラントシステム
。
【請求項6】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記インプラントは、さらに、前
方及び後方の方向、側方方向及び軸線方向を有し、
前記細長プレートは、前記インプラントに対して少なくとも1つの自由度を許容するよ
う構成されている、医療インプラントシステム。
【請求項7】
請求項6記載の医療インプラントシステムにおいて、前記インプラントに対する前記自
由度は、さらに、軸線方向を含む、医療インプラントシステム。
【請求項8】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記細長プレートは、さらに、前
記インプラントの前記側面に向かって延在する1/4回転緊締具を有し、
前記インプラントは、さらに、前記細長プレートに位置する前記1/4回転緊締具に対
応する開口を有する、医療インプラントシステム。
【請求項9】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記細長プレートは、さらに、前
記インプラントに対してすべての方向に並進可能に固定し、また前記インプラントに対し
て少なくとも1つの方向に自由に回転可能である、医療インプラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本件出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする2018年7月2
6日出願の米国仮出願第62/703,562号の恩恵を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療インプラントに関し、とくに、固定プレートを使用して医療インプラン
トに関する。
【背景技術】
【0003】
医療インプラントは、様々な手段により体内の固定位置に埋め込むことができる。例え
ば、骨癒合インプラントは、骨ねじを使用して患者の骨に定着させることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示するのは動的インプラント固定プレート(以下に「固定プレート」と称
する)であり、この固定プレートは、幾つかの実施形態において、埋め込み後にインプラ
ントに対して相対移動を可能にすることができる。幾つかの実施形態において、固定プレ
ートは、埋め込み後にインプラントに対して及び/又は患者組織に対して回転又は相対移
動することができる。幾つかの実施形態において、固定プレートは、埋め込み後にインプ
ラントに対する軸線方向圧迫を可能にすることができる。本明細書に使用するように、用
語「組織(tissue)」は、限定しないが、筋肉組織、上皮組織、結合組織、結合組織、神
経組織及び骨構造を含む任意なタイプの生物学的、天然又は合成の組織に言及する。
【0005】
本明細書が提示する固定プレートの実施形態において、固定プレートは、固定プレート
がインプラントに対して少なくとも1つの自由度を有して取り付けることができる。本明
細書に使用するように、用語「自由度(degree of freedom)」は、動きが僅かなもので
あっても、独立した動きを生ずる方向に言及する。さらに、固定プレートは第1骨及び/
又は第2骨に取り付けることができ、各取付けは少なくとも1つの自由度を有する。幾つ
かの実施形態において、固定プレートは、取付けポイントに対して1つ以上の自由度を有
して、インプラント及び/又は組織に取り付けることができる。幾つかの実施形態におい
て、固定プレートは、円錐状自由度を有して、第1骨及び/又は第2骨に取り付けること
ができる。
【0006】
固定プレートの幾つかの実施形態は、凹状輪郭のねじ孔を有し、またねじヘッドのねじ
山部分に向かう端部の側から見て、ねじ孔の凹状輪郭に対応する凸状輪郭を有するねじヘ
ッド付きの骨ねじを使用して患者の骨に取り付ける。凸状輪郭を有するねじヘッド及び凹
状輪郭を有するねじ孔の使用により、少なくとも円錐状自由度での固定をもたらすことが
できる。この骨ねじヘッドは、ゼロより大きいすきま嵌めで固定プレートのねじ孔に対し
て固定することができ、このすきま嵌めは、幾つかの態様において或る量の並進運動をも
たらすことができ、また骨ねじヘッドと固定プレートのねじ孔との間における接合を防止
することができる。
【0007】
固定プレートは、少なくとも1つの自由度を持つ緊締手段を用いてインプラントに取り
付けることができる。固定プレートの幾つかの実施形態は、幾つかの態様において或る量
の並進運動をもたらすことができ、また固定プレート、インプラント及び/又は緊締手段
の間における接合を防止することができるゼロより大きいすきま嵌めを有する緊締手段を
使用する。使用することができる幾つかの緊締手段は、限定しないが、クオーターターン
緊締具、ねじ等々がある。
【0008】
固定プレートは、インプラントが1つ又はそれ以上の骨構造に固定される骨癒合インプ
ラントに使用するよう構成することができる。少なくとも1つの自由度を可能にするアン
カーを使用しての取付けによれば、固定プレートは、インプラントに対する軸線が第1骨
と第2骨との間における方向であるインプラントに対する軸線方向圧迫を有意に妨げない
。幾つかの実施形態は、純粋に軸線方向を超えての荷重を許容する少なくとも円錐状自由
度を使用する。
【0009】
本発明が開示する固定プレートは、インプラントに対する応力遮蔽を回避するのが望ま
しい状況に使用することができる。インプラントと患者の骨との間に堅固な取付けを使用
すると、新たな骨の成長及び既存の骨を応力から遮蔽し、この結果として、新たな骨の成
長を弱め、また骨損失を生ずる可能性を生ずる。本明細書が開示する固定プレートは、荷
重を支えるのではなく、インプラントに伝達し、インプラントの弾性率及び設置面積が埋
込み部位で許容される軸線方向圧迫量を決定する。
【0010】
軸線方向移動を許容するにも係わらず、本発明が開示する固定プレートは、側方移動又
は前後移動を適正に防止することができる。新たな骨の成長のための十分な軸線方向安定
性をもたらすインプラントを使用するとき、軸線方向以外の方向における適正な安定性を
もたらし、新生骨の成長を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】隣接単位セルの部分を有するラジアル(半径方向)支柱とともに、完全変更菱形12面体構造を含む単一変更菱形12面体単位セルの等角斜視図である。
【
図1B】単一変更菱形12面体単位セルの側面図であり、側方から見たときの相互接続形態を示す。
【
図1C】最長寸法測定法を使用して中央空所を測定している単一変更菱形12面体単位セルの側面図である。
【
図1D】最長寸法測定法を使用して相互接続部を測定している単一変更菱形12面体単位セルの側面図である。
【
図1E】最長球形測定法を使用して測定している変更菱形12面体単位セルの中央空所の側面図である。
【
図1F】最長球形測定法を使用して測定している相互接続部の平面方向に直交する方向から見た図である。
【
図1G】単一ラジアル12面菱形単位セルの等角図である。
【
図1H】単一ラジアル12面菱形単位セルの側面図である。
【
図1I】ラジアル12面菱形単位セルに使用することができる単一結節部及び単一支柱の組合せの例における等角図である。
【
図1J】ラジアル12面菱形単位セルに使用することができる単一結節部及び単一支柱の組合せの例における側面図である。
【
図1K】約3GPaの弾性率を有する格子に使用するよう構成された単一結節部及び単一支柱の組合せの、組合せ境界を画定する体積部のコーナーから見た側面図である。
【
図1L】約4GPaの弾性率を有する格子に使用するよう構成された単一結節部及び単一支柱の組合せの、組合せ境界を画定する体積部のコーナーから見た側面図である。
【
図1M】約10GPaの弾性率を有する格子に使用するよう構成された単一結節部及び単一支柱の組合せの、組合せ境界を画定する体積部のコーナーから見た側面図である。
【
図1N】組合せ境界及び側方分離角度を画定する体積部のコーナーから見た単一結節部及び2つの隣接支柱の組合せの側面図である。
【
図1O】単一結節部及び4つの支柱から成るサブ単位セルの等角図である。
【
図1P】2つのサブ単位セルの積層形態における等角図であり、上側サブ単位セルが下側サブ単位セルの頂部に反転して構成されている。
【
図1Q】互いに積層して単一単位セルを形成する8つのサブ単位セルの等角図である。
【
図1R】骨固定プレート、骨ねじ及びインプラントの側面図である。
【
図2】骨固定プレート、骨ねじ及びインプラントの等角図である。
【
図3】骨固定プレート及びインプラントの等角図である。
【
図4】骨固定プレート及びインプラントの側面図である。
【
図4A】骨固定プレート及び2つの骨ねじの側面図であり、隠れた形体部を破線で示す。
【
図5】骨固定プレート及びインプラントの側断面図である。
【
図6】骨固定プレート及びインプラントの背面図である。
【
図7】骨固定プレートを受け入れるインプラントの背面図である。
【
図8】骨固定プレート及びインプラントの側断面図である。
【
図9】骨固定プレートを受け入れるよう構成されたインプラントの等角断面図である。
【
図10】骨固定プレートを受け入れるよう構成されたインプラントの頂部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多くの状況において、経時的に骨付着又は骨一体化を可能にするインプラントを使用す
るのが望ましい。さらに、多くの状況において、生きている組織との付着又は一体化を可
能にするインプラントを使用するのが望ましい。骨に対する付着又は骨一体化が有益であ
るインプラントの例としては、限定しないが、頸部、腰部、及び胸部の椎体間癒合インプ
ラント、椎体置換、骨切り術ウェッジ、歯科インプラント、骨ステム、寛骨臼カップ、頭
蓋-顔面プレーティング、骨置換及び骨折プレーティングがある。多くの用途において、
さらに、新生骨成長の強度を増大させるよう応力付与するのが望ましい。ウォルフの法則
によれば、骨は骨に加わる応力に適合して、これにより応力付与下にある骨はより強く成
長し、また応力を受けない骨は脆弱になる。
【0013】
幾つかの態様において、本明細書記載のシステム及び方法は、骨一体化及び適切に応力
付与された新生骨成長刺激のために構成されたインプラントを企図することができる。本
発明の例示的インプラントの多くは、とくに、インプラント本体全体にわたる強い骨付着
及び/又は骨成長を有するのが望ましい状況での使用に有用である。骨成長が骨付着のた
めにのみ望ましいか、又はインプラント全体にわたってのみ望ましいかに係わらず、本発
明は、機械的間隔取りを行うことができる独特な格子構造、新生骨成長を支持する足場、
及び新生骨成長が生理学的力で荷重を受けることができる弾性率を組み込む。この結果と
して、本発明は、インプラント骨一体化後に、より確実な付着のために及び/又はより強
い骨のために、より強くまたより健康的な骨を成長させるインプラントを提供する。
【0014】
本明細書で提示する本発明の例示的実施形態は、全体的に又は部分的に格子を備えるこ
とができる。本明細書で使用される格子は、相互接続された1つ又はそれ以上の開口を有
し、開口経由で1つの場所から他の場所に流体が連通できる3次元材料に言及する。3次
元材料は、3次元空間を埋める(すなわち、高さ、幅及び長さを有する)材料を意味する
。格子は、反復する様々な幾何学的形状又は反復するランダム形状を含んで、相互接続さ
れた開口を有する材料を構築する多くの手段によって構成することができる。格子におけ
る開口は、3次元材料の境界内で材料がない任意なエリアである。したがって、格子の3
次元境界内では材料の体積部及びその材料がない容積部がある。
【0015】
格子構造を与える材料は一次材料と称する。格子構造は、任意な目的のための構造的支
持体をなす必要はなく、むしろ、格子を構成する開口及び相互接続部の構成を意味する。
格子における開口は、空所とする、ガス状流体で満たす、液状流体で満たす、固体で満た
す、又は部分的に流体及び/又は固体で満たすことができる。開口に対して相互接続部は
、一次材料がなく、少なくとも2つの場所を互いに結ぶエリアを意味する。相互接続部は
、流体が1つの場所から他の場所に通過できるよう構成することができる。
【0016】
格子は、一次材料体積と空所容積との間の比を意味し、所与の3次元材料に対するパー
センテージとして表される体積密度によって定義することができる。空所容積は、3次元
材料境界の体積と一次材料体積との間の差である。空所容積は、存在する開口容積、相互
接続部容積及び/又は他材料の容積から成るものとすることができる。例えば、30%体
積密度を有する格子は、或る体積に対して、30体積%の一次材料、及び70体積%の空
所から成る。90%体積密度を有する格子は、或る体積に対して、90体積%の一次材料
、及び10体積%の空所から成る。50%未満の体積密度を有する3次元材料において、
一次材料の体積は空所体積よりも少ない。体積密度が空所体積に言及する場合、空所が空
所のままである必要はなく、埋込み前、埋込み中、埋込み後に全体的又は部分的に流体又
は固体で満たすことができる。
【0017】
反復幾何学的パターンから成る格子は、反復単位セルの特性を用いて記述することがで
きる。反復幾何学的格子における単位セルは、格子を形成するよう反復できる3次元形状
である。反復単位セルは、格子構造の全体又は一部分にわたり格子構造又は格子パターン
で反復される複数の同一単位セルを意味することができる。各単位セルは、或る体積の一
次材料及び或る空所体積から成る、又は換言すると、スポット体積密度から成る。スポッ
ト体積密度は、できるだけ少ない部分単位セル、複数単位セルをカバーすることができる
。多くの状況でスポット体積密度は材料の体積密度に一致するが、局所的にスポット体積
密度を増減するのが望ましい状況がある。
【0018】
単位セルは、種々のタイプの構造を含む多数の体積形状にして構成することができる。
単位セルは、単位セル内における格子構造サイズ又は他タイプの構造を制限する規定空間
容積部によって区切ることができる。幾つかの実施形態において、単位セルは、限定しな
いが、立方体体積、直方体体積、6面体体積又は不定形体体積を含む体積形状によって区
切ることができる。単位セルの空間容積は、コーナーで合体する多数の面に基づいて規定
することができる。単位セルの体積が立方体、直方体又は6面体である実施例において、
単位セルの体積は、6つの面及び8つのコーナーを有することができ、コーナーは3つの
面が合体する場所で規定される。単位セルは、幾つかのエリア又はすべてのエリアで相互
連結する、幾つかのエリア又はすべてのエリアで相互連結しない、幾つかのエリア又はす
べてのエリアで均一サイズとする、又は幾つかのエリア又はすべてのエリアで均一サイズ
としないものとすることができる。反復幾何学的パターンを使用する本明細書記載の幾つ
かの実施形態において、単位セルは、単位セルの端縁を画定し、また単位セル周りに結節
部で接続される多数の支柱によって画定することができる。このように画定される単位セ
ルは、1つより多い単位セル間で若干の支柱を共有することができ、これにより、隣接す
る2つの単位セルは、双方の格子に共通する支柱によって画定される共通の平面状の壁を
共有することができる。反復幾何学的パターンを使用する本明細書記載の幾つかの実施形
態において、単位セルは、結節部及びその結節部から半径方向に延在する多数の支柱によ
って画定することができる。
【0019】
本出願は体積密度を使用して例示的実施形態を説明するが、以下に限定しない、格子サ
イズ、支柱サイズ又は剛性を含む他の測定基準を用いて説明することもできる。支柱サイ
ズは、限定しないが、支柱長さ及び支柱直径を含む多くの方法を用いて定義することがで
きる。
【0020】
反復幾何学的パターンは、予想可能な特性を与えることができるため、インプラントに
含まれる格子構造での使用に有用である。多くの反復幾何学的形状は、限定しないが、菱
形12面体、ダイヤモンド、12面体、正方形、5角形、6角形、8角形、スクテット(
sctet)支柱、面取り(trunic)8角形、対角支柱、他の既知の幾何学的構造、及び各幾
何学的形状における丸み付けした、補強した、脆弱化した、又は簡素化したバージョンを
含む格子の単位セルとして使用することができる。
【0021】
格子は、インプラントに構造的コンポーネント又は非構造的コンポーネントとしてイン
プラントに含ませることもできる。構造的用途に使用される格子は、本明細書において構
造的格子、荷重支持格子又は応力付与格子と称することができる。幾つかの実施形態にお
いて、構造的格子、荷重支持格子又は応力付与格子は、単に格子と称することができる。
反復幾何学的形状の単位セル、とくに菱形12面体は、理論上、強度重量比に起因して構
造的格子での使用に適している。菱形12面体格子の実際上の強度及び疲労抵抗を向上さ
せるため、本発明は、幾つかの実施形態において、矩形又は円形の断面を有する支柱を使
用するのではなく、3角形セグメントから成る変更した支柱を含む。本明細書記載の幾つ
かの実施形態は、菱形12面体における菱形面を画定する角度を変更し、格子の弾性率及
び疲労抵抗を変化させる。3角形セグメントの使用は、菱形12面体格子に対する理論上
の強度値に近似する高い確率で予想可能なプリント特性を有する格子をもたらす。
【0022】
構造的格子用途において、格子の強度及び弾性率は体積密度によって概算することがで
きる。体積密度が増加するとき、強度及び弾性率は上昇する。他の多孔質構造と比較する
と、本発明の格子は、菱形12面体格子、変更した菱形12面体格子又はラジアル12面
体菱形の単位セルの高い強度重量比の恩恵を使用する能力に起因して、所与の体積密度に
対してより高い強度及び弾性率を有する。
【0023】
本明細書で使用する用語「弾性率(elastic modulus)」は、材料の弾性率又は材料体
積の有効弾性率のいずれかに言及することができる。弾性率は、応力に応答する弾性変形
に対する材料抵抗の材料又は体積を数値化する。材料の体積は、材料自体の弾性率及び材
料の全体体積における有効弾性率を有することができる。有効弾性率は、材料体積を圧迫
し、また有効弾性率を計算する目的で均質材料として処理することによって決定すること
ができる。用語「弾性率」を本明細書で使用するとき、材料の弾性率又は材料体積の有効
弾性率の双方又はいずれか一方を意味することができる。
【0024】
骨又は組織成長のための支援を生ずるよう構成されるとき、格子は足場と称することが
できる。格子は、3次元材料内に配置される開口及び相互接続部のサイズを制御すること
によって、骨又は組織成長のための支援を生ずるよう構成することができる。足場は、イ
ンプラントの表面に使用される場合、隣接する骨がインプラントに付着できる骨一体化表
面を生ずることができる。足場は、さらに、単なる表面付着よりもさらに骨を成長させる
ことができる経路をもたらすよう構成することができる。表面付着を意図する足場は、本
明細書において表面足場と称する。表面足場は、深部に達するがインプラントの体積全体
にわたり延在しない1つ又はそれ以上の単位セルとすることができる。単なる表面付着を
超えて成長支援することを意図する足場は、本明細書においてバルク足場と称する。足場
は、さらに、構造的コンポーネント又は非構造的コンポーネントとしてインプラントに含
めることができる。構造的用途に使用される足場は、本明細書において構造的足場、荷重
支持足場又は応力付与足場と称することができる。場合によっては、構造的足場、荷重支
持足場又は応力付与足場は、単に足場と称することができる。場合によっては、用語「足
場(scaffolds)」の使用は、骨又は組織成長支援を生ずるよう構成された材料であって
、格子ではない材料に言及することがあり得る。
【0025】
本明細書記載の足場は、生物で見られる種々のタイプの組織における付着又は成長を促
進するのに使用することができる。上述したように、足場の幾つかの実施形態は骨付着及
び成長を促進するよう構成される。足場は、さらに、繊維質組成のような組織の他のエリ
アにおける付着又は成長を促進するよう構成することもできる。幾つかの実施形態におい
て、足場は、複数タイプの組織における付着又は成長を促進するよう構成することができ
る。足場の幾つかの実施形態は、生体組織の近傍に又は衝合させて埋め込むよう構成する
ことができる。生体組織近傍とは、足場と任意な生体組織との間に他の層、材料又はコー
ティングが配置されている状況を含む。
【0026】
幾つかの実施形態において、本発明は、従来既知であるものよりも大きい開口及び相互
接続部を有するバルク足場を使用する。オステオン(骨単位)は、約100μmからの直
径範囲にわたることができ、オステオンの束が新生骨成長の最強形態を生ずると理論付け
られる。骨は、3mmより大きい直径を有するとき十分に中実であると見なされ、したが
って、その値のほぼ半分に等しい直径を有するオステオン束は、足場内で成長するとき大
きな強度を生ずると理論付けられる。オステオンは不規則形状で成長してオステオンの断
面積がその強度を予測できると理論付けされもする。3mm直径の円筒形オステオン成長
は約7平方ミリメートルの断面積を有し、また1.5mm直径の円筒形オステオン成長は
約1.8平方ミリメートルの断面積を有する。少なくとも1.8平方ミリメートルの断面積
を有する不規則形状のオステオンは、足場内で成長するとき十分な強度利点を生ずること
ができる。
【0027】
当業者の多くは、300~900μmの直径又は幅を有して、600μmの細孔側辺が
理想的である細孔又は開口が骨成長にとって最良の足場を生ずることを示している。一方
、本発明の幾つかの実施形態は、300μm~900μmである既知範囲の1.0~15.
0倍のオーダーにおける直径又は幅を有し、この結果として、骨成長のため0.07mm
2~145mm2における断面積の開口となる開口及び相互接続部を含む。幾つかの実施
例において、100μm~300μmの間でまた100μm~300μmを含む直径又は
幅を有する細孔又は開口が有益であり得る。幾つかの実施例は、既知範囲の1.0~5.0
倍のオーダーにおける直径を有する開口及び相互接続部を含む。従来既知のものよりも相
当大きい開口及び相互接続部の使用は、全オステオン及び中実骨組織をバルク足場全体に
わたり形成させ、新生荷重可能骨成長の脈管化を可能にする。幾つかの実施例において、
これら細孔は、直径3mm又は約7mm2の断面積とすることができる。他の実施例にお
いて、細孔は、直径1.5mm又は約1.75mm2の断面積である。従来既知の小さい直
径の開口及び相互接続部のみを使用することは、小さい直径の開口は、バルク足場全体へ
の脈管化能力を限定するため、新生骨成長のバルク足場内への貫入を制限すると理論付け
られている。
【0028】
格子に対する関連する構造は閉鎖セル材料である。閉鎖セル材料は、3次元材料の境界
内に閉じ込められる開口を有する点において格子と同様であるが、閉鎖セル材料は、概し
て、開口又は他の細孔を経る場所間の相互接続部がない。閉鎖セル構造は、多数の方法を
用いて実現することができ、例えば、若干のセルの充填又は単位セルの支柱間に中実壁を
使用することによって実現することができる。閉鎖セル構造は細胞質構造と称することも
できる。一部分において格子である材料と、及び他の部分で閉鎖セル材料とを有すること
ができる。開口間における若干の相互接続部のみに対して格子である閉鎖セル材料を有す
ることができ、その逆もあり得る。本開示は格子に注目しているが、本明細書記載の構造
及び方法は、発明概念内で閉鎖セル構造での使用に容易に適合させることができる。
【0029】
本発明に使用される格子は、広範囲にわたる材料及びプロセスから生産することができ
る。骨成長のための足場として使用されるとき、格子は、材料に対して直接に、又は生物
活性表面処理を施してのいずれかによる骨付着を可能にする生体適合性材料で作成するの
が望ましい。一実施例において、足場は埋込可能金属で構成する。埋込可能金属としては
、限定しないが、ジルコニウム、ステンレス鋼(316及び316L)、タンタル、ニチ
ロール、コバルト、クロム合金、チタン及びタングステン、並びにそれらの合金がある。
埋込可能金属で構成した足場は、付加的金属製作又は3D印刷プロセスを用いて生産する
ことができる。適切な生産プロセスとしては、限定しないが、直接金属レーザー焼結、選
択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、電子ビーム溶融、積層オブジェクト製造及び指
向エネルギー堆積がある。
【0030】
他の実施例において、本発明の格子は、生物活性コーティングを有する埋込可能金属で
構成する。生物活性コーティングとしては、限定しないが、骨成長を促進するコーティン
グ、抗血栓性コーティング、抗菌コーティング、疎水性若しくは親水性コーティング、疎
血性、超疎血性若しくは親血性コーティングがある。骨成長を促進するコーティングとし
ては、限定しないが、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト(「HA」)、ケイ酸塩
ガラス、幹細胞誘導体、骨形態形成タンパク質、チタンプラズマスプレー、チタンビーズ
及びチタンメッシュがある。抗血栓性コーティングとしては、限定しないが、低分子量フ
ルオロオリゴマーがある。抗菌コーティングとしては、限定しないが、銀、有機シラン化
合物、ヨウ素、及び窒化ケイ素がある。超疎血性コーティングとしては、フッ素化ナノチ
ューブがある。
【0031】
他の実施例において、格子は、随意的生物活性コーティングを有するチタン合金から作
成する。とくに、Ti6Al4V ELI鍛造物(米国材料試験協会(“ASTM”)F136)は足場として
特別に適したチタン合金である。Ti6Al4V ELI鍛造物は医療目的に使用される工業標準チ
タン合金であるが、他のチタン合金として、限定しないが、非合金化チタン(ASTM F67)
、Ti6Al4V標準等級(ASTM F1472)、Ti6Al7Nb鍛造物(ASTM 1295)、Ti5Al2.5Fe鍛造物(
英国工業規格協会/国際標準化機構パート10)、CP及びTi6Al4V標準等級粉末(ASTM F1
580)、Ti6A13Nb13Zr鍛造物(ASTM 1713)、低弾性率Ti-24Nb-41Zr-8Sn及びTi-12Mo6Zr2F
e鍛造物(ASTM 1813)があり、これら他のチタン合金は本発明の種々の実施形態として適
切であり得る。
【0032】
チタン合金は、生体適合性がありかつ骨付着を可能にするため、足場として適切な材料
である。種々の表面処理をチタン合金に施して骨付着のレベルを増減することができる。
骨は均一研磨チタンに付着するが、表面テクスチャ付きチタンは骨付着をより高めること
ができる。チタンに対する骨付着を向上させる方法は、鍛造又はミリングプロセス、サン
ドブラスト、酸エッチング及び生物活性コーティングの使用により生産することができる
。付加的金属製作又は直接金属レーザー焼結のような3D印刷プロセスで生産したチタン
部品は、表面応力ライザーを減少し、表面トポグラフィーを正規化し、また表面酸化物を
改善するとともに、骨付着を促進するための表面粗さ及び多孔性を維持するよう、酸浴で
処理することができる。
【0033】
さらに、チタン又は他の合金は、ヘパリン、ヘパリン硫酸塩(HS)、グリコサミノグ
リカン(GAG)、コンドロイチン-4-硫酸塩(C4S)、コンドロイチン-6-硫酸塩(
C6S)、ヒアルロン酸(HY)、及び含水カルシウム溶液の有無における他のプロテオ
グリカンで処理することができる。このような処理は、材料が予製造形態(しばしば粉末
)である、又はその後に構造体を製造する間に行うことができる。
【0034】
様々な構造、材料、表面処理及びコーティングについて説明してきたが、反復する変更
菱形12面体(以下「MRDD(modified rhombic dodecahedron)」)単位セルを使用
する格子が、骨成長のための剛性、強度、疲労抵抗、及び条件の好ましい組合せをもたら
すことができると考えられる。幾つかの実施形態において、反復MRDD格子はチタン又
はチタン合金から成るものとする。一般菱形12面体(以下「RDD(rhombic dodecahe
dron)」)は、定義によれば、菱形形状の12個の側面を有する。格子で反復されるとき
、RDD単位セルは24個の支柱から成り、これら支柱は14個の頂点で出合う。24個
の支柱は構造体の12個の平面状の面を画定し、また各平面状の面の中心には、単位セル
内部から単位セル外部への流通を可能にする開口又は相互接続部が配置される。
【0035】
本発明で使用されるMRDD単位セルの実施例B10を
図1A~1Eに示す。
図1Aは
単一MRDD単位セルB10の等角斜視図であり、隣接単位セルの部分を有するラジアル
(半径方向)支柱とともに完全MRDD構造を含む。
図1Bは、単一MRDD単位セルB
10の側面図であり、側方から見たときの相互接続形態を示す。MRDD単位セルB10
の頂面図又は底面図は、
図1Bに示す側面図とほぼ同一である。MRDD単位セルB10
は、一般RDD形状とは構造的特徴及び設計方法が異なる。一般RDDは12個の面から
成り、各面は、70.5°の鋭角及び109.5°の鈍角を有する同一の菱形である。一般
RDDにおける菱形面の形状は、単位セルのサイズ又は支柱の直径が変化する場合でも変
化せず、これはすなわち、支柱がそれらの軸線に基づいて指標付けされ、またそれぞれが
14個の結節部の中心又は頂点を通過するからである。
【0036】
MRDDの幾つかの実施形態において、各結節部は、その境界を画定しかつ支柱の末端
部に対して空間的に固定ポイントをもたらす固定体積内に含まれる。MRDD又はMRD
Dのサブ単位セルを含む固定体積は、限定しないが、立方体体積、直方体体積、6面体体
積又は不定形体体積を含む種々の形状とすることができる。幾つかの実施例は、6つの面
及び8つのコーナーを有することができ、コーナーは3つの面が合体する場所で規定され
る固定体積を使用する。支柱の向きは、基端部における結節面の中心及び体積の末端部に
おける結節面に最も近いコーナーに基づくことができる。各結節部は、好適には8面体、
より具体的には正方双角錐(すなわち、水平平面で結合した角錐及び反転角錐)である。
直方体体積において中心に位置する各結節部は、より好適には、直方体体積の面に平行な
四角平面、6個の頂点を有し、6個の頂点各々が直方体体積の6面各々にできるだけ近接し
た場所で位置決めされるよう指向する。体積内の結節部場所に関して中心に配置されるこ
とは、体積の反対側の壁からほぼ等しい距離に結節部を位置決めすることを意味する。幾
つかの実施形態において、結節部は100パーセントの体積密度を有し、また他の実施形
態において、結節部は100パーセント未満の体積密度を有することができる。正方双角
錐の各面は3角形とすることができ、また各面は支柱のための連結ポイントを与える。
【0037】
支柱は、さらに、ほぼ類似する6個の細長面及び2個の端面の細長部分から成る8面体
とすることができる。細長面は、角度Aの第1内角及び角度Bの第2内角を有し、角度B
が角度Aより大きい二等辺三角形とすることができる。端面は、角度Cの第1内角及び角
度Dの第2内角を有し、角度Dが角度Cより大きい互いにほぼ類似する二等辺三角形とする
ことができる。好適には、角度Cは角度Aより大きいものとする。
【0038】
各支柱の支柱方向は、支柱の向きを画定するライン又はベクトルであり、各結節面の平
面状平面に対して直交する又は非直交とすることができる。本明細書記載のMRDD及び
ラジアル12面体菱形構造において、支柱方向は、支柱端面の中心、支柱に沿う質量中心
又は支柱の細長部分における外側端縁又は外側面間を結ぶラインを使用して決定すること
ができる。支柱端面の中心間を結ぶラインを使用して支柱方向を規定するとき、ラインは
支柱の底部面又は底端縁にほぼ平行である。支柱の質量中心に沿って延びるラインを使用
して支柱方向を規定するとき、ラインは支柱の底部面又は底端縁にほぼ平行でないものと
することができる。MRDDの8面体結節部は、支柱の原点及びサイズを変化させること
によって体積密度を増減するよう拡縮することができる。しかし、支柱の末端部は、各結
節部周りに形成される固定体積のコーナーでロックされ、これにより各結節面に対する角
度は、体積密度が変化するにつれて変化する。MRDD単位セルの体積密度が変化しても
、各結節部周りに形成される固定体積の寸法は変化しない。
図1Aにおいて、MRDD単
位セルB10のコーナー間に一点鎖線を引き、境界を画定する立方体B11を示す。
図1
AにおけるMRDD単位セルにおいて、単位セルの高さB12,幅B13及び深さB14
は、B11の立方体で画定される面積をなすのとほぼ同一である。
【0039】
幾つかの実施形態において、支柱の支柱方向は、結節部の中心、及び支柱が固定される
結節面に最も近い直方体体積のコーナーに交差することができる。幾つかの実施形態にお
いて、支柱の支柱方向は、支柱が固定される結節面に最も近い直方体体積のコーナーに交
差することができる。幾つかの実施形態において、直方体又は6面体の面によって画定さ
れる基準平面を使用して、支柱の支柱方向を記述する。支柱の支柱方向が基準面に基づい
て画定されるとき、基準平面から0°~90°の間となり得る。支柱の支柱方向が基準面
に基づいて画定されるとき、基準平面から8°~30°が好ましい。
【0040】
支柱方向を一方の端部における可変結節面及び末端部における固定ポイントに対して指
標付けすることによって、結果として得られるMRDD単位セルは、菱形形状にした面が
一般RDDよりも小さい鋭角及びより大きい鈍角を有することを可能にする。MRDDの
菱形形状面は、2つのほぼ同一の対向鋭角及び2つのほぼ同一の対向鈍角を有することが
できる。幾つかの実施形態において、鋭角は70.5°よりも小さく、また鈍角は109.
5°よりも大きい。幾つかの実施形態において、鋭角は0°~55°の間であり、鈍角は
125°~180°の間である。幾つかの実施形態において、鋭角は8°~60°の間で
あり、鈍角は120°~172°の間である。鋭角の減少は、鈍角コーナーからより鈍角
のコーナーに指向する荷重に対する疲労抵抗を増大する。鋭角の減少及び鈍角の増加は、
さらに、支柱をしてMRDDの剪断強度を増加せしめ、また疲労抵抗を増加させる。菱形
コーナー角度を一般RDDのものから変化させることによって、剪断荷重が幾つかの支柱
の軸線方向にほぼ通過し、剪断強度を増加させる。菱形コーナー角度を一般RDDのもの
から変化させることによって、さらに、圧縮荷重により生る全体たわみを減少し、荷重下
におけるたわみに抵抗することによって疲労強度を増加させる。
【0041】
格子構造の中心に向けて配置されるとき、単位セルにおける12個の相互接続部は、1
2個の異なる隣接単位セルに接続し、格子を通過する連続経路を生ずる。MRDDにおけ
る中心空所及び相互接続部のサイズは、上述した最長寸法方法を用いて画定することがで
きる。最長寸法方法を用いて、中心空所は、
図1Cで示した最長寸法の測定値をとること
によって画定することができる。
図1Cにおいて、最長寸法は距離AAとして符号付けす
る。距離AAは垂直又は水平の方向でとることができ(この場合、方向は図面の紙面方向
を基準とする)、またこの実施例ではほぼ同一である。相互接続部は、単位セルの側面、
頂面又は底面から見たときの最長測定値によって画定することができる。
図1Dにおいて
、最長寸法は距離ABとして符号付けする。距離ABは垂直又は水平の方向でとることが
できる(この場合、方向は図面の紙面方向を基準とする)。
図1Dの図は側面図であるが
、この実施例において、単位セルは頂部又は底部から見たときとほぼ同一に見える。
【0042】
中心空所及び相互接続部のサイズは、代案として、本明細書記載の最大球体法によって
画定することができる。この最大球体法を用いて、中心空所は、支柱に交差することなく
中心空所内に嵌合できる最大球体の直径によって画定することができる。
図1Eにおいて
は、BAの直径を有する球体で中心空所のサイズを画定するのに最大球体法を使用する例
である。相互接続部はほぼ菱形であり、またそのサイズは、代案として、開口内に描かれ
る3つの円の長さ及び幅のサイズによって画定することができる。側面を画定する平面内
に描かれる第1円BB1は、開口の中心に描かれ、それは支柱に交差することなく嵌合で
きる最大直径円である。第2円BB2及び第3円BB3は、第1円BB1に正接し、また
支柱に交差することなく嵌合できる最大直径円であるように描かれる。第1円BB1の直
径は、相互接続部の幅であり、円BB1、BB2及びBB3の3つすべての直径合計は、
相互接続部の長さを表す。この測定方法を使用することは、サイズ決定から菱形形状の開
口の鋭角コーナーを排除する。場合によっては、付加的製造プロセスを制限するため、相
互接続部の計算したサイズから菱形形状開口の鋭角コーナーを排除するのが有益である。
例えば、SLSマシンが5μm以内の精度である12μmの解像度を有する場合、鋭角コ
ーナーはSLSマシンによって丸みを付けられるおそれがあり、骨成長に利用できない可
能性がある。精度が低い付加的プロセス設備で製造する格子を設計するとき、この測定シ
ステムを相互接続部のサイズによりよく近似させるのに使用することは有益であり得る。
【0043】
幾つかの実施例において代替的測定方法を使用すると、相互接続部の幅は約600μm
であり、また相互接続部の長さは約300μmである。600μm長さ及び300μm幅
の使用は、骨成長のための既知の細孔サイズ内の開口をもたらし、またおおよそ1.8平
方ミリメートルの表面積をもたらし、高い強度の骨成長を形成することを可能にする。代
替的な実施形態は、直径300μmを有する細孔断面積の1.0~15.0倍の断面積を有
する相互接続部を含むことができる。他の実施形態は、直径900μmを有する細孔断面
積の1.0~15.0倍の断面積を有する相互接続部を含むことができる。
【0044】
MRDD単位セルは、さらに、格子構体における少なくとも2組のほぼ均一な細孔又は
開口サイズのセットをもたらす利点を有する。幾つかの実施形態において、第1細孔セッ
トは約200μm~900μmの幅を有し、第2細孔セットは第1細孔セットの幅の約1
~15倍の幅を有する。幾つかの実施形態において、第1細孔セットは骨芽細胞の成長を
促進するよう構成し、また第2細孔セットは骨単位の成長を促進するよう構成することが
できる。骨芽細胞成長を促進するサイズにした細孔は、約100μm~900μmの間に
おける値を含む幅を有することができる。幾つかの実施形態において、骨芽細胞成長を促
進するサイズにした細孔は、900μmを超える幅を有することができる。骨単位成長を
促進するサイズの細孔は、約100μm~13.5mmの間における値を含む幅を有する
ことができる。幾つかの実施形態において、骨単位成長を促進するサイズの細孔は、13
.5mmを超える幅を有することができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、ほぼ均一でより大きい多数の細孔及びほぼ均一でより小さ
い多数の細孔を含むのが有益であり、この場合、より大きい細孔の数は、より小さい細孔
の数に対する比に基づいて選択する。例えば、幾つかの実施形態は、格子構体における1
~25個の小さい細孔につき1個の大きい細孔を有する。幾つかの実施形態は、8~12
個の小さい細孔につき1個の大きい細孔を有する。幾つかの実施形態において、大きい細
孔及び小さい細孔の数は、格子構体における細孔総数のパーセンテージに基づいて選択す
ることができる。例えば、幾つかの実施形態は、大きい細孔を細孔総数の4パーセント~
50パーセント含み、また小さい細孔を細孔総数の50パーセント~96パーセント含む
ことができる。より好適には、幾つかの実施形態は、大きい細孔を細孔総数の8パーセン
ト~13パーセント含み、また小さい細孔を細孔総数の87パーセント~92パーセント
含むことができる。開示した2つのサイズのほぼ均一な細孔セットで構成される格子は、
骨芽細胞及び骨単位の成長を同時に促進するような格子構体をもたらすと考えられる。
【0046】
MRDD単位セルは、さらに、単位セルの側面、頂面又は底面から見たときの相互接続
部のサイズによって画定することができる。MRDD単位セルは、側面、頂面又は底面か
ら見て、他の面を示す側面図で測定して同一の外観を有する。
図1Dにおけるような側面
から見たとき、MRDD単位セルは、ほぼ直角を有する明らかにダイヤモンド形状をした
4つの相互接続部を示している。各相互接続部における面積は、各相互接続部の平面方向
に直交する方向からではなく側方方向から見たときはより小さいものであるが、側方方向
から見たときの面積は、骨をその方向に成長させるのに利用可能な面積を表すことができ
る。幾つかの実施形態において、頂面、底面又は側面の方向から見たときの相互接続部の
面積に基づいて単位セル及び格子の特性を指標付けするのが望ましい。
【0047】
本明細書記載の格子構体の幾つかの実施形態において、中心空所は相互接続部の長さ又
は幅よりも大きい。各相互接続部のサイズは反復MRDD構体においてほぼ同一であり得
るため、結果として得られる格子は、少なくとも2つの別個なサイズの開口から成るもの
とすることができる。幾つかの実施形態において、中心空所の直径は、相互接続部の長さ
の約2倍にするのが好ましい。幾つかの実施形態において、中心空所の直径は、相互接続
部の長さの約4倍にするのが好ましい。
【0048】
幾つかの実施形態において、中心空所の直径と相互接続部の長さ又は幅との間における
比は、特別な強度の構造的格子を生ずるよう変化させることができる。これら実施形態に
おいて、中心空所の直径と相互接続部の長さ又は幅との間における比は構造的格子強度が
増加するにつれて増大する関係がある。
【0049】
さらに、反復ラジアル12面菱形(以下、「RDDR」と称する)単位セルを使用する
格子は、骨内方成長のための剛性、強度、疲労抵抗、及び条件の好ましい組合せを表すこ
とができる。幾つかの実施形態において、反復RDDR格子は、チタン又はチタン合金か
ら成る。
図1Gは、完全RDDR構体を含む単一RDDR単位セルB20の等角図である
。
図1Hは、単一RDDR単位セルB20の側面図であり、側方方向から見たときの相互
接続部の形態を示す。RDDR単位セルB20の頂面図又は底面図は、
図1Hに示す側面
図とほぼ同一である。
【0050】
本明細書で使用するRDDR単位セルB20は、ラジアル支柱及びそれらとは鏡対称の
支柱を有して12個の菱形形状構体を形成する中心結節部から成る3次元形状である。結
節部は、好適には8面体、より具体的には正方双角錐(すなわち、水平平面で結合した角
錐及び反転角錐)である。結節部の各面は三角形であり、各面に固定されるのは6個の三
角形ファセット及び2個の端面から成る支柱である。各支柱の中心軸線は各結節面の平面
状表面に対して直交する又は非直交とすることができる。この中心軸線は、支柱の図心に
従うことができる。RDDRは、さらに、各面に付着する1個の支柱を有する中心結節部
によって特徴付けられ、この結果として、8個の支柱が付着した正方形双角錐結節部とな
る。
【0051】
結節部及び支柱の組合せの実施例を
図1I~1Mに示す。
図1Iは、単一支柱B31が
付着している単一結節部B30の等角図である。結節部B30は、結節部B30及び任意
な付着支柱B31の境界を画定する体積部B32の頂面及び底面に2つの頂点が対面する
よう指向する正方形双角錐である。結節部B30は、水平コーナーが体積部B32の側辺
に最も近接するポイントに位置決めされるように指向する。支柱B31は、結節部B30
の面から結節部B30及び任意な付着支柱B31の境界を画定する体積部B32のコーナ
ーまで延在する。
図1Iにおいて、支柱の中心軸線は水平平面の上方45°の角度をなし
、結節部の平面状の面は水平平面の上方に45°の角度をなす。
【0052】
図1Iは8面体支柱B31の細部を示し、一点鎖線は支柱の隠れた端縁を示す。支柱B
31はほぼ同様な6個の細長面及び2個の端面を有する細長い部分を有する8面体である。
支柱B31の細長面B31a、B31b、B31c、B31d、B31e及びB31fは
、支柱の細長く幾分円筒状の表面の外面を画定する。細長面B31a、B31b、B31
c、B31d、B31e及びB31fのそれぞれは、第1内角(角度A)及び第2内角(
角度B)を有し、角度Bは角度Aより大きい二等辺三角形である。支柱B31は、さらに
、2つの端面B31f及びB31gを有し、これら端面B31f及びB31gは、互いに
ほぼ同様に、第1内角(角度C)及び第2内角(角度D)を有し、角度Dは角度Cより大きい
二等辺三角形である。細長面B31a、B31b、B31c、B31d、B31e及びB
31fの内角を端面B31f及びB31gの内角を比較すると、角度Cは角度Aより大き
い。
【0053】
図1Jは、体積B32によって区切られる結節部B30及び支柱B31の側面図である
。この側面図において、立方体B32の高さと比べられる結節部B30の高さは容易に比
較することができる。
図1K~1Mは、壁又は面ではなく体積のコーナーから見た結節部
及び支柱の組合せの側面図であり、この組合せは、結果として得られる単位セルの体積密
度を変化させるよう
図1I~1Jから変更してある。
図1Kにおいて、結節部B130の
高さは体積B132の高さに対して増大させている。支柱B131の末端部は体積B13
2のコーナー位置で固定されているため、支柱B131は、非直交となるよう付着する結
節部面に対する角度を変化しなければならない。支柱B131の水平平面からの角度が約
20.6°である結節部B130及び支柱B131の組合せは、約3GPaの弾性率を有
する格子構体に対して適切となる。
【0054】
図1Lにおいて、立方体B232の高さに対する結節部B230の高さは、
図1Kにお
ける比よりも増大させて結節部B230及び支柱B231の組合せを生成しており、この
組合せは、約4GPaの弾性率を有する格子構体に対して適切となる。結節部B230の
高さが増加するにつれて、支柱B231と水平平面との間の角度は約18.8°まで減少
する。結節部B230の高さが増加するにつれ、結節部のサイズも増大し、これにより支
柱B231のサイズが増大する。支柱B231の末端部を体積B232のコーナーに固定
するとともに、末端部のサイズは結節部面の増大したサイズに適合するよう増大し、長さ
に沿ってほぼ均一な支柱直径を維持する。結節部及び支柱のサイズが増大するにつれて、
弾性率と同様に体積密度が増加する。
図1Mにおいて、立方体B332の高さに対する結
節部B330の高さは、
図1Mにおける比よりも増大させて結節部B330及び支柱B3
31の組合せを生成しており、この組合せは約10GPaの弾性率を有する格子構体に対
して適切となる。この構成において、支柱B331と水平平面との間の角度は約12.4
°まで減少し、また体積密度は先の実施例よりも増加する。単一結節部及び支柱の実施例
は、適切サイズ及び特性の単位セルを生成するよう複製及び/又は鏡対称にすることがで
きる。例えば、支柱と水平平面との間の角度は、12.3パーセントの体積密度及び約3
00MPaの弾性率を有する格子を生ずるよう25.8°まで増大させることができる。
分かり易くするため単一結節部及び支柱を実施例で示したが、複数の支柱を各結節部に付
着させて適切な単位セルを生成することができる。
【0055】
結節部における上側半分又は下側半分における隣接結節部面から延在する隣接支柱は、
水平平面から角度、及び隣接支柱の支柱方向間の角度によって規定される側方離間角度を
有する。MRDD構体及びRDDR構体において、隣接支柱は、関連する隣接支柱に最も
近接して延在する細長部分の外端縁又は面を有する。本明細書記載の側方離間角度は、概
して、関連する隣接支柱に最も近接して延在する支柱の細長部分の外端縁又は面相互間の
角度に言及する。幾つかの実施形態において、支柱端面の中心と、支柱の質量中心によっ
て規定されるラインとの間に延在するラインによって画定される側方離間角度は、隣接支
柱に対する同様の計算に関連して使用することができる。
【0056】
側方離間角度は、支柱の隣接支柱に対する最も近接する面又は端縁相互間の角度である
。側方離間角度は、隣接支柱の最も近接する端縁に対する支柱の最も近接する端縁相互間
における双方支柱の端縁を含む平面で最も小さい角度として測定することができる。側方
離間角度は、さらに、隣接支柱の最も近接する面に対する支柱の最も近接する面相互間に
おける2つの支柱面に直交する平面で最も小さい角度として測定することができる。画定
される支柱端縁又は支柱面がない実施形態においては、側方離間角度は、隣接支柱の最も
近接する部分に対する1つの支柱の最も近接する部分相互間における角度として測定する
ことができる。立方体体積における単位セルに関して、水平平面からの支柱角度が減少す
るにつれて、側方離間角度は90°に接近する。立方体体積における単位セルに関して、
水平平面からの支柱角度が増加するにつれて、側方離間角度は180°に接近する。幾つ
かの実施形態において、109.5°より大きい側方離間角度を有するのが好ましい。幾
つかの実施形態において、109.5°より小さい側方離間角度を有するのが好ましい。
幾つかの実施形態において、約108°~約156°の間における及びこれら値の角度を
含む側方離間角度を有するのが好ましい。幾つかの実施形態において、約111°~約1
56°の間における及びこれら値の角度を含む側方離間角度を有するのがより好ましい。
幾つかの実施形態において、約108°~約120°の間における及びこれら値の角度を
含む側方離間角度を有するのがより好ましい。幾つかの実施形態において、約111°~
約120°の間における及びこれら値の角度を含む側方離間角度を有するのがより好まし
い。幾つかの実施形態において、約128°~約156°の間における及びこれら値の角
度を含む側方離間角度を有するのがより好ましい。
図1Nは、2つの隣接支柱B431及
びB434が付着され、側方離間角度B443が同定される単一結節部B430の、立方
体B432のコーナーから見た側面図である。支柱の最も近接する端縁から隣接支柱の最
も近接する端縁まで測定するときの側方離間角度B443は、約116°である。
【0057】
幾つかの実施形態において、単位セルは、互いに固定される複数のサブ単位セルから構
成される。
図1Oは、単一結節部及び4つの支柱から成る例示的なサブ単位セルの等角図
である。
図A16は、上側サブ単位セルが反転して下側サブ単位セルの頂部に固定された
積層形態にある2つのサブ単位セルの等角図である。
図1Qは、単一RDDR単位セルを
形成するよう互いに積層させた8個のサブ単位セルの等角図である。
【0058】
図1Oにおいて、結節部B530は、2つの頂点が立方体体積B532の頂部及び底部
に対面するよう指向した正方形双角錐である。幾つかの実施形態において、体積B532
は、直方体体積、6面体体積、不定形体積、又は1つ又はそれ以上の非直交側面を有する
体積とすることができる。頂点は、4つの上側面が合流するポイント、及び4つの下側面
が合流するポイントに言及する。結節部B530は、水平方向の頂点が立方体体積B53
2の側面に対面するよう指向する。支柱B531は、基端部で結節部B530の面におけ
る下側面に固定し、末端部で立方体体積B532の最も近接するコーナーまで延在する。
支柱B531の末端部は、サブ単位セル特性を調整するよう結節部B530をサイズ変化
させる場合であっても、立方体体積B532に固定したままとすることができる。
【0059】
支柱B531が固定される面とは反対側の結節部B530の下側面において支柱B53
4の基端部を結節部B530に固定する。支柱B534は、その末端部において立方体体
積B532の最も近接するコーナーまで延在する。支柱B535は、その基端部において
、支柱B531に固定される結節部B530の面から側方に約90°に指向する上側結節
部B530の面に固定する。支柱B535は、その末端部において立方体体積B532の
最も近接するコーナーまで延在する。支柱B535が固定される面とは反対側の結節部B
530の上側面において支柱B536の基端部を結節部B530に固定する。支柱B53
6は、その末端部において立方体体積B532の最も近接するコーナーまで延在する。
【0060】
幾つかの実施形態において、支柱B531及びB534~B536は三角形面を有する
8面体である。結節部530の面に固定する支柱面は、結節部530の面のサイズ及び向
きとほぼ同一とすることができる。立方体B532の最も近接するコーナーに固定する支
柱面は、結節部530に固定され、かつほぼ平行な平面上に指向する支柱面とほぼ同一サ
イズとすることができる。残りの6つの面は、第1内角及びこの第1内角よりも大きい第
2内角を有する、6つのほぼ同様の二等辺三角形とすることができる。6つのほぼ同様の
二等辺三角形は、それらの長い端縁に沿って隣接の反転したほぼ同様の二等辺三角形に固
定し、三角形端部を有するほぼ円筒形形状を形成することができる。
【0061】
サブ単位セルB540を形成するとき、支柱B531及びB534~B536に固定さ
れる立方体B532の各コーナーに8個の結節部B538を追加するのは有益であり得る
。サブ単位セルB540を複製するとき、各支柱端部に付着する8個の結節部B538は
、隣接サブ単位セルから8個の結節部に組み合わせ、隣接サブ単位セルの支柱間に位置す
る結節部を形成する。
【0062】
図A16は、幾つかの実施形態に使用される四半単位セルB560を形成するため第2
サブ単位セルB640に固定される第1サブ単位セルB540である。第2サブ単位セル
B640は、正方形双角錐であり、2つの頂点が立方体体積の頂部及び底部に対面するよ
う指向する正方形双角錐結節部B630を有する。支柱B635は、基端部に面する側で
結節部B630の下面に固定し、また末端部で立方体体積の最も近接するコーナーまで延
在する。支柱B635を固定する面とは反対側の結節部B630の下面で、支柱B636
の基端部を結節部B630に固定する。支柱B636は、末端部で立方体体積の最も近接
するコーナーまで延在する。支柱B636は、その基端部において、支柱B635に固定
される結節部B630の面から側方に約90°に指向する上側結節部B630の面に固定
する。支柱B634は、その末端部において立方体体積の最も近接するコーナーまで延在
する。支柱B634が固定される面とは反対側の結節部B630の上側面において支柱B
631の基端部を結節部B630に固定する。支柱B631は、その末端部において立方
体体積の最も近接するコーナーまで延在する。
【0063】
第1サブ単位セルB540は
図A16の実施形態において基準ポイントとして使用され
るが、第2サブ単位セルB640又は他のポイントも基準ポイントとして使用することが
できる。第1サブ単位セルB540を所定位置に固定した後、第2サブ単位セルB640
が第1サブ単位セルとほぼ同様となるよう複製する。この第2サブ単位セルB640は、
第1サブ単位セルB540の頂部に固定される前にその中心軸線の周りに回転する。
図A
16において、第2サブ単位セルB640は適正回転を得るよう反転するが、中心軸線の
周りの他の回転も同一結果を得ることができる。第2サブ単位セルB640に固定される
第1サブ単位セルB540は四半単位セルB560を形成し、この四半単位セルB560
は複製し、また完全単位セルを形成するため他の四半単位セルに対して側方に付着するこ
とができる。
【0064】
代案として、完全単位セルは、4つのほぼ同様なサブ単位セルの第1グループをともに
側方に固定して、上方から見たとき正方形、長方形又は四辺形を形成することによって作
り上げることができる。それらの中心軸線の周りに回転した4つのほぼ同様なサブ単位セ
ルの第2グループは、やはり上方から見たとき正方形、長方形又は四辺形を形成するよう
側方に互いに固定することができる。サブ単位セルの第2グループは、互いに側方に固定
する前にそれらの中心軸線の周りに回転させる又は同一結果を得るよう互いに固定した後
に反転することができる。この後、完全単位セルを形成するよう第2グループを第1グル
ープの頂部に固定する。
【0065】
図1Qは
図1Oのサブ単位セルB540を複製することによって形成した完全単位セル
B770の実施例である。分かり易くするため、サブ単位セルB540の境界を画定する
立方体B532、並びに結節部B530及び支柱B531及びB534~B536を同定
する。
図1Qの完全単位セルB770は、上述した方法を使用して、又は本発明の概念内
における変更例を使用して形成することができる。
【0066】
所与の単位セルに関して結節部から延在する各支柱は、結節部から半径方向に延在する
ようほぼ同一の長さ及び水平平面に対してほぼ同一の角度をなすものとすることができる
。各支柱の端部において、結節部面から延在する支柱が菱形形状開口を形成するよう支柱
を鏡対称にする。支柱は結節部面に対して非直交とすることができるため、2つの形状の
菱形が現出する。この形態において、4つの菱形の第1グループが、垂直平面上に指向す
る結節部から半径方向に延在する。第1グループの菱形の鋭角は、水平平面に対する支柱
角度の2倍に等しく、その鈍角は、180からその鋭角分だけ小さいものに等しい。さら
に、この形態において、8個の菱形の第2グループが半径方向に延在し、8個の菱形の第
2グループにおける一部分は、4個の第1グループを画定する隣接支柱間の側方離間角度
内に含まれる。第2グループの菱形の鋭角は、4個の菱形の第1グループを画定する隣接
支柱間の側方離間角度とほぼ同一であり、その鈍角は、180からその鋭角分だけ小さい
ものに等しい。足場の特性は体積あたりの表面積によって記述することができる。1.0
mm×1.0mm×1.0mmの中実立方体に関しては、その表面積は6平方mmである。
1.0立方mm構体が100パーセント体積密度材料以外の格子構体から成るものである
とき、体積あたりの表面積は相当増大する。低い体積密度の足場においては、体積密度が
増大するにつれて、体積あたりの表面積は増大する。幾つかの実施形態において、30.
1パーセントの体積密度を有する足場は、立方mmあたり27.4平方mmの表面積を有
する。幾つかの実施形態において、体積密度が27.0パーセントに減少する場合、格子
は、立方mmあたり26.0平方mmの表面積を有し、また体積密度が24.0パーセント
に減少する場合、格子は、立方mmあたり24.6平方mmの表面積を有することになる
。
【0067】
本明細書記載のMRDD及びRDDR構体は、さらに、所与の体積密度に対して特に高
い弾性率になるという利点がある。格子又は足場として使用するとき、適切な弾性率及び
低い体積密度を有するインプラントを得ることができる。低い体積密度は、骨内方成長に
利用可能なインプラントの容積が増大する。
【0068】
以下の表1においては、種々の格子設計弾性率における多数の例示的格子形態を示す。
概算実際弾性率を各例に対して与え、これは製造プロセスを経た後におけるその格子の計
算した弾性率を表す。本明細書に記載した格子構体及びインプラントは、幾つかの実施形
態における設計弾性率及び他の実施形態における概算実際弾性率となるよう、設計するこ
とができる。本明細書に開示した格子構体の1つの利点は、概算実際弾性率が従来得られ
ていたものよりも設計弾性率に一層近似する点である。試験中、格子の一実施形態は4.
0GPa設計弾性率向けに設計した。試験の下でこの格子は3.1GPaの実際弾性率を
有し、設計弾性率の77パーセント以内の実際弾性率が得られた。
【0069】
各格子設計弾性率に関して、設計弾性率対体積密度の体積密度比、表面積対体積密度の
mm2単位の表面積比、表面積対格子設計弾性率の比が与えられる。
【0070】
【0071】
本明細書記載の幾つかの実施形態において、必要な支柱太さは、所望弾性率から計算す
ることができる。以下の等式を用いて、特定弾性率を得るために必要とされる支柱太さは
、幾つかのMRDD構体及びRDDR構体に対して計算することができる。
支柱太さ=(-0.0035・(E^2)) + (0.0696・E) + 0.4603
【0072】
上述の等式において、「E」は弾性率である。弾性率は、その値を得るのに必要な必要
支柱太さを決定するよう選択する、又は予め選択した支柱太さを用いて計算することがで
きる。支柱太さは、mmで表現し、また支柱直径を表す。この支柱太さは、予め選択した
支柱太さに対して弾性率を決定するよう、予め選択した弾性率を用いて計算する又は選択
することができる。
【0073】
幾つかの実施形態において、単位セルは、異方特性を有する格子をなるよう1つ又はそ
れ以上の方向に細長いものにすることができる。単位セルが細長いとき、概して、細長い
方向に直交する方向の弾性率を減少する。細長い方向における弾性率は増加する。相互接
続部、開口及び中心空所(もしあれば)内に納まる新たな骨成長の方向に直交する方向に
セルを細長くするのが望ましい。減少した弾性率の所望方向に直交する方向にセルを細長
くすることによって、細長い方向における剪断強度は増大し、構造的足場を設計するとき
に望ましい品質セットをもたらすことができる。足場の全体剛性を共変することは、この
効果を増加又は減少して1つ又はそれ以上の方向の変化を可能にする。
【0074】
幾つかの実施形態において、サブ単位セルは、サブ単位セルを画定する体積の高さに対
する結節部の高さを制御することによって設計することができる。結節部の高さを制御す
ることは、格子構体の最終的な特性及び外観に影響を及ぼすことができる。概して、結節
部の高さを増加することは、支柱太さを増加し、体積密度を増加し、強度を増加し、また
結果として得られる格子の弾性率を増加する。結節部の高さを増加するとき、結節部の幅
は、幾つかの実施形態において一定に保持し、また他の実施形態において変化させること
ができる。
【0075】
幾つかの実施形態において、サブ単位セルは、サブ単位セルを画定する体積に対する結
節部の体積を制御することによって設計することができる。結節部の体積を制御すること
は、格子構体の最終的な特性及び外観に影響を及ぼすことができる。概して、結節部の体
積を増加することは、支柱太さを増加し、体積密度を増加し、強度を増加し、また結果と
して得られる格子の弾性率を増加する。結節部の体積を増加するとき、結節部の幅又は高
さは、幾つかの実施形態において一定に保持することができる。
【0076】
以下の表2においては、種々の格子設計弾性率における多数の例示的格子形態を示す。
概算実際弾性率を各例に対して与え、これは製造プロセスを経た後におけるその格子の計
算した弾性率を表す。本明細書に記載した格子構体及びインプラントは、幾つかの実施形
態における設計弾性率及び他の実施形態における概算実際弾性率となるよう、設計するこ
とができる。各格子設計弾性率に関して、格子概算弾性率、結節部高さ、体積密度、結節
部体積、結節部高さ対体積密度の比、結節部高さ対格子設計弾性率の比、及び体積密度対
結節部体積の比が与えられる。
【0077】
【0078】
開示した格子構体の幾つかの実施形態は、0.375GPa~4.0GPaの間の範囲内
におけるこれら値を含む弾性率で設けるとき、特に有用である。幾つかの実施形態として
は、より好適に2.5GPa~4.0GPaの間の範囲内におけるこれら値を含む弾性率を
有する格子構体がある。幾つかの実施形態としては、5パーセント~40パーセントの間
の範囲内におけるこれら値を含む体積密度を有する格子構体がある。幾つかの実施形態と
しては、30パーセント~38パーセントの間の範囲内におけるこれら値を含む体積密度
を有する格子構体がある。
【0079】
本明細書で開示した格子構体は、低体積密度範囲及び低弾性率範囲に対して特に堅牢な
荷重及び疲労特性を有する。格子構体の幾つかの実施形態は、5Hzにおける5,000,
000サイクルにも及ぶ静的及び動的な荷重で、300~15000Nの間及びこれら値
を含む剪断降伏荷重及び圧縮降伏荷重を有する。幾つかの実施形態は、5Hzにおける5
,000,000サイクルにも及ぶ静的及び動的な荷重で、300~15000Nの間及び
これら値を含む圧縮剪断強度及び軸方向荷重を有する。幾つかの実施形態は、5Hzにお
ける5,000,000サイクルにも及ぶ静的及び動的な荷重で、300~15000Nの
間及びこれら値を含む剪断強度及び軸方向荷重を有する。幾つかの実施形態は、15Nm
にも及ぶねじり降伏荷重を有する。
【0080】
一実施例において、本発明による格子構体は、32パーセント~38パーセントの間及
びこれら値を含む体積密度、2.5GPa~4GPaの間及びこれら値を含む弾性率、並
びに5Hzにおける5,000,000サイクルにも及ぶ静的及び動的な荷重で、300~
15000Nの間及びこれら値を含む剪断強度及び軸方向荷重を有する。幾つかの実施例
は、約200μm~900μmの幅を有するほぼ均一な開口の第1セット及び第1セット
の開口幅の約1~15倍の幅を有するほぼ均一な開口の第2セットを含み、第2セットに
おける開口の数が第1セットにおける開口の数に対して約1:8~1:12の比となるよ
う設ける。
【0081】
本開示による構体は、骨一体化が求められない又は望ましくない用途に使用するときに
も恩恵があり得る。構体上における成長抑止コーティング又は皮膚を含めることによって
、本明細書記載の格子は、骨成長のための足場を設けることなく構造的支持体を設けるの
に使用することができる。これは、或る期間的時間経過後に除去することを意図した一時
的インプラント又は医療デバイスに使用するときに望ましいことがあり得る。
【0082】
一時的インプラント20における使用のために構成された固定プレート10の第1の例
示的実施形態を本明細書に開示する。この固定プレートは、限定しないが、骨癒合インプ
ラント及び椎体間癒合インプラントを含む複数タイプのインプラントで機能するよう構成
することができる。幾つかの実施形態において、インプラント20は、頸部スタンドアロ
ン型(以下「CSA」と称する)インプラントである。幾つかの実施形態において、イン
プラント20は、腰椎椎体間癒合スタンドアロン型(以下「ALIF-SA」と称する)
インプラントである。幾つかの実施形態において、インプラント20は、後方経路腰椎椎
体間癒合型(以下「PLIF」と称する)インプラントである。幾つかの実施形態におい
て、インプラント20は、経椎間孔腰椎椎体間癒合型(以下「TLIF」と称する)イン
プラントである。幾つかの実施形態において、インプラント20は、PLIF又はTLI
Fインプラントである。幾つかの実施形態において、インプラント20は、椎体置換型(
以下「VBR」と称する)インプラントである。幾つかの実施形態において、インプラン
ト20は、骨切り術ウェッジである。幾つかの実施形態において、インプラント20は、
足関節癒合スペーサインプラントである。幾つかの実施形態において、インプラント20
は、組織付着のために構成され、組織としては、限定しないが、骨構造及び結合組織があ
る。幾つかの実施形態において、インプラント20は、組織内方成長が可能となるよう構
成され、組織としては、限定しないが、骨構造及び結合組織がある。
【0083】
固定プレート10は、埋込み後におけるインプラントに対する及び/又は埋込み後にお
ける患者組織に対する運動を可能にするよう構成することができる。幾つかの実施形態に
おいて、固定プレートは、埋込み後におけるインプラントに対して軸方向に圧迫できるよ
うにすることができる。提示する固定プレートの実施形態において、固定プレートは、固
定プレートがインプラントに対して少なくとも1つの自由度を有するようにインプラント
に付着することができる。さらに、固定プレートは、第1の骨及び/又は第2の骨に付着
し、各付着は少なくとも1つの自由度を有するように、付着することができる。幾つかの
実施形態において、固定プレートは、インプラント及び/又は組織に付着し、各付着ポイ
ントに対して1つより多い自由度を有して付着することができる。幾つかの実施形態にお
いて、固定プレートは、第1の骨及び/又は第2の骨に円錐状自由度を有して付着するこ
とができる。
【0084】
固定プレートの幾つかの実施形態は、凹状輪郭付きねじ孔を有し、またねじ孔の凹状輪
郭に対応して、ねじ山部分に向くねじヘッドの端部の側から見たとき、凸状輪郭を有する
ねじヘッド付きの骨ねじを使用して患者の骨に付着させる。凸状輪郭付きねじヘッド及び
凹状輪郭付きねじ孔の使用は、少なくとも円錐状自由度を有する固定を生ずることができ
る。骨ねじヘッドは、ゼロより大きい隙間嵌めを有して固定プレートのねじ孔に対して固
定することができ、ある意味、この隙間嵌めは或る量の並進移動をもたらし、また骨ねじ
ヘッドと固定プレートのねじ孔との間における噛み付きを防止することができる。本明細
書に使用する隙間嵌めは、組み合わされるコンポーネントの寸法間における正差がある条
件に言及するものである。例えば、隙間嵌めは、ねじヘッドの直径が対応するねじ孔の直
径よりも小さいときに存在する。
【0085】
固定プレートは、緊締手段を使用するインプラントに対して少なくとも1つの自由度で
付着することができる。固定プレートの幾つかの実施形態は、固定プレートとインプラン
トとの間にゼロより大きい隙間嵌めを有する緊締手段を使用する。隙間嵌めを有する緊締
手段の使用は、ある意味、固定プレート、インプラント及び/又は緊締手段間における或
る量の並進移動をもたらし、また噛み付きを防止することができる。使用可能な幾つかの
緊締手段としては、限定しないが、1/4回転の緊締具、ねじ等々がある。1/4回転の
緊締具に関する隙間嵌めは、軸方向及び/又は半径方向に多数の並進移動方向をもたらす
ことができる。
【0086】
2つの所与のコンポーネント間に生ずる自由度の数は複数要因の結果であり得るもので
、これら要因としては、限定しないが、設計自由度、製造公差自由度又は隙間嵌め自由度
がある。本明細書は設計自由度に注目し、また幾つかの実施形態において、意図した隙間
嵌め自由度に注目する。しかし、当然のことながら、製造公差は測定することができる及
び/又は必要自由度を持つデバイスを作り出すのと同様に測定かつ使用することができる
。
【0087】
図1Rはインプラントに回転可能に付着した固定プレート10の側面図である。1個の
骨ねじ30を描いているが、2個の骨ねじを使用するよう固定プレート10を構成する。
図1Rにおいて、固定プレート10はインプラント20に対してロック位置にある。本明
細書で使用するロック位置は、少なくとも1つの平面内で1つの素子を他の素子に対して
固定するが少なくとも1つの平面での移動自由度を有していることに言及する。
図1Rに
おいて、固定プレート10は、インプラント20に対して前から後への方向に関して固定
するが、その前から後への方向において軸線周りの回転が自由である。前後は使用される
例示的方向で図面に示すが、使用又は形態に関して何らの制限もする意図しない。ここに
使用される図面において、インプラント20の後部は、固定プレート10を受け入れるよ
う構成したインプラント20の端部を意味する。インプラント20の前部は、後部とは反
対側の端部を意味する。インプラント20の前部と後部との間におけるインプラント部分
は側部として説明する。インプラント20の頂部から底部への方向は、軸方向又は圧迫方
向として説明する。例示的な固定プレート10及びインプラント20は、軸方向及び圧迫
方向がほぼ同一である状況用に構成されているが、同一又は類似である必要はない。
【0088】
図2は、ロック位置にある固定プレート10、インプラント20及び骨ねじ30の等角
図である。固定プレート10は、その前から後ろへの方向において軸線周りにインプラン
ト20に対して回転するよう構成することができる。固定プレート10とインプラント2
0との間の許容される回転の角度は、インプラント20と骨ねじ30との間における干渉
によって制限し得る。固定プレート10によって許容される軸方向圧迫量は、インプラン
ト20に対する骨ねじ30の配置状況に基づいて調整することができる。骨ねじ30はイ
ンプラント20から軸方向に離れるにつれて、許容される軸方向圧迫量は所定ポイントま
で増大する。軸方向圧迫量は、ねじ孔11間における特定長さの固定プレート10の埋込
み後にインプラント20に対する固定プレート10の角度によって見積もることができる
。例えば、ねじ孔の中心間に10mm間隔を有する固定プレート10は、インプラント2
0に対して45°の角度で埋め込む場合よりも、インプラント20に対して50°の角度
で埋め込む場合の方がより大きな軸方向圧迫を可能にする。
【0089】
幾つかの実施形態において、固定プレート10は、インプラント20の中心軸線を通過
する平面に対する、ねじ孔11の中心間に引いたラインの向きに基づいてインプラント2
0に対して指向する。幾つかの実施形態において、固定プレート10は、非ロック位置で
インプラント20に対して-45°~45°の間及びそれらの値を含む向きに指向する。
幾つかの実施形態において、固定プレート10は、ロック位置でインプラント20に対し
て10°~90°の間及びそれらの値を含む向きに指向する。幾つかの実施形態において
、固定プレート10は、ロック位置でインプラント20に対して-10°~-90°の間
及びそれらの値を含む向きに指向する。
【0090】
図3及び4は、ロック位置にある固定プレート10とインプラント20との間の関係を
示す追加的な説明図である。1つのロック位置のみを図で示すが、当然のことながら、固
定プレート10は、この及び他の実施形態においてインプラント20に対してより多く又
は少なく回転させることができる。
【0091】
図4Aは、固定プレート10及び隠れた形体部を破線で示す骨ねじ30の側面図である
。幾つかの実施形態において、骨ねじ30は、ねじ孔11の変動する直径に対応する変動
する直径を有するねじヘッド31を持つことができる。幾つかの実施形態において、ねじ
ヘッド31は、ねじ山部分32に向くねじヘッドの端部の側から見たとき、凸状輪郭を有
することができる。幾つかの実施形態において、ねじ孔11は、ねじヘッド31の凸状輪
郭に対応する凹状輪郭を有することができる。
【0092】
凸状輪郭付きのねじヘッド31及び凹状輪郭付きのねじ孔11を使用することによって
、少なくとも円錐状自由度40を有する固定を生ずることができる。円錐状自由度を有す
る固定を生ずるようにするため、凸状輪郭を有するねじヘッド31及び凹状輪郭を有する
ねじ孔11の使用を本明細書に開示したが、当然のことながら、同様の特性を有する固定
を得る他の方法が従来技術に存在する。幾つかの実施形態において、円錐状自由度は0°
~90°の範囲である。幾つかの実施形態において、円錐状自由度は10°~70°の範
囲である。幾つかの実施形態において、円錐状自由度は20°~40°の範囲である。幾
つかの実施形態において、円錐状自由度は25°~35°の範囲である。幾つかの実施形
態において、円錐状自由度は28°~32°の範囲である。幾つかの実施形態において、
円錐状自由度は約30°である。
【0093】
凸状輪郭を有するねじヘッド31及び凹状輪郭を有するねじ孔11の使用は、さらに、
無限数の自由度を有する固定を生ずることができる。幾つかの実施形態において、骨ねじ
30は、ねじヘッド31とねじ孔11との間に隙間嵌め50が存在するよう、組織のセグ
メントに固定される。この隙間嵌め50は、固定プレート10のねじヘッド31に対する
、任意な設計自由度及び隙間嵌め50の方向における或る量に沿う回転を可能にする。幾
つかの実施形態において、ねじヘッド31とねじ孔11との間にゼロより大きい隙間嵌め
50を使用して噛み付きを防止するのが望ましい。
【0094】
幾つかの実施形態において、ねじ孔11は、円形かつ内面が滑らかであり、固定プレー
ト10が骨ねじ30に対して回転できるようにする。ねじ孔11は、単一直径又は特別形
状に形成した骨ねじ30を受け入れる直径勾配を有することができる。ねじ孔11及び骨ね
じ30は、随意的に骨ねじ30に対する固定プレート10の回転を抑止する回転止めを設
けるよう構成することができる。
【0095】
図5は、非ロック位置にある固定プレート10及びインプラント20の側断面図である
。固定プレート10は、さらに、インプラント20の取付けポート22内に嵌合するよう
構成した円筒形部材12を有する。幾つかの実施形態において、円筒形部材12及び取付
けポート22は、さらに、円筒形部材12又は取付けポート22の部分的相対回転を使用
し、ピン、ウェッジ又はチップを受け入れるよう構成された表面に対してピン、ウェッジ
又はチップを係合させる1/4ロック機構を有する。
【0096】
例示的実施形態において、取付けポート22は、さらに、外方部分23及び内方部分2
4を有する。幾つかの実施形態において、外方部分23は円筒形であり、やはり円筒形で
ある内方部分24よりも小さい直径を有する。外方部分24は、円筒形部材12の材料が
半径方向に追加されているエリアに対応して、材料が半径方向に除去されている1つ又は
それ以上の円形扇型部を有することができる。追加又は除去されている材料は、デバイス
の設計プロセス又は製造中のプロセスに言及することができ、材料が追加されるデバイス
は、単一連続材料に言及し、また材料が除去されるデバイスは製造されるデバイスに言及
することができる。
【0097】
図6は、非ロック位置にある固定プレート10及びインプラント20の背面図である。
幾つかの実施形態において、埋込み中に固定プレート10にトルクを加えるためのツール
係合エリア13を固定プレート10に設けることができる。ツール係合エリア13に対応
する延長部を有するツールを使用して固定プレート10を回転することができる。
【0098】
図7は、固定プレート10を受け入れるよう構成されたインプラント20の背面図であ
る。例示的実施形態において、円筒形部材12は、さらに、半径方向に互いに逆方向に突
出する2つのピン14を有する。この実施形態において、インプラント20は、取付けポ
ート22の外方部分23において半径方向に互いに逆向きに延在する切欠き25で2つの
ピン14を受け入れるよう構成されている。当然のことながら、ピン及び切欠きの開示し
た構成は、固定プレート10をインプラント20に付着させ、非ロック位置及びロック位
置にすることができるようにする単なる1つのやり方である。例えば、2つより少ない又
は多いピン14を使用する、又は2つより少ない又は多い切欠き25を使用し、ピン14
は、約180°以外の間隔で円筒形部材12において離間させ、また切欠き25は、約1
80°以外の間隔で取付けポート22の外方部分において離間させることができる。
【0099】
図8は、ロック位置にある固定プレート10及びインプラント20の側断面図である。
このロック位置において、円筒形部材12から半径方向に突出するピン24は、取付けポ
ート22の外方部分23の直径を超える表面をもたらす。ピン24は取付けポート22の
内方部分24の直径よりも小さいものとすることができる表面をもたらし、固定プレート
10がインプラント20に対して妨害のない回転を可能にする。内方部分24は全体にわ
たってほぼ等しい直径を有する円筒状として示すが、幾つかの実施形態において、内方部
分24は非円筒状とする又は可変直径を有することができる。幾つかの実施形態において
、内方部分24は、さらに、ピン24の末端部間の距離よりも小さい直径を有する少なく
とも1つのエリアがある可変直径を含む。幾つかの実施形態において、内方部分24は、
さらに、ピン24の末端部間の距離よりも小さい直径を有する局所的エリアを生ずるよう
材料が追加された少なくとも1つのエリアを含む。ピン24の末端部間の距離よりも小さ
い直径を有するエリアの使用により、固定プレート10のインプラント20に対する回転
止めを生ずることができる。
【0100】
図9は、固定プレートを受け入れるよう構成されたインプラントの等角断面図である。
図10は、固定プレートを受け入れるよう構成されたインプラントの頂部断面図である。
これら図は、取付けポート22、及び外方部分23,内方部分24及び切欠き25を使用
する例示的構成の追加的図を提示する。
【0101】
これまで説明してきたのは、固定プレート、及び開示した固定プレートを受け入れるよ
う構成されたインプラントである。本明細書開示において、本発明の例示的実施形態のみ
を示しまた記載するが、本発明は、様々な他の組合せ及び環境を使用することができ、ま
た本明細書で表現したような発明概念の範囲内における改変又は変更が可能であると理解
されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に埋め込むよう構成され少なくとも1つの側面を含むインプラントと、
前記インプラントの前記側面に選択的にかつ回転可能に固定される細長プレートと、を備える医療インプラントシステムにおいて、
前記細長プレートは、1つ以上の緊締具を前記細長プレートに挿通するよう構成された複数の開口を有する、医療インプラントシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に埋め込むよう構成され少なくとも1つの側面を含む骨癒合インプラントと、
前記骨癒合インプラントを前記体内の1つ以上の骨構造に固定するよう構成されるとともに凸状輪郭を有する1つ以上の緊締具と、
前記1つ以上の緊締具を前記細長プレートに挿通可能にするよう構成されるとともに凹状輪郭を有し、円錐状自由度を有する固定を生じる複数の開口を有する細長プレートと、を備える医療インプラントシステムにおいて、
前記細長プレートは前記骨癒合インプラントの側面に回転可能に連結され、前記体内への埋め込み後に前記骨癒合インプラントに対して回転して前記細長プレートによる前記骨癒合インプラントに対する軸線方向圧迫を可能にするように構成され、
前記軸線方向圧迫の量は、前記細長プレートに対する前記1つ以上の緊締具の配置状況、及び前記骨癒合インプラントに対する前記細長プレートの角度に基づいて調整可能である、医療インプラントシステム。
【請求項2】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記複数の開口は、前記緊締具の周りに回転するよう更に構成されている、医療インプラントシステム。
【請求項3】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記複数の開口は、さらに、第1直径を有する滑らかな環状形状であり、前記緊締具は、さらに、第2直径を有する滑らかな環状形状のヘッドを備え、前記第2直径は前記第1直径よりも小さい、医療インプラントシステム。
【請求項4】
請求項1記載の医療インプラントシステムにおいて、前記細長プレートは、さらに、前記骨癒合インプラントの前記側面に向かって延在する1/4回転緊締具を有し、
前記骨癒合インプラントは、さらに、前記細長プレートに位置する前記1/4回転緊締具に対応する開口を有する、医療インプラントシステム。
【請求項5】
骨癒合インプラントの側面に回転可能に付着するように構成された細長プレートと、
前記細長プレートにおける、対応する複数の緊締具を受け入れるように構成された複数の開口と、
を備える、前記骨癒合インプラントに対する固定プレートにおいて、
前記複数の緊締具は、前記骨癒合インプラントを体内の1つ以上の骨構造に固定するよう構成され、
前記複数の緊締具のうち少なくとも1つの緊締具が凸状輪郭を有し、
前記複数の開口の少なくとも1つのそれぞれは凹状輪郭を有し、円錐状自由度を有する固定を生じ、
前記細長プレートは、前記骨癒合インプラントの前記側面に回転可能であり、前記体内への埋め込み後に前記細長プレートによって前記骨癒合インプラントに対する軸線方向圧迫を可能にし、
前記軸線方向圧迫の量は、前記細長プレートに対する前記複数の緊締具の配置状況、及び前記骨癒合インプラントに対する前記細長プレートの角度に基づいて調整可能である、固定プレート。
【請求項6】
前記複数の開口が、それぞれ前記複数の緊締具のうちの1つの緊締具を受け入れるように構成された2つ以上の開口を含む、請求項5に記載の固定プレート。
【請求項7】
前記骨癒合インプラントに対する前記細長プレートの前記角度は、-45°~45°である、請求項6に記載の固定プレート。
【請求項8】
前記細長プレートは、ロック位置で前記骨癒合インプラントの前記側面に回転可能に付着するように構成される、請求項6に記載の固定プレート。
【請求項9】
前記細長プレートは、前記ロック位置で前記骨癒合インプラントの前記側面に対して少なくとも1つの平面において自由度を有して固定され、前記少なくとも1つの平面で軸線の周りを回転する、請求項8に記載の固定プレート。
【請求項10】
前記骨癒合インプラントの前記側面は、前記骨癒合インプラントの後側を含む、請求項9に記載の固定プレート。
【請求項11】
前記少なくとも1つの平面は、前記骨癒合インプラントに対して前から後への方向の平面を含む、請求項10に記載の固定プレート。
【請求項12】
前記ロック位置における前記骨癒合インプラントに対する前記細長プレートの前記角度は、-10°~-90°である、請求項8に記載の固定プレート。
【請求項13】
前記ロック位置における前記骨癒合インプラントに対する前記細長プレートの前記角度は、10°~90°である、請求項8に記載の固定プレート。
【請求項14】
前記複数の開口の少なくとも1つは、前記複数の緊締具のうち対応する緊締具の周りを回転するように構成されている、請求項5に記載の固定プレート。
【請求項15】
前記複数の開口の少なくとも1つは、第1直径を有する滑らかな環状形状であり、
前記複数の緊締具のうち対応する緊締具は、第2直径を有する滑らかな環状形状のヘッドを備え、
前記第2直径は前記第1直径よりも小さい、請求項5に記載の固定プレート。
【請求項16】
前記細長プレートは、前記骨癒合インプラントの前記側面に対して少なくとも1つの自由度で回転可能である、請求項5に記載の固定プレート。
【請求項17】
前記少なくとも1つの自由度は、0°~90°の範囲、10°~70°の範囲、20°
~40°の範囲、25°~35°の範囲、28°~32°の範囲、及び約30°の1つを
含む、請求項16に記載の固定プレート。
【請求項18】
前記少なくとも1つの自由度は、円錐状自由度を含む、請求項16に記載の固定プレート。
【請求項19】
前記細長プレートは、前記骨癒合インプラントの取付けポート内に嵌合するよう構成した部材を含む、請求項5に記載の固定プレート。
【請求項20】
前記部材は、前記骨癒合インプラントの取付けポートに係合するように構成されているロック機構を含む、請求項19に記載の固定プレート。
【請求項21】
前記細長プレートはツール係合エリアを含む、請求項5に記載の固定プレート。
【外国語明細書】