(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178239
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】生体適合性ハイドロゲル内の多血管ネットワークおよび機能的血管内トポロジー
(51)【国際特許分類】
A61F 2/06 20130101AFI20241217BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20241217BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20241217BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20241217BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20241217BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20241217BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241217BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61F2/06
A61L27/50
A61L27/52
A61L27/58
A61L27/56
A61L27/50 300
A61L27/38 120
A61P9/00
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158464
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2021563641の分割
【原出願日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】62/839,358
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】510166102
【氏名又は名称】ウィリアム マーシュ ライス ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM MARSH RICE UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】6100 Main Street,Houston,TX 77005, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ミラー ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリアン バグラト
(57)【要約】
【課題】ハイドロゲルマトリックスから作られたデバイスを提供する。
【解決手段】ハイドロゲルマトリックスは光吸収剤を含み、マトリックス中のボイドアーキテクチャが、それぞれ管状かつ分岐状である第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャを有し、第一および第二の血管アーキテクチャは互いから流体的に独立している。デバイスを形成するための予備重合溶液およびそのようなデバイスを製作する方法が記載される。3Dハイドロゲル構築物を製作する方法が提供される。方法は、コンピュータ実装プロセスを使用して、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する、ならびにモデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程を含む。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光吸収剤(photoabsorber)を含むハイドロゲルマトリックスと;
それぞれ管状かつ分岐状である第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャを有する、該マトリックス中のボイドアーキテクチャと
を含み、
該第一および第二の血管アーキテクチャが互いから流体的に独立している、
デバイス。
【請求項2】
前記デバイスに入射する可視光の少なくとも90%が該デバイスを透過して該デバイスを画像化することを可能にする、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
光吸収剤が少なくとも部分的に前記デバイスから洗い落とされている、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
光吸収剤が、残りのハイドロゲルマトリックスの任意の分解から独立して分解可能である、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
光吸収剤が化学的または物理的プロセスによって分解可能である、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
光吸収剤が光脱色性である、または煮沸によって除去可能である、請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
ボイドアーキテクチャが多血管ボイドアーキテクチャであり、トーラス結び目を絡ませたトーラスをさらに含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャの一方または両方が、多面体のテッセレーションに基づくモデルから形成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
多面体のテッセレーションに基づくモデルが血管を表す、請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
多面体のテッセレーションに基づくモデルが気道を表す、請求項8記載のデバイス。
【請求項11】
ボイドアーキテクチャが多血管ボイドアーキテクチャであり、機能弁をさらに含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項12】
前記弁が二尖弁、三尖弁、単尖弁またはテスラバルブである、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
ボイドアーキテクチャが多血管ボイドアーキテクチャであり、流体スタティックミキサをさらに含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
流体スタティックミキサが2~50のフィンエレメントを有する、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
機能弁が多血管ボイドアーキテクチャ中の任意の位置に配置可能である、請求項11または12記載のデバイス。
【請求項16】
モノリシックである、請求項1記載のデバイス。
【請求項17】
ハイドロゲルマトリックスが光重合ハイドロゲルマトリックスおよび/または生分解性ハイドロゲルマトリックスである、請求項1記載のデバイス。
【請求項18】
付加製造法によって製造される、請求項1記載のデバイス。
【請求項19】
第一の血管アーキテクチャと第二の血管アーキテクチャとが絡み合っている、請求項1記載のデバイス。
【請求項20】
第一の血管アーキテクチャが第二の血管アーキテクチャによって覆われている、請求項1記載のデバイス。
【請求項21】
ハイドロゲルマトリックスが多孔質である、請求項1記載のデバイス。
【請求項22】
埋め込み型である、請求項1記載のデバイス。
【請求項23】
光吸収剤が親水性である、請求項1記載のデバイス。
【請求項24】
光吸収剤が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
光吸収剤が疎水性である、請求項1記載のデバイス。
【請求項26】
光吸収剤が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
互いから、かつ第一および第二の血管アーキテクチャから流体的に独立した3つ以上の血管アーキテクチャを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項28】
感光性ポリマーと;
光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物と
を含む予備重合溶液であって、該添加物が、該予備重合溶液から形成された固体から少なくとも部分的に除去可能である、該予備重合溶液。
【請求項29】
植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞をさらに含む、請求項28記載の予備重合溶液。
【請求項30】
光吸収剤添加物が親水性である、請求項28記載の予備重合溶液。
【請求項31】
光吸収剤添加物が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、請求項30記載の予備重合溶液。
【請求項32】
光吸収剤添加物が疎水性である、請求項28記載の予備重合溶液。
【請求項33】
光吸収剤添加物が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、請求項32記載の予備重合溶液。
【請求項34】
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程;
該多面体の該面および/または該頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること、ならびに
該スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルの該エッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
により、該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程;
該第一の血管コンポーネント内に第二の血管コンポーネントが収まるように該3Dモデルの該面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
該第一の血管コンポーネントおよび該第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
により、該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程;ならびに
該モデルの該2つの血管コンポーネントを合わせる工程
を含む、3Dハイドロゲル構築物をプロセッサによって製作する方法。
【請求項35】
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること;ならびに
ソリッドボリュームから該第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
設計ソフトウェアを使用してハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する工程であって、該ハイドロゲルマトリックス構築物の該3Dモデルが、該ハイドロゲルマトリックス構築物中に第一の管状チャネルネットワークを生み出す第一の計算アルゴリズムと、該ハイドロゲルマトリックス中に第二の管状チャネルネットワークを生み出す、該第一の計算アルゴリズムとは異なる第二の計算アルゴリズムとを含み、該第一および第二の管状チャネルネットワークが、2つの独立した絡み合った血管ネットワークである、工程;
該3Dモデルを、3D付加製造ソフトウェアにおける使用に適したフォーマットへと変換して、3D付加製造機を使用して生成されるフォーマットされた3Dモデルを生み出す工程;および
付加製造機に命令して該モデルを生成する工程
を含む、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造する方法。
【請求項38】
第一の計算アルゴリズムが多面体のテッセレーションである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
第一の計算アルゴリズムがトーラスであり、第二のアルゴリズムがトーラス結び目である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
光吸収剤を含む予備重合溶液を3D付加製造機に供給する工程を含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
予備重合溶液が1つまたは複数のタイプの細菌細胞、哺乳動物細胞および植物細胞を含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
第一の管状チャネルネットワークまたは第二の管状チャネルネットワークを細胞でライニングする工程を含む、請求項37記載の方法。
【請求項43】
ハイドロゲルマトリックスに細胞を包埋する工程を含む、請求項37記載の方法。
【請求項44】
細胞が、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数である、請求項41または43記載の方法。
【請求項45】
3D付加製造機が3Dモデルを生成するときに熱を供給する工程を含む、請求項34または37記載の方法。
【請求項46】
熱がシリコーンヒータ、加熱ランプまたは赤外線LEDを介して加えられる、請求項45記載の方法。
【請求項47】
3Dモデルの生成中、該3Dモデルを加熱エンクロージャ中に囲い込む工程を含む、請求項45記載の方法。
【請求項48】
コンピュータ実装プロセスを使用して以下を行う工程を含む、3Dハイドロゲル構築物を製作する方法:
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する;
該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する;
該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する;ならびに
該モデルの該第一および第二の血管コンポーネントを合わせる。
【請求項49】
コンピュータ実装プロセスを使用して前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、多面体の面を除去し、トポロジーの残りの頂点およびエッジを血管スケルトンとして使用することを含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
コンピュータ実装プロセスを使用して前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、
前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
コンピュータ実装プロセスを使用して前記モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程が、
第一の血管コンポーネント内に該第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
該第一の血管コンポーネントおよび該第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、ならびに
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
を含む、請求項48記載の方法。
【請求項52】
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程
をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項53】
ソリッドボリュームから、第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成する工程
をさらに含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、請求項48~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程;
該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程;
該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程;ならびに
該モデルの該第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程
を含む、3Dハイドロゲル構築物を製作する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項56】
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、
多面体の面および/または頂点を除去すること、および
残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること
を含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、
前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程が、
第一の血管コンポーネント内に該第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
血管系および気道への独立した流体接続を形成すること、および
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
を含む、請求項55記載の方法。
【請求項59】
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること;ならびに
ソリッドボリュームから該第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む、請求項55記載の方法。
【請求項60】
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、請求項55~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するための装置であって、
フレーム;
該フレームに取り付けられたz軸駆動モータを有するステージ;
該フレームに対する該ステージの動きを制御するための電子部品ボード;
溶液を保持するように構成された容器;
該ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルの画像スライスである画像を投影するためのプロジェクタ;および
基体を保持するように構成され、該基体の上で該ハイドロゲルマトリックス構築物が形成される、ビルドプラットフォーム
を含む、該装置。
【請求項62】
溶液が予備重合溶液であり、該予備重合溶液が、
感光性ポリマーと;
該予備重合溶液から形成された固体から少なくとも部分的に除去可能である、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物と
を含む、請求項61記載の装置。
【請求項63】
植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞をさらに含む、請求項62記載の装置。
【請求項64】
肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項62記載の装置。
【請求項65】
光吸収剤添加物が生体適合性である、請求項62記載の装置。
【請求項66】
光吸収剤添加物が親水性である、請求項62記載の装置。
【請求項67】
光吸収剤添加物が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、請求項62記載の装置。
【請求項68】
光吸収剤添加物が疎水性である、請求項62記載の装置。
【請求項69】
光吸収剤添加物が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、請求項62記載の装置。
【請求項70】
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づくハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する、
該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する、
該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する、ならびに
該モデルの該第一および第二の血管コンポーネントを合わせる
ように構成されたモデリングエンジンを含むプロセッサと;
フレーム、
該フレームに取り付けられたz軸駆動モータを有するステージ、
該フレームに対する該ステージの動きを制御するための電子部品ボード、
溶液を保持するように構成された容器、
該モデルの画像スライスである画像を投影するためのプロジェクタ、および
基体を保持するように構成されたビルドプラットフォーム
を含む、該ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するように構成された装置と
を含む、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するためのシステム。
【請求項71】
溶液が予備重合溶液であり、該予備重合溶液が、
感光性ポリマーと;
該予備重合溶液から形成された固体から除去可能である、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物と
を含む、請求項70記載のシステム。
【請求項72】
植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞をさらに含む、請求項71記載のシステム。
【請求項73】
肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項71記載のシステム。
【請求項74】
光吸収剤添加物が生体適合性である、請求項71記載のシステム。
【請求項75】
光吸収剤添加物が親水性である、請求項71記載のシステム。
【請求項76】
光吸収剤添加物が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、請求項71記載のシステム。
【請求項77】
光吸収剤添加物が疎水性である、請求項71記載のシステム。
【請求項78】
光吸収剤添加物が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、請求項71記載のシステム。
【請求項79】
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成することが、
多面体の面および/または頂点を除去すること、
残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること
を含む、請求項70記載のシステム。
【請求項80】
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成することが、
前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
をさらに含む、請求項79記載のシステム。
【請求項81】
前記モデルの第二の血管コンポーネントを生成することが、
第一の血管コンポーネント内に該第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
第一の血管コンポーネントおよび第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、および
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
を含む、請求項70記載のシステム。
【請求項82】
プロセッサが、
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること;ならびに
ソリッドボリュームから該第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作するように構成されている、請求項70記載のシステム。
【請求項83】
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、請求項70~81のいずれか一項記載のシステム。
【請求項84】
流体スタティックミキサが光吸収剤を含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項85】
流体スタティックミキサがタートラジンを含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項86】
流体スタティックミキサが、180°ねじれを有するフィンエレメントを含む、請求項13記載のデバイス。
【請求項87】
流体スタティックミキサが付加製造法によって製造される、請求項13記載のデバイス。
【請求項88】
請求項1~27のデバイスのいずれかを治療を必要とする対象に埋め込む工程を含む、該対象を治療する方法。
【請求項89】
複数の接合されたサブユニットを含み、各サブユニットが請求項1~27のデバイスのいずれかである、デバイス。
【請求項90】
細胞沈降を防ぐための増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、0.02重量%~2重量%の濃度を有するキサンタンガムを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項91】
細胞沈降を防ぐための増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、0.02重量%~2重量%の濃度を有するキサンタンガムを含む、請求項28記載の予備重合溶液。
【請求項92】
細胞沈降を防ぐための増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、0.02重量%~2重量%の濃度を有するキサンタンガムを含む、請求項71記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体適合性ハイドロゲル内の多血管ネットワークおよび機能的血管内トポロジーの形成に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
固形臓器は、生物物理学的かつ生化学的に絡み合い製造および研究が困難である複雑な三次元(3D)輸送体制を作り出している異なる血管ネットワークを通して、流体を輸送している。循環系および肺系の組織は物理的かつ進化的に絡み合っている。空気呼吸する脊椎動物において、これらの限定され、保存された血管トポロジーが相互作用して、生物全体の酸素依存性呼吸を可能にする。
【発明の概要】
【0003】
概要
以下の詳細な説明は、ステレオリソグラフィー製造によるモノリシックで透明なハイドロゲルの調製を記載する。細胞適合性ハイドロゲルは、複雑かつ機能的な血管アーキテクチャを含み、流体ミキサ、弁、血管間輸送、栄養素送達および宿主生着の研究のための機能的な血管トポロジーを有する。これらの血管内かつ多血管の設計は、光重合性ハイドロゲルにより、投影ステレオリソグラフィーのための生体適合性光吸収剤(photoabsorber)として食用色素添加物を使用することによって作成される。ステレオリソグラフィープロセスは、再生組織の設計のための組織アーキテクチャおよび生体材料の同時直交制御を可能にする。空間を充填する数学的トポロジーから形成された絡み合った血管ネットワークは複雑な形状の作成を可能にする。
【0004】
いくつかの態様において、デバイスは、光吸収剤を含む光重合性ハイドロゲルマトリックスと、それぞれ管状かつ分岐状である第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャを有する、マトリックス中のボイドアーキテクチャとを含み、第一および第二の血管アーキテクチャが互いから流体的に独立している。
【0005】
実施形態は以下の1つまたは複数を含むことができる。デバイスは、デバイスに入射する可視光の少なくとも90%がデバイスを透過してデバイスを画像化することを可能にする。光吸収剤は少なくとも部分的にデバイスから洗い落とされている。光吸収剤は、残りのハイドロゲルマトリックスの任意の分解から独立して分解可能である。光吸収剤は化学的または物理的プロセスによって分解可能である。光吸収剤は光脱色性である、または煮沸によって除去可能である。多血管ボイドアーキテクチャは、トーラス結び目を絡ませたトーラスである。第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャの一方または両方は、多面体のテッセレーションに基づくモデルから形成される。モデルは、血管を表す多面体のテッセレーションに基づく。モデルは、気道を表す多面体のテッセレーションに基づく。様々な態様において、多血管ボイドアーキテクチャは機能弁の特徴を有する。様々な態様において、弁は二尖弁、三尖弁、単尖弁またはテスラバルブである。様々な態様において、多血管ボイドアーキテクチャは流体スタティックミキサの特徴を有する。様々な態様において、流体スタティックミキサは2~50のフィンエレメントを有する。特徴は、多血管ボイドアーキテクチャ中の任意の位置に配置可能である。デバイスはモノリシックである。ハイドロゲルマトリックスは生分解性である。デバイスは付加製造法によって製造される。第一の血管アーキテクチャと第二の血管アーキテクチャとは絡み合っている。第一の血管アーキテクチャは第二の血管アーキテクャによって覆われている。ハイドロゲルマトリックスは多孔質である。デバイスは埋め込み型である。光吸収剤は親水性である。光吸収剤は、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである。光吸収剤は疎水性である。光吸収剤は、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである。互いから、かつ第一および第二の血管アーキテクチャから流体的に独立している3つ以上の血管アーキテクチャ。
【0006】
いくつかの態様において、予備重合溶液は、感光性ポリマーと、光の透過を制御するのに適した生体適合性の光吸収性添加物とを有し、添加物は、予備重合溶液から形成された固体から少なくとも部分的に除去可能である。溶液は植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞を含む。
【0007】
いくつかの態様において、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成することによって3Dハイドロゲル構築物を製作する方法。その後、多面体の面および任意選択で頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること、ならびに、スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することにより、モデルの血管コンポーネントを生成する。次いで、血管系(血管)コンポーネント内に気道が収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、血管系および気道への独立した流体接続を形成すること、ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること、ならびにモデルの血管コンポーネントと気道コンポーネントとを合わせることにより、モデルの気道コンポーネントを生成する。
【0008】
いくつかの態様において、ハイドロゲル肺胞構築物を製作することは、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成すること、気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること、血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成すること(テッセレーションは、多面体のテッセレーションを実行することを含む)、ソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成することを含む。多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである。
【0009】
いくつかの態様において、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造する方法は、設計ソフトウェアを使用してハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する工程を含み、ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルは、ハイドロゲルマトリックス構築物中に第一の管状チャネルネットワークを生み出す第一の計算アルゴリズムと、ハイドロゲルマトリックス中に第二の管状チャネルネットワークを生み出す、第一の計算アルゴリズムとは異なる第二の計算アルゴリズムとを含み、第一および第二の管状チャネルネットワークは2つの独立した絡み合った血管ネットワークである。次いで、3Dモデルを、3D付加製造ソフトウェアにおける使用に適したフォーマットへと変換して、3D付加製造機を使用して生成されるフォーマットされた3Dモデルを生み出し、付加製造機に命令してモデルを生成する。
【0010】
実施形態は以下の1つまたは複数を含むことができる。第一の計算アルゴリズムは多面体のテッセレーションである。第一の計算アルゴリズムはトーラスであり、第二のアルゴリズムはトーラス結び目である。光吸収剤を含む予備重合溶液を3D付加製造機に供給する。予備重合溶液は1つまたは複数の細菌細胞、哺乳動物細胞および植物細胞を含む。第一の管状チャネルネットワークまたは第二の管状チャネルネットワークを細胞でライニングする。ハイドロゲルマトリックスに細胞を包埋する。細胞は、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数である。3D付加製造機が3Dモデルを生成するときに熱を供給する。熱はシリコーンヒータ、加熱ランプまたは赤外線LEDを介して加えられる。3Dモデルの生成中、3Dモデルを加熱エンクロージャ中に囲い込む。
【0011】
態様は、デバイスのいずれかを治療を必要とする対象に埋め込む工程を含む、該対象を治療する方法と、複数の接合されたサブユニットを含み、各サブユニットがデバイスのいずれかである、デバイスとを含む。
【0012】
本明細書の方法および材料の利点は、局所的光重合によって光活性液体樹脂を構造化プラスチック部品へと効率的に変換するためのステレオリソグラフィーの使用を含む。ボクセルを連続的に堆積させる押出し3Dプリントと比べ、光架橋は、画像投影によって高度に並列化されて、タイムステップごとに何百万ものボクセルに同時かつ独立してアドレス指定することができる。ステレオリソグラフィーにおいて、xy解像度は光路によって決まり、z解像度は、過剰な光を吸収し、重合を所望の層厚さに限定する光減衰性添加物によって指図され、それによってパターン忠実度が改善される。適当な光吸収剤添加物の非存在において、ソフトハイドロゲルの3Dフォトパターニングは、生成することができるパターンのタイプに限定されることができる、または複雑で高価な低スループットの顕微鏡検査法を実現している。フォトレジストパターニングまたはプラスチック部品製作に利用される一般的な遮光性化学物質は、知られている遺伝子毒性および発がん性のせいで、バイオマニュファクチャリングには適さない。投影ステレオリソグラフィーのための非毒性の遮光物質の使用が、生体適合性ハイドロゲルの設計および生成に利用可能なアーキテクチャの豊富さに大きな進歩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面は、原寸に比例して描かれることを意図したものではない。様々な図面における類似の符番は類似の要素を示す。明確に示すために、すべての図面においてすべての構成要素が標識されているわけではない。
【0014】
【
図1-1】
図1A~Hは、スタティックミキサの形態の機能的血管内トポロジーを有するモノリシックハイドロゲルを示す。
【
図2】
図2Aは、二尖弁の形態の機能的血管内トポロジーを有するモノリシックハイドロゲルを示す。
図2Bは、水平チャネルの形態の機能的血管内トポロジーを有するモノリシックハイドロゲルのコンプライアンス測定結果を示す。
【
図3-1】
図3A~Gは、ハイドロゲル内の絡み合った血管トポロジーへの数学的空間充填曲線の適合を示す。
図3H~Jは、
図3Eにおけるような血管ネットワークを介する脱酸素化RBCの灌流を示す結果である。
【
図4-1】
図4A~Gは、動物モデルにおける機能的肝臓ハイドロゲル担体の移植を示す。
【
図5-1】
図5A~Gは、バイオインスパイアード肺胞ハイドロゲルの付加製造法のための3Dモデルを生成するための多面体のテッセレーションの詳細を示す。
【
図6-1】
図6A~Hは、気道トポグラフィーを模倣する被覆血管系を再現するための3D空間充填テッセレーションの使用を示す。
図6A~Iは、ウィア・フェラントポロジーの3Dテッセレーションからの被覆血管系を有するバイオインスパイアード肺胞モデルを示す。
【
図7】
図7A~Eは、肝臓ハイドロゲル担体のさらなる画像化および展開を示す。
【
図8】
図8A~Cは、組織工学のためのステレオリソグラフィー装置(SLATE)の部品および工程を示す。
【
図9】
図9A~Dは、プレハイドロゲル溶液へのキサンタンガムの添加が細胞の均一な分散を生じさせることを示す実験結果である。
【
図10】
図10A~Cは、凍結保存細胞ストックを用いる高速バイオマニュファクチャリングおよび細胞活性の非侵襲的特性評価を示す。
【
図11】
図11A~Dは、モノリシック肺模倣灌流および換気組織培養システムを示す。
【
図12】
図12Aおよび12Bは、灌流された単一チャネルゲルのhMSC分化を示す染色された切片である。
【
図13】
図13A~Eは、モノリシックハイドロゲル内の開存血管の製作を示す。
【
図14】
図14A~Dは、製作方向および層厚さがプリントされるチャネルの忠実度に影響することを示す実験結果を示す。
【
図15】
図15A~Gは、生体適合性光吸収剤が、開いたチャネルを有するハイドロゲルの製作を許すことを示す実験結果である。
【
図16】
図16A~Dは、タートラジンの包含がヒト間葉系幹細胞の生存率および分化に影響しないことを示す実験結果である。
【
図17】
図17A~Eは、先進の材料および製作戦略との光吸収剤添加物の適合性を示す結果である。
【
図18】様々な態様の、ハイドロゲル構築物を製作するための例示的装置の模式図である。
【
図19】様々な態様の、ハイドロゲル構築物を製造するためのシステムの模式図である。
【
図20】様々な態様の、3Dハイドロゲル構築物を製作する例示的方法のフローチャートである。
【
図21】様々な態様の、ハイドロゲルマトリックス構築物を製作する例示的方法のフローチャートである。
【
図22】様々な態様の、3Dハイドロゲル構築物を製作する例示的方法のフローチャートである。
【
図23】様々な態様のコンピュータシステムを示すブロック図である。
【0015】
図面は必ずしも一定の拡大縮小率で描かれているわけではなく、また、図面中の物体は必ずしも互いに対して一定の拡大縮小率で描かれているわけではないことが理解されるべきである。図面は、本明細書に開示される装置、システムおよび方法の様々な態様に明確さおよび理解を与えることを意図した描写である。可能な限り、全図面を通し、同じまたは類似の部品を指すために同じ符番が使用される。そのうえ、図面は、本教示の範囲をいかなるふうにも限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
デバイスは、光吸収剤を含む光重合性ハイドロゲルで形成することができる。製作中、光吸収剤は、洗い流すか、煮沸除去するかにかかわらず、デバイスから除去することもできるし、ハイドロゲルマトリックス中の任意の他の成分から独立して光吸収剤が分解することを可能にする別の物理的または化学的プロセスによって分解させることもできる。得られる生体適合性デバイスは、生分解性かつ多孔質であり、患者への埋め込みまたは科学的研究に好適である。
【0017】
デバイスは、モノリシックでありながらも、複雑な内部構造を含むように形成されている。内部構造は、ハイドロゲル内の1つ、2つ、または3つ以上のアーキテクチャであることができる。これらの内部構造は、それぞれが管状かつ分岐状であるが、互いから流体的に独立している第一および第二の血管アーキテクチャ、たとえば多血管ボイドアーキテクチャの形態をとる、ハイドロゲルマトリックス中のボイドアーキテクチャであることができる。第一および第二の血管アーキテクチャは、複雑であることもできるし、絡み合っていることもできるし、第一の血管アーキテクチャが第二の血管アーキテクチャによって覆われていることもできる。多血管ボイドアーキテクチャは、多くの形態、たとえばトーラス結び目を絡ませたトーラス、機能弁(二尖弁、三尖弁、単尖弁またはテスラバルブなど)および/または複数のフィンエレメントを有する流体スタティックミキサの形態をとることができる。第一および第二の血管アーキテクチャの一方または両方は、血管または気道を表すことができる多面体のテッセレーションに基づくモデルから形成されることができる。
【0018】
図1A~Hは、簡単な機能的血管内トポロジー、この場合は、それに入る流体流を均質化するフィンを有するスタティックミキサを有する生成されたモノリシックハイドロゲルの検証を記載する。
図1Aは、交互のキラリティの3Dねじれフィンエレメントで構成されたモノリシックハイドロゲルの内部組み込みスタティックミキサの模式図である。
図1Bは、厚さ150μmである
図1Aのフィンエレメント構造が1mm円筒形チャネル中に組み込まれている、製作されたハイドロゲルを示す。
図1Cの蛍光画像に示すように、チャネルに入射する2つの流体流(たとえば、低いレイノルド数(たとえばRe=0.002)の層流)がフィンとの相互作用によって混合される。
図1Cの蛍光画像は流れの計算モデル(
図1D)と一致する。2~10のフィンエレメントを有するスタティックミキサを含み、蛍光色素で灌流されたプリントされたモノリシックハイドロゲル(80重量%、6kDa)の
図1Eの合わせ蛍光画像に示すように、層流とスタティックミキサとの相互作用はフィンの数とともに変化する。
【0019】
図1F~Hはさらに、本明細書に記載されるモノリシックハイドロゲルから形成された灌流可能なスタティックミキサの混合効率を定量化する。
図1Fは、0または10のフィンを有するスタティックミキサの出口における正規化蛍光強度プロファイルを示す(実線は、フィンの直後の長さ3mmの出口における平均強度を表し、網掛け領域は標準偏差を表す)。
図1Gは、スタティックミキサの混合比計算を実証するためにプロットし直した
図1Fからの平均強度データを示す。
図1Hは、フィンの数ごとの平均混合比のプロットを示す。これらのデータは、血管内トポロジーを有する製作されたハイドロゲルデバイスが予測可能な機能性を有することを示す。
【0020】
図2A~Bは、3D機能的二尖静脈弁の形態で製作されたハイドロゲルデバイスの使用を示す。弁尖は動的であり、順行性および逆行性の脈動流に速やかに応答し、天然組織の確立されたマッピングにしたがって弁洞中で安定な鏡像渦の形成を促進する。
図2Aの右の粒子画像流速測定(PIV)画像が、開いた弁尖の後の弁洞領域中の安定な鏡像渦を実証する。
【0021】
図2Bは、ハイドロゲル内に製作された水平チャネルの例示的なコンプライアンス測定結果を示す。左および中央で、空気圧を加えたときの血管膨満が、静止時と120mmHgに膨張させたときの両方で測定されている(ハイドロゲル組成:20重量% 6kDa PEGDA;チャネル直径:1.5mm;チャネル長:20mm)。白い破線は、画像化されたチャネルの壁を表す。右で、グラフ化データが、血管のコンプライアンスがプレハイドロゲル溶液の組成に依存することがわかったことを示す。より低いポリマー分子量およびより高い重量%で構成された溶液は、より低いコンプライアンスのハイドロゲルを生じさせた。
図2Aおよび2Bのデータは、多血管系において使用するためのハイドロゲルデバイスの実現可能性を示す。
【0022】
固形臓器は、物理的かつ化学的に絡み合った異なる流体ネットワークを含む。別々の血管ネットワークは一般に、単一の接続された網状組織へとトポロジー的に縮小されることを防ぐために、直接的な流体接続を形成しない。生体適合性および水性環境内の多血管トポロジーは、ハイドロゲル内での製作に適した青写真である絡み合った網状組織の設計を可能にする。
【0023】
数学的空間充填およびフラクタルトポロジーアルゴリズムが、複雑な血管青写真を設計するための効率的なパラメトリック言語と、第一の血管アーキテクチャと交差しない第二の血管アーキテクチャを設計するための数学的手段とを提供する。
図3A~Dは、ハイドロゲル(20重量%PEGDA、6kDa)内の絡み合った血管トポロジーへの数学的空間充填曲線の適合を示す。これは、軸方向血管を取り囲むらせん(
図3A)、1次および2次相互貫入ヒルベルト曲線(
図3B)、双連続立方格子(シュワルツP曲面に基づく。
図3C)およびトーラス結び目を絡ませたトーラス(
図3D)を含む。色素を用いた灌流およびマイクロCT(μCT)解析が、パターン忠実度、血管開存性および2つの網状組織の間の流体独立性を実証する。
【0024】
ソース血管から隣接3Dトポロジー中を流れる灌流ヒト赤血球(RBC)への酸素の供給を測定することにより、血管内間質輸送の効率を評価した。
図3E~Fは、軸方向血管および曲がりくねった経路に沿って血管間距離300μmを維持しながらそれを取り巻くらせんのテッセレーションを示す。
図3Eのトップダウン写真(拡大図を
図3Fに示す)は、それぞれの血管への酸素およびRBC供給を伴う製作されたハイドロゲルの写真である。加湿気体酸素(7kPa)による曲がりくねったチャネルの換気中、らせんチャネルへの脱酸素化RBCの灌流(pO
2≦40mmHg;sO
2≦45%)が、入口における暗赤色から出口における明赤色へのRBCの顕著な変色を生じさせた。
【0025】
灌流RBCの収集物は、入口で付加された脱酸素化RBCと比べて、また、加湿窒素ガスで換気された陰性対照ゲルと比べて、有意に高い酸素飽和度および酸素分圧を示した。これが、灌流RBCを出口で収集し、sO
2およびp0
2に関して定量化した場合の
図3Gによって示されている。入口で灌流された脱酸素化RBC(破線)と比べて、酸素流は、窒素流陰性対照と比べて、灌流RBCのsO
2およびp0
2を増加させた。
【0026】
曲がりくねったらせんゲル中での灌流ヒト赤血球の酸素化は流量による影響を受ける。
図3H~Iの実験結果は、血管ネットワークを介する脱酸素化RBCのより遅い灌流(気体酸素流中)が、収集されたRBCのより高いsO
2(B)およびpO
2を生じさせたことを示す。破線は、灌流に使用された脱酸素化RBCの測定されたsO
2およびp0
2それぞれを示す。
図3Jは、より低い流量とともに酸素化ヘモグロビンの分画が有意に増大したことを示す。FHHb=脱酸素化ヘモグロビン分画;FMetHb=メトヘモグロビン分画;FCOHb=カルボキシヘモグロビン分画;FO
2Hb=酸素化ヘモグロビン分画。これらのデータは、RBCを運ぶためのチャネルとして使用するためのハイドロゲルデバイスの実現可能性を示す。
【0027】
以下は、治療的移植のための構造的に複雑かつ機能的な移植組織を製作するための記載されたプロセスの有用性を確立する。肝臓は、その構造トポロジーに密接に依存すると考えられるやり方で何百もの不可欠な仕事を実行する、人体中で最大の固形臓器であり、これらの研究に使用される臓器である。
【0028】
SLATE(以下で説明)によって与えられた拡張設計空間内でハイドロゲル中の複雑な構造的特徴を作成して、多材料肝組織を組み立てた。バイオプリントされた単一細胞組織と、肝細胞集合体を含むバイオプリントされたハイドロゲル「担体」とを製作した(
図4A~C)。ヌードマウスへの移植後、肝細胞集合体を含むハイドロゲル担体中でアルブミンプロモータ活性が増強した。条件ごとのすべての時点からのデータが
図4Bに示され、条件ごとの累積生物発光が
図4Cに示されている。集合体を付加された組織担体のアルブミンプロモータ活性は、単一細胞を含む埋め込み組織と比べ、60倍を超える増強を示した。
【0029】
図4Dは、切除後の組織の肉眼的検査を示し、ハイドロゲル担体組織は、宿主組織および血液とより良く統合しているように見えた。単一細胞と比べて改善された肝細胞集合体の有用性にもかかわらず、集合体は、一般的な最低ボクセル解像度(50μm)よりもサイズが大きいため、集合体サイズは3Dプリントに対して有意なアーキテクチャ的制限を課す。これらの設計上の制約に対応するために、天然フィブリンゲル内で肝細胞集合体を供給することができる、より先進の担体を使用した。これは、内皮細胞を播種することができる血管コンパートメントを有し、フィブリンゲルを化学的ではなく物理的に保持しかつ移植片と宿主組織との間でリモデリングを容易にするための構造的ハイドロゲルアンカーを組み込む。
図4Eを参照すると、ハイドロゲルアンカーが、共焦点顕微鏡検査によって観察された肝細胞集合体(Hep)を含むフィブリンゲルを物理的に捕捉しながら、マイクロチャネルネットワークにヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)が播種されている。
【0030】
バイオエンジニアリングされた肝臓組織は、慢性肝障害のモデルにおいて移植を生き延びる。慢性肝障害のあるマウスに移植してから14日後、肝細胞ハイドロゲル担体は、機能性肝細胞の生存を示すアルブミンプロモータ活性を示した(
図4F)。免疫組織学的特性評価が、肝細胞マーカであるサイトケラチン18に対して陽性に染まった、プリントされたハイドロゲル成分に付着した肝細胞集合体の存在を明らかにした(
図4F~G)。ヘマトキシリンおよびエオシン染色スライドの肉眼的検査および高倍率画像によるさらなる特性評価が、外植組織中の宿主血液の存在を示した。Ter-119の免疫染色が、外植組織中の肝細胞微小集合体に近接する微小血管内の細胞の赤血球同一性を確認した(
図4G、右)。これらは、埋め込み型デバイスとして使用するためのハイドロゲルデバイスの有効性を示す。
【0031】
天然末梢肺のさらなる構造的特徴が、肺胞形態および酸素輸送のモノリシックなバイオインスパイアードハイドロゲルモデルに含まれる。分岐する網状組織を含み、プールされた気道の周期的換気中に機械的膨満を支援することができる3Dハイドロゲルは、天然構造に由来する肺形態の性能の調査を可能にし、新たな機能的トポロジーを開発し、インタロゲートするための幅広いワークフローを提供することができる。
【0032】
複雑な形態は、多面体の3D空間充填テッセレーションとして数学的に近似される。肺胞形態および酸素輸送をモデル化するハイドロゲルマトリックス構築物を製造するために、設計ソフトウェアを使用してハイドロゲル構築物の3Dモデルが作成される。構築物は、第一の管状チャネルネットワークを生み出す第一の計算アルゴリズムと、第二の管状チャネルネットワークを生み出す、第一の計算アルゴリズムとは異なる第二の計算アルゴリズムとを含む。第一および第二の管状チャネルネットワークは2つの独立した絡み合った血管ネットワークである(たとえば肺胞形態および酸素輸送形態)。3Dモデルは、3D付加製造ソフトウェアにおける使用に適したフォーマットへと変換されて、3D付加製造機を使用して生成されるフォーマットされた3Dデバイスを生み出す。
【0033】
テッセレーションされたモデルを作成する工程は、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成すること、気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること(各面をその局所的法線方向に動かし、この新たな面を、新たな血管スケルトンが構築されるテンプレートとして機能させることによる)、血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することを含む。テッセレーションすることは、多面体のテッセレーションを実行すること、ならびにソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成することを含む。
図5A~Gは、バイオインスパイアード肺胞モデルの設計のための詳細を示す。
図5A中、基本的なウィア・フェラン多面体が3Dでテッセレーションされて空間を充填する。
図5Bは、ウィア・フェランテッセレーションからの絡み合った肺胞モデルの手順的導出を示す。多様体空気面が法線方向に延ばされ、面が除去され、エッジが平滑化ポリゴンメッシュに覆われて、気道および軌跡をそのカーブの中に囲う高度に分岐した血管ネットワーク(185の血管セグメントおよび113の流体分岐点を含む)を形成する。
図5Cは、気道が、膨張およびハイドロゲル膨満中(右、10kPa、0.5Hz)と比べ、静止時(左)に小さいことを強調する、被覆血管系中にRBC流を有しない、プリントされた肺胞モデルの写真である。加湿酸素ガス(10kPa、0.5Hz)によるプールされた気道の周期的換気が、顕著な膨満と、凹状気道領域のカーブの明らかな変化とを生じさせている。
【0034】
図5Dは、気道(白)の凸(青)領域および凹(緑)領域ならびにそれに伴う血管(赤)を有するモデルの略xy断面図である。法線力矢印が凹領域で収束している。この簡略化された気道膨張の2D計算モデルは、局所カーブに対応する、気道の異方性膨満および隣接血管の圧縮を予測する。これが、気道の凸領域または凹領域から等距離にある円形の血管によって包囲された対称な気道の2D計算モデルである
図5Eに示されている(黒いエッジが出発点を示す)。気道が膨張すると、凹領域が変位し、隣接する血管を圧迫する。
【0035】
図5Fには、末梢肺サブユニットモデル設計の工程が示されている。まず、気道を、球体と入口および出口チャネルとの融合によって設計する。気道トポロジーをオフセットし、ボロノイ3D表面テッセレーション、スケルトン化およびスキニングを実施することによる血管生成のためのテンプレートとして使用する。ソリッドボリュームからこれら2つのトポロジーのブーリアン減算を実行し、これは最終的なハイドロゲル設計を表す。
【0036】
図5Gは、末梢肺サブユニットモデルを用いて所定の計算3Dバウンディングボリューム内で成長させた気道およびオフセット血管ネットワークの枝先を追加することによる肺模倣モデルの生成を示す。
【0037】
肺胞形態は、効率的に空間を充填し、3D気道トポグラフィーのカーブを厳密に追跡する被覆血管系を再現する、多面体の3D空間充填テッセレーションとして数学的に近似される。
図6A~Iは、ウィア・フェラントポロジーの3Dテッセレーションからの、被覆血管系を有するバイオインスパイアード肺胞モデルを示す。
図6Aは、被覆血管系を導出するためのウィア・フェラン3Dテッセレーションおよびトポロジーオフセットに基づく肺胞モデルトポロジーのアーキテクチャ設計を示す。下の断面図は、気道空間が共有されているモデル肺胞を示す。3Dテッセレーションは、肺胞芽を支持する共有された気道空間を有する天然の肺胞気嚢を思い起こさせる凸領域と凹領域の両方の領域を含む面を生成する。
【0038】
図6Bは、
図6Aの肺胞モデルトポロジーによって5pLのボクセル解像度および1hrのプリント時間でパターニングされたプリントされたハイドロゲル(20重量% 6kDa PEGDA)を示す。図は、RBC灌流中、気嚢がO
2で換気されるときのプリントされたハイドロゲルの図である。周期的換気中の血管入口での脱酸素化RBCの灌流(10~100μL/min)が、観測可能な圧縮と、気道凹領域に隣接する血管からのRBCクリアランスとを招く(
図6B、C)。灌流の早期段階における希薄なRBC流では、RBC血管の周期的圧縮(膨張サイクルごとに気道凹領域によって駆動される)は、流体流を隣接の血管セグメントに向け直すための切換え弁として機能する。
【0039】
3D計算モデルからの分析は、膨張中の気道の凹領域の異方性膨満を支持する(
図6D)。そのうえ、肺胞モデルハイドロゲルの容積(0.8mL)が曲がりくねったらせんモデルの容積(3.5mL)よりも4倍を上回って小さいにもかかわらず、結果は、2つの設計の間で類似する酸素化効率である(
図6E)。これらのデータは、分岐トポロジー、ハイドロゲル膨満および換気中の流体流の方向転換が血管内混合をブーストし、十分に混合したRBCによる、より速い酸素の体積吸収を可能にし得ることを示唆する。これらのデータは、生体適合性材料中および水性環境内で実現される呼吸中の血管収縮の利点を示す。
【0040】
スケーラブルな肺模倣設計の場合、末梢肺サブユニットをマルチスケール分岐アーキテクチャの先端に追加することができるよう、血管入口、血管出口および気道の位置が統合される。
図6Fは、選択された計算バウンディングボリューム内の分岐する気道を示す。これは、気道の生成的成長、対向する入口および出口血管ネットワークのオフセット成長ならびに枝先への末梢肺サブユニットの追加によって肺模倣設計を精緻化したものである。
【0041】
入口および出口血管ネットワークの中心線は、気道をはさんで互いに対向し、かつ気道からトポロジー的にオフセットしながら成長し、血管はすべての派生枝の先端まで向きを変えながら降りていく。各末梢肺の先端は肺胞単位セルを追加され(
図6G)、その被覆血管系(354の血管セグメントおよび233の流体分岐点を含む)そのものは、その局所気道のトポロジー的オフセットに沿う異方性ボロノイ面テッセレーションである。ハイドロゲル(20重量% 6kDa PEGDA)が、好都合にも、RBC灌流中の6時間にわたり、流入ガスを加湿酸素と加湿窒素との間で切り換えながら、10,000を超える換気サイクル(24kPa、周波数0.5Hz)に耐えることがわかった(
図6H~J)。
図6Iは、RBC灌流の早期段階のカラーフィルタリングされた図を示し、換気が、末梢肺サブユニットの中点近くの選択された血管セグメント内でRBC混合および双方向流を促進することを実証する。
【0042】
再び
図6Eを参照しながら、
図7A~Eは、肝臓ハイドロゲル担体のさらなる画像および展開を示す。
図7A中、フィブリン(青)中に懸濁され、ハイドロゲルアンカー(紫)と絡み合い、その下にあるパターニングされた血管ネットワーク(赤)を有する、初代肝細胞集合体(緑)を、3Dプリントされたハイドロゲル担体が受け入れている。
図7Bは、灌流可能な血管系(赤)およびハイドロゲルアンカーを実証する3Dプリントされたチャンバを示す。
図7Cは、ハイドロゲルアンカーおよび下にある灌流可能な血管系(赤)を示す、
図7Bの強調表示領域の拡大図である。
図7Dは、フィブリン播種容積(青)および下にある血管系(赤)を実証する250μm断面図である。
図7Eは、共焦点最大強度投影(Max IP、左)ならびに内皮索(赤)および肝細胞(緑)ボリュームレンダリングである。
【0043】
SLATE製作が、迅速なバイオマニュファクチャリングを支持し、哺乳類細胞株の生存能力を維持することができ、初代ヒト幹細胞の正常な機能および分化を支持し、血管灌流による可溶性因子供給の関数として幹細胞分化を探求するための実験的に制御しやすい手段を示唆することを、SLATE研究は示す。
【0044】
図8Aは、様々な態様の、投影ステレオリソグラフィーによる3Dオブジェクトの製作のための図式化ワークフローである。3Dモデルに対応するフォトマスクを、感光性液体溶液を含む浴槽中に投影することができる。連続的な層ごとのフォトパターニングが完了すると、3Dオブジェクトが得られる。
図8Bは、例示的な投影ステレオリソグラフィー装置800の3Dレンダリングである。装置は、ビルドプラットフォーム820が取り付けられているアクチュエータ815によって制御されるモータ810(フレーム840に取り付けることができる)を含むことができる。プリンタの背面は、モータを制御し、任意のさらなるセンサまたはスイッチによって入出力を実行するマザーボード825を収容することができる。プリンタの前面は、プロジェクタ835からの入射パターンを、感光性材料を含む皿に反射するように配置されたミラー830を含む。すべてのオフホワイト色の部品は、消費者用ポリ乳酸(PLA)プラスチックフィラメントから3Dプリントアウトされた部品に対応する。
図8Cは、3Dルーク(チェスの駒)モデルの高さに沿って様々な位置で生成されたフォトマスク(左)を示す模式図である。
【0045】
デバイスは、細胞の取り扱いに十分なスペースを有する一般的なバイオセーフティキャビネットの内に完全に収まる。SLATE製作は迅速であるが(250pLのボクセルで最大12mL/hr)、哺乳類細胞は通常、数十秒以内に懸濁液から沈降する。細胞沈降を防ぎ、自動バイオプリンティングを容易にするために、キサンタンガム(天然の生体適合性かつシェアシニング性炭水化物)がプレハイドロゲル溶液に添加される。
【0046】
SLATEは、上記カスタム肺模倣アーキテクチャを使用して、哺乳類細胞を含む組織構築物を生成する能力を実証する。数十もの層で構成されたハイドロゲルを数分でプリントすることができ、哺乳類細胞が均一に分散している(
図9A、B)。
図9A、Bは、プレハイドロゲル溶液へのキサンタンガムの配合がゲルの高さに沿って均一な細胞の分散を生じさせたことを示す。
図9Bは、HEK mCherry細胞(20×10
6個/mL)を含む製作された20重量%ハイドロゲルの側面(xz面)図である。
図9C、Dにおける実験結果は、直径0.8mmの水平チャネルを含むPEGDAハイドロゲルに封入されたHEK Luc2P細胞の総光出力を、様々な細胞密度(
図9C)および様々なルシフェリン基質流量(
図9D)で示す。
【0047】
図10A~Cは、凍結保存された細胞ストックを用いた迅速なバイオマニュファクチャリングおよび細胞活性の非侵襲的特性評価を示す。
図10Aは、凍結保存された細胞ストックが解凍され、ただちに投影ステレオリソグラフィーに使用されて、パターニングされた血管アーキテクチャを有する灌流可能な組織を生み出すことを示す。細胞解凍から灌流実験までの全手順は1時間未満しか要しない。
図10Bを参照すると、このワークフローを使用して、ホタルルシフェラーゼ(Luc2P)を発現する哺乳動物細胞(2.5×10
7個/mL)を含む製作された組織構築物が脱酸素化RBCまたは酸素化RBCおよびルシフェリン基質で灌流されている。ルミネセンス定量化(3時間)が、酸素化RBCで灌流されたゲル内の細胞からの発光の増大を実証する。
図10Cは、ハイドロゲル内の細胞から放出される全光束としてプロットされた、
図10Bの灌流実験の全3時間の経過である。
【0048】
ハイドロゲル構築物はまた、間質空間の大部分にヒト肺線維芽細胞を添加され、気道にヒト上皮様細胞を添加されることができ、これが、モノリシック肺模倣灌流・換気組織培養システムのためのラボオンチップ肺設計のハイドロゲル類似物の開発を促進することができる。
図11Aは、肺胞嚢および周囲の肺血管系のバイオインスパイアード設計を示す。モデルの全体サイズは9×11.8×4.3mm(x、y、z)であり、最小チャネル直径は400μmであり、肺胞直径は600μmである。
図11Bは、血管チャネルを介する灌流および気道血管の換気のための、プリントされたゲルへの流体接続の写真である。
図11Cは、間質領域を含む、ハイドロゲルのバルク中に封入されたIMR-90線維芽細胞(10×10
6個/mL)を用いて製作されたハイドロゲルを示す。血管系を介する灌流組織培養下の気道の換気(20μL/分、5日間)が、核に関する染色(Hoechst)後の断面画像に見られるように、気道の開存性を維持した。
図11D中、播種されたA549上皮様細胞(H2B-mVenusを発現、中央)が、間質区域中に封入された線維芽細胞を含むプリントされたハイドロゲルの気道内腔に付着している。
【0049】
図12A、Bは、骨形成分化培地を用いるhMSCの関連する数週間の組織培養の組織学的結果を示し、図中、灌流された単一チャネルゲル全体に骨形成マーカ陽性のhMSCが見られる。
図12Aは、骨形成培地灌流を14日間受けたハイドロゲルからのhMSC組織断面のアルカリホスファターゼ(ALP)染色を示し、血管チャネルが点線の円で強調表示されている(
図12Bは断面の拡大図である)。ALP染色は、灌流チャネルの周に沿って強く見られ、ゲルの大部分でいくらかの陽性染色が見られる。
【0050】
上述したように、合成および天然の食用色素を生体適合性光吸収剤として使用して、複雑かつ機能的な血管アーキテクチャを含むハイドロゲルのステレオリソグラフィー製造を可能にすることができる。タートラジン(黄色の食用色素FD&Cイエロー5、E102)、クルクミン(ターメリック由来)またはアントシアニン(ブルーベリー由来)を含む水性プレハイドロゲル溶液それぞれが、開存血管を有するハイドロゲルを生み出すことができる。これらの有機分子に加えて、生体適合性および光減衰性に関して広く認められている無機金ナノ粒子(50nm)もまた、灌流可能なハイドロゲルを生成するための効果的な光吸収添加物として機能する(以下、
図15を参照して説明)。
【0051】
使用可能な光吸収剤は、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩を含む1つまたは複数の食用色素であることができる。同じく使用可能であるものは、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンである。
【0052】
図13A~Eは、モノリシックハイドロゲル内の開存血管の製作を示す。
図13Aは、発生期血管への過剰な光の透過を最小化するためにプレハイドロゲル溶液に添加された適当な光吸収剤の1つ(図示する実験の場合、タートラジン)を用いて投影ステレオリソグラフィーによって製作することができる、水平方向血管を有するモノリシックハイドロゲルを模式的に示す。
図13Bは、タートラジンを用いた投影ステレオリソグラフィーが、血管内腔中の過剰な架橋を最小化したハイドロゲルを生み出すことを示す。
図13Cは、LAP光開始剤および光吸収剤タートラジンの吸光度スペクトルである。タートラジンの吸光度スペクトルは、LAP光開始剤を介して光架橋を開始するために使用することができる光源(405nmの垂直バー)を包含する。
図13Dは、短時間(左)および長時間(右)の露光(青い網掛け領域)中の光レオロジーであり、タートラジン添加(0~3mM)は架橋の誘導を遅らせるが、最終的にゲル化を妨げないことを実証する。
図13Eは、ハイドロゲルが数時間以内に最大70%のタートラジンを放出し(カラーホイール上のゲルの写真によって例示)、製作されたハイドロゲルをカラーおよび蛍光画像化に適したものにすることを示す。
【0053】
これらの光吸収剤が光重合性ハイドロゲルのゲル化速度にどのように影響するのかを理解するために、短時間露光で光レオロジー特性評価を実施した。結果は、これらの添加物が光架橋の誘導において用量依存的な遅延を生じさせることを示す(
図13Dおよび15E)。ハイドロゲルが最終的に添加物濃度とは無関係に等価の貯蔵弾性率に達したため、反応終了を超えて延びる飽和露光は、適当な添加物が最終的に反応を妨害しなかったことを実証する(
図13Dおよび15E)。
【0054】
図14A~Dは、製作の方向および層厚さがプリントされるチャネルの忠実度に影響することを示す実験結果を示す。
図14Aは、チャネルの縦軸がプリント方向と平行になるように製作された直径1mmの円形チャネルである。この方向は、オーバハング状の形体を生み出さず、高い真円度を有する(
図14Dで定量化されるように)。
図14Bは、光投影軸に対して垂直な水平方向に製作された一辺1mmの正方形チャネルである(星印は、過剰な光の透過が外因性のハイドロゲル架橋を生じさせた領域を示す)。
図14Cは、200、100、50または25μmの層厚さを使用してプリントされた水平方向に直径1mmの円形チャネルを示す。
図14Dは、層厚さの関数としてチャネル真円度をプロットしたものである。水平チャネルのプリントが破線の左に示され、
図14Aからの垂直チャネルがその右に示されている。層高さが減少するとともに、チャネルは、より高い真円度、ひいては、元々のCADモデルへのより高い幾何学的忠実度を示す。
【0055】
図15A~Gは、生体適合性光吸収剤が、開いたチャネルを有するハイドロゲルの製作を可能にすることを示す実験結果を示す。
図15Aは、LAP光開始剤ならびに生体適合性光吸収剤タートラジン、クルクミン、アントシアニンおよび50nm金ナノ粒子の吸光度スペクトルである。これらの添加物の吸光度スペクトルは、LAP光開始剤を介して光架橋を開始するために使用することができる光源(405nmの垂直バー)を包含する。
図15Bは、タートラジンの量が、ラジカル媒介光化学反応中のその分解のせいで、出発プレハイドロゲル溶液と比べて、プリントされたゲル(4×4×2mm、直径1mmのチャネルを含む)中でより少ないことがわかったことを示す。
図15Cは、
図1Aに記載された水平血管ジオメトリーを有する、ただし光吸収剤添加物なしで製作されたハイドロゲルが、血管内で望ましくないゲル化を生じさせ、血管を完全に閉塞することを示す。蛍光を可能にするために、ローダミン-デキストランがプレハイドロゲル混合物に配合されていた。
図15Dは、ステレオリソグラフィーを使用して開いた水平チャネルを製作するための光吸収剤としてのクルクミン(上)、アントシアニン(中)および50nm金ナノ粒子(下)の蛍光(左)およびカラー写真(右)画像である。蛍光画像を得るために、FITC-デキストランがプレハイドロゲル混合物に配合されていた。
図15Eは、以下の添加物:クルクミン(上)、アントシアニン(中)および50nm金ナノ粒子(下)を用いたときの短時間(左)および長時間(右)露光による光レオロジー実験の結果である。
図15Fは、光吸収剤濃度が増すときのハイドロゲル組成物の検量線である。各データ点は、動的振動および照射中に所与の厚さの単層ハイドロゲルがそのゲル化点に達するために要する時間を表し、すべてのデータ点が
図15Gに表形式で示されている。
【0056】
好ましい光吸収剤の例としてタートラジンが選択されている。人におけるその低い毒性および食品産業における幅広い用途に加え、この親水性色素は、生成されたハイドロゲルから容易に洗い落とされて(たとえば、小さなゲルの場合、70%が3時間以内に溶出する)、画像化に適したほぼ透明な構築物を生じさせる。タートラジンはフリーラジカルに敏感であることが知られているため、一部のタートラジンは重合中に分解する場合もある。また、ゲルを水または生理食塩水に沈めて可溶性タートラジンを除去することが、血管トポロジーを洗浄し、未反応のプレハイドロゲル溶液を除去することになる。タートラジンとは対照的に、クルクミンは親油性であり、水溶液中では洗い落とされず、アントシアニンは、本発明者らが意図する405nm光源からは遠く離れたピーク吸光度を有するため、適当な効能を得るためには高い濃度を必要とし、金ナノ粒子は物理的に閉じ込められるため、透過型または蛍光顕微鏡検査を実現不可能にする。タートラジンの使用は、ハイドロゲル予備重合溶液中、光の透過を制御するのに適した光吸収性添加物(後で、予備重合溶液から形成されたデバイスから除去して、それを透明またはほぼ透明(例えば、入射光の90%以上を透過させる)にすることができる)として好都合である。
【0057】
本明細書に詳述されるハイドロゲルデバイスはさらに、予備重合溶液中にある、またはのちに多孔質ハイドロゲルデバイス中に播種される細胞(植物、細菌または哺乳動物)を含むことができる。
図16A~Dは、タートラジンの包含がヒト間葉系幹細胞の生存率および分化に影響しないことを示す実験結果を示す。
図16A、B中、1~10mMタートラジン(
図16A)および10~50mM LAP(
図16B)とともに20および60分間インキュベートされたヒト間葉系幹細胞(hMSC)が高い細胞生存率を生じさせている。
図16Cは、円柱形の生体活性ハイドロゲル内のhMSCが高い細胞生存率を実証したことを示す。
図16Dは、タートラジンを用いて製作されたハイドロゲルに封入されたhMSCの骨形成分化を定量化したものであり、製作された円柱形ハイドロゲル内の細胞が生存し続け、骨形成分化を受けることができることを示す。
【0058】
より先進の光活性材料を使用してハイドロゲルデバイスを作ることもできる。
図17A~Eは、光吸収剤添加物と先進材料および製作戦略との適合性を示す実験結果を示す。
図17Aは、PEGDAおよび光吸収剤を用いたラジカル媒介連鎖成長光重合の光レオロジーを示し、ハイドロゲル剛性が、光(青い網掛け領域)がオフにされたずっと後でもゆっくり増大する(暗反応としても知られる)ことを明らかにする。対照的に、
図17Bに示すように、光吸収剤添加物の存在下でのPEG-ノルボルメンおよびPEG-ジチオール段階成長重合(チオール-エンクリックケミストリー)では、光(青い網掛け領域)がオフにされた後、ハイドロゲル剛性の増大は急停止する。
図17Cは、段階成長反応速度の階段状の見かけが離散光パルス(青い網掛け領域)とともに連続的に繰り返して、連鎖成長重合に見られるようなゆっくりと進む反応の複雑化なしで、可変剛性のハイドロゲルを生み出すことができることを示す。
図17Dは、チオール-エン材料の投影ステレオリソグラフィーが、血管内腔中の過剰な架橋を最小化しながらハイドロゲルを生み出すことを示す。
図17Eは、開いたチャネルを含むハイドロゲルの連続投影ステレオリソグラフィーを達成することができることを示す。蛍光画像を得るために、FITC-デキストランがプレハイドロゲル混合物に配合されていた。
【0059】
隣接する製作された層の間で強い積層が認められ、機械的変形に対するパターニングされたハイドロゲルの迅速な応答が認められた(
図2Bの静止/膨張結果に示すように)。光投影軸に対して直交方向の円柱形の開存血管を含むソフトハイドロゲルのこの容易な生成は、複雑な血管トポロジーの生成に向けた有意な設計フレキシビリティを示唆し、得られるハイドロゲルの光学的透明度は、流体流の特性評価および検証に適した画像化方法を暗示する。
【0060】
方法および検証実験は、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成することによって3Dハイドロゲル構築物を製作する方法を記載する。その後、多面体の面および任意選択で頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用し、このスケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することにより、モデルの血管コンポーネントを生成する。血管系(血管)コンポーネント内に気道が収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングし、血管系および気道への独立した流体接続を形成し、ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行し、モデルの血管コンポーネントと気道コンポーネントとを合わせることにより、モデルの気道コンポーネントを生成することができる。
【0061】
これらの3Dモデルは、3D付加製造機に供給される光吸収剤溶液を含む予備重合溶液を用いる付加製造法に使用することができる。予備重合溶液は1つまたは複数の細菌細胞、哺乳動物細胞および植物細胞を有することができる、または、3Dモデルから得られたアーキテクチャは、細胞でライニングされている第一の管状チャネルネットワークまたは第二の管状チャネルネットワークであることができる。あるいはまた、ハイドロゲルマトリックスに細胞を包埋することもできる。細胞は、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数であることができる。
【0062】
3D付加製造機が、3Dモデルに基づくハイドロゲルを生成するとき、シリコーンヒータ、加熱ランプまたは赤外線LEDを介して熱を加えることができる。構築するハイドロゲルは、生成中、加熱エンクロージャ中に囲い込まれることができる。製作されたならば、ハイドロゲルデバイスは、医療介入のために対象に埋め込まれることもできるし、複数のデバイスがより大きなインプラントへと接合されて治療に使用されることもできる。
【0063】
様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックスを含むデバイスが提供される。様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックスは光重合ハイドロゲルである。様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックスは、光吸収剤と、それぞれ管状かつ分岐状である第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャを有する、マトリックス中のボイドアーキテクチャとを含み、第一および第二の血管アーキテクチャは互いから流体的に独立している。
【0064】
様々な態様にしたがって、デバイスは、デバイスに入射する可視光(波長400~700nm)の約50%~99.9%がデバイスを透過してデバイスを画像化することを可能にする。様々な態様にしたがって、デバイスは、デバイスに入射する可視光の約60%~99.8%、約70%~99.6%、約80%~99.5%または約85%~99.0%がデバイスを透過してデバイスを画像化することを可能にする。様々な態様にしたがって、デバイスは、デバイスに入射する可視光の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または90%(デバイスに入射する可視光の任意の割合を含む)がデバイスを透過してデバイスを画像化することを可能にする。様々な態様にしたがって、光吸収剤は透明なハイドロゲルを生じさせなくてもよい。
【0065】
様々な態様にしたがって、光吸収剤は少なくとも部分的にデバイスから洗い落とされている。たとえば、光吸収剤のいくらかの割合は完全には洗い落とされなくてもよい。これは、たとえば、透明ではあるが、わずかに「黄色」を帯びたゲルを生じさせることができる。様々な態様にしたがって、光吸収剤は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%(それらの間の任意の値を含む)が洗い落とされている。様々な態様にしたがって、光吸収剤は、残りのハイドロゲルマトリックスの任意の分解から独立して分解可能である。様々な態様にしたがって、光吸収剤は化学的または物理的プロセスによって分解可能である。例えば、タートラジンなどの光吸収剤は、プリントが完了したのち3時間以内に少なくとも70%が洗い落とされることができる。
【0066】
様々な態様にしたがって、光吸収剤は、365~450nmの波長を有する吸収性光への曝露によって光脱色可能であるか、過酸化物もしくは任意の他の適当な物質などによる化学的分解によって除去可能または沸騰水溶液、たとえば水または任意の他の適当な物質への曝露によって除去可能である。
【0067】
様々な態様にしたがって、ボイドアーキテクチャは多血管性ボイドアーキテクチャであり、トーラス結び目を絡ませたトーラスをさらに含む。様々な態様にしたがって、第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャの一方または両方は、多面体のテッセレーションに基づくモデルから形成される。様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションに基づくモデルは血管を表す。様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションに基づくモデルは気道を表す。
【0068】
様々な態様にしたがって、ボイドアーキテクチャは多血管ボイドアーキテクチャであり、機能弁をさらに含む。様々な態様にしたがって、弁は二尖弁、三尖弁、単尖弁またはテスラバルブである。
【0069】
様々な態様にしたがって、ボイドアーキテクチャは流体スタティックミキサを含む。様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサは2~50のフィンエレメントを有する。様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサは、2~50、3~40、4~30、5~25、6~20、7~15または8~12(それらの間の任意の範囲を含む)のフィンエレメントを有する。様々な態様にしたがって、機能弁は、多血管ボイドアーキテクチャ中の任意の位置に配置可能である。
【0070】
様々な態様にしたがって、デバイスはモノリシックである。様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックスは光重合ハイドロゲルマトリックスおよび/または生分解性ハイドロゲルマトリックスである。様々な態様にしたがって、デバイスは付加製造法によって製造される。
【0071】
様々な態様にしたがって、第一の血管アーキテクチャと第二の血管アーキテクチャとは絡み合っている。様々な態様にしたがって、第一の血管アーキテクチャは第二の血管アーキテクチャによって覆われている。様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックスは多孔質である。様々な態様にしたがって、多孔度は、約10nm(100オングストローム)~約10μm、20nm~約8μm、30nm~約7μm、40nm~約6μm、50nm~約5μm、60nm~約4μm、70nm~約3μm、80nm~約2μmまたは100nm~1μm(それらの間の任意の多孔度範囲を含む)の範囲である。様々な態様にしたがって、デバイスは埋め込み型である。様々な態様にしたがって、光吸収剤は親水性である。
【0072】
様々な態様にしたがって、光吸収剤は、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである。様々な態様にしたがって、光吸収剤は、約0.1mM~約100mM、約0.2mM~約90mM、約0.3mM~約80mM、約0.4mM~約70mM、約0.5mM~約60mM、約0.6mM~約50mM、約0.7mM~約40mM、約0.8mM~約30mM、約0.9mM~約20mM、約1.0mM~約10mMの濃度(それらの間の任意の濃度範囲を含む)を含むことができる。
【0073】
様々な態様にしたがって、光吸収剤は疎水性である。様々な態様にしたがって、光吸収剤は、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである。様々な態様にしたがって、疎水性光吸収剤は、約0.1mM~約100mM、約0.2mM~約90mM、約0.3mM~約80mM、約0.4mM~約70mM、約0.5mM~約60mM、約0.6mM~約50mM、約0.7mM~約40mM、約0.8mM~約30mM、約0.9mM~約20mM、約1.0mM~約10mMの濃度(それらの間の任意の濃度範囲を含む)を含むことができる。様々な態様にしたがって、疎水性光吸収剤は溶媒を含むことができる。溶媒は、ジメチルスルホキシド、エタノール(50~100%)、イソプロピルアルコール、(50~100%)ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサフルオロ-2-プロパノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
【0074】
様々な態様にしたがって、デバイスは、互いから、かつ第一および第二の血管アーキテクチャから流体的に独立した3つ以上の血管アーキテクチャを含む。
【0075】
様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサは光吸収剤を含む。様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサはタートラジンを含む。様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサは、180°ねじれを有するフィンエレメントを含む。様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサは、30°~180°、40°~180°、45°~180°、50°~180°、60°~180°、65°~180°、70°~180°、75°~180°、80°~180°、85°~180°、90°~180°、120°~180°または150°~180°のねじれ角(それらの間のねじれ角の任意の範囲を含む)を有するフィンエレメントを含む。様々な態様にしたがって、流体スタティックミキサは付加製造法によって製造される。
【0076】
様々な態様にしたがって、デバイスはさらに、細胞沈降を防ぐための増粘剤を含む。様々な態様にしたがって、増粘剤は、約0.02重量%~約2重量%、約0.03重量%~約1.5重量%、約0.04重量%~約1.0重量%または約0.05重量%~約0.5重量%の濃度(それらの間の任意の増粘剤値を含む)を有するキサンタンガムを含む。
【0077】
様々な態様にしたがって、予備重合溶液が提供される。様々な態様にしたがって、予備重合溶液は、感光性ポリマーと、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物とを含み、添加物は、予備重合溶液から形成された固体から少なくとも部分的に除去可能である。様々な態様にしたがって、感光性ポリマーは、感光性反応によって重合させることができるポリマーである。様々な態様にしたがって、光吸収剤は、共有結合的または非共有結合的にポリマーに結合した光吸収剤を含むことができる。様々な態様にしたがって、予備重合溶液はまた、光開始剤を含むことができる。様々な態様にしたがって、光開始剤は、共有結合的または非共有結合的にポリマーに結合していることができる。
【0078】
様々な態様にしたがって、予備重合溶液は、細胞沈降を防ぐための増粘剤を含むことができる。様々な態様にしたがって、増粘剤は、約0.02重量%~約2重量%、約0.03重量%~約1.5重量%、約0.04重量%~約1.0重量%または約0.05重量%~約0.5重量%の濃度(それらの間の任意の増粘剤値を含む)を有するキサンタンガムを含む。
【0079】
様々な態様にしたがって、予備重合溶液は、約1~約10、約1.5~約9.8、約2.5~約9.5、約3.5~約9.3、約4.5~約9、約5.5~約8.8、約6~約8.6または約6.5~約8.5のpH(それらの間の任意のpH値を含む)を含む。
【0080】
様々な態様にしたがって、感光性ポリマーは、ポリエチレングリコールジアクリレート、ゼラチンメタクリレート、コラーゲンメタクリレート、シルクメタシレート、ヒアルロン酸メタクリレート、コンドロイチン硫酸メタクリレート、エラスチンメタクリレート、セルロースアクリレート、デキストランメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、NIPAAmメタクリレート、キトサンメタクリレート、ポリエチレングリコールノルボルネン、ポリエチレングリコールジチオール、チオール化ゼラチン、チオール化キトサン、チオール化シルク、PEGベースのペプチドコンジュゲートまたはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0081】
様々な態様にしたがって、予備重合溶液中のポリマーの範囲は、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%または約15重量%~約20重量%の範囲(それらの間の任意の範囲を含む)であることができる。様々な態様にしたがって、予備重合溶液中の光吸収剤の範囲は、約0.1mM~約100mM、約0.2mM~約90mM、約0.3mM~約80mM、約0.4mM~約70mM、約0.5mM~約60mM、約0.6mM~約50mM、約0.7mM~約40mM、約0.8mM~約30mM、約0.9mM~約20mM、約1.0mM~約10mMの濃度(それらの間の任意の濃度範囲を含む)を含むことができる。様々な態様にしたがって、光開始剤は、約5mM~約50mM、約6mM~約40mM、約7mM~約30mM、約8mM~約20mM、約9mM~約30mM、約10mM~約50mMの濃度(それらの間の任意の濃度範囲を含む)を含むことができる。
【0082】
様々な態様にしたがって、予備重合溶液は植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞を含む。様々な態様にしたがって、細胞の範囲は、哺乳動物および植物細胞の場合、1ミリリットルあたり1×106~200×106個を含む。様々な態様にしたがって、細胞の範囲は、哺乳動物および植物細胞の場合、1ミリリットルあたり1×107~1×108個を含むことができる。様々な態様にしたがって、細胞の範囲は、細菌および他の古細菌、たとえば真菌の場合、1ミリリットルあたり1×103~1×1011個を含むことができる。様々な態様にしたがって、細胞の範囲は、細菌および他の古細菌、たとえば真菌の場合、1×108~1×1011個を含むことができる。
【0083】
様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は生体適合性である。様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は親水性である。様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである。
【0084】
様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は疎水性である。様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである。様々な態様にしたがって、疎水性光吸収剤添加物は溶媒を含むことができる。溶媒は、ジメチルスルホキシド、エタノール(50~100%)、イソプロピルアルコール、(50~100%)ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサフルオロ-2-プロパノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
【0085】
様々な態様にしたがって、3Dハイドロゲル構築物をプロセッサによって製作する方法が提供される。様々な態様にしたがって、方法は、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程;多面体の面および/または頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること、ならびに、このスケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することにより、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程;第一の血管コンポーネント内に第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、第一の血管コンポーネントおよび第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、ならびにソリッドボリュームからブーリアン減算を実行することにより、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程;ならびにモデルの2つの血管コンポーネントを合わせる工程を含む。
【0086】
様々な態様にしたがって、方法はまた、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成すること;気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成すること(テッセレーションは、多面体のテッセレーションを実行することを含む);ならびにソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成することにより、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む。様々な態様にしたがって、方法はさらに、3D付加製造機が3Dモデルを生成するときに熱を供給する工程を含むことができる。
【0087】
様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである。
【0088】
様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造する方法が提供される。様々な態様にしたがって、方法は、設計ソフトウェアを使用してハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する工程(ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルは、ハイドロゲルマトリックス構築物中に第一の管状チャネルネットワークを生み出す第一の計算アルゴリズムと、ハイドロゲルマトリックス中に第二の管状チャネルネットワークを生み出す、第一の計算アルゴリズムとは異なる第二の計算アルゴリズムとを含み、第一および第二の管状チャネルネットワークは2つの独立した絡み合った血管ネットワークである);3Dモデルを、3D付加製造ソフトウェアにおける使用に適したフォーマットへと変換して、3D付加製造機を使用して生成されるフォーマットされた3Dモデルを生み出す工程;および付加製造機に命令してモデルを生成する工程を含む。
【0089】
様々な態様にしたがって、第一の計算アルゴリズムは多面体のテッセレーションである。様々な態様にしたがって、第一の計算アルゴリズムはトーラスであり、第二のアルゴリズムはトーラス結び目である。
【0090】
様々な態様にしたがって、方法はまた、光吸収剤を含む予備重合溶液を3D付加製造機に供給する工程を含む。様々な態様にしたがって、予備重合溶液は1つまたは複数のタイプの細菌細胞、哺乳動物細胞および植物細胞を含む。
【0091】
様々な態様にしたがって、方法は、第一の管状チャネルネットワークまたは第二の管状チャネルネットワークを細胞でライニングする工程を含む。様々な態様にしたがって、方法は、ハイドロゲルマトリックスに細胞を包埋する工程を含む。様々な態様にしたがって、細胞は、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数である。様々な態様にしたがって、細胞の範囲は、哺乳動物細胞の場合、1ミリリットルあたり1×106~200×106個を含むことができる。様々な態様にしたがって、細胞の範囲は、哺乳動物細胞の場合、1ミリリットルあたり1×107~1×108個を含むことができる。
【0092】
様々な態様にしたがって、方法は、3D付加製造機が3Dモデルを生成するときに熱を供給する工程を含む。様々な態様にしたがって、熱はシリコーンヒータ、加熱ランプまたは赤外線LEDを介して加えられる。様々な態様にしたがって、加熱からの温度の範囲は、約27℃~約100℃、約28℃~約95℃、約29℃~約90℃、約30℃~約85℃、約31℃~約80℃、約32℃~約75℃、約33℃~約70℃、約34℃~約65℃または約35℃~約60℃(それらの間の任意の温度または温度範囲を含む)を含むことができる。様々な態様にしたがって、方法は、3Dモデルの生成中、3Dモデルを加熱エンクロージャ中に囲い込む工程を含む。
【0093】
様々な態様にしたがって、3Dハイドロゲル構築物を製作する方法が提供される。様々な態様にしたがって、方法は、コンピュータ実装プロセスを使用して、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する;モデルの第一の血管コンポーネントを生成する;モデルの第二の血管コンポーネントを生成する;ならびにモデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程を含む。
【0094】
様々な態様にしたがって、コンピュータ実装プロセスを使用してモデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程は、多面体の面を除去し、トポロジーの残りの頂点およびエッジを血管スケルトンとして使用することを含む。
【0095】
様々な態様にしたがって、コンピュータ実装プロセスを使用してモデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程はさらに、前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することを含む。
【0096】
コンピュータ実装プロセスを使用してモデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程は、第一の血管コンポーネント内に第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、第一の血管コンポーネントおよび第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、ならびにソリッドボリュームからブーリアン減算を実行することを含む。
【0097】
様々な態様にしたがって、方法は、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成すること;気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成すること(テッセレーションすることは、多面体のテッセレーションを実行することを含む)による、ハイドロゲル肺胞構築物をさらに含む。
【0098】
様々な態様にしたがって、方法は、ソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成する工程を含む。様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである。
【0099】
様々な態様にしたがって、治療を必要とする対象を治療する方法は、デバイスのいずれかを該対象に埋め込む工程を含む。
【0100】
様々な態様にしたがって、複数の接合されたサブユニットを含むデバイスが提供される。様々な態様にしたがって、各サブユニットは、本明細書に開示されるデバイスを含む。
【0101】
様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するための装置が提供される。装置は、フレーム、フレームに取り付けられたz軸駆動モータを有するステージ、フレームに対するステージの動きを制御するための電子部品ボード、溶液を保持するように構成された容器、ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルの画像スライスである画像を投影するためのプロジェクタ、および基体を保持するように構成され該基体の上でハイドロゲルマトリックス構築物が形成されるビルドプラットフォームを含むことができる。様々な態様にしたがって、プロジェクタから容器中に投影された画像を反射するための任意選択の45°ミラーが構成されることができる。
【0102】
様々な態様にしたがって、基体は、不活性であるまたはテザー基で官能化されているテクスチャ加工面を有するまたは有しない有機または無機ガラスを有する組成物を含むことができる。様々な態様にしたがって、テザー基は、基体、たとえば3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートへのハイドロゲルの結合を共有結合的または非共有結合的に支援することができる。様々な態様にしたがって、基体組成物はまた、基体へのハイドロゲルの結合を共有結合的または非共有結合的に支援することができるテザー基によって任意選択で改質されていることができるテクスチャ加工面を有するまたは有しない雲母、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンまたは石英を含み得る。様々な態様にしたがって、これら様々な構成要素はすべて、単一の装置の一部として提供されることができる(ここに記載され、以下詳細に説明する
図18に例示されるように)。しかし、これら様々な構成要素は、任意の1つまたは複数の構成要素がさらなるサブ装置の一部として提供され、それが主装置と相互作用して、すべての構成要素が単一の装置内に提供される態様と基本的に同じ機能性をいっしょに提供する他の様々な構成で提供されることもできる。さらに、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するための装置の正しい機能性のために、記載されたすべての構成要素が必要であるとは想定されるべきではないため、様々な態様は、上記で提供された構成要素の一部分のみを含むこともできる。
【0103】
様々な態様にしたがって、溶液は、感光性ポリマーと、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物とを含む予備重合溶液であることができる。添加物は、予備重合溶液から形成された固体から除去可能であることができる。光吸収剤添加物は生体適合性であることができる。光吸収剤添加物は親水性であることができる。光吸収剤添加物は疎水性であることができる。
【0104】
様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つであることができる。
【0105】
様々な態様にしたがって、疎水性光吸収剤は溶媒を含むことができる。溶媒は、ジメチルスルホキシド、エタノール(50~100%)、イソプロピルアルコール、(50~100%)ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサフルオロ-2-プロパノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
【0106】
様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つであることができる。
【0107】
様々な態様にしたがって、装置はさらに、植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞を含むことができる。装置はさらに、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0108】
次に
図18を参照すると、様々な態様の、ハイドロゲル構築物を製作するための例示的装置100の模式図が提供されている。装置100は、例えば、フレーム110、ステージ120、電子部品ボード130、容器140、プロジェクタ160、任意選択のミラー170およびビルドプラットフォーム180を含むことができる。ステージ120は、フレーム110に取り付けられることができ、フレーム110に取り付けられたモータを含むことができる。モータはz軸駆動モータであることができる。電子部品ボード130は、フレームに対するステージの動きを制御するように構成されることができる。プロジェクタ160は、画像を投影するように構成されることができる。画像は、ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルの画像スライスであることができる。ミラー170は45°ミラーであることができる。ミラー170は、プロジェクタ160から投影された画像を容器140の中へ反射するように構成されることができる。プロジェクタ上のレンズが既にミラーを要しない角度にある場合、例えば、プロジェクタが画像を所望の面に直接投影する場合、任意選択のミラー170を装置から除くことができることに留意すること。ビルドプラットフォーム180は、基体190を保持するように構成されることができ、この基体190の上にハイドロゲルマトリックス構築物が形成されることができる。基体190は、装置100に組み込まれることもできるし、装置とは全く別のコンポーネントであり、したがって、装置の一部とは見なされないこともできる。
【0109】
容器140は、溶液150を受けるように構成されることができる。上述したように、溶液150は、感光性ポリマーと、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物とを含む予備重合溶液であることができる。
【0110】
再び上記
図8Bの例示的装置800を参照すると、装置800は、ビルドプラットフォーム820が取り付けられているアクチュエータ815によって制御されるモータ810(フレーム840に取り付けられることができる)を含むことができる。プリンタの背面は、モータを制御し、任意のさらなるセンサまたはスイッチによって入出力を実行するマザーボード825を収容することができる。プリンタの前面は、プロジェクタ835からの入射パターンを、感光性材料を含む皿に反射するように配置された任意選択のミラー830を含む。プロジェクタ上のレンズが既にミラーを要しない角度にある場合、例えば、プロジェクタが画像を所望の面に直接投影する場合、任意選択のミラー830を装置から除くことができることに留意すること。
【0111】
様々な態様にしたがって、様々な装置態様は、システムの一部として組み込まれることができる。ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するための例示的システム200が
図19に示され、以下さらに詳細に説明される。
【0112】
ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するためのシステムはプロセッサを含むことができる。プロセッサはモデリングエンジンを含むことができる。モデリングエンジンは、エッジおよび頂点によってつながったいくつか数の面を有する多面体のテッセレーションに基づくハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成するように構成されることができる。モデリングエンジンは、モデルの第一の血管コンポーネントを生成するように構成されることができる。モデリングエンジンは、モデルの第二の血管コンポーネントを生成するように構成されることができる。モデリングエンジンは、モデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせるように構成されることができる。
【0113】
システムはさらに、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するように構成された装置を含むことができる。装置は、フレーム、フレームに取り付けられたz軸駆動モータを有するステージ、フレームに対するステージの動きを制御するための電子部品ボード、溶液を保持するように構成された容器、ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルの画像スライスである画像を投影するためのプロジェクタ、プロジェクタから投射された画像を容器の中へ反射するための任意選択の45°ミラー、および基体を保持するように構成され該基体の上でハイドロゲルマトリックス構築物が形成されるビルドプラットフォームを含むことができる。プロジェクタ上のレンズが既にミラーを要しない角度にある場合、例えば、プロジェクタが画像を所望の面に直接投影する場合、任意選択の45°ミラーを装置から除くことができることに留意すること。様々な態様にしたがって、これら様々な構成要素はすべて、単一の装置の一部として提供されることができる。しかし、これら様々な構成要素は、任意の1つまたは複数の構成要素がさらなるサブ装置の一部として提供され、それが主装置と相互作用して、すべての構成要素が単一の装置内に提供される態様と基本的に同じ機能性をいっしょに提供する他の様々な構成で提供されることもできる。さらに、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するための装置の正しい機能性のために、記載されたすべての構成要素が必要であるとは想定されるべきではないため、様々な態様は、上記で提供された構成要素の一部分のみを含むこともできる。
【0114】
様々な態様にしたがって、溶液は、感光性ポリマーと、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物とを含む予備重合溶液であることができる。添加物は、予備重合溶液から形成された固体から除去可能であることができる。光吸収剤添加物は生体適合性であることができる。光吸収剤添加物は親水性であることができる。光吸収剤添加物は疎水性であることができる。
【0115】
様々な態様にしたがって、疎水性光吸収剤添加物は溶媒を含むことができる。溶媒は、ジメチルスルホキシド、エタノール(50~100%)、イソプロピルアルコール、(50~100%)ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサフルオロ-2-プロパノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
【0116】
様々な態様にしたがって、溶液は、細胞沈降を防ぐための増粘剤を含むことができる。様々な態様にしたがって、増粘剤は、約0.02重量%~約2重量%、約0.03重量%~約1.5重量%、約0.04重量%~約1.0重量%または約0.05重量%~約0.5重量%の濃度(それらの間の任意の増粘剤値を含む)を有するキサンタンガムを含む。
【0117】
様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つであることができる。
【0118】
様々な態様にしたがって、光吸収剤添加物は、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つであることができる。
【0119】
様々な態様にしたがって、装置はさらに、植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞を含むことができる。装置はさらに、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0120】
様々な態様にしたがって、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程は、多面体の面および/または頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用することを含むことができる。モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程はさらに、このスケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することを含むことができる。
【0121】
様々な態様にしたがって、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程は、血管コンポーネント内に気道が収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングし、血管系および気道への独立した流体接続を形成し、ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行することを含むことができる。
【0122】
様々な態様にしたがって、プロセッサはさらに、ハイドロゲル肺胞構築物を製作するように構成されることができる。プロセッサは、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成し、気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成することにより、ハイドロゲル肺胞構築物を製作することができる。ハイドロゲル肺胞構築物の製作はさらに、血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することを含むことができる。テッセレーションは、多面体のテッセレーションを実行することを含むことができる。多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルであることができる。ハイドロゲル肺胞構築物の製作はさらに、ソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成することを含むことができる。
【0123】
次に
図19を参照すると、様々な態様の、ハイドロゲル構築物を製作するための例示的システム200の模式図が提供されている。システム200は装置およびプロセッサを含むことができる。
図19に示す例示的装置は、
図18に示す装置100である。
図18の装置100の詳細な説明に関しては上記を参照すること。プロセッサ220はモデリングエンジン250を含むことができる。
【0124】
プロセッサ220は、装置100に通信的に接続されることができる。様々な態様において、プロセッサ220は、「ハードワイヤード」物理的ネットワーク接続(例えばインタネット、LAN、WAN、VPNなど)またはワイヤレスネットワーク接続(例えばWi-Fi、WLANなど)のいずれかであることができるネットワーク接続を介して装置100に通信的に接続されることができる。様々な態様において、プロセッサ220は、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、分散コンピューティングノード(「クラウドコンピューティング」または分散ネットワーキングシステムの一部)、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイスなどの一部であることができる。
【0125】
様々な態様にしたがって、プロセッサ220および装置100は、組み込まれた装置の一部であることができる。そのようなものとして、
図19中、プロセッサ220は装置100内に提供されることができる。あるいはまた、プロセッサ220は、装置100とは異なるデバイスによってホストされることもできる。そのうえ、プロセッサ220は分散ネットワークシステムの一部であることができる。
【0126】
上述したように、様々な態様にしたがって、ビルドプラットフォーム180は、基体190を保持するように構成されることができ、この基体190上にハイドロゲルマトリックス構築物が形成されることができる。基体190は、装置100に組み込まれることもできるし、または装置とは全く別のコンポーネントであり、したがって、装置の一部とは見なされないこともできる。
【0127】
上述したように、様々な態様にしたがって、容器140は、溶液150を受けるように構成されることができる。上述したように、溶液150は、感光性ポリマーと、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物とを含む予備重合溶液であることができる。
【0128】
上述したように、様々な態様にしたがって、モデリングエンジン250は、エッジおよび頂点によってつながったいくつか数の面を有する多面体のテッセレーションに基づくハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成するように構成されることができる。モデリングエンジンは、モデルの第一の血管コンポーネントを生成するように構成されることができる。モデリングエンジンは、モデルの第二の血管コンポーネントを生成するように構成されることができる。モデリングエンジンは、モデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせるように構成されることができる。
【0129】
様々な態様にしたがって、モデリングエンジン250は、プロセッサ220内で達成されるすべての必要な工程を取り扱うように構成されることができることが理解されるべきである。これは、
図19の例示的なプロセッサ220および関連するモデリングエンジン250によって例示されるものである。
【0130】
さらに、様々な態様にしたがって、モデリングエンジン250に関連して記載された機能および工程は、プロセッサ220内で任意の数の別々のエンジンまたはモジュールに分割されることができる。例えば、3Dモデルを作成する工程、モデルの第一および第二の血管コンポーネントを生成する工程および血管コンポーネントを合わせる工程は、それぞれ、別々のエンジン(例えば作成エンジン、生成エンジンおよび結合エンジン)によって、および/または1つまたは複数の別々のエンジンを含む別々のプロセッサによって達成されることができる。そのうえ、これらの工程の少なくとも一部分が単一のエンジン(例えば、生成工程および結合工程を提供するコンポーネントエンジン)へと合わされることもできる。
【0131】
図20は、様々な態様の、3Dハイドロゲル構築物を製作する例示的方法S100のフローチャートである。
図20に示すように、方法S100は、工程S110で、エッジおよび頂点によってつながったいくつか数の面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程を含む。方法S100はまた、工程S120で、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程を含む。本明細書における様々な態様にしたがって、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程は、多面体の面および/または頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること、ならびにこのスケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することを含む。
【0132】
方法S100はさらに、工程S130で、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程を含む。様々な態様にしたがって、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程は、第一の血管コンポーネント内に第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、第一の血管コンポーネントおよび第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、ならびにソリッドボリュームからブーリアン減算を実行することを含む。
【0133】
図20に示すように、方法S100は、工程S140で、モデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程を含む。
【0134】
様々な態様にしたがって、方法S100は、任意選択で、工程S150で、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む。様々な態様にしたがって、ハイドロゲル肺胞構築物の製作は、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成し、気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成し、血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成し(テッセレーションは、多面体のテッセレーションを実行することを含む)、ソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成することを含む。様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである。
【0135】
図21は、様々な態様の、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造する例示的方法S200のフローチャートである。
図21に示すように、方法S200は、工程210で、設計ソフトウェアを使用してハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する工程を含む。様々な態様にしたがって、ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルは、ハイドロゲルマトリックス構築物中に第一の管状チャネルネットワークを生み出す第一の計算アルゴリズムと、ハイドロゲルマトリックス中に第二の管状チャネルネットワークを生み出す、第一の計算アルゴリズムとは異なる第二の計算アルゴリズムとを含み、第一および第二の管状チャネルネットワークは2つの独立した絡み合った血管ネットワークである。
【0136】
工程S220で、方法S200は、3Dモデルを、3D付加製造ソフトウェアにおける使用に適したフォーマットへと変換して、3D付加製造機を使用して生成されるフォーマットされた3Dモデルを生み出す工程を含む。方法S200はさらに、工程S230で、付加製造機に命令してモデルを生成する工程を含む。
【0137】
様々な態様にしたがって、第一の計算アルゴリズムは多面体のテッセレーションである。様々な態様にしたがって、第一の計算アルゴリズムはトーラスであり、第二のアルゴリズムはトーラス結び目である。
【0138】
図21に示すように、方法S200は、任意選択で、工程S240で、光吸収剤を含む予備重合溶液を3D付加製造機に供給する工程を含む。様々な態様にしたがって、予備重合溶液は1つまたは複数のタイプの細菌細胞、哺乳動物細胞および植物細胞を含む。
【0139】
方法S200はさらに、任意選択で、工程S250で、第一の管状チャネルネットワークまたは第二の管状チャネルネットワークを細胞でライニングする工程を含む。
【0140】
工程S260で、方法S200は、任意選択で、ハイドロゲルマトリックスに細胞を包埋する工程を含む。様々な態様にしたがって、細胞は、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数である。
【0141】
方法S200はさらに、任意選択で、工程S270で、3D付加製造機が3Dモデルを生成するときに熱を供給する工程を含む。様々な態様にしたがって、熱はシリコーンヒータ、加熱ランプまたは赤外線LEDを介して加えられる。
【0142】
方法S200は、任意選択で、工程S280で、3Dモデルの生成中、3Dモデルを加熱エンクロージャ中に囲い込む工程を含む。
【0143】
図22は、様々な態様の、3Dハイドロゲル構築物を製作する例示的方法S300のフローチャートである。
図22に示すように、方法S300は、工程S310で、コンピュータ実装プロセスを使用して、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程を含む。工程S320で、方法S300は、コンピュータ実装プロセスを使用して、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程を含む。方法S300はさらに、工程S330で、コンピュータ実装プロセスを使用して、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程を含む。方法S300は、工程S340で、モデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程を含む。
【0144】
図22に示すように、方法S300はさらに、工程S350で、コンピュータ実装プロセスを使用して、多面体の面を除去し、トポロジーの残りの頂点およびエッジを血管スケルトンとして使用することにより、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程を含む。
【0145】
方法S300は、任意選択で、工程S360で、コンピュータ実装プロセスを使用して、前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することにより、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程を含む。
【0146】
方法S300は、任意選択で、工程S370で、コンピュータ実装プロセスを使用して、第一の血管コンポーネント内に第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、第一の血管コンポーネントおよび第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、ならびにソリッドボリュームからブーリアン減算を実行することにより、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程を含む。
【0147】
図22に示すように、方法S300はさらに、工程S380で、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成すること、気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること、血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成すること(テッセレーションすることは、多面体のテッセレーションを実行することを含む)により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む。
【0148】
方法S300は、任意選択で、工程S390で、ソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成する工程を含む。様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである。
【0149】
様々な態様にしたがって、3Dハイドロゲル構築物を製作する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。様々な態様にしたがって、方法は、エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程を含む。様々な態様にしたがって、方法は、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程、モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程、およびモデルの第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程を含む。様々な態様にしたがって、方法は、多面体の面および/または頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用することにより、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程を含む。様々な態様にしたがって、方法は、前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置するモデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成することにより、モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程を含む。
【0150】
様々な態様にしたがって、方法は、血管系(血管)コンポーネント内に気道が収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、血管系および気道への独立した流体接続を形成すること、ならびにソリッドボリュームからブーリアン減算を実行することにより、モデルの気道コンポーネントを生成する工程を含む。様々な態様にしたがって、方法は、複数の球体を半径方向対称的に融合させて気道トポロジーを作成すること、気道トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること、血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成すること(テッセレーションすることは、多面体のテッセレーションを実行することを含む)、ソリッドボリュームから元々の気道およびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成することにより、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む。様々な態様にしたがって、多面体のテッセレーションは、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである。
【0151】
図23は、例えば、本明細書における様々な方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されている様々な非一時的コンピュータ可読媒体を含む、本明細書に記載される様々な態様を実行するために実装されることができる様々な態様のコンピュータシステム300を示すブロック図である。様々な態様において、コンピュータシステム300は、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、分散コンピューティングノード(「クラウドコンピューティング」または分散ネットワーキングシステムの一部)、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイスなどであることができる。
【0152】
様々な態様にしたがって、コンピュータシステム300は、情報を通信するためのバス302または他の通信機構と、情報を処理するための、バス302と結合されたプロセッサ304とを含むことができる。様々な態様において、コンピュータシステム300はまた、プロセッサ304によって実行される命令を決定するための、バス302に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)306または他の動的記憶デバイスであることができるメモリを含むことができる。メモリはまた、プロセッサ304によって実行される命令の実行中に一時的な変数または他の中間情報を記憶するために使用されることもできる。様々な態様において、コンピュータシステム300はさらに、プロセッサ304のための静的情報および命令を記憶するための、バス302に結合されたリードオンリーメモリ(ROM)308または他の静的記憶デバイスを含むことができる。情報および命令を記憶するために、磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶デバイス310が提供され、バス302に結合されることができる。
【0153】
様々な態様において、コンピュータシステム300は、コンピュータユーザに情報を表示するための、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置312にバス302を介して結合されることができる。情報およびコマンド選択をプロセッサ304に送るための、英数字および他のキーを含む入力デバイス314がバス302に結合されることができる。もう1つのタイプのユーザ入力デバイスは、指示情報およびコマンド選択をプロセッサ304に送り、表示装置312上のカーソル動を制御するための、カーソル制御装置316、たとえばマウス、トラックボールまたはカーソル方向キーである。この入力デバイス314は通常、デバイスが平面上で位置を指定することを可能にする2つの軸、すなわち第一の軸(すなわちx)および第二の軸(すなわちy)で2つの自由度を有する。しかし、三次元(x、yおよびz)カーソル動を可能にするための入力デバイス314が同じく本明細書において考慮されることが理解されるべきである。
【0154】
本教示の特定の実施形態と一致して、メモリ306に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ304が実行することに応答して、コンピュータシステム300によって結果が提供されることができる。そのような命令は、別のコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶媒体、たとえば記憶デバイス310からメモリ306に読み込まれてもよい。メモリ306に含まれる命令のシーケンスの実行が、本明細書に記載されるプロセスをプロセッサ304に実行させることができる。あるいはまた、本教示を実現するために、ソフトウェア命令に代えて、またはソフトウェア命令と合わせて、ハードワイヤード回路を使用することもできる。したがって、本教示の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0155】
本明細書中で使用される語「コンピュータ可読媒体」(例えばデータストア、データストレージなど)または「コンピュータ可読記憶媒体」とは、実行のために命令をプロセッサ304に提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体をはじめとする数多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の例は、記憶デバイス310などの、光ディスク、ソリッドステートディスク、磁気ディスクを含むことができるが、それらに限定されない。揮発性媒体の例は、メモリ306などのダイナミックメモリを含むことができるが、それに限定されない。伝送媒体の例は、同軸ケーブル、銅線および光ファイバ、例えばバス302を含むワイヤを含むことができるが、それらに限定されない。
【0156】
一般的な形態のコンピュータ可読媒体としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープもしくは任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジまたはコンピュータが読むことができる任意の他の有形媒体がある。
【0157】
コンピュータ可読媒体に加えて、命令またはデータは、1つまたは複数の命令のシーケンスを実行のためにコンピュータシステム300のプロセッサ304に提供するための、通信装置またはシステムに含まれる伝送媒体上の信号として提供されることもできる。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含み得る。命令およびデータは、本明細書における開示において概説された機能を1つまたは複数のプロセッサに実装させるように構成されている。データ通信伝送接続の代表例は、電話モデム接続、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、赤外線データ接続、NFC接続などを含むことができるが、それらに限定されない。
【0158】
本明細書、フローチャート、図面および付随する開示に記載される方法は、独立型デバイスとしてのコンピュータシステム300を使用して実装することもできるし、共有コンピュータ処理リソースの分散ネットワーク、たとえばクラウドコンピューティングネットワーク上で実装することもできることが理解されるべきである。
【0159】
本明細書に記載される方法は、用途に依存して様々な手段によって実現され得る。例えば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載される機能を実行するように設計された他の電子ユニットまたはそれらの組み合わせの中で実装され得る。
【0160】
様々な態様において、本教示の方法は、ファームウェアおよび/またはソフトウェアプログラムならびにC、C++、Pythonなどの従来のプログラミング言語で書かれたアプリケーションとして実装され得る。ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして実装される場合、本明細書に記載される態様は、上記方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体上で実装されることができる。本明細書に記載される様々なエンジンは、コンピュータシステム300などのコンピュータシステム上に提供されることができ、それにより、プロセッサ304は、メモリコンポーネント306/308/310のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせによって提供される命令および入力デバイス314を介して提供されるユーザ入力にしたがって、これらのエンジンによって提供される分析および決定を実行することになることが理解されるべきである。
【0161】
本明細書は数多くの具体的な実施形態の詳細を含むが、これらは、特許請求することができる範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態に特有であることができる特徴の記載として解釈されるべきである。また、別々の実施形態に関して本明細書に記載される特定の特徴が組み合わされて単一の実施形態として実現されることもできる。逆に、単一の実施形態に関して記載される様々な特徴が複数の実施形態において別々に、または任意の適当な部分的組み合わせとして実現されることもできる。そのうえ、前記特徴は、特定の組み合わせにおいて作用するものとして記載され、当初、そのようなものとして特許請求されることもできるが、特許請求される組み合わせからの1つまたは複数の特徴が場合によってはその組み合わせから削除され、特許請求される組み合わせが部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形に関することもできる。
【0162】
主題の特定の実施形態が記載された。当業者には明らかであるように、記載された実施形態の他の実施形態、変形および置換が以下の請求項の範囲内である。操作は、図面または特許請求の範囲において特定の順序で示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような操作が、示された特定の順序で、または起こる順番で実行されること、または示されたすべての操作が実行されること(いくつかの操作は任意選択であると考えられる)を要求するものと理解されるべきではない。特定の状況においては、マルチタスク処理または並列処理(またはマルチタスク処理と並列処理との組み合わせ)が有利であり、適切であるとして実行されることもできる。
【0163】
したがって、前記例示的な実施形態は本開示を画定または拘束しない。本開示の精神および範囲を逸脱することなく、他の変更、置換および変形が可能である。
【0164】
さらに、任意の特許請求される実施形態は、少なくとも、コンピュータ実装方法;コンピュータ実装方法を実行するためのコンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体;およびコンピュータ実装方法または非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたハードウェアプロセッサと相互運用可能に結合されたコンピュータメモリを含むコンピュータシステムに適用可能であると考えられる。
【0165】
態様の列挙
態様1:
光吸収剤(photoabsorber)を含むハイドロゲルマトリックスと;
それぞれ管状かつ分岐状である第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャを有する、該マトリックス中のボイドアーキテクチャと
を含み、
該第一および第二の血管アーキテクチャが互いから流体的に独立している、
デバイス。
態様2:
前記デバイスに入射する可視光の少なくとも90%が該デバイスを透過して該デバイスを画像化することを可能にする、態様1のデバイス。
態様3:
光吸収剤が少なくとも部分的に前記デバイスから洗い落とされている、前記態様のいずれかのデバイス。
態様4:
光吸収剤が、残りのハイドロゲルマトリックスの任意の分解から独立して分解可能である、前記態様のいずれかのデバイス。
態様5:
光吸収剤が化学的または物理的プロセスによって分解可能である、前記態様のいずれかのデバイス。
態様6:
光吸収剤が光脱色性である、または煮沸によって除去可能である、態様5のデバイス。
態様7:
ボイドアーキテクチャが多血管ボイドアーキテクチャであり、トーラス結び目を絡ませたトーラスをさらに含む、前記態様のいずれかのデバイス。
態様8:
第一の血管アーキテクチャおよび第二の血管アーキテクチャの一方または両方が、多面体のテッセレーションに基づくモデルから形成されている、前記態様のいずれかのデバイス。
態様9:
多面体のテッセレーションに基づくモデルが血管を表す、態様8のデバイス。
態様10:
多面体のテッセレーションに基づくモデルが気道を表す、態様8のデバイス。
態様11:
ボイドアーキテクチャが多血管ボイドアーキテクチャであり、機能弁をさらに含む、前記態様のいずれかのデバイス。
態様12:
前記弁が二尖弁、三尖弁、単尖弁またはテスラバルブである、態様11のデバイス。
態様13:
ボイドアーキテクチャが多血管ボイドアーキテクチャであり、流体スタティックミキサをさらに含む、前記態様のいずれかのデバイス。
態様14:
流体スタティックミキサが2~50のフィンエレメントを有する、態様13のデバイス。
態様15:
機能弁が多血管ボイドアーキテクチャ中の任意の位置に配置可能である、態様11~12のデバイス。
態様16:
モノリシックである、前記態様のいずれかのデバイス。
態様17:
ハイドロゲルマトリックスが光重合ハイドロゲルマトリックスおよび/または生分解性ハイドロゲルマトリックスである、前記態様のいずれかのデバイス。
態様18:
付加製造法によって製造される、前記態様のいずれかのデバイス。
態様19:
第一の血管アーキテクチャと第二の血管アーキテクチャとが絡み合っている、前記態様のいずれかのデバイス。
態様20:
第一の血管アーキテクチャが第二の血管アーキテクチャによって覆われている、前記態様のいずれかのデバイス。
態様21:
ハイドロゲルマトリックスが多孔質である、前記態様のいずれかのデバイス。
態様22:
埋め込み型である、前記態様のいずれかのデバイス。
態様23:
光吸収剤が親水性である、前記態様のいずれかのデバイス。
態様24:
光吸収剤が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、態様23のデバイス。
態様25:
光吸収剤が疎水性である、前記態様のいずれかのデバイス。
態様26:
光吸収剤が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、態様25のデバイス。
態様27:
互いから、かつ第一および第二の血管アーキテクチャから流体的に独立した3つ以上の血管アーキテクチャを含む、前記態様のいずれかのデバイス。
態様28:
感光性ポリマーと;
光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物と
を含む予備重合溶液であって、該添加物が、該予備重合溶液から形成された固体から少なくとも部分的に除去可能である、該予備重合溶液。
態様29:
植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞をさらに含む、態様28の予備重合溶液。
態様30:
光吸収剤添加物が親水性である、態様28~29の予備重合溶液。
態様31:
光吸収剤添加物が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、態様28~30の予備重合溶液。
態様32:
光吸収剤添加物が疎水性である、態様28~29の予備重合溶液。
態様33:
光吸収剤添加物が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、態様28、29、または32の予備重合溶液。
態様34:
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程;
該多面体の該面および/または該頂点を除去し、残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること、ならびに
該スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルの該エッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
により、該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程;
該第一の血管コンポーネント内に第二の血管コンポーネントが収まるように該3Dモデルの該面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
該第一の血管コンポーネントおよび該第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
により、該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程;ならびに
該モデルの該2つの血管コンポーネントを合わせる工程
を含む、3Dハイドロゲル構築物をプロセッサによって製作する方法。
態様35:
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること;ならびに
ソリッドボリュームから該第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む、態様34の方法。
態様36:
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、態様34~35の方法。
態様37:
設計ソフトウェアを使用してハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する工程であって、該ハイドロゲルマトリックス構築物の該3Dモデルが、該ハイドロゲルマトリックス構築物中に第一の管状チャネルネットワークを生み出す第一の計算アルゴリズムと、該ハイドロゲルマトリックス中に第二の管状チャネルネットワークを生み出す、該第一の計算アルゴリズムとは異なる第二の計算アルゴリズムとを含み、該第一および第二の管状チャネルネットワークが、2つの独立した絡み合った血管ネットワークである、工程;
該3Dモデルを、3D付加製造ソフトウェアにおける使用に適したフォーマットへと変換して、3D付加製造機を使用して生成されるフォーマットされた3Dモデルを生み出す工程;および
付加製造機に命令して該モデルを生成する工程
を含む、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造する方法。
態様38:
第一の計算アルゴリズムが多面体のテッセレーションである、態様37の方法。
態様39:
第一の計算アルゴリズムがトーラスであり、第二のアルゴリズムがトーラス結び目である、態様37~38の方法。
態様40:
光吸収剤を含む予備重合溶液を3D付加製造機に供給する工程を含む、態様37~39のいずれかの方法。
態様41:
予備重合溶液が1つまたは複数のタイプの細菌細胞、哺乳動物細胞および植物細胞を含む、態様40の方法。
態様42:
第一の管状チャネルネットワークまたは第二の管状チャネルネットワークを細胞でライニングする工程を含む、態様37~41のいずれかの方法。
態様43:
ハイドロゲルマトリックスに細胞を包埋する工程を含む、態様37~42のいずれかの方法。
態様44:
細胞が、肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数である、態様41および43のいずれかの方法。
態様45:
3D付加製造機が3Dモデルを生成するときに熱を供給する工程を含む、請求項34または37の方法。
態様46:
熱がシリコーンヒータ、加熱ランプまたは赤外線LEDを介して加えられる、請求項45の方法。
態様47:
3Dモデルの生成中、該3Dモデルを加熱エンクロージャ中に囲い込む工程を含む、請求項45の方法。
態様48:
コンピュータ実装プロセスを使用して以下を行う工程を含む、3Dハイドロゲル構築物を製作する方法:
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する;
該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する;
該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する;ならびに
該モデルの該第一および第二の血管コンポーネントを合わせる。
態様49:
コンピュータ実装プロセスを使用して前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、多面体の面を除去し、トポロジーの残りの頂点およびエッジを血管スケルトンとして使用することを含む、態様48の方法。
態様50:
コンピュータ実装プロセスを使用して前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、
前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
をさらに含む、態様49の方法。
態様51:
コンピュータ実装プロセスを使用して前記モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程が、
第一の血管コンポーネント内に該第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
該第一の血管コンポーネントおよび該第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、ならびに
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
を含む、態様48~50のいずれかの方法。
態様52:
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程
をさらに含む、態様48~51のいずれかの方法。
態様53:
ソリッドボリュームから、第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成する工程
をさらに含む、態様52の方法。
態様54:
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、態様48~53のいずれかの方法。
態様55:
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づく構築物の3Dモデルを作成する工程;
該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程;
該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程;ならびに
該モデルの該第一および第二の血管コンポーネントを合わせる工程
を含む、3Dハイドロゲル構築物を製作する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されている、非一時的コンピュータ可読媒体。
態様56:
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、
多面体の面および/または頂点を除去すること、および
残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること
を含む、態様55の方法。
態様57:
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成する工程が、
前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
をさらに含む、態様55および56のいずれかの方法。
態様58:
前記モデルの第二の血管コンポーネントを生成する工程が、
第一の血管コンポーネント内に該第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
血管系および気道への独立した流体接続を形成すること、および
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
を含む、態様55および57のいずれかの方法。
態様59:
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること;ならびに
ソリッドボリュームから該第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作する工程を含む、態様55および58のいずれかの方法。
態様60:
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、態様55~59のいずれかの方法。
態様61:
ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するための装置であって、
フレーム;
該フレームに取り付けられたz軸駆動モータを有するステージ;
該フレームに対する該ステージの動きを制御するための電子部品ボード;
溶液を保持するように構成された容器;
該ハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルの画像スライスである画像を投影するためのプロジェクタ;および
基体を保持するように構成され、該基体の上で該ハイドロゲルマトリックス構築物が形成される、ビルドプラットフォーム
を含む、該装置。
態様62:
溶液が予備重合溶液であり、該予備重合溶液が、
感光性ポリマーと;
該予備重合溶液から形成された固体から少なくとも部分的に除去可能である、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物と
を含む、態様61の装置。
態様63:
植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞をさらに含む、態様61および62のいずれかの装置。
態様64:
肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数をさらに含む、態様61~63のいずれかの装置。
態様65:
光吸収剤添加物が生体適合性である、態様61~64のいずれかの装置。
態様66:
光吸収剤添加物が親水性である、態様61~65のいずれかの装置。
態様67:
光吸収剤添加物が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、態様61~66のいずれかの装置。
態様68:
光吸収剤添加物が疎水性である、態様61~65のいずれかの装置。
態様69:
光吸収剤添加物が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、態様61~65および68のいずれかの装置。
態様70:
エッジおよび頂点によってつながったいくつかの面を有する多面体のテッセレーションに基づくハイドロゲルマトリックス構築物の3Dモデルを作成する、
該モデルの第一の血管コンポーネントを生成する、
該モデルの第二の血管コンポーネントを生成する、ならびに
該モデルの該第一および第二の血管コンポーネントを合わせる
ように構成されたモデリングエンジンを含むプロセッサと;
フレーム、
該フレームに取り付けられたz軸駆動モータを有するステージ、
該フレームに対する該ステージの動きを制御するための電子部品ボード、
溶液を保持するように構成された容器、
該モデルの画像スライスである画像を投影するためのプロジェクタ、および
基体を保持するように構成されたビルドプラットフォーム
を含む、該ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するように構成された装置と
を含む、ハイドロゲルマトリックス構築物を製造するためのシステム。
態様71:
溶液が予備重合溶液であり、該予備重合溶液が、
感光性ポリマーと;
該予備重合溶液から形成された固体から除去可能である、光の透過を制御するのに適した光吸収剤添加物と
を含む、態様70のシステム。
態様72:
植物細胞、細菌細胞または哺乳動物細胞をさらに含む、態様70および71のいずれかのシステム。
態様73:
肝臓、肺、骨、内皮、心臓、膵臓、腎臓、上皮、筋肉、軟骨、幹細胞、皮膚または眼細胞のうちの1つまたは複数をさらに含む、態様70~72のいずれかのシステム。
態様74:
光吸収剤添加物が生体適合性である、態様70~73のいずれかのシステム。
態様75:
光吸収剤添加物が親水性である、態様70~74のいずれかのシステム。
態様76:
光吸収剤添加物が、食用色素、タートラジン、サンセットイエローFCF(黄色6号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、ファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)アントシアニン、アントシアニジン、エリスロシン(FD&C赤色3号)、アルラレッドAC(FD&C赤色40号)、リボフラビン(ビタミンB2、E101、E101a、E106)、アスコルビン酸(ビタミンC)、キノリンイエローWS、カルモイシン(アゾルビン)、ポンソー4R(E124)、パテントブルーV(E131)、グリーンS(E142)、イエロー2G(E107)、オレンジGGN(E111)、レッド2G(E128)、カラメル色素、フェノールレッド、メチルオレンジ、4-ニトロフェノールおよびNADH二ナトリウム塩のうちの1つである、態様70~75のいずれかのシステム。
態様77:
光吸収剤添加物が疎水性である、態様70~73のいずれかのシステム。
態様78:
光吸収剤添加物が、クルクミン(E100)、ターメリック、アルファカロテン、ベータカロテン、カンタキサンチン(ケトカロテノイド)、コチニール抽出物、パプリカ、サフラン、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シトラスレッド2、アナトー抽出物およびリコペンのうちの1つである、態様70~73および77のいずれかのシステム。
態様79:
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成することが、
多面体の面および/または頂点を除去すること、
残りのトポロジーを血管スケルトンとして使用すること
を含む、態様70~78のいずれかのシステム。
態様80:
前記モデルの第一の血管コンポーネントを生成することが、
前記スケルトンをポリゴンメッシュとスキニングし、次いで結果を平滑化して、血管間接合点が各頂点位置に位置する該モデルのエッジに沿って円柱形チャネルを作成すること
をさらに含む、態様79のシステム。
態様81:
前記モデルの第二の血管コンポーネントを生成することが、
第一の血管コンポーネント内に該第二の血管コンポーネントが収まるように3Dモデルの面を局所面法線に沿ってスケーリングすること、
第一の血管コンポーネントおよび第二の血管コンポーネントへの独立した流体接続を形成すること、および
ソリッドボリュームからブーリアン減算を実行すること
を含む、態様70~80のいずれかのシステム。
態様82:
プロセッサが、
複数の球体を半径方向対称的に融合させて第二の血管トポロジーを作成すること;
該第二の血管トポロジーをオフセットして血管表面トポロジーを生成すること;
該血管表面トポロジーをテッセレーションし、スケルトン化し、スキニングしてボロノイ血管トポロジーを作成することであって、テッセレーションすることが、多面体のテッセレーションを実行することを含む、該作成すること;ならびに
ソリッドボリュームから該第二の血管トポロジーおよびテッセレーションされたボロノイ血管トポロジーのブーリアン減算を実行して、付加製造法のための最終的な3Dモデルを生成すること
により、ハイドロゲル肺胞構築物を製作するように構成されている、態様70~81のいずれかのシステム。
態様83:
多面体のテッセレーションが、2つの十二面体セルおよび6つの十四面体セルのウィア・フェラン空間充填フォームモデルである、態様70~82のいずれかのシステム。
態様84:
流体スタティックミキサが光吸収剤を含む、態様13のデバイス。
態様85:
流体スタティックミキサがタートラジンを含む、態様13のデバイス。
態様86:
流体スタティックミキサが、180°ねじれを有するフィンエレメントを含む、態様13のデバイス。
態様87:
流体スタティックミキサが付加製造法によって製造される、態様13のデバイス。
態様88:
態様1~27のデバイスのいずれかを治療を必要とする対象に埋め込む工程を含む、該対象を治療する方法。
態様89:
複数の接合されたサブユニットを含み、各サブユニットが態様1~27のデバイスのいずれかである、デバイス。
態様90:
細胞沈降を防ぐための増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、0.02重量%~2重量%の濃度を有するキサンタンガムを含む、態様1~27のいずれかのデバイス。
態様91:
細胞沈降を防ぐための増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、0.02重量%~2重量%の濃度を有するキサンタンガムを含む、態様28~33のいずれかの予備重合溶液。
態様92:
細胞沈降を防ぐための増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、0.02重量%~2重量%の濃度を有するキサンタンガムを含む、態様71のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当初明細書に記載されたとおりの発明。