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特開2024-178243抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤の組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178243
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20241217BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241217BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K31/337
A61K31/357
A61K31/4745
A61K39/395 L
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K47/68
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】44
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158824
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2024043043の分割
【原出願日】2019-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2018147582
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】石井 千晶
(72)【発明者】
【氏名】鎌井 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 潔
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 翔太郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特定の抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤が組み合わされて投与される医薬組成物、及び/又は治療方法を提供する。
【解決手段】下式(式中、Aは抗体との結合位置を示す)で示される薬物リンカーと抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて投与されることを特徴とする医薬組成物、及び治療方法。

【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブリン阻害剤と組み合わせて用いるための、抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【化1】
(式中、Aは抗CDH6抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗CDH6抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートであり、
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこれらの薬理上許容される塩、nab-パクリタキセル、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート若しくはDM4と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、
医薬組成物。
【請求項2】
抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて用いるための、チューブリン阻害剤を含む医薬組成物であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【化2】
(式中、Aは抗CDH6抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗CDH6抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートであり、
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこれらの薬理上許容される塩、nab-パクリタキセル、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート若しくはDM4と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、
医薬組成物。
【請求項3】
抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物であって、
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて投与され、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【化3】
(式中、Aは抗CDH6抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗CDH6抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートであり、
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこれらの薬理上許容される塩、nab-パクリタキセル、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート若しくはDM4と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、
医薬組成物。
【請求項4】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分として含有され、同時に又は異なる時間に投与される、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、単一の製剤に有効成分として含有される、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
抗体-薬物コンジュゲート及びチューブリン阻害剤を単一の製剤に含む医薬組成物であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【化4】
(式中、Aは抗CDH6抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗CDH6抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートであり、
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこれらの薬理上許容される塩、nab-パクリタキセル、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート若しくはDM4と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、
医薬組成物。
【請求項7】
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から8個の範囲である、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートが、式
【化5】
(式中、抗体は抗CDH6抗体であり、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートが、式
【化6】
(式中、抗体は抗CDH6抗体であり、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは薬物抗体比を示す)
で示される、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
nが、7から8の範囲である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこれらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
チューブリン阻害剤が、MORAb-202である、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
チューブリン阻害剤が、DM4と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
チューブリン阻害剤が、IMGN-853である、請求項1から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、頭頚部がん、胃食道接合部腺がん、胆道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、子宮がん肉腫、尿路上皮がん、前立腺がん、膀胱がん、消化管間質腫瘍、子宮頸がん、扁平上皮がん、腹膜がん、肝臓がん、肝細胞がん、子宮体がん、腎臓がん、外陰部がん、甲状腺がん、陰茎がん、白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫、骨髄腫、多型神経膠芽腫、骨肉腫、及びメラノーマからなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
乳がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
胃がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
肺がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
肺がんが非小細胞肺がんである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
食道がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
頭頚部がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
卵巣がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
子宮頸がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
子宮体がんの治療のための、請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤とを含む医薬組み合わせであって、
前記抗体-薬物コンジュゲートと、前記チューブリン阻害剤とが、組み合わされて投与され、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【化7】
(式中、Aは抗CDH6抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗CDH6抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートであり、
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこれらの薬理上許容される塩、nab-パクリタキセル、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート若しくはDM4と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、
医薬組み合わせ。
【請求項32】
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、請求項31に記載の医薬組み合わせ。
【請求項33】
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、請求項32に記載の医薬組み合わせ。
【請求項34】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から8個の範囲である、請求項31から33のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項35】
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、請求項31から34のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項36】
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、請求項31から34のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項37】
チューブリン阻害剤が、MORAb-202である、請求項31から34のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項38】
チューブリン阻害剤が、IMGN-853である、請求項31から34のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項39】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分として含有され、同時に又は異なる時間に投与される、請求項31から38のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項40】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、単一の製剤に有効成分として含有される、請求項31から38のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項41】
がんの治療のための、請求項31から40のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項42】
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、頭頚部がん、胃食道接合部腺がん、胆道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、子宮がん肉腫、尿路上皮がん、前立腺がん、膀胱がん、消化管間質腫瘍、子宮頸がん、扁平上皮がん、腹膜がん、肝臓がん、肝細胞がん、子宮体がん、腎臓がん、外陰部がん、甲状腺がん、陰茎がん、白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫、骨髄腫、多型神経膠芽腫、骨肉腫、及びメラノーマからなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、請求項31から40のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項43】
乳がん、胃がん、肺がん、食道がん、頭頚部がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がんからなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、請求項31から40のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項44】
卵巣がんの治療のための、請求項31から40のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤が組み合わされて投
与されることを特徴とする医薬組成物、及び/又は、特定の抗体-薬物コンジュゲートと
チューブリン阻害剤が組み合わされて個体に投与されることを特徴とする治療方法に関す
る。
【背景技術】
【0002】
チューブリン阻害剤は、微小管ダイナミクスに影響を及ぼすことにより、細胞周期のG
期(分裂準備期)及び/又はM期(分裂期)で細胞分裂を停止させ、アポトーシスによ
る細胞死を誘導することにより、がん細胞の増殖を抑制する薬剤である(非特許文献1、
2)。
【0003】
チューブリン阻害剤には、チューブリンの重合を促進することにより微小管ダイナミク
スに影響を及ぼす薬剤(チューブリン重合促進薬)と、チューブリンの重合を阻害するこ
とにより微小管ダイナミクスに影響を及ぼす薬剤(チューブリン重合阻害薬)が存在する
【0004】
チューブリン重合促進薬としては、パクリタキセル(Paclitaxel)、ドセタ
キセル(Docetaxel)、及び、カバジタキセル(Cabazitaxel)等が
知られている。また、チューブリン重合阻害薬としては、エリブリン(Eribulin
)、ビンクリスチン(Vincristine)、ビンブラスチン(Vinblasti
ne)、ビノレルビン(Vinorelbine)、ビンデシン(Vindesine)
、モノメチルオーリスタチンE(Monomethyl auristatin E;MM
AE)を構成要素とする抗体-薬物コンジュゲートであるブレンツキシマブベドチン(B
rentuximab Vedotin)、及び、DM1を構成要素とする抗体-薬物コ
ンジュゲートであるトラスツズマブエムタンシン(Trastuzumab Emtan
sine)等が知られている。
【0005】
がん細胞表面に発現し、かつ細胞に内在化できる抗原に結合する抗体に、細胞毒性を有
する薬物を結合させた抗体-薬物コンジュゲート(Antibody-Drug Con
jugate; ADC)は、がん細胞に選択的に薬物を送達できることによって、がん
細胞内に薬物を蓄積させ、がん細胞を死滅させることが期待できる(非特許文献3~7)
【0006】
抗体-薬物コンジュゲートの一つとして、抗体とトポイソメラーゼI阻害剤であるエキ
サテカンの誘導体を構成要素とする抗体-薬物コンジュゲートが知られている(特許文献
1~7、非特許文献8~11)。
【0007】
また、特許文献1~7には、上記の抗体-薬物コンジュゲートを種々のがん治療剤と共
に投与できることが記載されている。
【0008】
しかし、上記の抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤を併用した場合に、優
れた併用効果を示した試験結果や、その試験結果を示唆するような科学的根拠は記載され
ていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2014/057687号
【特許文献2】国際公開第2014/061277号
【特許文献3】国際公開第2015/098099号
【特許文献4】国際公開第2015/115091号
【特許文献5】国際公開第2015/146132号
【特許文献6】国際公開第2015/155976号
【特許文献7】国際公開第2015/155998号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Dumontet C, et al., Nat Rev Drug Discov. 2010 Oct;9(10): 790-803.
【非特許文献2】Mukhtar E, et al., Mol Cancer Ther. 2014 Feb: 13(2): 275-284.
【非特許文献3】Ducry, L., et al., Bioconjugate Chem. (2010) 21, 5-13.
【非特許文献4】Alley, S. C., et al., Current Opinion in Chemical Biology (2010) 14, 529-537.
【非特許文献5】Damle N. K. Expert Opin. Biol. Ther. (2004) 4, 1445-1452.
【非特許文献6】Senter P. D., et al., Nature Biotechnology (2012) 30, 631-637.
【非特許文献7】Howard A. et al., J Clin Oncol 29: 398-405.
【非特許文献8】Ogitani Y. et al., Clinical Cancer Research (2016) 22(20), 5097-5108.
【非特許文献9】Ogitani Y. et al., Cancer Science (2016) 107, 1039-1046.
【非特許文献10】Doi T, et al., Lancet Oncol 2017; 18: 1512-22.
【非特許文献11】Takegawa N, et al., Int. J. Cancer: 141, 1682-1689 (2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲート(エキサテカンの誘導体を構成要素とす
る抗体-薬物コンジュゲート)は、単剤でも優れた抗腫瘍効果を示すことが確認されてい
る。しかし、作用メカニズムの異なる他の抗がん剤と組み合わせて使用することにより、
がん細胞の増殖を複合的に抑制し、より優れた抗腫瘍効果を発揮し得る治療法の獲得が望
まれる。
【0012】
本発明は、特定の抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤が組み合わされて投
与されることを特徴とする医薬組成物、及び/又は、特定の抗体-薬物コンジュゲートと
チューブリン阻害剤が組み合わされて個体に投与されることを特徴とする治療方法を提供
することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、特定の抗体-薬物
コンジュゲートとチューブリン阻害剤が組み合わされて投与されることにより、優れた併
用効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[344]を提供する。
[1]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて投与されること
を特徴とする医薬組成物であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである、医薬組成物。
[2]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[1]
に記載の医薬組成物。
[3]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[2]に記載の医
薬組成物。
[4]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[3]に記載の医薬組成物。
[5]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[3]に記載の医薬組成物。
[6]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[3]から[5]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[7]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[2]に記載の医
薬組成物。
[8]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[7]に記載の医薬組成物。
[9]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[8]に記載
の医薬組成物。
[10]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[7]~[9]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0017】
[11]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[2]に記載の
医薬組成物。
[12]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[11]に記載の医薬組成物。
[13]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[12]に
記載の医薬組成物。
[14]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[11]から[13]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[15]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[2]に記載の
医薬組成物。
[16]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[15]に記載の医薬組成物。
[17]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[16]に
記載の医薬組成物。
[18]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[15]から[17]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[19]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[2]に記載の
医薬組成物。
[20]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[19]に記載の医薬組成物。
【0018】
[21]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[20]に
記載の医薬組成物。
[22]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[19]から[21]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[23]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[2]に記載の医
薬組成物。
[24]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[23]に記載の医薬組成物。
[25]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[24]に記
載の医薬組成物。
[26]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[23]から[25]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[27]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[1]から[26]の
いずれか1項に記載の医薬組成物。
[28]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[27]に記載の医薬組成物。
[29]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[1]から[2
6]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[30]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[29]に記載の医薬組成物。
【0019】
[31]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[1]から[3
0]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[32]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[1]から[31]のいず
れか1項に記載の医薬組成物。
[33]
乳がんの治療のための、[32]に記載の医薬組成物。
[34]
胃がんの治療のための、[32]に記載の医薬組成物。
[35]
肺がんの治療のための、[32]に記載の医薬組成物。
[36]
卵巣がんの治療のための、[32]に記載の医薬組成物。
[37]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[1]から[36]のいずれか1項に記載の医
薬組成物。
[38]
薬物感受性因子がSLFN11である、[37]に記載の医薬組成物。
[39]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[1]から[36]のいずれか1項に記載の医薬
組成物。
[40]
薬物耐性因子がABCG2である、[39]に記載の医薬組成物。
[41]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて投与されること
を特徴とする医薬組成物であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートである、医薬組成物。
[42]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[41
]に記載の医薬組成物。
[43]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[42]に記載の
医薬組成物。
[44]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[43]に記載の医薬組成物。
[45]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[43]に記載の医薬組成物。
[46]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[43]から[45]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[47]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[42]に記載の
医薬組成物。
[48]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[47]に記載の医薬組成物。
[49]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[48]に記
載の医薬組成物。
[50]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[47]~[49]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0022】
[51]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[42]に記載
の医薬組成物。
[52]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[51]に記載の医薬組成物。
[53]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[52]に
記載の医薬組成物。
[54]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[51]から[53]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[55]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[42]に記載
の医薬組成物。
[56]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[55]に記載の医薬組成物。
[57]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[56]に
記載の医薬組成物。
[58]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[55]から[57]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[59]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[42]に記載
の医薬組成物。
[60]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[59]に記載の医薬組成物。
【0023】
[61]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[60]に
記載の医薬組成物。
[62]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[59]から[61]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[63]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[42]に記載の
医薬組成物。
[64]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[63]に記載の医薬組成物。
[65]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[64]に記
載の医薬組成物。
[66]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[63]から[65]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[67]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[41]から[66]
のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[68]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[67]に記載の医薬組成物。
[69]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[41]から[
66]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[70]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[69]に記載の医薬組成物。
【0024】
[71]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[41]から[
70]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[72]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[41]から[71]のい
ずれか1項に記載の医薬組成物。
[73]
乳がんの治療のための、[72]に記載の医薬組成物。
[74]
胃がんの治療のための、[72]に記載の医薬組成物。
[75]
肺がんの治療のための、[72]に記載の医薬組成物。
[76]
卵巣がんの治療のための、[72]に記載の医薬組成物。
[77]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[41]から[76]のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
[78]
薬物感受性因子がSLFN11である、[77]に記載の医薬組成物。
[79]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[41]から[76]のいずれか1項に記載の医
薬組成物。
[80]
薬物耐性因子がABCG2である、[79]に記載の医薬組成物。
[81]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて治療を必要とす
る個体に投与されることを特徴とする治療方法であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【0025】
【化3】
【0026】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである、治療方法。
[82]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[81
]に記載の治療方法。
[83]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[82]に記載の
治療方法。
[84]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[83]に記載の治療方法。
[85]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[83]に記載の治療方法。
[86]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[83]から[85]のいずれか1項に記載の治療方法。
[87]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[82]に記載の
治療方法。
[88]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[87]に記載の治療方法。
[89]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[88]に記
載の治療方法。
[90]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[87]~[89]のいずれか1項に記載の治療方法。
【0027】
[91]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[82]に記載
の治療方法。
[92]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[91]に記載の治療方法。
[93]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[92]に
記載の治療方法。
[94]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[91]から[93]のいずれか1項に記載の治療方法。
[95]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[82]に記載
の治療方法。
[96]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[95]に記載の治療方法。
[97]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[96]に
記載の治療方法。
[98]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[95]から[97]のいずれか1項に記載の治療方法。
[99]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[82]に記載
の治療方法。
[100]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[99]に記載の治療方法。
【0028】
[101]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[100]
に記載の治療方法。
[102]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[99]から[101]のいずれか1項に記載の治療方法。
[103]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[82]に記載の
治療方法。
[104]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[103]に記載の治療方法。
[105]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[104]に
記載の治療方法。
[106]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[103]から[105]のいずれか1項に記載の治療方法。
[107]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[81]から[106
]のいずれか1項に記載の治療方法。
[108]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[107]に記載の治療方法。
[109]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[81]から[
106]のいずれか1項に記載の治療方法。
[110]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[109]に記載の治療方法。
【0029】
[111]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[81]から[
110]のいずれか1項に記載の治療方法。
[112]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[81]から[111]の
いずれか1項に記載の治療方法。
[113]
乳がんの治療のための、[112]に記載の治療方法。
[114]
胃がんの治療のための、[112]に記載の治療方法。
[115]
肺がんの治療のための、[112]に記載の治療方法。
[116]
卵巣がんの治療のための、[112]に記載の治療方法。
[117]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[81]から[116]のいずれか1項に記載
の治療方法。
[118]
薬物感受性因子がSLFN11である、[117]に記載の治療方法。
[119]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[81]から[116]のいずれか1項に記載の
治療方法。
[120]
薬物耐性因子がABCG2である、[119]に記載の治療方法。
[121]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて治療を必要とす
る個体に投与されることを特徴とする治療方法であって、
該抗体-薬物コンジュゲートは、式
【0030】
【化4】
【0031】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートである、治療方法。
[122]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[12
1]に記載の治療方法。
[123]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[122]に記載
の治療方法。
[124]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[123]に記載の治療方法。
[125]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[123]に記載の治療方法。
[126]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[123]から[125]のいずれか1項に記載の治療方法。
[127]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[122]に記載
の治療方法。
[128]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[127]に記載の治療方法。
[129]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[128]に
記載の治療方法。
[130]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[127]~[129]のいずれか1項に記載の治療方法。
【0032】
[131]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[122]に記
載の治療方法。
[132]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[131]に記載の治療方法。
[133]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[132]
に記載の治療方法。
[134]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[131]から[133]のいずれか1項に記載の治療方法

[135]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[122]に記
載の治療方法。
[136]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[135]に記載の治療方法。
[137]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[136]
に記載の治療方法。
[138]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[135]から[137]のいずれか1項に記載の治療方法

[139]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[122]に記
載の治療方法。
[140]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[139]に記載の治療方法。
【0033】
[141]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[140]
に記載の治療方法。
[142]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[139]から[141]のいずれか1項に記載の治療方法。
[143]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[122]に記載
の治療方法。
[144]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[143]に記載の治療方法。
[145]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[144]に
記載の治療方法。
[146]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[143]から[145]のいずれか1項に記載の治療方法。
[147]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[121]から[14
6]のいずれか1項に記載の治療方法。
[148]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[147]に記載の治療方法。
[149]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[121]から
[146]のいずれか1項に記載の治療方法。
[150]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[149]に記載の治療方法。
【0034】
[151]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[121]から
[150]のいずれか1項に記載の治療方法。
[152]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[121]から[151]
のいずれか1項に記載の治療方法。
[153]
乳がんの治療のための、[152]に記載の治療方法。
[154]
胃がんの治療のための、[152]に記載の治療方法。
[155]
肺がんの治療のための、[152]に記載の治療方法。
[156]
卵巣がんの治療のための、[152]に記載の治療方法。
[157]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[121]から[156]のいずれか1項に記
載の治療方法。
[158]
薬物感受性因子がSLFN11である、[157]に記載の治療方法。
[159]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[121]から[156]のいずれか1項に記載
の治療方法。
[160]
薬物耐性因子がABCG2である、[159]に記載の治療方法。
[161]
チューブリン阻害剤と、組み合わされて投与されることにより、疾患を治療するための
【0035】
【化5】
【0036】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲート。
[162]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[16
1]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[163]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[162]に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[164]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[163]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[165]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[163]に記載の抗体-薬物
コンジュゲート。
[166]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[163]から[165]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[167]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[162]に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[168]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[167]に記載の抗体-薬物
コンジュゲート。
[169]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[168]に
記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[170]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[167]~[169]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュ
ゲート。
【0037】
[171]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[162]に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[172]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[171]に記載の抗体-薬物コンジュゲ
ート。
[173]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[172]
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[174]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[171]から[173]のいずれか1項に記載の抗体-薬
物コンジュゲート。
[175]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[162]に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[176]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[175]に記載の抗体-薬物コンジュゲ
ート。
[177]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[176]
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[178]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[175]から[177]のいずれか1項に記載の抗体-薬
物コンジュゲート。
[179]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[162]に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[180]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[179]に記載の抗体-薬物コンジュ
ゲート。
【0038】
[181]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[180]
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[182]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[179]から[181]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[183]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[162]に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[184]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[183]に記載の抗体-薬物コンジュ
ゲート。
[185]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[184]に
記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[186]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[183]から[185]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[187]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[161]から[18
6]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[188]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[187]に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[189]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[161]から
[186]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[190]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[189]に記載の抗体-薬物
コンジュゲート。
【0039】
[191]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[161]から
[190]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[192]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[161]から[191]
のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[193]
乳がんの治療のための、[192]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[194]
胃がんの治療のための、[192]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[195]
肺がんの治療のための、[192]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[196]
卵巣がんの治療のための、[192]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[197]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[161]から[196]のいずれか1項に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[198]
薬物感受性因子がSLFN11である、[197]に記載の抗体-薬物コンジュゲート

[199]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[161]から[196]のいずれか1項に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[200]
薬物耐性因子がABCG2である、[199]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[201]
チューブリン阻害剤と、組み合わされて投与されることにより、疾患を治療するための
【0040】
【化6】
【0041】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲート。
[202]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[20
1]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[203]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[202]に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[204]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[203]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[205]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[203]に記載の抗体-薬物
コンジュゲート。
[206]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[203]から[205]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[207]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[202]に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[208]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[207]に記載の抗体-薬物
コンジュゲート。
[209]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[208]に
記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[210]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[207]~[209]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュ
ゲート。
【0042】
[211]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[202]に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[212]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[211]に記載の抗体-薬物コンジュゲ
ート。
[213]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[212]
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[214]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[211]から[213]のいずれか1項に記載の抗体-薬
物コンジュゲート。
[215]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[202]に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[216]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[215]に記載の抗体-薬物コンジュゲ
ート。
[217]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[216]
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[218]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[215]から[217]のいずれか1項に記載の抗体-薬
物コンジュゲート。
[219]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[202]に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[220]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[219]に記載の抗体-薬物コンジュ
ゲート。
【0043】
[221]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[220]
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[222]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[219]から[221]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[223]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[202]に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[224]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[223]に記載の抗体-薬物コンジュ
ゲート。
[225]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[224]に
記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[226]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[223]から[225]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[227]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[201]から[22
6]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[228]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[227]に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[229]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[201]から
[226]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[230]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[229]に記載の抗体-薬物
コンジュゲート。
【0044】
[231]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[201]から
[230]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[232]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[201]から[231]
のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[233]
乳がんの治療のための、[232]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[234]
胃がんの治療のための、[232]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[235]
肺がんの治療のための、[232]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[236]
卵巣がんの治療のための、[232]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[237]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[201]から[236]のいずれか1項に記
載の抗体-薬物コンジュゲート。
[238]
薬物感受性因子がSLFN11である、[237]に記載の抗体-薬物コンジュゲート

[239]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[201]から[236]のいずれか1項に記載
の抗体-薬物コンジュゲート。
[240]
薬物耐性因子がABCG2である、[239]に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[241]
チューブリン阻害剤と、組み合わされて投与されることにより、疾患を治療するための
医薬の製造のための
【0045】
【化7】
【0046】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートの使用。
[242]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[24
1]に記載の使用。
[243]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[242]に記載
の使用。
[244]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[243]に記載の使用。
[245]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[243]に記載の使用。
[246]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[243]から[245]のいずれか1項に記載の使用。
[247]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[242]に記載
の使用。
[248]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[247]に記載の使用。
[249]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[248]に
記載の使用。
[250]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[247]~[249]のいずれか1項に記載の使用。
【0047】
[251]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[242]に記
載の使用。
[252]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[251]に記載の使用。
[253]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[252]
に記載の使用。
[254]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[251]から[253]のいずれか1項に記載の使用。
[255]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[242]に記
載の使用。
[256]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[255]に記載の使用。
[257]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[256]
に記載の使用。
[258]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[255]から[257]のいずれか1項に記載の使用。
[259]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[242]に記
載の使用。
[260]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[259]に記載の使用。
【0048】
[261]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[260]
に記載の使用。
[262]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[259]から[261]のいずれか1項に記載の使用。
[263]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[242]に記載
の使用。
[264]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[263]に記載の使用。
[265]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[264]に
記載の使用。
[266]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[263]から[265]のいずれか1項に記載の使用。
[267]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[241]から[26
6]のいずれか1項に記載の使用。
[268]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[267]に記載の使用。
[269]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[241]から
[266]のいずれか1項に記載の使用。
[270]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[269]に記載の使用。
【0049】
[271]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[241]から
[270]のいずれか1項に記載の使用。
[272]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[241]から[271]
のいずれか1項に記載の使用。
[273]
乳がんの治療のための、[272]に記載の使用。
[274]
胃がんの治療のための、[272]に記載の使用。
[275]
肺がんの治療のための、[272]に記載の使用。
[276]
卵巣がんの治療のための、[272]に記載の使用。
[277]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[241]から[276]のいずれか1項に記
載の使用。
[278]
薬物感受性因子がSLFN11である、[277]に記載の使用。
[279]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[241]から[276]のいずれか1項に記載
の使用。
[280]
薬物耐性因子がABCG2である、[279]に記載の使用。
[281]
チューブリン阻害剤と、組み合わされて投与されることにより、疾患を治療するための
医薬の製造のための
【0050】
【化8】
【0051】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートの使用。
[282]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TR
OP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、又は抗CDH6抗体である、[28
1]に記載の使用。
[283]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER2抗体である、[282]に記載
の使用。
[284]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[283]に記載の使用。
[285]
抗HER2抗体が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[283]に記載の使用。
[286]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[283]から[285]のいずれか1項に記載の使用。
[287]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗HER3抗体である、[282]に記載
の使用。
[288]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[287]に記載の使用。
[289]
抗HER3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[288]に
記載の使用。
[290]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[287]~[289]のいずれか1項に記載の使用。
【0052】
[291]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗TROP2抗体である、[282]に記
載の使用。
[292]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[291]に記載の使用。
[293]
抗TROP2抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[292]
に記載の使用。
[294]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[291]から[293]のいずれか1項に記載の使用。
[295]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗B7-H3抗体である、[282]に記
載の使用。
[296]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[295]に記載の使用。
[297]
抗B7-H3抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[296]
に記載の使用。
[298]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3.5
から4.5個の範囲である、[295]から[297]のいずれか1項に記載の使用。
[299]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗GPR20抗体である、[282]に記
載の使用。
[300]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[299]に記載の使用。
【0053】
[301]
抗GPR20抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[300]
に記載の使用。
[302]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[299]から[301]のいずれか1項に記載の使用。
[303]
抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体が、抗CDH6抗体である、[282]に記載
の使用。
[304]
抗CDH6抗体が、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[303]に記載の使用。
[305]
抗CDH6抗体の、重鎖カルボキシル末端のリシン残基が欠失している、[304]に
記載の使用。
[306]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[303]から[305]のいずれか1項に記載の使用。
[307]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、若しくはこ
れらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルである、[281]から[30
6]のいずれか1項に記載の使用。
[308]
チューブリン阻害剤が、パクリタキセルである、[307]に記載の使用。
[309]
チューブリン阻害剤が、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリン
と抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである、[281]から
[306]のいずれか1項に記載の使用。
[310]
チューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩である、[309]に記載の使用。
【0054】
[311]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分
として含有され、同時に又は異なる時間に投与されることを特徴とする、[281]から
[310]のいずれか1項に記載の使用。
[312]
乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆
道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子宮がん肉
腫からなる群より選択される少なくとも一つの治療のための、[281]から[311]
のいずれか1項に記載の使用。
[313]
乳がんの治療のための、[312]に記載の使用。
[314]
胃がんの治療のための、[312]に記載の使用。
[315]
肺がんの治療のための、[312]に記載の使用。
[316]
卵巣がんの治療のための、[312]に記載の使用。
[317]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブ
リン阻害剤が抑制することを特徴とする、[281]から[316]のいずれか1項に記
載の使用。
[318]
薬物感受性因子がSLFN11である、[317]に記載の使用。
[319]
抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、チューブリ
ン阻害剤が抑制することを特徴とする、[281]から[316]のいずれか1項に記載
の使用。
[320]
薬物耐性因子がABCG2である、[319]に記載の使用。
【0055】
[321]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて投与されること
を特徴とする医薬組成物であって、
1)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、該チ
ューブリン阻害剤が抑制すること、及び/又は、
2)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、該チュ
ーブリン阻害剤が抑制すること、
を特徴とする、医薬組成物。
[322]
薬物感受性因子がSLFN11である、[321]に記載の医薬組成物。
[323]
薬物耐性因子がABCG2である、[321]又は[322]に記載の医薬組成物。
[324]
抗体-薬物コンジュゲートにおける薬物が、トポイソメラーゼI阻害作用を有する、[
321]から[323]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[325]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0056】
【化9】
【0057】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである、[321]から[323]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[326]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0058】
【化10】
【0059】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートである、[321]から[323]のいずれか1項
に記載の医薬組成物。
[327]
抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害剤が、組み合わされて治療を必要とす
る個体に投与されることを特徴とする治療方法であって、
1)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、該チ
ューブリン阻害剤が抑制すること、及び/又は、
2)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、該チュ
ーブリン阻害剤が抑制すること、
を特徴とする、治療方法。
[328]
薬物感受性因子がSLFN11である、[327]に記載の治療方法。
[329]
薬物耐性因子がABCG2である、[327]又は[328]に記載の治療方法。
[330]
抗体-薬物コンジュゲートにおける薬物が、トポイソメラーゼI阻害作用を有する、[
327]から[329]のいずれか1項に記載の治療方法。
[331]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0060】
【化11】
【0061】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである、[327]から[329]のいずれか1項に記載の治療方法。
[332]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0062】
【化12】
【0063】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートである、[327]から[329]のいずれか1項
に記載の治療方法。
[333]
チューブリン阻害剤と、組み合わされて投与されることにより、疾患を治療するための
抗体-薬物コンジュゲートであって、
1)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、該チ
ューブリン阻害剤が抑制すること、及び/又は、
2)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、該チュ
ーブリン阻害剤が抑制すること、
を特徴とする、抗体-薬物コンジュゲート。
[334]
薬物感受性因子がSLFN11である、[333]に記載の抗体-薬物コンジュゲート

[335]
薬物耐性因子がABCG2である、[333]又は[334]に記載の抗体-薬物コン
ジュゲート。
[336]
抗体-薬物コンジュゲートにおける薬物が、トポイソメラーゼI阻害作用を有する、[
333]から[335]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[337]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0064】
【化13】
【0065】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである、[333]から[335]のいずれか1項に記載の抗体-薬物コンジ
ュゲート。
[338]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0066】
【化14】
【0067】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートである、[333]から[335]のいずれか1項
に記載の抗体-薬物コンジュゲート。
[339]
チューブリン阻害剤と、組み合わされて投与されることにより、疾患を治療するための
医薬の製造のための抗体-薬物コンジュゲートの使用であって、
1)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、該チ
ューブリン阻害剤が抑制すること、及び/又は、
2)該抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬物耐性因子の発現上昇を、該チュ
ーブリン阻害剤が抑制すること、
を特徴とする、使用。
[340]
薬物感受性因子がSLFN11である、[339]に記載の使用。
[341]
薬物耐性因子がABCG2である、[339]又は[340]に記載の使用。
[342]
抗体-薬物コンジュゲートにおける薬物が、トポイソメラーゼI阻害作用を有する、[
339]から[341]のいずれか1項に記載の使用。
[343]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0068】
【化15】
【0069】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである、[339]から[341]のいずれか1項に記載の使用。
[344]
抗体-薬物コンジュゲートが、式
【0070】
【化16】
【0071】
(式中、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合しており、nは1抗体あた
りの薬物リンカーの平均結合数を示す)
で示される抗体-薬物コンジュゲートである、[339]から[341]のいずれか1項
に記載の使用。
【発明の効果】
【0072】
本発明により、特定の抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤が、組み合わさ
れて投与されることを特徴とする、医薬組成物、及び/又は、特定の抗体-薬物コンジュ
ゲートとチューブリン阻害剤が組み合わされて個体に投与されることを特徴とする治療方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】抗HER2抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号1)を示した図である。
図2】抗HER2抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号2)を示した図である。
図3】抗HER3抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号3)を示した図である。
図4】抗HER3抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号4)を示した図である。
図5】抗TROP2抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号5)を示した図である。
図6】抗TROP2抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号6)を示した図である。
図7】抗B7-H3抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号7)を示した図である。
図8】抗B7-H3抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号8)を示した図である。
図9】KPL-4細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図10】KPL-4細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びEribulin mesylateそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図11】JIMT-1細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図12】JIMT-1細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びEribulin mesylateそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図13】NCI-N87細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図14】NCI-N87細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びEribulin mesylateそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図15】MDA-MB-453細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図16】SNU-1細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図17】NCI-H441細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(1)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図18】抗GPR20抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号9)を示した図である。
図19】抗GPR20抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号10)を示した図である。
図20】抗CDH6抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号11)を示した図である。
図21】抗CDH6抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号12)を示した図である。
図22】JIMT-1細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(2)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(2)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
図23】OV-90細胞を皮下移植したマウスにおける抗体-薬物コンジュゲート(3)、及びPaclitaxelそれぞれの単剤投与群、並びに、抗体-薬物コンジュゲート(3)とPaclitaxelの併用投与群の腫瘍増殖抑制効果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実
施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これによって本発明の
範囲が狭く解釈されることはない。
【0075】
1.抗体-薬物コンジュゲート
本発明において使用される抗体-薬物コンジュゲートは、式
【0076】
【化17】
【0077】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コ
ンジュゲートである。
【0078】
本発明においては、抗体-薬物コンジュゲートのうち、リンカー及び薬物からなる部分
構造を「薬物リンカー」と称する。この薬物リンカーは抗体の鎖間のジスルフィド結合部
位(2箇所の重鎖-重鎖間、及び2箇所の重鎖-軽鎖間)において生じたチオール基(言
い換えれば、システイン残基の硫黄原子)に結合している。
【0079】
本発明の薬物リンカーは、トポイソメラーゼI阻害剤であるエキサテカン(IUPAC
名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-1,2,3,9,12,
15-ヘキサヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10H,13H-ベンゾ[de]ピ
ラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオン
、(化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒド
ロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:
6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオンと
して表すこともできる))を構成要素としている。エキサテカンは、式
【0080】
【化18】
【0081】
で示される、抗腫瘍効果を有するカンプトテシン誘導体である。
【0082】
本発明において使用される抗体-薬物コンジュゲートは、次式で示すこともできる。
【0083】
【化19】
【0084】
ここで、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合している。また、nはい
わゆる平均薬物結合数(DAR; Drug-to-Antibody Ratio)と
同義であり、1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数を示す。
【0085】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートは、がん細胞内に移行した後にリンカー
部分が切断され、
【0086】
【化20】
【0087】
で表される化合物を遊離する。
【0088】
上記化合物は、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートの抗腫瘍活性の本体であ
ると考えられ、トポイソメラーゼI阻害作用を有することが確認されている(Ogitani Y.
et al., Clinical Cancer Research, 2016, Oct 15;22(20):5097-5108, Epub 2016 Mar
29)。
【0089】
トポイソメラーゼIは、DNAの単鎖の切断と再結合を行うことによりDNAの高次構
造を変換しDNAの合成に関与する酵素である。従って、トポイソメラーゼI阻害作用を
有する薬剤は、DNAの合成を阻害することにより、細胞周期のS期(DNA合成期)で
細胞分裂を停止させ、アポトーシスによる細胞死を誘導することにより、がん細胞の増殖
を抑制することができる。
【0090】
一方、チューブリン阻害剤は、微小管ダイナミクスに影響を及ぼすことにより、細胞周
期のG期(分裂準備期)及び/又はM期(分裂期)で細胞分裂を停止させ、アポトーシ
スによる細胞死を誘導することにより、がん細胞の増殖を抑制することができる(Dumont
et C, et al., Nat Rev Drug Discov. 2010 Oct;9(10): 790-803.)(Mukhtar E, et al.
, Mol Cancer Ther. 2014 Feb: 13(2): 275-284.)。
【0091】
従って、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲート(トポイソメラーゼI阻害作用
を有する薬剤を抗腫瘍活性の本体とする)は、チューブリン阻害剤と組み合わせて投与さ
れることにより、細胞周期のS期且つG期及び/又はM期において複合的に細胞分裂を
停止させるため、優れた併用効果(抗腫瘍効果)を発揮することができる。
【0092】
なお、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートは、バイスタンダー効果を有する
ことも知られている(Ogitani Y. et al., Cancer Science (2016) 107, 1039-1046)。
【0093】
このバイスタンダー効果は、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートが、標的発
現がん細胞に内在化した後、上記化合物が遊離され、標的を発現していない近傍のがん細
胞に対しても抗腫瘍効果を及ぼすことにより発揮される。
【0094】
このバイスタンダー効果は、本発明にかかる抗体-薬物コンジュゲートが、チューブリ
ン阻害剤と組み合わせて使用される場合においても、優れた抗腫瘍効果として発揮される
【0095】
2.抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体は、いずれの種に由来して
もよいが、好適には、ヒト、ラット、マウス、及びウサギに由来する抗体である。抗体が
ヒト以外の種に由来する場合は、周知の技術を用いて、キメラ化又はヒト化することが好
ましい。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であって
もよいが、モノクローナル抗体が好ましい。
【0096】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体は、好適にはがん細胞を標
的にできる性質を有するものであり、がん細胞を認識できる特性、がん細胞に結合できる
特性、がん細胞内に取り込まれて内在化する特性、及び/又はがん細胞に対する殺細胞活
性等を備えているものが好ましい。
【0097】
抗体のがん細胞への結合性は、フローサイトメトリーを用いて確認できる。がん細胞内
への抗体の取り込みは、(1)治療抗体に結合する二次抗体(蛍光標識)を用いて細胞内
に取り込まれた抗体を蛍光顕微鏡で可視化するアッセイ(Cell Death and Differentiati
on (2008) 15, 751-761)、(2)治療抗体に結合する二次抗体(蛍光標識)を用いて細
胞内に取り込まれた蛍光量を測定するアッセイ(Molecular Biology of the Cell Vol. 1
5, 5268-5282, December 2004)、又は(3)治療抗体に結合するイムノトキシンを用い
て、細胞内に取り込まれると毒素が放出されて細胞増殖が抑制されるというMab-ZA
Pアッセイ(Bio Techniques 28:162-165, January 2000)を用いて確認できる。イムノト
キシンとしては、ジフテテリア毒素の触媒領域とプロテインGとのリコンビナント複合蛋
白質も使用可能である。
【0098】
抗体の抗腫瘍活性は、in vitroでは、細胞の増殖の抑制活性を測定することで
確認できる。例えば、抗体の標的蛋白質を過剰発現しているがん細胞株を培養し、培養系
に種々の濃度で抗体を添加し、フォーカス形成、コロニー形成及びスフェロイド増殖に対
する抑制活性を測定することができる。in vivoでは、例えば、標的蛋白質を高発
現しているがん細胞株を移植したヌードマウスに抗体を投与し、がん細胞の変化を測定す
ることによって、抗腫瘍活性を確認できる。
【0099】
抗体自体が抗腫瘍効果を有することは、好ましいが、抗体-薬物コンジュゲートは抗腫
瘍効果を発揮する化合物を結合させてあるので、抗体自体の抗腫瘍効果は必須ではない。
抗腫瘍性化合物の細胞障害性をがん細胞において特異的・選択的に発揮させる目的からは
、抗体が内在化してがん細胞内に移行する性質のあることが重要であり、好ましい。
【0100】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体は、公知の手段によって取
得することができる。例えば、この分野で通常実施される方法を用いて、抗原となるポリ
ペプチドを動物に免疫し、生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得るこ
とができる。抗原の由来はヒトに限定されず、マウス、ラット等のヒト以外の動物に由来
する抗原を動物に免疫することもできる。この場合には、取得された異種抗原に結合する
抗体とヒト抗原との交差性を試験することによって、ヒトの疾患に適用可能な抗体を選別
できる。
【0101】
また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein, Nature (1975) 256, p.495-497;K
ennet, R. ed., Monoclonal Antibodies, p.365-367, Plenum Press, N.Y.(1980))に従
って、抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることに
よってハイブリドーマを樹立し、モノクローナル抗体を得ることもできる。
【0102】
なお、抗原は抗原蛋白質をコードする遺伝子を遺伝子操作によって宿主細胞に産生させ
ることによって得ることができる。具体的には、抗原遺伝子を発現可能なベクターを作製
し、これを宿主細胞に導入して該遺伝子を発現させ、発現した抗原を精製すればよい。上
記の遺伝子操作による抗原発現細胞、或は抗原を発現している細胞株、を動物に免疫する
方法を用いることによっても抗体を取得できる。
【0103】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体は、ヒトに対する異種抗原
性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメ
ラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体であることが好ましく
、又はヒト由来の抗体の遺伝子配列のみを有する抗体、すなわちヒト抗体であることが好
ましい。これらの抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
【0104】
キメラ抗体としては、抗体の可変領域と定常領域が互いに異種である抗体、例えばマウ
ス又はラット由来抗体の可変領域をヒト由来の定常領域に接合したキメラ抗体を挙げるこ
とができる(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81, 6851-6855,(1984))。
【0105】
ヒト化抗体としては、異種抗体の相補性決定領域(CDR;complementar
ity determining region)のみをヒト由来の抗体に組み込んだ抗
体(Nature(1986) 321, p.522-525)、CDR移植法によって、異種抗体のCDRの配列
に加えて、異種抗体の一部のフレームワークのアミノ酸残基もヒト抗体に移植した抗体(
国際公開第90/07861号)、遺伝子変換突然変異誘発(gene convers
ion mutagenesis)ストラテジーを用いてヒト化した抗体(米国特許第5
821337号)を挙げることができる。
【0106】
ヒト抗体としては、ヒト抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト
抗体産生マウスを用いて作成した抗体(Tomizuka, K. et al., Nature Genetics(1997) 1
6, p.133-143;Kuroiwa, Y. et. al., Nucl. Acids Res.(1998) 26, p.3447-3448;Yoshida
, H. et. al., Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10, p.69-73(K
itagawa, Y., Matsuda, T. and Iijima, S. eds.), Kluwer Academic Publishers, 1999;
Tomizuka, K. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(2000) 97, p.722-727等を参照。)
を挙げることができる。或いは、ヒト抗体ライブラリーより選別したファージディスプレ
イにより取得した抗体(Wormstone, I. M. et. al, Investigative Ophthalmology & Vis
ual Science. (2002)43 (7), p.2301-2308;Carmen, S. et. al., Briefings in Functio
nal Genomics and Proteomics(2002), 1(2), p.189-203;Siriwardena, D. et. al., Opht
halmology(2002) 109(3), p.427-431等参照。)も挙げることができる。
【0107】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体には、抗体の修飾体も含ま
れる。当該修飾体とは、本発明に係る抗体に化学的又は生物学的な修飾が施されてなるも
のを意味する。化学的な修飾体には、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N-結合又はO
-結合炭水化物鎖への化学部分の結合を有する化学修飾体等が含まれる。生物学的な修飾
体には、翻訳後修飾(例えば、N-結合又はO-結合型糖鎖の付加、N末端又はC末端の
プロセッシング、脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化等)されたも
の、原核生物宿主細胞を用いて発現させることによってN末にメチオニン残基が付加され
たもの等が含まれる。また、本発明に係る抗体又は抗原の検出又は単離を可能にするため
に標識されたもの、例えば、酵素標識体、蛍光標識体、アフィニティ標識体もかかる修飾
体の意味に含まれる。この様な本発明に係る抗体の修飾体は、抗体の安定性及び血中滞留
性の改善、抗原性の低減、抗体又は抗原の検出又は単離等に有用である。
【0108】
また、本発明に係る抗体に結合している糖鎖修飾を調節すること(グリコシル化、脱フ
コース化等)によって、抗体依存性細胞傷害活性を増強することが可能である。抗体の糖
鎖修飾の調節技術としては、国際公開第99/54342号、国際公開第00/6173
9号、国際公開第02/31140号、国際公開第2007/133855号、及び国際
公開第2013/120066号等が知られているが、これらに限定されるものではない
。本発明に係る抗体には当該糖鎖修飾が調節された抗体も含まれる。
【0109】
なお、哺乳類培養細胞で生産される抗体では、その重鎖のカルボキシル末端のリシン残
基が欠失することが知られており(Journal of Chromatography A, 705: 129-134(1995)
)、また、同じく重鎖カルボキシル末端のグリシン、リシンの2アミノ酸残基が欠失し、
新たにカルボキシル末端に位置するプロリン残基がアミド化されることが知られている(
Analytical Biochemistry, 360: 75-83(2007))。しかし、これらの重鎖配列の欠失及び
修飾は、抗体の抗原結合能及びエフェクター機能(補体の活性化や抗体依存性細胞障害作
用等)には影響を及ぼさない。したがって、本発明に係る抗体には、当該修飾を受けた抗
体及び当該抗体の機能性断片も含まれ、重鎖カルボキシル末端において1又は2のアミノ
酸が欠失した欠失体、及びアミド化された当該欠失体(例えば、カルボキシル末端部位の
プロリン残基がアミド化された重鎖)等も包含される。但し、抗原結合能及びエフェクタ
ー機能が保たれている限り、本発明に係る抗体の重鎖のカルボキシル末端の欠失体は上記
の種類に限定されない。本発明に係る抗体を構成する2本の重鎖は、完全長及び上記の欠
失体からなる群から選択される重鎖のいずれか一種であってもよいし、いずれか二種を組
み合わせたものであってもよい。各欠失体の量比は本発明に係る抗体を産生する哺乳類培
養細胞の種類及び培養条件に影響を受け得るが、本発明に係る抗体は、好ましくは2本の
重鎖の双方でカルボキシル末端のひとつのアミノ酸残基が欠失しているものを挙げること
ができる。
【0110】
本発明に係る抗体のアイソタイプとしては、例えばIgG(IgG1、IgG2、Ig
G3、IgG4)等を挙げることができるが、好ましくはIgG1又はIgG2を挙げる
ことができる。
【0111】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートにおける抗体は、特に制限はないが、例
えば、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TROP2抗体、抗B7-H3抗体、抗CD
3抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD37抗体、抗CD56抗体、抗CD9
8抗体、抗DR5抗体、抗EGFR抗体、抗EPHA2抗体、抗FGFR2抗体、抗FG
FR4抗体、抗FOLR1抗体、抗VEGF抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗
CD70抗体、抗PSMA抗体、抗CEA抗体、抗Mesothelin抗体、抗A33
抗体、抗CanAg抗体、抗Cripto抗体、抗G250抗体、抗MUC1抗体、抗G
PNMB抗体、抗Integrin抗体、抗Tenascin-C抗体、抗SLC44A
4抗体、抗GPR20抗体、及び抗CDH6抗体を挙げることができ、好適には、抗HE
R2抗体、抗HER3抗体、抗TROP2抗体、抗B7-H3抗体、抗GPR20抗体、
及び抗CDH6抗体を挙げることができる。
【0112】
本発明において、「抗HER2抗体」とは、HER2(Human Epiderma
l Growth Factor Receptor Type 2; ErbB-2)
に特異的に結合し、好ましくは、HER2と結合することによってHER2発現細胞に内
在化する活性を有する抗体を示す。
【0113】
抗HER2抗体としては、例えば、トラスツズマブ(Trastuzumab)(米国
特許第5821337号)、ペルツズマブ(Pertuzumab)(国際公開第01/
00245号)を挙げることができ、好適にはトラスツズマブを挙げることができる。
【0114】
本発明において、「抗HER3抗体」とは、HER3(Human Epiderma
l Growth Factor Receptor Type 3; ErbB-3)
に特異的に結合し、好ましくは、HER3と結合することによってHER3発現細胞に内
在化する活性を有する抗体を示す。
【0115】
抗HER3抗体としては、例えば、パトリツマブ(Patritumab; U3-1
287)、U1-59(国際公開第2007/077028号)、MM-121(Ser
ibantumab)、国際公開2008/100624号記載の抗ERBB3抗体、R
G-7116(Lumretuzumab)、及びLJM-716(Elgemtuma
b)を挙げることができ、好適には、パトリツマブ、及びU1-59を挙げることができ
る。
【0116】
本発明において、「抗TROP2抗体」とは、TROP2(TACSTD2:Tumo
r-associated calcium signal transducer 2
; EGP-1)に特異的に結合し、好ましくは、TROP2と結合することによってT
ROP2発現細胞に内在化する活性を有する抗体を示す。
【0117】
抗TROP2抗体としては、例えば、hTINA1-H1L1(国際公開第2015/
098099号)を挙げることができる。
【0118】
本発明において、「抗B7-H3抗体」とは、B7-H3(B cell antig
en #7 homolog 3; PD-L3; CD276)に特異的に結合し、好
ましくは、B7-H3と結合することによってB7-H3発現細胞に内在化する活性を有
する抗体を示す。
【0119】
抗B7-H3抗体としては、例えば、M30-H1-L4(国際公開第2014/05
7687号)を挙げることができる。
【0120】
本発明において、「抗GPR20抗体」とは、GPR20(G Protein-co
upled receptor 20)に特異的に結合し、好ましくは、GPR20と結
合することによってGPR20発現細胞に内在化する活性を有する抗体を示す。
【0121】
抗GPR20抗体としては、例えば、h046-H4e/L7(国際公開第2018/
135501号)を挙げることができる。
【0122】
本発明において、「抗CDH6抗体」とは、CDH6(Cadherin-6)に特異
的に結合し、好ましくは、CDH6と結合することによってCDH6発現細胞に内在化す
る活性を有する抗体を示す。
【0123】
抗CDH6抗体としては、例えば、H01L02(国際公開第2018/212136
号)を挙げることができる。
【0124】
3.抗体-薬物コンジュゲートの製造
本発明に係る抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される薬物リンカー中間体は、次
式で示される。
【0125】
【化21】
【0126】
上記の薬物リンカー中間体は、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1
H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N
-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチ
ル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12
H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン
-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド、という化学名で
表すことができ、国際公開第2014/057687号、国際公開第2015/0980
99号、国際公開第2015/115091号、国際公開第2015/155998号、
及び国際公開第2019/044947号等の記載を参考に製造することができる。
【0127】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートは、前述の薬物リンカー中間体と、チオ
ール基(又はスルフヒドリル基とも言う)を有する抗体を反応させることによって製造す
ることができる。
【0128】
スルフヒドリル基を有する抗体は、当業者周知の方法で得ることができる(Hermanson,
G. T, Bioconjugate Techniques, pp.56-136, pp.456-493, Academic Press(1996))。
例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)等の還元剤を、
抗体内鎖間ジスルフィド1個当たりに対して0.3乃至3モル当量用い、エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を含む緩衝液中で、抗体と反応させることで、抗体
内鎖間ジスルフィドが部分的若しくは完全に還元されたスルフヒドリル基を有する抗体を
得ることができる。
【0129】
さらに、スルフヒドリル基を有する抗体1個あたり、2乃至20モル当量の薬物リンカ
ー中間体を使用して、抗体1個当たり2個乃至8個の薬物が結合した抗体―薬物コンジュ
ゲートを製造することができる。
【0130】
製造した抗体-薬物コンジュゲートの抗体一分子あたりの平均薬物結合数の算出は、例
えば、280nm及び370nmの二波長における抗体-薬物コンジュゲートとそのコン
ジュゲーション前駆体のUV吸光度を測定することにより算出する方法(UV法)や、抗
体-薬物コンジュゲートを還元剤で処理し得られた各フラグメントをHPLC測定により
定量し算出する方法(HPLC法)により行うことができる。
【0131】
抗体と薬物リンカー中間体のコンジュゲーション、及び抗体-薬物コンジュゲートの抗
体一分子あたりの平均薬物結合数の算出は、国際公開第2014/057687号、国際
公開第2015/098099号、国際公開第2015/115091号、国際公開第2
015/155998号、国際公開第2018/135501号、及び国際公開第201
8/212136号等の記載を参考に実施することができる。
【0132】
本発明において、「抗HER2抗体-薬物コンジュゲート」とは、本発明に係る抗体-
薬物コンジュゲートにおける抗体が抗HER2抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示
す。
【0133】
抗HER2抗体は、好適には、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載の
アミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のア
ミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列から
なる重鎖及び配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である。
【0134】
抗HER2抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数は、
好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更により好適には7から8であ
り、更により好適には7.5から8であり、更により好適には約8である。
【0135】
抗HER2抗体-薬物コンジュゲートは、国際公開第2015/115091号等の記
載を参考に製造することができる。
【0136】
本発明において、「抗HER3抗体-薬物コンジュゲート」とは、本発明に係る抗体-
薬物コンジュゲートにおける抗体が抗HER3抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示
す。
【0137】
抗HER3抗体は、好適には、配列番号3においてアミノ酸番号26乃至35に記載の
アミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号3においてアミノ酸番号50乃至65に記載
のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号3においてアミノ酸番号98乃至10
6に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列番号4においてア
ミノ酸番号24乃至39に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号4において
アミノ酸番号56乃至62に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号4に
おいてアミノ酸番号95乃至103に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖
、を含む抗体であり、
より好適には、配列番号3においてアミノ酸番号1乃至117に記載のアミノ酸配列か
らなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号4においてアミノ酸番号1乃至113に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖、を含む抗体であり、
更により好適には、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端
のリシン残基が欠失している抗体である。
【0138】
抗HER3抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数は、
好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更により好適には7から8であ
り、更により好適には7.5から8であり、更により好適には約8である。
【0139】
抗HER3抗体-薬物コンジュゲートは、国際公開第2015/155998号等の記
載を参考に製造することができる。
【0140】
本発明において、「抗TROP2抗体-薬物コンジュゲート」とは、本発明に係る抗体
-薬物コンジュゲートにおける抗体が抗TROP2抗体である抗体-薬物コンジュゲート
を示す。
【0141】
抗TROP2抗体は、好適には、配列番号5においてアミノ酸番号50乃至54に記載
のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号5においてアミノ酸番号69乃至85に記
載のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号5においてアミノ酸番号118乃至
129に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列番号6におい
てアミノ酸番号44乃至54に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号6にお
いてアミノ酸番号70乃至76に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号
6においてアミノ酸番号109乃至117に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を含
む軽鎖、を含む抗体であり、
より好適には、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至140に記載のアミノ酸配列
からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至129
に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖、を含む抗体であり、
更により好適には、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ酸
配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ酸
配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残基
が欠失している抗体である。
【0142】
抗TROP2抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数は
、好適には2から8であり、より好適には3から5であり、更により好適には3.5から
4.5であり、更により好適には約4である。
【0143】
抗TROP2抗体-薬物コンジュゲートは、国際公開第2015/098099号等の
記載を参考に製造することができる。
【0144】
本発明において、「抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲート」とは、本発明に係る抗体
-薬物コンジュゲートにおける抗体が抗B7-H3抗体である抗体-薬物コンジュゲート
を示す。
【0145】
抗B7-H3抗体は、好適には、配列番号7においてアミノ酸番号50乃至54に記載
のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号7においてアミノ酸番号69乃至85に記
載のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号7においてアミノ酸番号118乃至
130に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列番号8におい
てアミノ酸番号44乃至53に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号8にお
いてアミノ酸番号69乃至75に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列番号
8においてアミノ酸番号108乃至116に記載のアミノ酸配列からなるCDRL3を含
む軽鎖、を含む抗体であり、
より好適には、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配列
からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至128
に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖、を含む抗体であり、
更により好適には、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸
配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸
配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残基
が欠失している抗体である。
【0146】
抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数は
、好適には2から8であり、より好適には3から5であり、更により好適には3.5から
4.5であり、更により好適には約4である。
【0147】
本発明において使用される抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲートは、国際公開第20
14/057687号等の記載を参考に製造することができる。
【0148】
本発明において、「抗GPR20抗体-薬物コンジュゲート」とは、本発明に係る抗体
-薬物コンジュゲートにおける抗体が抗GPR20抗体である抗体-薬物コンジュゲート
を示す。
【0149】
抗GPR20抗体は、好適には、配列番号9においてアミノ酸番号45乃至54に記載
のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号9においてアミノ酸番号69乃至78に記
載のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号9においてアミノ酸番号118乃至
131に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列番号10にお
いてアミノ酸番号44乃至54に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号10
においてアミノ酸番号70乃至76に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列
番号10においてアミノ酸番号109乃至117に記載のアミノ酸配列からなるCDRL
3を含む軽鎖、を含む抗体であり、
より好適には、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至142に記載のアミノ酸配列
からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至12
9に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖、を含む抗体であり、
更により好適には、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ酸
配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残
基が欠失している抗体である。
【0150】
抗GPR20抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数は
、好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更により好適には7から8で
あり、更により好適には7.5から8であり、更により好適には約8である。
【0151】
抗GPR20抗体-薬物コンジュゲートは、国際公開第2018/135501号等の
記載を参考に製造することができる。
【0152】
本発明において、「抗CDH6抗体-薬物コンジュゲート」とは、本発明に係る抗体-
薬物コンジュゲートにおける抗体が抗CDH6抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示
す。
【0153】
抗CDH6抗体は、好適には、配列番号11においてアミノ酸番号45乃至54に記載
のアミノ酸配列からなるCDRH1、配列番号11においてアミノ酸番号69乃至78に
記載のアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列番号11においてアミノ酸番号118
乃至130に記載のアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列番号12
においてアミノ酸番号44乃至54に記載のアミノ酸配列からなるCDRL1、配列番号
12においてアミノ酸番号70乃至76に記載のアミノ酸配列からなるCDRL2、及び
配列番号12においてアミノ酸番号109乃至116に記載のアミノ酸配列からなるCD
RL3を含む軽鎖、を含む抗体であり、
より好適には、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至141に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖可変領域を含む重鎖、及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至1
28に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖、を含む抗体であり、
更により好適には、配列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン
残基が欠失している抗体である。
【0154】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数は、
好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更により好適には7から8であ
り、更により好適には7.5から8であり、更により好適には約8である。
【0155】
抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートは、国際公開第2018/212136号等の記
載を参考に製造することができる。
【0156】
4.チューブリン阻害剤
本発明において「チューブリン阻害剤」とは、微小管ダイナミクスに影響を及ぼすこと
により、細胞周期のG期(分裂準備期)及び/又はM期(分裂期)で細胞分裂を停止さ
せ、アポトーシスによる細胞死を誘導することにより、がん細胞の増殖を抑制する薬剤で
ある(Dumontet C, et al., Nat Rev Drug Discov. 2010 Oct;9(10): 790-803.)(Mukht
ar E, et al., Mol Cancer Ther. 2014 Feb: 13(2): 275-284.)。
【0157】
チューブリン阻害剤には、チューブリンの重合を促進することにより微小管ダイナミク
スに影響を及ぼす薬剤(本発明において「チューブリン重合促進薬」という)と、チュー
ブリンの重合を阻害することにより微小管ダイナミクスに影響を及ぼす薬剤(本発明にお
いて「チューブリン重合阻害薬」という)が存在する。
【0158】
チューブリン重合促進薬としては、タキサン類(パクリタキセル、ドセタキセル、及び
、カバジタキセル等)等が知られている。チューブリン重合阻害薬としては、ハリコンド
リン類(エリブリン等)、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビ
ノレルビン、ビンデシン等)、ドラスタチン類(MMAE及びMMAF等)、及びメイタ
ンシノイド類(DM1及びDM4等)等が知られている。これらの薬剤及びその薬理上許
容される塩は本発明のチューブリン阻害剤として使用することができる。また、これらの
薬剤のいずれかとアルブミンとの結合体(例えば、パクリタキセルとアルブミンとの結合
体であるnab-パクリタキセル等)、及び、これらの薬剤のいずれかと抗体とをリンカ
ーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート(例えば、MMAEと抗CD30抗体とを
リンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるブレンツキシマブベドチン、
DM1と抗HER2抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートである
トラスツズマブエムタンシン、MMAEと抗GPMNB抗体とをリンカーを介して結合し
た抗体-薬物コンジュゲートであるCDX-011(国際公開第2006/071441
号等)、DM4と抗FOLR1抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲ
ートであるIMGN-853(国際公開第2017/049149号等)、MMAEと抗
CD79b抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるRG-7
596(米国公開第2017/304438号等)、DM4と抗CD19抗体とをリンカ
ーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるSAR-3419(米国公開第20
15/071949号等)、MMAEと抗PSMA抗体とをリンカーを介して結合した抗
体-薬物コンジュゲートであるPSMA-ADC(国際公開第2007/002222号
等)、DM4と抗CD138抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲー
トであるBT-062(米国公開第2007/183971号等)、DM4と抗meso
thelin抗体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるBAY
-94-9343(国際公開第2010/124797号等)、MMAFと抗CD19抗
体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるSGN-CD19A(
国際公開第2009/052431号等)、MMAFと抗ENPP3抗体とをリンカーを
介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるAGS-16C3F)等も、本発明のチ
ューブリン阻害剤として使用することができる。
【0159】
本発明で好適に使用されるチューブリン阻害剤のうち、チューブリン重合促進薬として
は、タキサン類若しくはそれらの薬理上許容される塩、又はタキサン類とアルブミンとの
結合体を挙げることができ、より好適には、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキ
セル、若しくはそれらの薬理上許容される塩、又はnab-パクリタキセルを挙げること
ができ、更により好適には、パクリタキセル、ドセタキセル3水和物、若しくはカバジタ
キセルアセトン和物、又はnab-パクリタキセルを挙げることができ、更により好適に
は、更により好適には、パクリタキセルを挙げることができる。
【0160】
本発明で好適に使用されるチューブリン阻害剤のうち、チューブリン重合阻害薬として
は、ハリコンドリン類若しくはそれらの薬理上許容される塩、又はハリコンドリン類と抗
体とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートを挙げることができ、より好
適には、エリブリン若しくはその薬理上許容される塩、又はエリブリンと抗体とをリンカ
ーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲート(例えば、エリブリンと抗FOLR1抗体
とをリンカーを介して結合した抗体-薬物コンジュゲートであるMORAb-202(米
国公開第2017/252458号等))を挙げることができ、更により好適には、エリ
ブリンメシル酸塩(Eribulin mesylate)を挙げることができる。
【0161】
なお、本発明における「薬理上許容される塩」は、酸付加塩と塩基付加塩のどちらであ
ってもよい。酸付加塩としては、例えば、カンシル酸塩(カンファースルホン酸塩)、メ
シル酸塩(メタンスルホン酸塩)、トリフルオロメタンスルホン酸塩、及びエタンスルホ
ン酸塩等の低級アルカンスルホン酸塩;トシル酸塩(p-トルエンスルホン酸塩)、及び
ベンゼンスルホン酸塩等のアリールスルホン酸塩;リン酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、及び
硫酸塩等の無機酸塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、及びフッ化水素酸塩等の
ハロゲン化水素酸塩;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石
酸塩、蓚酸塩、及びマレイン酸塩等の有機酸塩;並びにオルニチン酸塩、グルタミン酸塩
、及びアスパラギン酸塩等のアミノ酸塩を挙げることができる。塩基付加塩としては、例
えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネ
シウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等の無機塩;ジベンジルアミン塩、モ
ルホリン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグ
ルカミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ジシク
ロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、ジエタノールアミン塩
、N-ベンジル-N-(2-フェニルエトキシ)アミン塩、ピペラジン塩、テトラメチル
アンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等の有機アミン塩;アルギ
ニン塩等のアミノ酸塩を挙げることができる。
【0162】
また、薬理上許容される塩は、溶媒和物として存在することもあり、これらの溶媒和物
も本発明における「薬理上許容される塩」に含まれる。かかる溶媒和物としては、例えば
、水和物(例えば、0.5水和物、1水和物、2水和物、3水和物)、エタノール和物、
及びアセトン和物を挙げることができる。
【0163】
5.医薬
以下、本発明に係る抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤が組み合わされて
投与されることを特徴とする医薬組成物及び治療方法について説明する。
【0164】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン阻害
剤が、それぞれ別異の製剤に有効成分として含有され、同時に又は異なる時間に投与され
ることを特徴とするものであってもよいし、抗体-薬物コンジュゲートと、チューブリン
阻害剤が、単一の製剤に有効成分として含有され、投与されることを特徴とするものであ
ってもよい。
【0165】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、がんの治療のために使用することができ、好適に
は、乳がん、胃がん(胃腺がんと呼ぶこともある)、大腸がん(結腸直腸がんと呼ぶこと
もあり、結腸がん及び直腸がんを含む)、肺がん(小細胞肺がん及び非小細胞肺がんを含
む)、食道がん、頭頚部がん(唾液腺がん及び咽頭がんを含む)、胃食道接合部腺がん、
胆道がん(胆管がんを含む)、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、子宮がん肉腫、尿
路上皮がん、前立腺がん、膀胱がん、消化管間質腫瘍、子宮頸がん、扁平上皮がん、腹膜
がん、肝臓がん、肝細胞がん、子宮体がん、腎臓がん、外陰部がん、甲状腺がん、陰茎が
ん、白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫、骨髄腫、多型神経膠芽腫、骨肉腫、及びメラノ
ーマからなる群より選択される少なくとも一つの治療のために使用することができ、より
好適には、乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺
がん、胆道がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、及び子
宮がん肉腫からなる群より選択される少なくとも一つのがんの治療のために使用すること
ができ、更により好適には、乳がん、胃がん、肺がん、及び卵巣がんからなる群より選択
される少なくとも一つのがんの治療のために使用することができる。
【0166】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートのうち、特にどのような抗体を有する抗
体-薬物コンジュゲートが好適であるかは、がんの種類や、腫瘍マーカーを検査すること
により、決定することができる。例えば、がんにHER2の発現が確認された場合は、抗
HER2抗体-薬物コンジュゲートを好適に使用することができ、がんにHER3の発現
が確認された場合は、抗HER3抗体-薬物コンジュゲートを好適に使用することができ
、がんにTROP2の発現が確認された場合は、抗TROP2抗体-薬物コンジュゲート
を好適に使用することができ、がんにB7-H3の発現が確認された場合は、抗B7-H
3抗体-薬物コンジュゲートを好適に使用することができ、がんにGPR20の発現が確
認された場合は、抗GPR20抗体-薬物コンジュゲートを好適に使用することができ、
がんにCDH6の発現が確認された場合は、抗CDH6抗体-薬物コンジュゲートを好適
に使用することができる。
【0167】
HER2、HER3、TROP2、B7-H3、GPR20、及びCDH6並びにその
他の腫瘍マーカーの有無は、例えば、がん患者から腫瘍組織を採取し、ホルマリン固定パ
ラフィン包埋された検体(FFPE)を、免疫組織化学(IHC)法や、フローサイトメ
ーター、western blot法等による遺伝子産物(蛋白質)レベルでの検査、又
は、in situ ハイブリダイゼーション法(ISH)や定量的PCR法(q-PC
R)、マイクロアレイ解析等による遺伝子の転写レベルでの検査により確認することがで
き、あるいは、がん患者から無細胞血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を採取し、次世代
シークエンス(NGS)等の方法を用いた検査により確認することもできる。
【0168】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、哺乳動物に対して好適に使用することができるが
、より好適にはヒトに対して使用することができる。
【0169】
本発明の医薬組成物及び治療方法の抗腫瘍効果は、例えば、がん細胞を被検動物に移植
したモデルを作成し、本発明の医薬組成物及び治療方法を施すことによる腫瘍体積の減少
や延命効果を測定することにより確認することができる。そして、本発明で使用される抗
体-薬物コンジュゲート及びチューブリン阻害剤それぞれの単独投与での抗腫瘍効果と比
較することにより、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲート及びチューブリン阻害
剤の併用効果を確認することができる。
【0170】
また、本発明の医薬組成物及び治療方法の抗腫瘍効果は、臨床試験において、Resp
onse Evaluation Criteria in Solid Tumors
(RECIST)評価法、WHO評価法、Macdonald評価法、体重測定、及びそ
の他の手法により確認することができ、完全奏効(Complete response
;CR)、部分奏効(Partial response;PR)、進行(Progre
ssive disease;PD)、奏効率(Objective Response
Rate;ORR)、奏効期間(Duration of response;DoR
)、無憎悪生存期間(Progression-Free Survival;PFS)
、全生存期間(Overall Survival;OS)等の指標により判定すること
ができる。
【0171】
さらに、本発明の医薬組成物及び治療方法の併用効果は、薬物感受性因子及び/又は薬
物耐性因子の発現量の変動から判定することもできる。例えば、被検体に、本発明で使用
される抗体-薬物コンジュゲート及びチューブリン阻害剤それぞれの単独投与を行った場
合、併用投与を行った場合、又は未投与の場合(コントロール)での薬物感受性因子及び
/又は薬物耐性因子の発現量を比較する。そして、本発明で使用される抗体-薬物コンジ
ュゲートの投与により生じる薬物感受性因子の発現低下を、チューブリン阻害剤が抑制す
ることが確認できれば、抗体-薬物コンジュゲートとチューブリン阻害剤の併用効果があ
ると判定することができる。このような薬物感受性因子としては、例えばSLFN11を
挙げることができる。SLFN11は、トポイソメラーゼI阻害剤の感受性因子であるこ
とが知られている(Zoppoli G. et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2012;109(39): 150
30-5)。あるいは、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートの投与により生じる薬
物耐性因子の発現上昇を、チューブリン阻害剤が抑制することが確認できれば、抗体-薬
物コンジュゲートとチューブリン阻害剤の併用効果があると判定することができる。この
ような薬物耐性因子としては、例えばABCG2を挙げることができる。ABCG2は、
本発明に係る抗体-薬物コンジュゲートから遊離される薬物の耐性因子(トランスポータ
ー)であることが知られている(Nagai Y. et al., Xenobiotica. 2019;49(9):1086-96)
。なお、薬物感受性因子及び/又は薬物耐性因子は、遺伝子(RNA等)レベルでの発現
量を比較することができ、また、タンパク質レベルでの発現量を比較することもできる。
【0172】
上述の方法により、本発明の医薬組成物及び治療方法の抗腫瘍効果について、既存のが
ん治療用医薬組成物及び治療方法に対する優位性を確認することができる。
【0173】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、がん細胞の成長を遅らせ、増殖を抑え、さらには
がん細胞を破壊することができる。これらの作用によって、がん患者において、がんによ
る症状からの解放や、QOLの改善を達成でき、がん患者の生命を保って治療効果が達成
される。がん細胞の破壊には至らない場合であっても、がん細胞の増殖の抑制やコントロ
ールによってがん患者においてより高いQOLを達成しつつより長期の生存を達成させる
ことができる。
【0174】
本発明の医薬組成物は、患者に対しては全身療法として適用する他、がん組織に局所的
に適用して治療効果を期待することができる。
【0175】
本発明の医薬組成物は、1種以上の薬学的に適合性の成分を含み投与され得る。薬学的
に適合性の成分は、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲート及びチューブリン阻害
剤の投与量や投与濃度等に応じて、この分野において通常使用される製剤添加物その他か
ら適宜選択して適用することができる。例えば、本発明で使用される抗体-薬物コンジュ
ゲートは、ヒスチジン緩衝剤等の緩衝剤、スクロース又はトレハロース等の賦形剤、並び
にポリソルベート80又は20等の界面活性剤を含む医薬組成物として投与され得る。本
発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、好適には、注射剤とし
て使用することができ、より好適には、水性注射剤又は凍結乾燥注射剤として使用するこ
とができ、更により好適には、凍結乾燥注射剤として使用することができる。
【0176】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物が水性注射剤である場
合、好適には、適切な希釈液で希釈した後、静脈内に点滴投与することができる。希釈液
としては、ブドウ糖溶液や、生理食塩液、等を挙げることができ、好適には、ブドウ糖溶
液を挙げることができ、より好適には5%ブドウ糖溶液を挙げることができる。
【0177】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物が凍結乾燥注射剤であ
る場合、好適には、注射用水により溶解した後、必要量を適切な希釈液で希釈した後、静
脈内に点滴投与することができる。希釈液としては、ブドウ糖溶液や、生理食塩液、等を
挙げることができ、好適には、ブドウ糖溶液を挙げることができ、より好適には5%ブド
ウ糖溶液を挙げることができる。
【0178】
本発明の医薬組成物を投与するために使用され得る導入経路としては、例えば、静脈内
、皮内、皮下、筋肉内、及び腹腔内の経路を挙げることができ、好適には、静脈内の経路
を挙げることができる。
【0179】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートは、ヒトに対して、1~180日間に1
回の間隔で投与することができ、好適には、1週、2週、3週、又は4週に1回の間隔で
投与することができ、さらにより好適には、3週に1回の間隔で投与することができる。
また、本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートは、1回あたり約0.001~10
0mg/kgの投与量で投与することができ、好適には、1回あたり0.8~12.4m
g/kgの投与量で投与することができる。本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲー
トが抗ER2抗体-薬物コンジュゲートである場合、好適には、1回あたり、0.8mg
/kg、1.6mg/kg、3.2mg/kg、5.4mg/kg、6.4mg/kg、
7.4mg/kg、又は8mg/kgの投与量を3週に1回の間隔で投与することができ
る。本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートが抗HER3抗体-薬物コンジュゲー
トである場合、好適には、1回あたり、1.6mg/kg、3.2mg/kg、4.8m
g/kg、5.6mg/kg、6.4mg/kg、8.0mg/kg、9.6mg/kg
、又は12.8mg/kgの投与量を3週に1回の間隔で投与することができる。本発明
で使用される抗体-薬物コンジュゲートが抗TROP2抗体-薬物コンジュゲートである
場合、好適には、1回あたり、0.27mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/k
g、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6.0mg/kg、又は8.0mg/kgの
投与量を3週に1回の間隔で投与することができる。
【0180】
本発明に係るチューブリン阻害剤は、ヒトに対して、1~180日間に1回の間隔で投
与することができ、好適には、1週、2週、3週、又は4週に1回の間隔で投与すること
ができる。また、本発明に係るチューブリン阻害剤は、1回あたり約0.001~100
mg/kgの投与量で投与することができる。本発明に係るチューブリン阻害剤が、パク
リタキセルである場合、好適には、1回あたり100、125、135、175、又は2
60mg/m(体表面積)の投与量を1週間又は3週間に1回の間隔で静脈内投与(点
滴静注)することができる(1週間に1回の間隔で投与する場合は、3週連続で投与した
後、4週目は休薬する)。本発明に係るチューブリン阻害剤が、エリブリンメシル酸塩で
ある場合、好適には、1回あたり1.4mg/m(体表面積)の投与量を1週間に1回
の間隔で静脈内投与することができる(2週連続で投与した後、3週目は休薬する)。
【0181】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、本発明に係る抗体-薬物コンジュゲート及びチュ
ーブリン阻害剤以外のがん治療剤を更に含んでいてもよい。本発明の医薬組成物及び治療
方法は、他のがん治療剤と併用して投与することもでき、これによって抗腫瘍効果を増強
させることができる。この様な目的で使用される他のがん治療剤は、本発明の医薬組成物
と同時に、別々に、或は連続して個体に投与されてもよいし、それぞれの投与間隔を変え
て投与されてもよい。この様ながん治療剤としては、抗腫瘍活性を有する薬剤であれば限
定されることはないが、例えば、イリノテカン(Irinotecan、CPT-11)
、シスプラチン(Cisplatin)、カルボプラチン(Carboplatin)、
オキサリプラチン(Oxaliplatin)、フルオロウラシル(Fluoroura
cil、5-FU)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、カペシタビン(Cap
ecitabine)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、エピルビシン(E
pirubicin)、シクロフォスファミド(Cyclophosphamide)、
マイトマイシンC(Mitomycin C)、テガフール(Tegafur)・ギメラ
シル(Gimeracil)・オテラシル(Oteracil)配合剤、セツキシマブ(
Cetuximab)、パニツムマブ(Panitumumab)、ベバシズマブ(Be
vacizumab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、レゴラフェニブ(R
egorafenib)、トリフルリジン(Trifluridine)・チピラシル(
Tipiracil)配合剤、ゲフィチニブ(Gefitinib)、エルロチニブ(E
rlotinib)、アファチニブ(Afatinib)、メトトレキサート(Meth
otrexate)、ペメトレキセド(Pemetrexed)、タモキシフェン(Ta
moxifen)、トレミフェン(Toremifene)、フルベストラント(Ful
vestrant)、リュープロレリン(Leuprorelin)、ゴセレリン(Go
serelin)、レトロゾール(Letrozole)、アナストロゾール(Anas
trozole)、プロゲステロン製剤(Progesterone formulat
ion)、トラスツズマブ、ペルツズマブ、及びラパチニブからなる群より選択される少
なくとも一つを挙げることができる。
【0182】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、放射線療法と組み合わせて使用することもできる
。例えば、がん患者は、本発明の医薬組成物による治療を受ける前及び/又は後、あるい
は同時に放射線療法を受ける。
【0183】
本発明の医薬組成物及び治療方法は、外科手術と組み合わせた補助化学療法として使用
することもできる。本発明の医薬組成物は外科手術の前に腫瘍の大きさを減じさせる目的
で投与されてもよい(術前補助化学療法、又はネオアジュバント療法という)し、外科手
術後に、腫瘍の再発を防ぐ目的で投与されてもよい(術後補助化学療法、又はアジュバン
ト療法という)。
【実施例0184】
以下に示す例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。また、これらはいかなる意味においても限定的に解釈されるものではない。
【0185】
実施例1:抗体-薬物コンジュゲートの製造
国際公開第2015/115091号に記載の製造方法に従って、ヒト化抗HER2抗
体(配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及
び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含
んでなる抗体)を用いて、式
【0186】
【化22】
【0187】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗HER2抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体
-薬物コンジュゲート(以下、「抗体-薬物コンジュゲート(1)」と称する)を製造し
た。抗体-薬物コンジュゲート(1)のDARは7.7又は7.8である。
【0188】
実施例2:抗腫瘍試験(1)
マウス:5-6週齢の雌BALB/c ヌードマウス(日本チャールス・リバー社)を
実験に供した。
【0189】
測定・計算式:全ての研究において、腫瘍の長径及び短径を電子式デジタルキャリパー
(CD-15CX,Mitutoyo Corp.)で1週間に2回測定し、腫瘍体積(
mm)を計算した。計算式は以下に示す通り。
腫瘍体積(mm)=1/2×長径(mm)×[短径(mm)]
抗体-薬物コンジュゲート(1)はABS buffer (10mM酢酸緩衝液 (
pH5.5), 5%ソルビトール)で希釈し、10mL/kgの液量を尾静脈内投与し
た。Paclitaxelはクレモフォールとエタノール(1:1)で溶解し、生理食塩
水で希釈した後に10あるいは20mL/kgの液量を尾静脈内投与した。Eribul
in mesylateは生理食塩水で希釈し、10mL/kgの液量を尾静脈内投与し
た。
【0190】
川崎医科大学・紅林淳一先生(British Journal of Cancer,(1999)79(5/6).707-717)
より入手したヒト乳がん株であるKPL-4細胞を生理食塩水に懸濁し、1.5×10
cellsを雌ヌードマウスの右体側部に皮下移植し、移植17日後に無作為に群分けを
実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュゲート(1)(DAR:7.8)はDay0
に7.5mg/kgの用量で尾静脈内投与した。PaclitaxelはDay0とDa
y7に15mg/kgの用量で尾静脈投与し、Eribulin mesylateはD
ay0とDay4に0.8mg/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの単剤と併用投
与群、及びコントロール群として溶媒投与群を設定した。
【0191】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用結果を図9に示す。
Paclitaxel単剤投与の試験最終日における腫瘍増殖抑制率(Tumor Gr
owth Inhibition;TGI)は48%であった。抗体-薬物コンジュゲー
ト(1)の単剤投与によるTGIは87%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲート(
1)とPaclitaxelとの併用投与では、Paclitaxelの単剤投与よりも
有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.01(Dunnett‘s tes
tにより算出。以下同様。))、また、抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与より
も有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.05)、その併用効果は全例で腫
瘍の消失が認められる非常に強いものであった(TGI,100%)。なお、図中、横軸
は細胞移植後の日数、縦軸は腫瘍体積を示す。また、いずれの単剤及び併用投与群におい
て、体重減少等の特に目立った所見は認められなかった。なお、以下の抗腫瘍試験に関す
る評価例において、特に記載のない場合、本評価例で使用した手法で試験が実施されてい
る。
【0192】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateとの併用結果
図10に示す。Eribulin mesylateの単剤投与によるTGIは91%
であった。抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与によるTGIは87%であった。
一方、抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投
与では、Eribulin mesylateの単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑
制効果が認められ(P<0.05)、また、抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与
よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.05)、その併用効果は全例
で腫瘍の消失が認められる非常に強いものであった(TGI,100%)。なお、図中、
横軸は細胞移植後の日数、縦軸は腫瘍体積を示す。また、いずれの単剤及び併用投与群に
おいて、体重減少等の特に目立った所見は認められなかった。
【0193】
実施例3:抗腫瘍試験(2)
DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganism
en und Zellkulturen GmbH)から購入したヒト乳がん株JIMT-
1細胞を生理食塩水に懸濁して5×10cellsを雌ヌードマウスの右体側部に皮下
移植し、移植13日後に無作為に群分けを実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュゲ
ート(1)(DAR:7.7)はDay0に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。
PaclitaxelはDay0、Day7、及びDay14に15mg/kgの用量で
尾静脈投与した。Eribulin mesylateはDay0とDay3に0.8m
g/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの単剤と併用投与群、及びコントロール群と
して溶媒投与群を設定した。
【0194】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用結果を図11に示す
。Paclitaxelの単剤投与によるTGIは30%であった。抗体-薬物コンジュ
ゲート(1)の単剤投与によるTGIは73%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲー
ト(1)とPaclitaxelとの併用投与では、Paclitaxelの単剤投与よ
りも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.001)、また、抗体-薬物コ
ンジュゲート(1)の単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0
.001)、TGIは97%であった。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体
重減少等の特に目立った所見は認められなかった。
【0195】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateとの併用結果
図12に示す。Eribulin mesylateの単剤投与によるTGIは73%
であった。抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与によるTGIは73%であった。
一方、抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投
与では、Eribulin mesylateの単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑
制効果が認められ(P<0.05)、また、抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与
よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.001)、TGIは97%で
あった。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体重減少等の特に目立った所見は
認められなかった。
【0196】
実施例4:抗腫瘍試験(3)
ATCC(American Type Culture Collection)か
ら購入したヒト胃がん株NCI-N87細胞を、生理食塩水に懸濁し1×10cell
sを雌ヌードマウスの右体側部に皮下移植し、移植6日後に無作為に群分けを実施した(
Day0)。抗体-薬物コンジュゲート(1)(DAR:7.8)はDay0に1mg/
kgの用量で尾静脈内投与した。PaclitaxelはDay0とDay7に15mg
/kgの用量で尾静脈投与し、Eribulin mesylateはDay0とDay
4に0.4mg/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの単剤と併用投与群、及びコン
トロール群として溶媒投与群を設定した。
【0197】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用結果を図13に示す
。Paclitaxelの単剤投与によるTGIは50%であった。抗体-薬物コンジュ
ゲート(1)の単剤投与によるTGIは45%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲー
ト(1)とPaclitaxelとの併用投与では、Paclitaxelの単剤投与よ
りも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.001)、また、抗体-薬物コ
ンジュゲート(1)の単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0
.001)、TGIは82%であった。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体
重減少等の特に目立った所見は認められなかった。
【0198】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateとの併用結果
図14に示す。Eribulin mesylateの単剤投与によるTGIは64%
であった。抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与によるTGIは45%であった。
一方、抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投
与では、Eribulin mesylateの単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑
制効果が認められ(P<0.01)、また、抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与
よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.001)、TGIは77%で
あった。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体重減少等の特に目立った所見は
認められなかった。
【0199】
実施例5:抗腫瘍試験(4)
ATCCから購入したヒト乳がん株MDA-MB-453細胞をマトリゲル基底膜マト
リックス(マトリゲル)に懸濁して1×10cellsを雌ヌードマウスの右体側部に
皮下移植し、移植7日後に無作為に群分けを実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュ
ゲート(1)(DAR:7.8)はDay0に0.5mg/kgの用量で尾静脈内投与し
た。PaclitaxelはDay0とDay7に15mg/kgの用量で尾静脈投与し
た。それぞれの単剤と併用投与群、及びコントロール群として溶媒投与群を設定した。
【0200】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用結果を図15に示す
。Paclitaxelの単剤投与によるTGIは96%であった。抗体-薬物コンジュ
ゲート(1)の単剤投与によるTGIは75%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲー
ト(1)とPaclitaxelとの併用投与では、抗体-薬物コンジュゲート(1)の
単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.01)、TGIは1
00%であった。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体重減少等の特に目立っ
た所見は認められなかった。
【0201】
実施例6:抗腫瘍試験(5)
ATCCから購入したヒト胃がん株SNU-1細胞をマトリゲルに懸濁して1×10
cellsを雌ヌードマウスの右体側部に皮下移植し、移植28日後に無作為に群分けを
実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュゲート(1)(DAR:7.8)はDay0
に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。PaclitaxelはDay0とDay
7に15mg/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの単剤と併用投与群、及びコント
ロール群として溶媒投与群を設定した。
【0202】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用結果を図16に示す
。Paclitaxelの単剤投与によるTGIは58%であった。抗体-薬物コンジュ
ゲート(1)の単剤投与によるTGIは79%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲー
ト(1)とPaclitaxelとの併用投与では、Paclitaxelの単剤投与よ
りも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.01)、TGIは87%であっ
た。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体重減少等の特に目立った所見は認め
られなかった。
【0203】
実施例7:抗腫瘍試験(6)
ATCCから購入したヒト肺がん株NCI-H441細胞をマトリゲルに懸濁して5×
10cellsを雌ヌードマウスの右体側部に皮下移植し、移植7日後に無作為に群分
けを実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュゲート(1)(DAR:7.8)はDa
y0に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。PaclitaxelはDay0とD
ay7に15mg/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの単剤と併用投与群、及びコ
ントロール群として溶媒投与群を設定した。
【0204】
抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用結果を図17に示す
。Paclitaxelの単剤投与によるTGIは55%であった。抗体-薬物コンジュ
ゲート(1)の単剤投与によるTGIは92%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲー
ト(1)とPaclitaxelとの併用投与では、Paclitaxelの単剤投与よ
りも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.001)、また、抗体-薬物コ
ンジュゲート(1)の単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0
.01)、TGIは99%であった。いずれの単剤及び併用投与群において、体重減少等
の特に目立った所見は認められなかった。
【0205】
実施例8:抗体-薬物コンジュゲートの製造(2)
国際公開第2015/155998号に記載の製造方法に従って、抗HER3抗体(配
列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記載のアミノ酸配列からな
る軽鎖を含んでなる抗体)を用いて、式
【0206】
【化23】
【0207】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗HER3抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体
-薬物コンジュゲート(以下、「抗体-薬物コンジュゲート(2)」と称する)を製造し
た。抗体-薬物コンジュゲート(2)のDARは7.6である。
【0208】
実施例9:抗体-薬物コンジュゲートの製造(3)
国際公開第2018/212136号に記載の製造方法に従って、抗CDH6抗体(配
列番号11においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び
配列番号12においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を
含んでなる抗体)を用いて、式
【0209】
【化24】
【0210】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗CDH6抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体
-薬物コンジュゲート(以下、「抗体-薬物コンジュゲート(3)」と称する)を製造し
た。抗体-薬物コンジュゲート(3)のDARは7.8である。
【0211】
実施例10:抗腫瘍試験(7)
DSMZから購入したヒト乳がん株JIMT-1細胞を生理食塩水に懸濁して5×10
cellsを雌ヌードマウスの右体側部に皮下移植し、移植10日後に無作為に群分け
を実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュゲート(2)(DAR:7.6)はDay
0、Day7、及びDay14に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。Pacli
taxelはDay0とDay7に15mg/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの
単剤と併用投与群、及びコントロール群として溶媒投与群を設定した。
【0212】
抗体-薬物コンジュゲート(2)とPaclitaxelとの併用結果を図22に示す
。Paclitaxelの単剤投与によるTGIは36%であった。抗体-薬物コンジュ
ゲート(2)の単剤投与によるTGIは69%であった。一方、抗体-薬物コンジュゲー
ト(2)とPaclitaxelとの併用投与では、Paclitaxelの単剤投与よ
りも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0.001)、また、抗体-薬物コ
ンジュゲート(2)の単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められ(P<0
.001)、TGIは97%であった。いずれの単剤及び併用投与群において、体重減少
等の特に目立った所見は認められなかった。
【0213】
実施例11:抗腫瘍試験(8)
ATCCから購入したヒト卵巣がん株OV-90細胞を、マトリゲルに懸濁して2.5
×10cellsを雌ヌードマウスの右体側部に皮下移植し、移植15日後に無作為に
群分けを実施した(Day0)。抗体-薬物コンジュゲート(3)(DAR:7.8)は
Day0に10mg/kgの用量で尾静脈内投与した。PaclitaxelはDay0
、Day7、及びDay14に15mg/kgの用量で尾静脈投与した。それぞれの単剤
と併用投与群、及びコントロール群として溶媒投与群を設定した。
【0214】
抗体-薬物コンジュゲート(3)とPaclitaxelとの併用結果を図23に示す
。Day17におけるPaclitaxelの単剤投与によるTGIは80%、抗体-薬
物コンジュゲート(3)の単剤投与によるTGIは97%、抗体-薬物コンジュゲート(
3)とPaclitaxelとの併用投与によるTGIは99%であった。また、抗体-
薬物コンジュゲート(3)とPaclitaxelとの併用投与では、Day27におい
てPaclitaxelの単剤投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められた(
P<0.001)。さらに、Day38において抗体-薬物コンジュゲート(3)の単剤
投与よりも有意に優れた腫瘍増殖抑制効果が認められた(P<0.01(Student
‘s t-testにより算出。))。また、いずれの単剤及び併用投与群において、体
重減少等の特に目立った所見は認められなかった。
【0215】
実施例12:RNA発現解析
ヒト乳がん株JIMT-1細胞をヌードマウスに移植し、抗体-薬物コンジュゲート(
1)、Paclitaxel、あるいはEribulin mesylateそれぞれの
単独投与群、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxel、あるいは抗体-
薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投与群、及び、
Control群を設定する。薬剤投与前及び薬剤投与後の腫瘍を採材し、RNA発現解
析に用いる。腫瘍は重量測定後にRNAlater RNA Stabilizatio
n Reagent中で一晩インキュベーションし、RNAlater除去後に-80℃
で保管する。RNAはRNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてQIA
Cubeにより抽出し、得られたRNAから、NEBNext Poly(A)mRNA
Magnetic ModuleとNEBNext Ultra RNA Libra
ry Prep Kit for Illuminaを用いてライブラリを作製する。ラ
イブラリはIllmina NextSeq500/550 High Output
Kit v2.5を用いてIllmina NextSeq500または550シーケン
サーで解析し、ベースコールファイルを出力する。得られたベースコールファイルは、b
cl2fastq ver.2.20.0.422を使用してfastqファイルに変換
する。fastqファイルのリードは、ヒト参照ゲノムGRCh37アセンブリに基づく
転写物のレファレンス配列に対して、STAR ver.2.5.3a15を用いてアラ
イメントされ、各遺伝子のリード数はRSEM ver.1.3.016によって推定す
る。遺伝子発現レベルは、EBSeq ver.1.22.0を使用して、サンプル間中
央値比正規化法を用いたnormalized Transcripts Per Ki
lobase Million(TPM)値として示す。
【0216】
Control群の腫瘍におけるSLFN11遺伝子のTPM平均値よりも、抗体-薬
物コンジュゲート(1)単剤投与後におけるSLFN11遺伝子のTPM平均値のほうが
低い値を示すことを確認する。また、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclita
xelの併用投与後あるいは抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin me
sylateの併用投与後におけるSLFN11遺伝子のTPM平均値のほうが、抗体-
薬物コンジュゲート(1)単剤投与後におけるSLFN11遺伝子のTPM平均値よりも
高い値を示すことを確認する。
【0217】
さらに、Control群の腫瘍におけるABCG2遺伝子のTPM平均値よりも、抗
体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与後におけるABCG2遺伝子のTPM平均値の
ほうが高い値を示すことを確認する。また、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPacl
itaxelの併用投与後あるいは抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin
mesylateの併用投与後におけるABCG2遺伝子のTPM平均値のほうが、抗
体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与後におけるABCG2遺伝子のTPM平均値よ
りも低い値を示すことを確認する。
【0218】
実施例13:タンパク質発現解析
ヒト乳がん株JIMT-1細胞をヌードマウスに移植し、抗体-薬物コンジュゲート(
1)、Paclitaxel、あるいはEribulin mesylateそれぞれの
単独投与群、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxel、あるいは抗体-
薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateの併用投与群、及び、
Control群を設定する。薬剤投与前及び薬剤投与後の腫瘍を採材し、タンパク質発
現解析に用いる。マウスより摘出した腫瘍はRIPAバッファー中にて破砕および溶解し
、遠心分離後の上清を腫瘍ライセートとして回収する。得られた腫瘍ライセート中のSL
FN11タンパク質発現およびβ-Actin発現を、シンプルウエスタンシステム(W
esもしくはPeggy Sue)を用いて検出し、Compass for SW v
er.4.0.0を用いてピークエリア値を算出する。各腫瘍ライセートのSLFN11
タンパク質発現レベル比を以下の式で計算する。
【0219】
SLFN11タンパク質発現レベル比=(各時点のSLFN11タンパク質のピークエ
リア値/各時点のβ-Actinのピークエリア値)/(Day0のSLFN11タンパ
ク質のピークエリア値/Day0のβ-Actinのピークエリア値)
抗体-薬物コンジュゲート(1)の単剤投与群におけるSLFN11タンパク質発現レ
ベルよりも、抗体-薬物コンジュゲート(1)とPaclitaxelとの併用投与群あ
るいは抗体-薬物コンジュゲート(1)とEribulin mesylateとの併用
投与群におけるSLFN11タンパク質発現レベルのほうが高い値を示すことを確認する
【配列表フリーテキスト】
【0220】
配列番号1:抗HER2抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号2:抗HER2抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号3:抗HER3抗体の重鎖のアミノ酸配列
配列番号4:抗HER3抗体の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号5:抗TROP2抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号6:抗TROP2抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号7:抗B7-H3抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号8:抗B7-H3抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号9:抗GPR20抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号10:抗GPR20抗体軽鎖のアミノ酸配列
配列番号11:抗CDH6抗体重鎖のアミノ酸配列
配列番号12:抗CDH6抗体軽鎖のアミノ酸配列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
2024178243000001.xml