(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017825
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240201BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65G47/90 Z
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120731
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太
【テーマコード(参考)】
3F022
3F072
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022EE09
3F022LL12
3F022LL14
3F022MM11
3F072AA06
3F072GD00
3F072KA10
3F072KD01
3F072KD07
3F072KD22
3F072KE04
(57)【要約】
【課題】物品搬送設備の搬送効率を向上させる。
【解決手段】物品搬送設備(1)は、走行レール(2)を走行し、物品(W)を搬送する天井搬送車(3)と、物品(W)を吊持して昇降可能な吊持部(41)を含み、天井搬送車(3)と分離して設置される移載機(4)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールを走行し、物品を搬送する天井搬送車と、
前記物品を吊持して昇降可能な吊持部を含み、前記天井搬送車と分離して設置される移載機と、
を備える物品搬送設備。
【請求項2】
前記吊持部が昇降する方向を上下方向とした場合、前記移載機は、前記走行レールよりも上方に設置され、前記走行レールよりも下方に設置される物品授受部との間で前記物品の受け渡しを行う請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記走行レールは、一対のレール部材を含み、
前記吊持部は、前記物品を吊持した状態で、前記一対のレール部材の間を通って昇降する請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記吊持部の下方に前記天井搬送車が停止する停止位置が設定され、
前記天井搬送車は、前記吊持部が前記物品授受部と前記物品の受け渡しを行う間、前記停止位置への侵入が制限される請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記走行レールは、前記上下方向に複数設置される請求項2から4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記吊持部は、前記上下方向に前記物品授受部と対向する位置に取り付けられる請求項2から4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記吊持部は、前記上下方向と直交する方向へ移動可能に構成される請求項2から4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
前記天井搬送車は、前記吊持部の下方で停止し、該天井搬送車に収容した前記物品が該吊持部によって吊持された後、走行を開始する請求項2から4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項9】
前記吊持部は、前記物品授受部から前記物品を受け取った後に上昇し、前記天井搬送車が該吊持部の下方に到着するまでの間、前記物品を吊持し続ける請求項2から4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項10】
前記移載機は、前記物品搬送設備が設置される設置空間の天井または側壁に設置される請求項1から4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井側に設置された走行レールに沿って物品を搬送する物品搬送設備が知られている。この種の物品搬送設備に関し、特許文献1には、物品を昇降移動させる移載機が天井搬送車に搭載され、床側に設置された装置ポート(処理装置)との間で物品を移載する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、移載機による物品の移載中、天井搬送車は所定の停止位置で停止している必要性がある。このため、物品の移載中は天井搬送車の走行を開始させることができず、搬送の効率化に限界があった。
【0005】
本発明の一態様は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであって、物品搬送設備の搬送効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る物品搬送設備は、走行レールを走行し、物品を搬送する天井搬送車と、前記物品を吊持して昇降可能な吊持部を含み、前記天井搬送車と分離して設置される移載機と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、物品搬送設備の搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る物品搬送設備を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図1に示される物品搬送設備の制御ブロックである。
【
図5】
図1に示される物品搬送設備の動作の一例を示す側面図である。
【
図6】
図1に示される吊持部が一対のレール部材の間を通って下降する状態を示す正面図である。
【
図7】
図1に示される物品搬送設備の他の動作の一例を示す側面図である。
【
図8】実施形態2に係る物品搬送設備を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図8に示される物品搬送設備の動作の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図7に基づいて説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る物品搬送設備の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0010】
(物品搬送設備1の概要)
先ず、
図1を参照して、本実施形態に係る物品搬送設備1の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る物品搬送設備1を模式的に示す側面図である。
図1に示すように、物品搬送設備1は、走行レール2と、天井搬送車(台車)3と、移載機4と、装置ポート5とを含む。物品Wを収容した天井搬送車3が、天井C側に設置された走行レール2に沿って走行することにより、物品Wを搬送する。移載機4は、天井Cに設置される。移載機4は、物品Wを吊持して昇降可能な吊持部41を含み、天井搬送車3と床F側に設置された装置ポート(物品授受部)5との間で物品Wを移載する。
【0011】
物品搬送設備1では、従来のように移載機が天井搬送車に搭載されておらず、天井搬送車3と移載機4とが互いに分離して設置される。このため、物品Wの搬送を天井搬送車3が担い、物品Wの移載を移載機4が担うので、物品Wの搬送と物品Wの移載とを並行して行うことができる。従って、移載機4による物品Wの移載中であっても、例えば次の作業のために天井搬送車3の走行を開始できるため、物品Wの搬送効率を向上させることができる。
【0012】
なお、以下の説明では、走行レール2が沿う方向を搬送方向Xと称し、平面視で搬送方向Xに対して直交する方向を幅方向Yと称し、搬送方向Xと幅方向Yとに直交する方向、つまり吊持部41が昇降する方向を上下方向Zと称する場合がある。
【0013】
(物品搬送設備1の構成)
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る物品搬送設備1の構成を説明する。
図2は、
図1に示されるA-A線矢視断面図であり、
図3は、
図1に示されるB-B線矢視断面図である。
【0014】
図1に示すように、走行レール2は、天井搬送車3の移動経路に設置され、支持具6によって例えば天井C側から吊り下げられる。本実施形態では、走行レール2は、上下方向Zに複数設置される。図示の例では、2つの走行レール2が上下2段に設置される。このように、走行レール2を上下方向Zに複数段設置することにより、物品Wの搬送効率を向上させることができる。また、物品搬送設備1では、天井搬送車3と移載機4とが互いに分離して設置されるため、従来のような移載機を搭載した天井搬送車に比べて、天井搬送車3の高さ(上下方向Zの幅)が抑えられる。このため、上下方向Xに設置される走行レール2の間隔を小さくすることが可能となり、走行レール2の設置スペースを小さくすることができる。
【0015】
図2に示すように、走行レール2は、幅方向Yに対向する一対のレール部材21を含む。一対のレール部材21は、上面部21aと、側部21bと、下面部21cとを有する。上面部21aには、天井Cと略平行に配置され、支持具6が接続される。側部21bは、幅方向Yにおける上面部21aの両端から垂下するように設けられる側壁である。下面部21cは、側部21bの下端から側部21bの内壁面側へ延在し、天井搬送車3に取り付けられる車輪34が転動する軌道面を形成する。
【0016】
図2に示すように、移載機4の下方の位置に設置される一対のレール部材21は、幅方向Yに分離されている。これにより、後述するように、物品Wを吊持した状態で一対のレール部材21の間を通って吊持部41が昇降可能になっている。一方、
図3に示すように、移載機4の下方を除く位置に設置される一対のレール部材21は、その一部が連結されていてもよい。図示の例では、一対のレール部材21のうち、下面部21c同士が連結板22によって連結されている。このように、一対のレール部材21のうち、その間を吊持部41が昇降しない部分を連結することにより、走行レール2を補強して、強度を高めることができる。
【0017】
天井搬送車3は、収容部31と、動力部32と、伝動軸33と、車輪34とを含む。収容部31は、上方が開口した筐体であり、物品Wを収容する。動力部32は、車輪34を駆動する動力発生源であり、モータなどにより構成される。動力部32は、収容部31の下部に取り付けられる。動力部32は、2つの伝動軸33へ動力を伝達する。動力部32は、その回転方向を正回転および逆回転に切り替え可能になっている。このため、動力部32の回転方向を切り替えることにより、天井搬送車3は搬送方向Xの両側へ走行することができる。天井搬送車3には4つの車輪34が取り付けられる。車輪34は、各伝動軸33の両端に固定され、動力部32の動力が伝えられることによって回転し、走行レール2の下面部21c上を転動する。
【0018】
移載機4は、天井Cに設置され、天井搬送車3と装置ポート5との間で物品Wを移載する。具体的には、移載機4は、走行レール2よりも上方に設置され、該走行レール2よりも下方に設置される物品授受部との間で物品Wの受け渡しを行う。
【0019】
移載機4は、物品Wを吊持(保持)する吊持部41と、吊持部41を上下方向Zへ昇降させる駆動部42と、駆動部42が取り付けられる基部43とを含む。本実施形態では、移載機4は、搬送方向Xに沿って並ぶ3つの吊持部41を備える。これら3つの吊持部41は、基部43に取り付けられた3つの駆動部42に各々が接続される。吊持部41と駆動部42とはワイヤ44(
図6参照)によって接続されており、各駆動部42を制御することにより、上下方向Xに沿って各吊持部41が個別に移動(昇降)できるようになっている。基部43が天井Cに固定されることで、移載機4が天井Cに設置される。
【0020】
なお、移載機4は、走行レール2よりも上方に設置されていればよい。このため、移載機4は、物品搬送設備1が設置される設置空間の天井Cまたは天井C近傍の側壁に設置されていてもよい。
【0021】
装置ポート5は、床Fに設置され、吊持部41との間で物品Wの受け渡しを行う。装置ポート5は、物品Wに対する処理を実行する処理装置(図示省略)に接続される。装置ポート5は、物品Wを載置する載置部51を含む。図示の例では、3つの吊持部41に対応した3つの載置部51が搬送方向Xに沿って設置される。3つの吊持部41と3つの載置部51とは、上下方向Zに各々が対向するように位置決めされる。
【0022】
(物品搬送設備1の制御)
次に、
図4~
図7を参照して、物品搬送設備1の制御の一例について説明する。
図4は、物品搬送設備1の制御ブロックである。
図4に示すように、物品搬送設備1は、天井搬送車3および移載機4を制御する制御装置7をさらに備える。制御装置7は、各種構成の動作を統括的に制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。
【0023】
先ず、
図5に基づいて、天井搬送車3から装置ポート5へ物品Wを移載する移載制御について説明する。
図5は、天井搬送車3から装置ポート5へ物品Wを移載する動作の一例を示す側面図である。制御装置7は、上位のコントローラ(図示省略)からの制御情報に基づいて、天井搬送車3および移載機4を制御し、以下の動作を実行する。なお、天井搬送車3は装置ポート5と通信可能になっており、移載時に装置ポート5の動作と連携して天井搬送車3および移載機4が動作する。
【0024】
図5の5001に示すように、制御装置7は、物品Wを収容した天井搬送車3を制御して、移載機4の下方に設定された停止位置Pに停止させる。停止位置Pは、待機位置(例えば吊持部41が最も上昇した位置)にある吊持部41の下方に、吊持部41毎に設定される。図示の例では、3つの吊持部41に対応した3つの停止位置Pが、上下2段に設置された走行レール2の各々に設定される。
【0025】
次に、
図5の5002に示すように、制御装置7は、駆動部42を制御して、停止位置Pで停止した天井搬送車3の上方に位置する吊持部41を待機位置から下降させる。このとき、上段側の走行レール2の停止位置Pに天井搬送車3が停止している場合と、下段側の走行レール2の停止位置Pに天井搬送車3が停止している場合とに応じて、制御装置7は、吊持部41の下降量を調整する。これにより、制御装置7は、物品Wの直上で吊持部41を停止させる。そして、制御装置7は、吊持部41を制御して、吊持部41によって物品Wの上部を保持する。
【0026】
次に、
図5の5003に示すように、制御装置7は、駆動部42を制御して、物品Wを保持した吊持部41を上昇させる。これにより、吊持部41によって物品Wが吊持され、天井搬送車3から物品Wが取り出される。そして、制御装置7は、物品Wが天井搬送車3の走行に干渉しない高さ位置まで吊持部41が上昇したとき、つまり物品Wの下端が天井搬送車3の上端よりも上方に位置したとき、天井搬送車3を制御して、天井搬送車3を停止位置Pから移動させる。このとき、制御装置7は、次の作業のために天井搬送車3の走行を開始させてもよい。
【0027】
このように、天井搬送車3は、吊持部41の下方の停止位置Pで停止し、物品Wが吊持部41によって吊持された後、走行を開始する。これにより、吊持部41による物品Wの移載中であっても、天井搬送車3の走行を開始することが可能になるため、物品Wの搬送効率を向上させることができる。
【0028】
次に、
図5の5004に示すように、制御装置7は、駆動部42を制御して、物品Wを保持した吊持部41を下降させる。このとき、吊持部41は、物品Wを吊持した状態で、一対のレール部材21の間を通って下降する。
【0029】
図6は、吊持部41が一対のレール部材21の間を通って下降する状態を示す正面図である。
図6に示すように、幅方向Yにおいて、一対のレール部材21の間隔D1は、吊持部41の幅D2および物品Wの幅D3よりも大きくなっている。このため、吊持部41は、物品Wを吊持した状態で、一対のレール部材21の間を通って昇降することができる。これにより、移載機4と装置ポート5との間に走行レール2を設置したとしても、移載機4と装置ポート5との間で物品Wの受け渡しを行うことができる。
【0030】
吊持部41が装置ポート5と物品Wの受け渡しを行う間、天井搬送車3は、該吊持部41の下方に設定された停止位置Pへの侵入が制限される。これにより、吊持部41またはワイヤ44に天井搬送車3が衝突することを防ぐことができる。
【0031】
そして、制御装置7は、装置ポート5の載置部51の直上で吊持部41を停止させ、物品Wを載置部51に載置する。制御装置7は、物品Wを載置部51に載置した後、吊持部41を待機位置まで上昇させて、天井搬送車3から装置ポート5への物品Wの移載制御を終了する。
【0032】
次に、
図7に基づいて、装置ポート5から天井搬送車3へ物品Wを移載する移載制御について説明する。
図7は、装置ポート5から天井搬送車3へ物品Wを移載する動作の一例を示す側面図である。
【0033】
図7の7001に示すように、装置ポート5の載置部51に物品Wが載置された場合、制御装置7は、駆動部42を制御して、物品Wが載置された載置部51の上方に位置する吊持部41を待機位置から下降させる。
【0034】
次に、
図7の7002に示すように、制御装置7は、吊持部41を制御して吊持部41によって物品Wの上部を保持した後、駆動部42を制御して物品Wを保持した吊持部41を上昇させる。そして、制御装置7は、物品Wが天井搬送車3の走行に干渉しない高さ位置まで吊持部41が上昇したとき、天井搬送車3を制御して、物品Wを吊持した吊持部41の下方に位置する停止位置Pに天井搬送車3を停止させる。
【0035】
このように、吊持部41は、装置ポート5から物品Wを受け取った後に上昇し、天井搬送車3が吊持部41の下方に到着するまでの間、物品Wを吊持し続ける。これにより、吊持部41が装置ポート5から物品Wを受け取る動作中、天井搬送車3によって例えば別の物品Wを搬送することが可能になるため、物品の搬送効率を向上させることができる。
【0036】
次に、
図7の7003に示すように、制御装置7は、駆動部42を制御して、物品Wを保持した吊持部41を下降させて、物品Wを天井搬送車3に収容する。
【0037】
次に、
図7の7004に示すように、制御装置7は、駆動部42を制御して、吊持部41を上昇させる。そして、制御装置7は、天井搬送車3の走行に干渉しない高さ位置まで吊持部41が上昇したとき、天井搬送車3を制御し、物品Wの次の搬送先へ向けて天井搬送車3の走行を開始させる。そして、制御装置7は、吊持部41を待機位置まで上昇させて、装置ポート5から天井搬送車3への物品Wの移載制御を終了する。
【0038】
このように、物品搬送設備1では、吊持部41が動作中であっても、天井搬送車3が次の物品Wの搬送先へ向けて走行を開始することが可能になる。従って、物品Wの搬送と物品Wの移載とを並行して行うことができるため、物品Wの搬送効率を向上させることができる。
【0039】
(物品搬送設備1の効果)
以上のように、本実施形態に係る物品搬送設備1は、走行レール2を走行し、物品Wを搬送する天井搬送車3と、物品Wを吊持して昇降可能な吊持部41を含み、天井搬送車3と分離して設置される移載機4と、を備える。
【0040】
物品搬送設備1では、天井搬送車3と移載機4とが分離されているため、移載機4による物品Wの移載中であっても、天井搬送車3の走行を開始することが可能になる。従って、物品Wの搬送効率を向上させた物品搬送設備1を実現することができる。
【0041】
また、物品搬送設備1では、従来のような移載機を搭載した天井搬送車に比べて、天井搬送車3を軽量化することができる。従って、天井搬送車3の走行速度を高く設定する、または、天井搬送車3の消費エネルギーを低減することができる。
【0042】
さらに、物品搬送設備1では、移載機4と装置ポート5とが対となって1対1の関係で設置される。このため、設置時に移載機4と装置ポート5とを最適な位置に設置すれば、それ以降に天井搬送車3を増やした場合であっても、装置ポート5の位置および高さを移載機4に学習させる作業が不要となる。また、例えば複数対の移載機4と装置ポート5とを設置した場合、装置ポート5毎に移載機4を最適な位置に位置決めして設置することができるため、移載精度を向上させ易くなる。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図8および
図9に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0044】
(物品搬送設備10の構成)
先ず、
図8を参照して、本実施形態に係る物品搬送設備10の構成を説明する。
図8は、本実施形態に係る物品搬送設備10を模式的に示す側面図である。
図8に示すように、物品搬送設備10は、吊持部41が搬送方向Xに移動可能になった移載機40を備える。物品搬送設備10は、移載機40を備える点を除いて、上述した物品搬送設備1と同じ構成である。
【0045】
移載機40は、物品Wを吊持(保持)する吊持部41と、吊持部41を搬送方向Xおよび上下方向Zへ移動させる駆動部420と、駆動部420が取り付けられる基部43とを含む。本実施形態では、移載機40は、1つの吊持部41を備える。吊持部41が接続される駆動部420は、搬送方向Xに沿って移動可能なように基部43に取り付けられる。このため、駆動部420を制御することにより、搬送方向Xに沿って吊持部41を移動させる共に、上下方向Zに沿って吊持部41を昇降させることができる。これにより、搬送方向Xに沿って並ぶ複数の停止位置P(または複数の載置部51)にある物品Wを1つの吊持部41によって移載することがきるため、吊持部41の設置数を減らすことができる。
【0046】
なお、吊持部41は、搬送方向Xだけでなく幅方向Yに沿って移動可能になっていてもよい。これにより、例えば搬送方向Xおよび幅方向Yに沿って装置ポート5(載置部51)が複数設置された場合であっても、各装置ポート5の上方に吊持部41を移動させることにより、移載機40と装置ポート5との間で物品Wの受け渡しを行うことができる。
【0047】
(物品搬送設備10の制御)
次に、
図9を参照して、物品搬送設備10の制御の一例について説明する。
図9は、天井搬送車3から装置ポート5へ物品Wを移載する動作の一例を示す側面図である。
【0048】
図9の9001に示すように、制御装置7は、物品Wを収容した天井搬送車3を制御して移載機40の下方に設定された停止位置Pに停止させると共に、駆動部420を制御して該停止位置Pの上方に吊持部41を移動させる。
【0049】
次に、
図9の9002に示すように、制御装置7は、駆動部420を制御して、吊持部41を待機位置から下降させる。そして、制御装置7は、吊持部41を制御して、吊持部41によって物品Wの上部を保持する。
【0050】
次に、
図9の9003に示すように、制御装置7は、駆動部420を制御して、物品Wを保持した吊持部41を上昇させる。これにより、吊持部41によって物品Wが吊持され、天井搬送車3から物品Wが取り出される。そして、制御装置7は、物品Wが天井搬送車3の走行に干渉しない高さ位置まで吊持部41が上昇したとき、天井搬送車3を制御して、天井搬送車3を停止位置Pから移動させる。このように、吊持部41による物品Wの移載中であっても、天井搬送車3の走行を開始することが可能になるため、物品Wの搬送効率を向上させることができる。
【0051】
次に、
図9の9004に示すように、制御装置7は、駆動部420を制御して、物品Wを保持した吊持部41を下降させ、物品Wを載置部51に載置する。制御装置7は、物品Wを載置部51に載置した後、吊持部41を待機位置まで上昇させて、天井搬送車3から装置ポート5への物品Wの移載制御を終了する。
【0052】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る物品搬送設備は、走行レールを走行し、物品を搬送する天井搬送車と、前記物品を吊持して昇降可能な吊持部を含み、前記天井搬送車と分離して設置される移載機と、を備える。
【0053】
前記構成では、従来のように移載機が天井搬送車に搭載されておらず、天井搬送車と移載機とが互いに分離して設置される。このため、物品の搬送を天井搬送車が担い、物品の移載を移載機が担うので、物品の搬送と物品の移載とを別々に行うことができる。従って、前記構成によれば、移載機による物品の移載中であっても、例えば次の作業のために天井搬送車の走行を開始できるため、物品の搬送効率を向上させることができる。
【0054】
本発明の態様2に係る物品搬送設備では、上記態様1において、前記吊持部が昇降する方向を上下方向とした場合、前記移載機は、前記走行レールよりも上方に設置され、前記走行レールよりも下方に設置される物品授受部(装置ポート5)との間で前記物品の受け渡しを行ってもよい。
【0055】
前記構成では、上方から移載機、走行レール、物品授受部の順で設置される。従って、前記構成によれば、吊持部は、走行レールを走行する天井搬送車の上方から物品を吊持して、物品授受部との間で物品の受け渡しを行うことができる。
【0056】
本発明の態様3に係る物品搬送設備では、上記態様1または2において、前記走行レールは、一対のレール部材を含み、前記吊持部は、前記物品を吊持した状態で、前記一対のレール部材の間を通って昇降してもよい。
【0057】
前記構成によれば、移載機と物品授受部との間に走行レールを設置したとしても、移載機と物品授受部との間で物品の受け渡しを行うことができる。
【0058】
本発明の態様4に係る物品搬送設備では、上記態様3において、前記吊持部の下方に前記天井搬送車が停止する停止位置が設定され、前記天井搬送車は、前記吊持部が前記物品授受部と前記物品の受け渡しを行う間、前記停止位置への侵入が制限されもよい。
【0059】
前記構成によれば、吊持部またはが吊持部を吊下するワイヤに天井搬送車が衝突することを防ぐことができる。
【0060】
本発明の態様5に係る物品搬送設備では、上記態様2から4において、前記走行レールは、前記上下方向に複数設置されていてもよい。
【0061】
前記構成によれば、物品の搬送効率を向上させることができる。また、上記構成では、天井搬送車と移載機とが互いに分離して設置されるため、従来のような移載機を搭載した天井搬送車に比べて、天井搬送車の高さ(上下方向の幅)が抑えられる。このため、上下方向に複数設置される走行レールの間隔を小さくすることが可能となり、走行レールの設置スペースを小さくすることができる。
【0062】
本発明の態様6に係る物品搬送設備では、上記態様2から5において、前記吊持部は、前記上下方向に前記物品授受部と対向する位置に取り付けられていてもよい。
【0063】
前記構成によれば、吊持部を昇降させることにより、移載機と物品授受部との間で物品の受け渡しを行うことができる。
【0064】
本発明の態様7に係る物品搬送設備では、上記態様2から5において、前記吊持部は、前記上下方向と直交する方向へ移動可能に構成されていてもよい。
【0065】
前記構成によれば、例えば複数の物品授受部を設置した場合であっても、各物品授受部の上方に吊持部を移動させることにより、移載機と物品授受部との間で物品の受け渡しを行うことができる。
【0066】
本発明の態様8に係る物品搬送設備では、上記態様2から7において、前記天井搬送車は、前記移載機の下方で停止し、該天井搬送車に収容した前記物品が前記吊持部によって吊持された後、走行を開始する。
【0067】
前記構成によれば、吊持部による物品の移載中であっても、天井搬送車の走行を開始できるため、物品の搬送効率を向上させることができる。
【0068】
本発明の態様9に係る物品搬送設備では、上記態様2から8において、前記吊持部は、前記物品授受部から前記物品を受け取った後に上昇し、前記天井搬送車が該吊持部の下方に到着するまでの間、前記物品を吊持し続けてもよい。
【0069】
前記構成では、吊持部が物品授受部から物品を受け取る動作中、天井搬送車によって例えば別の物品を搬送することが可能になる。従って、前記構成によれば、物品の搬送と物品の移載とを並行して行うことができるため、物品の搬送効率を向上させることができる。
【0070】
本発明の態様10に係る物品搬送設備では、上記態様1から9において、前記移載機は、前記物品搬送設備が設置される設置空間の天井または側壁に設置されていてもよい。
【0071】
移載機は天井搬送車と分離して設置されていればよく、例えば設置空間の天井または該天井近傍の側壁に移載機を設置することができる。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1,10 物品搬送設備
2 走行レール
3 天井搬送車
4,40 移載機
5 装置ポート(物品授受部)
21 レール部材
41 吊持部
P 停止位置
Z 上下方向