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特開2024-178268顕微鏡用試料ホルダのための装置、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178268
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】顕微鏡用試料ホルダのための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20241217BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20241217BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B21/34
G02B21/06
G01N21/64 E
G01N21/64 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024160449
(22)【出願日】2024-09-17
(62)【分割の表示】P 2021547134の分割
【原出願日】2020-02-12
(31)【優先権主張番号】62/804,606
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アダム ケー. グレーサー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ティー. シー. リウ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス レーダー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】顕微鏡の光学装置に干渉することなく、種々のタイプの試料や試料ホルダに対応する顕微鏡があると便利な場合がある。
【解決手段】モジュール式試料ホルダのための装置、システム及び方法である。顕微鏡は、照明パスに沿って照明光を試料の方に向け、集光パスに沿って試料からの光を集光し得る。照明パスに沿った光は、試料に到達するために、浸漬流体と試料ホルダの材料とを通過し得る。集光パスに沿った光は、試料ホルダの材料と浸漬流体とを通過し得る。試料ホルダは、照明パスの光軸に対して概ね垂直である、照明パスに沿った第1の光学面を有し得る。試料ホルダは、集光パスの光軸に対して概ね垂直である、集光パスに沿った第2の光学面を有し得る。試料ホルダは、モジュール式であり得る。試料ホルダは、密閉チャネル内に試料を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明パスに沿って照明光を試料に向けるように構成された照明光学装置と、
集光パスに沿って前記試料からの光を受け取るように構成された集光光学装置と、
浸漬媒体を保持するように構成された浸漬チャンバと、
前記試料を支持するように構成された試料ホルダと、
を備える装置であって、
前記試料ホルダは、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを含み、
前記第2の表面は、浸漬媒体に隣接し、
前記第2の表面は、前記照明パスに対して概ね垂直である、前記照明パスに沿った第1の光学面と、前記集光パスに対して概ね垂直である、前記集光パスに沿った第2の光学面とを含む、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記照明パス及び前記集光パスに対する配向において前記試料ホルダを支持するように構成された支持部材をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試料ホルダは、前記支持部材の受け口に取り外し可能に位置決め可能なモジュール式試料ホルダである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の光学面は、前記第2の光学面に対して概ね垂直である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記浸漬媒体、前記試料、前記第1の光学面及び前記第2の光学面は、整合された屈折率を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記試料ホルダは、前記試料を含むように構成された密閉チャネルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記密閉チャネルは、当該チャネルに流体を供給するように構成された入口と、当該チャネルから流体を排出するように構成された出口とに結合されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記試料ホルダは、複数のトラフを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記試料ホルダは、複数のウェルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
支持体受け口と浸漬流体とを含み、前記浸漬流体を通って照明パスに沿って照明ビームを焦点領域の方に向け、当該焦点領域から前記浸漬流体を通って集光パスに沿って集光光を受け取るように構成された顕微鏡と、
モジュール式試料ホルダと、
を備えるシステムであって、
前記モジュール式試料ホルダは、
試料を支持するように構成された試料チャンバと、
前記モジュール式試料ホルダの側面に沿って位置決めされた第1の光学面及び第2の光学面と、
を備え、
前記モジュール式試料ホルダは、以下のように前記支持体受け口に取り外し可能に位置決め可能である、即ち、
前記焦点領域は、前記試料内において位置決め可能であり、
前記第1及び前記第2の光学面は、前記浸漬流体に隣接し、
前記第1の光学面は、前記照明パスに沿って、前記照明パスに対して概ね垂直であり、
前記第2の光学面は、前記集光パスに沿って、前記集光パスに対して概ね垂直であるように、前記モジュール式試料ホルダは、前記支持体受け口に取り外し可能に位置決め可能である、システム。
【請求項11】
前記照明ビームは、光シートである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記試料ホルダは、前記試料を保持するように構成されたトラフを備え、前記第1の光学面及び前記第2の光学面は、前記トラフの底部を形成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記試料ホルダは、前記試料を保持するように構成されたウェルを備え、前記第1の光学面及び前記第2の光学面は、前記ウェルの底部を形成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記試料ホルダは、前記試料を保持するように構成されたチャネルを備え、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の光学面は、前記第2の光学面に対して概ね垂直である、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記試料、前記浸漬流体、前記第1の光学面及び前記第2の光学面は、整合された屈折率を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
照明光を試料に供給するように構成された照明光学装置と、
前記試料からの光を受け取るように構成された集光光学装置と、
浸漬流体を保持するように構成された浸漬チャンバと、
試料ホルダの材料を貫通する密閉チャネルを含む試料ホルダと、
を備える装置であって、
前記密閉されたチャネルは、前記試料を保持するように構成されており、
前記試料ホルダは、当該試料ホルダの表面が前記浸漬流体に隣接するように位置決め可能であり、
前記照明光は、前記試料に到達する前に、浸漬媒体と前記試料ホルダとを通過し、
前記試料からの光は、前記集光光学装置に到達する前に、前記試料ホルダと前記浸漬媒体とを通過する、装置。
【請求項18】
前記密閉チャネルは、概ね円形の断面を有している、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記チャネルは、マイクロ流体デバイスの一部である、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記試料ホルダは、浸漬流体に隣接する第1の光学面と、前記浸漬流体に隣接する第2の光学面とを備え、前記照明光は、前記第1の光学面を通過し、集光光は、前記第2の光学面を通過し、前記第1の光学面は、前記照明光の光軸に対して概ね垂直であり、前記第2の光学面は、前記集光光の光軸に対して概ね垂直である、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の光学面は、前記第2の光学面に対して概ね垂直である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の光学面及び前記第2の光学面は、前記密閉チャネルの底部面を形成する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記密閉チャネルは、当該チャネルに流体を供給するように構成された入口と、当該チャネルから流体を排出するように構成された出口とに結合されている、請求項17に記載の装置。
【請求項24】
前記装置は、前記試料ホルダを支持するように構成された支持部材をさらに備え、前記試料ホルダは、前記支持部材に取り外し可能に位置決め可能なモジュール式試料ホルダである、請求項17に記載の装置。
【請求項25】
前記照明光は、光シートである、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月12日に出願された米国仮特許出願第62/804,606号の先行する出願日の米国特許法(35 U.S.C.)第119条の下における利益を主張するものであり、当該米国仮特許出願の内容全体は、あらゆる目的のために参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0002】
研究開発に関する声明
本発明は、米国国防総省から授与された助成金番号W81XWH-14-2-0183及び米国国立衛生研究所から授与された助成金番号F32CA213615の下で政府支援を受けてなされたものである。政府は、本発明について一定の権利を有している。
【0003】
本発明の実施形態は、概して光学的撮像、特に顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0004】
顕微鏡は、一般的に、光を試料に向け、次いで、試料から受け取った光に基づいて試料を撮像することに関与し得る。いくつかの顕微鏡においては、システムの光学装置を、試料に対して試料ホルダの反対側(底部)に配置する場合がある。これにより、試料へのアクセスを向上させ、試料の準備/装着などを容易にさせることができる。従って、照明光及び集光光は、光学装置と試料との間を通過するために試料ホルダの材料を通過する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なるタイプの試料は、それらを支持するために異なるタイプの試料ホルダを必要とする場合がある。例えば、いくつかの試料は、ガラススライドのような平坦なプレート上に載置される場合があり、一方、他の試料は、液体(例えばウェルプレート内)に懸濁される場合がある。顕微鏡の光学装置に干渉することなく、種々のタイプの試料や試料ホルダに対応する顕微鏡があると便利な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
少なくとも1つの態様においては、本開示は、照明光学装置、集光光学装置、浸漬チャンバ及び試料ホルダを含む装置に関する。照明光学装置は、照明パスに沿って照明光を試料に向ける。集光光学装置は、集光パスに沿って試料からの光を受け取る。浸漬チャンバは、浸漬媒体を保持する。試料ホルダは、試料を支持し、第1の表面と、当該第1の表面とは反対側の第2の表面と、を含む。第2の表面は、浸漬媒体に隣接している。第2の表面は、照明パスに対して概ね垂直である、照明パスに沿った第1の光学面と、集光パスに対して概ね垂直である、集光パスに沿った第2の光学面と、を含む。
【0007】
装置は、照明パス及び集光パスに対する配向において試料ホルダを支持することが可能な支持部材を含み得る。試料ホルダは、支持部材の受け口に取り外し可能に位置決め可能なモジュール式試料ホルダであるものとしてもよい。第1の光学面は、第2の光学面に対して概ね垂直であるものとしてもよい。浸漬媒体、試料、第1の光学面及び第2の光学面は、整合された屈折率を有し得る。試料ホルダは、試料を含むことが可能な密閉チャネルを含み得る。この密閉チャネルは、チャネルに流体を供給するように構成された入口と、チャネルから流体を排出するように構成された出口とに結合されるものとしてもよい。試料ホルダは、複数のトラフを含み得る。試料ホルダは、複数のウェルを含み得る。
【0008】
少なくとも1つの態様においては、本開示は、顕微鏡とモジュール式試料ホルダとを含むシステムに関する。顕微鏡は、支持体受け口と、浸漬流体とを含む。顕微鏡は、浸漬流体を通って照明パスに沿って照明ビーム光を焦点領域の方に向け、当該焦点領域から浸漬流体を通って集光パスに沿って集光光を受け取る。モジュール式試料ホルダは、試料を支持する試料チャンバと、モジュール式試料ホルダの側面に沿って位置決めされた第1の光学面及び第2の光学面とを含む。モジュール式試料ホルダは、焦点領域が試料内において位置決め可能であり、第1及び第2の光学面が浸漬流体に隣接し、第1の光学面が照明パスに沿って、当該照明パスに対して概ね垂直であり、第2の光学面が集光パスに沿って、当該集光パスに対して概ね垂直であるように、支持体受け口に取り外し可能に位置決め可能である。
【0009】
照明ビームは、光シートであるものとしてもよい。試料ホルダは、試料を保持するように構成されたトラフを含み得る。その場合、第1の光学面及び第2の光学面は、トラフの底部を形成し得る。試料ホルダは、試料を保持するように構成されたウェルを含み得る。その場合、第1の光学面及び第2の光学面は、ウェルの底部を形成し得る。試料ホルダは、試料を保持することが可能なチャネルを含み得る。第1の光学面は、第2の光学面に対して概ね垂直であるものとするとよい。試料、浸漬流体、第1の光学面及び第2の光学面は、整合された屈折率を有し得る。
【0010】
少なくとも1つの態様においては、本開示は、照明光を試料に供給する照明光学装置と、試料からの光を受け取る集光光学装置と、浸漬流体を保持する浸漬チャンバと、試料ホルダとを含む装置に関するものである。この試料ホルダは、当該試料ホルダの材料を貫通する密閉チャネルを含む。この密閉チャネルは、試料を保持する。試料ホルダは、当該試料ホルダの表面が浸漬流体に隣接するように位置決め可能である。照明光は、試料に到達する前に、浸漬媒体と試料ホルダとを通過し、試料からの光は、集光光学装置に到達する前に、試料ホルダと浸漬媒体とを通過する。
【0011】
密閉チャネルは、概ね円形の断面を有し得る。チャネルは、マイクロ流体デバイスの一部であるものとしてもよい。試料ホルダは、浸漬流体に隣接する第1の光学面と、浸漬流体に隣接する第2の光学面とを含み得る。照明光は、第1の光学面を通過し、集光光は、第2の光学面を通過する場合がある。第1の光学面は、照明光の光軸に対して概ね垂直であるものとするとよく、第2の光学面は、集光光の光軸に対して概ね垂直であるものとするとよい。第1の光学面は、第2の光学面に対して概ね垂直であるものとするとよい。
【0012】
第1の光学面及び第2の光学面は、密閉チャネルの底部面を形成することができる。密閉チャネルは、当該チャネルに流体を供給するように構成された入口と、当該チャネルから流体を排出するように構成された出口とに結合されるものとしてもよい。本装置は、試料ホルダを支持し得る支持部材を含むことも可能である。試料ホルダは、支持部材に取り外し可能に位置決め可能なモジュール式試料ホルダであるものとしてもよい。照明光は、光シートであるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、固体浸漬メニスカスレンズを有するオープントップ型顕微鏡のブロック図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、モジュール式試料ホルダを有する顕微鏡の透視図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、平坦な表面を有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、試料ウェルを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、試料トラフを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、トラフ底部を有するウェルを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、フローチャネルを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、フローチャネル及び光学面を有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態による、フローチャネル及び光学面を有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。
図10A】本開示のいくつかの実施形態による、オープンフローセルを有する試料ホルダの側方断面図である。
図10B】本開示のいくつかの実施形態による、クローズドフローセルを有する試料ホルダの側方断面図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態による、異なる浸漬流体と試料ホルダ材料との互換性のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
以下の特定の実施形態の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示の範囲又はその適用若しくは使用を限定することを意図したものではない。以下の本発明に係るシステム及び方法の実施形態の詳細な説明においては、本明細書の一部を構成し、説明されたシステム及び方法が実施され得る特定の実施形態の例示のために示されている添付の図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が現在開示されているシステム及び方法を実施することができるように十分に詳細に説明されており、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用したり、構造的及び論理的な変更を行ったりしてもよいことを理解されたい。さらに、明確化のために、特定の特徴の詳細な説明は、本開示の実施形態の説明を曖昧にしないためにも、それらが当業者にとって明らかである場合には論述しない。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味に解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0015】
顕微鏡検査は、通常、肉眼では見えない視野及び/又は解像度を有する試料の画像を生成するために、幅広い用途において使用され得る。照明光は、照明光学装置を用いて試料に向けられるものとしてよい。集光光学装置は、試料からの光を検出器(例えば、CCD検出器、CMOS検出器、又は、ユーザの目)に集光するために使用されるものとしてよい。場合により、検出器に到達する光は、照明光の一部を含む場合がある。場合により、検出器に到達する光は、照明光によって発するために励起された後で試料から(例えば蛍光を介して)発せられてもよい。視野に均一な照明が当たることや、照明が試料の深さまで浸透することを保証することが望ましい場合もある。
【0016】
照明光学装置及び集光光学装置は、試料ホルダの試料とは反対側(例えば、試料ホルダの下側)に位置決めされるものとしてもよい。従って、照明光及び集光光は、試料ホルダの材料を通過する場合がある。また、照明光学装置及び/又は集光光学装置は、試料ホルダに対して角度をなして配置されるものとしてもよい。例えば、照明光学装置と集光光学装置は、各々試料ホルダに対して45°の角度をなして配置されるものとしてもよい。このことは、撮像パラメータや撮像深度の最適化には利点をもたらし得るが、照明光及び/又は集光光の試料ホルダとの非垂直入射は、種々の収差につながる可能性がある。個々の試料ホルダは、特定のセットアップのために光学的に最適化されるものとしてもよいが、異なる試料タイプには、異なる試料ホルダ要件が伴う場合がある。顕微鏡の光学装置と互換性のある異なる試料ホルダに対応することは、顕微鏡にとって有用な場合がある。
【0017】
本開示は、顕微鏡試料ホルダに向けられている。顕微鏡は、第1の側面と、当該第1の側面とは反対側の第2の側面とを有する試料ホルダを含む。照明光学装置及び集光光学装置は、試料ホルダが顕微鏡内に位置決めされたときに、試料ホルダの第2の側面に位置決めされる。照明光は、試料に到達する前に、浸漬流体を通過し、試料ホルダの材料を通過する。集光光は、試料に到達する前に、試料ホルダの材料を通過し、浸漬流体を通過する。試料ホルダは、顕微鏡のモジュール式構成要素であるものとしてもよい。異なるモジュール式試料ホルダは、異なるタイプの試料、異なる撮像モダリティ、異なる実験条件及びそれらの組合せに対応するために、異なる幾何形状を有している場合がある。いくつかのモジュール式試料ホルダは、浸漬流体と試料との間の照明光路に沿って第1の光学面を含み、試料と浸漬流体との間の集光光路に沿って第2の光学面を含む場合がある。第1の光学面は、照明パスの光軸に対して概ね垂直であるものとするとよく、第2の光学面は、集光パスの光軸に対して概ね垂直であるものとするとよい。光学面を使用することにより、試料及び試料ホルダの材料と、浸漬流体との間の屈折率の整合化の必要性を低減することができ、さらに、より短い作動距離を有する対物レンズ(例えば、照明及び/又は集光対物レンズ)の使用を可能にすることもできる。
【0018】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、モジュール式試料ホルダを有する顕微鏡のブロック図である。図1は、顕微鏡102と、顕微鏡102を操作し及び/又は顕微鏡102からの情報を解釈し得る任意のコントローラ104と、を含む光学システム100を示している。いくつかの実施形態においては、コントローラ104の1つ以上の部品が省略されるものとしてもよく、顕微鏡102は、手動により操作されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、コントローラ104の1つ以上の部品は、顕微鏡102に統合されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、図1の例のように、顕微鏡102は、オープントップ型顕微鏡であるものとしてもよい。
【0019】
顕微鏡102は、試料106を支持する試料ホルダ108を含む。この試料ホルダ108の底部面は、浸漬チャンバ110内に含まれる浸漬流体112に隣接している。図1の顕微鏡102は、相互に分離された照明パスと集光パスとを有する。照明パスは、光源118と、照明光学装置120と、照明対物レンズ122とを含む。照明パスは、試料106を照明するために浸漬媒体112及び試料ホルダ108を通過する照明ビーム124を供給する。集光パスは、集光対物レンズ128と、集光光学装置130と、検出器132とを含む。集光パスは、照明ビーム124によって照明された焦点領域126からの光を集光することができる。
【0020】
顕微鏡102は、モジュール式試料ホルダ108を含み、このモジュール式試料ホルダ108は、他の種々のモジュール式試料ホルダ108に交換されるものとしてもよい。異なるタイプのモジュール式試料ホルダ108の例は、図3乃至図10Bにおいてより詳細に説明されている。試料ホルダ108は、顕微鏡102の支持部材109に取り外し可能に結合可能であるものとしてよい。支持部材109は、浸漬流体112を保持する浸漬槽110の上面に沿って配置されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、支持部材109は、浸漬槽110の蓋、又は、他の上部筐体を形成することができる。支持部材109は、浸漬流体112を露出させる開口部を含み得る。この開口部は、モジュール式試料ホルダ108のための受け口として機能を果たすことができる。試料ホルダ108が受け口内に位置決めされると、試料ホルダ108の下面が浸漬流体112に隣接するものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108の下面は、浸漬流体112に接触することができる。例えば、試料ホルダ108の下面は、浸漬槽110内へ延在することもできる。いくつかの実施形態においては、支持部材109及び/又は試料ホルダ108は、試料ホルダ108と支持部材109との間の継ぎ目の間から浸漬流体112が漏出するのを防止するために、ガスケット又は他のシール部材を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、(重力以外の)いかなる種類の取り付け具なしで支持部材109の受け口内に静止することができる。例えば、受け口の輪郭は、テーパ状になっているものとしてもよく、及び/又は、受け口は、試料ホルダ108を支持する段差を含むものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108を支持部材109に取り付けるために、1つ以上のファスナが使用されるものとしてもよい。例えば、クリップ、ねじ、磁石、スナップ、マジックテープ式ファスナ、又は、それらの組合せが、試料ホルダを支持部材109に取り外し可能に結合するために使用されるものとしてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、支持部材109の受け口に直接適合する一体型の本体であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、支持部材109の受け口に適合し、試料ホルダ108のための受け口を含むアダプタプレートが使用されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、アダプタに(例えば、接着剤により)取り付けられてもよい。例えば、試料ホルダ108は、試料ホルダ108の外周に沿って、UV硬化型接着剤でアダプタに接着されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、アダプタの使用を介してモジュール化された市販の試料ホルダであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、アダプタは、支持部材109と嵌合する取り付け金具(例えばファスナ)を含み得る。
【0023】
支持部材109は、試料ホルダ108を保持する凹部領域を有し得る。モジュール式試料ホルダ108は、この凹部領域に差し込むことができる。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、支持部材109に対する(並びに、照明及び集光パスに対する)試料ホルダ108の配向を制限するように形成されるものとしてもよい。例えば、試料ホルダ108は、当該試料ホルダ108の配置を4つの配向のうちの1つに制限するために正方形であるものとしてもよく、当該試料ホルダ108の配置を2つの配向のうちの1つに制限するために矩形であるものとしてもよく、又は、任意の他の形状であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、当該試料ホルダ108が支持部材109の受け口に適合する配向が1つだけ存在するように形成されるものとしてもよい。
【0024】
光源118は、試料106の焦点領域126を照明するために、照明パスに沿って照明光を供給する。この光源118は、狭域スペクトルの光を発することができるレーザ又は発光ダイオード(LED)などの狭帯域の光源であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、光源は、広域スペクトル(例えば白色)の照明を生成することができる広帯域の光源(例えば、白熱光源、アーク光源)であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、照明光の1つ以上の部分は、可視領域外であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、照明光の波長をさらに細分化するために、照明パスの一部としてフィルタ(図示せず)を使用するものとしてもよい。例えば、バンドパスフィルタは、光源118から広帯域の照明を受け取り、より狭域スペクトルの照明光を供給することができる。いくつかの実施形態においては、光源103は、レーザであるものとしてもよく、コリメートされた光を生成することができる。
【0025】
いくつかの実施形態においては、光学システム100は、試料106における蛍光を撮像するために使用されるものとしてもよい。照明ビーム124は、試料106中の蛍光体を励起し得る特定の励起波長の光を含み得る。照明ビーム124は、励起波長を含む広域スペクトルの光を含み得る、又は、励起波長を中心とした狭帯域のものとし得る。いくつかの実施形態においては、光源118は、励起(波長)を中心とする(又はそれに近い)狭域スペクトルの光を生成することができる。いくつかの実施形態においては、照明ビーム124を励起波長に近い波長に制限するために、照明光学装置120にフィルタ(図示せず)が使用されるものとしてもよい。照明シートによって励起されると、試料106内の蛍光体は発光することができる(これは、所定の発光波長を中心とするものであるものとしてもよい)。集光パス(例えば、集光光学装置130)は、検出器132に到達する光を発光波長に近い光の波長に制限するために使用され得る1つ以上のフィルタを含むことが可能である。
【0026】
照明光学装置120は、光源118からの光を照明対物レンズ122に結合することができる。例えば、照明光学装置120は、光源118からの光を照明対物レンズ122の後端に伝搬する光ファイバを含み得る。いくつかの実施形態においては、照明光学装置120は、光源118によって供給された光を実質的に変化させることなく、当該光源118と対物レンズ122との間において光を結合することができる。いくつかの実施形態においては、照明光学装置120は、光源118によって供給された光の形状、波長、強度及び/又は他の特性を変化させることができる。例えば、照明光学装置120は、光源118から広帯域の光を受け取り、その光をフィルタリングして(例えば、フィルタ、回折格子、音響光学変調器などを用いて)、狭帯域の光を対物レンズ122に供給することができる。
【0027】
いくつかの実施形態においては、照明パスは、光シート顕微鏡又は光シート蛍光顕微鏡(LSFM)の一部としての光シートである照明ビーム124を供給することができる。光シートは、第1の軸(例えばY軸)に沿った第1の開口数と、第1の軸と直交する第2の軸に沿った、第1の開口数よりも大きい第2の開口数とを有する、概ね楕円形の断面を有し得る。照明光学装置120は、光源118から受け取った光を照明シートに再成形する光学装置を含み得る。例えば、照明光学装置120は、1つの軸に光を収束させるが、直交する軸には収束させない1つ以上の円柱光学装置を含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態においては、照明光学装置120は、試料106に対する照明ビーム124を走査するために使用され得る走査光学装置を含み得る。例えば、照明ビームによって照明される領域は、所期の焦点領域126より小さくてもよい。この場合、照明光学装置120は、焦点領域126の照明を保証するために、所期の焦点領域126にわたって照明ビーム124を急速に振動させることができる。
【0029】
照明対物レンズ122は、照明ビーム124を供給する1つ以上のレンズを含み得る。例えば、照明対物レンズ122は、照明ビーム124を焦点領域126に向けて集束することができる。試料ホルダ108は、焦点領域126が概ね試料106内に存在するように、試料106を位置決めすることができる。照明対物レンズは、いくつかの実施形態においては、1つ以上の内部光学素子を含む市販の対物レンズであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、焦点領域126は、焦点として理想化されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、焦点領域126は、概ね平坦な形状であるものとしてもよい。例えば、LSFMでは、焦点領域126は、照明ビーム124として生成された光シートの平面に沿って位置する平面であるものとしてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態においては、照明対物レンズ122は、周囲環境(例えば、空気)に取り囲まれていてもよく、照明対物レンズ122は、空気対物レンズであるものとしてもよい。照明対物レンズ122は、焦点領域126において光が収束する角度に基づいていてもよい1つ以上の開口数によって特徴付けられてもよい。次いで、照明対物レンズ122が、浸漬流体112の外側の周囲環境にあるいくつかの実施形態においては、照明ビーム124を浸漬流体112に結合するために窓又はレンズが使用されるものとしてもよい。例えば、図1の説明図においては、照明パスに沿って位置決めされた照明固体浸漬レンズ(SIL)114が示されている。いくつかの実施形態においては、照明対物レンズ122は、浸漬流体112と接触する浸漬対物レンズであるものとしてもよく(例えば、本明細書においてより詳細に説明されるような、集光対物レンズ128の示され方に類似したもの)、SIL114は省略されるものとしてもよい。
【0031】
照明ビーム124は、照明SIL114を通過して浸漬流体112内に入射するように向けられてもよい。照明SIL114は、照明対物レンズ122を含む周囲環境(例えば空気)から、照明SIL114の材料を通過して浸漬流体112内に入射する光の屈折を最小化するように形成されるものとしてもよい。次いで、照明ビーム124は、試料106及び試料ホルダ108に向かって浸漬流体112を通過することができる。
【0032】
照明ビーム124は、試料106に向けられるものとしてよい。試料106は、試料ホルダ108によって支持されるものとしてよい。いくつかの実施形態においては、試料106は、試料ホルダ108の上面に直接配置されるものとしてよい。いくつかの実施形態においては、試料106は、容器(例えば、スライドガラス上、ウェルプレート内、組織培養フラスコ内など)にパッケージされるものとしてもよく、容器は、試料ホルダ108上に配置されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、容器は、試料ホルダ108に統合されるものとしてよい。いくつかの実施形態においては、試料106は、光学システム100で撮像される前に処理されるものとしてもよい。例えば、試料106は、撮像の前に、洗浄、スライス、及び/又は、ラベル付けされるものとしてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態においては、試料106は、生物学的試料であるものとしてよい。例えば、試料106は、疾患(例えば、癌)が疑われる領域から生検された組織であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、この組織は、光学システム100によって検査される前に、光学距離、組織スライス、及び/又は、ラベリングなどの種々の処理を受けることができる。いくつかの実施形態においては、光学システム100による組織の検査は、診断のため、治療の進行を決定するため、疾患の進行を監視するためなどに使用されることが可能である。
【0034】
いくつかの実施形態においては、試料106は、非生物であるものとしてもよい。例えば、試料106は、流体であるものとしてもよいし、調査のための1つ以上の成分を含むものとしてもよい。例えば、試料106は、燃焼ガスであるものとしてもよく、光学システム102は、ガスの成分を特徴付けるために粒子画像流速測定(PIV)を行ってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態においては、試料106は、1つ以上のタイプの蛍光体を含むものとしてもよい。蛍光体は、試料106に内在するもの(例えば、生物学的試料中のDNA及びタンパク質)であるものとしてもよいし、試料106に被着された蛍光ラベル(例えば、アクリジンオレンジ、エオシン)であるものとしてもよい。いくつかの試料106は、内在するタイプの蛍光体と蛍光ラベルとの混合物を含み得る。各タイプの蛍光体は、励起波長を中心とし得る励起スペクトルを有し得る。蛍光体が励起スペクトルの光で励起されると、発光スペクトルの光を発することができ、この発光スペクトルは、励起波長とは異なる(例えば、そこから赤色にシフトした)発光波長を中心としたものであるものとしてもよい。
【0036】
試料ホルダ108は、照明ビーム124と、試料106の焦点領域126とから集光された光に対して概ね透過的である試料ホルダの材料上において試料106を支持することができる。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、試料106がその上で位置決めされ得る透明な材料の窓を有することが可能であり、試料ホルダ108の残余の部分は、非透明な材料から形成されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、透明な材料から作られてもよい。
【0037】
試料ホルダ108は、試料106を支持する試料ホルダ108の表面とは反対側にある第2の表面(例えば下面)を有し得る。浸漬流体112を保持する浸漬チャンバ110は、試料ホルダ108の第2の表面の下に位置決めされるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、浸漬チャンバ110は、開放された上部を有し得る。その場合、浸漬流体112は、試料ホルダ108の第2の表面に隣接していてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108の第2の表面が浸漬流体112と接触していてもよいが、試料ホルダ108の第1の表面(これは試料106を支持している)は、対物レンズ122及び128と同等の環境(例えば空気)と接触していてもよい。
【0038】
支持部材109は、アクチュエータ107に結合されるものとしてもよく、このアクチュエータは、支持部材109及び/又は試料ホルダ108を1つ以上の方向に移動させることが可能であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ108は、浸漬チャンバ110及び対物レンズ122,128に対して最大3次元(例えば、x軸、y軸及びz軸に沿って)で移動可能であるものとしてもよい。試料ホルダ108は、試料106内の焦点領域126の位置を変更するために、及び/又は、試料ホルダ108を、装填位置と撮像位置との間において移動させるために、移動されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、アクチュエータは、ねじ又は粗調整/微調整ノブなどの手動アクチュエータであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、アクチュエータは、コントローラ104からの手動入力及び/又は命令に応じることができる電動モータなどにより自動化されたものであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、アクチュエータ107は、手動調整及び自動制御の両方に対応することができる(例えば、手動で回動させること、及び、コントローラ104からの命令の両方に対応するノブなど)。
【0039】
浸漬チャンバ110は、浸漬流体112を含む。いくつかの実施形態においては、浸漬チャンバ110は、浸漬流体112を交換するために有用であり得るソース及び/又はシンクを含み得る。例えば、浸漬チャンバ110は、浸漬流体112を供給する流体入力管路(これは、引き続きポンプ及び/又はリザーバに結合されるものとしてもよい)と、浸漬チャンバ110から浸漬流体112を排出するために開放され得るドレインとに結合されるものとしてもよい。本明細書においてより詳細に説明するように、浸漬流体のタイプは、試料106及び/又は試料ホルダ108の屈折率に基づいて選択されるものとしてよい。
【0040】
集光パスは、焦点領域126からの光を受け取り、この受け取った光を撮像及び/又は他の方法により測定することができる検出器132に当該受け取った光を向けることができる。焦点領域126からの光は、照明ビーム124の転向された部分(例えば散乱光及び/又は反射光)であるものとしてもよく、照明ビーム124に応じて焦点領域126から(例えば蛍光を介して)発せられた光であるものとしてもよく、又は、それらの組合せであるものとしてもよい。集光された光は、集光対物レンズ128に到達する前に、試料ホルダ108及び浸漬流体112を通過することができる。いくつかの実施形態においては、集光対物レンズ128は、浸漬流体112に隣接して位置決めされた前端を有する浸漬対物レンズであるものとしてもよい。例えば、集光対物レンズ128の前端は、浸漬槽110の内側に位置決めされるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、集光対物レンズ128は、空気対物レンズであるものとしてもよく、レンズ又は窓は、浸漬流体112と、集光対物レンズ128の前端との間に位置決めされるものとしてもよい。
【0041】
焦点領域126の幾何学形状は、集光パスの視野によって部分的に定義されるものとしてもよく、これにより、引き続き集光対物レンズ128の開口数に部分的に依存することができる。照明対物レンズ122と同様に、集光対物レンズ128は、1つ以上のレンズを含む市販の対物レンズであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、集光対物レンズ128は、空気対物レンズであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、集光パスが集束される焦点領域と、照明パスが集束される焦点領域とは、焦点領域126において概ねオーバーラップし得る。いくつかの実施形態においては、照明及び集光パスは、それらの各焦点領域の異なる形状、サイズ及び/又は位置を有し得る。
【0042】
集光パスは、集光対物レンズからの光を検出器132上に転向することができる集光光学装置130を含む。例えば、集光光学装置130は、集光対物レンズの後端からの光を、検出器132上に投影される画像に集束するように設計されたチューブレンズであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、集光光学装置130は、集光対物レンズ128から受け取った光を変化させる1つ以上の要素を含むものとしてもよい。例えば、集光光学装置130は、フィルタ、ミラー、デスキャン光学装置、又は、それらの組合せを含み得る。
【0043】
検出器132は、焦点領域126の撮像に使用されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、検出器132は、ユーザが焦点領域126を観察することができるように、接眼レンズを表すことができる。いくつかの実施形態においては、検出器132は、焦点領域126の画像を記録するための信号を生成することができる。例えば、検出器132は、アレイに入射する光に基づいて電子信号を生成することが可能であるCCDアレイ又はCMOSアレイを含み得る。
【0044】
照明パスは、第1の光軸に沿って光を向けることができる。集光パスは、第2の光軸に沿って光を集光することができる。図1に示すようないくつかの実施形態においては、第1の光軸及び第2の光軸は、相互に直交するものとしてよい。第1の光軸及び第2の光軸の各々は、試料ホルダに対して非直交であるものとしてもよい。例えば、第1の光軸が、試料ホルダ108の底部面に対して45°の角度をなし、第2の光軸も、試料ホルダ108の底部面に対して45°の角度をなすものであるものとしてもよい。第1の光軸、第2の光軸及び/又は試料ホルダ108の間の他の角度が他の例で使用されるものとしてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態においては、照明及び集光パスは、相互に非直交であるものとしてもよい。例えば、照明パスが、試料ホルダの底部面に対して45°の角度をなす第1の光軸を追従するが、集光パスは、ホルダの底部面に対して90°の角度をなす第2の光軸を追従することもできる。従って、第1の光軸と第2の光軸との間は約45°の角度があるものとしてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態においては、対物レンズ122及び128の一方は空気対物レンズであるものとしてよいが、他方の対物レンズは非空気対物レンズ(例えば浸漬対物レンズ)であるものとしてもよい。この非空気対物レンズは、いくつかの実施形態においては、浸漬流体112に浸されて(又はそれに接触した前面を有して)いてもよい。いくつかの実施形態においては、空気対物レンズは、対物レンズと浸漬流体との間に位置決めされたSILを有する場合があるが、SILは、非空気対物レンズと共に使用されない場合がある。例えば、照明対物レンズ122は、照明ビーム124を、照明SIL114を通して浸漬流体112に向けることができるが、集光対物レンズ128は、浸漬流体112に隣接(例えば接触)するものとしてもよい。
【0047】
顕微鏡102は、当該顕微鏡102の1つ以上の部品を操作し、当該顕微鏡102からのデータを表示し、当該顕微鏡102からのデータを解釈するために又はそれらの組合せのために使用され得るコントローラ104に結合されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、コントローラ104は、汎用コンピュータなど、顕微鏡とは別個のものであるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、コントローラ104の1つ以上の部品は、顕微鏡102と一体であるものとしてもよい。
【0048】
コントローラ104は、1つ以上の入/出力デバイス142を含み、これによって、ユーザは、コントローラ104からのフィードバックや顕微鏡102からのデータを表示したり、コントローラ104に命令を提供したり、顕微鏡102に命令を提供したり、又は、それらの組合せを行うことができる。例えば、入/出力デバイス142は、デジタルディスプレイ、タッチスクリーン、マウス、キーボード、又は、それらの組合せを含み得る。
【0049】
コントローラ104は、プロセッサ140を含み、このプロセッサ140は、メモリ144に格納された1つ以上の命令を実行することができる。これらの命令は、制御ソフトウェア152を含み得る。その場合、制御ソフトウェア152は、顕微鏡102をどのように制御するかに関する命令を含み得る。制御ソフトウェア152に基づいて、プロセッサ140は、コントローラ104に、アクチュエータ107などの、顕微鏡102の種々の構成要素に対する信号を送信させることができる。命令は、検出器132からの「ライブ」画像、又は、先行時点においてメモリ144に格納された画像146を処理するために使用され得る画像処理ソフトウェア150を含み得る。この画像処理ソフトウェア150は、例えば、画像146から背景ノイズを排除することができる。命令は、画像146の1つ以上の特性を決定するためにプロセッサ140によって実行され得る分析ソフトウェア148を含み得る。例えば、分析ソフトウェア148は、画像146内の細胞核を強調することができる。
【0050】
いくつかの実施形態においては、コントローラ104は、試料内の複数の異なる視野からの画像を収集するように顕微鏡に指示することができる。例えば、コントローラ104は、画像のスタック深度を収集する命令を含み得る。コントローラ104は、検出器132に第1の画像を収集するように指示し、次いで、アクチュエータ107に試料ホルダ108を垂直方向に(例えばz軸に沿って)設定距離だけ移動させるように命令することができる。これは、試料106も焦点領域126に対して移動させることができ、これにより、焦点領域126が配置されている試料内の高さを変化させることができる。次いで、コントローラ104は、検出器132に、他の画像を収集し、次いで、スタック内の画像の設定数まで、及び/又は、z方向における設定された総変位が達成されるまで、プロセスを反復するように命令することができる。次いで、分析ソフトウェア148は、試料106の3D(又は擬似3D)撮像を可能にするために画像のスタック深度を組み合わせることができる。
【0051】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、モジュール式試料ホルダを有する顕微鏡の透視図である。いくつかの実施形態においては、顕微鏡200は、図1の顕微鏡102のような顕微鏡がどのように組み立てられるかの例示的なレイアウトを示している。顕微鏡200の構成要素及び操作は、いくつかの実施形態においては、図1の顕微鏡102の構成要素及び動作と概ね同様であるものとしてよい。簡潔化のために、図1の顕微鏡102に関して説明した構成要素及び操作は、図2に関しては再度繰り返さない。
【0052】
顕微鏡200は、照明光学装置221を含み、この照明光学装置221は、照明源220に結合されている。照明源220は、レーザ(図2には示されていない)に結合された光ファイバケーブルであるものとしてもよい。照明光学装置221は、照明源220からの光出力を結合するためのテレスコープ及び/又はビームエキスパンダを含み得る。照明光学装置221は、照明光を光シートに形成する形成光学装置を含み得る。照明光学装置221は、1つ以上の走査光学装置を含み得る。その場合、これらの走査光学装置は、照明対物レンズ(図示せず)の後端を横切って照明光シートを走査するために電動化されるものとしてもよく、これにより、引き続き照明光シートは、試料を横切って走査することができる。
【0053】
照明光シートは、支持部材209の下方に位置決めされた浸漬槽212を通過する。支持部材209は、電動化されたステージのようなステージであるものとしてもよい。例えば、ステージは、XYステージのように、1つ以上の軸において移動することができる。支持部材209がいくつかの軸において電動化されているいくつかの実施形態においては、顕微鏡200の1つ以上の部品を付加的なアクチュエータ(Z軸アクチュエータなど)に結合することによって、他の軸における移動が追加されるものとしてもよい。
【0054】
図2の図面は、支持部材209の受け口上に位置決めされた試料ホルダ208を示している。この試料ホルダ208は、撮像の受け口に下げられてもよい平坦なプレートとして示されている。顕微鏡200と共に使用され得る異なる試料ホルダのタイプは、図3乃至図10Bにおいてより詳細に論述する。
【0055】
顕微鏡200は、顕微鏡200の焦点領域からの光を集光し、その集光光を検出器232に供給する集光光学装置231を含む。この集光光学装置231は、フィルタホイールを含み得る。その場合、このフィルタホイールは、顕微鏡200の集光パスに回転させてもよい複数のフィルタを含む。各フィルタは、異なる発光スペクトル(例えば撮像される可能性がある異なるタイプの蛍光体など)に関連させてもよい。検出器232は、いくつかの実施形態においては、sCMOS検出器であるものとしてもよい。
【0056】
図3乃至図10Bは、いくつかの実施形態においては、図1の試料ホルダ108及び/又は図2の試料ホルダ208として使用され得る種々の試料ホルダを示している。図3乃至図9は、試料ホルダの上面図と試料ホルダの一部の側面図の両方を示している。側面図は、試料を含む試料ホルダの一部の断面を示している。側面図は、試料ホルダが顕微鏡(例えば、図1の顕微鏡102及び/又は図2の顕微鏡200)に配置され、顕微鏡の焦点領域が側方断面図に示される試料内に存在するように顕微鏡が位置合わせされたときの試料ホルダを示している。図10A乃至図10Bは、上面図及び側面図ではなく、試料ホルダの2つの変形形態の一対の側面図を示している。
【0057】
図3乃至図10Bの図面は、試料ホルダを顕微鏡に取り付ける手段を含まない試料ホルダの一部を示している。いくつかの実施形態においては、試料ホルダは、顕微鏡の受け口に差し込むことができる。いくつかの実施形態においては、試料ホルダは、受け口に差し込まれる及び/又は(例えば、クリップ、磁石、ピン、ねじなどを介して)顕微鏡の支持部材に取り付けられる取り付け金具(図示せず)を含み得る。例えば、試料ホルダは、アダプタプレートに取り付けられてもよく、このアダプタプレートは、引き続き受け口に適合し得るものであり、及び/又は、取り付け金具を含み得るものである。
【0058】
図3乃至図10Bの各々は、空気照明対物レンズ及び浸漬集光対物レンズを有する例示的な実施形態を示している。ただし、空気対物レンズと浸漬対物レンズとの任意の組合せが、照明及び集光パスに使用されるものとしてもよいことを理解されたい。図3乃至図10の各々は、試料ホルダの概ね矩形の上面図を示しているが、しかしながら、多くの特徴及び操作は、種々の試料ホルダ間において同様のものであってよく、簡潔化のためにそのような特徴は図3乃至図10の各々で別個に説明しないことを理解されたい。
【0059】
例えば、図3乃至図10Bの試料ホルダの各々は、試料ホルダの材料、浸漬流体、試料、試料を取り囲む流体などの種々の材料を含む。これらの材料の各々は、屈折率及び分散を有し得る。任意の所定の試料ホルダについて、それらが同一又は類似の屈折率及び/又は分散を有するように2つ以上の材料が選択されるものとしてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態においては、単一の試料ホルダは、図3乃至図10Bに記載された幾何学形状と特徴との混合を有し得る。例えば、試料ホルダは、試料を保持するための第1の幾何学形状を有する第1の領域と、試料を保持するための第2の幾何学形状を有する第2の領域とを有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態においては、試料ホルダの1つ以上の表面は、1つ以上のコーティングを含み得る。例えば、試料ホルダ上にスポットされた試料のビードアップを促進するために、疎水性コーティングが試料ホルダ上に配置されるものとしてもよい。
【0062】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、平坦な表面を有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。図面300は、概ね平坦である試料ホルダ308を示している。例えば、試料ホルダ308は、透明なプレートであるものとしてもよく、試料306は、当該プレートの上面で支持されるものとしてもよい。平坦な試料ホルダ308が使用される場合、顕微鏡は、試料が試料ホルダ308の上面に配置されるものとしてもよい、フラットベッドスキャナと同様に操作することができる。いくつかの実施形態においては、複数の試料306が、試料ホルダ308上に配置されるものとしてもよく、空気によって互いに分離されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料306は、液相を含み得る。その場合、試料306は、試料ホルダ308の表面に液滴デポジットされるものとしてもよい。
【0063】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、試料ウェルを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。この試料ホルダ408は、(例えば図3の試料ホルダ308と同様に)概ね平坦であるものとしてもよいが、しかしながら、試料ホルダ408は、各試料406を含む領域を形成することができる周囲媒体411を含む。例えば、試料ホルダ408は、周囲媒体411によって互いに分離された定義された試料領域を有し得る。いくつかの実施形態においては、周囲媒体411は、試料ホルダ408の残余の部分と同一の材料であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ408は、周囲媒体411がその上面に取り付けられてもよい第1の材料の平坦なプレートであるものとしてもよい。
【0064】
試料ホルダ408は、1つ以上の異なる試料領域を含み得る。その場合、それらの各々は、その中に配置される異なる試料(又は複数の試料)406a乃至406hを有し得る。例えば、試料ホルダ408は、複数の異なる試料406a乃至406hを保持することができるウェルプレートであるものとしてもよい。
【0065】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、試料トラフを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。図5の試料ホルダ508は、複数の試料トラフ515を含み、それらの各々は、1つ以上の試料506を保持することができる。試料トラフ515は、第1の光学面517及び第2の光学面519を有する底部を有し、これらの光学面は、それぞれ、照明ビーム524を試料506に結合し、試料506からの集光光525を結合することを支援することができる。
【0066】
図5の側面図は、これらのトラフ515のうちの1つの断面を示している。トラフは、流体513で満たされているものとしてよい。この流体513は、浸漬流体512と同一であるものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、流体513は、試料506の屈折率と一致する屈折率を有し得る。いくつかの実施形態においては、流体513は、試料506とは異なる屈折率を有し得る。いくつかの実施形態においては、流体513は、試料ホルダ508及び/又は浸漬流体512の材料と同一の屈折率を有し得る。流体513は、撮像中に試料506を支持、安定化及び/又は保護するために使用されるものとしてもよい。例えば、試料506は、細胞であるものとしてもよく、流体513は、細胞培養培地を表すことができる。いくつかの実施形態においては、流体513は、空気などの周囲媒体であるものとしてもよい。
【0067】
トラフ515は、浸漬流体512と試料506との間(及び/又は、浸漬流体512と流体513との間)の照明ビーム524の照明パスに沿っている第1の光学面517を有する。この第1の光学面517は、当該第1の光学面517が照明パスの光軸に対して概ね垂直になるように位置決め可能であるものとしてもよい。これにより、光が浸漬流体512から試料ホルダ508の材料内を通過する際の光の屈折を低減することができる。いくつかの実施形態においては、第1の光学面517は、均一な厚さを有する平坦な表面であるものとしてもよい。
【0068】
トラフ515は、試料506(及び/又は流体513)と浸漬流体512との間において、集光光525の集光パスに沿っている第2の光学面519を有する。第2の光学面519は、当該第2の光学面519が、集光パスの光軸に対して概ね垂直になるように位置決め可能であるものとしてもよい。これにより、試料506/流体513から試料ホルダ508の材料及び浸漬流体512内を通過する際の光の屈折を低減することができる。いくつかの実施形態においては、第2の光学面519は、均一な厚さを有する平坦な表面であるものとしてもよい。
【0069】
第1の光学面517及び第2の光学面519は、試料ホルダ508の残余の部分と同一の材料で作られてもよい。例えば、試料ホルダ508は、単一の材料片から形成された一体型の本体であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、第1の光学面517及び第2の光学面519は、試料ホルダ508の残余の部分とは異なる材料から作られてもよい。例えば、第1の光学面517及び第2の光学面519は、透明な材料から作られてもよいが、試料ホルダ508の残余の部分は、非透明な材料から作成されている。
【0070】
第1の光学面517及び第2の光学面519は、トラフ515の「底部」を形成することができる。第1の光学面517及び第2の光学面519は、角度をなすことができ、この角度は、照明パスと集光パスとの間の角度に基づいてもよい。例えば、第1の光学面517は、第2の光学面519に対して約90°の角度をなすものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、第1の光学面517及び第2の光学面519は、直接交差していなくてもよく、付加的な材料片がそれらを分離することができる。例えば、試料ホルダ508の非トラフ部分の底部面に対して概ね平行で、トラフ515の底面に三角形の断面ではなく概ね台形の断面を与える、付加的な材料片を追加するものとしてもよい。
【0071】
トラフ515は、試料ホルダ508の長手方向に沿って延在し得る。いくつかの実施形態においては、各トラフ515は、トラフ515からの流体513及び/又は試料506の漏出を防止するために閉鎖されるものとしてもよい。例えば、各トラフ515は、試料ホルダ508の材料がトラフ515を密閉するように、試料ホルダ508の縁部から距離をおいて終端することができる。いくつかの実施形態においては、トラフ515を密閉するために、1つ以上の端部キャップが試料ホルダ508に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態においては、各トラフ515の底部は、試料ホルダ508の底部から延在することができる(例えば、試料ホルダ508の底部面に沿って延在する一連の隆起部を形成するために)。
【0072】
トラフ515は、試料ホルダ508の長手方向を横切って延在する長軸を有し得る。試料ホルダは、顕微鏡内において(例えば、図1の支持部材109及び/又は図2の支持部材209の受け口内において)位置合わせ可能であるものとしてもよく、長軸は、「トップダウン」の観点から、照明パス及び集光パスに対して概ね垂直であるものとしてもよい。例えば、トラフ515の長軸は、試料ホルダ508が顕微鏡内に配置されたときに、照明対物レンズと集光対物レンズとの間に引かれる線に対して垂直であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ508は、複数のトラフ515を含み得る。いくつかの実施形態においては、トラフは互いに概ね平行であるものとしてもよい。
【0073】
試料ホルダ508が顕微鏡内に配置されると、試料ホルダ508は、試料506の異なる領域及び/又は異なる試料を撮像するために(例えば、図1のアクチュエータ107によって)移動させるものとしてよい。異なる試料が、試料ホルダ508の同一のトラフ515又は異なるトラフにあるものとしてもよい。試料ホルダ508が、浸漬流体512に対して移動すると、第1の光学面517及び第2の光学面519は、照明パス及び集光パスに対して移動することができる。第1の光学面517及び第2の光学面519は、平坦であり、それらの各光路に対して垂直であるので、光学面517/519の移動がもたらす収差を比較的小さくすることができる。なぜなら、照明及び集光パスがそれらの各光軸に対して垂直な平坦面に遭遇し続けるからである。試料506の撮像可能な領域は、撮像ビーム524及び/又は集光光525が、それぞれ試料ホルダ508の非光学面部分及び/又は他の光学面と干渉することなく、第1の光学面517又は第2の光学面519に対して移動することができる領域に部分的に基づいてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態においては、第1の光学面517及び第2の光学面519は、それぞれ照明対物レンズ(図5には示されていない)及び/又は集光対物レンズ528に対する焦点領域の作動距離を短くするのに有用であり得る。例えば、対物レンズの一方又は両方の作動距離は、約5乃至15mmであるものとしてもよい。他の例示的な実施形態においては、より長い又はより短い作動距離が使用されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、対物レンズは、浸漬対物レンズであるものとしてもよく、対物レンズは、光学面の近傍に位置決めされた前面を有し得る。いくつかの実施形態においては、光学面は、対物レンズの前面(例えば、前面レンズ)に対してほぼ平行であるものとしてもよい。例えば、対物レンズが空気対物レンズであり、窓又はレンズ(例えば、SIL)によって浸漬流体から分離されている実施形態においては、窓/レンズの表面は、光学面の近傍であるものとしてもよい。
【0075】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、トラフ底部を有しウェルを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。図6は、細長いトラフではないことを除いて図5の試料ホルダ508と概ね同様である試料ホルダ608を示しており、この試料ホルダ608は、複数の別個のウェル615を有し、それらの各々は、図5の第1及び第2の光学面と概ね同様の第1の光学面617と第2の光学面619を有している。
【0076】
各ウェル615は、異なる試料606を保持することができる。各ウェルは、照明及び集光パスに対してそれぞれ概ね垂直である第1及び第2の光学面617及び619を有し得る。いくつかの実施形態においては、光学面617及び619は、試料ホルダ608の長手方向に沿って延在することができる。例えば、試料ホルダ608は、トラフを異なるウェル615に分離するためにトラフに沿って位置決めされた「壁」を有し得ることを除いて、図5の試料ホルダ508と同様の形状を有し得る。いくつかの実施形態においては、光学面617及び619は、各ウェルの間において停止することができる。いくつかの実施形態においては、ウェル615の各々は、上方から下方への視点から見て矩形の断面を有し得る。いくつかの実施形態においては、他の断面形状が使用されるものとしてもよい。
【0077】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、フローチャネルを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。試料ホルダ708は、試料ホルダ708の材料内に密閉されている1つ以上のチャネル715を含み得る。各チャネル715には、1つ以上の試料706が装填されるものとしてもよく、これらの試料は流体713で囲まれてもよい。
【0078】
試料ホルダ708は、試料ホルダ708の材料内に形成されるチャネル715を含み得る。例えば、チャネル715の周縁部は、試料ホルダ708の材料から形成されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、チャネル715は、円形の断面を有し得る。他の例示的な実施形態においては、他の形状の断面が使用されるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、チャネル715は、試料706の予想される特性に基づく形状及び/又はサイズを有し得る。例えば、試料706が細胞性である場合には、チャネル715は、試料706の細胞をチャネル715の長手方向に「単一ファイル」で通過させるような直径を有し得る。いくつかの実施形態においては、チャネル715は、試料ホルダ708を通って延在するマイクロ流体システムの一部であるものとしてもよい。例えば、試料ホルダ708は、マイクロ流体チップであるものとしてもよく、チャネル715は、撮像され得るチップの透明な領域を通るマイクロ流体フローチャネルを表すことができる。
【0079】
いくつかの実施形態においては、試料ホルダ708は、試料706(及び/又は流体713)をチャネル715に充填するために又はチャネル715を空にするために使用され得るポートを含み得る。いくつかの実施形態においては、チャネルは、その長手方向に沿ってサイズ及び/又は形状を変えることができる。いくつかの実施形態においては、それらは、複数の別個のチャネル715であるものとしてもよく、例えば、図5の平行なトラフ515と同様の複数の平行なチャネル715であるものとしてよい。いくつかの実施形態においては、それらは、複数の平行な区分を有する1つの長いチャネル715であるものとしてもよい(例えば、チャネル715は、それ自体に1回以上スイッチバックすることができる)。
【0080】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、フローチャネル及び光学面を有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。試料ホルダ808は、(図7のチャネル715と同様の)チャネル、並びに、(図5の光学面517及び519並びに図6の617/619と同様の)第1及び第2の光学面817及び819を有する。
【0081】
第1の光学面817及び第2の光学面819は、いくつかの実施形態においては、試料ホルダ808の底部面から延在する試料ホルダ808の材料の突出部のファセットであるものとしてもよい。チャネル815は、第1の光学面817及び第2の光学面819に対応する平坦な表面を有していない形状を有し得る。例えば、図8に示すように、チャネル815は、円形の断面を有し得るが、第1及び第2の光学面817及び819は、概ね三角形の断面を有する突出部を形成し得る。
【0082】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、フローチャネルと光学面とを有するモジュール式試料ホルダの側面図及び上面図である。図9の試料ホルダ908は、試料ホルダ908のチャネル915が、第1の光学面917及び第2の光学面919がそれらの前面に対して平行である裏面を有するような形状であることを除いて、概ね図8の試料ホルダ808と同様であるものとしてよい。例えば、チャネル915は、チャネル915が「蓋」を有することを除いて、図5のトラフ515及び/又は図6のウェル615と同様の一般的な断面を有し得る。いくつかの実施形態においては、チャネル915は、試料ホルダ908の材料を通して切断されるものとしてもよく、試料ホルダ908は、一体型の本体であるものとしてもよい。いくつかの実施形態においては、チャネル915は、試料ホルダ908の残余の部分の材料と同一であっても異なっていてもよい「蓋」によって覆われていてもよい。
【0083】
図10A乃至図10Bは、本開示のいくつかの実施形態による、それぞれ、開放フローセルと、密閉フローセルとを有する試料ホルダの側方断面図である。試料ホルダ1000a及び1000bは、試料ホルダ1000aが当該試料ホルダの材料によって密閉されているのに対して、試料ホルダ1000bは、周囲環境(例えば、空気)に対して開放されていることを除いて、互いに概ね類似していてもよい。簡潔化のために、フローセル1000aのみを詳細に説明する。いくつかの実施形態においては、試料ホルダ1000a(又は1000b)のフローセルは、それぞれ、図3乃至図9の試料ホルダ308乃至908の幾何学形状のいずれかに組み込まれてもよい。
【0084】
試料ホルダ1000aは、入口1021及び出口1023を含む。入口は、循環流体1013をチャンバに供給することができるのに対して、出口1023は、循環流体1013を排出することができる。循環流体1013は、このようにしてチャンバを通って流すことができる。いくつかの実施形態においては、1つ以上の異なる循環流体1013が、試料の自動化された処理を実行するために試料1008を横切って流されるものとしてもよい。例えば、試料1008は、試料1008を横切って異なる試薬を流すことによって、その場でラベリングされるものとしてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態においては、試料ホルダ1000a及び1000bは、試料ホルダ1000a及び1000bが顕微鏡内において位置決めされたときに、顕微鏡の対応する入口ポート及び出口ポートと嵌合し得る入口ポート1021と出口ポート1023とを含み得る。
【0086】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による、異なる浸漬流体と、試料ホルダ材料との互換性チャートである。このチャート1100は、異なる浸漬流体(例えば、図1の112)と、異なる試料ホルダ材料(例えば、図1の108)との相互作用の光学モデリングに基づいてもよい。試料ホルダが2種類以上の材料を含むいくつかの実施形態においては、試料ホルダ材料は、照明及び集光パスと相互作用する試料ホルダの部分で使用される材料を表すことができる。例えば、試料ホルダ材料は、第1及び第2の光学面(例えば、図5の517及び519)の材料を表すことができる。
【0087】
横列は、それぞれがその屈折率と共にリストアップされた異なるタイプの浸漬流体を表す。縦列は、異なるタイプの試料ホルダ材料を表す。浸漬流体と試料ホルダ材料との交差箇所にある各ボックスの陰影は、著しい収差のない試料ホルダ材料の最大厚さを表す。この最大厚さはミリメートルで表され、また、浸漬流体が試料ホルダの構造部の損傷原因となる組合せについては「化学的に不適合」と示される。
【0088】
本明細書全体を通して、種々の例示値が示されている。実際のシステムにおいては完全な位置合わせが不可能な場合があるため、これらの値は概算値であることを理解すべきである。従って、「垂直」又は「直交」などで表現される値は、実際の値が所期の角度の許容範囲内にある可能性もある「ほぼ90°」を表す値として解釈されるべきである。例えば、直交していると表現された2つのものは、互いに85°乃至95°からなる範囲のどこかに位置決めされるものとしてもよい。その他の角度や測定値についても同様に解釈すべきである。同様に、「光」などの用語も、本明細書全体を通して電磁放射を指すために使用されている。本開示の実施形態は、可視スペクトル内の波長に限定されるものではない。本明細書全体を通してリストアップされている種々の例示の材料は、特定の波長範囲にわたって特定の光学特性を有し得るものであり、利用する電磁放射の波長に基づいて他の材料を使用するものとしてもよいことを理解すべきである。例えば、遠紫外線を使用する場合には、試料ホルダの光学面は遠紫外線に対して透過的な材料で作られてもよい。
【0089】
実施例
以下においては、本明細書に記載された1つ以上の態様を実装、操作及び/又はモデル化するために使用され得る例示的な詳細が与えられる。本明細書に記載されている特定の詳細は、特定の例についてのみであり、記載されている詳細は、他の例示的な実施形態においては異なっていてもよいことを理解すべきである。
【0090】
マルチ浸漬オープントップ型光シート顕微鏡
モジュール式試料ホルダを有する顕微鏡の光学回路図は、光線追跡ソフトウェアを用いてモデル化されている。照明光は、デジタル制御されたレーザパッケージからの開口数0.12のシングルモードファイバによってシステムに結合される。ファイバから出た光(ガウスプロファイル)は、レンズL1(f=19mm)で平行化され、次いで、多方向照明を供給するために、C1(f=50mm)及びC2(f=150mm)のレンズで構成される3倍の円柱型望遠鏡を用いて1つの軸に沿って拡大される。次いで、その結果として得られた楕円状ガウスビームは、R1(f=100mm)とR2(Thorlabs、f=50mm)のレンズを用いて走査ガルバノメーターGMに中継される。走査ミラーは、波形発生器から周波数800Hzの正弦波電圧で駆動される。走査ビームは、SL(f=70mm)の走査レンズとTL1(f=200mm)の円柱レンズとを用いて照明対物レンズの後側焦点面に中継される。最後に、楕円状ビームは、平凸レンズ(R=34.5mm)、浸漬媒体、ホルダを通って最終的に標本に達する。
【0091】
蛍光は、総ての浸漬媒体に対して1μm未満の面内解像度を提供するマルチ浸漬対物レンズによって集光され、405nm、488nm、561nm及び638nmの励起波長用のバンドパスフィルタを有する電動フィルタホイールを用いてフィルタリングされる。フィルタリングされた蛍光は、円柱レンズTL2(f=165mm)により、2048×2048画素のsCMOSカメラに集束される。円柱レンズによる0.45μm/画素までのナイキストサンプリングを提供し、これは、カメラの2048画素にわたって0.9mmまでの水平視野を提供する。垂直視野は、照明光シートの焦点深度(110μmまで)に合わせて256画素に低減される。この256画素は、1.25msの露光時間と、800Hzのフレームレートとを提供するカメラのローリングシャッタ読み取り方向に対して平行に配向されている。最大撮像深度は、ホルダと集光対物レンズとの物理的な離間距離(0.5cm)によって制限されるものとしてもよい。照明対物、SIL及び集光対物レンズは、アルミニウム製のマウントを介して浸漬チャンバとインタフェースする。
【0092】
画像ストリップは、電動XYステージとZアクチュエータとを用いて、ステージ走査と横/縦方向のタイリングとを組み合わせて収集される。ステージ走査のファームウェアは、各画像ストリップの再現可能な位置決め開始(<1μm)のために、XYステージからsCMOSカメラにTTLトリガ信号を送信するために使用される。連続したフレーム間の空間間隔は、0.32μmまでに設定されており、これは、800Hzのカメラフレームレートが与えられた場合、0.25mm/秒までの一定のステージ速度に対応する。横方向のタイリングでは、隣接する画像ストリップ間の0.8mmのオフセットが使用される(11%までのオーバーラップ)。縦方向のタイリングでは、110μmの焦点深度が45°で配向され、これは80μmまでの画像ストリップの高さに対応する。それゆえ、70μmの垂直タイリングオフセットが使用される(12%までのオーバーラップ)。レーザ出力は、照明光シートが標本の深部に浸透する際の減衰を考慮して、ユーザが定義した減衰係数P=P×exp(z/μ)ごとに深度と共に増加する。画像取得全体は、プログラムによって制御される。このプログラムは、複数の標本の撮像、複数のカラーチャネルの収集、及び、横方向/縦方向のタイリングのための一連のネストループからなる。
【0093】
データ処理及び可視化
収集されたデータセットは、2Dや3Dで視覚化される前に、前処理ルーチンを受ける。各画像ストライプは、単一のDCIMGファイルに格納される。これらのDCIMGファイルは、DLLによってRAMに読み込まれ、最初は45度でスキュー除去される。連続するフレーム間の間隔を設定することによって、このスキュー除去は、画像ストリップ内の画素の各平面を整数画素オフセットでシフトすることによって行われる。この操作は、計算コストの高いアフィン変換を用いた代替的なスキュー除去手段と比較して、比較的高速であるものとしてもよい。次いで、データは、RAMからディスクに、階層的データ形式(HDF5)を使用してメタデータと、BigStitcheを用いた後からの分析のために構造化されたXMLファイルで書き込まれる。sCMOSカメラのノイズ限界内にある10倍までの圧縮を提供するために、カスタムHDF5圧縮フィルタ(B3D)がデフォルトのパラメータで使用される。この前処理ルーチンは、総てのDCIMGファイルに適用され、その結果として最終的には単一のHDF5/XMLファイルが得られる。総ての画像ストリップの位置合わせが行われ、最終的にはTIFFファイル又はHDF5ファイル形式においてディスクに融合される。結果として得られたTIFF及びHDF5ファイルは、次いで、オープンソースや商用パッケージを使用して視覚化される。任意選択的に偽色の擬似H&E組織画像を提供するために、Beer-Lambert着色アルゴリズムが適用されるものとしてもよい。
【0094】
試料ホルダ
総てのホルダは、アルミニウム製のアダプタプレートを使用して電動XYステージに取り付けられる。マウスの脳のスライスについては、10×10cmの断面を有する1mm厚の融解石英窓がUV硬化接着剤を使用してアダプタプレートに取り付けられた。Ce3Dを使用してクリアリングされたマウスの臓器は、カスタマイズした6ウェルプレート上で撮像される。ポリスチレン製の6ウェルプレートの底部面が除去され、0.5mm厚のPMMAプレートに置き換えられる。展開された腎臓標本のために、「ドラムヘッド」が作製され、顕微鏡への取り付けのために適合化された。このドラムヘッドは、押し出された開口部上に厚さ0.1mmのFEPフィルムをぴんと張り、これは展開された標本の撮像に役立つ場合がある。FEPフィルムの疎水性(これは展開した標本のドリフトを引き起こす可能性がある)を克服するために、FEPフィルムの上面が、FEP表面への標本の電荷に基づく接着のために0.1%(w/v)のポリリジンで処理される。ヒトの前立腺生検では、HIVEXレンズブランクが購入され機械加工された。このシステムは、市販のスライドホルダを使用して、従来の蛍光ラベル付き組織学スライドの全体用スライドスキャナとしても使用することができる。
【0095】
光学的シミュレーション
光学的シミュレーションは、マルチ浸漬対物レンズの「ブラックボックス」モデルを用いた光線追跡ソフトウェアを使用して行われた。図11に示すシミュレーションにおいては、浸漬媒体及び標本の基本屈折率をn=1.45と仮定し、光路差を変化させている。総てのシナリオについて、撮像深度は1mmに設定され、PSFは、撮像視野の中心で測定した。浸漬媒体と標本の光学特性とが同一であるとの仮定の下では、ストレール比と光路差との間の同様の関係が、他のベース屈折率や撮像深度についても観察された。
【0096】
本明細書に示されている詳細は、一例として、本発明の好適な実施形態の例示的な議論を目的としているだけであり、本発明の種々の実施形態の原理及び概念的な態様について、最も有用で容易に理解できる説明と考えられるものを提供する理由で提示されている。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要と思われる以上の本発明の構造的な詳細を示す試みはなされておらず、図面及び/又は実施例と共に取られる説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにするものである。
【0097】
もちろん、本明細書に記載された例、実施形態、又は、プロセスのいずれか1つが、1つ以上の他の例、実施形態及び/又はプロセスと組み合わせられてもよいこと、本システム、装置及び方法に従って、別個の装置若しくは装置部分の間において分離及び/又は実行されるものとしてもよいことも理解されるべきである。
【0098】
「上面」及び「側面」などの用語は、説明を容易にするために使用されており、種々の構成要素の相対的な位置決めを示すことだけを意図したものであることを理解すべきである。他の実施形態においては、構成要素の他の配置構成を使用することができる。種々の構成要素及び操作は、特定の光の波長に関して説明される場合がある。そのため他の波長(可視スペクトル外の波長など)が使用されるであろうこと、また、本明細書で使用される光は、任意の電磁放射を表す場合があることも理解すべきである。特定の材料は、その光学的特性(例えば、透過性)の観点から説明される場合があり、そのため所期の特性を有する材料は、システムによって使用される光の任意の波長のために選択される場合もあることを理解すべきである。
【0099】
最後に、上述の議論は、本発明に係るシステムを単に例示することを意図したものであり、添付の特許請求の範囲をいずれかの特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものと解釈されるべきではない。従って、本発明に係るシステムは、例示的な実施形態を参照して特に詳細に説明されてきたが、以下の特許請求の範囲に記載されている本発明に係るシステムの広範に意図された精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更形態及び代替的な実施形態が当業者によって考案される場合もあることを理解すべきである。従って、本明細書及び図面は例示的なものとみなされるべきであり、添付の請求項の範囲の限定を意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明パスに沿って照明光を試料に向けるように構成された照明光学装置と、
集光パスに沿って前記試料からの光を受け取るように構成された集光光学装置と、
浸漬媒体を保持するように構成された浸漬チャンバと、
前記試料を支持するように構成された試料ホルダと、
を備える装置であって、
前記試料ホルダは、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを含み、
前記第2の表面は、浸漬媒体に隣接し、
前記第2の表面は、前記照明パスに対して概ね垂直である、前記照明パスに沿った第1の光学面と、前記集光パスに対して概ね垂直である、前記集光パスに沿った第2の光学面とを含む、装置。
【外国語明細書】