(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178272
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
H10K 59/80 20230101AFI20241217BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/14 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/814 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/824 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241217BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H10K59/80
H10K59/35
H10K50/10 321
H10K50/14
H10K50/17
H10K50/18
H10K50/814
H10K50/824
H10K59/10
H10K59/35 553
G09F9/30 339Z
G09F9/30 365
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160664
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2023097508の分割
【原出願日】2018-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2017230849
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018095869
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】中村 太紀
(72)【発明者】
【氏名】江口 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】青山 智哉
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 希
(72)【発明者】
【氏名】丸山 純矢
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将孝
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表示パネルの表示ムラを抑制する。画素の開口率の高い表示パネルを提供する。
【解決手段】第1の画素電極、第2の画素電極、第3の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、第3の発光層、第1の共通層、第2の共通層、共通電極、及び補助配線を有する、表示パネルである。第1の共通層は、第1の画素電極上及び第2の画素電極上に位置する。第1の共通層は、第1の発光層と重なる部分と、第2の発光層と重なる部分と、を有する。第2の共通層は、第3の画素電極上に位置する。第2の共通層は、第3の発光層と重なる部分を有する。共通電極は、第1の共通層及び第1の発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、第1の共通層及び第2の発光層を介して第2の画素電極と重なる部分と、第2の共通層及び第3の発光層を介して第3の画素電極と重なる部分と、補助配線の上面に接する部分と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素電極、第2の画素電極、第3の画素電極、第1の発光層、第2の発光層、第3の発光層、第1の共通層、第2の共通層、共通電極、及び補助配線を有し、
前記第1の発光層は、前記第1の画素電極上に位置し、
前記第2の発光層は、前記第2の画素電極上に位置し、
前記第3の発光層は、前記第3の画素電極上に位置し、
前記第1の発光層は、前記第2の発光層と異なる色の光を発する機能を有し、
前記第1の発光層は、前記第3の発光層と同じ色の光を発する機能を有し、
前記第1の共通層は、前記第1の画素電極上及び前記第2の画素電極上に位置し、
前記第1の共通層は、前記第1の発光層と重なる部分と、前記第2の発光層と重なる部分と、を有し、
前記第2の共通層は、前記第3の画素電極上に位置し、
前記第2の共通層は、前記第3の発光層と重なる部分を有し、
前記共通電極は、前記第1の共通層及び前記第1の発光層を介して前記第1の画素電極と重なる部分と、前記第1の共通層及び前記第2の発光層を介して前記第2の画素電極と重なる部分と、前記第2の共通層及び前記第3の発光層を介して前記第3の画素電極と重なる部分と、前記補助配線の上面に接する部分と、を有する、表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示パネル、表示装置、表示モジュール、電子機器、表示パネルの作
製方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野と
しては、半導体装置、表示装置、発光装置、電子機器、照明装置、入出力装置(例えば、
タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げること
ができる。
【背景技術】
【0003】
近年、解像度の高い表示パネルが求められている。例えば、フルハイビジョン(画素数1
920×1080)、4K(画素数3840×2160もしくは4096×2160等)
、さらには8K(画素数7680×4320もしくは8192×4320等)といった画
素数の多い表示パネルが盛んに開発されている。
【0004】
また、表示パネルの大型化が求められている。例えば、家庭用のテレビジョン装置では、
画面サイズが対角50インチを超えるものが主流となっている。画面のサイズが大きく画
素数が多いほど、一度に表示可能な情報量を多くできるため、デジタルサイネージ等では
更なる大画面化が求められている。
【0005】
エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す
)現象を利用した発光素子(EL素子とも記す)は、薄型軽量化が容易である、入力信号
に対し高速に応答可能である、直流低電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、
表示パネルへの応用が検討されている。例えば、特許文献1に、有機EL素子が適用され
た、可撓性を有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上面射出(トップエミッション)構造の表示パネルは、トランジスタ、容量素子、及び配
線等を、発光素子の発光領域と重ねて配置することができるため、下面射出(ボトムエミ
ッション)構造の表示パネルに比べて、画素の開口率を高めることができる。一方で、ト
ップエミッション構造の表示パネルでは、発光素子が発した光を、共通電極を介して外部
に取り出すため、共通電極が可視光を透過する必要がある。可視光を透過する導電材料を
用いることで、共通電極の抵抗が高くなるという問題が生じる。共通電極の抵抗に起因す
る電圧降下が生じることで、表示面内の電位分布が不均一になり、発光素子の輝度がばら
ついて、表示品位が低下してしまう。
【0008】
本発明の一態様は、表示パネルまたは表示装置の表示ムラまたは輝度ムラの抑制を課題の
一とする。本発明の一態様は、表示品位の高い表示パネルまたは表示装置を提供すること
を課題の一とする。本発明の一態様は、画素の開口率の高い表示パネルまたは表示装置を
提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、信頼性の高い表示パネルまたは表示
装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
本発明の一態様は、表示装置の大型化を課題の一とする。本発明の一態様は、継ぎ目が視
認されにくい広い表示領域を有する表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の
一態様は、表示装置の薄型化または軽量化を課題の一とする。本発明の一態様は、曲面に
沿って表示することが可能な表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様
は、一覧性に優れた表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規
な表示パネルまたは表示装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は
、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求
項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1の画素電極、第2の画素電極、第3の画素電極、第1の発光層、
第2の発光層、第3の発光層、第1の共通層、第2の共通層、共通電極、及び補助配線を
有する、表示パネルである。第1の発光層は、第1の画素電極上に位置する。第2の発光
層は、第2の画素電極上に位置する。第3の発光層は、第3の画素電極上に位置する。第
1の発光層は、第2の発光層と異なる色の光を発する機能を有する。第1の発光層は、第
3の発光層と同じ色の光を発する機能を有する。第1の共通層は、第1の画素電極上及び
第2の画素電極上に位置する。第1の共通層は、第1の発光層と重なる部分と、第2の発
光層と重なる部分と、を有する。第2の共通層は、第3の画素電極上に位置する。第2の
共通層は、第3の発光層と重なる部分を有する。共通電極は、第1の共通層及び第1の発
光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、第1の共通層及び第2の発光層を介して第
2の画素電極と重なる部分と、第2の共通層及び第3の発光層を介して第3の画素電極と
重なる部分と、補助配線の上面に接する部分と、を有する。第1の共通層は、第2の共通
層と接する部分を有していてもよい。第1の共通層は、第2の共通層と重なる部分を有し
ていてもよい。
【0012】
第1の共通層は、第1の画素電極と第1の発光層との間に位置してもよい。第1の共通層
は、第1の発光層と共通電極との間に位置してもよい。
【0013】
本発明の一態様は、第1の画素電極、第2の画素電極、第3の画素電極、第1の有機化合
物層、第2の有機化合物層、共通電極、及び補助配線を有する表示パネルである。第1の
有機化合物層は、第1の画素電極上及び第2の画素電極上に位置する。第2の有機化合物
層は、第3の画素電極上に位置する。第1の有機化合物層は、第2の有機化合物層と同じ
色の光を発する機能を有する。共通電極は、第1の有機化合物層を介して第1の画素電極
と重なる部分と、第1の有機化合物層を介して第2の画素電極と重なる部分と、第2の有
機化合物層を介して第3の画素電極と重なる部分と、補助配線の上面に接する部分と、を
有する。第1の有機化合物層は、第2の有機化合物層と接する部分を有していてもよい。
第1の有機化合物層は、第2の有機化合物層と重なる部分を有していてもよい。
【0014】
第1の有機化合物層と第2の有機化合物層は、それぞれ、複数の発光層を積層して有して
いてもよい。第1の有機化合物層と第2の有機化合物層は、白色の光を発する機能を有し
ていてもよい。
【0015】
補助配線は、第1の画素電極と同一面上に位置してもよい。
【0016】
上記各構成の表示パネルは、さらにトランジスタを有していてもよく、補助配線は、トラ
ンジスタが有するゲート電極またはソース電極と同一面上に位置してもよい。
【0017】
第1の画素電極、第2の画素電極、及び第3の画素電極は、それぞれ、反射電極と、反射
電極上の透明電極と、を有してもよい。
【0018】
共通電極は、可視光に対する透過性及び反射性の双方を有していてもよい。
【0019】
補助配線は、第1の画素電極、第2の画素電極、及び第3の画素電極と重ならないことが
好ましい。
【0020】
本発明の一態様は、上記のいずれかの構成の表示パネルと、コネクタまたは集積回路と、
を有する、表示モジュールである。
【0021】
本発明の一態様は、第1の表示パネル及び第2の表示パネルを有する表示装置である。第
1の表示パネル及び第2の表示パネルは、それぞれ、上記のいずれかの構成の表示パネル
である。第1の表示パネルは、第1の表示領域を有する。第2の表示パネルは、第2の表
示領域及び可視光を透過する領域を有する。第2の表示領域は、可視光を透過する領域と
隣接する。第1の表示領域は、可視光を透過する領域と重なる部分を有する。
【0022】
本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルと、第1の衝撃緩和層と、第2の衝撃緩和
層と、第1の支持体と、第2の支持体と、第1の歯車と、第2の歯車と、を有する表示装
置である。表示パネルは、第1の衝撃緩和層と第2の衝撃緩和層との間に位置する。第1
の支持体及び第2の支持体は、それぞれ、第1の衝撃緩和層を介して、表示パネルと重な
る。第1の支持体は、第1の歯車と接続される。第2の支持体は、第2の歯車と接続され
る。第1の歯車と第2の歯車が互いにかみ合うことで、第1の支持体と第2の支持体の動
きは同期されている。第1の衝撃緩和層は、第1の支持体に固定されている領域と、第2
の支持体に固定されている領域と、第1の支持体及び第2の支持体のどちらにも固定され
ていない領域と、を有する。表示装置は、第1の支持体と第2の支持体が略同一平面に位
置する展開状態及び第1の支持体と第2の支持体が互いに重なる曲げ状態の一方から他方
に変形するよう構成されている。曲げ状態では、表示パネルの表示面が内側にくるよう、
表示パネルが曲げられる。第1の衝撃緩和層及び第2の衝撃緩和層は、それぞれ、ウレタ
ン、アクリル、及びシリコーンのうち少なくとも一つを有することが好ましい。
【0023】
本発明の一態様は、上記いずれかの構成の表示装置と、アンテナ、バッテリ(二次電池な
ど)、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち少なくとも一つと、を有
する、電子機器である。
【0024】
本発明の一態様は、絶縁表面上に、第1の画素電極、第2の画素電極、及び第3の画素電
極を形成し、第1の画素電極及び第2の画素電極上に第1の共通層を形成し、第1の共通
層の形成工程とは別の工程で、第3の画素電極上に第2の共通層を形成し、第1のマスク
を用いて、第1の画素電極上に第1の発光層を形成し、かつ、第3の画素電極上に第3の
発光層を形成し、第1の発光層の形成工程とは別の工程で、第2のマスクを用いて、第2
の画素電極上に第2の発光層を形成し、第1の共通層、第2の共通層、第1の発光層、第
2の発光層、及び第3の発光層上に共通電極を形成する、表示パネルの作製方法である。
【0025】
上記作製方法において、第3のマスクを用いて、第1の共通層を形成し、第1の共通層を
形成した後、第3のマスクを絶縁表面に対して平行に1画素分移動させてから、第3のマ
スクを用いて、第2の共通層を形成してもよい。または、上記作製方法において、第3の
マスクを用いて、第1の共通層を形成し、第4のマスクを用いて、第2の共通層を形成し
てもよい。このとき、第3のマスクの開口パターンは、第4のマスクの開口パターンに対
して1画素分ずれている。
【0026】
本発明の一態様は、絶縁表面上に、第1の画素電極、第2の画素電極、及び第3の画素電
極を形成し、第1の画素電極及び第2の画素電極上に第1の有機化合物層を形成し、第1
の有機化合物層の形成工程とは別の工程で、第3の画素電極上に第2の有機化合物層を形
成し、第1の有機化合物層及び第2の有機化合物層上に共通電極を形成する、表示パネル
の作製方法である。第1の有機化合物層は、第2の有機化合物層と同じ色の光を発する機
能を有する。
【0027】
上記作製方法において、第1のマスクを用いて、第1の有機化合物層を形成し、第1の有
機化合物層を形成した後、第1のマスクを絶縁表面に対して平行に1画素分移動させてか
ら、第1のマスクを用いて、第2の有機化合物層を形成してもよい。または、上記作製方
法において、第1のマスクを用いて、第1の有機化合物層を形成し、第2のマスクを用い
て、第2の有機化合物層を形成してもよい。このとき、第1のマスクの開口パターンは、
第2のマスクの開口パターンに対して1画素分ずれている。
【0028】
上記各作製方法において、第1の画素電極、第2の画素電極、及び第3の画素電極の形成
工程と同一の工程で、補助配線を形成してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様により、表示パネルまたは表示装置の表示ムラまたは輝度ムラの抑制が可
能となる。本発明の一態様により、表示品位の高い表示パネルまたは表示装置を提供でき
る。本発明の一態様は、画素の開口率の高い表示パネルまたは表示装置を提供できる。本
発明の一態様により、信頼性の高い表示パネルまたは表示装置を提供できる。
【0030】
本発明の一態様により、表示装置の大型化が可能となる。本発明の一態様により、継ぎ目
が視認されにくい広い表示領域を有する表示装置を提供できる。本発明の一態様により、
表示装置の薄型化または軽量化が可能となる。本発明の一態様により、曲面に沿って表示
することが可能な表示装置を提供できる。本発明の一態様により、一覧性に優れた表示装
置を提供できる。本発明の一態様により、新規な表示パネルまたは表示装置を提供できる
。
【0031】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は
、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から
、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(A)表示パネルの一例を示す上面図。(B)(C)表示パネルの一例を示す断面図。
【
図2】(A)(B)表示パネルの一例を示す上面図。(C)(D)表示パネルの一例を示す断面図。
【
図7】(A)(C)表示パネルの一例を示す上面図。(B)表示パネルの一例を示す断面図。
【
図9】(A)(C)比較例の表示パネルを示す上面図。(B)比較例の表示パネルを示す断面図。
【
図10】(A)表示パネルの一例を示す上面図(B)表示パネルの一例を示す断面図。
【
図12】(A)表示パネルの一例を示す上面図。(B)(C)表示パネルの配置例を示す斜視図。
【
図13】(A)(B)表示パネルの一例を示す上面図。(C)表示パネルの一例を示す断面図。
【
図17】(A)表示パネルの一例を示す上面図。(B)表示パネルの一例を示す断面図。
【
図18】表示パネルの作製方法の一例を示す断面図。
【
図20】(A)画素の一例を示すブロック図。(B)画素の一例を示す図。
【
図24】表示パネルの作製方法の一例を示す断面図。
【
図26】(A)表示パネルの一例を示す断面図。(B)表示パネルの一例を示す上面図。
【
図28】(A)(B)表示パネルの保存試験の試料を説明する斜視図。(C)~(F)表示パネルの保存試験の結果を示す写真。
【
図29】(A)(B)(C1)(D)表示パネルの貼り付け方法の一例を示す写真。(C2)表示パネルの貼り付け方法の一例を示す側面図。(E)表示パネルを示す写真。
【
図33】(A)(C)表示パネルの一例を示す下面図。(B)(D)表示パネルの一例を示す上面図。(E)表示装置の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0034】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同
一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の
機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0035】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際
の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ず
しも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0036】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じ
て、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」
という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「
絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネル及び表示装置について
図1~
図18を用
いて説明する。
【0038】
本実施の形態の表示パネルは、表示素子として発光素子を有する、トップエミッション構
造の表示パネルである。
【0039】
具体的には、本発明の一態様の表示パネルは、第1の画素電極、第2の画素電極、第3の
画素電極、第1の発光層、第2の発光層、第3の発光層、第1の共通層、第2の共通層、
共通電極、及び補助配線を有する。第1の発光層は、第1の画素電極上に位置する。第2
の発光層は、第2の画素電極上に位置する。第3の発光層は、第3の画素電極上に位置す
る。第1の発光層は、第2の発光層と異なる色の光を発する機能を有する。第1の発光層
は、第3の発光層と同じ色の光を発する機能を有する。第1の共通層は、第1の画素電極
上及び第2の画素電極上に位置する。第1の共通層は、第1の発光層と重なる部分と、第
2の発光層と重なる部分と、を有する。第2の共通層は、第3の画素電極上に位置する。
第2の共通層は、第3の発光層と重なる部分を有する。共通電極は、第1の共通層及び第
1の発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、第1の共通層及び第2の発光層を介
して第2の画素電極と重なる部分と、第2の共通層及び第3の発光層を介して第3の画素
電極と重なる部分と、補助配線の上面に接する部分と、を有する。
【0040】
発光素子の共通電極に補助配線を接続させることで、共通電極の抵抗に起因する電圧降下
を抑制し、表示品位の高い表示パネルを実現することができる。発光素子の共通層が、第
1の共通層と第2の共通層に分けて設けられることで、画素の開口率を高めることができ
る。そのため、表示パネルの画素部に補助配線を設けることで画素の開口率が低下するこ
とを、抑制できる。画素の開口率が高いほど、表示パネルにおいてある輝度を得るために
必要な副画素の輝度を低くすることができる。これにより、発光素子の寿命を延ばすこと
ができる。また、表示パネルは、高い輝度を表現することができる。
【0041】
[表示パネルの比較例]
図9(A)~(C)を用いて、比較例である、補助配線を有する表示パネルについて説明
する。
図9(A)に、表示パネルが有する画素電極111及び補助配線120の上面図を
示す。
図9(B)に、
図9(A)に示す一点鎖線X-Y間の断面図を示す。
【0042】
図9(A)に示すように、同一面(
図9(B)では絶縁層101)上に、共通電極113
の補助配線120と画素電極111とを設けることができる。
図9(B)に示すように、
補助配線120上に絶縁層104の開口部を設け、かつEL層112を全層色ごとに塗り
分けることで、接続部122において、補助配線120と共通電極113とを接続させる
ことができる。
【0043】
ここで、一つの画素130が、赤色、緑色、青色(R、G、B)の3つの副画素で構成さ
れる場合を考える。EL層112の全層を色ごとに塗り分けようとすると成膜工程が非常
に多くなる。したがって、発光層を色ごとに塗り分ける場合であっても、正孔注入層、正
孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層などのうち、3色の副画素で共通の構成にできる
層は一括で成膜することが好ましい。
【0044】
図9(C)に、EL層112を形成する際に用いることができるメタルマスクの一例を示
す。マスク150を用いることで、3つの副画素で共通の構成の層(共通層)を一括で成
膜でき、かつ接続部122にはEL層112が成膜されない。しかし、マスクを使用する
場合、マスクの影の領域に蒸着材料が堆積することによるパターンのぼけや位置ずれが生
じる。したがって、接続部122にEL層112が成膜されないよう、2つの画素130
の間にはマスク150の非開口部が広く存在し(
図9(C)中の非開口部の幅W1参照)
、マスク150の開口率が小さくなってしまう。また、マスクにたわみが生じることを防
ぐために、マスクのテンションを十分に確保する必要性がある。マスクの強度を保つため
には、マスクの非開口部の幅を所定の長さよりも短くできないという問題もある。
【0045】
そこで、本発明の一態様では、EL層に含まれる共通層を2回に分けて形成する。共通層
を2回に分けて形成することで、共通層を1回で形成する場合に比べて、画素の開口率を
高めることができる。これにより、表示パネルの画素部に補助配線を設けても、画素の開
口率の低下を抑制できる。なお、共通層を3回以上に分けて形成することもできるが、成
膜工程が非常に多くなるため、2回が好ましい。以下、具体的な構成について説明する。
【0046】
[表示パネルの具体例1]
図1~
図7を用いて、本発明の一態様である、補助配線を有する表示パネルについて説明
する。
【0047】
図1(A)、
図2(A)、(B)に、それぞれ、表示パネルが有する共通層161a及び
共通層161bの上面図を示す。
図2(A)、(B)は、
図1(A)の変形例ともいえる
。
図1(B)に、
図1(A)に示す一点鎖線A1-A2間の断面図を示す。
図1(C)に
、
図1(A)に示す一点鎖線A11-A12間の断面図を示す。
図2(C)に、
図2(A
)に示す一点鎖線A3-A4間の断面図を示す。
図2(D)に、
図2(A)に示す一点鎖
線A5-A6間の断面図を示す。
【0048】
図1(A)に示すように、
図1(B)は、画素130aが有する赤色の副画素(R)及び
緑色の副画素(G)と、画素130aに隣接する画素130bが有する青色の副画素(B
)と、を含む断面図である。また、
図1(C)は、画素130aが有する赤色の副画素(
R)及び緑色の副画素(G)と、画素130aに隣接する画素130cが有する赤色の副
画素(R)と、を含む断面図である。
【0049】
図1(B)に示す表示パネルは、絶縁層101上に、画素電極111及び補助配線120
を有する。画素電極111の端部及び補助配線120の端部は、それぞれ、絶縁層104
によって覆われている。絶縁層104の開口を介して、画素電極111上にEL層が設け
られている。補助配線120及びEL層上には共通電極113が設けられている。共通電
極113は、複数の色の副画素、さらには複数の画素に共通して設けられる。
【0050】
EL層は、複数の色の副画素に共通して設けられる共通層(
図1(B)では、共通層16
1及び共通層165)と、色ごとに設けられる層(
図1(B)では発光層163)とを有
する。なお、共通層161aと共通層161bをまとめて共通層161と記すことがある
。同様に、各副画素が有する発光層をまとめて発光層163、共通層165aと共通層1
65bをまとめて共通層165と記すことがある。また、図中、各色の発光層の厚さは概
略等しく示すが、発光層の厚さは色ごとに異なっていてもよい。
【0051】
EL層が有する共通層は、画素電極と発光層の間に位置してもよく、発光層と共通電極の
間に位置してもよい。本実施の形態では、発光素子が、画素電極111と発光層163の
間に位置する共通層161と、発光層163と共通電極113の間に位置する共通層16
5の双方を有する例を示すが、発光素子は、共通層161及び共通層165のうち一方の
みを有していてもよい。
【0052】
図1(A)~(C)に示すように、同じ画素に含まれる複数の発光素子は、同じ共通層1
61(共通層161aまたは161b)を有し、隣り合う画素に含まれる2つの発光素子
は、一方が共通層161aを有し、他方が共通層161bを有する。
【0053】
画素電極111は、EL層を介して共通電極113と重なる。画素電極111及び共通電
極113の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側から正
孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再
結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0054】
接続部122において、補助配線120は共通電極113と接する。つまり、補助配線1
20は、共通電極113と電気的に接続されている。共通電極113が補助配線120と
電気的に接続されているため、共通電極113の抵抗に起因する電圧降下を抑制できる。
これにより、表示パネルの輝度ムラを抑制し、表示パネルの表示品位を高めることができ
る。なお、補助配線120は、画素電極111と重ならない。また、補助配線120は、
画素電極111と電気的に絶縁されている。
【0055】
画素130a及び画素130dにおいて、赤色の副画素(R)は、
図1(B)に示す発光
素子110Rを有する。発光素子110Rは、画素電極111、共通層161a、発光層
163R、共通層165a、及び共通電極113を有する。一方、画素130b及び画素
130cにおいて、赤色の副画素(R)が有する発光素子は、共通層161a及び共通層
165aを有さず、共通層161b及び共通層165bを有する(
図1(C)参照)。
【0056】
画素130a及び画素130dにおいて、緑色の副画素(G)は、
図1(B)に示す発光
素子110Gを有する。発光素子110Gは、画素電極111、共通層161a、発光層
163G、共通層165a、及び共通電極113を有する。一方、画素130b及び画素
130cにおいて、緑色の副画素(G)が有する発光素子は、共通層161a及び共通層
165aを有さず、共通層161b及び共通層165bを有する。
【0057】
画素130b及び画素130cにおいて、青色の副画素(B)は、
図1(B)に示す発光
素子110Bを有する。発光素子110Bは、画素電極111、共通層161b、発光層
163B、共通層165b、及び共通電極113を有する。一方、画素130a及び画素
130dにおいて、青色の副画素(B)が有する発光素子は、共通層161b及び共通層
165bを有さず、共通層161a及び共通層165aを有する。
【0058】
領域170において、共通層161aと共通層161bとは接する。同様に、領域170
において、共通層165aと共通層165bとは接する。領域170において、共通層1
65aは、共通層161a上に接している。同様に、領域170において、共通層165
bは、共通層161b上に接している。
【0059】
図1(A)に示すように、共通層161a及び共通層161bのどちらも設けられていな
い領域は、接続部122とその周囲のみである。つまり、共通層161が設けられていな
い複数の領域が、互いに離れて存在しているといえる。メタルマスクを用いて共通層16
1を1回で形成する場合、共通層161の形成されていない複数の領域を互いに離して形
成することは構造上困難である。そのため、
図1(A)に示す共通層161の上面レイア
ウトは、共通層161を複数回に分けて形成することで得られる特徴的なレイアウト、つ
まり、本発明の一態様における特徴的なレイアウトといえる。
【0060】
なお、成膜時のマスクの位置ずれなどによっては、
図2(A)~(D)に示すように、共
通層161aと共通層161bが重なる箇所、及び共通層161aと共通層161bが離
間する箇所が生じることがある。
【0061】
図2(A)では、画素130aが有する共通層161aが、画素130bが有する共通層
161bと重なっており、画素130cが有する共通層161bが、画素130dが有す
る共通層161aと離れている例を示す。
【0062】
図2(C)に示す領域171において、共通層161a上に共通層161bが位置してい
る。同様に、領域171において、共通層165a上に共通層165bが位置している。
【0063】
図2(D)に示す領域172において、共通層161aと共通層161bとは離れている
。同様に、領域172において、共通層165aと共通層165bとは離れている。
【0064】
図2(B)では、画素130a及び画素130dが有する共通層161aが、それぞれ、
画素130bが有する共通層161bと重なっており、画素130cが有する共通層16
1bと離れている。
【0065】
図2(A)、(B)においても、接続部122とその周囲には、共通層161a及び共通
層161bのどちらも設けられていない。つまり、共通層161が設けられていない複数
の領域が、互いに離れて存在している。
図2(A)、(B)に示す共通層161の上面レ
イアウトも、共通層161を複数回に分けて形成することで得られる特徴的なレイアウト
、つまり、本発明の一態様における特徴的なレイアウトといえる。
【0066】
なお、
図1(B)及び
図2(C)、(D)では、共通層161の端部と共通層165の端
部が揃っている例を示したが、これに限られない。
【0067】
本発明の一態様の表示パネルは、トップエミッション構造であるため、画素電極111は
、光を取り出さない側の電極である。画素電極111は、可視光を反射する導電膜を有す
ることが好ましい。また、発光素子に微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を適用す
る場合、画素電極111は、反射電極であることが好ましい。反射電極の可視光の反射率
は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。
【0068】
本発明の一態様の表示パネルでは、同じ導電膜を加工することで、画素電極111及び補
助配線120を作製することができる。画素電極111及び補助配線120に用いる材料
の抵抗率は、共通電極113に用いる材料の抵抗率よりも低いことが好ましい。
【0069】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングス
テン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又は
これら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料又は合金に、ラン
タン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、アルミニウムとチ
タンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニ
ウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金
(アルミニウム合金)、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、
APCとも記す)、又は銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いて形成すること
ができる。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金
膜に接する金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制
することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが
挙げられる。また、後述する可視光を透過する導電膜と金属材料または合金を含む膜とを
積層してもよい。例えば、銀とインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin O
xide)の積層膜、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いることができ
る。
【0070】
EL層は、少なくとも発光層を有する。EL層は、複数の発光層を有していてもよい。E
L層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブ
ロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(
電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。EL層は
、1種または複数種の発光物質を含む。発光物質は、有機化合物であっても無機化合物で
あってもよい。
【0071】
共通層161は、正孔注入層を有することが好ましい。共通層161は、さらに、正孔輸
送層を有していてもよい。共通層165は、電子注入層を有することが好ましい。共通層
165は、さらに、電子輸送層を有していてもよい。
【0072】
正孔注入層は、陽極からEL層に正孔(ホール)を注入する層であり、正孔注入性の高い
材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料とアクセプター性
材料(電子受容性材料)を含む複合材料を用いることが好ましい。
【0073】
正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層であ
り、正孔輸送性材料を含む層である。
【0074】
発光層は、発光物質を含む層である。なお、発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑
色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。複数の発光層に
異なる発光物質を用いることにより異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にあ
る発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。さらに、一つの発光層
が異なる発光物質を有する積層構造であってもよい。発光層に用いることができる発光物
質としては、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物
質、または三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いることがで
きる。一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光
材料)が挙げられる。また、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例
えば、燐光を発する物質(燐光材料)、及び、熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光
(Thermally activated delayed fluorescenc
e:TADF)材料が挙げられる。青色発光物質として一重項励起エネルギーを可視光領
域の発光に換える発光物質を用い、緑色及び赤色発光物質としては三重項励起エネルギー
を可視光領域の発光に変える発光物質を用いると、RGBのスペクトルバランスが良くな
るため好ましい。発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の化合
物(ホスト材料、アシスト材料)を有していてもよい。ホスト材料、アシスト材料として
は、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有す
る物質を、一種もしくは複数種選択して用いることができる。ホスト材料、アシスト材料
としては、励起錯体を形成する化合物を組み合わせて用いることが好ましい。効率よく励
起錯体を形成するためには、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を
受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。
【0075】
電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層であ
り、電子輸送性材料を含む層である。
【0076】
電子注入層は、陰極からEL層に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む
層である。
【0077】
発光素子にマイクロキャビティ構造を適用する場合、電極またはEL層によって、光学調
整を行うことができる。EL層を構成する層の少なくとも一層を用いて光学調整を行う場
合、当該層を発光層と同様に色ごとに設けてもよい。例えば、正孔輸送層を色ごとに異な
る厚さで形成することで、光学調整を行ってもよい。
【0078】
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物
(量子ドット材料等)を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(
真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成するこ
とができる。
【0079】
発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発
生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0080】
本発明の一態様では、量子ドットなどの無機化合物を用いた発光素子を適用してもよい。
【0081】
共通電極113は、光を取り出す側の電極である。共通電極113は、可視光を透過する
導電膜を有することが好ましい。また、発光素子にマイクロキャビティ構造を適用する場
合、共通電極113は、可視光に対する透過性及び反射性の双方を有していることが好ま
しく、半透過・半反射電極であることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率
は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。
【0082】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、ITO、インジウム亜鉛酸化物、
酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム亜鉛酸化物(Ga-Zn酸化物)、アルミニウム亜鉛酸化
物(Al-Zn酸化物)などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグ
ネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウ
ム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれら金属材料の窒
化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いること
ができる。また、上記材料の積層膜を導電膜として用いることができる。例えば、銀とマ
グネシウムの合金とITOの積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好
ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0083】
画素電極111及び共通電極113は、それぞれ、蒸着法又はスパッタリング法を用いて
形成することができる。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法な
どの印刷法、又はメッキ法を用いて形成することができる。
【0084】
図1(B)に示す表示パネルの作製方法について、
図3~
図6を用いて説明する。
【0085】
なお、表示パネルを構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法
、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、
真空蒸着法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Depositi
on)法、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法
等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECV
D:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposit
ion)法や、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(M
OCVD:Metal Organic CVD)法を使ってもよい。
【0086】
表示パネルを構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ
、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ド
クターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法
により形成することができる。
【0087】
表示パネルを構成する薄膜を加工する際には、リソグラフィ法等を用いて加工することが
できる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成してもよい。ま
たは、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工して
もよい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して
、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と、感光性を有
する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法と
、がある。
【0088】
リソグラフィ法において光を用いる場合、露光に用いる光は、例えばi線(波長365n
m)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光
を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を
用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用い
る光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra-violet)やX線
を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極
端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好まし
い。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマ
スクは不要である。
【0089】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法
などを用いることができる。
【0090】
まず、絶縁層101上に導電膜131を形成する(
図3(A))。
【0091】
次に、導電膜131を加工することで、絶縁層101上に画素電極111及び補助配線1
20を形成する(
図3(B))。次に、画素電極111の端部及び補助配線120の端部
を覆うように絶縁層104を形成する(
図3(C))。画素電極111の上面及び補助配
線120の上面が露出するよう、絶縁層104には開口を設ける。
【0092】
次に、マスク155を用いて、共通層161aを形成する(
図3(C)、
図4(A))。
図4(A)に示すように、マスク155には、列方向、行方向ともに1画素おきに共通層
161aが形成されるように、開口が設けられている。
図4(A)に示す画素130aに
共通層161aが形成される際、画素130aと隣接する4つの画素には共通層161a
が形成されない。例えば共通層161aは、画素130a及び画素130dに相当する領
域に形成され、画素130b、画素130c、及び接続部122に相当する領域には形成
されない。マスク155としては、メタルマスクが好適である。
【0093】
次に、マスク155を絶縁層101に対して平行に1画素分移動させる。マスク155を
移動させる方向は、一方向とし、画素配列における列方向であっても行方向であってもよ
い。
【0094】
次に、マスク155を用いて、共通層161bを形成する(
図3(D)、
図4(B))。
図4(B)に示すように、マスク155を1画素分ずらすことで、共通層161aが形成
されていない画素に、共通層161bが形成される。例えば、共通層161bは、画素1
30b及び画素130cに相当する領域に形成され、画素130a、画素130d、及び
接続部122に相当する領域には形成されない。
【0095】
なお、共通層161bの形成には、マスク155の開口パターンに対して、1画素分ずれ
た開口パターンを有する別のマスクを用いてもよい。
【0096】
図4(C)に示すように、共通層161を2回に分けて形成することで、共通層161を
全ての画素に形成でき、かつ、接続部122に形成されないようにすることができる。共
通層161を2回に分けて形成することで、共通層161を1回で形成する場合に比べて
、画素の開口率を高くすることができる。
【0097】
次に、発光層163B、発光層163G、発光層163Rをそれぞれ別の工程で形成する
(
図3(E)、
図5(A))。発光層の形成順は限定されない。
図3(E)では、発光層
163Bを最初に形成する例を示す。短波長の色の層から形成することで、別の色の画素
に意図せず発光材料などが入り込んでも表示不良を生じにくくできる場合がある。
【0098】
また、発光層以外の層も、色ごとに形成してもよい。例えば、共通層161として正孔注
入層を形成した後、正孔輸送層及び発光層を色ごとに形成してもよい。このとき、正孔輸
送層と発光層は連続して成膜することで発光素子の信頼性を高めることができる。具体的
には、
図6(A)に示すように、青色用正孔輸送層163B_1を形成し、続いて、青色
用発光層163B_2を形成し、次に、
図6(B)に示すように、緑色用正孔輸送層16
3G_1を形成し、続いて、緑色用発光層163G_2を形成し、次に、
図6(C)に示
すように、赤色用正孔輸送層163R_1を形成した後、続いて、赤色用発光層163R
_2を形成する。なお、正孔輸送層の厚さを色ごとに変えることで、正孔輸送層に光学調
整の機能をもたせてもよい。
【0099】
次に、マスク155を用いて、共通層165aを形成する(
図5(B))。共通層165
aは、共通層161aと同様に、画素130a及び画素130dに相当する領域に形成さ
れ、画素130b、画素130c、及び接続部122に相当する領域には形成されない。
【0100】
次に、マスク155を絶縁層101に対して平行に1画素分移動させる。
【0101】
次に、マスク155を用いて、共通層165bを形成する(
図5(C))。共通層165
bは、共通層161bと同様に、画素130b及び画素130cに相当する領域に形成さ
れ、画素130a、画素130d、及び接続部122に相当する領域には形成されない。
【0102】
なお、共通層165bの形成には、マスク155の開口パターンに対して、1画素分ずれ
た開口パターンを有する別のマスクを用いてもよい。
【0103】
そして、補助配線120、共通層165a、及び共通層165bを覆うように、共通電極
113を形成する(
図5(D))。これにより、接続部122において、補助配線120
と共通電極113とが接続される。
【0104】
以上のように、発光層163を色ごとに形成するだけでなく、共通層161及び共通層1
65を2回に分けて形成することで、共通層を1回で形成する場合に比べて画素の開口率
を高めることができる。これにより、補助配線120を表示パネルの画素部に設けても、
表示パネルの画素の開口率を高くすることができる。したがって、表示パネルにおいてあ
る輝度を得るために必要な副画素の輝度を低下させることができ、発光素子の寿命を延ば
すことができる。また、マスク155の非開口部の幅を十分に確保できるため、マスク1
55に十分な強さのテンションをかけることができ、マスク155の精度を向上させるこ
とができる。
【0105】
なお、EL層が有する全ての層が、複数の色の副画素に共通して設けられる共通層であっ
てもよい。表示パネルは、塗り分け方式に限定されず、例えば、カラーフィルタ方式を適
用することもできる。
【0106】
図7(A)に、表示パネルが有するEL層112a及びEL層112bの上面図を示す。
図7(B)に、
図7(A)に示す一点鎖線A7-A8間の断面図を示す。
【0107】
図7(A)に示すように、
図7(B)は、画素130aが有する赤色の副画素(R)及び
緑色の副画素(G)と、画素130aに隣接する画素130bが有する青色の副画素(B
)と、を含む断面図である。
【0108】
図7(B)に示す表示パネルは、絶縁層101上に、画素電極111及び補助配線120
を有する。画素電極111の端部及び補助配線120の端部は、それぞれ、絶縁層104
によって覆われている。絶縁層104の開口を介して、画素電極111上にEL層112
aまたはEL層112bが設けられている。補助配線120、EL層112a、及びEL
層112b上には共通電極113が設けられている。接続部122において、補助配線1
20は共通電極113と接する。つまり、補助配線120は、共通電極113と電気的に
接続される。画素電極111は、EL層112aまたはEL層112bを介して、共通電
極113と重なる。対向基板121の一方の面側には、着色層CFR、着色層CFG、着
色層CFB、及び遮光層BMなどが位置する。対向基板121としては、硬質基板、フィ
ルム基板、偏光板などが挙げられる。
【0109】
画素130a及び画素130dにおいて、赤色の副画素(R)は、
図7(B)に示す発光
素子110Rを有する。発光素子110Rは、画素電極111、EL層112a、及び共
通電極113を有する。発光素子110Rからの光は、着色層CFRを介して、対向基板
121側に取り出される。一方、画素130b及び画素130cにおいて、赤色の副画素
(R)が有する発光素子は、EL層112aを有さず、EL層112bを有する。
【0110】
画素130a及び画素130dにおいて、緑色の副画素(G)は、
図7(B)に示す発光
素子110Gを有する。発光素子110Gは、画素電極111、EL層112a、及び共
通電極113を有する。発光素子110Gからの光は、着色層CFGを介して、対向基板
121側に取り出される。一方、画素130b及び画素130cにおいて、緑色の副画素
(G)が有する発光素子は、EL層112aを有さず、EL層112bを有する。
【0111】
画素130b及び画素130cにおいて、青色の副画素(B)は、
図7(B)に示す発光
素子110Bを有する。発光素子110Bは、画素電極111、EL層112b、及び共
通電極113を有する。発光素子110Bからの光は、着色層CFBを介して、対向基板
121側に取り出される。一方、画素130a及び画素130dにおいて、青色の副画素
(B)が有する発光素子は、EL層112bを有さず、EL層112aを有する。
【0112】
各色の副画素が有する発光素子は、白色発光を呈することが好ましい。
【0113】
領域170において、EL層112aとEL層112bとは接する。
図2(A)~(D)
に示す構成と同様に、成膜時のマスクの位置ずれなどによっては、EL層112aとEL
層112bが重なる箇所及びEL層112aとEL層112bが離間する箇所も生じるこ
とがある。
【0114】
また、マスク155の開口のサイズによっては、共通層161aと共通層161bは接し
ないこともある。このような場合であっても、共通層161が1回で形成されたか、複数
回に分けて形成されたか、判別できることがある。例えば、1回目に形成された共通層1
61aと2回目に形成された共通層161bとで、多少の位置ずれが生じることがある。
そのため、
図7(C)に示すように、画素130aが有する共通層161aと画素130
bが有する共通層161bとの間の距離Waと、画素130dが有する共通層161aと
画素130cが有する共通層161bとの間の距離Wbと、に差が生じることがある。こ
のように、共通層161を2回に分けて形成すると、共通層161のピッチが一列ごとま
たは一行ごとに異なる特徴的なレイアウトとなることがある。以上のように、共通層16
1のピッチが異なることから、共通層161を複数回に分けて形成したことが確認できる
ことがある。
【0115】
なお、EL層が導電性の高い層を有する場合、当該導電性の高い層を介して、隣接する発
光素子に電流がリークし、所望の発光素子以外が発光してしまうことがある(クロストー
ク現象ともいう)。
図7(C)に示す共通層161は、画素ごとに分離して設けられてい
るため、クロストークを抑制することができる。
【0116】
なお、副画素の配列は、
図1(A)の構成に限定されないが、
図1(A)の構成は、開口
率を高められるため、好ましい。
図8(A)、(B)に、
図1(A)とは異なる、副画素
の配列を示す。
図8(A)は、ストライプ配列を適用した例であり、
図8(B)は、マト
リクス配列を適用した例である。そのほか、副画素の配列には、Sストライプ配列、ペン
タイル配列、ベイヤー配列などを適用することができる。
【0117】
着色層は特定の波長域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄
色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。着色層に用いるこ
とのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料又は染料が含まれた樹脂材料などが
挙げられる。
【0118】
遮光層BMは、隣接する着色層の間に設けられている。遮光層BMは隣接する発光素子か
らの発光を遮り、隣接する発光素子間における混色を抑制する。ここで、着色層の端部を
、遮光層BMと重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。遮光層
BMとしては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができ、例えば、金属材料、
又は、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することが
できる。なお、遮光層BMは、駆動回路などの画素部以外の領域に設けると、導波光など
による意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
【0119】
[表示パネルの具体例2]
図10(A)に、表示パネル10Aの上面図を示す。
図10(B)に、表示パネル10A
の断面図を示す。
図10(B)は、
図10(A)に示す一点鎖線B1-B2間の断面図に
相当する。
【0120】
図10(A)に示す表示パネル10Aは、画素部71及び駆動回路78を有する。表示パ
ネルにはFPC74が接続されている。表示パネルには、FPC(Flexible P
rinted Circuit)などのコネクタやIC(集積回路)を接続することがで
きる。例えば、表示パネルに走査線駆動回路を内蔵し、信号線駆動回路を外付けすること
で、表示モジュールを作製することができる。
【0121】
表示パネル10Aは、塗り分け方式が適用されたトップエミッション構造の表示パネルで
ある。表示パネル10Aは補助配線を有するため、共通電極113の抵抗に起因する電圧
降下を抑制し、表示ムラを低減させることができる。また、EL層に含まれる共通層を2
回に分けて形成しているため、表示パネル10Aは画素部71に補助配線を有していても
画素の開口率が高い。
【0122】
図10(B)に示すように、表示パネル10Aは、基板361、絶縁層367、トランジ
スタ301、303、導電層307、絶縁層314、発光素子20A、20B、21A、
絶縁層104、保護層109、補助配線120a、120b、接着層318、及び基板3
71等を有する。
【0123】
発光素子20A、20B、21Aは、それぞれ、画素電極111a、111b、EL層、
及び共通電極113を有する。
【0124】
画素電極111aは、トランジスタ303のソースまたはドレインと電気的に接続されて
いる。これらは、直接接続されるか、他の導電層を介して接続される。
【0125】
発光素子20A、20B、21Aが有する画素電極111bは、光学調整層としての機能
を有する。発光素子にマイクロキャビティ構造を適用することで、表示パネルから色純度
の高い光を取り出すことができる。画素電極は、積層構造に限られず、単層構造であって
もよい。
【0126】
絶縁層104は、画素電極111a、111bの端部を覆っている。隣り合う2つの画素
電極は、絶縁層104によって電気的に絶縁されている。また、画素電極は、補助配線と
も、絶縁層104によって電気的に絶縁されている。
【0127】
EL層は、複数の色の副画素に共通して設けられる共通層(
図10(B)では、共通層1
61及び共通層165)と、色ごとに設けられる層(
図10(B)では発光層163)と
を有する。ここで、
図10(B)に示す発光素子20Aは、発光素子20Bと同じ画素に
含まれ、発光素子21Aとは異なる画素に含まれる。発光素子21Aが含まれる画素は、
発光素子20Aが含まれる画素と隣接している。同じ画素に含まれる発光素子20Aと発
光素子20Bは、どちらも共通層161a及び共通層165aを有する。これら2つの発
光素子を含む画素と隣接する画素に含まれる発光素子21Aは、共通層161b及び共通
層165bを有する。領域172において、共通層161aと共通層161bは離間して
おり、同様に、共通層165aと共通層165bも離間している。発光素子20A及び発
光素子21Aは発光層163Aを有し、発光素子20Bは発光層163Bを有する。つま
り、ここでは、発光素子20Aを有する副画素が、発光素子21Aを有する副画素と同じ
色を呈し、発光素子20Bを有する副画素とは異なる色を呈する例を示している。EL層
の端部は、共通電極113に覆われている。共通電極113は、EL層の端部を覆い、E
L層の端部の外側で絶縁層104と接している。さらに、共通電極113は、接続部12
2において、補助配線120bと接している。
【0128】
保護層109は、共通電極113の端部を覆い、共通電極113の端部の外側で絶縁層1
04と接している。さらに、保護層109は、表示パネル10Aの端部及びその近傍にお
いて、絶縁層314の端部及び絶縁層104の端部を覆い、絶縁層314の端部及び絶縁
層104の端部の外側で、絶縁層313と接している。本実施の形態の表示パネルは、各
種絶縁層及び保護層109において、有機膜の端部よりも無機膜(または無機絶縁膜)の
端部が外側に位置するように設けられ、表示パネルの端部及びその近傍において、無機膜
(または無機絶縁膜)どうしが接して積層されることが好ましい。これにより、表示パネ
ルの外部から水分等の不純物が入り込みにくくなり、トランジスタ及び発光素子の劣化を
抑制することができる。
【0129】
補助配線120a、120bは、絶縁層104の開口を介して、共通電極113と電気的
に接続されている。補助配線120aは、画素電極111aと同一の材料、同一の工程で
形成することができる。補助配線120bは、画素電極111bと同一の材料、同一の工
程で形成することができる。
【0130】
なお、共通電極113の補助配線は、画素電極と同一の工程で形成することに限られない
。例えば、補助配線は、表示パネルが有する各種配線や、トランジスタの電極の少なくと
も一つと同一の材料、同一の工程で形成することができる。補助配線を、表示パネルが有
する他の導電層と同一レイヤに形成することで、表示パネルの形成工程を増やすことなく
、表示パネルに補助配線を設けることができる。一方、補助配線を、表示パネルが有する
他の導電層とは別レイヤに形成することで、補助配線を広い面積で設けることができるた
め、共通電極113の抵抗に起因する電圧降下をより効果的に抑制することができる。
【0131】
図11に、補助配線120を、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、同一の
工程で形成した例を示す。
【0132】
また、
図11では、EL層が有する全ての層が、複数の色の副画素に共通して設けられる
共通層である例を示す。EL層は少なくとも発光層を有する。発光素子20Aは、発光素
子20Bと同じ画素に含まれ、発光素子21Aとは異なる画素に含まれる。発光素子21
Aが含まれる画素は、発光素子20Aが含まれる画素と隣接している。同じ画素に含まれ
る発光素子20Aと発光素子20Bは、どちらもEL層112aを有する。これら2つの
発光素子を含む画素と隣接する画素に含まれる発光素子21Aは、EL層112bを有す
る。領域172において、EL層112aとEL層112bは離間している。EL層の端
部は、共通電極113に覆われている。共通電極113は、EL層の端部を覆い、EL層
の端部の外側で絶縁層104と接している。さらに、共通電極113は、接続部122に
おいて、補助配線120と接している。
図11では、EL層112a及びEL層112b
を3層構造で示すが、EL層の層数に限定はない。基板371の一方の面側には、着色層
CFA、着色層CFB、及び遮光層BMなどが位置する。発光素子20Aと発光素子21
Aはどちらも着色層CFAと重なる。つまり、ここでは、発光素子20Aを有する副画素
と、発光素子21Aを有する副画素が同じ色を呈する例を示している。発光素子20Bは
着色層CFBと重なる。つまり、ここでは、発光素子20Aを有する副画素と、発光素子
20Bを有する副画素が異なる色を呈する例を示している。
【0133】
発光素子及び補助配線については、表示パネルの具体例1での説明も参照できる。
【0134】
表示パネルは、発光素子を覆う保護層109を有することが好ましい。保護層109とし
て、バリア性の高い膜を用いることで、発光素子に水分や酸素などの不純物が入り込むこ
とを抑制できる。これにより、発光素子の劣化を抑制し、表示パネルの信頼性を高めるこ
とができる。
【0135】
発光素子の発光は、保護層109を介して、表示パネルの外部に取り出されるため、保護
層109は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。
【0136】
保護層109は、無機膜(または無機絶縁膜)を有することが好ましい。発光素子を無機
膜で覆うことで、水分や酸素などの不純物が外部から発光素子に入り込むことを抑制でき
る。発光素子を構成する有機化合物や金属材料が、不純物と反応することで、発光素子は
劣化してしまうことがある。このことから、発光素子に不純物が入りにくい構成を適用す
ることで、発光素子の劣化が抑制され、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0137】
無機膜(または無機絶縁膜)は、防湿性が高く、水が拡散、透過しにくいことが好ましい
。さらに、無機膜(または無機絶縁膜)は、水素及び酸素の一方または双方が拡散、透過
しにくいことが好ましい。これにより、無機膜(または無機絶縁膜)をバリア膜として機
能させることができる。そして、発光素子に対して外部から不純物が拡散することを効果
的に抑制でき、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0138】
保護層109は、1層以上の絶縁膜を有することが好ましい。保護層109には、酸化絶
縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などを用いることができる。酸
化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマ
ニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜
、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化
シリコン膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒
化シリコン膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜などが挙
げられる。
【0139】
なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有
量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
材料を指す。
【0140】
特に、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、及び酸化アルミニウム膜は、それぞれ防湿
性が高いため、保護層109として好適である。
【0141】
また、保護層109には、ITO、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、またはIn-
Ga-Zn酸化物などを含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗である
ことが好ましく、具体的には、共通電極113よりも高抵抗であることが好ましい。当該
無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0142】
保護層109は、CVD法、スパッタリング法、ALD法等を用いて形成することができ
る。保護層109として、それぞれ異なる成膜方法を用いて形成された絶縁膜を2層以上
積層してもよい。
【0143】
スパッタリング法及びALD法は、低温での成膜が可能である。発光素子に含まれるEL
層は、耐熱性が低い。このため、発光素子を作製した後に形成する保護層109は、比較
的低温、代表的には100℃以下で形成することが好ましく、スパッタリング法及びAL
D法が適している。
【0144】
スパッタリング法を用いて形成する無機膜の厚さは、50nm以上1000nm以下が好
ましく、100nm以上300nm以下がより好ましい。
【0145】
ALD法を用いて形成する無機膜の厚さは、1nm以上100nm以下が好ましく、5n
m以上50nm以下がより好ましい。
【0146】
保護層109の水蒸気透過率は、1×10-2g/(m2・day)未満、好ましくは5
×10-3g/(m2・day)以下、好ましくは1×10-4g/(m2・day)以
下、好ましくは1×10-5g(m2・day)以下、好ましくは1×10-6g/(m
2・day)以下である。水蒸気透過率が低いほど、外部からトランジスタ及び発光素子
への水の拡散を低減することができる。
【0147】
保護層109の厚さは、1nm以上1000nm以下であり、50nm以上500nm以
下が好ましく、100nm以上300nm以下がより好ましい。絶縁層の厚さが薄いほど
、表示パネル全体の厚さも薄くすることができ、好ましい。絶縁層の厚さが薄いほどスル
ープットが向上するため、表示パネルの生産性を高めることができる。
【0148】
絶縁層104に用いることができる有機絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリシロキサン樹
脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。また、絶縁層10
4の代わりに、無機絶縁層を用いてもよい。無機絶縁層には、保護層109に用いること
ができる無機絶縁膜を用いることができる。
【0149】
画素電極の端部を覆う絶縁層として、無機絶縁膜を用いると、有機絶縁膜を用いる場合に
比べて、発光素子に不純物が入りにくく、発光素子の信頼性を高めることができる。画素
電極の端部を覆う絶縁層として、有機絶縁膜を用いると、無機絶縁膜を用いる場合に比べ
て、段差被覆性が高く、画素電極の形状の影響を受けにくい。そのため、発光素子のショ
ートを防止できる。
【0150】
なお、絶縁層104及び保護層109は、それぞれ、無機絶縁膜及び有機絶縁膜の一方ま
たは双方を用いた、単層構造または積層構造とすることができる。
【0151】
基板361と基板371とは、接着層318によって貼り合わされている。基板361、
基板371、及び接着層318で封止された空間105は、窒素やアルゴンなどの不活性
ガス、または樹脂で充填されていることが好ましい。
【0152】
基板361及び基板371には、ガラス、石英、樹脂、金属、合金、半導体などの材料を
用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を
用いる。基板361及び基板371として、可撓性を有する基板を用いることが好ましい
。また、基板361または基板371として偏光板を用いてもよい。
【0153】
なお、表示パネルに円偏光板を重ねる場合、表示パネルが有する基板には、光学等方性の
高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量
が小さい、ともいえる)。
【0154】
光学等方性が高い基板のリタデーション(位相差)値の絶対値は、30nm以下が好まし
く、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
【0155】
光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリ
アセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロ
オレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0156】
また、基板としてフィルムを用いる場合、フィルムが吸水することで、表示パネルにしわ
が発生するなどの形状変化が生じる恐れがある。そのため、基板には、吸水率の低いフィ
ルムを用いることが好ましい。例えば、吸水率が1%以下のフィルムを用いることが好ま
しく、0.1%以下のフィルムを用いることがより好ましく、0.01%以下のフィルム
を用いることがさらに好ましい。
【0157】
接着層には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌
気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着シート等を用いて
もよい。
【0158】
駆動回路78はトランジスタ301を有する。画素部71はトランジスタ303を有する
。
【0159】
各トランジスタは、ゲート、ゲート絶縁層311、半導体層、バックゲート、ソース、及
びドレインを有する。ゲート(
図10(B)、
図11では下側のゲート)と半導体層は、
ゲート絶縁層311を介して重なる。バックゲート(
図10(B)、
図11では上側のゲ
ート)と半導体層は、絶縁層312及び絶縁層313を介して重なる。
【0160】
トランジスタ301、303には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持
する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給すること
によりトランジスタを駆動することが好ましい。このようなトランジスタは他のトランジ
スタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることが
できる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の
占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで
、表示パネルまたは表示装置を大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとし
ても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することが
できる。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他
方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる
。
【0161】
駆動回路78と画素部71とで、トランジスタの構造が異なっていてもよい。駆動回路7
8及び画素部71は、それぞれ、複数の種類のトランジスタを有していてもよい。
【0162】
トランジスタ、さらには容量素子、配線等を、発光素子の発光領域と重ねて配置すること
で、画素部71の開口率を高めることができる。
【0163】
絶縁層312、絶縁層313、及び絶縁層314のうち、少なくとも一層には、水または
水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。外部から不純物がトラン
ジスタに拡散することを効果的に抑制することが可能となり、表示パネルの信頼性を高め
ることができる。絶縁層314は、平坦化層としての機能を有する。
【0164】
絶縁層367は、下地膜としての機能を有する。絶縁層367には、水または水素などの
不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。
【0165】
接続部306は、導電層307を有する。導電層307は、トランジスタのソース及びド
レインと同一の材料、及び同一の工程で形成することができる。導電層307は、駆動回
路78に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、
外部入力端子としてFPC74を設ける例を示している。接続体319を介してFPC7
4と導電層307は電気的に接続する。
【0166】
接続体319としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic
Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotro
pic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0167】
[表示装置の具体例]
次に、複数の表示パネルを有する表示装置について、
図12を用いて説明する。
【0168】
図12(A)に、表示パネルDPの上面図を示し、
図12(B)、(C)に、表示パネル
DPを4つ有する表示装置の斜視図を示す。
【0169】
複数の表示パネルDPを一以上の方向(例えば、一列またはマトリクス状等)に並べるこ
とで、広い表示領域を有する表示装置を作製することができる。
【0170】
複数の表示パネルDPを用いて大型の表示装置を作製する場合、1つの表示パネルDPの
大きさは大型である必要がない。したがって、表示パネルDPを作製するための製造装置
を大型化しなくてもよく、省スペース化が可能である。また、中小型の表示パネルの製造
装置を用いることができ、表示装置の大型化のために新規な製造装置を利用しなくてもよ
いため、製造コストを抑えることができる。また、表示パネルDPの大型化に伴う歩留ま
りの低下を抑制できる。
【0171】
表示パネルDPの大きさが同じである場合、1つの表示パネルDPを有する表示部に比べ
、複数の表示パネルDPを有する表示部の方が、表示領域が広く、一度に表示できる情報
量が多い等の効果を有する。
【0172】
ここで、表示パネルDPが、画素部71を囲むように非表示領域を有する場合を考える。
このとき、例えば、複数の表示パネルDPの出力画像を合わせて一つの画像を表示すると
、当該一つの画像は、表示装置の使用者にとって分離したように視認されてしまう。
【0173】
表示パネルDPの非表示領域を狭くする(狭額縁な表示パネルDPを用いる)ことで、各
表示パネルDPの表示が分離して見えることを抑制できるが、表示パネルDPの非表示領
域を完全になくすことは困難である。
【0174】
また、表示パネルDPの非表示領域の面積が狭いと、表示パネルDPの端部と表示パネル
DP内の素子との距離が短くなり、表示パネルDPの外部から侵入する不純物によって、
素子が劣化しやすくなる場合がある。
【0175】
そこで、本発明の一態様では、複数の表示パネルDPの一部が重なるように配置する。重
ねた2つの表示パネルDPのうち、少なくとも表示面側(上側)に位置する表示パネルD
Pは、可視光を透過する領域72を画素部71と隣接して有する。本発明の一態様では、
下側に配置される表示パネルDPの画素部71と、上側に配置される表示パネルDPの可
視光を透過する領域72とが重なる。したがって、重ねた2つの表示パネルDPの画素部
71の間の非表示領域を縮小すること、さらには無くすことができる。これにより、使用
者から表示パネルDPの継ぎ目が認識されにくい、大型の表示装置を実現することができ
る。
【0176】
上側に位置する表示パネルDPの非表示領域の少なくとも一部は、可視光を透過する領域
72であり、下側に位置する表示パネルDPの画素部71と重ねることができる。また、
下側に位置する表示パネルDPの非表示領域の少なくとも一部は、上側に位置する表示パ
ネルDPの画素部71、または可視光を遮る領域73と重ねることができる。これらの部
分については、表示装置の狭額縁化(画素部以外の面積の縮小化)に影響しないため、面
積の縮小化をしなくてもよい。
【0177】
表示パネルDPの非表示領域が広いと、表示パネルDPの端部と表示パネルDP内の素子
との距離が長くなり、表示パネルDPの外部から侵入する不純物によって、素子が劣化す
ることを抑制できる。例えば、表示素子として有機EL素子を用いる場合は、表示パネル
DPの端部と有機EL素子との距離を長くするほど、表示パネルDPの外部から水分や酸
素等の不純物が有機EL素子に侵入しにくくなる(または到達しにくくなる)。本発明の
一態様の表示装置では、表示パネルDPの非表示領域の面積を十分に確保できるため、有
機EL素子等を用いた表示パネルDPを適用しても、信頼性が高い大型の表示装置を実現
できる。
【0178】
このように、表示装置に複数の表示パネルDPが設けられる場合、隣接する表示パネルD
P間において画素部71が連続するように、複数の表示パネルDPが配置されることが好
ましい。
【0179】
図12(A)に示す表示パネルDPは、画素部71、可視光を透過する領域72、及び可
視光を遮る領域73を有する。可視光を透過する領域72及び可視光を遮る領域73は、
それぞれ、画素部71と隣接して設けられる。
図12(A)では、表示パネルDPにFP
C74が設けられている例を示す。
【0180】
画素部71には、複数の画素が含まれる。可視光を透過する領域72には、表示パネルD
Pを構成する一対の基板、及び当該一対の基板に挟持された表示素子を封止するための封
止材などが設けられていてもよい。このとき、可視光を透過する領域72に設けられる部
材には、可視光に対して透光性を有する材料を用いる。可視光を遮る領域73には、画素
部71に含まれる画素と電気的に接続された配線などが設けられていてもよい。また、可
視光を遮る領域73には、走査線駆動回路及び信号線駆動回路の一方又は双方が設けられ
ていてもよい。また、可視光を遮る領域73には、FPC74と接続された端子、当該端
子と接続された配線などが設けられていてもよい。
【0181】
図12(B)、(C)は、
図12(A)に示す表示パネルDPを2×2のマトリクス状に
(縦方向及び横方向にそれぞれ2つずつ)配置した例である。
図12(B)は、表示パネ
ルDPの表示面側の斜視図であり、
図12(C)は、表示パネルDPの表示面とは反対側
の斜視図である。
【0182】
4つの表示パネルDP(表示パネルDPa、DPb、DPc、DPd)は、互いに重なる
領域を有するように配置されている。具体的には、1つの表示パネルDPが有する可視光
を透過する領域72が、他の表示パネルDPが有する画素部71の上(表示面側)に重畳
する領域を有するように、表示パネルDPa、DPb、DPc、DPdが配置されている
。また、1つの表示パネルDPが有する可視光を遮る領域73が、他の表示パネルDPの
画素部71の上に重畳しないように、表示パネルDPa、DPb、DPc、DPdが配置
されている。4つの表示パネルDPが重なる部分では、表示パネルDPa上に表示パネル
DPbが重なり、表示パネルDPb上に表示パネルDPcが重なり、表示パネルDPc上
に表示パネルDPdが重なっている。
【0183】
表示パネルDPa、DPbの短辺同士が互いに重なり、画素部71aの一部と、可視光を
透過する領域72bの一部と、が重なっている。また、表示パネルDPa、DPcの長辺
同士が互いに重なり、画素部71aの一部と、可視光を透過する領域72cの一部と、が
重なっている。
【0184】
画素部71bの一部は、可視光を透過する領域72cの一部、及び可視光を透過する領域
72dの一部と重なっている。また、画素部71cの一部は、可視光を透過する領域72
dの一部と重なっている。
【0185】
したがって、画素部71a~71dがほぼ継ぎ目なく配置された領域を表示装置の表示領
域79とすることができる。
【0186】
ここで、表示パネルDPは、可撓性を有していることが好ましい。例えば、表示パネルD
Pを構成する一対の基板は可撓性を有することが好ましい。
【0187】
これにより、例えば、
図12(B)、(C)に示すように、表示パネルDPaのFPC7
4aの近傍を湾曲させ、FPC74aに隣接する表示パネルDPbの画素部71bの下側
に、表示パネルDPaの一部、及びFPC74aの一部を配置することができる。その結
果、FPC74aを表示パネルDPbの裏面と物理的に干渉することなく配置することが
できる。また、表示パネルDPaと表示パネルDPbとを重ねて固定する場合に、FPC
74aの厚さを考慮する必要がないため、可視光を透過する領域72bの上面と、表示パ
ネルDPaの上面との高さの差を低減できる。その結果、画素部71a上に位置する表示
パネルDPbの端部を目立たなくすることができる。
【0188】
さらに、各表示パネルDPに可撓性を持たせることで、表示パネルDPbの画素部71b
における上面の高さを、表示パネルDPaの画素部71aにおける上面の高さと一致する
ように、表示パネルDPbを緩やかに湾曲させることができる。そのため、表示パネルD
Paと表示パネルDPbとが重なる領域近傍を除き、各表示領域の高さを揃えることが可
能で、表示領域79に表示する映像の表示品位を高めることができる。
【0189】
上記では、表示パネルDPaと表示パネルDPbの関係を例に説明したが、他の隣接する
2つの表示パネルDP間でも同様である。
【0190】
なお、隣接する2つの表示パネルDP間の段差を軽減するため、表示パネルDPの厚さは
薄いことが好ましい。例えば、表示パネルDPの厚さは、1mm以下が好ましく、300
μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
【0191】
[表示パネルの具体例3]
図13(A)、(B)に表示パネル15Aの上面図を示す。
図13(A)における一点鎖
線C1-C2間の断面図を
図13(C)に示す。
【0192】
図13(A)、(B)に示す表示パネルは、画素部71、可視光を透過する領域72、及
び駆動回路78を有する。表示パネルにはFPC74が接続されている。
図13(A)、
(B)では、可視光を透過する領域72が、画素部71に隣接し、画素部71の2辺に沿
って配置されている例を示す。
【0193】
図13(A)に示す表示パネルの角部は、角ばっており、
図13(B)に示す表示パネル
の角部は、丸くなっている。フィルム基板を用いた表示パネルは、様々な上面形状で作製
することができる。例えば、表示パネルの角部が曲率を有する形状の方が、表示パネルの
分断の際にクラックが生じにくく作製しやすいことがある。
【0194】
表示パネル15Aは、塗り分け方式が適用されたトップエミッション構造の表示パネルで
ある。表示パネル15Aは2辺にわたって可視光を透過する領域72を有する。可視光を
透過する領域72には共通電極113の引き回し配線を配置できないため、電圧降下の影
響がより顕著になる。電圧降下が生じると、表示パネル15Aを複数用いて
図12に示す
表示装置を作製した場合、隣接する表示パネルとの輝度の不連続性が、表示装置全体の輝
度ムラとして認識されやすい。しかし、表示パネル15Aは補助配線を有するため、共通
電極113の抵抗に起因する電圧降下を抑制し、表示ムラを低減させることができる。ま
た、EL層に含まれる共通層を2回に分けて形成しているため、表示パネル15Aは画素
部71に補助配線を有していても画素の開口率が高い。
【0195】
図13(C)に示すように、表示パネル15Aは、基板361、接着層363、絶縁層3
65、トランジスタ301、303、導電層307、絶縁層314、発光素子20A、2
0B、21A、絶縁層104、保護層109、補助配線120a、120b、接着層31
7、及び基板371等を有する。
【0196】
基板361と基板371とは、接着層317によって貼り合わされている。また、基板3
61と絶縁層365とは、接着層363によって貼り合わされている。
【0197】
表示パネル15Aは、作製基板上に形成されたトランジスタ、発光素子等を、基板361
上に転置することで形成される構成である。
【0198】
発光素子20A、20B、21Aは、それぞれ、画素電極111a、111b、EL層、
及び共通電極113を有する。
【0199】
画素電極111aは、トランジスタ303のソースまたはドレインと電気的に接続されて
いる。これらは、直接接続されるか、他の導電層を介して接続される。
【0200】
発光素子20A、20B、21Aが有する画素電極111bは、光学調整層としての機能
を有する。
図10(B)などでは、画素電極111bが画素電極111aを覆う例を示し
たが、
図13(C)に示すように、画素電極111bは画素電極111aの側面を覆わな
くてもよい。
【0201】
駆動回路78はトランジスタ301を有する。画素部71はトランジスタ303を有する
。
【0202】
各トランジスタは、バックゲート、ゲート絶縁層311、半導体層、ゲート絶縁層、ゲー
ト、絶縁層315、ソース、及びドレインを有する。半導体層は、チャネル形成領域と一
対の低抵抗領域とを有する。バックゲート(
図13(C)では下側のゲート)とチャネル
形成領域は、ゲート絶縁層311を介して重なる。ゲート(
図13(C)では上側のゲー
ト)とチャネル形成領域は、ゲート絶縁層を介して重なる。ソース及びドレインは、それ
ぞれ、絶縁層315に設けられた開口を介して、低抵抗領域と電気的に接続される。
【0203】
図13(C)に示す表示パネル15Aの画素部71、駆動回路78、及び接続部306の
構成は、表示パネル10A(
図10(B))と多くの部分で共通しているため、上記の説
明を参照できる。
【0204】
可視光を透過する領域72に含まれる各層は、可視光を透過する。
図13(C)では、可
視光を透過する領域72が、基板361、接着層363、絶縁層365、ゲート絶縁層3
11、絶縁層315、保護層109、接着層317、及び基板371を有する例を示す。
この積層構造において、各界面の屈折率の差が小さくなるよう各層の材料を選択すること
が好ましい。互いに接する2つの層の屈折率を小さくすることで、使用者が、2つの表示
パネルの継ぎ目を視認しにくくなる。
【0205】
また、可視光を透過する領域72は、画素部71の可視光を透過する領域72近傍の部分
に比べて、絶縁層の数が少ないことが好ましい。可視光を透過する領域72が有する絶縁
層の数を少なくすることで、屈折率の差の大きい界面を減らすことができる。これにより
、可視光を透過する領域72における外光の反射を抑制することができる。そして、可視
光を透過する領域72の可視光の透過率を高めることができる。これにより、下側に配置
される表示パネルの表示における、可視光を透過する領域72を介して視認される部分と
、該領域を介さずに視認される部分との輝度(明るさ)の差を、小さくすることができる
。したがって、表示装置の表示ムラもしくは輝度ムラを抑制することができる。
【0206】
図13(C)に示す表示パネル15Aを2枚重ねて有する表示装置の断面図の一例を、図
14に示す。
【0207】
図14に示す表示装置において、表示面側(上側)に位置する表示パネルは、可視光を透
過する領域72を画素部71と隣接して有する。下側の表示パネルの画素部71は、上側
の表示パネルの可視光を透過する領域72と重なっている。そして、下側の表示パネルの
可視光を遮る領域(駆動回路78及び接続部306など)は、上側の表示パネルの画素部
71と重なっている。したがって、重ねた2つの表示パネルの画素部の間の非表示領域を
縮小すること、さらには無くすことができる。これにより、使用者から表示パネルの継ぎ
目が認識されにくい、大型の表示装置を実現することができる。
【0208】
また、
図14に示す表示装置は、下側の表示パネルの画素部71と上側の表示パネルの可
視光を透過する領域72との間に、空気よりも屈折率が高く、可視光を透過する透光層1
02を有する。これにより、2つの表示パネルの間に空気が入ることを抑制でき、屈折率
の差による界面での反射を低減することができる。そして、表示装置における表示ムラま
たは輝度ムラの抑制が可能となる。
【0209】
次に、
図13(A)に示す領域Nにおける共通層の構成について、
図15を用いて説明す
る。ここでは、1つのマスク155を用いて、共通層161aと共通層161bを形成す
る場合について説明する。
【0210】
図15(A)に示すように、マスク155を用いて共通層161aを形成した後、マスク
155をX方向またはY方向に1画素分ずらすと、同じマスク155を用いて共通層16
1bも形成することができる。
図15(B)には、マスク155をX方向に1画素分ずら
して、共通層161bを形成する場合を示す。ここで、
図15(B)に示すように、共通
層161bは、可視光を透過する領域72にも、Y方向に1画素おきに形成されることに
なる。
図15(C)に共通層161aと共通層161bの上面図を示す。このとき、
図1
5(D)に示すように、共通電極113は、可視光を透過する領域72に形成された共通
層161bを覆い、かつ共通電極113の端部は、共通層161bの端部よりも外側に位
置するように設けることが好ましい。特に、共通電極113の端部は、無機膜と接してい
ることが好ましい。これにより、可視光を透過する領域72において、共通層161bに
不純物が入り込むことを抑制できる。
【0211】
なお、上記構成は、
図13(A)に示す領域Nに限られず、
図10(A)に示す領域Nに
適用することもできる。つまり、1つのマスクを用いて、共通層161aと共通層161
bを形成する場合、表示パネルの画素部71の外側に共通層161aまたは共通層161
bが概略等しいピッチで設けられる。この点も、共通層161を複数回に分けて形成する
ことで得られる特徴、つまり、本発明の一態様における特徴といえる。
【0212】
また、
図16(A)、(B)に、表示パネルの変形例を示す。
図16(A)、(B)に示
す表示パネルは、作製基板上に形成された保護層375及び遮光層BMを、基板371に
転置することで形成される構成である。基板371と保護層375とは、接着層373に
よって貼り合わされている。このように、発光素子上の保護層109を設けず、対向基板
側に保護層を設けてもよい。
【0213】
図16(A)では、トランジスタ303のソースまたはドレインと、発光素子の画素電極
111aとが、導電層128aを介して電気的に接続されている。このように、発光素子
とトランジスタの間に導電層のレイヤを設けてもよい。具体的には、トランジスタ303
を覆う絶縁層314a上に導電層128aが設けられ、導電層128a上に絶縁層314
bが設けられ、絶縁層314b上に画素電極111aが設けられている。画素電極111
aは、絶縁層314bの開口を介して導電層128aと接続され、導電層128aは、絶
縁層314aの開口を介してトランジスタ303のソースまたはドレインと接続されてい
る。さらに、絶縁層314a上には、導電層128bが設けられている。導電層128b
は、導電層128aと同一の材料、同一の工程で形成することができる。導電層128b
は、共通電極113と電気的に接続されるため、共通電極113の補助配線として機能す
ることができる。接続部122において、共通電極113は、絶縁層104の開口を介し
て、補助配線120bと接続する。補助配線120bは補助配線120a上に接して設け
られている。補助配線120aは、絶縁層314bの開口を介して、導電層128bと接
続されている。このように、共通電極113は画素電極と同一レイヤの導電層と、他のレ
イヤの導電層との双方と電気的に接続されていてもよい。また、補助配線120a、12
0bを設けず、共通電極113と導電層128bとを直接接続させてもよい。
【0214】
図16(B)は、補助配線120のレイヤを、トランジスタ、配線、及び発光素子のレイ
ヤとは別に設ける例である。補助配線120のみのレイヤを設けることで、補助配線12
0を広い面積で設けることができる。これにより、共通電極113の抵抗に起因する電圧
降下をより効果的に抑制することができる。
図16(B)において、絶縁層314a上に
導電層128が設けられ、導電層128上に絶縁層314bが設けられ、絶縁層314b
上に補助配線120が設けられ、補助配線120上に絶縁層314cが設けられている。
絶縁層104及び絶縁層314cに設けられた開口を介して、共通電極113と補助配線
120とが電気的に接続されている。絶縁層314aに設けられた開口を介して、導電層
128とトランジスタが電気的に接続されている。絶縁層314b及び絶縁層314cに
設けられた開口を介して、画素電極と導電層128が電気的に接続されている。
【0215】
[表示パネルの具体例4]
図17(A)に表示パネル15Bの上面図を示す。
図17(A)における一点鎖線C3-
C4間の断面図を
図17(B)に示す。
【0216】
図17(A)に示す表示パネル15Bは、画素部71、可視光を透過する領域72、及び
駆動回路78を有する。表示パネル15BにはFPC74が接続されている。表示パネル
15A(
図13(A))が表示面側にFPC74が接続される構成であるのに対し、表示
パネル15Bは、表示面とは反対側(裏面側)にFPC74が接続される構成である。図
17(A)では、可視光を透過する領域72が、画素部71に隣接し、画素部71の2辺
に沿って配置されている例を示す。
【0217】
表示パネル15Aと表示パネル15Bは、主に、接続部306の構成が異なる。
【0218】
表示パネル15Bの接続部306では、導電層309とFPC74とが接続体319を介
して電気的に接続されている。導電層309は絶縁層365の開口を介して導電層308
と電気的に接続されている。
【0219】
次に、表示パネル15Bの作製方法について、接続部306に着目して
図18を用いて説
明する。
【0220】
まず、作製基板351上に剥離層353を形成し、剥離層353上に被剥離層を形成する
(
図18(A))。被剥離層としては、まず、剥離層353上に導電層309を形成し、
剥離層353上及び導電層309上に絶縁層365を形成し、絶縁層365に導電層30
9と重なる開口を設ける。そして、開口を介して導電層309と接続する導電層308を
形成する。導電層308は、トランジスタのゲートと同一の材料、同一の工程で形成する
ことができる。なお、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、同一の工程で形
成してもよい。そして、ゲート絶縁層311から基板371までを順に形成していく。
【0221】
次に、作製基板351を剥離する。
図18(B1)では、剥離層353と導電層309及
び絶縁層365との界面で剥離が生じる例を示す。これにより、導電層309を露出する
ことができる。そして、
図18(C1)に示すように、接続体319を用いて導電層30
9とFPC74とを電気的に接続することができる。
【0222】
また、
図18(B2)に示すように、剥離層353中で剥離が生じることもある。このと
き、作製基板351側に剥離層353aが残存し、導電層309に接して剥離層353b
が残存する。作製基板351の剥離後、導電層309が露出していない場合は、剥離層3
53bの一部を除去することで、導電層309を露出させることが好ましい。その後、図
18(C2)に示すように、接続体319を用いて導電層309とFPC74とを電気的
に接続することができる。
【0223】
作製基板351は、搬送が容易となる程度に剛性を有し、かつ作製工程にかかる温度に対
して耐熱性を有する。作製基板351に用いることができる材料としては、例えば、ガラ
ス、石英、セラミック、サファイヤ、樹脂、半導体、金属及び合金などが挙げられる。ガ
ラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケ
イ酸ガラス等が挙げられる。
【0224】
剥離層353は、有機材料または無機材料を用いて形成することができる。
【0225】
剥離層353に用いることができる有機材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベン
ゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0226】
剥離層353に用いることができる無機材料としては、タングステン、モリブデン、チタ
ン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素を含む金属、該
元素を含む合金、及び該元素を含む化合物等が挙げられる。シリコンを含む層の結晶構造
は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。
【0227】
剥離界面にレーザを照射することで、作製基板351を剥離してもよい。レーザとしては
、エキシマレーザ、固体レーザなどを用いることができる。例えば、ダイオード励起固体
レーザ(DPSS)を用いてもよい。または、垂直方向に引っ張る力をかけることにより
作製基板351を剥離してもよい。
【0228】
表示パネル15Bは、表示面とは反対側(裏面側)にFPC74が接続される。例えば、
表示パネル15Bを用いることで、実施例2にて後述する
図32のマルチディスプレイを
作製することができる。
【0229】
[トランジスタの構成例]
次に、表示パネルまたは表示装置に用いることができるトランジスタについて、説明する
。
【0230】
表示パネルまたは表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プ
レーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆ス
タガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート構造またはボトムゲート構造の
いずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けら
れていてもよい。
【0231】
図19(A)、(B)に、トランジスタの構成例を示す。各トランジスタは、絶縁層14
1と絶縁層208の間に設けられている。絶縁層141は、下地膜としての機能を有する
ことが好ましい。絶縁層208は、平坦化膜としての機能を有することが好ましい。
【0232】
図19(A)に示すトランジスタ220は、半導体層204に金属酸化物を有する、ボト
ムゲート構造のトランジスタである。金属酸化物は、酸化物半導体として機能することが
できる。
【0233】
トランジスタの半導体には、酸化物半導体を用いることが好ましい。シリコンよりもバン
ドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオ
フ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0234】
トランジスタ220は、導電層201、絶縁層202、導電層203a、導電層203b
、及び半導体層204を有する。導電層201は、ゲートとして機能する。絶縁層202
は、ゲート絶縁層として機能する。半導体層204は、絶縁層202を介して、導電層2
01と重なる。導電層203a及び導電層203bは、それぞれ、半導体層204と電気
的に接続される。トランジスタ220は、絶縁層211と絶縁層212によって覆われて
いることが好ましい。絶縁層211及び絶縁層212には各種無機絶縁膜を用いることが
できる。特に、絶縁層211には、酸化物絶縁膜が好適であり、絶縁層212には、窒化
物絶縁膜が好適である。
【0235】
図19(B)に示すトランジスタ230は、半導体層にポリシリコンを有する、トップゲ
ート構造のトランジスタである。
【0236】
トランジスタ230は、導電層201、絶縁層202、導電層203a、導電層203b
、半導体層、及び絶縁層213を有する。導電層201は、ゲートとして機能する。絶縁
層202は、ゲート絶縁層として機能する。半導体層は、チャネル形成領域214a及び
一対の低抵抗領域214bを有する。半導体層はさらにLDD(Lightly Dop
ed Drain)領域を有していてもよい。
図19(B)では、チャネル形成領域21
4aと低抵抗領域214bの間にLDD領域214cを有する例を示す。チャネル形成領
域214aは、絶縁層202を介して、導電層201と重なる。導電層203aは、絶縁
層202及び絶縁層213に設けられた開口を介して、一対の低抵抗領域214bの一方
と電気的に接続される。同様に、導電層203bは、一対の低抵抗領域214bの他方と
電気的に接続される。絶縁層213には、各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、
絶縁層213には窒化物絶縁膜が好適である。
【0237】
[金属酸化物]
半導体層には、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。以下で
は、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0238】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジウ
ム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イ
ットリウムまたは錫などが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニ
ッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハ
フニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または
複数種が含まれていてもよい。
【0239】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素M、及び亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物
である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、または
錫などとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッ
ケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフ
ニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前
述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0240】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxi
de)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(met
al oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)な
どの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0241】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導
体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-a
xis aligned crystalline oxide semiconduc
tor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxi
de semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:
amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶
質酸化物半導体などがある。
【0242】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結
し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領
域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の
向きが変化している箇所を指す。
【0243】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が
ある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお
、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリ
ーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界
の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向におい
て酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変
化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0244】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M
、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(
層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能
であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と
表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層
と表すこともできる。
【0245】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶
粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくい
といえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する
場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen va
cancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-
OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する
金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0246】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ
結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。した
がって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体
と区別が付かない場合がある。
【0247】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウ
ム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構
造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、
大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば
、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0248】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化
物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-lik
e OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0249】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本
発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-lik
e OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0250】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または
双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比
(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場
合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上3
0%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに
好ましい。
【0251】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上
であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネ
ルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減するこ
とができる。
【0252】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、PLD法、
PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0253】
以上のように、本実施の形態の表示パネルは、発光素子の共通電極と接続される補助配線
を有し、かつ、画素の開口率が高い。これにより、表示パネルの輝度ムラを抑制し、表示
パネルの表示品位を高めることができる。また、信頼性が高く、高輝度の表示が可能な表
示パネルを実現できる。
【0254】
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせることができる。また、本
明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適
宜組み合わせることが可能である。
【0255】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルについて、
図20及び
図21を用いて説
明する。
【0256】
図20(A)に画素のブロック図を示す。本実施の形態の画素は、スイッチングトランジ
スタ(Switching Tr)、駆動トランジスタ(Driving Tr)、発光
素子(OLED)に加えて、メモリ(Memory)を有する。
【0257】
メモリには、データDATA_Wが供給される。表示データDATAに加えて、データD
ATA_Wが画素に供給されることで、発光素子に流れる電流が大きくなり、表示パネル
は高い輝度を表現することができる。
【0258】
データDATA_Wの電位をVw、表示データDATAの電位をVdata、メモリの容
量をCwと表すとき、駆動トランジスタのゲート電圧Vgは、式(1)で表すことができ
る。
【0259】
【0260】
Vw=Vdataとしたとき、VgにはVdataより大きな電圧が印加され、より大き
な電流を流すことができる。すなわち、発光素子に流れる電流が大きくなり、輝度が高く
なる。
【0261】
【0262】
図20(B)に示す画素は、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、
トランジスタM4、トランジスタM5、容量素子Cs、容量素子Cw、及び発光素子12
4を有する。
【0263】
トランジスタM1のソースまたはドレインの一方は、容量素子Cwの一方の電極と電気的
に接続される。容量素子Cwの他方の電極は、トランジスタM4のソースまたはドレイン
の一方と電気的に接続される。トランジスタM4のソースまたはドレインの一方は、トラ
ンジスタM2のゲートと電気的に接続される。トランジスタM2のゲートは、容量素子C
sの一方の電極と電気的に接続される。容量素子Csの他方の電極は、トランジスタM2
のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM2のソースまたは
ドレインの一方は、トランジスタM5のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され
る。トランジスタM5のソースまたはドレインの一方は、トランジスタM3のソースまた
はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM5のソースまたはドレインの他
方は、発光素子124の一方の電極と電気的に接続される。
図20(B)に示す各トラン
ジスタは、ゲートと電気的に接続されたバックゲートを有するが、バックゲートの接続は
これに限定されない。また、トランジスタにバックゲートを設けなくてもよい。
【0264】
ここで、容量素子Cwの他方の電極、トランジスタM4のソースまたはドレインの一方、
トランジスタM2のゲート、及び容量素子Csの一方の電極が接続されるノードをノード
NMとする。また、トランジスタM5のソースまたはドレインの他方及び発光素子124
の一方の電極が接続されるノードをノードNAとする。
【0265】
トランジスタM1のゲートは、配線G1と電気的に接続される。トランジスタM3のゲー
トは、配線G1と電気的に接続される。トランジスタM4のゲートは、配線G2に電気的
に接続される。トランジスタM5のゲートは、配線G3と電気的に接続される。トランジ
スタM1のソースまたはドレインの他方は、配線DATAと電気的に接続される。トラン
ジスタM3のソースまたはドレインの他方は、配線V0と電気的に接続される。トランジ
スタM4のソースまたはドレインの他方は、配線DATA_Wと電気的に接続される。
【0266】
トランジスタM2のソースまたはドレインの他方は、電源線127(高電位)と電気的に
接続される。発光素子124の他方の電極は、共通配線129と電気的に接続される。な
お、共通配線129には、任意の電位を供給することができる。
【0267】
配線G1、G2、G3は、トランジスタの動作を制御するための信号線としての機能を有
することができる。配線DATAは、画素に画像信号を供給する信号線としての機能を有
することができる。また、配線DATA_Wは、記憶回路MEMにデータを書き込むため
の信号線としての機能を有することができる。配線DATA_Wは、画素に補正信号を供
給する信号線としての機能を有することができる。配線V0は、トランジスタM4の電気
特性を取得するためのモニタ線としての機能を有する。また、配線V0からトランジスタ
M3を介して容量素子Csの一方の電極に特定の電位を供給することにより、画像信号の
書き込みを安定化させることもできる。
【0268】
トランジスタM2、トランジスタM4、及び容量素子Cwは、記憶回路MEMを構成する
。ノードNMは記憶ノードであり、トランジスタM4を導通させることで、配線DATA
_Wに供給された信号をノードNMに書き込むことができる。トランジスタM4に極めて
オフ電流が低いトランジスタを用いることで、ノードNMの電位を長時間保持することが
できる。
【0269】
トランジスタM4には、例えば、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(
以下、OSトランジスタ)を用いることができる。これにより、トランジスタM4のオフ
電流を極めて低くすることができ、ノードNMの電位を長時間保持することができる。こ
のとき、画素を構成するその他のトランジスタにも、OSトランジスタを用いることが好
ましい。金属酸化物の具体例は、実施の形態1を参照できる。
【0270】
OSトランジスタはエネルギーギャップが大きいため、極めて低いオフ電流特性を示す。
また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、及び短チャネル効
果などが生じないなどSiをチャネル形成領域に有するトランジスタ(以下、Siトラン
ジスタ)とは異なる特徴を有し、信頼性の高い回路を形成することができる。
【0271】
また、トランジスタM4に、Siトランジスタを適用してもよい。このとき、画素を構成
するその他のトランジスタにも、Siトランジスタを用いることが好ましい。
【0272】
Siトランジスタとしては、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリ
コン(代表的には、低温ポリシリコン)を有するトランジスタ、単結晶シリコンを有する
トランジスタなどが挙げられる。
【0273】
また、1つの画素は、OSトランジスタとSiトランジスタとの両方を有していてもよい
。
【0274】
画素において、ノードNMに書き込まれた信号は、配線DATAから供給される画像信号
と容量結合され、ノードNAに出力することができる。なお、トランジスタM1は、画素
を選択する機能を有することができる。トランジスタM5は、発光素子124の発光を制
御するスイッチとしての機能を有することができる。
【0275】
例えば、配線DATA_WからノードNMに書き込まれた信号がトランジスタM2の閾値
電圧(Vth)より大きい場合、画像信号が書き込まれる前にトランジスタM2が導通し
、発光素子124が発光してしまう。したがって、トランジスタM5を設け、ノードNM
の電位が確定したのちにトランジスタM5を導通させ、発光素子124を発光させること
が好ましい。
【0276】
すなわち、ノードNMに所望の補正信号を格納しておけば、供給した画像信号に当該補正
信号を付加することができる。なお、補正信号は伝送経路上の要素によって減衰すること
があるため、当該減衰を考慮して生成することが好ましい。
【0277】
図21(A)、(B)に示すタイミングチャートを用いて、
図20(B)に示す画素の動
作の詳細を説明する。なお、配線DATA_Wに供給される補正信号(Vp)は正負の任
意の信号を用いることができるが、ここでは正の信号が供給される場合を説明する。また
、以下の説明においては、高電位を“H”、低電位を“L”で表す。
【0278】
まず、
図21(A)を用いて補正信号(Vp)をノードNMに書き込む動作を説明する。
当該動作は、フレーム毎に行ってもよく、少なくとも、画像信号を供給する前に1度書き
込めばよい。また、適宜、リフレッシュ動作を行い、同じ補正信号をノードNMに書き直
してもよい。
【0279】
時刻T1に配線G1の電位を“H”、配線G2の電位を“L”、配線G3の電位を“L”
、配線DATAの電位を“L”とすると、トランジスタM1が導通し、容量素子Cwの他
方の電極の電位は“L”となる。
【0280】
当該動作は、後の容量結合動作を行うためのリセット動作である。また、時刻T1以前は
、前フレームにおける発光素子124の発光動作が行われているが、上記リセット動作に
よってノードNMの電位が変化し発光素子124に流れる電流が変化するため、トランジ
スタM5を非導通とし、発光素子124の発光を停止することが好ましい。
【0281】
時刻T2に配線G1の電位を“H”、配線G2の電位を“H”、配線G3の電位を“L”
、配線DATAの電位を“L”とすると、トランジスタM4が導通し、配線DATA_W
の電位(補正信号(Vp))がノードNMに書き込まれる。
【0282】
時刻T3に配線G1の電位を“H”、配線G2の電位を“L”、配線G3の電位を“L”
、配線DATAの電位を“L”とすると、トランジスタM4が非導通となり、ノードNM
に補正信号(Vp)が保持される。
【0283】
時刻T4に配線G1の電位を“L”、配線G2の電位を“L”、配線G3の電位を“L”
、配線DATAの電位を“L”とすると、トランジスタM1が非導通となり、補正信号(
Vp)の書き込み動作が終了する。
【0284】
次に、
図21(B)を用いて画像信号(Vs)の補正動作と、発光素子124を発光させ
る動作を説明する。
【0285】
時刻T11に配線G1の電位を“H”、配線G2の電位を“L”、配線G3の電位を“L
”、配線DATA_Wの電位を“L”とすると、トランジスタM1が導通し、容量素子C
wの容量結合によりノードNMの電位に配線DATAの電位が付加される。すなわち、ノ
ードNMは、画像信号(Vs)に補正信号(Vp)が付加された電位(Vs+Vp)とな
る。
【0286】
時刻T12に配線G1の電位を“L”、配線G2の電位を“L”、配線G3の電位を“L
”、配線DATA_Wの電位を“L”とすると、トランジスタM1が非導通となり、ノー
ドNMの電位がVs+Vpに確定される。
【0287】
時刻T13に配線G1の電位を“L”、配線G2の電位を“L” 、配線G3の電位を“
H”、配線DATA_Wの電位を“L”とすると、トランジスタM5が導通し、ノードN
Aの電位はVs+Vpとなり、発光素子124が発光する。なお、厳密にはノードNAの
電位は、Vs+VpからトランジスタM2の閾値電圧(Vth)分だけ低い値となるが、
ここではVthは十分に小さく無視できる値とする。
【0288】
以上が画像信号(Vs)の補正動作と、発光素子124を発光させる動作である。なお、
先に説明した補正信号(Vp)の書き込み動作と、画像信号(Vs)の入力動作は連続し
て行ってもよいが、全ての画素に補正信号(Vp)を書き込んだのちに画像信号(Vs)
の入力動作を行うことが好ましい。本発明の一態様では複数の画素に同じ画像信号を同時
に供給することができるため、先に全ての画素に補正信号(Vp)を書き込むことで動作
速度を向上させることができる。
【0289】
以上のように、画像信号と補正信号を用いて発光素子を発光させることで、発光素子に流
れる電流を大きくすることができ、高い輝度を表現できる。ソースドライバの出力電圧以
上の電圧を駆動トランジスタのゲート電圧として印加できるため、ソースドライバの消費
電力を削減することができる。
【0290】
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせることができる。
【0291】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図22を用いて説明する。
【0292】
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態
様の表示装置は、表示パネルの数を増やすことにより、表示領域の面積を上限なく大きく
することが可能である。したがって、本発明の一態様の表示装置はデジタルサイネージま
たはPID(Public Information Display)などに好適に用
いることができる。
【0293】
本実施の形態の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、
16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表
示部の画面サイズとしては、対角20インチ以上、対角30インチ以上、対角50インチ
以上、対角60インチ以上、または対角70インチ以上とすることができる。
【0294】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパー
ソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機な
どの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジ
タルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端
末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0295】
本実施の形態の電子機器は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、自動車の内
装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0296】
本実施の形態の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信するこ
とで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び
二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0297】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、
距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放
射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有し
ていてもよい。
【0298】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静
止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダ
ー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する
機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能
等を有することができる。
【0299】
図22(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体71
01に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体71
01を支持した構成を示している。
【0300】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0301】
図22(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイ
ッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部700
0にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョ
ン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機71
11から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が
備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ
、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0302】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機
により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無
線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双
方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能であ
る。
【0303】
図22(B)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコ
ンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7
213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込
まれている。
【0304】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0305】
図22(C)、(D)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0306】
図22(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及
びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、また
は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができ
る。
【0307】
図22(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である
。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000
を有する。
【0308】
図22(C)、(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用す
ることができる。
【0309】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示
部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることがで
きる。
【0310】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表
示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報も
しくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作により
ユーザビリティを高めることができる。
【0311】
また、
図22(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタル
サイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または
情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7
000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面
に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作
することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0312】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7
311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行
させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむ
ことができる。
【0313】
本実施の形態は、他の実施の形態及び実施例と適宜組み合わせることができる。
【実施例0314】
本実施例では、補助配線の構成について検討し、実際に表示パネルを作製した結果につい
て説明する。
【0315】
[補助配線の例1]
まず、表示パネルの具体例1で説明した
図1(A)に示す画素130aと
図1(B)に示
す接続部122について検討した。また、検討した結果をもとに実際に表示パネルを作製
し、当該表示パネルの接続部122の断面観察を行った。
【0316】
まず、接続部122について検討した結果、画素サイズが225μm□(13インチ、h
igh definision(HD))、メタルマスク開口端と画素開口端との距離、
及びメタルマスク開口端と接続部122中央部との距離がそれぞれ20μmの条件で設計
した場合、画素130aの開口率は41.1%と見積もられた。共通層を1回で形成する
場合は、30%程度の開口率になると試算されており、共通層を2回に分けて形成するこ
とで開口率を大幅に向上できることがわかった。
【0317】
次に、実際に作製した表示パネルにおける接続部122のSTEM(Scanning
Transmission Electron Microscope)写真を
図23に
示す。
図23に示すように、接続部122において、補助配線120に共通電極113を
接続することができた。
【0318】
[補助配線の例2]
また、複数の色の副画素に共通して設けられる共通層を、表示パネルの表示領域全体に形
成しても、補助配線と共通電極とを電気的に接続できる方法を検討した。さらに、実際に
表示パネルを作製し、補助配線と共通電極とが電気的に接続されているかを評価した。具
体的な方法について、
図24を用いて説明する。
【0319】
まず、
図24(A)に示すように、絶縁層101上に、反射電極125aと透明電極12
5bとをこの順で形成した。次に、
図24(B)に示すように、透明電極125bのみを
加工し、画素電極111b及び補助配線120bを形成した。次に、
図24(C)に示す
ように、反射電極125aを加工し、画素電極111a及び補助配線120aを形成した
。このとき、補助配線120aの端部が、補助配線120bの端部よりも内側になるよう
に、エッチング時間を調整し、ひさし形状の補助配線を形成した。加工には、等方性エッ
チングが可能なウエットエッチングを用いた。
図25(A)に実際に作製した、ひさし形
状の補助配線のSTEM写真を示す。
図25(A)より、補助配線120aの端部が、補
助配線120bの端部よりも内側にある、ひさし形状の補助配線が形成できたことがわか
った。
【0320】
その後、絶縁層104を形成した(
図24(D))。絶縁層104は、画素電極111a
及び画素電極111bの端部を覆い、かつ、補助配線120a及び補助配線120bの端
部を覆わないように形成した。そして、
図24(E)に示すように、ひさし形状の補助配
線によってEL層112が段切れするように、EL層112を形成した。さらに、
図24
(E)に示すように、補助配線120bの側面と共通電極113とが接続するよう、共通
電極113を形成した。実際に、EL層112及び共通電極113を形成した後、抵抗測
定を行った結果、補助配線と共通電極113とが電気的に接続されていることが確認でき
た。
【0321】
図25(B)に、実際に作製した、ひさし形状の補助配線のSTEM写真を示す。なお、
図25(B)に示す試料は、
図25(A)とは異なる試料である。
図25(B)では、補
助配線120a、120bをまとめて120と記す。
図25(B)に示すように、EL層
112は切断されており、補助配線120と共通電極113とが互いに接続されているこ
とが確認できた。
【0322】
[補助配線の例3]
また、対向基板側に補助配線を設ける構成を検討し、実際に表示パネルを作製し、補助配
線と共通電極の接続部の断面観察を行った。具体的な方法について、
図26を用いて説明
する。
【0323】
図26(A)に示すように、絶縁層101側の絶縁層104が設けられている位置と合う
ように、対向基板121側にスペーサ108と補助配線106とを形成した。また、絶縁
層104上にスペーサ107を形成した。つまり、スペーサ107、スペーサ108、及
び補助配線106を、2つの副画素の間に配置されるように形成した。そして、補助配線
106と共通電極113とが接触するように、接着層103を用いて、対向基板121と
絶縁層101とを貼り合わせた。
【0324】
図26(B)に、表示パネルの上面図を示す。表示パネルは、画素部71、可視光を透過
する領域72、及び可視光を遮る領域73(引き回し配線)を有する。画素部71の3か
所について、断面観察を行った。
図27(A)~(C)に示すように、いずれの箇所にお
いても、補助配線106と共通電極113とが接触していることが確認できた。