IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テスラ モーターズ,インコーポレーテッドの特許一覧 ▶ パナソニック株式会社の特許一覧

特開2024-1782751,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドを含む二添加剤電解質システムに基づく新規な電池システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178275
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドを含む二添加剤電解質システムに基づく新規な電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20241217BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241217BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20241217BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M10/0569
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024160817
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2023043694の分割
【原出願日】2018-08-31
(31)【優先権主張番号】62/641,957
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/702,549
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/057,119
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーン,ジェフリー,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】マー,シャオメイ
(72)【発明者】
【氏名】グレーザー,ステファン,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ロバート,スコット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウムイオン電池の性能及び寿命を向上させ、同時に、より多くの添加剤に頼っている他のシステムの費用を削減する二添加剤電解質システムを提供する。
【解決手段】リチウム塩と、非水性溶媒と、ビニレンカーボネート、LiPO、フルオロエチレンカーボネート又はそれらの任意の組み合わせである第1の作動型添加剤、及び1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドである第2の作動型添加剤を含む混合物と、を含むリチウムイオン電池用非水性電解質が提供される。
【選択図】図4E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム塩と、
非水性溶媒と、
ビニレンカーボネート、LiPO、フルオロエチレンカーボネート又はそれらの
任意の組み合わせである第1の作動型添加剤、及び、下記式(I)
を有する1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドである第2の作
動型添加剤を含む混合物と、
を含むリチウムイオン電池用非水性電解質。
【請求項2】
前記第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲である、請求項1
に記載の非水性電解質。
【請求項3】
前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~5重量%の範囲である、請求項1
に記載の非水性電解質。
【請求項4】
前記第1の作動型添加剤の濃度が少なくとも1重量%であり、前記第2の作動型添加剤
の濃度が少なくとも1重量%である、請求項1に記載の非水性電解質。
【請求項5】
前記第1の作動型添加剤がフルオロエチレンカーボネートである、請求項4に記載の非
水性電解質。
【請求項6】
前記第1の作動型添加剤がビニレンカーボネートである、請求項4に記載の非水性電解
質。
【請求項7】
前記第1の作動型添加剤がLiPOである、請求項4に記載の非水性電解質。
【請求項8】
前記非水性溶媒がカーボネート溶媒である、請求項1に記載の非水性電解質。
【請求項9】
前記非水性溶媒が、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートから選択され
る少なくとも1つである、請求項8に記載の非水性電解質。
【請求項10】
第2の非水性溶媒を更に含む、請求項8に記載の非水性電解質。
【請求項11】
リチウムイオン電池であって、
陰極と、
正極と、
第1の非水性溶媒に溶解したリチウムイオン、及び、添加剤混合物を含む非水性電解質
であって、前記添加剤混合物は、
フルオロエチレンカーボネート、LiPO、ビニレンカーボネート又はそれら
の任意の組み合わせである第1の作動型添加剤、及び、
下記式(I)
を有する1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドである第2の作
動型添加剤を含む、非水性電解質と、
を備えるリチウムイオン電池。
【請求項12】
前記第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲である、請求項1
1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項13】
前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~5重量%の範囲である、請求項1
1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項14】
前記第1の作動型添加剤の濃度が少なくとも1重量%であり、前記第2の作動型添加剤
の濃度が少なくとも1重量%である、請求項11に記載のリチウムイオン電池。
【請求項15】
前記第1の作動型添加剤がフルオロエチレンカーボネートである、請求項14に記載の
リチウムイオン電池。
【請求項16】
前記第1の作動型添加剤がビニレンカーボネートである、請求項14に記載のリチウム
イオン電池。
【請求項17】
前記第1の作動型添加剤がLiPOである、請求項14に記載のリチウムイオン
電池。
【請求項18】
前記非水性溶媒がカーボネート溶媒である、請求項11に記載のリチウムイオン電池。
【請求項19】
前記非水性溶媒が、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートから選択され
る、請求項18に記載のリチウムイオン電池。
【請求項20】
第2の非水性溶媒を更に含む、請求項18に記載のリチウムイオン電池。
【請求項21】
前記リチウムイオン電池で産生されるガスの容量が、第1の作動型添加剤のみを含むリ
チウムイオン電池で産生されるガスの容量に匹敵する、請求項14に記載のリチウムイオ
ン電池。
【請求項22】
前記リチウムイオン電池が、40℃でC/3CCCVの充電率で3.0V~4.3Vの
200サイクル後に初期容量の少なくとも95%維持率を有する、請求項21に記載のリ
チウムイオン電池。
【請求項23】
前記リチウムイオン電池が、40℃でC/3CCCVの充電率で3.0Vと4.3Vと
の間の800サイクル後に初期容量の少なくとも95%維持率を有する、請求項21に記
載のリチウムイオン電池。
【請求項24】
充電式バッテリーを搭載した電気自動車であって、
駆動モータと、
ギアボックスと、
エレクトロニクスと、
請求項11に記載のリチウムイオン電池と、を備える電気自動車。
【請求項25】
前記第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲である、請求項2
4に記載の電気自動車。
【請求項26】
前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~5重量%の範囲である、請求項2
4に記載の電気自動車。
【請求項27】
前記第1の作動型添加剤の濃度が少なくとも1重量%であり、前記第2の作動型添加剤
の濃度が少なくとも1重量%である、請求項24に記載の電気自動車。
【請求項28】
前記第1の作動型添加剤がフルオロエチレンカーボネートである、請求項27に記載の
電気自動車。
【請求項29】
前記第1の作動型添加剤がビニレンカーボネートである、請求項27に記載の電気自動
車。
【請求項30】
前記第1の作動型添加剤がLiPOである、請求項27に記載の電気自動車。
【請求項31】
前記非水性溶媒がカーボネート溶媒である、請求項24に記載の電気自動車。
【請求項32】
前記非水性溶媒が、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートから選択され
る少なくとも1つである、請求項31に記載の電気自動車。
【請求項33】
前記リチウムイオン電池が、第2の非水性溶媒を更に含む、請求項32に記載の電気自
動車。
【請求項34】
前記電池システムで産生されるガスの容量が、第1の作動型添加剤のみを含む電池シス
テムで産生されるガスの容量に匹敵する、請求項24に記載の電気自動車。
【請求項35】
前記電池システムが、40℃でC/3CCCVの充電率で3.0V~4.3Vの200
サイクル後に初期容量の少なくとも95%維持率を有する、請求項24に記載の電気自動
車。
【請求項36】
前記電池システムが、40℃でC/3CCCVの充電率で3.0V~4.3Vの800
サイクル後に初期容量の少なくとも95%維持率を有する、請求項31に記載の電気自動
車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電式電池システムに関し、より具体的には、充電式リチウムイオン電池シ
ステムの特性を改善するための、作動型電解質添加剤及び電極を含むかかるシステムの化
学に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式電池は、電気自動車及びグリッドストレージ(例えば、停電時のバックアップ電
源用、マイクログリッドの一部として等)の畜エネルギーシステムに不可欠なコンポーネ
ントである。用途に応じて、畜エネルギーシステムには異なる特性が必要である。特定の
用途に適したシステムを作り出すには、電池システムの化学的性質のトレードオフを行う
必要がある場合がある。例えば、自動車の用途、特に電気自動車の用途では、急速に充放
電する性能がシステムの重要な特性である。電気自動車の所有者は、往来で素早く加速す
る必要がある場合があり、これにはシステムを素早く放電させる性能が必要である。更に
、急速充放電はシステムに要求を課すので、システムのコンポーネントはまた、かかる動
作条件下で十分な寿命を提供するように選択される必要があり得る。
【0003】
電解質添加剤は作動型(operative)であり、リチウムイオン系電池の寿命及
び性能を向上させることが示されている。例えば、非特許文献1には、5つの独自の公開
されていない電解質添加剤が、添加剤を含まない又は1種類しか含んでいない電解質系と
比較してサイクル寿命を延ばすことが示された。他の研究では、特許文献1に記載されて
いるように、3種類又は4種類の添加剤を含有する電解質システムの性能向上に焦点を当
てている。しかしながら、通常、研究者らは、電解質と特定の正極及び負極とが相乗的に
一緒になって作用することを可能にする異なる添加剤間の相互作用を理解していない。そ
のため、特定のシステムの添加剤ブレンドの組成は試行錯誤に基づくことが多く、事前に
予測することはできない。
【0004】
以前の研究では、リチウムイオン電池システムに組み合わせてグリッド又は自動車の用
途に十分な特性を持つ堅牢なシステムを生成できる二添加剤電解質システムを特定してい
ない。特許文献1で検討されているように、研究された二添加剤システム(例えば、2%
VC+1%アリルメタンスルホネート及び2%PES+1%TTSPi)は、通常、3種
及び4種の添加剤電解質システムよりも性能が劣っていた。(例えば、特許文献1の表1
及び表2を参照されたい。)特許文献1は、堅牢なリチウムイオン電池システムを製造す
るために、0.25重量%~3重量%の濃度の第3の化合物、多くの場合、トリス(-ト
リメチル-シリル)-ホスフェート(TTSP)又はトリス(-トリメチル-シリル)-
ホスファイト(TTSPi)が必要であったことを開示している。(例えば、特許文献1
の段落72を参照されたい。)しかしながら、高価になる可能性があり、製造規模でLi
イオン電池内に添加剤を含めることが難しいため、添加剤が少ないものを含めて、より単
純でありながら効果的な電解質が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この開示は、種々の畜エネルギー用途、例えば車両及びグリッド蓄電で使用され得る、
作動型電解質添加剤がより少ない新規の電池システムを包含する。より具体的には、この
開示は、Liイオン電池の性能及び寿命を向上させ、同時に、より多くの添加剤に頼って
いる他のシステムの費用を削減する二添加剤電解質システムを含む。この開示はまた、開
示される二添加剤電解質システムと連携して更なる系統的な向上を提供する有効な正極及
び負極を開示する。
【0006】
1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシド(ODTO)と組み合
わされたビニレンカーボネート(VC)を含む作動型添加剤電解質システムが開示される
。ODTOは次の式(I)を有する。
【0007】
ODTOと組み合わされたフルオロエチレンカーボネート(FEC)及びODTOと組
み合わされたLiPO(ここではLFOと呼ばれる)も開示されている。VC、L
FO及びVCとODTOの少なくとも2つの組み合わせを含むシステムも開示される。
【0008】
VC及びFECは同様の改善を提供する(また同様に機能すると考えられている)ため
、VCとFECとの混合物を単一の有効な電解質と見なすことができる。すなわち、別の
開示された二作動型添加剤電解質システムは、ODTOと組み合わせたVC及びFECと
の混合物を含む。より大きな電池システム(電解質、電解質溶媒、正極及び負極を含む)
の一部として使用する場合、これらの二作動型添加剤電解質システムは、車両及びグリッ
ドの用途を含む畜エネルギー用途に望ましい特性を生み出す。加えて、LFOは主要な添
加剤として効果的に作用し、FEC及び/又はVCと組み合わせて、LFOによって更に
改善され得る添加剤システムを作ることができる。
【0009】
より具体的には、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)正極、黒鉛負極
、酢酸メチル(MA)を含んでもよい有機溶媒又は非水性溶媒に溶解したリチウム塩、及
び2種類の添加剤は、種々の用途に望ましい特性を持つ電池システムを形成することがで
きる。電解質溶媒は、次の溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる:エチレン
カーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、酢酸メチル、プロピレン
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、別のカーボネート溶媒(
環状又は非環状)、別の有機溶媒、及び/又は別の非水性溶媒。溶媒は、添加剤よりも高
い、通常6重量%超の濃度で存在する。溶媒を、開示されている二添加剤ペアと組み合わ
せて(VCとODTO、FECとODTO、LFOとODTO、VC及びFECの混合物
とODTO、又は別の組み合わせ等)、種々の用途に望ましい特性を持つ電池システムを
形成することができる。正極は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(Ti
)、又は別のコーティング材等の材料でコーティングされてもよい。更に、コスト節
約のため、負極は天然黒鉛から形成されてもよいが、価格設定構造によっては、特定の例
では、人造黒鉛は天然黒鉛よりも安価である。
【0010】
本明細書における開示は、二添加剤電解質システムと選択された電極の共生的性質を示
す実験データによって支持されている。例示的な電池システムは、2つの添加剤(例えば
、FEC、LFO又はVC、ODTO)、黒鉛負極(天然起源の黒鉛又は人造の合成黒鉛
のいずれか)、NMC正極、リチウム電解質(例えば、化学組成LiPFを有する六フ
ッ化リン酸リチウム等のリチウム塩から形成される)、及び有機溶媒又は非水性溶媒を含
む。更なる実施形態では、第1の添加剤は、VC、LFO及びFECの少なくとも2つの
組み合わせである。
【0011】
この出願の例示的な実施形態は、リチウム塩と、非水性溶媒と、ビニレンカーボネート
、LiPO(LFO)、フルオロエチレンカーボネート又はそれらの任意の組み合
わせから選択される第1の作動型添加剤、及び下記式(I)
を有する1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドの第2の作動型
添加剤を含む混合物と、を含むリチウムイオン電池用非水性電解質である。
【0012】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤の濃度は、0.25重量%~6重量%
の範囲である。
【0013】
別の例示的な実施形態では、第2の作動型添加剤の濃度は、0.25重量%~5重量%
の範囲である。
【0014】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤の濃度は2重量%(VC又はFECの
場合)及び1重量%(LFOの場合)であり、第2の作動型添加剤の濃度は1重量%であ
る。
【0015】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤はフルオロエチレンカーボネートであ
る。
【0016】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤はビニレンカーボネートである。
【0017】
別の例示的な実施形態では、第1の作動型添加剤はLiPOである。
【0018】
別の例示的な実施形態では、非水性溶媒はカーボネート溶媒である。
【0019】
別の例示的な実施形態では、非水性溶媒は、エチレンカーボネート、及びエチルメチル
カーボネートから選択される少なくとも1つである。
【0020】
別の例示的な実施形態では、電解質は、第2の非水性溶媒を更に含む。
【0021】
この出願の別の例示的な実施形態は、陰極と、正極と、第1の非水性溶媒に溶解したリ
チウムイオン、並びにフルオロエチレンカーボネート、LiPO及びビニレンカー
ボネート又はそれらの任意の組み合わせから選択される第1の作動型添加剤と、下記式(
I)
を有する1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドの第2の作動型
添加剤との添加剤混合物を含む非水性電解質と、を備えるリチウムイオン電池である。
【0022】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池で産生されるガスの容量は、第1の作
動型添加剤のみを含むリチウムイオン電池で産生されるガスの用量に匹敵する。
【0023】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの間の200サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0024】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの間の300サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0025】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの間の400サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0026】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの間の500サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0027】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの間の600サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0028】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの間の700サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0029】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの800サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0030】
別の例示的な実施形態では、リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率
で3.0V~4.3Vの900サイクル後に初期容量の95%維持率を有する。
【0031】
本出願の別の例示的な実施形態は、充電式電池と、駆動モータと、ギアボックスと、電
子装置と、本明細書に記載の電池システムとを搭載した電気自動車である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】蓄電池システムを搭載した車両の概略図である。
【0033】
図2】例示的な蓄電池システムの概略図である。
【0034】
図3】リチウムイオン電池セルシステムの概略図である。
【0035】
図4A-4B】異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果を示す。
図4C-4D】異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果を示す。
図4E】異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果を示す。
【0036】
図4Aは、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対
照)、及び2%VC、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%OD
TO、2%FEC+1%ODTO、及び1%LFO(LiPO)+1%ODTOを
含むEC:EMCを有する電解質を含有するコーティングされていないNMC532/人
造黒鉛セルの化成サイクル中のdQ/dV対Vを示すことにより、パッシベーション効果
を図示する。
【0037】
図4Bは、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対
照)、及び2%VC、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%OD
TO、2%FEC+1%ODTO、及び1%LFO+1%ODTOを含むEC:EMCを
有する電解質を含有するコーティングされたNMC532/人造黒鉛セルの化成サイクル
中のdQ/dV対Vを示すことにより、パッシベーション効果を図示する。
【0038】
図4Cは、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2
%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、及び2%VCを有する電解質を含
有するAlコーティングされたNMC622/人造黒鉛セルの化成サイクル中のd
Q/dV対Vを示すことにより、パッシベーション効果を図示する。
【0039】
図4Dは、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)(対
照)、及び1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%
FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、及び2%VCを含むEC:EMCを
有する電解質を含有する、アルミニウム、フッ素及び酸素(AFO)の多結晶コーティン
グ材でコーティングされたNMC622/人造黒鉛セルの化成サイクル中のdQ/dV対
Vを示すことにより、パッシベーション効果を図示する。
【0040】
図4Eは、2%VC、2%VC+1%ODTO、及び2%VC+3%ODTOを含む電
解質を含有するリチウムイオン電池セルの化成サイクル中のdQ/dV対Vを示すことに
よるパッシベーション効果を説明する。
【0041】
図5A-5B】様々な電解質組成物を有する異なるタイプのセルの電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)スペクトルである。
図5C-5D】様々な電解質組成物を有する異なるタイプのセルの電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)スペクトルである。
図5E】様々な電解質組成物を有する異なるタイプのセルの電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)スペクトルである。
【0042】
図5Aは、コーティングされていないNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル
内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC
+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、2%FEC、及び1%LFOを
含む異なる電解質システムのEISスペクトルである。
【0043】
図5Bは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1
%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%
ODTO、1%LFO+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO+1%VC、1%LF
O+1%ODTO+1%FEC、1%LFO+1%ODTO+1%TTSPi、2%VC
、2%FEC、及び1%LFOを含む異なる電解質システムのEISスペクトルである。
【0044】
図5Cは、AlコーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えた
セル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%F
EC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む異な
る電解質システムのEISスペクトルである。
【0045】
図5Dは、AFOコーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えたセル
内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC
+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む異なる電
解質システムのEISスペクトルである。
【0046】
図5Eは、リチウムイオン電池セルにおける2%VC、2%VC+1%ODTO、2%
FEC+3%ODTOを含む異なる電解質システムのEISスペクトルである。
【0047】
図6A】化成サイクル後に測定された様々な電解質組成を有する異なるタイプのセルの電荷移動抵抗(Rct)を図示する。
図6B】化成サイクル後に測定された様々な電解質組成を有する異なるタイプのセルの電荷移動抵抗(Rct)を図示する。
図6C】化成サイクル後に測定された様々な電解質組成を有する異なるタイプのセルの電荷移動抵抗(Rct)を図示する。
図6D】化成サイクル後に測定された様々な電解質組成を有する異なるタイプのセルの電荷移動抵抗(Rct)を図示する。
図6E】化成サイクル後に測定された様々な電解質組成を有する異なるタイプのセルの電荷移動抵抗(Rct)を図示する。
【0048】
図6Aは、コーティングされていないNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル
内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC
+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、2%FEC、及び1%LFOを
含む異なる電解質システムのRctを図示する。
【0049】
図6Bは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1
%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%
ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、2%FEC、及び1%LFOを含む異
なる電解質システムのRctを図示する。
【0050】
図6Cは、AlコーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えた
セル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%F
EC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む異な
る電解質システムのRctを図示する。
【0051】
図6Dは、コーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1
%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%
ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC及び2%FECを含む異なる電解質シス
テムのRctを図示する。
【0052】
図6Eは、コーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えたリチウムイ
オン電池セル内の2%VC、2%VC+1%ODTO、及び2%VC+3%ODTOを含
む異なる電解質システムのRctを図示する。
【0053】
図7A】異なる電解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約する。
図7B】異なる電解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約する。
図7C】異なる電解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約する。
図7D】異なる電解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約する。
図7E】異なる電解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約する。
【0054】
図7Aは、コーティングされていないNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル
内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC
+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、2%FEC、及び1%LFOを
含む電解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約
するプロットである。
【0055】
図7Bは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1
%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%
ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、2%FEC、及び1%LFOを含む電
解質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約するプ
ロットである。
【0056】
図7Cは、AlコーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えた
セル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%F
EC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む電解
質システムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約するプロ
ットである。
【0057】
図7Dは、AFOコーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えたセル
内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC
+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む電解質シ
ステムについてセル化成中に生成された化成ガスの容量の実験データを要約するプロット
である。
【0058】
図7Eは、リチウムイオン電池セルにおいて、2%VC、2%VC+1%ODTO、及
び2%VC+3%ODTOを含む電解質システムについてセル化成中に生成される化成ガ
スの容量の実験データを要約するプロットである。
【0059】
図8A-8B】様々な電解質システムを備えた異なるNMC622/人造黒鉛セルの高温蓄電時の電圧対時間を図示する。
【0060】
図8Aは、AlコーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えた
セル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%F
EC+1%ODTO、及び1%LFO+1%ODTOを含む異なる電解質システムの高温
蓄電時の電圧対時間を図示する。
【0061】
図8Bは、コーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1
%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%
ODTO、及び1%LFO+1%ODTOを含む異なる電解質システムの高温蓄電時の電
圧対時間を図示する。
【0062】
図9図9は、リチウムイオン電池セル内に様々な電解質添加剤システムを含む実験における寄生熱流を図示する。
【0063】
図10A】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10B】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10C】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10D】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10E】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10F】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10G】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10H】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10I】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10J】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10K】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10L-10M】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10N】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10O】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10P】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10Q】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10R】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10S】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10T】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10U】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10V】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
図10W】様々な電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート(fade rate))、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
【0064】
図10A図10Iは、コーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を使用
して様々な添加剤電解質システムのサイクリング実験中に収集された、放電容量、正規化
放電容量(又はフェードレート)、充電エンドポイント容量、クーロン効率、及びΔV(
平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む、実験データを図示する。
【0065】
図10J図10Kは、コーティングされていないNMC532正極及び人造黒鉛負極
を使用して様々な電解質システムのサイクリング実験及び超高精度サイクリング実験中に
収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、充電エンドポイント容
量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図
示する。
【0066】
図10L図10Rは、Alコーティングされた及びAFOコーティングされた
NMC622正極及び人造黒鉛負極を使用して様々な電解質システムのサイクリング実験
中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、充電エンドポイン
ト容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データ
を図示する。
【0067】
図10Sは、リチウムイオン電池セルを使用して様々な電解質システムのサイクリング
実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、及びΔV(平
均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
【0068】
図10Tは、リチウムイオン電池セルを使用して様々な電解質システムのサイクリング
実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、及びΔV(平
均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験データを図示する。
【0069】
図10Uは、リチウムイオン電池セルを使用して様々な電解質システムのサイクリング
実験中に収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、充電エンドポ
イント容量、クーロン効率、及びΔV(平均充電電圧と平均放電電圧の差)を含む実験デ
ータを図示する。
【0070】
図10Vは、コーティングされた及びコーティングされていないNMC532正極及び
人造黒鉛負極、並びにAlコーティングされた及びAFOコーティングされたNM
C622正極及び人造黒鉛負極を使用して様々な電解質システムのサイクリング実験中に
収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、及びΔV(平均充電電
圧と平均放電電圧の差)を含む、実験データを図示する。
【0071】
図10Wは、コーティングされた及びコーティングされていないNMC532正極及び
人造黒鉛負極、並びにAlコーティングされた及びAFOコーティングされたNM
C622正極及び人造黒鉛負極を使用して様々な電解質システムのサイクリング実験中に
収集された、放電容量、正規化放電容量(又はフェードレート)、及びΔV(平均充電電
圧と平均放電電圧の差)を含む、実験データを図示する。
【0072】
図11】3.0V~4.3VのサイクリングでコーティングされていないNMC532正極及び人造黒鉛負極を使用した、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む電解質システムのサイクル数に対する時間当たりのクーロン非効率性、サイクル数に対する時間当たりの部分充電エンドポイント容量のずれ、及びサイクル数に対する時間当たりの部分容量フェードを図示する。
【0073】
図12】3.0V~4.3VのサイクリングでコーティングされたNMC532正極及び人造黒鉛負極を使用した、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、2%FEC、及び1%LFOを含む電解質システムのサイクル数に対する時間当たりのクーロン非効率性、サイクル数に対する時間当たりの部分充電エンドポイント容量のずれ、及びサイクル数に対する時間当たりの部分容量フェードを図示する。
【0074】
図13】3.0V~4.3VのサイクリングでAlコーティングされたNMC622A正極及び人造黒鉛負極を使用した、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む電解質システムのサイクル数に対する時間当たりのクーロン非効率性、サイクル数に対する時間当たりの部分充電エンドポイント容量のずれ、及びサイクル数に対する時間当たりの部分容量フェードを図示する。
【0075】
図14】3.0V~4.3VのサイクリングでAFOコーティングされたNMC622B正極と人造黒鉛負極を使用した、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC、及び2%FECを含む電解質システムのサイクル数に対する時間当たりのクーロン非効率性、サイクル数に対する時間当たりの部分充電エンドポイント容量のずれ、及びサイクル数に対する時間当たりの部分容量フェードを図示する。
【0076】
図15】リチウムイオン電池セル内に様々な電解質添加剤システムを含む実験におけるサイクル当たりの平均寄生熱流を図示する。
【0077】
図16】リチウムイオン電池セル内に様々な電解質添加剤システムを含む実験における経時的な電圧の変化及びガス容量を図示する。
【0078】
図17】リチウムイオン電池セル内に様々な電解質添加剤システムを含む実験における寄生熱流を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、電池式電気自動車(電気自動車)100の基本的なコンポーネントを示す。電
気自動車100は、少なくとも1つの駆動モータ(牽引モータ)102A及び/又は10
2B、対応する駆動モータ102A及び/又は102Bに結合された少なくとも1つのギ
アボックス104A及び/又は104B、電池セル106並びに電子機器108を備える
。一般に、電池セル106は、電気自動車100の電子機器に動力を供給し、駆動モータ
102A及び/又は102Bを使用して電気自動車100を推進するために電力を供給す
る。電気自動車100は、本明細書には記載されていないが当業者に知られている他の多
数のコンポーネントを備える。図1の電気自動車100の構成は4つの車輪を有するよう
に示されているが、異なる電気自動車は4つより少ないか又は多い車輪を有し得る。更に
他のタイプの車両の中でも、自動二輪車、航空機、トラック、ボート、列車エンジンを含
む、異なるタイプの電気自動車100は、本明細書で説明される本発明の概念を組み込む
ことができる。本開示の実施形態を用いて作製される特定の部品を車両100で使用する
ことができる。
【0080】
図2は、様々なコンポーネントを示す例示的な畜エネルギーシステム200の概略図を
示す。畜エネルギーシステム200は、通常、少なくとも基部202及び4つの側壁20
4(図には2つだけが示されている)を備えたモジュール式ハウジングを含む。モジュー
ルハウジングは、一般に、収納された電池セル206から電気的に分離されている。これ
は、物理的な分離により、電気絶縁層により、モジュールハウジングとしての絶縁材料の
選択により、それらの任意の組み合わせ、又は別の方法により起こる場合がある。基部2
02は、金属シートの上の電気絶縁層、又はポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビ
ニル、別のプラスチック、非導電性複合材若しくは絶縁炭素繊維等の非導電性/電気絶縁
性材料であってもよい。側壁204はまた、絶縁層を備えてもよく、又はポリプロピレン
、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、別のプラスチック、非導電性複合材若しくは絶縁炭素
繊維等の非導電性若しくは電気絶縁性の材料から形成されてもよい。1つ以上の相互接続
層230は、電池セル206の上に配置することができ、上部プレート210は相互接続
層230の上に配置される。上部プレート210は、単一のプレートであってもよく、複
数のプレートから形成されていてもよい。
【0081】
個々の電池セル106及び206は、リチウムイオンを含有する電解質を含み、正極及
び負極を備えたリチウムイオン電池セルであることが多い。図3は、リチウムイオンセル
300の概略図を示す。リチウムイオン350は、容器360内の電解質320全体に分
散されている。容器360は、電池セルの一部であってもよい。リチウムイオン350は
、正極330と負極340との間を移動する。セパレータ370は、負極と正極を分離す
る。回路310は、負極と正極を接続する。
【0082】
発明者らによる新たな研究より、グリッド及び電気自動車の用途で使用するための新規
な電解質及び電池システムが特定された。これらのシステムは、1,2,6-オキソジチ
アン-2,2,6,6-テトラオキシド(ODTO)と組み合わせたビニレンカーボネー
ト(VC)、ODTOと組み合わせたLiPO及びODTOと組み合わせたフルオ
ロエチレンカーボネート(FEC)を含む溶媒と電極とを組み合わせた二添加剤電解質シ
ステムに基づいている。これらの二添加剤電解質システムは、LNiMnCo
(一般にNMCと略記又はNMCxyz、ここで、x、y及びzはそれぞれニッケル、マ
ンガン、コバルトのモル比である)の組成を持つリチウムニッケルマンガンコバルト酸化
物から作られた正極とペアになっている。特定の実施形態では、正極は、NMC111、
NMC532、NMC811又はNMC622から形成される。特定の実施形態では、連
続結晶格子(又は粗粒)のマイクロメートルサイズの面積を有する電極をもたらした単結
晶のマイクロメートルサイズ側の粒子から形成されたNMC532正極は、一部には材料
が原因となって、特に堅牢であることが示されており、また処理条件により、従来の材料
及び処理条件を使用する場合よりも粒度が大きくなる。
【0083】
典型的な処理条件により、ナノメートルサイズの粒子がより大きなマイクロメートルサ
イズの凝集体に詰め込まれたNMC電極がもたらされ、ナノメートルスケールで粒界が作
られる。粒界は、望ましい特性(例えば、電気的特性)を低下させる傾向があるという欠
陥のため、一般に、粗粒の数を減らし、粒度を大きくすることが望ましい。処理により、
マイクロメートルサイズのスケールでより大きなドメインを作ることができるため、NM
C電極の粒界の数が減り、電気的特性が向上する。特性の向上により、より堅牢な電池シ
ステムがもたらされる。特定の実施形態では、他のNMC電極を処理して、より大きなド
メインサイズ(マイクロメートルサイズスケール以上)、例えば、NMC111、NMC
811、NMC622、又は別のNMC化合物を作って、より堅牢なシステムを作り出す
ことができる。
【0084】
正極は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、又は別のコー
ティング材等の材料でコーティングされてもよい。正極のコーティング材は、寄生反応、
又はコーティングされた材料を含有するセルを劣化させる可能性のある別の現象等、正極
での界面現象を減らすのに役立つ場合があるため、有利である。負極は、天然黒鉛、人造
黒鉛、又は他の材料から作られてもよい。
【0085】
電解質は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸メチル、プロピレ
ンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、別のカーボネート溶媒
(環状又は非環状)、別の有機溶媒、及び/又は別の非水性溶媒を含む有機又は非水性溶
媒の組み合わせに溶解されたリチウム塩(LiPF等)であってもよい。溶媒は、添加
剤よりも高い濃度、通常5重量%超又は6重量%超で存在する。実験データを、EC:E
MC:DMCを体積25:5:70(酢酸メチル(MA)の有無にかかわらず)で含む電
解質溶媒を使用して生成されたが、これらの溶媒は、他のカーボネート溶媒、特に他の非
水性溶媒の単なる例である。添加剤及び電極の影響を理解するために、EC及びEMCの
溶媒を実験で使用して、試験したシステムを制御した。したがって、電解質システムは、
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチル
カーボネート、ジエチルカーボネート、他のカーボネート溶媒(環状又は非環状)、他の
有機溶媒、及び/又は別の非水性溶媒を含む他のカーボネート溶媒及び/又は他の非カー
ボネート溶媒を使用することができる。溶媒は、添加剤よりも高い濃度、通常5重量%超
又は6重量%超で存在する。
【0086】
FEC+ODTOの二添加剤混合物では、FECの濃度は、好ましくは0.5重量%~
6重量%であり、ODTOの濃度は、好ましくは0.25重量%~5重量%である。VC
+ODTOの二添加剤混合物では、VCの濃度は、好ましくは0.5重量%~6重量%で
あり、ODTOの濃度は、好ましくは0.25重量%~5重量%である。LFO+ODT
Oの二添加剤混合物では、LFOの濃度は、好ましくは0.5重量%~1.5重量%であ
り、ODTOの濃度は、好ましくは0.25重量%~5重量%である。
【0087】
これらの特定の新たな電池システムは、畜エネルギー用途、また自動車用途(電気自動
車内の畜エネルギーを含む)で使用でき、この用途では、充放電の速度、並びに急速に充
放電するときの寿命が重要である。
【0088】
前実験の構成
電池システム自体は、本開示に従って別々にパッケージされてもよいが、実験構成は、
通常、機械で作られた「密閉セル」を使用して、一般的な構成を使用する、二添加剤電解
質システム及び正極及び負極に使用するための特定の材料を含む電池システムを系統的に
評価する。本開示内で言及される全てのパーセントは、特に指定されない限り、重量パー
セントである。当業者は、使用される添加剤の種類及び採用される濃度が、最も望ましく
改善される特性、並びに作製されるリチウムイオン電池で使用される他のコンポーネント
及び設計に依存し、この開示から明らかであることを理解する。
【0089】
密閉型電池セル
実験構成で使用されたNMC/黒鉛密閉セルは、添加剤を加えた溶媒中に1M LiP
を含んでいた。電解質は、30%EC及び70%EMC中に1M LiPFからな
った。電解質成分の濃度は、MA及び/又はDMCを含むように修正することができる。
この電解質に、添加剤成分を指定される重量パーセントで添加した。
【0090】
実験構成で使用した密閉型電池セルは、体積比25:5:70のEC、EMC、及びD
MCに添加した1.2M LiPFからなる電解質溶媒を含有した。この電解質に、添
加剤成分を指定の重量パーセントで添加した。
【0091】
密閉型NMC/黒鉛セルは、特に指定のない限り、マイクロメートルサイズの粗粒のN
MC532(単結晶NMC532と呼ばれることもある)で作られた正極、及び人造黒鉛
で作られた負極を使用した。特定の電池システムを試験するため、標準NMC532(マ
イクロメートルサイズの粗粒のNMCよりも小さい粗粒)及びNMC622を含む他の正
極、及び負極(天然黒鉛を含む)を使用した。
【0092】
電解液を充填する前に、密閉セルをヒートシール未満で切り開き、100℃で12時間
真空乾燥して、残留水分を除去した。次いで、充填及び真空封止を行うためセルをすぐに
アルゴンを充填したグローブボックスに移した後、電解液を充填した。充填後、セルを真
空封止した。
【0093】
封止後、密閉セルを40.0+/-0.1℃の温度ボックスに入れ、1.5Vで24時
間保持して、ウェッティングを完了させた。その後、密閉セルを化成プロセスに供した。
特に明記しない限り、NMC/黒鉛セルの化成プロセスは、11mA(C/20)で4.
2Vまで密閉セルを充電し、3.8Vまで放電することからなった。C/xは、セルに初
期容量がある場合、選択されている電流でのセルの充電又は放電にかかる時間がx時間で
あることを示す。例えば、C/20は、充電又は放電に20時間かかることを示す。化成
後、セルをグローブボックスに移して移動させ、切り開いて発生したガスを放出させ、再
度真空封止して適切な実験を行った。
【0094】
サイクリング実験及び蓄電実験のための電池セルの化成プロセスは、密閉セルを40℃
にてC/2で1時間充電すること、セルを60℃で22時間蓄電すること、セルを40℃
にてC/2で4.2Vに充電すること、及び3.8Vに放電することからなった。化成後
、セルをグローブボックスに移して移動させ、切り開いて発生したガスを放出させ、再度
真空封止して適切な実験を行った。
【0095】
充電プロファイル及びin-situガス容量測定実験のための電池セルの化成プロセ
スは、セルをin-situガス測定機器に接続しながら、密閉セルを40℃にてC/2
0で4.2Vまで充電すること、40℃にてC/20で3.8V放電することからなった
【0096】
パッシベーション効果
異なるタイプのセルにおける様々な電解質組成物のパッシベーション効果を図4A~図
4Eに示す。図4A図4Eのデータからわかるように、ODTOは、5つの異なるタイ
プのセルにおいて同様のパッシベーション効果の影響を示す。第1及び第2のセル(図4
A~図4B)では、コーティングされていないNMC532正極(図4A)及び人造黒鉛
電極を備えるセル、並びにコーティングしたNMC532正極(図4B)及び人造黒鉛電
極を備えるセルにおけるエチレンカーボネート(EC);エチルメチルカーボネート(E
MC)(対照)、2%VC、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1
%ODTO、2%FEC+1%ODTO、及び1%LFO+1%ODTOのパッシベーシ
ョン効果の比較を示す。第3及び第4のセル(図4C図4D)では、Alコーテ
ィングNMC622/人造黒鉛電極を備えたセル(図4C)及びAFOコーティングNM
C622電極を備えたセル(図4D)における2%VC、1%LFO+1%ODTO、2
%FEC+1%ODTO、2%VC+1%ODTO、1%ODTO、3%ODTO及び5
%ODTOのパッシベーション効果を示す。そして、第5のセル(図4E)では、EC:
EMC:DMC、2%VC、2%VC+1%ODTO、2%VC+3%ODTOのパッシ
ベーション効果を示す。およそ2.3Vのピークは、1%ODTOが存在する場合のOD
TOの減少に対応する(パッシベーションピーク)。1%ODTO添加剤の効果は、Al
コーティングされたNMC622正極、AFOコーティングされたNMC622正
極、及び電池セルに見られる電極のそれぞれのデータに関する図4C図4Eの同様のピ
ークによって実証されるように、使用される正極のタイプに依存しない。
【0097】
セルインピーダンス
本明細書に開示される二添加剤電解質システム及び新規の電池システムは、低いセルイ
ンピーダンスを有する。セルインピーダンスはセルのエネルギー効率を低下させるため、
セルインピーダンスを最小限に抑えることが望ましい。逆に、インピーダンスが低いと、
可能な充電率が高くなり、エネルギー効率が高くなる。
【0098】
セルインピーダンスを、電気化学インピーダンス分光法(EIS)を使用して測定した
。10.0+/-0.1℃の温度ボックスに移動する前に、セルを3.80Vに充電又は
放電した。ACインピーダンススペクトルを、10.0+/-0.1℃で10mVの信号
振幅で100kHzから10mHzまで10分当たり10ポイントで収集した。測定され
たACインピーダンスから電荷移動抵抗(Rct)を計算し、プロットした。
【0099】
特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質シス
テムが、電池システムの一部を形成する。図5A図5Eは、コーティングされていない
NMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1%ODTO、3%ODTO、5%
ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%OD
TO、2%VC、2%FEC及び1%LFO(図5A);コーティングされたNMC53
2正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、
2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、1%
LFO+1%ODTO+1%VC、1%LFO+1%ODTO+1%FEC、1%LFO
+1%ODTO+1%TTSPi、2%VC、2%FEC及び1%LFO(図5B);A
l2O3コーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1%O
DTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%OD
TO、1%LFO+1%ODTO、2%VC及び2%FEC(図5C);AFOコーティ
ングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極を備えるセル内の1%ODTO、3%OD
TO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO
+1%ODTO、2%VC及び2%FEC(図5D);並びに別のリチウムイオン電池セ
ル内の2%VC、2%VC+1%ODTO、2%FEC+3%ODTO(図5E)からな
る二添加剤電解質システムのセル電荷移動インピーダンス実験の実験データを示す。これ
らの電気化学セルのそれぞれに人造黒鉛負極を使用した。
【0100】
また、セルの電荷移動インピーダンス(Rct)をこれらのセルについて調べた。図6
A~図6Eのデータに示されているように、セル電荷移動インピーダンスは、3%ODT
O又は5%ODTOを含む電解質と比較して、1%ODTO単独で又は2%FEC、2%
VC又は1%LFOと組み合わせた1%ODTOで減少する。したがって、これらの新規
な二添加剤電解質システムは、ODTOを含めることで大幅に電荷移動インピーダンス性
能を犠牲にすることはない。
【0101】
ガス容量の測定
化成プロセスは、セルが電気自動車等の自動車におけるグリッド蓄電又は畜エネルギー
等のそれらの意図された用途で使用される前に行われる。化成中、セルは正確に制御され
た充放電サイクルに供され、これは、それらを意図された用途で使用するために電極及び
電解質を活性化することを目的としている。化成中にガスが生成される。(セルによって
許容される特定の耐性及びセルのパッケージングに応じて)十分な量のガスが生成される
場合、化成プロセスの後、用途で使用する前にガスを放出する必要がある場合がある。こ
れには通常、密閉を破った後に再封止するという追加の工程が必要である。これらの工程
は多くの電池システムで一般的であるが、可能であればガスの産生が少ないシステムを選
択することによって、これらの工程を取り除くことが望ましい。
【0102】
ガス容量実験を次の通り進めた:Ex-situ(静的)ガス測定を使用して、化成中
及びサイクリング中のガス放散を測定した。測定は、アルキメデスの原理を使用して、液
体に沈めた状態でセルを天秤から吊り下げて行った。流体に浮遊しているセル重量の試験
前後の変化は、浮力の変化による体積変化に直接関連する。密度ρの流体に浮遊している
セルの質量の変化Δmは、セル体積の変化ΔvとΔv=-Δm/ρの関係がある。充放電
中及び高電位保持期間中に生成されたガスを、Aiken et al.(C.P.Ai
ken,J.Xia,David Yaohui Wang,D.A.Stevens,
S.Trussler and J.R.Dahn,J.Electrochem.So
c.2014 volume 161,A1548-A1554)によって記載されるi
n-situガス測定装置を使用して測定した。
【0103】
特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質シス
テムが、電池システムの一部を形成する。図7A図7Eは、コーティングされていない
NMC532正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1%ODTO、3%ODTO、5%
ODTO、2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%OD
TO、2%VC、2%FEC及び1%LFO(図7A);コーティングされたNMC53
2正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、
2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%
VC、2%FEC及び1%LFO(図7B);Al2O3コーティングされたNMC62
2正極及び人造黒鉛負極を備えたセル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、
2%VC+1%ODTO、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%
VC及び2%FEC(図7C);コーティングされたNMC622正極及び人造黒鉛負極
を備えるセル内の1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、2%VC+1%ODTO
、2%FEC+1%ODTO、1%LFO+1%ODTO、2%VC及び2%FEC(図
7D);別のリチウムイオン電池セル内の2%VC、2%VC+1%ODTO及び2%V
C+3%ODTO(図7E)からなる二添加剤電解質システムにおけるガス生成実験の結
果を示す。これらの電気化学セルのそれぞれに人造黒鉛負極を使用した。これらのセルの
それぞれにおいて、生成されたガスの量を、上記の手順に従って測定した。図7A図7
Eに示すように、1%ODTO又は1%LFO+1%ODTOを有するセルでは、かなり
の量のガスが産生された。しかしながら、ガス産生は2%VC+1%ODTO及び2%F
EC+1%ODTOのセルでは大幅に減少した。
【0104】
蓄電実験
化成後、C/10に対応する電流でセルを2回に亘り3Vまで放電し、4.4Vまで充
電した。次いで、セルを4.4Vで24時間保持し、その後60℃の蓄電ボックスに移し
た。開路電圧を、500時間の間、6時間ごとに自動的に記録した。図8A及び図8B
、2VC+1ODTOを組み込んだセルがこれらの条件下で最小の自己放電量を示したこ
とを示す。
【0105】
超高精度サイクリング
作動型電解質添加剤及び電極を含む、本開示の電池システムの有効性を研究するため、
超高精度サイクリング(UHPC:ultrahigh precision cycl
ing)を行った。標準UHPC手順は、C/20に対応する電流を使用して、40℃に
て3.0V~4.3Vでセルを15サイクルに亘ってサイクリングしてデータを生成する
ことからなった。クーロン効率の場合、クーロン効率、充電エンドポイント容量のずれ、
及びその他のパラメータを30ppmの精度まで測定するためUPHCを用いる。UHP
C手順の詳細は、その全体が本明細書に組み込まれる、T.M.Bond,J.C.Bu
rns,D.A.Stevens,H.M.Dahn,and J.R.Dahn,Jo
urnal of the Electrochemical Society,160
,A521(2013)に記載されている。
【0106】
特に関心のあるUHPC測定から測定及び/又は決定される測定基準には、クーロン効
率、正規化クーロン効率、正規化充電エンドポイント容量のずれ、正規化放電容量(すな
わちフェードレート)、及びデルタVが含まれる。クーロン効率は、放電容量(Q)を
前のサイクルの充電容量(Q)で除したものである。クーロン効率は、Liイオンセル
で起こる寄生反応を追跡し、正極及び負極の両方からの寄与を含む。CE値が高いほど、
セル内の電解質の劣化が少ないことを示す。1時間当たりクーロン効率(CIE/h)は
、(1時間当たりの)正規化クーロン効率であり、クーロン効率は1-CEとして定義さ
れる。CIE/hは、1-CEを得て、CEが測定されるサイクル時間で割ることによっ
て計算される。充電エンドポイント容量の動き(又はずれ)は、正極で発生する寄生反応
、並びにある場合は正極材料の質量損失を追跡する。動きが少ない方が良く、電解質の酸
化が少ないことと関連している。正規化放電容量、すなわちフェードレートは別の重要な
測定基準であり、フェードレートが低いほど望ましく、通常は電池システムの寿命が長い
ことを示す。ΔVは、平均充電電圧と平均放電電圧の差として計算される。ΔVの変化は
分極の成長と密接に関係しており、サイクリングが起こるにつれてΔVの変化は小さくな
る。UHPC測定は、測定基準をより高い精度で正確に追跡でき、様々な劣化メカニズム
を比較的迅速に評価できるため、電解質組成の比較に特に適している。
【0107】
ここでは、1%ODTO、3%ODTO、5%ODTO、1%ODTO+2%VC、1
%ODTO+2%FEC、1%ODTO+1%LFO、2%VC、2%FEC、2%VC
、20%MA+2%VC、20%MA+2%VC+1%ODTO及び1%LFOを使用し
てUHPC実験を行った。調査した5つの異なるセルの正極の材料には、コーティングさ
れていない(図11)及びコーティングされた(図12)NMC532、並びにAl
コーティングされたNMC622(図13)及びAFOコーティングされたNMC62
2(図14)、並びにその他のリチウムイオン電池セル活物質が含まれる。コーティング
されたNMC532セルの生データを図10D及び図10Eに示す。コーティングされて
いないNMC532セルの生データを図10J及び図10Kに示す。Alコーティ
ングされたNMC622セルの生データを図10O及び図10Pに示す。AFOコーティ
ングされたNMC622セルの生データを図10Q及び図10Rに示す。他のリチウムイ
オン電池セルの生データを図10Uに示す。
【0108】
特定の実施形態では、各添加剤の濃度が約0.25%~6%である二添加剤電解質シス
テムが、電池システムの一部を形成する。電池システムはまた、NMC111、NMC5
32、NMC811、NMC622、又は別のNMC組成物(NMCxyz)から作られ
た正極を備えてもよい。特定の実施形態では、マイクロメートルスケールの粗粒のNMC
532から作られた正極は、部分的には、処理条件が、通常の処理条件が生成するよりも
大きな粒度を作り出すため、特に堅牢であることが示された。
【0109】
典型的な処理条件により、ナノメートルサイズの粒子がより大きなマイクロメートルサ
イズの凝集体に詰め込まれたNMC電極がもたらされ、ナノメートルスケールで粒界が作
られる。粒界は、望ましい特性(例えば、電気的特性)を低下させる傾向があるという欠
陥のため、一般に、粗粒の数を減らし、粒度を大きくすることが望ましい。現在の処理で
は、マイクロメートルサイズのスケールでより大きなドメインを作ることができるため、
NMC電極の粒界の数が減り、電気的特性が向上する。特性の向上により、より堅牢な電
池システムがもたらされる。特定の実施形態では、他のNMC電極を処理して、より大き
なドメインサイズ(マイクロメートルサイズスケール以上)、例えば、NMC111、N
MC811、NMC622、又は別のNMC化合物を作って、より堅牢なシステムを作り
出すことができる。
【0110】
長期サイクリング
電池システムの寿命は電池システムの重要な特性である。充電及び放電の速度は寿命に
影響を与える場合がある。長期サイクリング実験は、予想される動作条件下での回復力の
ある電池システムの経時変化を判断するのに役立つ。所望の用途に十分な寿命を持つ電池
システムを選択することが重要である。
【0111】
本開示の実施形態は、グリッド及び車両の蓄電を含む、種々の用途のための望ましい長
期サイクリングを示す。具体的には、VC+ODTO、LFO+ODTO及びFEC+O
DTOの二添加剤電解質システムは、特に、充電率及び放電率が通常グリッド蓄電用途の
場合よりも高い自動車用途(特に電気自動車内の畜エネルギー)に関連する。
【0112】
長期サイクリング実験では、通常、(特に指定のない限り)単結晶NMC532及びN
MC622を正極として使用し、人造黒鉛を負極として使用した。長期サイクリング実験
の前に、密閉セルを、各セルのタイプについて上に記載されるように、化成プロセスに供
した。化成後、セルをNeware充電システムでサイクルした。
【0113】
幾つかの実験では、セルを、40℃+/-0.2℃の温度制御ボックスに収納した。3
.0V及びC/3(3時間の半サイクル)の電流による充電開始時(top of ch
arge)(4.2V又は4.3V)と、充電開始時の定電圧工程の間で、電流がC/2
0を下回るまでセルをサイクルした。50サイクルごとに、セルはC/20で1つの完全
なサイクルを経た。コーティングされたNMC532のかかる実験による結果を図10A
図10B図10C図10V(b)及び図10W(b)に示し、コーティングされて
いないNMC532を図10V(a)及び図10W(a)に示し、Alコーティン
グされたNMC622を図10L図10V(c)及び10W(c)に示し、AFOコー
ティングされたNMC622を図10M図10N図10V(d)、図10W(d)に
示し、他のリチウムイオン電池セルを図10T(b)に示す。
【0114】
幾つかの実験では、セルを、55℃+/-0.2℃の温度制御ボックスに収納した。3
.0V及びC/3(3時間の半サイクル)の電流による充電開始時(top of ch
arge)(4.2V又は4.3V)と、充電開始時の定電圧工程の間で、電流がC/2
0を下回るまでセルをサイクルした。50サイクルごとに、セルはC/20で1つの完全
なサイクルを経た。コーティングされたNMC532に対するかかる実験による結果を、
図10F及び図10Gに示し、他のリチウムイオン電池セルについて図10S及び図10
T(c)に示す。
【0115】
幾つかの実験では、セルを、20℃+/-0.2℃の温度制御ボックスに収納した。3
.0V及びC/3(3時間の半サイクル)の電流による充電開始時(top of ch
arge)(4.2V又は4.3V)と、充電開始時の定電圧工程の間で、電流がC/2
0を下回るまでセルをサイクルした。50サイクルごとに、セルはC/20で1つの完全
なサイクルを経た。コーティングされたNMC532に対するかかる実験の結果を図10
Hに示し、他のリチウムイオン電池セルの結果を図10T(a)示す。
【0116】
幾つかの実験では、セルを、20℃+/-0.2℃の温度制御ボックスに収納した。3
.0V及び1C(充電に1時間かかり、放電に1時間かかる)の電流による充電開始時(
top of charge)(4.2V又は4.3V)と、充電開始時の定電圧工程の
間で、電流がC/20を下回るまでセルをサイクルした。50サイクルごとに、セルはC
/20で1つの完全なサイクルを経た。コーティングされたNMC532についてのかか
る実験による結果を図10Iに示す。
【0117】
実験データは、二添加剤電解質システム(ODTO+FEC、ODTO+LFO、及び
DTD+VC)が、4.2V又は4.3Vまでのサイクリング時により容量の損失が少な
いこと、また、VC又はFECの単一添加剤電解質システムと比較して分極成長も低いこ
と、並びにサイクリングが2%VC+1%DTD及び1%LFO+2FECに類似するこ
とを示している。
【0118】
サイクルあたりの平均寄生熱流の研究(図15図17及び図9)と、図16に示す充
電保持中のin-situでのガスの評定を含む、その他の研究を他のリチウムイオン電
池セルで行った。
【0119】
ガス容量実験を次の通り進めた:Ex-situ(静的)ガス測定を使用して、化成中
及びサイクリング中のガス放散を測定した。測定は、アルキメデスの原理を使用して、液
体に沈めた状態でセルを天秤から吊り下げて行った。流体に浮遊しているセル重量の試験
前後の変化は、浮力の変化による体積変化に直接関連する。密度ρの流体に浮遊している
セルの質量の変化Δmは、セル体積の変化ΔvとΔv=-Δm/ρの関係がある。充放電
中及び高電位保持期間中に生成されたガスを、Aiken et al.(C.P.Ai
ken,J.Xia,David Yaohui Wang,D.A.Stevens,
S.Trussler and J.R.Dahn,J.Electrochem.So
c.2014 volume 161,A1548-A1554)によって記載されるi
n-situガス測定装置を使用して測定した。
【0120】
図16の結果は、ODTOが、充電/保持中に、20%MAの有無にかかわらず高電圧
においてガスを抑制するのに有益であることを示した。
微少熱量測定
【0121】
微小熱量測定は、操作中のセルへの熱流を測定する。セルへの熱流は、3つの異なる効
果の組み合わせ:(1)オーミック加熱、(2)電極でのLi挿入によるエントロピー変
化、及び(3)寄生反応(いずれかの電極での添加剤を含む電解質の劣化)である。試験
セルには電解質のみが異なる同じ物理学的設計が含まれているため、熱流の違いは主に寄
生熱流の違いによるものである。それでも、Downie et al.(Journa
l of the Electrochemical Society,161,A17
82-A1787(2014))及びGlazier et al.(Journal
of the Electrochemical Society,164(4)A56
7-A573(2017))によって開発された手順を使用して全熱流から寄生熱流を抽
出することができる。これらの参考文献はいずれも、それらの全体が本明細書に組み込ま
れる。サイクル中の寄生熱流が少ないセルは、寿命が長くなる。寄生反応速度の電圧依存
性は、測定された寄生熱流をセル電圧の関数としてプロットすることによって観察できる
【0122】
微少熱量測定手順:各電解質の2つのセルをMaccor充電器に接続し、40.0℃
でTAMIIIマイクロ熱量計(TA Instruments、安定性+/-0.00
01℃、精度+/-1μW、精密度+/-1nW)に挿入した。実験中の基線変動は+/
-0.5μWを超えなかった。微小熱量測定の校正、セル接続、及び操作手順に関する全
ての仕様及び情報は、以前の文献に記載されている。(例えば、Downie et a
l、ECS Electrochemical Letters 2、A106-A10
9(2013))適切に化成され安定したSEIを保証するためセルを3.0V~4.2
VのC/20レートで4回サイクルさせ、次いで、4.0Vと3.7mA(C/100)
の異なる上限カットオフとの間で充電して性能及び種々の電圧範囲での寄生熱流を調査し
た。セルの各ペアはほぼ同じ性能を示したため、各電解質に対して1セットの熱流データ
のみを提示する。
【0123】
3.7mAサイクリングプロトコルは次の通りであった:
14.0Vまで充電、3.9Vまで放電、繰り返し
2.4.1Vまで充電、3.9Vまで放電(繰り返し)
3.4.2Vまで充電、3.9Vまで放電(繰り返し)
6.4.0Vまで充電、3.9Vまで放電(繰り返し)
【0124】
図15図17及び図9に示される実験データは、電解質添加剤2VC、2VC+1O
DTO、20%MAを含む2VC及び20%MAを含む2VC+1ODTOを含む他のリ
チウムイオン電池セルについて使用したものである。セルを3.9V~4.2Vで試験す
ると、ODTOの有用性が観察される。この状況では、寄生熱流が減少し、1%ODTO
を含む他のリチウムイオン電池セルは、4.2Vまで充電(満充電状態)すると寿命が長
くなることを示唆している。これは、電池パックの寿命を数年又は数マイルの駆動に延ば
すために重要である。
【0125】
特定の実施形態では、正極は、NMC111、NMC532、NMC822、NMC6
22及び/又NMCxyzから形成される。特に、単結晶NMC532から作製された正
極は、より多結晶でより粒度の小さい他の標準的なNMC材料の粒度よりも、NMC53
2の粒度が、より大きいことから、部分的には、特に堅牢であることが示された。
【0126】
前述の開示は、本開示を、開示される正確な形態又は特定の使用分野に限定することを
意図するものではない。そのため、本明細書で明示的に説明又は含意されているかどうか
にかかわらず、本開示に照らして、様々な代替の実施形態及び/又は本開示に対する修正
が可能であることが企図される。このように本開示の実施形態を説明したが、当業者は、
本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを認
識するであろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲によってのみ制限される。本明
細書における添加剤への言及は、本明細書において別段の記載がない限り、概して作動型
添加剤を指す。
【0127】
前述の明細書では、具体的な実施形態を参照して本開示を記載した。しかしながら、当
業者に理解されるように、本明細書に開示される様々な実施形態は、本開示の趣旨及び範
囲から逸脱することなく、修正され又は他の様々な方法で実施され得る。したがって、こ
の記載は、例示的なものと見なされるべきであり、開示される電池システムの様々な実施
形態を作製及び使用する方法を当業者に教示することを目的とするものである。本明細書
に示され、説明される開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであること
を理解されたい。同等の要素又は材料は、本明細書で代表的に例示及び記載されているも
のと置き換えることができる。更に、本開示の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係
に利用されてもよく、いずれも、本開示のこの説明の利益を得た後に当業者に明らかとな
ろう。本開示を説明及び主張するために使用される「含む、備える(including
)」、「含む、備える(comprising)」、「組み込む(incorporat
ing)」、「からなる(consisting of)」、「有する」等の表現は、非
排他的な方法で解釈されるべきであり、すなわち、明示的に記載されていない事項、コン
ポーネント又は要素も存在し得る。単数形への言及はまた、複数形に関連すると解釈され
るべきである。「約」又は「およそ」への言及は、プラス又はマイナス10%を意味する
と解釈されるべきである。同様に、添加剤の任意のパーセンテージへの言及は、プラス又
はマイナス10%を意味すると解釈される。
【0128】
更に、本明細書に開示される様々な実施形態は、例示的及び説明的な意味で解釈される
べきであり、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。全ての結合参
照(例えば、添付、貼り付け、結合、接続等)は、本開示の読者の理解を助けるためにの
み使用され、特に本明細書で開示されるシステム及び/又は方法の位置、方向又は使用に
関して制限を作ることはできない。したがって、結合参照は、ある場合は、広く解釈され
る。更に、かかる結合参照は、2つの要素が互いに直接接続されていることを必ずしも推
測するものではない。
【0129】
更に、限定されるものではないが、「第1」、「第2」、「第3」、「一次、主な」、
「二次」、「主」、又はその他の通常の用語及び/又は絶対数等の全ての絶対数は、本開
示の様々な要素、実施形態、変形及び/又は修正についての読者の理解を助けるための識
別子としてのみ受け取られ、特に、別の要素、実施形態、変形及び/又は修正に又はそれ
らに対する、任意の要素、実施形態、変形及び/又は修正の順番又は優先度について限定
を設けることはできない。
【0130】
また、図面/図に示されている1つ以上の要素は、特定の用途に応じて有用であること
から、より分離若しくは統合された方法で実装することもでき、又は更には特定の場合に
削除若しくは動作不能とされ得ることもあると理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0025706号公報
【非特許文献】
【0132】
【非特許文献1】J.C.Burns et al.,Journal of the Electrochemical Society,160,A1451(2013)
図1
図2
図3
図4A-4B】
図4C-4D】
図4E
図5A-5B】
図5C-5D】
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A-8B】
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図10K
図10L-10M】
図10N
図10O
図10P
図10Q
図10R
図10S
図10T
図10U
図10V
図10W
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜エネルギー装置であって、
負極と、
正極と、
リチウム塩、非水性溶媒、及び、添加剤混合物から本質的に成る非水性電解質であって、前記添加剤混合物は、
フルオロエチレンカーボネート、LiPO 、ビニレンカーボネート及びそれらの組み合わせから成る群から選択される第1の作動型添加剤、及び、
下記式(I)
を有する1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドである第2の作動型添加剤を含み、
前記第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲であり、且つ、前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~5重量%の範囲である、畜エネルギー装置。
【請求項2】
前記第1の作動型添加剤の濃度が少なくとも1重量%であり、前記第2の作動型添加剤の濃度が少なくとも1重量%である、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項3】
前記第1の作動型添加剤がフルオロエチレンカーボネートである、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項4】
前記第1の作動型添加剤がビニレンカーボネートである、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項5】
前記第1の作動型添加剤がLiPO である、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項6】
前記非水性溶媒は、カーボネート溶媒を含む、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項7】
第2の非水性溶媒をさらに含む、請求項6に記載の畜エネルギー装置。
【請求項8】
前記カーボネート溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項6に記載の畜エネルギー装置。
【請求項9】
前記非水性溶媒におけるECの体積パーセントは30%以下である、請求項8に記載の畜エネルギー装置。
【請求項10】
前記非水性溶媒はEC及びEMCを含む、請求項8に記載の畜エネルギー装置。
【請求項11】
ECとEMCの比率は30:70である、請求項10に記載の畜エネルギー装置。
【請求項12】
前記非水性溶媒はジメチルカーボネート(DMC)をさらに含む、請求項10に記載の畜エネルギー装置。
【請求項13】
ECとEMCとDMCの比率は25:5:70である、請求項12に記載の畜エネルギー装置。
【請求項14】
前記正極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)活物質を含む、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項15】
前記正極は、NMC111、NMC532、NMC811及びNMC622から成る群から選択される、少なくとも1つのリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)を含む、請求項14に記載の畜エネルギー装置。
【請求項16】
前記負極は、黒鉛活物質を含む、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項17】
前記リチウムイオン電池で産生されるガスの容量は、前記第1の作動型添加剤のみを含むリチウムイオン電池で産生されるガスの用量に匹敵する、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項18】
前記リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率で3.0V~4.3Vの200サイクル後に初期容量の少なくとも95%維持率を有する、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項19】
前記リチウムイオン電池は、40℃でC/3CCCVの充電率で3.0V~4.3Vの800サイクル後に初期容量の少なくとも95%維持率を有する、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項20】
前記畜エネルギー装置は電池である、請求項1に記載の畜エネルギー装置。
【請求項21】
充電式バッテリーを搭載した電気自動車であって、
駆動モータと、
ギアボックスと、
エレクトロニクスと、
請求項1に記載の畜エネルギー装置と、を備える電気自動車。
【請求項22】
畜エネルギー装置用の非水性電解質であって、
リチウム塩と、
非水性溶媒と、
添加剤混合物と、を含み、前記添加剤混合物は、
フルオロエチレンカーボネート、LiPO 、ビニレンカーボネート及びそれらの組み合わせから成る群から選択される第1の作動型添加剤、及び、
下記式(I)
を有する1,2,6-オキソジチアン-2,2,6,6-テトラオキシドである第2の作動型添加剤を含み、
前記第1の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~6重量%の範囲であり、且つ、前記第2の作動型添加剤の濃度が、0.25重量%~5重量%の範囲である、非水性電解質。
【外国語明細書】