(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017828
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】コンテナハンドラー
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B66F9/24 V
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120734
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE36
3F333BE02
3F333DB01
3F333FA17
(57)【要約】
【課題】視線移動に起因するオペレータの疲労を軽減でき、コンテナとスプレッダとの位置合わせを簡単な構成で支援できるコンテナハンドラーを提供する。
【解決手段】コンテナハンドラー1は、オペレータが搭乗する走行車両10と、コンテナC1を保持するスプレッダ30と、コンテナC1に対して可視光を照射する照射ユニット40とを備える。スプレッダ30は、コンテナC1の右ツイストロックホールに差し込まれる右ツイストロックピン34Rと、コンテナC1の左ツイストロックホールに差し込まれる左ツイストロックピン34Lとを備える。照射ユニット40は、右ツイストロックピン34Rの下方および左ツイストロックピン34Lの下方に向けて可視光を照射することにより、右ツイストロックピン34Rの位置および左ツイストロックピン34Lの位置を示す可視光マーカMを、走行車両10と対向するコンテナC1の正面に表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが搭乗する走行車両と、
コンテナを保持するスプレッダと、
前記コンテナに対して可視光を照射する照射ユニットとを備え、
前記スプレッダは、前記コンテナの右ツイストロックホールに差し込まれる右ツイストロックピンと、前記コンテナの左ツイストロックホールに差し込まれる左ツイストロックピンとを備え、
前記照射ユニットは、前記右ツイストロックピンの下方および前記左ツイストロックピンの下方に向けて前記可視光を照射することにより、前記右ツイストロックピンの位置および前記左ツイストロックピンの位置を示す可視光マーカを、前記走行車両と対向する前記コンテナの正面に表示する
ことを特徴とするコンテナハンドラー。
【請求項2】
前記スプレッダは、前記右ツイストロックピンが設けられた右アームと、前記左ツイストロックピンが設けられた左アームとを備え、
前記照射ユニットは、前記右アームの下端部に設けられて前記右ツイストロックピンの下方に向けて前記可視光を照射する右照射ユニットと、前記左アームの下端部に設けられて前記左ツイストロックピンの下方に向けて前記可視光を照射する左照射ユニットとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナハンドラー。
【請求項3】
前記照射ユニットは、上下方向に延びた形状を有する前記可視光マーカを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナハンドラー。
【請求項4】
前記照射ユニットは、前記可視光を発する発光装置と、前記可視光が投射される投射方向の仰俯角を変更する投射方向変更機構とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナハンドラー。
【請求項5】
前記照射ユニットは、前記スプレッダが前記コンテナを保持していない場合は、所定の標準投射方向に前記可視光を投射するように構成されており、
前記投射方向変更機構は、前記スプレッダが前記コンテナを保持している場合は、前記投射方向を前記標準投射方向よりも下方に変更する
ことを特徴とする請求項4に記載のコンテナハンドラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを持ち上げるコンテナハンドラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンテナハンドラーは、コンテナを保持するスプレッダを備えている。スプレッダでコンテナを保持する際は、スプレッダに設けられたツイストロックピンが、コンテナに設けられたツイストロックホールに差し込み可能となるように、コンテナとスプレッダとの位置合わせを行うことが求められる。
【0003】
特許文献1には、コンテナとスプレッダとの位置合わせを支援する構成を備えたコンテナスプレッダ装置が記載されている。
具体的には、特許文献1には、左右方向に伸縮するブームと、ブーム先端に設けられたツイストロックピンと、ツイストロックピンの近傍に設けられたカメラと、カメラで撮影されたツイストロックホール(コンテナ上部穴)を表示するモニタとを備えたコンテナスプレッダ装置が記載されている。このような構成によれば、オペレータは、モニタに表示された映像を参照してブームを伸縮させることで、ツイストロックピンがツイストロックホールに差し込み可能となるように、コンテナとスプレッダとの位置合わせを行うことができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、カメラにより撮影された画像を表示するモニタが必要となるため、コンテナハンドラーの構成が複雑化するという問題や、コンテナハンドラーを操縦するオペレータがモニタへ視線を配る必要があるため、視線移動に起因してオペレータの疲労が蓄積されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、視線移動に起因するオペレータの疲労を軽減でき、コンテナとスプレッダとの位置合わせを簡単な構成で支援できるコンテナハンドラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のコンテナハンドラーは、オペレータが搭乗する走行車両と、コンテナを保持するスプレッダと、前記コンテナに対して可視光を照射する照射ユニットとを備え、前記スプレッダは、前記コンテナの右ツイストロックホールに差し込まれる右ツイストロックピンと、前記コンテナの左ツイストロックホールに差し込まれる左ツイストロックピンとを備え、前記照射ユニットは、前記右ツイストロックピンの下方および前記左ツイストロックピンの下方に向けて前記可視光を照射することにより、前記右ツイストロックピンの位置および前記左ツイストロックピンの位置を示す可視光マーカを、前記走行車両と対向する前記コンテナの正面に表示することを特徴とする。
【0008】
また、前記スプレッダは、前記右ツイストロックピンが設けられた右アームと、前記左ツイストロックピンが設けられた左アームとを備え、前記照射ユニットは、前記右アームの下端部に設けられて前記右ツイストロックピンの下方に向けて前記可視光を照射する右照射ユニットと、前記左アームの下端部に設けられて前記左ツイストロックピンの下方に向けて前記可視光を照射する左照射ユニットとを含むことが好ましい。
【0009】
また、前記照射ユニットは、上下方向に延びた形状を有する前記可視光マーカを表示することが好ましい。
【0010】
また、前記照射ユニットは、前記可視光を発する発光装置と、前記可視光が投射される投射方向の仰俯角を変更する投射方向変更機構とを備えることが好ましい。
【0011】
また、前記照射ユニットは、前記スプレッダが前記コンテナを保持していない場合は、所定の標準投射方向に前記可視光を投射するように構成されており、前記投射方向変更機構は、前記スプレッダが前記コンテナを保持している場合は、前記投射方向を前記標準投射方向よりも下方に変更することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視線移動に起因するオペレータの疲労を軽減でき、コンテナとスプレッダとの位置合わせを簡単な構成で支援できるコンテナハンドラーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナハンドラーの外観図であり、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【
図2】(A)および(B)は、同実施形態に係る照射ユニットを含むコンテナハンドラーの一部拡大図である。
【
図3】(A)~(D)は、同実施形態に係る投射方向変更機構の構成を示すアームの断面図である。
【
図4】(A)は、可視光の照射態様の一例を示す模式図であり、(B)は、可視光マーカの表示態様の一例を示す模式図である。
【
図5】(A)は、可視光の照射態様の一例を示す模式図であり、(B)は、可視光マーカの表示態様の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るコンテナハンドラー1を説明する。図中の矢印で示す前後方向X、左右方向Y、および上下方向Zは、互いに直交する直線方向である。
【0015】
図1(A)および(B)に示すように、コンテナハンドラー1は、走行車両10とリフト装置20とを備えたフォークリフトの派生機種であって、後述するコンテナC1(
図4参照)を運搬するコンテナ運搬車である。また、コンテナハンドラー1は、空のコンテナC1を持ち上げるスプレッダ30を備えたサイドリフト式コンテナハンドラーである。
【0016】
走行車両10は、オペレータ(図示略)の指示に従って路面上を走行する。走行車両10は、オペレータが搭乗する搭乗部としてキャビン11を備えている。キャビン11には、オペレータの指示を受け付ける入力装置(図示略)が設けられている。入力装置は、例えば、走行車両10を操縦するためのハンドルおよびペダル、ならびに、リフト装置20およびスプレッダ30を操作するためのレバー等により構成されている。
【0017】
リフト装置20は、走行車両10の前方に設けられており、オペレータの指示に従ってスプレッダ30を上下方向Zに移動させる(すなわち昇降させる)。リフト装置20は、上下方向Zに延びたマスト21と、マスト21に沿って移動可能なリフトブラケット(図示略)とを備えている。リフト装置20は、リフトブラケットを上下方向Zに移動させることで、スプレッダ30を昇降させる。
【0018】
スプレッダ30は、リフト装置20のリフトブラケットに設けられており、コンテナC1を保持する。スプレッダ30は、
図1(B)に示すように、ビーム31と、アーム32R,32Lと、ツイストロック装置33R,33Lと、サイドシフト装置(図示略)とを備えている。
【0019】
ビーム31は、左右方向Yに延びており、アーム32R,32Lを支持する。ビーム31は、オペレータの指示に従って左右方向Yに伸縮することで、左右一対のアーム32L,32Rの間隔を変える。
【0020】
右アーム32Rは、ビーム31の右端部に設けられ、左アーム32Lは、ビーム31の左端部に設けられている。以下、アーム32R,32Lに係る共通の構成を説明する際は、「アーム32L,32R」を総称して「アーム32」という。アーム32は、上下方向Zに延びており、コンテナC1に添え当てられる。
【0021】
右ツイストロック装置33Rは、右アーム32Rの上部に設けられており、コンテナC1の右ツイストロックホール(図示略)に差し込まれる右ツイストロックピン34Rを含んでいる。また、左ツイストロック装置33Lは、左アーム32Lの上部に設けられており、コンテナC1の左ツイストロックホール(図示略)に差し込まれる左ツイストロックピン34Lを含んでいる。以下、ツイストロック装置33R,33Lに係る共通の構成を説明する際は、「ツイストロック装置33R,33L」を総称して「ツイストロック装置33」といい、「ツイストロックピン34R,34L」を総称して「ツイストロックピン34」という。
【0022】
ツイストロック装置33は、オペレータの指示に従ってツイストロックピン34を回転させることで、後述するツイストロックピン34のアンロック状態とロック状態とを切り替える。
【0023】
ツイストロックピン34は、ツイストロック装置33から下方に向けて突出しており、コンテナC1の上部の四隅に設けられたツイストロックホールのうち、コンテナハンドラー1側に位置する左右一対のツイストロックホールに差し込まれる。ツイストロックピン34は、ツイストロックホールに対して抜き差し可能なアンロック状態と、ツイストロックホールに対して抜き差し不可能なロック状態とをとる。ツイストロックホールに差し込まれたツイストロックピン34は、ロック状態をとることでコンテナC1を保持する。
【0024】
サイドシフト装置は、オペレータの指示に従って、ビーム31を左右方向Yに移動させる。サイドシフト装置は、ビーム31を移動させることで、左右一対のアーム32の間隔を変えることなくアーム32を左右方向Yに移動させる。
【0025】
さらに、コンテナハンドラー1は、コンテナC1とスプレッダ30との位置合わせを支援するために、コンテナC1に対して可視光(すなわち可視域の波長を有する光)を照射する照射ユニット40R,40L(
図1(B)参照)を備えている。
【0026】
右照射ユニット40Rは、右アーム32Rの下端部に設けられており、右ツイストロックピン34Rの下方に向けて可視光を照射する。また、左照射ユニット40Lは、左アーム32Lの下端部に設けられており、左ツイストロックピン34Lの下方に向けて可視光を照射する。以下、「照射ユニット40R,40L」を総称して「照射ユニット40」という。
【0027】
照射ユニット40は、ツイストロックピン34の下方に向けて可視光を照射することで、ツイストロックピン34の位置を示す可視光マーカM(
図4(B)および
図5(B)参照)を、走行車両10と対向するコンテナC1,C2の正面の左右両端部に表示する。本実施形態に係る照射ユニット40は、スプレッダ30がコンテナC1を保持していない場合は、所定の標準投射方向である水平方向に可視光を投射するように構成されている。また、本実施形態に係る照射ユニット40は、上下方向Zに広がるように可視光を投射することで、上下方向Zに延びた形状を有する可視光マーカMを表示する。
【0028】
図2および
図3を参照して、照射ユニット40の詳しい構成について説明する。なお、
図2および
図3では、左照射ユニット40Lを図示し、右照射ユニット40Rの図示は省略する。右照射ユニット40Rは、左照射ユニット40Lと同じ構成を備えており、右照射ユニット40Rの構成要素は、左照射ユニット40Lの構成要素を左右方向Yにおいて反転させた状態で配置されている。
【0029】
図2は、アーム32の下端部の拡大図であって、アーム32の下端部と照射ユニット40のみを図示している。
図2(A)は、アーム32の正面図であり、
図2(B)は、アーム32の側面図である。
【0030】
図2(A)および(B)に示すように、照射ユニット40は、発光装置41および投射方向変更機構50により構成されている。
【0031】
発光装置41は、アーム32の下方に配置されており、可視光を発する(すなわち投射する)。発光装置41は、例えば、発光ダイオードを光源として備えるLEDランプや、レーダーダイオードを光源として備えるレーザーランプにより構成されている。発光装置41が可視光を発することで、コンテナC1,C2(
図4および
図5参照)の正面に可視光が照射される。発光装置41は、
図2(B)の実線で示す標準投射姿勢をとっているとき、水平方向である前方に向けて可視光を投射し、
図2(B)中の破線で示す下方投射姿勢をとるとき、水平方向よりも下方に向けて可視光を投射する。
【0032】
投射方向変更機構50は、発光装置41を支持しており、可視光が投射される投射方向の仰俯角を変更する。具体的には、投射方向変更機構50は、左右方向Yに平行な軸Pを中心に、
図2(B)中の矢印R1で示す第1揺動方向R1に発光装置41を揺動させることで、発光装置41を上述の標準投射姿勢から下方投射姿勢に切り替え、
図2(B)中の矢印R2で示す第2揺動方向R2に発光装置41を揺動させることで、発光装置41を上述の下方投射姿勢から標準投射姿勢に切り替える。投射方向変更機構50は、スプレッダ30がコンテナC1を保持したときに発光装置41を下方投射姿勢に切り替えるように構成されている。すなわち、本実施形態に係る投射方向変更機構50は、スプレッダ30がコンテナC1を保持している場合は、可視光の投射方向を標準投射方向である水平方向よりも下方に変更する。
【0033】
図3は、投射方向変更機構50の構成を示す断面図であり、アーム32を断面で図示している。
図3(A)は、
図2(B)のA-A矢視断面図であり、
図3(B)は、
図2(B)のB-B矢視断面図であり、
図3(C)は、
図2(A)のC-C矢視断面図であり、
図3(D)は、
図2(A)のD-D矢視断面図である。
【0034】
図2および
図3に示すように、投射方向変更機構50は、固定部材51(特に
図3(B)参照)、揺動部材52(特に
図3(B)および(C)参照)、付勢部材53(特に
図3(A)参照)、可動側揺動規制部材54(特に
図3(C)参照)、および当接部材55(特に
図2(A)および(B)参照)を備えている。
【0035】
固定部材51は、スプレッダ30のアーム32に固定されている。固定部材51は、軸部51Aと、板部51Bとを有している。軸部51Aは、アーム32を貫通するように左右方向Yに平行に延びており、軸P上に位置して揺動部材52を揺動可能に支持している。板部51Bは、アーム32の側面に添え当てられ、ボルト61(
図3(B)参照)によりアーム32と締結されている。
【0036】
揺動部材52は、固定部材51に対して軸Pを中心に揺動可能に構成されている。揺動部材52は、筒部52Aと、第1のアーム部52Bと、第2のアーム部52Cと、板部52Dとを有している。筒部52Aは、固定部材51の軸部51Aに嵌められている。アーム部52Bは、筒部52Aから下方に延びており、アーム部52Bの下端部は、アーム32よりも下方に突出している。アーム部52Bの下端部(すなわち先端部)には、発光装置41が設けられている。アーム部52Cは、筒部52Aから前方に延びており、アーム32よりも前方に突出している。板部52Dは、筒部52Aから下方に突出している。
【0037】
付勢部材53は、
図2(B)で示す第2揺動方向R2に揺動部材52を付勢する。本実施形態に係る付勢部材53は、揺動部材52の筒部52Aに嵌められたねじりコイルばねにより構成されており、当該ねじりコイルばねの一端部はアーム32に取り付けられ、他端部は揺動部材52に取り付けられている。
【0038】
可動側揺動規制部材54は、揺動部材52の板部52Dに設けられており、固定側揺動規制部(本実施形態ではアーム32の一部であってアーム32の内部に設けられた揺動規制壁32A)に当接することで、第2揺動方向R2への揺動部材52の揺動を規制する。可動側揺動規制部材54により揺動部材52の揺動が規制されることで、発光装置41の標準投射姿勢が維持される。本実施形態に係る可動側揺動規制部材54は、板部52Dから第2揺動方向R2へ突出するボルトであって、当該ボルトの板部52Dからの突出量を変更することで、可視光の標準投射方向を調整することができるように構成されており、当該ボルトには突出量を固定するナット62(
図3(C)参照)が嵌められている。
【0039】
当接部材55は、アーム部52Cの前端部(すなわち先端部)に設けられており、スプレッダ30がコンテナC1を保持した際に、コンテナC1に当接するように構成されている。本実施形態に係る当接部材55は、左右方向Yに平行な軸を中心に回転可能なローラである。当接部材55は、アーム部52Cの先端に設けられたナット63(
図2(A)参照)により、アーム部52Cから脱落しないように構成されている。スプレッダ30により保持されるコンテナC1が当接部材55を後方に押すことで、揺動部材52が、
図2(B)で示す第1揺動方向R1へ揺動するように構成されている。
【0040】
次に、
図4および
図5を参照して、照射ユニット40による可視光の照射態様の一例と、コンテナC1,C2に表示される可視光マーカMについて説明する。
図4は、スプレッダ30がコンテナC1を保持していない状態を示しており、
図5は、スプレッダ30がコンテナC1を保持している状態を示している。
図4(A)および
図5(A)での点描によるハッチングは、可視光の投射範囲を示している。
【0041】
図4(A)に示すように、スプレッダ30でコンテナC1を保持していないとき、オペレータは、コンテナC1を保持して持ち上げるために、ツイストロックピン34がコンテナC1よりも高くなるようにリフト装置20を操作する。このとき、照射ユニット40は、標準投射方向である水平方向に向けて可視光を投射し、コンテナC1の正面に可視光を照射する。
【0042】
左右一対のツイストロックピン34の中間部がコンテナC1の左右中心軸と一致している場合は、
図4(B)に示すように、コンテナC1の左右両端部の各々に可視光マーカMが表示される。一方で、左右一対のツイストロックピン34の中間部がコンテナC1の左右中心軸からずれている場合は、コンテナC1の左右両端部の一方に可視光マーカMが表示され、他方には可視光マーカMが表示されない。したがって、オペレータは、
図4(B)に示す可視光マーカMを目視することで、ツイストロックホールにツイストロックピン34を差し込むためのコンテナC1とスプレッダ30との位置合わせが適切にできているか否かを確認できる。
【0043】
また、
図5(A)に示すように、スプレッダ30でコンテナC1を保持しているとき、オペレータは、コンテナC2上にコンテナC1を積むために、コンテナC1がコンテナC2よりも高くなるようにリフト装置20を操作する。このとき、照射ユニット40は、標準投射方向よりも下方に可視光を投射し、コンテナC2の正面および上面に可視光を照射する。
【0044】
左右一対のツイストロックピン34の中間部がコンテナC2の左右中心軸と一致している場合は、
図5(B)に示すように、コンテナC1だけでなく、コンテナC2の左右両端部の各々に可視光マーカMが表示される。一方で、左右一対のツイストロックピン34の中間部がコンテナC2の左右中心軸からずれている場合は、コンテナC2の左右両端部の一方に可視光マーカMが表示され、他方には可視光マーカMが表示されない。したがって、オペレータは、
図5(B)に示す可視光マーカMを目視することで、コンテナC2上にコンテナC1を積むためのコンテナC2とスプレッダ30との位置合わせが適切にできているか否かを確認できる。
【0045】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)照射ユニット40は、右ツイストロックピン34Rの下方および左ツイストロックピン34Lの下方に向けて可視光を照射することにより、右ツイストロックピン34Rの位置および左ツイストロックピン34Lの位置を示す可視光マーカMを、走行車両10と対向するコンテナC1,C2の正面に表示する。この構成によれば、コンテナハンドラー1を操縦するオペレータは、コンテナC1,C2に表示されている可視光マーカMを直接視認することで、コンテナC1,C2とスプレッダ30との位置合わせが適切にできているか否かを確認できる。したがって、コンテナハンドラー1は、視線移動に起因するオペレータの疲労を軽減でき、コンテナC1,C2とスプレッダ30との位置合わせを簡単な構成で支援できる。
【0046】
(2)照射ユニット40は、右アーム32Rの下端部に設けられて右ツイストロックピン34Rの下方に向けて可視光を照射する右照射ユニット40Rと、左アーム32Lの下端部に設けられて左ツイストロックピン34Lの下方に向けて可視光を照射する左照射ユニット40Lとを含む。この構成によれば、照射ユニット40は、コンテナC1,C2の正面に対して垂直な方向から可視光を照射することで、ツイストロックピン34の下方に可視光マーカMを表示できる。
【0047】
(3)照射ユニット40は、上下方向Zに延びた形状を有する可視光マーカMをコンテナC1,C2の正面に表示する。この構成によれば、ツイストロックピン34の真下の位置を直感的に確認できる。
【0048】
(4)投射方向変更機構50は、スプレッダ30の高さを維持した状態で、水平方向に対する可視光が投射される投射方向の仰俯角を変更する。この構成によれば、可視光マーカMが表示される高さを変えることができる。
【0049】
(5)照射ユニット40は、スプレッダ30がコンテナC1を保持していない場合は、所定の標準投射方向に可視光を投射するように構成されており、投射方向変更機構50は、スプレッダ30がコンテナC1を保持している場合は、可視光の投射方向を標準投射方向よりも下方に変更する。この構成によれば、スプレッダ30がコンテナC1を保持していない場合は、保持しようとするコンテナC1に可視光を照射でき、スプレッダ30がコンテナC1を保持している場合は、保持しているコンテナC1の下方に位置する他のコンテナC2に可視光を照射できる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0051】
・照射ユニット40に係る構成を適宜変更してもよい。例えば、照射ユニット40が表示する可視光マーカMの形状を変更してもよい。また、例えば、照射ユニット40の標準投射方向は水平方向でなくてもよく、照射ユニット40の配置を変更してもよい。
【0052】
・投射方向変更機構50に係る構成を適宜変更してもよい。例えば、投射方向変更機構50は、スプレッダ30がコンテナC1を保持しているか否かを検出するセンサの出力に応じて動作する電動装置により、可視光の投射方向を変更するように構成されていてもよい。
【0053】
・サイドリフト式コンテナハンドラー以外のコンテナハンドラーが本発明の構成を備えていてもよい。例えば、コンテナハンドラーは、テレスコピックハンドラーの一種であるリーチスタッカーであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 コンテナハンドラー
10 走行車両
20 リフト装置
30 スプレッダ
32,32R,32L アーム
33,33R,33L ツイストロック装置
34,34R,34L ツイストロックピン
40,40R,40L 照射ユニット
41 発光装置
50 投射方向変更機構
C1,C2 コンテナ
M 可視光マーカ
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向