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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178292
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ポリ硫酸化多糖を用いた疼痛の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/737 20060101AFI20241217BHJP
   A61K 31/727 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K31/737
A61K31/727
A61P19/02
A61P19/08
A61P29/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161957
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2021519756の分割
【原出願日】2019-10-10
(31)【優先権主張番号】2018903820
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2019900326
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2019903556
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】520040119
【氏名又は名称】パラダイム バイオファーマシューティカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100181168
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智裕
(72)【発明者】
【氏名】レニー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ラヴィ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新規かつ改善された鎮痛剤を提供する。
【解決手段】本開示は、疼痛または疼痛状態を治療するためのポリ硫酸化多糖およびその組成物の医学的使用に関する。特に、その開示は、成熟神経成長因子(NGF)またはその前駆体プロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介される疼痛または疼痛状態を治療するためのポリ硫酸化多糖およびその組成物の使用に関する。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)
活性を阻害または減少させる方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を前
記哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)
活性を阻害または減少させる際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用。
【請求項3】
哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)
活性を阻害または減少させるための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容
される塩の使用。
【請求項4】
NGFまたはpro-NGF活性の前記阻害または減少が、前記哺乳動物における疼痛
を治療する、請求項1に記載の方法または請求項2もしくは請求項3に記載の使用。
【請求項5】
神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介され
疼痛を治療する方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を、そのような
治療を必要とする哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項6】
哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)
によって媒介される疼痛を治療する際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用
【請求項7】
哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)
によって媒介される疼痛を治療するための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはそ
の許容される塩の使用。
【請求項8】
前記疼痛が筋骨格痛である、請求項1、4もしくは5のいずれか一項に記載の方法また
は請求項2、3、6もしくは7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記筋骨格痛が骨格痛である、請求項8に記載の方法または使用。
【請求項10】
前記骨格痛が非悪性骨格痛である、請求項9に記載の方法または使用。
【請求項11】
前記骨格痛が悪性骨格痛である、請求項10に記載の方法または使用。
【請求項12】
前記骨格痛が、背痛;腰痛;骨痛および関節痛;骨痛;ならびに関節痛からなる群から
選択される、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項13】
前記骨痛が非悪性骨痛である、請求項12に記載の方法または使用。
【請求項14】
前記非悪性骨痛が、骨粗鬆症;関節リウマチ;および変形性関節症からなる群から選択
される状態と関連する疼痛から選択される、請求項13に記載の方法または使用。
【請求項15】
前記骨痛が悪性骨痛である、請求項12に記載の方法または使用。
【請求項16】
前記悪性骨痛が、原発性骨がんと関連する疼痛または続発性(転移性)骨がんと関連す
る疼痛である、請求項15に記載の方法または使用。
【請求項17】
前記疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;および間質性膀胱炎か
らなる群から選択される状態と関連する、請求項1、4もしくは5のいずれか一項に記載
の方法または請求項2、3、6もしくは7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記疼痛が、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転移
性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄
腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新
生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、請求項1、
4もしくは5のいずれか一項に記載の方法または請求項2、3、6もしくは7のいずれか
一項に記載の使用。
【請求項19】
前記疼痛が、急性疼痛;慢性疼痛;全身痛および持続痛からなる群から選択される、請
求項1から18のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項20】
前記疼痛が、侵害受容性疼痛状態;神経障害性疼痛状態;急性疼痛状態;慢性疼痛状態
;全身痛状態;持続痛状態;非悪性疼痛状態;悪性疼痛状態;慢性疼痛状態;全身痛状態
および持続痛状態からなる群から選択される、請求項1、4もしくは5のいずれか一項に
記載の方法または請求項2、3、6もしくは7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記ポリ硫酸化多糖が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ポリ硫
酸ペントサン、ポリ硫酸コンドロイチン、ポリ硫酸キトサン、デルマタンポリ硫酸スロデ
キシド、硫酸デキストラン、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化
ビス-アルドン酸アミド、八硫酸スクロース、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化
ベータ-シクロデキストリン、硫酸化ガンマ-シクロデキストリンおよび限定されないが
、六硫酸イノシトールを含む小さな硫酸化化合物からなる群から選択される、請求項1か
ら20のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項22】
前記ポリ硫酸化多糖が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ポリ硫酸ペントサン(
PPS)、ポリ硫酸コンドロイチンおよびポリ硫酸キトサンからなる群から選択される、
請求項21に記載の方法または使用。
【請求項23】
前記ポリ硫酸ペントサン(PPS)が、ポリ硫酸ペントサンのナトリウム塩(NaPP
S)、ポリ硫酸ペントサンのマグネシウム塩(MgPPS)、ポリ硫酸ペントサンのカル
シウム塩(CaPPS)、およびポリ硫酸ペントサンの亜鉛塩(ZnPPS)からなる群
から選択される、請求項22に記載の方法または使用。
【請求項24】
前記ポリ硫酸ペントサン(PPS)が、ポリ硫酸ペントサンナトリウム(NaPPS)
である、請求項23に記載の方法または使用。
【請求項25】
前記阻害もしくは減少、または治療が、筋肉内(IM)もしくは皮下(SC)経路、心
室内経路、嚢内経路またはくも膜下腔経路による注射投与、静脈内(IV)投与、関節内
(IA)投与、関節周囲投与、局所的投与、坐剤を介した投与、または経口投与による、
請求項1から24のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項26】
前記阻害もしくは減少、または治療が、前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、1用量あたり約1mg/kg~約2mg/kg哺乳動物の有効量で、前記哺乳動物に投
することによる、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項27】
前記哺乳動物への投与が、1日1回、週2回または週3回の治療レジメンでの投薬によ
る、請求項25または請求項26に記載の方法または使用。
【請求項28】
前記治療レジメンで投与されるポリ硫酸化多糖の合計用量が、約200~4000mg
である、請求項27に記載の方法または使用。
【請求項29】
前記阻害もしくは減少、または治療が、前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩
、固定用量として約10ng~約1000ngの範囲の有効量で、前記哺乳動物に投与
ることによる、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記阻害もしくは減少、または治療が、前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、固定用量として約10μg~約1000μgの範囲の有効量で、前記哺乳動物に投与す
ることによる、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記阻害もしくは減少、または治療が、心室内、嚢内またはくも膜下腔経路によって前
記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を投与することによる、請求項29または請求
項30に記載の方法。
【請求項32】
前記阻害もしくは減少、または治療が、前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩
、固定用量として約1mg~約25mgの範囲の有効量で、前記哺乳動物に投与すること
による、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、
(i)哺乳動物の健康および/もしくは機能;
(ii)筋骨格の完全性および/もしくは機能;
(iii)骨格の完全性および/もしくは機能;または
(iv)関節もしくは骨の完全性および/もしくは機能
をさらに維持または改善する、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法または使用
【請求項34】
前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、がんによって誘発される骨折を
予防し、前記哺乳動物は骨がんを患っている、請求項1から33のいずれか一項に記載の
方法または使用。
【請求項35】
前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、がんによって誘発される骨折ま
での時間を遅延させ、前記哺乳動物は骨がんを患っている、請求項34に記載の方法また
は使用。
【請求項36】
前記ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、
(i)骨量減少;
(ii)ミネラルの恒常性の異常調節;または
(iii)神経圧迫症候群
を予防または回復させる、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、疼痛または疼痛状態の治療のためのポリ硫酸化多糖およびその組成物の医学
的使用に関する。特に、本開示は、成熟神経成長因子(NGF)またはその前駆体プロ神
経成長因子(pro-NGF)によって媒介される疼痛または疼痛状態の治療のためのポ
リ硫酸化多糖およびその組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
安全で効果的な鎮痛薬は、満たされていない医学的必要性を表し続けている。疼痛は疾
患の症状であり、それ自体で疾患である。骨疾患の例として、変形性関節症および骨粗鬆
症は、重大な身体障害、疼痛および生活の質の低下をもたらす。原発性および続発性(転
移性)骨がんは耐え難い骨痛を引き起こす。慢性疼痛は、5600億米ドル~6350億
米ドルの推定年間コストで、およそ1億人のアメリカ人に影響を及ぼすと報告されている
。疼痛の公衆衛生および経済的負担は膨大である[1]。
【0003】
疼痛の治療の中心は典型的に、オピオイドおよび非ステロイド系抗炎症薬(NSAID
)の投与を含む。臨床的状況の大半を占めているにもかかわらず、これらの薬剤は、限定
的な有効性であり、かなりの副作用プロファイルを有し、オピオイドの場合、依存または
病的状態に関する問題がある[2]。NSAIDは疾患を悪化させることが見出されてい
る。例えば、骨がん、骨粗鬆症および変形性関節症などの疾患に関して、NSAIDは骨
治癒および軟骨の代謝に対して悪影響を及ぼす([3]~[6])。長期または継続的な
療法を必要とする対象では、外傷性および特発性の両方の骨折のリスクが増大する。
【0004】
本文脈内で、ニューロトロフィン神経成長因子(NGF)およびNGF前駆体pro-
NGFなどの関連分子標的は、悪性および非悪性疼痛[7]ならびに関節炎、変形性関節
症、骨粗鬆症、間質性膀胱炎、前立腺炎、膵炎、慢性頭痛、がん疼痛、非がん疼痛、背痛
および糖尿病性神経障害を含む、侵害受容性および神経障害性疼痛状態[1]の治療にお
いてNSAIDおよびオピオイドの代替を提供する。NGFおよびpro-NGFなどの
他の関連分子標的はまた、他の疼痛状態、例えば、線維筋痛[1A]および子宮内膜症と
関連するものなどの炎症性疼痛[1B]の治療においても可能性を有する。さらに、NG
Fは、中枢性神経障害性疼痛の病態生理において役割を果たすことが見出されている。こ
れに関して、多発性硬化症を患っている患者の脳脊髄液中で高レベルのNGFが観察され
ている[1C]。
【0005】
NGFを標的とする薬剤が疼痛状態を治療するために開発されている。これらの中で、
抗NGF抗体が最も有望であることを示し、NGF封鎖抗体(sequestering antibody)
が開発されている:タネズマブ(TANEZUMAB)(登録商標)(PfizerおよびEli
Lilly)、ファシヌマブ(FASINUMAB)(登録商標)(TEVAおよびRegen
eron)およびフルラヌマブ(FULRANUMAB)(登録商標)(JanssenおよびAm
gen)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、抗NGF抗体が、関節破壊と関連し、関節置換術および神経毒性につな
がる場合があるいくつかの報告がある[1]。さらに、抗NGF抗体の長期の有効性およ
び安全性プロファイルはまだ確立されていない。上記を考慮して、新規かつ改善された鎮
痛剤を提供するのに利用可能な医薬品のレパートリーを拡張する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ヘパリンおよびポリ硫酸ペントサン、ポリ硫酸キトサン、フカンなどのような構造的に
関連するポリ硫酸化多糖は、抗凝固剤として長年の間使用されており[8~13]、安全
である。ポリ硫酸ペントサン(PPS)は、血栓溶解剤として手術後におよび予防的に使
用されており[13]、PPSは間質性膀胱炎に現在処方されている薬物ELMIRON
(登録商標)における活性剤である。骨粗鬆症[15]および骨髄浮腫[16]などの骨
関連病理におけるPPSの使用が記載されているのと同様に、喘息、アレルギー性鼻炎お
よび/または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症状態の治療におけるPPSの潜在
的使用も記載されている[14]。
【0008】
本開示は、PPSがNGF活性を阻害または減少させるように作用し得るという驚くべ
き発見に部分的に基づく。このように、PPSは、NGF封鎖剤として全て作用する、現
在の抗NGF抗体、タネズマブ、ファシヌマブおよびフルラヌマブと異なる作用機構を介
して作用することが見出されている。さらに、驚くべきことに、PPSはpro-NGF
活性を阻害または減少させるように作用し得ることが見出されている。実験データにより
、例えば、PPSは、mRNAおよびタンパク質レベルの両方においてNGFの発現を阻
害または減少させることができ、PPSは、pro-NGFの発現を阻害または減少させ
ることができ、その結果、NGFおよびその活性のレベルに影響を及ぼすことが実証され
ている。さらに、実験データにより、PPSは、疼痛および疼痛関連状態のメディエータ
ーとしてNGF産生骨細胞をターゲティングすることによってその薬理作用を発揮するこ
とができることが実証されている。実験データは疼痛および疼痛関連状態を媒介すること
ができる細胞の例として骨細胞を使用しているが、本開示は、疼痛および疼痛関連状態の
メディエーターとしてNGFまたはpro-NGFを分泌する他の標的細胞の使用を企図
する。このような標的細胞の例は、免疫細胞ならびに原発性がん細胞および続発性がん細
胞を含むがん細胞である。
【0009】
一態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少させ
る方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を哺乳動物に投与するステップ
を含む、方法が提供される。
【0010】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害
または減少させる方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を哺乳動物に投
与するステップを含む、方法が提供される。
【0011】
別の態様によれば、神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治療する方法で
あって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を、そのような治療を必要とする哺乳動
物に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0012】
別の態様によれば、プロ神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治療する方
法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を、そのような治療を必要とする哺
乳動物に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0013】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少さ
せるための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成
物が提供される。
【0014】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害
または減少させるための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤
とを含む組成物が提供される。
【0015】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少さ
せる際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤
とを含む組成物が提供される。
【0016】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害
または減少させる際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容
される賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0017】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛
を治療するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含
む組成物が提供される。
【0018】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒
介される疼痛を治療するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される
賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0019】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛
を治療する際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される
賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0020】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒
介される疼痛を治療する際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と
、許容される賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0021】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少さ
せる際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用が提供される。
【0022】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(NGF)活性を阻害または減
少させる際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用が提供される。
【0023】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少さ
せるための、医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用が提供
される。
【0024】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害
または減少させるための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の
使用が提供される。
【0025】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛
を治療する際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用が提供される。
【0026】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒
介される疼痛を治療する際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用が提供され
る。
【0027】
別の態様によれば、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛
を治療するための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用が
提供される。
【0028】
別の態様によれば、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒
介される疼痛を治療するための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容され
る塩の使用が提供される。
【0029】
定義
本明細書において他に定義しない限り、本出願に関連して使用される科学用語および専
門用語は、当業者に一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈上別
段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものと
する。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数
形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らか
に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「細胞(a cell)」に
対する言及は、複数の細胞の集団を含む。
【0030】
本明細書で提供される定義に関して、別段の記載がないか、または文脈から暗黙的でな
い限り、定義された用語および語句は、提供された意味を含む。別段明記されていないか
、または文脈から明らかでない限り、以下の用語および語句は、関連分野の当業者によっ
て取得された用語または語句の意味を除外しない。本発明の範囲は、その特許請求の範囲
によってのみ限定されるため、定義は、特定の実施形態の記載を補助するために提供され
、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図していない。
【0031】
本明細書全体を通して、本発明の様々な態様および構成成分は、範囲形式で提示するこ
とができる。範囲形式は便宜上含まれ、本発明の範囲において柔軟性のない限定と解釈さ
れるべきではない。したがって、範囲の記載は、特に指示がない限り、可能な全ての部分
範囲に加えて、その範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである
。例えば、1~5のような範囲の記載は、1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、2
~5、3~4などのような部分範囲に加えて、列挙した範囲内の個々の数および部分的な
数、例えば、1、2、3、4および5を具体的に開示しているとみなされるべきである。
これは、開示された範囲の幅に関わらず適用される。具体的な値を必要とする場合、これ
らは本明細書に示されるであろう。
【0032】
「許容される賦形剤」という用語は、生理学的に適合し、本明細書に記載される化合物
またはその使用にとって有害でない、溶媒、希釈剤、分散媒、コーティング剤、抗菌剤お
よび抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などのような賦形剤または薬剤を含む。薬学的に
活性な物質の組成物を調製するための、このような担体および薬剤の使用は、当該分野で
周知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Editio
n; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005を参照のこと)。
【0033】
「許容される塩」という用語は、限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リ
ン酸塩などのような無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒
石酸塩などのような有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエ
ンスルホン酸塩などのようなスルホン酸塩;アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタ
ミン酸塩などのようなアミノ酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などのような
金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのようなアルカリ土類金属;およびトリエチ
ルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、
ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などのような有機
アミン塩を含む。
【0034】
塩基の塩には、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグ
ネシウム、亜鉛、アンモニウム、トリエチルアミンから形成される塩のようなアルキルア
ンモニウム、エタノールアミンで形成されるもののようなアルコキシアンモニウム、およ
びエチレンジアミン、コリンまたはアルギニン、リジンもしくはヒスチジンのようなアミ
ノ酸から形成される塩のような薬学的に許容されるカチオンで形成されるものが含まれる
。許容される塩の種類およびそれらの形成に関する一般的情報は、当業者に公知であり、
「Handbook of Pharmaceutical salts」 P.H.Stahl, C.G.Wermuth, 1st edition, 2002,
Wiley-VCHのような一般的教科書に記載されている通りである。
【0035】
化合物「の投与」およびまたは「を投与すること」という用語は、本発明の化合物を、
治療を必要とする個体に提供することを意味すると理解されるべきである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む生
成物に加えて、特定の量の特定の成分の組合せから、直接的または間接的に得られるあら
ゆる生成物を包含することが意図される。
【0037】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という単語、または「含む(c
omprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変形は
、述べられた要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包
含を意味するが、いかなる他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくは
ステップの群の除外を意味するものではないと理解されるであろう。
【0038】
本開示は哺乳動物対象の治療に関する。「哺乳動物」対象の治療はまた、「患者」また
は「個体」の治療とも称されることがある。「哺乳動物」対象は、特定の症状もしくは治
療の必要性が示唆される症状の臨床徴候を呈しているか、状態について治療されるか、ま
たは治療される状態と診断されている。
【0039】
本明細書で使用される場合、「悪性疼痛」とは、がんに関連する疼痛を指し:「非悪性
疼痛」とは、がんに関連しない疼痛を指す。
【0040】
したがって、別段特に指示されない限り、本発明は、ヒトおよび他の非ヒト哺乳動物に
適用可能であると理解されるべきである。ヒトは男性または女性であってもよい。他の非
ヒト哺乳動物は、霊長類、家畜および農場動物(farm animal)(例えば、ヒツジ、ウマ
、ウシ、ブタ)、ネコおよびイヌのような家庭内ペット、興行動物(performance animal
)(例えば、競走馬、ラクダ、グレーハウンド)、臨床検査動物(例えば、マウス、ウサ
ギ、ラット、モルモット)に加えて、通常、野生に存在するが、動物園、野生動物公園な
どにいるような哺乳動物であることから、治療を受けやすくなり得る哺乳動物であっても
よい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療する」または「治療」という用
語およびその変形は、ポリ硫酸化多糖もしくはその許容される塩、またはポリ硫酸化多糖
もしくはその許容される塩を含む組成物を投与しないことと比較して、臨床病理の過程中
に対象の自然な過程を変えることを意図された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果に
は、疾患の進行速度の低下、疾患状態の回復または緩和、および予後の寛解または改善が
含まれる。例えば、上記の治療転帰のうちの1つまたは複数が達成された場合、対象は、
首尾よく「治療される」。本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療する」
または「治療」という用語およびその変形は、臨床病理の過程の発生を避けることを意図
された臨床的介入を指すと理解されるであろう「予防すること」、「予防する」または「
予防」を包含する。
【0042】
「有効量」は、特定の疾患(例えば、骨髄浮腫)の測定可能な改善を得るために必要と
される、少なくとも最小濃度または最小量を指す「治療的に有効な」量を包含する。本明
細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体に望ま
しい反応を引き起こすためのPPSの性能のような要因に従って変化することがある。有
効量は、治療的に有益な効果が、PPSのあらゆる毒性作用または有害作用を上回る量で
もある。「有効量」は、望ましい予防的結果を得るために必要とされる薬物の量または薬
物の投与速度を指す「予防的に有効な」量も包含する。
【0043】
実施形態の説明
本開示は、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少させる方法
であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を哺乳動物に投与するステップを含む
、方法に関する。
【0044】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害また
は減少させる方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を哺乳動物に投与す
るステップを含む、方法に関する。
【0045】
上記の方法において、NGF活性またはpro-NGF活性の阻害または減少は、好ま
しくは、哺乳動物における疼痛を治療する。
【0046】
実験データにより、PPSがmRNAおよびタンパク質レベルの両方においてNGFの
発現を阻害または減少させることができ、PPSがpro-NGFの発現を阻害または減
少させることができ、その結果、NGFおよびその活性のレベルに影響を及ぼすことが示
される。さらに、実験データにより、PPSが、疼痛および疼痛関連状態のメディエータ
ーとしてNGF産生骨細胞をターゲティングすることによってその薬理作用を発揮するこ
とができることが実証される。実験データは疼痛および疼痛関連状態を媒介することがで
きる細胞の例として骨細胞を使用しているが、本開示は、疼痛および疼痛関連状態のメデ
ィエーターとしてNGFまたはpro-NGFを分泌する他の標的細胞の使用を企図する
。このような標的細胞の例は、免疫細胞ならびに原発性がん細胞および続発性がん細胞を
含むがん細胞である。
【0047】
したがって、本明細書に記載される方法、組成物または使用の例において、哺乳動物に
おける神経成長因子(NGF)活性の阻害または減少は、NGFの発現を阻害または減少
させることによる。一例において、NGFの発現の阻害または減少は、mRNAの転写を
阻害または減少させることによる。一例において、NGFの発現の阻害または減少は、m
RNAのタンパク質への翻訳を阻害または減少させることによる。
【0048】
したがって、本明細書に記載される方法、組成物または使用の例において、哺乳動物に
おけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性の阻害または減少は、pro-NGFの
発現を阻害または減少させることによる。一例において、pro-NGFの発現の阻害ま
たは減少は、mRNAの転写を阻害または減少させることによる。一例において、pro
-NGFの発現の阻害または減少は、mRNAのタンパク質への翻訳を阻害または減少さ
せることによる。
【0049】
本開示は、pro-NGF活性の阻害および減少の結果としてNGF活性の阻害および
減少をさらに企図する。
【0050】
本開示はまた、神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治療する方法であっ
て、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を、そのような治療を必要とする哺乳動物に
投与するステップを含む、方法に関する。
【0051】
本開示はまた、プロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介される疼痛を治療す
る方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を、そのような治療を必要とす
る哺乳動物に投与するステップを含む、方法に関する。
【0052】
上記の方法において、疼痛は非悪性疼痛または悪性疼痛である。
【0053】
上記の方法において、疼痛は好ましくは筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛は非悪
性筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛は悪性筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛
は骨格痛である。好ましくは、骨格痛は非悪性骨格痛である。好ましくは、骨格痛は悪性
骨格痛である。
【0054】
好ましくは、骨格痛は背痛である。好ましくは、背痛は腰痛である。好ましくは、骨格
痛は骨および/または関節痛である。好ましくは、骨格痛は関節痛である。好ましくは、
骨格痛は骨痛である。好ましくは、骨痛は非悪性骨痛である。好ましくは、非悪性骨痛は
骨粗鬆症と関連する疼痛である。
【0055】
好ましくは、非悪性骨痛は関節炎状態と関連する疼痛である。好ましくは、関節炎状態
は関節リウマチまたは変形性関節症から選択される。好ましくは、関節炎状態は関節リウ
マチである。好ましくは、関節炎状態は変形性関節症である。好ましくは、変形性関節症
は、足関節、股関節、膝関節、肩関節、脊椎および手関節からなる群から選択される接合
している関節におけるものである。好ましくは、変形性関節症は股関節におけるものであ
る。好ましくは、変形性関節症は膝関節におけるものである。好ましくは、変形性関節症
は脊椎におけるもの(脊椎症)である。好ましくは、骨痛は悪性骨痛である。好ましくは
、悪性骨痛は原発性骨がんと関連する疼痛である。好ましくは、悪性骨痛は続発性(転移
性)骨がんと関連する疼痛である。
【0056】
好ましくは、疼痛は、急性疼痛;がん疼痛;慢性疼痛;全身痛;非がん疼痛および持続
痛からなる群から選択される。好ましくは、疼痛は、侵害受容性疼痛状態または神経障害
性疼痛状態である。好ましくは、疼痛は、急性疼痛状態;慢性疼痛状態;全身痛状態およ
び持続痛状態である。好ましくは、疼痛状態は、非悪性疼痛状態である。好ましくは、疼
痛状態は、悪性疼痛状態である。
【0057】
好ましくは、疼痛は、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;間質性膀胱炎
;骨粗鬆症;腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転移性
)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄腫
骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症;神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新生
物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する。
【0058】
好ましくは、疼痛は、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎および間質性膀
胱炎からなる群から選択される状態と関連する。
【0059】
好ましくは、疼痛は、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発
性(転移性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多
発性骨髄腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症;神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神
経痛;新生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する。
【0060】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少させる
ためのポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物に関
する。
【0061】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害また
は減少させるための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを
含む組成物に関する。
【0062】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少させる
際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを
含む組成物に関する。
【0063】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害また
は減少させる際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容され
る賦形剤とを含む組成物に関する。
【0064】
上記の組成物において、阻害または減少は哺乳動物における疼痛を治療する。
【0065】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治
療するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組
成物に関する。
【0066】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介さ
れる疼痛を治療するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形
剤とを含む組成物に関する。
【0067】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治
療する際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許容される賦形
剤とを含む組成物に関する。
【0068】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介さ
れる疼痛を治療する際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、許
容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0069】
上記の組成物において、疼痛は、非悪性疼痛または悪性疼痛である。
【0070】
上記の組成物において、疼痛は好ましくは筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛は非
悪性筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛は悪性筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格
痛は骨格痛である。好ましくは、骨格痛は非悪性骨格痛である。好ましくは、骨格痛は悪
性骨格痛である。
【0071】
好ましくは、骨格痛は背痛である。好ましくは、背痛は腰痛である。好ましくは、骨格
痛は骨および/または関節痛である。好ましくは、骨格痛は関節痛である。好ましくは、
骨格痛は骨痛である。好ましくは、骨痛は非悪性骨痛である。好ましくは、非悪性骨痛は
骨粗鬆症と関連する疼痛である。
【0072】
好ましくは、非悪性骨痛は関節炎状態と関連する疼痛である。好ましくは、関節炎状態
は関節リウマチまたは変形性関節症から選択される。好ましくは、関節炎状態は関節リウ
マチである。好ましくは、関節炎状態は変形性関節症である。好ましくは、変形性関節症
は、足関節、股関節、膝関節、肩関節、脊椎および手関節からなる群から選択される接合
している関節におけるものである。好ましくは、変形性関節症は股関節におけるものであ
る。好ましくは、変形性関節症は膝関節におけるものである。好ましくは、変形性関節症
は脊椎におけるもの(脊椎症)である。好ましくは、骨痛は悪性骨痛である。好ましくは
、悪性骨痛は原発性骨がんと関連する疼痛である。好ましくは、悪性骨痛は続発性(転移
性)骨がんと関連する疼痛である。
【0073】
好ましくは、疼痛は、急性疼痛;がん疼痛;慢性疼痛;全身痛;非がん疼痛および持続
痛からなる群から選択される。好ましくは、疼痛は、侵害受容性疼痛状態または神経障害
性疼痛状態である。好ましくは、疼痛は、急性疼痛状態;慢性疼痛状態;全身痛状態およ
び持続痛状態である。好ましくは、疼痛状態は、非悪性疼痛状態である。好ましくは、疼
痛状態は、悪性疼痛状態である。
【0074】
好ましくは、疼痛は、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;間質性膀胱炎
;骨粗鬆症;腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転移性
)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄腫
骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症;神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新生
物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する。好ましくは、
骨折は大腿骨骨折である。大腿骨骨折は好ましくは大腿骨頸部骨折である。
【0075】
好ましくは、疼痛は、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎および間質性膀
胱炎からなる群から選択される状態と関連する。
【0076】
好ましくは、疼痛は、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発
性(転移性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多
発性骨髄腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症;神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神
経痛;新生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する。好
ましくは、骨折は大腿骨骨折である。大腿骨骨折は好ましくは大腿骨頸部骨折である。
【0077】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少させる
際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用に関する。
【0078】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害また
は減少させる際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用に関する。
【0079】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)活性を阻害または減少させる
ための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用に関する。
【0080】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)活性を阻害また
は減少させるための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用
に関する。
【0081】
上記の使用において、阻害または減少は哺乳動物における疼痛を治療する。
【0082】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治
療する際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用に関する。
【0083】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介さ
れる疼痛を治療する際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用に関する。
【0084】
本開示はまた、哺乳動物における神経成長因子(NGF)によって媒介される疼痛を治
療するための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用に関す
る。
【0085】
本開示はまた、哺乳動物におけるプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介さ
れる疼痛を治療するための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩
の使用に関する。
【0086】
上記の使用において、疼痛は、非悪性疼痛または悪性疼痛である。
【0087】
上記の使用において、疼痛は好ましくは筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛は非悪
性筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛は悪性筋骨格痛である。好ましくは、筋骨格痛
は骨格痛である。好ましくは、骨格痛は非悪性骨格痛である。好ましくは、骨格痛は悪性
骨格痛である。
【0088】
好ましくは、骨格痛は背痛である。好ましくは、背痛は腰痛である。好ましくは、骨格
痛は骨および/または関節痛である。好ましくは、骨格痛は関節痛である。好ましくは、
骨格痛は骨痛である。好ましくは、骨痛は非悪性骨痛である。好ましくは、非悪性骨痛は
骨粗鬆症と関連する疼痛である。
【0089】
好ましくは、非悪性骨痛は関節炎状態と関連する疼痛である。好ましくは、関節炎状態
は関節リウマチまたは変形性関節症から選択される。好ましくは、関節炎状態は関節リウ
マチである。好ましくは、関節炎状態は変形性関節症である。好ましくは、変形性関節症
は、足関節、股関節、膝関節、肩関節、脊椎および手関節からなる群から選択される接合
している関節におけるものである。好ましくは、変形性関節症は股関節におけるものであ
る。好ましくは、変形性関節症は膝関節におけるものである。好ましくは、変形性関節症
は脊椎におけるもの(脊椎症)である。好ましくは、骨痛は悪性骨痛である。好ましくは
、悪性骨痛は原発性骨がんと関連する疼痛である。好ましくは、悪性骨痛は続発性(転移
性)骨がんと関連する疼痛である。
【0090】
好ましくは、疼痛は、急性疼痛;がん疼痛;慢性疼痛;全身痛;非がん疼痛および持続
痛からなる群から選択される。好ましくは、疼痛は、侵害受容性疼痛状態または神経障害
性疼痛状態である。好ましくは、疼痛は、急性疼痛状態;慢性疼痛状態;全身痛状態およ
び持続痛状態である。好ましくは、疼痛状態は、非悪性疼痛状態である。好ましくは、疼
痛状態は、悪性疼痛状態である。
【0091】
好ましくは、疼痛は、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、間質性膀胱炎、腹痛;関
節痛;子宮内膜症、骨粗鬆症、前立腺炎、膵炎、慢性頭痛、原発性がん、続発性(転移性
)がん、背痛、骨損傷または骨折、糖尿病性神経障害、線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄腫
骨疾患、多発性硬化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新生
物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する。好ましくは、
骨折は大腿骨骨折である。大腿骨骨折は好ましくは大腿骨頸部骨折である。
【0092】
好ましくは、疼痛は、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;および間質性
膀胱炎からなる群から選択される状態と関連する。
【0093】
好ましくは、疼痛は、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発
性(転移性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多
発性骨髄腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神
経痛;新生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する。好
ましくは、骨折は大腿骨骨折である。大腿骨骨折は好ましくは大腿骨頸部骨折である。
【0094】
本開示はまた、上述した方法、組成物および使用を企図し、ポリ硫酸化多糖は、好まし
くは、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ポリ硫酸ペントサン、ポリ
硫酸コンドロイチン、ポリ硫酸キトサン、デルマタンポリ硫酸スロデキシド、硫酸デキス
トラン、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化ビス-アルドン酸ア
ミド、八硫酸スクロース、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化ベータ-シクロデキ
ストリン、硫酸化ガンマ-シクロデキストリンおよび限定されないが、六硫酸イノシトー
ルを含む小さな硫酸化化合物からなる群から選択される。
【0095】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ポリ硫酸ペン
トサン(PPS)、ポリ硫酸コンドロイチンおよびポリ硫酸キトサンからなる群から選択
される。
【0096】
ポリ硫酸ペントサン(PPS)は、好ましくは、ポリ硫酸ペントサンのナトリウム塩(
NaPPS)、ポリ硫酸ペントサンのマグネシウム塩(MgPPS)、ポリ硫酸ペントサ
ンのカルシウム塩(CaPPS)、およびポリ硫酸ペントサンの亜鉛塩(ZnPPS)か
らなる群から選択される。
【0097】
好ましくは、ポリ硫酸ペントサン(PPS)は、ポリ硫酸ペントサンナトリウム(Na
PPS)である。
【0098】
1つの好ましい実施形態では、NaPPSは、Bene-PharmaChem Gm
bH & Co KG、Geretsried、ドイツによってUS FDAおよびEu
ropean Community EMEAに提出された仕様書に従って製造される。
【0099】
種々の経路による投与に適したPPSおよびPPS組成物は、Remington: The Science
and Practice of Pharmacy, 21st Edition; Lippincott Williams & Wilkins: Philadel
phia, PA, 2005のような、この分野における標準的な教科書を参照することによって製剤
化され得ることは当業者によって認識されるであろう。これらの組成物には、注射、経口
(胃腸薬物吸収増量剤および増強剤を含有する錠剤およびカプセル剤を含む)、静脈内な
どによるものが含まれる。
【0100】
好ましくは、阻害もしくは減少、または治療は、筋肉内(IM)もしくは皮下(SC)
経路、心室内経路、嚢内経路またはくも膜下腔経路による注射投与、静脈内(IV)投与
、関節内(IA)投与、関節周囲投与、局所的投与、坐剤を介した投与、または経口投与
による。
【0101】
本開示は、哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro
-NGF)活性を阻害もしくは減少させること、またはポリ硫酸化多糖もしくはその許容
される塩を、固定用量として約10ng~約1000ngの範囲の有効量で哺乳動物に投
与することによって、哺乳動物におけるNGFもしくはpro-NGFにより媒介される
疼痛を治療することを企図する。ある特定の実施形態では、有効量は、固定用量として約
50ng~約950ng;約100ng~約900ng;約150ng~約850ng;
約200ng~約800ng;約250ng~約750ng;約300ng~約700n
g;約350ng~約650ng;約400ng~約600ng;約450ng~約50
0ngの範囲である。ある特定の実施形態では、有効量は、約10ng、約50ng、約
100ng、約150ng、約200ng、約250ng、約300ng、約350ng
、約400ng、約450ng、約500ng、約550ng、約600ng、約650
ng、約700ng、約750ng、約800ng、約850ng、約900ng、約9
50ngまたは約1000ngの固定用量である。
【0102】
上記の用量(すなわち、それらの用量は約10ng~約1000ngの範囲である)に
関して、阻害もしくは減少、または治療は、好ましくは、心室内、嚢内またはくも膜下腔
経路によるポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の注射投与による。
【0103】
本開示は、哺乳動物における神経成長因子(NGF)もしくはプロ神経成長因子(pr
o-NGF)活性を阻害もしくは減少させること、またはポリ硫酸化多糖もしくはその許
容される塩を、固定用量として約10μg~約1000μgの範囲の有効量で哺乳動物に
投与することによって哺乳動物におけるNGFもしくはpro-NGFにより媒介される
疼痛を治療することを企図する。ある特定の実施形態では、有効量は、固定用量として約
50μg~約950μg;約100μg~約900μg;約150μg~約850μg;
約200μg~約800μg;約250μg~約750μg;約300μg~約700μ
g;約350μg~約650μg;約400μg~約600μg;約450μg~約50
0μgである。ある特定の実施形態では、有効量は、約10μg、約50μg、約100
μg、約150μg、約200μg、約250μg、約300μg、約350μg、約4
00μg、約450μg、約500μg、約550μg、約600μg、約650μg、
約700μg、約750μg、約800μg、約850μg、約900μg、約950μ
gまたは約1000μgの固定用量である。
【0104】
上記の用量(すなわち、それらは約10μg~約1000μgの範囲である)に関して
、阻害もしくは減少、または治療は、好ましくは、心室内、嚢内もしくはくも膜下腔経路
によるポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の注射投与による。
【0105】
好ましくは、阻害もしくは減少、または治療は、ポリ硫酸化多糖またはその許容される
塩を、1用量あたり約1mg/kg~約2mg/kg哺乳動物の有効量で哺乳動物に投与
することによる。
【0106】
好ましくは、阻害もしくは減少、または治療は、ポリ硫酸化多糖またはその許容される
塩を、1用量あたり約2mg/kg哺乳動物の有効量で哺乳動物に投与することによる。
有効量は、好ましくは、1用量あたり約1.0~2.0mg/kg対象である。ある特定
の実施形態では、有効量は、約1.0~1.5mg/kg;1.5~2.0mg/kg;
0.5mg/kg;1.0mg/kg;1.5mg/kg;または2.0mg/kgであ
る。
【0107】
本開示は、哺乳動物における神経成長因子(NGF)もしくはプロ神経成長因子(pr
o-NGF)活性を阻害もしくは減少させること、またはポリ硫酸化多糖もしくはその許
容される塩を、固定用量として約1mg~約25mgの範囲の有効量で哺乳動物に投与す
ることによって、哺乳動物におけるNGFもしくはpro-NGFにより媒介される疼痛
を治療することを企図する。ある特定の実施形態では、有効量は、約2mgから約24m
gの間;約3mgから約23mgの間;約4mgから約22mgの間;約5mgから約2
1mgの間;約6mgから約20mgの間;約7mgから約19mgの間;約8mgから
約18mgの間;約9mgから約17mgの間;約10mgから約16mgの間;約11
mgから約15mgの間;約12mgから約14mgの間の範囲の固定用量である。ある
特定の実施形態では、有効量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、
約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約1
3mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、
約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mgまたは約25mgの固定
用量である。
【0108】
ある特定の実施形態では、有効量は、約25mgから4000mgの間の固定用量であ
る。ある特定の実施形態では、有効量は、約25mg、50mg、75mg、100mg
、125mg、150g、175mg、200mg、225mg、250mg、275m
gまたは300mgの固定用量である。ある特定の実施形態では、有効量は、約350m
g、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、70
0mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg
、2000mg、3000mgまたは4000mgの固定用量である。
【0109】
好ましくは、投与は注射による。投与は、好ましくは、皮下(SC)注射による。好ま
しくは、SC注射はゆっくりとしたSC注射である。投与は、好ましくは、筋肉内(IM
)注射による。
【0110】
好ましくは、ヒトへの投与は、1日1回、週2回または週3回の治療レジメンでの投薬
による。ヒトへの投与は、好ましくは、週2回の治療レジメンでの投薬による。好ましく
は、ヒトへの投与は、最短で3日および最長で4日の投薬間隔で週2回の治療レジメンで
の投薬による。ヒトへの投与は、好ましくは、6週間の間、週2回の治療レジメンでの投
薬による。好ましくは、治療レジメンで投与されるポリ硫酸化多糖の総用量は約200~
4000mgである。
【0111】
このように、投薬は、より重いまたはより軽い体重の個体に応じて調整される。治療レ
ジメンは、対象が経験する疼痛の重症度に応じて適合され得る。一部の場合、患者が高レ
ベルの疼痛を経験する場合、可能な限り速くPPSの治療負荷に到達することが望ましい
。これは、例えば、疼痛が解消されるまで、1日あたり約1.0mg/kgまたはそれ以
上のPPSの投与を必要とし得る。
【0112】
投与が注射による場合、これは、通常、看護師/医師によって臨床的状況において実施
される。当業者は、成功的治療の鍵は、最適な治療用量を達成するために十分なPPSを
対象に投与することであることを理解するであろう。PPSは結合組織において蓄積する
ことが知られているので、負荷は経時的に、例えば、4~5日にわたる1mg PPS/
kgの1日用量で達成され得る。重度の慢性症例に関して、対象は、1年につき1回より
多い治療過程、おそらく1年につき2回または3回の治療過程を必要とし得ることが考え
られる。
【0113】
安全性の観点から、より長期にわたって、投与頻度を減らした、より低い用量範囲(1
~2mg PPS/kgまたは約25~50mgの固定用量)が好ましい。これは、PP
Sが既知の抗凝固剤であり、基礎APTが、より高い用量(3mg超のPPS/kgまた
は約150~200mgの固定用量)で上昇することがあり、いずれかの開放創の出血を
促す可能性があり得るためである。
【0114】
注射による投与が好ましいが、PPSの経口または局所製剤が、初期のIMまたはSC
PPS治療のためのフォローアップ(維持用量)として使用されてもよい。これはまた
、経口投与にも適用可能である。IV点滴による投与に関して、1日あたり0.5~1m
g PPS/kgのより低い用量が好ましい。
【0115】
本開示はまた、NGF封鎖剤などの、ポリ硫酸化多糖と他の治療剤との同時投与を企図
する。他の治療剤が本発明の化合物と組み合わせて利用される場合、それらは、例えば、
Physician Desk Reference(PDR)に記されているか、また
はそうでなければ当業者によって決定される量で使用されてもよい。
【0116】
任意の特定の患者についての特定の用量レベルおよび投薬頻度は、変化させてもよく、
利用される特定の化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用の長さ、年齢、体重
、全体的な健康、性別、食事、投与の様式および時間、排泄率、薬物の組合せ、特定の状
態の重症度、ならびに療法を受ける宿主を含む、種々の要因に依存すると予想されること
は理解されるであろう。例えば、大きな動物はより多くの用量を必要とすることは理解さ
れるであろう。例示のために、ウマのような大きな動物は約4000mgの固定用量を必
要とし得る。
【0117】
本開示の治療の適合性の決定は、患者が報告した転帰測定機器を使用して評価すること
ができる。患者が報告した疼痛および/または機能的転帰が使用されてもよい。これらに
は、疼痛についての数値評価スケール(Numerical Rating Scale)(NRS)[17];
機能についてのリスホルム膝評価法(Lysholm Knee Score)[18];疼痛、症状、機能
および生活の質についての膝外傷および変形性関節症転帰スコア(Knee injury and Oste
oarthritis Outcome Score)(KOOS)[19];ならびに腰痛機能についてのオスウ
ェストリー障害指数(Oswestry Disability Index)(オスウェストリー腰痛障害質問票
(Oswestry Low Back Pain Disability Questionnaire)としても知られている)[20
]が含まれる。
【0118】
好ましくは、哺乳動物における疼痛は投与後に減少する。哺乳動物における疼痛は、好
ましくは、評価スケールによって決定される通り、減少する。好ましくは、評価スケール
は数値評価スケール(NRS)である。
【0119】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は、哺乳動物の健康をさら
に維持または改善する。好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は哺
乳動物の体重をさらに維持する。好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の
投与は、筋骨格の完全性および/または機能をさらに維持または改善する。好ましくは、
ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は、骨格の完全性および/または機能をさ
らに維持または改善する。好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は
、関節または骨の完全性および/または機能をさらに維持または改善する。好ましくは、
ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は、骨の完全性および/または機能をさら
に維持または改善する。
【0120】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は、がんによって誘発され
る骨折を予防し、哺乳動物は骨がんを患っている。好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはそ
の許容される塩の投与は、がんによって誘発される骨折までの時間を遅延させ、哺乳動物
は骨がんを患っている。好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は、
骨量減少を予防するか、または回復させる。好ましくは、ポリ硫酸化多糖またはその許容
される塩の投与は、ミネラルの恒常性の異常調節を予防するか、または回復させる。好ま
しくは、ミネラルの恒常性はカルシウムおよび/またはリン酸塩の恒常性である。好まし
くは、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与は、神経圧迫症候群を予防するか、
または回復させる。
【0121】
好ましくは、哺乳動物における機能は治療後に改善する。哺乳動物における機能は、好
ましくは、リスホルム膝評価法によって決定される通り、改善する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】NGF/proNGF ELISAプレートレイアウトの例の図である。
図2】分化KOAおよびNOF骨芽細胞/骨細胞様培養物の代表的なAlizarin Red染色の図である。
図3】3人のドナー(KOA1~3):DMP1からのKOA培養物における骨芽細胞/骨細胞分化マーカーの遺伝子発現の図である。A)KOA1-DMP1:18S mRNA発現;B)KOA2-DMP1:18S mRNA発現;およびC)KOA3-DMP1 mRNA発現。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応(平均+標準偏差(SD))である。
図4】3人のドナー(KOA1~3):SOSTからのKOA培養物における骨芽細胞/骨細胞分化マーカーの遺伝子発現の図である。A)KOA1-SOST:18S mRNA発現;B)KOA2-SOST:18S mRNA発現;およびC)KOA3-SOST:18S mRNA発現。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応(平均+標準偏差(SD))である。
図5】3人のドナー(KOA1~3):OCNからのKOA培養物における骨芽細胞/骨細胞分化マーカーの遺伝子発現の図である。A)KOA1-OCN:18S mRNA発現;B)KOA2-OCN:18S mRNA発現;およびC)KOA3-OCN:18S mRNA発現。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応(平均+標準偏差(SD))である。
図6】3人のドナー(KOA1~3):RANKLからのKOA培養物における骨芽細胞/骨細胞分化マーカーの遺伝子発現の図である。A)KOA1-RANKL:18S mRNA発現;B)KOA2-RANKL:18S mRNA発現;およびC)KOA3-RANKL:18S mRNA発現。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応(平均+標準偏差(SD))である。
図7】3人のドナー(KOA1~3):OPGからのKOA培養物における骨芽細胞/骨細胞分化マーカーの遺伝子発現の図である。A)KOA1-OPG:18S mRNA発現;B)KOA2-OPG:18S mRNA発現;およびC)KOA3-OPG:18S mRNA発現。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応(平均+標準偏差(SD))である。
図8】ヒト骨細胞によるNGF発現の図である。3人のドナーについてのKOA培養物の分化にわたる相対NGF mRNA発現を分析した。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応(平均+標準偏差(SD))である。A)KOA1-NGF:18S mRNA発現;B)KOA2-NGF:18S mRNA発現;およびC)KOA3-NGF:18S mRNA発現。
図9】アイソタイプ対照IgG免疫染色(lhs)Φと比較した、新たに採取されたヒト骨細胞(rhs)によるNGFタンパク質発現(赤色)を示す共焦点顕微鏡画像である。核(青色)はDAPIで染色される。
図10】さらに72時間未処理(UT)または1、5および50μg/mLのPPSで同じ時間、前処理した、28日の分化NOF骨細胞様細胞の培養物における、ヒトNGF ELISAによって決定した、NGFタンパク質の分泌レベルを示す図である。データは、3連の反応の平均+SDである。A)-NOF1;B)-NOF2;C)-NOF3;およびD)NOF:全てのドナー。
図11】さらに72時間未処理(UT)または1、5および50μg/mLのPPSで同じ時間、前処理した、28日の分化KOA骨細胞様細胞の培養物における、ヒトNGF ELISAによって決定した、NGFタンパク質の分泌レベルの図である。データは、3連の反応の平均+SDである。A)-KOA1;B)-KOA2;C)-KOA3;およびD)KOA:全てのドナー。
図12】rhTNFおよびPPSの組合せに反応してNOF骨細胞様培養物によって分泌されたNGFの見かけのレベルの図である。データは、3連のウェルから収集した上清の平均+SDである。A)-NOF1;B)-NOF2;C)-NOF3;およびD)NOF:全てのドナー。
図13】rhTNFおよびPPSの組合せに反応してKOA骨細胞様培養物によって分泌されたNGFの見かけのレベルの図である。データは、3連のウェルから収集した上清の平均+SDである。A)-KOA1;B)-KOA2;C)-KOA3;およびD)KOA:全てのドナー。
図14】rhTNFおよびPPSの組合せで処理したNOF骨細胞様細胞の培養物からのproNGFの分泌の図である。データは、3連のウェルから収集した上清の平均+SDである。未処理の対照(UT)に対する有意差は、(p<0.05)によって示され;rhTNFで処理した培養物に対する有意差は、#(p<0.05)によって示される。A)-NOF1;B)-NOF2;C)-NOF3;およびD)NOF:全てのドナー。
図15】rhTNFおよびPPSの組合せで処理したNOFおよびKOA骨細胞様細胞の培養物からのproNGFの分泌の図である。データは、3連のウェルから収集した上清の平均+SDである。未処理の対照(UT)に対する有意差は、(p<0.05)によって示され;rhTNFで処理した培養物に対する有意差は、#(p<0.05)によって示される。A)-KOA1;B)-KOA2;C)-KOA3;およびD)KOA:全てのドナー。
図16】KOA骨細胞様培養物における遺伝子発現に対するrhTNFおよびPPSの組合せの効果の図である。NGF mRNAについてリアルタイムRT-PCRを実施した。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。A)KOA1-NGFR:18S mRNA発現;B)KOA2-NGFR:18S mRNA発現。
図17】KOA骨細胞様培養物における遺伝子発現に対するrhTNFおよびPPSの組合せの効果の図である。IL-6 mRNAについてリアルタイムRT-PCRを実施した。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。A)KOA1-IL6:18S mRNA発現;B)KOA2-IL6:18S mRNA発現。
図18】KOA骨細胞様培養物における遺伝子発現に対するrhTNFおよびPPSの組合せの効果の図である。COX2 mRNAについてリアルタイムRT-PCRを実施した。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。A)KOA1-COX2:18S mRNA発現;B)KOA2-COX2:18S mRNA発現。
図19】KOA1およびKOA2骨細胞様培養物におけるNGF受容体の遺伝子発現の図である。NGFR(P75NTR)およびNTRKA(TrkA)mRNAについてリアルタイムRT-PCRを実施した。データは、18S rRNAの発現に対する3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。多くの場合において、信頼できる融解曲線を伴う遺伝子発現は検出不可能であったか、またはPCR産物は3連の反応のうちの1つまたは2つのみに由来したことに留意されたい。A)KOA1-NGFR:18S mRNA発現;B)KOA1-NTRKA:18S mRNA発現;C)KOA2-NGFR:18S mRNA発現;およびD)KOA2-NTRKA:18S mRNA発現。
図20】ヒトKOA骨細胞様培養物における基礎およびTNFαによって誘導されるMMP13発現に対するPPS処理の効果の図である。18S rRNAの発現に対するMMP13 mRNAのリアルタイムRT-PCR分析。データは、3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。A)KOA1-MMP13:18S mRNA発現;およびB)KOA2-MMP13:18S mRNA発現。
図21】ヒトKOA骨細胞様培養物における基礎およびTNFαによって誘導されるMMP13発現に対するPPS処理の効果の図である。アイソタイプ対照一次抗体もしくはマウス抗ヒト抗MMP13抗体(上段)により染色した未処理のKOA2細胞、またはrhTNFα単独もしくはrhTNFα+PPS(50μg/mL)により処理し、MMP13について染色した(緑色の染色)KOA2細胞の免疫染色の共焦点顕微鏡画像化。全ての核はDAPI(青色)で染色される。A)アイソタイプIgG対照;B)未処理;抗MMP13;C)rhTNF-α処理;抗MMP13;およびD)rhTNFα+PPS50;抗MMP13。
図22】単離されたヒト骨細胞におけるNGF発現の図である。連続ヒト小柱骨消化物の骨細胞富化画分を、未処理(A)、rhTNFα(B)、PPS(0.5μg/mL)(C)または両方の組合せ(D)による処理で24時間培養し、次いでNGF免疫反応性について共焦点顕微鏡法によって調べた。対照細胞もまた、アイソタイプ適合陰性対照一次抗体(E)を使用して免疫染色した。画像は2人の個々のドナーから得られた代表的なデータである。各画像におけるスケールバーは100μmを表す。
図23】骨細胞様培養物におけるNGF遺伝子発現に対するrhTNFおよびPPSの組合せの効果の図である。ヒト分化骨細胞様培養物を、未処理またはPPS(0.1または1.0μg/mL)により24時間前処理し、次いでrhTNFα(1ng/mL)を用いてまたは用いずにさらに48時間前処理し、次いでNGF mRNAについてリアルタイムRT-PCRを実施した。データは、ハウスキーピング遺伝子ACTBのmRNA発現に対して正規化した3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。
図24】TrkAおよびP-75についてのKOA由来骨細胞の免疫染色の図である。28日目に、分化したヒト一次骨細胞様培養物を、(A)TrkA、(B)P-75について、材料および方法に記載されるように、免疫染色し、共焦点顕微鏡法によって調べたか、またはアイソタイプ対照モノクローナル抗体(C)により染色した。スケールバーは、各場合、50μmを表す。
図25】ヒト分化KOA骨芽細胞/骨細胞培養物がNGFを発現する図である:3人のKOA患者由来の細胞を、材料および方法に記載されるように、最長で28日間、骨形成促進条件下で培養した。遺伝子発現を、A)DMP1;B)SOST;C)OCN;D)NGFについて様々な時点においてリアルタイムRT-PCRによって測定した。データ(平均+標準誤差(SEM))を、2-(ΔCT)法を使用して18S rRNAの発現に対して正規化し、3人のドナーの細胞からプールした時間経過の終わりに各遺伝子の発現に対して示す。各時点についての平均ΔCTを各ヒストグラムの上の丸括弧に示す。
図26】単離されたヒト骨細胞およびKOA骨におけるNGF発現の図である。直接コンジュゲートしたα-NGF MAbをNCI-H266細胞に対して試験し、直接コンジュゲートした陰性対照抗体、X-63(上段)に対して比較した。KOA骨消化物の画分IV~VIを同様にNGFについて染色し、染色を骨細胞マーカーSOST/スクレロスチン(中段)の発現に対して比較した。二重染色により、これらの細胞内のNGFおよびSOSTの両方について細胞内染色が明らかになったが、共局在染色は明らかにならなかった。陰性対照IgG MAbを使用して染色の特異性を確認した。最後に、材料および方法に記載されるように、ここでは、非コンジュゲートα-NGF MAbを使用して、NGF陽性が、脱灰されたKOA骨(下段)においてin situで骨細胞(白色の矢印)において明白になった。骨形態はデジタル干渉コントラスト(DIC)によって明らかにされる。全ての場合、DAPI染色(青色)によって核を可視化した。スケールバーは50μmを表す。
図27】ヒト骨細胞様細胞はproNGFを分泌する。proNGFの分泌を、rhTNFおよびPPSの組合せにより処理したKOA骨細胞様細胞の培養物から試験した。データは、3連のウェルから収集した上清の平均+SDである。未処理の対照(UT)に対する有意差は、(p<0.05)によって示され;rhTNFにより処理した培養物に対する有意差は、#(p<0.05)によって示される。
図28】骨細胞様培養物におけるNGF遺伝子発現に対するrhTNFおよびPPSの組合せの効果の図である。ヒト分化骨細胞様培養物を、未処理またはPPS(0.1または1.0μg/mL)により24時間前処理し、次いでrhTNFα(1ng/mL)を用いてまたは用いずにさらに48時間前処理し、次いでNGF mRNAについてリアルタイムRT-PCRを実施した。データは、ハウスキーピング遺伝子ACTBのmRNA発現に対して正規化した3連のリアルタイムRT-PCR反応の平均+SDである。
図29】ヒトNOF骨細胞様細胞はproNGFを分泌する。proNGFの分泌を、rhTNFおよびPPSの組合せにより処理したNOF骨細胞様細胞の培養物から試験した。データは、3連のウェルから収集した上清の平均+SDである。未処理の対照(UT)に対する有意差は、(p<0.05)によって示され;rhTNFにより処理した培養物に対する有意差は、#(p<0.05)によって示される。
【発明を実施するための形態】
【0123】
実施形態例
1.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NG
F)活性を阻害または減少させる方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩
を哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【0124】
2.NGF活性の阻害または減少が、哺乳動物における疼痛を治療する、実施形態1に
記載の方法。
【0125】
3.神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-NGF)によって媒介
される疼痛を治療する方法であって、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を、そのよ
うな治療を必要とする哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【0126】
4.疼痛が筋骨格痛である、実施形態1から3のいずれか一例に記載の方法。
【0127】
5.筋骨格痛が非悪性筋骨格痛である、実施形態4に記載の方法。
【0128】
6.筋骨格痛が悪性筋骨格痛である、実施形態4に記載の方法。
【0129】
7.筋骨格痛が骨格痛である、実施形態4に記載の方法。
【0130】
8.骨格痛が非悪性骨格痛である、実施形態7に記載の方法。
【0131】
9.骨格痛が悪性骨格痛である、実施形態8に記載の方法。
【0132】
10.骨格痛が背痛である、実施形態7から9のいずれか一例に記載の方法。
【0133】
11.背痛が腰痛である、実施形態10に記載の方法。
【0134】
12.骨格痛が骨および/または関節痛である、実施形態7に記載の方法。
【0135】
13.骨格痛が関節痛である、実施形態12に記載の方法。
【0136】
14.骨格痛が骨痛である、実施形態12に記載の方法。
【0137】
15.骨痛が非悪性骨痛である、実施形態14に記載の方法。
【0138】
16.非悪性骨痛が骨粗鬆症と関連する疼痛である、実施形態15に記載の方法。
【0139】
17.非悪性骨痛が関節炎状態と関連する疼痛である、実施形態15に記載の方法。
【0140】
18.関節炎状態が、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される、実施形態17
に記載の方法。
【0141】
19.関節炎状態が関節リウマチである、実施形態18に記載の方法。
【0142】
20.関節炎状態が変形性関節症である、実施形態18に記載の方法。
【0143】
21.変形性関節症が、足関節、股関節、膝関節、肩関節、脊椎および手関節からなる
群から選択される接合している関節におけるものである、実施形態20に記載の方法。
【0144】
22.変形性関節症が股関節におけるものである、実施形態21に記載の方法。
【0145】
23.変形性関節症が膝関節におけるものである、実施形態21に記載の方法。
【0146】
24.変形性関節症が脊椎におけるもの(脊椎症)である、実施形態21に記載の方法
【0147】
25.骨痛が悪性骨痛である、実施形態14に記載の方法。
【0148】
26.悪性骨痛が、原発性骨がんと関連する疼痛である、実施形態25に記載の方法。
【0149】
27.悪性骨痛が、続発性(転移性)骨がんと関連する疼痛である、実施形態25に記
載の方法。
【0150】
28.疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;間質性膀胱炎;腹痛
;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転移性)がん;背痛;骨
損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄腫骨疾患;多発性硬
化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新生物;座骨神経痛;
および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、実施形態1から3のいずれか一
例に記載の方法。
【0151】
29.疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;および間質性膀胱炎
からなる群から選択される状態と関連する、実施形態28に記載の方法。
【0152】
30.疼痛が、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転
移性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨
髄腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;
新生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、実施形態
28に記載の方法。
【0153】
31.疼痛が、急性疼痛;慢性疼痛;全身痛および持続痛からなる群から選択される、
実施形態1から30のいずれか一例に記載の方法。
【0154】
32.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)活性を阻害または減少させるための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩と、
許容される賦形剤とを含む組成物。
【0155】
33.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)活性を阻害または減少させる際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容
される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物。
【0156】
34.阻害または減少が、哺乳動物における疼痛を治療する、実施形態32または実施
形態33に記載の組成物。
【0157】
35.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)によって媒介される疼痛を治療するための、ポリ硫酸化多糖またはその許容される
塩と、許容される賦形剤とを含む組成物。
【0158】
36.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)によって媒介される疼痛を治療する際に使用するための、ポリ硫酸化多糖またはそ
の許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物。
【0159】
37.疼痛が筋骨格痛である、実施形態32から36のいずれか一例に記載の組成物。
【0160】
38.筋骨格痛が非悪性筋骨格痛である、実施形態37に記載の組成物。
【0161】
39.筋骨格痛が悪性筋骨格痛である、実施形態37に記載の組成物。
【0162】
40.筋骨格痛が骨格痛である、実施形態37に記載の組成物。
【0163】
41.骨格痛が非悪性骨格痛である、実施形態40に記載の組成物。
【0164】
42.骨格痛が悪性骨格痛である、実施形態40に記載の組成物。
【0165】
43.骨格痛が背痛である、実施形態40から42のいずれか一例に記載の組成物。
【0166】
44.背痛が腰痛である、実施形態43に記載の組成物。
【0167】
45.骨格痛が骨および/または関節痛である、実施形態40に記載の組成物。
【0168】
46.骨格痛が関節痛である、実施形態45に記載の組成物。
【0169】
47.骨格痛が骨痛である、実施形態45に記載の組成物。
【0170】
48.骨痛が非悪性骨痛である、実施形態47に記載の組成物。
【0171】
49.非悪性骨痛が骨粗鬆症と関連する疼痛である、実施形態48に記載の組成物。
【0172】
50.非悪性骨痛が関節炎状態と関連する疼痛である、実施形態48に記載の組成物。
【0173】
51.関節炎状態が、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される、実施形態50
に記載の組成物。
【0174】
52.関節炎状態が関節リウマチである、実施形態51に記載の組成物。
【0175】
53.関節炎状態が変形性関節症である、実施形態51に記載の組成物。
【0176】
54.変形性関節症が、足関節、股関節、膝関節、肩関節、脊椎および手関節からなる
群から選択される接合している関節におけるものである、実施形態53に記載の組成物。
【0177】
55.変形性関節症が股関節におけるものである、実施形態54に記載の組成物。
【0178】
56.変形性関節症が膝関節におけるものである、実施形態54に記載の組成物。
【0179】
57.変形性関節症が脊椎におけるもの(脊椎症)である、実施形態54に記載の組成
物。
【0180】
58.骨痛が悪性骨痛である、実施形態47に記載の組成物。
【0181】
59.悪性骨痛が、原発性骨がんと関連する疼痛である、実施形態58に記載の組成物
【0182】
60.悪性骨痛が、続発性(転移性)骨がんと関連する疼痛である、実施形態58に記
載の組成物。
【0183】
61.疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;間質性膀胱炎;腹痛
;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転移性)がん;背痛;骨
損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄腫骨疾患;多発性硬
化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新生物;座骨神経痛;
および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、実施形態32から36のいずれ
か一例に記載の組成物。
【0184】
62.疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;および間質性膀胱炎
からなる群から選択される状態と関連する、実施形態61に記載の組成物。
【0185】
63.疼痛が、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転
移性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨
髄腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;
新生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、実施形態
61に記載の組成物。
【0186】
64.疼痛が、急性疼痛;慢性疼痛;全身痛および持続痛からなる群から選択される、
実施形態32から63のいずれか一例に記載の組成物。
【0187】
65.疼痛が、侵害受容性疼痛状態;神経障害性疼痛状態;急性疼痛状態;慢性疼痛状
態;全身痛状態;持続痛状態;非悪性疼痛状態;悪性疼痛状態;慢性疼痛状態;全身痛状
態および持続痛状態からなる群から選択される、実施形態32から36のいずれか一例に
記載の組成物。
【0188】
66.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)活性を阻害または減少させる際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の使用
【0189】
67.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)活性を阻害または減少させるための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖またはそ
の許容される塩の使用。
【0190】
68.阻害または減少が、哺乳動物における疼痛を治療する、実施形態66または実施
形態67に記載の使用。
【0191】
69.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)によって媒介される疼痛を治療する際の、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩
の使用。
【0192】
70.哺乳動物における神経成長因子(NGF)またはプロ神経成長因子(pro-N
GF)によって媒介される疼痛を治療するための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖ま
たはその許容される塩の使用。
【0193】
71.疼痛が筋骨格痛である、実施形態66から70のいずれか一例に記載の使用。
【0194】
72.筋骨格痛が非悪性筋骨格痛である、実施形態71に記載の使用。
【0195】
73.筋骨格痛が悪性筋骨格痛である、実施形態71に記載の使用。
【0196】
74.筋骨格痛が骨格痛である、実施形態71に記載の使用。
【0197】
75.骨格痛が非悪性骨格痛である、実施形態74に記載の使用。
【0198】
76.骨格痛が悪性骨格痛である、実施形態74に記載の使用。
【0199】
77.骨格痛が背痛である、実施形態74から76のいずれか一例に記載の使用。
【0200】
78.背痛が腰痛である、実施形態77に記載の使用。
【0201】
79.骨格痛が骨および/または関節痛である、実施形態74に記載の使用。
【0202】
80.骨格痛が関節痛である、実施形態79に記載の使用。
【0203】
81.骨格痛が骨痛である、実施形態79に記載の使用。
【0204】
82.骨痛が非悪性骨痛である、実施形態81に記載の使用。
【0205】
83.非悪性骨痛が骨粗鬆症と関連する疼痛である、実施形態82に記載の使用。
【0206】
84.非悪性骨痛が関節炎状態と関連する疼痛である、実施形態82に記載の使用。
【0207】
85.関節炎状態が、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される、実施形態84
に記載の使用。
【0208】
86.関節炎状態が関節リウマチである、実施形態85に記載の使用。
【0209】
87.関節炎状態が変形性関節症である、実施形態85に記載の使用。
【0210】
88.変形性関節症が、足関節、股関節、膝関節、肩関節、脊椎および手関節からなる
群から選択される接合している関節におけるものである、実施形態87に記載の使用。
【0211】
89.変形性関節症が股関節におけるものである、実施形態88に記載の使用。
【0212】
90.変形性関節症が膝関節におけるものである、実施形態88に記載の使用。
【0213】
91.変形性関節症が脊椎におけるもの(脊椎症)である、実施形態88に記載の使用
【0214】
92.骨痛が悪性骨痛である、実施形態81に記載の使用。
【0215】
93.悪性骨痛が、原発性骨がんと関連する疼痛である、実施形態92に記載の使用。
【0216】
94.悪性骨痛が、続発性(転移性)骨がんと関連する疼痛である、実施形態92に記
載の使用。
【0217】
95.疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;間質性膀胱炎;腹痛
;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転移性)がん;背痛;骨
損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨髄腫骨疾患;多発性硬
化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;新生物;座骨神経痛;
および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、実施形態66から70のいずれ
か一例に記載の使用。
【0218】
96.疼痛が、関節炎;変形性関節症;関節リウマチ;前立腺炎;および間質性膀胱炎
からなる群から選択される状態と関連する、実施形態95に記載の使用。
【0219】
97.疼痛が、腹痛;関節痛;子宮内膜症;膵炎;慢性頭痛;原発性がん;続発性(転
移性)がん;背痛;骨損傷または骨折;糖尿病性神経障害;線維筋痛;片頭痛;多発性骨
髄腫骨疾患;多発性硬化症;骨粗鬆症、神経痛;ヘルペス性神経痛;ヘルペス後神経痛;
新生物;座骨神経痛;および内臓痛からなる群から選択される状態と関連する、実施形態
95に記載の使用。
【0220】
98.疼痛が、急性疼痛;慢性疼痛;全身痛および持続痛からなる群から選択される、
実施形態66から97のいずれか一例に記載の使用。
【0221】
99.疼痛が、侵害受容性疼痛状態;神経障害性疼痛状態;急性疼痛状態;慢性疼痛状
態;全身痛状態;持続痛状態;非悪性疼痛状態;悪性疼痛状態;慢性疼痛状態;全身痛状
態および持続痛状態からなる群から選択される、実施形態66から70のいずれか一例に
記載の使用。
【0222】
100.ポリ硫酸化多糖が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ポ
リ硫酸ペントサン、ポリ硫酸コンドロイチン、ポリ硫酸キトサン、デルマタンポリ硫酸ス
ロデキシド、硫酸デキストラン、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫
酸化ビス-アルドン酸アミド、八硫酸スクロース、フコイダン-1、フコイダン-2、硫
酸化ベータ-シクロデキストリン、硫酸化ガンマ-シクロデキストリンおよび限定されな
いが、六硫酸イノシトールを含む小さな硫酸化化合物からなる群から選択される、実施形
態1から99のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0223】
101.ポリ硫酸化多糖が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ポリ硫酸ペントサ
ン(PPS)、ポリ硫酸コンドロイチンおよびポリ硫酸キトサンからなる群から選択され
る、実施形態100に記載の方法、組成物または使用。
【0224】
102.ポリ硫酸ペントサン(PPS)が、ポリ硫酸ペントサンのナトリウム塩(Na
PPS)、ポリ硫酸ペントサンのマグネシウム塩(MgPPS)、ポリ硫酸ペントサンの
カルシウム塩(CaPPS)、およびポリ硫酸ペントサンの亜鉛塩(ZnPPS)からな
る群から選択される、実施形態101に記載の方法、組成物または使用。
【0225】
103.ポリ硫酸ペントサン(PPS)が、ポリ硫酸ペントサンナトリウム(NaPP
S)である、実施形態102に記載の方法、組成物または使用。
【0226】
104.阻害もしくは減少、または治療が、心室内経路、嚢内経路またはくも膜下腔経
路を介する投与、筋肉内(IM)もしくは皮下(SC)経路による注射投与、静脈内(I
V)投与、関節内(IA)投与、関節周囲投与、局所的投与、坐剤を介した投与、または
経口投与による、実施形態1から103のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用
【0227】
105.阻害もしくは減少、または治療が、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、1用量あたり約1~2mg/kg哺乳動物の有効量で、哺乳動物に投与することによる
、実施形態1から104のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0228】
106.阻害もしくは減少、または治療が、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、1用量あたり約2mg/kg哺乳動物の有効量で、哺乳動物に投与することによる、実
施形態1から105のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0229】
107.投与が注射による、実施形態104から106のいずれか一例に記載の方法、
組成物または使用。
【0230】
108.投与が皮下(SC)注射による、実施形態107に記載の方法、組成物または
使用。
【0231】
109.SC注射が、ゆっくりとしたSC注射である、実施形態108に記載の方法、
組成物または使用。
【0232】
110.ヒトへの投与が、1日1回、週2回または週3回の治療レジメンでの投薬によ
る、実施形態104から109のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0233】
111.ヒトへの投与が、週2回の治療レジメンでの投薬による、実施形態110に記
載の方法、組成物または使用。
【0234】
112.ヒトへの投与が、最短で3日および最長で4日の投薬間隔で週2回の治療レジ
メンでの投薬による、実施形態111に記載の方法、組成物または使用。
【0235】
113.ヒトへの投与が、6週間の間、週2回の治療レジメンでの投薬による、実施形
態111または実施形態112に記載の方法、組成物または使用。
【0236】
114.治療レジメンで投与されるポリ硫酸化多糖の総用量が約200~4000mg
である、実施形態113に記載の方法、組成物または使用。
【0237】
115.阻害もしくは減少、または治療が、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、固定用量として約10ng~約1000ngの範囲の有効量で、哺乳動物に投与するこ
とによる、実施形態1から113のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0238】
116.阻害もしくは減少、または治療が、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、固定用量として約10μg~約1000μgの範囲の有効量で、哺乳動物に投与するこ
とによる、実施形態1から113に記載の方法、組成物または使用。
【0239】
117.阻害もしくは減少、または治療が、心室内、嚢内またはくも膜下腔経路によっ
てポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を投与することによる、実施形態115または
実施形態116に記載の方法、組成物または使用。
【0240】
118.阻害もしくは減少、または治療が、ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩を
、固定用量として約1mg~約25mgの範囲の有効量で、哺乳動物に投与することによ
る、実施形態104から113のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0241】
119.哺乳動物における疼痛が投与後に減少する、実施形態1から118のいずれか
一例に記載の方法、組成物または使用。
【0242】
120.哺乳動物における疼痛が、評価スケールによって決定される通り、減少する、
実施形態119に記載の方法、組成物または使用。
【0243】
121.評価スケールが数値評価スケール(NRS)である、実施形態120に記載の
方法、組成物または使用。
【0244】
122.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、哺乳動物の健康をさらに維
持または改善する、実施形態1から121のいずれか一例に記載の方法、組成物または使
用。
【0245】
123.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、哺乳動物の体重をさらに維
持する、実施形態1から122のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0246】
124.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、筋骨格の完全性および/ま
たは機能をさらに維持または改善する、実施形態1から123の一例に記載の方法、組成
物または使用。
【0247】
125.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、骨格の完全性および/また
は機能をさらに維持または改善する、実施形態124に記載の方法、組成物または使用。
【0248】
126.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、関節または骨の完全性およ
び/または機能をさらに維持または改善する、実施形態125に記載の方法、組成物また
は使用。
【0249】
127.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、骨の完全性および/または
機能をさらに維持または改善する、実施形態126に記載の方法、組成物または使用。
【0250】
128.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、がんによって誘発される骨
折を予防し、哺乳動物が骨がんを患っている、実施形態1から127のいずれか一例に記
載の方法、組成物または使用。
【0251】
129.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、がんによって誘発される骨
折までの時間を遅延させ、哺乳動物が骨がんを患っている、実施形態128に記載の方法
、組成物または使用。
【0252】
130.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、骨量減少を予防または回復
させる、実施形態1から127のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0253】
131.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、ミネラルの恒常性の異常調
節を予防または回復させる、実施形態1から130のいずれか一例に記載の方法、組成物
または使用。
【0254】
132.ミネラルの恒常性が、カルシウムおよび/またはリン酸塩の恒常性である、実
施形態131に記載の方法、組成物または使用。
【0255】
133.ポリ硫酸化多糖またはその許容される塩の投与が、神経圧迫症候群を予防また
は回復させる、実施形態1から132のいずれか一例に記載の方法、組成物または使用。
【0256】
134.哺乳動物における機能が、投与後に改善する、実施形態1から133のいずれ
か一例に記載の方法、組成物または使用。
【0257】
135.哺乳動物における機能が、本明細書に記載されるリスホルム膝評価法によって
決定される通り、改善する、実施形態134に記載の方法、組成物または使用。
【実施例0258】
研究実施例1:炎症性メディエーターに対するヒト骨細胞反応に対するポリ硫酸ペント
サンナトリウム(NaPPS)の効果
PPSが疼痛メディエーターに対する効果を発揮する可能性を調べるための予備研究を
記載する。この研究はまた、PPSが骨細胞を介して疼痛メディエーターに対する効果を
発揮する可能性にも注目している。
【0259】
研究への導入
変形性膝関節症(KOA)は、一般的で痛みを伴う状態であり、痛みを制御するために
鎮痛剤の処方によって主に管理されている。KOAの病因は完全には解明されていないが
、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)およびインターロイキン1-ベータ(IL-1β)
を含む、炎症誘発性メディエーターの発現の増加と関連することが知られている[21]
。これらは、マトリクスメタロペプチダーゼ(MMP)ファミリーメンバー-13(MM
P-13)などの、軟骨分解酵素の局所的な産生を刺激すると考えられる。最終的に、人
工膝関節全置換術(TKA)を実施して罹患関節を人工膝関節全置換物(prosthetic tot
al knee replacement)と置換する。患者が報告した疼痛はTKAについての主要な指標
である[22]。
【0260】
骨は、脊髄の後根神経節のみに由来する骨感覚ニューロンを有する、神経支配を受ける
組織である[23]。分泌された神経向性タンパク質ベータ-神経成長因子(NGF)は
、KOAを含む、多くの慢性状態における疼痛の主な原因因子である[24~26]。さ
らに、NGF発現は、変形性関節症の実験マウスモデルにおいてTNFαおよびIL-1
βの両方によって誘導されることが知られている[27]。NGFは、ニューロンによっ
て発現される少なくとも2つの受容体、トロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)お
よび汎ニューロトロピン(pan-neurotropin)受容体p75/NTRに結合し、それは、
ニューロンがまた、共受容体であるソルチリンを発現するかどうかに依存して、ニューロ
ンの成長を促進するか、またはニューロンのアポトーシスを引き起こす、多様な生物学的
効果を有することができる[28]。NGFを標的とする中和抗体治療薬であるタネズマ
ブ(登録商標)は、KOAと関連する疼痛の治療において有望な結果をもたらし[21、
24~26]、NGFがこの状態についての鍵となるリードアウトおよび疼痛のメディエ
ーターの両方であることと一致する。NGFは最初にプロタンパク質形態(proNGF
)として翻訳され、それは、ヒューリンまたはヒューリン様プロタンパク質転換酵素の作
用によって成熟形態に翻訳後プロセシングされる(タンパク質分解的に切断される)[2
8]。現在、市販の酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を使用した可溶性NGFレベ
ルの正確な検出はproNGFのリードアウトへの影響に起因して問題がある;存在する
場合、proNGFは、効果の大きさおよび方向(増加または減少)の両方に関して、予
測できない様式で多くの市販のELISAキットのリードアウトを妨げる[29]。した
がって、定量的評価をproNGFのレベルまで延ばすことが必要である。
【0261】
ポリ硫酸ペントサン(PPS)ナトリウムは、間質性膀胱炎および膀胱痛症候群の治療
のためにFDAによって承認された薬物であり、優れた安全性プロファイルを有する[3
0]。現在、KOAについての治療としてその有効性について試験されており、有望な結
果が得られている[31]。PPSの作用様式は、多元的であるように見え、間質性膀胱
炎におけるその効果の場合にはグリコサミノグリカン(GAG)層の補充、ならびに細胞
内シグナル伝達、特に軟骨細胞における核因子カッパ-B(NFκB)[32]、および
IL-1β-iNOS[33]経路に対する効果を含む。重要なことに、KOAは、関節
全体の疾患であり、軟骨下骨、ならびに滑膜および軟骨に対する変化を伴う[21]。疾
患進行および関連する疼痛に対する各組織の寄与は完全には解明されていない。進行した
KOAでは、軟骨のほぼ完全な分解があり、残っている健康な軟骨細胞は少ない。このこ
とは、疼痛のメディエーターは、かなりの程度まで、下層の軟骨下骨に由来し得ることを
示唆している。硬い骨組織における最も多い細胞型は骨細胞であり、これらの細胞は、多
くの局所および全身の生理学的過程における鍵となる制御細胞型としてますます認識され
るようになってきている[34、35]。変形性関節症と関連する状態では、骨細胞は、
インプラント由来の摩耗粒子に対する炎症性、溶骨性反応に関与し[36]、人工関節周
囲感染の状態では細菌に対する強い炎症誘発性反応も引き起こす[37]。
【0262】
仮説の研究
本発明者らは、骨細胞が、KOAでの軟骨下骨の炎症環境においてNGFを産生するこ
とができ、PPSはこの産生を阻害することによって作用し得るという仮説を立てた。
【0263】
この仮説を検証するために、本発明者らは、進行したKOAを患っており、TKAを受
けている患者の近位脛骨から分化した、ヒト初代骨細胞様培養物の反応に対するPPSの
効果を調べた。組換えTNFαによる処理を炎症誘発性刺激として使用し、NGFを含む
多くの遺伝子の相対発現に対する効果を調べた。NGFおよびproNGFタンパク質レ
ベルもまた、それぞれのELISAによって測定した。
【0264】
本発明者らは、ヒト骨細胞がNGFを産生することができることを初めて示し、それら
が局所的な疼痛反応の原因となる可能性があることを示唆する。本発明者らはまた、PP
Sが、NGF mRNA転写および骨細胞によるproNGF分泌を抑制し、これらのプ
ロセスに対するTNFαの刺激作用を逆転させることも示す。まとめると、本発明者らの
発見は、疼痛反応における骨細胞についてのこれまで知られていなかった役割およびPP
Sを摂取しているKOA患者において有益な疼痛についての機構を示唆している。
【0265】
材料および方法
倫理的声明
ヒト患者由来の材料を用いた全ての研究は、Royal Adelaide Hosp
italのHuman Research Ethics Committeeによる既
存の倫理委員会の承認によって認められた(承認番号130114)。全てのドナー材料
は患者の書面によるインフォームドコンセントと共に得た。
【0266】
研究設計
ドナーおよび細胞
この研究からの発見の臨床的関連性を最大化するために、PPSの効果を、人工膝関節
全置換術(TKA)の手術を受けた進行した膝関節OAを有する3人の患者(KOA:群
1)の近位脛骨の軟骨下骨から単離された細胞から、28日の期間、in vitroで
の分化によって誘導された骨細胞様培養物[36、38~42]において試験した。比較
群として、大腿骨頸部骨折について人工股関節全置換術(THA)を受けた3人の患者(
NOF:群2)の近位大腿骨から単離された細胞を、同様に分化させ、試験した。全ての
ドナーの性別は女性であり、群は年齢を一致させ、KOAの平均年齢は77.0±8.5
歳であり、NOF群の平均年齢は77.7±5.5歳であった(p=0.91)。
【0267】
各ドナーからの凍結保存細胞(全て継代0または1)を解凍し、T75cm組織培養
フラスコ内で10日間培養した。コンフルエントになったら、コラゲナーゼ/ディスパー
ゼ消化によって細胞を除去し、遠心分離によって洗浄し、計数し、5×10細胞/mL
に調整した。次いで細胞を、1×10および2×10細胞/ウェルでそれぞれ、12
ウェル組織培養トレイまたは8ウェルチャンバスライドのいずれかに播種した。24時間
後、培地を、αMEM、5%v/vウシ胎仔血清(FCS)、1.8mMリン酸二水素カ
リウム(KHPO)、100μMアスコルビン酸-2-リン酸(As2P)、10m
M HEPES、10-8Mデキサメタゾンおよび0.2mM L-グルタミンからなる
骨形成分化培地と置き換えた。分化プロセスの間、試料を、全RNA調製および遺伝子発
現分析のためにTrizol試薬中に3日、14日および28日に収集した(以下を参照
のこと)。チャンバスライドに播種した培養物を、以前に記載されているように[41]
、Alizarin Red染色技術を使用してin vitroで石灰化について試験
した。
【0268】
PPSおよびTNFα治療
PPSは、bene pharmaChem GmbH & Co.KG、Geret
stried、ドイツによって製造された。これをストック溶液として1.0mg/mL
で滅菌PBSに溶解した。分化した細胞を、未処理にしたか、または培養培地中で72時
間、1、5または50μg/mLの最終濃度のPPSにより前処理した。試験用量のPP
Sは、以前の研究において公開された有効かつ最大活性レベルに基づいた[43]。次い
で、培地を、組換えヒト(rh)TNFα(1ng/mL)を添加した、または添加して
いない同じ濃度のPPSと置き換え、次いでさらに48時間培養した。下記に記載される
ように、培養上清を収集し、全RNAおよびcDNAを調製した。これにより、6人のド
ナーから8つの条件(未処理、TNF、PPS1、PPS5、PPS50、TNF+PP
S1、TNF+PPS5、TNF+PPS50)が得られた。
【0269】
全RNA産生およびリアルタイムRT-PCR分析
アッセイ可能なcDNAの生成におけるPPS干渉の証拠に起因して、残留PPSを除
去しようとして、RNA沈殿物を、通常の単一洗浄ステップの代わりに75%エタノール
中で3回洗浄したことを除いて、製造業者の説明書に従って、Trizol溶解物から全
RNAを調製した。RNA調製物を、Nanodrop微量体積分光光度計(Therm
o Fisher)を使用して収率および純度について試験した。各試料からのRNA1
マイクログラムを、製造業者の説明書に従って、Superscript(商標)IIキ
ット(Thermo Fisher)を使用して逆転写した。ハウスキーピング遺伝子(
18S、ACTB)発現に対して、神経成長因子(NGF)、その受容体NTRK1(T
RKA)およびNGFR(P75NTR)、MMP13、シクロオキシゲナーゼ-2(C
OX-2)、インターロイキン-6(IL-6)RANKL、OPG、OCN、DMP1
ならびにSOSTを含む遺伝子についてリアルタイムRT-PCRを実施した。これらの
各々についてのオリゴヌクレオチドプライマー配列を表1に示す。
【0270】
【表1】
【0271】
ELISA分析
使用するまで凍結保存(-80℃)した培養上清を4℃で解凍するとすぐに、製造業者
の説明書に従って、ヒトNGF(カタログ番号:EHNGF;Thermo Fishe
r Scientific)またはproNGF(カタログ番号:BEK-2226-2
P;Biosensis)タンパク質レベルについてELISAによってアッセイした。
全体的なプレートレイアウトの概略を図1に示す。
【0272】
免疫染色
8ウェルチャンバスライドに播種し、28日間分化させたか、または骨から新たに消化
した細胞を、未処理にしたか、またはrhTNFα(1ng/mL)、PPS(50μg
/mL;「PPS50」)もしくはPPS50+rhTNFαにより処理した。分化後、
培地を除去し、全てのウェルをPBS(pH7.4、Gibco)で合計3回リンスした
。次いで細胞を、室温で1時間、100μLのHistochoice(Sigma-A
ldrich)組織固定剤で固定した。固定後、ウェルを蒸留H2Oで2回リンスし、染
色するまで4℃で保存した。細胞を、湿潤チャンバ内で室温にて20分間、50μLのブ
ロッキングバッファー(1×PBS中の5%v/v正常ウサギ血清)によりブロックした
。次いで細胞を洗浄バッファー(PBS中の0.1%v/v正常ウサギ血清)で3回リン
スした。細胞を、マウスモノクローナルIgG1抗ヒトNGF(25623;Therm
o Fisher Scientific)、抗ヒトNGFR(2F1C2;Therm
o Fisher Scientific)、または抗ヒトTrkA(6B2;Ther
mo Fisher Scientific)、または抗ヒトSOST(MAb 220
902.11;R&D Systems、Minneapolis、MN、USA)一次
抗体およびそれらのそれぞれのIgG1アイソタイプ対照(MAb 1B5)のいずれか
で染色した。一次抗体およびIgG対照を1:50から1:400の間で希釈した。細胞
を、4℃で40分間、一次抗体とインキュベートした。非コンジュゲートMAbに関して
、次いでチャンバスライドを洗浄バッファーで3回リンスし、核DAPI染色(1:20
00希釈;ジアミジノ-2-フェニルインドール;Thermo Fisher)も含有
する50μLのウサギα-マウスAlexa-fluor二次抗体(1:2000希釈)
をウェルに添加した。室温での1時間のインキュベーション後、二次抗体を除去し、ウェ
ルを洗浄バッファーで3回洗浄した。最後に、FluoroBrite DMEM(Li
fe Technologies)を各ウェルに添加して、共焦点顕微鏡法(FV300
0共焦点顕微鏡、Olympus Lifescience;Adelaide Mic
roscopy)を使用して画像化した。
【0273】
二重標識化目的のために、抗NGFをフルオレセインイソチオシアネート(FITC;
Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO、USA)に直接コン
ジュゲートした。このために、最初にMAb25623を、4℃で一晩、炭酸塩/重炭酸
塩バッファー(1L;pH9.6)に対して透析した。FITCを無水DMSO中で1m
g/mLに溶解した。15μLのFITC溶液を100μgの抗NGFに添加し、チュー
ブを室温で2時間、回転子上で混合した。Sephadex G-25カラム(Phar
macia Biotech、Piscataway、NJ、USA)でのサイズ排除ク
ロマトグラフィーを使用して非結合FITCを除去した。NanoDrop One分光
光度計(Thermo Fisher Scientific)を使用して280nmお
よび492nmでの0.5mL画分の吸光度を決定し、式:濃度(mg/mL)=A28
-(A492×0.35)/1.4によってFITCコンジュゲート抗体の濃度を決定
した。凝集体を除去するために、抗体溶液を、使用前に16,400RCFで15分間遠
心分離した。免疫染色のための陽性対照として、Harmonizomeデータベース[
Rouillard AD、Gundersen GW、Fernandez NF、W
ang Z、Monteiro CD、McDermott MG、Ma’ayan A
]を使用して、小細胞肺癌細胞株NCI-H266(ATCC、Masassas、VA
、USA)がNGFを発現すると同定した。これらのアッセイのために、FITCコンジ
ュゲートX-63 MAb(Biosensis、Thebarton、SA、オースト
ラリア)を陰性対照として使用した;直接コンジュゲートを40分間インキュベートし、
吸引し、ウェルを上記のように3回洗浄した。
【0274】
記載されているように、KOA患者から単離した骨を固定し、脱灰し、包埋し、切片化
した[37]。最初に骨切片(5μm)を60℃で15分間加熱して、過剰のパラフィン
を溶融させ、次いで脱ろうした。抗原回収のために、次いでスライドを蒸留水中の10%
ギ酸中で10分間インキュベートし、PBS中でリンスし、次いで上記のように免疫染色
した。
【0275】
新たな骨からのヒト初代骨細胞単離
いくつかの実験に関して、新たに得たヒト患者の骨を、免疫染色の目的のために、記載
されているように[46]、初代骨細胞の供給源として使用した。
【0276】
データおよび統計分析:
ELISAデータを、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad
Prism、La Jolla、CA、USA)に入力し、Holm-Sidakの多
重比較事後検定を用いて二元配置分散分析(ANOVA)によって分析した。p<0.0
5についての値を統計的に有意とみなした。
【0277】
結果および考察
培養骨細胞によるNGF発現
変形性膝関節症(KOA)についてのTKAまたは大腿骨頸部骨折(NOF)について
のTHAを受けている患者の軟骨下骨から単離したヒト初代骨芽細胞を、28日の期間、
分化条件下で培養した[35~40、47]。全体として、NOF培養物は、Aliza
rin Red染色によってアッセイされるように、KOAドナーよりも有意に大きな程
度まで石灰化され、以前の公開していない観察と一致した(図2)。この理由は、本発明
者らが近位大腿骨から単離した細胞について以前に報告したように[41]、採取した部
位(NOFでは近位大腿骨およびKOAでは軟骨下近位脛骨)に関連し得るか、またはよ
り可能性が高いのは、変形性関節症を有する患者由来の骨芽細胞を分化させる際の明らか
な異常調節石灰化に関連し得るためである。全てのドナーの細胞は、14日目までに前骨
細胞/骨細胞の強い特徴を示し、2つの症例では3日目までに、DMP1、SOSTおよ
びOCNについてかなりのmRNAを発現した。2/3の症例では、28日目までにDM
P1、SOSTおよびOCNのmRNA発現が14日目のレベルから低下し、細胞小器官
の消失と関連する成熟骨細胞様の表現型の獲得および全体的な代謝レベルの減少と一致し
た[35、48]。全てのドナーの培養物はまた、破骨細胞形成関連遺伝子であるRAN
KLおよびOPGをコードするmRNAを発現し(図3図7)、骨細胞様の表現型とも
一致した[35]。NGF mRNAの発現は、試験した全てのドナーの細胞からのこれ
らの培養物において比較的豊富であり、上記の分化マーカーの発現を反映しており、14
日目にピークに達し、28日目までに低下した(図8のKOA2)。さらに、全てのドナ
ーの細胞は、上清中に検出されたかなりの全長NGFタンパク質を分泌した:KOA11
1.9±48.8pg/ml;NOF85.0±60.3pg/ml。
【0278】
さらなる研究において、全てのKOAドナーの細胞は、3日目までに前骨細胞/骨細胞
の強い特徴を示し、DMP1、SOSTおよびOCNについてかなりのmRNAを発現し
た(図25A~C)。DMP1およびSOST mRNAは、デルタサイクル閾値(ΔC
T)の値に基づいて全体的に同様のレベルまで発現したが、OCN mRNAはより豊富
に発現した。DMP1およびOCNの発現は14日目までに増加し、次いで28日目まで
に低下し、細胞小器官の消失と関連する成熟骨細胞様の表現型の獲得および全体的な代謝
レベルの減少と一致した[35、48]。NGF mRNAの発現は、試験した全てのド
ナーの細胞からのOCNの発現と同様に、これらの培養物において比較的豊富であり、上
記の分化マーカーの発現を反映しており、14日目にピークに達し、28日目までに低下
した(図1D)。さらに、全てのKOAドナーの細胞は、上清中に検出されたかなりの全
長NGFタンパク質を分泌した(111.9±48.8pg/ml)。
【0279】
重要なことに、全ての3人のドナーの細胞はNGFをコードする豊富なmRNAを発現
し(図8)、ヒト骨細胞がNGFタンパク質の供給源であり、変形性膝関節症における疼
痛反応の原因となり得る可能性があることと一致した。これをさらに試験するために、本
発明者らの公開されたプロトコル[46]に従って、さらなるドナーの骨から骨細胞を消
化した。免疫染色により、細胞質NGFタンパク質について強い陽性が明らかになった(
図9)。これはNGFの骨細胞発現の最初の報告であると考えられる。
【0280】
NGFの分泌に対するPPS前処理の効果
KOAまたはNOF骨芽細胞に由来するヒト骨細胞様培養物を、未処理(対照)にした
か、または異なる濃度のPPS(1、5または50μg/mL)により72時間、前処理
した。上清をELISAによって成熟NGFタンパク質分泌について試験した。試験した
全てのドナーの細胞は検出可能な分泌NGFを発現した。興味深いことに、分泌レベルは
PPS処理に反応して増加した(図10および図11)。
【0281】
TNFにより誘導されるNGFおよびproNGF分泌に対するPPSの効果
NGF発現に対するPPSの効果をさらに調べるために、3人のKOAおよび3人のN
OFドナーの骨芽細胞に由来する骨細胞様培養物を、異なる濃度のPPSによる前処理の
3日後、前処理濃度のPPSの不在下または存在下でrhTNFαにより処理した。上清
を、処理の48時間後に収集し、材料および方法に記載されるように、ELISA分析に
供した。Malerbaおよびその同僚らによる研究[29]により、実験試料中の成熟
NGFと一緒に、NGF、proNGFの未成熟プロタンパク質形態の存在が、NGFに
ついての多くの市販のELISAにおいて誤った読み取りを与え、これらの効果は予測で
きない大きさおよび方向であったことが実証された。したがって、この研究では、材料お
よび方法に記載されるように、処理した上清中のproNGFレベルも測定した。
【0282】
成熟タンパク質について観察されたように、基礎proNGFは、全てのドナー細胞培
養上清中で検出可能であった(図14および図15および図27)。KOA細胞培養物お
よびNOF細胞培養物の両方を含む、組換えヒトTNFα処理はproNGFのレベルを
有意に増加させ、変形性関節症の状況においてこの炎症誘発性刺激に反応するNGF発現
の誘導と一致した[27、49]。PPSは、アッセイした全てのドナーの細胞において
、および試験したPPS濃度の全てにおいて基礎proNGF分泌を強力に抑制した。治
療の観点から重要なことに、PPSはまた、再び試験した全ての濃度において、KOA培
養物およびNOF培養物の両方ならびに図27においてproNGF分泌に対するrhT
NFの効果を強力に逆転させた(図14および図15)。
【0283】
選択したPPSの濃度は以前に報告されたものに基づいた[43]。1986年のDa
wesらによる研究は、PPSを皮下注射したボランティアにおいておよそ1~3μg/
mlのPPSの血漿濃度を報告し、本明細書で使用される有効用量が臨床的関連性を有す
ることを支持した。しかしながら、本発明者らのアッセイにおける用量反応の欠如は、研
究の限界と考えることができる。NOF細胞について著しく類似した発見が得られており
図29)、NGF発現およびPPSによるその調節が、骨格部位と病理との間の骨細胞
の共通の特徴である可能性があることが示唆された。
【0284】
TNFにより誘導される遺伝子発現に対するPPSの効果
PPSによる骨細胞様培養物の3日の前処理およびさらなる48時間の処理時間の後、
リアルタイムRT-PCRを使用して遺伝子発現を分析する目的のために全RNAを単離
した。260nm/280nmでの吸光度の比が一般に1.9から2.0の間であること
を示すNanodropマイクロ分光光度法によって判断されるように、全ての培養物か
ら単離されたRNAの質は高いように見えたが、1つまたは2つの試料を除いて、5また
は50μg/mLのPPSに曝露されたあらゆる試料から相補的DNA(cDNA)を生
成することは一貫して不可能であった。これは、アッセイ可能なハウスキーピング遺伝子
(18S、BACT)発現をもたらすが、PPSの一般的な存在下ではハウスキーピング
遺伝子発現が非常に減少しているか、または欠如している6人全てのドナーからの全ての
未処理およびTNF処理試料によって証明された。これは、RNAペレットの反復洗浄に
よって潜在的に汚染しているPPSを除去する試みが増加したにもかかわらずであった。
本発明者らは、沈殿したRNAのPPS汚染が、共沈を生じるRNAとの五炭糖様構造類
似性におそらく起因して、RNAのcDNAへの逆転写を阻害すると結論付けた。様々な
逆転写酵素のPPSによるこのような阻害活性はこれまでに立証されている[30~32
]。しかしながら、逆転写の前のRNAペレットの反復洗浄後、上記のように、未処理、
TNFα処理、PPS(1μg/mL)およびTNFα+PPS(1μg/mL)処理培
養物からの3人のKOAドナーの培養物のうちの2つからcDNAを産生し、これらをリ
アルタイムRT-PCRによって分析した。結果を図16図18に示す。
【0285】
最も興味深いのは、NGF mRNA発現に対するPPSの効果であった。ヒト骨細胞
様培養物は測定可能なNGF mRNAを発現した(図16)。TNFαの存在下では、
1人のドナー(KOA1)の発現レベルは変化しなかったが、第2のドナー(KOA2)
ではそれは減少した。TNFα曝露後48時間は比較的後期の時点であることに留意すべ
きである。なぜなら、多くの遺伝子が曝露から数分から数時間以内に刺激され、その後一
般的に減少すると予想されるからであり;理想的には、rhTNFα処理細胞の時間経過
を調べることが興味深いであろう。重要なことに、PPS単独またはrhTNFαとの組
合せで、NGF mRNAレベルは強力に抑制された(図16)。
【0286】
NGF/proNGF発現に対するPPSの効果が転写レベルであるかどうかをさらに
調べるために、リアルタイムRT-PCRを使用してNGF mRNA発現をプローブす
るさらなる研究を行った(図28)。TNFαへの曝露により、NGF mRNAレベル
の相対発現が増加した。しかしながら、1mg/mLでのPPSはTNFαの存在下でN
GF発現を有意に減少させ、示唆する。
【0287】
この発見はタンパク質発現データと一致し、PPSが、疼痛のメディエーターの発現に
対するKOAにおける炎症誘発性メディエーターの効果を逆転させるという仮説を支持す
る。NGFについての既知の受容体のうちの2つの骨細胞による発現もまた、免疫組織化
学と同様にRT-PCRによって調べた。高親和性受容体トロポミオシン受容体キナーゼ
A(TrkA)の発現は、KOA1またはKOA2のいずれにおいてもRT-PCRによ
って検出できず(図19)、免疫染色/共焦点顕微鏡法によるシグナルの完全な欠如と一
致した(図24)。ヒト骨細胞によるTrkAの発現の欠如は、ニューロンのみがマウス
骨においてこのタンパク質の検出可能なレベルを発現したと報告したCastaneda
-Corralらの発見と一致する[53]。しかしながら、非常に低いレベルのNGF
受容体P75NTR mRNAが検出されたが、試験した試料にわたって散発的な検出が
存在した;TRKAに関しては(図19)、この分子についての検出可能な免疫染色は観
察されなかった(図24)。これらの観察は、骨細胞によるNGF発現が骨においてパラ
クリン様式で作用し、最も可能性の高い標的細胞は骨感覚ニューロンであるという概念を
支持する。
【0288】
興味深いことに、PPSはまた、IL-6 mRNA発現に対するrhTNFαの効果
も阻害した(図17);IL-6の転写および分泌は、TNFにより誘導されるNFκB
シグナル伝達の鍵となるリードアウトである[54]。さらに、rhTNFαはCOX2
mRNA発現を誘導した(図18)。COX2は、骨破壊に関与する重要な炎症誘発性
メディエーターである、プロスタグランジンE2(PGE)発現を担う酵素であり、い
くつかの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)に対する標的であり、OA関連疼痛の緩
和に効力があると主張されている[55]。PPS単独およびrhTNFαとの組合せは
、COX2 mRNA発現を完全に阻害した。
【0289】
これらの発見は、PPSがTNFαの複数の下流の炎症誘発効果を阻害することを示唆
しており、PPSが、TNFα/TNF受容体シグナル伝達によって引き起こされる細胞
内シグナル伝達経路の転写阻害剤として作用するという以前の報告と一致する[32]。
【0290】
KOAと関連する軟骨破壊の機構に関して、骨質の調節において骨細胞によって産生さ
れる重要な酵素であるMMP13[56]、およびOAにおける軟骨破壊と関連するMM
P13[57]の発現を試験することも興味深かった。PPSはIL-1βに反応するM
MP13発現の阻害剤として関与しているが、明確には実証されていない[33]。本研
究では、rhTNFαはKOAドナー骨細胞様培養物においてMMP13 mRNA発現
を誘導し、その作用はPPS処理により強力に阻害された(図20)。これは、免疫染色
によってタンパク質レベルで確認された(図21)。これは、PPSが、軟骨下骨の骨細
胞におけるその効果によって、KOAにおける軟骨破壊を保護するという概念を支持する
予備的な機構データを提供する。
【0291】
結論
この研究は、PPSがNGFまたはpro-NGF活性を阻害または減少させる際に使
用され得ることを示す。さらに、この研究は、変形性膝関節症を有する患者における軟骨
下骨から単離したヒト初代骨細胞に対するPPSの効果を初めて示す。これはまた、必ず
しも排他的ではないが、KOAを含む病的状態における疼痛反応に骨細胞が関与している
、この細胞型によるNGF/proNGFの産生および分泌の最初の実証である。PPS
は、基礎およびTNFαにより誘導されるレベルのproNGF分泌ならびにTNFαに
より誘導されるNGF mRNA発現を阻害した。PPSはまた、TNFαにより誘導さ
れるレベルのコラゲナーゼMMP-13を阻害した。まとめると、これは、PPSが、変
形性膝関節症と関連する疼痛を回復させるために、軟骨下骨におけるNGFおよび可能性
がある場合、他の疼痛メディエーターの放出を抑制するために複数のレベルで作用し得る
という証拠を提供する。
【0292】
研究実施例2:ヒト骨細胞様培養物におけるNGF遺伝子発現に対するrhTNFおよび
PPSの組合せの効果
PPSが転写レベルでNGF/proNGF発現に対する効果を発揮する可能性を調べ
るための追跡研究について記載する。
【0293】
材料および方法
この研究についての方法論は、以下を加えて、実施例1についてのものと同じである。
【0294】
ヒト骨細胞の単離
いくつかの実験では、公開されているプロトコル[46]に従って、骨細胞をヒトの骨
試料から直接単離した。簡潔に述べると、TKAから得た骨を滅菌PBS中で激しくリン
スし、次いで遠心分離およびPBS中での洗浄によって放出された細胞の回収に介入しな
がら、コラゲナーゼ/ディスパーゼ/EDTAの6回の連続消化に供した。骨細胞富化画
分[46]に対応する、消化物4~6から得た細胞をプールし、遠心分離によってさらに
2回洗浄し、PBS中に再懸濁し、次いで8ウェルのガラス底付きチャンバスライドに播
種した。細胞を72時間回復させた後、それらを免疫染色したか、またはPPSにより前
処理し、次いで、示したように、PPSおよびrhTNFαの組合せにより処理した。
【0295】
結果および考察
新たに単離されたヒト骨細胞によるNGF発現
NGF発現をまた、ヒトKOA骨から直接消化した細胞において試験した。図22に示
すように、連続骨消化物の「骨細胞富化」画分[46]における多数の細胞は、NGF発
現について明るく染色された。これは、ヒト骨細胞によるNGF発現に関する本発明者ら
の知見に対する最初の報告である。NGF発現を、TNF-αへの曝露によりこれらの細
胞において定性的にアップレギュレートし、PPSとの共インキュベーションによりダウ
ンレギュレートした。
【0296】
TNFαにより誘導されるNGF mRNA発現に対するPPSの効果
NGF/proNGF発現に対するPPSの効果が転写レベルであるかどうかを調べる
ために、本発明者らはまた、リアルタイムRT-PCRを使用してNGF mRNA発現
を調べた(図23)。TNFαへの曝露はNGF mRNAの相対発現を増加させた。0
.1および1μg/mLの両方のPPSは、基礎NGF mRNAレベルに対して明らか
な効果を有さなかった。しかしながら、1μg/mLのPPSはTNFαの存在下でNG
F発現を有意に減少させ、骨細胞に対するPPSの効果の少なくとも一部が転写レベルで
あることが示唆された。これは、PPSが、TNFα/TNF受容体シグナル伝達によっ
て引き起こされる細胞内シグナル伝達経路の転写阻害剤として作用するという以前の報告
と一致する[32]。これは、PPSが、疼痛のメディエーターの発現に対するKOAに
おける炎症誘発性メディエーターの効果を逆転させるという仮説を支持する。
【0297】
実施例2についての結論
この研究は、進行したKOAを患っており、TKAを受けている患者の近位脛骨から分
化した、ヒト初代骨細胞様培養物の反応に対するPPSの効果を示す。組換えTNFαに
よる処理を炎症誘発性刺激として使用し、NGF mRNAの相対発現に対する効果を調
べた。ProNGFタンパク質レベルも決定した。
【0298】
本発明者らは、ヒト骨細胞がNGFを産生することができることを再度示し、それらが
局所的な疼痛反応の原因となる可能性があることを示唆する。本発明者らはまた、PPS
が、NGF mRNA転写および骨細胞によるproNGF分泌を抑制し、これらのプロ
セスに対するTNFαの刺激作用を逆転させることも示す。まとめると、本発明者らの発
見は、疼痛反応における骨細胞についてのこれまで知られていなかった役割およびPPS
を摂取しているKOA患者において有用な疼痛についての機構を示唆している。
【0299】
研究実施例3:新たに単離されたヒト骨細胞による、およびヒト骨におけるNGF発現。
この研究は研究実施例2から続き、NGF発現を特徴付けるさらなる研究を提示する。
【0300】
材料および方法
この研究についての方法論は実施例2についてのものと同じである。
【0301】
結果および考察
NGFタンパク質発現を調べるために、本発明者らは、NCI-H266細胞に直接コ
ンジュゲートした抗NGF抗体の染色を最適化した(図26、上段)。また、NGF発現
を、ヒトKOA骨からの連続消化によって得た細胞において試験した。この方法を使用し
て得られた画分IV~VIは、成熟骨細胞が豊富であることが以前に公開されている[4
6]。図26(中段)に示すように、骨細胞富化画分における多数の細胞は、NGF発現
について明るく染色され、骨細胞マーカーSOST/スクレロスチンについて同時染色さ
れた。さらに、NGFの骨細胞発現はヒトKOA軟骨下骨の染色切片において明らかであ
った(図26の下段)。上記の分化培養物における観察と合わせて、これは、ヒト骨細胞
によるNGF発現に関する本発明者らの知見に対する最初の報告である。マウス骨におけ
るNGF発現を同定するための蛍光レポーター系を使用した以前の研究では、尺骨の機械
的負荷に反応するNGFの骨芽細胞発現は報告されているが、骨細胞発現は報告されてい
ない[23]。使用したレポーター系は、低レベルのNGFを検出する感度を欠いていた
可能性があるか、または観察された差は、種間、相対年齢、骨格部位、刺激(炎症誘発性
ではなく機械的)、ならびに骨細胞発現に対する変形性関節症の影響に起因する可能性が
ある。
【0302】
研究実施例2において上述したように、新たに単離されたKOA骨細胞様細胞における
NGFタンパク質発現の調節を調べる試みにおいて、それらを、rhTNF-α、PPS
またはこれらの組合せのいずれかにより処理した。全ての場合においてNGF免疫染色を
検出したが、rhTNF-αのみおよびPPSのみに曝露した細胞は、定性的に対象より
多いNGF発現を有し、rhTNF-αおよびPPSの組合せにより処理した細胞は定性
的に少ない染色を示した(図22)。
【0303】
個々の患者の骨からの骨細胞の予測できない収率に起因して、処理の定量的評価のため
にウェル間で同一および十分な数の得られる接着性生存細胞を達成することは技術的に困
難である。さらに、NGFは分泌タンパク質であるので、細胞内レベルを解明することは
困難である。したがって、骨細胞様細胞の分化培養物の上清へのNGF分泌の定量的調節
を研究した。
【0304】
結論として、PPSはNGFまたはpro-NGF活性を阻害または減少させる際に使
用され得ることが、本明細書において実証される。さらに、変形性膝関節症を有する患者
における軟骨下骨から単離されたヒト初代骨細胞に対するPPSの効果が本明細書で初め
て実証される。また、必ずしも排他的ではないが、KOAを含む病的状態における疼痛反
応に骨細胞が関与している、この細胞型によるNGF/proNGFの産生および分泌の
最初の実証であることが本明細書に開示される。PPSは、基礎およびTNFαにより誘
導されるレベルのproNGF分泌ならびにTNFαにより誘導されるNGF mRNA
発現を阻害した。PPSはまた、コラゲナーゼMMP-13のTNFαにより誘導される
レベルを阻害した。まとめると、これは、PPSが、変形性膝関節症と関連する疼痛を回
復させるために、軟骨下骨におけるNGFおよび可能性がある場合、他の疼痛メディエー
ターの放出を抑制するために複数のレベルで作用し得るという証拠を提供する。
【0305】
多数の変形および/または修飾が、本開示の広範な全体的範囲から逸脱せずに、上記の
実施形態に対してなされ得ることは当業者によって理解されるであろう。したがって、本
実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。
【0306】
参考文献
【0307】
【表2-1】
【0308】
【表2-2】
【0309】
【表2-3】
【0310】
【表2-4】
【0311】
【表2-5】
【0312】
【表2-6】
【0313】
【表2-7】
【0314】
【表2-8】
【0315】
【表2-9】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2024-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。