(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178297
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両のための内部ガラストリム要素
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
B60R13/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024162134
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2019563750の分割
【原出願日】2018-05-08
(31)【優先権主張番号】17171882.8
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マットレ, クレア
(72)【発明者】
【氏名】デルヌフクール, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンディエヴ, ローラン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガラストリム要素に対する衝撃中に運動エネルギーを自動車両内に散逸させるための方法を提供する。
【解決手段】ガラストリム要素を支持体に固定して、自動車両の内部本体に組み込まれる組立体を提供する工程を含む方法において、支持体は、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段をさらに含むことを特徴とする方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラストリム要素に対する衝撃中に運動エネルギーを自動車両内に散逸させるための方法であって、ガラストリム要素を支持体に固定して、自動車両の内部本体に組み込まれる組立体を提供する工程を含む方法において、支持体は、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段をさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス内部トリム要素における衝撃中に運動エネルギーを自動車両(motor vehicle)内に散逸させるための方法に関する。特に、本発明は、自動車両のための中心コンソール又は任意のトリム要素における衝撃中に運動エネルギーを散逸させるための方法に関する。中心コンソールは、コンソール本体及びコンソール本体上に取り付けられたトリム要素を含む。
【背景技術】
【0002】
車両内部トリムは、その魅力を増すために自動車又は自動車両全般(自動車、バス、列車等)の内部に加えることができる物品を意味する。いくつかのタイプの車両トリムがある。乗員によってもたらされ得る望ましくない損傷から車両内部のある部分を保護するために使用されるものもあるが、他方、単に審美性のためのものもある。
【0003】
しかしながら、今日、自動車製造元は、車両内で一層多くのガラスを特にダッシュボードのカバーガラスとして使用する傾向があり、これは、特に、カバーの後ろに例えばアナログ-デジタルハイブリッドタッチパネル装置及びその認識方法としてディスプレイを有する傾向がある。
【0004】
また、美的観点のためだけでなく、特に車両の内部のある部品、特にトリム要素に一層多くの機能性を付加するために、自動車製造元は、プラスチック、木材等のトリム要素を、引っ掻きにより耐性があり且つより多くの機能性がそれらに加えられ得るためにガラスと取り替えることを模索している。
【0005】
また、多くの車両及び特に自動車において、車両コンソールが左及び右の前部座席間に配置される。典型的に、中心コンソールは、自動車のダッシュボードに固定され、その部分上に延在する。また、中心コンソールを後部座席の左及び右に設置することができる。自動車の内部をより美しく且つ快適にするために、(CDプレイヤー、オーディオ、気候、インフォテイメント等のための制御装置等の)中心コンソールの露出部分を覆う通常装飾されるパネルは、中心コンソール上に及び特に中心コンソールの上側に取付けられる。
【0006】
一般的に、中心コンソールの頂部は、プラスチック、ポリカーボネート要素で製造される(プラスチック材料は、全コンソールシステムに対するカバーとして使用される)。この解決策は、多くの場合、美的解決策であるが、良好な効率等を有するこのような「タッチスクリーン機能性」として中心コンソール上にいくつかの機能を直接加えることができない。さらに、プラスチックで成形された中心コンソールを有する不利な点は、以下の通りである:タッチ機能性は、プラスチックによって可能にならないため、無駄なボタンを過度にコンソール上に設けなければならない。結局、多数のボタンは、運転者を混乱させる(安全面)。さらに、シームレス効果がないため、ほこりがボタン等の周りにこびりつくことから、中心コンソールを清浄にすることが一層困難である(衛生上の欠点)。中心コンソールを覆うために使用されるプラスチック材料は、ほとんど再生利用可能でない一方、ガラスは、際限なく再生利用可能である(環境問題)。プラスチック部品の成形プロセスは、廃棄物となるプラスチックをもたらす(再生利用可能なプラスチックの価格は、より新しいプラスチックの価格に対して競争力がなく、このため、現在、この環境問題に対処する可能な選択肢はない)。一般的に、ガラスカバーとして使用されるプラスチック材料は、紫外線に高耐性でなく、透明な色合いは、経時的に黄色に変わる(デザインの劣化)。さらに、ガラスと同様の剛性を呈するために、プラスチックで製造されるカバーは、ガラスで製造されるカバーよりも重い。このため、プラスチック材料の解決策は、自動車を軽くするためにこの自動車部品に最適ではない。技術サイクルが一層速くなるにつれて、ガラスの中心コンソールは、行われるITアップグレードに対する柔軟性を可能にし、且つノマディックデバイスとのシームレスな接続性を可能にするであろう。ガラスの中心コンソールを有することにより、それは、自動車によって典型的にサポートされる多くの異なるソフトウェアを、配置されて同じ場所から命令される1つのオペレーティングシステムと両立させる。さらに、中心コンソールの部品として現在使用される材料の大部分とは対照的に、ガラスは、周辺光の利用を促進する(乗員の快適さ/便利さを改良する)。さらに、乗員は、その家又はそのオフィス内部と同様にその自動車内部においてこれ以上プラスチックを見たいと思わない。
【0007】
現在の内部装飾部品又は機能部品は、主に装飾プラスチックで製造される。したがって、固定要素をこれらの部品に直接に組み込むことができる。しかしながら、プラスチック部品は、その低い磨耗抵抗のため、触れられるとき及び車両の耐用年数にわたって損傷を与えられるという不利な点がある。さらに、ユーザーインターフェース(可視的な装飾又は機能パネル)のために自動車においてプラスチックを有する効果は、高品位仕上のために最適でなく、プラスチックは、低品質材料として考えられる。別の基準は、プラスチックに触れるときの触感であり、ユーザーは、弱い材料に触れるのを感じ、指先の感覚は、熱くて軟らかであり、低品位材料の印象を与える。したがって、現在の解決策は、組立体のために特定の中間部品を組み込むことを必要としない。
【0008】
このように、ガラストリム要素又はガラスコンソールは、より良い美観を有することが好ましく、車両の魅力を増すことができる。ガラストリム要素は、安全規則に従わなくてはならないため、車両の内部に固定することが一層難しい。
【発明の概要】
【0009】
したがって、ガラス内部トリム要素に対する衝撃中に運動エネルギーを自動車両内に散逸させるための方法を提供することが本発明の目的である。特に、本発明は、コンソール本体及びコンソール本体上に取り付けられたトリム要素又はダッシュボード上のトリム要素を含む、自動車両のための中心コンソールにおける衝撃中に運動エネルギーを散逸させるための方法に関する。
具体的には、本願発明によれば、以下の(1)~(23)の構成が提供される。
(1)ガラストリム要素に対する衝撃中に運動エネルギーを自動車両内に散逸させるための方法であって、ガラストリム要素を支持体に固定して、自動車両の内部本体に組み込まれる組立体を提供する工程を含む方法において、支持体は、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段をさらに含むことを特徴とする方法。
(2)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、支持体の下に与えられることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、フォーム、プラスチック又はゴム材料の中から選択される材料から製造されることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(4)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、フォーム材料から製造されることを特徴とする、(3)に記載の方法。
(5)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、少なくとも90重量%のポリプロピレン又はエチレンプロピレンジエンモノマー、熱可塑性エラストマー、シリコーン、ポリウレタンを含むことを特徴とする、(1)~(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、10g/l~50g/lの密度を有することを特徴とする、(1)~(5)のいずれか一項に記載の方法。
(7)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、支持体と接触しているガラストリム要素の周面又は全表面の周りに与えられることを特徴とする、(1)~(6)のいずれか一項に記載の方法。
(8)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、20mmより大きい厚さを有することを特徴とする、(1)~(7)のいずれか一項に記載の方法。
(9)永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、支持体の上に成形されることを特徴とする、(1)~(8)のいずれか一項に記載の方法。
(10)支持体は、プラスチックから製造されるフレームであることを特徴とする、(1)~(9)のいずれか一項に記載の方法。
(11)ガラストリム要素は、中心コンソール本体であって、その上に機能要素と少なくとも1つのトリム要素とが取付けられる中心コンソール本体の上方部分に取付けられるトリム要素であるか、又はドアのインナートリム、ダッシュボード等、ガラスが使用され得るあらゆる他の装飾領域のためのものであることを特徴とする、(1)~(10)のいずれか一項に記載の方法。
(12)プラスチックフレームは、ガラストリム要素の形状曲率に合うことを特徴とする、(1)~(11)のいずれか一項に記載の方法。
(13)ガラストリム要素は、自動車の内部本体に組み込まれる前に予めプラスチックフレームに組み立てられることを特徴とする、(1)~(12)のいずれか一項に記載の方法。
(14)プラスチックフレームは、ガラストリム要素の後ろに与えられることを特徴とする、(1)~(13)のいずれか一項に記載の方法。
(15)プラスチックフレームは、ガラストリム要素の下に且つその周りに与えられることを特徴とする、(1)~(14)のいずれか一項に記載の方法。
(16)プラスチックフレームは、充填剤を使用して又は使用せずに、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート-アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドPA6、ポリアミドコポリマーPA66、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー、又はポリウレタン、エポキシ等の熱硬化性材料の中から選択される材料で製造されることを特徴とする、(1)~(15)のいずれか一項に記載の方法。
(17)中心ガラストリム要素は、ソーダ石灰シリカ、アルミノケイ酸塩又はホウケイ酸塩タイプ等のガラスであることを特徴とする、(1)~(16)のいずれか一項に記載の方法。
(18)ガラストリム要素は、安全バッキングを与えられることを特徴とする、(1)~(17)のいずれか一項に記載の方法。
(19)ガラスは、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量において、
SiO2 55~85%
Al2O3 0~30%
B2O3 0~20%
Na2O 0~25%
CaO 0~20%
MgO 0~15%
K2O 0~20%
BaO 0~20%
を含む基本組成を有し、ソーダ石灰シリカのガラスであることを特徴とする、(1)~(18)のいずれか一項に記載の方法。
(20)ガラスは、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量において、
65≦SiO2≦78%
5≦Na2O≦20%
0≦K2O<5%
1≦Al2O3<6%
0≦CaO<4.5%
4≦MgO≦12%
を含む基本組成を有し、且つ(MgO/(MgO+CaO))比≧0.5であることを特徴とする、(1)~(19)のいずれか一項に記載の方法。
(21)ガラストリム要素とプラスチックフレームとを含む、自動車両の内部のための組立体。
(22)ガラストリム要素は、タッチ機能性を含むことを特徴とする、(21)に記載の組立体。
(23)プラスチックフレームの形状は、ガラスのあらゆる幾何学的形状に合うように適合され得ることを特徴とする、(20)又は(21)に記載の組立体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
疑義を避けるために、本発明は、自動車、列車、飛行機等の全ての輸送手段に適用可能である。
【0011】
本発明によれば、方法は、ガラストリム要素を支持体に固定して、自動車両の内部本体に組み込まれる組立体を提供する工程を含む。本発明によれば、支持体は、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段をさらに含む。
【0012】
好ましくは、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、衝撃時に運動エネルギーを十分に散逸させるために支持体の下に与えられる。
【0013】
したがって、本発明は、衝撃時に運動エネルギーを散逸させる解決策を提案する。確かに、車両の内部のフレーム上に及び特にプラスチックフレーム又は金属部品上に支持されるガラストリムに衝撃がある場合、ガラストリム要素は、小さい鋭い飛翔粒子に破断し、車両の乗員に危険をもたらす。
【0014】
本発明のため、ガラストリム要素を支持する構造部材によって衝撃エネルギーを分散させながら、衝撃時にガラスの変形を低減する解決策が提供される。一般的に、衝撃時に100ジュールが散逸されなければならない。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、フォーム、プラスチック又はゴムの中から選択される材料から製造され、且つガラストリム要素及び支持体の下に与えられる。本発明の好ましい実施形態によれば、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、フォームから製造される。
【0016】
したがって、衝撃時、ガラストリム要素が破断しないか、又は衝撃がガラスの破片の突出部をもたらさない。ガラス上の損傷は、ガラス内の潜在的な亀裂に限られる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、支持体と接触しているガラストリム要素の周面又は全表面の周りに与えられる。したがって、優先的には、衝撃によるエネルギーの散逸は、摩擦によって起こる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、少なくとも90重量%のポリプロピレン又はエチレンプロピレンジエンモノマー、熱可塑性エラストマー、シリコーン、ポリウレタンを含む。
【0019】
永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、10g/l~50g/lの密度を有することを特徴とする、いずれかの先行する請求項に記載の方法である。10g/lの密度を下回ると、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、非常に柔軟(可撓性)であり、十分なエネルギーを散逸させない。10g/lの密度を上回ると、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、非常に剛性であり、適正な減速を妨げる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段は、20mmより大きい厚さを有し、且つ衝撃を適正に緩和すると共にエネルギーの適正な減速を有する。
【0021】
このように、本発明は、好ましい実施形態において、ガラストリム要素を支持体に固定して、自動車の内部本体に組み込まれる組立体を提供する工程を含む方法に関し、ここで、ガラストリム要素は、コンソールベース上に与えられる上方部分である。本発明の好ましい実施形態において、本発明は、自動車両として自動車に関する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、ガラストリム要素は、コンソールベースから延在して、ダッシュボードを完全に又は部分的に覆い得る。ガラストリム要素は、1個又は数個の構成で製造され得る。
【0023】
このように、本発明のため、大きいガラストリム要素が自動車両の内部ガラストリム要素として使用され得る。
【0024】
本発明は、適切な構造のために及び特にガラストリム要素と支持体との間に与えられる永久的変形を伴って又は永久的変形を伴わずに衝撃中に前記運動エネルギーを散逸させるための手段のために、ガラスの変形を抑え、同時に静荷重及び動荷重/衝撃の場合にエネルギーを吸収することを特徴とするガラストリム要素に結合されたフレームの固定に関する。
【0025】
本発明によれば、フレームは、優先的には、フレームを有するモジュールガラスに十分な剛性をもたらしてガラスの変形を低減すると共にガラスの破損のリスクを低減するために、熱可塑性樹脂材料、又は鋼、又は複合材料、又はその組合せから製造される。
【0026】
好ましくは、フレームは、モジュール「ガラス/フレーム」の機械抵抗を大幅に強化してそれを非常に剛性にするために構造リブを有するように設計される。
【0027】
場合により、剛性組立体は、この組立体の下の要素に組み合わせられ、これらの要素は、組立体に適用される静荷重に耐えるが、脆性材料で製造されるか又は例えば衝突等の過度の荷重の場合に破断するための機構を有するように製造される。
【0028】
ガラスを支えてガラスの変形を避ける剛性フレームと固定要素とのこの組合せは、優先的には、とりわけ欧州規格(European norms)E/ECE/324、E/ECE/Trans/505の規則R21等の規則を順守するが、同様に要件を満たす設計を提供する安全な製品を開発する目的でなされる。
【0029】
本発明の好ましい一実施形態によれば、自動車両及び特に自動車の内部本体に組み込まれる組立体を提供する支持体は、プラスチックで製造されるフレームである。
【0030】
このように、本発明は、プラスチックを中間材料として使用すること及びユーザーインターフェース部品のいくつかのためにガラスを使用することを提案する。より具体的には、装飾部品として及び/又は機能部品としてユーザーによって多くの場合に触れられる領域は、ガラスによって取って代わられ、ガラスに対して組み立てられると共に自動車の内部本体に接続されるためにプラスチック材料が使用される。本発明は、プラスチックが容易に適合されて異なる方法によって成形され得ると共にガラスに固定され得るという利点を有する。このため、ユーザーインターフェースとして使用されて遥かに良い仕上状態をユーザーに提供する、ガラスに固定されるプラスチックフレーム内に全ての固定要素が含まれ得る。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ガラストリム要素は、中心コンソール本体であって、その上に機能要素と少なくとも1つのトリム要素とが取付けられる中心コンソール本体の上方部分に取付けられるトリム要素であるか、又はドアのインナートリム、車両座席の後部部分又は車両座席のヘッドレスト、肘掛カバーとしてのドアのインサーター等、ガラスが使用され得るあらゆる他の装飾領域若しくはタッチスクリーンとしていくつかの機能性を有するガラスのためのトリム要素である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ガラストリム要素は、ダッシュボードのカバーガラスであり得る。なぜなら、今日、自動車製造元は、車両内で一層多くのガラスを特にダッシュボードのカバーガラスとして使用する傾向があり、これは、特に、カバーの後ろに例えばアナログ-デジタルハイブリッドタッチパネル装置及びその認識方法としてディスプレイを有する傾向があるからである。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、車両及びより詳細には自動車の中心コンソールは、コンソール本体と、コンソール本体の上方部分上に配置される少なくとも1つのトリム要素とを含む。トリム要素は、左及び右の前部座席間に配置される中心コンソールの後部分からダッシュボードのより低い部分まで延在し得る。例えば、3つのトリム要素を使用して、中心コンソールの上方部分を覆い得る。コンソール本体及びトリム要素は、左及び右の後部座席間に延在し得ることが理解される。上方トリム要素は、中心コンソールの上方部分を中心コンソールの中央部分からダッシュボードの直上の部分まで覆い得る。このトリム要素は、平らであるか又は弱い曲率を有し得る。機能部品への一部のアクセスは、このトリム要素を通して提供され得る。中央部分は、中心コンソールのデザインと正確に合う曲率を示す。中央部分は、例えば、音、空調等を制御する機能ボタンへのアクセスを有する開口を示し得る。開口は、例えば、滑り運動によって開くことができ得る別の1枚のガラス板によって覆われ得る。しかしながら、本発明の他の一実施形態において、トリム要素内に置かれる機能ボタンは、タッチ機能によって取って代わられ得、中心コンソールから一般に突き出る美観を損なう機能ボタンをなくすことになる。最後に、第3のトリム要素は、左及び右の前部座席間に配置される部分を覆い得る。この特定の実施形態におけるこのトリム要素は、例えば、収納用仕切り又はカップホルダーシステムのためのいくつかの孔を示す。
【0034】
一実施形態において、収納用仕切りは、左及び右の前部座席間に与えられ得る。好ましい実施形態において、収納用仕切りは、開くことができる蓋に相当する、同様にガラス板で製造される第4のトリム要素によって覆われる。その場合、トリム要素は、好ましくは、仕切り蓋まで延在し得る。
【0035】
本発明の別の実施形態において、上方トリム要素は、ダッシュボードまで延在し、GPS、CD/オーディオプレイヤースクリーン等のディスプレイパネルを組み込む。
【0036】
本発明によれば、トリム要素は、ガラス板で製造される。好ましくは、トリム要素は、以下に説明されるようにソーダ石灰シリカで製造される。
【0037】
異なるトリム要素が同じガラスで製造され得るか、又は自動車メーカーによって求められる異なる仕様に応じるために異なり得ることが理解される。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、トリム又は装飾要素は、自動車両及び特に自動車の内部にドアハンドル外形、ドアパネル、ダッシュボードのトリム要素、座席の後部等として存在し得る。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、自動車両の内部本体及びより詳細には自動車の内部本体に組み込まれる組立体を提供する支持体は、ガラストリム要素の形状曲率に合うプラスチックで製造されるフレームである。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、ガラストリム要素は、自動車の内部本体に組み込まれる前に予めプラスチックフレームに組み立てられる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、プラスチックフレームは、ガラストリム要素の後ろに与えられる。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、プラスチックフレームは、ガラストリム要素の下に且つその周りに与えられる。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、プラスチックフレームは、テープ、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を使用して接着することにより、又はさらにクリップ若しくはねじ等の機械的固定によりガラストリム上に与えられる。
【0044】
本発明によれば、プラスチックフレームは、公知の封入方法により、又は3D印刷により、又はこのようなプラスチックフレームを製造するための全ての適した方法によって製造され得る。
【0045】
ガラスへのプラスチックフレームの接続は、異なる手段、例えば単一成分又は二成分グルー、テープ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は例えばクリップ、ねじ等の機械的固定によって行うことができる。
【0046】
ガラス構造物への剛性フレームの組立体は、異なる材料の熱膨脹差に耐える適切な材料によって製造される。したがって、組立体において使用される材料の異なる熱膨脹率から生じる寸法の変化に対処するために、記載されたような粘弾性材料、例えば好ましくは10%~300%又はそれより大きい適切な剪断歪を有するグルー(PU、シリコン、MSポリマー)又は熱可塑性樹脂エラストマーが使用される。
【0047】
さらに、プラスチックフレーム形状は、例えば、中心コンソールの場合、収納箱を組み込むためにガラス内に作られる孔等、ガラスのあらゆる幾何学的形状に合うように適合され得る。収納箱は、同じ高品位レベルの仕上をもたらすように同様にガラス製の移動カバーで閉じられ得、このカバーは、プラスチックフレームを通して同じインターフェースを使用して本体の残部に接続され得る。プラスチックインターフェース構造物は、このような用途のための機構を組み込むことができるという利点を提供する。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、プラスチックフレームは、機械的強化のためのガラス繊維等、付加的な性質をもたらすための充填剤を使用して又は使用せずに、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート-アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC-ABS)、ポリアミド(PA6)、ポリアミドコポリマー(PA66)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性エラストマー(TPE)等の熱可塑性樹脂又はポリウレタン(PUR)、エポキシ(EP)等の熱硬化性材料の中から選択される材料で製造される。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ガラストリム要素は、安全バッキングを与えられて、ガラスの安全性を改良すると共に破損の場合に車両内に破片が広がることを防ぎ得る。また、本発明の定義されたフレームは、このような安全バッキングと一緒にガラスへの固定のために適用可能である。
【0050】
本発明は、裏面でガラスと結合されるプラスチックフレームであって、このプラスチックフレームにいくつかの機能、例えば荷重下で仕様を満たすための強化、自動車の内部本体への固定点、ガラスへの固定形状、機能要素/装飾要素への固定のための予想並びに車両インターフェースへの接続のための予想に一致する幾何学的側面等を組み込むプラスチックフレームの使用に関する。
【0051】
フレームの主な機能を以下のように列挙することができる:
- ガラス/本体のインターフェースの役割を果たすこと、
- 使用されるガラスに従って有利に適合され得る部分組立体の強化、
- 鮮明な成形縁部、パネル等の他の装飾要素の使用及び支持、
- わずかに可視的であり、したがってガラスによってもたらされる利点に影響を与えずに一部の領域において美的機能を有すること、
- フレーム及び/又はガラスを通して部分組立体に付加価値をもたらす接続等、異なる機能の基材及び/又はマスキングとしての使用。とりわけフレームを通した付加価値及び接続要素は、ガラスにおけるタッチ機能、ボタン、エッジライティング、LED、スクリーン、サウンドデバイス、振動デバイス等であり得る、
- 装飾的側面をもたらすために主コンソールに加えることができるガラス小片のための部分的支持体としての使用。装飾は、とりわけ、着色ガラス、エングレービングを有するガラス、光積分を有するガラス及びケーブルのための支持体として使用されるフレームであり得る、
- ガラスカバーと自動車両の主内部本体との間の雑音/振動の低減、
- 記載されたショック/衝撃が起こったときにガラスの変形を最小にすることを確実にするが、適切なエネルギー吸収を可能にすること。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、自動車両及び特に自動車の内部本体に組み込まれる組立体を提供する支持体は、ザマック(zamac)、アルミニウム、マグネシウム(チクソモールディング)等の金属材料で製造されるフレームであり得る。
【0053】
本発明によれば、少なくとも1つのトリム要素は、ガラス板で製造される。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、コンソール本体は、車両の床パネル上に取付けられる。一般的に、コンソール本体は、床パネル上に取付けられたコンソールベースと、コンソールベース部の左及び右側部分から上方に延在する左及び右の支持フレームとを含む。
【0055】
一般的に、コンソール本体の上側に機能部品とトリム要素とが取付け可能である。トリム要素は、一般的にカバーに取付けられるか、又はいくつかの機能部品(例えば、CDプレイヤー、空調制御装置等)を囲む。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、トリム要素は、中心コンソールの後部から車両のダッシュボードまで延在する。本発明に関連して、前部及び後部という用語は、自動車両の前端及び後端を意味する。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、タッチパネルを提供する「タッチ機能」のために機能部品は、トリム要素から直接管理され得る。このように、ガラス板で製造されるトリム要素は、電子機器の周りの異なる機能性及び車両制御情報、接続性、タッチ、ディスプレイ及びオーディオのホストとして機能する場合がある。このように、中心コンソールの上方部分は、例えば、オーディオ制御ボリューム及びオン/オフ、エンジン始動/停止システム、ヘッドアップディスプレイ制御システム、グレージング開口、ディスプレイシステム制御装置を制御する美観を損ねるボタンを使用せずに、中心コンソールの上方部分のより大きい部分においてガラス板で製造され得、異なるガラスパネル上の自動車の情報ディスプレイの循環、SMARTグレージングの制御等を可能にする。この実施形態によれば、タッチパネルは、ドライバー/乗員の改良されたエルゴノミクス条件(ビュー適応及びグレア関連問題)のために曲線状であり得る。トリム要素上のキャビティを加工して、(ドライバーの安全理由のために)タッチセンサーの簡単な検出のために透明ガラス板上で触覚フィードバックを提供することができる。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、コンソール本体の後部からタッチ機能が組み込まれるダッシュボードまで延在される1枚のガラス板にトリム要素が作られる。
【0059】
中心コンソールの後部からダッシュボードまで1枚のみのガラス板があるという感覚が与えられたとすると、このようにダッシュボード上に提供されるディスプレイパネルまでトリム要素が延在され得る。
【0060】
本発明の別の実施形態によれば、中心コンソールは、隠す機能の必要に応じて数枚のガラス板で製造され得る。
【0061】
本発明の別の実施形態によれば、例えばOLED、LED、特殊ガラスペイント/エナメルバッキングとして、ある照明手段が中心コンソール内に又はその縁部上に組み込まれ得る。光をより良く拡散するためにポリカーボネートプレートがガラストリム要素の後ろに提供され得る。
【0062】
本発明の別の好ましい実施形態において、トリム要素は、コンソール本体の後部から、機能部品へのアクセスを提供するように開口が配列されるダッシュボードまで延在される1枚のガラス板で製造される。このような開口は、開くことができるガラス板片によって覆われ得る。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、トリム要素は、接着されるか又は封入によってコンソール本体に固定され得る。
【0064】
有利には、中心コンソールは、上向き開口を有し、且つその中に小荷物を保管することができ、収納用仕切りを提供することができる。コンソール本体の収納用仕切りを開けるために、車両の中心コンソールは、例えば、トリム要素を滑らせることによってコンソールベースの仕切りを開くための第1の開口モードを有する。その場合、収納用仕切り蓋は、ガラス板で製造され、閉じたときに中心パネルの残部と同一平面であるように例えばPU、TPE、PVC、LCP、TPO又は同様の材料で封入され得る。この封入は、中心コンソールのこの領域に限定されない。
【0065】
本発明によれば、中心コンソールは、自動車の形状と適合するように曲げられるか又は熱成形され得る平らなガラス板で製造される。平らなガラス板は、装飾的であるか又はCD、プラグ、収納用仕切り、カップホルダーシステム、ボタン、シフトレバー(gearstick)、ライター又は補助コンセント、オーディオ制御装置、気候制御/エアコンディションシステム及び場合によりディスプレイスクリーン(又はガラス板表面に穿孔された孔を必要とする他のタイプのシステム)にアクセスするために加工され得る。
【0066】
本発明によるガラスは、様々なカテゴリーに属することができるガラスで製造される。したがって、ガラスは、ソーダ石灰シリカ、アルミノケイ酸塩又はホウケイ酸塩タイプ等のガラスであり得る。好ましくは及びより低い製造費の理由のために、本発明によるガラス板は、ソーダ石灰シリカガラス板である。
【0067】
非限定的な一実施形態において、本発明によるガラスの基本組成は、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量において、
SiO2 55~85%
Al2O3 0~30%
B2O3 0~20%
Na2O 0~25%
CaO 0~20%
MgO 0~15%
K2O 0~20%
BaO 0~20%
を含む。
【0068】
別の実施形態において、本発明によるガラスの基本組成は、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量において、
SiO2 55~78%
Al2O3 0~18%
B2O3 0~18%
Na2O 0~20%
CaO 0~15%
MgO 0~10%
K2O 0~10%
BaO 0~5%
を含む。
【0069】
別の実施形態において及びより低いコストの理由のために、ガラスは、ソーダ石灰ガラスである。有利には、本発明によるガラスの基本組成は、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量において、
SiO2 60~75%
Al2O3 0~6%
B2O3 0~4%
CaO 0~15%
MgO 0~10%
Na2O 5~20%
K2O 0~10%
BaO 0~5%
を含む。
【0070】
本発明の有利な実施形態によれば、ガラス板の組成は、望ましい効果の関数として適切な量で1つ又は複数の成分/着色剤をさらに含み得る。この/これらの成分/着色剤は、例えば、クロムの存在によって生じた色を「中和し」、したがって本発明のガラスの着色をより無色に近づけるか又は無色にするために例えば使用され得る。代わりに、この/これらの着色剤は、例えば、クロムの存在によって生じ得る色以外の所望の色を得るために使用され得る。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、特にタッチ機能が中心コンソールのガラス板上に期待されるとき、ガラス板は、好ましくは、ガラスの性能を強化するために特別な強化された赤外透過性質を有する。赤外線のその高透過により、平面散乱検出(PSD)又は漏れ内部全反射(FTIR)光学技術を使用して前記板の表面上の1つ又は複数の物体(例えば、指又はスタイラス)の位置を検出するためにこのようなガラス板が有利にタッチスクリーン、又はタッチパネル、又はタッチパッドにおいて使用され得る。このように、高い赤外反射(RIR)を有するガラスを提供するために本発明において提案される解決策は、特定の範囲の含有量のクロムをガラス組成中に入れることからなる。
【0072】
このように、本発明の一実施形態によれば、ガラス板は、好ましくは、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量:
全鉄(Fe2O3の形態で表される) 0.002~0.06%
Cr2O3 0.0001~0.06%
を含む組成を有する。
【0073】
低い含有量の鉄及びクロムを組み合わせるこのようなガラス組成は、赤外反射(RIR)に関して特に良い性能を示しており、可視部分において高い透明性を示す。これらの組成は、例えば、以下の文献:国際公開第2014128016A1号パンフレット、国際公開第2014180679A1号パンフレット、国際公開第2015011040A1号パンフレット、国際公開第2015011041A1号パンフレット、国際公開第2015011042A1号パンフレット、国際公開第2015011043A1号パンフレット及び国際公開第2015011044A1号パンフレットに記載されている。
【0074】
本発明の別の実施形態によれば、ガラス板は、
全鉄(Fe2O3の形態で表される) 0.002~0.06%
Cr2O3 0.0015~1%
Co 0.0001~1%
を含む組成を有する。
【0075】
このようなクロム及びコバルトをベースとしたガラス組成は、審美性/色に関して興味深い可能性(青色から強い色の中性性又は完全に不透明まで)を与えながら赤外反射RIRに関して特に良い性能を示している。このような組成は、欧州特許出願公開第13198454.4号明細書に記載されている。
【0076】
本発明の別の実施形態によれば、ガラス板は、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量:
全鉄(Fe2O3の形態で表される) 0.02~1%
Cr2O3 0.002~0.5%
Co 0.0001~0.5%
を含む組成を有する。
【0077】
好ましくは、この実施形態において、組成は、0.06%<全鉄≦1%を含む。
【0078】
クロム及びコバルトをベースとしたこのような組成は、市場に出ている青色及び緑色ガラスと色及び光の透過率に関して同等であるが、赤外反射に関して特に良い性能を有する青色-緑色範囲の着色ガラス板を得るために使用される。このような組成は、欧州特許出願公開第15172780.7号明細書に記載されている。
【0079】
本発明の別の実施形態によれば、ガラス板は、ガラスの全重量によるパーセンテージとして表される含有量:
全鉄(Fe2O3の形態で表される) 0.002~1%
Cr2O3 0.001~0.5%
Co 0.0001~0.5%
Se 0.0003~0.5%
を含む組成を有する。
【0080】
クロム、コバルト及びセレンをベースとしたこのようなガラス組成は、審美性/色に関して興味深い可能性(中性灰色から灰色-ブロンズ色の範囲においてわずかに濃い色まで)を与えながら赤外反射に関して特に良い性能を示している。このような組成は、欧州特許出願公開第15172779.9号明細書において記載されている。
【0081】
本発明の別の実施形態によれば、ガラス板の組成は、ガラスの全重量に対して表される重量パーセントにおいて、
65≦SiO2≦78%
5≦Na2O≦20%
0≦K2O<5%
1≦Al2O3<6%
0≦CaO<4.5%
4≦MgO≦12%;
を含み、且つ(MgO/(MgO+CaO))比≧0.5である。
【0082】
本発明の別の実施形態において、ガラス板の組成は、ガラスの全重量に対して表される重量パーセントにおいて、
65≦SiO2≦78%
5≦Na2O≦20%
1≦K2O<8%
1≦Al2O3<6%
2≦CaO<10%
0≦MgO≦8%
を含み、0.1~0.7のK2O/(K2O+Na2O)比である。
【0083】
ガラスのいくつか他の組成を使用し得るが、このような組成は、例えば、以下の文献:欧州特許出願公開第14167942.3号明細書、欧州特許出願公開第14177487.7号明細書に記載されている。
【0084】
先行の実施形態と組み合わせられ得る本発明の別の有利な実施形態によれば、ガラス板は、例えば、クロムの存在によって生じられる場合がある色を緩和又は中和することを可能にする層又はフィルム(例えば、着色PVBフィルム)でコートされ得る。
【0085】
本発明によるガラス板は、有利には、引掻きを避けると共に中心コンソールの上方部分の抵抗性を高めるために化学的に又は熱的に焼戻しされ得る。
【0086】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つのトリム要素は、平らな又は曲げられた化学強化ガラス板で製造される。典型的に、化学強化は、ガラス転移温度よりも低い温度の溶融塩槽内にガラス板を浸漬することによってガラス板の表面でNa+イオンをK+イオンで交換することにより行われる。有利には、槽は、高純度KNO3からなり、処理は、1~24時間にわたり350℃~470℃の温度で行われる。化学強化は、好ましくは、3mm未満、より好ましくは2mm未満及びさらにより好ましくは1mm未満又はさらにより良くは0.7mm未満の厚さのガラス板について適用される。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、ガラス板は、少なくとも1つの透明且つ電気導電性薄層でコートされる。本発明による透明且つ導電性薄層は、例えば、SnO2:F、SnO2:Sb又はITO(酸化インジウムスズ)、ZnO:Al又は同様にZnO:Gaをベースとした層であり得る。
【0088】
本発明の別の有利な実施形態によれば、ガラス板は、少なくとも1つの反射防止層でコートされる。本発明による反射防止層は、例えば、低い屈折率を有する多孔性シリカをベースとした層であり得るか、又はそれは、いくつかの層(積層体)、特に低い屈折率及び高い屈折率を有する層を交互に繰り返し且つ低い屈折率を有する層で終わる誘電体材料の層の積層体から構成され得る。また、テクスチャー化ガラス板を使用して車両内の反射を抑え得る。反射を避けるためにエッチング又はコーティング技術も使用され得る。
【0089】
別の実施形態によれば、ガラス板は、少なくとも1つの耐指紋層でコートされるか、又は指紋を低減するか若しくは防止するために処理されている。また、この実施形態は、タッチスクリーンの前面として本発明のガラス板を使用する場合に有利である。このような層又はこのような処理は、対向する面上に堆積される透明な電気導電性薄層と組み合わせられ得る。このような層は、同じ面上に堆積される反射防止層と組み合わせられ得、耐指紋層が積層体の外側にあり、したがって反射防止層を覆う。
【0090】
望ましい適用及び/又は性質によれば、本発明によるガラス板の一方の面及び/又は他方の面上に他の層を堆積させることができる。
【0091】
本発明によるガラス板は、フローティング法、延伸法、圧延法又は溶融ガラス組成物から出発するガラス板を製造するために公知の任意の他の方法によって得られるガラス板であり得る。本発明による優先的な実施形態によれば、ガラス板は、フロートガラス板である。用語「フロートガラス板」は、還元条件下で溶融ガラスを溶融スズの槽上に流し込むことを含むフロートガラス法によって形成されるガラス板を意味すると理解される。フロートガラス板は、公知の方法において、「スズ面」、すなわちガラス板の表面に近いガラスの本体のスズが濃縮された面を含む。用語「スズの濃縮」は、実質的にゼロ(スズがない)であってもなくてもよい、コアのガラスの組成に対してスズの濃度の増加を意味すると理解される。
【0092】
本発明によるガラス板は、0.1~25mmで変化する厚さを有することができる。有利には、タッチパネルの用途の場合、本発明によるガラス板は、0.1~6mmで変化する厚さを有することができる。好ましくは、タッチスクリーン用途の場合、重量の理由のため、本発明によるガラス板の厚さは、0.1~2.2mmである。
【0093】
本発明によれば、ガラス板は、中心コンソールの上方部分と正確に合う曲率及びその特定の設計を示す。
【0094】
中心コンソールのより良い美観を提供するために、トリム要素は、デジタル印刷又はシルクスクリーン印刷されたガラス板、食刻ガラス板、塗装/エナメルドガラス板、鋳造ガラス板、抗菌ガラス板、着色フロートガラス板で製造され得る。
【0095】
本発明の別の実施形態によれば、トリム要素は、積層ガラス板で製造される。この実施形態によれば、少なくとも1つの熱可塑性中間層を使用して少なくとも2つのガラス板を積層する。有利には、着色又は活性中間層が少なくとも2つのガラス板間に存在している。中間層又はガラスと中間層との間の層は、赤外線吸収の観点から両立する場合、低い屈折率(<1.43、<1.4、<1.38、...<1.3)を有して上部ガラスのTIRを確実にし得る。
【0096】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つのトリム要素は、熱処理ガラス板、例えば焼きなまし又は焼戻し及び/又は曲げガラス板で製造される。典型的に、これは、ガラス板(コートされるか又はコートされない)を少なくとも580℃、より好ましくは少なくとも約600℃及びより一層好ましくは少なくとも620℃の温度まで炉内で加熱してからガラス基材を急速に冷却する工程を必要とする。この焼戻し及び/又は曲げは、異なる状態において少なくとも4分、少なくとも5分又はそれを超えて行うことができる。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、ガラストリム要素は、例えば、カバーガラスの後ろに接着されたポリカーボネートプレート及び可能性として後ろに接着されたディスプレイと組み合わせられたカバーガラスであり得る。
【0098】
このように、ガラストリム要素又は本発明によるガラス板で製造される少なくともトリム要素を含む中心コンソールは、以下の利点の1つ又は複数を有するガラストリム要素又は中心コンソールを提供する場合がある。
- より高い機械抵抗/引掻き抵抗、
- 改良された剛性/重量比、
- より高い耐老化性/耐候性(日光照射)、
- より良い仕上/外観を提供する可能性、
- (背面照明、スクリーン統合等のための)透明なトリム要素を有する可能性、
- グレア制御処理及び/又は耐指紋コーティングを有する可能性、
- より良い再利用性、
- ノマディックデバイスとのシームレスな接続性、
- ガラストリム要素がシームレスオーディオ機能(オーディオガラス)を隠すことができること、
- より良い衛生的側面、
- より良い快適さ/便利さ、
- いくつかの機能性が乗員のために特別仕様で作られ得ること、
- 多くの異なるソフトウェアを1つのオペレーティングシステムのための1つの場所に両立するようにする可能性。
【0099】
本発明は、ドアハンドル外形、ドアパネル、ダッシュボードのトリム要素、座席の後部等として車両内部に存在しているトリム又は装飾要素に適用される。
【0100】
したがって、本発明は、自動車両の内部のための、及びより詳細には上に記載されたようなガラストリム要素とプラスチックフレームとを含む自動車内部のための組立体にも関する。このような組立体の利点は、上に列挙されたものと同じである。