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特開2024-178299イオン伝導性ポリマー電解質を有する複合固体電池セルのためのシステムおよび方法
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  • 特開-イオン伝導性ポリマー電解質を有する複合固体電池セルのためのシステムおよび方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178299
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】イオン伝導性ポリマー電解質を有する複合固体電池セルのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20241217BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20241217BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241217BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241217BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/0585
H01M4/13
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024162472
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2021577657の分割
【原出願日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】62/869,407
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515167067
【氏名又は名称】エー123 システムズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】A123 Systems LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ホファート ウェズリー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャス アドリアーナ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ローマン デビッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブアニック ルシエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン デレク シー.
(72)【発明者】
【氏名】シスク ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジルーリー トーマス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Liイオン輸送に対する抵抗を低減させ、従来の固体電池セルに対し機械的安定性を改善する、電極構造を被覆するためのスラリーのためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】1つの例において、方法は、高せん断力および低せん断力のうちの一方または双方で、少なくとも溶媒の第1の部分において固体のイオン伝導性ポリマー材料を混合して懸濁液を形成することによって分散させることと、次に、高せん断力および低せん断力のうちの一方または双方で、懸濁液において1つまたは複数の添加物を混合し、次に、高せん断力および低せん断力のうちの一方または双方で、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することによって分散させることとを含むことができる。したがって、固体のイオン伝導性ポリマー材料を含むスラリーを、固体電池セルにおける被覆として施すことができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒を第1の部分と第2の部分とに分割すること;
室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、かつ室温においてガラス状態にある固体のイオン伝導性ポリマー材料を、低せん断力で、前記溶媒の第1の部分において分散させて第1の懸濁液を形成すること;
前記第1の懸濁液において結合剤を混合すること;ならびに
前記第1の懸濁液において前記結合剤を混合することに続いて、前記溶媒の第2の部分を前記第1の懸濁液と混合して、25~55wt.%の固体含量を有するスラリーを形成すること;
を含み、
ここで、前記スラリーは、任意の部分において、15μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2200cpsの粘度を有し、
前記第1の懸濁液において結合剤を混合し、前記溶媒の第2の部分を前記第1の懸濁液と混合することは、低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドル、および高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサを使用して、高せん断力における混合および低せん断力における混合の一方または双方を含み、前記低せん断力における混合速度は10~55rpmである、方法。
【請求項2】
前記スラリーが、電池セルのセパレータ層を形成し、さらに、前記スラリーを前記電池セルのカソード層上にカレンダ加工することを含み、前記セパレータ層のカレンダ加工後の厚さが、5~50μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒の前記第1の部分の量が、前記溶媒の全体量の15%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記スラリーを真空下で混合することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の懸濁液において前記結合剤を混合すること;ならびに、前記第1の懸濁液において前記結合剤を混合することに続いて、前記溶媒の第2の部分を前記第1の懸濁液と混合して、25~55wt.%の固体含量を有するスラリーを形成することが、
前記溶媒の第2の部分を、さらに、第3の部分と、前記第2の部分の残りの部分とに分割すること;
前記結合剤と、前記溶媒の第3の部分と、1つまたは複数の更なる添加物とを、高せん断力で、混合して、第2の懸濁液を形成すること;
前記第1の懸濁液において、前記第2の懸濁液を混合すること;ならびに、
得られた懸濁液に、前記溶媒の第2の部分の残りの部分を混合して、25~55wt.%の固体含量を有するスラリーを形成すること;
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の更なる添加物が、界面活性剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の懸濁液において、前記第2の懸濁液を混合することが、前記第1の懸濁液に、前記第2の懸濁液を分割して混合することを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記スラリーが、任意の部分において、1μm未満のd10粒径、60μm未満のd90粒径、および100μm未満のd99粒径を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電極構造上に被覆を形成するための方法であって、
溶媒を第1の部分と第2の部分とに分割すること;
ステップ順序に従って、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有する固体のイオン伝導性ポリマー材料を前記溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成すること、ここで、前記固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温においてガラス状態にあり、前記溶媒の前記第1の部分は、全体溶媒含量の概ね半分である;
前記懸濁液において第1の添加物を混合すること;
前記懸濁液において前記第1の添加物を混合することに続いて、前記溶媒の第2の部分を前記懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量を有するスラリーを形成すること、ここで、前記スラリーは、任意の部分において、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有し、
前記混合は、低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドル、および高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサを使用して、高せん断力における混合および低せん断力における混合の一方または双方を含み、前記低せん断力における混合速度は10~55rpmである;
前記電極構造上に前記スラリーを被覆すること;
前記被覆された電極構造を乾燥させること;ならびに
前記被覆された電極構造をカレンダ加工すること;
を含み、
前記電極構造は、アノード電流コレクタ上に堆積されたアノード材料被覆、およびカソード電流コレクタ上に堆積されたカソード材料被覆のうちの1つを含み、
前記被覆と前記電極構造との間の接着界面は、200gf/inを超える180°剥離強度を有する、方法。
【請求項10】
さらに、前記混合により、前記スラリーの粘度、d50粒径およびヘグマン・ゲージが影響を受けることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記被覆が、ロール・ツー・ロール被覆およびスロット・ダイ被覆のうちの1つまたは複数の被覆を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記被覆前に、前記スラリーを真空下で混合することを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記被覆が、前記電極構造の表面になじみ、浸透する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数のハイブリッド電極であって、前記複数のハイブリッド電極の各々が、
アノード電流コレクタ、
カソード電流コレクタ、
アノード材料被覆、
カソード材料被覆、および
セパレータとして形成される固体のポリマー電解質被覆
を備える、複数のハイブリッド電極と;
密封されたパウチであって、前記複数のハイブリッド電極を含有する、密封されたパウチと;
を備え、
前記アノード材料被覆、前記カソード材料被覆および前記固体のポリマー電解質被覆はそれぞれ複数のスラリーから形成され、前記複数のスラリーの各々は、
溶媒を第1の部分と第2の部分とに分割すること;
ステップ順序に従って、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、かつ室温においてガラス状態にある固体のイオン伝導性ポリマー材料を少なくとも前記溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成すること;
前記懸濁液において添加物を混合すること;ならびに
前記懸濁液において前記添加物を前記混合することに続いて、前記溶媒の第2の部分を前記懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量を有する組成物を形成すること、ここで、前記組成物は、任意の部分において、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有する;
によって形成され、
前記混合は、低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドル、および高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサを使用して、高せん断力における混合および低せん断力における混合の一方または双方を含み、前記低せん断力における混合速度は10~55rpmである、電池セル。
【請求項15】
前記複数のスラリーが、さらに、d50粒径、ヘグマン・ゲージ、粘度、ならびに、電極層および固体電解質層における、固体のイオン伝導性ポリマー材料および添加物の相対比率を差動的に調整することによって形成され、前記相対比率には、前記固体のイオン伝導性ポリマー材料の相対体積%と、前記添加物の相対体積%とが含まれる、請求項14に記載の電池セル。
【請求項16】
前記アノード材料被覆を形成する前記複数のスラリーのうちの少なくとも1つのスラリーが、40~65wt.%の固体含量を有し、さらに、任意の部分において、80μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて1100~2800cpsの粘度を有する、請求項14または15に記載の電池セル。
【請求項17】
前記固体のポリマー電解質被覆を形成する前記複数のスラリーのうちの少なくとも1つのスラリーが、40~55wt.%の固体含量を有し、さらに、任意の部分において、15μm未満のd50粒径、50μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて2000~4500cpsの粘度を有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項18】
前記カソード材料被覆を形成する前記複数のスラリーのうちの少なくとも1つのスラリーが、45~75wt.%の固体含量を有し、さらに、任意の部分において、80μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて1000~2600cpsの粘度を有する、請求項14~17のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項19】
前記固体のイオン伝導性ポリマー材料が粒子から形成され、前記固体のポリマー電解質被覆が、平均最近傍距離が2μm~5μmでクラスター化された粒子を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項20】
前記固体のポリマー電解質被覆が、前記カソード材料被覆に隣接する第1の領域と、前記アノード材料被覆に隣接する第2の領域とで、異なる組成を有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「SYSTEMS AND METHODS FOR A COMPOSITE SOLID-STATE BATTERY CELL WITH AN IONICALLY CONDUCTIVE POLYMER ELECTROLYTE」と題する、2019年7月1日に出願された米国仮特許出願第62/869,407号に対する優先権を主張する。上記で特定した出願の内容全体は、参照によりあらゆる目的で本明細書に援用される。
【0002】
本記載は、一般に、イオン伝導性ポリマー材料を含む固体電池セルのためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池のエネルギー密度は、それぞれ重量または体積の観点で計算したときに、単位質量または体積あたりどれだけの機能を実行することができるかを記述するため、重要な性能指数である。自動車用途との関連において、これらの尺度は、自動車の総質量または体積のどれだけが自動車のエネルギー蓄積を担うモジュールに特化しているかに関して、自動車が、充電を要するまでに走行することができる距離を示すため、重要である。
【0004】
複合エネルギー貯蔵デバイスのエネルギー密度は、電極活物質の理論的重量または体積容量および内部に含まれる電極活物質の質量または体積単位の量によって影響される。更に、エネルギー貯蔵デバイスを含む材料のパッキング効率はエネルギー密度に影響を及ぼし、これによって、空隙率または自由体積の形態の非効率性が認識され、これは所与の容量について、容量の増大の形態で現れるか、または固定体積の場合は、結果として容量の低下が生じる。非効率的なパッキングにより生じる空隙率または自由体積は、抵抗の増大の影響も有する。なぜなら、電極または電解質層内の空所は、荷電種が進行する経路を妨害するためである。内部抵抗が増大するにつれ、電池の電力特性は弱まり、高い充電または放電速度が必要とされるとき、性能の劣化につながる。従来のリチウム・イオン電池に関連して、所与の度合いの空隙率を受容することができ、更には機能的関心対象とすることができる。なぜなら、この空間には、1つの電極の活物質から別の電極の活物質へのリチウム・イオンの輸送を促進する液体電解質が浸透しているためである。イオン輸送のこの媒体は、リチウム・イオンの高レベルの移動性を提供するが、高引火性という不利益を有し、結果として、自動車または他の輸送用途との関連で安全上の懸念が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリチウム・イオン電池の液体電解質成分の引火性に関連する危険性をなくすことが望ましく、これにより、液体電解質を固体状態の電解質と置き換えることが関心対象となり、その結果、上記の性能特性を最適化するために電池構造全体内から任意の非機能性自由空間をなくす必要が生じている。固体状態の電解質は、例として、無機酸化物および硫化物、ならびにゲルポリマーの形態から固体のポリマーの形態への連続体を含む有機材料を含む、多くの形態で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を認識し、これらに少なくとも部分的に対処する解決策を決定した。限定ではないが、電極活物質、固体のポリマー電解質、伝導性添加物(conducting additive)、結合剤、ならびに機能的または受動的性質の他の有機および無機成分の部分集団を含む、微粒子材料の集団を含む密構造を達成するために、本発明者らは、個々の成分の粒径分布、および全固体体積の相対的百分率を注意深く選択することができることを認識した。これらの判断基準は、成分材料の機能を保持するために、粒子間パッキングおよび互いに対する粒子の分布の双方の最適化を促進する。単独でのおよび互いに組み合わせての微粒子集団の双方の事前設計に加えて、これらの材料が組み合わされるプロセスを考慮に入れることが最重要である。なぜなら、これらは、複合形態の材料のサイズおよび近接分布(proximal distribution)の双方に影響を及ぼすためである。構成材料が組み合わされるプロセスの態様は、混合および形成を促進するために導入される物質、成分集団が組み合わされる順序、ならびにそこからの混合物を含む成分が操作される方法を含む。
【0007】
エネルギー貯蔵デバイスの各層のための設計判断基準および製造方法は、個々の層から必要とされる機能性に応じて変動する場合がある。例として、数ある中でも、電極活物質の粉体、固体状態の電解質および伝導性添加物の混合物を含む電極は、いくつかの用途では、より小さな固体状態の電解質および伝導性添加物粒子の集団の中の電極活性粒子の集団に基づいて構成することができる。そのような構成において、粒径および分布パラメータは、それぞれイオン伝導および電子伝導をサポートするように固体状態の電解質および伝導性添加物の浸透ネットワーク(percolative network)も確立しながら、低い空隙率を有する層をもたらすように選択することができる。電極層の機能要件を満たすために、電極活性粒子間隙間の接続性を達成することができるように、連続相において固体状態の電解質および伝導性添加物が点在した電極活物質の主要集団を確立することによって、設計によりエネルギー含量を最大にしなくてはならない。この文脈において、固体状態の電解質および伝導性添加物粒子によって占有される体積は、不要な空所空間を導入することなく、または、層の実現された電気化学的容量を限定するように固体体積の過剰な百分率を占有することなく、パーコレーション経路を提供するため電極活物質粒子を押し広げるのに十分であり得る。そのような構成的および性能判断基準を満たすために、より大きな粒径に基づいて主要な相を確立するように電極活物質の集団を設計することができ、より小さな粒子の付随する集団が電極活物質の大きな粒子間の自由体積の一部分を占有する。他の成分の集団のサイズ分布および相対的百分率を、より大きな電極活物質微粒子集団の中の連結したネットワークにおける状況に対し処理することができる。
【0008】
対照的に、セパレータの独自の機能は、設計判断基準の異なる組を指示し、これによって、短絡の発生を防ぐ電極間の機械的障壁としての役割も果たしながら、前記電極間のリチウムの輸送に対する抵抗を可能な限り低くすることができる。電極間のリチウムの輸送に対する抵抗は、この場合はセパレータとしても機能することができる電解質層を、高リチウム伝導性値を保有する材料から策定することによって最小限にすることができる。リチウムの移動に対する抵抗は、電極層と電解質との間の接触面積を増大させ、電解質層の厚みを低減することによっても低減することができる。加えて、リチウム・イオンが1つの電極から別の電極へ辿る経路のねじれを低減するように電解質層を形成する粒子の構成により、電解質/セパレータ層の抵抗を減らすことができる。電極層の場合にあり得るような、固体電解質が電極活物質間の空所に嵌らなくてはならないという要件がない場合、最適化された電解質層の設計のための粒径分布は、電極層のために選択されたものと異なる場合がある。
【0009】
電極および電解質層における成分材料のサイズ分布および相対比率の差動調整の方法は、最も効果的な形式での電解質層および電極層の調和を促進するように、これらの層間に界面層を挿入することによって、更なる構成最適化の機会を提供することができる。例として、電極と電解質層との間の界面層における固体の電解質の粒径分布を、電極層の表面形態に合うように調整することで、電極層および電解質層の境界間の接続性を提供するパーコレーション・ネットワーク(percolation network)のねじれも低減しながら、界面空所空間の最小化を動機付ける設計判断基準間の最適なバランスを提供することができる。
【0010】
電池の各層の最適設計が層間の大きな差に繋がり得る特性は、組み合わされた形態でこれらの層の最大の潜在的機能の各々を実現するために、製造プロセスにおいて特定の柔軟性を必要とする。この必要とされる柔軟性に合う製造方法を特定することに加えて、これらの技法の各々がどのように展開されるかを定義するパラメータの大きな調整は、そこから固体状態の電池を製造するタスクを課された実践者にとって、大きく非直感的な課題を構成する。本明細書には、固体状態の電池、それらの成分層、ならびにそれらが導出される混合物および材料を製造する方法が記載される。
【0011】
1つの例として、本明細書に詳述されるように、上記で説明した解決策のうちの少なくともいくつかを提供する被覆ハイブリッド電極(coated hybrid electrode)が提示される。1つの例において、スラリーを形成するための方法は、溶媒を複数の部分に分割することと、ステップ順序に従って、例えば、ポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料を溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成することであって、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、固体のイオン伝導性ポリマー材料は室温においてガラス状態にあり、溶媒の第1の部分は、全体溶媒含量の概ね半分であることと、懸濁液において第1の添加物を混合することと、懸濁液において第1の添加物を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径分布、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有するスラリーを形成することとを含むことができ、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmである。このようにして、スラリーを電極構造上の被覆として施すことができ、これにより、従来の固体状態の電池と比較して、最適粒子分布からの低減された空隙率、および形成プロセス中の選択的に段階付けされた成分導入からの改善されたパーコレーション・ネットワークを達成することができる。更に、固体のイオン伝導性ポリマー材料を利用することにより、Liイオン輸送に対する抵抗を更に低減し、被覆された電極構造を含む電池セル内の機械的安定性を改善することができる。
【0012】
上記の要約は、詳細な説明において更に説明される概念の選択を単純化された形式で紹介するために提供されることを理解されたい。これは、特許請求される主題の主要なまたは本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって独自に定義される。更に、特許請求される主題は、上述したまたは本開示の任意の部分における任意の不利な点を解決する実施態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】被覆ハイブリッド電極の第1の例示的な構成の概略構造図を示す図である。
図1B】被覆ハイブリッド電極の第2の例示的な構成の概略構造図を示す図である。
図2】電極構造に被覆を施すためのスラリーを形成するための第1の例示的な方法を示す図である。
図3】電極構造に被覆を施すためのスラリーを形成するための第2の例示的な方法を示す図である。
図4】電極構造に被覆を施すためのスラリーを形成するための第3の例示的な方法を示す図である。
図5】スラリー・ベースの被覆プロセスにより電極構造上に被覆を形成するための例示的な方法を示す図である。
図6】カソード材料被覆のためのスラリーにおける二峰性粒径分布を示すプロットを示す図である。
図7】カソード材料被覆のためのスラリーにおける粒径分布を示すプロットを示す図である。
図8】カソード材料被覆のためのスラリーにおける粘度対せん断速度を示すプロットを示す図である。
図9】カソード材料被覆のためのスラリーを形成するためのプロセス流れ図を示す図である。
図10】カソード材料被覆のためのスラリーにおける粒径分布の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図11】アノード材料被覆のためのスラリーにおける粒径分布を示すプロットを示す図である。
図12】アノード材料被覆のためのスラリーにおける粘度対せん断速度を示すプロットを示す図である。
図13】アノード材料被覆のためのスラリーを形成するための第1のプロセス流れ図を示す図である。
図14】アノード材料被覆のためのスラリーを形成するための第2のプロセス流れ図を示す図である。
図15】セパレータ被覆のためのスラリーにおける粒径分布を示すプロットを示す図である。
図16】セパレータ被覆のためのスラリーにおける粘度対せん断速度を示すプロットを示す図である。
図17】セパレータ被覆のためのスラリーを形成するための第1のプロセス流れ図を示す図である。
図18】セパレータ被覆のためのスラリーを形成するための第2のプロセス流れ図を示す図である。
図19】セパレータ被覆のためのスラリーにおける粒径分布のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載は、電解質としてイオン伝導性ポリマー材料を含む固体電池セルのためのシステムおよび方法に関する。特に、イオン伝導性ポリマー材料は、参照によりその内容が本明細書に援用される、米国特許出願公開第2017/0018781号、国際公開第2016/196873号、および米国特許出願公開第2017/0005356号における固体のイオン伝導性ポリマー材料等、ならびにマサチューセッツ州ウォバーン所在のIonic Materials Inc.によって製造された固体のイオン伝導性粉体等の、固体のイオン伝導性粉体とすることができる。固体のイオン伝導性ポリマー材料は、ポリマー、ドーパントおよびイオン化合物から合成することができる。ベース・ポリマーは、半結晶性または完全結晶性とすることができる。ベース・ポリマーのために用いることができる一般的な材料は、液晶ポリマー、およびPPSとしても知られるポリフェニレンスルフィド、または結晶度が30%超もしくは50%超の半結晶性ポリマーを含む。ベース・ポリマーのための候補液晶ポリマー材料は、p-ヒドロキシ安息香酸のコポリマーを含むことができる。他の候補ベース・ポリマーは、ポリ(p-フェニレンオキシド)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリスルホン、列挙した材料のモノマーを含むコポリマー、およびそれらの混合物を含む。固体のイオン伝導性材料は、熱可塑性とすることができる。固体のイオン伝導性材料は、ガラス状態において伝導性である。ドーパントは電子受容体であり、DDQ、TCNE、クロルアニル、酸素、オゾンおよび三酸化硫黄(SO)とすることができる。イオン源または「イオン化合物」は、LiTFSI(リチウムビス-トリフルオロメタンスルホンイミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸(LiB(C、「LiBOB」)および他のリチウム・イオン化合物ならびにそれらの組み合わせ等の、リチウム・イオン電池または他の電池システムにおいて一般的に用いられる塩を含むことができる。特に、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温における1×10-5S/cm超のイオン伝導率および室温におけるガラス状態を有することができる。したがって、イオン伝導性ポリマー材料は、高い室温イオン伝導率を有することができ、調整可能で電極固有の方式で、電気化学的安定性のために固体電池セルの様々な被覆に組み込むことができる。更に、イオン伝導性ポリマー材料は、一般的に用いられる溶媒において不溶性とすることができる固体の粉体の形態を保つことができる。したがって、イオン伝導性ポリマー材料は、粒径分布、粒子形態、相対体積百分率等を変動させることによって、界面インピーダンスの調整/低減をもたらすことができる。本開示の範囲内で、類似の機能および特性を有する他の固体ポリマー材料と置き換えてもよい。
【0015】
より詳細に説明されるとき、および本明細書において用いられるとき、電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能な電気化学的貯蔵デバイスを含むことができる。二次電池は、放電状態に達すると、指定された判断基準の所与のセットに従って外部電流または電圧の印加によって充電状態に戻ることができる電池を含むことができる。電池は、互いに電気的に組み合わされて構成された複数のセルを含むことができる。各セルは、少なくとも2つの電極層およびセパレータ層を含むことができる。電極の各々は、電極活物質を含むことができる。正極活性層は、カソードと呼ぶことができる。負極活性層は、アノードと呼ぶことができる。
【0016】
更に、プロセスに関して本明細書においてより詳細に説明されるとき、セパレータ層は、セパレータと呼ぶことができる。セパレータ層は、カソード層とアノード層との間の接触を防ぎ、電極間の電子種の輸送を阻止しながら、電極間のイオン種の輸送を促進する役割を担うことができる。
【0017】
セパレータ層は、室温における1×10-5S/cm超のイオン伝導率、および少なくとも約30%の結晶度を有する材料等のイオン伝導性ポリマー、特に固体のイオン伝導性ポリマー材料を含むことができ、ここで、材料は室温においてガラス状態にあり、ポリフェニレンスルフィドポリマーまたは液晶ポリマーから形成される。本明細書において用いられるとき、「約」または「概ね」は、数値を指すとき、5%以下のずれを包含することができる。
【0018】
電極への外部の電気的接触は、製造プロセス中に電極層が被覆される電流コレクタ(current collector)を用いて確立することができることを理解されたい。
【0019】
電極層とセパレータまたは電流コレクタ層との間の界面を改善するために、追加の層をセル構造に導入することができる。説明したように、セルの構造の各層は、その成分によって説明することができる。一貫性のために、複合層の全体を記述するために本開示全体を通じて以下の規則が採用された。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D、ここで、
○ 成分A:電極活物質、
○ 成分B:固体のポリマー電解質材料、またはイオン伝導性固体状態ポリマー、
○ 成分C:自由体積、および
○ 成分D:以下を含む、スラリーの調合および層の製造において用いられる全ての他の材料。
・ D1:結合剤材料、
・ D2:電子伝導体または伝導性添加物、
・ D3:界面活性剤、
・ D4:溶媒、
・ D5:セラミックイオン伝導体(インピーダンスの低減のため)、
・ D6:無機セラミック(機械的完全性の向上のため)、
・ D7:リチウム塩、および
・ D8:イオン伝導性添加物。
【0020】
図1Aおよび図1Bは、被覆ハイブリッド電極または電池セル・サブアセンブリの様々な構成を示す。図6図8図10図12図15図16および図19は、本明細書に記載の複合スラリーの様々な特性を示すプロットを示す。図2図4は、電極構造(例えば、カソード材料被覆、アノード材料被覆、カソード電流コレクタ、アノード電流コレクタまたはそれらの組み合わせ)に被覆を施すための複合スラリーを形成するための例示的な方法を示し、ここで、電極構造を次に電池セル内に組み込むことができる。図9図13図14図15および図18は、複合スラリーを形成するための例示的なプロセス流れ図を示す。図5は、スラリー・ベースの被覆プロセスにより電極構造上に被覆を形成するための例示的な方法を示す。
【0021】
ここで図1Aを参照すると、被覆ハイブリッド電極の第1の構造100または電池セル・サブアセンブリが示される。順に、被覆ハイブリッド電極の第1の構成100は、アノード電流コレクタ101、アノード材料被覆102、アノード・セパレータ界面被覆106、セパレータ被覆103、カソード・セパレータ界面被覆107、カソード材料被覆104およびカソード電流コレクタ105を含むことができる。したがって、セパレータ被覆103は、電池セパレータとして機能することができる。
【0022】
アノード材料被覆102およびアノード・セパレータ界面被覆106のうちの1つまたは複数が、リチウムを含むアノード活物質を含むことができる。カソード材料被覆104およびカソード・セパレータ界面被覆107のうちの1つまたは複数が、リチウムを含むカソード活物質を含むことができる。本明細書において上記で説明したように、アノード材料被覆102、アノード・セパレータ界面被覆106、セパレータ被覆103、カソード・セパレータ界面被覆107およびカソード材料被覆104のうちの1つまたは複数が、イオン伝導性ポリマー材料、または別の固体ポリマー材料を含むことができる。
【0023】
いくつかの例において、セパレータ被覆103と電極構造との間に接着界面を定義することができる。接着界面は、セパレータ被覆103が電極構造の表面になじみ、浸透することができるように、セパレータ被覆103と電極構造との間の3次元界面とすることができる。第1の例として、電極構造は、アノード電流コレクタ101上に堆積されたアノード材料被覆102とすることができ、任意選択でアノード・セパレータ界面被覆106がその上に堆積される。第2の例として、電極構造は、カソード電流コレクタ105上に堆積されたカソード材料被覆104とすることができ、任意選択でカソード・セパレータ界面被覆107がその上に堆積される。いくつかの例では、接着界面は、200gf/in超の180°剥離強度を有することができる。したがって、本明細書に記載のスラリー・ベースの被覆方法の結果として、単独のポリマー電解質フィルム(いくつかの例では、約2.1gf/inの180°剥離強度を有することができる)を施すよりも大きな接着性を得ることができる。
【0024】
ここで図1Bを参照すると、被覆ハイブリッド電極の第2の構成150または電池セル・サブアセンブリが示される。順に、被覆ハイブリッド電極の第2の構成150は、アノード電流コレクタ101、アノード材料被覆102、アノード・セパレータ界面被覆106、第1のセパレータ被覆103a、従来の電池セパレータ108、第2のセパレータ被覆103b、カソード・セパレータ界面被覆107、カソード材料被覆104およびカソード電流コレクタ105を含むことができる。いくつかの例では、従来の電池セパレータ108が単一のセパレータ被覆103を分岐させる場合がある。
【0025】
図2は、固体のイオン伝導性ポリマー材料を含むスラリーを形成するための第1の方法200を提供する。いくつかの例では、スラリーは、スラリー・ベースの被覆プロセスにより電極構造上の被覆として施すことができる。いくつかの例では、被覆は、図1Aおよび図1Bに関して上記で説明したように、カソード材料被覆、カソード・セパレータ界面被覆、アノード・セパレータ界面被覆およびセパレータ被覆、例えばそれぞれ、カソード材料被覆104、アノード材料被覆102、カソード・セパレータ界面被覆107、アノード・セパレータ界面被覆106およびセパレータ被覆103、のうちの1つとすることができる。
【0026】
いくつかの例では、第1の方法200は複数のミキサを用いることができ、複数のミキサは、以下で詳述されるように、202~206を実行するように構成することができる。複数のミキサの各々は、高せん断力および低せん断力の一方または双方で動作することができる。更に、いくつかの例では、202~206は、順番に、すなわち、202から204、206の順に実行することができる。
【0027】
202において、固体のイオン伝導性ポリマー材料(例えば、成分B)を、溶媒(例えば、成分D4)の少なくとも第1の部分において分散させ、懸濁液を形成することができる。いくつかの例では、溶媒の少なくとも第1の部分は、1つまたは複数の更なる成分を含むことができる。したがって、溶媒の第1の部分は溶液を含むことができる。
【0028】
204において、1つまたは複数の添加物を懸濁液において分散させることができる。いくつかの例では、1つまたは複数の添加物は、電極活物質(例えば、成分A)、結合剤(例えば、成分D1)、界面活性剤(例えば、成分D3)および無機セラミック(例えば、成分D6)を含むことができる。
【0029】
206において、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することができる。溶媒の第2の部分は、目標固体含量に達するように提供することができる。したがって、いくつかの例では、スラリーは、40~80wt.%の固体含量、1μm未満のd10粒径分布、30μm未満のd50粒径分布、60μm未満のd90粒径分布、140μm未満のd99粒径分布を有することができる。90μm未満のヘグマン・ゲージおよび85Hzにおいて500~2800cpsの粘度。次に、第1の方法200は終了することができる。
【0030】
ここで図3を参照すると、固体のイオン伝導性ポリマー材料を含むスラリーを形成するための第2の方法300が示される。いくつかの例では、スラリーは、スラリー・ベースの被覆プロセスにより電極構造上の被覆として施すことができる。いくつかの例では、被覆は、図1Aおよび図1Bに関して上記で説明したように、カソード材料被覆、カソード・セパレータ界面被覆およびアノード・セパレータ界面被覆、例えばそれぞれ、カソード材料被覆104、アノード材料被覆102、カソード・セパレータ界面被覆107およびアノード・セパレータ界面被覆106のうちの1つとすることができる。
【0031】
いくつかの例では、第2の方法300は複数のミキサを用いることができ、複数のミキサは、以下で詳述されるように、302~310を実行するように構成することができる。複数のミキサの各々は、高せん断力および低せん断力の一方または双方で動作することができる。更に、いくつかの例では、302~310は、順番に、すなわち、302から304、306、308、310の順に実行することができる。
【0032】
302において、結合剤の第1の部分(例えば、成分D1)を、溶媒の第1の部分(例えば、成分D4)において溶解させ、溶液を形成することができる。
【0033】
304において、伝導性添加物(例えば、成分D2)を溶液の第1の部分において分散させ、懸濁液を形成することができる。
【0034】
306において、固体のイオン伝導性ポリマー材料(例えば、成分B)および溶液の第2の部分を懸濁液において分散させることができる。
【0035】
308において、1つまたは複数の更なる添加物および溶液の残りの部分を懸濁液において分散させることができる。いくつかの例では、1つまたは複数の更なる添加物は、電極活物質(例えば、成分A)および結合剤の第2の部分(例えば、成分D1)を含むことができる。
【0036】
310において、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することができる。溶媒の第2の部分は、目標固体含量に達するように提供することができる。したがって、いくつかの例では、スラリーは、40~80wt.%の固体含量、10μm未満のd10粒径分布、30μm未満のd50粒径分布、60μm未満のd90粒径分布、140μm未満のd99粒径分布、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有することができる。次に、第2の方法300は終了することができる。
【0037】
ここで図4を参照すると、固体のイオン伝導性ポリマー材料を含むスラリーを形成するための第3の方法400が示される。いくつかの例では、スラリーは、スラリー・ベースの被覆プロセスにより電極構造上の被覆として施すことができる。いくつかの例では、被覆は、図1Aおよび図1Bを参照して上記で説明したように、セパレータ被覆103等のセパレータ被覆とすることができる。
【0038】
いくつかの例では、第3の方法400は複数のミキサを用いることができ、複数のミキサの各々は、以下で詳述されるように、402~412を実行するように構成することができる。複数のミキサの各々は、高せん断力および低せん断力の一方または双方で動作することができる。更に、いくつかの例では、402~412は、順番に、すなわち、402から404、406、408、410、412の順に実行することができる。
【0039】
402において、固体のイオン伝導性ポリマー材料(例えば、成分B)を、溶媒(例えば、成分D4)の少なくとも第1の部分において分散させ、懸濁液を形成することができる。いくつかの例では、溶媒の少なくとも第1の部分は、1つまたは複数の更なる成分を含むことができる。したがって、溶媒の第1の部分は溶液を含むことができる。
【0040】
404において、結合剤(例えば、成分D1)および界面活性剤(例えば、成分D3)は、溶媒の第2の部分における溶解剤とすることができる。406において、無機セラミック(例えば、成分D6)を溶媒の第2の部分において溶解させ、溶液を形成することができる。408において、溶液の一部分を懸濁液において分散させることができる。410において、溶液の残りの部分を懸濁液において分散させることができる。
【0041】
いくつかの例では、412において、溶媒の第3の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することができる。溶媒の第3の部分は、目標固体含量に達するように提供することができる。したがって、いくつかの例では、スラリーは、40~55wt.%の固体含量、1μm未満のd10粒径分布、15μm未満のd50粒径分布、60μm未満のd90粒径分布、100μm未満のd99粒径分布、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2200cpsの粘度を有することができる。次に、第3の方法400は終了することができる。
【0042】
図5は、スラリー・ベースの被覆プロセスにより電極構造上に被覆を形成するための更なる方法500を提供する。この方法によって、電極構造を電池セルに含めることができる。いくつかの例では、被覆は、図1Aおよび図1Bに関して上記で説明したように、カソード材料被覆、カソード・セパレータ界面被覆、アノード・セパレータ界面被覆およびセパレータ被覆、例えばそれぞれ、カソード材料被覆104、アノード材料被覆102、カソード・セパレータ界面被覆107、アノード・セパレータ界面被覆106およびセパレータ被覆103のうちの1つとすることができる。他の例では、図1Aおよび図1Bを参照して上記で説明したように、被覆は、それぞれアノード電流コレクタおよびカソード電流コレクタ、例えばそれぞれアノード電流コレクタ101およびカソード電流コレクタ105のための第1のタブ保護ストリップおよび第2のタブ保護ストリップのうちの1つを形成することができる。
【0043】
502において、固体のイオン伝導性ポリマー材料(例えば、成分B)を含むスラリーを取得することができる。いくつかの例では、スラリーは、本明細書において上記で説明した複合スラリーとすることができ、成分A、成分Cおよび成分Dのうちの1つまたは複数を更に含むことができる。いくつかの例では、スラリーは液体形態をとることができる。
【0044】
504において、スラリーを電極構造上に被覆することができる。いくつかの例では、電極構造は、アノード電流コレクタ(例えば、101)、カソード電流コレクタ(例えば、105)、以前に堆積されたアノード材料被覆(例えば、102)、以前に堆積されたカソード材料被覆(例えば、104)または以前に堆積されたセパレータ被覆(例えば、セパレータ被覆103、アノード・セパレータ界面被覆106、カソード・セパレータ界面被覆107等)を含むことができる。本開示の範囲から逸脱することなく、限定ではないが、スロット・ダイ被覆、ロール・ツー・ロール被覆(例えば、グラビア被覆、スクリーン印刷、フレキソ印刷)、ドクターブレード鋳造、テープ鋳造、溶射(エアロゾル)被覆、逆コンマ被覆(reverse comma coating)等を含む多数のスラリー・ベースの被覆プロセスを利用することができる。
【0045】
506において、被覆された電極構造を乾燥させることができ、508において、被覆された電極構造をカレンダ加工(calender)することができる。本開示の範囲内で、乾燥およびカレンダ加工の各々は、所望の被覆プロセスを得るように最適化することができる。次に、方法500は終了することができる。
【0046】
本明細書に記載の方法は、セル被覆または層の形態で施すことができる。各層について以下でより詳細に説明する。
【0047】
カソード
1つの例において、セルのカソード層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、構成材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。
【0048】
1つの例において、カソード、およびカソードが得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、スラリーの被覆後に除去することができる。
【0049】
スラリー等の形態のカソードの複合物は、以下に従って定義することができる。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D
- ここで、成分Aはカソード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分に対応する。
それによって、カソード・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
- 以下の活物質のうちの1つまたは複数等の活物質のうちの1つまたは組み合わせ:0.01~20μmの一次粒径を有するリン酸鉄リチウム(LFP)、スピネルLNMO、LiCoPO、LiNiPO、LVP、LVPF、LiNiMnCo、またはLiNiCoAl
成分B
- 0.01~20μmの一次粒径を有するイオン伝導性物質としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D2:カーボンブラック、スーパーP、気相成長炭素繊維等の電子伝導体
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の1つまたは複数の分散溶媒
- 成分D5:LiNbO、LiTaO、LiNbTa1-x、BaTiO等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、界面インピーダンスの低減のための1つまたは複数の無機添加物、および、0.01~10ミクロンの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D6:P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiO等の固体電解質層におけるポリマー電解質の機械的完全性を改善し、その補足機能を提供するための1つまたは複数の添加物、および、0.01~10μmの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
【0050】
溶媒を除いて、カソード・スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことができる。
- 0~15wt.%の固体のイオン伝導性ポリマー材料
- 80~95wt.%の活物質
- 0.1~10wt.%の結合剤含量
- 1~10wt.%の電子伝導体
- 0~5wt.%の界面活性剤含量
【0051】
カソード層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- 成分Aの体積%は、>35%、>45%、>55%、>60%または>65%とすることができる。
- 成分Bの体積%は、<30%、<25%、<20%、<15%または<10%とすることができる。
- 成分Cの体積%は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
- 成分Dの体積%は、<30%、<25%、<10%または<5%とすることができる。
- 成分Cおよび成分Dの体積%の和は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
【0052】
粉体形態の成分AおよびBを含む粒子の粒径は、以下によって記載することもできる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Aを含む体積%のうち、平均値A1,mean>Ameanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Aによって識別される、成分Aの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するA2,mean<Ameanの集団に属する。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Bを含む体積%のうち、平均値B1,mean>Bmeanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が>80%、<85%、<90%または<95%を形成し、Bによって識別される、成分Bの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するB2,mean<Bmeanの集団に属する。
【0053】
複合物(全体)を形成する成分Aおよび成分Bの相対比率は以下のように記述することができる。
- 固体体積全体のうちの或る百分率を含む成分Aの体積%が増大すると、Bを含む成分Bの体積%が、Bを含む成分Bの体積%に対し増大することになる。この方法によって、空隙率を低く保持することができる。
- 成分Aに対する成分Aの比が減少すると、Bを含む成分Bの体積%に対するBを含む成分Bの体積%の比が減少することができる。いくつかの例では、この方法は、活物質がSPE:AMの密度を維持しながら成長する際、B1:B2の粒径比も低減することによって、表面としての固体のポリマー電解質パーコレーション・ネットワークを維持する。
- Aの形態で複合物(全体)に添加される成分Aの比率は、100%、<95%、<90%、<85%または<80%とすることができる。
- Bの形態で複合物(全体)に添加される成分Bの比率は、100%、<90%、<80%、<70%、<60%または<50%とすることができる。
【0054】
被覆の前に、正極スラリーは、いくつかの例では以下によって特徴付けることができる。
- 平行板流体測定法によって測定される、85Hzにおける1000~2600cpsの粘度
- 45~75%の固体含量
- 80μm未満または50μm未満のヘグマン・ゲージ
- 以下のような粒径分布:d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
【0055】
低湿度環境において、室温(20℃)~140℃でカレンダ加工を行うことができる。カレンダ加工後の正極の厚みは、100~400μmとすることができる。
【0056】
代表的な粒径分布曲線が、図6のプロット600および図7のプロット700に示される。第1のピークは、成分Bに起因した粒径を表し、概ね10μmにおける第2のピークは成分Aに起因する。
【0057】
代表的な粘度曲線が図8のプロット800に示され、ここで、粘度はせん断速度に対しプロットされる。この例において、スラリーはせん断減粘性を呈する。
カソード混合スラリー・プロセス
【0058】
以下に、カソード・スラリーを形成する例示的な手順が提供される。
【0059】
カソード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順1:この例において、成分D1(結合剤)は、溶液として複数の段階において添加することができる。
i. 混合速度および機器
特に、成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1を成分D4において溶解させて、1~15wt.%の溶液を形成することができる。成分D2は分散させることができる。
iii. 成分D2の分散
10~60%の比率の成分D1溶液および成分D2を30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%にある。
iv. 成分Bの分散
次に、成分Bおよび5~40%の別の比率の成分D1溶液を上記の懸濁液に添加し、30~90分混合することができる。このステップに続いて、固体含量は10~50wt.%になり得る。
v. 成分Aの分散
成分Aの半分を、10~70%の別の比率の成分D1溶液と共に混合容器に添加することができ、溶液は更に45~120分混合することができる。このステップの後、固体含量は40~80wt.%とすることができる。成分Aのもう半分、および残りの比率の成分D1溶液を混合容器に添加し、120分~16時間混合することができる。
vi. 目標固体百分率
いくつかの例では、この時点において追加の成分D4を添加し、上記で説明した最終スラリー特性を目標にすることができる。このプロセスに続いて、スラリー特性は以下とすることができる。
・ d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
・ ヘグマン・ゲージ<50μm
・ 40~80wt.%の固体含量
・ 85Hzにおいて2000~2600cpsの粘度
【0060】
例示的な手順1のプロセス流れ図900図9に示される。
【0061】
カソード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順2:別の例として、単一のステージにおける粉体としての結合剤の添加に関する方法が提供される。
i. 混合速度および機器
この例において、成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。
いくつかの実施形態では、混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D2の分散
成分D4、成分D1および成分D2を30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%とすることができる。
iii. 成分Bの分散
成分Bおよび更なる成分D4を上記の懸濁液に添加し、30~90分混合することができる。このステップに続いて、スラリー固体含量は10~50wt.%になり得る。
iv. 成分Aの分散
成分Aの半分を、更なる成分D4と共に混合容器に添加することができる。この例において、溶液は更に45~120分混合することができる。このステップの後、スラリー固体含量は40~80wt.%にあることができる。成分Aのもう半分、および更なる成分D4を混合容器に添加し、120分~16時間混合することができる。
v.目標固体百分率
いくつかの例では、この時点において追加の溶媒を添加し、上記で説明した最終スラリー特性を目標にすることができる。このステップの後、スラリー特性は以下とすることができる。
・ d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
・ ヘグマン・ゲージ<50μm
・ 40~80wt.%の固体含量
・ 85Hzにおいて1000~2000cpsの粘度
【0062】
カソード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順3:別の例として、高せん断力分散機のみを用いた混合を含む手順が提供される。
i. 混合速度および機器
この例において、成分の分散は、鋸刃高速分散機を備えた単一シャフト・ミキサを用いて達成することができる。混合プロセス全体にわたって、高せん断力軸混合速度は0~1500rpmに保つことができる。
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1を成分D4において溶解させて、1~15wt.%の溶液を形成することができる。
iii. 成分D2の分散
D4溶液における成分D1を用いることができ、上記で成分D2について提供されたオプションからの成分D2Aを最初に分散させることができる。これを30~90分混合することができる。次に、第2の成分である、上記で成分D2について提供されたオプションからの成分D2Bを更に30~90分分散させることができる。固体含量は概ね10%とすることができる。
iv. 成分Bの分散
次に、成分Bをスラリー内に30~90分分散させることができる。このステップの後、成分Aの全体を添加することができ、ここで、スラリーは、2~12時間の混合を受けることができる。
v.目標固体百分率
最終的に、成分D4を添加し、スラリーの固体含量を50~60%に調整することができる。
【0063】
表1は、スラリー混合プロセスの例を提供する。
表1:LiNi0.8Mn0.1Co0.1(NMC811)(カソード活物質)を用いたカソード・スラリー混合プロセスの例
【表1】
【0064】
固体の電解質成分の分布のための混合プロセスについて代替的な手段も検討される。例えば、成分粒子の分布が、成分材料の機能性を保存して最適密度を提供することを促進するために、異なる材料の微粒子集団を混合物に添加することができる順序が注意深く選択される。より小さな粒子には、より大きな粒子間に点在する傾向が存在する。これが効果的に生じるように、より大きな粒子の分布の均一性を最初に確立しなくてはならない。更に、高い重量容量を達成するために、成分材料の各々の全体の導入をサブセット単位で行い、より小さな粒子に対する大きな粒子集団の分布を設計することができる。
【0065】
Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義されたカソード層の複合体積の上記の定義を所与とする。
- ここで、成分Aはカソード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
【0066】
上記の設計判断基準を検討して、以下に、カソード層の成分を結合して混合プロセスにより成分A、B、CおよびDの混合物を形成することができる順序を規定する。
ステップ1. 最初に、成分Aを成分Bの一部分と混合することができる。
ステップ2. 成分Aを成分Dの一部分と混合して、B粒子で修飾されたA粒子の分散集団を提供することができる。
ステップ3. 独立して、または成分Aと組み合わせて、成分BおよびAを、成分Dの一部分を更に添加して共に混合することができる。
ステップ4. 成分Bの一部分を混合物に添加することができる。
ステップ5. 混合物が成分A、A、B、BおよびDの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分Dの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0067】
上記に加えて、不連続結合剤媒体の使用は、成分Dの一部とみなされる。不連続結合剤媒体の使用により、電極の活物質と電池の層全体にわたって分散したイオン伝導性粒子との間、または電解質層を形成するポリマー固体状態粒子間の界面における荷電種の輸送を阻止することなく、連続したコンフォーマルな被覆の機能が提供される。
【0068】
そのような戦略を展開するために、段階的混合がここでも利用され、これによって、最初に、所与の電極の活物質を、湿潤スラリーまたは乾燥スラリーにおいて固体の電解質粉体と混合して、固体状態の電解質を有する活物質の表面被覆を確立することができる。次に、このイオン伝導性粉体被覆活物質を、スラリーの溶媒における溶解に対し耐性のある結合剤媒剤と混合することができる。固体の電解質被覆活物質と不溶性結合剤媒剤との混合に続いて、追加の可溶性結合剤成分を添加して、イオン伝導性および電気活性種の機能を損なうことなく、電極の機械的耐性を調整することができる。
【0069】
このプロセスの例を以下のように説明することができる。
ステップ1. 最初に、成分Aを成分Bの一部分と混合することができる。
ステップ2. 成分Aおよび成分Bの混合物を、成分D1A(不溶性結合剤)の一部分と混合して、B粒子で修飾されたA粒子と、D1A(不溶性結合剤)粒子との分散集団を提供することができる。
ステップ3. Bの一部分および成分D1B(可溶性結合剤)を、成分Aおよび成分Bおよび成分D(不溶性結合剤)の混合物に添加することができる。
ステップ4. 独立して、または成分A、成分BおよびD1A(不溶性)の混合物と組み合わせて、成分BおよびAを、成分D1B(可溶性結合剤)の一部分を更に添加して共に混合することができる。
ステップ5. 成分Bの一部分を混合物に添加することができる。
ステップ6. 混合物が成分A、A、B、B、D1AおよびD1Bの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分D1Bの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0070】
上記の成分の意図される分布を促進するために、成分粒径分布の最適化を誘導する方法の使用において以下のパラメータを適用することができる。
- 固体のポリマー電解質に対する電極活物質の平均直径の比は、7未満、6未満、5未満または4未満とすることができる。
- カソード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、<20ミクロン、5ミクロン超または10ミクロンとすることができる。
- カソード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、>0.5ミクロン、>1ミクロン、<15ミクロン、<5ミクロンまたは1.5ミクロンとすることができる。
- カソード活物質の最小の特徴的粒径は、0.5超、>1、>2または>5ミクロンとすることができ、カソードの最大の特徴的粒径は<70、<50、<30、<20または<15ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<5ミクロンまたは>1.6ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<1.5ミクロン、>0.35ミクロンまたは0.7ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最小の特徴的粒径は、<1ミクロン、<0.5ミクロン、<0.2ミクロンまたは<0.05ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最大の特徴的粒径は、>10ミクロン、>20ミクロンまたは<50ミクロンとすることができる。
- 部分集団の粒径分布は、個々のまたは複数の成分を含む対数正規分布関数を用いて近似することができる。成分Aおよび成分Bは、対数正規分布を有する複数の成分を用いて近似することができる。
【数1】

- ここで、xは粒径であり、μは平均粒径であり、σは標準偏差または分散度である。
- 成分Aの分散度は、<0.5、<0.4、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Aの分散度は、<0.5、<0.45、<0.4、<0.3、<0.25または<0.15とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.7、<0.65または<0.6とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.7、<0.6、<0.5、<0.4、<0.3または<0.2とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.9、<0.8、<0.7、<0.6、<0.5、<0.45または<0.4とすることができる。
【0071】
カソード・スラリー被覆プロセス
1つの例において、カソード・スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法(例えば、例示的な手順1、2または3)のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、複数のオーブンのセットを通過し、ここで、30~200g/minの蒸発速度範囲を達成するために、乾燥条件を設定することができる。この範囲の値は、成分D1(結合剤)の低減したマイグレーションまたは空間的勾配、成分B(固体のイオン伝導性ポリマー材料)の網状分布、被覆の幅にわたる被覆重量の最適化された均一性、および良好な被覆付着(≧10gf/in)のために最適化することができる。後者のパラメータは、表面上または型打ちされた電極の縁部に沿った剥離により被覆の完全性を損なうことなく、電極の後続の型打ちを提供することができる。
【0072】
カソードにおけるポリマー電解質の2D分布の特徴付け
成分Bの2D分布は、SEM-EDS画像から定量化される。図10によって示すようなSEM画像1000において、成分Bが白色で強調され、背景が黒色で示された、カソード被覆の表面が示される。
- 最近傍距離(NND)分析を用いて、ポリマー電解質の2D分布は、3~10μmの平均NNDでクラスター化することができる。
- 最大フェレ距離、すなわち成分B粒子の境界上の2つの点間の最長距離は、0.6~10μmとすることができる。
- 粒子の面積は、0.2~23μmとすることができる。
- 以下によって定義されたカソードにおける粒子の真円度は0.2~1.0とすることができる。
【数2】
【0073】
アノード
カソードに関する論考に類似して、アノード層も開示されたプロセスを利用することができる。1つの例において、セルのアノード層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、成分材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。
【0074】
この例において、アノード、およびアノードが得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、前記層の製造を終了させるのに必要なステップ中に、スラリーの鋳造後に除去することができる。
【0075】
スラリー等の形態のアノードの複合物は、以下に従って定義することができる。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D
- ここで、成分Aはアノード活物質に対応する。
- ここで、成分Bは伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分に対応する。
それによって、アノード・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
- グラファイト、シリコン、シリコン酸化物、リチウム金属、リチウムチタン酸化物等の、0.01~20μmの一次粒径、または50μm未満の箔厚を有する活物質のうちの1つまたは組み合わせ
成分B
- 0.01~20μmの一次粒径を有するイオン伝導性物質としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D2:カーボンブラック、スーパーP、気相成長炭素繊維等の電子伝導体
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の1つまたは複数の分散溶媒
- 成分D5:LiNbO、LiTaO、LiNbTa1-x、BaTiO等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、界面インピーダンスの低減のための1つまたは複数の無機添加物、および、0.01~10ミクロンの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D6:P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiO等の固体電解質層におけるポリマー電解質の機械的完全性を改善し、その補足機能を提供するための1つまたは複数の添加物、および、0.01~10μmの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
【0076】
溶媒を除いて、アノード・スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことができる。
- 0~10wt.%の固体のイオン伝導性ポリマー材料
- 85~95wt.%の活物質
- 0.1~10wt.%の結合剤含量
- 1~10wt.%の電子伝導体
- 0~5wt.%の界面活性剤含量
【0077】
この例では、アノード層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- 成分Aの体積%は、>35%、>50%、>55%、>60%または>70%とすることができる。これらの値は、カソードの例と同様に、15~40体積%の空隙率値を盛り込むことを含むことに留意されたい。
- 成分Bの体積%は、<35%、<30%、<25%、<20%または<15%とすることができる。
- 成分Cの体積%は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
- 成分Dの体積%は、<30%、<25%、<10%または<5%とすることができる。
- 成分Cおよび成分Dの体積%の和は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
【0078】
粉体形態の成分AおよびBを含む粒子の粒径は、以下によって記載することもできる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Aを含む体積%のうち、平均値A1,mean>Ameanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Aによって識別される、成分Aの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するA2,mean<Ameanの集団に属する。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Bを含む体積%のうち、平均値B1,mean>Bmeanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が>80%、<85%、<90%または<95%を形成し、Bによって識別される、成分Bの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するB2,mean<Bmeanの集団に属する。
【0079】
複合物(全体)を形成する成分Aおよび成分Bの相対比率は以下のように記述することができる。
- 固体体積全体のうちの或る百分率を含む成分Aの体積%が増大すると、Bを含む成分Bの体積%が、Bを含む成分Bの体積%に対し増大することになる。
- 成分Aに対する成分Aの比が減少すると、Bを含む成分Bの体積%に対するBを含む成分Bの体積%の比が減少することになる。
- Aの形態で複合物(全体)に添加される成分Aの比率は、100%、<95%、<90%、<85%、<80%または<75%とすることができる。
- Bの形態で複合物(全体)に添加される成分Bの比率は、100%、<90%、<80%、<70%、<60%、<50%、40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
【0080】
被覆の前に、負極スラリーは、以下によって特徴付けることができる。
- 85Hzにおいて1100~2800cpsの粘度
- 40~65%の固体含量
- 80μm未満または50μm未満のヘグマン・ゲージ
- 以下のような粒径分布:d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<140μm
【0081】
代表的な粒径分布曲線が、図11のプロット1100に示される。表2は、アノード材料被覆のためのスラリーの粒径分布を提供するのに対し、代表的粘度曲線が図12のプロット1200に示され、ここで、粘度はせん断速度に対しプロットされる。
表2:プロット1100によって示されるような、アノード材料被覆のためのスラリーの粒径分布
【表2】
【0082】
上記の方法に続いて、低湿度環境において、室温(20℃)~60℃でカレンダ加工を行うことができることを理解されたい。カレンダ加工後の負極の厚みは、100~400μmとすることができる。
【0083】
アノード・スラリー混合プロセス
アノード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順4:成分D1Aの3段階添加
成分D1Aは、ステップii、iiiおよびviにおいて添加することができる。
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2の分散
5~30%の比率の成分D1A溶液および成分D2を30~90分混合することができる。このステップの後、スラリーは、1~25wt.%の固体含量によって特徴付けることができる。
iv. 成分Bの分散
成分Bおよび30~70%の別の比率の成分D1A溶液を上記のスラリーに添加し、30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%とすることができる。
v. 成分Aの分散
成分Aの半分を混合容器に添加することで、25~60wt.%の固体含量をもたらすことができ、溶液は45~120分混合することができる。成分Aのもう半分を混合容器に添加することで、40~70wt.%の固体含量をもたらし、120分~16時間混合することができる。
vi. 成分D1Bの分散
10~50%の別の比率の成分D1Aを上記スラリーに添加し、30~90分混合し、40~70wt.%の固体含量にすることができる。成分D1B溶液をスラリーに添加し、30~90分混合することができる。このステップの後、スラリーは、40~65wt.%の固体含量および1100~2800cpsの粘度によって特徴付けることができる。
vii. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、最終スラリー特性を調整することができる。スラリーは、真空下で30~120分混合することができる。
【0084】
アノード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順5:成分D1Aの2段階添加
成分D1Aは、ステップiiおよびvにおいて添加することができる。
vi. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
vii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
viii. 成分D2の分散
50~85%の比率の成分D1Aおよび成分D2Bを30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は1~25wt.%とすることができる。
ix. 成分Bの分散
成分Bを上記のスラリーに添加し、30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%とすることができる。
x. 成分Aの分散
成分Aの半分を混合容器に添加することができ、溶液は45~120分混合することができる。このステップの後、固体含量は25~60wt.%にある。成分Aのもう半分、および15~50%の比率の成分D1A溶液を混合容器に添加し、120分~16時間混合することができる。このステップの後、スラリー特性は、40~70wt.%の固体含量を含むことができる。
xi. 成分D1Bの分散
成分D1B溶液をスラリーに添加し、30~90分混合することができる。
xii. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、最終スラリー特性を調整することができる。スラリーは、真空下で30分~120分混合することができる。最終的なスラリー特性は以下の通りとすることができる。
- d10<15μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
- ヘグマン・ゲージ<80μm
- 40~65wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて1100~2800cpsの粘度
【0085】
アノード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順6:一次成分AおよびBの単一段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高速分散機を備えた単一シャフト・ミキサを用いて達成することができる。混合プロセス全体にわたって、高せん断力軸混合速度は500~1200rpmに保つことができる。
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2、BおよびAの分散
成分D2は、成分Bおよび全ての成分Aと共に或る比率の成分D1A溶液内に90~120分分散させることができる。このステップにおけるスラリーの固体含量は40~60%とすることができる。
iv. 成分D1Bの分散
次に、スラリーは、成分D1A溶液の残りの部分で60~90分希釈することができる。最後に、成分D1B溶液をスラリー内に60~90分混合することができる。最終的な固体含量は45~50%とすることができる。
【0086】
アノード・スラリー混合プロセスのための手順6のプロセス流れ図1300図13に示される。
【0087】
アノード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順7:一次成分Aの単一段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高速分散機を備えた単一シャフト・ミキサを用いて達成することができる。混合プロセス全体にわたって、高せん断力軸混合速度は500~1200rpmに保つことができる。
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2およびD3の分散
成分D2および成分D3は成分D1A溶液内に分散させることができる。このステップにおける固体含量は1~15%とすることができる。
iv. 成分Bの分散
成分Bを添加し、30~90分混合することができる。このステップにおける固体含量は5~30%とすることができる。
v. 成分Aの分散
次に、全ての成分Aをスラリー内に90~120分分散させることができる。このステップにおける固体含量は40~70%とすることができる。
vi. 成分D1Bの分散
最後に、成分D1B溶液をスラリー内に30~60分混合することができる。このステップにおける固体含量は45~65%とすることができる。
【0088】
アノード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順7のプロセス流れ図1400図14に示される。
【0089】
アノード・スラリー混合プロセスのための例示的な手順8:成分D1Aの4段階添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2およびBの分散
55~90%の比率の成分D1溶液、成分D2および成分Bを60~180分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~20wt.%とすることができる。
iv. 成分Aの分散
成分Aの半分を混合容器に添加することができ、溶液は60~240分混合することができる。このステップの後、スラリー特性は、25~55wt.%の固体含量を含む。成分Aのもう半分をスラリーに添加することができる。この時点において、10~45%の比率の成分D1A溶液を添加することができる。スラリーは、120分~16時間混合することができる。このステップの後、固体含量は40~75wt.%とすることができる。
v. 成分D1Aの残りの部分の分散
この時点において、10~45%の比率の成分D1A溶液を添加することができる。スラリーは、30~60分混合することができる。このステップの後、固体含量は40~70wt.%とすることができる。
vi. 成分D1Bの分散
成分D1B溶液および成分D1A溶液の残りをスラリーに添加することができる。このステップにおいて、いくらかの溶媒も添加して、スラリー粘度を調整することができる。スラリーは、30分~16時間混合することができる。
vii. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、最終スラリー特性を調整することができる。スラリーは、真空下で30分~120分混合することができる。最終的なスラリー特性は以下の通りとすることができる。
- d10<15μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
- ヘグマン・ゲージ<80μm
- 40~65wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて1100~2800cpsの粘度
【0090】
表3は、グラファイト(アノード活物質)を用いたアノード・スラリー混合プロセスの例を提供する。
表3:グラファイト(アノード活物質)を用いたアノード・スラリー混合プロセスの例
【表3】
【0091】
固体の電解質成分の分布のための混合への代替的な手段も提供される。
【0092】
例えば、成分粒子の分布が、成分材料の機能性を保存して最適密度を提供することを促進するために、異なる材料の微粒子集団を混合物に添加することができる順序を注意深く選択することができる。上記で説明したように、より小さな粒子には、より大きな粒子間に点在する傾向が存在する。これが効果的に生じるように、より大きな粒子の分布の均一性を最初に確立しなくてはならない。更に、可能な限り高い重量容量を達成するために、成分材料の各々の全体の導入をサブセット単位で行い、より小さな粒子に対する大きな粒子集団の分布を設計することができる。
【0093】
Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義されたアノード層の複合体積の上記の定義を所与とする。
- ここで、成分Aはアノード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
【0094】
上記の設計判断基準を検討して、以下に、アノード層の成分を結合して混合プロセスにより成分A、B、CおよびDの混合物を形成することができる順序を規定する。
ステップ1. 最初に、成分Aを成分Bの一部分と混合することができる。
ステップ2. 成分Aを成分Dの一部分と混合して、A粒子の分散集団を提供することができる。
ステップ3. 独立して、または成分Aと組み合わせて、成分BおよびAを、成分Dの一部分を更に添加して共に混合することができる。
ステップ4. 成分Bの一部分を混合物に添加することができる。
ステップ5. 混合物が成分A、A、B、BおよびDの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分Dの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0095】
上記の戦略の更なる制限は、成分Dの一部としての不連続結合剤媒体の使用を伴う。不連続結合剤媒体の使用により、電極の活物質と電池の層全体にわたって分散したイオン伝導性粒子との間、または電解質層を形成するポリマー固体状態粒子間の界面における荷電種の輸送を阻止することなく、連続したコンフォーマルな被覆の機能が提供される。そのような戦略を展開するために、段階的混合がここでも利用され、これによって、最初に、所与の電極の活物質を、湿潤スラリーまたは乾燥スラリーにおいて固体の電解質粉体と混合して、固体状態の電解質を有する活物質の表面被覆を確立することができる。次に、このイオン伝導性粉体被覆活物質を、スラリーの溶媒における溶解に対し耐性のある結合剤媒剤と混合することができる。固体の電解質被覆活物質と不溶性結合剤媒剤との混合に続いて、追加の可溶性結合剤成分を添加して、イオン伝導性および電気活性種の機能を損なうことなく、電極の機械的耐性を調整することができる。
【0096】
このプロセスの例を以下に説明することができる。
ステップ1. 最初に、成分Aを成分Bの一部分と混合することができる。
ステップ2. 成分Aおよび成分Bの混合物を、成分D1A(不溶性結合剤)の一部分と混合して、B粒子で修飾されたA粒子と、D1A(不溶性結合剤)粒子との分散集団を提供することができる。
ステップ3. Bの一部分および成分D1B(可溶性結合剤)を、成分Aおよび成分Bおよび成分D(不溶性結合剤)の混合物に添加することができる。
ステップ4. 独立して、または成分A、成分BおよびD1A(不溶性)の混合物と組み合わせて、成分BおよびAを、成分D1B(可溶性結合剤)の一部分を更に添加して共に混合することができる。
ステップ5. 成分Bの一部分を混合物に添加することができる。
ステップ6. 混合物が成分A、A、B、B、D1AおよびD1Bの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分D1Bの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0097】
上記の成分の意図される分布を促進するために、成分粒径分布の最適化を誘導する方法に関して以下のパラメータを用いることができる。
- 固体のポリマー電解質に対する電極活物質の平均直径の比は、7未満、6未満、5未満または4未満とすることができる。
- アノード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、<30ミクロン、5ミクロン超または1ミクロンとすることができる。
- アノード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、>0.5ミクロン、>1ミクロン、<5ミクロンまたは1.5ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<5ミクロンまたは>1.6ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<1.5ミクロン、>0.35ミクロンまたは0.7ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最小の特徴的粒径は、<1ミクロン、<0.5ミクロン、<0.2ミクロンまたは<0.05ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最大の特徴的粒径は、>10ミクロン、>20ミクロンまたは<50ミクロンとすることができる。
- アノード活物質の最小の特徴的粒径は、0.5超、>1、>2または>5ミクロンとすることができ、アノードの最大の特徴的粒径は<70、<60、<50、<40、<30、<20または<15ミクロンとすることができる。
- 部分集団の粒径分布は、個々のまたは複数の成分を含む対数正規分布関数を用いて近似することができる。成分Aおよび成分Bは、対数正規分布を有する複数の成分を用いて近似することができる。
【数3】

- ここで、xは粒径であり、μは平均粒径であり、σは標準偏差または分散度である。
- 成分Aの分散度は、<0.5、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Aの分散度は、<0.45、<0.4、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.7、<0.65または<0.6とすることができる。
- 成分B1の分散度は、<0.7、<0.6、<0.5、<0.4、<0.3または<0.2とすることができる。
- 成分B2の分散度は、<0.9、<0.8、<0.7、<0.6、<0.5、<0.45または<0.4とすることができる。
【0098】
アノード・スラリー被覆プロセス
1つの例において、アノード・スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法(例えば、例示的な手順4、5、6、7または8)のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、複数のオーブンのセットを通過し、ここで、30~150g/minの蒸発速度範囲を達成するために、乾燥条件を設定することができる。この範囲の値は、成分D1(結合剤)の低減したマイグレーションまたは空間的勾配、成分B(固体のイオン伝導性ポリマー材料)の網状分布、被覆の幅にわたる被覆重量の最適化された均一性、および良好な被覆付着(≧10gf/in)のために最適化することができる。後者のパラメータは、表面上または型打ちされた電極の縁部に沿った剥離により被覆の完全性を損なうことなく、電極の後続の型打ちを行うために重要であり得る。
【0099】
界面カソード-セパレータ層
別の例において、セルの界面カソード-セパレータ層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、成分材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。
【0100】
1つの例において、界面カソード-セパレータ層、および界面カソード-セパレータ層が得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、前記層の製造を終了させるのに必要なステップ中に、スラリーの鋳造後に除去することができる。
【0101】
カソード層とセパレータ層との間の界面層を施すために用いられるスラリーは、一次イオン伝導性媒体としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料、および一次エネルギー貯蔵媒体としてのカソード活物質を含まなくてはならない。固体のイオン伝導性ポリマー材料の一次粒径は、0.01~20μmとすることができる。
【0102】
1つの例において、スラリー等の形態の界面カソード-セパレータの複合物は、以下に従って定義することができる。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D
- ここで、成分Aはカソード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
それによって、界面カソード-セパレータ・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
- 以下の活物質のうちの1つまたは複数等の活物質のうちの1つまたは組み合わせ:0.01~20μmの一次粒径を有するリン酸鉄リチウム(LFP)、スピネルLNMO、LiCoPO、LiNiPO、LVP、LVPF、LiNiMnCo、またはLiNiCoAl
成分B
- 0.01~20μmの一次粒径を有するイオン伝導性物質としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D2:カーボンブラック、スーパーP、気相成長炭素繊維等の電子伝導体
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の1つまたは複数の分散溶媒
- 成分D5:LiNbO、LiTaO、LiNbTa1-x、BaTiO等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、界面インピーダンスの低減のための1つまたは複数の無機添加物、および、0.01~10ミクロンの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D6:B、Al、γ-AlO(OH)、Ga、Y、La等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、固体電解質層の機械的完全性を改善するための1つまたは複数の添加物、および、0.01~10μmの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D7:LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiRFSO、LiCHSO、LiN(RFSO、LiC(RFSO、LiTFSI(リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ホウ酸)、LiBETI(リチウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド)等の、Li陽イオンを含む1つまたは複数のLi塩
- 成分D8:界面インピーダンス低減のための1つまたは複数の添加物、例えばウレタン含有分子、例えばウレタン官能化PEG、ウレタン官能化ペルフルオロポリエーテル、およびアルキルウレタン;1-メチル-3-ピロリジノン;1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1,5-ジメチル-2-ピロリジノン;アルキル置換ピリジニウム系イオン液体、アルキル置換ピロリジニウム系イオン液体、および対アニオンを有するアルキル置換アンモニウム系イオン液体、例えばTFSI、PF、BFアニオン;末端官能基と置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばカーボネート(線状または環状)、カーバメート(線状または環状)、またはニトリル;ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル;ジオクチルスルホスクシネートナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;グリコール酸エトキシレート4-tert-ブチルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル;グリコール酸エトキシレート4-ノニルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル;ポリ(エチレングリコール)4-ノニルフェニル3-スルフォプロピルエーテルナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;およびナトリウム、リチウム、またはドデシルベンゼンスルホン酸カリウム
【0103】
この例において、溶媒を除いて、カソード層とセパレータ層との間の界面層スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことができる。
- 12~45wt.%の固体のイオン伝導性ポリマー材料
- 50~85wt.%の活物質
- 0.1~10wt.%の結合剤含量
- 1~10wt.%の電子伝導体
- 0~5wt.%の界面活性剤含量
【0104】
いくつかの例では、カソード-セパレータ界面層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- 成分Aの体積%は、>15%、>30%、>45%、>50%、>55%または>60%とすることができる。
- 成分Bの体積%は、<70%、<60%、<50%、<45%、<40%、<35%、<30%または<25%とすることができる。
- 成分Cの体積%は、<40%、<30%、<20または<15%とすることができる。
- 成分Dの体積%は、<30%、<25%、<10%または<5%とすることができる。
- 成分Cおよび成分Dの体積%の和は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
【0105】
粉体形態の成分AおよびBを含む粒子の粒径は、以下によって記載することもできる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Aを含む体積%のうち、平均値A1,mean>Ameanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<20%、<15%、<10%および<5%を形成し、Aによって識別される、成分Aの残りの部分は、A2,mean<Ameanの集団に属する。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Bを含む体積%のうち、平均値B1,mean>Bmeanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Bによって識別される、成分Bの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するB2,mean<Bmeanの集団に属する。
【0106】
例えば、複合物(全体)を形成する成分Aおよび成分Bの相対比率は以下のように記述することができる。
- Aの形態で複合物(全体)に添加される成分Aの比率は、25%、<20%、<15%、<10%、<5%とすることができる。
- Bの形態で複合物(全体)に添加される成分Bの比率は、>35%、>45%、>55%、>65%、>75%、>85%とすることができる。
【0107】
被覆の前に、カソード-セパレータ界面スラリーは、以下によって特徴付けることができる。
- 平行板流体測定法によって測定される、85Hzにおける500~2600cpsの粘度
- 40~75%の固体含量
- 90μm未満または50μm未満のヘグマン・ゲージ
- 以下のような粒径分布:d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
【0108】
カレンダ加工後の界面カソード-セパレータ界面層を含む正極厚みは、105~450μmとすることができる。カレンダ加工は、低湿度環境において室温(20℃)~140℃で行うことができる。
【0109】
カソード-セパレータ界面層スラリー混合プロセス
複数の例示的なプロセスが以下で説明される。
【0110】
カソード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順9:複数の段階における溶液としての成分D1(結合剤)の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1を成分D4において溶解させて、1~15wt.%の溶液を形成することができる。
iii. 成分D2の分散
10~60%の比率の成分D1溶液および成分D2を30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%にある。
iv. 成分Bの分散
次に、成分Bおよび5~40%の別の比率の成分D1を上記の懸濁液に添加し、30~90分混合することができる。このステップに続いて、固体含量は10~50wt.%になり得る。
v. 成分Aの分散
成分Aの半分を、10~70%の別の比率の成分D1溶液と共に混合容器に添加することができ、溶液は更に45~120分混合することができる。このステップの後、固体含量は40~80wt.%とすることができる。成分Aのもう半分、および残りの比率の成分D1溶液を混合容器に添加し、120分~16時間混合することができる。
vi. 目標固体百分率
この時点において、いくつかの追加の成分D4を添加し、上記で成分D4について提供されたオプションにおいて記載された最終的なスラリー特性を目標にすることができる。このステップの後、スラリー特性は以下となるはずである。
・ d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
・ ヘグマン・ゲージ<50μm
・ 40~80wt.%の固体含量
・ 85Hzにおいて2000~2600cpsの粘度
【0111】
例示的な手順9のプロセス流れ図900図9に示される。
【0112】
カソード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順10:単一の段階における粉体としての結合剤の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D2の分散
成分D4、成分D1および成分D2を30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%とすることができる。
iii. 成分Bの分散
成分Bおよび更なる成分D4を上記の懸濁液に添加し、30~90分混合することができる。このステップに続いて、スラリー固体含量は10~50wt.%になり得る。
iv. 成分Aの分散
成分Aの半分を更なる成分D4と共に混合容器に添加することができ、溶液は更に45~120分混合することができる。このステップの後、スラリー固体含量は40~80wt.%にある。成分Aのもう半分、および更なる成分D4を混合容器に添加し、120分~16時間混合することができる。
v. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、本明細書において上記で説明した最終スラリー特性を目標にすることができる。このステップの後、スラリー特性は以下とすることができる。
・ d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
・ ヘグマン・ゲージ<50μm
・ 40~80wt.%の固体含量
・ 85Hzにおいて1000~2000cpsの粘度
【0113】
カソード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順11:高せん断力分散機のみを用いた混合
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高速分散機を備えた単一シャフト・ミキサを用いて達成することができる。混合プロセス全体にわたって、高せん断力軸混合速度は0~1500rpmに保つことができる。
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1を成分D4において溶解させて、1~15wt.%の溶液を形成することができる。
iii. 成分D2の分散
D4溶液における成分D1を用いることができ、上記で成分D2について提供されたオプションからの成分D2Aを最初に分散させることができる。これを30~90分混合することができる。次に、第2の成分である、上記で成分D2について提供されたオプションからの成分D2Bを更に30~90分分散させることができる。固体含量は概ね10%とすることができる。
iv. 成分Bの分散
次に、成分Bをスラリー内に30~90分分散させることができる。このステップの後、成分Aの全体を添加することができ、ここで、スラリーは、2~12時間の混合を受けることができる。
v.目標固体百分率
最終的に、成分D4を添加し、スラリーの固体含量を50~60%に調整することができる。
【0114】
固体の電解質成分の分布のための混合への代替的な手段も提供される。
【0115】
他の例において上記で説明したように、成分粒子の分布が、成分材料の機能性を保存して最適密度を提供することを促進するために、異なる材料の微粒子集団を混合物に添加することができる順序を注意深く選択しなくてはならない。より小さな粒子には、より大きな粒子間に点在する傾向が存在する。これが効果的に生じるように、より大きな粒子の分布の均一性を最初に確立しなくてはならない。更に、可能な限り高い重量容量を達成するために、成分材料の各々の全体の導入をサブセット単位で行い、より小さな粒子に対する大きな粒子集団の分布を設計することができる。
【0116】
カソード-セパレータ層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- ここで、成分Aはカソード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
【0117】
上記の設計判断基準を検討して、以下に、カソード-セパレータ層の成分を結合して混合プロセスにより成分A、B、CおよびDの混合物を形成することができる順序を規定する。
ステップ1. 成分AおよびBは、ステップ単位で結合することができ、成分Dの一部分と混合して、分散集団をもたらすことができる。
ステップ2. 成分Bの一部分を混合物に添加し、成分Dの一部分を更に添加することができる。
ステップ3. 混合物が成分A、B、BおよびDの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分Dの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0118】
同様に、上記で説明したように、上記の戦略は、成分Dの一部としての不連続結合剤媒体を用いることができる。不連続結合剤媒体の使用により、電極の活物質と電池の層全体にわたって分散したイオン伝導性粒子との間、またはセパレータ層を形成するポリマー固体状態粒子間の界面における荷電種の輸送を阻止することなく、連続したコンフォーマルな被覆の機能が提供される。そのような戦略を展開するために、段階的混合がここでも利用され、これによって、最初に、所与の電極の活物質を、湿潤スラリーまたは乾燥スラリーにおいて固体の電解質粉体と混合して、固体状態の電解質を有する活物質の表面被覆を確立することができる。次に、このイオン伝導性粉体被覆活物質を、スラリーの溶媒における溶解に対し耐性のある結合剤媒剤と混合することができる。固体の電解質被覆活物質と不溶性結合剤媒剤との混合に続いて、追加の可溶性結合剤成分を添加して、イオン伝導性および電気活性種の機能を損なうことなく、電極の機械的耐性を調整することができる。
【0119】
例えば、このプロセスの一バージョンを以下のように説明することができる。
ステップ1. 成分AおよびBは、ステップ単位で結合することができ、成分Dの一部分と混合して、分散集団をもたらすことができる。
ステップ2. 成分AおよびBの混合物を、成分D1A(不溶性結合剤)の一部分と混合して、A、BおよびD1A粒子の分散集団を提供することができる。
ステップ3. 成分Bの一部分を混合物に添加し、成分D1Bの一部分(可溶性結合剤)を更に添加することができる。
ステップ4. 混合物が成分A、B、BおよびDの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分D1Bの残りの部分(可溶性結合剤)を段階的に混合物に添加することができる。
【0120】
上記の説明と同様に、上記の成分の意図される分布を促進するために、成分粒径分布の最適化を誘導する方法に以下のパラメータを適用することができる。
- 固体のポリマー電解質に対する電極活物質の平均直径の比は、7未満、6未満、5未満または4未満とすることができる。
- カソード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、<20ミクロン、5ミクロン超または10ミクロンとすることができる。
- カソード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、>0.5ミクロン、>1ミクロン、<15ミクロン、<5ミクロンまたは1.5ミクロンとすることができる。
- カソード活物質の最小の特徴的粒径は、0.5超、>1、>2または>5ミクロンとすることができ、カソードの最大の特徴的粒径は<70、<50、<30、<20または<15ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<5ミクロンまたは>1.6ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<1.5ミクロン、>0.35ミクロンまたは0.7ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最小の特徴的粒径は、<1ミクロン、<0.5ミクロン、<0.2ミクロンまたは<0.05ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最大の特徴的粒径は、>10ミクロン、>20ミクロンまたは<50ミクロンとすることができる。
- 部分集団の粒径分布は、個々のまたは複数の成分を含む対数正規分布関数を用いて近似することができる。成分Aおよび成分Bは、対数正規分布を有する複数の成分を用いて近似することができる。
【数4】

- ここで、xは粒径であり、μは平均粒径であり、σは標準偏差または分散度である。
- 成分Aの分散度は、<0.5、<0.4、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Aの分散度は、<0.5、<0.45、<0.4、<0.3、<0.25または<0.15とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.7、<0.65または<0.6とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.7、<0.6、<0.5、<0.4、<0.3または<0.2とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.9、<0.8、<0.7、<0.6、<0.5、<0.45または<0.4とすることができる。
【0121】
カソード-セパレータ界面層スラリー被覆プロセス
1つの例において、カソード-セパレータ界面層は、セパレータ層と電極との間の高い調和を確保するために、正極、負極または双方の電極上に被覆、鋳造、堆積または載置することができる。被覆プロセスは、以下の構成に従って行うことができる。
- アノード上およびカソード上に被覆された同じセパレータ調合物
- 各電極とセパレータとの間の最適化された化学的および電気化学的安定性を可能にする、アノード上に被覆された2つの異なるセパレータ調合物
- セパレータにより電極の化学的および電気化学的安定性を向上させるセパレータ組成の傾斜を可能にする、アノード上および/またはカソード上に被覆された異なる調合物の連続層
【0122】
セパレータ層が被覆される電極を、連続して覆うことを確実にするために、2つの被覆層の幅は同一にすることができる。セパレータ層の幅は、支持電極の被覆幅よりもわずかに大きくすることもできる。
【0123】
カソード-セパレータ界面層スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法(例えば、例示的な手順9、10または11)のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、複数のオーブンのセットを通過し、ここで、30~200g/minの蒸発速度範囲を達成するために、乾燥条件を設定することができる。この範囲の値は、成分D1(結合剤)の低減したマイグレーションまたは空間的勾配、成分B(固体のイオン伝導性ポリマー材料)の網状分布、被覆の幅にわたる被覆重量の最適化された均一性、および良好な被覆付着(≧10gf/in)のために最適化することができる。後者のパラメータは、表面上または型打ちされた電極の縁部に沿った剥離により被覆の完全性を損なうことなく、電極の後続の型打ちを提供することができる。
【0124】
界面アノード-セパレータ層
1つの例において、セルの界面アノード-セパレータ層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、成分材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。
【0125】
界面アノード-セパレータ層、および界面アノード-セパレータ層が得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、前記層の製造を終了させるのに必要なステップ中に、スラリーの鋳造後に除去することができる。
【0126】
アノード層とセパレータ層との間の界面層を施すために用いられるスラリーは、一次イオン伝導性媒体としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料、および一次エネルギー貯蔵媒体としてのアノード活物質を含まなくてはならない。固体のイオン伝導性ポリマー材料の一次粒径は、0.01~20μmとすることができる。
【0127】
スラリー等の形態のアノード-セパレータの複合物は、以下に従って定義することができる。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D
- ここで、成分Aはアノード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
それによって、界面アノード-セパレータ・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
- グラファイト、シリコン、シリコン酸化物、リチウム金属、リチウムチタン酸化物等の、0.01~20μmの一次粒径、または50μm未満の箔厚を有する活物質のうちの1つまたは組み合わせ
成分B
- 0.01~20μmの一次粒径を有するイオン伝導性物質としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D2:カーボンブラック、スーパーP、気相成長炭素繊維等の電子伝導体
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の1つまたは複数の分散溶媒
- 成分D5:LiNbO、LiTaO、LiNbTa1-x、BaTiO等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、界面インピーダンスの低減のための1つまたは複数の無機添加物、および、0.01~10ミクロンの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D6:B、Al、γ-AlO(OH)、Ga、Y、La等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、固体電解質層の機械的完全性を改善するための1つまたは複数の添加物、および、0.01~10μmの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D7:LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiRFSO、LiCHSO、LiN(RFSO、LiC(RFSO、LiTFSI(リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ホウ酸)、LiBETI(リチウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド)等の、Li陽イオンを含む1つまたは複数のLi塩
- 成分D8:界面インピーダンス低減のための1つまたは複数の添加物、例えばウレタン含有分子、例えばウレタン官能化PEG、ウレタン官能化ペルフルオロポリエーテル、およびアルキルウレタン;1-メチル-3-ピロリジノン;1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1,5-ジメチル-2-ピロリジノン;アルキル置換ピリジニウム系イオン液体、アルキル置換ピロリジニウム系イオン液体、および対アニオンを有するアルキル置換アンモニウム系イオン液体、例えばTFSI、PF、BFアニオン;末端官能基と置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばカーボネート(線状または環状)、カーバメート(線状または環状)、またはニトリル;ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル;ジオクチルスルホスクシネートナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;グリコール酸エトキシレート4-tert-ブチルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル;グリコール酸エトキシレート4-ノニルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル;ポリ(エチレングリコール)4-ノニルフェニル3-スルフォプロピルエーテルナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;およびナトリウム、リチウム、またはドデシルベンゼンスルホン酸カリウム
【0128】
溶媒を除いて、アノード層とセパレータ層との間の界面層スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことになる。
- 10~70wt.%の固体のイオン伝導性ポリマー材料
- 30~85wt.%の活物質
- 0.1~10wt.%の結合剤含量
- 1~10wt.%の電子伝導体
- 0~5wt.%の界面活性剤含量
これについて、アノード-セパレータ界面層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- 成分Aの体積%は、>10%、>20%、>30%、>40%、>50%または>60%とすることができる。
- 成分Bの体積%は、<85%、<75%、<65%、<55%、<45%、<35%または<30%とすることができる。
- 成分Cの体積%は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
- 成分Dの体積%は、<30%、<25%、<10%または<5%とすることができる。
- 成分Cおよび成分Dの体積%の和は、<40%、<30%、<20%または<15%とすることができる。
【0129】
粉体形態の成分AおよびBを含む粒子の粒径は、以下によって記載することもできる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Aを含む体積%のうち、平均値A1,mean>Ameanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<20%、<15%、<10%または<5%を形成し、Aによって識別される、成分Aの残りの部分は、A2,mean<Ameanの集団に属する。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Bを含む体積%のうち、平均値B1,mean>Bmeanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Bによって識別される、成分Bの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するB2,mean<Bmeanの集団に属する。
【0130】
複合物(全体)を形成する成分Aおよび成分Bの相対比率は以下のように記述することができる。
- Aの形態で複合物(全体)に添加される成分Aの比率は、25%、<20%、<15%、<10%、<5%とすることができる。
- Bの形態で複合物(全体)に添加される成分Bの比率は、>35%、>45%、>55%、>65%、>75%、>85%とすることができる。
【0131】
被覆の前に、アノード-セパレータ界面スラリーは、以下によって特徴付けることができる。
- 85Hzにおいて500~2600cpsの粘度
- 40~75%の固体含量
- 90μm未満または50μm未満のヘグマン・ゲージ
- 以下のような粒径分布:d10<10μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
【0132】
この例において、カレンダ加工後の界面アノード-セパレータ界面層を含む正極厚みは、105~450μmとすることができる。
【0133】
アノード-セパレータ界面層スラリー混合プロセス
以下に、アノード-セパレータ界面スラリーを形成する例示的な手順が提供される。
【0134】
アノード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順12:成分D1Aの3段階添加
成分D1Aは、ステップii、iiiおよびviにおいて添加することができる。
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2の分散
5~30%の比率の成分D1A溶液および成分D2を30~90分混合することができる。このステップの後、スラリーは、1~25wt.%の固体含量によって特徴付けることができる。
iv. 成分Bの分散
成分Bおよび30~70%の別の比率の成分D1A溶液を上記のスラリーに添加し、30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%とすることができる。
v. 成分Aの分散
成分Aの半分を混合容器に添加することで、25~60wt.%の固体含量をもたらすことができ、溶液は45~120分混合することができる。成分Aのもう半分を混合容器に添加することで、40~70wt.%の固体含量をもたらし、120分~16時間混合することができる。
vi. 成分D1Bの分散
10~50%の別の比率の成分D1Aを上記スラリーに添加し、30~90分混合し、40~70wt.%の固体含量にすることができる。成分D1B溶液をスラリーに添加し、30~90分混合することができる。このステップの後、スラリーは、40~65wt.%の固体含量および1100~2800cpsの粘度によって特徴付けることができる。
vii. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、最終スラリー特性を調整することができる。スラリーは、真空下で30~120分混合することができる。
【0135】
アノード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順13:成分D1Aの2段階添加
成分D1Aは、ステップiiおよびvにおいて添加することができる。
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2の分散
50~85%の比率の成分D1Aおよび成分D2Bを30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は1~25wt.%とすることができる。
iv. 成分Bの分散
成分Bを上記のスラリーに添加し、30~90分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~30wt.%とすることができる。
v. 成分Aの分散
成分Aの半分を混合容器に添加することができ、溶液は45~120分混合することができる。このステップの後、固体含量は25~60wt.%にある。成分Aのもう半分、および15~50%の比率の成分D1A溶液を混合容器に添加し、120分~16時間混合することができる。このステップの後、スラリー特性は、40~70wt.%の固体含量を含むことができる。
vi. 成分D1Bの分散
成分D1B溶液をスラリーに添加し、30~90分混合することができる。
viii. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、最終スラリー特性を調整することができる。スラリーは、真空下で30分~120分混合することができる。最終的なスラリー特性は以下の通りとすることができる。
- d10<15μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
- ヘグマン・ゲージ<80μm
- 40~65wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて1100~2800cpsの粘度
【0136】
アノード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順14:一次成分AおよびBの単一段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高速分散機を備えた単一シャフト・ミキサを用いて達成することができる。混合プロセス全体にわたって、高せん断力軸混合速度は500~1200rpmに保つことができる。
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2、BおよびAの分散
成分D2は、成分Bおよび全ての成分Aと共に或る比率の成分D1A溶液内に90~120分分散させることができる。このステップにおけるスラリーの固体含量は40~60%とすることができる。
iv. 成分D1Bの分散
次に、スラリーは、成分D1A溶液の残りの部分で60~90分希釈することができる。最後に、成分D1B溶液をスラリー内に60~90分混合することができる。最終的な固体含量は45~50%とすることができる。
【0137】
アノード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順15:一次成分Aの単一段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高速分散機を備えた単一シャフト・ミキサを用いて達成することができる。混合プロセス全体にわたって、高せん断力軸混合速度は500~1200rpmに保つことができる。
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2およびD3の分散
成分D2および成分D3は成分D1A溶液内に分散させることができる。このステップにおける固体含量は1~15%とすることができる。
iv. 成分Bの分散
成分Bを添加し、30~90分混合することができる。このステップにおける固体含量は5~30%とすることができる。
v. 成分Aの分散
次に、全ての成分Aをスラリー内に90~120分分散させることができる。このステップにおける固体含量は40~70%とすることができる。
V. 成分D1Bの分散
最後に、成分D1B溶液をスラリー内に30~60分混合することができる。このステップにおける固体含量は45~65%とすることができる。
【0138】
アノード-セパレータ界面スラリー混合プロセスのための例示的な手順16:成分D1Aの4段階添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、または低せん断力らせん形状パドルにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D1の溶解
最初に、成分D1Aおよび成分D1Bを各々、成分D4において溶解させて、それぞれ0.5~3wt.%および25~60wt.%において各々2つの溶液を形成することができる。
iii. 成分D2およびBの分散
55~90%の比率の成分D1溶液、成分D2および成分Bを60~180分混合することができる。このステップの後、固体含量は5~20wt.%とすることができる。
iv. 成分Aの分散
成分Aの半分を混合容器に添加することができ、溶液は60~240分混合することができる。このステップの後、スラリー特性は、25~55wt.%の固体含量を含むことができる。成分Aのもう半分をスラリーに添加することができる。この時点において、10~45%の比率の成分D1A溶液を添加することができる。スラリーは、120分~16時間混合することができる。このステップの後、固体含量は40~75wt.%とすることができる。
v. 成分D1Aの残りの部分の分散
この時点において、10~45%の比率の成分D1A溶液を添加することができる。スラリーは、30~60分混合することができる。このステップの後、固体含量は40~70wt.%とすることができる。
vi. 成分D1Bの分散
成分D1B溶液および成分D1A溶液の残りをスラリーに添加することができる。このステップにおいて、いくらかの溶媒も添加して、スラリー粘度を調整することができる。スラリーは、30分~16時間混合することができる。
vii. 目標固体百分率
この時点において何らかの追加の溶媒を添加し、最終スラリー特性を調整することができる。スラリーは、真空下で30分~120分混合することができる。最終的なスラリー特性は以下の通りとすることができる。
- d10<15μm、d50<30μm、d90<60μm、d99<100μm
- ヘグマン・ゲージ<80μm
- 40~65wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて1100~2800cpsの粘度
【0139】
他の層に関する上記の論考と同様に、固体の電解質成分の分布のための混合への代替的な手段も提供される。
【0140】
特に、成分粒子の分布が、成分材料の機能性を保存して最適密度を提供することを促進するために、異なる材料の微粒子集団を混合物に添加することができる順序を注意深く選択しなくてはならない。より小さな粒子には、より大きな粒子間に点在する傾向が存在する。これが効果的に生じるように、より大きな粒子の分布の均一性を最初に確立しなくてはならない。更に、可能な限り高い重量容量を達成するために、成分材料の各々の全体の導入をサブセット単位で行い、より小さな粒子に対する大きな粒子集団の分布を設計することができる。
【0141】
アノード-セパレータ層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- ここで、成分Aはアノード活物質に対応する。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
【0142】
上記の設計判断基準を検討して、以下に、アノード・セパレータ層の成分を結合して混合プロセスにより成分A、B、CおよびDの混合物を形成することができる順序を規定する。
- 成分AおよびBは、ステップ単位で結合することができ、成分Dの一部分と混合して、分散集団をもたらすことができる。
- 成分Bの一部分を混合物に添加し、成分Dの一部分を更に添加することができる。
- 混合物が成分A、B、BおよびDの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分Dの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0143】
上記の戦略の更なる制限は、成分Dの一部としての不連続結合剤媒体の使用を伴う。不連続結合剤媒体の使用により、電極の活物質と電池の層全体にわたって分散したイオン伝導性粒子との間、またはセパレータ層を形成するポリマー固体状態粒子間の界面における荷電種の輸送を阻止することなく、連続したコンフォーマルな被覆の機能が提供される。そのような戦略を展開するために、段階的混合がここでも利用され、これによって、最初に、所与の電極の活物質を、湿潤スラリーまたは乾燥スラリーにおいて固体の電解質粉体と混合して、固体状態の電解質を有する活物質の表面被覆を確立することができる。次に、このイオン伝導性粉体被覆活物質を、スラリーの溶媒における溶解に対し耐性のある結合剤媒剤と混合することができる。固体の電解質被覆活物質と不溶性結合剤媒剤との混合に続いて、追加の可溶性結合剤成分を添加して、イオン伝導性および電気活性種の機能を損なうことなく、電極の機械的耐性を調整することができる。
【0144】
このプロセスの一バージョンを以下のように説明することができる。
ステップ1. 成分AおよびBは、ステップ単位で結合することができ、成分Dの一部分と混合して、分散集団をもたらすことができる。
ステップ2. 成分AおよびBの混合物を、成分D1A(不溶性結合剤)の一部分と混合して、A、BおよびD1A粒子の分散集団を提供することができる。
ステップ3. 成分Bの一部分を混合物に添加し、成分D1Bの一部分(可溶性結合剤)を更に添加することができる。
ステップ4. 混合物が成分A、B、BおよびDの全体を含むことができるまで、成分Bおよび成分D1Bの残りの部分(可溶性結合剤)を段階的に混合物に添加することができる。
【0145】
上記の成分の意図される分布を促進するために、以下の判断基準を適用して、成分粒径分布の最適化を誘導することができる。
- 固体のポリマー電解質に対する電極活物質の平均直径の比は、7未満、6未満、5未満または4未満とすることができる。
- アノード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、<30ミクロン、5ミクロン超または1ミクロンとすることができる。
- アノード活物質成分Aの最も一般的な粒径は、>0.5ミクロン、>1ミクロン、<5ミクロンまたは1.5ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<5ミクロンまたは>1.6ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質成分Bの最も一般的な粒径は、<1.5ミクロン、>0.35ミクロンまたは0.7ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最小の特徴的粒径は、<1ミクロン、<0.5ミクロン、<0.2ミクロンまたは<0.05ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最大の特徴的粒径は、>10ミクロン、>20ミクロンまたは<50ミクロンとすることができる。
- アノード活物質の最小の特徴的粒径は、0.5超、>1、>2または>5ミクロンとすることができ、アノードの最大の特徴的粒径は<70、<60、<50、<40、<30、<20または<15ミクロンとすることができる。
- 部分集団の粒径分布は、個々のまたは複数の成分を含む対数正規分布関数を用いて近似することができる。成分Aおよび成分Bは、対数正規分布を有する複数の成分を用いて近似することができる。
【数5】

- ここで、xは粒径であり、μは平均粒径であり、σは標準偏差または分散度である。
- 成分Aの分散度は、<0.5、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Aの分散度は、<0.45、<0.4、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Bの分散度は、<0.7、<0.65または<0.6とすることができる。
- 成分B1の分散度は、<0.7、<0.6、<0.5、<0.4、<0.3または<0.2とすることができる。
- 成分B2の分散度は、<0.9、<0.8、<0.7、<0.6、<0.5、<0.45または<0.4とすることができる。
【0146】
アノード-セパレータ界面層スラリー被覆プロセス
1つの例において、アノード-セパレータ界面層は、セパレータ層と電極との間の高い調和を確保するために、正極、負極または双方の電極上に被覆、鋳造、堆積または載置することができる。被覆プロセスは、以下の構成に従って行うことができる。
- アノードに被覆されたおよびアノード上の同じセパレータ調合物
- 各電極とセパレータとの間の最適化された化学的および電気化学的安定性を可能にする、アノード上に被覆された2つの異なるセパレータ調合物
- セパレータにより電極の化学的および電気化学的安定性を向上させるセパレータ組成の傾斜を可能にする、アノード上に被覆されたおよび/またはアノード上の異なる調合物の連続層
【0147】
セパレータ層が被覆される電極を、連続して覆うことを確実にするために、2つの被覆層の幅は同一にすることができる。セパレータ層の幅は、支持電極の被覆幅よりもわずかに大きくすることもできる。
【0148】
アノード-セパレータ界面層スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法(例えば、例示的な手順12、13、14、15または16)のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、温度およびファン換気を以下のように設定することができる4つのオーブンのセットを通過する。
- 40~100℃および300~900rpmのオーブン1
- 50~110℃および300~900rpmのオーブン2
- 60~120℃および300~900rpmのオーブン3
- 80~140℃および300~900rpmのオーブン4
【0149】
セパレータ層(カソード側)
1つの例において、セルのセパレータ層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、成分材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。以下で提示する詳細は、カソード層へのセパレータ層の鋳造に適用される。
【0150】
1つの例において、セパレータ層、およびセパレータ層が得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、前記層の製造を終了させるのに必要なステップ中に、スラリーの鋳造後に除去することができる。
【0151】
電極上にセパレータ層を施すために用いられるスラリーは、一次イオン伝導性媒体として1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料を含まなくてはならない。固体のイオン伝導性ポリマー材料の一次粒径は、0.01~20μmとすることができる。
【0152】
スラリー等の形態のセパレータの複合物は、以下に従って定義することができる。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D
- ここで、成分Aは電極活物質に対応する(存在しない)。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Bは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分に対応する。
それによって、セパレータ・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
(存在しない)
成分B
- 0.01~20μmの一次粒径を有するイオン伝導性物質としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の分散溶媒
- 成分D5:LiNbO、LiTaO、LiNbTa1-x、BaTiO等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、界面インピーダンスの低減のための1つまたは複数の無機添加物、および、0.01~10ミクロンの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D6:B、Al、γ-AlO(OH)、Ga、Y、La等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、固体電解質層の機械的完全性を改善するための1つまたは複数の添加物、および、0.01~10μmの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D7:LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiRFSO、LiCHSO、LiN(RFSO、LiC(RFSO、LiTFSI(リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ホウ酸)、LiBETI(リチウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド)等の、Li陽イオンを含む1つまたは複数のLi塩
- 成分D8:界面インピーダンス低減のための1つまたは複数の添加物、例えばウレタン含有分子、例えばウレタン官能化PEG、ウレタン官能化ペルフルオロポリエーテル、およびアルキルウレタン;1-メチル-3-ピロリジノン;1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1,5-ジメチル-2-ピロリジノン;アルキル置換ピリジニウム系イオン液体、アルキル置換ピロリジニウム系イオン液体、および対アニオンを有するアルキル置換アンモニウム系イオン液体、例えばTFSI、PF、BFアニオン;末端官能基と置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばカーボネート(線状または環状)、カーバメート(線状または環状)、またはニトリル;ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル;ジオクチルスルホスクシネートナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;グリコール酸エトキシレート4-tert-ブチルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル;グリコール酸エトキシレート4-ノニルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル;ポリ(エチレングリコール)4-ノニルフェニル3-スルフォプロピルエーテルナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;およびナトリウム、リチウム、またはドデシルベンゼンスルホン酸カリウム
【0153】
溶媒を除いて、セパレータ層スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことになる。
- 1~98wt.%の固体のイオン伝導性ポリマー材料
- 1~10wt.%の結合剤含量
- 0~10wt.%のLi塩含量
- 15~95wt.%の添加物含量
- 0~5wt.%の界面活性剤含量
これについて、セパレータ層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- ここで、成分Aは電極活物質に対応する(存在しない)。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 成分Aの体積%は、0%とすることができる。
- 成分Bの体積%は、>80%、>85%、>90%、>95または>97%とすることができる。
- 成分Cの体積%は、<20%、<15%、<10%、<5%または<3%とすることができる。
- 成分Dの体積%は、<20%、<15%、<10%、<5%または<3%とすることができる。
- 成分CおよびDの体積%の和は、<20%、<15%、<10%、<5%または<3%とすることができる。
【0154】
粉体形態の成分Bを含む粒子の粒径は、以下によって記載することもできる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Bを含む体積%のうち、平均値B1,mean>Bmeanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Bによって識別される、成分Bの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するB2,mean<Bmeanの集団に属する。
【0155】
被覆の前に、セパレータ層スラリーは、以下によって特徴付けることができる。
- 85Hzにおいて500~2200cpsの粘度
- 40~55%の固体含量
- 90μm未満または50μm未満のヘグマン・ゲージ
- 以下のような粒径分布:d10<1μm、d50<15μm、d90<60μm、d99<100μm
【0156】
代表的な粒径分布曲線が、図15のプロット1500に示される。更に、代表的な粘度曲線が、図16のプロット1600に示され、ここで、粘度はせん断速度に対しプロットされる。
【0157】
カレンダ加工後のセパレータ層の厚みは、5~50μmとすることができる。カレンダ加工は、低湿度環境において室温(20℃)~140℃で行うことができる。
【0158】
セパレータ層スラリー混合プロセス
以下に、セパレータ・スラリーを形成する例示的な手順が提供される。
【0159】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順17:2段階において組み合わされる、成分D4における成分Bおよび成分D4における成分D3+D6の2つの別個の開始懸濁液
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 懸濁液1:成分D4における成分D1およびD3の溶解
最初に、成分D1を成分D4において溶解させて、1~15wt.%の溶液を形成することができる。成分D1の溶解後、成分D3を溶液に添加し、30~90分混合することができる。
iii. 懸濁液1:成分D6の分散
次に、成分D6を添加し、30~90分混合することができる。超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサを用いて懸濁液を安定化/均質化することができる。懸濁液は、以下によって特徴付けることができる。
- d10<1μm、d50<5μm、d90<10μm、d99<30μm
- ヘグマン・ゲージ<50μm
- 40~65wt.%の固体含量
*代替的に、上記の懸濁液は、最初に成分D6、その後成分D3、および最後に成分D1を添加することによって準備することができる。懸濁液特性は、上記で列挙したものと同じままである。
iv. 懸濁液2:成分D4における成分Bの分散
別個の混合容器において、成分Bは、70~95wt.%の固体含量において30~180分にわたって成分D4と混合することができる。このステップの後、成分D4の添加を混合容器に添加し、30~90分混合することができる。このとき、スラリー特性は以下とすることができる。
- d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μm
- ヘグマン・ゲージ<50μm
- 30~60wt.%の固体含量
v. 2段階での懸濁液2内への懸濁液1の分散
D4に成分D6、D1およびD3を含む懸濁液1の半分を、上記のステップivからの懸濁液2に添加し、30~120分混合することができる。このステップの後、固体含量は30~60wt.%とすることができる。D4に成分D6、D1およびD3を含む懸濁液1の残りの半分を、スラリーに添加し、30分~16時間混合することができる。このステップの後、スラリー特性は以下となる。
- d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μm
- ヘグマン・ゲージ<70μm
- 30~60wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて2000~4500cpsの粘度
vi. 目標固体百分率
次に、スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、成分D4を斬新的に添加することができる。各添加に続いて、30~60分の混合ステップを行うことができる。また、スラリーは、被覆の前に真空下で30分~120分混合することができる。ふるい分けステップを用いて、必要な粒径分布を達成することができる。
【0160】
例示的な手順17のプロセス流れ図1700図17に示される。
【0161】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順18:D4における成分D6の単一の懸濁液の、成分Bへの3段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 懸濁液1:成分D4における成分D6
成分D6は、40~60wt.%の濃度で成分D4内に懸濁させることができる。懸濁液は、以下の粒径分布:d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μmによって特徴付けることができる。
iii. 或る比率の懸濁液1における成分Bの分散
ステップiiに記載の懸濁液の3分の1に成分Bおよび成分D1を添加することで、50~65%の固体含量をもたらすことができる。スラリーは、30~120分混合することができる。ステップiiからの懸濁液の別の3分の1をスラリーに添加し、固体含量を45~60%に減少させることができる。スラリーは、30~120分混合することができる。ステップiiからの懸濁液の最後の3分の1を添加し、30~16時間混合することができる。このステップの後、ヘグマン・ゲージは100μm未満、固体含量は40~55%となるはずである。
iv. 目標固体百分率
スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、いくらかの溶媒を斬新的に添加することができる。
【0162】
例示的な手順18のプロセス流れ図1800図18に示される。
【0163】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順19:D4における成分D6の単一の懸濁液の、成分Bへの2段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
i 10~40rpmの低せん断力軸
ii. 0~3500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D6の懸濁液
成分D6の半分は、45~60wt.%の濃度で成分D4内に懸濁させ、30~120分混合することができる。
iii. 成分Bの分散
成分Bおよび成分D1は、50~70wt.%の固体含量を目標として、成分D4と共に懸濁液に添加することができる。スラリーは、30~120分混合することができる。
iv. 成分D6の残りの部分の分散
成分D6および成分D4の残りの半分を混合容器に添加することで、45~60wt.%の固体含量をもたらすことができる。スラリーは、30~120分混合することができる。このステップの後、ヘグマン・ゲージは90μm未満となるはずである。スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、更なる成分D4を斬新的に添加することができる。
【0164】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順20:3段階において組み合わされる、成分D4における成分Bおよび成分D4における成分D6の2つの別個の開始懸濁液
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~45rpmの低せん断力軸
・ 0~1300rpmの高せん断力軸
ii. 懸濁液1:成分D4における成分D6の懸濁液
成分D6は、最初に、40~60wt.%の濃度で溶媒内に懸濁させることができる。懸濁液は、以下の粒径分布:d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μmによって特徴付けることができる。
iii. 懸濁液1:成分D1の分散
次に、成分D1を懸濁液に添加し、30分~16時間混合することができる。混合後、懸濁液は、<80μmのヘグマン・ゲージおよび40~65wt.%の固体含量を有する。
iv. 懸濁液2:成分Bの分散
別個の混合容器において、成分Bは、70~95wt.%の固体含量において30~180分にわたって成分D4の一部分と混合することができる。このステップの後、40~65wt.%の固体含量に達するように、成分D4の追加の部分を混合容器に添加し、30~90分混合することができる。
v. 3段階での懸濁液2内への懸濁液1の分散
成分D6およびD4を含む懸濁液1の3分の1をステップivからスラリーに添加し、30~120分混合することができる。固体含量は40~65wt.%とすることができ、ヘグマン・ゲージは<40μmとすることができる。懸濁液2の第2の3分の1をスラリーに添加し、30~120分混合することができる。固体含量は35~63wt.%とすることができ、ヘグマン・ゲージは<40μmとすることができる。懸濁液2の最後の3分の1を、スラリーに添加し、30分~16時間混合することができる。このステップの後、スラリー特性は以下となる。
- ヘグマン・ゲージ<40μm
- 30~60wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて3500~4500cpsの粘度
vi. 目標固体百分率
次に、スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、成分D4を斬新的に添加することができる。各添加に続いて、30~60分の混合ステップを行うことができる。また、スラリーは、被覆の前に真空下で30~120分混合することができる。
【0165】
表4は、セパレータ・スラリー混合プロセスの例を提供する。
表4:LiNi0.8Mn0.1Co0.1(NMC811)(カソード活物質)およびグラファイト(アノード活物質)を用いたセパレータ・スラリー混合プロセスの例
【表4】
【0166】
スラリー粒径分布は、Malvern Mastersizer 3000レーザ粒径分析機を用いて評価された。セパレータ層について、目標乾燥厚みは30ミクロン未満とすることができる。このため、大部分の粒子が目標厚み未満である粒径分布を達成することが望ましい場合がある。これは、表に示す例示的な手順17により達成された。更に、第1のサイクル効率によって示す最良の完全セル性能は、セパレータ・スラリー混合の例示的な手順17によっても達成される。
【0167】
固体の電解質成分の分布のための混合への代替的な手段が再び論考される。
【0168】
例えば、成分粒子の分布が、成分材料の機能性を保存して最適密度を提供することを促進するために、異なる材料の微粒子集団を混合物に添加することができる順序を注意深く選択しなくてはならない。より小さな粒子には、より大きな粒子間に点在する傾向が存在する。これが効果的に生じるように、より大きな粒子の分布の均一性を最初に確立しなくてはならない。更に、可能な限り高い重量容量を達成するために、成分材料の各々の全体の導入をサブセット単位で行い、より小さな粒子に対する大きな粒子集団の分布を設計することができる。
【0169】
Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentCとして定義されたセパレータ層の複合体積の上記の定義を所与とする。
- ここで、成分Aはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Bは自由体積に対応する。
- ここで、成分Cは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Aを含む体積%のうち、平均値A1,mean>Ameanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Aによって識別される、成分Aの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するA2,mean<Ameanの集団に属する。
【0170】
上記の設計判断基準を検討して、以下に、カソード層上に被覆されたセパレータの成分を結合して、混合プロセスにより成分A、BおよびCの混合物を形成することができる順序を規定する。
- 成分Aの一部分を成分Cの一部分と混合して、A粒子の分散集団を提供することができる。
- 成分Aの更なる部分を成分Aおよび成分Cの一部分と混合して、A粒子の分散集団を提供することができる。
- 混合物が成分A、A、BおよびCの全体を含むことができるまで、成分Aおよび成分Cの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0171】
上記の成分の意図される分布を促進するために、以下の判断基準を適用して、成分粒径分布の最適化を誘導することができる。
- 固体のポリマー電解質の最小の特徴的粒径は、<1ミクロン、<0.5ミクロンまたは<0.2ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最大の特徴的粒径は、>1.5ミクロン、<2.0ミクロンまたは<2.5ミクロンとすることができる。
- 部分集団の粒径分布は、個々のまたは複数の成分を含む対数正規分布関数を用いて近似することができる。成分Aは、対数正規分布を有する複数の成分(AおよびA)を用いて近似することができる。
【数6】

- ここで、xは粒径であり、μは平均粒径であり、σは標準偏差または分散度である。
- 成分Aの分散度は、<0.75、<0.6、<0.5、<0.4、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Aの分散度は、<0.8、<0.7、<0.6、<0.5、<0.45、<0.4または<0.3とすることができる。
【0172】
セパレータ層被覆プロセス
1つの例において、セパレータは、セパレータ層と電極との間の高い調和を確保するために、正極、負極または双方の電極上に被覆、鋳造、堆積または載置することができる。被覆プロセスは、以下の構成に従って行うことができる。
i. アノード上およびカソード上に被覆された同じセパレータ調合物
ii. 各電極とセパレータとの間の最適化された化学的および電気化学的安定性を可能にする、アノード上に被覆された2つの異なるセパレータ調合物
iii. セパレータにより電極の化学的および電気化学的安定性を向上させるセパレータ組成の傾斜を可能にする、アノード上および/またはカソード上に被覆された異なる調合物の連続層。
【0173】
セパレータ層が被覆される電極を、連続して覆うことを確実にするために、2つの被覆層の幅は同一にすることができる。セパレータ層の幅は、支持電極の被覆幅よりもわずかに大きくすることもできる。
【0174】
セパレータ層スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法(例えば、例示的な手順17、18、19または20)のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、複数のオーブンのセットを通過し、ここで、5~70g/minの蒸発速度範囲を達成するために、乾燥条件を設定することができる。この範囲の値は、成分D1(結合剤)の低減したマイグレーションまたは空間的勾配、成分B(固体のイオン伝導性ポリマー材料)の網状分布、被覆の幅にわたる被覆重量の最適化された均一性、および良好な被覆付着(≧10gf/in)のために最適化することができる。後者のパラメータは、表面上または型打ちされた電極の縁部に沿った剥離により被覆の完全性を損なうことなく、電極の後続の型打ちを行うために重要であり得る。
【0175】
セパレータ層におけるポリマー電解質2D分布の特徴付け
成分Bの2D分布は、SEM-EDS画像から定量化される。図19によって示すようなSEM画像1900において、成分Bが白色で強調され、背景が黒色で示された、セパレータ被覆の表面が示される。
- 最近傍距離(NND)分析を用いて、ポリマー電解質の2D分布は、2~5μmの平均NNDでクラスター化することができる。
- 最大フェレ距離、すなわちポリマー電解質粒子の境界上の2つの点間の最長距離は、1~30μmとすることができる。
- 粒子の面積は、0.5~180μmとすることができる。
- 以下によって定義されたセパレータにおける粒子の真円度は0.2~1.0とすることができる。
【数7】
【0176】
セパレータ層(アノード側)
1つの例において、セルのセパレータ層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、成分材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。以下で提示する詳細は、アノード層へのセパレータ層の鋳造に適用される。
【0177】
1つの例において、セパレータ層、およびセパレータ層が得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、前記層の製造を終了させるのに必要なステップ中に、スラリーの鋳造後に除去することができる。
【0178】
電極上にセパレータ層を施すために用いられるスラリーは、一次イオン伝導性媒体として1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料を含まなくてはならない。固体のイオン伝導性ポリマー材料の一次粒径は、0.01~20μmとすることができる。
【0179】
スラリー等の形態のセパレータの複合物は、以下に従って定義することができる。
- 複合物(全体)=成分A+成分B+成分C+成分D
- ここで、成分Aは電極活物質に対応する(存在しない)。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分に対応する。
それによって、セパレータ・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
(存在しない)
成分B
- 0.01~20μmの一次粒径を有するイオン伝導性物質としての1つまたは複数の固体のイオン伝導性ポリマー材料
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の分散溶媒
- 成分D5:LiNbO、LiTaO、LiNbTa1-x、BaTiO等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、界面インピーダンスの低減のための1つまたは複数の無機添加物、および、0.01~10ミクロンの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D6:B、Al、γ-AlO(OH)、Ga、Y、La等の、P、B、Al、Ga、Y、La、SiO、ZrO、TiOを含む、固体電解質層の機械的完全性を改善するための1つまたは複数の添加物、および、0.01~10μmの一次粒径を有するLiOの可能性のある添加を含む、それらの組み合わせから生じる化合物
- 成分D7:LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiRFSO、LiCHSO、LiN(RFSO、LiC(RFSO、LiTFSI(リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド)、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ホウ酸)、LiBETI(リチウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド)等の、Li陽イオンを含む1つまたは複数のLi塩
- 成分D8:界面インピーダンス低減のための1つまたは複数の添加物、例えばウレタン含有分子、例えばウレタン官能化PEG、ウレタン官能化ペルフルオロポリエーテル、およびアルキルウレタン;1-メチル-3-ピロリジノン;1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1,5-ジメチル-2-ピロリジノン;アルキル置換ピリジニウム系イオン液体、アルキル置換ピロリジニウム系イオン液体、および対アニオンを有するアルキル置換アンモニウム系イオン液体、例えばTFSI、PF、BFアニオン;末端官能基と置換されたポリ(エチレングリコール)、例えばカーボネート(線状または環状)、カーバメート(線状または環状)、またはニトリル;ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテル;ジオクチルスルホスクシネートナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;グリコール酸エトキシレート4-tert-ブチルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル;グリコール酸エトキシレート4-ノニルフェニルエーテル;グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル;ポリ(エチレングリコール)4-ノニルフェニル3-スルフォプロピルエーテルナトリウム、リチウム、またはカリウム塩;およびナトリウム、リチウム、またはドデシルベンゼンスルホン酸カリウム
【0180】
溶媒を除いて、セパレータ層スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことになる。
i. 1~98wt.%の固体のイオン伝導性ポリマー材料
ii. 1~10wt.%の結合剤含量
iii. 0~10wt.%のLi塩含量
iv. 15~95wt.%の添加物含量
v. 0~5wt.%の界面活性剤含量
これについて、セパレータ層の複合体積は、Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentC+%VolumeComponentDとして定義することができる。
- ここで、成分Aは電極活物質に対応する(存在しない)。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 成分Aの体積%は、0%とすることができる。
- 成分Bの体積%は、>80%、>85%、>90%、>95%または>97%とすることができる。
- 成分Cの体積%は、<20%、<15%、<10%、<5%または<3%とすることができる。
- 成分Dの体積%は、<20%、<15%、<10%、<5%または<3%とすることができる。
- 成分CおよびDの体積%の和は、<20%、<15%、<10%、<5%または<3%とすることができる。
【0181】
粉体形態の成分Bを含む粒子の粒径は、以下によって記載することもできる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B1,meanがBmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Bmeanを割り当てることができる成分Bを含む体積%のうち、全集団のBとして識別される百分率が、平均値B2,meanがBmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Bを含む体積%のうち、平均値B1,mean>Bmeanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Bによって識別される、成分Bの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するB2,mean<Bmeanの集団に属する。
【0182】
被覆の前に、セパレータ層スラリーは、以下によって特徴付けることができる。
i. 85Hzにおいて500~2200cpsの粘度
ii. 40~55%の固体含量
iii. 90μm未満または50μm未満のヘグマン・ゲージ
iv. 以下のような粒径分布:d10<1μm、d50<15μm、d90<60μm、d99<100μm
【0183】
カレンダ加工後のセパレータ層の厚みは、5~50μmとすることができる。カレンダ加工は、低湿度環境において室温(20℃)~140℃で行うことができる。
【0184】
セパレータ層スラリー混合プロセス
以下に、セパレータ・スラリーを形成する例示的な手順が提供される。
【0185】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順21:2段階において組み合わされる、成分D4における成分Bおよび成分D4における成分D3+D6の2つの別個の開始懸濁液
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 懸濁液1:成分D4における成分D1およびD3の溶解
最初に、成分D1を成分D4において溶解させて、1~15wt.%の溶液を形成することができる。成分D1の溶解後、成分D3を溶液に添加し、30~90分混合することができる。
iii. 懸濁液1:成分D6の分散
次に、成分D6を添加し、30~90分混合することができる。超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサを用いて懸濁液を安定化/均質化することができる。懸濁液は、以下によって特徴付けることができる。
- d10<1μm、d50<5μm、d90<10μm、d99<30μm
- ヘグマン・ゲージ<50μm
- 40~65wt.%の固体含量
代替的に、上記の懸濁液は、最初に成分D6、その後成分D3、および最後に成分D1を添加することによって準備することができる。懸濁液特性は、上記で列挙したものと同じままである。
iv. 懸濁液2:成分D4における成分Bの分散
別個の混合容器において、成分Bは、70~95wt.%の固体含量において30~180分にわたって成分D4と混合することができる。このステップの後、成分D4の添加を混合容器に添加し、30~90分混合することができる。このとき、スラリー特性は以下とすることができる。
- d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μm
- ヘグマン・ゲージ<50μm
- 30~60wt.%の固体含量
v. 2段階での懸濁液2内への懸濁液1の分散
D4に成分D6、D1およびD3を含む懸濁液1の半分を、上記のステップivからの懸濁液2に添加し、30~120分混合することができる。このステップの後、固体含量は30~60wt.%とすることができる。D4に成分D6、D1およびD3を含む懸濁液1の残りの半分を、スラリーに添加し、30分~16時間混合することができる。このステップの後、スラリー特性は以下となる。
- d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μm
- ヘグマン・ゲージ<70μm
- 30~60wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて2000~4500cpsの粘度
vi. 目標固体百分率
次に、スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、成分D4を斬新的に添加することができる。各添加に続いて、30~60分の混合ステップを行うことができる。また、スラリーは、被覆の前に真空下で30分~120分混合することができる。ふるい分けステップを用いて、必要な粒径分布を達成することができる。
【0186】
例示的な手順21のプロセス流れ図1700図17に示される。
【0187】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順22:D4における成分D6の単一の懸濁液の、成分Bへの3段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~55rpmの低せん断力軸
・ 0~1500rpmの高せん断力軸
ii. 懸濁液1:成分D4における成分D6
成分D6は、40~60wt.%の濃度で成分D4内に懸濁させることができる。懸濁液は、以下の粒径分布:d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μmによって特徴付けることができる。
iii. 或る比率の懸濁液1における成分Bの分散
ステップiiに記載の懸濁液の3分の1に成分Bおよび成分D1を添加することで、50~65%の固体含量をもたらすことができる。スラリーは、30~120分混合することができる。ステップiiからの懸濁液の別の3分の1をスラリーに添加し、固体含量を45~60%に減少させることができる。スラリーは、30~120分混合することができる。ステップiiからの懸濁液の最後の3分の1を添加し、30~16時間混合することができる。このステップの後、ヘグマン・ゲージは100μm未満、固体含量は40~55%となるはずである。
iv. 目標固体百分率
スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、いくらかの溶媒を斬新的に添加することができる。
【0188】
例示的な手順22のプロセス流れ図1800図18に示される。
【0189】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順23:D4における成分D6の単一の懸濁液の、成分Bへの2段階の添加
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~40rpmの低せん断力軸
・ 0~3500rpmの高せん断力軸
ii. 成分D4における成分D6の懸濁液
成分D6の半分は、45~60wt.%の濃度で成分D4内に懸濁させ、30~120分混合することができる。
iii. 成分Bの分散
成分Bおよび成分D1は、50~70wt.%の固体含量を目標として、成分D4と共に懸濁液に添加することができる。スラリーは、30~120分混合することができる。
iv. 成分D6の残りの部分の分散
成分D6の残りの半分および成分D4を混合容器に添加することで、45~60wt.%の固体含量をもたらすことができる。スラリーは、30~120分混合することができる。このステップの後、ヘグマン・ゲージは90μm未満となるはずである。スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、更なる成分D4を斬新的に添加することができる。
【0190】
セパレータ・スラリー混合プロセスのための例示的な手順24:3段階において組み合わされる、成分D4における成分Bおよび成分D4における成分D6の2つの別個の開始懸濁液
i. 混合速度および機器
成分の分散は、鋸刃高せん断力分散機を備えた単一シャフト・ミキサと、複数の高せん断力分散機を備えたマルチシャフト・ミキサとの組み合わせ、および低せん断力錨形撹拌機、低せん断力らせん形状パドル、または超高せん断力ロータ/ステータ・ミキサにより達成することができる。混合プロセス全体を通じて、混合速度は、以下に説明するように保つことができる。
・ 10~45rpmの低せん断力軸
・ 0~1300rpmの高せん断力軸
ii. 懸濁液1:成分D4における成分D6の懸濁液
成分D6は、最初に、40~60wt.%の濃度で溶媒内に懸濁させることができる。懸濁液は、以下の粒径分布:d10<1μm、d50<2μm、d90<15μm、d99<30μmによって特徴付けることができる。
iii. 懸濁液1:成分D1の分散
次に、成分D1を懸濁液に添加し、30分~16時間混合することができる。混合後、懸濁液は、<80μmのヘグマン・ゲージおよび40~65wt.%の固体含量を有する。
iv. 懸濁液2:成分Bの分散
別個の混合容器において、成分Bは、70~95wt.%の固体含量において30~180分にわたって成分D4の一部分と混合することができる。このステップの後、40~65wt.%の固体含量に達するように、成分D4の追加の部分を混合容器に添加し、30~90分混合することができる。
v. 3段階での懸濁液2内への懸濁液1の分散
成分D6およびD4を含む懸濁液1の3分の1をステップivからスラリーに添加し、30~120分混合することができる。固体含量は40~65wt.%とすることができ、ヘグマン・ゲージは<40μmとすることができる。懸濁液2の第2の3分の1をスラリーに添加し、30~120分混合することができる。固体含量は35~63wt.%とすることができ、ヘグマン・ゲージは<40μmとすることができる。懸濁液2の最後の3分の1を、スラリーに添加し、30分~16時間混合することができる。このステップの後、スラリー特性は以下となる。
- ヘグマン・ゲージ<40μm
- 30~60wt.%の固体含量
- 85Hzにおいて3500~4500cpsの粘度
vi. 目標固体百分率
次に、スラリー粘度を最終的な目標に対し調整するように、成分D4を斬新的に添加することができる。各添加に続いて、30~60分の混合ステップを行うことができる。また、スラリーは、被覆の前に真空下で30~120分混合することができる。
【0191】
表5は、セパレータ・スラリー混合プロセスの例を提供する。
表5:LiNi0.8Mn0.1Co0.1(NMC811)(カソード活物質)およびグラファイト(アノード活物質)を用いたセパレータ・スラリー混合プロセスの例
【表5】
【0192】
スラリー粒径分布は、Malvern Mastersizer 3000レーザ粒径分析機を用いて評価された。セパレータ層について、目標乾燥厚みは30ミクロン未満とすることができる。このため、大部分の粒子が目標厚み未満である粒径分布を達成することが望ましい場合がある。これは、表に示す例示的な手順21により達成された。更に、第1のサイクル効率によって示す最良の完全セル性能も、セパレータ・スラリー混合の例示的な手順21によって達成される。
【0193】
固体の電解質成分の分布のための混合への代替的な手段も開示される。例えば、成分粒子の分布が、成分材料の機能性を保存して最適密度を提供することを促進するために、異なる材料の微粒子集団を混合物に添加し得る順序を注意深く選択しなくてはならない。より小さな粒子には、より大きな粒子間に点在する傾向が存在する。これが効果的に生じるように、より大きな粒子の分布の均一性を最初に確立しなくてはならない。更に、可能な限り高い重量容量を達成するために、成分材料の各々の全体の導入をサブセット単位で行い、より小さな粒子に対する大きな粒子集団の分布を設計することができる。
【0194】
Vol.total=%Vol.ComponentA+%VolumeComponentB+%VolumeComponentCとして定義されたセパレータ層の複合体積の上記の定義を所与とする。
- ここで、成分Aはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する。
- ここで、成分Bは自由体積に対応する。
- ここで、成分Cは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分の存在から生じる体積に対応する。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A1,meanがAmeanよりも大きくなり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 平均粒径値Ameanを割り当てることができる成分Aを含む体積%のうち、全集団のAとして識別される百分率が、平均値A2,meanがAmean未満となり得る粒径分布を有するものとして特徴付けられる。
- 成分Aを含む体積%のうち、平均値A1,mean>Ameanによって記述される粒径分布を有する集団に属する粒子が<100%、<95%、<85%または<80%を形成し、Aによって識別される、成分Aの残りの部分は、より大きな粒子間の間隙内に位置するA2,mean<Ameanの集団に属する。
【0195】
上記の設計判断基準を検討して、以下に、カソード層上に被覆されたセパレータの成分を結合して、混合プロセスにより成分A、BおよびCの混合物を形成することができる順序を規定する。
- 成分Aの一部分を成分Cの一部分と混合して、A粒子の分散集団を提供することができる。
- 成分Aの更なる部分を成分Aおよび成分Cの一部分と混合して、A粒子の分散集団を提供することができる。
- 混合物が成分A、A、BおよびCの全体を含むことができるまで、成分Aおよび成分Cの残りの部分を段階的に混合物に添加することができる。
【0196】
上記の成分の意図される分布を促進するために、以下の判断基準を適用して、成分粒径分布の最適化を誘導することができる。
- 固体のポリマー電解質の最小の特徴的粒径は、<1ミクロン、<0.5ミクロンまたは<0.2ミクロンとすることができる。
- 固体のポリマー電解質の最大の特徴的粒径は、>1.5ミクロン、<2.0ミクロンまたは<2.5ミクロンとすることができる。
- 部分集団の粒径分布は、個々のまたは複数の成分を含む対数正規分布関数を用いて近似することができる。成分Aは、対数正規分布を有する複数の成分(AおよびA)を用いて近似することができる。
【数8】

- ここで、xは粒径であり、μは平均粒径であり、σは標準偏差または分散度である。
- 成分Aの分散度は、<0.75、<0.6、<0.5、<0.4、<0.3、<0.2または<0.15とすることができる。
- 成分Aの分散度は、<0.8、<0.7、<0.6、<0.5、<0.45、<0.4または<0.3とすることができる。
【0197】
セパレータ層被覆プロセス
1つの例において、セパレータは、セパレータ層と電極との間の高い調和を確保するために、正極、負極または双方の電極上に被覆、鋳造、堆積または載置することができる。被覆プロセスは、以下の構成に従って行うことができる。
i. アノード上およびカソード上に被覆された同じセパレータ調合物
ii. 各電極とセパレータとの間の最適化された化学的および電気化学的安定性を可能にする、アノード上に被覆された2つの異なるセパレータ調合物
iii. セパレータにより電極の化学的および電気化学的安定性を向上させるセパレータ組成の傾斜を可能にする、アノード上および/またはカソード上に被覆された異なる調合物の連続層。
【0198】
セパレータ層が被覆される電極を、連続して覆うことを確実にするために、2つの被覆層の幅は同一にすることができる。セパレータ層の幅は、支持電極の被覆幅よりもわずかに大きくすることもできる。
【0199】
セパレータ層スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法(例えば、例示的な手順21、22、23または24)のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、温度およびファン換気を以下のように設定することができる4つのオーブンのセットを通過する。
i. 40~100℃および300~900rpmのオーブン1
ii. 50~110℃および300~900rpmのオーブン2
iii. 60~120℃および300~900rpmのオーブン3
iv. 80~140℃および300~900rpmのオーブン4
【0200】
セパレータ層におけるポリマー電解質2D分布の特徴付け
成分Bの2D分布は、SEM-EDS画像から定量化される。図19によって示すようなSEM画像1900において、成分Bが白色で強調され、背景が黒色で示された、セパレータ被覆の表面が示される。
- 最近傍距離(NND)分析を用いて、ポリマー電解質の2D分布は、2~5μmの平均NNDでクラスター化することができる。
- 最大フェレ距離、すなわちポリマー電解質粒子の境界上の2つの点間の最長距離は、1~30μmとすることができる。
- 粒子の面積は、0.5~180μmとすることができる。
- 以下によって定義されたセパレータにおける粒子の真円度は0.2~1.0とすることができる。
【数9】
【0201】
タブ保護ストリップ
電極、セパレータおよび電流コレクタ層間の層の導入に加えて、以前に存在した層のうちの1つまたはいくつかの一部分を被覆するように配置することができる追加の層の配置を通じて、上述した成分の組み合わせを促進することができる。例として、電流コレクタから延びるタブを、セルの組み立てられた形式における短絡から保護するために、タブ保護層を導入することができる。セルのタブ保護層は複数の材料を含むことができ、これらの材料は、単離集団において、類似の組成および特性の多数の粒子を含む限り、粉体として特徴付けることができる。これらの粉体を他の材料と結合してスラリーを形成し、その複合物から得られた機能性を保有する連続層を基板上に堆積することを促進することができる。本発明の場合、これは、電流コレクタもしくは以前に製造された電極、セパレータ、またはこれらの組み合わせを含むアセンブリとすることができる。以下において、成分材料の説明、材料がスラリーを形成するように組み合わされ得る手段、スラリーの特性、およびスラリーを鋳造するための方法が提供される。
【0202】
界面カソード・セパレータ層、および界面カソード・セパレータ層が得られるスラリーを含む複合体を、能動的機能性および受動的機能性の双方の複数の材料の組み合わせから形成することができる。これらの候補材料のうちのいくつかは、スラリーの形成中、犠牲ベースで発達することができ、後に、前記層の製造を終了させるのに必要なステップ中に、スラリーの鋳造後に除去することができる。
【0203】
電極被覆に隣接する追加の被覆は、タブを、電極の縁部上に露出したむき出しの電流コレクタとの接触による短絡から保護するのに必要である場合がある。
【0204】
複合物は、以下に従って定義することができる。
- ここで、成分Aは電極活物質に対応する(存在しない)。
- ここで、成分Bはイオン伝導性固体状態ポリマーに対応する(存在しない)。
- ここで、成分Cは自由体積に対応する。
- ここで、成分Dは、結合剤、添加物、ならびに他の機能成分および非機能成分に対応する。
それによって、タブ保護ストリップ・スラリーは以下の成分を含むことができる。
成分A
(存在しない)
成分B
(存在しない)
成分C
成分D
- 成分D1:ポリエーテル、ポリエステル、カルボキシメチルセルロース、またはメチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸もしくはフッ化ビニリデン等の少なくとも1つのモノマーに基づくポリマーを含む群から選択された少なくとも1つの化合物を含む結合剤
- 成分D3:硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩等の、スラリーの均質性のための1つまたは複数の界面活性剤
- 成分D4:アセトン、イソプロパノール、メタノール、トルエン、n-メチルピロリドンおよび水等の分散溶媒
- 成分D6:1μm未満の一次粒径を有する、B、Al、γ-AlO(OH)、Ga、Y、La等の機械的完全性のための1つまたは複数の添加物
【0205】
溶媒を除いて、タブ保護スラリーは、以下の範囲内の上記の成分を含むことになる。
- 5~100wt.%の成分D1含量
- 0~95wt.%の成分D6含量
- 0~2wt.%の成分D3含量
【0206】
被覆の前に、タブ保護スラリーは、以下によって特徴付けることができる。
- 85Hzにおいて500~3000cpsの粘度
- 3~40%の固体含量
- 30μm未満または10μm未満のヘグマン・ゲージ
- 以下のような粒径分布:d10<1μm、d50<5μm、d90<10μm、d99<30μm
【0207】
カレンダ加工後のタブ保護ストリップの厚みは、3~10mmの幅を有して5~40μmとすることができる。カレンダ加工は、低湿度環境において室温(20℃)~140℃で行うことができる。
【0208】
タブ保護スラリー混合プロセス
結合剤は、1~15wt.%の濃度で溶媒内に溶解させることができる。結合剤の溶解後、界面活性剤を溶液に添加し、30~90分混合することができる。次に、添加物を添加し、30~90分混合することができる。懸濁液を安定化するために、超音波処理または均質化のステップが必要である場合がある。
【0209】
代替的に、上記の懸濁液は、最初に添加物、その後界面活性剤、および最後に結合剤を添加することによって準備することができる。懸濁液特性は、上記で列挙したものと同じままである。
【0210】
タブ保護ストリップ被覆プロセス
タブ保護ストリップは、正極タブ、負極タブ、または双方の電極タブ上に被覆することができる。タブ保護ストリップは、電極被覆に隣接して被覆され、電極被覆との重複、および電極被覆とタブ保護ストリップ被覆との間のむき出しの電流コレクタの存在が最小限にされる。
【0211】
タブ保護スラリーは、本明細書において上記で説明した被覆方法のうちの1つを用いて1~10m/minの速度で被覆することができる。被覆に続いて、電極ロールは、複数のオーブンのセットを通過し、ここで、0.1~15g/minの蒸発速度範囲を達成するために、乾燥条件を設定することができる。この範囲の値は、成分D1(結合剤)の低減したマイグレーションまたは空間的勾配、成分B(固体のイオン伝導性ポリマー材料)の網状分布、被覆の幅にわたる被覆重量の最適化された均一性、および良好な被覆付着(≧10gf/in)のために最適化することができる。後者のパラメータは、表面上または型打ちされた電極の縁部に沿った剥離により被覆の完全性を損なうことなく、電極の後続の型打ちを行うために重要であり得る。
【0212】
本明細書に記載の方法は、再充電可能なリチウム・イオン電池の製造を改善し、従来の電池における液体電解質成分を固体状態の電解質と交換するための方法を提供する。これらの方法は、完成したセルにおける液体電解質の量の低減または削除によって、向上した安全性をもたらすが、結果として得られるデバイスの性能利点ももたらす。これに関して、本方法は、比容量の増大、空隙率の低減、および内部抵抗の低減をもたらす最適化された粉体パック戦略により、セルのエネルギーおよび電力密度の最適化によって性能の利点を増大させる。
【0213】
マトリックスを埋める材料サブシステムと自由体積との間の調和を提供するように調整された成分材料の段階的導入を含む、本明細書において説明した方法は、これらが作製される成分の機能性を供給する。更に、スラリーの調合および鋳造プロセスをサポートする材料の選択および展開の方法は、複合形態における個々の層および組み合わされた層の完全性および機能性を増大させる。材料を添加することができる順序が成分材料の相対的分布に影響を及ぼすのみでなく、意図された相互混合効果のために接触して配置されたときにこれらの材料を混合するのに用いられる方法も、成分材料の全体分布に影響を及ぼす。
【0214】
スラリーの混合に続いて、鋳造手順中、鋳造されたスラリーの流体動力学が固体フィルムの流体動力学に向けて展開するにつれ、更なる複雑性に遭遇する場合がある。固体フィルムの特性は、液体と固体状態との間の経路を定義するパラメータの影響を受けやすい場合がある。液相スラリーの鋳造中にデバイス層を結合するための説明された方法、および固相層構造の結合は、個々の材料および個々の材料から生成される複合構造の機能性を損なうことなく、安定性を改善する。
【0215】
説明された混合および鋳造方法は、本明細書において、固体状態電池スラリーの生成のためのスラリーの製造およびスラリーからの層の製造のために提供される。これは、他の動作と組み合わされると、固体状態電池全体を生成することができる。機能するセルまたは電池を生成するために以下の方法が提供される。
ステップ1. 機械加工およびふるい分け等の様々な手段を用いて配合剤粉体(成分A、B、D1、D2、D5、D6、D7、D8)を処理し、スラリーの製造のために前記粉体の集団を生成する。
a. 粒径設計を受ける材料の例は、非限定的形式で、数ある中でも、カソードまたはアノード活物質、ポリマー固体状態の電解質、無機固体電解質材料、無機機械的安定化粉体、伝導性添加物、結合剤材料、塩を含む。
ステップ2. 例として、レーザまたは白色光粒径分析、走査電子顕微鏡、試験用ふるいの組み合わせを用いて上述した材料の粒径分布を評価する。
ステップ3. 互いとの、およびスラリー媒剤を含む成分との段階的組み合わせによる、高せん断力および低せん断力の混合技法の組み合わせを用いて成分を分散させる。スラリー媒剤の非限定的な例は以下を含むことができる(成分D1、D3、D4):
a. 数ある中でも、溶媒、結合剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、希釈剤。
ステップ4. スラリーは、数ある中でも、流体測定法、粒径分析、ヘグマン・ゲージ等の技法を用いた段階的並列ワークフローによって特徴付けることができる。
ステップ5. カソード・スラリー(成分A、B、C、D1~D8)は、電流コレクタの片側または両側へのスロット・ダイ被覆等のロール・ツー・ロール被覆技法を用いて鋳造し、カソード層を形成することができる。
a. カソード層は、鋳造プロセスに続いてインライン乾燥を受けることができる。
ステップ6. アノード・スラリー(成分A、B、C、D1~D8)は、電流コレクタの片側または両側へのスロット・ダイ被覆等のロール・ツー・ロール被覆技法を用いて鋳造し、アノード層を形成することができる。
a. アノード層は、鋳造プロセスに続いてインライン乾燥を受けることができる。
ステップ7. アノードまたはカソード構造は、カレンダ加工プロセスを受けることができる。
ステップ8. セパレータ・スラリー(成分B、C、D1、D3、D4、D5、D6、D7、D8)は、カソードまたはアノードの片側または両側へのスロット・ダイ被覆等のロール・ツー・ロール被覆技法を用いて鋳造することができる。
a. 層状の電極-セパレータ構造は、鋳造プロセスに続いてインライン乾燥を受けることができる。
ステップ9. 層状の電極-セパレータ構造は、カレンダ加工プロセスを受けることができる。
ステップ10. 層状の電極-セパレータ構造は、上昇した温度および低減した圧力の一方または双方を伴うベイクアウト・ルーチンを受けることができる。
ステップ11. 次に、カソードおよびアノード電流コレクタ・タブを、他の電極のカソードおよびアノード電流コレクタ・タブと位置合わせして、スタックを形成するように、電極を互いに間置することができる。
ステップ12. 次に、スタックされた電極を、パウチ等の密封された容器にパッケージングすることができる。
ステップ13. 次に、セルは、サービスに向けてセルを調整するために形成ルーチンを受けることができる。
【0216】
このようにして、固体電池セルのための電極構造に被覆を施すためのスラリーは、最適化された粒子分布および選択的に段階化された成分導入を利用して形成することができる。このようにしてスラリーを形成することの技術的効果は、そこから形成された被覆が、低減された空隙率および改善されたパーコレーション・ネットワークを有することができることである。更に、スラリーは、固体のイオン伝導性ポリマー材料を含むセパレータ被覆を形成することができる。固体のイオン伝導性ポリマー材料を組み込むことの技術的効果は、Liイオン輸送に対する抵抗を低下させ、形成された電池セルにおける機械的安定性を提供することである。
【0217】
1つの例において、方法が、溶媒を複数の部分に分割することと、ステップ順序に従って、例えば、ポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料を溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成することであって、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、固体のイオン伝導性ポリマー材料は室温においてガラス状態にあり、溶媒の第1の部分は、全体溶媒含量の概ね半分であることと、懸濁液において第1の添加物を混合することと、懸濁液において第1の添加物を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有するスラリーを形成することとを含み、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmである。本方法の第1の例は、高せん断力が0~1500rpmであることを更に含む。方法の第1の例を任意選択で含む方法の第2の例は、高せん断力が0~3500rpmであり、低せん断力が10~40rpmであることを更に含む。方法の第1および第2の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第3の例は、高せん断力が0~1300rpmであり、低せん断力が10~45rpmであることを更に含む。方法の第1~第3の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第4の例は、混合することが、同時に高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含むことを更に含む。方法の第1~第4の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第5の例は、溶媒の第1の部分の量および溶媒の第2の部分の量が概ね等しいことを更に含む。方法の第1~第5の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第6の例は、第1の添加物が、電極活物質、結合剤、界面活性剤または無機セラミックを含むことを更に含む。方法の第1~第6の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第7の例は、懸濁液において第1の添加物を混合することが、懸濁液において第1の添加物および1つまたは複数の更なる添加物を混合することを含むことを更に含む。方法の第1~第7の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第8の例は、第1の添加物が無機セラミックであることと、1つまたは複数の更なる添加物が、結合剤および界面活性剤であることと、懸濁液において第1の添加物および1つまたは複数の更なる添加物を混合することが、結合剤および界面活性剤を溶媒の第3の部分において混合して溶液を形成すること、溶液において無機セラミックを混合すること、溶液において無機セラミックを混合することに続いて、溶液を複数の部分に分割すること、懸濁液において溶液の一部分を混合すること、およびその後、懸濁液において溶液の残りの部分を混合することを含むこととを更に含む。方法の第1~第8の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第9の例は、第1の添加物が電極活物質であることと、溶媒の第1の部分において固体のイオン伝導性ポリマー材料を混合して懸濁液を形成することが、結合剤を複数の部分に分割すること、溶媒の第1の部分において結合剤の第1の部分を混合して第1の溶液を形成すること、第1の溶液を複数の部分に分割すること、第1の溶液の第1の部分において電子伝導体を混合して懸濁液を形成すること、および懸濁液において固体のイオン伝導性ポリマー材料および第1の溶液の第2の部分を混合することを含むことと、懸濁液において第1の添加物を混合することが、懸濁液において電極活物質および第1の溶液の残りの部分を混合することを含むこととを更に含む。方法の第1~第9の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第10の例は、電極活物質がカソード活物質であることを更に含む。方法の第1~第10の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第11の例は、懸濁液において電極活物質および第1の溶液の残りの部分を混合することが、第1の添加物を複数の部分に分割することと、電極活物質の第1の部分および第1の溶液の第3の部分を懸濁液と45~120分混合することと、その後、電極活物質の第2の部分および第1の溶液の第4の部分を懸濁液と2~16時間混合することとを含むことを更に含む。方法の第1~第11の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第12の例は、粘度が85Hzにおいて2000~2600cpsであることを更に含む。方法の第1~第12の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第13の例は、電極活物質がアノード活物質であることを更に含む。方法の第1~第13の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第14の例は、懸濁液において電極活物質および第1の溶液の残りの部分を混合することに続いて、結合剤の第2の部分を溶媒の第3の部分と混合して第2の溶液を形成することと、懸濁液において第2の溶液を混合することとを更に含む。方法の第1~第14の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第15の例は、固体含量が25~75wt.%であることを更に含む。方法の第1~第15の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第16の例は、粘度が85Hzにおいて1100~2800cpsであることを更に含む。方法の第1~第16の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第17の例は、懸濁液において電極活物質および第1の溶液の残りの部分を混合することが、電極活物質を複数の部分に分割することと、電極活物質の第1の部分および第1の溶液の第3の部分を懸濁液と45~120分混合することと、その後、電極活物質の第2の部分および第1の溶液の第4の部分を懸濁液と2~16時間混合することと、その後、第1の溶液の第5の部分を懸濁液と30~90分混合することとを含むことを更に含む。方法の第1~第17の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第18の例は、固体含量が25~65wt.%であることを更に含む。方法の第1~第18の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第19の例は、粘度が85Hzにおいて500~2600cpsであることを更に含む。方法の第1~第19の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第20の例は、スラリーが、1μm未満のd10粒径、60μm未満のd90粒径、および140μm未満のd99粒径を有することを更に含む。方法の第1~第20の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第21の例は、スラリーが100μm未満のd99粒径を有することを更に含む。方法の第1~第21の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第22の例は、ヘグマン・ゲージが80μm未満であることを更に含む。方法の第1~第22の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第23の例は、ヘグマン・ゲージが50μm未満であることを更に含む。方法の第1~第23の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第24の例は、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することが真空下で行われることを更に含む。
【0218】
別の例において、電極構造上に被覆を形成するための方法が、溶媒を複数の部分に分割することと、ステップ順序に従って、例えば、ポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料を溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成することであって、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、固体のイオン伝導性ポリマー材料は室温においてガラス状態にあり、溶媒の第1の部分は、全体溶媒含量の概ね半分であることと、懸濁液において第1の添加物を混合することと、懸濁液において第1の添加物を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有するスラリーを形成することであって、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmであることと、電極構造上にスラリーを被覆することと、被覆された電極構造を乾燥させることと、被覆された電極構造をカレンダ加工することとを含み、電極構造は、アノード電流コレクタ上に堆積されたアノード材料被覆、およびカソード電流コレクタ上に堆積されたカソード材料被覆のうちの1つを含み、被覆と電極構造との間の接着界面は、200gf/inを超える180°剥離強度を有する。
【0219】
更に別の例において、方法が、溶媒を複数の部分に分割することと、低せん断力において、例えば、ポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料を溶媒の第1の部分において分散させて懸濁液を形成することであって、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、固体のイオン伝導性ポリマー材料は室温においてガラス状態にあることと、懸濁液において結合剤を混合することと、懸濁液において結合剤を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合して、25~55wt.%の固体含量、15μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2200cpsの粘度を有するスラリーを形成することとを含み、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmである。方法の第1の例は、高せん断力が0~1500rpmであることを更に含む。方法の第1の例を任意選択で含む方法の第2の例は、高せん断力が0~3500rpmであり、低せん断力が10~40rpmであることを更に含む。方法の第1および第2の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第3の例は、高せん断力が0~1300rpmであり、低せん断力が10~45rpmであることを更に含む。方法の第1~第3の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第4の例は、低せん断力が約15rpmであることを更に含む。方法の第1~第4の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第5の例は、混合することが、同時に高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含むことを更に含む。方法の第1~第5の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第6の例は、溶媒の第1の部分の量が、溶媒の全体量の約15%であることを更に含む。方法の第1~第6の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第7の例は、懸濁液において結合剤を混合することが、懸濁液において結合剤および1つまたは複数の添加物を混合することを含むことを更に含む。方法の第1~第7の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第8の例は、1つまたは複数の添加物が無機セラミックを含むことと、懸濁液において結合剤および1つまたは複数の添加物を混合することが、溶媒の第3の部分において無機セラミックを混合して溶液を形成すること、溶液を複数の部分に分割すること、懸濁液において溶液の一部分を混合すること、およびその後、懸濁液において溶液の残りの部分を混合することを含むこととを更に含む。方法の第1~第8の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第9の例は、1つまたは複数の添加物が界面活性剤を更に含むことと、懸濁液において結合剤および1つまたは複数の添加物を混合することが、最初に、溶媒の第3の部分において結合剤および界面活性剤を混合することを更に含むこととを更に含む。方法の第1~第9の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第10の例は、溶媒の第1の部分において固体のイオン伝導性ポリマー材料を分散させて懸濁液を形成する前に、無機セラミックを複数の部分に分割することと、溶媒の第1の部分において無機セラミックの第1の部分を混合することとを更に含む。方法の第1~第10の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第11の例は、1つまたは複数の添加物が、無機セラミックの第2の部分を含むことと、懸濁液において結合剤および1つまたは複数の添加物を混合することが、懸濁液において結合剤を混合すること、溶媒の第3の部分において無機セラミックの第2の部分を混合して溶液を形成すること、および懸濁液において結合剤を混合することに続いて、懸濁液において溶液を混合することを含むこととを更に含む。方法の第1~第11の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第12の例は、懸濁液において溶液を混合することが、溶液を複数の部分に分割することと、懸濁液において溶液の一部分を混合することと、その後、懸濁液において溶液の残りの部分を混合することとを含むことを更に含む。方法の第1~第12の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第13の例は、スラリーが、1μm未満のd10粒径、60μm未満のd90粒径、および100μm未満のd99粒径を有することを更に含む。方法の第1~第13の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第14の例は、ヘグマン・ゲージが50μm未満であることを更に含む。方法の第1~第14の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む方法の第15の例は、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することが真空下で行われることを更に含む。
【0220】
別の例において、電極構造上に被覆を形成するためのスラリーが、例えばポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料であって、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、室温においてガラス状態にある、固体のイオン伝導性ポリマー材料と、溶媒と、電極活物質、結合剤、界面活性剤および無機セラミックを含む、1つまたは複数の添加物とを備え、スラリーは、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有し、スラリーは、固体のイオン伝導性ポリマー材料、溶媒および1つまたは複数の添加物を順に混合するプロセスから形成され、プロセスは、溶媒を複数の部分に分割することと、溶媒の第1の部分において固体のイオン伝導性ポリマー材料を混合して懸濁液を形成することであって、溶媒の第1の部分は、全体溶媒含量の概ね半分であることと、懸濁液において1つまたは複数の添加物を混合することと、懸濁液において1つまたは複数の添加物を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合してスラリーを形成することとを含み、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmである。スラリーの第1の例は、スラリーが、1μm未満のd10粒径、60μm未満のd90粒径、および140μm未満のd99粒径を有することを更に含む。
【0221】
更に別の例において、被覆ハイブリッド電極が、アノード電流コレクタと、カソード電流コレクタと、アノード材料被覆と、カソード材料被覆と、セパレータとして形成される固体のポリマー電解質被覆とを備え、アノード材料被覆、カソード材料被覆および固体のポリマー電解質被覆はそれぞれ、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーから形成され、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーの各々は、溶媒を複数の部分に分割することと、ステップ順序に従って、例えば、ポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料を溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成することであって、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、固体のイオン伝導性ポリマー材料は室温においてガラス状態にあることと、懸濁液において添加物を混合することと、懸濁液において添加物を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有する組成物を形成することとによって形成され、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmである。被覆ハイブリッド電極の第1の例は、混合することが、同時に高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含むことを更に含む。被覆ハイブリッド電極の第1の例を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第2の例は、第1のスラリーのヘグマン・ゲージが50μm未満であり、第1のスラリーの粘度が85Hzにおいて2000~2600cpsであることを更に含む。被覆ハイブリッド電極の第1および第2の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第3の例は、第2のスラリーの固体含量が25~65wt.%であり、第2のスラリーのヘグマン・ゲージが80μm未満であり、第2のスラリーの粘度が85Hzにおいて1100~2800cpsであることを更に含む。被覆ハイブリッド電極の第1~第3の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第4の例は、第3のスラリーの固体含量が25~55wt.%であり、第3のスラリーのd50粒径が15μm未満であり、第3のスラリーの粘度が85Hzにおいて500~2200cpsであることを更に含む。被覆ハイブリッド電極の第1~第4の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第5の例は、固体のポリマー電解質被覆が、アノード材料被覆とカソード材料被覆との間で分散されることと、固体のポリマー電解質被覆が、カソード材料被覆に隣接する第1の領域において、アノード材料被覆に隣接する第2の領域と異なる組成を有することとを更に含む。被覆ハイブリッド電極の第1~第5の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第6の例は、カソード材料被覆と固体ポリマー電解質被覆との間に配設されたカソード・セパレータ界面被覆を更に備え、カソード・セパレータ界面被覆は固体のイオン伝導性ポリマー材料を含み、カソード・セパレータ界面被覆は第4のスラリーから形成され、第4のスラリーは、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、50μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて2000~2600cpsの粘度を有する。被覆ハイブリッド電極の第1~第6の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第7の例は、アノード材料被覆と固体ポリマー電解質被覆との間に配設されたアノード・セパレータ界面被覆を更に備え、アノード・セパレータ界面被覆は固体のイオン伝導性ポリマー材料を含み、アノード・セパレータ界面被覆は第5のスラリーから形成され、第5のスラリーは、25~75wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2600cpsの粘度を有する。被覆ハイブリッド電極の第1~第7の例のうちの1つまたは複数を任意選択で含む被覆ハイブリッド電極の第8の例は、アノード電流コレクタとアノード材料被覆との間に配設された第1のタブ保護ストリップと、カソード電流コレクタとカソード材料被覆との間に配設された第2のタブ保護ストリップとを更に備え、第1のタブ保護ストリップおよび第2のタブ保護ストリップはそれぞれ第6のスラリーおよび第7のスラリーから形成され、第6のスラリーおよび第7のスラリーの各々は、3~40wt.%の固体含量、5μm未満のd50粒径、30μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~3000cpsの粘度を有する。
【0222】
更に別の例において、電池セルは、複数のハイブリッド電極であって、複数のハイブリッド電極の各々が、アノード電流コレクタ、カソード電流コレクタ、アノード材料被覆、カソード材料被覆、およびセパレータとして形成される固体のポリマー電解質被覆を備える、複数のハイブリッド電極と、密封されたパウチであって、複数のハイブリッド電極を含有する、密封されたパウチとを備え、アノード材料被覆、カソード材料被覆および固体のポリマー電解質被覆はそれぞれ複数のスラリーから形成され、複数のスラリーの各々は、溶媒を複数の部分に分割することと、ステップ順序に従って、例えば、ポリフェニレンスルフィドまたは液晶ポリマーから形成された固体のイオン伝導性ポリマー材料を少なくとも溶媒の第1の部分において混合して懸濁液を形成することであって、固体のイオン伝導性ポリマー材料は、室温において1×10-5S/cmを超えるイオン伝導性を有し、固体のイオン伝導性ポリマー材料は室温においてガラス状態にあることと、懸濁液において添加物を混合することと、懸濁液において添加物を混合することに続いて、溶媒の第2の部分を懸濁液と混合して、25~80wt.%の固体含量、30μm未満のd50粒径、90μm未満のヘグマン・ゲージ、および85Hzにおいて500~2800cpsの粘度を有する組成物を形成することとによって形成され、混合することは、高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含み、低せん断力は10~55rpmである。電池セルの第1の例は、混合することが、同時に高せん断力において混合することおよび低せん断力において混合することを含むことを更に含む。電池セルの第1の例を任意選択で含む電池セルの第2の例は、複数のハイブリッド電極の各々が、アノード電流コレクタ上に配設された第1のタブ保護ストリップと、カソード電流コレクタ上に配設された第2のタブ保護ストリップとを更に備えることを更に含む。
【0223】
以下の請求項は、新規かつ非自明とみなされる特定の組み合わせおよび部分的組み合わせを特に示す。これらの請求項は、「1つの」要素または「第1の」要素またはその等価物を記載する場合がある。そのような請求項は、2つまたはそれ以上のそのような要素を要することも除外することもなく、1つまたは複数のそのような要素の組み込みを含むと理解されるべきである。開示された特徴、機能、要素および/または特性の他の組み合わせおよび部分的組み合わせは、本請求項の補正または本出願もしくは関連出願の新規請求項の提示によって請求することができる。そのような請求項は、元の請求項より広い範囲、より狭い範囲、等しい範囲または異なる範囲であろうと、同様に本開示の主題に含まれるものとみなされる。
図1A
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