(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178306
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】光源装置および投射型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20241217BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20241217BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241217BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241217BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241217BHJP
F21V 7/30 20180101ALI20241217BHJP
F21V 9/35 20180101ALI20241217BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20241217BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241217BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/16
G03B21/00 D
H04N5/74 A
F21S2/00 311
F21V7/30
F21V9/35
F21V7/28 240
F21S2/00 360
F21S2/00 340
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024163368
(22)【出願日】2024-09-20
(62)【分割の表示】P 2022123996の分割
【原出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】奥野 学
(57)【要約】
【課題】投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素へのほこりなどの異物の付着を抑制しつつ、光源を交換可能にする。
【解決手段】光源装置20は、密閉空間S2を画定し、第1の透過窓96と第2の透過窓52とを備える第1の筺体92と、第1の筺体92の密閉空間S2の外部に配置され、第1の透過窓96を透過して第1の筺体92の密閉空間S2内に進入するように光L0を出射する光源28と、第1の筺体92の密閉空間S2に収容され、第1の透過窓96を透過した光L0から所定の出力光Lwを生成し、出力光Lwを第2の透過窓52を透過させて第1の筺体92の密閉空間S2の外部に出射させる出力光生成光学系32とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透過窓と第2の透過窓とを備える第1の筺体と、
前記第1の筺体の外部に配置され、前記第1の透過窓を透過して前記第1の筺体内に進入するように光を出射する光源と、
前記第1の筺体に収容され、前記第1の透過窓を透過した光から所定の出力光を生成し、前記出力光を前記第2の透過窓を透過させて前記第1の筺体の外部に出射させる出力光生成光学系と、を有し、
前記出力光生成光学系が、反射基板を含む蛍光体ホイール装置を含む、
光源装置。
【請求項2】
前記光源を備える第2の筺体を、さらに有し、
前記第2の筺体が、前記光源が前記第1の透過窓に対向するように、前記第1の筺体に取り付けられる、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記蛍光体ホイールは、青色光を黄色光に変換する蛍光体を含む、請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記出力光生成光学系が、前記光源からの青色光を第1の青色光と第2の青色光とに分光し、前記第1の青色光を前記反射基板に向かうように導き、前記反射基板から反射され た黄色光と前記第2の青色光とを合成することよって前記出力光としての白色光を生成す る、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第2の筺体が、前記第1の筺体に着脱可能に取り付けられる、請求項2に記載の光源装置。
【請求項6】
出力光生成光学系は、前記第2の青色光が入射するミラーを有する、請求項4に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1の青色光が入射する位置に配置される集光レンズを有し、
前記集光レンズによって集光された前記第1の青色光が前記蛍光体ホイールに入射する、請求項4に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第1の筐体の外面に前記蛍光体ホイールを冷却する第1の冷却装置を備える、請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
前記第2の筐体の外面に前記光源を冷却する第2の冷却装置を備える、請求項2に記載の光源装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置の出力光を画像光に変換する画像形成モジュールと、
前記画像形成モジュールからの画像光を投射する投射光学系と、を有する、投射型画像表示装置。
【請求項11】
前記画像形成モジュールと、第3の透過窓とを有する第3の筐体を備え、
前記第2の透過窓から出射された光は、前記第3の透過窓に入射する、請求項10に記載の投射型画像表示装置。
【請求項12】
前記第3の筐体は、前記第2の筐体の外部に位置する、請求項10に記載の投射型画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置、および光源装置を備える投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源が容易に交換可能な投射型画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された投射型画像表示装置の場合、交換のために光源を取り外すと、光源から出力された光を導く光学系を構成する光学要素にほこりなどの異物が付着する可能性がある。光学要素に異物が付着すると、光出力が劣化する。例えば、投射された画像光に輝度ムラなどが生じる。
【0005】
そこで、本開示は、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素へのほこりなどの異物の付着を抑制しつつ、光源を交換可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
第1の透過窓と第2の透過窓とを備える第1の筺体と、
前記第1の筺体の外部に配置され、前記第1の透過窓を透過して前記第1の筺体内に進入するように光を出射する光源と、
前記第1の筺体に収容され、前記第1の透過窓を透過した光から所定の出力光を生成し、前記出力光を前記第2の透過窓を透過させて前記第1の筺体の外部に出射させる出力光生成光学系と、を有し、
前記出力光生成光学系が、青色光を黄色光に変換して反射する反射基板を含む蛍光体ホイール装置を含む、光源装置が提供される。
【0007】
また、本開示の別の態様によれば、
上述の光源装置と、
前記光源装置の出力光を画像光に変換する画像形成モジュールと、
前記画像形成モジュールからの画像光を投射する投射光学系と、を有する、投射型画像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、光源を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る光源装置を備えた投射型画像表示装置を示す概略的な構成図
【
図2】光源モジュールと出力光生成モジュールとが互いに分離された状態の光源装置を示す概略的な構成図
【
図3】光源モジュールと出力光生成モジュールとが互いに分離された状態の本開示の実施の形態2に係る光源装置を示す概略的な構成図
【
図4】本開示の実施の形態3に係る光源装置を示す概略的な構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様の光源装置は、密閉空間を画定し、第1の透過窓と第2の透過窓とを備える第1の筺体と、前記第1の筺体の密閉空間の外部に配置され、前記第1の透過窓を透過して前記第1の筺体の密閉空間内に進入するように光を出射する光源と、前記第1の筺体の密閉空間に収容され、前記第1の透過窓を透過した光から所定の出力光を生成し、前記出力光を前記第2の透過窓を透過させて前記第1の筺体の密閉空間の外部に出射させる出力光生成光学系と、を有する。
【0011】
このような態様によれば、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、光源を交換することができる。
【0012】
例えば、光源装置が、前記光源を備える第2の筺体をさらに有してもよい。この場合、前記第2の筺体が、前記光源が前記第1の透過窓に対向するように、前記第1の筺体に着脱可能に取り付けられる。
【0013】
例えば、前記光源が、前記第2の筺体が前記第1の筺体に取り付けられた状態において前記第1の筺体と前記第2の筺体との協働によって画定される密閉空間に収容されてもよい。
【0014】
例えば、前記第2の筺体が、前記光源を収容する密閉空間を画定してもよい。
【0015】
例えば、前記光源が、前記光として青色光を出射し、出力光生成光学系が、青色光を黄色光に変換して反射する反射基板を含む蛍光体ホイール装置を含んでもよい。この場合、前記出力光生成光学系が、前記光源からの青色光を第1の青色光と第2の青色光とに分光し、前記第1の青色光を前記反射基板に向かうように導き、前記反射基板から反射された黄色光と前記第2の青色光とを合成することよって前記出力光としての白色光を生成する。
【0016】
例えば、前記光源が、前記光として青色光を出射し、光源装置が、前記第1の筺体の外部に配置され、青色光を黄色光に変換して反射する反射基板を含む蛍光体ホイール装置を、さらに有してもよい。この場合、前記第1の筺体が、前記反射基板に対向する第3の透過窓をさらに備える。また、前記出力光生成光学系が、前記光源からの青色光を第1の青色光と第2の青色光とに分光し、前記第1の青色光を前記第3の透過窓を透過して前記反射基板に向かうように導き、前記反射基板から反射されて前記第3の透過窓を透過した黄色光と前記第2の青色光とを合成することによって前記出力光としての白色光を生成する。
【0017】
また、本開示の別態様の投射型画像表示装置は、上述の光源装置と、前記光源装置の出力光を画像光に変換する画像形成モジュールと、前記画像形成モジュールからの画像光を投射する投射光学系と、を有する。
【0018】
このような態様によれば、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、光源を交換することができる。
【0019】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0020】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る光源装置を備えた投射型画像表示装置を示す概略的な構成図である。
【0022】
図1に示すように、投射型画像表示装置10は、光源装置20と、画像光を作成して投射する投射装置60とから構成されている。
【0023】
本実施の形態1の場合、光源装置20は、光源モジュール22と、出力光生成モジュール24とを備える。
【0024】
光源装置20の光源モジュール22は、基板26と、基板26上に設けられた複数のレーザ素子28(光源)と、レーザ素子28それぞれに設けられ、レーザ素子28から出射されたレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズ30とを含んでいる。本実施の形態1の場合、レーザ素子28は、青色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子である。例えば、40~60基のレーザ素子28が、基板26上にマトリックス状に配列されている。それにより、光源モジュール22から高輝度の青色のレーザ光L0が出力光生成モジュール24に向かって出力される。
【0025】
出力光生成モジュール24は、光源モジュール22が出力したレーザ光L0から光源装置20が最終的に出力する所定の出力光を生成するモジュールである。本実施の形態1の場合、出力光生成モジュール24は、光源モジュール22が出力した青色のレーザ光L0から白色光Lwを生成するための出力光生成光学系32を備える。出力光生成光学系32は、詳細は後述するが、光源モジュール22からの青色のレーザ光L0を第1の青色光L1と第2の青色光L2とに分光し、第1の青色光L1を黄色光に変換し、そして黄色光と第2の青色光L2とを合成することにより、白色光Lwを生成するように構成されている。そのために、出力光生成光学系32は、その構成要素として、拡散板34、1/4波長板36、ダイクロイックミラー38、蛍光体ホイール装置40、レンズ42、レンズ44、レンズ46、1/4波長板48、およびミラー50を含んでいる。
【0026】
拡散板34は、片面に微細な凹凸形状から構成された拡散面を備えるガラス平板である。拡散板34は、光源モジュール22から出力された青色レーザ光L0の輝度ムラを解消する。
【0027】
1/4波長板36は、拡散板34から出射した青色レーザ光L0の2つの垂直偏光成分間に1/4波長の位相差を発生させる光学要素である。1/4波長板36により、拡散板34から出射した青色レーザ光L0は、直線偏光状態から楕円偏光状態に偏光される。
【0028】
ダイクロイックミラー38は、1/4波長板36から出射した青色レーザ光L0を分光する光学要素であって、1/4波長板36から出射した青色レーザ光L0の出射方向に対して約45度傾いた状態で配置されている。ダイクロイックミラー38は、青色レーザ光L0のS偏光成分(第1の青色光)L1を蛍光体ホイール装置40に向かって反射し、P偏光成分(第2の青色光)L2を透過する。
【0029】
蛍光体ホイール装置40は、青色光を黄色光に変換する装置であって、反射基板40aと、反射基板40aを回転させるモータ40bとを含んでいる。反射基板40a上には、黄色蛍光体層40cが形成されている。ダイクロイックミラー38と蛍光体ホイール装置40との間に配置されたレンズ42、44は、ダイクロイックミラー38から反射された青色レーザ光のS偏光成分L1を反射基板40a上の黄色蛍光体層40cに集光させる。光が集光した黄色蛍光体層40cの部分は励起し、黄色光を発光する。その黄色光は、レンズ42、44によって平行光化され、その後ダイクロイックミラー38を透過する。
【0030】
一方、ダイクロイックミラー38を透過した青色レーザ光のP偏光成分L2は、レンズ46によってミラー50に集光される。ミラー50に到達する前に、青色レーザ光のP偏光成分L2は、1/4波長板48を透過することによって円偏光の状態になる。ミラー50で反射された青色光のP偏光成分L2は、再び1/4波長板48を逆方向に透過してS偏光に変換される。そして、そのS偏光は、レンズ46によって平行光化された後、ダイクロイックミラー38によって反射される。
【0031】
ダイクロイックミラー38を透過した蛍光体ホイール装置40からの黄色光とダイクロイックミラー38によって反射されたミラー50からの青色光L2とが合成され、白色光Lwが生成される。白色光Lwは、集光レンズ52に向かって進む。集光レンズ52から投射装置60に向かって、白色光Lwが出力される。
【0032】
投射装置60は、本実施の形態1の場合、光源装置20が出力した白色光Lwから画像光を生成してその画像光を投射するために、レンズ62、ロッドインテグレータ64、レンズ66、レンズ68、ミラー70、レンズ72、プリズム74、画像形成モジュール76、および投射光学系78を備える。
【0033】
光源装置20の集光レンズ52から出射した白色光Lwは、レンズ62を介して、投射装置60内に進入する。レンズ62を出射した白色光Lwは、ロッドインテグレータ64、レンズ66、レンズ68を順に透過してミラー70に反射される。反射された白色光Lwは、レンズ72、プリズム74を介して、画像形成モジュール76に入射する。
【0034】
画像形成モジュール76は、白色光Lwを画像光に変換するモジュールである。そのために、画像形成モジュール76は、3つのプリズム80、82、84から構成されるプリズム集合体86と、3つのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD:Digital Micromirror Device)88R、88G、88Bとを含んでいる。
【0035】
プリズム集合体86は、いわゆるTIR(Total Internal Refrection)プリズムであって、プリズム80~84の間の界面で特定の波長の光(特定の色)を反射するように構成されている。それにより、プリズム集合体86は、プリズム74からの白色光Lwを赤色光Lr、緑色光Lg、および青色光Lbに分離する。また、プリズム集合体86は、分離した赤色光Lr、緑色光Lg、および青色光Lbを、デジタルマイクロミラーデバイス88R、88G、88Bに向かって出射する。さらに、プリズム集合体86は、デジタルマイクロミラーデバイス88R、88G、88Bそれぞれから反射された変調光(赤色画像光、緑色画像光、青色画像光)を合成し、合成した変調光(フルカラー画像光)を投射光学系78に向かって出力する。
【0036】
デジタルマイクロミラーデバイス88R、88G、88Bそれぞれは、光を複数の方向に選択的に反射する複数のマイクロミラーを備える光変調デバイスである。デジタルマイクロミラーデバイス88R、88G、88Bそれぞれは、プリズム集合体86から出射された赤色光Lr、緑色光Lg、青色光Lbを変調し、その変調光(画像光)をプリズム集合体86に向かって反射する。
【0037】
投射光学系78は、少なくとも投射レンズを含む光学系であって、画像形成モジュール76から出射されたフルカラー画像光を、例えばスクリーンに投射する。
【0038】
これまでは、本開示の一実施の形態に係る投射型画像表示装置の構成を説明してきた。ここからは、光源装置の更なる特徴について説明する。
【0039】
図1に示すように、光源装置20において、複数のレーザ素子28(光源)と、複数のレーザ素子28が出射した青色レーザ光L0から白色光Lwを生成するダイクロイックミラー38などを含む出力光生成光学系32は、互いに独立した空間S1、S2内に収容されている。
【0040】
図2は、光源モジュールと出力光生成モジュールとが互いに分離された状態の光源装置を示す概略的な構成図である。
【0041】
図1および
図2に示すように、本実施の形態1の場合、光源モジュール22は、基板26、複数のレーザ素子28、およびコリメートレンズ30を収容する空間S1を画定する筺体90(第2の筺体)を備える。
【0042】
また、出力光生成モジュール24は、ダイクロイックミラー38などを含む出力光生成光学系32を収容する空間S2を画定する筺体92(第1の筺体)を備える。
【0043】
光源モジュール22の筺体90は、出力光生成モジュール24の筺体92に対して着脱可能に取り付けられている。基板26およびコリメートレンズ30は、筺体90に支持されている。また、本実施の形態1の場合、筺体90は、空間S1に連通する開口90aを備える。筺体90が出力光生成モジュール24の筺体92に取り付けられると、筺体90の開口90aが筺体92の外面によって蓋をされる。このような筺体90、92の協働により、複数のレーザ素子28などが収容された空間S1が実質的に密閉状態の空間となり、複数のレーザ素子28などが保護される。なお、筺体90と筺体92との間の隙間を介してほこりなどの異物が空間S1内に侵入しないように、筺体90と筺体92との間には、例えばシリコンゴムなどの弾性材料から作製されたシーリングリング94が配置されている。また、図視していないが、筺体90の外面には、レーザ素子28を冷却するためのヒートシンクなどの冷却装置が設けられている。
【0044】
筺体90と筺体92は、例えば位置決めピンと位置決め穴とを介して、互いに位置決めされる。また、筺体90と筺体92は、例えば固定ねじを介して、着脱可能に互いに固定される。
【0045】
出力光生成モジュール24の筺体92は、ほこりなどの異物の侵入が抑制された実質的に密閉状態の空間S2を画定する。その密閉状態の空間S2内に、光源モジュール22が出力した青色レーザ光L0から白色光Lwを生成するダイクロイックミラー38などを含む出力光生成光学系32が収容されている。なお、筺体92の外面には、図視していないが、蛍光体ホイール装置40を冷却するためのヒートシンクなどの冷却装置が設けられている。
【0046】
光源モジュール22から出力された青色レーザ光L0が空間S2内に進入できるように、筺体92には透過窓96(第1の透過窓)が設けられている。透過窓96は、例えばガラス平板から作製されている。また、透過窓96は、光源モジュール22の筺体90を出力光生成モジュール24の筺体92に取り付けた状態のときに、複数のレーザ素子28に対向する筺体92の部分に配置されている。なお、透過窓96は、筺体92に形成された貫通穴にはめ込まれている。また、透過窓96と筺体92との隙間は、接着剤などによって塞がれている。このような透過窓96を透過することにより、筺体92の密閉状態の空間S2の外部に配置されたレーザ素子28が出射したレーザ光L0が、筺体92の密閉状態の空間S2内に進入することができる。
【0047】
筺体92の空間S2内で出力光生成光学系32によって生成された白色光Lwは、集光レンズ52を透過して筺体92の密閉状態の空間S2の外部に出射する。本実施の形態1の場合、集光レンズ52が、第2の透過窓として機能する。集光レンズ52は、出力光生成モジュール24の筺体92に形成された貫通穴にはめ込まれている。また、集光レンズ52と筺体92との隙間は、接着剤などによって塞がれている。このような集光レンズ52を透過することにより、出力光生成光学系32によって生成された出力光(白色光Lw)が、筺体92の密閉状態の空間S2の外部に進むことができる。なお、集光レンズ52とは別に、透過窓96と同様にガラス平板から作製された透過窓が筺体92に設けられてもよい。
【0048】
したがって、光源モジュール22のレーザ素子28から出射された青色レーザ光L0は、透過窓96を透過して筺体92の密閉状態の空間S2内に進入する。その空間S2内の出力光生成光学系32が、進入した青色レーザ光L0から白色光Lwを生成し、その生成した白色光Lwを集光レンズ52を透過させて空間S2の外部に出射させる。その結果、白色光Lwが、光源装置20の出力光として筺体92の空間S2の外部に出力される。
【0049】
このような光源装置20の筺体構造によれば、複数のレーザ素子28が出射した青色レーザ光L0から白色光Lwを生成するダイクロイックミラー38などを含む出力光生成光学系32(それを構成する複数の光学要素)が、筺体92によって画定された密閉状態の空間S2内に収容される。寿命などの理由で複数のレーザ素子28を交換するとき、出力光生成光学系32の光学要素が筺体92の空間S2の外部に露出することがない。すなわち、空間S2が筺体92の外部の空間と連通することがない。その結果、複数のレーザ素子28を交換するとき、出力光生成光学系32の光学要素にほこりなどの異物が付着することが抑制される。なお、本実施の形態1の場合、レーザ素子28の交換が必要となったとき、光源モジュール22全体が交換される。
【0050】
また、本実施の形態1の場合、レーザ素子28は、波長の短い青色のレーザ光L0を出射する。波長の短い光は、空気中のほこりなどの異物を集塵しやすい。しかしながら、レーザ素子28がほこりなどの異物を集塵しても、その集塵された異物は、密閉状態の空間S2に収容されている出力光生成光学系32の光学要素には付着しない。
【0051】
さらに、本実施の形態1の場合、複数のレーザ素子28は、青色レーザ光L0の出射中、密閉状態の空間S1内に存在する。その結果、集塵効果が高いレーザ光L0を出射しても、ほこりなどの異物が空間S1内のレーザ素子28やコリメートレンズ30に付着しない。
【0052】
このような光源装置20の筺体構造により、ほこりなどの異物の付着による光源装置20の光出力の劣化を抑制することが可能になる。
【0053】
以上、本実施の形態1によれば、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、光源を交換することができる。
【0054】
(実施の形態2)
【0055】
本実施の形態2は、実施の形態1の改良形態である。したがって、異なる点を中心に、本実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態2の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0056】
図3は、光源モジュールと出力光生成モジュールとが互いに分離された状態の本開示の実施の形態2に係る光源装置を示す概略的な構成図である。
【0057】
図3に示すように、本実施の形態2の場合、光源装置120の光源モジュール122は、密閉状態の空間S1を画定する筺体190を備える。その密閉状態の空間S1内に、複数のレーザ素子28が収容されている。また、筺体190は、レーザ素子28から出射されたレーザ光が透過する透過窓198を備える。筺体190が着脱可能に出力光生成モジュール24の筺体92に取り付けられたとき、光源モジュール122の透過窓198は、出力光生成モジュール24の透過窓96に対向する。
【0058】
このような光源装置120によれば、光源モジュール122が出力光生成モジュール24に対して分離しているときも、ほこりなどの異物がレーザ素子28に付着することを抑制することができる。
【0059】
本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、光源を交換することができる。
【0060】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、実施の形態1の改良形態である。したがって、異なる点を中心に、本実施の形態3について説明する。なお、実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態3の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0061】
図4は、本開示の実施の形態3に係る光源装置を示す概略的な構成図である。
【0062】
図4に示すように、光源装置220において、出力光生成モジュール224の筺体294によって画定された密閉状態の空間S2に収容されている出力光生成光学系232には、蛍光体ホイール装置40が含まれていない。蛍光体ホイール装置40は、筺体294の空間S2の外部に位置する。具体的には、光源装置220は、光源モジュール22および出力光生成モジュール224に加えて、蛍光体ホイール装置40を備える光変換モジュール300を備える。光変換モジュール300は、蛍光体ホイール装置40を収容する空間S3を画定する筺体302を有する。筺体302は、出力光生成モジュール224の筺体294に対して着脱可能に取り付けられる。筺体302が筺体294に取り付けられると、空間S3は実質的に密閉状態となる。
【0063】
出力光生成光学系232において、蛍光体ホイール装置40の反射基板40aに対向するレンズ44は、筺体294に形成された貫通穴にはめ込まれて透過窓(第3の透過窓)として機能する。この透過窓として機能するレンズ44により、筺体292の空間S2から筺体302の空間S3に収容された蛍光体ホイール装置40の反射基板40aに向かって第1の青色光L1が進むことができる。また、反射基板40aからの黄色光が空間S3から空間S2に進むことができる。すなわち、本実施の形態3の場合、空間S1に収容された出力光生成光学系232と空間S1の外部に配置された蛍光体ホイール装置40とが協働することにより、白色光Lwが生成される。
【0064】
このように蛍光体ホイール装置40が出力光生成モジュール224の筺体294によって画定される空間S2の外部に配置されることにより、出力光生成モジュール224には、動力の供給を受けて動作する構成要素がなくなる。したがって、出力光生成モジュール224は、通常使用において故障の可能性が実質的にゼロになり、長寿命化される。すなわち、本実施の形態3の光源装置220において、寿命や故障などによって交換が必要になる構成要素は、光源モジュール22と光変換モジュール300となる。
【0065】
本実施の形態3も、上述の実施の形態1と同様に、投射型画像表示装置の光源装置において、光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、光源を交換することができる。加えて、蛍光体ホイール装置を、他の光学系の光学要素への異物の付着を抑制しつつ、交換することができる。
【0066】
以上、上述の実施の形態1~3を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限らない。
【0067】
例えば、上述の実施の形態1の場合、光源装置20は、青色レーザ光L0を出射する光源を1つ備える。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、光源装置は、赤色光を出射する光源、緑色光を出射する光源、および青色光を出射する光源を有してもよい。この場合、光源それぞれから出射された各色の光が透過する少なくとも1つの第1の透過窓が第1の筺体(出力光生成モジュールの筺体)に設けられる。すなわち、各色の光それぞれが対応する第1の透過窓を透過してもよいし、各色の光が1つの第1の透過窓を透過してもよい。この場合、第1の筺体によって画定された密閉空間に収容されている出力光生成光学系は、各色の光を合成して白色光を生成する。
【0068】
なお、第1の筺体は、単独の部品で構成されてもよく、また投射型画像表示装置の全ての構成要素を収容する筺体(いわゆる本体)の一部分で構成されてもよい。第1の筺体は、密閉空間を画定できるものであればよい。
【0069】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0070】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示は、光源が交換される光源装置に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
20 光源装置
28 光源(レーザ素子)
32 出力光生成光学系
52 第2の透過窓(集光レンズ)
92 第1の筺体
96 第1の透過窓
L0 光(レーザ光)
Lw 出力光(白色光)
S2 密閉空間