(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178307
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】半製品管、半製品管製造方法、管及び管製造方法
(51)【国際特許分類】
B23B 1/00 20060101AFI20241217BHJP
B23P 15/00 20060101ALI20241217BHJP
F16L 9/02 20060101ALI20241217BHJP
B23B 5/08 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B23B1/00 Z
B23P15/00 Z
F16L9/02
B23B5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024163398
(22)【出願日】2024-09-20
(62)【分割の表示】P 2022580564の分割
【原出願日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2021018779
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507256980
【氏名又は名称】株式会社ナンシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝臣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 將平
(57)【要約】
【課題】外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、外径が小さい管(最終製品管)を製造することに供する半製品管を提供する。
【解決手段】旋盤による被切削で最終製品管2とされる前の半製品管1であって、旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層11と、第1層11の外側に形成され、旋盤による被切削後は残存しないダミー用の第2層12と、を備えた半製品管1とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋盤による被切削で最終製品管とするために用いられる半製品管であって、
前記旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層と、
前記第1層の外側に形成され、前記旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層と、
を備えたことを特徴とする半製品管。
【請求項2】
請求項1に記載の半製品管において、
前記第1層の外径は、前記最終製品管の外径近傍の外径である
ことを特徴とする半製品管。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半製品管において、
前記第1層は前記旋盤のチャッキング治具による把持が困難な小さな外径を有し、
前記第2層は前記旋盤のチャッキング治具による把持が可能な大きな外径を有する
ことを特徴とする半製品管。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半製品管において、
前記第1層は外径が0.05mm以上0.60mm未満であり、
前記第2層は外径が0.40mm以上3.00mm以下である
ことを特徴とする半製品管。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の半製品管において、
前記第2層は、少なくとも前記第1層の前記第2層との隣接部より切削性がよい
ことを特徴とする半製品管。
【請求項6】
請求項5に記載の半製品管において、
前記第1層は、前記第2層との隣接部を形成する第1層外層と、前記第1層外層の内側に形成された第1層内層と、を有し、
前記第1層外層はビッカース硬さが350~550HVの範囲内にある
ことを特徴とする半製品管。
【請求項7】
請求項6に記載の半製品管において、
前記第1層内層は、金、金コバルト合金、パラジウム、パラジウム合金又はポリテトラフルオロエチレンとニッケルとの共析物のいずれかからなり、
前記第1層外層は、ニッケルコバルト合金、ニッケルマンガン合金又は純ニッケルのいずれかからなり、
前記第2層は、銅、純ニッケル又はニッケルマンガン合金のいずれかからなる
ことを特徴とする半製品管。
【請求項8】
旋盤による被切削で最終製品管とするために用いられる半製品管製造方法であって、
線材を準備する工程と、
前記線材の外周側に、前記旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層を形成する工程と、
前記第1層の外周側に、前記旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半製品管製造方法。
【請求項9】
旋盤を用いて半製品管から更に最終製品管に近い第2の半製品管を製造する半製品管製造方法であって、
請求項1~7のいずれかに記載の半製品管を準備する工程と、
前記半製品管を、前記第2層外側から把持する把持工程と、
前記第2層の外側からの切削により、前記第1層に凹部又は凸部を形成する切削工程と、
前記把持した箇所と前記凹部又は凸部を形成した箇所とが繋がった状態で前記第2の半製品管とする工程と、
を含むことを特徴とする半製品管製造方法。
【請求項10】
所定箇所の切断により最終製品管とするために用いられる半製品管であって、
最終製品管構成用の第1層と、前記第1層の外側に形成されたダミー用の第2層と、が積層されたダミー層積層箇所と、
凹部又は凸部が形成された第1層凹凸形成箇所と、
を備えたことを特徴とする半製品管。
【請求項11】
旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法であって、
請求項10に記載の半製品管を準備する工程と、
前記半製品管を、前記ダミー層積層箇所で把持する把持工程と、
前記第1層凹凸形成箇所を前記ダミー層積層箇所側から切り離す切断工程と、
を含むことを特徴とする管製造方法。
【請求項12】
旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法であって、
請求項1~7のいずれかに記載の半製品管を準備する工程と、
前記半製品管を、前記第2層外側から把持する把持工程と、
前記第2層の外側からの切削により、前記第1層に凹部又は凸部を形成する切削工程と、
前記半製品管の所定箇所を切断する切断工程と、
を含むことを特徴とする管製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の管製造方法において、
前記切削工程で前記第2層をその一部が残存するように切削する
ことを特徴とする管製造方法。
【請求項14】
外径が0.05mm以上0.60mm未満で、金属製の外周に凹部又は凸部を有するとともに切削痕があることを特徴とする管。
【請求項15】
請求項1~5のいずれかに記載の半製品管において、
前記第1層と前記第2層は、前記半製品管が加熱されると、前記第1層と、前記第2層の前記第1層近傍が合金化される金属からなる
ことを特徴とする半製品管。
【請求項16】
請求項15に記載の半製品管において、
前記第1層は、パラジウム又は銀からなり、
前記第2層は銅又は鉄からなる
ことを特徴とする半製品管。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の半製品管において、更に、
前記第1層の内側に形成された金属の第3層と、
前記第1層と前記第3層との間に形成される中間層とを備え、
前記中間層は、加熱によって、前記第3層の金属が、加熱で、前記第1層及び前記第2層の金属と合金化されることを妨げる層である
ことを特徴とする半製品管。
【請求項18】
請求項16に記載の半製品管において、
前記中間層はニッケルからなる
ことを特徴とする半製品管。
【請求項19】
請求項1~4のいずれかに記載の半製品管において、
前記第1層は合金からなり、
前記第2層は外側方向にいくにつれて前記合金化の度合が低くなるように構成されている
ことを特徴とする半製品管。
【請求項20】
請求項8に記載の半製品管製造方法において、
前記第1層を形成する工程、及び前記第2層を形成する工程では、
前記第1層及び前記第2層を、前記半製品管が加熱されると、前記第1層、及び前記第2層の前記第1層近傍、が合金化される金属で形成する
ことを特徴とする半製品管製造方法。
【請求項21】
旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法であって、
請求項15~18のいずれかに記載の半製品管を準備する工程と、
前記半製品管を、前記第2層外側から把持する把持工程と、
前記第2層の外側からの切削により、前記第2層をその一部が残存するように切削する切削工程と、
前記半製品管を加熱して前記第1層、及び残存する前記第2層を合金化する合金化工程と、
を含むことを特徴とする管製造方法。
【請求項22】
旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法であって、
請求項15~18のいずれかに記載の半製品管を準備する工程と、
前記半製品管を加熱して前記第1層、及び前記第2層の前記第1層近傍を合金化する合金化工程と、
前記半製品管を、前記第2層外側から把持する把持工程と、
前記第2層の外側からの切削により、前記第2層を前記第1層近傍まで掘り下げて切削する切削工程と、
を含むことを特徴とする管製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半製品管製造方法、半製品管、管製造方法及び管に関する。
ここで、「半製品管」とは、最終製品としての管のいわば中間的製品であり、販売できる状態のものをいう。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で、非常に外径の小さな細長い管のニーズが高くなってきた。例えば、半導体検査用コンタクトプローブ用の管、医療用・印刷用のノズル、光通信用コネクタ用の管、光通信用メタルフェルール用の管等で使用される、マイクロチューブ、マイクロパイプ等と呼ばれる金属製の管である。
このような管は、管を装着する装置への取り付け、管製造元表示等のため、管の表面への凹部又は凸部を形成をしたい場合がある。
例えば、管(バレル)に、コンタクトピン(プランジャー)や復元力用のバネを入れて半導体検査用コンタクトプローブとする場合、管の外側に凸部が形成されていると、被取付部に設けられた凹部に嵌合させることにより、コンタクトプローブが抜けにくくなり、微細化、高密度化した半導体の電極に対し一層信頼性の高い検査をすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、
図14に示すように、従来の旋盤をそのまま用いて、円筒状被加工物表面の切削加工して、精度の高い円筒形基体を製造する技術が開示されている。この技術では、円筒状被加工物9120を保持させる旋盤用治具は、円柱状の一対の押さえ部材9112及び9114と、を有し、押さえ部材9112及び9114はシャフト9116の端部が嵌挿し得る凹部9122及び9124を有する。そして、当該旋盤用治具を用いて円筒状被加工物表面の切削加工する場合、シャフト9116を円筒状被加工物9120に挿通させ、シャフト9116と円筒状被加工物9120との空隙を充填部材9118で充填することにより円筒状被加工物9120を保持して、その表面を切削加工する。特許文献1に開示された技術は、円筒形基体が電子写真感光体の基体や電子写真用現像スリーブを製造する場合のように、円筒状被加工物9120の径が大きいときには有用である。
【0005】
しかし、例えば、外径が0.6~1.0mm未満のように非常に小さな管では、管の内径は更に小さい。そのため、その中に、特許文献1に記載されているようなシャフト9116を挿通させたり、空隙を充填部材9118で充填したりすることは殆ど不可能であり、特許文献1の方法で管の表面を切削加工することは困難である。
また、外径が非常に小さい管は、通常、旋盤のチャッキング治具で把持できず、又は把持しても把持が不安定となり、表面を切削加工して凹部又は凸部を形成した管を提供することは大変困難である。
【0006】
そこで、本発明は、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さい管を製造する方法、及び当該管を提供することを目的とする。
また、最終製品としての管(最終製品管)ではなく、その前段階の管、いわば半製品としての管(半製品管)の提供を受け、それを旋盤切削して、表面に好みの形状の凹部又は凸部を有する外径が小さな管(最終製品管)を製造したいユーザーもおり、こうした半製品管の市場ニーズもある。そこで、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することに供する(役立てる、利用できる)半製品管及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の半製品管(第1の半製品管)は、旋盤による被切削で最終製品管とするために用いられる半製品管(第1の半製品管)であって、前記旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層と、前記第1層の外側に形成され、前記旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層と、を備えたことを特徴とする。
「最終製品管」とは「半製品管」と対比されるもので、最終製品となる管をいう。管自体が取引対象となるか、管がある製品の一部となるかは問わない。
「ダミー用」とは最終製品管構成用として用いられず、チャッキング治具による把持用に用いられることをいう。
なお、第1層を主としてレアメタル(希少金属)を用いて構成し、第2層をコモンメタル(ベースメタル)を用いて構成してもよい。
【0008】
このような半製品管(第1の半製品管)によれば、旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層の外側に、旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層が形成されているため、ダミー用の第2層を把持することにより、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することに供する半製品管提供することが可能となる。
なお、この明細書では「チャッキング治具」とは3爪チャック、爪チャック(ジョー)のような爪で把持する治具の他、開きヤトイ、閉ヤトイのように接触又は面接触で把持する治具も含む。なお、コレットチャックは閉ヤトイの一種であり、本願ではコレットチャックをチャッキング治具として用いることが好ましい。
【0009】
[2]上記に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層の外径は、前記最終製品管の外径近傍の外径であることが好ましい。
【0010】
[3]上記に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層は前記旋盤のチャッキング治具による把持が困難な小さな外径を有し、前記第2層は前記旋盤のチャッキング治具による把持が可能な大きな外径を有することが好ましい。
【0011】
[4]上記に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層は外径が0.05mm以上0.60mm未満であり、前記第2層は外径が0.40mm以上3.00mm以下であることが好ましい。第1層は外径が0.05mm以上0.50mm未満であり、第2層は外径が0.50mm以上2.00mm以下であることが更に好ましい。第1層は外径が0.10mm以上0.40mm未満であり、第2層は外径が0.40mm以上1.00mm以下であることが更に好ましい。第1層は外径が0.10mm以上0.30mm未満であり、第2層は外径が0.40mm以上0.60mm以下であることが更に好ましい。
【0012】
[5]上記に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第2層は、少なくとも前記第1層の前記第2層との隣接部より切削性がよいことが好ましい。
【0013】
[6]上記に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層は、前記第2層との隣接部を形成する第1層外層と、前記第1層外層の内側に形成された第1層内層と、を有し、前記第1層外層はビッカース硬さが350~550HVの範囲内にあることが好ましい。
【0014】
[7]上記に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層内層は、金、金コバルト合金、パラジウム、パラジウム合金又はポリテトラフルオロエチレンとニッケルとの共析物のいずれかからなり、前記第1層外層は、ニッケルコバルト合金、ニッケルマンガン合金又は純ニッケルのいずれかからなり、前記第2層は、銅、純ニッケル又はニッケルマンガン合金のいずれかからなること、が好ましい。
なお、ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene、PTFE)は、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂である。
また、純ニッケルとしては、例えば、NC-Ni(Ni200)(通常の純ニッケル)、LC-Ni(Ni201)(特に炭素含有量を低くしたもの)、D-Ni(少量のアルミニウム及びチタンを加えたもの)、A-Ni(純度99.7%以上の高純度ニッケル)、K-Ni(純度99.5%以上の高純度ニッケル)等がある(日立金属株式会社等で販売)。
【0015】
[8]本発明の半製品管(第1の半製品管)製造方法は、線材を準備する工程と、前記線材の外周側に、前記旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層を形成する工程と、前記第1層の外周側に、前記旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
このような半製品管(第1の半製品管)製造方法によれば、線材上に旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層が形成され、その外側に旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層が形成されるため、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、ダミー用の第2層を把持することにより、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することに供する半製品管製造方法を提供することが可能となる。
【0016】
[9]本発明の半製品管(第2の半製品管)製造方法は、旋盤を用いて半製品管(第1の半製品管)から更に最終製品管に近い第2の半製品管を製造する半製品管製造方法であって、上記の半製品管(第1の半製品管)を準備する工程と、前記半製品管(第1の半製品管)を、前記第2層外側から把持する把持工程と、前記第2層の外側からの切削により、前記第1層に凹部又は凸部を形成する切削工程と、前記把持した箇所と前記凹部又は凸部を形成した箇所とが繋がった状態で前記第2の半製品管とする工程と、を含むことを特徴とする。
このような半製品管(第2の半製品管)製造方法によれば、第1の半製品管を第2層外側から把持して、第1層に凹部又は凸部を形成することができる。そして、把持した箇所と凹部又は凸部を形成した箇所とが繋がった状態で半製品管(第2の半製品管)とするため、当該半製品管(第2の半製品管)を切断すれば最終製品管とすることができる。このように、この製造方法によれば、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することが可能な半製品管(第2の半製品管)製造方法を提供できる。
【0017】
[10]本発明の半製品管(第2の半製品管)は、所定箇所の切断により最終製品管とするために用いられる半製品管(第2の半製品管)であって、最終製品管構成用の第1層と、前記第1層の外側に形成されたダミー用の第2層と、が積層されたダミー層積層箇所と、凹部又は凸部が形成された第1層凹凸形成箇所と、を備えたことを特徴とする。
このように構成されていると、ダミー層積層箇所を把持して、第1層凹凸形成箇所を切り離すことにより最終製品管とすることができるため、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することに供する半製品管(第2の半製品管)を提供することが可能となる。
【0018】
[11]本発明の管(最終製品管)製造方法は、上記の半製品管(第2の半製品管)を準備する工程と、前記半製品管(第2の半製品管)を、前記ダミー層積層箇所で把持する把持工程と、前記第1層凹凸形成箇所を前記ダミー層積層箇所側から切り離す切断工程と、を含むことを特徴とする。
このような管(最終製品管)製造方法によれば、ダミー層積層箇所を把持して、第1層凹凸形成箇所を切り離すことにより最終製品管とすることができるため、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することに供する半製品管(第2の半製品管)製造方法を提供することが可能となる。
【0019】
[12]本発明の管(最終製品管)製造方法は、旋盤を用いて半製品管(第1の半製品管)から最終製品管を製造する管製造方法であって、上記の半製品管(第1の半製品管)を準備する工程と、前記半製品管(第1の半製品管)を、前記第2層外側から把持する把持工程と、前記第2層の外側からの切削により、前記第1層に凹部又は凸部を形成する切削工程と、前記半製品管(第1の半製品管)の所定箇所を切断する切断工程と、を含むことを特徴とする。
このような管(最終製品管)製造方法によれば、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、ダミー用の第2層を把持することにより、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管)を製造することに供する半製品管提供することが可能となる。
【0020】
[13]本発明の管(最終製品管)製造方法は、半製品管(第1の半製品管又は第2の半製品管)を製造する際に、第2層をその一部が残存するように切削することが好ましい。
このような管(最終製品管)製造方法にすると、第2層の一部を残存させることにより、凹部の深さ又は凸部の高さの調整、電磁気シールド(強化)等に役立てることが可能となる。
【0021】
[14]本発明の管(最終製品管)は、金属製の外径が0.05mm以上0.60未満で、外周に凹部又は凸部を有するとともに切削痕があることを特徴とする。
このような管(最終製品管)にすると、外径が小さいため、これまで製造が困難であった小さな径のコンタクトプローブ(半導体検査等に使用するもの)を製造することが可能となる等、多用途への使用が可能となる。また、小さな外径の管では一定の強度が求められるが、切削痕があると切削により外径を小さくしたことが分かるため、強度面等の不安を和らげることができる。スパッタリングやメッキで外層が形成されていると、通常、外層が薄く外層強度が小さいに対し、切削痕があるものは外層が厚く外層強度が大きいからである。
【0022】
[15]上記(例えば、[1]~[5])に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層と前記第2層は、前記半製品管が加熱されると、前記第1層と、前記第2層の前記第1層近傍が合金化される金属からなることが好ましい。
なお、合金化とは、第1層の金属と第2層の金属とが(熱拡散によって)混ざり合うことをいう。合金化は、第1層の金属と第2層の金属による合金化を意味する。合金は、第1層の金属と第2層の金属との合金である。合金化される第1層と第2層の金属は、純金属に限られない。不純物が混じった金属であってもよい。
このようにすると、加熱によって、第1層が容易に合金化され固くすることが可能となる。また、合金化によって、第2層の第1層近傍も固くすることができる。一方、第2層の外側は合金化されない、又は合金化の度合(合金化率)が低い(小さい)ため、切削が容易である。
【0023】
[16]上記(例えば、[15])に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層はパラジウム又は銀からなり、前記第1層は銅又は鉄からなることが好ましい。
なお、「パラジウム」、「銀」、「銅」、「鉄」は、層を構成する主成分を意味する。単一の元素だけから構成された金属の他、不純物を含んだ金属でも含む。
このようにすると、合金化しやすい。
【0024】
[17]上記(例えば、[15]又は[16])に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、更に、前記第1層の内側に形成された金属の第3層と、前記第1層と前記第3層との間に形成される中間層とを備え、前記中間層によって、前記第3層の金属が、加熱で、前記第1層及び前記第2層の金属と合金化されることを妨げられるように構成されていることが好ましい。
このようにすると、第1層の金属と第2層の金属が合金化される際に、第3層の金属もそれらと一緒に合金化されることを防ぐことが可能となる。
なお、第3層は、第1層(更に好ましくは第1層及び第3層、更に好ましくは第1層、第2層及び第3層)に比べて熱伝導率が小さい金属のような構成材で構成されていることが好ましい。
また、中間層をレアメタルを用いて構成してもよい。また、第3層をレアメタルを用いて構成してもよい。第3層を合金で構成してもよい。
【0025】
[18]上記(例えば、[16])に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記中間層はニッケルからなることが好ましい。
中間層がニッケルで構成されていると、ニッケルは金属の中で熱伝導率が小さい金属であるため、ニッケルより熱伝導率の大きな様々な金属を第3層の金属として用いても、加熱によって、第3層の金属が第1層(又は第1層及び第2層)の金属と合金化されることを防ぐことが可能となる。また、ニッケルは入手しやすい。電解メッキ等で中間層を形成することも容易である。
【0026】
[19]上記(例えば、[1]~[4]のいずれか)に記載の半製品管(第1の半製品管)においては、前記第1層が合金からなり、前記第2層は外側方向にいくにつれて前記合金化の度合が低く(小さく)なるように構成されていることが好ましい。
このようにすると、第1層を固くすることが可能となる。また、第2層は、外側方向(精緻な切削を要しない方向)にいく程、柔らかいため、切削が容易である。一方、その反対方向(第1層に向かう方向、精緻な切削を要する方向)にいく程、固くくなるため、切削ミスを抑制することが可能となる。
【0027】
[20]上記(例えば、[8])に記載の半製品管(第1の半製品管)製造方法においては、前記第1層を形成する工程、及び前記第2層を形成する工程では、前記第1層及び前記第2層を、前記半製品管が加熱されると、前記第1層、及び前記第2層の前記第1層近傍、が合金化される金属で形成することが好ましい。
このようにすると、半製品管を加熱することによって容易に合金化することが可能となる。
【0028】
[21]本発明の旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法は、(例えば、[15]~[18]のいずれかに記載の)半製品管を準備する工程と、前記半製品管を前記第2層外側から把持する把持工程と、前記第2層の外側からの切削により前記第2層をその一部が残存するように切削する切削工程と、前記半製品管を加熱して前記第1層及び残存する前記第2層を合金化する合金化工程と、を含むことを特徴とする。
このようにすると、切削工程において、第2層が合金化される前の柔らかい状態で切削されるため、切削加工が容易である。また、合金化工程において、第1層及び残存する第2層を均一化した合金にしやすい。
なお、一般的に、合金は第1層及び第2層の金属に比べて固いため、最終製品管の強度が同じ場合、合金化された場合には、合金化されない場合に比べ、最終製品管の層厚さ(管壁)を薄くすることも可能となる。そして、管外径を小さくすることも可能となる。
【0029】
[22]本発明の旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法は、(例えば、[15]~[18]のいずれかに記載の)半製品管を準備する工程と、前記半製品管を加熱して前記第1層、及前記第2層の前記第1層近傍を合金化する合金化工程と、前記半製品管を、前記第2層外側から把持する把持工程と、前記第2層の外側からの切削により、前記第2層を前記第1層近傍まで掘り下げて切削する切削工程と、を含むことを特徴とする。
このようにすると、切削工程において、第2層12の外側方向(精緻な切削を要しない方向)にいく程、柔らかいため、第2層外側の切削が容易である。一方、その反対方向(第1層に向かう方向、精緻な切削を要する方向)にいく程、固くなるため、最終製品管2外周の切削ミスを抑制することが可能となる。
なお、一般的に、合金は第1層及び第2層の金属に比べて固いため、最終製品管の強度が同じ場合、合金化された場合には、合金化されない場合に比べ、最終製品管の層厚さ(管壁)を薄くすることも可能となる。そして、管外径を小さくすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施形態1に係る半製品管1(第1の半製品管)及び最終製品管2を説明するための図。
【
図2】実施形態1に係る半製品管1の製造方法を説明するための図。
【
図3】実施形態1に係る最終製品管2の製造方法を説明するための図。
【
図4】実施形態1に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)。
【
図5】実施形態1に係る最終製品管2の使用例を説明するための図。
【
図6】実施形態2~8に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)。
【
図8】実施形態9~11に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)。
【
図9】実施形態12を説明するための図(合金化後に切削する方法)。
【
図10】実施形態12を説明するための図(合金化前に切削する方法)。
【
図11】実施形態12~16に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)。
【
図12】第1層11の切削変形例を説明するための図。
【
図13】第1層11及び第2層12の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の半製品管、半製品管製造方法、管及び管製造方法について、
図1~
図13を用いて説明する。なお、以下に説明する各図は、実際の形状、構成、方法等を簡略化して表した模式図である。
【0032】
[実施形態1]
図1~
図5を用いて、実施形態1に係る半製品管1(第1の半製品管)、半製品管1の製造方法、管(最終製品管2)及び管製造方法について説明する。なお、半製品管9(第2の半製品管)及び半製品管9の製造方法についても併せて説明する。
【0033】
[半製品管1及び最終製品管2について]
図1は、実施形態1に係る半製品管1(第1の半製品管)及び最終製品管2を説明するための図である。
図1(a)は半製品管1の長軸方向断面図を、
図1(b)は最終製品管2の長軸方向断面図を説明するための図である。半製品管1及び最終製品管2は短軸方向外側は概円形状となっている。なお、この明細書では「最終製品管」を単に「管」という場合がある。
図1に示すように、実施形態1に係る半製品管1は、旋盤による被切削で最終製品管とされる前の半製品管1であって、旋盤による被切削後も残存する最終製品管構成用の第1層11と、第1層11の外側に形成され、前記旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層12と、を備える。
【0034】
半製品管1の第1層11の外径D1は、最終製品管2の外径D5(最外径)近傍の外径である。「近傍」とは、「付近」、「近く」等の意味で、外径D1がD5近くの意味で、D1がD5と同じ場合も含む。実施形態1では、第1層11の外径D1は、最終製品管2の外径D5と同じである。D19は半製品管1又は最終製品管2の内径であり、後述する線材3の外径と同じである。
【0035】
上記の半製品管1においては、第1層11は旋盤のチャッキング治具51による把持が困難な小さな外径D1を有し、第2層12は旋盤のチャッキング治具51による把持が可能な大きな外径D3を有する。図中の外径D2は、チャッキング治具51で把持できる最小径である。外径D1、D2及びD3は、D1<D2<D3の関係を有する。D5は最終製品管2の外径である。実施形態1では、最終製品管2の外径D5は、第1層11の外径D1と同じである。
【0036】
上記の半製品管1においては、第1層11は外径D1が0.05mm以上0.60mm未満であり、第2層12は外径D3が0.40mm以上3.00mm以下である。
【0037】
上記の半製品管1においては、第2層12は、少なくとも第1層11の第2層12との隣接部11Eより切削性がよい。
【0038】
上記の半製品管1においては、第1層11は、第2層12との隣接部11Eを形成する第1層外層11Bと、第1層外層11Bの内側に形成された第1層内層11Aと、を有し、第1層外層11Bはビッカース硬さは350~550HVの範囲内にある。
実施形態1では、第1層内層11Aが金コバルト合金、第1層外層11Bがニッケルコバルト合金(ビッカース硬さ400~550HV)、第2層12が銅(ビッカース硬さ150~230HV)である。
【0039】
なお、
図1に示すように、半製品管1において、第1層11は、第1層内層11Aと第1層外層11Bとを有する。第1層内層11Aの内側は中空部19となっている。実施形態1では、第2層12が切削されてなくなり、第1層外層11Bの一部が切削され、凸部115と凹部116とが形成される。符号111は切削前の第1層面を示し、112は切削後の第1層面を示す。切削後の第1層面112には切削痕がある。
【0040】
[半製品管1の製造方法]
図2は、実施形態1に係る半製品管1の製造方法を説明するための図である。
図2(a)~(f)はその工程を説明するための図である。
図2に示されるように、実施形態1に係る半製品管1の製造方法は、旋盤による被切削で最終製品管2とされる前の半製品管1の製造方法であって、線材3を準備する工程(
図2(a))と、線材3上に、最終製品管構成用の第1層11を形成する工程(
図2(b)、(c))と、第1層11の外側に、旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層12を形成する工程(
図2(d))と、を含む。
【0041】
具体的に説明すると、まず、直径(外径、D19)0.20mmのステンレス線(線材)3を準備する(
図2(a))。「ステンレス線」とはステンレス鋼を線状にしたものである。ステンレス鋼とは炭素を1.2%(質量パーセント濃度)以下、クロムを10.5%以上含む、鉄(Fe)を主成分とした合金鋼である。
そして、線材3(ステンレス線)上に、電解メッキで金コバルト合金(厚さ1μm)の第1層内層11Aを形成する(
図2(b))。その外側には、電解メッキでニッケルコバルト合金(厚さ24μm)の第1層外層11B(外径D1が0.25mm)を形成する(
図2(c))。このようにして、線材3上に、第1層内層11Aと第1層外層11Bとを有する最終製品管構成用の第1層11を形成する。
そして、第1層11の外側に、電解メッキで銅(厚さ500μm)の第2層12(外径D3が1.25mm)を形成する(
図2(d))。第2層12は、旋盤による被切削対象となるダミー用の層である。
そして、線材3を引き抜いて除去する(
図2(e))。
図2(f)には、上記の
図2(a)~(e)の工程を経て製造された半製品管1(内径D19、外径D3)を示している。
【0042】
[最終製品管2の製造方法]
図3は、実施形態1に係る最終製品管2の製造方法を説明するための図である。
図3(a)~(d)は製造方法の工程を説明するための図である。
図3に示されるように、実施形態1に係る最終製品管2の製造方法は、旋盤を用いて半製品管1から最終製品管2を製造する管製造方法であって、上記した半製品管1を準備する工程(
図3(a))と、半製品管1を、第2層12外側から把持する把持工程(
図3(a))と、把持した以外の箇所1Nの第2層12を外側から切削し、第1層11の所定箇所を切削して凹部116又は凸部115を形成する切削工程(
図3(b))と、把持した箇所IY(ダミー層積層箇所)を切断する(切り離す)切断工程(
図3(c))と、を含む。
【0043】
具体的に説明すると、まず、最終製品管2を製造するための半製品管1を準備する(
図3(a))。半製品管1は
図1等で説明したものである。
そして、半製品管1を、コレット等のチャッキング治具51で、第2層12外側から把持する(
図3(a))。第2層12の外径D3の大きさはチャッキング治具51で把持できる大きさに形成されている。なお、半製品管1を準備する工程と、半製品管1を把持する把持工程とをまとめて同じ
図3(a)で示している。
【0044】
そして、チャッキング治具51で把持した箇所1Yを避けて、把持した以外の箇所1Nの第2層12を外側から切削バイト等の切削治具52で切削し、第1層11の所定箇所に凹部116又は凸部115を形成する(
図3(b))。切削深さは0.01mmである。第1層11を厚さ方向(短軸方向)に切削した箇所が凹部116となり、切削しない箇所が凸部115となる。なお、凹部116又は凸部115を形成するやり方としては、切削治具52を半製品管1に対して、半製品管1の長軸方向に相対的に移動しながら、第2層12及び所定箇所の第1層11を順次切削することにより、凹部116又は凸部115を形成するやり方、あるいは、半製品管1の長軸方向の所定長さ分、第2層12を切削した後で所定長さ分の範囲内の第1層11に凹部116又は凸部115を形成するやり方、がある。
【0045】
そして、半製品管1を把持したまま、切削した箇所を切り落としバイト等の切断治具53で切断する(
図3(c))。なお、最終製品管2の長さが1~5mmのように短いのに対し、半製品管1の長さが1~1.5mのように長い場合には、把持した箇所1Yの反対側端部から最終製品管2の長さ分ずつ切断する。
図3(d)は、
図3(a)~(c)の工程を経て製造された最終製品管2を示している。
【0046】
図4は、実施形態1に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)である。
図4には、実施形態1で使用する、線材3(芯線材)、第1層11、第2層12、最終製品管2の材料、厚さ、外径D等が記載されている。
図4中の「被切削性」は、切削が容易でない純ニッケルに対する被切削性の程度を示す。○は良好であること、◎は非常に良好であることを示す。最終製品管2の外径D5は、凸部がある場合、当該凸部を含む最外径である。含有量等の記載で、例えば「AuCo合金(Co0.1~1.0%)」は、金コバルト合金でコバルトの含有量(重量比率)が0.1~1.0%で残余が金であることを意味する。但し、微量添加物を含む場合もある。他の合金の記載も同様である。(以上の説明は
図6及び
図8でも同様である。)
【0047】
[第2の半製品管9]
これまでに説明した半製品管1(第1の半製品管)は、第2層12が切削される前の状態のものであったが、第2層12が切削された後のもので、所定箇所で切断される前のものを半製品管9(第2の半製品管)としてもよい(
図3(c)参照)。
[第2の半製品管9]
この半製品管9(第2の半製品管)製造方法は、旋盤を用いて半製品管(第1の半製品管)から更に最終製品管2に近い第2の半製品管を製造する半製品管製造方法であって、上記の半製品管(第1の半製品管1)を準備する工程と、当該半製品管(第1の半製品管)を、第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により、第1層11に凹部116又は凸部115を形成する切削工程と、把持した箇所1Yと凹部116又は凸部115を形成した箇所とが繋がった状態で第2の半製品管9とする工程と、を含む。
【0048】
そして、製造された半製品管(第2の半製品管9)は、所定箇所の切断により最終製品管2とするために用いられる半製品管(第2の半製品管9)であって、最終製品管構成用の第1層11と、第1層11の外側に形成されたダミー用の第2層12と、が積層されたダミー層積層箇所と、凹部116又は凸部115が形成された第1層凹凸形成箇所と、を備えている。つまり、外側に凹部116又は凸部115が形成され、所定箇所で切断(切り離し)すれば最終製品管2とすることができる。
【0049】
この第2の半製品管9を用いて管(最終製品管2)を製造する場合の管(最終製品管2)製造方法は、上記の半製品管(第2の半製品管9)を準備する工程と、半製品管(第2の半製品管9)を、ダミー層積層箇所1Yで把持する把持工程と、第1層凹凸形成箇所をダミー層積層箇所側から切り離す切断工程と、を含む。
【0050】
[最終製品管2]
図3(d)等に示される実施形態1に係る最終製品管2は、金属製の外径D5が0.05mm以上0.60未満で、外周に凹部116又は凸部115を有するとともに切削部に切削痕がある。
【0051】
[最終製品管2の使用例]
図5は、実施形態1に係る最終製品管2の使用例を説明するための図である。半導体検査装置7への使用例を示す。
この使用例では、最終製品管2は、その中に、プランジャー62と、バネ63とが入ったコンタクトプローブ6のバレル61(筒)として用いられる。バレル61の上部にはバネ取付具64が設置され、バネ取付具64にはバネ63が取り付けられている。コンタクトプローブ6は、最終製品管2(バレル61)の凸部115が、半導体検査装置7の嵌合部72に嵌合されて、半導体検査装置7のコンタクトプローブ取付具71内に収められる。そして、コンタクトプローブ6が図上の矢印のように上下することにより、プランジャー62は半導体素子8の電極81へ接触又は非接触する。プランジャー62が電極に接触する場合、プランジャー62はバネ63による弾性力により適度な圧力で接触する。そして、電極81への信号又は電極からの信号が配線導体73を介して送信又は受信されえうことにより半導体の検査がおこなわれる。
【0052】
[実施形態1の効果]
実施形態1に係る半製品管1によれば、最終製品管構成用の第1層11の外側に、旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層12が形成されているため、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、ダミー用の第2層12を把持することにより、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さな管(最終製品管2)を製造することに供する半製品管1を提供することが可能となる。
【0053】
また、第1層11の外径D1が最終製品管2の外径D5近傍の外径で形成されているため、ダミー用の第2層12の切削、及び第1層11表面への凹部116又は凸部115の形成が容易な半製品管1を提供することが可能となる。
【0054】
また、第1層11の外径D1の大きさが、旋盤のチャッキング治具51による把持が困難な小さなものであっても、その外側の第2層12は、旋盤のチャッキング治具による把持が可能な大きな外径D2を有するように構成されているため、第2層12をチャッキング治具により把持することにより旋盤により容易に切削加工できる半製品管1を提供することが可能となる。
【0055】
実施形態1に係る半製品管1は、第1層11は外径D1が0.05mm以上0.60mm未満であり、外径D1が小さいため把持困難で旋盤による凹凸形成が困難であっても、その外側に外径D3が0.40mm以上3.00mm以下である第2層12が形成されているため、切削加工することが可能となる。
【0056】
また、第2層12は、少なくとも第1層11の第2層12との隣接部11Eより切削性がよいため、ダミー用の第2層12を容易に切削することが可能となる。
【0057】
また、第1層11は、第2層12との隣接部11Eを形成する第1層外層11Bと、第1層外層11Bの内側に形成された第1層内層11Aと、を有するが、第1層外層11Bはビッカース硬さが350~550HVの範囲内の硬さで形成されているため、旋盤により容易に切削されることがない一方、旋盤による切削加工が可能である。そして、例えば、第1層内層11Aに最終製品管2の機能形成層(良好な導電性等を付与する層)を形成をして、それを外側に形成された硬い第1層外層11Bで保護することも可能となる。
【0058】
実施形態1に係る半製品管1(旋盤による被切削で最終製品管2とするために用いられる半製品管1)製造方法によれば、線材3を準備する工程と、線材3の外周側に、旋盤による被切削後も残存する最終製品管2構成用の第1層11を形成する工程と、第1層11の外周側に、旋盤による被切削対象となるダミー用の第2層12を形成する工程と、を含むため、外径が小さくチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部116又は凸部115を有する、外径が小さな管(最終製品管2)を製造することに供する半製品管1を製造することが可能となる。
【0059】
実施形態1に係る管製造方法(旋盤を用いて半製品管1から最終製品管2を製造する管製造方法)によれば、半製品管1を準備する工程と、半製品管1を、第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により、第1層11に凹部又は凸部を形成する切削工程と、半製品管1の所定箇所を切断する切断工程と、を含むため、外径が小さくチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部116又は凸部115を有する、外径が小さな管(最終製品管2)を製造することが可能となる。
【0060】
実施形態1に係る半製品管9(半製品管1から更に最終製品管2に近い第2の半製品管9を製造する管製造方法)によれば、半製品管1を準備する工程と、半製品管1を、第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により、第1層11に凹部116又は凸部115を形成する切削工程と、把持した箇所IYと凹部116又は凸部115を形成した箇所とが繋がった状態で第2の半製品管9とする工程と、を含むため、最終製品管2に近い第2の半製品管9を製造することが可能となる。
【0061】
実施形態1に係る半製品管9(所定箇所の切断により最終製品管2とするために用いられる半製品管9)によれば、最終製品管構成用の第1層11と、前記第1層11の外側に形成されたダミー用の第2層12と、が積層されたダミー層積層箇所と、凹部116又は凸部115が形成された第1層凹凸形成箇所と、を備えているため、ダミー層積層箇所を把持して、第1層凹凸形成箇所の所定箇所を切断することにより、最終製品管2にすることが可能となる。
【0062】
実施形態1に係る管製造方法(第2の半製品管9から最終製品管2を製造する管製造方法)によれば、半製品管9(第2の半製品管)を準備する工程と、半製品管9を、ダミー層積層箇所で把持する把持工程と、第1層凹凸形成箇所をダミー層積層箇所側から切り離す切断工程と、を含むため、第2の半製品管9から最終製品管2を容易に製造することが可能となる。
【0063】
実施形態1に係る管(最終製品管2)によれば、外径が小さいため、これまで製造が困難であった小さな径のコンタクトプローブ6(
図5参照)を製造することが可能となる。また、切削痕があるため、スパッタリングやメッキで製造されたものではなく切削によって製造されたことがわかり、強度面等の不安のない使用が可能となる。
【0064】
[実施形態2~8]
図6は、実施形態2~8に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)である。
図6には、実施形態2~8の線材3、第1層11、第2層12、最終製品管2の材料、厚さ、外径D等が記載されている。
実施形態2~8の管(半製品管1、9、最終製品管2)及びその製造方法は、基本的には実施形態1と同様であるが、
図6に示されるように、それらを構成する材質等が実施形態1と異なる。
つまり、実施形態2~8では、第1層内層11Aは、金、金コバルト合金、パラジウム、パラジウム合金又はポリテトラフルオロエチレンとニッケルとの共析物のいずれかからなり、第1層外層11Bは、ニッケルコバルト合金、ニッケルマンガン合金又は純ニッケルのいずれかからなり、第2層12は、銅、純ニッケル又はニッケルマンガン合金のいずれかからなる、ように構成されている。
なお、実施形態2~8の第1層、第2層等の材質、寸法等については
図6の記載内容が明細書に記載されているものとして、
図6の記載内容を文章にすることを省略する(上記の
図4及び後述の
図8においても同様である)。
【0065】
[実施形態2~8の効果]
第1層内層11A、第1層外層11B及び、第2層12に、適切な材質の部材を使用することにより、外径が小さいとチャッキング治具による把持が困難なため切削加工が困難な旋盤であっても、当該旋盤を用いて、表面に凹部又は凸部を有する、外径が小さい管を製造する方法、及び当該管を提供することが、より一層容易になる。
【0066】
また、管の機能性を第1層内層11A、それを保護する第1層外層11B、旋盤による切削加工を可能とする外層11Bとして、それらに合う材質を適当に選択することが可能となる。
【0067】
例えば、第1層内層11Aを金(純金)で形成すると、良導電性、良防錆性、柔らか等の機能発揮が可能である。
金コバルト合金で形成すると、純金より硬質化でき、良導電性、良防錆性等の機能発揮が可能である。
【0068】
パラジウムで形成すると、水素を取り込む水素吸蔵性、自動車の排気ガス中の有害物質を取り除く触媒機能等の発揮が可能である。
パラジウム合金とすると、水素吸蔵性、触媒機能の他、生体安全性機能、耐食性機能等の発揮が可能である。パラジウム合金としては、例えば、銀を主成分とし銀の硫化を防止用にパラジウムが添加された合金、それに更に耐食性用に金を添加た合金、12%金銀パラジウム合金等がある。12%金銀パラジウム合金は、金12%、パラジウム20%、残りを銀約50%、銅約20%、更にインジウム等からなる(よりなる)合金である。
【0069】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とニッケルとの共析物は、摺動性又は潤滑性等の発揮が可能である。その表面が摩滅すると新しいPTFE粒子か現れ、低い摩擦係数が維持されるからである。なお、PTFEは、テトラフルオロエチレンの重合体で、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)である。
【0070】
また、第1層外層11Bが、ニッケルコバルト合金及びッケルマンガン合金のいずれかからなると、硬いため、第1層内層11Aを保護することが可能である。但し、旋盤による切削も可能であり、凹凸形成もできる。
【0071】
また、第2層12が、銅又は純ニッケルのいずれかからなると、把持可能であり、また切削性がよい。
【0072】
また、第1層内層11A、第1層外層11B、及び第2層12を上記の材質の組み合わせにすると、積層形成が容易である。
【0073】
なお、実施形態2~6で説明した内容以外の点については、実施形態2~6においても実施形態1で説明した構成、方法、効果等の態様がそのまま適用できる。
【0074】
[実施形態9~11]
図7は、実施形態9~11を説明するための図(断面図)である。
図8は、実施形態9~11に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)である。
実施形態9~11に係る半製品管1、9、最終製品管2等の構成や、それらの製造方法は、基本的には実施形態1と同様であるが、
図7(又は
図8)に示されるように、第2層12切削後も、半製品管9又は最終製品管2に第2層12の一部が残存する点が異なる。符号121は、切削後も残存する第2層の一部である(
図7,8参照)。その表面が切削されている場合には切削箇所には切削痕を有する。
実施形態9~11の管(最終製品管2)製造方法について説明すると、当該製造方法は、基本的には、実施形態1で説明した製造方法と同様であるが、半製品管(第1の半製品管1)から最終製品管2(又は第2の半製品管9)を製造する場合、第2層12を切削する切削工程で第2層12をその一部121が残存するように切削する点が異なる。
【0075】
実施形態9で説明すると、第1層11及び第2層12の材質、層厚、外径等あるいはそれらの製造方法は、基本的には実施形態1と同様であるが、第1の半製品管1から最終製品管2(又は第2の半製品管9)にする際、第2層12の一部121を残存するように切削する(
図7,8参照)。最終製品管2(又は第2の半製品管9)においては、実施形態1では、第2層12は全て切削され、第1層11は凸部115又は凹部116が形成され(最)外径が0.25mmとなるように切削されるのに対し、実施形態9では、第2層12は一部121が残存するように(凸部115の上部に50μm厚残存するように)切削される。このようにするため、最終製品管2(又は第2の半製品管9)の(最)外径は第1層11の外径0.25mmより大きい0.27mmとなっている。なお、第1層11には凸部115又は凹部116が形成される。
【0076】
また、実施形態10は、実施形態9を少し変えた実施形態である。実施形態10では、第1層11及び第2層12の材質や第1層内層の厚さは実施形態9と同じであるが、切削前の第2層12の厚さ、及び切削後も残存する第2層の一部121の厚さが異なる。そして、最終製品管2(又は第2の半製品管9)の外径も実施形態9と異なる。しかし、切削後も残存する第2層の一部121がある点では実施形態9と同様である。
【0077】
実施形態11は、第1層11及び第2層12の材質、層厚、外径、並びに、切削後も残存する第2層の一部121の厚さ及び最終製品管2(又は第2の半製品管9)の外径、の一部が実施形態9と異なる実施形態である(
図8参照)。しかし、切削後も残存する第2層の一部121がある点では実施形態9と同様である。
【0078】
[実施形態9~11の効果]
このように、半製品管(第1の半製品管1)から最終製品管2(又は第2の半製品管9)を製造する場合、第2層12を切削する切削工程で第2層12をその一部が残存するように切削すると、凸部115の高さ調整が容易、凸部115の表面を柔らかくあるいは硬く形成することが可能、又は、シールド性をより一層高めることが可能、等の効果を有する。
【0079】
なお、実施形態9~11で説明した内容以外の点については、実施形態9~11においても実施形態1で説明した構成、方法、効果等の態様がそのまま適用できる。
【0080】
[実施形態12~16]
実施形態12~16は、基本的には実施形態1と同様であるが、第1層11と第2層12の一部とが、合金化した状態で、最終製品管2の構成物として用いられる点が異なる。
【0081】
[実施形態12]
実施形態12を用いて説明する。
図9及び第10図は、共に実施形態12を説明するための図である。
図9は合金化後に切削する方法、
図10は合金化前に切削する方法を説明するための図である。
図11は、実施形態12~16に係る半製品管1、最終製品管2等の寸法等を説明するための図(図表)である。
図11において、構成材として記載されている「Pg」、「Ag」、「Ni」の金属は、主成分がこれらの元素である金属の意味である。純金属に限られない。不純物を含んでいてもよい。
【0082】
[合金化後に切削する方法(
図9参照)]
合金化後に切削する方法では、まず、半製品管1(第1の半製品管)を準備する(
図9(a)参照)。中空部19(内径D19、0.200mm、寸法については
図11参照)を作るために使用した線材3(図示せず)の構成材はステンレスである。第1層11(層厚2μm)の構成材はパラジウムであり、電解メッキで形成する(外径D1、0.204mm)。第2層12(層厚523μm)の構成材は銅であり、電解メッキで形成する(外径D3、1.250mm)。符号12Eは第2層12の第1層近傍を示す。
そして、線材3(図示せず)を引き抜いて除去した半製品管1とする。
【0083】
次に、半製品管1を加熱炉に入れて加熱する(
図9(b)参照)。例えば400~500°で加熱する。すると、第1層11(パラジウム)と第2層12の第1層近傍12E(銅)とが熱拡散して合金化される(銅パラジウム合金)。第2層12は、第1層11に近づく程、合金化の度合が高く、遠ざかる程、合金化の度合が低くなる。加熱時間や温度で合金化の度合を変えることができる。
【0084】
次に、半製品管1を切削する(
図9(c)参照)。例えば、チャッキング治具51で、半製品管1の長軸方向の端部(一方の端部又は両端部)を把持し、切削治具52で第2層12(銅)が所定の外径D6(0.220mm)となるように切削する。このとき、凸部(
図9(d)参照)又は凹部(図示せず)を形成してもよい。但し、凸部又は凹部を形成する場合でも、それは一部の箇所であり、総じて所定の外径D6(0.220mm)となるように切削される。その後、切り落としバイトの切断治具(図示せず)で、チャッキング治具51で把持した箇所を切り落とす。もし、最終製品管2の長さが1~5mmのように短いのに対し、半製品管1の長さが1~1.5mのように長い場合には、最終製品管2の長さ分ずつ切り落とす。
【0085】
このようにして、最終製品管2が製造される(
図9(d)参照)。符号111は、第1層(パラジウム)と第2層12(銅)の第1層近傍12Eとが合金化された合金層(銅パラジウム合金層)を示す。
なお、第2層12(銅)を合金化の度合が高い層厚8μmを残して切削した場合、く、合金層200(銅パラジウム合金)は、銅(8μm)とパラジウム(2μm)とが概8:2の割合で合金化された合金層となる(最終製品管2の層厚さ、外径D6等については
図11の図表参照)。
【0086】
[切削後に合金化する方法(
図10参照)]
まず、合金化後に切削する方法(
図9(a)参照)と同様に、半製品管1(第1の半製品管)を準備する(
図10(a)参照)。
(線材3(図示せず)を引き抜いて除去した半製品管1にする。)
【0087】
次に、半製品管1を切削する(
図10(b)参照)。例えば、チャッキング治具51で、半製品管1の長軸方向の端部(一方の端部又は両端部)を把持し、切削治具52で第2層12(銅)が所定の外径D6(0.220mm)となるように切削する。このとき、凸部(図面参照)又は凹部(図示せず)を形成してもよい。但し、凸部又は凹部を形成する場合でも、それは一部の箇所であり、総じて所定の外径D6(0.220mm)となるように切削される。
【0088】
そして、切り落としバイトの切断治具(図示せず)で、チャッキング治具51で把持した箇所を切り落とす。最終製品管2の長さが1~5mmのように短いのに対し、半製品管1の長さが1~1.5mのように長い場合には、最終製品管2の長さ分ずつ切断する。最終製品管2の形状にする。
又は、チャッキング治具51で把持した箇所は切り落とさず残す(チャッキング治具51で把持した箇所以外の箇所は、最終製品管2の外形形状にする)。
【0089】
次に、第2層12切削後の半製品管1を加熱炉に入れて加熱する(
図10(c)参照)。すると、第1層11(パラジウム)と第2層12(銅)の第1層近傍12Eとが熱拡散して合金化され、合金層200(銅パラジウム合金層)を形成する。
第2層12(銅)を層厚8μmを残して切削した場合、合金層200(銅パラジウム合金層、10μm)は、銅(8μm)とパラジウム(2μm)とが全体的に概8:2の割合でほぼ均一に合金化された合金層となる。一部に凸部や凹部があってもそれらの箇所も含め合金層全体がほぼ均一に合金化される。
【0090】
なお、半製品管1が、チャッキング治具51で把持した箇所が切り落とされ、最終製品管2の形状に切削されている場合は、そのまま、合金層200を有する最終製品管2となる(
図10(d)参照)。
一方、半製品管1が、チャッキング治具51で把持した箇所が切り落とされずに残っている場合は、当該箇所を切り落とすと、合金層200を有する最終製品管2となる(最終製品管2の層厚さ、外径D6等については
図11の図表参照)。符号215は、凸部を形成した場合の当該凸部を示す。
【0091】
なお、
図9(a)に示す管と
図9(d)に示す管との間の管(例えば、
図9(b)又は
図9(c)に示す管)を取引対象の半製品管1としてもよい。
また、
図10(a)に示す管と
図10(d)に示す管との間の管(例えば、
図9(b)又は
図9(c)に示す管)を取引対象の半製品管1としてもよい。
【0092】
[実施形態13]
実施形態13は、基本的には実施形態12と同様であるが、半製品管1の第1層11を第1層内層11A(銀)及び第1層外層11B(パラジウム)とし、第2層12を銅とし、最終製品管2の合金層を銅銀パラジウム合金層とした点が異なる(
図11参照)。
【0093】
つまり、線材3の外側に、電解メッキで、第1層内層11A(銀、1μm)、第1層外層11B(パラジウム、1μm)、及び第2層12(銅、523μm)を積層形成する。
そして、線材3(図示せず)を引き抜いて除去した半製品管1とする。
半製品管1を加熱することにより、第1層内層11A(銀)と第1層外層11B(パラジウム)を第2層12(銅)と合金化し、合金層(10μm、銅銀パラジウム合金、銅:銀:パラジウムの割合は概8:1:1)を有する最終製品管2を製造する(最終製品管2の層厚さ、外径D6等については
図11の図表参照)。
【0094】
[実施形態14]
実施形態14は、基本的には実施形態12と同様であるが、半製品管1を、内側から外側に向かって、第3層(金コバルト合金層、図示せず)、中間層(ニッケル層、図示せず)、第1層11(パラジウム層)、及び第2層12(銅層)の積層構造とし、最終製品管2を、第3層(金コバルト合金層)、中間層(ニッケル層)、合金層(銅銀パラジウム合金層)の積層構造とした点が異なる(
図11参照)。
なお、第3層及び中間層は第1層11の内側に形成される層であり、第1層11ではないが、便宜上、第11図では第1層11の欄に記載している。
【0095】
つまり、線材3の外側に、電解メッキで、第3層(金コバルト合金層、1μm)、中間層(ニッケル層、1μm)、第1層11(パラジウム層、2μm)、及び第2層12(銅層、188.5μm)を積層形成する。
そして、線材3(図示せず)を引き抜いて除去した半製品管1とする。
半製品管1を加熱することにより、第1層11(パラジウム層)を第2層12(銅層)と合金化し、第3層(金コバルト合金層、1μm)、中間層(ニッケル層、1μm)、及び合金層(銅パラジウム合金層、10.5μm、銅:パラジウムの割合は概8.5:2)の積層構造を有する最終製品管2を製造する(最終製品管2の層厚さ、外径D6等については
図11の図表参照)。
なお、上記したように、ニッケルは、その熱伝導率がパラジウムの熱伝導率より小さいので、第1層の金属を第2層の金属と合金化する場合に、第3層の金属も一緒に合金化されることを防止できる。
【0096】
[実施形態15]
実施形態15は、基本的には実施形態12と同様であるが、半製品管1を、内側から外側に向かって、第3層(金コバルト合金層、図示せず)、中間層(ニッケル層、図示せず)、第1層内層11A(銀層)、第1層外層11B(パラジウム層)、及び第2層12(銅層)の積層構造とし、最終製品管2を、第3層(金コバルト合金層)、中間層(ニッケル層)、合金層(銅銀パラジウム合金層)の積層構造とした点が異なる(
図11参照)。
【0097】
つまり、線材3の外側に、電解メッキで、第3層(金コバルト合金層、1μm)、中間層(ニッケル層、1μm)、第1層内層11A(銀層、3μm)、第1層外層11B(パラジウム層、3μm)、及び第2層12(銅層、202μm)を積層形成する。
そして、線材3(図示せず)を引き抜いて除去した半製品管1とする。
半製品管1を加熱することにより、第1層内層11A(銀層)及び第1層外層11B(パラジウム層)を第2層12(銅層)と合金化し、第3層(金コバルト合金層、1μm)、中間層(ニッケル層、1μm)、及び合金層(銅銀パラジウム合金層、18μm、銅:銀:パラジウムの割合は概12:3:3)の積層構造を有する最終製品管2を製造する(最終製品管2の層厚さ、外径D6等については
図11の図表参照)。
なお、上記したように、ニッケルは、その熱伝導率が銀(又は、銀及びパラジウム)の熱伝導率より小さいので、第1層の金属を第2層の金属と合金化する場合に、第3層の金属も一緒に合金化されることを防止できる。
【0098】
[実施形態16]
実施形態16は、基本的には実施形態12と同様であるが、半製品管1を、内側から外側に向かって、第3層(金ニッケル合金層、図示せず)、中間層(ニッケル層、図示せず)、第1層11(パラジウム層)、及び第2層12(銅層)の積層構造とし、最終製品管2を、第3層(金ニッケル合金層)、中間層(ニッケル層)、合金層(銅パラジウム合金層)の積層構造とした点が異なる(
図11参照)。
【0099】
つまり、線材3の外側に、電解メッキで、第3層(金ニッケル合金層、2μm)、中間層(ニッケル層、1μm)、第1層11(パラジウム層、3μm)、及び第2層12(銅層、254μm)を積層形成する。
そして、線材3(図示せず)を引き抜いて除去した半製品管1とする。
半製品管1を加熱することにより、第1層11(パラジウム層)を第2層12(銅層)と合金化し、第3層(金ニッケル合金層、2μm)、中間層(ニッケル層、1μm)、及び合金層(銅パラジウム合金層、7μm、銅:パラジウムの割合は概4:3)の積層構造を有する最終製品管2を製造する(最終製品管2の層厚さ、外径D6等については
図11の図表参照)。
なお、上記したように、ニッケルは、その熱伝導率がパラジウムの熱伝導率より小さいので、第1層の金属を第2層の金属と合金化する場合に、第3層の金属も一緒に合金化されることを防止できる。
【0100】
上記した実施形態12~16では、第2層12に銅(Cu)を用いたが、銅を鉄(Fe)に置き換えてもよい。
銅を鉄に置き換えると、
図11の、実施形態12の第2層12構成材が鉄、最終製品管2構成材の合金が鉄パラジウム合金となる。実施形態13の第2層12構成材が鉄、最終製品管2構成材の合金が鉄銀パラジウム合金となる。実施形態14の第2層12構成材が鉄、最終製品管2の合金(外層)が鉄パラジウム合金となる。実施形態15の第2層12構成材が鉄、最終製品管2の合金(外層)が鉄銀パラジウム合金となる。実施形態16の第2層12構成材が鉄、最終製品管2の合金(外層)が鉄パラジウム合金となる。
図11に示すその他の点(構成材、寸法等)は変わらない。
【0101】
[実施形態12~16のまとめ(構成、方法)]
上記の実施形態12~16の構成や方法についてまとめると次のようになる。
半製品管1(第1の半製品管)においては、第1層11と第2層12(第2層の一部、第1層近傍12E)は、半製品管1が加熱されると、第1層11と、第2層12(第2層12の第1層近傍12E)が合金化される金属からなるように構成することができる(
図9~
図11参照)。
【0102】
半製品管1(第1の半製品管)は、第1層11はパラジウム又は銀からなり、第2層12は銅又は鉄からなることが好ましい(第11図参照)。
第1層11/第2層12の組み合わせ例(構成材)としては、例えば、パラジウム/銅、パラジウム/鉄、銀/銅、銀/鉄、銀・パラジウム/銅、銀・パラジウム/鉄の組み合わせがある。
なお、「パラジウム」、「銀」、「銅」又は「鉄」は、主成分がこれらの元素の金属の意味である。純金属に限られない。不純物を含んでいてもよい。
【0103】
このような半製品管1においては、更に、第1層11の内側に形成された金属の第3層と、第1層11と第3層との間に形成される中間層とを備え、当該中間層は、加熱によって、第3層の金属が、第1層11及び第2層12の金属と合金化されることを妨げる層とするように構成することができる。
なお、第3層は、第1層11(更に好ましくは第1層11及び第3層、更に好ましくは第1層11、第2層12及び第3層)に比べて熱伝導率が小さい層であることが好ましい。また、中間層をレアメタルを用いて構成してもよい。また、第3層をレアメタルを用いて構成してもよい。第3層を合金で構成してもよい。
【0104】
このような中間層はニッケルからなるようにする(ニッケルで構成する)ことができる。1atm、20℃での金属の熱伝導率[W/m K]は、ニッケル(99.2%)で59である。銀の418、パラジウムの70に対して小さい。
【0105】
このような半製品管1においては、例えば、
図9(b)に示される半製品管1のように、第1層11は合金からなり、第2層12は外側方向にいくにつれて合金化の度合が低くなるように構成してもよい。
【0106】
上記(例えば、[8])の半製品管製造方法において、第1層11を形成する工程、及び第2層12を形成する工程では、第1層11及び第2層12を、半製品管1が加熱されると、第1層11、及び第2層12の第1層近傍(12E)、が合金化される金属で形成するようにして半製品管を製造してもよい(
図9、
図10等参照)。
【0107】
旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法として、
図10を用いて説明したように、上記(例えば、[15]~[18]のいずれか)の半製品管1を準備する工程と、半製品管1を第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により第2層12をその一部が残存するように切削する切削工程と、半製品管1を加熱して第1層11及び残存する第2層12(121)を合金化する合金化工程と、を含むようにしてもよい。
【0108】
また、旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法として、
図9を用いて説明したように、上記(例えば、[15]~[18]のいずれか)の半製品管1を準備する工程と、半製品管1を加熱して第1層11及び第2層12の第1層近傍12Eを合金化する合金化工程と、半製品管1を第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により第2層12を第1層近傍12Eまで掘り下げて切削する切削工程と、を含むようにしてもよい。
【0109】
[実施形態12~16の効果]
実施形態12~16で説明したように、半製品管1(第1の半製品管)において、第1層11と第2層12(第2層の一部、第1層11の近傍12E)が、半製品管1が加熱されると、第1層11と、第2層12の第1層近傍12Eが合金化される金属からなるように構成されていると、加熱によって、容易に第1層11が合金化され、固くすることが可能となる。また、第2層12の第1層近傍も合金化によって固くすることができる。その一方、第2層12の外側は合金化されない、又は合金化の度合が低いため、切削が容易である。
【0110】
半製品管1(第1の半製品管)が、第1層11がパラジウム又は銀からなり、第2層12が銅又は鉄からなるように構成されていると、合金化しやすい。
【0111】
このような半製品管1においては、更に、第1層11の内側に形成された金属の第3層と、第1層11と第3層との間に形成される中間層とを備え、当該中間層は、加熱によって、第3層の金属が第1層11及び第2層12の金属と合金化されることを妨げる層とするように構成されていると、第1層11の金属と第2層12の金属が合金化される際に、第3層の金属もそれらと一緒に合金化されることを防ぐことが可能となる。
【0112】
そして、中間層がニッケルからなる(ニッケルで構成されている)と、ニッケルは金属の中で熱伝導率が小さい金属であるため、ニッケルより熱伝導率の大きな様々な金属を第3層の金属として用いても、加熱によって、第3層の金属が第1層11(又は第1層11及び第2層12)の金属と合金化されることを防ぐことが可能となる。また、ニッケルは入手しやすい。また、電解メッキ等で層を形成することも容易である。
【0113】
半製品管1においては、第1層11が合金からなり、第2層12は外側方向にいくにつれて合金化の度合が低くなるように構成されていると(
図9(b)参照)、第1層11を固くすることが可能となる。また、第2層12は、外側方向(精緻な切削を要しない方向)にいく程、柔らかいため、切削が容易である。一方、その反対方向(第1層11に向かう方向、精緻な切削を要する方向)にいく程、固くなるため、切削ミスを抑制することが可能となる。
【0114】
上記(例えば、[8])の半製品管製造方法において、第1層11を形成する工程、及び第2層12を形成する工程では、第1層11及び第2層12を、半製品管1が加熱されると、第1層11及び第2層12の第1層近傍(12E)、が合金化される金属で形成するようにされると、半製品管1を加熱することによって容易に合金化することが可能となる。
【0115】
旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法が、上記(例えば、[15]~[18]のいずれか)の半製品管1を準備する工程と、半製品管1を第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により第2層12をその一部が残存するように切削する切削工程と、半製品管1を加熱して第1層11及び残存する第2層12(121)を合金化する合金化工程と、が含まれる方法であると(
図10参照)、切削工程において、第2層12が合金化される前の柔らかい状態で切削されるため、切削加工が容易である。また、合金化工程において、第1層11及び残存する第2層12(121)を均一化した合金にしやすい。
また、合金化することによって第1層11及び第2層12の金属より固くすることが可能であり、最終製品管2の層厚さ(管壁)を薄くすることも可能となる。そして、管外径D6を小さくすることも可能となる。
【0116】
また、旋盤を用いて半製品管から最終製品管を製造する管製造方法が、上記(例えば、[15]~[18]のいずれか)の半製品管1を準備する工程と、半製品管1を加熱して第1層11、及び第2層12の第1層近傍12Eを合金化する合金化工程と、半製品管1を第2層12外側から把持する把持工程と、第2層12の外側からの切削により第2層12を第1層近傍12Eまで掘り下げて切削する切削工程と、が含まれる方法であると(
図9参照)、切削工程において、第2層12の外側方向(精緻な切削を要しない方向)にいく程、柔らかいため、第2層12外側の切削が容易である。一方、その反対方向(第1層11に向かう方向、精緻な切削を要する方向)にいく程、固くなるため、最終製品管2外周の切削ミスを抑制することが可能となる。
また、合金化することによって第1層11及び第2層12の金属より固くすることが可能であり、最終製品管2の層厚さ(管壁)を薄くすることも可能となる。そして、管外径D6を小さくすることも可能となる。
【0117】
なお、実施形態12~16で説明した以外の点については、実施形態1又は12~16においても、実施形態1又は実施形態2~11で説明した構成、方法、効果等における該当する態様がそのまま適用できる。
【0118】
[変形例]
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において変えることが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0119】
(1)上記実施形態1においては、第1層11の露出した面113の広い領域を切削して凹部116を形成し、残った狭い領域で凸部115を形成したが、凹部116又は凸部115の占める割合、形状、その形成方法等はこれに限られない。
図12は、第1層11の切削変形例を説明するための図である。
図12に示すように、第1層11の露出した面113の一部の狭い領域を切削して凹部116を形成し、凸部115の領域の占める割合が凹部116の領域の占める割合より大きくなるようにしてもよい。(
図12において、切削前の第1層面を符号111の点線で示し、切削後の面を符号112の実線で示す。)あるいは、凸部115と凹部116の領域の割合が半々となるようにしてもよい。このように、凸部115と凹部116の領域の割合は任意としてよい。
このようにすると、例えば、第1層外層11Bが固かったり、切削性が必ずしも良好とはいえない場合に、第1層外層11Bの切削量又は切削領域を少なくすることができる、切削効率が向上する、等が可能となる。
なお、凹部116又は凸部115の数や形状は任意としてよい。また、凸部115と凹部116との間の段差部も、垂直とする代わりに傾斜を持たせてもよい。
【0120】
(2)上記実施形態1においては、第1層11を、第1層内層11Aと第1層外層11Bの2層により構成し、第2層12を単層で構成したが、第1層11と第2層12の構成は、このような構成に限らない。例えば、第1層11と第2層を単層にする、第1層11を単層にして第2層を複層(層数は任意)にする、第1層11を複層(層数は任意)にして第2層を単層にする、第1層11と第2層を共に複層(それぞれの層数は任意)にする、のように変形してもよい。
【0121】
図13は、半製品管1の第1層11又は第2層12の構成変形例を説明するための図であるが、例えば、
図13(a)に示すように、第1層11を単層で構成してもよい。このようにすると、第1層11の構成を単純化できる、第1層11の形成や半製品管1の製造が容易になる。
また、
図13(b)に示すように、第1層11を、第1層内層11Aと、第1層外層11Bと、第1層内層11Aと第1層外層11Bとの間の第1層中間層11Cと、の3層のように3層以上により構成してもよい。このようにすると、例えば、第1層内層11Aと第1層外層11Bとの密着性が悪い場合、第1層中間層11Cによって密着性を改善することが可能となる。
また、
図13(c)に示すように、第2層12を、第2層内層12Aと第2層外層12Bのように、2層以上で構成してもよい。このようにすると、例えば、単層の第2層12を、把持するため固くしたい場合に第2層外層12Bを硬くすること、切削するため柔らかくしたい場合に第2層内層12Aを柔らかくすること、等が容易になる。
【0122】
(3)上記実施形態1~16においては、線材3(芯線材)としてステンレス線を用いたが、線材3はステンレス線に限定されるものではない。例えば、線材3として、ステンレス線の代わりにニクロム線又は鉄クロム線を用いてもよい。
ニクロム線は、ニッケルとクロムを主体とする合金(ニクロム)を線状にしたものである。少量のマンガン、鉄、炭素、珪素等を含む場合がある。
鉄クロム線は、鉄にクロムとアルミを加えた鉄クロムを線状にしたものである。鉄クロムとしては、例えば、カンタル(登録商標)の名前で販売されている鉄クロムがある。
【0123】
(4)これまでの説明と一部重複するが、上記実施形態1~16においては、半製品管1(第1の半製品管1、第2の半製品管9)又は最終製品管2は、凸部(115、215)又は凹部(116)を有しなくてもよい。つまり、凸部だけ有する、凹部だけ有する、凹凸部双方を有する、又は凹凸部双方を有しない、のいずれかの態様としてもよい(
図4、6、8、11等参照)。
【符号の説明】
【0124】
1…半製品管(第1の半製品管)、11…第1層、11A…第1層内層、11B…第1層外層、11C…第1層中層、11E…第1層の第2層との隣接部、111…切削前の第1層面、112…切削後の第1層面(切削痕がある)、115…凸部、116…凹部、1Y…チャッキング治具で把持した箇所、1N…チャッキング治具で把持した以外の箇所、12…第2層、12A…第2層内層、12B…第2層外層、12E…第1層近傍、121…切削後も残存する第2層の一部、19…中空部、2…最終製品管、200…合金層、215…凸部、3…線材(芯線材)、51…チャッキング治具、52…切削治具、53…切断治具、6…コンタクトプローブ、61…バレル、62…プランジャー、63…バネ、64…バネ取付具、7…半導体検査装置、71…コンタクトプローブ取付具、72…嵌合部、73…配線導体、8…半導体素子、81…電極、9…半製品管(第2の半製品管)、D1…第1層外径、D2…チャッキング可能最小径、D3…第2層外径、D19…線材の外径(半製品管又は最終製品管の内径)、9112、9114…押え部材、9118…充填部材、9120…被加工物、9122、9124…凹部