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特開2024-17836移動端末試験装置とそのSRSのEVM測定結果表示方法
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  • 特開-移動端末試験装置とそのSRSのEVM測定結果表示方法 図1
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  • 特開-移動端末試験装置とそのSRSのEVM測定結果表示方法 図3
  • 特開-移動端末試験装置とそのSRSのEVM測定結果表示方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017836
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とそのSRSのEVM測定結果表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/15 20150101AFI20240201BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240201BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20240201BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240201BHJP
【FI】
H04B17/15
H04W88/02 150
H04W72/04 136
H04B17/29
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120744
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 直樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】SRSの配置位置を自動的に算出して、容易にSRSのEVMの測定結果を参照することができる移動端末試験装置を提供すること。
【解決手段】移動端末10との間でRF信号を送受信する擬似基地局部2と、試験のシナリオに基づいて、擬似基地局部2に報知情報を送信させたり、移動端末10との間で通信シーケンスを実行させたりするシナリオ処理部3と、SRSのEVMの測定結果を表示するとき、設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置を算出し、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果を表示させる制御部6と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信の基地局を擬似して移動端末(10)を試験する移動端末試験装置(1)であって、
SRSのEVMの測定結果を表示するとき、設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置を算出し、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果を表示させる制御部(6)を備える移動端末試験装置。
【請求項2】
前記制御部は、SRSが配置されているシンボルを識別可能に表示させる請求項1に記載の移動端末試験装置。
【請求項3】
移動体通信の基地局を擬似して移動端末(10)を試験する移動端末試験装置(1)のSRSのEVM測定結果表示方法であって、
設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置を算出するステップと、
算出されたSRSの割当位置に基づいて、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果を表示するステップと、を備えるSRSのEVM測定結果表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動しながら通信を行なう移動端末を開発した場合、この開発した移動端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動端末を接続し、試験装置と移動端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
移動通信システムとしては、LTE(Long Term Evolution)や、5G(5th Generation) NR(New Radio)などがサービスされている。
【0004】
このLTEや5G NRでは、移動端末と基地局との間の無線の伝搬路を推定するため、移動端末から基地局へSRS(Sounding Reference Signal)を送信し、基地局が受信されたSRSを測定して移動端末と基地局との間の無線の伝搬路の品質を推定する。
【0005】
特許文献1には、LTEにおいて、SRSの送信側と受信側との間でSRS送信の有無又はSRSリソースの認識違いが生じる可能性を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2012/066736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
移動端末の試験では、移動端末の送信する信号の測定として、EVM(Error Vector Magnitude)を測定して結果を表示することが行なわれている。しかしながら、SRSについてはEVMの測定は行なわれていなかった。
【0008】
SRSは、規格上、サブフレームの末尾の6番目のシンボルまたは5番目、6番目のシンボルに配置されるが、シンボル内の全体がSRSではなく、シンボル内の一部に割り当てられる。SRSのEVMの測定結果を参照する場合、シンボルの中のSRSの割当位置を知る必要がある。
【0009】
しかしながら、SRSの割当位置は、SRSの周波数帯域幅や、移動端末の周波数帯域幅などから求めなければならず、手間がかかる。
【0010】
そこで、本発明は、SRSの配置位置を自動的に算出して、容易にSRSのEVMの測定結果を参照することができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の移動端末試験装置は、移動体通信の基地局を擬似して移動端末を試験する移動端末試験装置であって、SRSのEVMの測定結果を表示するとき、設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置を算出し、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果を表示させる制御部を備えるものである。
【0012】
この構成により、設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置が算出され、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果が表示される。このため、容易にSRSのEVMの測定結果を参照することができる。
【0013】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記制御部は、SRSが配置されているシンボルを識別可能に表示させるものである。
【0014】
この構成により、SRSが配置されているシンボルが識別可能に表示される。このため、SRSのEVMの測定結果と、通常のEVMの測定結果と、を容易に識別して参照することができる。
【0015】
また、本発明のSRSのEVM測定結果表示方法は、移動体通信の基地局を擬似して移動端末を試験する移動端末試験装置のSRSのEVM測定結果表示方法であって、設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置を算出するステップと、算出されたSRSの割当位置に基づいて、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果を表示するステップと、を備えるものである。
【0016】
この構成により、設定されたパラメータに基づいてSRSの割当位置が算出され、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果が表示される。このため、容易にSRSのEVMの測定結果を参照することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、SRSの配置位置を自動的に算出して、容易にSRSのEVMの測定結果を参照することができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の要部のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のEVM測定結果の表示画面の例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の6番目のシンボルのSRSのEVM測定結果の表示画面の例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の5番目のシンボルのSRSのEVM測定結果の表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置について詳細に説明する。
【0020】
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、擬似基地局として同軸ケーブル等を介して有線で移動端末10とRF(無線周波数)信号を送受信するようになっている。なお、移動端末試験装置1は、アンテナを介して無線で移動端末10とRF信号を送受信するようにしてもよい。
【0021】
移動端末試験装置1は、擬似基地局部2と、シナリオ処理部3と、操作部4と、表示部5と、制御部6とを含んで構成されている。
【0022】
擬似基地局部2は、シナリオ処理部3の制御により、移動端末10との間でRF信号を送受信する。擬似基地局部2は、移動端末10との通信の状態などを制御部6に出力する。
【0023】
擬似基地局部2は、LTEの規格に従ってLTEの通信を移動端末10との間で行なえるようになっている。擬似基地局部2は、5G NRの規格に従って5G NRの通信を移動端末10との間で行なえるようにしてもよい。
【0024】
操作部4は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器で構成され、操作入力されたシナリオの生成に必要な情報などを制御部6に出力する。表示部5は、液晶ディスプレイ等の画像表示機器で構成され、シナリオの生成に必要な情報を入力させる画像や試験中の状態を示す画像などを表示する。
【0025】
制御部6は、操作部4に入力された指示に従って、試験シナリオの作成画面を表示部5に表示させて試験シナリオの生成に必要な情報を入力させたり、試験シナリオの作成画面において操作部4に入力された情報に基づいて試験シナリオを生成したりする。また、制御部6は、操作部4に入力された指示に従って、シナリオ処理部3に指示を送信して、記憶装置に記憶された試験シナリオに基づいて試験を実行させたり、シナリオ処理部3から送信される各レイヤの状態や移動端末10との通信の状態などの情報に基づいて表示部5に試験中の状態などを表示させたりする。
【0026】
ここで、移動端末試験装置1は、移動端末10と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの記憶装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0027】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0028】
このように、本実施形態において、シナリオ処理部3、制御部6は、CPUによって構成され、擬似基地局部2は、通信モジュールによって構成される。
【0029】
このような構成の移動端末試験装置1において、移動端末10が送信する信号のEVMを測定し、結果を表示部5に表示することができるようになっている。
【0030】
EVM測定結果の表示画面は、図2に示すように、シンボル表示部101と、詳細結果表示部102と、シンボル指定部103と、を備えている。
【0031】
シンボル表示部101は、操作部4に入力されて表示するように指定されたスロットのEVMの状態を時間軸上で表示する。
【0032】
詳細結果表示部102は、シンボル表示部101に表示されているスロットの指定されたシンボルのEVMの状態を表示する。
【0033】
シンボル指定部103は、シンボル表示部101に表示されたスロットの中で、詳細結果表示部102に表示させるシンボルを指定する。
【0034】
本実施形態の移動端末試験装置1では、SRSのEVMの測定結果を表示できるようになっている。
【0035】
SRSは、シンボルの一部に割り当てられる。SRSのEVMの測定結果を参照する場合、シンボルの中のSRSの割当位置を知る必要がある。
【0036】
しかしながら、SRSの割当位置は、SRSの周波数帯域幅や、移動端末の周波数帯域幅などから求めなければならず、手間がかかる。
【0037】
制御部6は、操作部4の操作によりSRSのEVMの表示が選択されると、擬似基地局のパラメータとして設定されているSRSの周波数帯域幅や、移動端末の周波数帯域幅などからSRSの割当位置を自動的に算出し、SRSの割当位置が分かるようにEVM測定結果の表示画面に表示させる。
【0038】
制御部6は、例えば、図3に示すように、詳細結果表示部102のSRSの割当位置以外の部分の表示を通常の表示とは異なる表示、例えば、色を変えたり、網掛け表示にしたりする。
【0039】
また、シンボル表示部101のSRSが割り当てられているシンボルについても、通常の表示とは異なる表示、例えば、色を変えたり、網掛け表示にしたりしてもよい。なお、図3においては、6番目のシンボルにSRSが配置されている場合を示している。
【0040】
制御部6は、5番目、6番目のシンボルにSRSが配置されている場合、例えば、図4に示すようにEVM測定結果の表示画面を表示させる。図4においては、シンボル指定部103により5番目のシンボルが指定され、5番目のシンボルのSRSのEVMが表示されている。
【0041】
制御部6は、算出したSRSの割当位置が、例えば、SRSのRB(Resource Block)数がChannel BandwidthにおけるRB数の上限値を超えてしまうなどの、異常な値になった場合は、エラーとする。
【0042】
また、制御部6は、SRSの割当位置が、エラーとなった場合、エラーの原因と考えられるケースをユーザーに提示してもよい。
【0043】
このようにすることで、エラーとなった原因を確認することができ、早期にパラメータの修正を行なうことができる。
【0044】
このように、上述の実施形態では、制御部6は、SRSのEVMの測定結果を表示する場合、設定されているパラメータに基づいてSRSの割当位置を自動的に算出し、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果を表示させる。
【0045】
これにより、SRSの割当位置を算出しなくても、SRSの割当位置が分かるようにEVMの測定結果が表示され、容易にSRSのEVMの測定結果を参照することができる。
【0046】
また、制御部6は、スロット内のSRSの位置が分かるようにシンボル表示部101に表示させる。
【0047】
これにより、SRSのシンボルを容易に識別することができ、SRSのEVMの測定結果と、通常のEVMの測定結果と、を容易に識別して参照することができる。
【0048】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0049】
1 移動端末試験装置
2 擬似基地局部
3 シナリオ処理部
4 操作部
5 表示部
6 制御部
10 移動端末
図1
図2
図3
図4