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特開2024-178394太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール並びに光起電力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178394
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール並びに光起電力システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0216 20140101AFI20241217BHJP
【FI】
H01L31/04 240
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024166321
(22)【出願日】2024-09-25
(62)【分割の表示】P 2023191910の分割
【原出願日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】202310644865.0
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 紅
(72)【発明者】
【氏名】陳 奕峰
(72)【発明者】
【氏名】劉 迪
(72)【発明者】
【氏名】杜 文星
(57)【要約】      (修正有)
【課題】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール並びに光起電力システムを提供する。
【解決手段】太陽電池は、対向設置された第1表面及び第2表面と、第1表面と第2表面との間に隣接する複数の側面とを含む下地基板と、順に第1表面に積層設置され、且つ第1表面のみを覆うドープ導電層及び第1パッシベーション膜層と、第1パッシベーション膜層上に積層設置される反射防止膜層であって、少なくとも第1パッシベーション膜層を覆うように、第1表面を覆う反射防止膜層と、第2表面に設けられるパッシベーションコンタクト層と、パッシベーションコンタクト層上に積層設置される第2パッシベーション膜層であって、少なくともパッシベーションコンタクト層を覆うように、第2表面を覆う第2パッシベーション膜層とを含み、反射防止膜層は、各側面の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層は、各側面の少なくとも一部を覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
対向設置された第1表面及び第2表面と、前記第1表面と前記第2表面との間に隣接する複数の側面とを含む下地基板と、
順に前記第1表面に積層設置され、且つ前記第1表面のみを覆うドープ導電層及び第1パッシベーション膜層と、
前記第1パッシベーション膜層上に積層設置される反射防止膜層であって、少なくとも前記第1パッシベーション膜層を覆うように、前記第1表面を覆う反射防止膜層と、
前記第2表面に設けられるパッシベーションコンタクト層と、
前記パッシベーションコンタクト層上に積層設置される第2パッシベーション膜層であって、少なくとも前記パッシベーションコンタクト層を覆うように、前記第2表面を覆う第2パッシベーション膜層と、
を含み、
前記第2パッシベーション膜層は、さらに各前記側面の少なくとも一部を覆う、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記下地基板の側面は、当該前記側面の法線方向において、前記ドープ導電層と前記第1パッシベーション膜層と前記反射防止膜層における当該前記側面と同一側に位置する縁と面一であり、
前記第2パッシベーション膜層は、一部の構造が各側面に設けられ、且つ少なくとも各前記側面を完全に覆い、
且つ、少なくとも前記ドープ導電層と前記第1パッシベーション膜層と前記反射防止膜層における各前記側面と同一側に位置する縁を完全に覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2パッシベーション膜層は、さらに前記第1表面の各前記側面に隣接する少なくとも一部の領域まで覆い、
或は、前記第2パッシベーション膜層の前記下地基板の厚さ方向に沿った縁は、前記反射防止膜層の前記下地基板の厚さ方向に沿った外面と面一である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第2パッシベーション膜層は、一部の構造が前記第1表面における前記反射防止膜層の縁の部位に積層され、前記第2パッシベーション膜層と前記反射防止膜層との積層領域の、前記パッシベーションコンタクト層からの厚さは、前記太陽電池の中心部位の、前記反射防止膜層が積層されていない領域の厚さよりも太く、両方の厚さの差は、5nm~1μmである、
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
太陽電池の製造方法であって、
対向設置された第1表面及び第2表面と、前記第1表面と前記第2表面との間に隣接する複数の側面とを含む下地基板と、順に前記第1表面に積層設置され、且つ前記第1表面のみを覆うドープ導電層及び第1パッシベーション膜層と、前記第2表面に設けられるパッシベーションコンタクト層と、を含む基板を提供するステップと、
前記第1パッシベーション膜層上に、少なくとも前記第1パッシベーション膜層を覆うように、前記第1表面を覆う反射防止膜層を形成するステップと、
前記パッシベーションコンタクト層上に、前記パッシベーションコンタクト層を完全に覆うように、前記第2表面を覆う第2パッシベーション膜層を形成するステップとを含み、
前記第2パッシベーション膜層は、さらに各前記側面の少なくとも一部を覆う、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記下地基板の側面は、当該前記側面の法線方向において、前記ドープ導電層と前記第1パッシベーション膜層と前記反射防止膜層における当該前記側面と同一側に位置する縁と面一であり、
前記パッシベーションコンタクト層上に第2パッシベーション膜層を形成するステップは、
前記反射防止膜層が位置決めボートに向かう状態で、前記反射防止膜層が形成された前記基板である第1構造体を、位置決めボートに設けられた各位置決め突起の間に係止設置し、前記第1構造体の遮蔽されていない表面に第2パッシベーション材を形成することと、
各位置決め突起と前記下地基板の側面との相対位置を調整し、引き続き前記第1構造体の遮蔽されていない表面に第2パッシベーション材を形成して、前記パッシベーションコンタクト層上に第2パッシベーション膜層を形成することとを含み、
前記第2パッシベーション膜層は、少なくとも前記下地基板の各前記側面を完全に覆い、且つ、少なくとも前記ドープ導電層と前記第1パッシベーション膜層と前記反射防止膜層における各前記側面と同一側に位置する縁を完全に覆う、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記反射防止膜層が前記位置決めボートに貼り合わされた状態で、形成された前記第2パッシベーション膜層の前記下地基板の厚さ方向に沿った縁は、前記反射防止膜層の前記下地基板の厚さ方向に沿った外面と面一であり、
前記反射防止膜層が前記位置決めボートと間隔をあけた状態で、形成された前記第2パッシベーション膜層は、さらに前記第1表面の各前記側面に隣接する少なくとも一部の領域まで覆う、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記基板を提供するステップは、
前記下地基板の第1表面に前記ドープ導電層を形成することと、
前記下地基板の第2表面に前記パッシベーションコンタクト層を形成することと、
前記ドープ導電層上に前記第1パッシベーション膜層を形成することとを含む、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
光起電力モジュールであって、
少なくとも1つの電池ストリングを含み、
前記電池ストリングは、請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池を少なくとも2つ含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項10】
光起電力システムであって、
請求項9に記載の光起電力モジュールを含む、
ことを特徴とする光起電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール並びに光起電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力産業技術の迅速な発展に伴い、国内外の市場では太陽電池の変換効率に対してもますます高く要求されてきており、業界内の多くのメーカーはいずれも高効率電池の開発と研究を積極的に行っている。その中、表面パッシベーションコンタクト技術は、近年、業界内の研究焦点になっており、TOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact)技術とは、電池の表面に超薄い1層のトンネル酸化層及び1層のドープ多結晶シリコン薄層を製造し、両者は、ともにパッシベーションコンタクト構造を形成し、それにより、金属接触再結合電流を大幅に低下させ、電池の開路電圧及び短絡電流を向上させることができる。しかし、関連技術に係るTOPCon電池では、電池の辺縁面に大量のキャリア再結合が存在し、太陽電池の効率が低くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に鑑みて、本願は、太陽電池の効率を向上させることが可能な太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール並びに光起電力システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る実施例は、
対向設置された第1表面及び第2表面と、第1表面と第2表面との間に隣接する複数の側面とを含む下地基板と、
順に第1表面に積層設置され、且つ第1表面のみを覆うドープ導電層及び第1パッシベーション膜層と、
第1パッシベーション膜層上に積層設置される反射防止膜層であって、少なくとも第1パッシベーション膜層を覆うように、第1表面を覆う反射防止膜層と、
第2表面に設けられるパッシベーションコンタクト層と、
パッシベーションコンタクト層上に積層設置される第2パッシベーション膜層であって、少なくともパッシベーションコンタクト層を覆うように、第2表面を覆う第2パッシベーション膜層と、
を含み、
反射防止膜層は、さらに少なくとも一の側面の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層は、さらに少なくとも一の側面の少なくとも一部を覆う、
太陽電池を提供する。
【0005】
反射防止膜層がさらに少なくとも一の側面の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層がさらに少なくとも一の側面の少なくとも一部を覆うことにより、下地基板の少なくとも一の側面の少なくとも一部の領域は、反射防止膜又は第2パッシベーション膜層によって保護され、それにより、太陽電池の当該側面に対応する縁面をパッシベーションすることができ、太陽電池の辺縁面のキャリア再結合を減少させて、太陽電池の効率を向上させる。
【0006】
好ましくは、反射防止膜層は、各側面の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層は、各側面の少なくとも一部を覆う。
【0007】
好ましくは、反射防止膜層は、少なくとも各側面を完全に覆い、且つ、
少なくともパッシベーションコンタクト層の当該側面と同一側に位置する表面を完全に覆う。
【0008】
好ましくは、反射防止膜層は、さらに第2表面の側面に隣接する少なくとも一部の領域まで覆い、
或いは、反射防止膜層の第2表面に近い縁は、パッシベーションコンタクト層の下地基板から離れる表面と面一である。
【0009】
好ましくは、第2パッシベーション膜層は、反射防止膜層の少なくとも一部を覆う。
【0010】
好ましくは、下地基板の側面は、当該側面の法線方向において、ドープ導電層と第1パッシベーション膜層と反射防止膜層における当該側面と同一側に位置する縁と面一であり、
第2パッシベーション膜層は、一部の構造が各側面上に設けられ、且つ少なくとも各側面を完全に覆い、
且つ、少なくともドープ導電層と第1パッシベーション膜層と反射防止膜層における各側面と同一側に位置する縁とを完全に覆う。
【0011】
好ましくは、第2パッシベーション膜層は、さらに第1表面の各側面に隣接する少なくとも一部の領域まで覆い、
或いは、第2パッシベーション膜層の第1表面に近い縁は、反射防止膜層の下地基板の厚さ方向に沿った外面と面一である。
【0012】
本発明に係る実施例は、さらに、
対向設置された第1表面及び第2表面と、第1表面と第2表面との間に隣接する複数の側面とを含む下地基板と、順に第1表面に積層設置され、且つ第1表面のみを覆うドープ導電層及び第1パッシベーション膜層と、第2表面に設けられるパッシベーションコンタクト層と、を含む基板を提供するステップと、
第1パッシベーション膜層上に、少なくとも第1パッシベーション膜層を覆うように、第1表面を覆う反射防止膜層を形成するステップと、
パッシベーションコンタクト層上に、パッシベーションコンタクト層を完全に覆うように、第2表面を覆う第2パッシベーション膜層を形成するステップとを含み、
反射防止膜層又は第2パッシベーション膜層は、さらに少なくとも一の側面の少なくとも一部を覆う、
太陽電池の製造方法を提供する。
【0013】
好ましくは、第1パッシベーション膜層上に反射防止膜層を形成するステップは、
基板のパッシベーションコンタクト層が位置決めボートに向かう状態で、基板を、位置決めボートに設けられた各位置決め突起の間に係止設置し、基板の第1未遮蔽表面領域に反射防止材を形成することと、
基板の第2未遮蔽表面領域を形成するように各位置決め突起と下地基板の側面との相対位置を調整し、基板の第2未遮蔽表面領域に反射防止材を形成して、第1パッシベーション膜層上に反射防止膜層を形成することとを含み、
反射防止膜層は、少なくとも第1パッシベーション膜層と各側面とパッシベーションコンタクト層における当該側面と同一側に位置する表面とを覆う。
【0014】
好ましくは、基板のパッシベーションコンタクト層が位置決めボートに貼り合わされた状態で、形成された反射防止膜層の第2表面に近い縁は、パッシベーションコンタクト層の下地基板から離れる表面と面一であり、
基板のパッシベーションコンタクト層が位置決めボートと間隔をあけた状態で、形成された反射防止膜層は、さらにパッシベーションコンタクト層の側面に隣接する少なくとも一部の領域まで覆う。
【0015】
好ましくは、下地基板の側面は、当該側面の法線方向において、ドープ導電層と第1パッシベーション膜層と反射防止膜層における当該側面と同一側に位置する縁と面一であり、
第1構造体は、反射防止膜層が形成された基板であり、
パッシベーションコンタクト層上に第2パッシベーション膜層を形成するステップは、
反射防止膜層が位置決めボートに向かう状態で、第1構造体を位置決めボートに設けられた各位置決め突起の間に係止設置し、第1構造体の第1未遮蔽表面領域に第2パッシベーション材を形成することと、
第1構造体の第2未遮蔽表面領域を形成するように各位置決め突起と下地基板の側面との相対位置を調整し、第1構造体の第2未遮蔽表面領域に第2パッシベーション材を形成して、パッシベーションコンタクト層上に第2パッシベーション膜層を形成することとを含み、
第2パッシベーション膜層は、少なくとも下地基板の各側面を完全に覆い、且つ少なくともドープ導電層と第1パッシベーション膜層と反射防止膜層における各側面と同一側に位置する縁とを完全に覆う。
【0016】
好ましくは、反射防止膜層が位置決めボートに貼り合わされた状態で、形成された第2パッシベーション膜層の第1表面に近い縁は、反射防止膜層の下地基板の厚さ方向に沿った外面と面一であり、
反射防止膜層が位置決めボートと間隔をあけた状態で、形成された第2パッシベーション膜層は、さらに第1表面の各側面に隣接する少なくとも一部の領域まで覆う。
【0017】
好ましくは、基板を提供するステップは、
下地基板の第1表面にドープ導電層を形成することと、
下地基板の第2表面にパッシベーションコンタクト層を形成することと、
ドープ導電層上に第1パッシベーション膜層を形成することとを含む。
【0018】
本発明に係る実施例は、さらに、上記の太陽電池を含む電池ストリングを少なくとも1つ含む、光起電力モジュールを提供する。
【0019】
本発明に係る実施例は、さらに、上記の光起電力モジュールを含む、光起電力システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願の実施例の提供する太陽電池の構成模式図である。
図2】本願の別の実施例の提供する太陽電池の構成模式図である。
図3】本願の別の実施例の提供する太陽電池の構成模式図である。
図4】本願の別の実施例の提供する太陽電池の構成模式図である。
図5】本発明に係る実施例の提供する太陽電池の製造方法のフロー模式図である。
図6】本発明に係る実施例の提供する太陽電池の製造方法における位置決め装置の構成模式図である。
図7】本発明に係る実施例の提供する太陽電池の製造方法における基板の構成模式図である。
図8】本発明に係る実施例の提供する太陽電池の製造方法において反射防止膜層を形成することを示す模式図である。
図9】本発明に係る実施例の提供する太陽電池の製造方法において第2パッシベーション膜層を形成することを示す模式図である。
図10】本発明に係る別の実施例の提供する太陽電池の製造方法において反射防止膜層を形成することを示す模式図である。
図11】本発明に係る別の実施例の提供する太陽電池の製造方法において第2パッシベーション膜層を形成することを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の上記の目的、特徴と利点がより理解しやすくなるように、図面と参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。本発明を充分に理解するために、以下の説明にて様々な具体的な細部を述べる。しかし、本発明はここで説明するものと異なる様々な形態で実施でき、当業者は本発明の趣旨から逸脱しない限り類似した改良を加えることができ、このため、本発明は以下に開示の具体的な実施例に制限されない。
【0022】
さらに、「第1」、「第2」という用語は、説明のみを目的とするものであり、相対的な重要度を示したり示唆したり、または示される技術的特徴の数を暗示的に示したりするものと理解してはならない。これにより、「第1」、「第2」と限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示的または暗示的に含むことができる。本発明の説明において、特に明確かつ具体的に限定されない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0023】
本発明では、他に明確な規定と限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義に解釈されるべきであり、他に明確な限定がない限り、例えば、固定接続であっても、取外し可能な接続であっても、或は一体であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な接続であっても、中間媒介を介する間接的な接続であってもよく、二つの要素の内部の連通或は二つの要素の相互作用関係でもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、上記の用語の本発明における具体的な意味を理解してよい。
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本実施例に係る太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール並びに光起電力システムを説明する。
【0025】
関連技術において、太陽電池の辺縁面の再結合損失が比較的に大きく、太陽電池の効率が低くなってしまう課題がある。本発明では、製膜過程における下地基板と位置決め装置との接触位置を調整することで、反射防止膜層又は第2パッシベーション膜層を下地基板の側面などの位置に堆積し、それにより、太陽電池の辺縁面の再結合を減少させて、光電変換効率を向上させることができる。
【0026】
図1を参照すると、本発明に係る実施例は、太陽電池1を提供し、当該太陽電池1は、下地基板2、ドープ導電層3、第1パッシベーション膜層4、反射防止膜層5、パッシベーションコンタクト層6及び第2パッシベーション膜層7を含む。
【0027】
下地基板2は、対向設置された第1表面11及び第2表面12と、第1表面11と第2表面12との間に隣接する複数の側面13とを含む。ドープ導電層3及び第1パッシベーション膜層4は、順に第1表面11に積層設置され、且つ第1表面11のみを覆う。反射防止膜層5は、第1パッシベーション膜層4上に積層設置されている。反射防止膜層5は、少なくとも第1パッシベーション膜層4を覆うように、第1表面11を覆う。パッシベーションコンタクト層6は、第2表面12に設けられている。第2パッシベーション膜層7は、パッシベーションコンタクト層6上に積層設置されている。第2パッシベーション膜層7は、少なくともパッシベーションコンタクト層6を覆うように、第2表面12を覆う。また、反射防止膜層5は、さらに少なくとも一の側面13の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層7は、さらに少なくとも一の側面13の少なくとも一部を覆う。なお、本発明では、1つの膜層が他の構造層を覆うことは、直接的に当該他の構造層に積層される場合、又は他の構造層を介して当該他の構造層に設けられる場合を含み、覆うことは、当該1つの膜層の設置範囲を限定することのみに用いられる。
【0028】
下地基板2の少なくとも一の側面13の少なくとも一部の領域が反射防止膜層5又は第2パッシベーション膜層7によって保護されることで、太陽電池1の当該側面13に対応する縁面をパッシベーションすることができ、太陽電池1の辺縁面の再結合を減少させて、太陽電池1の効率を向上させる。いくつかの実施例において、反射防止膜層5は、各側面13の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層7は、各側面13の少なくとも一部を覆う。
【0029】
ドープ導電層3は、下地基板2とPN接合を形成することに用いられる。本実施例では、ドープ導電層3がP型ドープ導電層3であること(ホウ素がドープされること)を例として説明し、ドープ導電層3が他のものである場合は、これと類似するため、ここで説明の繰り返しを省略する。
【0030】
第1パッシベーション膜層4は、表面パッシベーション作用を果たし、例えば、酸化アルミニウムパッシベーション層であってもよく、下地基板2の表面のダングリングボンドに良好なパッシベーションを行うために用いられる。
【0031】
ドープ導電層3及び第1パッシベーション膜層4が順に第1表面11に積層設置されることとは、ドープ導電層3が第1表面11に設けられ、第1パッシベーション膜層4がドープ導電層3の第1表面11から離反する側に積層されることである。ドープ導電層3及び第1パッシベーション膜層4が第1表面11のみを覆うこととは、ドープ導電層3及び第1パッシベーション膜層4の設置範囲が第1表面11のみに限られ、下地基板2の他の表面に設けられていないことである。
【0032】
反射防止膜層5は、第1表面11を覆い、また、さらに少なくとも一の側面13の少なくとも一部を覆い、例えば、各側面13の少なくとも一部を覆い、例えば、反射防止膜層5の設置範囲は、第1表面11を覆うのみならず、さらに延在して下地基板2の各側面13に直接的に積層されてもよい。反射防止膜層5により、太陽電池1の表面の光に対する反射損失を低下させて、電池の変換効率を向上させる。反射防止膜層5は、単層又は多層構造であってもよく、その材質が例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化シリコンのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0033】
別の実施可能な形態では、第2パッシベーション膜層7は、第2表面12を覆い、且つ、さらに少なくとも一の側面13の少なくとも一部を覆い、例えば、各側面13の少なくとも一部を覆い、例えば、第2パッシベーション膜層7の設置範囲は、第2表面12を覆うのみならず、さらに延在して下地基板2の各側面13に直接的に積層されてもよい。第2パッシベーション膜層7は、同様に、単層又は多層構造としてもよい。第2パッシベーション膜層7の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化シリコンのうちの1種又は複数種であってもよい。第2パッシベーション膜層7は、パッシベーションコンタクト層6に積層された少なくとも1層の反射防止材料層を含むことができる。このように、太陽電池1の裏面の太陽光に対する反射率を減少させて、太陽電池1の裏面の太陽光に対する吸収率を向上させ、それにより、第2パッシベーション膜層7は、同時にパッシベーション及び反射防止の作用を果たす。
【0034】
上記のように、反射防止膜層5は、下地基板2の各側面13に直接的に積層されてもよく、反射防止膜層5の下地基板2の側面13における設置範囲について、側面13に全面パッシベーションを行うために、反射防止膜層5が少なくとも各側面13を完全に覆い、且つ、少なくともパッシベーションコンタクト層6の当該側面13と同一側に位置する表面を完全に覆うとしてもよい。このように、太陽電池1の縁面においてキャリア再結合が生じうる箇所を全て覆うことが可能であり、太陽電池1の辺縁面のキャリア再結合及び電気漏れを避け、太陽電池1の効率を向上させる。
【0035】
例示的に、図1を参照すると、実施可能な実施形態として、反射防止膜層5の第2表面12に近い縁は、パッシベーションコンタクト層6の下地基板2から離れる表面と面一であり、つまり、パッシベーションコンタクト層6の下地基板2に沿った厚さ方向の外面と面一である。
【0036】
或いは、図2を参照すると、反射防止膜層5は、さらに第2表面12の側面13に隣接する少なくとも一部の領域まで覆う。このとき、反射防止膜層5は、一部の領域がパッシベーションコンタクト層6に積層され、それにより、下地基板2全体の側面13及びパッシベーションコンタクト層6の側面を保護する。理解できるように、このとき、第2表面12の縁に同様にパッシベーションフィールドを形成することができ、それにより、下地基板2の第2表面12の再結合中心を効果的に減少させることができる。
【0037】
さらに、第2パッシベーション膜層7は、反射防止膜層5の少なくとも一部を覆い、図1に示す場合、第2パッシベーション膜層7は、反射防止膜層5の第2表面12に近い側の縁を覆う。図2に示す場合、第2パッシベーション膜層7は、一部の構造が反射防止膜層5上に積層され、太陽電池1の第2パッシベーション膜層7と反射防止膜層5との積層領域の厚さは、太陽電池1の中心部位の厚さよりも大きくなり、ここでの厚さの差は、例えば5nm~1μmであってもよい(端点値を含む)。このように、下地基板2の側面13及び第2表面12の縁に、効果的に膜層を堆積することを保証し、パッシベーションフィールドを形成し、下地基板2の表面のキャリア再結合を減少させることができる。
【0038】
いくつかの実施例において、下地基板2の側面13は、当該側面13の法線方向において、パッシベーションコンタクト層6における当該側面13と同一側に位置する縁と面一であり、即ち、パッシベーションコンタクト層6の設置範囲は、第2表面12のみに限られ、下地基板2の側面13まで延在することはない。パッシベーションコンタクト層6は、第2面に順に積層されたトンネル酸化層61及びドープトポリシリコン導電層62を含んでもよい。また、トンネル酸化層61は、下地基板2の第2表面12の界面パッシベーションを実施するために用いられ、化学パッシベーションの効果を果たす。トンネル酸化層61の材料は、誘電体材料、例えば酸化ケイ素などであってもよい。
【0039】
さらに、図3図4を参照すると、下地基板2の側面13は、当該側面13の法線方向において、ドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5における当該側面13と同一側に位置する縁と面一であり、第2パッシベーション膜層7は、一部の構造が各側面13に設けられ、また、少なくとも各側面13を完全に覆い、且つ、少なくともドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5における各側面13と同一側に位置する縁とを完全に覆う。例示的に、第2パッシベーション膜層7は、各側面13に直接的に積層設置され、それにより、各側面13を保護し、且つ、さらに少なくともドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5における各側面13と同一側に位置する縁とを完全に覆い、それにより、太陽電池1の側縁に良好にパッシベーションを行う。
【0040】
具体的に実現する際に、図3に示すように、第2パッシベーション膜層7の第1表面11に近い縁は、反射防止膜層5の下地基板2の厚さ方向に沿った外面と面一であってもよい。
【0041】
或いは、図4に示すように、第2パッシベーション膜層7は、さらに第1表面11の各側面13に隣接する少なくとも一部の領域まで覆ってもよい。このとき、第2パッシベーション膜層7は、一部の構造が第1表面11における反射防止膜層5の縁の部位に積層され、太陽電池1の第2パッシベーション膜層7と反射防止膜層5との積層領域の厚さは、太陽電池1の中心部位の厚さよりも大きくなり、ここでの厚さの差は、例えば5nm~1μm(端点値を含む)であってもよい。理解できるように、このとき、第1表面11の縁の箇所に同様にパッシベーションフィールドを形成し、効果的に下地基板2の第1表面11の再結合中心を減少させる。且つ、下地基板2の側面13と第1表面11との縁に効果的に膜層を堆積し、パッシベーションフィールドを形成し、下地基板2の表面を保護してキャリア再結合を減少させる。
【0042】
本発明に係る実施例は、さらに太陽電池の製造方法を提供し、当該太陽電池の製造方法は、以下を含む。
【0043】
S1であって、基板10を提供する。基板10は、下地基板2、ドープ導電層3、第1パッシベーション膜層4及びパッシベーションコンタクト層6を含む。下地基板2は、対向設置された第1表面11及び第2表面12と、第1表面11と第2表面12との間に隣接する複数の側面13とを含み、ドープ導電層3及び第1パッシベーション膜層4は、順に第1表面11に積層設置され、且つ第1表面11のみを覆い、パッシベーションコンタクト層6は、第2表面12に設けられる。
【0044】
S2であって、第1パッシベーション膜層4上に、少なくとも第1パッシベーション膜層4を覆うように、第1表面11を覆う反射防止膜層5を形成する。
【0045】
S3であって、パッシベーションコンタクト層6上に、パッシベーションコンタクト層6を完全に覆うように、第2表面12を覆う第2パッシベーション膜層7を形成する。反射防止膜層5又は第2パッシベーション膜層7は、さらに少なくとも一の側面13の少なくとも一部を覆う。
【0046】
下地基板2の少なくとも一の側面13の少なくとも一部の領域は、反射防止膜層5又は第2パッシベーション膜層7によって保護され、太陽電池1の当該側面13に対応する縁面にパッシベーションを行うことができ、太陽電池1の辺縁面の再結合を減少させて、太陽電池1の効率を向上させる。いくつかの実施例において、反射防止膜層5は、各側面13の少なくとも一部を覆い、或いは、第2パッシベーション膜層7は、各側面13の少なくとも一部を覆う。
【0047】
いくつかの実施例において、太陽電池1の製造過程では、位置決め装置で基板10を位置決めする。位置決め装置は、並列に設置された複数の位置決めボート8及び複数の位置決め突起9を含むことができる。図6には、そのうちの1つの位置決めボート8の構成模式図が示されている。図6に示すように、基板10は、基板10を囲んで設けられた複数の位置決め突起9によって位置決めボート8に係止固定されることが可能である。位置決め突起9は、位置決めボート8に固定されている一方、さらに基板10の各側面13、及び基板10の位置決めボート8から離反する表面に接触し、それにより、基板10を位置決めする。ここで、位置決め装置は、グラファイトボートであってもよい。
【0048】
さらに、ステップS3では、パッシベーションコンタクト層6上に第2パッシベーション膜層7を形成した後、さらに、反射防止膜層5及び第2パッシベーション膜層7にそれぞれ電極を形成するステップを含む。
【0049】
さらに、ステップS1では、基板10を提供するステップは、
下地基板2の第1表面11にドープ導電層3を形成することと、
下地基板2の第2表面12にパッシベーションコンタクト層6を形成することと、
ドープ導電層3に第1パッシベーション膜層4を形成することとを含む。
【0050】
さらに、図6図7図8を参照すると、ステップS2では、第1パッシベーション膜層4に反射防止膜層5を形成するステップは、
基板10のパッシベーションコンタクト層6が位置決めボート8に向かう状態で、基板10を、位置決めボート8に設けられた各位置決め突起9の間に係止設置し、基板10の第1未遮蔽表面領域に反射防止材を形成することと、
基板10の第2未遮蔽表面領域を形成するように各位置決め突起9と下地基板2の側面13との相対位置を調整し、基板10の第2未遮蔽表面領域に反射防止材を形成して、第1パッシベーション膜層4に反射防止膜層5を形成することとを含み、
反射防止膜層5は、少なくとも第1パッシベーション膜層4と各側面13とパッシベーションコンタクト層6における当該側面13と同一側に位置する表面とを覆う。
【0051】
図6を参照すると、各位置決め突起9と下地基板2の側面13との相対位置を調整し、位置決め突起9を元の位置に対して移動させればよく、即ち、もともと位置決め突起9に遮蔽されていた部位を露出させて、第2未遮蔽表面領域を形成し、反射防止膜層5の製造を行うことができる。例えば、図6において基板10の左右両側(図6における図面の左右両側)に位置する位置決め突起9について、その位置を低く又は高くすることができ、図6において基板10の底側(図6における図面の下側)に位置する位置決め突起9について、それを左右両側に移動させることができる。このような位置の調整は、1回であってもよく、複数回であってもよい。
【0052】
基板10は、位置決めボート8に対して、位置決めボート8に完全に貼り合わせてもよく、或いは、位置決めボート8と一定の間隔をあけてもよい。具体的には、基板10のパッシベーションコンタクト層6が位置決めボート8に貼り合わされた状態で、形成された反射防止膜層5の第2表面12に近い縁は、パッシベーションコンタクト層6の下地基板2から離れる表面と面一であり、即ち、反射防止膜層5は、パッシベーションコンタクト層6に形成される(位置決めボート8に遮蔽される)ことはない。
【0053】
基板10のパッシベーションコンタクト層6が位置決めボート8と間隔をあけた状態で、形成された反射防止膜層5は、さらにパッシベーションコンタクト層6の側面13に隣接する少なくとも一部の領域まで覆い、パッシベーションコンタクト層6の縁は、一部が反応ガス雰囲気に曝され、図2に示すように、パッシベーションコンタクト層6の縁の一部の領域にも反射防止膜層5が形成された。当然ながら、この場合、続く第2パッシベーション膜層7を形成するステップでは、第2パッシベーション膜層7は、反射防止膜層5の第2表面12に位置する側の膜層を覆うようになる。
【0054】
パッシベーションコンタクト層6を形成するステップの後、さらにパッシベーションコンタクト層6上に第2パッシベーション膜層7を形成するステップを含み、図9に示す構造を形成する。
【0055】
以下、1つの具体的な例を挙げて本実施例の太陽電池の製造方法を説明し、当該方法は、以下を含む。
【0056】
ステップ(A)であって、下地基板2に対して、テクスチャリング、ホウ素ドープ、アルカリ研磨を行って、下地基板2の第1表面11にテクスチャリング構造及びドープ導電層3を形成する。
【0057】
ステップ(B)であって、下地基板2上にトンネル材料層及びアモルファスシリコン材料層を堆積し、リン元素ドープ及びエッチングを行って、下地基板2の第2表面12にパッシベーションコンタクト層6を形成し、ドープ導電層3上に酸化アルミニウムを堆積して第1パッシベーション膜層4を形成し、それにより、図7に示す基板10を形成する。
【0058】
ステップ(C)であって、基板10のパッシベーションコンタクト層6が位置決めボート8に向かい、且つ位置決めボート8と間隔をあけた状態で、基板10を、位置決めボート8に設けられた各位置決め突起9の間に係止設置し、基板10の遮蔽されていない表面領域に反射防止材を形成する。
【0059】
各位置決め突起9と下地基板2の側面13との相対位置を調整し、引き続き基板10の遮蔽されていない表面領域に反射防止材を形成して、第1パッシベーション膜層4に反射防止膜層5を形成する。図8に示すように、反射防止膜層5は、第1パッシベーション膜層4と各側面13とパッシベーションコンタクト層6における当該側面13と同一側に位置する表面と、並びに、パッシベーションコンタクト層6の下地基板2の側面13に隣接する一部の表面を覆う。
【0060】
ステップ(D)であって、パッシベーションコンタクト層6上に第2パッシベーション膜層7を形成し、図9に示すように、反射防止膜層5及び第2パッシベーション膜層7に電極を形成し、電気注入し、テスト選別を行う。
【0061】
別のいくつかの実施例において、図3図4図10及び図11を参照すると、下地基板2の側面13は、当該側面13の法線方向において、ドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5における当該側面13と同一側に位置する縁と面一である場合、即ち形成された反射防止膜層5が第1表面11のみを覆う場合、パッシベーションコンタクト層6上に第2パッシベーション膜層7を形成するステップは、以下を含む。
【0062】
反射防止膜層5が位置決めボート8に向かう状態で、第1構造体を、位置決めボート8に設けられた各位置決め突起9の間に係止設置し、第1構造体の第1未遮蔽表面領域に第2パッシベーション材を形成する。
第1構造体は、反射防止膜層5が形成された基板10である。
【0063】
第1構造体の第2未遮蔽表面領域を形成するように各位置決め突起9と下地基板2の側面13との相対位置を調整し、第1構造体の第2未遮蔽表面領域に第2パッシベーション材を形成するように引き続き第2パッシベーション材を堆積して、パッシベーションコンタクト層6上に第2パッシベーション膜層7を形成する。
第2パッシベーション膜層7は、少なくとも下地基板2の各側面13を完全に覆い、且つ、少なくともドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5における各側面13と同一側に位置する縁とを完全に覆う。
【0064】
この過程では、図6を参照すると、各位置決め突起9と下地基板2の側面13との相対位置を調整し、位置決め突起9を元の位置に対して移動させればよく、即ち、位置決め突起9に遮蔽されていた部位を露出させて、第2未遮蔽表面領域を形成して第2パッシベーション膜層7の製造を行う。例えば、図6において基板10の左右両側(図6における図面の左右両側)に位置する位置決め突起9について、その位置を低く又は高くすることができ、図6において基板10の底側(図6における図面の下側)に位置する位置決め突起9について、それを左右両側に移動させることができる。このような位置の調整は、1回であってもよく、複数回であってもよい。
【0065】
基板10は、位置決めボート8に対して、位置決めボート8に完全に貼り合わせてもよく、或いは、位置決めボート8と一定の間隔をあけてもよい。具体的には、反射防止膜層5が位置決めボート8に貼り合わされた状態で、形成された第2パッシベーション膜層7の第1表面11に近い縁は、反射防止膜層5の下地基板2の厚さ方向に沿った外面と面一であり、図3に示す構造を形成する。
【0066】
反射防止膜層5が位置決めボート8と間隔をあけた状態で、形成された第2パッシベーション膜層7は、さらに第1表面11の各側面13に隣接する少なくとも一部の領域まで覆い、図4に示す構造を形成する。
【0067】
以下、1つの具体的な実施例を挙げて太陽電池1の別の製造方法を説明する、当該方法は、以下を含む。
【0068】
ステップ(E)であって、下地基板2に対して、テクスチャリング、ホウ素ドープ、アルカリ研磨を行って、下地基板2の第1表面11にテクスチャリング構造及びドープ導電層3を形成する。
【0069】
ステップ(F)であって、下地基板2上にトンネル材料層及びアモルファスシリコン材料層を堆積し、リン元素ドープ及びエッチングを行って、下地基板2の第2表面12にパッシベーションコンタクト層6を形成し、ドープ導電層3上に酸化アルミニウムを堆積して第1パッシベーション膜層4を形成し、それにより、図7に示す基板10を形成する。
【0070】
ステップ(G)であって、第1パッシベーション膜層4上に反射防止膜層5を形成する。図10に示すように、下地基板2の側面13は、当該側面13の法線方向において、ドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5における当該側面13と同一側に位置する縁と面一である。
【0071】
ステップ(H)であって、反射防止膜層5が位置決めボート8に向かい、且つ位置決めボート8と間隔をあけた状態で、第1構造体を、位置決めボート8に設けられた各位置決め突起9の間に係止設置し、第1構造体の遮蔽されていない表面領域に第2パッシベーション材を形成する。第1構造体は、反射防止膜層が形成された基板10である。
【0072】
各位置決め突起9と下地基板2の側面13との相対位置を調整し、引き続き第1構造体
の遮蔽されていない表面領域に第2パッシベーション材を形成して、パッシベーションコンタクト層6に第2パッシベーション膜層7を形成する。図11に示すように、第2パッシベーション膜層7は、下地基板2の各側面13を完全に覆い、且つ、ドープ導電層3と第1パッシベーション膜層4と反射防止膜層5とにおける各側面13と同一側に位置する縁とを完全に覆い、且つ、さらに反射防止膜層5の下地基板2の側面13に隣接する一部の領域を覆う。
【0073】
ステップ(I)であって、反射防止膜層5及び第2パッシベーション膜層7に電極を形成し、電気注入し、テスト選別を行う。
【0074】
本実施例では、基板10と位置決めボート8との間の間隔の調整は、図6を参照すると、例えば、基板10両側の位置決め突起9の位置決めボート8の高度方向Hでの位置を調整することにより実施することができ、位置決め突起9を図6に示す矢印方向に従って位置決めボート8高度方向Hに下へ移動させて、基板10と位置決めボート8との間隔を大きくすることができる。逆に、当該間隔を減少させることができる。
【0075】
本実施例は、さらに光起電力モジュールを提供し、当該光起電力モジュールは、少なくとも1つの電池ストリングを含み、電池ストリングは、少なくとも2つの上述した太陽電池1を含み、各太陽電池1同士は、直列溶接の方式によって一緒に接続されている。
【0076】
例示的に、光起電力モジュールは、さらに封止層及びカバー板を含み、封止層は、電池ストリングの表面を覆うために用いられ、カバー板は、封止層の電池ストリングから離れる表面を覆うために用いられる。太陽電池1は、1枚又はマルチカットセルの形で電気的に接続されて電池ストリングを形成し、複数の電池ストリングは、直列及び/又は並列の形態で電気的に接続されている。封止層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンオクテンコ弾性体ゴム膜又はポリエチレンテレフタレートフィルム等の有機封止フィルムであってもよい。カバー板は、ガラスカバー板、プラスチックカバー板などの光透過機能を有するカバー板であってもよい。
【0077】
本実施例は、さらに光起電力システムを提供し、当該光起電力システムは、上述した光起電力モジュールを含む。光起電力モジュール、太陽電池の構成、機能、作動原理などは、以上に詳しく説明したため、ここで説明の繰り返しを省略する。
【0078】
上記実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができ、説明を簡単にするために、上記実施例における各技術的特徴のあらゆる可能な組み合わせは説明されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、いずれも本明細書に記載された範囲と見なすべきである。
【0079】
以上の上記実施例は本発明のいくつかの実施形態を表現しただけで、その説明は比較的に具体的で詳細であるが、これによって発明の特許請求の範囲に対する制限と理解することができない。注意すべきなのは、当業者にとって、本発明の構想を逸脱しない前提で、また若干の変形と改良を行うことができ、いずれも本発明の保護範囲に属するものである。このため、本発明の特許の保護範囲は添付の請求項を基準とする。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11