(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178400
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】接続構造及び接続構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H05K1/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166435
(22)【出願日】2024-09-25
(62)【分割の表示】P 2022581210の分割
【原出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021022031
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】大塚 悠真
(72)【発明者】
【氏名】藤田 頌
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各基板電極の接続不良が生じにくく、信頼性が高い接続構造を提供する。
【解決手段】第1熱可塑性樹脂を含む第1基板10と、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板20の電極接続において、第1基板電極11(第1主面10aに環状配置される場合を除く)と、第2基板電極21(第4主面20dに環状配置される場合を除く)とを接合する導電性の接合材30と、上記第1基板電極11が配置された部分以外の上記第1主面10aと、上記第2基板電極21が配置された部分以外の上記第4主面20dとを電極接着する、絶縁性の接着剤40とを含み、上記接合材30の接合温度は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、上記接着剤40の接着温度は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを有し、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板と、
前記第1主面に配置された第1基板電極(但し、前記第1主面に前記第1基板電極が環状に配置される場合を除く)と、
第3主面と、前記第3主面に対向し、かつ、前記第1主面と対面する第4主面とを有し、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板と、
前記第4主面に配置された第2基板電極(但し、前記第4主面に前記第2基板電極が環状に配置される場合を除く)と、
前記第1基板電極と前記第2基板電極とを接合する、導電性を有する接合材と、
前記第1基板電極が配置された部分以外の前記第1主面と、前記第2基板電極が配置された部分以外の前記第4主面とを接着する、絶縁性を有する接着剤とを含み、
前記接合材の接合温度は、前記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、前記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、
前記接着剤の接着温度は、前記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、前記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い、接続構造。
【請求項2】
前記接着剤は、ポリオレフィン樹脂を含む請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記接着剤の誘電率は、前記第1熱可塑性樹脂の誘電率及び前記第2熱可塑性樹脂の誘電率よりも低い請求項1又は2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記接合材は、金属ナノ粒子を含む導電性ペーストの焼結体であり、前記接合材の接合温度は、前記金属ナノ粒子の焼結温度である請求項1~3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項5】
前記接合材は、鉛フリーはんだであり、前記接合材の接合温度は、前記鉛フリーはんだの融点である請求項1~3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項6】
前記接合材は、導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含む導電性接着剤であり、前記接合材の接合温度は、前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度である請求項1~3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項7】
前記第1基板を含む複数の基板が積層された第1基板ブロックと、前記第2基板を含む複数の基板が積層された第2基板ブロックとが接続されている請求項1~6のいずれかに記載の接続構造。
【請求項8】
前記第1基板ブロックの前記第1基板には、複数の基板が積層された第3基板ブロックがさらに接続されている請求項7に記載の接続構造。
【請求項9】
前記第3基板ブロックは、第5主面と、前記第5主面に対向し、かつ、前記第1主面と対面する第6主面とを有し、第3熱可塑性樹脂を含む第3基板と、前記第6主面に配置された第3基板電極とを含み、
前記第1基板電極と前記第3基板電極とは、前記接合材により接合されており、
前記第1基板電極が配置された部分以外の前記第1主面と、前記第3基板電極が配置された部分以外の前記第6主面とは、前記接着剤により接着されており、
前記接合材の接合温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ前記第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、
前記接着剤の接着温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、前記第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い請求項8に記載の接続構造。
【請求項10】
第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを有し、前記第1主面に第1基板電極を備え、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板(但し、前記第1主面に前記第1基板電極が環状に配置される場合を除く)を準備する第1基板準備工程と、
第3主面と、前記第3主面に対向する第4主面とを有し、前記第4主面に第2基板電極を備え、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板(但し、前記第4主面に前記第2基板電極が環状に配置される場合を除く)を準備する第2基板準備工程と、
前記第1基板電極と前記第2基板電極とを導電性を有する接合材により接合する接合工程と、
前記第1基板電極が配置された部分以外の前記第1主面と、前記第2基板電極が配置された部分以外の前記第4主面とを絶縁性を有する接着剤により接着する接着工程とを含み、
前記接合工程は、前記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、前記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で行われ、
前記接着工程は、前記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、前記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で行われる、接続構造の製造方法。
【請求項11】
前記接合工程と前記接着工程とを同時に行う請求項10に記載の接続構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造及び接続構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC、デジタル家電等の電気機器分野や、自動車分野等においては、製品の小型化、高性能化が進んでいる。それに伴い、この種の製品における重要な電気的部品であるマザーボードの小型化や高密度化が望まれており、マザーボード上に実装される各種部品の小型化も望まれている。このような各種部品の中には、ICチップ等の電子部品を実装するための基板が含まれている。このような基板として、例えば、複数枚が積層された多層基板が使用されている。
【0003】
特許文献1には、各基板に配置された表面導体同士を電気的に接続するために、各基板を接着する接着層内に導体部を設けた複合配線基板構造体が開示されている。
具体的には、特許文献1には、第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定された第1基板と、前記第1基板の前記第2主面側に、接着層を介して接合された第2基板とを備え、前記第1基板の導体部と導通する第1表面導体と、前記第2基板の導体部と導通する第2表面導体とが、前記接着層内の導体部を介して互いに電気的に接続されていることを特徴とする複合配線基板構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、基板同士を接着する接着層として、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンが用いられており、基板同士を接着する際には熱圧着が行われる。
【0006】
しかしながら、接続しようとする各基板が、熱可塑性樹脂を含むフレキシブル基板であり、これらの基板を熱圧着で接着する場合、熱によりフレキシブル基板が柔らかくなり、基板に配置された配線パターンや基板電極が、ずれたり、沈み込んだりして接続不良が発生しやすくなる。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、各基板を接着し、かつ、各基板に配置された各基板電極を接合する接続構造であって、各基板電極の接続不良が生じにくく、信頼性が高い接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の接続構造は、第1主面と、上記第1主面に対向する第2主面とを有し、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板と、上記第1主面に配置された第1基板電極と、第3主面と、上記第3主面に対向し、かつ、上記第1主面と対面する第4主面とを有し、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板と、上記第4主面に配置された第2基板電極と、上記第1基板電極と上記第2基板電極とを接合する、導電性を有する接合材と、上記第1基板電極が配置された部分以外の上記第1主面と、上記第2基板電極が配置された部分以外の上記第4主面とを接着する、絶縁性を有する接着剤とを含み、上記接合材の接合温度は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、上記接着剤の接着温度は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
【0009】
本発明の接続構造の製造方法は、第1主面と、上記第1主面に対向する第2主面とを有し、上記第1主面に第1基板電極を備え、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板を準備する第1基板準備工程と、第3主面と、上記第3主面に対向する第4主面とを有し、上記第4主面に第2基板電極を備え、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板を準備する第2基板準備工程と、上記第1基板電極と上記第2基板電極とを導電性を有する接合材により接合する接合工程と、上記第1基板電極が配置された部分以外の上記第1主面と、上記第2基板電極が配置された部分以外の上記第4主面とを絶縁性を有する接着剤により接着する接着工程とを含み、上記接合工程は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で行われ、上記接着工程は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で行われる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各基板を接着し、かつ、各基板に配置された各基板電極を接合する接続構造であって、各基板電極の接続不良が生じにくく、信頼性が高い接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の接続構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の接続構造の別の態様の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の接続構造の別の態様の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の接続構造の製造方法における第1基板準備工程及び第2基板準備工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の接続構造の製造方法におけるレジスト形成工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の接続構造の製造方法における表面処理工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の接続構造の製造方法における接着剤供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の接続構造の製造方法における接着剤供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の接続構造の製造方法におけるレジスト除去工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の接続構造の製造方法における接合材供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の接続構造の製造方法における接合工程及び接着工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の接続構造の製造方法における接合工程及び接着工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の接続構造の製造方法における撥水コート形成工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図12A】
図12Aは、本発明の接続構造の製造方法における接着剤供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図12B】
図12Bは、本発明の接続構造の製造方法における接着剤供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の接続構造の製造方法におけるレーザー処理工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、加熱加圧前の積層体の第1基板の断面写真である。
【
図15】
図15は、実施例1に係る接続構造の第1基板の断面写真である。
【
図16】
図16は、比較例1に係る接続構造の第1基板の断面写真である。
【
図17】
図17は、ピール強度試験の方法を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、ピール強度試験の結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の接続構造について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0013】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0014】
以下に示す図面は模式的なものであり、その寸法や縦横比の縮尺などは実際の製品とは異なる場合がある。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の接続構造の一例を模式的に示す断面図である。
【0016】
図1に記載の接続構造1は、第1主面10aと、第1主面10aに対向する第2主面10bとを有し、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板10と、第3主面20cと、第3主面20cに対向し、かつ、第1主面10aと対面する第4主面20dとを有し、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板20とを含む。
また、第1主面10aには、第1基板電極11が配置されており、第4主面20dには第2基板電極21が配置されている。
【0017】
そして、第1基板電極11と第2基板電極21とは、導電性を有する接合材30により接合されている。なお、接続構造1では、第1基板電極11及び第2基板電極21は、互いに同じ大きさであり、厚さ方向から見たときに両者が一致して重なるように接合されている。
【0018】
さらに、第1基板電極11が配置された部分以外の第1主面10aと、第2基板電極21が配置された部分以外の第4主面20dとは、絶縁性を有する接着剤40により接着されている。
【0019】
また、接続構造1では、接合材30の接合温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
また、接続構造1では、接着剤40の接着温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
【0020】
接続構造1を製造する場合、第1基板電極11と第2基板電極21との間に接合材30を配置し、第1基板電極11が配置された部分以外の第1主面10aと第2基板電極21が配置された部分以外の第4主面20dとの間に接着剤40を配置し、第1基板10及び第2基板20に熱を加えこれらを接続する。
【0021】
接続構造1では、接合材30の接合温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
そのため、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で、接合材30により第1基板電極11及び第2基板電極21を接合することができる。つまり、第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂が溶融又は軟化する前に、第1基板電極11と第2基板電極21とを接合材30により接続することができる。
その結果、第1基板電極11及び第2基板電極21が、それぞれ、第1基板10及び第2基板20の配置位置からずれたり沈み込んだりしにくくなる。
【0022】
また、接続構造1では、接着剤40の接着温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
そのため、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で、接着剤40により第1主面10aと第4主面20dとを接着することができる。つまり、第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂が溶融又は軟化する前に、第1主面10aと第4主面20dとを接着することができる。
その結果、第1基板電極11及び第2基板電極21が、それぞれ、第1基板10及び第2基板20の配置位置からずれたり沈み込んだりしにくくなる。
すなわち、接続構造1では、第1基板電極11及び第2基板電極21が、それぞれ第1基板10及び第2基板20に沈み込んでおらず、周囲と同じ高さを維持している。
【0023】
接続構造1は上記構成を有するので、第1基板電極11及び第2基板電極21が、それぞれ、第1基板10及び第2基板20の配置位置からずれたり沈み込んだりすることに起因する、第1基板電極11及び第2基板電極21の接続不良が生じにくい。
【0024】
以下、接続構造1の各構成について詳述する。
【0025】
(第1基板及び第2基板)
第1基板10は、第1基板電極11が配置でき、第1熱可塑性樹脂を含めばどのような基板であってもよいが、フレキシブル基板であることが好ましい。
【0026】
本明細書において、「第1熱可塑性樹脂」とは、熱を加えることにより、溶融又は軟化する性質を有する樹脂を意味する。
【0027】
第1熱可塑性樹脂が熱を加えることにより溶融する場合、その融点は、150℃以上、350℃以下であることが好ましく、200℃以上、350℃以下であることがより好ましい。
また、第1熱可塑性樹脂が熱を加えることにより軟化する場合、そのガラス転移温度は、100℃以上、350℃以下であることが好ましく、150℃以上、350℃以下であることがより好ましい。
【0028】
なお、本明細書において、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度とは、JIS K7121における示差走査熱量測定(DSC)に準拠して測定した値を意味する。
また、第1熱可塑性樹脂が複数の樹脂を含む場合、「第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度」とは、第1熱可塑性樹脂に含まれる質量割合が最も大きい樹脂の融点又はガラス転移温度を意味する。
第1熱可塑性樹脂に含まれる質量割合が最も大きい樹脂が複数種ある場合、「第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度」とは、それらの樹脂の融点又はガラス転移温度の平均値を意味する。
第1熱可塑性樹脂が複数の樹脂を含む場合、各樹脂の質量割合及び種類は、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy:FT-IR)、ガスクロマトグラフ質量分析法(Gas Chromatography-Mass spectrometry:GC-MS)等の方法により測定することができる。
【0029】
第1熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、液晶ポリマー(融点:240~320℃程度);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(融点:330℃程度)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)(融点:310℃程度)等のフッ素系樹脂;ポリイミド(PI)(ガラス転移温度:250℃程度);ポリフェニレンエーテル(PPE)(ガラス転移温度:200℃程度);シクロオレフィンポリマー(COP)(融点:230℃程度)等であってもよい。
これらの樹脂は常温において柔軟性を有するので、これらの樹脂を用いることにより第1基板をフレキシブル基板にしやすくなる。
また、これらの樹脂は誘電率が低いので、これらの樹脂を含む第1基板10では、伝送損失を低減することができる。
【0030】
第1熱可塑性樹脂の誘電率は、3.5以下であることが好ましく、2.0以上、3.0以下であることがより好ましい。
なお、本明細書において誘電率は、比誘電率(εr)のことを意味する。
【0031】
なお、第1基板10に含まれる第1熱可塑性樹脂は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0032】
第2基板20は、第2基板電極21が配置でき、第2熱可塑性樹脂を含めばどのような基板であってもよいが、フレキシブル基板であることが好ましい。
【0033】
本明細書において、「第2熱可塑性樹脂」とは、熱を加えることにより、溶融又は軟化する性質を有する樹脂を意味する。
【0034】
第2熱可塑性樹脂の好ましい融点又はガラス転移温度、好ましい種類、好ましい誘電率等は、上記第1熱可塑性樹脂の好ましい融点又はガラス転移温度、好ましい種類、好ましい誘電率等と同じである。
なお、第2基板20に含まれる第2熱可塑性樹脂は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0035】
接続構造1において、第1熱可塑性樹脂と第2熱可塑性樹脂とは同じ種類の樹脂であってもよく、異なる種類の樹脂であってもよい。
【0036】
第1基板10は、第1熱可塑性樹脂以外に、ケイ素化合物、窒素化合物等を含んでいてもよい。
また、第2基板20は、第2熱可塑性樹脂以外に、ケイ素化合物、窒素化合物等を含んでいてもよい。
第1基板10と第2基板20とは同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
【0037】
接続構造1では、第1基板10と第2基板20とが同じ大きさであり、第1主面10aと第4主面20dとが厚さ方向から見たときに一致して重なるように第1基板10及び第2基板20が積層されていることが好ましい。
しかし、本発明の接続構造では、第1基板及び第2基板は、厚さ方向から見たときに少なくとも一部が重なるように接合されていてもよい。また、本発明の接続構造では、一方の基板が他方の基板よりも大きく、厚さ方向から見たときに一方の基板が他方の基板の全体と重なるように接合されていてもよく、少なくとも一部が重なるように接合されていてもよい。
【0038】
(第1基板電極及び第2基板電極)
第1基板電極11及び第2基板電極21は接合材30を介して互いに接合できれば、どのような材料から形成されていてもよく、どのような形状であってもよい。
【0039】
第1基板電極11及び第2基板電極21は、Au、Ag、Cu等の金属を含む導電部材から形成されていていることが好ましい。
接続構造1において、第1基板電極11及び第2基板電極21は、同じ材料から形成されていてもよく、異なる材料から形成されていてもよい。
【0040】
第1基板電極11及び第2基板電極21の接合材30との接触面には、Zn/Crなどの金属防錆層、シランカップリング剤などによる有機防錆層が形成されていてもよい。
また、当該接触面には、プリフラックス処理がされていてもよく、Niめっき、Ni/Auめっき、Ni/Agめっき等のめっき処理がされていてもよい。
【0041】
第1基板電極11及び第2基板電極21は、フォトリソグラフィ、印刷、インクジェット、めっき等の方法によりパターン形成されていることが好ましい。
【0042】
なお、接続構造1では、第1基板電極11及び第2基板電極21は、互いに同じ大きさであり、厚さ方向から見たときに両者が一致して重なるように接合されている。
しかし、本発明の接続構造では、第1基板電極及び第2基板電極は、厚さ方向から見たときに少なくとも一部が重なるように接合されていてもよい。また、本発明の接続構造では、一方の基板電極が他方の基板電極よりも大きく、厚さ方向から見たときに一方の基板電極が他方の基板電極の全体と重なるように接合されていてもよく、少なくとも一部が重なるように接合されていてもよい。
【0043】
(接合材)
接合材30は、導電性を有し、接合温度において第1基板電極11と、第2基板電極21とを接合できれば、特に限定されず、例えば、金属ナノ粒子を含む導電性ペーストの焼結体、鉛フリーはんだ、導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含む導電性接着剤等であってもよい。
【0044】
なお、本明細書において「接合材の接合温度」とは、接合材30が軟化や硬化等の性質変化を起こし、第1基板電極11と第2基板電極21とを接合できるようになる温度を意味する。
【0045】
接合材30が金属ナノ粒子を含む導電性ペーストの焼結体である場合、「接合材の接合温度」は金属ナノ粒子の焼結温度を意味する。
金属ナノ粒子の焼結温度は、150℃以下であることが好ましく、100℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
【0046】
金属ナノ粒子としては、特に限定されず、例えば、Agナノ粒子、Auナノ粒子、Cuナノ粒子、Niナノ粒子等が挙げられる。
【0047】
接合材30が鉛フリーはんだである場合、「接合材の接合温度」は鉛フリーはんだの融点を意味する。
鉛フリーはんだの融点は、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。また、鉛フリーはんだの融点は100℃以上であることが好ましい。
【0048】
鉛フリーはんだとしては、特に限定されず、2種以上の導体性金属からなる鉛フリーはんだが好ましく、Sn-Bi-Sb-Ni系の鉛フリーはんだ(融点:140℃)、Sn-Bi系の鉛フリーはんだ(融点:139℃)等がより好ましい。
【0049】
接合材30が導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含む導電性接着剤である場合、「接合材の接合温度」は熱硬化性樹脂の熱硬化温度を意味する。
熱硬化性樹脂の熱硬化温度は、150℃以下であることが好ましく、100℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
【0050】
導電性粒子としては、金属であるCu粒子、Ag粒子、非金属である炭素粒子等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂(硬化温度:80~150℃)、シリコーン樹脂(硬化温度:100~150℃)等が挙げられる。
【0051】
接合材30の厚さは、特に限定されないが、5μm以上、50μm以下であることが好ましい。
【0052】
(接着剤)
接着剤40は、絶縁性を有し、接着温度において第1主面10aと第4主面20dとを接着できれば、その組成は特に限定されない。
例えば、接着剤40は、ポリオレフィン樹脂を含む接着剤等であってもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレンなどの炭素数2以上、4以下のアルケンが重合したポリオレフィン樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸成分により酸変性した酸変性ポリオレフィン樹脂であってもよい。不飽和カルボン酸成分としてはアクリル酸、メタクリル酸などが好ましく、なかでもメタクリル酸がより好ましい。
接着剤40は、ポリオレフィン樹脂を1種で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0053】
なお、接着剤40はレジストの一部としても機能する。そのため、接着剤40は、各基板電極間のショートを防ぐ役割も果たす。
【0054】
接着剤40は、ポリオレフィン樹脂以外にもウレタン樹脂、メラミン樹脂等を含んでいてもよい。
【0055】
接着剤40に含まれるポリオレフィン樹脂の割合は、50重量%以上、95重量%以下であることが好ましい。
【0056】
また、接着剤40は、エポキシ樹脂等のアンダーフィル材からなっていてもよい。
【0057】
なお、本明細書において「接着剤の接着温度」とは、接着剤40が軟化や硬化等の性質変化を起こし、第1主面10aと第4主面20dとを接着できるようになる温度を意味する。
例えば、接着剤40がポリオレフィン樹脂を含む接着剤である場合、「接着剤の接着温度」とは、ポリオレフィン樹脂の融点又はガラス転移温度を意味する。
樹脂の融点又はガラス転移温度は、150℃以下であることが好ましく、80℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
なお、樹脂の融点又はガラス転移温度とは、JIS K7121における示差走査熱量測定(DSC)に準拠して測定した値を意味する。
接着剤40が複数の樹脂を含む場合、「接着剤の接着温度」とは、接着剤40に含まれる質量割合が最も大きい樹脂の融点又はガラス転移温度を意味する。
接着剤40に含まれる質量割合が最も大きい樹脂が複数種ある場合、「接着剤の接着温度」とは、それらの樹脂の融点又はガラス転移温度の平均値を意味する。
接着剤40が複数の樹脂を含む場合、各樹脂の質量割合及び種類は、FT-IR、GC-MS等の方法により測定することができる。
【0058】
このような接着剤40を用いることで、第1基板10及び第2基板20の密着強度を向上させることができる。
【0059】
接着剤40の厚さは、特に限定されないが、30μm以上、80μm以下であることが好ましい。
【0060】
接続構造1では、接着剤40の誘電率は、第1熱可塑性樹脂の誘電率及び第2熱可塑性樹脂の誘電率より低いことが好ましい。
また、接着剤40の誘電率は、3.5以下であることが好ましく、2.0以上、3.0以下であることがより好ましい。
このような低誘電率の接着剤40を用いて、第1主面10a及び第4主面20dを接着すると、接続構造1全体での伝送損失を低減することができる。
【0061】
接続構造1では、接着剤40の吸水率は、1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
このような低吸水率の接着剤40を用いて第1主面10a及び第4主面20dを接着すると、接着剤40が空気中の水分を吸収しにくくなる。そのため、吸湿により接続構造1の全体で信頼性が低下することを抑制することができる。
【0062】
接続構造1において、接着剤40の構造及び成分はフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)及びガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いることで判別することができる。
【0063】
接続構造1では、第1熱可塑性樹脂の線膨張係数と、第1基板電極の線膨張係数との比は、第1熱可塑性樹脂の線膨張係数/第1基板電極の線膨張係数=0.8以上、1.2以下であることが好ましい。
また、第2熱可塑性樹脂の線膨張係数と、第2基板電極の線膨張係数との比は、第2熱可塑性樹脂の線膨張係数/第2基板電極の線膨張係数=0.8以上、1.2以下であることが好ましい。
このように基板に含まれる熱可塑性樹脂の線膨張係数と、基板電極の線膨張係数との比が1.0に近いと、第1基板及び第2基板を加熱した際に、熱膨張により、基板電極がずれにくくなる。その結果、第1基板電極11及び第2基板電極21の接続不良が生じにくくなる。
【0064】
接続構造1において、第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂、第1基板電極及び第2基板電極、接合材、並びに、接着剤の好ましい材料の組み合わせは、以下の通りである。
第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂:液晶ポリマー(製品名:メトロサーク、製造元:株式会社村田製作所)又はポリイミド
第1基板電極及び第2基板電極:Cu
接合材:Sn-Bi系の鉛フリーはんだ
接着剤:エチレン・プロピレン共重合体にメタクリル酸を酸変性したポリオレフィン樹脂
【0065】
なお、本明細書において、線膨張係数とは、JIS C6481に準拠して熱機械分析法(TMA法)により測定する平面方向の線膨張係数のことを意味する。
【0066】
接着剤40の誘電率が上記範囲内である場合、接続構造1は、4G周波数(3.5GHz帯)の周波数の信号を伝送する電子機器で用いられることが好ましく、5G周波数(sub6(3.7GHz、4.5GHz帯))及びミリ波(28GHz帯)の周波数の信号を伝送する電子機器で用いられることがより好ましい。
一般的に、高周波信号を伝送すると伝送損失が生じやすい。しかし、誘電率が上記範囲内である接着剤40を有する接続構造1では、伝送損失が生じにくい。そのため、上記の周波数の信号を伝送する電子機器に接続構造1を用いたとしても伝送特性が良好になる。
【0067】
次に、本発明の接続構造の別の態様について説明する。
図2は、本発明の接続構造の別の態様の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す接続構造101では、第1基板10を含む複数の基板110が積層された第1基板ブロック110Bと、第2基板20を含む複数の基板120が積層された第2基板ブロック120Bとが接続されている。
接続構造101では、第1基板10の第2主面10b側に複数の基板110が積層されており、第2基板20の第3主面20c側に複数の基板120が積層されていること以外は、上記接続構造1と同じ構成である。
【0068】
従来の基板ブロックを多層化する場合、基板ブロックを構成する基板が熱可塑性樹脂を含み、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度を超える温度で基板ブロック同士を接続すると、熱可塑性樹脂が溶融又は軟化し、基板電極や基板ブロック内部の配線ずれ等による接続不良が発生する可能性がある。
【0069】
しかし、接続構造101を製造する場合には、第1基板ブロック110Bの最外部に第1基板10を配置し、第2基板ブロック120Bの最外部に第2基板20を配置して、第1基板10と第2基板20とを接続する。この際、第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂が、溶融又は軟化する前に、接合材30により第1基板電極11及び第2基板電極21を接合することができ、接着剤40により第1主面10aと第4主面20dとを接着することができる。
そのため、製造された接続構造101では、第1基板電極11及び第2基板電極21だけでなく、第1基板ブロック110B及び第2基板ブロック120Bの配線ずれ等による接続不良が生じにくい。
【0070】
さらに、第1基板ブロック110B及び第2基板ブロック120Bを接続するので、基板110、第1基板10、第2基板20及び基板120を1枚ずつ接続するよりも、接続構造101全体での基板電極や、配線位置等ずれを抑制することができる。
また、基板ブロック単位で接続することにより、歩留まり率を上げることができる。
【0071】
第1基板ブロック110Bに含まれる基板110は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。これらの基板は、この分野で使用される一般的な基板を用いることができる。
同様に、第2基板ブロック120Bに含まれる基板120は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。これらの基板は、この分野で使用される一般的な基板を用いることができる。
また、第1基板ブロック110B及び第2基板ブロック120Bは、フレキシブル基板及びリジッド基板の両方が積層された複合基板であってもよい。
【0072】
なお、第1基板ブロック110Bと第2基板ブロック120Bとの接続は、上記接続構造1において、第1基板10と第2基板20とを接続する方法と同じ方法で行うことができる。
【0073】
次に、本発明の接続構造の別の態様について説明する。
図3は、本発明の接続構造の別の態様の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す接続構造201では、マザーボードMに、第1基板ブロック110Bが配置されており、マザーボードMに接触していない側の第1基板ブロック110Bの最外部には、第1基板10が配置されている。
また、第1基板10の第1主面10aの一部には第2基板ブロック120Bが接続されており、別の一部には、第1基板ブロック110Bとの接続基板となる第3基板210と、第3基板210に積層された複数の基板220とからなる第3基板ブロック210Bが接続されている。
【0074】
接続構造201では、第1基板10の第1主面10aの第2基板ブロック120B及び第3基板ブロック210Bが接着されていない箇所には、搭載部品251が配置されている。
また、第1基板ブロック110Bが配置されていない箇所のマザーボードMには、実装部品252が配置されている。
【0075】
第1基板ブロック110Bと第2基板ブロック120Bとは、上記接続構造101と同じ構造により接続されている。
【0076】
従って、接続構造201を製造する場合、第1基板ブロック110Bと第2基板ブロック120Bとを接続する。第1基板ブロック110Bと第2基板ブロック120Bとの接続は、上記接続構造1において、第1基板10と第2基板20とを接続する方法と同じ方法で行うことができる。
【0077】
次に、第1基板ブロック110Bと第3基板ブロック210Bとの接続について説明する。
第3基板ブロック210Bには、第1基板ブロック110Bとの接続基板となる第3基板210が配置されている。第3基板210は、第5主面210eと、第5主面210eに対向し、かつ、第1主面10aと対面する第6主面210fを有する。さらに、第6主面210fには、第3基板電極211が配置されている。
第3基板電極211は、導電性を有する接合材230により、第1基板10に配置された第1基板電極11と接合されている。
また、第3基板電極211が配置された部分以外の第6主面210fと第1基板電極11が配置された部分以外の第1主面10aとは、絶縁性を有する接着剤240により接着されている。
また、第3基板210は、第3熱可塑性樹脂を含む。
【0078】
接合材230の接合温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、接着剤240の接着温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
【0079】
接続構造201を製造する場合、第1基板電極11と第3基板電極211との間に接合材230を配置し、第1基板電極11が配置された部分以外の第1主面10aと第3基板電極211が配置された部分以外の第6主面210fとの間に接着剤240を配置し、第1基板10及び第3基板210に熱を加えこれらを接続する。
【0080】
接続構造201では、接合材230の接合温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
そのため、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度、かつ、第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で、接合材230により第1基板電極11及び第3基板電極211を接合することができる。つまり、第1熱可塑性樹脂及び第3熱可塑性樹脂が溶融又は軟化する前に、第1基板電極11と第3基板電極211とを接合材230により接続することができる。
その結果、第1基板電極11及び第3基板電極211が、それぞれ、第1基板10及び第3基板210の配置位置からずれたり沈み込んだりしにくくなる。
【0081】
また、接続構造201では、接着剤240の接着温度は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い。
そのため、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度、かつ、第3熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で、接着剤240により第1主面10aと第6主面210fとを接着することができる。つまり、第1熱可塑性樹脂及び第3熱可塑性樹脂が溶融又は軟化する前に、第1主面10aと第6主面210fとを接着することができる。
その結果、第1基板電極11及び第3基板電極211が、それぞれ、第1基板10及び第3基板210の配置位置からずれたり沈み込んだりしにくくなる。
【0082】
接続構造201は上記構成を有するので、第1基板電極11及び第3基板電極211の接続不良が生じにくい。
【0083】
第3基板210、第3基板電極211及び第3熱可塑性樹脂の好ましい態様は、上記第1基板10、第1基板電極11及び第1熱可塑性樹脂の好ましい態様と同じである。
また、基板220は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。また、第3基板ブロック210Bは、フレキシブル基板及びリジッド基板の両方が積層された複合基板であってもよい。
【0084】
接合材230及び接着剤240の好ましい態様は、上記接合材30及び上記接着剤40の好ましい態様と同じである。
【0085】
接続構造201を製造する場合において、第1基板ブロック110Bと第2基板ブロック120Bとの接続、及び、第1基板ブロック110Bと第3基板ブロック210Bとの接続を同時に行ってもよい。また、第2基板ブロック120Bと、第3基板ブロック210Bとを別々の時期に接続してもよい。
【0086】
マザーボードM、搭載部品251及び実装部品252は、特に限定されず、この分野で用いられる通常の部品等を用いることができる。
【0087】
上記接続構造201において、第3基板ブロック210Bは、第3基板210を含んでいたが、第1基板ブロック110Bと、第3基板ブロック210Bとが接続されていれば、第3基板ブロック210Bは、第3基板210を含んでいなくてもよい。
また、第1基板ブロック110Bと、第3基板ブロック210Bとは、この分野で用いられる通常の接合材及び接着剤により接続してもよい。
【0088】
図3に示す接続構造201のように、第1基板ブロック110Bにおける第1基板10の第1主面10aの全面を覆わないように第1ブロック110Bと、第2基板ブロック120B及び第3基板ブロック210Bを接続することにより、第1基板10の第1主面10aにキャビティ部を形成することができる。接続構造201は、このようなキャビティ部を有するので、キャビティ部へ搭載部品251を配置することが可能となる。また、集合基板上の他の実装部品252を配置するための空間を設けることにより、実装部品252により配線が遮られることを回避することができるため複雑な配線の引き回しが可能となる。
【0089】
[第2実施形態]
次に、本発明の接続構造の製造方法について説明する。
本発明の接続構造の製造方法は、第1主面と、上記第1主面に対向する第2主面とを有し、上記第1主面に第1基板電極を備え、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板を準備する第1基板準備工程と、第3主面と、上記第3主面に対向する第4主面とを有し、上記第4主面に第2基板電極を備え、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板を準備する第2基板準備工程と、上記第1基板電極と上記第2基板電極とを導電性を有する接合材により接合する接合工程と、上記第1基板電極が配置された部分以外の上記第1主面と、上記第2基板電極が配置された部分以外の上記第4主面とを絶縁性を有する接着剤により接着する接着工程とを含み、上記接合工程は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で行われ、上記接着工程は、上記第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、上記第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度で行われ、上記の本発明の接続構造が製造できれば、他にどのような工程等が含まれてもよい。
【0090】
本発明の接続構造の製造方法を、以下に3通り(プロセス1~プロセス3)説明する。
【0091】
[プロセス1]
プロセス1に係る本発明の接続構造の製造方法は、第1基板準備工程、第2基板準備工程、レジスト形成工程、表面処理工程、接着剤供給工程、レジスト除去工程、接合材供給工程、接合工程及び接着工程を含む。
各工程について、以下に説明する。
【0092】
(第1基板準備工程及び第2基板準備工程)
図4は、本発明の接続構造の製造方法における第1基板準備工程及び第2基板準備工程の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、第1基板準備工程では、第1主面10aと、第1主面10aに対向する第2主面10bとを有し、第1主面10aに第1基板電極11を備え、第1熱可塑性樹脂を含む第1基板10を準備する。
同様に、第2基板準備工程では、第3主面20cと、第3主面20cに対向する第4主面20dとを有し、第4主面20dに第2基板電極21を備え、第2熱可塑性樹脂を含む第2基板20を準備する。
第1基板10、第1熱可塑性樹脂及び第1基板電極11の好ましい態様、並びに、第2基板20、第2熱可塑性樹脂及び第2基板電極21の好ましい態様は既に説明しているのでここでの説明は省略する。
【0093】
(レジスト形成工程)
図5は、本発明の接続構造の製造方法におけるレジスト形成工程の一例を模式的に示す断面図である。
次に、
図5に示すように、第1基板電極11の表面11a及び第2基板電極21の表面21aにレジスト50を形成する。
レジスト50は、後述する表面処理工程において第1基板電極11及び第2基板電極21を保護できれば、どのような材料からなっていてもよい。
【0094】
(表面処理工程)
図6は、本発明の接続構造の製造方法における表面処理工程の一例を模式的に示す断面図である。
次に、
図6に示すように、第1基板10の第1主面10a及び第2基板20の第4主面20dに表面処理を行う。
表面処理としては、例えば、プラズマ処理、UV処理、火炎処理等の表面改質処理が挙げられる。
表面改質処理を行うことにより、第1基板10及び接着剤40の密着性、並びに、第2基板20及び接着剤40の密着性を向上させることができる。
【0095】
プラズマ処理としては、特に限定されないが、例えば、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガスによる真空プラズマ、大気圧プラズマを用いる方法が挙げられる。
【0096】
UV処理としては、特に限定されないが、例えば、希ガスエキシマランプ、希ガスハロゲンエキシマランプ、低圧水銀ランプを用いる方法が挙げられる。
【0097】
火炎処理としては、特に限定されないが、例えば、火炎のみ、有機化合物や無機化合物と混合した火炎を用いる方法が挙げられる。
【0098】
(接着剤供給工程)
図7A及び
図7Bは、本発明の接続構造の製造方法における接着剤供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
次に、
図7Aに示すように、接着剤40を、第1主面10a及び第4主面20dに供給する。
供給方法としては、印刷法又はディスペンス法等の方法により接着剤40を供給する方法が挙げられる。
その後、
図7Bに示すように、スピンコート法又はバーコート法等の方法により接着剤40をコーティングし、乾燥を行う。
乾燥の条件としては、100℃以上、150℃以下、30秒以上、60秒以下の条件であることが好ましい。
【0099】
(レジスト除去工程)
図8は、本発明の接続構造の製造方法におけるレジスト除去工程の一例を模式的に示す断面図である。
次に、
図8に示すように、レジスト50を除去し、第1基板電極11及び第2基板電極21を露出させる。レジスト50の除去方法は、レジスト50の種類によって適宜設定することが好ましい。
【0100】
(接合材供給工程)
図9は、本発明の接続構造の製造方法における接合材供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
次に、
図9に示すように、第1基板電極11の表面11a及び第2基板電極21の表面21aに接合材30を供給する。
供給方法としては、印刷法や、ディスペンス法又はめっき法等の方法により接合材30を供給する方法が挙げられる。
接合材30としては、上記本発明の第1実施形態に係る接続構造で説明した、鉛フリーはんだ、導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含む導電性接着剤等を用いることができる。また、焼結前の金属ナノ粒子を含む導電性ペーストを用いることもできる。
【0101】
(接合工程及び接着工程)
図10A及び
図10Bは、本発明の接続構造の製造方法における接合工程及び接着工程の一例を模式的に示す断面図である。
次に、
図10Aに示すように第2基板20を180度反転させ、第1主面10aと、第4主面20dとが対面するように、第1基板10の上に第2基板20を積層し積層体を作製する。
この際、第1基板電極11に配置された接合材30と、第2基板電極21に配置された接合材30とが接触するようにする。
【0102】
その後、
図10Bに示すように、第1基板10及び第2基板20の上下から加熱加圧し、第1基板電極11及び第2基板電極21を接合材30により接合するとともに、第1主面10a及び第4主面20dを接着剤40により接着する。
この場合、接合工程と接着工程とが同時に行われることになる。
接合工程と接着工程とを同時に行うと、加熱及び加圧履歴を低減することができるため、各基板及び内部部品が、加熱及び加圧により損傷することを低減することができる。
【0103】
加熱加圧の条件は、第1熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低く、かつ、第2熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度より低い温度であり、さらに、接合材30の接合温度以上の温度、かつ、接着剤40の接着温度以上の温度で行われれば特に限定されないが、以下の条件であることが好ましい。
【0104】
加熱する温度は、100℃以上、150℃以下であることが好ましく、120℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
加圧する圧力は、0.1MPa以上、5.0MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上、1.0MPa以下であることがより好ましい。
加熱加圧の時間は、10秒以上、1800秒以下であることが好ましく、60秒以上、1800秒以下であることがより好ましい。
【0105】
特に、接合材30が金属ナノ粒子を含む導電性ペーストである場合、加熱する温度は、80℃以上、150℃以下であることが好ましく、100℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
また、接合材30が鉛フリーはんだである場合、加熱する温度は、100℃以上、150℃以下であることが好ましく、130℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
また、接合材30が導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含む導電性接着剤である場合、加熱する温度は、100℃以上、150℃以下であることが好ましく、120℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
【0106】
また、接着剤40が、ポリオレフィン樹脂を含む接着剤である場合、加熱する温度は、80℃以上、150℃以下であることが好ましく、100℃以上、150℃以下であることがより好ましい。
【0107】
以上の工程を経て、
図1に示す接続構造1を製造することができる。
【0108】
なお、プロセス1に係る上記本発明の接続構造の製造方法では、第1基板10及び第2基板20の両方に接合材30及び接着剤40を供給していたが、本発明の接続構造の製造方法では、いずれか一方の基板のみ接合材及び接着剤を供給してもよい。
【0109】
また、プロセス1に係る上記本発明の接続構造の製造方法では、接合材30及び接着剤40を各基板に供給した後、接合工程及び接着工程を同時に行っていたが、本発明の接続構造の製造方法では、第1基板電極及び第2基板電極を接合材により接合した後、第1基板と第2基板との間に接着剤を供給し第1主面及び第4主面を接着剤により接着してもよい。すなわち、接合工程と接着工程を別々に分けて行ってもよい。
【0110】
[プロセス2]
プロセス2に係る本発明の接続構造の製造方法は、レジスト形成工程に代えて、以下の撥水コート形成工程を行い、レジスト除去工程に代えてに撥水コート除去工程を行う以外は、上記プロセス1の接続構造の製造方法と同じである。
以下に撥水コート形成工程及び撥水コート除去工程について説明する。
【0111】
(撥水コート形成工程)
図11は、本発明の接続構造の製造方法における撥水コート形成工程の一例を模式的に示す断面図である。
撥水コート形成工程では、第1基板電極11の表面11a及び第2基板電極21の表面21aに撥水処理を行い、撥水コートの形成を行う。
撥水コートとしては、例えば、シランカップリング系の撥水処理剤、プリフラックス等のコートが挙げられる。
第1基板電極11の表面11a及び第2基板電極21の表面21aに撥水コートの形成を行うことにより、大気中の水分、不純物等の影響で、基板電極間の絶縁抵抗が低下することを防ぐことができる。
【0112】
(撥水コート除去工程)
接着剤供給工程を行った後、撥水コートを除去し、第1基板電極11の表面11a及び第2基板電極21の表面21aを露出させる(図示せず)。撥水コートの除去方法は、撥水コートの種類によって適宜設定することが好ましい。
【0113】
[プロセス3]
プロセス3に係る本発明の接続構造の製造方法は、プロセス1のレジスト形成工程、表面処理工程、接着剤供給工程及びレジスト除去工程を、以下の接着剤供給工程及びレーザー処理工程に代えた以外は、プロセス1に係る本発明の接続構造の製造方法と同じである。
以下に、接着剤供給工程及びレーザー処理工程について説明する。
【0114】
(接着剤供給工程)
図12A及び
図12Bは、本発明の接続構造の製造方法における接着剤供給工程の一例を模式的に示す断面図である。
第1基板準備工程及び第2基板準備工程の後、
図12Aに示すように、第1基板10の第1主面10a及び第2基板20の第4主面20dに接着剤40を供給する。
この際、第1基板電極11及び第2基板電極21も接着剤40で覆うようにする。
供給方法としては、印刷法又はディスペンス法等の方法により接着剤40を供給する方法が挙げられる。
その後、
図12Bに示すように、スピンコート法又はバーコート法等の方法により接着剤40をコーティングし、その後、乾燥を行う。
乾燥の条件としては、100℃以上、150℃以下、30秒以上、60秒以下の条件であることが好ましい。
【0115】
(レーザー処理工程)
図13は、本発明の接続構造の製造方法におけるレーザー処理工程の一例を模式的に示す断面図である。
上記接着剤供給工程の後、
図13に示すように、第1基板電極11及び第2基板電極21を露出するように、レーザーLを照射することにより接着剤40を除去する。
レーザー処理は、特に限定されないが、例えば、CO2レーザー、UVレーザーを用いる方法が挙げられる。
【実施例0116】
以下、本発明の接続構造及び接続構造の製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0117】
(実施例1)
(第1基板準備工程及び第2基板準備工程)
第1熱可塑性樹脂としてパラヒドロキシ安息香酸(PHB)と6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)を50:50モル比で重合した液晶ポリマー(LCP)(融点:250℃、誘電率:3.0)を含み、第1主面及び第2主面を有する第1基板を準備した。なお、第1基板はフレキシブル基板である。
その後、第1基板の第1主面の表面にCu箔により第1基板電極を形成した。
【0118】
第2熱可塑性樹脂としてLCP(融点:250℃、誘電率:3.0)を含み、第3主面及び第4主面を有する第2基板を準備した。なお、第2基板はフレキシブル基板である。
その後、第2基板の第4主面の表面にCu箔により第2基板電極を形成した。
【0119】
(レジスト形成工程)
次に、第1基板電極及び第2基板電極の上にレジスト(製品名:SL-1825、製造元:昭和電工マテリアル)を形成した。
【0120】
(表面処理工程)
次に、第1基板の第1主面及び第2基板の第4主面にプラズマ処理、PC-300(酸素ガス、RF:150W、Flow:12sccm、Time:1min)により表面処理を行った。
【0121】
(接着剤供給工程)
絶縁性を有する接着剤として、エチレン・プロピレン共重合体にメタクリル酸を酸変性したポリオレフィン樹脂(製品名:アローベース、製造元:ユニチカ株式会社、融点:100℃、誘電率:2.4)を準備した。
次に、準備した接着剤を、第1基板の第1主面及び第2基板の第4主面に、ディスペンス法により供給した。バーコート法により接着剤をコーティングし、100℃、60秒の条件で接着剤の乾燥を行った。
【0122】
(レジスト除去工程)
次に、レジストをアルカリ溶液により除去し、第1基板電極及び第2基板電極を露出させた。
【0123】
(接合材供給工程)
次に、融点が140℃であるSn-Bi系はんだ(製品名:L20-BLT5-T7F、製造元:千住金属工業株式会社)を準備し、露出した第1基板電極の表面及び第2基板電極の表面に、マスク印刷により配置した。
【0124】
(接合工程及び接着工程)
次に、第1基板の第1主面と、第2基板の第2主面とが対面するように第1基板に第2基板を積層し積層体を作製した。この際、第1基板電極に配置された接合材と、第2基板電極に配置された接合材とが接触するようにした。
その後、第1基板及び第2基板の上下から150℃、1MPa、120秒の条件で加熱加圧した。
以上の工程を経て実施例1に係る接続構造を製造した。
【0125】
(比較例1)
接合工程及び接着工程における加熱加圧条件を、260℃、8MPa、300秒とした以外は、実施例1と同様に比較例1に係る接続構造を製造した。
【0126】
(基板電極の位置評価)
上記実施例1に係る接続構造を製造する際の、接合工程及び接着工程における、加熱加圧する前の第1基板及び第2基板の積層体を準備した。当該積層体を、第1主面に垂直に切断した。この際、第1基板電極も切断されるようにした。断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を
図14に示す。
また、実施例1に係る接続構造及び比較例1に係る接続構造を、第1主面に垂直に切断した。この際、第1基板電極も切断されるようにした。各断面を、SEMで観察した。結果を
図15及び
図16に示す。
図14は、加熱加圧前の積層体の第1基板の断面写真である。
図15は、実施例1に係る接続構造の第1基板の断面写真である。
図16は、比較例1に係る接続構造の第1基板の断面写真である。
【0127】
図14及び
図15を比較すると、実施例1に係る接続構造では第1基板電極の沈み込みが観察されなかった。
これは、加熱温度が、接合材の融点及び接着剤の融点以上の温度であり、かつ、第1熱可塑性樹脂の融点及び第2熱可塑性樹脂の融点より低い温度であったため、第1基板電極と第2基板電極の接合の際、及び、第1基板の第1主面と第2基板の第4主面との接着の際に、第1基板及び第2基板が軟化しなかったためと考えられる。
この結果より、実施例1に係る接続構造では、第1基板電極と、第2基板電極とがずれずにしっかりと接合材により接合されていると言える。
そのため、実施例1に係る接続構造では、第1基板電極と第2基板電極との接続不良が生じにくいと考えられる。
【0128】
図14及び
図16を比較すると、比較例1に係る接続構造では、第1基板電極の沈み込みが観察された。
これは、加熱温度が、第1熱可塑性樹脂の融点及び第2熱可塑性樹脂の融点以上の温度であったため、第1基板電極と第2基板電極の接合の際、及び、第1基板の第1主面と第2基板の第4主面との接着の際に、第1基板及び第2基板が軟化したためと考えられる。
【0129】
(ピール強度試験)
次に、実施例1に係る接続構造について、以下の方法で、第1基板及び第2基板の接着強度を測定した。
図17は、ピール強度試験の方法を模式的に示す断面図である。
図17に示すように、ステージ61の上に配置されたプリント基板としてのFR-1基板62の上面に両面テープを張り、その上に、第1基板10の第2主面10bが接するように接続構造1を接着した。
次に、第2基板20の端部を剥がし、第2基板20の剥離部が、第1基板10の第1主面10aと垂直になるように、上方に力を加え、ピール強度を測定した。
ピール強度の測定は、引張試験機(機器名:TENSILON、製造元:エー・アンド・デイ)を用い、測定条件を、ロードセル:5kg、引張速度:5mm/minとして測定した。測定は2回行った。結果を
図18に示す。
図18は、ピール強度試験の結果(n=2)を示すチャートである。
【0130】
図18に示すように、実施例1に係る接続構造では、充分なピール強度を確保することができることがわかった。このようなピール強度が確保できるため、導電性不良、接続不良を防ぐことができる。