(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178409
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】端末装置、ネットワークデバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/23 20230101AFI20241217BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20241217BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H04W72/23
H04W72/1268
H04W72/0446
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166748
(22)【出願日】2024-09-25
(62)【分割の表示】P 2023029403の分割
【原出願日】2018-12-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ユエン ファン
(72)【発明者】
【氏名】リャン リン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチ送受信ポイント(TRP)送信のための方法、デバイス及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【解決手段】端末デバイスで実施される方法は、ネットワークデバイスに接続されている第1のTRPを介して受信した第1の指示に基づいて、シンボルの第1のリンク方向を決定する。第1のリンク方向は、第1のTRPを介して端末デバイスとネットワークデバイスとの間でシンボルで実行される第1の送信の方向を示す。方法はまた、ネットワークデバイスに接続している第2のTRPを介して受信した第2の指示に基づいて、シンボルの第2のリンク方向を決定する。第2のリンク方向は、第2のTRPを介して端末デバイスとネットワークデバイスとの間でシンボルで実行される第2の送信の方向を示す。方法はさらに、第1及び第2のリンク方向に基づいて、第1及び第2の送信から、シンボルで実行されるターゲット送信を決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が、
第1のダウンリンク制御情報(DCI)に基づく第1の制御リソースセット(CORESET)に関連付けられた第1の物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)と、第2のDCIに基づく第2のCORESETに関連付けられた第2のPUCCHと、を送信する送信処理を実行し、
前記送信処理では、複数の第1のDCIが受信される場合、前記第1のDCIは最後のDCIであり、複数の第2のDCIが受信される場合、前記第2のDCIは最後のDCIであり、前記第1のPUCCHおよび前記第2のPUCCHは同一のスロットで送信される、
方法。
【請求項2】
前記第1のPUCCHは第1のTRP(Transmission and Reception Point)に関連付けられ、前記第2のPUCCHは第2のTRPに関連付けられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信された複数の第1のDCIの最後のDCIにおけるリソースインジケータに基づいて、前記第1のPUCCHのリソースを決定し、
受信された複数の第2のDCIの最後のDCIにおけるリソースインジケータに基づいて、前記第2のPUCCHのリソースを決定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1のダウンリンク制御情報(DCI)に基づく第1の制御リソースセット(CORESET)に関連付けられた第1の物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)と、第2のDCIに基づく第2のCORESETに関連付けられた第2のPUCCHと、を送信する送信処理を実行し、
前記送信処理では、複数の第1のDCIが受信される場合、前記第1のDCIは最後のDCIであり、複数の第2のDCIが受信される場合、前記第2のDCIは最後のDCIであり、前記第1のPUCCHおよび前記第2のPUCCHは同一のスロットで送信される、
端末装置。
【請求項5】
前記第1のPUCCHは第1のTRP(Transmission and Reception Point)に関連付けられ、前記第2のPUCCHは第2のTRPに関連付けられる、
請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
受信された複数の第1のDCIの最後のDCIにおけるリソースインジケータに基づいて、前記第1のPUCCHのリソースを決定し、
受信された複数の第2のDCIの最後のDCIにおけるリソースインジケータに基づいて、前記第2のPUCCHのリソースを決定する、
請求項4に記載の端末装置。
【請求項7】
ネットワークデバイスが、
第1のPUCCHリソース内の第1の制御リソースセット(CORESET)に関連付けられた第1の物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)と、第2のPUCCHリソース内の第2のCORESETに関連付けられた第2のPUCCHとを、同一スロットで、受信する受信処理を実行し、
前記受信処理では、前記第1のPUCCHリソースは、複数の第1のDCIの最後のDCIに基づいて決定され、第2のPUCCHリソースは、複数の第2のDCIの最後のDCIに基づいて決定される、
方法。
【請求項8】
複数の第1のDCIと、複数の第2のDCIを端末装置に送信する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1のTRP(Transmission and Reception Point)を介して複数の第1のDCIを送信し、
第2のTRPを介して複数の第2のDCIを送信する、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第1のPUCCHリソース内の第1の制御リソースセット(CORESET)に関連付けられた第1の物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)と、第2のPUCCHリソース内の第2のCORESETに関連付けられた第2のPUCCHとを、同一スロットで受信する受信処理を実行し、
前記受信処理では、前記第1のPUCCHリソースは、複数の第1のDCIの最後のDCIに基づいて決定され、第2のPUCCHリソースは、複数の第2のDCIの最後のDCIに基づいて決定される、
ネットワークデバイス。
【請求項11】
第1のTRP(Transmission and Reception Point)を介して複数の第1のDCIを送信し、
第2のTRPを介して複数の第2のDCIを送信する、
請求項10に記載のネットワークデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的に、通信に関し、特に、マルチ送受信ポイント(TRP:multi-Transmission and Reception Point)送信のための方法、デバイス、及びコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術は、異なる無線デバイスが自治体、国、地域、並びに、グローバルレベルで通信できるような共通のプロトコルを提供するために、様々な通信規格が開発されている。新たな通信規格の一例として、NR(new radio)、例えば5G無線アクセスが挙げられる。NRは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:Third Generation Partnership Project)によって公表されるロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)モバイル規格を強化するためのものである。NRは、周波数効率の向上、コスト削減、サービスの向上、新しいスペクトルの利用、ダウンリンク(DL:downlink)及びアップリンク(UL:uplink)でサイクリックプレフィックス(CP:cyclic prefix)を用いたOFDMAを採用する他のオープンな規格との統合によって、モバイルブロードバンドインターネットアクセスをより良くサポートするとともに、ビームフォーミング、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)アンテナ技術、キャリアアグリゲーションをサポートするように設計されている。
【0003】
NRでは、ネットワークデバイス(例えば、gNodeB)は、複数のTRP又はアンテナパネルを備えることができる。即ち、ネットワークデバイスは、複数のTRPのうちの1つ又は複数のTRPを介して、端末デバイス(例えば、ユーザ機器、UE)と通信することができる。スケジュールされた送信のために構成されたスロットフォーマットやリソースを端末デバイスに示すために、様々な指示が異なるTRPを介して端末デバイスに送信されることがある。従って、異なるTRPからの指示に起因するリンク方向の衝突及びアップリンクリソースの衝突に関する問題を詳細に説明する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、本開示の例示的な実施形態は、マルチTRP送信のための方法、デバイス、及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、端末デバイスで実施される方法が提供される。この方法は、ネットワークデバイスに接続されている第1の送受信ポイントTRPを介して受信した第1の指示に基づいて、前記第1のTRPを介して前記端末デバイスと前記ネットワークデバイスとの間でシンボルで実行される第1の送信の方向を示す、前記シンボルの第1のリンク方向を決定することと、前記ネットワークデバイスに接続されている第2のTRPを介して受信した第2の指示に基づいて、前記第2のTRPを介して前記端末デバイスと前記ネットワークデバイスとの間で前記シンボルで実行される第2の送信の方向を示す、前記シンボルの第2のリンク方向を決定することと、前記第1のリンク方向及び前記第2のリンク方向に基づいて、前記第1の送信及び前記第2の送信から、前記シンボルで実行されるターゲット送信を決定することと、を含む。
【0006】
第2の態様では、端末デバイスで実施される方法が提供される。この方法は、ネットワークデバイスに接続されている第1のTRPを介して前記端末デバイスと通信する前記ネットワークデバイスから指示を受信することと、前記指示が前記ネットワークデバイスに接続されている第2のTRPのアクティブ化を示すと決定したことに応答して、前記第2のTRPを介して前記ネットワークデバイスとの通信を実行することと、を含む。
【0007】
第3の態様では、ネットワークデバイスで実装される方法が提供される。この方法は、前記ネットワークデバイスに接続されている第1のTRPを介して前記ネットワークデバイスと通信する端末デバイスへ送信される、前記ネットワークデバイスに接続されている第2のTRPのアクティブ化を示す指示を決定することと、前記指示を前記端末デバイスに送信することと、前記第2のTRPを介して前記端末デバイスとの通信を実行することとを含む。
【0008】
第4の態様では、端末デバイスが提供される。この端末デバイスは、プロセッサと、前記プロセッサに接続され、前記プロセッサによって実行されると、前記端末デバイスに第1の態様に記載の方法を実行させる命令が格納されたメモリと、を備える。
【0009】
第5の態様では、端末デバイスが提供される。この端末デバイスは、プロセッサと、前記プロセッサに接続され、前記プロセッサによって実行されると、前記端末デバイスに第2の態様に記載の方法を実行させる命令が格納されたメモリと、を備える。
【0010】
第6の態様では、ネットワークデバイスが提供される。このネットワークデバイスは、プロセッサと、前記プロセッサに接続され、前記プロセッサによって実行されると、前記ネットワークデバイスに第3の態様に記載の方法を実行させる命令が格納されたメモリと、を備える。
【0011】
第7の態様では、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに第1の態様に記載の方法を実行させる命令が格納されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0012】
第8の態様では、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに第2の態様に記載の方法を実行させる命令が格納されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0013】
第9の態様では、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに第3の態様に記載の方法を実行させる命令が格納されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0014】
本開示の他の特徴は、以下の説明により容易に理解できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面を参照しながら本開示のいくつかの実施形態をより詳細に説明することを通して、本開示の上記及び他の目的、特徴、及び利点がより明らかになる。
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態が実施されることができる通信環境の模式図である。
【
図2】
図2は、マルチTRP送信のプロセスを示す模式図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態にかかるリンク方向の衝突を例示する模式図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかるリンク方向の衝突の対処を例示する模式図を示す。
【
図4C】
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態にかかるリンク方向の衝突の対処を例示する模式図を示す。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施形態にかかるスケジュールされたアップリンク送信を部分的にドロップする模式図を示す。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態にかかるスケジュールされたダウンリンク送信をドロップする模式図を示す。
【
図7A】
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態にかかるUL衝突を例示する模式図を示す。
【
図7B】
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかるUL衝突の対処を例示する模式図を示す。
【
図7C】
図7Cは、本開示のいくつかの実施形態にかかるUL衝突の対処を例示する模式図を示す。
【
図8】
図8は、本開示のいくつかの実施形態にかかるマルチTRP送信のプロセス800を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本開示のいくつかの実施形態にかかるマルチTRP送信を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法のフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法のフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態の実施に適したデバイスの簡略化したブロック図である。
【0017】
図面全体において、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の原理を、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明する。これらの実施形態は、例示の目的のみで記載され、本開示の範囲に関するいかなる制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解して実施することに寄与することを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下に説明されるもの以外の様々な態様で実施されることができる。
【0019】
以下の説明及び特許請求の範囲において、別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「ネットワークデバイス」又は「基地局」(BS:Base Station)という用語は、端末デバイスが通信できるセル又はカバレッジを提供し、又はホストすることができるデバイスを指す。ネットワークデバイスの例として、NodeB(NodeB又はNB)、Evolved NodeB(eNodeB又はeNB)、new radioアクセスにおけるNodeB(gNB)、リモート無線ユニット(RRU:Remote Radio Unit)、無線ヘッド(RH:Radio Head)、リモート無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、及びフェムトノードやピコノードなどの低パワーノードなどが挙げられるが、これらに限定されない。説明の目的のために、以下、ネットワークデバイスの例としてgNBを参照していくつかの実施形態を説明する。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「端末デバイス」という用語は、無線又は有線通信機能を有する任意のデバイスを指す。端末デバイスの例として、ユーザ機器(UE:User Equipment)、パーソナルコンピュータ、デスクトップ、移動電話、セルラー電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ポータブルコンピュータ、デジタルカメラなどの画像キャプチャデバイス、ゲームデバイス、音楽記憶・再生機器、又は無線や有線インターネットアクセス及びブラウジングなどを可能にするインターネット機器などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用されるとき、単数形である「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「前記(the)」は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、複数形も含むことを意図している。「含む」という用語及びその変形は、「含むがこれに限定されない」ことを意味するオープンな用語として読まれる。「に基づいて」という用語は、「少なくとも部分的に基づいて」として読まれる。「一実施形態」及び「実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」として読まれる。「別の実施形態」という用語は、「少なくとも1つの他の実施形態」として読まれる。「第1」、「第2」などの用語は、異なるオブジェクト又は同じオブジェクトを指すことができる。以下には、明示的及び暗黙的なその他の定義が含まれることがある。
【0023】
いくつかの例では、値、手順、又は装置は、「最もよい」、「最も低い」、「最も高い」、「最小」、「最大」などとして言及される。そのような記述は、多くの使用される機能的選択肢から選択可能であり、このような選択は、他の選択に比べてより良い、小さい、高い、又はより好ましい必要がないことを示すと意図していることを理解されたい。
【0024】
NR eMIMOにおいて、コンポーネントキャリアの帯域幅部分が1つである場合に、UEが単一のスロットで受信すると予想されることができる、スケジュールされたNR-物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)に対応するNR-物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)の最大サポート数は、コンポーネントキャリアごとに2であることが合意されている。複数のPDCCHベースのマルチTRP/パネルダウンリンク送信に関して、PDSCHのスケジューリングの制限/指示、複数のPDCCHの構成及び監視、複数のPDCCHをサポートするためのPDCCH/PDSCHの処理/準備のタイミングなど、いくつかの機能強化を検討する必要がある。
【0025】
上記したように、UEは、同一のgNodeBに接続されている複数のTRPから異なる指示を受信する可能性がある。複数のTRPのうちの1つからの指示に基づいて、UEは、1つ又は複数のシンボルがアップリンク用に構成されることを決定し、一方、複数のTRPのうちのもう1つからの指示に基づいて、UEは、前記1つ又は複数のシンボルがダウンリンク用に構成されることを決定することがある。そのため、この1つ又は複数のシンボルに対してリンク方向の衝突が発生してしまう。別の例として、UEは、同一のgNodeBに接続されている2つのTRPからの2つの指示に基づいて、それぞれ2つのアップリンクリソースを決定することがある。この2つのアップリンクリソースは、互いにオーバーラップする可能性がある。そのため、アップリンク衝突が発生する。
【0026】
本開示の実施形態は、上記の問題及び1つ又は複数の他の潜在的な問題を解決するために、マルチTRP送信のためのソリューションを提供する。一態様では、異なるTRPからの指示に起因する衝突を解決するために、リンク方向の衝突及びUL衝突を対処するためのルールが提案される。更なる態様において、TRPをアクティブ化及び非アクティブ化にする方法が提案される。
【0027】
本開示の原理及び実施例は、
図1~12を参照して以下に詳細に説明される。
【0028】
図1は、本開示の実施形態が実施されることができる例示的な通信ネットワーク100を示す。通信ネットワーク100は、ネットワークデバイス110と、ネットワークデバイス110によってサービスが提供される端末デバイス120とを含む。ネットワークデバイス110のサービングエリアは、セル102と呼ばれる。ネットワークデバイス及び端末デバイスの数は、いかなる限定を示唆することなく、説明の目的のみで示されることを理解されたい。通信ネットワーク100は、本開示の実施形態の実施に適した任意の適切な数のネットワークデバイス及び端末デバイスを含むことができる。図示されないが、1つ又は複数の端末デバイスがセル102に配置され、且つネットワークデバイス110によってサービスが提供されてもよいことを理解されたい。
【0029】
通信ネットワーク100において、ネットワークデバイス110は、データ及び制御情報を端末デバイス120に通信することができ、端末デバイス120も、データ及び制御情報をネットワークデバイス110に通信することができる。ネットワークデバイス110から端末デバイス120へのリンクは、ダウンリンク(DL)又はフォワードリンクと呼ばれ、端末デバイス120からネットワークデバイス110へのリンクは、アップリンク(UL)又はリバースリンクと呼ばれる。
【0030】
通信技術に応じて、通信ネットワーク100は、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)ネットワーク、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA:Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)ネットワーク、又は他の任意のものであってもよい。通信ネットワーク100で検討される通信は、任意の適切な規格に準拠してもよく、ここでの規格は、新しい無線アクセス(NR:New Radio Access)、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)、LTEエボリューション(LTE-Evolution)、LTEアドバンスト(LTE-A:LTE-Advanced)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA:Wideband Code Division Multiple Access)、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)、cdma2000、モバイル通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile Communications)などを含むが、これらに限定されない。さらに、通信は、現在知られている、又は将来に開発される任意の世代の通信プロトコルに従って実施されることができる。通信プロトコルの例として、第1世代(1G)、第2世代(2G)、2.5G、2.75G、第3世代(3G)、第4世代(4G)、4.5G、第5世代(5G)の通信プロトコルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で説明される技術は、上記した無線ネットワーク及び無線技術だけでなく、他の無線ネットワーク及び無線技術にも使用されることができる。明確にするために、以下、LTEについて技術の特定の形態を説明し、LTEの専門用語は以下の説明に多く使用される。
【0031】
図1に示すように、ネットワークデバイス110は、2つのTRP131及び132に接続されており、2つのTRP131及び132を介して端末デバイス120と通信することができる。以下では、TRP131が第1のTRPとも呼ばれ、TRP132が第2のTRPとも呼ばれる場合がある。第1及び第2のTRP131及び132は、ネットワークデバイス110によって提供される同一のサービングセル(例えば、
図1に示すセル102)に含まれてもよいし、異なるサービングセルに含まれてもよい。本開示のいくつかの実施形態は、ネットワークデバイス110によって提供される同一のサービングセル内の第1及び第2のTRP131及び132を参照して説明されるが、これらの実施形態は、説明の目的のみで、本開示の範囲に関するいかなる限定を示唆することなく、当業者が本開示を理解して実施するのに寄与するものである。本明細書に記載される本開示は、以下に説明されるもの以外の様々な態様で実施可能であることを理解されたい。
【0032】
実施形態では、端末デバイス120は、2つのTRP131及び132を介して、ネットワークデバイス110からスロットフォーマット及び構成されたリソースに関する異なるタイプの指示を受信することができる。例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング内のパラメータ「TDD-UL-DL-ConfigurationCommon」、又は「TDD-UL-DL-ConfigDedicated」は、スロットフォーマットを指定することが可能であり、フォーマット2_0のダウンリンク制御情報であるスロットフォーマットインジケータ(SFI:slot format indictor)も、現在のスロット(及び/又は将来のスロット)のフォーマットを示すことが可能である。本開示では、説明の目的のために、パラメータ「TDD-UL-DL-ConfigurationCommon」及び「TDD-UL-DL-ConfigDedicated」に含まれる指示、及びSFIは、第1の指示タイプを有すると見なすことができる。従って、このタイプの指示でアップリンク用に構成されたシンボルを「SFI U」シンボルと呼び、このタイプの指示でダウンリンク用に構成されたシンボルを「SFI D」シンボルと呼ぶ。「SFI D」としても「SFI U」としても構成されていない残りのシンボルは、フレキシブルシンボルである。
【0033】
RRCシグナリングなどの上位層シグナリングは、端末デバイス120に対して、PDCCH、又はPDSCH、又はチャネル状態情報参照信号(CSI-RS:Channel State Information-Reference Signal)のリソース、及びサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)のリソース、又は物理アップリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、又は物理アップリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、又は物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)のリソースを構成してもよい。従って、PDCCH、PDSCH、又はCSI-RSのリソースに対応するシンボルは、ダウンリンク用に構成され、SRS、PUCCH、PUSCH、又はPRACHのリソースに対応するシンボルは、アップリンク用に構成される。本開示では、説明の目的のために、上位層からのリソース構成用の指示は、第2の指示タイプを有すると見なす。従って、上位層で構成されたPDCCH、PDSCH、又はCSI-RSに対応するシンボルを「RRC D」シンボルと呼び、上位層で構成されたSRS、PUCCH、PUSCH、又はPRACHに対応するシンボルを「RRC U」シンボルと呼ぶ。
【0034】
DCIフォーマット2_0以外のフォーマットのDCIも、スケジュールされた送信用のリソースを端末デバイス120に示すことができる。本開示では、説明の目的のために、DCIフォーマット2_0以外のDCIフォーマットの指示は、第3の指示タイプを有すると見なす。従って、DCIフォーマット2_0以外のDCIフォーマットによってアップリンク用にスケジュールされたシンボルを「Dynamic U」シンボルと呼び、DCIフォーマット2_0以外のDCIフォーマットによってダウンリンク用にスケジュールされたシンボルを「Dynamic D」シンボルと呼ぶ。
【0035】
2つのTRP131、132の間のバックホールが理想的でない場合、ネットワークデバイス110は、2つのTRP131、132を介して端末デバイス120への指示をタイムリーに調整できない可能性がある。その結果、リンク方向の衝突又はUL衝突が発生する可能性がある。
【0036】
いくつかの場合において、特定のシンボルについて、端末デバイス120は、第1のTRP131を介して受信した(第1、第2及び第3の指示タイプのいずれかの)指示に基づいて、それらのシンボルがアップリンク用であると決定し、第2のTRP132を介して受信した(第1、第2及び第3の指示タイプのいずれかの)別の指示に基づいて、同じシンボルがダウンリンク用であると決定することがある。この場合、それらのシンボルに対してリンク方向の衝突が発生する。端末デバイス120は、それらのシンボルで実行される送信のターゲットリンク方向を、アップリンク及びダウンリンクから選択する必要がある。
【0037】
いくつかの場合において、端末デバイス120は、第1のTRP131を介して受信した(第2又は第3の指示タイプのいずれかの)指示に基づいてアップリンクリソースを決定し、第2のTRP132を介して受信した(第2又は第3の指示タイプのいずれかの)別の指示に基づいて別のアップリンクリソースを決定することがある。この2つのアップリンクリソースは、それぞれ、第1のTRP131及び第2のTRP132を介してのネットワークデバイス110と端末デバイス120との間の通信に構成される場合がある。この2つのリソースが互いにオーバーラップすると、UL衝突が発生する。
【0038】
以下、リンク方向の衝突及びUL衝突の対処方法を説明するために、本開示の実施例を、
図2~
図11を参照して詳細に説明する。
図2は、マルチTRP送信のプロセス200を示す模式図である。ネットワークデバイス110は、第1TRP131を介して、第1の指示を端末デバイス120に送信する(205)。端末デバイス120は、第1の指示に基づいて、スロットフォーマット又はリソースを決定する(210)。ネットワークデバイス110は、第2のTRP131を介して、第2の指示を端末デバイス120に送信する(215)。端末デバイス120は、第2の指示に基づいて、別のスロットフォーマット又は別のリソースを決定する(220)。リンク方向の衝突又はUL衝突が発生した場合、端末デバイス120は、後述するリンク方向の衝突及びUL衝突を対処するためのルールに従って、ターゲット送信を決定する(225)。いくつかの実施形態において、ターゲット送信用のリソースが構成されると、端末デバイス120は、ターゲット送信を実行する(230)。
【0039】
図3は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法300のフローチャートを示す。方法300は、
図1に示す端末デバイス120で実施されることができる。方法300は、図示されない追加のブロックを含んでもよく、及び/又は図示されているいくつかのブロックを省略してもよく、本開示の範囲はこの点で限定されないことを理解されたい。説明の目的のために、
図1を参照して方法300を説明する。
【0040】
ブロック310において、端末デバイス120は、ネットワークデバイス110に接続されている第1のTRP131を介して受信した第1の指示に基づいて、シンボルの第1のリンク方向を決定する。第1のリンク方向は、第1のTRP131を介して端末デバイス120とネットワークデバイス110との間でシンボルで実行される第1の送信の方向を示す。
【0041】
ブロック320において、端末デバイス120は、ネットワークデバイス110に接続されている第2のTRP132を介して受信した第2の指示に基づいて、シンボルの第2のリンク方向を決定する。第2のリンク方向は、第2のTRP132を介して端末デバイス120とネットワークデバイス110との間でシンボルで実行される第2の送信の方向を示す。第1のリンク方向及び第2のリンク方向の少なくとも一方はアップリンクである。
【0042】
第1及び第2のリンク方向の一方がアップリンクであり、他方がダウンリンクである場合、即ちリンク方向の衝突の場合、第1及び第2の指示は、上記した第1、第2及び第3のタイプのいずれかであってもよい。第1及び第2のリンク方向の両方がアップリンクである場合、即ちUL衝突の場合、第1及び第2の指示は、第2及び第3の指示タイプのいずれかであってもよい。
【0043】
ブロック330において、端末デバイス120は、第1及び第2のリンク方向に基づいて、第1及び第2の送信から、シンボルで実行されるターゲット送信を決定する。端末デバイス120は、第1及び第2の指示の指示タイプと、第1及び第2のTRP131及び132の優先順位とのうちの少なくとも1つに基づいて、ターゲット送信を決定してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1のTRP131の優先順位が第2のTRP132の優先順位よりも高い場合、端末デバイス120は、第1の送信をターゲット送信として決定してもよい。例えば、第1のTRP131が基準TRPである場合、端末デバイス120は、第1のTRP131からの指示に従うことを決定してもよい。このアプローチは、リンク方向の衝突とUL衝突の両方に適用可能である。基準TRPは、上位層シグナリングによって明示的に構成されてもよい。また、基準TRPは、TRPに関連付けられたID(例えば、最も低いID値)によって暗黙的に決定されることもできる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の指示は、第1のリソースを示すようにDCIに含まれ(これは、第1の指示が第3の指示タイプであることを意味し)、第2の指示は、第2のリソースを示すようにRRCシグナリングに含まれ(これは、第2の指示が第2の指示タイプであることを意味し)、且つ第1のリソースはシンボルで第2のリソースとオーバーラップする。この場合、端末デバイス120は、第1の送信をターゲット送信として決定してもよい。即ち、端末デバイス120は、DCIフォーマット2_0以外のフォーマットのDCIを優先するように決定してもよい。このアプローチは、リンク方向の衝突及びUL衝突の両方に適用可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のリンク方向が第2のリンク方向と異なり、即ち、リンク方向の衝突が発生する。第1の指示は、シンボルを含むスロットのスロットフォーマットを示し(例えば、第1の指示が第1の指示タイプであってもよく)、第2の指示は、時間領域が上記シンボルを含むリソースを示す(例えば、第2の指示が第2又は第3の指示タイプであってもよい)場合、端末デバイス120は、第1の送信をターゲット送信として決定してもよい。これは、第1の指示タイプの指示が、第2及び第3の指示タイプの指示よりも高い優先順位を有することを意味する。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の指示は、第1のリソースを示すように第1のDCIに含まれ、第2の指示は、第2のリソースを示すように第2のDCIに含まれ、且つ第1のリソースはシンボルで第2のリソースとオーバーラップする。この場合、端末デバイス120は、第1及び第2のDCIに関連するタイミング情報に基づいてターゲット送信を決定してもよい。例えば、端末デバイス120は、第1のDCIに関連付けられた第1のタイミング情報と、第2のDCIに関連付けられた第2のタイミング情報とを決定し、且つ第1のタイミング情報と第2のタイミング情報とに基づいてターゲット送信を決定してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、端末デバイス120は、第1のDCIの開始シンボル、第1のDCIの終了シンボル、第1のDCIのデコードレイテンシ、第1のリソースの開始シンボル、及び第1のリソースの持続時間のうちの少なくとも1つに基づいて、第1のタイミング情報を決定してもよい。第2のタイミング情報は、これに対応して決定されてもよい。このアプローチは、リンク方向の衝突及びUL衝突の両方に適用可能であり、詳細は後述する。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の指示は、第1の送信用のダウンリンクリソースを示すように第1のDCIに含まれ、第2の指示は、第2の送信用のアップリンクリソースを示すように第2のDCIに含まれる。これは、リンク方向の衝突を意味する。この場合、第1の送信がターゲット送信として決定され、且つ第2の送信の開始が第1の送信の開始に先立つ場合、端末デバイス120は、端末デバイス120に関連付けられた期間内にアップリンクリソースで第2の送信を実行し、該期間の後にネットワークデバイス110からダウンリンクリソースで受信を実行してもよい。なお、該期間は、端末デバイス120の処理能力に関連するUL準備時間であってもよい。このような実施形態の詳細については、
図5を参照して後述する。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1の送信及び第2の送信の両方がアップリンク送信である(UL衝突を意味する)場合、端末デバイス120は、それぞれ第1のTRP131及び第2のTRP132を介して送信される情報に基づいて、ターゲット送信を決定してもよい。例えば、端末デバイス120は、まず、第1の送信に含まれる第1の情報の第1の情報タイプと、第2の送信に含まれる第2の情報の第2の情報タイプとを決定してもよい。そして、端末デバイス120は、第1の情報タイプ及び第2の情報タイプに基づいてターゲット送信を決定してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の情報タイプが制御情報であり、第2の情報タイプがデータ情報である場合、端末デバイス120は、第1の送信をターゲット送信として決定してもよい。即ち、制御情報は、データ情報よりも高い優先順位を有してもよい。異なる情報タイプには予め定義された優先順位を与えてもよい。このような実施形態の詳細については、
図4A~
図4Cを参照して後述する。
【0052】
上記したように、場合によってはリンク方向の衝突が発生することがある。ここで、リンク方向の衝突の対処方法について、表1及び
図4A~
図4C、
図5、及び
図6を参照して詳細に説明する。
【0053】
表1は、マルチTRPでのリンク方向の衝突の例、及び、それに対応する端末デバイス120の動作をまとめたものである。いくつかのシナリオでは、ネットワークデバイスに接続されている複数のTRPは互いに同等なものではなく、複数のTRPのうちの1つが基準TRP(略してRef TRP)として使用されてもよい。説明の目的のために、
図1を参照して表1を説明し、第1のTRP131をRefTRPとみなす。
【0054】
表1において、第1列は、基準(Ref)TRPからの指示に基づいて決定されたシンボルタイプを示し、第2列は、他のTRPからの指示に基づいて決定されたシンボルタイプを示す。表1から分かるように、シンボルタイプは、上記したように、「SFI D」、「SFI U」、「RRC D」、「RRC U」、「Dynamic D」及び「Dynamic U」を含むことができる。第3列は、端末デバイスの対応動作を示す。また、第1列は、任意のTRPに明示的に関連付けられていないセル固有の指示に基づいて決定されたシンボルタイプを示し、Ref TRPはこれらのセル固有の指示と一致してもよい。
表1 マルチTRPでのリンク方向の衝突の例
【表1】
【0055】
説明の目的のために、表1に示すように「RRC D」及び「Dynamic U」の例に関して説明する。いくつかの実施形態では、リンク方向の衝突が発生する1つ又は複数のシンボルについて、端末デバイス120は、2つのTRPの優先順位に基づいて、この1つ又は複数のシンボルのリンク方向を決定してもよい。例えば、端末デバイス120は、表1の「ref TRPに従う」で示されるように、より高い優先順位を有するRef TRPに従ってもよい。他のいくつかの実施形態では、リンク方向の衝突が発生する1つ又は複数のシンボルについて、端末デバイス120は、指示のタイプに基づいて、この1つ又は複数のシンボルのリンク方向を決定してもよい。例えば、端末デバイス120は、表1の「Dynamic Uを優先する」で示されるように、第3の指示タイプの指示に従うように決定してもよい。このように、この例では、1つ又は複数のシンボルのリンク方向がアップリンクとして決定される。このアプローチは、DCIからのより柔軟でダイナミックなスケジューリングを可能にする。
【0056】
例えばSFI、DCI及びRRCシグナリングの特性により、表1のいくつかの例は「エラーケース」として示されており、「エラーケース」として示されているこれらの例について、端末デバイス120は、そのような指示がネットワークデバイス110によって示されると期待しないことに留意されたい。さらに、2つのTRPの間で理想的なバックホールが維持されている場合、表1に示されているすべての例は、「エラーケース」として見なされる。
【0057】
表1の「Dynamic D」及び「Dynamic U」の例について、
図4A~
図4Cを参照して実施形態を詳細に説明する。
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態にかかるリンク方向の衝突を例示する模式
図400を示す。
【0058】
図4Aには、9つのシンボル411~417が示されており、そのうち、シンボル411~412はダウンリンクシンボルとして構成され、シンボル418~419はアップリンクシンボルとして構成されている。シンボル413~417は、フレキシブルシンボルである。フレキシブルシンボルは、DCI指示に基づいて、ダウンリンク用又はアップリンク用のいずれかとされることができる。例えば、1)TDD-DL-UL-ConfigurationCommon又はTDD-DL-UL-ConfigDedicatedがなく、且つ、SFI-DCI(DCIフォーマット2_0)がない場合、2)TDD-DL-UL-ConfigurationCommon又はTDD-DL-UL-ConfigDedicatedによってフレキシブルシンボルとして構成され、且つ、SFI-DCIがない場合、3)TDD-DL-UL-ConfigurationCommon又はTDD-DL-UL-ConfigDedicated、及びSFI-DCIの両方によってフレキシブルシンボルとして構成される場合、シンボルをフレキシブルシンボルとみなす。
【0059】
第1のTRP131と第2のTRP132との間に理想的なバックホールがある場合、ネットワークデバイス110は、2つのTRPの間で調整を行い、いかなるリンク方向の衝突も発生しない。即ち、端末デバイス(例えばUE)がフレキシブルシンボルとみなすスロットのシンボルセットについて、端末デバイスは、同一のサービングセルにおけるDCIの指示に基づいて、UEから1つのTRPにスロットのシンボルセットで送信し、別のTRPからスロットのシンボルセットで受信すると期待されない。
【0060】
非理想的なバックホールの場合、異なるTRPを介して受信したDCIの指示に起因して、リンク方向の衝突が発生する可能性がある。
図4Aに示すように、第1のTRP131を介して受信したDCI401は、第1のTRP131を介してのネットワークデバイス110と端末デバイス120との間の第1の送信用のダウンリンクリソース421を示し、第2のTRP132を介して受信したDCI402は、第2のTRP132を介してのネットワークデバイス110と端末デバイス120との間の第2の送信用のアップリンクリソース422を示す。ダウンリンクリソース421とアップリンクリソース422とは、フレキシブルシンボルであるシンボル415~416にわたってオーバーラップしている。従って、端末デバイス120は、リンク方向の衝突を対処する必要がある。例えば、端末デバイス120は、ダウンリンクリソース421及びアップリンクリソース422から、ネットワークデバイス110との通信を実行するターゲットリソースを決定してもよい。
【0061】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかるリンク方向の衝突の対処を例示する模式
図410を示す。
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態にかかるリンク方向の衝突の対処を例示する模式
図420を示す。
【0062】
上記したように、いくつかの実施形態では、端末デバイス120は、予め定義されたタイミング優先順位に基づいてターゲットリソースを決定してもよい。予め定義されたタイミング優先順位は、開始/終了DCIシンボル、DCIデコードレイテンシ、スケジュールされた送信の開始シンボル及び/又は持続時間のうちの少なくとも1つに関連してもよい。例えば、DCI401の開始シンボルがDCI402の開始シンボルの前にある場合、ダウンリンクリソース421がターゲットリソースとして決定され、端末デバイス120は、スケジュールされた送信をリソース421で実行する。
【0063】
別の例として、DCI401のデコードよりも前にDCI402のデコードが完了した場合、端末デバイス120は、
図4Bに模式的に示すように、アップリンクリソース422をターゲットリソースとして決定してもよい。そして、端末デバイス120は、スケジュールされた送信をリソース422で実行してもよい。
【0064】
さらなる例として、
図4Cに示すように、ダウンリンクリソース421の開始シンボル413は、アップリンクリソース422の開始シンボル415の前にある。従って、端末デバイス120は、ダウンリンクリソース421をターゲットリソースとして決定してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、端末デバイス120は、TRPの優先順位に基づいてターゲットリソースを決定してもよい。例えば、端末デバイス120は、基準TRP、例えば、第1のTRP131に従うように構成されてもよい。TRPの優先順位は、例えば、TRPIDなどの他の基準に基づいて決定されてもよい。より低いTRP ID値を有するTRPは、より高い優先順位を有することができる。
【0066】
端末デバイス120によって選択されていない送信は、部分的に又は全体としてドロップされてもよい。
図5は、本開示のいくつかの実施形態にかかるスケジュールされたアップリンク送信を部分的にドロップする模式
図500を示す。
図5に示すように、第1のTRP131を介して受信したDCI501は、アップリンクリソース521を示し、第2のTRP132を介して受信したDCI502は、ダウンリンクリソース522を示す。ダウンリンクリソース522は、端末デバイス120によってターゲットリソースとして決定される。
【0067】
図示のように、アップリンクリソース521の開始シンボルは、ダウンリンクリソース522の開始シンボルの前にある。このような場合、端末デバイス120は、アップリンクリソース521でのスケジュールされた送信を部分的にドロップしてもよい。アップリンク送信には、端末デバイス120の処理能力に応じて決定されるUL準備時間が必要である。その結果、UL準備時間内に、アップリンク送信がリソース521の最初の部分531で実行されてもよい。UL準備時間が経過した後、端末デバイス120は、リソース521の残りの部分532による送信をキャンセルし、ダウンリンクリソース522の残りの部分534で受信を実行してもよい。このように、リソース522の最初の部分533による受信は実行されない。
【0068】
図6は、本開示のいくつかの実施形態にかかるスケジュールされたダウンリンク送信をドロップする模式
図600を示す。
図6に示すように、第1のTRP131を介して受信されたDCI601はダウンリンクリソース621を示し、第2のTRP132を介して受信されたDCI602はアップリンクリソース622を示す。アップリンクリソース622は、端末デバイス120によってターゲットリソースとして決定される。
図5に示す実施形態とは異なり、少なくともオーバーラップしているリソースのシンボルにおいて、ダウンリンクリソース621でのスケジュールされた送信はドロップされ、また、スケジュールされたアップリンク送信はリソース622で実行される。
【0069】
上記したように、場合によってはUL衝突が発生することがある。ここで、UL衝突を対処する方法の詳細を、表2及び
図7A~
図7Cを参照して説明する。
【0070】
表2は、マルチTRPでのUL衝突の例、及び、それに対応する端末デバイス120の動作をまとめたものである。上記したように、いくつかのシナリオでは、ネットワークデバイスに接続されている複数のTRPは互いに同等なものではなく、複数のTRPのうちの1つが基準TRP(略してRef TRP)として使用されてもよい。説明の目的のために、
図1を参照して表2を説明し、第1のTRP131をRef TRPとみなす。
【0071】
表2において、第1列は、Ref TRPからの指示に基づいて決定されたシンボルタイプを示し、第2列は、他のTRPからの指示に基づいて決定されたシンボルタイプを示す。表2から分かるように、シンボルタイプは、上記したように「RRC U」及び「Dynamic U」を含んでもよい。第3列は、端末デバイス120の対応動作を示す。
表2 マルチTRPでのUL衝突の例
【表2】
【0072】
第1のTRP131による「RRC U」及び第2のTRP132による「RRC U」の例と、第1のTRP131による「RRC U」及び第2のTRP132による「Dynamic U」の例と、第1のTRP131による「Dynamic U」及び第2のTRP132による「RRC U」の例とについては、異なる実施形態において異なるルールを適用してもよい。図示のルール1及びルール3は、リンク方向の衝突に関して説明したものと同様である。ルール2については後述する。
【0073】
2つのTRP間で理想的なバックホールが維持されている場合、表2に示すすべての例は「エラーケース」とみなされる可能性があることに留意されたい。
【0074】
第1のTRP131による「Dynamic U」及び第2のTRP132による「Dynamic U」の例について、
図7A~
図7Cを参照して、実施形態を詳細に説明する。
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態にかかるUL衝突を例示する模式
図700を示す。
【0075】
図7Aには、9つのシンボル711~717が示されており、シンボル711~712はダウンリンクシンボルとして構成され、シンボル718~719はアップリンクシンボルとして構成されている。シンボル713~717は、フレキシブルシンボルである。フレキシブルシンボルは、DCI指示に基づいて、ダウンリンク用又はアップリンク用のいずれかとされることができる。
【0076】
第1のTRP131と第2のTRP132との間に理想的なバックホールが存在する場合、ネットワークデバイス110は2つのTRP間で調整を行い、いかなるUL衝突も発生しない。即ち、端末デバイスは、オーバーラップしているULリソースで異なるTRPに送信すると予想しない。
【0077】
非理想的なバックホールの場合、異なるTRPを介して受信したDCIの指示により、UL衝突が発生する可能性がある。
図7Aに示すように、第1のTRP131を介して受信されたDCI701は、第1のTRP131を介してのネットワークデバイス110と端末デバイス120との間の第1の送信用のアップリンクリソース721を示し、第2のTRP132を介して受信されたDCI702は、第2のTRP132を介してのネットワークデバイス110と端末デバイス120との間の第2の送信用のアップリンクリソース722を示す。アップリンクリソース721とアップリンクリソース722とは、シンボル715~716にわたって互いにオーバーラップしている。従って、端末デバイス120は、UL衝突を対処する必要がある。例えば、端末デバイス120は、アップリンクリソース721及びアップリンクリソース722から、ネットワークデバイス110へのアップリンク送信を実行するターゲットリソースを決定してもよい。
【0078】
図7Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかるUL衝突の対処を例示する模式
図710を示す。
図7Cは、本開示のいくつかの実施形態にかかるUL衝突の対処を例示する模式
図720を示す。
【0079】
リンク方向の衝突に関して説明したものと同様に、いくつかの実施形態では、端末デバイス120は、予め定義されたタイミング優先順位に基づいてターゲットリソースを決定してもよい。予め定義されたタイミング優先順位は、開始/終了DCIシンボル、DCIデコードレイテンシ、スケジュールされた送信の開始シンボル及び/又は持続時間のうちの少なくとも1つに関連してもよい。例えば、DCI701の開始シンボルがDCI702の開始シンボルの前にある場合、アップリンクリソース721はターゲットリソースとして決定され、端末デバイス120はスケジュールされたアップリンク送信をリソース721で実行する。
【0080】
別の例として、
図7Bに示すように、アップリンクリソース721の開始シンボル713は、アップリンクリソース722の開始シンボル715の前にある。この場合、端末デバイス120は、アップリンクリソース721をターゲットリソースとして決定してもよい。
【0081】
さらなる例として、DCI701のデコードの前にDCI702のデコードが完了した場合、端末デバイス120は、
図7Bに模式的に示されるように、アップリンクリソース722をターゲットリソースとして決定してもよい。そして、端末デバイス120は、スケジュールされた送信をリソース722で実行してもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、端末デバイス120は、TRPの優先順位に基づいてターゲットリソースを決定してもよい。例えば、端末デバイス120は、基準TRP、例えば、第1のTRP131に従うように構成されてもよい。TRPの優先順位は、例えば、TRP IDなどの他の基準に基づいて決定されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、端末デバイス120は、送信される情報の情報タイプに基づいてターゲットリソースを決定してもよく、これらの情報タイプは、説明の目的のみで、本明細書でULタイプと呼ばれる。第1のTRP131による「Dynamic U」及び第2のTRP132による「Dynamic U」の例では、ULタイプは、PRACH、肯定応答/否定応答(ACK/NACK)付きPUCCH、ACK/NACK/スケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request)付きPUCCH、CSIレポート付きPUSCH、PUSCH、SRSを含んでもよい。
図2を参照して上記したように、制御情報はデータ情報よりも高い優先順位を有してもよい。
【0084】
一例として、異なるULタイプの優先順位は、PRACH>ACK/NACK/SR付きPUCCH又はACK/NACK付きPUSCH>CSIレポート付きPUSCH>PUSCH>SRSのように定義されてもよい。ここで、SRSは、非周期的SRS(A-SRS)、周期的SRS(P-SRS)、及び半永続的SRS(SP-SRS)を含む。また、
図7Aを参照すると、アップリンクリソース721がACK/NACK/SR付きPUCCHの送信のために構成され、アップリンクリソース722がCSIレポート付きPUSCHの送信のために構成されている場合、端末デバイス120は、アップリンクリソース721をターゲットリソースとして決定してもよい。
【0085】
上記した優先順位の例では、ACK/NACK/SR付きPUCCHとACK/NACK付きPUSCHのULタイプは、同じ優先順位を有する。例えば、ACK/NACK/SR付きPUCCHのULタイプは、ACK/NACK付きPUSCHのULタイプよりも高い優先順位を有するように規定されることもできる。あるいは、例えば、ACK/NACK付きPUSCHのULタイプは、ACK/NACK/SR付きPUCCHのULタイプよりも高い優先順位を有するように規定されることができる。
【0086】
表2の「RRC U」の例では、ULタイプは、CSIレポート付きPUCCHをさらに含んでもよい。これらの例の異なるULタイプの優先順位の例は、PRACH>ACK/NACK/SR付きPUCCH又はACK/NACK付きPUSCH>CSIレポート付きPUSCH又はCSIレポート付きPUCCH>PUSCH>SRSのように定義されてもよい。
【0087】
同様に、例えば、ACK/NACK/SR付きPUCCHのULタイプは、ACK/NACK付きPUSCHのULタイプよりも低い優先順位を有するように規定されることもできる。さらに、例えば、CSIレポート付きPUSCHのULタイプは、CSIレポート付きPUCCHのULタイプよりも高い優先順位を有するように規定されることができる。
【0088】
上記した例では、SR用のPUCCHリソース、及びPRACHリソースは、2つのTRPではなく、1つのTRPのみに関連付けられて構成されてもよい。例えば、RRCシグナリングは、SR用のPUCCHリソース及びPRACHリソースを、基準TRPのみに関連付けられ、他のTRPに関連付けられないように構成してもよい。SR用のPUCCHリソース及びPRACHリソースは、RRCシグナリングによって明示的に構成され、又は暗黙的に決定されることができる。暗黙的に決定される場合、より低いIDを有するTRPは、SR用のPUCCHリソース及びPRACHリソースに関連付けられることができる。
【0089】
上記した優先順位は、いかなる制限もなく説明の目的のために記載されていることを理解されたい。当業者にとって、異なるULタイプに対して他の優先順位を想定することができる。
【0090】
リンク方向の衝突及びUL衝突を対処するための複数のルールは上記のように説明された。これらのルールは、キャリアアグリゲーション(CA:carrier aggregation)のシナリオに適用可能である。CAのシナリオでは、異なるTRPに起因するリンク方向の衝突及び/又はUL衝突に加えて、異なるコンポーネントキャリア(CC:component carrier)、例えばCC1~CCnに起因するリンク方向の衝突及び/又はUL衝突が発生する可能性もある。いくつかの実施形態では、上記したルールは、まず、第1のTRP131用の異なるCC間で適用され、第2のTRP132用の異なるCC間で適用されてもよい。次に、ルールは、異なるTRP間で適用される。この態様は、最初にCC間で、次にTRP間でと見なされてもよい。
【0091】
いくつかの他の実施形態では、上記したルールは、まず、CC1~CCnのそれぞれについて、異なるTRP間で適用されてもよい。次に、ルールは、異なるCC(CC1~CCn)間で適用される。この態様は、最初にTRP間で、次にCC間でと見なされてもよい。
【0092】
リンク方向の衝突及びUL衝突に関する態様は、上記のように説明された。マルチTRP送信に関する他の態様については、
図8~
図11を参照して以下に説明する。
図8は、本開示のいくつかの実施形態にかかるマルチTRP送信のためのプロセス800を示す模式図である。説明の目的のために、
図1を参照してプロセス800を説明する。
【0093】
図1に示す例示的な環境では、2つのTRP131及び132のうちの一方、例えば、基準TRP又は第1のTRP131は、初期アクセス又はRRCセットアップからアクティブ化されているが、他のTRP、即ち第2のTRP132はアクティブ化されていない。TRPのアクティブ化の前に、RRCシグナリングは、TRPに関連する構成のセットを示してもよい。例えば、RRC構成は、TRPに対する、PDCCH構成、PDSCH構成、CSI測定構成、PUCCH構成、及びSRS構成のいずれかを含んでもよい。本開示のいくつかの実施形態にかかるマルチTRP送信を示す模式
図900である
図9を参照する。時刻951における第2のTRP132のアクティブ化の前に、端末デバイス120は、第1のTRP131のみを介してネットワークデバイス110と通信してもよい。第2のTRP132がアクティブ化されていないので、端末デバイス120は、第2のTRP132に関連して構成された制御リソースセット(CORESET)901及び902でのPDCCHを監視しない。端末デバイス120は、アクティブ化されている第1のTRP131に関連付けられたCORESET911、912、922(CORESET921は衝突に起因してドロップされる可能性がある)でのPDCCHを監視する。
【0094】
また
図8を参照する。ネットワークデバイス110は、第2のTRP132のアクティブ化を示すために使用される指示を決定する(805)。そして、ネットワークデバイス110は、指示を端末デバイス120に送信する(810)。端末デバイス120は、指示が第2のTRP132のアクティブ化を示すことを決定する(815)。この指示を受信してから所定の時間が経過すると、第2のTRPに対するRRC構成が有効となり、端末デバイス120は、第1のTRP131及び第2のTRP132の両方を介してネットワークデバイス110と通信する(820)。指示によって有効となる第2のTRP132を介しての通信は、SRSの送信、CSIの報告、PUCCH送信、PDCCHの監視、HARQ(Hybrid Automatic Repeat request)処理、PDSCH受信、PUSCH送信のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0095】
一定時間の後、ネットワークデバイス110は、第2のTRP132の非アクティブ化を示すために使用されるさらなる指示を決定してもよい(825)。ネットワークデバイス110は、更なる指示を端末デバイス120に送信する(830)。そして、端末デバイス120は、さらなる指示が第2のTRP132の非アクティブ化を示すことを決定する(835)。このように、第2のTRP132を介するネットワークデバイス110と端末デバイス120との間の通信は終了する。
【0096】
また
図8を参照する。時刻952における第2のTRP132の非アクティブ化の後、端末デバイス120は、CORESET915でのPDCCHを監視するが、第2のTRP132に関連付けられたCORESET905でのPDCCHを監視しない。
【0097】
いくつかの実施形態では、アクティブ化指示及び/又は非アクティブ化指示は、媒体アクセス制御(MAC:media access control)制御要素(CE:control element)に含まれてもよい。指示は、媒体アクセス制御層からの制御要素、即ち、MAC CEを介して送信されることができ、この制御要素は、表3に示すように、以下のフィールドのいずれかを含むことができる。
表3 TRPのアクティブ化及び非アクティブ化のためのMAC CE
【表3】
【0098】
「A/D」フィールドは、MAC CEが、示されたTRPをアクティブ化にするために使用されるか、非アクティブ化にするために使用されるかを示し、このフィールドは、アクティブ化を示すために「1」に設定され、それ以外の場合に、非アクティブ化を示す。「セルID」フィールドは、MAC CEが適用されるサービングセルのIDを示すものであり、5ビットのサイズを有してもよい。「BWP ID」フィールドは、MAC CEが適用されるダウンリンク帯域幅部分を示すものであり、2ビットのサイズを有してもよい。「TRP ID」フィールドは、MAC CEが適用される1つ又は複数のTRPを示し、2ビットのサイズを有してもよい。「R」フィールドは、予約ビットを意味する。なお、表3に示すMAC CEフォーマットは、本開示の範囲を制限することなく、説明の目的のみであることに注意されたい。他のMAC CEフォーマットも可能である。
【0099】
代替的又は追加的に、第2のTRP132がアクティブ化されている期間を決定するために、端末デバイス120によって第2のTRP132用のタイマーを維持してもよい。
【0100】
第2のTRP132がアクティブ化されているタイマー期間(時刻951から時刻952まで)、端末デバイス120は、CORESET913及び914(CORESET923及び924はドロップされる)でのPDCCHを監視するだけでなく、CORESET903及び904でのPDCCHも監視する。
【0101】
時間的にオーバーラップしている探索空間をドロップするための任意のルールは、異なるTRP間ではなく、TRPごとに適用されてもよい。例えば、
図9に模式的に示すように、CORESET903、913、923は、時間的にオーバーラップしているので、互いに衝突する可能性がある。CORESET913及び923は、第1のTRP131に関連付けられており、CORESET903は、第2のTRP132に関連付けられている。1つの同じTRPに関連付けられた複数のCORESETについては、衝突を解決するために、より低い優先順位を有するCORESET(及び/又はこのCORESETに関連付けられた探索空間)をドロップする必要がある。例えば、第1のTRP131に関連付けられたCORESET923は、CORESET903よりも高い優先順位を有するかもしれないが、CORESET903は、別のTRP、即ち、この例では第2のTRP131に関連付けられているので、CORESET923をドロップする必要がある。
【0102】
さらに、DCIにおけるACK/NACKリソースインジケータ(ARI:ACK/NACK Resource Indicator)は、DCIのACK/NACKビットを送信するためのPUCCHを選択するために使用される。異なるDCIによるACK/NACKビットを同一のスロットで送信する必要がある場合、ACK/NACKビットのPUCCH送信を選択するためのARIは、異なるTRP間ではなく、TRPごとに決定されてもよい。例えば、
図9に模式的に示すように、第1のTRP131について、最終ARI916は、例えば第1のTRP131に関連付けられたCORESET913及び914で受信された最後のDCIに基づいて決定される。第2のTRP132について、最終ARI906は、例えば第2のTRP132に関連付けられたCORESET903及び904で受信された最後のDCIに基づいて決定される。
【0103】
図10は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法1000のフローチャートを示す。方法1000は、
図1に示す端末デバイス120で実施されることができる。方法1000は、図示されない追加のブロックを含んでもよく、及び/又は図示されているいくつかのブロックを省略してもよく、本開示の範囲はこの点で限定されないことを理解されたい。説明の目的のために、
図1を参照して方法1000を説明する。
【0104】
ブロック1010において、端末デバイス120は、ネットワークデバイス110から指示を受信する。端末デバイス120は、ネットワークデバイス110に接続されている第1のTRP131を介して、ネットワークデバイス110と通信している。
【0105】
ブロック1020において、端末デバイス120は、指示がネットワークデバイス110に接続されている第2のTRP132のアクティブ化を示すか否かを決定する。端末デバイス120は、指示が第2のTRP132のアクティブ化を示すと決定した場合、処理はブロック1030に進む。ブロック1030において、端末デバイス120は、第2のTRP132を介してネットワークデバイス110との通信を実行する。
【0106】
いくつかの実施形態では、指示は、MAC CEに含まれる。
【0107】
図11は、本開示のいくつかの実施形態にかかる例示的な方法1100のフローチャートを示す。方法1100は、
図1に示すネットワークデバイス110で実施されることができる。方法1100は、図示されない追加のブロックを含んでもよく、及び/又は図示されているいくつかのブロックを省略してもよく、本開示の範囲はこの点で限定されないことを理解されたい。説明の目的のために、
図1を参照して方法1100を説明する。
【0108】
ブロック1110において、ネットワークデバイス110は、端末デバイス120に送信される指示を決定する。端末デバイス120は、ネットワークデバイス110に接続されている第1のTRP131を介してネットワークデバイス110と通信しており、指示は、ネットワークデバイス110に接続されている第2のTRP132のアクティブ化を示す。
【0109】
ブロック1120において、ネットワークデバイス110は、指示を端末デバイス120に送信する。ブロック1130において、ネットワークデバイス110は、第2のTRP131を介して、端末デバイス120との通信を実行する。
【0110】
図12は、本開示のいくつかの実施形態の実施に適したデバイス1200の簡略化したブロック図である。デバイス1200は、
図1に示すネットワークデバイス110又は端末デバイス120のさらなる例示的な実施形態とみなすことができる。従って、デバイス1200は、ネットワークデバイス110或いは端末デバイス120の少なくとも一部で実施され、又はネットワークデバイス110或いは端末デバイス120の少なくとも一部として実施されることができる。
【0111】
図示されるように、デバイス1200は、プロセッサ1210と、プロセッサ1210に接続されているメモリ1220と、プロセッサ1210に接続されている適切な送信機(TX)及び受信機(RX)1240と、TX/RX1240に接続されている通信インターフェースとを含む。メモリ1220は、プログラム1230の少なくとも一部を格納する。TX/RX1240は、双方向通信用である。TX/RX1240は、通信を容易にするために少なくとも1つのアンテナを有するが、実際には、本願で言及されるアクセスノードは複数のアンテナを有してもよい。通信インターフェースは、eNB間の双方向通信用のX2インターフェース、モビリティマネジメントエンティティ(MME:Mobility Management Entity)/サービングゲートウェイ(S-GW:Serving Gateway)とeNBとの間の通信用のS1インターフェース、eNBとリレーノード(RN:relay node)との間の通信用のUnインターフェース、又はeNBと端末デバイスとの間の通信用のUuインターフェースなど、他のネットワーク要素との通信に必要な任意のインターフェースを表してもよい。
【0112】
プログラム1230は、関連するプロセッサ1210によって実行されると、デバイス1200が、本明細書で
図3、
図10及び
図11を参照して説明したように、本開示の実施形態に従って動作することを可能にするプログラム命令を含むと想定される。本明細書の実施形態は、デバイス1200のプロセッサ1210によって実行可能なコンピュータソフトウェアにより、又はハードウェアにより、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実施されてもよい。プロセッサ1210は、本開示の様々な実施形態を実施するように構成されてもよい。さらに、プロセッサ1210とメモリ1220の組み合わせは、本開示の様々な実施形態の実施に適した処理手段1250を形成してもよい。
【0113】
メモリ1220は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよく、非限定的な例として、非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、半導体系のメモリデバイス、磁気メモリデバイス及びシステム、光メモリデバイス及びシステム、固定メモリデバイス及びリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータ記憶技術を使用して実施されてもよい。デバイス1200には1つのメモリ1220のみが示されているが、デバイス1200には物理的に別個である複数のメモリモジュールがあってもよい。プロセッサ1210は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよく、非限定的な例として、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)、及びマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサのうちの1つ又は複数を含んでもよい。デバイス1200は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0114】
一般的に、本開示の様々な実施形態は、ハードウェア又は専用回路、ソフトウェア、ロジック、又はそれらの任意の組み合わせで実施されてもよい。いくつかの態様はハードウェアで実施され、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェア又はソフトウェアで実施されてもよい。本開示の実施形態の様々な態様は、ブロック図、フローチャート、又は他の何らかの画像表現を使用して例示及び説明されたが、本明細書に記載されるこれらのブロック、装置、システム、技術又は方法は、非限定的な例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路又はロジック、汎用ハードウェア又はコントローラ又は他のコンピューティングデバイス、又はそれらのいくつかの組み合わせで実施されてもよいことを理解されたい。
【0115】
本開示は、さらに、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に有形に格納された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、
図2、
図3、
図8、
図10及び
図11を参照して上記したプロセス又は方法を実行するために、プログラムモジュールに含まれるものなどの、対象の実プロセッサ又は仮想プロセッサ上のデバイスで実行されるコンピュータ実行可能な命令を含む。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実施したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などを含む。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で記載されたプログラムモジュール間で組み合わせる、又は分割されることができる。プログラムモジュールのためのマシン実行可能な命令は、ローカルデバイス又は分散型デバイス内で実行されてもよい。分散型デバイスでは、プログラムモジュールがローカル記憶媒体とリモート記憶媒体の両方に配置されてもよい。
【0116】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されることにより、プログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図に規定される機能/動作が実現される。プログラムコードは、完全にマシンで実行されてもよく、その一部がマシンで実行されてもよく、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして実行されてもよく、一部がマシンで実行され且つ一部がリモートマシンで実行されてもよく、完全にリモートマシン又はサーバで実行されてもよい。
【0117】
上記プログラムコードは、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれと関連して使用されるためのプログラムを含む、又は格納することができる任意の有形媒体であり得るマシン読み取り可能な媒体で具現化されてもよい。マシン読み取り可能な媒体は、マシン読み取り可能な信号媒体又はマシン読み取り可能な記憶媒体であってもよい。マシン読み取り可能な媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、デバイス、あるいは前記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。マシン読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例として、1つ又は複数のワイヤによる電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学式ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、又は前記の任意の適切な組み合わせが挙げられる。
【0118】
さらに、動作が特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が図示の特定の順序又は連続順序で実行されること、又はすべての描かれた動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利である場合がある。同様に、上記の説明にはいくつかの特定の実施形態の詳細が含まれているが、これらは本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて実施されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴も、複数の実施形態で別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実施されてもよい。
【0119】
本開示は、構造的特徴及び/又は方法論的動作に特有の用語で説明されたが、添付の特許請求の範囲で限定される本開示は、必ずしも上記した特定の特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記した特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。