(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178417
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】カンナビノイド由来組成物の吸収変動を低減するN-アシル化脂肪アミノ酸
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20241217BHJP
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A61P 25/22 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241217BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20241217BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20241217BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241217BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241217BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241217BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P27/16
A61P19/02
A61P19/00
A61P7/06
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A61P1/00
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A61P35/00
A61P17/02
A61P7/00
A61P19/10
A61P11/06
A61P25/22
A61P25/28
A61P31/18
A61P25/30
A61P5/14
A61K31/353
A61K9/14
A61K9/48
A61K47/18
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024167058
(22)【出願日】2024-09-26
(62)【分割の表示】P 2021527180の分割
【原出願日】2019-11-19
(31)【優先権主張番号】62/769,395
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523383831
【氏名又は名称】スポーク・サイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオン-ベイ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ウェスナー,グレゴリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カンナビノイドの吸収変動を低減するための経口カンナビノイド製剤を調製する方法の提供。
【解決手段】経口カンナビノイド製剤の投与後に、対象におけるカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製する方法であって、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)及びカンナビノイドを経口製剤に、経口製剤内で1:6、1:10又は1:20のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸の重量/重量(w/w)比で添加し、それによってカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製することを含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口カンナビノイド製剤の投与後に、対象におけるカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製する方法であって、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)及びカンナビノイドを経口製剤に、経口製剤内で1:6、1:10又は1:20のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸の重量/重量(w/w)比で添加し、それによってカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製することを含む方法。
【請求項2】
対象におけるカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製する方法であって、カンナビノイド及び有効な量のN-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩を経口製剤に添加することを含む方法。
【請求項3】
有効な量のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩が、経口製剤内で1:4~1:25のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩の重量/重量(w/w)比をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
有効な量のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩が、経口製剤内で1:6、1:10又は1:20のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩の重量/重量(w/w)比をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
経口製剤が、
50mgのカンナビノイド及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、
10mgのカンナビノイド及び100mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、
10mgのカンナビノイド及び200mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、
50mgのカンナビノイド及び500mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、又は
30mgのカンナビノイド及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
経口製剤が、
50mgのカンナビジオール(CBD)及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、
10mgのΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及び100mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、
10mgのTHC及び200mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、
50mgのCBD及び500mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩、又は
30mgのCBD及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはその塩
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
経口製剤が、
50mgのカンナビノイド及び300mgのナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)、
10mgのカンナビノイド及び100mgのSNAC、
10mgのカンナビノイド及び200mgのSNAC、
50mgのカンナビノイド及び500mgのSNAC、又は
30mgのカンナビノイド及び300mgのSNAC
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
経口製剤が、
50mgのCBD及び300mgのSNAC、
10mgのTHC及び100mgのSNAC、
10mgのTHC及び200mgのSNAC、
50mgのCBD及び500mgのSNAC、又は
30mgのCBD及び300mgのSNAC
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
経口製剤が粉末を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
粉末が湿式造粒により形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
経口製剤がゼラチンカプセルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
経口製剤が、湿式造粒により形成される粉末を含み、粉末がゼラチンカプセル内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
経口製剤が経口溶液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
低減されたカンナビノイド血中吸収変動が、<50%、40%未満又は30%未満の変動係数(%CV)をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
吸収が、血液中に入る胃腸吸収を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
カンナビノイドが、カロフィルム・ブラシリエンス(Calophyllum brasiliense)、カロフィルム・カレドニクム(Calophyllum caledonicum)、カロフィルム・イノフィルム(Calophyllum inophyllum)、カロフィルム・ソウラットリ(Calophyllum soulattri)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、タイム・ブルガリス(Thymus vulgaris)、マトリカリア・レクチタ(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、カレンデュラ・オフィシナリス(Calendula officinalis)、ウスネア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスチカム・ポルテリ-オーシャ(Ligusticum porterii-osha)、ガウルテリア・プロクンベンス(Gaultheria procumbens)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、バクシニウム・ミルティルス(Vaccinium myrtillus)、メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)、アリウム・サティブム(Allium sativum)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、クラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)、プニカ・グラナツム(Punica granatum)、ビブルヌム・プリカツム(Viburnum plicatum)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ズボイシア・ホプウォオディイ(Duboisia hopwoodii)、アスクレピアス・シリアカ(Asclepias syriaca)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)及び/若しくはアセル属種(Acer spp.)又はこれらの抽出物に由来する、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
カンナビノイドが、カンナビス・サティバ、カンナビス・ルデラリス又はカンナビス・インディカに由来する、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)及び/又はこれらの混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
カンナビノイドが、植物由来カンナビノイド又は合成カンナビノイドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
経口製剤が、フラボノイド化合物、テルペン又はテルペノイドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
N-アシル化脂肪アミノ酸が、化合物I~XXXV(
図2)又は化合物a~r(
図3)のうちの1つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
N-アシル化脂肪アミノ酸が、一ナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、二ナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート又はN-(サリチロイル)-8-アミノカプリル酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
N-アシル化脂肪アミノ酸又はその塩が、
【化1】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
一価のカチオンが、ナトリウム又はカリウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
金属カチオンが、カルシウム又はマグネシウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
有機のカチオンが、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
XがHである、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
Xが、ナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
Xが、カルシウム又はマグネシウムを含む二価の金属カチオンである、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
Xが、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む有機のカチオンである、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
ZがHである、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
Zが、ナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
Zが、カルシウム又はマグネシウムを含む二価のカチオンである、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
XがHであり、ZがHである、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
XがHであり、Zがナトリウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
経口製剤が医薬組成物である、請求項2に記載の方法。
【請求項38】
経口製剤が栄養補給剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
経口製剤が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病、肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡率、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群及び離脱の症状を治療するのに利用される、請求項2に記載の方法。
【請求項40】
請求項1~39のいずれかに記載の方法に従って形成される経口製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月19日に出願された米国特許仮出願第62/769,395号の優先権を主張するものであり、その全体は、まるで本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、カンナビノイド由来組成物の吸収変動を低減するためのN-アシル化脂肪アミノ酸の使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
経口カンナビノイド投与は、一般に、同じ人物においても用量毎に吸収に広範囲の変動(対象内変動)があることを特徴とする。この変動は長い間の問題であり、例えば、Whelessら、CNS Drugs(2019)33:593-604;Ohら、Clinical Pharmacology:Advances and Applications(2017)9:9-17;Huestis、Chem Biodivers.(2007)4(8):1770-1804;Kim&Yoon、J.Chromatogr.、Sect.B.(1996)682:55;Ohlssonら、Clin.Pharmacol.Ther.(1980)28:409及びPerez-Reyesら、Clin.Pharmacol.Ther.(1973)14:48において考察されてきた。例えば、Whelessらは、小児てんかん患者において、吸収に関連する変動係数(%CV)が103%CV~135%CVの範囲であることを記載している(表3参照)。Ohらは、経口カンナビノイド製剤(本開示と同じもの)を摂取する前に絶食した健康な志願者において、吸収に関連する変動係数(%CV)が58%CV~60%CVであったことを記載している(表1最終2行参照)。この変動は、特定の用量の処方を困難にし、一部の場合では不可能にするので望ましくない。この投与における難問の帰結は、疾患の治療において重大な過剰又は過小投薬を受けている患者となり得る。経口カンナビノイド組成物に関連する吸収の変動は、これらの使用の否定的な特徴であるが、代替物を欠いているので現在まで許容されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Whelessら、CNS Drugs(2019)33:593-604
【非特許文献2】Ohら、Clinical Pharmacology:Advances and Applications(2017)9:9-17
【非特許文献3】Huestis、Chem Biodivers.(2007)4(8):1770-1804
【非特許文献4】Kim&Yoon、J.Chromatogr.、Sect.B.(1996)682:55
【非特許文献5】Ohlssonら、Clin.Pharmacol.Ther.(1980)28:409
【非特許文献6】Perez-Reyesら、Clin.Pharmacol.Ther.(1973)14:48
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(開示の要旨)
本開示は、経口カンナビノイド由来組成物の吸収変動を低減するためのN-アシル化脂肪アミノ酸の使用を提供する。特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸の使用は、カンナビノイド由来組成物の吸収変動を45%未満の変動係数(%CV)、40%CV未満又は30%CV未満にする。特定の実施形態において、経口カンナビノイド組成物におけるN-アシル化脂肪アミノ酸の使用は、N-アシル化脂肪アミノ酸を含有する経口カンナビノイド製剤とN-アシル化脂肪アミノ酸を有さない同じ製剤との直接の比較において、対象間の変動を2倍低減する。より詳細には、バイオアベイラビリティー(投与後の血中カンナビノイドの量)に関して、組成物にN-アシル化脂肪アミノ酸を有さないときの対象間の変動は、組成物にN-アシル化脂肪アミノ酸を有するときの41%又は38%と比較して84%であった。
【0006】
本明細書に開示されているように、経口製剤中のカンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸との比は、対象間の吸収変動の記載された低減を観察するために重要である。カンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸の1:2の比(重量/重量(w/w))は、%CVを45%未満にするのに有効ではなかった。しかし、1:20の比は41%CVを達成し、1:10の比は26%CV~38%CVを達成し、1:6の比は39%CVを達成した。故に、本開示は、カンナビノイドの対象間変動を最新のものに低減するためのカンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸の特定の比の使用を提供する。
【0007】
特定の実施形態は、対象に投与されたときに吸収変動が低減された経口製剤を作り出すため、N-アシル化脂肪アミノ酸及びカンナビノイドを1:20、1:10又は1:6の比で選択することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A-1】代表的なカンナビノイド構造を提供する。
【
図1A-2】代表的なカンナビノイド構造を提供する。
【
図1B-1】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-2】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-3】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-4】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-5】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-6】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-7】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-8】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図1B-9】合成的に誘導され得る(THC、ナビロン、CBD、7-OH-CBD、CBDV、7-OHCBDV及び式I~XVI)カンナビノイドの追加の代表的構造を提供する。
【
図2-1】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
【
図2-2】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
【
図2-3】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
【
図2-4】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
【
図2-5】化合物I~XXXVの修飾アミノ酸を示す。
【
図3-1】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHである;又はこれらの塩若しくは遊離酸形態である。
【
図3-2】式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)の脂肪酸アミノ酸を示し、ここで、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH3(すなわちメチル基)であり、R3はHである;又はこれらの塩若しくは遊離酸形態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
経口カンナビノイド投与は、一般に、同じ人物において用量毎に吸収に広範囲の変動(対象内変動)があることを特徴とする。この変動は長い間の問題であり、例えば、Whelessら、CNS Drugs(2019)33:593-604;Ohら、Clinical Pharmacology:Advances and Applications(2017)9:9-17;Huestis、Chem Biodivers.(2007)4(8):1770-1804;Kim&Yoon、J.Chromatogr.、Sect.B.(1996)682:55;Ohlssonら、Clin.Pharmacol.Ther.(1980)28:409及びPerez-Reyesら、Clin.Pharmacol.Ther.(1973)14:48において考察されてきた。例えば、Whelessらは、小児てんかん患者において、吸収に関連する変動係数(%CV)が103%CV~135%CVの範囲であることを記載している(表3参照)。Ohらは、経口カンナビノイド製剤(本開示と同じもの)を摂取する前に絶食した健康な志願者において、吸収に関連する変動係数(%CV)が58%CV~60%CVであったことを記載している(表1最終2行参照)。この変動は、特定の用量の処方を困難にし、一部の場合では不可能にするので望ましくない。この投与における難問の帰結は、疾患の治療において重大な過剰又は過小投薬を受けている患者となり得る。経口カンナビノイド組成物に関連する吸収の変動は、これらの使用の否定的な特徴であるが、代替物を欠いているので現在まで許容されている。
【0010】
本開示は、経口カンナビノイド由来組成物の吸収変動を低減するためのN-アシル化脂肪アミノ酸の使用を提供する。特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸の使用は、カンナビノイド由来組成物の吸収変動を45%未満の変動係数(%CV)、40%CV未満又は30%CV未満にする。特定の実施形態において、経口カンナビノイド組成物におけるN-アシル化脂肪アミノ酸の使用は、N-アシル化脂肪アミノ酸を含有する経口カンナビノイド製剤とN-アシル化脂肪アミノ酸を有さない同じ製剤との直接の比較において、対象間の変動を2倍低減する。より詳細には、バイオアベイラビリティー(投与後の血中カンナビノイドの量)に関して、組成物にN-アシル化脂肪アミノ酸を有さないときの対象間の変動は、組成物にN-アシル化脂肪アミノ酸を有するときの41%又は38%と比較して84%であった。
【0011】
本明細書に開示されているように、経口製剤中のカンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸との比は、対象間の吸収変動の記載された低減を観察するために重要である。カンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸の1:2の比は、%CVを45%未満にするのに有効ではなかった。しかし、1:20の比は41%CVを達成し、1:10の比は26%CV~38%CVを達成し、1:6の比は39%CVを達成した。故に、本開示は、カンナビノイドの対象間変動を最新のものに低減するためのカンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸の特定の比の使用を提供する。
【0012】
特定の実施形態において、カンナビノイド:N-アシル化脂肪アミノ酸のw/w比は、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25であり得る。特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸/カンナビノイドのw/w比は、1:6、1:10又は1:20である。特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸には、ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)が挙げられ、カンナビノイドには、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)又はこれらの合成形態が挙げられる。
【0013】
本開示の態様が、以下の追加の選択肢及び詳細によってここに記載される。(i)カンナビノイド、(ii)N-アシル化脂肪アミノ酸、(iii)経口製剤、(iv)使用方法、(v)代表的な実施形態、(vi)代表的な実験手順、(vii)実験例及び(viii)結びの項。
【0014】
(i)カンナビノイド。カンナビノイドは、細胞のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)を活性化する、アサ植物に由来する1群の環状分子である。大麻から単離することができる少なくとも85の異なるカンナビノイドがある。アサ植物により産生されるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)などの多くのカンナビノイドは、非常に低い水中溶解度を有する又は水中溶解度が全くない。最も注目に値するカンナビノイドは、THC及びCBDである。追加の例には、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)が挙げられる。例えば、
図1A、1Bを参照すること。アサ植物の抽出物は、同様に、フラボノイド化合物、テルペン、テルペノイド及びいずれかのかかる構成成分の合成、半合成又は高度に精製されたバージョンを含む。
【0015】
特定の実施形態において、合成カンナビノイドには、化学的に合成される天然のカンナビノイドが挙げられ、これらの類似体及び誘導体も挙げられる。天然カンナビノイドの誘導体には、国際公開第2015/198078号に開示されているカンナビノイドの代謝産物を挙げることができる。例えば、CBDの代謝産物には7-OH-CBDが挙げられ、CBDVの代謝産物には7-OH-CBDVが挙げられる。
【0016】
【0017】
合成カンナビノイドの他の例には、米国特許出願第2008/0103139号に開示されている3-カルバモイル-2-ピリドン、並びにこの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2006/0293354号に開示されているピリミジン誘導体及び/又は類似体;米国特許第4,758,597号に開示されているカレナジオール(carenadiol)、並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2013/045115号に開示されているカンナビノイドカルボン酸、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2008/118414号に開示されているピリド[3,2-E][1,2,4]トリアゾロ[4,3-C]ピリミジン、並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2007/112399号に開示されているテトラヒドロ-ピラゾロ[3,4-C]ピリジン、並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2006/043260号に開示されているビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-オンカンナビノイド、並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2005/0123051号に開示されているレゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2004/050011号に開示されているデキサナビノール(dexanabinol)化合物、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;国際公開第2000/032200号に開示されている大麻類似性脂質アミド化合物、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2010/0168066号に開示されているナビロン、並びにこの誘導体及び/又は類似体;米国特許出願第2003/0191069号に開示されている2-オキソキノロン化合物、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体;並びに米国特許出願第2011/0137040号に開示されている3,4-ジアリール-4,5-ジヒドロ-(h)-ピラゾール-1-カルボキサミド、並びにこの誘導体及び/又は類似体が挙げられる。
【0018】
特定の実施形態において、3-カルバモイル-2ピリドン、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、メチル3-メチル-2-{[2-オキソ-1-(2-オキソ-エチル)-1,2,5,6,7,8,9,10-オクタヒドロ-シクロオクタ[b]ピリジン-3-カルボニル]-アミノ}-ブチレート、ジメチル2-[(1-シクロヘキシルメチル-5,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-スクシネート及びメチル2-{[1-(3-メトキシカルボニアミノ-プロピル)-2-オキソ-1,2,5,6,7,8,9,10-オクタヒドロ-シクロオクタ[b]ピリジン-3-カルボニル]-アミノ}-2-メチル-プロピオネートが挙げられる。
【0019】
特定の実施形態において、ピリミジン誘導体及び/又は類似体には、式(I)を有する化合物(2-((2,4-ジクロロフェニル)アミノ)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-カルボキサミド)が挙げられる。
【0020】
【化2】
他のピリミジン誘導体及び/又は類似体には、2-(3-クロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-カルボン酸シクロヘキシルメチル-アミド、2-フェニルアミノ-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-カルボン酸シクロヘキシルメチル-アミド、1-[2-(2,3-ジクロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-イル]-1-モルホリン-4-イル-メタノン、1-[2-(2,4-ジクロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-イル]-1-モルホリン-4-イル-メタノン及び2-(3-クロロフェニルアミノ)-4-トリフルオロメチルピリミジン-5-カルボン酸シクロペンチルアミドが挙げられる。
【0021】
特定の実施形態において、カレナジオール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(II):
【0022】
【化3】
(式中、Rは、i-ブチル、n-ブチル及びt-ブチルなどの異性体形態を含む、1~9個の炭素原子を有する低級アルキルである)を有する化合物が挙げられる。特定の実施形態において、Rは、C
5H
11又は1,1-ジメチルヘプチルである。
【0023】
特定の実施形態において、カンナビノイドカルボン酸、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体には、式(III)、(IV)、(V)又は(VI):
【0024】
【化4】
(式中、
R
1は、1個のC原子~12個のC原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素残基であり、
X
+は、NH
4
+、一価、二価若しくは三価金属イオン、又は48個までのC原子を有する第一級、第二級、第三級若しくは第四級有機アンモニウムイオンであり、さらに官能基を担持し得る)を有する化合物が挙げられる。
【0025】
多価アンモニウムイオンの例には、N,N-ジシクロ-ヘキシルアミン-H+及びN,N-ジシクロヘキシル-N-エチルアミン-H+が挙げられる。X+は、例えば、モルヒネ、メサドン(若しくはこの鏡像異性体)又はヒドロモルフォンなどの、少なくとも1個の塩基性窒素原子を有する薬学的に活性な物質の水素カチオンでもあり得る。
【0026】
特定の実施形態において、ピリド[3,2-E][1,2,4]トリアゾロ[4,3-C]ピリミジン、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、5-tert-ブチル-8-(2-クロロフェニル)-9-(4-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン、8-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)-5-tert-ブチル-9-(4-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン、5-tert-ブチル-9-(4-クロロフェニル)-8-(2-メチルフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン、9-(4-ブロモフェニル)-5-tert-ブチル-8-(2-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-3(2H)-オン及び5-tert-ブチル-8-(2-クロロフェニル)-9-(4-クロロフェニル)ピリド[3,2-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジンが挙げられる。
【0027】
特定の実施形態において、テトラヒドロ-ピラゾロ[3,4-C]ピリジン、並びにこの類似体及び/又は誘導体には、式(VII)、(VIII)、(IX)、(X)又は(XI):
【0028】
【0029】
特定の実施形態において、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-オンカンナビノイド、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体には、特定の立体化学を有する式(XII):
【0030】
【化6】
(式中、C-4はSであり、C-1及びC-5のプロトンは互いにシスであり、C-4及びC-5のプロトンはトランスであり、
R
1は、(a)O若しくはSであり、(b)C(R’)
2であり、ここでR’は、各々現れるとき、水素、シアノ、-OR’’、-N(R’’)
2、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC
1~C
6アルキル、
1~C
6アルキル-OR’’又はC
1~C
6アルキル-N(R’’)
2からなる群から独立して選択され、ここでR’’は、各々現れるとき、水素、C(O)R’’’、C(O)N(R’’’)
2、C(S)R’’’、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルキル-OR’’’及びC
1~C
6アルキル-N(R’’’)
2からなる群から独立して選択され、ここでR’’’は、各々現れるとき、水素、又は飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC
1~C
12アルキルからなる群から独立して選択され、又は(c)NR’’若しくはN-OR’’であり、ここでR’は既に定義された通りであり、
R
2及びR
3は、各々独立して、(a)-R’’、-OR’’、-N(R’’)
2、-SR’’、-S(O)(O)NR’’であり、ここでR’’は、各々現れるとき、既に定義された通りであり、(b)-S(O)R
b、-S(O)(O)R
bであり、ここでR
bは、水素、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルキル-OR’’及びC
1~C
6アルキル-N(R’’)
2からなる群から選択され、ここでR’’は既に定義された通りであり、又は(c)-C(O)OH、-S(O)(O)OR
e若しくは-P(O)(OR
e)
2で停止されている-OC(O)OH、-OS(O)(O)OR
e、-OP(O)(OR
e)
2、-OR
d若しくは-OC(O)-R
d鎖であり、ここで、R
dは、飽和若しくは不飽和、直鎖若しくは分岐鎖のC
1~C
6アルキルであり、R
eは、各々現れるとき、水素及び既に定義されているR
dからなる群から選択され、
R
4は、(a)Rであり、ここでRは、水素、ハロゲン、OR’’’、OC(O)R’’’、C(O)OR’’’、C(O)R’’’、OC(O)OR’’’、CN、N(R’’’)
2、NC(O)R’’’、NC(O)OR’’’、C(O)N(R’’’)
2、NC(O)N(R’’’)
2及びSR’’’からなる群から選択され、ここでR’’’は、各々現れるとき、既に定義された通りであり、(b)飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC
1~C
12アルキル-Rであり、ここでRは既に定義された通りであり、(c)Rにより任意の位置でさらに置換され得る芳香族環であり、ここでRは既に定義された通りであり、又は(d)(c)に定義されているようにさらに置換され得る芳香族環により任意選択的に停止されている、飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐鎖若しくは環状のC
1~C
12アルキルである)を有する化合物が挙げられる。
【0031】
特定の実施形態において、レゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XIII):
【0032】
【化7】
(式中、
R
1は、(a)炭素原子が7~12個の直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖であり、(b)-O-R
3であり、ここでR
3は、1つのフェニル基により任意選択的に置換されている、炭素原子が5~9個の直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖であり、又は(c)-(CH
2)
n-O-R
4であり、ここで、nは1~7の整数であり、R
4は炭素原子が1~5個の直鎖アルキル鎖であり、
R
2は、10~30個の炭素原子を含む非環状テルペノイドである)を有する化合物が挙げられる。
【0033】
特定の実施形態において、レゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XIII)を有する化合物が挙げられ、式中、R1及びR2は、以下の通りである。
R1は、1つのメチル基により任意選択的に置換されている、炭素原子が5~8個の直鎖アルキル鎖であり、
R2は、1つの-OHにより任意選択的に置換されているゲラニル及び1つの-OHにより任意選択的に置換されているファルネシルから選択される。
【0034】
特定の実施形態において、レゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XIII)(式中、
R1は、(a)炭素原子が7~12個の直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖であり、(b)-O-R3であり、ここでR3は、1つのフェニル基により任意選択的に置換されている、炭素原子が5~9個の直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖であり、又は(c)-(CH2)n-O-R4であり、ここで、nは1~7の整数であり、R4は炭素原子が1~5個の直鎖アルキル鎖であり、
R2は、10~30個の炭素原子を含む非環状テルペノイドであり、但し、R1がイソノニルであり、R2がゲラニルではないことが条件である)を有する化合物が挙げられる。
【0035】
特定の実施形態において、レゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XIII)(式中、R1は、(a)炭素原子が7~12個の直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖であり、(b)-O-R3基であり、ここでR3は、炭素原子が5~9個の直鎖若しくは分岐鎖アルキル鎖又は1つのフェニル基で末端炭素原子が置換されている直鎖若しくは分岐鎖アルキルであり、又は(c)-(CH2)n-O-アルキルであり、ここで、nは、1~7の整数であり、アルキル基は、1~5個の炭素原子を含有する)を有する化合物が挙げられる。
【0036】
特定の実施形態において、レゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XIII)(式中、R2は、ゲラニル、ファルネシル、並びに関連する非環状テルペン及びこれらの異性体、同様に他の非環状パラフィン系又はオレフィン系炭素鎖などの非環状テルペノイド炭素鎖である)の化合物が挙げられる。
【0037】
特定の実施形態において、レゾルシノール、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XIII)(式中、R1はジメチルヘプチルであり、R2はゲラニルである)の化合物が挙げられる。
【0038】
特定の実施形態において、デキサナビノール化合物、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体には、式(XIV):
【0039】
【化8】
を有し、(3S,4S)立体配置を有し、(3R,4R)鏡像異性体に対して少なくとも99.90%の鏡像体過剰率である、高い鏡像体純度の化合物が挙げられる。
【0040】
特定の実施形態において、大麻類似性脂質アミド化合物、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体には、式(XV)を有する化合物が挙げられる。
【0041】
【化9】
式中、
Xは、C=O及びNHからなる群のうちの一方であり、Yは、この群のうちの他方である。別の言い方をすると、XはC=Oであってもよく、YはNHであってもよく、又はYはC=Oであってもよく、XはNHであってもよく、しかしX及びYの両方が同じ群のものであることはない。
【0042】
R1は、H又はアルキル基である。特定の実施形態において、R1は、H、CH3又は(CH3)2であり、
R2は、アルキル、置換アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。特定の実施形態において、R2は、CH(R)CH2Z、CH2CH(R)Z又はCH(R)(CH2)nCH2Zであり、Rは、H、CH、CH3、CHCH、CH2CF3又は(CH3)2であり、Zは、H、ハロゲン、N3、NCS又はOHであり、nは、0、1及び2からなる群から選択される。
R3は、アルキル、置換アルキル、アリール、アルキルアリール、O-アルキル、O-アルキルアリール、環状及び複素環基である。O-アルキル及びO-アルキルアリールとは、酸素原子が、アナンダミド部分及び置換基の炭素原子間に介在している基を意味する。かかるR3基の例には、シクロヘキシル、シクロペンチル、アルキルシクロヘキシル、アルキルシクロペンチル、ピペリジニル、モルホリニル及びピリジニルが挙げられる。特定の実施形態において、R3は、n-C5H10Z’、n-C6H12Z’、n-C7H14Z’又は1’,1’-C(CH3)2(CH2)5CH2Z’であり、Z’は、H、ハロゲン、CN、N3、NCS又はOHである。
【0043】
特定の実施形態において、大麻類似性脂質アミド化合物、並びにこれらの誘導体及び/又は類似体には、式(XVI)を有する化合物が挙げられる。
【0044】
【化10】
式中、
Yは、C=O及びNHからなる群のうちの一方であり、Xは、この群のうちの他方である。
R
1は、H又はアルキル基である。特定の実施形態において、R
1は、H、CH
3又は(CH
3)
2である。
R
2は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、O-アルキル、環状、多環式又は複素環基である。特定の実施形態において、R
2は、
【0045】
【化11】
CH=CH
2、CH=C(CH
3)
2、C≡CH、CH
2OCH
3、CH(R)(CH
2)nCH
2Z又はCH
2CH(R)(CH
2)nZであり、Rは、H、CH
3又は(CH
3)
2であり、Zは、H、ハロゲン、N
3、NCS、OH又はOAcであり、nは、0、1又は2であり、
R
3は、アルキル、置換アルキル、アリール、アルキルアリール、O-アルキル、O-アルキルアリール、環状又は複素環基である。特定の実施形態において、R
3には、シクロヘキシル、シクロペンチル、アルキルシクロヘキシル、アルキルシクロペンチル、ピペリジニル、モルホリニル及びピリジニルが挙げられる。特定の実施形態において、R
3は、n-C
5H
10Z’、n-C
6H
12Z’、n-C
7H
14Z’又は1’,1’-C(CH
3)
2(CH
2)
5CH
2Z’であり、Z’は、H、ハロゲン、CN、N
3、NCS又はOHである。
【0046】
特定の実施形態において、ナビロン、並びにこの誘導体及び/又は類似体には、式(XVII):
【0047】
【化12】
(式中、
R
1~R
36は、水素及び重水素からなる群から独立して選択される)を有する化合物が挙げられる。ナビロン誘導体及び/又は類似体とは、R
1~R
36のうちの少なくとも1つが重水素を含む化合物を意味することができる。ナビロンの化学構造については
図1Bを参照すること。
【0048】
カンナビノイドは、医薬化合物(medicinal compound)であり得る及び/又は栄養補助剤と組み合わせて提供され得る。
【0049】
(ii)N-アシル化脂肪アミノ酸。特定の実施形態において、N-アシル化脂肪アミノ酸は、ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)である。SNACの他の名称には、ナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、一ナトリウム8-(N-サリチロイルアミノ)オクタノエート、N-(サリチロイル)-8-アミノオクタン酸一ナトリウム塩、一ナトリウムN-{8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ}オクタノエート又はナトリウム8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタノエートが挙げられる。SNACは、以下の構造を有する。
【0050】
【化13】
SNACの塩も担体として使用され得る。
【0051】
SNACの他の形態は、次式のものを含む:
【0052】
【化14】
式中、X及びZは、独立して、H、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである。一価のカチオンの例はナトリウム及びカリウムを含む。二価のカチオンの例はカルシウム及びマグネシウムを含む。有機のカチオンの例はアンモニウム及びテトラメチルアンモニウムを含む。
【0053】
N-アシル化FA-aaなどの代表的な修飾アミノ酸は化合物I~XXXVとして提供される(
図2参照)。これらの化合物の塩及びその他のN-アシル化FA-aaも担体として使用することができる。
【0054】
これらの化合物の多くは本開示に基づいて、アミノ酸から、当業者の技量の範囲内の方法によって容易に調製することができる。例えば、化合物I~VIIはアミノ酪酸から誘導される。化合物VIII~X及びXXXI~XXIIVはアミノカプロン酸から誘導される。化合物XI~XXVI及びXXXVはアミノカプリル酸から誘導される。例えば、上記修飾アミノ酸化合物は、単一のアミノ酸を、アミノ酸中に存在する遊離のアミノ部分と反応してアミドを形成する適当な修飾剤と反応させることによって調製することができる。当業者には公知のように望まれない副反応を避けるために保護基を使用し得る。
【0055】
アミノ酸を、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又はカリウムのアルカリ性水溶液に溶解し、5℃~70℃の間、好ましくは10℃~40℃の間の範囲のteで1時間~4時間の間の範囲、好ましくは2.5時間にわたって加熱することができる。アミノ酸のNH2基の当量当たり使用するアルカリの量は一般にNH21当量当たり1.25~3ミリモル、好ましくは1.5~2.25ミリモルの間の範囲である。溶液のpHは一般に8~13の間の範囲、好ましくは10~12の間の範囲である。
【0056】
その後、撹拌しながらアミノ酸溶液に適当なアミノ酸修飾剤を添加する。混合物の温度を一般に5℃~70℃の間、好ましくは10℃~40℃の間の範囲の温度に1~4時間の間の範囲の期間維持する。アミノ酸の量に対して使用するアミノ酸修飾剤の量はアミノ酸中の遊離のNH2全体のモルに基づく。一般に、アミノ酸修飾剤はアミノ酸中の全NH2基の1モル当量当たり0.5~2.5モル当量の間、好ましくは0.75~1.25当量の間の範囲の量で使用する。
【0057】
混合物のpHを適切な酸、例えば濃塩酸で、pHが2~3の間に達するまで調節することによって反応をクエンチする。混合物は室温で静置すると分離して透明な上層及び白色又はオフホワイトの沈殿を形成する。上層を捨て、ろ過又はデカンテーションによって下層から修飾アミノ酸を集める。次いで粗製修飾アミノ酸を9~13の間、好ましくは11~13の間の範囲のpHの水に溶解する。不溶性の物質をろ過により除き、ろ液を真空中で乾燥する。修飾アミノ酸の収率は一般に30~60%の間の範囲であり、通常45%である。
【0058】
所望であれば、例えばアミノ酸化合物のベンジル、メチル、又はエチルエステルなどのアミノ酸エステルを使用して修飾アミノ酸を調製してもよい。ジメチルホルムアミド、ピリジン、又はテトラヒドロフランなどの適切な有機溶媒に溶解させたアミノ酸エステルを適当なアミノ酸修飾剤と5℃~70℃の間の範囲の、好ましくは25℃の温度で7~24時間の間の範囲の期間反応させることができる。アミノ酸エステルに対して使用するアミノ酸修飾剤の量はアミノ酸について上に記載したのと同じである。この反応は、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を用いて、又は用いないで行うことができる。
【0059】
その後、反応溶媒を負圧下で除去し、修飾アミノ酸エステルを適切なアルカリ性溶液、例えば1N水酸化ナトリウムで、50℃~80℃の間の範囲、好ましくは70℃の温度で、エステル基を加水分解し、遊離のカルボキシル基を有する修飾アミノ酸を形成するのに充分な時間の期間加水分解することによってエステル官能性を除去する。次いで加水分解混合物を室温に冷却し、例えば25%塩酸水溶液で2~2.5の間の範囲のpHに酸性化する。修飾アミノ酸は溶液から沈殿し、ろ過又はデカンテーションなどの慣用の手段によって回収される。ベンジルエステルは有機溶媒中で遷移金属触媒を用いて水素化することにより除去することができる。
【0060】
修飾アミノ酸は再結晶又は固体カラム支持体上での分別によって精製し得る。適切な再結晶溶媒系はアセトニトリル、メタノール及びテトラヒドロフランを含む。分別は、アルミナなどの適切な固体カラム支持体上でメタノール/n-プロパノール混合物を移動相として用いて;逆相カラム支持体でトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として用いて;そしてイオン交換クロマトグラフィーで水を移動相として用いて行うことができる。イオン交換クロマトグラフィーを実施するとき、好ましくは0~500mMの塩化ナトリウム勾配を使用する。
【0061】
特定の実施形態において、式
【0062】
【0063】
【化16】
又はSO
2であり;
R
1はC
3~C
24アルキレン、C
2~C
20アルケニレン、C
2~C
20アルキニレン、シクロアルキレン、又はアリーレンなどの芳香族であり;
R
2は水素、C
1~C
4アルキル、又はC
2~C
4アルケニルであり;
R
3はC
1~C
7アルキル、C
3~C
10シクロアルキル、アリール、チエニル、ピロロ、又はピリジルであり、
R
3は任意選択的に1個以上のC
1~C
5アルキル基、C
2~C
4アルケニル基、F、Cl、OH、OR
1、SO
2、COOH、COOR
1又は、SO
3Hにより置換されている)
を有する修飾アミノ酸は、水中で、塩基の存在下、式
【0064】
【化17】
を有するラクタムを、式R
3-Y-X(式中、Y、R
1、R
2、及びR
3は上記の通りであり、Xは脱離基である)を有する化合物と反応させることによって調製することができる。上記式で示されるラクタムは、例えばOlah et al.,Synthesis,537-538(1979)に記載されている方法によって調製することができる。
【0065】
特定の実施形態において、修飾アミノ酸はまた、そのアルファアミノ基が脂肪酸でアシル化されたアミノ酸も含み、これは一般式A-Xにより表すことができ、式中Aはアルファ-アミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。アミノ酸にはカチオン性及び非カチオン性のアミノ酸が含まれる。特定の実施形態において、用語「非カチオン性アミノ酸」とは、非極性の疎水性アミノ酸、極性の非荷電アミノ酸、及び極性の酸性アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非カチオン性アミノ酸」とは、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、サルコシン、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、及びグルタミン(Gin)、アスパラギン酸(Asp)、及びグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0066】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは非極性の疎水性アミノ酸のアルファアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは非極性の疎水性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「非極性の疎水性アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「非極性の疎水性アミノ酸」とは、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)及びサルコシンからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0067】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは極性の非荷電アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の非荷電アミノ酸」とは当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の非荷電アミノ酸」とは、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0068】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは一般式A-Xで表され、式中Aは極性の酸性アミノ酸のアミノ酸残基であり、Xはアシル化によりAのアルファ-アミノ基に結合された脂肪酸である。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「極性の酸性アミノ酸」は当業者により使用されるアミノ酸のカテゴリー分類を意味する。特定の実施形態において、用語「極性の酸性アミノ酸」とは、アスパラギン酸(Asp)及びグルタミン酸(Glu)からなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0069】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaのアミノ酸残基は遺伝コードによりコードされていないアミノ酸のアミノ酸残基を含む。アシル化によるアミノ酸の修飾は、アミノ酸の遊離のアルファ-アミノ基と反応することが当技術分野で公知のアシル化剤を用いて容易に行うことができる。
【0070】
特定の実施形態において、本明細書でアルファ-アミノ酸又はアルファ-アミノ酸残基は他に述べない限りL-形態である。
【0071】
特定の実施形態において、アミノ酸残基は遊離酸形態及び/又はこのナトリウム(Na+)塩などのこの塩である。
【0072】
アシル化FA-aaの代表的な実施形態は一般的なFa-aaの式Iで表すことができる。
【0073】
【化18】
式中、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル又はアリール基であり;R2はH(すなわち水素)、CH
3(すなわちメチル基)である、又は(CH
2)
3基を介してR4に共有結合し;R3はH又は存在せず;R4はアミノ酸側鎖である又は(CH
2)
3基を介してR2に共有結合する;又はこの塩である。
【0074】
FA-aaは5~19個の炭素原子からなる置換又は非置換のアルキル基を含む脂肪酸でアシル化することができる。特定の実施形態において、アルキル基は5~17個の炭素原子からなる。特定の実施形態において、アルキル基は5~15個の炭素原子からなる。特定の実施形態においてアルキル基は5~13個の炭素原子からなる。特定の実施形態においてアルキル基は6個の炭素原子からなる。
【0075】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは腸内pH値で、特にpH6.5~7.0の範囲などのpH5.5~8.0の範囲で可溶性である。特定の実施形態において、アシル化FA-aaはpH9.0未満で可溶性である。
【0076】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも5mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも10mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも20mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも30mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも40mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも50mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも60mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも70mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも80mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも90mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaは少なくとも100mg/mLの溶解度を有する。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は、37℃でFA-aaのpKaの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は37℃でpH8の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は、37℃でFA-aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定される。特定の実施形態において、アシル化FA-aaの溶解度は37℃でFA-aaのpIの上下1単位のpH値の水溶液中で決定され、ここで前記FA-aaは反対の荷電をもつ2個以上のイオン化可能な基を有する。特定の実施形態において、FA-aaの溶解度は水性の50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.0中37℃で決定される。
【0077】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)からなる群から選択される[式中、R1は5~19個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2はH(すなわち水素)又はCH
3(すなわちメチル基)であり、R3はHである]、又はこれらの塩若しくは遊離酸形態である。式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、(o)、(p)、(q)、及び(r)は
図3に示されている。
【0078】
特定の実施形態において、アシル化FA-aaは、ナトリウムN-ドデカノイルアラニナート、N-ドデカノイル-L-アラニン、ナトリウムN-ドデカノイルイソロイシナート、N-ドデカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムN-ドデカノイルロイシナート、N-ドデカノイル-L-ロイシン、ナトリウムN-ドデカノイルメチオニナート、N-ドデカノイル-L-メチオニン、ナトリウムN-ドデカノイルフェニルアラニナート、N-ドデカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムN-ドデカノイルプロリナート、N-ドデカノイル-L-プロリン、ナトリウムN-ドデカノイルトリプトファナート、N-ドデカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムN-ドデカノイルバリナート、N-ドデカノイル-L-バリン、ナトリウムN-ドデカノイルサルコシナート、N-ドデカノイル-L-サルコシン、ナトリウムN-オレオイルサルコシナート、ナトリウムN-デシルロイシン、ナトリウムN-デカノイルアラニナート、N-デカノイル-L-アラニン、ナトリウムN-デカノイルロイシナート、N-デカノイル-L-ロイシン、ナトリウムN-デカノイルフェニルアラニナート、N-デカノイル-L-フェニルアラニン、ナトリウムN-デカノイルバリナート、N-デカノイル-L-バリン、ナトリウムN-デカノイルイソロイシナート、N-デカノイル-L-イソロイシン、ナトリウムN-デカノイルメチオニナート、N-デカノイル-L-メチオニン、ナトリウムN-デカノイルプロリナート、N-デカノイル-L-プロリン、ナトリウムN-デカノイルスレオニナート、N-デカノイル-L-スレオニン、ナトリウムN-デカノイルトリプトファナート、N-デカノイル-L-トリプトファン、ナトリウムN-デカノイルサルコシナート、N-デカノイル-L-サルコシン、N-ドデカノイルアスパラギナート、N-ドデカノイル-L-アスパラギン、ナトリウムN-ドデカノイルアスパラギン酸、N-ドデカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムN-ドデカノイルシステイナート、N-ドデカノイル-L-システイン、ナトリウムN-ドデカノイルグルタミナート、N-ドデカノイル-L-グルタミン、ナトリウムN-ドデカノイルグリシナート、N-ドデカノイル-L-グリシン、ナトリウムN-ドデカノイルセリナート、N-ドデカノイル-L-セリン、ナトリウムN-ドデカノイルスレオニナート、N-ドデカノイル-L-スレオニン、ナトリウムN-ドデカノイルチロシナート、N-ドデカノイル-L-チロシン、ナトリウムN-デカノイルアスパラギナート、N-デカノイル-L-アスパラギン、ナトリウムN-デカノイルアスパラギン酸、N-デカノイル-L-アスパラギン酸、ナトリウムN-デカノイルシステイナート、N-デカノイル-L-システイン、ナトリウムN-デカノイルグルタミナート、N-デカノイル-L-グルタミン、ナトリウムN-デカノイルグリシナート、N-デカノイル-L-グリシン、ナトリウムN-デカノイルセリナート、N-デカノイル-L-セリン、ナトリウムN-デカノイルチロシナート、N-デカノイル-L-チロシン、ナトリウムN-ドデカノイルアスパラギナート、ナトリウムN-ドデカノイルグルタミン酸、N-ドデカノイル-L-グルタミン酸、ナトリウムN-デカノイルグルタミン酸、N-デカノイル-L-グルタミン酸、Amisoft HS-11 P(ナトリウムステアロイルグルタマート)、Amisoft MS-11(ナトリウムミリストイルグルタマート)、Amisoft LS-11(ナトリウムドデカノイルグルタマート)、Amisoft CS-11(ナトリウムココイルグルタマート)、ナトリウムN-ココイルグルタマート、Amisoft HS-11 P、Amisoft HS-11 P(ナトリウムN-ステアロイルグルタマート)、(ナトリウムN-ミリストイルグルタマート))、(ナトリウムN-ドデカノイルグルタマート)、及びAmisoft HS-11 Pの1種以上から選択することができる。
【0079】
以下のアシル化FA-aasは市販されている。
【0080】
【0081】
特定の実施形態において、用語「脂肪酸N-アシル化アミノ酸」、「脂肪酸アシル化アミノ酸」、又は「アシル化アミノ酸」は本明細書では同義で使用されており、そのアルファ-アミノ基が脂肪酸でアシル化されているアミノ酸を意味する。
【0082】
(iii)経口製剤。代表的な経口製剤には、カプセル、被覆錠剤、食用、エリキシル、エマルション、ゲル、ジェルカップ、顆粒、ガム、ジュース、液剤、油、ペースト、ペレット、丸薬、粉末、速溶性錠剤、サシェ、半固体、スプレー、溶液、懸濁、シロップ、錠剤、等が挙げられる。
【0083】
代表的な賦形剤の種類としては、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、錯体形成剤、希釈剤(すなわち、充填剤)、崩壊剤、乳化剤、香味料、流動促進剤、滑沢剤、保存料、放出剤、界面活性剤、安定剤、可溶化剤、甘味料、増粘剤、湿潤剤、及びビヒクルがある。
【0084】
結合剤は、造粒の際に粉末粒子の接着を起こすために使用される物質である。代表的な結合剤には、アカシア、圧縮性糖(compressible sugar)、ゼラチン、スクロース及びこれらの誘導体、マルトデキストリン、セルロースポリマー、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びメチルセルロース、アクリルポリマー、例えば不溶性アクリレートアンモニオメタクリレートコポリマー、ポリアクリレート又はポリメタクリルコポリマー、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、グアーガム、並びにポリエチレングリコールがある。
【0085】
着色剤は、製剤に色を付けるために経口製剤に含ませることができる。代表的な着色剤には、ブドウ皮エキス、ビートレッドパウダー、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ウコン、及びパプリカがある。追加の着色剤として、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、FD&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメル、及び酸化第二鉄がある。
【0086】
希釈剤は経口製剤の造粒を増進することができる。代表的な希釈剤として、微晶質セルロース、スクロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ラクトース及び炭素原子13個未満のポリオール、例えばマンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール並びに薬学的に許容されるアミノ酸、例えばグリシンがある。
【0087】
崩壊剤も、溶解を容易にするために経口製剤に含ませることができる。崩壊剤(Disentegrant)は、透過促進及びウィッキング剤を含み、経口製剤の内部並びに外部から溶解を促進する水又は唾液を経口製剤中に引き込むことができる。使用できるかかる崩壊剤、透過促進及び/又はウィッキング剤には、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、これらのアルファ化及び加工デンプン、セルロース作用剤(cellulosic agent)、例えばAc-di-sol、モンモリロナイト粘土、架橋PVP、甘味料、ベントナイト、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、アラビア、キサンタン及びトラガカント、水性溶媒に対して高い親和性をもつシリカ、例えばコロイドシリカ、沈降シリカ、マルトデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ポリマー、例えばカーボポール、並びにセルロース作用剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。経口製剤の溶解は、使用する比較的小さい粒径の成分を含ませることにより容易にすることができる。
【0088】
代表的な分散又は懸濁剤としては、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、トラガカント(fragacanth)、ゼラチン、水素添加食用脂、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールシロップ、及び合成の天然ガムがある。
【0089】
代表的な乳化剤としてはアカシア及びレシチンがある。
【0090】
フレーバー剤(Flavorant)は、心地よい香味そしてしばしば香気を経口製剤に付与するために使用される天然又は人工の化合物である。代表的なフレーバー剤には、天然及び合成の香味油、香味芳香剤、植物、葉、花、及び果実の抽出物並びにこれらの組合せがある。かかるフレーバー剤としてアニス油、桂皮油、バニラ、バニリン、ココア、チョコレート、ナチュラルチョコレート香味、メントール、ブドウ、ペパーミント油、ウィンターグリーン油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油、カッシア油;かんきつ油、例えばレモン、オレンジ、ライム及びグレープフルーツ油;並びに果実精、例えばリンゴ、セイヨウナシ、桃、ベリー、ワインドベリー、ナツメヤシ、ブルーベリー、キーウィ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、及びアンズがある。特定の実施形態において、使用できるフレーバー剤には天然のベリー抽出物及び天然の混合ベリー香味、並びにクエン及びリンゴ酸がある。
【0091】
流動促進剤は製造中の粉末ブレンドの流れを改良し、経口製剤重量変化を最小にする。代表的な流動促進剤には、二酸化ケイ素、コロイド状又はヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、トウモロコシデンプン、及びタルクがある。
【0092】
滑沢剤は、組成物の圧縮中の摩擦を低減する、経口製剤に使用される物質である。代表的な滑沢剤にはステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、鉱油及び植物油、安息香酸、ポリ(エチレングリコール)、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリル、及びラウリル硫酸ナトリウムがある。
【0093】
代表的な保存料としては、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、及びソルビン酸がある。
【0094】
代表的な甘味料としては、アスパルテーム、デキストロース、フルクトース、異性化糖、マルトデキストリン、グリチルリチン酸一アンモニウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、ステビア、スクラロース、及びスクロースがある。
【0095】
特定の実施形態は、飲み込める組成物を含む。飲み込める組成物は、口中に入れたとき容易には溶けず、噛むことなく又は不快感なく丸ごと飲み込むことができるものである。米国特許第5,215,754号及び米国特許第4,374,082号は、飲み込める組成物を調製する方法を記載している。特定の実施形態において、飲み込める組成物は、鋭い端を含有しない形状及び滑らかで均一かつ実質的に泡のない外側コーティングを有し得る。
【0096】
飲み込める組成物を調製するためには、慣用のコンパウンディング技術に従って、各々の成分を適切な担体と共に密な混和物として組み合わせるとよい。飲み込める組成物の特定の実施形態において、組成物の表面をポリマー性のフィルムでコートしてもよい。かかるフィルムコーティングはいくつかの有益な効果を有する。まず第1に、口の内面への組成物の接着が低減することにより、その対象の組成物を飲み込む能力を増大させる。第2に、フィルムはある種の成分の不快な味を隠す補助となり得る。第3に、フィルムコーティングは組成物を大気中の分解から保護することができる。飲み込める組成物を調製する際に使用できるポリマー性フィルムとしては、ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びアセテート、セルロース誘導体、例えばメチル及びエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アクリレート及びメタクリレート、コポリマー、例えばビニル-マレイン酸及びスチレン-マレイン酸タイプ、並びに天然のガム及び樹脂、例えばゼイン、ゼラチン、シェラック及びアカシアが挙げられる。
【0097】
特定の実施形態において、経口製剤は噛むことができる製剤を含み得る。噛むことができる組成物は、快い味及び口当たりを有し、比較的に軟らかく、噛んだ後迅速により小さい破片に壊れ溶解し始めて、それによって実質的に溶液として飲み込まれるようになるものである。
【0098】
米国特許第6,495,177号は、改良された口当たりを有する噛むことができる組成物を調製する方法を記載している。米国特許第5,965,162号は、殊に噛んだとき、口内で迅速に崩壊する食べられるユニットを調製するためのキット及び方法を記載している。
【0099】
噛むことができる組成物を創出するためには、上に記載した属性を達成するようにある種の成分を含ませるべきである。例えば、噛むことができる組成物は、心地よい香味及び口当たりを生み出し、口内での相対的な軟らかさ及び溶解性を促進する成分を含むべきである。以下の考察はこれらの特性を達成する役に立ち得る成分を記載する。
【0100】
糖類、例えば、白砂糖、コーンシロップ、ソルビトール(溶液)、マルチトール(シロップ)、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、スクロース、フルクトース、ラクトース、グルコース、ライカシン、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、デキストロース、ポリデキストロース、デキストリン、圧縮性セルロース、圧縮性蜂蜜、圧縮性糖蜜及びこれらの混合物を加えて、口当たり及び嗜好性を改良してもよい。フォンダン又はガム、例えばゼラチン、寒天、アラビアガム、グアーガム及びカラギーナンを加えて製剤の噛み応えを改良してもよい。使用できる脂肪質材料としては、植物油(ヤシ油、パーム硬化油、トウモロコシ胚芽硬化油、ヒマシ硬化油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油及びパームステアリン油を含む)、動物油(融点が30°~42℃の範囲である精製油及び精製ラードを含む)、カカオ脂、マーガリン、バター及びショートニングが挙げられる。
【0101】
アルキルポリシロキサン(様々な分子量範囲及び様々な異なる置換パターンで市販されているポリマー)も、噛むことができる組成物の食感、口当たり又は両方を高めるために使用することができる。「食感を高める」とは、アルキルポリシロキサンが、その噛むことができる組成物の堅さ、もろさ及び噛み応えの1以上を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ調製物と比べて改良することを意味する。「口当たりを高める」とは、アルキルポリシロキサンが、口内で液化されたときに噛むことができる組成物のザラザラする食感を、アルキルポリシロキサンを欠く同じ調製物と比べて低減することを意味する。
【0102】
アルキルポリシロキサンは、一般に、ケイ素及び酸素を含有するポリマー骨格を含み、1個以上のアルキル基が骨格のケイ素原子からぶら下がっている。それらはその等級に応じて、更にシリカゲルを含むことができる。アルキルポリシロキサンは一般に粘稠な油である。飲み込める、噛むことができる又は溶ける組成物に使用することができる代表的なアルキルポリシロキサンには、モノアルキル又はジアルキルポリシロキサンが挙げられ、ここでアルキル基は、フェニル基により任意選択的に置換されているC1~C6アルキル基から各々現れるとき独立して選択される。使用できる特定のアルキルポリシロキサンはジメチルポリシロキサン(一般にシメチコンといわれる)である。より具体的には、シメチコンGSと指称される粒状のシメチコン調製物を使用できる。シメチコンGSは30%のシメチコンUSPを含有する調製物である。シメチコンUSPは90.5重量%以下の(CH3)3-Si{OSi(CH3)2}CH3を4.0%~7.0重量%のSiO2と混和して含有する。
【0103】
一部の噛むことができる組成物で出現する可能性があるべたつきを予防するため及び摂取の際の活性成分のエマルション又は懸濁液への変換を促進するために、組成物は、更に乳化剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、スクロース脂肪酸エステル、レシチン及びこれらの混合物を含んでいてもよい。特定の実施形態において、かかる乳化剤の1種以上は投与される製剤の重量で0.01%~5.0%の量で存在し得る。特定の実施形態において、乳化剤のレベルがそれより低いか又はそれより高いと、乳化が起こらない、又はワックス値が上昇する。
【0104】
経口投与用液体調製物は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとってもよい、又は使用する前に水若しくは他の適切なビヒクルと共に再構成される乾燥生成物として存在してもよい。
【0105】
上記に加えて、飲み込める、噛むことができる及び/若しくは溶ける組成物又は本明細書に記載されている他のいずれかの経口製剤を調製する際、記載されている目的と一致する限り、あらゆる適当な充填剤及び賦形剤を利用してもよい。
【0106】
経口製剤は食用品も含む。食用品とは、食料又は飲料として消費することができるあらゆる製品を意味する。いくつかの場合によって、食用品は、植物抽出物又は合成カンナビノイドを食材に煎じ出しすることによって作製される。使用に適した食用可能な食料の例には、キャンディー、キャンディーバー、パン、ブラウニー、ケーキ、チーズ、チョコレート、ココア、クッキー、グミ、ロリポップ、ミント、ペーストリー、ピーナッツバター、ポップコーン、プロテインバー、餅、ヨーグルト、等がある。厳密にいえば食用ではないが、ガムも使用することができる。食用飲料の例としては、ビール、ジュース、フレーバーミルク、フレーバーウォーター、リカー、ミルク、ポンチ、ミルクセーキ、ソーダ、茶及び水が挙げられる。特定の実施形態において、食用品は、植物抽出物又は合成カンナビノイドを、食用品の作製に使用される成分と組み合わせることによって作製される。例には、バター及び油が挙げられる。油の例には、ヤシ油、ブドウ種油、オリーブ油、パーム油、パパイア種子油、ピーナッツ油、ゴマ油、発芽コムギ油、コムギ麦芽油又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0107】
経口製剤は、任意の大きさの1以上のパッケージ、缶、バイアル、ブリスターパック又は瓶に多単位として個別に包む又は包装することができる。薬量は治療上有効な量を提供するような大きさである。
【0108】
特定の実施形態において、経口製剤は、植物質(例えば、植物の部分若しくは抽出物)又は合成カンナビノイドを、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wで含む。
【0109】
特定の実施形態において、経口製剤は、担体を、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wで含む。
【0110】
特定の実施形態において、経口製剤は、賦形剤を、経口製剤の少なくとも0.1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも1%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも10%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも20%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも30%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも40%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも50%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも60%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも70%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも80%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも90%w/v若しくはw/w;経口製剤の少なくとも95%w/v若しくはw/w;又は経口製剤の少なくとも99%w/v若しくはw/wで含む。
【0111】
特定の実施形態において、10gの乾燥植物抽出物を150mlの水に使用することができる。このことは、1~99%(w/w)の植物抽出物、2~80%(w/w)の植物抽出物及び5~50%(w/w)の植物抽出物の有効な濃度を与えることができる。
【0112】
賦形剤は、Aldrich Chemical Co.、FMC Corp、Bayer、BASF、Alexi Fres、Witco、Mallinckrodt、Rhodia、ISP他などの会社から市販されている。
【0113】
前記に示されたように、本明細書に記載されている経口製剤は、カンナビノイドとN-アシル化脂肪アミノ酸を1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25のw/w比で含む。
【0114】
代表的な製剤。溶液製剤。1つ以上のカンナビノイド及び1つ以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を、水性/有機溶媒混合物中に1:6、1:10又は1:20のw/w比で組み合わせる。得られたブレンドを激しく撹拌する。1つ以上の界面活性剤を添加して、最終製剤を調製することができる。
【0115】
懸濁製剤(経口溶液)。1つ以上のカンナビノイド及び1つ以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を、水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中に1:6、1:10又は1:20のw/w比で組み合わせる。得られたブレンドを撹拌して懸濁液にすることができる。
【0116】
溶液製剤。1つ以上のカンナビノイド及び1つ以上の吸収促進剤を、水性/有機溶媒混合物中に1:6、1:10又は1:20のw/w比で組み合わせる。得られたブレンドを激しく撹拌する。1つ以上の界面活性剤を添加して、最終製剤を調製することができる。
【0117】
懸濁製剤(経口溶液)。1つ以上のカンナビノイド及び1つ以上の吸収促進剤を、水、水性/有機溶媒混合物又は有機溶媒混合物中に1:6、1:10又は1:20のw/w比で組み合わせる。得られたブレンドを撹拌して懸濁液にすることができる。
【0118】
ジェルキャップ組成物。懸濁製剤又は溶液製剤をジェルキャップに充填して、1gまでのカンナビノイドを含有させることができる。ジェルキャップを腸溶性コートで処理することができる、又はコーティングを有することなく使用することができる。
【0119】
カプセル剤(例えば、ゼラチン系又はベジタリアン(vegetarian))。1つ以上のカンナビノイド及び1つ以上のN-アシル化脂肪アミノ酸を含む粉末は、湿式造粒技術を使用して調製することができる。得られた乾燥粉末は、カンナビノイド及びN-アシル化脂肪アミノ酸を1:6、1:10又は1:20の(w:w)比で含有することができる。粉末を市販のカプセルに充填することができる。
【0120】
錠剤/カプセル組成物。溶液製剤及び懸濁製剤を、蒸発、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって乾燥させることができる。得られた乾燥生成物を錠剤化賦形剤と組み合わせ、錠剤又はカプセルに圧縮して、1gまでの大麻を含有させることができる。あるいは、乾燥生成物をカプセルに充填することができる。
【0121】
追加の情報は、WADE&WALLER、HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS(第2版、1994年)及びRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990年において見出すことができる。さらに製剤を、U.S.FDA及び/又は他の外国の関連する規制当局により求められる無菌性、発熱性、一般的安全性及び純度の基準を満たすように調製することができる。
【0122】
(iv)使用方法。本明細書に開示されている経口組成物は、対象(ヒト、獣医学的動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類など)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリなど)及び研究動物(サル、ラット、マウス、魚など))を治療するのに使用することができる。対象を治療することは、治療上有効な量を提供することを含む。治療上有効な量には、有効な量、予防的治療及び/又は治療処置を提供するものが挙げられる。
【0123】
「有効な量」は、対象において所望の生理学的変化を生じるのに必要な組成物の量である。有効な量は、しばしば試験目的で投与される。本明細書に開示されている代表的な有効量は、動物モデルにおいて疼痛知覚(神経障害性疼痛、急性疼痛、内蔵疼痛)を低減することができ、動物モデルにおいて食欲を刺激することができ、動物モデルにおいて発作(例えば、てんかん性発作)を低減することができ、動物モデルにおいて骨量減少を逆転することができ、動物モデルにおいて片頭痛を軽減する(頭蓋血管を収縮させる)ことができ、動物モデルにおいて中毒を治療することができ、動物モデルにおいて不安を低減することができ、及び/又は動物モデルにおいて喘息の症状を低減することができる。
【0124】
「予防的治療」は、病気若しくは栄養不足の兆候若しくは症状を示していないか又は病気若しくは栄養不足の初期兆候若しくは症状のみを示す対象に、病気若しくは栄養不足を更に発症するリスクを小さくし、抑制し、若しくは減少させる目的で投与されるように投与される処置を含む。したがって、予防的治療は病気又は栄養不足の発症に対する予防処置として機能する。
【0125】
予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。片頭痛の有効な予防的治療は、対象が感じる1月当たりの片頭痛の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0126】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、てんかん性発作を有するリスクがある対象に投与することができる。てんかん性発作の有効な予防的治療は、1月当たりの発作の数が少なくとも10%又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0127】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、神経障害性疼痛を患うリスクのある対象に投与することができる。神経障害性疼痛の有効な予防的治療は、神経障害性疼痛の出現が、標準の主観的又は客観的疼痛評価により測定して少なくとも10%、又は特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0128】
予防的治療の別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、突出痛を発症するリスクがある対象に投与することができる。突出痛の有効な予防的治療は、突出痛の発生が標準の主観的又は客観的疼痛評価により10%、特定の実施形態において25%低下したときに現れる。
【0129】
予防的治療のもう1つ別の例として、本明細書に開示されている経口製剤は、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐(CINV)を発症するリスクのある対象に投与することができる。CINVの有効な予防的治療は、CINVが標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して10%、特定の実施形態において25%低下するときに現れる。
【0130】
栄養不足の予防的治療の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病を、食事に含まれる鉄の不足による貧血を、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を発症するリスクのある対象に投与することができる。これらの状態の有効な予防的治療は、これらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して回避されたか又は遅延したときに現れる。
【0131】
「治療処置」は、病気又は栄養不足を有する対象に投与される処置を含み、病気又は栄養不足の重症度を治癒又は低減する目的で対象に投与される。
【0132】
治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、片頭痛を有する対象に投与することができる。片頭痛の有効な治療処置は、頭痛の重症度が、標準の主観的又は客観的な頭痛評価により測定して、完全に低減若しくは軽減し、及び/又は頭痛がより迅速に消散したときに現れる。
【0133】
治療処置の別の例は、CINVを感じている対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。CINVの治療処置は、標準の主観的又は客観的なCINV評価により測定して、嘔吐が低減したかやんだ(又はより迅速にやんだ)か又は悪心が軽減したときに現れる。
【0134】
治療処置のもう1つ別の例は、骨粗しょう症を有する対象への開示されている経口製剤の投与を含む。骨粗しょう症の有効な治療処置は、骨密度が10%、特定の実施形態においては25%増大したときに現れる。
【0135】
治療処置のもう1つ別の例は、不安を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。不安の有効な治療処置は標準の主観的又は客観的な不安評価により測定して不安の重症度が完全に及び/又はより迅速に低減又は軽減したときに現れる。
【0136】
治療処置の別の例は多発性硬化症を有する対象への本明細書に開示されている経口製剤の投与を含む。多発性硬化症の有効な治療処置は、標準の歩行試験におけるスコアが10%、特定の実施形態においては25%改良したときに現れる。
【0137】
栄養不足の治療処置の一例として、本明細書に開示されている経口製剤は、ビタミンC不足によるくる病、食事に含まれる鉄不足による貧血、及び/又はカルシウム不足による骨量減少を有する対象に投与することができる。これらの状態の有効な治療処置はこれらの状態が本明細書に開示されている経口製剤による栄養補給に起因して低減又は消散したときに現れる。
【0138】
治療処置は、投与に対する研究成分の存否に基づく有効な量とは区別することができる。しかし、当業者には理解されるように、ヒトの臨床試験では有効な量、予防的治療及び治療処置が重なり合う可能性がある。
【0139】
投与のために、治療上有効な量(本明細書では薬量ともいう)は最初にインビトロアッセイ及び/又は動物モデル試験の結果に基づいて評価することができる。かかる情報は目的とする対象における有用な薬量をより的確に決定するために使用することができる。
【0140】
特定の対象に投与される実際の投薬量は、対象、医師、獣医、研究者が、対象の標的、体重、状態、以前又は同時に起こる治療的介入、及び/又は特発性疾患を含めて物理的、生理学的及び心理学的要因などのパラメーターを考慮して決定することができる。
【0141】
有用な薬量は0.1~5μg/kg又は0.5~1μg/kgの範囲であることができる。別の非制限的な実施例において、薬量は1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kg、80μg/kg、85μg/kg、90μg/kg、95μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、1000μg/kg、0.1~5mg/kg又は0.5~1mg/kgを含むことができる。別の非制限的な実施例において、薬量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、1000mg/kg以上を含むことができる。
【0142】
本明細書に開示されている方法及び経口製剤を用いると、そうでなければ観察される吸収の変動が、例えば、50%CV未満、40%未満又は30%未満に低減される。
【0143】
治療上有効な量は、治療計画の過程において(例えば、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、6時間毎、9時間毎、12時間毎、18時間毎、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、2週毎、3週毎、又は毎月一回)単一又は複数の薬量を投与することによって達成することができる。
【0144】
1以上の活性剤を、同時に若しくは10分、1時間、3時間、10時間、15時間、24時間若しくは48時間以内などの選択された時間窓内で、又は補完する活性剤が臨床的に関連のある治療濃度域内にあるとき投与することができる。
【0145】
(v)代表的な実施形態。
【0146】
1.対象におけるカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製する方法であって、カンナビノイド及び有効な量のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩を経口製剤に添加することを含む方法。
【0147】
2.有効な量のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩が、経口製剤内で1:4~1:25のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の重量/重量(w/w)比をもたらす、実施形態1の方法。
【0148】
3.有効な量のN-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩が、経口製剤内で1:6、1:10又は1:20のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩の重量/重量(w/w)比をもたらす、実施形態1の方法。
【0149】
4.経口製剤が、
50mgのカンナビノイド及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、
10mgのカンナビノイド及び100mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、
10mgのカンナビノイド及び200mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、
50mgのカンナビノイド及び500mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、又は
30mgのカンナビノイド及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩
を含む、実施形態1~3のいずれかの方法。
【0150】
5.経口製剤が、
50mgのカンナビジオール(CBD)及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、
10mgのΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及び100mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、
10mgのTHC及び200mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、
50mgのCBD及び500mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩、又は
30mgのCBD及び300mgのN-アシル化脂肪アミノ酸若しくはこの塩
を含む、実施形態1~4のいずれかの方法。
【0151】
6.経口製剤が、
50mgのカンナビノイド及び300mgのナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)、
10mgのカンナビノイド及び100mgのSNAC、
10mgのカンナビノイド及び200mgのSNAC、
50mgのカンナビノイド及び500mgのSNAC、又は
30mgのカンナビノイド及び300mgのSNAC
を含む、実施形態1~4のいずれかの方法。
【0152】
7.経口製剤が、
50mgのCBD及び300mgのSNAC、
10mgのTHC及び100mgのSNAC、
10mgのTHC及び200mgのSNAC、
50mgのCBD及び500mgのSNAC、又は
30mgのCBD及び300mgのSNAC
を含む、実施形態1~4のいずれかの方法。
【0153】
8.経口製剤が粉末を含む、実施形態1~7のいずれかの方法。
【0154】
9.粉末が湿式造粒により形成される、実施形態8の方法。
【0155】
10.経口製剤がゼラチンカプセルを含む、実施形態1~9のいずれかの方法。
【0156】
11.経口製剤が、湿式造粒により形成される粉末を含み、粉末がゼラチンカプセル内にある、実施形態1~10のいずれかの方法。
【0157】
12.経口製剤が経口溶液を含む、実施形態1~7のいずれかの方法。
【0158】
13.低減されたカンナビノイド血中吸収変動が、<50%、40%未満又は30%未満の変動係数(%CV)を生じる、実施形態1~12のいずれかの方法。
【0159】
14.吸収が、血液中に入る胃腸吸収を含む、実施形態1~13のいずれかの方法。
【0160】
15.カンナビノイドが、カロフィルム・ブラシリエンス(Calophyllum brasiliense)、カロフィルム・カレドニクム(Calophyllum caledonicum)、カロフィルム・イノフィルム(Calophyllum inophyllum)、カロフィルム・ソウラットリ(Calophyllum soulattri)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、タイム・ブルガリス(Thymus vulgaris)、マトリカリア・レクチタ(Matricaria recutita)、サリックス・アルバ(Salix alba)、カレンデュラ・オフィシナリス(Calendula officinalis)、ウスネア・バルバタ(Usnea barbata)、リグスチカム・ポルテリ-オーシャ(Ligusticum porterii-osha)、ガウルテリア・プロクンベンス(Gaultheria procumbens)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、バクシニウム・ミルティルス(Vaccinium myrtillus)、メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)、アリウム・サティブム(Allium sativum)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、クラメリア・トリアンドラ(Krameria triandra)、プニカ・グラナツム(Punica granatum)、ビブルヌム・プリカツム(Viburnum plicatum)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ズボイシア・ホプウォオディイ(Duboisia hopwoodii)、アスクレピアス・シリアカ(Asclepias syriaca)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)及び/若しくはアセル属種(Acer spp.)又はこれらの抽出物に由来する、実施形態1~4、6又は8~14のいずれかの方法。
【0161】
16.カンナビノイドが、カンナビス・サティバ、カンナビス・ルデラリス又はカンナビス・インディカに由来する、実施形態1~4、6又は8~14のいずれかの方法。
【0162】
17.カンナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)及び/又はこれらの混合物を含む、実施形態1~4、6又は8~16のいずれかの方法。
【0163】
18.カンナビノイドが、植物由来カンナビノイド又は合成カンナビノイドを含む、実施形態1~17のいずれかの方法。
【0164】
19.経口製剤が、フラボノイド化合物、テルペン又はテルペノイドを含む、実施形態1~18のいずれかの方法。
【0165】
20.N-アシル化脂肪アミノ酸が、化合物I~XXXV(
図2)又は化合物a~r(
図3)のうちの1つ以上を含む、実施形態1~5又は8~19のいずれかの方法。
【0166】
21.N-アシル化脂肪アミノ酸が、一ナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート、二ナトリウム-N-サリチロイル-8-アミノカプリレート又はN-(サリチロイル)-8-アミノカプリル酸を含む、実施形態1~5又は8~19のいずれかの方法。
【0167】
22.N-アシル化脂肪アミノ酸又はこの塩が、
【0168】
【化19】
(式中、X及びZは独立してH、一価のカチオン、二価の金属カチオン又は有機のカチオンである)を含む、実施形態1~5又は8~19のいずれかの方法。
【0169】
23.一価のカチオンが、ナトリウム又はカリウムである、実施形態22の方法。
【0170】
24.金属カチオンが、カルシウム又はマグネシウムである、実施形態22又は23の方法。
【0171】
25.有機のカチオンが、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムである、実施形態22~24のいずれかの方法。
【0172】
26.XがHである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0173】
27.Xが、ナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0174】
28.Xが、カルシウム又はマグネシウムを含む二価の金属カチオンである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0175】
29.Xが、アンモニウム又はテトラメチルアンモニウムを含む有機のカチオンである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0176】
30.ZがHである、実施形態22~29のいずれかの方法。
【0177】
31.Zが、ナトリウム又はカリウムを含む一価のカチオンである、実施形態22~29のいずれかの方法。
【0178】
32.Zが、カルシウム又はマグネシウムを含む二価のカチオンである、実施形態22~29のいずれかの方法。
【0179】
33.XがHであり、ZがHである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0180】
34.XがHであり、Zがナトリウムである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0181】
35.Xがナトリウムであり、Zがナトリウムである、実施形態22~25のいずれかの方法。
【0182】
36.経口製剤が医薬組成物である、実施形態1~35のいずれかの方法。
【0183】
37.経口製剤が栄養補給剤である、実施形態1~35のいずれかの方法。
【0184】
38.経口製剤が、後天性甲状腺機能低下症、急性胃炎、依存症、ADHD、広場恐怖症、AIDS、AIDS関連食欲不振、アルコール依存症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、強直、不安、関節炎、アスペルガー症候群、喘息、アテローム性動脈硬化、自閉症、自己免疫疾患、細菌感染症、双極性障害、骨量減少、血液疾患、脳損傷/脳卒中、悪液質、がん、手根管症候群、脳性まひ、頸部椎間板疾患、頸腕症候群、慢性疲労症候群、慢性痛、群発性頭痛、結膜炎、クローン病、嚢胞性線維症、鬱病、皮膚炎、糖尿病、ジストニア、摂食障害、湿疹、てんかん、発熱、線維筋痛、流感、真菌感染症、消化器疾患、緑内障、神経膠腫、グレーブス病、心臓病、肝炎、ヘルペス、ハンチントン病、高血圧、無気力、失禁、乳児死亡率、炎症、炎症性腸疾患(IBD)、不眠症、肝線維症、狂牛病、更年期、代謝異常、片頭痛、乗り物酔い、MRSA、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、粘膜病変、爪・膝蓋骨症候群、がん化学療法に伴う悪心及び嘔吐、神経炎症、ニコチン中毒、肥満、強迫性障害(OCD)、疼痛、膵炎、パニック障害、パーキンソン病、歯周病、末梢神経障害、幻肢痛、ツタウルシアレルギー、月経前症候群(PMS)、近位型筋強直性ミオパチー、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、乾癬、レイノー病、下肢静止不能症候群、統合失調症、強皮症、敗血性ショック、帯状疱疹、鎌状赤血球病、発作、睡眠時無呼吸、睡眠障害、脊髄損傷、ストレス、吃音、顎関節障害(TMJ)、緊張性頭痛、耳鳴り、トゥレット症候群、トラウマ的記憶、消耗症候群及び離脱の症状を治療するのに利用される、実施形態1~36のいずれかの方法。
【0185】
39.カンナビノイドを含む経口製剤の摂取後のカンナビノイドの取り込みにおける対象間の変動を低減するための、本明細書に開示されているN-アシル化脂肪アミノ酸の使用。
【0186】
40.実施形態1~38のいずれかの方法に従って形成される経口製剤。
【0187】
(vi)代表的な実験手順。参加者に、エタノール溶液中の市販の大麻抽出物を投与することができる。濃縮物は薬量当たり8mgのTHCを含有し得る。この薬量は、高い割合のTHCを含有しており、使用者が報告した「多幸感」に対して目立った効果をもたらすので選択することができる。水性エタノールは、大麻抽出物、またSNACも有効に溶かすので溶媒として使用することができる。
【0188】
実験手順では、各参加者は大麻濃縮物を15ml(大さじ一杯)の水性エタノールと混合し、すぐにその混合物を飲み込むことができる。この治療は対照治療を構成することができる。試験治療では、各参加者は水性エタノール及び200mgのSNACの予め混合した溶液と大麻濃縮物を混合し、溶解した混合物をすぐに飲み込むことができる。
【0189】
血液試料を投与後の時点で参加者から採取することができ、血液試料中の大麻の量を測定することができる。
【0190】
(vii)実験例。[実施例1] 参加者の選択:肥満指数(BMI)18~30.0kg/m2の間及び体重50kg以上で年齢が21~55歳の間の健康な男性及び女性に参加する資格があった。女性の参加者で妊娠又は母乳育児中の人はいなかった。参加者が過去に大麻を使用していたことは容認されたが、現在は週に3回を超えて使用すること及び投与の6日以内に使用することが容認されず、CDBの血液検査によって確認した。
【0191】
製剤:CBD及びSNACを含む3つの粉末を、湿式造粒技術を使用して調製した。得られた乾燥粉末は、CBD及びSNACを、それぞれ1:2、1:6及び1:10(w:w)の比で含有した。粉末を、投与前にゼラチンカプセルに充填した。
【0192】
方法:参加者を治療群に無作為化し、下記の治療を受けさせた。全ての参加者は、治療の間に最低1週間の休薬期間を伴って、全ての治療を受けることになっていた。治療は、50mgのCBD/100mgのSNAC(1:2の比);50mgのCBD/300mgのSNAC(1:6の比);50mgのCBD/500mgのSNAC(1:10の比);30mgのCBD/300mgのSNAC(1:10の比);及び150mgのCBD/300mgのSNAC(1:2の比)を含んだ。
【0193】
参加者を、試験治療投与の少なくとも10時間前に絶食させた。水は、投与の1時間前まで容認し、次いで投与の2時間後からに適宜に始めさせた。食物は、投与の4時間後に容認した。治療は、2ozの水で投与した。血液試料を、投与前、並びに投与の5、10、15、30、45、60、90、120、240、480及び720分後に採取した。血液試料を、CBD及びこの主な代謝産物である7-COOH CBDの濃度について、検証済の液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)法を使用して民間の検査所で分析した。
【0194】
結果:AUC0-last又はゼロ時点から最終測定時点までの血漿濃度時間曲線下面積を、投与された治療の各々について算出した(表2)。1:6及び1:10(w:w)比のCBD:SNACを使用した治療は、1:2のCBD:SNACを使用した治療と比較して、変動係数(%CV)で表すと低減された変動を実証した。
【0195】
【0196】
[実施例2] 参加者の選択:肥満指数(BMI)18~30.0kg/m2の間及び体重50kg以上で年齢が21~55歳の間の健康な男性及び女性に参加する資格があった。女性の参加者で妊娠又は母乳育児中の人はいなかった。参加者が過去に大麻を使用していたことは容認されたが、現在は週に3回を超えて使用すること及び投与の6日以内に使用することが容認されず、THCの尿検査によって確認した。
【0197】
方法:参加者を治療群に無作為化し、下記の治療を受けさせた。全ての参加者は、治療の間に最低1週間の休薬期間を伴って、全ての治療を受けることになっていた。治療は、10mgのTHC(SNACなし)を含有する経口溶液;10mgのTHC及び100mgのSNACを含有する経口溶液;並びに10mgのTHC及び200mgのSNACを含有する経口溶液を含んだ。
【0198】
参加者を、試験治療投与の少なくとも10時間前に絶食させた。水は、投与の1時間前まで容認し、次いで投与の2時間後からに適宜に始めさせた。食物は、投与の4時間後に容認した。血液試料を、投与前、並びに投与の5、10、15、30、45、60、90、120、240、480及び720分後に採取した。血液試料を、THC及びこの主な代謝産物である11-OH THCの濃度について、検証済の液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)法を使用して民間の検査所で分析した。
【0199】
結果:AUC0-last又はゼロ時点から最終測定時点までの血漿濃度時間曲線下面積を、投与された治療の各々について算出した(表3)。1:10及び1:20(w:w)比のTHC:SNACを使用した治療は、SNACを用いない対照治療と比較して、変動係数(%CV)で表すと低減された変動を実証した。
【0200】
【0201】
実施例1及び実施例2の結果は、カンナビノイド及びN-アシル化脂肪アミノ酸の経口製剤が、カンナビノイド:N-アシル化脂肪アミノ酸の比が1:6~1:20の範囲であるとき、AUCにおいて対象間変動を低減することを実証した。低減された変動は、50%未満、40%未満又は30%未満の%CVを生じ、変動に2倍の低減をもたらすことができる。
【0202】
(vii)結びの項。当業者には理解されるように、本明細書に開示されている各々の実施形態はその特定の述べられている要素、ステップ、成分又は構成部分を含む(comprise)、から本質的になる(consist essentially of)、又はからなる(consist of)ことができる。したがって、用語「包含する(include)」又は「包含している(including)」は「含む、からなる、又はから本質的になる」を意味するものと解されたい。移行用語「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」は、包含するがこれらに限定されない(includes, but is not limited to)ことを意味し、主要量であっても特記されていない要素、ステップ、成分又は構成部分の包含も容認する。移行句「からなる」は特記されてない要素、ステップ、成分又は構成部分を排除する。移行句「から本質的になる」は実施形態の範囲を特記されている要素、ステップ、成分又は構成部分及びその実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。重大な影響は、吸収変動に統計的に有意な増加及び/又は50%を超える%CV値をもたらす。
【0203】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件、などを表す全ての数はいかなる場合も用語「約」により修飾されているものと理解されたい。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメーターは本発明によって得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限する意図はなく、各々の数値パラメーターは少なくとも報告されている有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方を使用することによって解するべきである。更に明確さが必要な場合、用語「約」は、述べられている数値又は範囲と共に使用されているとき当業者が当然に考える意味を有し、すなわち、述べられている値若しくは範囲よりいくらか大きいか又はいくらか小さい値、述べられている値の±20%;述べられている値の±19%;述べられている値の±18%;述べられている値の±17%;述べられている値の±16%;述べられている値の±15%;述べられている値の±14%;述べられている値の±13%;述べられている値の±12%;述べられている値の±11%;述べられている値の±10%;述べられている値の±9%;述べられている値の±8%;述べられている値の±7%;述べられている値の±6%;述べられている値の±5%;述べられている値の±4%;述べられている値の±3%;述べられている値の±2%;又は述べられている値の±1%の範囲内の値を意味する。
【0204】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値はできる限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も本来、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるいくらかの誤差を含有する。
【0205】
本発明を説明する上で(殊に以下の特許請求の範囲で)使用されている用語「a」、「an」、「the」及び同様な指示語は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むものと解されたい。本明細書中値の範囲の記述は、単に、その範囲内に入る各々別々の値に個別に言及する代わりの略記法として意図されている。本明細書中で他に示されない限り、各々個々の値は本明細書中で個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書中で他に示されない限り、又は文脈から明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序に実施することができる。本明細書に挙げられているいずれか及び全ての例、又は例となる言葉(例えば、「などの」)の使用は単に本発明の理解をより容易にすることを意図したものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載されていないが本発明の実施に必須のいずれかの要素を意味すると解してはならない。
【0206】
本明細書に開示されている本発明の代わりの要素又は実施形態のグループは限定と考えるべきではない。各グループメンバーは個別に、又はそのグループの他のメンバー若しくは本明細書中に見出される他の要素と任意に組み合わせて参照され要求され得る。あるグループの1つ以上のメンバーが便宜上及び/又は特許性のためにあるグループに含まれてもよいし、又は省略されてもよいと考えられる。かかる包含又は省略が起こるとき、本明細書は、そのグループを、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの記載要件を満たすように修飾されているものとして含むと考えられる。
【0207】
本発明を実施する上で本発明者が知る最良の態様を含めて本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載されている。もちろん、これらの記載されている実施形態に対する変形は以上の説明を読んだ当業者には明らかである。本発明者は当業者がかかる変形を適宜使用すると予想しており、また本発明者は本発明が本明細書に具体的に記載されているのとは異なって実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法令により許容されるように添付の特許請求の範囲に記載の対象の全ての改変品及び等価物を包含する。更に、上記要素のあらゆる可能な変化のいかなる組合せも、本明細書中で他に示されない限り、又はその他文脈から明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0208】
また、本明細書を通じて数多くの特許、刊行物、学術論文その他文書(参考資料)を参照した。これら参考資料は各々参照によりその全体が参照された教示のために個別に本明細書に組み込まれる。
【0209】
締めくくりに、本明細書に開示されている本発明の実施形態は本発明の原理の例示であると理解されたい。使用し得る他の改変は本発明の範囲内である。このように、例として、限定ではなく、本発明の別の態様も本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、上に正に示され記載されているものに限定されない。
【0210】
本明細書に示されている詳細は例として本発明の好ましい実施形態の説明の目的のみのものであり、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的見地の最も有用で容易に理解される説明と考えられるものを示すために挙げるものである。この点、本発明の基礎的理解に必要なものより詳細に本発明の構造細部を示すことを意図したものではなく、図面及び/又は実施例と合わせた記載により、本発明のいくつかの形態が実施の際にいかに具現化され得るかが当業者に明らかにされる。
【0211】
本開示で使用されている定義及び説明は、次の例で明白かつ一義的に改変されない限り、又はその意義の適用がいずれかの構成を無意味若しくは本質的に無意味にするとき、将来の構成において統制することを意味し、意図している。その用語の構成がそれを無意味又は本質的に無意味にする場合、その定義はWebster’s Dictionary,3rd Edition、又はOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)などの当業者に知られた辞書に由来するべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口カンナビノイド製剤の投与後に、対象におけるカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製する方法であって、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC)及びカンナビノイドを経口製剤に、経口製剤内で1:6、1:10又は1:20のカンナビノイド/N-アシル化脂肪アミノ酸の重量/重量(w/w)比で添加し、それによってカンナビノイド血中吸収変動が低減された経口カンナビノイド製剤を調製することを含む方法。