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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178452
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両用ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/06 20060101AFI20241217BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20241217BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20241217BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20241217BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20241217BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20241217BHJP
【FI】
B60T7/06 E
B60T7/02 D
B60T8/17 B
B60T7/06 G
G05G1/38
G05G1/30 E
G05G5/03 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024170556
(22)【出願日】2024-09-30
(62)【分割の表示】P 2019225658の分割
【原出願日】2019-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北斗 大輔
(72)【発明者】
【氏名】柳田 悦豪
(72)【発明者】
【氏名】難波 邦夫
(57)【要約】
【課題】ブレーキペダルに対する反力の精度を向上させる車両用ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】車両用ブレーキ装置80は、ペダル部811と、ペダル部811が操作されることにより回転軸Oを中心に回転するレバー部812とを有するブレーキペダル81と、レバー部812を回転可能に支持するハウジング88と、ブレーキペダル81のストローク量Xに応じてレバー部812に対する反力を発生させる反力発生部90と、レバー部812と接触するとき、ペダル部811が操作されるときの回転方向とは逆方向にレバー部811が回転しないようにレバー部811を係止するストッパ95と、を備え、反力発生部は、第1直列用弾性部材921および第2直列用弾性部材922を有し、第1直列用弾性部材と第2直列用弾性部材とは直列に接続されており、ストッパの弾性率は、第1直列用弾性部材および第2直列用弾性部材の弾性率よりも大きい。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ブレーキ装置であって、
ペダル部(811)と、前記ペダル部が操作されることにより回転軸(O)を中心に回転するレバー部(812)とを有するブレーキペダル(81)と、
前記レバー部を回転可能に支持するハウジング(88)と、
前記ブレーキペダルのストローク量(X)に応じて前記レバー部に対する反力(Fr)を発生させる反力発生部(90)と、
前記レバー部と接触するとき、前記ペダル部が操作されるときの回転方向とは逆方向に前記レバー部が回転しないように前記レバー部を係止するストッパ(95)と、
を備え、
前記反力発生部は、前記ストローク量に応じて変形する第1直列用弾性部材(921)および第2直列用弾性部材(922)を有し、
前記第1直列用弾性部材は、前記ハウジングと前記第2直列用弾性部材とに接続されており、
前記第2直列用弾性部材は、前記レバー部と前記第1直列用弾性部材とに接続されており、
前記第1直列用弾性部材と前記第2直列用弾性部材とは直列に接続されており、
前記ストッパの弾性率は、前記第1直列用弾性部材および前記第2直列用弾性部材の弾性率よりも大きい、車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記車両用ブレーキ装置は、
前記ストローク量に応じた信号を出力する第1ストロークセンサ(86)と、
前記ストローク量に応じた信号を出力する第2ストロークセンサ(86)と、
を備える請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
前記第1ストロークセンサおよび前記第2ストロークセンサは、
車両(6)を制動させる液圧を発生させる第1液圧発生部(10)によって発生する液圧を制御する第1液圧制御装置(51)と、
車両(6)を制動させる液圧を発生させる第2液圧発生部(20)によって発生する液圧を制御する第2液圧制御装置(52)と、
に前記ストローク量に応じた信号を出力する請求項2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記ストローク量に対する前記反力の変化量は、前記ストローク量が大きくなるにつれて変化する請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
前記ストローク量に対する前記反力の変化量は、前記ストローク量が大きくなるにつれて大きくなっている請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記ストッパが挿入されている穴(889)を有し、
前記ストッパは、前記ハウジングの穴内を移動することにより、前記ストッパと前記ブレーキペダルとが接触する位置を調整する請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項7】
前記ストッパは、前記反力発生部を通り前記反力の方向に沿う直線上に位置する請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項8】
前記ハウジングおよび前記ストッパは、一体になっている請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、車両(6)の車室(8)の外側(7)と前記車室(8)の内側とを区切る隔壁(9)のうち前記車室側に配置されている請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項10】
前記ストローク量と前記第1ストロークセンサのセンサ出力とは、線形関係とされており、
前記ストローク量と前記第2ストロークセンサのセンサ出力とは、線形関係とされている請求項2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項11】
前記第1直列用弾性部材および前記第2直列用弾性部材は、等間隔ピッチばねである請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項12】
前記ストッパは、樹脂を含む請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項13】
前記第1直列用弾性部材の弾性率と、前記第2直列用弾性部材の弾性率とは異なっている請求項1または2に記載の車両用ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、ブレーキペダルと、ブレーキペダルおよび車体に接続されているばねとを備えている車両用ブレーキ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-239925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1の構成では、ばねがブレーキペダルおよび車体に組み付けられるとき、ばねを組み付ける位置の基準がないため、ばねの位置にバラつきが生じやすい。このため、車両の運転者によりブレーキペダルが踏まれるとき、ばねからブレーキペダルへの反力がバラつきやすくなるので、この反力の精度が低下する。
【0005】
本開示は、ブレーキペダルに対する反力の精度を向上させる車両用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両用ブレーキ装置であって、ペダル部(811)と、ペダル部が操作されることにより回転軸(O)を中心に回転するレバー部(812)とを有するブレーキペダル(81)と、レバー部を回転可能に支持するハウジング(88)と、ブレーキペダルのストローク量(X)に応じてレバー部に対する反力(Fr)を発生させる反力発生部(90)と、レバー部と接触するとき、ペダル部が操作されるときの回転方向とは逆方向にレバー部が回転しないようにレバー部を係止するストッパ(95)と、を備え、反力発生部は、ストローク量に応じて変形する第1直列用弾性部材(921)および第2直列用弾性部材(922)を有し、第1直列用弾性部材は、ハウジングと第2直列用弾性部材とに接続されており、第2直列用弾性部材は、レバー部と第1直列用弾性部材とに接続されており、第1直列用弾性部材と第2直列用弾性部材とは直列に接続されており、ストッパの弾性率は、第1直列用弾性部材および第2直列用弾性部材の弾性率よりも大きい、車両用ブレーキ装置である。
【0007】
これにより、ブレーキペダルの位置の基準を設定できるため、ブレーキペダルに対する反力の精度が向上する。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の車両用ブレーキシステムの構成図。
図2】第2アクチュエータの構成図。
図3】車両用ブレーキ装置の断面図。
図4】ストローク量とセンサ出力との関係図。
図5】車両用ブレーキ装置が車両に取り付けられたときの図。
図6】ストローク量と反力との関係図。
図7】車両用ブレーキ装置のブレーキペダルが踏まれたときの断面図。
図8】比較例の車両用ブレーキ装置の断面図。
図9】比較例のストローク量と作用する力の関係図。
図10】比較例のストローク量と作用する力の関係図。
図11】第2実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図12】ストローク量と反力との関係図。
図13】第3実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図14】ストローク量と反力との関係図。
図15】第4実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図16】ストローク量と反力との関係図。
図17】第5実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図18】ストローク量と反力との関係図。
図19】第6実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図20】ストローク量と反力との関係図。
図21】第7実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図22】第8実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図23】第9実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図24】第10実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図25】第11実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図26】第12実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図27】第13実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図28】第14実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図29】第15実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図30】第16実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図31】第17実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図32】第18実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図33】第19実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図34】第20実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図35】第21実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図36】ストローク変化量と反力との関係図。
図37】第22実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図38】第23実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図39】第24実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
図40】第25実施形態の車両用ブレーキ装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の車両用ブレーキ装置80は、車両6の各車輪である左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRを制御する車両用ブレーキシステム1に用いられる。まず、この車両用ブレーキシステム1について説明する。
【0012】
車両用ブレーキシステム1は、図1に示すように、左前輪用ホイールシリンダ、右前輪用ホイールシリンダ、左後輪用ホイールシリンダおよび右後輪用ホイールシリンダを備えている。また、車両用ブレーキシステム1は、第1アクチュエータ10、電源40、第1ECU51、第2アクチュエータ20、第2ECU52および車両用ブレーキ装置80を備えている。なお、以下では、便宜上、ホイールシリンダをW/Cと記載する。また、ECUは、Electronic Control Unitの略である。
【0013】
左前輪用W/C2は、左前輪FLに配置されている。右前輪用W/C3は、右前輪FRに配置されている。左後輪用W/C4は、左後輪RLに配置されている。右後輪用W/C5は、右後輪RRに配置されている。また、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3、左後輪用W/C4および右後輪用W/C5は、車両6の図示しない各ブレーキパッドにそれぞれ接続されている。
【0014】
第1アクチュエータ10は、ブレーキ液圧を発生させる。また、第1アクチュエータ10は、ブレーキ液圧を増加させることにより、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3、左後輪用W/C4、右後輪用W/C5のそれぞれのブレーキ液圧を増加させる。具体的には、第1アクチュエータ10は、リザーバ11、第1ポンプ12、第1アクチュエータ用モータ13および第1圧力センサ14を有する。
【0015】
リザーバ11は、油等のブレーキ液を貯蔵しつつ、第1ポンプ12にブレーキ液を供給する。
【0016】
第1ポンプ12は、第1アクチュエータ用モータ13によって駆動される。これにより、第1ポンプ12は、リザーバ11からのブレーキ液の圧力を増加させる。この液圧が増加したブレーキ液は、第1アクチュエータ10から第2アクチュエータ20に流動する。
【0017】
第1圧力センサ14は、第2アクチュエータ20に流動するブレーキ液の液圧に応じた信号を後述の第1ECU51に出力する。
【0018】
電源40は、第1ECU51および第2ECU52に電力を供給する。
【0019】
第1ECU51は、第1アクチュエータ用モータ13を制御することにより、第1アクチュエータ10を制御する。具体的には、第1ECU51は、第1マイコン61および第1駆動回路71を有する。
【0020】
第1マイコン61は、CPUと、ROMおよびフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリと、第2マイコン62およびセンサ等と通信するためのインターフェースとを含み、第1駆動回路71を制御する。これにより、第1マイコン61は、第1アクチュエータ10を制御する。
【0021】
第1駆動回路71は、例えば、スイッチング素子等を含み、第1マイコン61からの信号に基づいて、第1アクチュエータ用モータ13に電力を供給することにより、第1アクチュエータ10を駆動させる。
【0022】
第2アクチュエータ20は、第2液圧発生部に対応しており、ブレーキ液圧を発生させる。また、第2アクチュエータ20は、後述の第2ECU52からの信号に基づいて、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3、左後輪用W/C4、右後輪用W/C5のそれぞれのブレーキ液圧を制御する。例えば、第2アクチュエータ20は、図2に示すように、第1配管系統21、第2配管系統26および第2アクチュエータ用モータ30を有する。
【0023】
第1配管系統21は、左前輪用W/C2および右前輪用W/C3のブレーキ液圧を制御する。具体的には、第1配管系統21は、第1主管路211、第1差圧制御弁212、第2圧力センサ213、第1分岐管路214、第1増圧制御弁215および第1減圧制御弁216を含む。また、第1配管系統21は、第2分岐管路217、第2増圧制御弁218、第2減圧制御弁219、第1減圧管路220、第1調圧リザーバ221、第1補助管路222、第1還流管路223および第2ポンプ224を含む。
【0024】
第1主管路211は、第1アクチュエータ10に接続されており、第1アクチュエータ10からのブレーキ液圧を第1差圧制御弁212に伝達する。
【0025】
第1差圧制御弁212は、後述の第2ECU52からの信号により、第1主管路211のうちの上流側と下流側との間の差圧を制御する。例えば、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3側のブレーキ液圧が第1アクチュエータ10側のブレーキ液圧よりも所定以上高いとき、第1差圧制御弁212は、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3側から第1アクチュエータ10側にブレーキ液の流動を許容する。これにより、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3側のブレーキ液圧が第1アクチュエータ10側のブレーキ液圧よりも所定圧力以上高くならないように維持される。
【0026】
第2圧力センサ213は、第1差圧制御弁212よりも下流側のブレーキ液圧に応じた信号を後述の第2ECU52に出力する。
【0027】
第1分岐管路214は、第1差圧制御弁212からのブレーキ液を第1増圧制御弁215に導く。
【0028】
第1増圧制御弁215は、連通状態および遮断状態を制御可能なノーマルオープン型の2位置電磁弁である。具体的には、第1増圧制御弁215の図示しないソレノイドコイルが非通電状態であるとき、第1増圧制御弁215は、連通状態となることによって左前輪用W/C2および第1減圧制御弁216へのブレーキ液の流動を許容する。また、第1増圧制御弁215の図示しないソレノイドコイルが通電状態であるとき、第1増圧制御弁215は、遮断状態となることによって左前輪用W/C2および第1減圧制御弁216へのブレーキ液の流動を遮断する。
【0029】
第1減圧制御弁216は、遮断状態および連通状態を制御可能なノーマルクローズ型の2位置電磁弁である。具体的には、第1減圧制御弁216の図示しないソレノイドコイルが非通電状態であるとき、第1減圧制御弁216は、遮断状態となることによって後述の第1減圧管路220へのブレーキ液の流動を遮断する。また、第1減圧制御弁216の図示しないソレノイドコイルが通電状態であるとき、第1減圧制御弁216は、連通状態となることによって後述の第1減圧管路220へのブレーキ液の流動を許容する。
【0030】
第2分岐管路217は、第1差圧制御弁212からのブレーキ液を第2増圧制御弁218に導く。
【0031】
第2増圧制御弁218は、第1増圧制御弁215と同様に、ノーマルオープン型の2位置電磁弁である。具体的には、第2増圧制御弁218の図示しないソレノイドコイルが非通電状態であるとき、第2増圧制御弁218は、連通状態となることによって右前輪用W/C3および第2減圧制御弁219へのブレーキ液の流動を許容する。また、第2増圧制御弁218の図示しないソレノイドコイルが通電状態であるとき、第2増圧制御弁218は、遮断状態となることによって右前輪用W/C3および第2減圧制御弁219へのブレーキ液の流動を遮断する。
【0032】
第2減圧制御弁219は、第2減圧制御弁219と同様に、ノーマルクローズ型の2位置電磁弁である。具体的には、第2減圧制御弁219の図示しないソレノイドコイルが非通電状態であるとき、第2減圧制御弁219は、遮断状態となることによって後述の第1減圧管路220へのブレーキ液の流動を遮断する。また、第2減圧制御弁219の図示しないソレノイドコイルが通電状態であるとき、第2減圧制御弁219は、連通状態となることによって後述の第1減圧管路220へのブレーキ液の流動を許容する。
【0033】
第1減圧管路220は、第1減圧制御弁216および第2減圧制御弁219からのブレーキ液を第1調圧リザーバ221に導く。
【0034】
第1補助管路222は、第1主管路211から分岐しており、第1アクチュエータ10からのブレーキ液を第1調圧リザーバ221に導く。
【0035】
第1調圧リザーバ221は、第1減圧制御弁216および第2減圧制御弁219から第1減圧管路220を経由して流動したブレーキ液を貯留する。また、第1調圧リザーバ221は、第1アクチュエータ10から第1補助管路222を経由して流動したブレーキ液を貯留する。さらに、第1調圧リザーバ221は、後述の第2ポンプ224によってブレーキ液が吸入されるとき、これらの貯留するブレーキ液の流量を調整する。
【0036】
第1還流管路223は、第1差圧制御弁212と第1増圧制御弁215および第2増圧制御弁218との間に接続されている。また、第1還流管路223は、第2ポンプ224に接続されている。
【0037】
第2ポンプ224は、第1減圧管路220に接続されており、第2モータに対応する第2アクチュエータ用モータ30によって駆動される。これにより、第2ポンプ224は、第1調圧リザーバ221に貯留されたブレーキ液を吸入する。この吸入されたブレーキ液は、第1還流管路223を経由して第1差圧制御弁212と第1増圧制御弁215および第2増圧制御弁218との間に流動する。これにより、左前輪用W/C2および右前輪用W/C3のそれぞれのブレーキ液圧が増加する。
【0038】
第2配管系統26は、左後輪用W/C4および右後輪用W/C5のブレーキ液圧を制御する。具体的には、第2配管系統26は、第2主管路261、第2差圧制御弁262、第3圧力センサ263、第3分岐管路264、第3増圧制御弁265および第3減圧制御弁266を含む。また、第2配管系統26は、第4分岐管路267、第4増圧制御弁268、第4減圧制御弁269、第2減圧管路270、第2調圧リザーバ271、第2補助管路272、第2還流管路273および第3ポンプ274を含む。
【0039】
ここでは、第2配管系統26は、第1配管系統21と同様に構成されている。したがって、上記の左前輪用W/C2が右後輪用W/C5に読み替えられる。また、上記の右前輪用W/C3が、左後輪用W/C4に読み替えられる。さらに、第2主管路261は、第1主管路211に対応する。第2差圧制御弁262は、第1差圧制御弁212に対応する。第3圧力センサ263は、第2圧力センサ213に対応する。第3分岐管路264は、第1分岐管路214に対応する。第3増圧制御弁265は、第1増圧制御弁215に対応する。第3減圧制御弁266は、第1減圧制御弁216に対応する。第4分岐管路267は、第2分岐管路217に対応する。第4増圧制御弁268は、第2増圧制御弁218に対応する。第4減圧制御弁269は、第2減圧制御弁219に対応する。第2減圧管路270は、第1減圧管路220に対応する。第2調圧リザーバ271は、第1調圧リザーバ221に対応する。第2補助管路272は、第1補助管路222に対応する。第2還流管路273は、第1還流管路223に対応する。第3ポンプ274は、第2ポンプ224に対応する。
【0040】
第2ECU52は、第2アクチュエータ20の各弁および第2アクチュエータ用モータ30等を制御することにより、第2アクチュエータ20を制御する。具体的には、第2ECU52は、第2マイコン62および第2駆動回路72を有する。
【0041】
第2マイコン62は、CPUと、ROMおよびフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとRAM等の揮発性メモリと、第1マイコン61およびセンサ等と通信するためのインターフェースとを含み、第2駆動回路72を制御する。これにより、第2マイコン62は、第2アクチュエータ20を制御する。
【0042】
第2駆動回路72は、例えば、スイッチング素子等を含み、第2マイコン62からの信号に基づいて、第2アクチュエータ20の各弁および第2アクチュエータ用モータ30に電力を供給することにより、第2アクチュエータ20を駆動させる。
【0043】
車両用ブレーキ装置80は、図1および図3に示すように、ブレーキペダル81、センサ用電源配線82、センサ用グランド配線83、第1センサ用出力配線841および第2センサ用出力配線842を備えている。車両用ブレーキ装置80は、ストロークセンサ86、ハウジング88、反力発生部90およびストッパ95を備えている。
【0044】
ブレーキペダル81は、車両6の運転者によって踏まれることにより操作される。具体的には、ブレーキペダル81は、ペダル部811およびレバー部812を有する。ペダル部811は、車両6の運転者によって踏まれる。レバー部812は、ペダル部811に接続されており、ペダル部811が車両6の運転者によって踏まれるとき、回転軸Oを中心に回転する。
【0045】
センサ用電源配線82は、図1に示すように、第1ECU51および後述のストロークセンサ86に接続されている。これにより、電源40からの電力は、第1ECU51およびセンサ用電源配線82を経由してストロークセンサ86に供給される。なお、センサ用電源配線82は、第2ECU52および後述のストロークセンサ86に接続されてもよい。これにより、電源40からの電力は、第2ECU52およびセンサ用電源配線82を経由してストロークセンサ86に供給される。
【0046】
センサ用グランド配線83は、第1ECU51および後述のストロークセンサ86に接続されている。なお、センサ用グランド配線83は、第2ECU52および後述のストロークセンサ86に接続されてもよい。
【0047】
第1センサ用出力配線841は、第1ECU51およびストロークセンサ86に接続されている。
【0048】
第2センサ用出力配線842は、第2ECU52およびストロークセンサ86に接続されている。
【0049】
ストロークセンサ86は、図3に示すように、例えば、レバー部812の回転軸Oの隣に配置されている。また、ストロークセンサ86は、図1および図4に示すように、車両6の運転者の踏力によるブレーキペダル81の操作量であるストローク量Xに応じた信号を、第1センサ用出力配線841を経由して第1ECU51に出力する。さらに、ストロークセンサ86は、このブレーキペダル81のストローク量Xに応じた信号を、第2センサ用出力配線842を経由して第2ECU52に出力する。また、ここでは、ストローク量Xは、例えば、ペダル部811が車両6の前方に向かう並進移動量である。さらに、図4に示すように、ストローク量Xとストロークセンサ86のセンサ出力Vsとは線形関係となるように調整されている。なお、ここでは、センサ出力Vsは、例えば、電圧によって表示されている。また、ストロークセンサ86は、レバー部812の回転軸Oを中心とした回転角度θに応じた信号を、第1センサ用出力配線841を経由して第1ECU51に出力してもよい。さらに、ストロークセンサ86は、このブレーキペダル81の回転角度θに応じた信号を、第2センサ用出力配線842を経由して第2ECU52に出力してもよい。また、回転角度θとストロークセンサ86の信号とは、ストローク量Xとセンサ出力Vsとの関係と同様に、線形関係となるように調整されている。
【0050】
ハウジング88は、図3および図5に示すように、車両6のエンジンルーム等の車室外7と車室8とを区切る隔壁であるダッシュパネル9に取り付けられている。なお、ダッシュパネル9は、バルクヘッドと呼称されることもある。また、車室外7では、車両6のエンジンだけでなく、車両6のバッテリや空調装置等も配置されている。
【0051】
また、ハウジング88は、図3に示すように、有底筒状に形成されており、第1取り付け部881、第2取り付け部882、ハウジング底部883およびハウジング筒部884を有する。ここで、説明のため、便宜上、車両6の前方に対して上側を、単に上側と記載する。車両6の前方に対して下側を、単に下側と記載する。
【0052】
第1取り付け部881は、後述のハウジング底部883に接続されており、ハウジング底部883から上方に延びている。また、第1取り付け部881は、第1取り付け穴885を含む。この第1取り付け穴885およびダッシュパネル9の第1穴901にボルト887が挿入されることにより、第1取り付け部881がダッシュパネル9に取り付けられている。なお、ここでは、ボルト887は、ダッシュパネル9を貫通しないように挿入されている。
【0053】
第2取り付け部882は、後述のハウジング筒部884に接続されており、ハウジング筒部884から下方に延びている。また、第2取り付け部882は、第2取り付け穴886を含む。この第2取り付け穴886およびダッシュパネル9の第2穴902にボルト887が挿入されることにより、第2取り付け部882がダッシュパネル9に取り付けられている。
【0054】
ハウジング底部883は、レバー部812が回転軸Oを中心に回転可能にレバー部812の一部を支持するとともに、ストロークセンサ86を支持する。
【0055】
ハウジング筒部884は、筒状であって、ハウジング底部883に接続されており、ハウジング底部883から下方に延びている。また、ハウジング筒部884は、レバー部812の一部を収容している。
【0056】
反力発生部90は、ハウジング筒部884およびレバー部812に接続されており、ストローク量Xに応じてレバー部812に対する反力Frを発生する。具体的には、反力発生部90は、弾性部材91を有する。
【0057】
弾性部材91は、例えば、等間隔ピッチばねである。また、弾性部材91は、ハウジング筒部884のうち前側およびレバー部812のうち前面813に接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー部812から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が弾性変形、ここでは収縮するため、復元力が発生する。この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。また、この弾性部材91の復元力は、弾性部材91の変形量に比例する。さらに、弾性部材91の変形量は、ストローク量Xに比例する。したがって、弾性部材91の復元力は、ストローク量Xに比例する。よって、ストローク量Xと反力Frとは、図6に示すように線形関係になっている。なお、ここでは、上記の回転角度θも、反力Frと線形関係になるように調整されている。
【0058】
ストッパ95は、図3に示すように、ハウジング筒部884のうち後側に接続されている。また、ストッパ95は、レバー部812のうち後面814に接触する。さらに、ストッパ95は、例えば、樹脂や金属等で形成されており、ストッパ95の弾性率は、弾性部材91の弾性率よりも非常に大きくなっている。このため、ストッパ95は、弾性部材91からの力により変形しないようになっている。また、ストッパ95は、レバー部812と接触するとき、ブレーキペダル81のペダル部811が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81のレバー部812が回転しないように、レバー部812を係止する。さらに、ここでは、ストッパ95は、レバー部812を係止しやすくなるように、弾性部材91を通り弾性部材91の伸縮方向に沿う直線上に位置している。
【0059】
以上のように、車両用ブレーキシステム1は構成されている。
【0060】
次に、この車両用ブレーキシステム1の作動について説明する。
【0061】
初期状態では、図3に示すように、レバー部812は、ストッパ95により係止されている。そして、例えば、図7に示すように、ペダル部811は、車両6の運転者によって踏まれたとき、レバー部812は、回転軸Oを中心に回転する。これにより、ストローク量Xが大きくなるため、センサ出力Vsが大きくなる。このとき、第1マイコン61は、車両6を減速させるために、第1アクチュエータ10から第2アクチュエータ20に流動したブレーキ液の液圧である第1液圧P1が大きくなるように第1アクチュエータ10を駆動させるための信号を第1駆動回路71に出力する。第1駆動回路71は、この第1マイコン61からの信号に基づいて、第1アクチュエータ用モータ13を駆動させる。このとき、第1アクチュエータ用モータ13の回転数が大きくなる。これにより、第1ポンプ12は、リザーバ11からのブレーキ液の圧力を増加させる。このため、第1液圧P1が大きくなる。この第1液圧P1が比較的大きいブレーキ液は、第1アクチュエータ10から第2アクチュエータ20に流動する。
【0062】
また、ストローク量Xが大きくなるとき、弾性部材91は、ハウジング筒部884のうち前側およびレバー部812に接続されているため収縮する。これにより、弾性部材91の復元力に伴う反力Frが発生する。ここで、弾性部材91の変形量をXrとする。また、弾性部材91の弾性率をKrとする。このとき、反力Frは、以下関係式(1)のように示される。
【0063】
【数1】
【0064】
この反力Frによって、車両6の運転者の足がペダル部811から外れるとき、ブレーキペダル81が初期位置に戻る。なお、図7において、初期状態のブレーキペダル81の位置が2点鎖線で記載されている。また、ここでは、ストローク量Xが、ペダル部811が車両6の前方に向かう並進移動量であるため、反力Frの方向は、後方になっている。
【0065】
また、ペダル部811が車両6の運転者によって踏まれたとき、第2マイコン62は、通常制御、ABS制御およびVSC制御等を行う。
【0066】
例えば、第2マイコン62は、車両6の運転者のブレーキペダル81に操作によるブレーキ制御である通常制御において、車両6を減速させるために、第2駆動回路72を制御する。これにより、第2駆動回路72は、第2アクチュエータ20の増圧制御弁のソレノイドコイルを非通電状態にさせることによって、第2アクチュエータ20の増圧制御弁を連通状態にさせる。このため、第1アクチュエータ10から第2アクチュエータ20に流動したブレーキ液は、対応する増圧制御弁を経由して、左前輪用W/C2、右前輪用W/C3、左後輪用W/C4、右後輪用W/C5に流動する。したがって、図示しない各ブレーキパッドがそれに対応するブレーキディスクと摩擦接触する。よって、各ブレーキディスクに対応する車輪が減速されるため、車両6は、減速する。これにより、車両6は、停止する。
【0067】
また、第2マイコン62は、例えば、車両6の各車輪速度および車速に基づいて、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRの各スリップ率を演算する。そして、第2マイコン62は、このスリップ率に基づいて、ABS制御を実行するか否かを判定する。また、第2マイコン62は、ABS制御を実行するとき、このスリップ率に応じて減圧モード、保持モード、増圧モードのいずれかを行う。減圧モードでは、制御対象輪に対応する増圧制御弁が遮断状態にされるとともに、減圧制御弁が適宜連通状態にされることにより、制御対象輪に対応するW/Cの圧力が減少する。また、保持モードでは、制御対象輪に対応する増圧制御弁および減圧制御弁が遮断状態にされることにより、制御対象輪に対応するW/Cの圧力が保持される。さらに、増圧モードでは、制御対象輪に対応する減圧制御弁が遮断状態にされるとともに、増圧制御弁が適宜連通状態にされることにより、制御対象輪に対応するW/Cの圧力が増加する。このようにして、車両6の各車輪のスリップ率が制御されるため、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRがロックに至ることが抑制される。
【0068】
また、第2マイコン62は、例えば、ヨーレート、操舵角、加速度、各車輪速度および車速等に基づいて、車両6の横滑り状態を演算する。そして、第2マイコン62は、この車両6の横滑り状態に基づいて、VSC制御を実行するか否かを判定する。また、第2マイコン62は、VSC制御を実行するとき、この車両6の横滑り状態に基づいて、車両6の旋回を安定させるための制御対象輪を選定する。さらに、第2マイコン62は、この選定した制御対象輪に対応するW/Cの圧力が増加するように第2駆動回路72を制御する。このとき、第2駆動回路72は、第2アクチュエータ用モータ30を駆動させることにより、制御対象輪に対応するポンプを駆動させる。これにより、制御対象輪に対応するポンプは、制御対象輪に対応する調圧リザーバに貯留されたブレーキ液を吸入する。この吸入されたブレーキ液は、制御対象輪に対応する還流管路を経由して、制御対象輪に対応するW/Cに流動する。これにより、制御対象輪に対応するW/Cのブレーキ液圧が増加するため、車両6の横滑りが抑制される。このため、車両6の走行が安定する。
【0069】
このようにして、第2マイコン62は、通常制御、ABS制御およびVSC制御等を行う。なお、このとき、第2マイコン62は、上記の通常制御、ABS制御およびVSC制御に加えて、図示しない他のECUからの信号に基づいて、衝突回避制御および回生協調制御等を行ってもよい。
【0070】
以上のように、車両用ブレーキシステム1は作動する。この車両用ブレーキシステム1に備えられている車両用ブレーキ装置80では、ブレーキペダル81に対する反力Frの精度が向上する。以下では、この反力Frの精度向上について説明する。
【0071】
例えば、図8に示す比較例の比較用ブレーキ装置100のように、ばね機構101が車体102および比較用ブレーキペダル103に接続されるとき、ばね機構101の位置の基準がないため、ばね機構101の位置のバラつきであるばね位置バラつきσ1が生じる。このため、図9に示すように、初期状態におけるばね機構101から比較用ブレーキペダル103に作用する力がバラつく。例えば、図8および図9の1点鎖線で示すように、ばね機構101の収縮量が比較的小さいとき、比較用ブレーキペダル103に作用する力が比較的小さくなる。また、図8および図9の2点鎖線で示すように、ばね機構101の収縮量が比較的大きいとき、比較用ブレーキペダル103に作用する力が比較的大きくなる。
【0072】
また、図8に示すように、ばね位置バラつきσ1により、比較用ブレーキペダル103の初期位置にバラつきであるペダルバラつきσ2が生じる。このため、図10に示すように、初期状態におけるばね機構101から比較用ブレーキペダル103に作用する力がバラつく。例えば、図8および図10の1点鎖線で示すように、比較用ブレーキペダル103が車体102から比較的離れるとき、比較用ブレーキペダル103に作用する力が比較的小さくなる。また、図8および図10の2点鎖線で示すように、比較用ブレーキペダル103が車体102に比較的近いとき、比較用ブレーキペダル103に作用する力が比較的大きくなる。
【0073】
このように、比較用ブレーキ装置100では、初期状態において、ばね機構101から比較用ブレーキペダル103に作用する力がバラつく。このため、比較用ブレーキペダル103が踏まれるときにおけるばね機構101から比較用ブレーキペダル103への反力がバラつきやすくなる。よって、比較用ブレーキ装置100では、この反力の精度が低下する。
【0074】
これに対して、本実施形態の車両用ブレーキ装置80は、ストッパ95を備えている。ストッパ95は、レバー部812と接触するとき、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。これにより、ブレーキペダル81の位置の基準が設定される。このため、反力発生部90とブレーキペダル81とを安定して組み付けることができるため、反力発生部90およびブレーキペダル81の位置バラつきを低減することができる。したがって、反力Frの精度が向上する。また、反力Frの精度が向上するため、反力発生部90とブレーキペダル81との調整を行う手間が軽減される。よって、反力発生部90とブレーキペダル81との調整工数が短縮される。
【0075】
また、車両用ブレーキ装置80は、以下に説明するような効果も奏する。
【0076】
[1]上記したように、ブレーキペダル81の位置の基準が設定されるため、反力発生部90とブレーキペダル81との組み付けが容易になる。
【0077】
[2]反力発生部90の弾性部材91は、図3および図6に示すように、ハウジング88およびブレーキペダル81のレバー部812に接続されている。また、この反力発生部90の弾性部材91により、ブレーキペダル81のストローク量Xに応じてレバー部812に対する反力Frが発生する。また、ハウジング88は、車両6のエンジンルーム等の車室外7と車室8とを区切るダッシュパネル9のうち車室8側に配置されている。
【0078】
ハウジング88とダッシュパネル9とは別体であるため、車両用ブレーキ装置80単体でハウジング88と反力発生部90とブレーキペダル81とを調整することができる。これにより、車両6毎に、ハウジング88と反力発生部90とブレーキペダル81とを調整する必要がなくなる。したがって、ハウジング88と反力発生部90とブレーキペダル81との調整が容易になる。また、ハウジング88と反力発生部90とブレーキペダル81との調整が容易になるため、ストローク量Xに対する反力Frの精度を向上させることができる。
【0079】
[3]車両用ブレーキ装置80では、ハウジング88は、車両6の車室外7と車室8とを区切るダッシュパネル9のうち車室8側に配置されている。これにより、エンジンルーム内のマスタシリンダ等と接続する必要がないため、車両用ブレーキ装置80の搭載位置の自由度が比較的高くなる。
【0080】
[4]車両用ブレーキ装置80では、反力発生部90の弾性部材91がハウジング88およびブレーキペダル81のレバー部812に接続されている。また、この反力発生部90の弾性部材91により、ブレーキペダル81のストローク量Xに応じてレバー部812に対する反力Frが発生する。これにより、反力Frを発生させるためのブレーキ液の流路等を配置する必要がなくなるため、ブレーキ装置の部品点数を削減することができる。
【0081】
[5]車両用ブレーキ装置80では、反力発生部90は、ストローク量Xに応じて変形する弾性部材91を有する。弾性部材91の復元力は、空気の混入等による影響を受けないため、空気の混入等により変化しにくい。したがって、弾性部材91による反力Frは、油等の粘性流体の圧力による反力と比較して、空気の混入等により変化しにくいため、車両用ブレーキ装置80では、ドライバビリティが向上する。また、車両用ブレーキ装置80では、ストローク量Xと反力Frとは、図6に示すように線形関係になっている。これにより、車両6の運転者の意図が検出されやすくなるため、反力Frの制御性が向上する。
【0082】
[6]ハウジング88は、車両6のエンジンルーム等の車室外7と車室8とを区切るダッシュパネル9のうち車室8側に配置されている。車室8内では、エンジンルームからの水分や油分が入りにくいため、このエンジンルームからの水分や油分は、反力発生部90に弾性部材91に付着しにくい。また、車室8内では、エンジンルームからの外的要因、例えば、光および熱が入りにくい。したがって、反力発生部90に弾性部材91が劣化しにくくなるため、耐久性が向上する。
【0083】
[7]ストッパ95は、弾性部材91を通り弾性部材91の伸縮方向に沿う直線上に位置している。これにより、ストッパ95および弾性部材91による力に基づくモーメントが相殺されやすくなるため、ストッパ95および弾性部材91による力に基づくモーメントがブレーキペダル81に発生しにくくなる。このため、ブレーキペダル81のガタが抑制されるため、反力Frの精度が向上する。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態では、反力発生部90の弾性部材91の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0085】
反力発生部90の円錐状弾性部材911は、図11に示すように、円錐コイルばねになっている。
【0086】
この場合、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、円錐状弾性部材911は、変形する。これにより、円錐状弾性部材911の復元力が発生するため、反力Frが発生する。また、この円錐状弾性部材911の復元力は、円錐状弾性部材911の変形量が大きくなるにつれて、大きくなる。さらに、円錐状弾性部材911が円錐コイルばねになっているため、円錐状弾性部材911の弾性率が、円錐状弾性部材911の変形量に応じて変化する。ここでは、円錐状弾性部材911の弾性率は、円錐状弾性部材911の変形量が大きくなるにつれて大きくなる。したがって、円錐状弾性部材911の変形量に対する円錐状弾性部材911の復元力の変化量は、円錐状弾性部材911の変形量が大きくなるにつれて大きくなる。
【0087】
したがって、反力Frは、図12に示すように、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなっている。また、ストローク量Xに対する反力Frの変化量は、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなっている。
【0088】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0089】
(第3実施形態)
第3実施形態では、反力発生部90の弾性部材91の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0090】
反力発生部90の不等弾性部材912は、図13に示すように、不等間隔ピッチばねになっている。
【0091】
この場合、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、不等弾性部材912は、変形する。これにより、不等弾性部材912の復元力が発生するため、反力Frが発生する。また、この不等弾性部材912の復元力は、不等弾性部材912の変形量が大きくなるにつれて、大きくなる。さらに、不等弾性部材912が不等間隔ピッチばねになっているため、不等弾性部材912の変形量が所定以上になるとき、不等弾性部材912の弾性率が変化する。ここでは、不等弾性部材912の変形量が所定以上になるとき、不等弾性部材912の弾性率が大きくなる。このため、不等弾性部材912の変形量が所定以上になるとき、不等弾性部材912の変形量に対する不等弾性部材912の復元力の変化量は、大きくなる。
【0092】
したがって、ここでは、反力Frは、図14に示すように、ストローク量XがX1未満であるとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなる。また、ストローク量XがX1以上であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量は、ストローク量XがX1未満であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量よりも大きくなっている。さらに、反力Frは、ストローク量XがX1以上であるとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなる。なお、X1は、不等弾性部材912の形状等により設定される。
【0093】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0094】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ハウジング88および反力発生部90の弾性部材91の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0095】
ハウジング88は、図15に示すように、ハウジング筒部884のうち前側の部位から後方に突出するハウジング凸部888をさらに有する。
【0096】
また、反力発生部90は、第1弾性部材913、第2弾性部材914および板部915を有する。
【0097】
第1弾性部材913は、等間隔ピッチばねであって、ハウジング筒部884のうち前側と板部915とに接続されている。
【0098】
第2弾性部材914は、等間隔ピッチばねであって、板部915とレバー部812のうち前面813とに接続されている。また、第2弾性部材914の弾性率は、第1弾性部材913の弾性率よりも大きくなっている。
【0099】
板部915は、ハウジング凸部888と対向するように配置されており、ブレーキペダル81が踏まれるとき、ハウジング凸部888と接触する。
【0100】
この場合、ブレーキペダル81が踏まれるとき、第2弾性部材914は、変形しないで、ハウジング筒部884に支持されている第1弾性部材913が変形する。このとき、第1弾性部材913の復元力により反力Frが発生する。また、第1弾性部材913が所定以上変形するとき、板部915がハウジング凸部888に接触する。このとき、板部915がハウジング凸部888によって支持されるため、板部915に接続されている第1弾性部材913の変形が停止する。この状態からブレーキペダル81がさらに踏まれるとき、第1弾性部材913に代わって、レバー部812に接続されている第2弾性部材914が変形する。このとき、第1弾性部材913および第2弾性部材914の復元力により反力Frが発生する。
【0101】
したがって、ここでは、反力Frは、図16に示すように、ストローク量XがX2未満であるとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなる。また、ストローク量XがX2以上であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量は、ストローク量XがX2未満であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量よりも大きくなっている。さらに、反力Frは、ストローク量XがX2以上であるとき、ここでは、板部915とハウジング凸部888とが接触しているとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなっている。また、ここでは、第2弾性部材914の弾性率が第1弾性部材913の弾性率よりも大きくなっているため、ストローク量XがX2以上であるとき、反力Frは、比較的大きくなっている。これにより、車両6の制動力に対応する力が車両6の運転者に作用しやすくなるため、車両6の運転がしやすくなる。なお、X2は、ハウジング凸部888から板部915までの距離等によって設定される。
【0102】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0103】
(第5実施形態)
第5実施形態では、反力発生部90の弾性部材91の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0104】
反力発生部90は、図17に示すように、第1並列用弾性部材916および第2並列用弾性部材917を有する。
【0105】
第1並列用弾性部材916は、等間隔ピッチばねであって、ハウジング筒部884のうち前側とレバー部812のうち前面813とに接続されている。
【0106】
第2並列用弾性部材917は、等間隔ピッチばねであって、ハウジング筒部884のうち前側に接続されている。また、第2並列用弾性部材917は、レバー部812とは接続されていないで、レバー部812のうち前面813に対向している。さらに、第2並列用弾性部材917は、第1並列用弾性部材916と並列に配置されている。また、第2並列用弾性部材917の弾性率は、第1並列用弾性部材916の弾性率よりも大きくなっている。
【0107】
この場合、ブレーキペダル81が踏まれるとき、レバー部812に接続されていない第2並列用弾性部材917は変形しないで、レバー部812に接続されている第1並列用弾性部材916が変形する。このとき、第1並列用弾性部材916の復元力により反力Frが発生する。また、第1並列用弾性部材916が所定以上変形するとき、レバー部812と第2並列用弾性部材917とが接触する。これにより、第1並列用弾性部材916が変形するとともに、第2並列用弾性部材917が変形する。このとき、第1並列用弾性部材916および第2並列用弾性部材917により反力Frが発生する。
【0108】
したがって、ここでは、反力Frは、図18に示すように、ストローク量XがX3未満であるとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなる。また、ストローク量XがX3以上であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量は、ストローク量XがX3未満であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量よりも大きくなっている。さらに、反力Frは、ストローク量XがX3以上であるとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなっている。また、ここでは、第2並列用弾性部材917の弾性率が第1並列用弾性部材916の弾性率よりも大きくなっているため、ストローク量XがX3以上であるとき、反力Frは、比較的大きくなっている。これにより、車両6の制動力に対応する力が車両6の運転者に作用しやすくなるため、車両6の運転がしやすくなる。なお、X3は、レバー部812から第2並列用弾性部材917までの距離等によって設定される。
【0109】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0110】
(第6実施形態)
第6実施形態では、反力発生部90は、図19に示すように、第3並列用弾性部材918をさらに有する。これ以外は、第5実施形態と同様である。
【0111】
第3並列用弾性部材918は、等間隔ピッチばねであって、レバー部812のうち前面813に接続されている。また、第3並列用弾性部材918は、ハウジング筒部884に接続されていないで、ハウジング筒部884のうち前側と対向している。さらに、第3並列用弾性部材918は、第1並列用弾性部材916と第2並列用弾性部材917と並列に配置されている。また、第3並列用弾性部材918の弾性率は、第1並列用弾性部材916の弾性率よりも大きく、第2並列用弾性部材917の弾性率よりも小さくなっている。なお、第3並列用弾性部材918の弾性率は、第2並列用弾性部材917の弾性率よりも大きくてもよい。
【0112】
この場合、第2並列用弾性部材917は、レバー部812に接続されていない。また、第3並列用弾性部材918は、ハウジング筒部884に接続されていない。このため、ブレーキペダル81が踏まれるとき、第2並列用弾性部材917および第3並列用弾性部材918は変形しないで、第1並列用弾性部材916が変形する。このとき、第1並列用弾性部材916の復元力より反力Frが発生する。また、第1並列用弾性部材916が所定以上変形するとき、ハウジング筒部884のうち前側と第3並列用弾性部材918とが接触する。これにより、第1並列用弾性部材916が変形するとともに、第3並列用弾性部材918が変形する。このとき、第1並列用弾性部材916および第3並列用弾性部材918により反力Frが発生する。また、第1並列用弾性部材916および第3並列用弾性部材918が所定以上変形するとき、レバー部812と第2並列用弾性部材917とが接触する。これにより、第1並列用弾性部材916および第3並列用弾性部材918が変形するとともに、第2並列用弾性部材917が変形する。このとき、第1並列用弾性部材916、第2並列用弾性部材917および第3並列用弾性部材918により反力Frが発生する。
【0113】
したがって、ここでは、反力Frは、図20に示すように、ストローク量XがX4未満であるとき、ストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなる。また、ストローク量XがX4以上、X5未満であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量は、ストローク量XがX4未満であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量よりも大きくなっている。そして、反力Frは、ストローク量XがX4以上、X5未満であるときストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなっている。また、ストローク量XがX5以上であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量は、ストローク量XがX4以上、X5未満であるときのストローク量Xに対する反力Frの変化量よりも大きくなっている。そして、反力Frは、ストローク量XがX5以上であるときストローク量Xが大きくなるにつれて大きくなっている。なお、X4は、ハウジング筒部884のうち前側から第3並列用弾性部材918までの距離等によって設定される。また、X5は、レバー部812から第2並列用弾性部材917までの距離等によって設定される。
【0114】
第6実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0115】
(第7実施形態)
第7実施形態では、ストッパ95およびハウジング88の形態が異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0116】
ストッパ95は、図21に示すように、雄ねじ部951を有する。雄ねじ部951は、後述のハウジング88の雌ねじ穴889に挿入されている。
【0117】
ハウジング88は、雌ねじ穴889をさらに有する。雌ねじ穴889は、ここでは、ハウジング筒部884のうち後側に形成されている。また、雌ねじ穴889は、ストッパ95の雄ねじ部951に対応する形状に形成されている。
【0118】
この場合、ストッパ95の雄ねじ部951が回転することにより、雄ねじ部951は、雌ねじ穴889内を移動するため、ストッパ95が雌ねじ穴889に沿う方向、ここでは、前後方向に移動する。これにより、ブレーキペダル81と接触するストッパ95の位置を調整することによってブレーキペダル81の位置を調整することができるため、ブレーキペダル81の位置精度を向上させることができる。よって、反力Frの精度を向上させることができる。
【0119】
第7実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0120】
(第8実施形態)
第8実施形態では、ストッパ95の形態が異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0121】
ストッパ95は、図22に示すように、ハウジング88と一体になっている。これにより、ストッパ95が形成されやすくなるとともに、ストッパ95をハウジング88に取り付ける必要がなくなるため、ストッパ95をハウジング88に取り付けるときのバラつきがなくなる。したがって、ストッパ95の位置精度が向上するため、ストッパ95に接触するブレーキペダル81の位置精度が向上する。よって、反力Frの精度を向上させることができる。
【0122】
第8実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0123】
(第9実施形態)
第9実施形態では、反力発生部90の弾性部材91の形態が異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0124】
反力発生部90は、図23に示すように、第1直列用弾性部材921および第2直列用弾性部材922を有する。
【0125】
第1直列用弾性部材921は、等間隔ピッチばねであって、ハウジング筒部884のうち前側と第2直列用弾性部材922とに接続されている。
【0126】
第2直列用弾性部材922は、等間隔ピッチばねであって、第1直列用弾性部材921とレバー部812のうち前面813とに接続されている。これにより、第1直列用弾性部材921と第2直列用弾性部材922とは直列に接続されている。また、ここでは、第2直列用弾性部材922の弾性率は、第1直列用弾性部材921の弾性率と異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0127】
この場合、ブレーキペダル81が踏まれるとき、第1直列用弾性部材921および第2直列用弾性部材922は、変形する。ここで、第1直列用弾性部材921の弾性率をKs1とする。ブレーキペダル81が踏まれるときの第1直列用弾性部材921の変形量をXs1とする。第2直列用弾性部材922の弾性率をKs2とする。ブレーキペダル81が踏まれるときの第2直列用弾性部材922の変形量をXs2とする。このとき、第1直列用弾性部材921と第2直列用弾性部材922とが互いに接続されているため、反力Frは、以下関係式(2)のように示される。
【0128】
【数2】
【0129】
第9実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0130】
(第10実施形態)
第10実施形態では、反力発生部90の第2並列用弾性部材917の形態が異なる。これ以外は、第5実施形態と同様である。
【0131】
反力発生部90は、図24に示すように、第1並列用弾性部材916および第2並列用弾性部材917を有する。
【0132】
第1並列用弾性部材916は、等間隔ピッチばねであって、ハウジング筒部884のうち前側とレバー部812のうち前面813とに接続されている。
【0133】
第2並列用弾性部材917は、等間隔ピッチばねであって、ハウジング筒部884のうち前側とレバー部812のうち前面813とに接続されている。したがって、ここでは、第2並列用弾性部材917は、第1並列用弾性部材916と並列に配置されている。
【0134】
この場合、ブレーキペダル81が踏まれるとき、第1並列用弾性部材916は、第2並列用弾性部材917とともに変形する。ここで、第1並列用弾性部材916の弾性率をKp1とする。ブレーキペダル81が踏まれるときの第1並列用弾性部材916の変形量をXp1とする。第2並列用弾性部材917の弾性率をKp2とする。ブレーキペダル81が踏まれるときの第2並列用弾性部材917の変形量をXp2とする。このとき、反力Frは、以下関係式(3)のように示される。
【0135】
【数3】
【0136】
第10実施形態においても、第5実施形態と同様の効果を奏する。また、第10実施形態では、反力Frは、第1並列用弾性部材916の復元力と第2並列用弾性部材917の復元力とを重ね合わせた力になるため、比較的大きくなりやすい。これにより、車両6の制動力に対応する力が車両6の運転者に作用しやすくなるため、車両6の運転がしやすくなる。
【0137】
(第11実施形態)
第11実施形態では、上記の第1並列用弾性部材916および第2並列用弾性部材917の形態が異なる。これ以外は、第10実施形態と同様である。
【0138】
第1並列用弾性部材916は、図25に示すように、等間隔ピッチばねであって、上記と同様に、ハウジング筒部884のうち前側とレバー部812のうち前面813とに接続されている。
【0139】
第2並列用弾性部材917は、レバー部812のうち後面814とハウジング筒部884のうち後側とに接続されている。また、第2並列用弾性部材917は、第1並列用弾性部材916を通り、第1並列用弾性部材916の伸縮方向に沿う直線上に位置している。
【0140】
この場合、ブレーキペダル81が踏まれるとき、第2並列用弾性部材917は、伸長する。また、ここでは、第2並列用弾性部材917が第1並列用弾性部材916を通り、第1並列用弾性部材916の伸縮方向に沿う直線上に位置している。このため、ブレーキペダル81が踏まれるときの第1並列用弾性部材916の変形量と、第2並列用弾性部材917の変形量とが等しくなる。したがって、このとき、反力Frは、以下関係式(4)のように示される。
【0141】
【数4】
【0142】
第11実施形態においても、第10実施形態と同様の効果を奏する。
【0143】
(第12実施形態)
第12実施形態では、上記の第1並列用弾性部材916および第2並列用弾性部材917の配置が異なる。これ以外は、第11実施形態と同様である。
【0144】
第2並列用弾性部材917は、図26に示すように、第1並列用弾性部材916を通り、第1並列用弾性部材916の伸縮方向に沿う直線上に位置していない。ここでは、ストッパ95が、第1並列用弾性部材916を通り、第1並列用弾性部材916の伸縮方向に沿う直線上に位置している。
【0145】
第12実施形態においても、第10実施形態と同様の効果を奏する。
【0146】
(第13実施形態)
第13実施形態では、上記の第1並列用弾性部材916の配置が異なる。これ以外は、第5実施形態と同様である。
【0147】
第1並列用弾性部材916は、図27に示すように、レバー部812のうち後面814とハウジング筒部884のうち後側とに接続されている。この場合、ブレーキペダル81が踏まれるとき、第1並列用弾性部材916は、伸長する。なお、第2並列用弾性部材917は、第5実施形態と同様に、ハウジング筒部884のうち前側に接続されている。また、第2並列用弾性部材917は、レバー部812とは接続されていないで、レバー部812のうち前面813に対向している。
【0148】
第13実施形態においても、第5実施形態と同様の効果を奏する。
【0149】
(第14実施形態)
第14実施形態では、ハウジング88およびブレーキペダル81の形態ならびにストッパ95の配置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0150】
ハウジング88は、図28に示すように、上記の第1取り付け部881、第2取り付け部882、ハウジング底部883に加えて、第1ハウジング筒部891および第2ハウジング筒部892を有する。
【0151】
第1ハウジング筒部891は、筒状であって、ハウジング底部883に接続されており、ハウジング底部883から下方に延びている。なお、この場合、第2取り付け部882は、第1ハウジング筒部891に接続されており、第1ハウジング筒部891から下方に延びている。
【0152】
第2ハウジング筒部892は、筒状であって、ハウジング底部883に接続されており、ハウジング底部883から上方に延びている。なお、この場合、第1取り付け部881は、第2ハウジング筒部892に接続されており、第2ハウジング筒部892から上方に延びている。
【0153】
また、ブレーキペダル81のレバー部812は、レバー延長部815を有する。このレバー延長部815は、回転軸Oに接続されており、回転軸Oから上方、ここでは、第2ハウジング筒部892に向かって延びている。このため、このレバー延長部815は、第2ハウジング筒部892に収容されている。
【0154】
ストッパ95は、第2ハウジング筒部892に収容されており、第2ハウジング筒部892のうち前側に接続されている。また、ストッパ95は、レバー延長部815のうち延長前面816に接触する。これにより、ストッパ95は、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。
【0155】
第14実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0156】
(第15実施形態)
第15実施形態では、ハウジング88およびブレーキペダル81の形態ならびにストッパ95の配置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0157】
ハウジング88のハウジング底部883は、図29に示すように、ハウジング凹部893をさらに含む。また、ハウジング凹部893は、ハウジング底部883の後側に形成されており、上下方向に凹んでいる。
【0158】
また、ブレーキペダル81のレバー部812は、レバー延長部815を有する。このレバー延長部815は、回転軸Oに接続されており、回転軸Oから後方、ここでは、ハウジング凹部893に向かって延びている。このため、このレバー延長部815の一部は、ハウジング凹部893に収容されている。
【0159】
ストッパ95は、ハウジング凹部893に収容されており、ハウジング底部883に接続されている。また、ストッパ95は、レバー延長部815のうち延長上面817に接触する。これにより、ストッパ95は、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。
【0160】
第15実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0161】
(第16実施形態)
第16実施形態では、ブレーキペダル81の形態およびストッパ95の配置が第14実施形態と異なる。これ以外は、第14実施形態と同様である。
【0162】
ハウジング88は、上記と同様に、図30に示すように、第1取り付け部881、第2取り付け部882、ハウジング底部883、第1ハウジング筒部891および第2ハウジング筒部892を有する。
【0163】
また、ブレーキペダル81のレバー部812は、第1レバー延長部821および第2レバー延長部822を有する。
【0164】
第1レバー延長部821は、レバー延長部815と同様に、回転軸Oに接続されており、回転軸Oから上方、ここでは、第2ハウジング筒部892に向かって延びている。このため、第1レバー延長部821は、第2ハウジング筒部892に収容されている。
【0165】
第2レバー延長部822は、第1レバー延長部821の端部から前方に向かって延びており、第2ハウジング筒部892に収容されている。
【0166】
ストッパ95は、第2ハウジング筒部892に収容されており、ハウジング底部883に接続されている。また、ストッパ95は、第2レバー延長部822のうち延長下面823に接触する。これにより、ストッパ95は、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。
【0167】
第16実施形態においても、第14実施形態と同様の効果を奏する。
【0168】
(第17実施形態)
第17実施形態では、ハウジング88およびブレーキペダル81の形態ならびにストッパ95の配置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0169】
ハウジング88は、上記と同様に、図31に示すように、上記の第1取り付け部881、第2取り付け部882、ハウジング底部883に加えて、第1ハウジング筒部891および第2ハウジング筒部892を有する。
【0170】
ブレーキペダル81のレバー部812は、上記と同様に、レバー延長部815を有する。このレバー延長部815は、回転軸Oに接続されており、回転軸Oから上方、ここでは、第2ハウジング筒部892に向かって延びている。
【0171】
反力発生部90の弾性部材91は、第2ハウジング筒部892のうち後側とレバー延長部815のうち延長後面824とに接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー延長部815から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が弾性変形、ここでは収縮するため、復元力が発生する。この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。
【0172】
第17実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0173】
(第18実施形態)
第18実施形態では、ハウジング88およびブレーキペダル81の形態ならびに反力発生部90およびストッパ95の配置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0174】
ハウジング88は、上記と同様に、図32に示すように、上記の第1取り付け部881、第2取り付け部882、ハウジング底部883、第1ハウジング筒部891および第2ハウジング筒部892を有する。
【0175】
ブレーキペダル81のレバー部812は、第1レバー延長部821および第2レバー延長部822を有する。
【0176】
第1レバー延長部821は、レバー延長部815と同様に、回転軸Oに接続されており、回転軸Oから上方、ここでは、第2ハウジング筒部892に向かって延びている。このため、第1レバー延長部821は、第2ハウジング筒部892に収容されている。
【0177】
第2レバー延長部822は、第1ハウジング筒部891に収容されており、レバー部812のうち第1ハウジング筒部891に収容されている部分から後方に向かって延びている。
【0178】
反力発生部90の弾性部材91は、第2ハウジング筒部892のうち後側とレバー延長部815のうち延長後面824に接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー延長部815から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が弾性変形、ここでは収縮するため、復元力が発生する。この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。
【0179】
ストッパ95は、第1ハウジング筒部891に収容されており、ハウジング底部883に接続されている。また、ストッパ95は、第2レバー延長部822の延長上面825に接触する。これにより、ストッパ95は、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。
【0180】
第18実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0181】
(第19実施形態)
第19実施形態では、反力発生部90の配置が第14実施形態と異なる。
【0182】
反力発生部90の弾性部材91は、図33に示すように、第2ハウジング筒部892のうち後側とレバー延長部815のうち延長後面824とに接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー延長部815から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が弾性変形、ここでは収縮するため、復元力が発生する。この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。
【0183】
第19実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0184】
(第20実施形態)
第20実施形態では、反力発生部90の配置が第16実施形態と異なる。
【0185】
反力発生部90の弾性部材91は、図34に示すように、第2ハウジング筒部892のうち後側と第1レバー延長部821のうち延長後面826とに接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力が第1レバー延長部821から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が弾性変形、ここでは収縮するため、復元力が発生する。この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。
【0186】
第20実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0187】
(第21実施形態)
第21実施形態では、車両用ブレーキ装置80の反力発生部90は、ダンパ94を有する。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0188】
第21実施形態の車両用ブレーキ装置80の反力発生部90は、図35に示すように、ダンパ94を有する。このダンパ94は、単位時間あたりのストローク量Xの変化量であるストローク変化量ΔXに応じた反力Frを発生させる。具体的には、ダンパ94は、ダンパシリンダ941およびダンパピストン942を含む。
【0189】
ダンパシリンダ941は、有底筒状に形成されており、このダンパシリンダ941には、流体が封入されている。流体は、例えば、油および空気等の粘性流体である。なお、図34において、ダンパシリンダ941内の粘性流体の所在を明確にするため、ダンパシリンダ941内の粘性流体がドット柄で記載されている。
【0190】
ダンパピストン942は、ダンパシリンダ941の軸方向に沿ってダンパシリンダ941内を摺動する。また、ダンパピストン942の一端は、ブレーキペダル81のレバー部812に接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によるブレーキペダル81の操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー部812からダンパピストン942に伝達される。これにより、ダンパピストン942は、ダンパシリンダ941に封入されている流体を圧縮する。このとき、ダンパシリンダ941内の流体の粘性によって、ストローク変化量ΔXに応じた反力Frが発生する。また、ここでは、この流体による反力Frは、ストローク変化量ΔXに比例する。したがって、図36に示すように、ストローク変化量ΔXと反力Frとは、線形関係になっている。これにより、反力Frの制御性が向上する。
【0191】
第21実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0192】
(第22実施形態)
第22実施形態では、車両用ブレーキ装置80のハウジング88およびストッパ95の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0193】
車両用ブレーキ装置80のハウジング88は、図37に示すように、第1取り付け部881および第2取り付け部882を有しないで、ハウジング底部883およびハウジング筒部884を有する。
【0194】
ここでは、ハウジング筒部884のうち前側に、ダッシュパネル9の第1穴901に対応する第1ザグリ穴801が形成されている。この第1ザグリ穴801およびダッシュパネル9の第1穴901にボルト887が挿入されていることにより、ハウジング88がダッシュパネル9に取り付けられている。
【0195】
また、ハウジング筒部884のうち前側に、ダッシュパネル9の第2穴902に対応する第2ザグリ穴802が形成されている。この第2ザグリ穴802およびダッシュパネル9の第2穴902にボルト887が挿入されていることにより、ハウジング88がダッシュパネル9に取り付けられている。
【0196】
また、ここでは、ハウジング筒部884がハウジング88のうち後側の部分が形成されていないため、ハウジング筒部884とハウジング底部883とにより、ハウジング88は、L字形状の断面を有している。
【0197】
ストッパ95は、L字形状に形成されており、ハウジング底部883に接続されている。また、ストッパ95は、レバー部812のうち後面814に接触する。これにより、ストッパ95は、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。
【0198】
第22実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0199】
(第23実施形態)
第23実施形態では、車両用ブレーキ装置80のストッパ95の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0200】
ストッパ95は、図38に示すように、U字形状に形成されており、ハウジング筒部884の前側に接続されている。また、ストッパ95は、レバー部812のうち後面814に接触することにより、ブレーキペダル81を引っ掛けている。これにより、ストッパ95は、ブレーキペダル81が踏まれるときの回転方向とは逆方向にブレーキペダル81が回転しないように、レバー部812を係止する。
【0201】
第23実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0202】
(第24実施形態)
第24実施形態では、車両用ブレーキ装置80の弾性部材91の配置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0203】
車両用ブレーキ装置80の反力発生部90の弾性部材91は、図39に示すように、ブレーキペダル81のレバー部812のうち後面814とハウジング筒部884の後側とに接続されている。このとき、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー部812から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が伸長するため、復元力が発生する。また、この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。
【0204】
第24実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0205】
(第25実施形態)
第25実施形態では、車両用ブレーキ装置80の弾性部材91の配置が第17実施形態と異なるこれ以外は、第17実施形態と同様である。
【0206】
反力発生部90の弾性部材91は、図40に示すように、第2ハウジング筒部892のうち前側とレバー延長部815のうち延長前面816とに接続されている。このため、車両6の運転者の踏力によってブレーキペダル81が操作されるとき、この踏力に対応する力がレバー延長部815から弾性部材91に伝達される。これにより、弾性部材91が弾性変形、ここでは伸長するため、復元力が発生する。この復元力により、レバー部812に対する反力Frが発生する。
【0207】
第25実施形態においても、第1実施形態および第17実施形態と同様の効果を奏する。
【0208】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0209】
(1)上記実施形態では、車両用ブレーキ装置80は、ストロークセンサ86を備える。これに対して、ストロークセンサ86の数は、1つに限定されないで、2つ以上であってもよい。
【0210】
(2)上記実施形態では、車両用ブレーキ装置80の反力発生部90は、弾性部材91を有する。これに対して、弾性部材91の数は、1つに限定されないで、2つ以上であってもよい。また、車両用ブレーキ装置80の反力発生部90は、ダンパ94を有する。ダンパ94の数は、1つに限定されないで、2つ以上であってもよい。
【0211】
(3)上記実施形態では、車両用ブレーキ装置80は、センサ用電源配線82、センサ用グランド配線83、第1センサ用出力配線841および第2センサ用出力配線842を備えている。各配線の数は、1本や2本に限定されないで、3本以上であってもよい。
【0212】
(4)第1実施形態~第25実施形態が適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0213】
81 ブレーキペダル
811 ペダル部
812 レバー部
88 ハウジング
90 反力発生部
95 ストッパ
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