(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178459
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241217BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024172065
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2020079055の分割
【原出願日】2020-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】宮田 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】北 健太
(57)【要約】
【課題】半導体製造装置における異常の要因分析の時間を短縮すること。
【解決手段】基板処理の第1の処理条件と、第1の処理条件が適用された基板処理に関する第1の処理データと、第1の処理条件とは異なる第2の処理条件と、第2の処理条件が適用された基板処理に関する第2の処理データとを含む処理情報を取得する取得部と、取得部で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御部を有し、表示制御部は、第1の処理データと、第2の処理データとを、それぞれ別の領域に表示する第1画面を表示装置に表示することを特徴とする情報処理装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理の第1の処理条件と、前記第1の処理条件が適用された基板処理に関する第1の処理データと、前記第1の処理条件とは異なる第2の処理条件と、前記第2の処理条件が適用された基板処理に関する第2の処理データとを含む処理情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御部を有し、
前記表示制御部は、前記第1の処理データと、前記第2の処理データとを、それぞれ別の領域に表示する第1画面を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記第1画面と、前記第1の処理データ及び前記第2の処理データを同じ領域に表示する第2画面とを、前記表示装置に選択的に表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第1画面と共に、前記第1の処理データ及び前記第2の処理データを同じ領域に表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理データは、基板処理を行う処理装置の動作結果、及び基板処理が行われた基板の状態を含む情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理条件は、複数の装置で共有して使用される処理条件であるレシピ、及び複数の装置間で共有されない処理条件である装置パラメータを含む条件であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記第1の処理データ及び前記第2の処理データを時系列にグラフ表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、処理条件を変更した変更履歴情報を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部で取得した基板単位の処理データに基づいて、ロット単位の処理データを算出する算出部を更に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記取得部で取得した基板単位の処理データの最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差のいずれか1つの統計処理に基づいて、ロット単位の処理データを算出することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、ユーザによって指定されたロットの処理条件を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
基板処理の第1の処理条件と、前記第1の処理条件が適用された基板処理に関する第1の処理データと、前記第1の処理条件とは異なる第2の処理条件と、前記第2の処理条件が適用された基板処理に関する第2の処理データとを含む処理情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御工程を有し、
前記表示制御工程は、前記第1の処理データと、前記第2の処理データとを、それぞれ別の領域に表示する第1画面を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
前記表示制御工程は、前記第1画面と、前記第1の処理データ及び前記第2の処理データを同じ領域に表示する第2画面とを、前記表示装置に選択的に表示することを特徴とする請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記表示制御工程は、前記第1画面と共に、前記第1の処理データ及び前記第2の処理データを同じ領域に表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載の情報処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
基板上にパターンを形成するパターン形成装置と、を含み、
前記情報処理装置は、前記パターン形成装置を含む複数の装置を管理することを特徴とする物品の製造システム。
【請求項16】
請求項15に記載の製造システムを用いて基板上にパターンを形成する工程と、
前記工程で前記パターンが形成された前記基板を、酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージングの内、少なくとも1つの処理を行う工程と、を含み、
前記処理された基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場には通常、基板を処理する基板処理装置などの半導体製造装置が設置されており、それぞれの稼働状況を把握した上で効率的に基板を処理することが求められる。また、半導体製造装置で異常が発生した場合には、即座に対処を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、半導体製造装置の異常を検知するために、半導体製造装置の処理結果を、複数の基板が属するロット単位で統計処理し、その統計処理結果をグラフ表示する内容が開示されている。これによってユーザは、どのロットで異常が発生しているかを即座に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の基板が属するロット単位でグラフを表示しても、半導体製造装置の処理条件であるレシピの違いによって、どのような傾向があるのかを即座に判断しづらい。レシピが要因となって異常が発生している場合、その要因について判断するためには、各レシピについての情報を整理することが求められ、各レシピの傾向を比較しなければならない。ユーザは、上述したデータの収集や分析をしなければ、各レシピの傾向を判断することができず、発生している異常を解消するまでに多くの時間を費やしてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、半導体製造装置における異常の要因分析の時間短縮に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての情報処理装置は、基板処理の第1の処理条件と、前記第1の処理条件が適用された基板処理に関する第1の処理データと、前記第1の処理条件とは異なる第2の処理条件と、前記第2の処理条件が適用された基板処理に関する第2の処理データとを含む処理情報を取得する取得部と、前記取得部で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御部を有し、前記表示制御部は、前記第1の処理データと、前記第2の処理データとを、それぞれ別の領域に表示する第1画面を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、半導体製造装置における異常の要因分析の時間短縮に有利な技術を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】パターン形成装置の一例としての露光装置を示した図である。
【
図3】情報処理装置のハードウェア構成を示した図である。
【
図5】表示装置における表示処理のフローチャートである。
【
図6】異なるレシピのロットデータを同じグラフに重ねて表示した図である。
【
図7】レシピ毎にロットデータをそれぞれ別のグラフに表示した図である。
【
図10】選択したロットの処理条件を表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態では、複数の装置と、複数の装置を管理する管理装置からなる物品製造システムについて説明する。
図1は物品製造システムを示した図である。本実施形態の物品製造システム100は、ウエハ(基板)にパターン形成を行うパターン形成装置200、処理装置201、検査装置202と、それらの装置を管理する管理装置300とを有する。また、物品製造システム100において、パターン形成装置200、処理装置201、及び検査装置202には、それぞれ1又は複数の装置が含まれる。
【0012】
パターン形成装置200は、パターンが形成されたレチクル(マスク、原版)に光を照射して、レチクルからの光でウエハ上のショット領域にパターンを投影する露光装置を含む。また、パターン形成装置200は、例えば、ウエハ上に供給されたインプリント材と型(原版、モールド)とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型の形状が転写された組成物を形成するインプリント装置を含む。また、パターン形成装置200は、荷電粒子光学系を介して、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線で基板に描画を行って、基板にパターン形成装置を行う描画装置も含む。パターン形成装置200は、これらの方法で基板処理を実行するものである。
【0013】
処理装置201は、例えば、感光媒体などを基板の表面上に塗布する塗布装置、パターンが転写された基板を現像する現像装置など、デバイス等の物品の製造において、露光装置等の装置が実施する工程以外の工程を実施する製造装置も含む。その他にも、処理装置201には、エッチング装置、成膜装置などが含まれる。
【0014】
検査装置202は、例えば、重ね合わせ検査装置、線幅検査装置、パターン検査装置、電気特性検査装置などを含む。ここで、重ね合わせ検査装置とは、多層にパターンが形成された基板において上層のパターンと下層のパターンとの位置ずれの精度を検査する装置である。また、線幅検査装置とは、基板上に形成されたパターンの線幅等の寸法の精度を検査する装置である。また、パターン検査装置とは、パターンが形成された基板上に付着した異物やインプリント材の未充填などによって精度を満たさないパターンの有無を検査する装置である。また、電気特性検査装置とは、パターンが形成された基板から製造された半導体デバイス等の電気特性の精度を検査する装置である。
【0015】
次に、パターン形成装置200の一例として、パターンが形成されたレチクルからの光でウエハを露光する露光装置について説明する。
図2はパターン形成装置の一例としての露光装置を示した図である。本実施例に係る露光装置204は、レチクルステージ及びウエハステージを同期駆動させながら露光するステップアンドスキャン方式の露光装置として説明する。また、露光装置204はスキャナに限られず、ウエハステージを静止させた状態で露光するステップアンドリピート方式の露光装置としても良い。
図2の例では、露光装置204は光源7、照明光学系8、レチクルステージ2、投影光学系3、ウエハステージ6、ウエハチャック5、及び制御部13を有する。また、露光装置204は、レーザ干渉計9、レーザ干渉計10、フォーカスセンサ、ウエハ搬送部12、レチクル搬送部14、及びアライメントスコープ15を有する。また、
図2では、投影光学系3の光軸に平行な方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向をX軸方向及びY軸方向とする。
【0016】
光源7としては、例えば高圧水銀ランプ、ArFエキシマレーザ、及びKrFエキシマレーザなどがある。また、光源7は、露光装置のチャンバ内部にあるとは限らず、外付けになっている構成もありうる。光源7を出た光は照明光学系8を介して、レチクル1を照明する。レチクル1には、感光材が塗布されたウエハ4上に転写するパターンが描画されており、レチクルステージ2に搭載される。レチクルステージ2は、レチクルチャックを介してレチクルを吸着保持し、例えば、リニアモータにより移動可能に構成される。
【0017】
投影光学系3は、レチクル1に描画されたパターンの像を、ウエハチャック5上に載置されたウエハ4上に投影する。パターンの像をウエハ4上に投影する際に、投影光学系3を介して投影倍率(例えば、4分の1)で反転縮小した像が、ウエハ4上に投影される。パターンの像が投影される領域をショット領域とすると、ウエハ4には複数のショット領域が設定され、順次、ショット領域への投影が繰り返し行われる。
【0018】
ウエハステージ6はリニアモータのアクチュエータ等によって駆動されることにより、X方向、Y方向に移動可能である。ウエハチャック5は、ウエハステージ6上に搭載され、ウエハ4を保持する。ウエハステージ6はウエハチャック5をZ方向、θ方向、ωX方向、及びωY方向に位置決めする。このように、ウエハチャック5に保持されたウエハ4は、ウエハステージ6、及びウエハチャック5の駆動によって移動する。
【0019】
レーザ干渉計9は、レチクルステージ2のY方向の位置を計測し、かつレチクルステージ2の姿勢を計測する。レーザ干渉計9には、同様にレチクルステージ2のX方向の位置を計測するためのレーザ干渉計を含む。また、レーザ干渉計10は、ウエハ4を搭載するウエハステージ6のY方向の位置を計測し、かつウエハステージ6の姿勢を計測する。また、レーザ干渉計10には、同様にウエハステージ6のX方向の位置を計測するレーザ干渉計を含む。レチクルステージ2とウエハステージ6とは、レーザ干渉計9、レーザ干渉計10によって計測された位置に基づき、後述の制御部13により位置が制御される。
【0020】
フォーカスセンサは、ウエハ4に対して光を投射する投光系11aと、ウエハからの反射光を受光する受光系11bと、受光系からの光を検出し制御部13へ検出信号を出力する検出部とを含む。投光系11aと受光系11bは、投影光学系3の射出部付近を挟むように設置され、投光系11aがウエハに斜入射光を照射し、受光系11bが反対側で反射した光を取り込む。フォーカスセンサにより検出された検出信号から、後述の制御部13がウエハ4のZ方向の位置を計測して、ウエハステージ6によるウエハ4の移動を制御する。
【0021】
ウエハ搬送部12はウエハ4を搬送する。ウエハ搬送部12は、ウエハ4を収納するウエハ収納容器等からウエハステージ6にウエハ4を搬送する。また、ウエハ搬送部12は、ウエハステージ6からウエハ収納容器等へウエハ4を搬送する。
【0022】
レチクル搬送部14はレチクル1を搬送する。レチクル搬送部14は、レチクル1を収納するレチクル収納容器等からレチクルステージ2にレチクル1を搬送する。また、レチクル搬送部14は、レチクルステージ2からレチクル収納容器等へレチクル1を搬送する。
【0023】
アライメントスコープ15は、ウエハチャック5に保持されたウエハ4の位置決め(アライメント)を行うために、ウエハ4上に形成されたマークを撮像したデジタル画像信号を取得する。アライメントスコープ15は、ウエハ4からの反射光の明るさ、即ち濃淡に応じた濃淡画像信号を出力するイメージセンサと、そのイメージセンサから得られる濃淡画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器を備える。後述の制御部13は、取得されたデジタル画像信号を用いてウエハ4上に形成されたマークの位置を検出して、検出したマークの位置に基づきウエハステージ6を制御してウエハ4の位置決めを行う。
【0024】
制御部13は、露光装置204の各部の動作及び調整などを制御することでウエハ4への露光処理を制御する。制御部13は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、プログラムが組み込まれたコンピュータ、又は、これらの全部又は一部の組み合せによって構成される。また、制御部13は、露光装置204の他の部分と一体で(共通の筐体内に)構成しても良いし、露光装置204の他の部分とは別体で(別の筐体内に)構成しても良い。また、制御部13は、後述の記憶装置等から取得した情報を適用して、ウエハ4への露光処理(パターン形成処理)を実行するように制御する。
【0025】
次に、管理装置300について説明する。
図3は情報処理装置のハードウェア構成を示した図である。情報処理装置はCPU301、ROM302、RAM303、記憶装置304、入力装置305、表示装置306、通信装置307を含む。情報処理装置の各ハードウェア構成は、プログラムに従って機能する。
図3の例では、CPU301は、プログラムに従って制御のための演算を行い、バス308に接続された各構成要素を制御する処理装置である。ROM302は、データ読出し専用のメモリであり、プログラムやデータが格納されている。RAM303は、データ読み書き用のメモリであり、プログラムやデータの保存用に用いられる。RAM303は、CPU301の演算の結果等のデータの一時保存用に用いられる。記憶装置304も、プログラムやデータの保存用に用いられる。記憶装置304は、情報処理装置のオペレーティングシステム(OS)のプログラム、及びデータの一時保存領域としても用いられる。
【0026】
記憶装置304は、RAM303に比べてデータの入出力は遅いが、大容量のデータを保存することが可能である。記憶装置304は、保存するデータを長期間にわたり参照できるように、永続的なデータとして保存できる不揮発性記憶装置であることが望ましい。記憶装置304は、主に磁気記憶装置(HDD)で構成されるが、CD、DVD、メモリカードといった外部メディアを装填してデータの読み込みや書き込みを行う装置であっても良い。
【0027】
入力装置305は、情報処理装置に文字やデータを入力するための装置であり、各種のキーボードやマウスなどが該当する。表示装置306は、管理装置300のユーザインターフェースとしての役割を果たし、情報処理装置の操作に必要な情報や処理結果などを表示するための装置であり、CRT又は液晶モニターなどが該当する。表示装置306は、例えばタッチパネルのように、画面にタッチして操作可能である場合については、入力装置305の役割も果たす。また、入力装置305と表示装置306については、管理装置300の一部として説明したがこれに限られず、例えば、パターン形成装置200の一部としても良い。
【0028】
通信装置307は、ネットワークに接続してTCP/IP等の通信プロトコルによるデータ通信を行い、他の装置と相互に通信を行う場合に使用される。また、情報処理装置には高速な演算処理を可能とするために、GPU(Graphics ProcessorUnitの略。)が構成されていても良い。管理装置300は情報処理装置であり、通信装置307を介して複数の露光装置204とデータを通信するために接続している。
【0029】
図4は管理装置300におけるCPU301の構成を示す図である。CPU301は、取得部401、蓄積部402、算出部403、及び表示制御部404を含む。
図5は露光装置で発生している異常を分析するためのユーザインターフェースの表示処理を示したフローチャートである。
【0030】
以下、
図4及び
図5を参照して、本実施形態の管理装置300における表示装置306の表示処理について説明する。本実施形態では、表示装置306の表示によって、露光装置204における異常の要因分析の時間を短縮することが可能である。本実施形態における異常とは、露光装置204が停止してしまうほどの重大なものや、露光装置204の精度が低下してしまうような生産性に影響を与えるものも含む。
【0031】
図5のフローチャートについて説明する。ステップS501において、取得部401は、露光装置204の処理情報を取得する。露光装置204の処理情報は、露光装置204の処理データ、及び露光処理時に適用された処理条件を含む。露光装置204の処理データとは、露光装置204の動作結果や、露光装置204によって露光されたウエハの状態を含む情報であり、具体的な内容としては、同期精度データ、アライメント精度データ等である。同期精度データとは、対象のショット領域を露光するためにレチクルステージ2とウエハステージ6を、例えばY軸方向において同期して駆動させる期間におけるレチクルステージ2とウエハステージ6との相対的な位置の誤差を示すデータである。またアライメント精度データとは、対象のウエハ4上に形成されたマークを撮像して得られたデジタル画像信号の波形データやデジタル画像信号の評価(波形データの対称性、デジタル画像信号のコントラスト)を示すデータである。
【0032】
露光処理時に適用された処理条件とは、生産したいウエハのレシピ毎に決められるレシピや、露光装置204毎に決められる装置パラメータである。レシピは、複数の露光装置間で共有して使用される処理条件であり、装置パラメータは、複数の露光装置間で共有されない処理条件である。レシピとしては、例えば、ウエハに露光する際の露光量や、露光済みパターンに追従するための個別の補正値及び補正アルゴリズムの選択等が挙げられる。装置パラメータとしては、例えば、投影光学系の補正値やウエハステージの制御方法及び制御パラメータなどが挙げられる。また、処理条件はこれに限られず、他の処理条件を定めるパラメータを表示しても良い。
【0033】
次に、ステップS502において、ステップS501で取得した露光装置204の処理データ、及び処理条件を蓄積部402に蓄積させる。処理データは、例えば、ウエハ単位(基板単位)の処理データを蓄積部402に蓄積する。
【0034】
ステップS503において、算出部403は、蓄積部402により蓄積されたウエハ単位の処理データに基づいて、ロット単位の処理データであるロットデータを算出する。ロットデータは、ウエハ単位の処理データの統計値(例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差)によって算出される。また、ロットデータは、算出部403によって算出されるのではなく、露光装置304において算出されても良い。例えば、露光装置304で算出されたロットデータを、取得部401が露光装置204から取得してステップS504に進んでも良い。
【0035】
ステップS504において、表示制御部404は、ステップS503で算出されたロットデータを表示装置306に出力し、表示装置306に
図6のように表示するよう制御する。グラフ601は、異なるレシピが適用されたロットデータを1つのグラフに重ねて同じ領域に表示しているグラフである。グラフ601は時系列表示されており、グラフ601の横軸は露光処理が実行された時間、縦軸はロット単位の処理データの値であるロットデータ値を示している。
【0036】
切り替えボタン602、603は、グラフ601の表示方法を変更することができる。
図6は、切り替えボタン602が選択された状態である。ユーザは、切り替えボタン603を選択することで、グラフ601の表示方法を変更することができる。切り替えボタン601、602は統合して1つのボタンとしても良い。
【0037】
ステップS505において、表示制御部404は、グラフの表示方法が変更されたかを判断する。即ち、ユーザが切り替えボタン603を選択したかどうかを判断する。切り替えボタン603が選択された場合には、ステップS506へと進む。切り替えボタン603を選択する方法は、マウス、キーボード、タッチパネルなどのコンピュータ用入力機器およびこれを制御するプログラムによって実現される。
【0038】
ステップS506において、表示制御部404は、ステップS503で算出されたロットデータを表示装置306に出力し、表示装置306においてロットデータを
図7のように表示するよう制御する。グラフ701は、レシピ毎に表示する領域を分けており、それぞれ別のグラフにロットデータが表示されたグラフである。グラフ701は時系列表示されており、グラフ701の横軸は露光処理が実行された時間であり、レシピによって分かれている。縦軸はロット単位の処理データの値であるロットデータ値を示す。スクロールバー705は、グラフ701の表示位置を変更するためのものであり、
図7では表示されていない範囲のロットデータを表示装置306に表示することができる。また、ユーザは、レシピ毎にロットデータがそれぞれ別のグラフに表示されている
図7の状態で切り替えボタン602を選択することで、異なるレシピが適用されたロットデータを1つのグラフに重ねて表示する
図6の状態に戻すこともできる。
【0039】
設定ボタン704は、表示するグラフの時間範囲をレシピ毎に揃えて表示するかを設定するためのものである。
図7に示すように、設定ボタン704がONの状態では、グラフ701のようにそれぞれのレシピで同じ時間範囲のグラフが表示される。一方、
図8は、設定ボタン704がOFFの状態を示す図である。
図8は、
図7と同様にレシピ毎にそれぞれ別のグラフにロットデータを表示している図であるが、グラフ711では、表示される時間の範囲がレシピによって異なる。したがって、ある特定のレシピで時間による変化がある場合に、1つのレシピについて全体的な傾向を見ることができるため、その傾向を判断しやすい表示となっている。また、スクロールバー705によって、表示したいレシピやその時間の範囲を変更することができる。
【0040】
ステップS507おいて、ユーザによって画面の終了が選択されたら、表示装置306の表示は終了される。
【0041】
ユーザは、異常が発生している要因を分析するために、上述したように、その要因を特定するために最適なグラフ表示を選択的に切り替えることができる。例えば、
図6に示すグラフでは、ロットデータの表示が重なっていなければレシピの傾向を判断することができるが、ロットデータの表示が重なっている場合にそれぞれのレシピにどのような傾向があるかを判断することは難しい。一方、
図7に示すグラフでは、グラフが複数あることによって時間の表示範囲が狭いため、レシピの全体の傾向を一目で判断することはできないが、スクロールバー705を動かすことによって、レシピ毎にどのような傾向があるのかを判断することが可能である。
図7では、レシピAやレシピBと比較してレシピDのロットデータの値が大きいことをユーザが即座に判断できるため、異常を解消する対処を迅速に実行することができる。レシピCは、グラフ701で表示している時間ではウエハを処理していないことが分かる。また、
図6のグラフ601、
図7のグラフ701、
図8のグラフ711は、それぞれ切り替え表示とせず、表示装置306内に共に表示される形態であっても良い。
【0042】
また、上記の説明では、ロットデータを1つのロットの処理データの統計値であると説明したがこれに限られず、同じレシピを適用した複数のロットの処理データの統計値であっても良い。また、本実施形態では、
図7や
図8でレシピ毎にそれぞれ別のグラフにロットデータを表示すると説明したがこれに限られず、露光装置304毎にそれぞれ別のグラフにロットデータを表示しても良い。
【0043】
以上のように、本実施形態では、表示装置306においてロットデータをレシピ毎に異なるグラフを表示することができるため、レシピの要因における異常を解消するまでの時間を短縮することが可能である。
【0044】
<第2実施形態>
本実施形態では、ロットデータと共に、露光する処理条件が変更された情報である変更履歴情報を表示する例について説明する。尚、本実施形態で言及しない事項については、第1実施形態に従う。
【0045】
図9は、
図8で示したグラフ表示に、変更履歴情報を併せて表示した図である。変更履歴情報とは、処理条件や、処理条件が適用された時間に関する情報である。線712a、712bは、レシピパラメータが変更された時間をグラフ711上に表記したものであり、線712a、712bの前後でレシピパラメータが変更されたことを示す。線713a、713bは、装置パラメータが変更された時間をグラフ711上に表記したものであり、線713a、713bの前後で装置パラメータが変更されたことを示す。
【0046】
処理条件714は、線712a、712bに対応するレシピパラメータの変更内容を表している。設定値1と設定値3は、線712aで示す時間に変更されており、線712bで示す時間に最初のレシピパラメータに戻されている。設定値2に関しては変更されていない。処理条件715は、線713a、713bに対応する装置パラメータの変更内容を表している。設定値5と設定値6は、線713aで示す時間に変更されており、線713bで示す時間に最初の装置パラメータに戻されている。設定値4に関しては変更されていない。
【0047】
線712a、712b、713a、713bは、処理条件を変更する時間の前と後で、ロットデータの傾向の違いがあるかどうかを、ユーザが視覚的に判断するのに役立つ。ユーザは、線712a、712b、713a、713bの前後の時間でロットデータの傾向の違いがあるかどうかを確認し、違いがある場合には即座に対応することができる。
【0048】
図9に示した例では、まずユーザは、線712a、712b、713a、713bを確認する。このとき、ロットデータの変化が、線713aにおける設定の変更で発生していることが分かる。そこでユーザは、線713bにおける設定の変更において、設定値5と設定値6を元の装置パラメータに戻す変更を行う。その結果、線713b以後の時間でのロットデータは、線713a以前の時間のロットデータの傾向へと修正されている。
【0049】
また、上記の説明では、処理条件が適用された時間に関する情報を、線712a、712b、713a、713bによって示したがこれに限られず、グラフ711の時間が指定できる矢印やマークなどでも良い。また、処理条件として、処理条件714、715のレシピパラメータや装置パラメータ以外にも、処理条件を定めるパラメータを表示しても良い。
【0050】
以上のように、本実施形態では、露光する処理条件が変更された情報である変更履歴情報を表示することで、露光装置304の異常を分析しやすくし、異常を解消するまでの時間を短縮することが可能である。
【0051】
<第3実施形態>
本実施形態では、ユーザが指定したロットに関する処理条件を表示する例について説明する。尚、本実施形態で言及しない事項については、第1実施形態に従う。
【0052】
図10は、
図8で示したグラフ表示に、ユーザが指定したロットに関する処理条件を表示した図である。また、ロットの指定は、グラフ711にプロットされているロットデータをユーザが選択することや、ロット名を入力することにより実行される。ロットを指定する方法は、マウス、キーボード、タッチパネルなどのコンピュータ用入力機器及びこれを制御するプログラムによって実現される。
【0053】
処理条件724はロットデータ722a~722cにおいて適用されたレシピパラメータを示している。処理条件725はロットデータ722a~722cにおいて適用された装置パラメータを示している。処理条件724及び処理条件725に表示されるパラメータは、ユーザがロットデータ722a~722cを比較しやすいように、差分のあるパラメータを強調表示しても良いし、差分のあったパラメータのみを表示しても良い。また、予め設定された優先順に基づいて表示しても良いし、予め設定された情報により不要としたパラメータは表示しないようにしてもよい。
【0054】
図10に示した例では、まずユーザは、グラフ711からロットデータの変化の特徴点を探す。その特徴点とその周辺のロットデータ722a~722cを指定する。表示装置306はロットデータ722a~722cに対して、適用された処理条件724、725を表示する。ユーザは表示された処理条件724、725から、設定値1、設定値3、設定値5、設定値6の変更が、ロットデータの傾向の変化に関連していると判断することができる。したがって、ユーザは、設定値1、設定値3、設定値5、設定値6について異常を解消するように設定を修正すればよい。
【0055】
また、第2実施形態と本実施形態を組み合わせた変形例として、グラフ711に
図9の線712a、712b、713a、713bを表示したまま、ユーザによって指定されたロットデータに関する処理条件724、725を示しても良い。
【0056】
以上のように、本実施形態では、ユーザが指定したロットの処理条件を表示することで、どの処理条件において異常が発生しているかを把握しやすくなり、異常を解消するまでの時間を短縮することが可能である。
【0057】
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、上記の物品の製造システムを用いて基板に原版のパターンを形成する形成工程と、該形成工程でパターンが形成された基板を加工する加工工程とを含みうる。更に、かかる物品製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
200 パターン形成装置
300 管理装置
306 表示装置
401 取得部
404 表示制御部