(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178493
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】保冷ボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20241218BHJP
F25D 3/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B65D81/38 Q
F25D3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096637
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】岡田 邦広
(72)【発明者】
【氏名】池田 有佑
(72)【発明者】
【氏名】内海 夕香
【テーマコード(参考)】
3E067
3L044
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AC03
3E067BA05A
3E067BB12A
3E067BB17A
3E067BB25A
3E067BC06A
3E067CA18
3E067EB17
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA02
3E067GA11
3E067GD01
3L044AA04
3L044BA01
3L044CA11
3L044DC04
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】本開示は、被保冷物の温度変化をより小さくすることができる保冷ボックスを提供する。
【解決手段】本開示に係る保冷ボックスは、複数の壁部により区画された主保冷スペースと、前記複数の壁部のうちの一の壁部内に形成された副保冷スペースと、を有する筐体と、前記筐体に配された複数の保冷剤と、を備え、前記一の壁部は、前記主保冷スペースと副保冷スペースとの間に位置し、前記保冷剤が配された内壁と、前記副保冷スペースを介して前記内壁と対向しており、前記保冷剤が配された外壁と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁部により区画された主保冷スペースと、前記複数の壁部のうちの一の壁部内に形成された副保冷スペースと、を有する筐体と、
前記筐体に配された複数の保冷剤と、
を備え、
前記一の壁部は、
前記主保冷スペースと副保冷スペースとの間に位置し、前記保冷剤が配された内壁と、
前記副保冷スペースを介して前記内壁と対向しており、前記保冷剤が配された外壁と、
を有する保冷ボックス。
【請求項2】
前記内壁は、前記内壁と前記外壁との対向方向において前記外壁に対して相対的に変位可能である、請求項1に記載の保冷ボックス。
【請求項3】
前記外壁及び前記内壁のうちの一方を他方側に付勢する付勢部材をさらに備える、請求項2に記載の保冷ボックス。
【請求項4】
前記副保冷スペースは、副保冷スペース開口部を有し、
前記内壁及び前記外壁のうちの少なくとも一方に設けられており、前記副保冷スペース開口部を閉鎖可能な閉鎖部材をさらに備える、請求項2又は3に記載の保冷ボックス。
【請求項5】
前記閉鎖部材は、前記内壁に設けられた第1閉鎖部材と、前記外壁に設けられており、前記第1閉鎖部材に対して着脱可能な第2閉鎖部材とを含む、請求項4に記載の保冷ボックス。
【請求項6】
前記閉鎖部材は、前記内壁に接続されており、前記外壁の外側に至るように折り曲げられて前記副保冷スペース開口部を閉鎖可能なタブを含む、請求項4に記載の保冷ボックス。
【請求項7】
前記主保冷スペースは、上方に向かって開口する主保冷スペース開口部を有し、
前記複数の壁部は、
前記主保冷スペースの底面を構成している底壁部と、
前記底壁部から上方に向かって延びる複数の側壁部と、
を有し、
前記複数の側壁部のそれぞれが、前記内壁と前記外壁とを備えている、請求項1又は2に記載の保冷ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保冷ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、冷凍食品等を保冷した状態で保存するための保冷ボックスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度変化をより小さくして保冷可能な保冷ボックスが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は上記問題に鑑み、被保冷物の温度変化をより小さくすることができる保冷ボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様では、複数の壁部により区画された主保冷スペースと、複数の壁部のうちの一の壁部内に形成された副保冷スペースと、を有する筐体と、筐体に配された複数の保冷剤と、を備え、一の壁部は、主保冷スペースと副保冷スペースとの間に位置し、保冷剤が配された内壁と、副保冷スペースを介して内壁と対向しており、保冷剤が配された外壁と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、被保冷物の温度変化をより小さくすることが可能な保冷ボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係る保冷ボックスの斜視図であり、閉状態を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る保冷ボックスの斜視図であり、開状態を示す図である。
【
図5】
図5は、副保冷スペースに被保冷物を収納した様子を示す断面図である。
【
図6】
図6は、不使用時の様子を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本開示に係る保冷ボックスの変形例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示に係る保冷ボックスのさらなる変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本開示に係る保冷ボックス100の斜視図であり、閉状態を示す図である。
図2は、本開示に係る保冷ボックス100の斜視図であり、開状態を示す図である。
図1及び
図2に示すように、本開示に係る保冷ボックス100は、筐体1と、筐体1に配された複数の保冷剤2とを備える。
【0011】
筐体1は、主保冷スペースS1と、副保冷スペースS2と、を有する。また、筐体1は、上方に向かって開口する2つの開口部O、つまり主保冷スペース開口部O1及び副保冷スペース開口部O2を有する。筐体1は、複数の壁部10を備える。
【0012】
複数の壁部10は、主保冷スペースS1の底面を構成している底壁部12、底壁部12から上方(+Z方向)に向かって延びる複数の側壁部11、側壁部11から伸び2つの開口部Oを覆うように設けられた上壁部13と、を備える。なお、
図1及び
図2では複数の側壁部11は、4つの側壁部11を備えている。
【0013】
上壁部13は、折り返して一の側壁部11の一部を覆う被覆部14を備える。例えば、被覆部14と一の側壁部11の間にマジックテープ(登録商標)40を設け、上壁部13と一の側壁部11を留めることができる。マジックテープ(登録商標)は、係合側部材と、被係合側部材とを有している。係合側部材は、例えば、シート状の基材の上に設けられた複数の係合部を有しており、被係合側部材は、機材の上に設けられており、係合部に対して着脱可能に係合可能な複数の被係合部を有している。係合側部材の複数の係合部と、被係合部材の複数の被係合部とが相互に係合し合うことにより、係合側部材と被係合側部材とが接合され、係合部と被係合部との係合状態が解除されると係合側部材と被係合側部材とが隔離可能になる。
【0014】
なお、
図1及び
図2では、上壁部13が上方に開口可能となるよう設けられているが、一の側壁部11が開閉可能となるよう設けられていてもよい。
【0015】
主保冷スペースS1は、複数の壁部10により区画されている。
【0016】
副保冷スペースS2は、上記複数の壁部10のうちの一の壁部内に形成されている。
【0017】
複数の壁部10の材質は、特に限定されない。複数の壁部10は、例えば樹脂シートなどの樹脂機材により構成されていてもよい。複数の壁部10は、例えば、金属シートなどを介在させて対向する複数の樹脂シートにより構成されていてもよい。また、複数の壁部10は、互いに対向する複数の面状の壁部片を有しており、対向する壁部片の間に空間(空気層や減圧層)が設けられていてもよい。複数の壁部10は、可撓性を有することが好ましい。
【0018】
外壁11b、底壁部12,上壁部13については、発泡スチロールや発泡ウレタンのような断熱材にアルミシートを貼り合わせたものが考えられる。内壁11aはポリエチレンのような断熱シート等の空気を封じ込めた多数の小室を有するクッション性シートにアルミニウム箔を貼り合わせて被覆させたもの等が用いられる。また、内壁11aは、可撓性が好ましい。なお内壁11aと外壁11bとは、同じ材質であってもよいが、異なる材質であってもよい。
【0019】
なお、
図1及び
図2等に示す保冷ボックス100は、箱型を例示したがこれに限定されるものではなく、円柱型等でもよい。
【0020】
図3は、III-III断面図である。
図4は、IV-IV断面図である。
図3及び
図4に示すように、保冷ボックス100は、筐体1に配された複数の保冷剤2を備える。
【0021】
保冷剤2は、複数の壁部10のそれぞれの内部に設けられた空洞内に収容されている。複数の壁部10は、例えば袋状としてもよい。
【0022】
また、
図3及び
図4に示すように、一の壁部は、保冷剤2が配された内壁11aと、保冷剤2が配された外壁11bと、を有する。内壁11aは主保冷スペースS1と副保冷スペースS2との間に位置し、外壁11bは副保冷スペースS2を介して内壁11aと対向している。副保冷スペースS2は、少なくとも、内壁11aと外壁11bから形成されている。
また、副保冷スペースS2は、その上部(+Z)に副保冷スペース開口部O2を有する。
【0023】
図3及び
図4では、一の壁部に副保冷スペースS2が設けられているが、複数の壁部10のうち一以上の壁部に副保冷スペースS2が設けられていてもよい。すなわち、副保冷スペースS2は、少なくとも、複数の側壁部11の1以上、底壁部12、上壁部13のいずれか1以上に設けてもよい。また、副保冷スペースS2は、複数の側壁部11のそれぞれ全ての側壁部11に設けてもよい。複数の側壁部11のそれぞれ全ての側壁部11に内壁11aと外壁11bとを設けてもよい。副保冷スペースS2を多く設けることで、温度変化が抑制されたスペースを増やすことができる。
【0024】
また、保冷剤2は、少なくとも、内壁11aと外壁11bに収容される。また、保冷剤2は、少なくとも、複数の側壁部11の1以上、底壁部12、上壁部13のいずれか1以上に収容されてもよい。また、保冷剤2は、複数の側壁部11の全ての側壁部11に設けてもよい。
【0025】
図5は、副保冷スペースS2に被保冷物Xを収納した様子を示す断面図である。
図5に示すように、被保冷物Xは、内壁11a及び外壁11bの二重壁で構成している副保冷スペースS2に収納できるので、かつ内壁11a内に収納された保冷剤2と外壁11bに収納された保冷剤2とで挟むことができるので、高い保冷特性を実現し、被保冷物Xの温度変化をより小さくすることができる。
【0026】
副保冷スペースS2に収納される被保冷物Xは、その温度変化をより小さくし、低い温度帯を維持して保冷可能である。よって、副保冷スペースS2に収納される被保冷物Xは、乳固形分3%以上含有するもの、乳固形分10%以上で乳脂肪分3%以上含有するもの、乳固形分15%以上かつ乳脂肪分8%以上含有するもの、乳固形分25%以上かつ乳脂肪分が15%以上含有するものが好ましい。また、被保冷物Xは、冷凍食品、アイスクリーム、生クリームが多いケーキ等が挙げられる。
【0027】
また、主保冷スペースS1は、内壁11a及び外壁11bの二重壁を備えるので、主保冷スペースS1内の温度変化もより小さくすることが可能である。
【0028】
図6は、不使用時の様子を示す断面図である。
図6に示すボックスは、保冷剤2が内壁11aや外壁11bなどの側壁部11には収容されていない。
図6に示すように、保冷剤2や被保冷物Xを収容及び収納しない不使用時には、内壁11aと外壁11bの間の距離を小さくし、保冷ボックス100を収納する際、省スペース化となる。また、内壁11aに保冷剤2を収納せず、外壁11bのみ保冷剤2を収納し使用することも可能である。
【0029】
保冷剤2は、蓄冷材と蓄冷材を収容する容器を備えてもよい。蓄冷材は、液体であってもよい。好ましく用いられる蓄冷材の具体例としては、例えば、アンモニウム塩を含む水溶液が挙げられる。アンモニウム塩の具体例としては、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等が挙げられる。蓄冷材は、アルカリ金属の塩化物、アルカリ土類金属の塩化物、尿素、凝固点調整剤等をさらに含んでいてもよい。
【0030】
蓄冷材は、-18℃~-20℃程度の温度範囲に融解開始温度を有していてもよい。-18℃~-20℃程度の温度範囲に融解開始温度を有する蓄冷材としては、例えば、塩化アンモニウムと臭化アンモニウムとの少なくとも一方を含む水溶液等が挙げられる。
【0031】
蓄冷材は、-20℃~-23℃程度の温度範囲に融解開始温度を有していてもよい。-20℃~-23℃程度の温度範囲に融解開始温度を有する蓄冷材としては、例えば、塩化アンモニウム塩などのアンモニウム塩と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物と、尿素とを含む水溶液等が挙げられる。
【0032】
蓄冷材は、-24℃以下の温度範囲に融解開始温度を有していてもよい。-24℃以下の温度範囲に融解開始温度を有する蓄冷材としては、例えば、-20℃~-23℃程度の温度範囲に融解開始温度を有する蓄冷材として例示される水溶液に、融点調整剤がさらに添加された水溶液等が挙げられる。融点調整剤の具体例としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
【0033】
以下に、好ましい形態の一例について説明する。
【0034】
図3に示すように、副保冷スペース開口部O2の周辺に閉鎖部材30を備えることが好ましい。このようにすれば、副保冷スペース開口部O2の面積を小さくでき、副保冷スペースS2と、外の空気との熱交換が少なくなるので、被保冷物Xの温度変化をさらに小さくすることが可能である。なお、閉鎖部材30は、内壁11a及び外壁11bのうちの少なくとも一方に設けられていれば良い。閉鎖部材30は、マジックテープ(登録商標)や磁石等が挙げられる。磁石は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
【0035】
図4に示すように、内壁11aは、内壁11aと外壁11bとの対向方向(X方向)において外壁11bに対して相対的に変位可能とすることが好ましい。このようにすれば、被保冷物Xと内壁11a及び外壁11bとを密着できるので、被保冷物Xの温度変化をさらに小さくすることが可能である。内壁11aと外壁11bとの対向方向(X方向)において外壁11bに対して相対的に変位可能とするため、内壁11aと外壁11bとをつなぐ接続部11cを設ければよい。また、接続部11cは蛇腹状にすればよい。
【0036】
図7は、本開示に係る保冷ボックス100の変形例を示す斜視図である。
図7に示すように、上壁部13は、折り返して一の側壁部11の一部を覆う被覆部14を複数設けることができる。このようにすれば、主保冷スペースS1及び副保冷スペースS2と、外の空気との熱交換が少なくなるので、被保冷物Xの温度変化をさらに小さくすることが可能である。
【0037】
図8は、
図7に示すVIIIの方向からみた図である。
図8に示すように、外壁11b及び内壁11aのうちの一方を他方側に付勢する付勢部材20をさらに備えることが好ましい。このようにすれば、常に被保冷物Xと内壁11a及び外壁11bとを密着できる。また、保冷ボックス110の運搬中にも被保冷物Xと内壁11a及び外壁11bとを密着できる。よって、被保冷物Xの温度変化をさらに小さくすることが可能である。付勢部材20は、ひもや、ゴムなどの弾性部材等が挙げられる。樹脂製のバックルやベルト通しを用いた紐やベルトでも良い。
【0038】
図9は、本開示に係る保冷ボックス100のさらなる変形例を示す断面図である。
図9に示すように、閉鎖部材30は、内壁11aに設けられた第1閉鎖部材31と、外壁11bに設けられており、第1閉鎖部材31に対して着脱可能な第2閉鎖部材32とを含む。
【0039】
さらに、
図9に示すように、閉鎖部材30は、内壁11aに接続されており、外壁11bの外側に至るように折り曲げられて副保冷スペース開口部O2を閉鎖可能なタブ50を含むことが好ましい。つまり、タブ50は、内壁11aの上方(+Z)から外壁11bの外側の一部を覆うように折り曲げられている。そして、外壁11bの上部かつ外側に第1閉鎖部材31が設けられ、タブ50に第2閉鎖部材32が設けられている。このようにすれば、副保冷スペース開口部O2を塞ぐことができ、被保冷物Xの温度変化をより小さくすることが可能である。
【0040】
以上より、本開示に係る保冷ボックス100、110によれば、被保冷物Xの温度変化をより小さくすることが可能である。
【0041】
なお、上記のように本開示の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本開示の範囲に含まれるものとする。
【0042】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、保冷ボックスの構成、動作も本開示の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体、2 保冷剤、
10 複数の壁部、11 側壁部、11a 内壁、11b 外壁、11c 接続部、12 底壁部、13 上壁部、14 被覆部、
20 付勢部材、
30 閉鎖部材、31 第1閉鎖部材、32 第2閉鎖部材、
40 マジックテープ(登録商標)、
50 タブ、
100、110 保冷ボックス、
O 開口部、O1 主保冷スペース開口部、O2 副保冷スペース開口部、S1 主保冷スペース、S2 副保冷スペース、X 被保冷物