(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178496
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】包装体の検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20241218BHJP
G01M 3/38 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
G01M3/38 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096652
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑野 修至
(72)【発明者】
【氏名】善木 智義
【テーマコード(参考)】
2G051
2G067
【Fターム(参考)】
2G051AA11
2G051AB02
2G051AC11
2G051CA03
2G051CA04
2G067AA47
2G067BB17
2G067CC04
2G067DD10
2G067DD11
(57)【要約】
【課題】包装体を高精度で検査できる検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】第1シート部21と、第1シート部21に対向する第2シート部と、第1シート部21と第2シート部が互いに固定されているシール部23と、第1シート部21と第2シート部が互いに固定されていない非固定部24と、を有している包装体20であって、非固定部24の一部に内容物25が封入されている包装体20を準備するステップと、包装体20を載置台30に載置するステップと、シール部23の少なくとも一部及び非固定部24の少なくとも一部に重なるように透明部材50を包装体20の上に置くステップと、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び非固定部24をカメラで撮像するステップと、を有している検査方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体であって、前記非固定部の一部に内容物が封入されている包装体を準備するステップと、
前記包装体を載置台に載置するステップと、
前記シール部の少なくとも一部及び前記非固定部の少なくとも一部に重なるように透明部材を前記包装体の上に置くステップと、
前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記非固定部をカメラで撮像するステップと、を有している検査方法。
【請求項2】
前記透明部材は前記内容物に重ならないように前記包装体の上に置かれる請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記包装体は、前記シール部の一方側に前記内容物が封入されている中央非固定部を有しており、前記シール部の他方側に前記内容物が封入されていない端部非固定部を有している請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記透明部材は、前記シール部の少なくとも一部及び前記中央非固定部の少なくとも一部に重なるように前記包装体の上に置かれ、前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記中央非固定部を撮像する請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
前記透明部材は、前記シール部の少なくとも一部及び前記端部非固定部の少なくとも一部に重なるように前記包装体の上に置かれ、前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記端部非固定部を撮像する請求項3に記載の検査方法。
【請求項6】
前記透明部材は、前記シール部の少なくとも一部と前記中央非固定部の少なくとも一部と前記端部非固定部の少なくとも一部に重なるように前記包装体の上に置かれ、前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部と前記中央非固定部及び/又は前記端部非固定部を撮像する請求項3に記載の検査方法。
【請求項7】
前記透明部材は、前記シール部全体に重なるように前記包装体の上に置かれる請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項8】
前記シール部の延在方向において、前記透明部材の長さは前記シール部の長さよりも長い請求項7に記載の検査方法。
【請求項9】
前記カメラはラインスキャンカメラである請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項10】
第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体であって、前記非固定部の一部に内容物が封入されている包装体の検査装置であって、
前記包装体が載置されている載置台と、
前記シール部と前記非固定部の少なくとも一部が重なるように透明部材を前記包装体の上に置く供給部と、
前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記非固定部を撮像するカメラと、を有している検査装置。
【請求項11】
前記包装体は、前記シール部の一方側に前記内容物が封入されている中央非固定部を有しており、前記シール部の他方側に前記内容物が封入されていない端部非固定部を有している請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記シール部の延在方向において、前記透明部材の長さは前記シール部の長さよりも長い請求項10又は11に記載の検査装置。
【請求項13】
前記カメラはラインスキャンカメラである請求項10又は11に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な製品は、製品本来の性能を発揮させたり、製品の安全性を確保したりするために、製品に欠陥がないかを検査する必要があり、対象製品に応じて検査方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、織布や不織布といったシートにおいて、紡糸や撚糸の工程で残留した毛羽やロール等の部品に接触したことによる欠陥を検査するために、回転体に接触して搬送されるシートの欠陥を検査する欠陥検査装置であって、シートと回転体とが接触して形成される面の中心点Pにおけるシートの搬送方向に対向する位置に受光面を有する撮像手段を備え、中心点Pと回転体の回転軸とで形成される面と受光面とのなす角度が10度以内であることを特徴とする装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、主に縫製品の欠陥検査に用いられ、部分的に弛んだ弛み部を持つ検査対象物に存在する欠陥を検出する装置であって、検査対象物を保持するワークホルダと、ワークホルダに保持された検査対象物の画像データを取得する撮像部と、画像データ、又は画像データに画像処理を施すことにより生成された処理画像データに基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを備え、ワークホルダは、検査対象物が置かれる載置面を持った検査テーブルと、検査テーブルの載置面に設けられた台座と、押え板とを有し、台座は載置面上の所定位置に検査対象物が置かれたときに弛み部の背後に潜り込んだ状態となる欠陥検査装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、シート状ワークに変形やたわみが生じている場合でも検査精度を向上できる検査方法及び装置を提供することを課題とし、検査ステージ上に載置され、且つ、ステージと上に重ねられたガラス板とにより挟持されているシート状ワークを、ステージの上方に配された撮像手段により、該撮像手段をステージに沿って移動させながら撮像し、ガラス板の表面に接触するローラーを撮像手段と共に回転移動させ、該ローラーにより撮像手段の視野近傍に位置するガラス板の表面を実質的に同一の押圧力で押さえつける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-156343号公報
【特許文献2】特開2015-190899号公報
【特許文献3】特開2002-5638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食品や医薬品、医療機器等の高衛生状態を保つことが求められる物品を包装する際には、包装体の内部に雑菌が混入したり内容物が外気に触れたりして不衛生な状態とならないように、内容物を入れた後に包装体の開口部をシールして包装体を密封することが行われる。このとき、シール部にピンホールや異物混入等の欠陥が生じていないかどうかを検査することにより、包装体の気密性を確認する必要がある。
【0008】
上記特許文献2及び3では、押え板やガラス板で検査対象部位を押さえつけて検査対象物を撮像することによって検査対象物に存在する欠陥を検出しているが、検査精度の点で改善の余地があった。上記の事情に鑑み、本発明は、包装体を高精度で検査できる検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係る包装体の検査方法は、以下の通りである。
[1]第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体であって、前記非固定部の一部に内容物が封入されている包装体を準備するステップと、前記包装体を載置台に載置するステップと、前記シール部の少なくとも一部及び前記非固定部の少なくとも一部に重なるように透明部材を前記包装体の上に置くステップと、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記非固定部をカメラで撮像するステップと、を有している検査方法。
【0010】
上記検査方法によれば、載置台に載置された包装体の上に透明部材を置き、載置台と透明部材に挟まれた検査対象部位をカメラで撮像して検査を行うため、ピントのずれを防止して精度の高い検査を行うことができる。このとき、透明部材はシール部の少なくとも一部及び非固定部の少なくとも一部に重なるように包装体の上に置かれるため、非固定部を比較対照することでシール部の気密状態を高精度で検査することが可能である。
【0011】
本発明の実施形態に係る包装体の検査方法は、以下の[2]~[9]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記透明部材は前記内容物に重ならないように前記包装体の上に置かれる[1]に記載の検査方法。
[3]前記包装体は、前記シール部の一方側に前記内容物が封入されている中央非固定部を有しており、前記シール部の他方側に前記内容物が封入されていない端部非固定部を有している[1]又は[2]に記載の検査方法。
[4]前記透明部材は、前記シール部の少なくとも一部及び前記中央非固定部の少なくとも一部に重なるように前記包装体の上に置かれ、前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記中央非固定部を撮像する[3]に記載の検査方法。
[5]前記透明部材は、前記シール部の少なくとも一部及び前記端部非固定部の少なくとも一部に重なるように前記包装体の上に置かれ、前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記端部非固定部を撮像する[3]に記載の検査方法。
[6]前記透明部材は、前記シール部の少なくとも一部と前記中央非固定部の少なくとも一部と前記端部非固定部の少なくとも一部に重なるように前記包装体の上に置かれ、前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部と前記中央非固定部及び/又は前記端部非固定部を撮像する[3]に記載の検査方法。
[7]前記透明部材は、前記シール部全体に重なるように前記包装体の上に置かれる[1]~[6]のいずれかに記載の検査方法。
[8]前記シール部の延在方向において、前記透明部材の長さは前記シール部の長さよりも長い[7]に記載の検査方法。
[9]前記カメラはラインスキャンカメラである[1]~[8]のいずれかに記載の検査方法。
【0012】
本発明はまた、包装体の検査装置も提供する。本発明の実施形態に係る検査装置は以下の通りである。
[10]第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体であって、前記非固定部の一部に内容物が封入されている包装体の検査装置であって、前記包装体が載置されている載置台と、前記シール部と前記非固定部の少なくとも一部が重なるように透明部材を前記包装体の上に置く供給部と、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記非固定部を撮像するカメラと、を有している検査装置。
【0013】
本発明の実施形態に係る包装体の検査装置は、以下の[11]~[13]のいずれかであることが好ましい。
[11]前記包装体は、前記シール部の一方側に前記内容物が封入されている中央非固定部を有しており、前記シール部の他方側に前記内容物が封入されていない端部非固定部を有している[10]に記載の検査装置。
[12]前記シール部の延在方向において、前記透明部材の長さは前記シール部の長さよりも長い[10]又は[11]に記載の検査装置。
[13]前記カメラはラインスキャンカメラである[10]~[12]のいずれかに記載の検査装置。
【発明の効果】
【0014】
上記検査方法及び検査装置によれば、載置台に載置された包装体の上に透明部材を置き、載置台と透明部材に挟まれた検査対象部位をカメラで撮像して検査を行うため、ピントのずれを防止して精度の高い検査を行うことができる。このとき、透明部材はシール部の少なくとも一部及び非固定部の少なくとも一部に重なるように包装体の上に置かれるため、非固定部を比較対照することでシール部の気密状態を高精度で検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装体の平面図である。
【
図2】
図1に示した包装体のII-II断面図である。
【
図3】
図2に示した包装体を矢印Aの方向から見た側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
【
図5】
図4に示した載置台と包装体と透明部材を矢印Bの方向から見た側面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る透明部材の平面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る包装体の平面図である。
【
図8】
図7に示した包装体のVIII-VIII断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
【
図11】本発明のさらに他の実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る包装体の検査装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0017】
図1~
図13を参照しつつ、本発明の実施形態に係る検査方法を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装体の平面図である。
図2は、
図1に示した包装体のII-II断面図である。
図3は、
図2に示した包装体を矢印Aの方向から見た側面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
図5は、
図4に示した載置台と包装体と透明部材を矢印Bの方向から見た側面図である。
図6は、本発明の他の実施形態に係る透明部材の平面図である。
図7は、本発明の他の実施形態に係る包装体の平面図である。
図8は、
図7に示した包装体のVIII-VIII断面図である。
図9~
図12は、本発明のそれぞれ異なる実施形態に係る検査方法において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
図13は、本発明の一実施形態に係る包装体の検査装置の側面図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る検査方法は、第1シート部21と、第1シート部21に対向する第2シート部22と、第1シート部21と第2シート部22が互いに固定されているシール部23と、第1シート部21と第2シート部22が互いに固定されていない非固定部24と、を有している包装体20であって、非固定部24の一部に内容物25が封入されている包装体20を準備するステップを有する。
【0019】
図1に示すように、包装体20の平面形状は四角形であってもよく、或いは図示していないが、包装体20の平面形状は多角形、円形、楕円形、それらの組合せ、不定形等であってもよい。包装体20は、第1シート部21と第2シート部22により袋状に形成され、当該袋の中に内容物25を挿入した後にシール部23を形成して袋の開口部を閉じることにより内容物25が封入された包装体20とすることが好ましい。
【0020】
包装体20に封入される内容物25としては、特に制限されないが、例えば、カテーテル、注射器、穿刺デバイス、滅菌ガーゼ等の医療用具、医薬品、食品等が挙げられる。
【0021】
第1シート部21及び第2シート部22は、例えば、不織布や樹脂フィルムから構成することができる。第1シート部21と第2シート部22は、同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。第1シート部21及び第2シート部22を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂等が挙げられる。第1シート部21と第2シート部22がこのような材料から構成されていれば、第1シート部21と第2シート部22を熱溶着することによりシール部23を形成することができる。
【0022】
図3に示すように、シール部23は、第1シート部21と第2シート部22の熱収縮率の違いや熱溶着の条件等により、波打ちや反り返り等の平面状態を保てないことがある。このように変形すると、包装体20の厚み方向におけるシール部23の最大長さLが長くなる。シール部23の検査においては、シール部23の最大長さLを小さくしてカメラのピントずれを防止することで検査精度を向上することができる。
【0023】
シール部23の延在方向に垂直な方向における幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。シール部23の幅の下限が上記範囲であることにより、包装体20の気密性を保つことが容易になる。シール部23の幅は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。シール部23の幅の上限が上記範囲であることにより、包装体20の大きさを抑えつつ非固定部24を広く確保することができる。
【0024】
第1シート部21と第2シート部22を袋状に形成する際、第1シート部21と第2シート部22の境界は、一枚のシートが折り畳まれることにより形成されていてもよい。或いは、第1シート部21と第2シート部22の境界は、
図1及び
図2に示すように、第1シート部21と、第1シート部21とは別部材である第2シート部22が固定されている固定部20bにより形成されていてもよい。固定部20bは、シール部23と同様に熱溶着により形成されることができる。本発明の実施形態に係る検査方法は、シール部23を検査できるとともに、第1シート部21と第2シート部22を袋状に形成するための固定部20bも同様に検査することが可能である。
【0025】
固定部20bの延在方向に垂直な方向における幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。固定部20bの幅の下限が上記範囲であることにより、包装体20の気密性を保つことが容易になる。固定部20bの幅は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。固定部20bの幅の上限が上記範囲であることにより、包装体20の大きさを抑えつつ非固定部24を広く確保することができる。
【0026】
図4に示すように、本発明の実施形態に係る検査方法は、包装体20を載置台30に載置するステップと、シール部23の少なくとも一部及び非固定部24の少なくとも一部に重なるように透明部材50を包装体20の上に置くステップとを有している。上述のようにシール部23は
図3に示すように変形して包装体20の厚み方向におけるシール部23の最大長さLが長くなることがあるが、載置台30に載置された包装体20のシール部23の少なくとも一部及び非固定部24の少なくとも一部に重なるように透明部材50を包装体20の上に置くことにより、
図5に示すようにシール部23を平面状態に近づけシール部23の厚み方向の最大長さLを小さくすることができる。これにより、後述するようにシール部23をカメラ70で撮像する際にピントのずれを防止して撮像画像から高精度で欠陥を検出することが可能となる。
【0027】
透明部材50は、板状部材であることが好ましく、厚みが一様な構成であることが好ましい。透明部材50を構成する材料は、可視光を透過する材料であれば特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂やガラスで構成されていることが好ましい。
【0028】
本発明の実施形態に係る検査方法では、カメラ70により検査対象部位を撮像する。このとき、カメラ70は載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び非固定部24の両方を撮像する。例えば
図4に示すように、カメラ70がラインCやエリアDの部分を撮像することにより、シール部23及び非固定部24の両方を撮像することができる。非固定部24は第1シート部21と第2シート部22が固定されていない部分である、即ち第1シート部21と第2シート部22との間に空隙がある部分であることから、異物の噛み込みや折れ、シワ等による空隙がシール部23に生じていないかどうかを空隙のある非固定部24を比較対照して検査することができる。これにより、シール部23の検査精度を向上することが可能になる。
【0029】
載置台30及び/又はカメラ70をシール部23の延在方向に移動させれば、カメラ70の撮像部分、即ちラインCやエリアD等が延在方向にスキャンされて、シール部23の全体を検査することもできる。載置台30を移動させることにより、載置台30に載置された包装体20をシール部23の延在方向に搬送することが好ましい。これにより、カメラ70は移動させずに撮像部分をスキャンできることから、カメラ70の移動時の振動による画像への悪影響を防ぎ、撮像画像を安定して得ることができる。
【0030】
同様に、載置台30と透明部材50に挟まれた固定部20b及び非固定部24の両方をカメラ70で撮像することにより、固定部20bの気密状態も確認することができる。固定部20bの検査を行うには、透明部材50を配置する位置やカメラ70による撮像位置を調整すればよい。
【0031】
載置台30は、包装体20を安定して載置できるように水平な載置面を有していることが好ましい。載置台30は、例えば、板状の部材であってもよいし、載置台30に載置した包装体20を搬送できるようにベルトコンベア等の移動機構の一部であってもよい。
【0032】
図4に示すように、透明部材50は内容物25に重ならないように包装体20の上に置かれることが好ましい。これにより、内容物25の厚みにより透明部材50が斜めにならないようにできるため、
図5に示すようにシール部23を水平状態にし易くなる。このとき、透明部材50の平面形状は、例えば、
図4に示すような長方形であってもよい。透明部材50の平面形状が長方形であれば、長辺をシール部23の延在方向に沿うように透明部材50を包装体20の上に置くことにより、透明部材50を内容物25に重ならないようにシール部23に重ねることが容易になる。
【0033】
或いは、
図6に示すように、透明部材50の平面形状は中央部に開口50aを有する形状であってもよく、このときの透明部材50の平面形状の外縁は包装体20の外形よりも大きな四角形、円形等の形状であってもよい。
図6に示す平面視における開口50aの形状は、四角形に限定されず、円形、楕円形、その他の任意の形状であってよい。透明部材50の平面形状が中央部に開口50aを有する形状であれば、包装体20の内容物25が封入されて厚みが厚くなった部分を開口50aに配置することにより、透明部材50を内容物25に重ならないようにシール部23に重ねることが容易になる。また、透明部材50の平面形状が中央部に開口50aを有する形状であれば、シール部23のみならず固定部20bに重なるように透明部材50を包装体20の上に置くことができるため、固定部20bを同時に検査することもできる。
【0034】
図1及び
図2に示すように、内容物25はシール部23の一方側に形成されている中央非固定部24aに封入され、シール部23は包装体20の端部に形成されており、包装体20はシール部23の他方側には非固定部24を有していなくてもよい。このような構成であれば、第1シート部21と第2シート部22が互いに剥がれにくく包装体20の密閉を容易に保つことができる。
【0035】
或いは、
図7及び
図8に示すように、包装体20は、シール部23の一方側に内容物25が封入されている中央非固定部24aを有しており、シール部23の他方側に内容物25が封入されていない端部非固定部24bを有していてもよい。この場合、シール部23の端部非固定部24bにおいて、第1シート部21と第2シート部22は開放端を有していることが好ましい。このような構成であれば、第1シート部21と第2シート部22の開放端を互いに引き離して剥がすことにより包装体20を開封することが容易になる。
【0036】
図9に示すように、透明部材50は、シール部23の少なくとも一部及び中央非固定部24aの少なくとも一部に重なるように包装体20の上に置かれ、カメラ70は、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び中央非固定部24aを撮像することが好ましい。例えば、
図9のラインEやエリアFをカメラ70が撮像することにより、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び中央非固定部24aの両方を撮像することができる。中央非固定部24aは、内容物25が封入されていることにより第1シート部21と第2シート部22との間の空隙が大きな部分であることから、空隙の大きな中央非固定部24aを比較対照することにより、異物の噛み込みや折れ、シワ等による空隙がシール部23に生じていないかどうかを検査するのがより容易になる。
【0037】
図10に示すように、透明部材50は、シール部23の少なくとも一部及び端部非固定部24bの少なくとも一部に重なるように包装体20の上に置かれ、カメラ70は、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び端部非固定部24bを撮像することが好ましい。例えば、
図10のラインGやエリアHをカメラ70が撮像することにより、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び端部非固定部24bの両方を撮像することができる。端部非固定部24bには内容物25が封入されていないため、内容物25の影響がなく且つ第1シート部21と第2シート部22の間に空隙が形成されている端部非固定部24bを比較対照することにより、異物の噛み込みや折れ、シワ等による空隙がシール部23に生じていないかどうかを検査するのがより容易になる。
【0038】
図11に示すように、透明部材50は、シール部23の少なくとも一部と中央非固定部24aの少なくとも一部と端部非固定部24bの少なくとも一部に重なるように包装体20の上に置かれ、カメラ70は、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23と中央非固定部24a及び/又は端部非固定部24bを撮像することが好ましい。例えば、
図11のラインJやエリアKをカメラ70が撮像することにより、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23と中央非固定部24a及び/又は端部非固定部24bを撮像することができる。より好ましくは、カメラ70は、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23と中央非固定部24a及び端部非固定部24bを撮像する。中央非固定部24aは内容物25が封入されていることにより第1シート部21と第2シート部22との間の空隙が大きな部分であり、端部非固定部24bは内容物25が封入されない部分であることから、空隙の大きな中央非固定部24a及び内容物25の影響がなく且つ第1シート部21と第2シート部22の間に空隙が形成されている端部非固定部24bを比較対照することにより、異物の噛み込みや折れ、シワ等による空隙がシール部23に生じていないかどうかを検査するのがさらに容易になる。
図11には透明部材50がシール部23の延在方向に対して斜めになるように置かれているが、透明部材50を置く方向は特に限定されず、透明部材50の長手方向がシール部23の延在方向と平行になるように、シール部23の少なくとも一部と中央非固定部24aの少なくとも一部と端部非固定部24bの少なくとも一部に重なるように包装体20の上に置かれてもよい。
【0039】
図4に示すように、透明部材50はシール部23の全体に重なるように包装体20の上に置かれることが好ましい。これにより、透明部材50を移動させることなく、シール部23全体を一度に検査することができる。
【0040】
或いは、
図12に示すように、透明部材50はシール部23の一部に重なるように包装体20の上に置かれてもよい。
図12の例では、シール部23と固定部20bが重なる部分には透明部材50が配置されていない。この例に限定されず、透明部材50は任意の位置においてシール部23の一部に重なるように包装体20の上に置かれてもよい。透明部材50が重なるのがシール部23の一部であっても、包装体20及び/又は透明部材50をシール部23の延在方向に移動させることにより、シール部23の全体を検査することができる。
【0041】
図4に示すように、シール部23の延在方向において、透明部材50の長さはシール部23の長さよりも長いことが好ましい。これにより、シール部23の全体を検査するのが容易になり、シール部23の端部、例えばシール部23と固定部20bが重なっている部分等であっても検査することができる。
【0042】
カメラ70は、可視光を検知する撮像素子を有していることが好ましい。カメラ70の構成は特に制限されず、エリアスキャンカメラ、ラインスキャンカメラのいずれであってもよい。カメラ70は、ラインスキャンカメラであることが好ましい。
【0043】
カメラ70がラインスキャンカメラである場合、シール部23の延在方向に垂直なライン、例えば
図4のラインC、
図9のラインE、
図10のラインG、
図11のラインJを延在方向にスキャンしながら撮像してシール部23の全体の撮像データを得ることができる。エリアスキャンカメラの場合、検査対象以外の部位も撮像して画像データ量が大きくなってしまうところ、ラインスキャンカメラであれば、ラインの撮像データをスキャンすることにより、検査対象に絞った画像データを容易に取得できる。これにより、画像データ量を大きくし過ぎることなく、検査したいシール部23の全体の情報を得ることが容易になる。1ライン当たりの画素数は、500画素以上、1000画素以上、2000画素以上、4000画素以上、また、16000画素以下、10000画素以下、8000画素以下等とすることができる。
【0044】
本発明はまた、包装体20の検査装置10も提供する。以下、検査装置10について説明するが、上記検査方法についての記載と重複する部分については割愛する。
【0045】
図13に示すように、検査装置10は包装体20を検査する装置であって、包装体20が載置されている載置台30と、シール部23と非固定部24の少なくとも一部に重なるように透明部材50を包装体20の上に置く供給部51と、載置台30と透明部材50に挟まれたシール部23及び非固定部24を撮像するカメラ70とを有している。
【0046】
供給部51は、透明部材50を保持するアーム51aを有していることが好ましい。これにより、アーム51aが透明部材50を保持して移動させることができ、供給部51が透明部材50を包装体20の上に置くのが容易になる。
【0047】
図示していないが、検査装置10は、載置台30を移動させる移動機構を有していてもよい。移動機構は、載置台30に載置された包装体20をシール部23の延在方向に搬送するように載置台30を移動させることが好ましい。これにより、カメラ70を固定したまま撮像位置をスキャンできるため、カメラ70による撮像を安定させてシール部23全体を検査することが容易になる。
【0048】
検査装置10はさらに照明装置を有していてもよい。これによりカメラ70での撮像画像が鮮明となり、包装体20の気密状態の確認が容易になる。
【0049】
検査装置10は、カメラ70よる撮像で得られた画像データを処理する計算機を含む処理部をさらに備えていることが好ましい。処理部により、欠陥かどうかを判別することが容易になる。欠陥として処理するデータとして、例えば、0.2mm2以上の異物、径0.1mm以上のピンホール、幅0.1mm以上のシワや空隙、シール部23の幅の50%以上の噛み込み及び折れがある場合や、シール部23の幅が例えば10mm未満の場合を不合格として処理部に記憶させておくことにより、欠陥品を検出することができる。
【符号の説明】
【0050】
10:検査装置
20:包装体
20b:固定部
21:第1シート部
22:第2シート部
23:シール部
24:非固定部
24a:中央非固定部
24b:端部非固定部
25:内容物
30:載置台
50:透明部材
50a:透明部材の開口
51:供給部
51a:アーム
70:カメラ