IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネカの特許一覧

<>
  • 特開-包装体の検査装置 図1
  • 特開-包装体の検査装置 図2
  • 特開-包装体の検査装置 図3
  • 特開-包装体の検査装置 図4
  • 特開-包装体の検査装置 図5
  • 特開-包装体の検査装置 図6
  • 特開-包装体の検査装置 図7
  • 特開-包装体の検査装置 図8
  • 特開-包装体の検査装置 図9
  • 特開-包装体の検査装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178497
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】包装体の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096653
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑野 修至
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA41
2G051AB03
2G051AB04
2G051CA03
2G051CA04
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】透明部材を包装体の上に置く検査装置であって、効率的な検査が可能となる包装体の検査装置を提供する。
【解決手段】第1シート部と、第1シート部に対向する第2シート部と、第1シート部と第2シート部が互いに固定されているシール部と、第1シート部と第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体20の検査装置10であって、包装体20が載置される載置台30と、包装体20を搬送する第1搬送機構40と、透明部材51を搬送する第2搬送機構50と、シール部と重なるように透明部材51を包装体20の上に置く供給部60と、載置台30と透明部材51に挟まれたシール部を撮像するカメラ70と、を有している検査装置10。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体の検査装置であって、
前記包装体が載置される載置台と、
前記包装体を搬送する第1搬送機構と、
透明部材を搬送する第2搬送機構と、
前記シール部と重なるように前記透明部材を前記包装体の上に置く供給部と、
前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部を撮像するカメラと、を有している検査装置。
【請求項2】
前記包装体は複数の包装体であり、前記透明部材は複数の透明部材であり、前記供給部は、前記複数の透明部材のうちの1つを前記複数の包装体のうちの1つの上に置く請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記複数の包装体の数よりも前記複数の透明部材の数の方が少ない請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第1搬送機構の搬送方向と前記第2搬送機構の搬送方向が異なる請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第1搬送機構の搬送方向と前記第2搬送機構の搬送方向が同じである請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記非固定部を撮像する請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項7】
前記透明部材を回収する回収装置をさらに有している請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項8】
前記第1搬送機構と前記第2搬送機構の制御部をさらに有している請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項9】
前記カメラはラインスキャンカメラである請求項1又は2に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な製品は、製品本来の性能を発揮させたり、製品の安全性を確保したりするために、製品に欠陥がないかを検査する必要があり、対象製品に応じて検査方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、織布や不織布といったシートにおいて、紡糸や撚糸の工程で残留した毛羽やロール等の部品に接触したことによる欠陥を検査するために、回転体に接触して搬送されるシートの欠陥を検査する欠陥検査装置であって、シートと回転体とが接触して形成される面の中心点Pにおけるシートの搬送方向に対向する位置に受光面を有する撮像手段を備え、中心点Pと回転体の回転軸とで形成される面と受光面とのなす角度が10度以内であることを特徴とする装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、主に縫製品の欠陥検査に用いられ、部分的に弛んだ弛み部を持つ検査対象物に存在する欠陥を検出する装置であって、検査対象物を保持するワークホルダと、ワークホルダに保持された検査対象物の画像データを取得する撮像部と、画像データ、又は画像データに画像処理を施すことにより生成された処理画像データに基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを備え、ワークホルダは、検査対象物が置かれる載置面を持った検査テーブルと、検査テーブルの載置面に設けられた台座と、押え板とを有し、台座は載置面上の所定位置に検査対象物が置かれたときに弛み部の背後に潜り込んだ状態となる欠陥検査装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、シート状ワークに変形やたわみが生じている場合でも検査精度を向上できる検査方法及び装置を提供することを課題とし、検査ステージ上に載置され、且つ、ステージと上に重ねられたガラス板とにより挟持されているシート状ワークを、ステージの上方に配された撮像手段により、該撮像手段をステージに沿って移動させながら撮像し、ガラス板の表面に接触するローラーを撮像手段と共に回転移動させ、該ローラーにより撮像手段の視野近傍に位置するガラス板の表面を実質的に同一の押圧力で押さえつける方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-156343号公報
【特許文献2】特開2015-190899号公報
【特許文献3】特開2002-5638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食品や医薬品、医療機器等の高衛生状態を保つことが求められる物品を包装する際には、包装体の内部に雑菌が混入したり内容物が外気に触れたりして不衛生な状態とならないように、内容物を入れた後に包装体の開口部をシールして包装体を密封することが行われる。このとき、シール部にピンホールや異物混入等の欠陥が生じていないかどうかを検査することにより、包装体の気密性を確認する必要がある。
【0008】
上記特許文献2及び3では、押え板やガラス板で検査対象部位を押さえつけて検査しているが、ワークホルダや検査ステージに検査対象物をその都度載置する必要があり、検査の効率化の点で改善の余地があった。上記の事情に鑑み、本発明は、効率的な検査が可能となる包装体の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係る包装体の検査装置は、以下の通りである。
[1]第1シート部と、前記第1シート部に対向する第2シート部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されているシール部と、前記第1シート部と前記第2シート部が互いに固定されていない非固定部と、を有している包装体の検査装置であって、前記包装体が載置される載置台と、前記包装体を搬送する第1搬送機構と、透明部材を搬送する第2搬送機構と、前記シール部と重なるように前記透明部材を前記包装体の上に置く供給部と、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部を撮像するカメラと、を有している検査装置。
【0010】
上記検査装置によれば、検査対象である包装体を搬送する第1搬送機構と包装体の上に置く透明部材を搬送する第2搬送機構とを有していることにより、包装体の上に透明部材を効率的に置くことができ検査効率を向上することができる。また、載置台と透明部材に挟まれたシール部をカメラで撮像することにより検査を行うため、ピントのずれを防止して精度の高い検査が可能となる。
【0011】
本発明の実施形態に係る検査装置は、以下の[2]~[9]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記包装体は複数の包装体であり、前記透明部材は複数の透明部材であり、前記供給部は、前記複数の透明部材のうちの1つを前記複数の包装体のうちの1つの上に置く[1]に記載の検査装置。
[3]前記複数の包装体の数よりも前記複数の透明部材の数の方が少ない[2]に記載の検査装置。
[4]前記第1搬送機構の搬送方向と前記第2搬送機構の搬送方向が異なる[1]~[3]のいずれかに記載の検査装置。
[5]前記第1搬送機構の搬送方向と前記第2搬送機構の搬送方向が同じである[1]~[3]のいずれかに記載の検査装置。
[6]前記カメラは、前記載置台と前記透明部材に挟まれた前記シール部及び前記非固定部を撮像する[1]~[5]のいずれかに記載の検査装置。
[7]前記透明部材を回収する回収装置をさらに有している[1]~[6]のいずれかに記載の検査装置。
[8]前記第1搬送機構と前記第2搬送機構の制御部をさらに有している[1]~[7]のいずれかに記載の検査装置。
[9]前記カメラはラインスキャンカメラである[1]~[8]のいずれかに記載の検査装置。
【発明の効果】
【0012】
上記検査装置によれば、検査対象である包装体を搬送する第1搬送機構と包装体の上に置く透明部材を搬送する第2搬送機構とを有していることにより、供給部が包装体の上に透明部材を効率的に置くことができ検査効率を向上することができる。また、載置台と透明部材に挟まれたシール部をカメラで撮像することにより検査を行うため、精度の高い検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る包装体の平面図である。
図2図1に示した包装体のII-II断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る包装体の平面図である。
図4図3に示した包装体のIV-IV断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る検査装置の側面図である。
図6図4に示した包装体を矢印Aの方向から見た側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る検査装置において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。
図8図7に示した載置台と包装体と透明部材を矢印Bの方向から見た側面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る透明部材の平面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る検査装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0015】
図1図10を参照しつつ、本発明の実施形態に係る検査装置を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装体の平面図である。図2は、図1に示した包装体のII-II断面図である。図3は、本発明の他の実施形態に係る包装体の平面図である。図4は、図3に示した包装体のIV-IV断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る検査装置の側面図である。図6は、図4に示した包装体を矢印Aの方向から見た側面図である。図7は、本発明の一実施形態に係る検査装置において、載置台に載置された包装体の上に透明部材が置かれたときの平面図である。図8は、図7に示した載置台と包装体と透明部材を矢印Bの方向から見た側面図である。図9は、本発明の他の実施形態に係る透明部材の平面図である。図10は、本発明の他の実施形態に係る検査装置の側面図である。
【0016】
図1図4に示すように、本発明の実施形態に係る検査装置10で検査する包装体20は、第1シート部21と、第1シート部21に対向する第2シート部22と、第1シート部21と第2シート部22が互いに固定されているシール部23と、第1シート部21と第2シート部22が互いに固定されていない非固定部24とを有している。非固定部24に内容物25を封入することができる。
【0017】
図1及び図3に示すように、包装体20の平面形状は四角形であってもよく、或いは図示していないが、包装体20の平面形状は多角形、円形、楕円形、それらの組合せ、不定形等であってもよい。包装体20は、第1シート部21と第2シート部22により袋状に形成され、当該袋の中に内容物25を挿入した後にシール部23を形成して袋の開口部を閉じることにより内容物25が封入された包装体20とすることが好ましい。
【0018】
第1シート部21及び第2シート部22は、例えば、不織布や樹脂フィルムから構成することができる。第1シート部21と第2シート部は、同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。第1シート部21及び第2シート部22を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂等が挙げられる。第1シート部21と第2シート部22がこのような材料から構成されていれば、第1シート部21と第2シート部22を熱溶着することによりシール部23を形成することができる。
【0019】
シール部23の延在方向に垂直な方向における幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。シール部23の幅の下限が上記範囲であることにより、包装体20の気密性を保つことが容易になる。シール部23の幅は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。シール部23の幅の上限が上記範囲であることにより、包装体20の大きさを抑えつつ非固定部24を広く確保することができる。なお、シール部23の延在方向とは、シール部23の長手方向であることが好ましい。
【0020】
第1シート部21と第2シート部22を袋状に形成する際、第1シート部21と第2シート部22の境界は、一枚のシートが折り畳まれることにより形成されていてもよい。或いは、第1シート部21と第2シート部22の境界は、図1図4に示すように、第1シート部21と、第1シート部21とは別部材である第2シート部22が固定されている固定部20bにより形成されていてもよい。固定部20bは、シール部23と同様に熱溶着により形成されることができる。検査装置10は、シール部23を検査できるとともに、第1シート部21と第2シート部22を袋状に形成するための固定部20bも同様に検査することが可能である。
【0021】
固定部20bの延在方向に垂直な方向における幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。固定部20bの幅の下限が上記範囲であることにより、包装体20の気密性を保つことが容易になる。固定部20bの幅は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。固定部20bの幅の上限が上記範囲であることにより、包装体20の大きさを抑えつつ非固定部24を広く確保することができる。
【0022】
図1及び図2に示すように、内容物25はシール部23の延在方向に垂直な方向においてシール部23の一方側に形成されている非固定部24に封入され、包装体20はシール部23の他方側にも非固定部24を有していてもよい。この場合、シール部23の他方側の非固定部24において、第1シート部21と第2シート部22は開放端を有していることが好ましい。このような構成であれば、第1シート部21と第2シート部22の開放端を互いに引き離して剥がすことにより包装体20を開封することができる。
【0023】
或いは、図3及び図4に示すように、内容物25はシール部23の延在方向に垂直な方向においてシール部23の一方側に形成されている非固定部24に封入され、シール部23は包装体20の端部に形成されており、包装体20はシール部23の他方側には非固定部24を有していなくてもよい。このような構成であれば、第1シート部21と第2シート部22が互いに剥がれにくく包装体20の密閉を容易に保つことができる。
【0024】
包装体20に封入される内容物25としては、特に限定されないが、例えば、カテーテル、注射器、穿刺デバイス、滅菌ガーゼ等の医療用具、医薬品、食品等が挙げられる。
【0025】
図5に示すように、検査装置10は包装体20が載置される載置台30を有している。載置台30は、包装体20を安定して載置できるように水平な載置面を有していることが好ましい。載置台30は、例えば、板状の部材であってもよい。或いは図5に示すように、載置台30は後述する第1搬送機構40の一部であってもよい。これにより、第1搬送機構40から載置台30が離脱することなく載置台30に載置された包装体20を搬送方向40dに移動させることが容易になる。このような構成として、例えば、第1搬送機構40がベルトコンベアであり、ベルトコンベアのベルトが載置台30として機能する構成が挙げられる。
【0026】
検査装置10は、第1搬送機構40を有しており、第1搬送機構40は包装体20を搬送方向40dに搬送する。第1搬送機構40の構成は特に制限されないが、例えば、図5に示すようなベルトコンベア、或いは図示していないが、動力ローラー、ワイヤ駆動のシャトル搬送機等であってもよい。
【0027】
第1搬送機構40により包装体20が搬送方向40dに搬送される速度は、50mm/秒以上が好ましく、100mm/秒以上がより好ましく、150mm/秒以上がさらに好ましく、また、300mm/秒以下が好ましく、250mm秒以下がより好ましく、200mm/秒以下がさらに好ましい。包装体20の搬送速度が上記範囲であることで、検査精度を落とすことなく効率的な検査が可能である。
【0028】
第1搬送機構40は、包装体20が停止しないように一定の速度で包装体20を搬送することが好ましい。或いは、第1搬送機構40は断続的に包装体20を搬送してもよいが、包装体20がカメラ70により撮像されている間は包装体20が停止しないように包装体20を搬送することが好ましい。これにより、包装体20を搬送しながらシール部23を連続的に検査することが可能になる。
【0029】
包装体20は、載置台30が第1搬送機構40により移動することにより、載置台30の移動に伴って搬送方向40dに搬送されてもよい。これにより、包装体20を搬送方向40dに容易に搬送することができる。
【0030】
図5に示すように、検査装置10はまた透明部材51を搬送する第2搬送機構50を有している。透明部材51は、シール部23の検査時にシール部23と重なるように包装体20の上に置かれるものである。図6に示すように、シール部23は、第1シート部21と第2シート部22の熱収縮率の違いや熱溶着の条件等により、波打ちや反り返り等の変形が生じて平面状態を保てないことがある。このように変形すると、包装体20の厚み方向におけるシール部23の最大長さLが長くなるが、図7に示すように透明部材51がシール部23と重なるように包装体20の上に置かれることにより、図8に示すようにシール部23を平面状態に近づけシール部23の厚み方向の最大長さLを小さくすることができる。これにより、後述するようにシール部23をカメラ70で撮像する際に、ピントのずれを防止して撮像画像から高精度で欠陥を検出することが可能となる。
【0031】
透明部材51はシール部23全体に重なるように包装体20の上に置かれることが好ましい。これにより、シール部23全体の検査を行える。
【0032】
透明部材51は、板状部材であることが好ましく、厚みが一様な構成であることが好ましい。透明部材51を構成する材料は、可視光を透過する材料であれば特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂やガラスで構成されていることが好ましい。
【0033】
透明部材51の平面形状は、例えば、図7に示すような長方形であってもよい。透明部材51の平面形状が長方形であれば、長辺をシール部23の延在方向、即ち長手方向に沿うように透明部材51を包装体20の上に置くことにより、透明部材51をシール部23に重ねることが容易になる。或いは、図9に示すように、透明部材51の平面形状は中央部に開口51aを有する形状であってもよく、このときの透明部材51の平面形状の外縁は包装体20の外形よりも大きな四角形、円形等の形状であってもよい。図9に示す平面視における開口51aの形状は、四角形に限定されず、円形、楕円形、その他の任意の形状であってよい。このように透明部材51の平面形状が中央部に開口51aを有する形状であれば、包装体20の内容物25が封入されて厚みが厚くなった部分を開口51aに配置することにより、透明部材51をシール部23及び固定部20bに重なるように包装体20の上に置くことができる。これにより、シール部23と固定部20bの検査が可能になる。
【0034】
第2搬送機構50は、搬送方向50dに透明部材51を搬送する。透明部材51の搬送方向50dは水平成分のみであってもよいし鉛直成分のみであってもよいし水平成分と鉛直成分の両方を有していてもよい。
【0035】
図5では、第2搬送機構50が吸着コンベアであり、吸着コンベアの下向きのベルト表面に透明部材51が吸着されて搬送されている態様を示しているが、第2搬送機構50の構成はこれに限定されず、吸着等の固定手段を有さない通常のベルトコンベアであってもよいし、動力ローラー、ワイヤ駆動のシャトル搬送機、電動アームを用いた搬送等であってもよい。
【0036】
透明部材51は、載置台に載置されながら搬送されてもよいし、載置台に載置されない状態で搬送されてもよい。載置台に載置されない状態で透明部材51が搬送される態様としては、例えば、透明部材51が鉛直方向の上から下に降下される態様や、透明部材51が電動アーム等の機構により把持されて水平方向、鉛直方向、斜め方向、又はそれらが組み合わされた方向に移動される態様が挙げられる。
【0037】
第2搬送機構50により透明部材51が搬送方向50dに搬送される速度は、第1搬送機構50により包装体20が搬送方向40dに搬送される速度よりも速いか、又は同じであることが好ましい。また、第2搬送機構50は、透明部材51が包装体20の上に供給され易いように、供給時には透明部材51が一旦停止するように透明部材51を搬送してもよい。これにより、第1搬送機構40により搬送されている包装体20の上に安定して透明部材51を置くことが可能になる。或いは、第2搬送機構50は、透明部材51が停止しないように連続的に透明部材51を搬送してもよい。
【0038】
図5に示すように、検査装置10は、透明部材51をシール部23と重なるように置く供給部60を有している。供給部60は、透明部材51を保持するアーム61を有していることが好ましい。アーム61が透明部材51を保持して供給方向60dに移動させることにより、供給部60が透明部材51を包装体20の上に置くことができる。図5では、第2搬送機構50による透明部材51の搬送方向50dと供給部60による供給方向60dが異なる態様、即ち、透明部材51の搬送方向50dは水平成分のみを含み供給方向60dは水平成分と鉛直成分の両方を含む態様を示しているが、第2搬送機構50による透明部材51の搬送方向50dと供給部60による供給方向60dは同じであってもよい。例えば、第2搬送機構50により透明部材51を鉛直方向に搬送し、供給部60により透明部材51を鉛直方向に移動させて包装体20の上に置くことにより、搬送方向50dと供給方向60dを同じ鉛直方向にすることができる。
【0039】
検査装置10は、載置台30と透明部材51に挟まれたシール部23を撮像するカメラ70を有している。カメラ70は、可視光を検知する撮像素子を有していることが好ましい。カメラ70は、シール部23を撮像可能であればその構成については特に制限されない。カメラ70は、エリアスキャンカメラ、ラインスキャンカメラのいずれであってもよいが、ラインスキャンカメラであることが好ましい。
【0040】
透明部材51が包装体20の上に置かれた後、包装体20の搬送方向40dへの搬送に伴って透明部材51も包装体20と一緒に搬送されることが好ましい。これにより、包装体20を搬送方向40dに移動させながらカメラ70が載置台30と透明部材51に挟まれたシール部23を撮像することができる。このように、包装体20を搬送方向40dに移動させながらカメラ70が載置台30と透明部材51に挟まれたシール部23を撮像することにより、カメラ70は移動させずに撮像部分をスキャンすることができる。これにより、カメラ70の移動時の振動による画像への悪影響を防ぎ、撮像画像を安定して得ることができる。
【0041】
カメラ70がラインスキャンカメラである場合、シール部23の延在方向に垂直なラインを延在方向にスキャンしながら撮像できるため、包装体20を搬送方向40dに移動させながら載置台30と透明部材51に挟まれたシール部23をカメラ70で撮像してシール部23全体の撮像データを得ることができる。エリアスキャンカメラの場合、検査対象以外の部位も撮像して画像データ量が大きくなってしまうところ、ラインスキャンカメラであれば、ラインの撮像データを包装体20の搬送方向40dへの移動に伴い重ねていくことにより、検査対象に絞った画像データを容易に取得できる。これにより、画像データ量を大きくし過ぎることなく、検査したいシール部23全体の情報を得ることが容易になる。1ライン当たりの画素数は、500画素以上、1000画素以上、2000画素以上、4000画素以上、また、16000画素以下、10000画素以下、8000画素以下等とすることができる。
【0042】
カメラ70は、包装体20に対して載置台30とは反対側であって包装体20の上部に配置されていることが好ましい。これにより、載置台30と透明部材51に挟まれたシール部23を撮像することが容易になる。
【0043】
カメラ70の撮像により得られる画像から、シール部23における異物、ピンホール、シワ、空隙、噛み込み、折れ等の欠陥やシール部23の幅に関する情報を得ることにより、包装体20の気密状態を確認することができる。透明部材51を配置する位置やカメラ70による撮像位置を調整することにより、シール部23のみならず固定部20bを検査することもできる。
【0044】
検査装置10は、さらに照明装置を有していてもよい。これにより、包装体20の気密状態の確認がより容易になる。
【0045】
検査装置10は、カメラ70による撮像で得られた画像データを処理する計算機を含む処理部をさらに備えていることが好ましい。処理部により、欠陥かどうかを判別することが容易になる。欠陥として処理するデータとして、例えば、0.2mm以上の異物、径0.1mm以上のピンホール、幅0.1mm以上のシワや空隙、シール部23の幅の50%以上の噛み込み及び折れがある場合や、シール部23の幅が例えば10mm未満の場合を不合格として処理部に記憶させておくことにより、欠陥品を検出することができる。
【0046】
図5に示すように、包装体20は複数の包装体20であり、透明部材51は複数の透明部材51であり、供給部60は複数の透明部材51のうちの1つを複数の包装体20のうちの1つの上に置くことが好ましい。複数の包装体20のそれぞれ1つに複数の透明部材51のそれぞれ1つを置くことにより、透明部材51が1つしかない場合に比べて複数の包装体20の検査を効率的に行うことができる。また、包装体20も透明部材51もそれぞれ搬送されていることにより、包装体20と透明部材51の両方が複数であっても、包装体20の上に透明部材51を容易に置くことができる。
【0047】
上記の場合、複数の包装体20の数よりも複数の透明部材51の数の方が少なくてもよい。検査したい包装体20の数より透明部材51の数の方が少なくても、透明部材51を使い回すことにより複数の包装体20の全てを検査することが可能である。透明部材51の数が少なくて済むことで、検査装置10をコンパクトにすることができ検査効率を向上できる。
【0048】
図10に示すように、検査装置10は透明部材51を回収する回収装置80を有していることが好ましい。回収装置80により既に検査が終わった包装体20の上に置かれた透明部材51を回収して第2搬送機構50に戻すことにより、透明部材51を使い回すことが容易になる。これにより、透明部材51の数が検査する包装体20の数よりも少なくても、複数の包装体20を容易に検査できる。回収装置80は、透明部材51を第2搬送機構50による搬送方向50dとは反対の回収方向80dに移動させる構成を有していることが好ましい。
【0049】
第1搬送機構40の搬送方向40dと第2搬送機構50の搬送方向50dは異なることが好ましい。例えば、載置台30の上方から見たとき、第2搬送機構50の搬送方向50dは第1搬送機構40の搬送方向40dに対して角度を有していることが好ましい。或いは、第2搬送機構50の搬送方向50dは、載置台30の水平な載置面に対して鉛直方向に角度を有していてもよい。これにより、第2搬送機構40がカメラ70による撮像を邪魔しない構成とすることが容易になる。
【0050】
或いは、図5に示すように、第1搬送機構40の搬送方向40dと第2搬送機構50の搬送方向50dは同じであってもよい。この場合、第2搬送機構50は、カメラ70による撮像を邪魔しない位置に配置されていることが好ましい。これにより、カメラ70による撮像を可能にしつつ、第2搬送機構50により搬送される透明部材51を第1搬送機構40により搬送される包装体20の上に容易に置くことができる。
【0051】
いずれの場合においても、第2搬送機構50は第1搬送機構40の上方に配置されていることが好ましい。これにより、第2搬送機構50により搬送される透明部材51を第1搬送機構40により搬送される包装体20の上に置き易くなる。
【0052】
カメラ70は、載置台30と透明部材51に挟まれたシール部23及び非固定部24を撮像することが好ましい。図7及び図8に示すように、透明部材51をシール23に重なるように置くとともに非固定部24の少なくとも一部にも重なるように置くことにより、載置台30と透明部材51に挟まれて平面状態となったシール部23と非固定部24を同時にカメラ70により撮像することができる。これにより、非固定部24、即ち第1シート部21と第2シート部22との間に空隙がある部分の画像を比較対照できるため、シール部23の気密状態の確認をより容易に行うことが可能になる。
【0053】
図10に示すように、検査装置10は、第1搬送機構40と第2搬送機構50を制御する制御部90をさらに有していることが好ましい。制御部90により、第1搬送機構40の搬送動作に合わせて第2搬送機構50を動作させることができる。これにより、第1搬送機構40により搬送される包装体20の上に第2搬送機構50により搬送される透明部材51を置くのがより容易になる。
【符号の説明】
【0054】
10:検査装置
20:包装体
20b:固定部
21:第1シート部
22:第2シート部
23:シール部
24:非固定部
25:内容物
30:載置台
40:第1搬送機構
40d:包装体の搬送方向
50:第2搬送機構
50d:透明部材の搬送方向
51:透明部材
51a:透明部材の開口
60:供給部
60d:供給方向
61:アーム
70:カメラ
80:回収装置
90:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10