(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178504
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ゲーム装置に使用される代替景品
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096664
(22)【出願日】2023-06-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和5年3月10日 ウェブサイトのアドレス https://twitter.com/BEMANI_FanSite/status/1634102951760523264?s=20 2.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和5年4月21日 ウェブサイトのアドレス https://twitter.com/getprize573/status/1649246599363850241?s=20 3.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和5年3月10日 ウェブサイトのアドレス https://p.eagate.dev.573.jp/game/getprize/knst/np/service.html 4.ゲームプレイの実施による公開 公開日 令和5年3月14日 ゲームプレイに使用したウェブサイトのアドレス https://p.eagate.dev.573.jp/game/getprize/knst/np/service.html 5.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和5年3月10日 ウェブサイトのアドレス https://p.eagate.573.jp/game/eacloud/p/common/top.html 6.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和5年3月10日 ウェブサイトのアドレス https://www.konami.com/amusement/
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚孝
(57)【要約】
【課題】アームユニットのアームによる把持が困難となり、又は把持が困難な印象を与えるおそれを適度に低減することが可能な代替景品を提供する。
【解決手段】少なくとも2本のアームを有し、プレイヤの操作に応じて動作するアームユニットを筐体内に備えたゲーム装置にてアームが把持すべき対象として使用可能であり、かつプレイヤに与えられるべき景品を代替する物品として筐体内の載置面上に配置される代替景品20Aにおいて、水平面に置かれた状態を鉛直方向から観察した平面視にて各頂点Pvを結んで描かれる多角形を基準形状RSと仮定したときに、基準形状RSの互いに異なる3本以上の辺のそれぞれと対向する位置に、基準形状RSの中心側に後退する凹部20aが生じるように外周輪郭を設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本のアームを有し、プレイヤの操作に応じて動作するアームユニットを筐体内に備えたゲーム装置にて前記アームが把持すべき対象として使用可能であり、かつ前記プレイヤに与えられるべき景品を代替する物品として前記筐体内の載置面上に配置される代替景品であって、
水平面に置かれた状態を鉛直方向から観察した平面視にて各頂点を結んで描かれる多角形を基準形状と仮定したときに、前記基準形状の互いに異なる3本以上の辺のそれぞれと対向する位置に、前記基準形状の中心側に後退する凹部が生じるように外周輪郭が設定されている代替景品。
【請求項2】
前記平面視にて、所定の基準点に対する点対称、又は所定の基準線に対する線対称となるように前記外周輪郭が設定された請求項1に記載の代替景品。
【請求項3】
前記基準形状が正多角形となるように前記外周輪郭が設定された請求項1に記載の代替景品。
【請求項4】
前記基準形状の全ての辺のそれぞれと対向する位置に前記凹部が生じるように前記外周輪郭が設定されている請求項1~3のいずれか一項に記載の代替景品。
【請求項5】
前記平面視にて、5つの頂点を有する星形となるように前記外周輪郭が設定されている請求項4に記載の代替景品。
【請求項6】
前記アームユニットの周方向における前記アームの配置と一致するように前記周方向に並んだ凹部の組み合わせが生じないようにして前記凹部が設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の代替景品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置の筐体内に配置されたアームユニットにて把持されるべき対象の物品として筐体内の載置面上に配置される代替景品に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置の一種として、プレイヤの操作に応じて動作するアームユニットを筐体内に備え、筐体内の載置面上に配置された取得対象の物品がアームユニットのアームで把持されて筐体内の所定位置まで運搬されるようにプレイヤにアームユニットを操作させるタイプのゲーム装置が知られている。この種のゲーム装置では、プレイヤに与えられるべき景品を代替する物品として、代替景品が筐体内の載置面上に配置されることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の代替景品は、略直方体状、略立方体状、あるいは枕状といった比較的単純な形状である。そのため、アームによる代替景品の把持が困難との印象をプレイヤに与え、あるいは実際に把持が困難となる場合がある。プレイが繰り返されるうちに、載置面上における代替景品がアームにて把持し難い姿勢となり、代替商品を置き直すようにゲーム装置の管理者が要求されて管理者の手間が嵩み、あるいはプレイヤがゲームを継続してプレイする意欲を失うおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、アームユニットのアームによる把持が困難となり、又は把持が困難な印象を与えるおそれを適度に低減することが可能な代替景品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る代替景品は、少なくとも2本のアームを有し、プレイヤの操作に応じて動作するアームユニットを筐体内に備えたゲーム装置にて前記アームユニットが把持すべき対象として使用可能であり、かつ前記プレイヤに与えられるべき景品を代替する物品として前記筐体内の載置面上に配置される代替景品であって、水平面に置かれた状態を鉛直方向から観察した平面視にて各頂点を結んで描かれる多角形を基準形状と仮定したときに、前記基準形状の互いに異なる3本以上の辺のそれぞれと対向する位置に、前記基準形状の中心側に後退する凹部が生じるように外周輪郭が設定されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一形態に係る代替景品が使用されるゲーム装置の一例を示す斜視図。
【
図2】第1の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図5】第2の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図6】第3の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図7】第4の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図8】第5の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図9】第6の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図10】第7の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図11】第8の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図12】第9の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【
図13】第10の例に係る代替景品を平面視したときの外周輪郭を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態を説明する。
図1は、本形態の代替景品が使用されるゲーム装置の一例を示している。
図1のゲーム装置1は、所定の対価の支払いと引き換えに景品取得を目的としたゲームを提供するいわゆる商用のゲーム機に属するものである。
図1に示すように、ゲーム装置1の筐体2は、一例として、壁部3A~3Dと、底部4と、天井部5とを有する概略直方体形状である。筐体2の内部には概略水平な隔壁6が設けられ、その隔壁6の上方が取得対象の物品を収容するための収容空間7として設定される。正面側の壁部3Aの収容空間7に面する範囲は、収容空間7の内部を観察できるように透明壁8として構成される。左右の壁部3B、3Cにも透明壁が設けられてもよい。
図1では、透明壁8を通して観察できる筐体2の内部構成を実線で示している。
【0009】
隔壁6の上面は載置面6aとして設定され、その載置面6a上に取得対象の物品が載置される。本形態の代替景品は、プレイヤに与えられるべき景品を代替する物品として載置面6a上に載置される。載置面6aには単一の代替景品が載置されてもよいし、複数の代替景品が載置されてもよい。複数種類の代替景品が載置面6a上に載置されてもよい。複数種類の代替景品は、例えば種類に応じて形状や大きさが差別化されてもよい。代替景品の種類は、プレイヤに与えられるべき景品の金銭的価値に応じて差別化されてもよい。載置面6aには、代替景品以外の物品としてボール等の物品がさらに載置されてもよい。例えば載置面6a上にボールが敷き詰められ、その上に代替景品が載置されてもよい。代替景品は適宜の製法によって形成されてよい。例えば、内装材を布等の被覆材で包んで縫い合わせた縫製品、樹脂等を用いた成形品、空箱等を利用したパッケージ品として代替景品が形成されてよい。
【0010】
収容空間7には、代替景品を取得するためのアームユニット10が配置される。アームユニット10は、例えば筐体2の天井部5から吊り下げられるようにして収容空間7に配置される。アームユニット10は、プレイヤの操作に応じて、収容空間7内を3次元方向、すなわち筐体2の前後方向、左右方向及び鉛直方向に移動し、かつ複数本のアーム10aを開閉できるように動作する。例えば、アームユニット10は、筐体2の正面側に設けられたコントロールパネル11上の操作ユニット12に対するプレイヤの操作に応じて動作する。あるいは、所定のネットワークを介してアームユニット10がプレイヤにより遠隔操作されてもよい。つまり、ゲーム装置1は、その設置場所にいるプレイヤによってプレイされるゲーム機として運用されてもよいし、遠隔地にいるプレイヤによってプレイされるオンラインゲーム機として運用されてもよい。
【0011】
アームユニット10において、アーム10aは一例として3本設けられている。アーム10aはプレイヤの操作に応じて一体的に開閉動作する。ただし、アーム10aの本数は3本に限定されず、2本、あるいは4本以上であってもよい。アームユニット10の動作により、代替景品を掴んで収容空間7内の所定の位置まで運搬し、その位置で代替景品を開放することが可能である。この種のアームユニット10は種々提供されており、ゲーム装置1でも公知の構成に倣ってアームユニット10が構成されてよい。
【0012】
複数本のアーム10aは、一例として、アームユニット10の周方向において互いに等しい角度間隔で並ぶように配置される。周方向は、鉛直方向の軸線を仮定したときにその軸線を一周する方向に相当する。アーム10aの本数が3本であれば、アーム10aの角度間隔は120°である。ただし、アーム10aは、周方向に等間隔で配置されることを必ずしも要しない。複数本のアーム10aが周方向に不等間隔で配置されてもよい。
【0013】
隔壁6の一部、図示例では隔壁6の左前方の範囲は概ね矩形状に切り欠かれている。それにより、筐体2内の下部には、落下口13aを介して収容空間7と連通する落下空間13が設けられている。落下空間13は、アームユニット10のアーム10aによって掴まれた代替景品を、アーム10aから開放して落下させるべき空間として設定されている。よって、落下口13aはアームユニット10にて代替景品を運搬すべき目標位置である。落下空間13は、筐体2の正面側の壁部3A上に開口する払出口13bを介して筐体外とも連通する。落下空間13に落下した代替景品は払出口13bから筐体外に取り出すことが可能である。ただし、代替景品を運搬すべき目標位置は落下口13aに限らない。例えば、載置面6a上に代替景品を運搬すべき目標位置が設定され、その位置まで代替景品が運ばれた場合に、その代替景品に対応する景品が獲得されたと判定されてもよい。
【0014】
次に、代替景品の形状に関する幾つかの例を説明する。
図2及び
図3は、第1の例としての代替景品20Aを示している。
図2は、代替景品20Aが水平面に置かれた状態を鉛直方向から観察したときの平面視の形状を示し、
図3は代替景品20Aを
図2の矢印III方向から観察したときの側面視の形状を示している。
図2から明らかなように、代替景品20Aは、その平面視にて黒丸で示した5つの頂点Pvを有する星形形状となるようにその外周輪郭が設定されている。
図2に想像線で示したように、各頂点Pvを結んで描かれる多角形を代替景品20Aの基準形状RSと仮定したときに、代替景品20Aの基準形状RSは正五角形である。頂点Pvは平面視にて最も外側に位置する点として特定することができる。
【0015】
代替景品20Aの外周輪郭は、その基準形状RSの全ての辺のそれぞれと対向する位置に基準形状RSの中心側に後退する凹部20aが生じるように設定されている。凹部20aの形状及び大きさは互いに等しい。また、
図2の平面視において、凹部20aの周方向における角度間隔は互いに等しい。言い換えれば、凹部20aは周方向において等間隔で配置されている。代替景品20Aの周方向は、
図2の平面視にて代替景品20Aを中心点Pcの回りに一周する方向に相当する。つまり、アームユニット10の周方向と実質的に同義である。凹部20aの角度間隔は、一例として、凹部20aが中心点Pc側に最も後退した位置を凹部20aの底Pb(白丸で示す。)としたときに、各凹部20aの底Pb間の周方向における角度として特定することができる。なお、凹部20aは頂点Pv間の全長に亘って設けられ、底Pbは凹部20aの両端の頂点Pvから等しい距離にある。
【0016】
以上のように凹部20aが設けられることにより、代替景品20Aは、その平面視にて、1つの頂点Pcと中心点Pcとを貫く1本の基準線RLに対して線対称となるようにその外周輪郭が設定されている。中心点Pcは、一例として代替景品20Aの重心と一致する点である。なお、
図2における基準形状RS、頂点Pv、底Pb、中心点Pc及び基準線RLは、代替景品20Aの形状を理解する補助的な指標として示すものであって、代替景品20Aにそれらの指標が実際に付されるものではない。また、図の煩雑を避けるため、参照符号Pv及びPbについては、1つの頂点及び底に代表して付されている。
【0017】
図3から明らかなように、代替景品20Aは、その側面視において、上下の表面20bが中央で比較的厚く、頂点Pvに向かうに従って徐々に厚さが減少するように丸みを帯びた形状となるように形成されている。ただし、
図3の側面視の形状は一例である。例えば、
図4に示したように、代替景品20Aの側面視の形状は、厚さ一定となるように設定されてもよい。その他にも、側面視の形状は適宜に変更されてよい。いずれにしても、代替景品20Aは側面視したときに比較的薄い偏平な形状である。そのため、代替景品20Aは、その表面20bを概ね鉛直方向に向けた状態でゲーム装置1の載置面6aに載置される。一方の表面20bを下にして、載置面6a上に水平に置かれた代替景品20Aを鉛直方向上方から観察した状態が代替景品20Aを平面視した状態に相当する。
【0018】
以上の代替景品20Aによれば、いずれかの表面20bを下にして代替景品20Aが載置面6aに載置されたときに、アームユニット10の側からみて代替景品20Aの外周輪郭上の3か所以上(図示例では5か所)に凹部20aが現れるようになる。したがって、3本のアーム10aが凹部20aに挿入されるようにアームユニット10を動作させることにより、代替景品20Aを比較的容易に把持することができ、かつそのような印象をプレイヤに与えることができる。したがって、アーム10aによる把持が困難となり、又は把持が困難な印象を与えるおそれを適度に低減することができる。複数の代替景品20A同士が部分的に重なり合って傾き、あるいは代替景品20A以外のボール等の物品の状態に応じて傾くといった理由により、代替景品20Aが載置面6a上で幾らか傾いた姿勢を取った場合でも3か所以上の凹部20aが外周輪郭上に存在することに変わりはなく、上述した作用効果を発揮させることが可能である。
【0019】
アームユニット10における3本のアーム10aが周方向に等しい角度間隔で配置されていることに対して、代替景品20Aでは、5か所の凹部20aが周方向に等しい角度間隔で配置されている。そのため、5つの凹部20aからいずれか3つの凹部20aをアーム10aの挿入目標の凹部20aの組み合わせとして選んでも、その組み合わせ内の凹部20aの角度間隔がアーム10aのそれと一致することはない。つまり、アームユニット10の周方向におけるアーム10aの配置と一致するように周方向に並んだ凹部20aの組み合わせが生じることはない。したがって、3本のアーム10aで代替景品20Aを掴んで持ち上げたときの代替景品20Aのバランスを保つためには、アームユニット10の操作に対して相応のスキルが必要となる。それにより、ゲームの難易度を適度に確保し、ゲームの興趣が損なわれるおそれを低減し、又は排除することが可能である。
【0020】
難易度に関する上記の作用効果は、凹部20aと同数の5本のアーム10aが周方向に等間隔に配置される場合を除いて同様に発揮され得る。したがって、アーム10a、及び凹部20aのそれぞれが周方向に等間隔で配置される場合には、凹部20aの個数をアーム10aの本数の整数倍とならないように設定すればよい。アーム10aが不等間隔で配置される場合でも、アーム10aの本数と同数の凹部20aをどのように選んでも、選ばれた凹部20aの周方向における配置がアーム10aの配置と一致しなければよい。なお、アーム10aの本数と同数の凹部20aを挿入対象の凹部20aとして選んだ場合に、選ばれた凹部20aの周方向における角度間隔とアーム10aの周方向における角度間隔との間に過度の差があると、代替景品20Aの掴み易さが損なわれるおそれがある。等間隔に配置された3本のアーム10aが使用される場合において、
図2に示した5つの凹部20aを有する星形形状の代替景品20Aであれば、アーム10aの周方向における凹部20aの角度間隔と挿入目標の凹部20aの角度間隔とを程よく近似させることができる。したがって、代替景品20Aの掴み易さと難易度の確保とを両立させる上で好都合である。
【0021】
次に、
図5~
図13を参照して代替景品の他の例を説明する。なお、
図5以下の各図はいずれも代替景品の平面視の形状を示すものであって、
図2と同様に、平面視における代替景品の各頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSを想像線で示し、代替景品の形状を理解する補助的な指標として、頂点Pv、底Pb、中心点Pc及び基準線RLを適宜に示している。参照符号Pv及びPbを、1つの頂点及び底に代表して付した点も
図2と同様である。
図5以下の代替景品の側面視の形状は、
図3又は
図4に例示したように適宜に設定されてよい。
【0022】
図5は代替景品の第2の例を示している。
図5の代替景品20Bは、平面視における外周輪郭が、6つの頂点Pvを有する星形形状となるように設定された例である。6つの頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSは正六角形である。基準形状RSの全ての辺のそれぞれと対向する位置に、基準形状RSの中心側に後退する凹部20aが生じるように外周輪郭が設定されている。凹部20aの形状及び大きさは互いに等しい。また、周方向における凹部20aの角度間隔も互いに等しい。したがって、代替景品20Bの外周輪郭は、1つの頂点Pvと中心点Pcとを貫く基準線RLに対して線対称であって、かつ中心点Pcを基準点とする点対称となるように設定されている。
【0023】
図6は代替景品の第3の例を示している。
図6の代替景品20Cは、平面視における外周輪郭が、4つの頂点Pvをする星形形状となるように設定された例である。4つの頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSは正四角形である。基準形状RSの全ての辺のそれぞれと対向する位置に基準形状RSの中心側に後退する凹部20aが生じるように外周輪郭が設定されている。凹部20aの形状及び大きさは互いに等しい。したがって、代替景品20Cの外周輪郭は、中心点Pcを上下に貫く基準線RLに対して線対称であって、かつ中心点Pcを基準点とする点対称となるように設定されている。なお、代替景品20B、20Cのいずれにおいても、凹部20aは頂点Pv間の全長に亘って設けられ、底Pbは凹部20aの両端の頂点Pvから等しい距離にある。
【0024】
図5及び
図6に示した代替景品20B、20Cにおいても、代替景品20Aと同様に、アーム10aによる代替景品20B、20Cの把持が困難となり、あるいは把持が困難な印象を与えるおそれを低減又は排除することが可能である。ただし、
図5の代替景品20Bでは、6つの凹部20aが周方向に60°間隔で配置されている。したがって、1つ置きに3つの凹部20aをアーム10aの挿入目標の凹部20aとして選択した場合、それらの角度間隔が3本のアーム10aの角度間隔と一致する。したがって、3本のアーム10aで代替景品20Bを掴んだ場合、
図2の代替景品20Aに比してバランスを保ち易い。このような形態は、アーム10aによる把持の難易度を低下させるニーズがある場合に有利である。一方、
図6の代替景品20Cでは、
図2の例と同様に凹部20aの角度間隔がアーム10aのそれと一致しないため、
図5の代替景品20Bに比してアーム10aによる把持の難易度を確保する上では有利である。一方、
図6の代替景品20Cにおいて、3つの凹部20aをアーム10aの挿入対象として選択した場合、選ばれた凹部20aの周方向における角度間隔とアーム10aの周方向における角度間隔との間に生じる差が
図2の代替景品20Aに比して大きくなる。したがって、代替景品20Cは、
図2の代替景品20Aに比して難易度の確保には有利である。
【0025】
図7は代替景品の第4の例を示している。
図7の代替景品20Dは、平面視における外周輪郭が、6つ頂点Pvを有し、それらの頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSが六角形となるように設定された例である。ただし、基準形状RSは正六角形ではなく、長辺と短辺とが交互に配置された変形六角形とされている。代替景品20Dの外周輪郭は、基準形状RSの6つの辺のうち、一つ置きに選択した3つの辺、ここでは3つの長辺のそれぞれと対向する位置に基準形状RSの中心側に後退する凹部20aが生じるように設定されている。凹部20aの形状及び大きさは互いに等しい。また、周方向における凹部20aの角度間隔も互いに等しい。したがって、代替景品20Dの外周輪郭は、中心点Pcを上下に貫く基準線RLに対して線対称となるように設定されている。なお、代替景品20Dにおいても、凹部20aは頂点Pv間の全長に亘って設けられ、底Pbは凹部20aの両端の頂点Pvから等しい距離にある。
【0026】
図7の代替景品20Dにおいても、代替景品20Aと同様に、アーム10aによる代替景品20Dの把持が困難となり、あるいは把持が困難な印象を与えるおそれを低減又は排除することが可能である。また、3つの凹部20aの角度間隔が等間隔に配置された3本のアーム10aのそれと一致するため、3本のアーム10aで代替景品20Dを掴んだ場合、
図2の代替景品20Aに比してバランスを保ち易い。この点では、
図5の代替景品20Bと同様である。
図7の例からも明らかなように、代替景品の凹部は、基準形状RSの全ての辺のそれぞれと対向する位置に設けられることを必ずしも要しない。基準形状RSの互いに異なる3つの辺のそれぞれと対向する位置に凹部20aが設けられていれば、上述した作用効果を奏することが可能である。
【0027】
図8は代替景品の第5の例を示している。
図8の代替景品20Eは、平面視における外周輪郭が、4つの頂点Pvを有しかつそれらの頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSが四角形に設定され、その基準形状RSの全ての辺と対向する位置に凹部20aが設けられている点で
図4の代替景品20Cと共通する。ただし、
図2~
図7の例では頂点Pv間の略全長に亘って凹部20aが設けられているのに対して、
図8の代替景品20Eでは、頂点Pv間の一部の範囲に限って凹部20aが設けられ、凹部20a以外の範囲は基準形状RSの各辺と一致する。それにより、代替景品20Eの外周輪郭は風車状である。代替景品20Eの凹部20aの形状及び大きさは互いに等しく、周方向における凹部20aの角度間隔も互いに等しい。したがって、代替景品20Dの外周輪郭は、中心点Pcに対して点対称となるように設定されている。
【0028】
図9は代替景品の第6の例を示している。
図9の代替景品20Fは、平面視における外周輪郭が、4つの頂点Pvを有しかつそれらの頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSが四角形に設定され、その基準形状RSの全ての辺と対向する位置に凹部20aが設けられている点で
図4の代替景品20Cと共通する。また、凹部20aが頂点Pv間の一部の範囲に限って設けられ、凹部20aの形状及び大きさが互いに等しく、周方向における凹部20aの角度間隔も互いに等しく設定されることにより、中心点Pcに対して点対称となるように外周輪郭が設定された点で
図8の代替景品20Eと共通する。一方、代替景品20Fでは、凹部20a内における外周輪郭が内側に凹み又は外側に膨らむように丸みを帯びており、その点で
図8の代替景品20Eとは相違する。
【0029】
図10は代替景品の第7の例を示している。
図10の代替景品20Gは、平面視における外周輪郭が、4つの頂点Pvを有しかつそれらの頂点Pvを結んで描かれる基準形状RSが四角形に設定され、その基準形状RSの全ての辺と対向する位置に凹部20aが設けられている点で
図4の代替景品20Cと共通する。また、凹部20aが頂点Pv間の全長に亘って設けられ、凹部20aの形状及び大きさが互いに等しく、周方向における凹部20aの角度間隔も互いに等しく設定されることにより、中心点Pcに対して点対称となるように外周輪郭が設定された点でも
図4の代替景品20Cと共通する。一方、代替景品20Gでは、凹部20aの両端の頂点Pvから底Pbまでの距離が相違し、底Pbはいずれか一方の側の頂点Pvに偏った位置に設定されている。
【0030】
図8~
図10の代替景品20E、20F、20Gにおいても、
図4の代替景品20Cと同様の作用効果を発揮させることが可能である。
図8~
図10の例からも明らかなように、凹部20a内における外周輪郭は適宜に設定されてよい。
【0031】
図11~
図13は代替景品の第8~第10の例をそれぞれ示している。これらの図に示した代替景品20H、20J、20Kは、
図2の代替景品20A、
図5の代替景品20B、
図6の代替景品20Cに対して、少なくとも頂点Pv及びその近傍の範囲が、外側に膨らむいわゆる角アールとしての丸みを帯びるように外周輪郭が設定されたものである。このように丸みを帯びた外周輪郭が設定される場合でも、外側に最も突出した位置を頂点Pvとして基準形状RSを描いたときに、その基準形状RSの互いに異なる3本以上の辺のそれぞれと対向する位置に凹部20aを設けることにより、
図2、
図5又は
図6の例と同様の効果を発揮させることが可能である。さらに、凹部20aの底Pb及びその近傍にもいわゆる隅アールとしての丸みが付されてもよい。
【0032】
本発明は上述した各種の形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、代替景品が偏平で、いずれか一方の表面を下にしてゲーム装置の水平な載置面上に配置されることを想定し、そのような姿勢で水平面上に置かれた代替景品を鉛直方向から観察した状態を平面視の状態として基準形状を特定した。しかしながら、代替景品は必ずしも偏平な形状であることを要しない。例えば、複数の方向のそれぞれから観察したときに相応の面積を有する立体的形状に代替景品が形成されてもよい。その場合、少なくとも一つの表面を下にして代替景品を水平面上に置いたときの平面視にて、本発明の凹部が生じるように代替景品の外周輪郭が設定されていれば、略同一姿勢で代替景品がゲーム装置の載置面上に置かれた場合に本発明の作用効果が発揮され得る。あるいは、複数の方向のそれぞれから観察したときの外周輪郭に本発明の凹部が存在するように代替景品の立体形状が設定されてもよい。
【0033】
上記の形態では、アームユニットの周方向に等しい角度間隔で3本のアームが設けられている場合における代替景品の好ましい形状を例示したが、本発明の代替景品はそのようなアームユニットを備えたゲーム装置にて使用される例に限らない。上述したように、ゲーム装置のアームユニットにおけるアームの本数は3本に限らず、2本、あるいは4本以上とされる場合がある。したがって、代替景品の外周輪郭上に設けられるべき凹部の個数、周方向における配置は、代替景品が使用されるゲーム装置のアームユニットの構成に適合するように適宜変更されてよい。例えば、アームニットが2本のアームを周方向に180°の間隔で配置された構成であれば、基準形状を三角形とし、その3辺のそれぞれと対向する位置に凹部が生じるように代替景品の外周輪郭が設定されてもよい。アームユニットが4本のアームを有する場合には、例えば基準形状を五角形とし、その基準形状の少なくとも3辺のそれぞれと対向する位置に凹部が生じるように代替景品の外周輪郭が設定されてもよい。この場合、アーム本数よりも凹部の個数が少なく設定されたとしても、凹部が存在しない代替景品と比較すれば代替景品をアームにて掴み易く、かつそのような印象をプレイヤに与えることが可能である。
【0034】
上述した各例では、平面視における代替景品の外周輪郭を線対称又は点対称としたが、その外周輪郭は非対称とされてもよい。例えば、複数本のアームが周方向に不等間隔で配置されている場合には、それに応じて凹部間の角度間隔を適宜に変化させることにより、把持のし易さと、ゲームとしての難易度との両立を図るようにしてもよい。ただし、代替景品の平面視における外周輪郭を線対称又は点対称に設定した場合には、代替景品を上下に反転させ、あるいは周方向に180°回転させても外周輪郭が変化せず、アームと代替景品の凹部との位置関係が一定に保たれる。したがって、筐体の載置面に代替景品を置く場合の向きに関する制限が緩和され、かつアームとの接触などによって筐体内で代替景品の姿勢が変化しても、アームによる代替景品の掴み易さに与える影響を比較的小さく抑えることができる。
【0035】
また、基準形状が正多角形となるように代替景品の外周輪郭を設定した場合には、平面視における代替景品の形状の異方性、すなわち方向に応じた外周輪郭のばらつきを比較的小さく抑え、代替景品の向きがアームによる掴み易さに与える影響を抑制することができる。ただし、基準形状は必ずしも正多角形であることを必須とせず、基準形状が長方形、菱形、平行四辺形、あるいは
図7に示した変形六角形といった各種の多角形となるように外周輪郭が設定されてもよい。
【0036】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0037】
本発明の一態様に係る代替景品(20A~20K)は、少なくとも2本のアーム(10a)を有し、プレイヤの操作に応じて動作するアームユニット(10)を筐体(2)内に備えたゲーム装置(1)にて前記アームユニットが把持すべき対象として使用可能であり、かつ前記プレイヤに与えられるべき景品を代替する物品として前記筐体内の載置面(6a)上に配置される代替景品であって、水平面に置かれた状態を鉛直方向から観察した平面視にて各頂点(Pv)を結んで描かれる多角形を基準形状(RS)と仮定したときに、前記基準形状の互いに異なる3本以上の辺のそれぞれと対向する位置に、前記基準形状の中心側に後退する凹部(20a)が生じるように外周輪郭が設定されたものである。
【0038】
上記の形態によれば、アームユニット側からみて代替景品の外周輪郭上に3つ以上の凹部が現れるようにして、代替景品を筐体の載置面上に置くことができる。それらの凹部に対してアームが挿入されるようにアームユニットを動作させることにより、代替景品を比較的容易に把持することができ、かつそのような印象をプレイヤに与えることができる。したがって、アームによる把持が困難となり、又は把持が困難な印象を与えるおそれを適度に低減することが可能である。
【0039】
上記態様においては、以下の事項をさらに付加することが可能である。なお、以下の各種の事項は、相互に矛盾が生じない限りにおいて適宜に組み合わせて適用されてよい。
【0040】
上記態様の代替景品においては、前記平面視にて、所定の基準点(Pc)に対する点対称、又は所定の基準線(RL)に対する線対称となるように前記外周輪郭が設定されてもよい。これによれば、代替景品を上下に反転させ、あるいは周方向に180°回転させても外周輪郭が変化せず、アームと代替景品の凹部との位置関係が一定に保たれる。したがって、筐体の載置面に代替景品を置く場合の向きに関する制限が緩和され、かつ筐体内で代替景品の姿勢が変化しても、アームによる代替景品の掴み易さに与える影響を比較的小さく抑えることができる。
【0041】
上記態様の代替景品においては、前記基準形状が正多角形となるように前記外周輪郭が設定されてもよい。これによれば、正多角形の基準形状における少なくとも3辺と対向する位置に凹部が設けられるため、平面視における代替景品の形状の異方性、すなわち方向に応じた外周輪郭のばらつきを比較的小さく抑え、代替景品の向きがアームによる掴み易さに与える影響を抑制することができる。
【0042】
上記態様の代替景品においては、前記基準形状の全ての辺のそれぞれと対向する位置に前記凹部が生じるように前記外周輪郭が設定されてもよい。これによれば、凹部の個数を最大限に確保し、アームによる掴み易さを確保するに有利な代替景品を実現することができる。
【0043】
さらに、前記平面視にて、5つの頂点を有する星形となるように前記外周輪郭が設定されてもよい。このような代替景品によれば、特に3本のアームを有するアームユニットを備えたゲーム装置に適用された場合において、代替景品の掴み易さと、アームに把持されて持ち上げられた代替景品のバランス確保の観点からの難易度とを程よく両立させることができる。それにより、ゲームの難易度を適度に確保し、ゲームの興趣が損なわれるおそれを低減し、又は排除することが可能である。
【0044】
上記態様の代替景品においては、前記アームユニットの周方向における前記アームの配置と一致するように前記周方向に並んだ凹部の組み合わせが生じないようにして前記凹部が設けられてもよい。これによれば、アームを挿入すべき目標となる凹部をどのように選択しても、選択された凹部間の角度間隔とアームの角度間隔とが一致しないようになる。そのため、アームにて把持されて持ち上げられる代替景品のバランスを確保するためには相応のスキルが必要となる。したがって、ゲームの難易度を適度に確保し、ゲームの興趣が損なわれるおそれを低減し、又は排除することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ゲーム装置
2 筐体
6a 載置面
10 アームユニット
10a アーム
20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20J、20K 代替景品
20a 凹部
Pb 凹部の底
Pc 中心点(基準点)
Pv 頂点
RL 基準線
RS 基準形状