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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178505
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20241218BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20241218BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B65B13/18 G
B65B13/28
E04G21/12 105E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096665
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 政人
(72)【発明者】
【氏名】杉原 進平
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA42
3E052BA18
3E052CA18
3E052CB05
3E052CB07
3E052FA09
3E052HA09
3E052LA20
(57)【要約】
【課題】操作ダイヤルと、ロータリースイッチの軸心の位置のずれや傾きのずれを合わせる必要性を排除可能な鉄筋結束機を提供する。
【解決手段】鉄筋結束機の操作部9は、回転させる操作を受けることが可能な操作ダイヤル90と、回転可能な軸91bを有したロータリースイッチ91と、軸91bを回転可能に軸91bと操作ダイヤル90を接続すると共に、軸91bの延伸する方向に対して操作ダイヤル90を姿勢変化可能に支持する接続部92を備える。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転させる操作を受けることが可能な操作ダイヤルと、
回転可能な軸を有したロータリースイッチと、
前記軸を回転可能に前記軸と前記操作ダイヤルを接続すると共に、前記軸の延伸する方向に対して前記操作ダイヤルを姿勢変化可能に支持する接続部と
を備えた結束機。
【請求項2】
前記接続部は、前記軸の延伸する方向と交差する径方向に突出するダイヤル接続部を備え、
前記操作ダイヤルは、前記ダイヤル接続部が挿入される溝部を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記ダイヤル接続部は、少なくとも径方向の対向する2か所に設けられる
請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記溝部は、前記軸の延伸する方向に沿って延伸する
請求項2に記載の結束機。
【請求項5】
前記接続部は、前記軸に接続され、前記軸の延伸する方向に沿ったスイッチ接続部を備え、
前記操作ダイヤルは、前記スイッチ接続部に対し、前記軸の延伸する方向と直交する2軸を回動中心とした回動自由度を有する
請求項1に記載の結束機。
【請求項6】
前記接続部は、前記軸に接続され、前記軸の延伸する方向に沿ったスイッチ接続部を備え、
前記操作ダイヤルは、前記スイッチ接続部に対し、前記軸の延伸する方向と直交する方向の移動自由度を有する
請求項1に記載の結束機。
【請求項7】
前記操作ダイヤルは、前記軸の延伸する方向と交差する径方向に突出する突起部を備え、
前記接続部は、前記突起部が挿入される溝部を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項8】
前記操作ダイヤルは、本体カバーに回転可能に支持され、
前記ロータリースイッチは、前記本体カバーに取り付けられるケースに支持される
請求項1に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ワイヤを捩じる力の大小などを設定可能な操作部が設けられる結束機が提案されており、このような結束機では、操作部は、回転可能なダイヤルを有した構成である。
【0005】
ダイヤル式操作スイッチ装置としては、ユーザが回転操作可能なダイヤルノブと、回転可能なロータ軸を有するロータリースイッチと、ダイヤルノブに嵌合されて当該ダイヤルノブと一体的に回転するロータと、ロータとロータリースイッチのロータ軸とを連結し、ロータの回転力をロータ軸に伝達する中継部材を備えた装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6791141号公報
【特許文献2】特開2020-136023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のダイヤル式操作スイッチ装置では、ダイヤルノブ及びロータと、ロータリースイッチのロータ軸の軸心の位置のずれや傾きのずれがあると、互いの組付けが難しく、また、ロータリースイッチのロータ軸に負荷が掛かる。このため、ダイヤルノブ及びロータと、ロータリースイッチのロータ軸の軸心の位置のずれや傾きのずれを合わせる必要性がある。
【0008】
本発明は、操作ダイヤルと、ロータリースイッチの軸心の位置のずれや傾きのずれを合わせる必要性を排除可能な結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、回転させる操作を受けることが可能な操作ダイヤルと、回転可能な軸を有したロータリースイッチと、軸を回転可能に軸と操作ダイヤルを接続すると共に、軸の延伸する方向に対して操作ダイヤルを姿勢変化可能に支持する接続部とを備えた結束機である。
【0010】
本発明では、操作ダイヤルと、ロータリースイッチの軸が、軸の延伸する方向に対して傾斜する方向、軸の延伸する方向に対して直交する方向、及び、軸の延伸する方向に沿った方向に、相対的に移動可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、操作ダイヤルと、ロータリースイッチの軸心の位置のずれや傾きのずれを、接続部で吸収することができる。これにより、ロータリースイッチの軸心と操作ダイヤルの軸心との位置がずれていても組付けが可能である。また、ロータリースイッチの軸と操作ダイヤルの垂直が出ていなくても、組付けが可能である。さらに、ロータリースイッチの軸に掛かる負荷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図である。
図2】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す外観斜視図である。
図3】本実施の形態の操作部の一例を示す分解斜視図である。
図4A】本実施の形態の操作部の一例を示す要部分解斜視図である。
図4B】本実施の形態の操作部の一例を示す要部分解斜視図である。
図5A】本実施の形態の操作部の一例を示す側断面図である。
図5B】本実施の形態の操作部の一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0014】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図、図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す外観斜視図である。
【0015】
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10とハンドル部11を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。鉄筋結束機1Aは、複数本のワイヤW、本例では、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する。
【0016】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2と、2本のワイヤWを、ワイヤWの径方向に並べて送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3に送られる2本のワイヤWをガイドするワイヤガイド4を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られる2本のワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す環状送り経路を構成するカール形成部5と、鉄筋Sに巻き付けられた2本のワイヤWを切断する切断部6を備える。さらに、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられた2本のワイヤWを捩じる結束部7と、結束部7を駆動する駆動部8を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを捩じって結束する結束力の大小などを設定可能な操作部9を備える。
【0017】
マガジン2は、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。リール20は、2本のワイヤWが巻かれ、リール20から同時に2本のワイヤWを引き出せるようになっている。
【0018】
ワイヤ送り部3は、並列された2本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3は、図示しない送りモータの回転動作が一対の送りギア30の一方に伝達される。また、一対の送りギア30は、ギア部の噛み合いにより、一方の送りギア30の回転動作が他方の送りギア30に伝達される。
【0019】
ワイヤ送り部3は、2本のワイヤWを、一対の送りギア30が並ぶ方向に沿って並列させる。また、ワイヤ送り部3は、図示しない送りモータの回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0020】
ワイヤガイド4は、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、送りギア30の上流側及び図示しない下流側に配置される。ワイヤガイド4は、進入してきた2本のワイヤWを、一対の送りギア30の並ぶ方向に沿って並列させて、一対の送りギア30の間にガイドする。
【0021】
カール形成部5は、ワイヤ送り部3で送られる2本のワイヤWに巻き癖をつけると共に、2本のワイヤWが並列する向きを規制するカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられた2本のワイヤWを結束部7に誘導する誘導ガイド51を備える。カール形成部5は、ワイヤ送り部3で送られ、カールガイド50を通過する2本のワイヤWに巻き癖を付けることで、カールガイド50から誘導ガイド51を通り結束部7に到達する図1に二点鎖線で示すような環状送り経路Ruを形成する。
【0022】
切断部6は、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7の動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6は、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。
【0023】
結束部7は、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させるスリーブ71を備える。駆動部8は、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0024】
鉄筋結束機1Aは、環状送り経路Ruを通り、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWの送り経路の終端に、ワイヤWの先端が突き当てられる送り規制部16を備える。また、鉄筋結束機1Aは、上述したカール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10の前側の端部に設けられる。さらに、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部17が、本体部10の前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
【0025】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11が本体部10から下方向に延在する。さらに、ハンドル部11の下部にバッテリ15が着脱可能に取り付けられる。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2がハンドル部11の前方に設けられる。鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3、切断部6、結束部7、結束部7を駆動する駆動部8等が本体部10に収納される。
【0026】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11の前側にトリガ12が設けられ、ハンドル部11の内部にスイッチ13が設けられる。鉄筋結束機1Aは、トリガ12の操作で押されるスイッチ13の状態に応じて、図示しない制御部が送りモータ及びモータ80を制御する。
【0027】
<本実施の形態の操作部の構成例>
図3は、本実施の形態の操作部の一例を示す分解斜視図、図4A図4Bは、本実施の形態の操作部の一例を示す要部分解斜視図、図5A図5Bは、本実施の形態の操作部の一例を示す側断面図である。
【0028】
以下に、各図を参照して、本実施の形態の操作部9の一例について説明する。操作部9は、操作ダイヤル90と、ロータリースイッチ91と、接続部92と、基板93と、ケース94を備える。
【0029】
操作ダイヤル90は、ダイヤル部90aと被接続部90bを備える。ダイヤル部90aは、操作ダイヤル90を回転させる操作を受けることが可能な形状で、例えば円形の外形をなす。
【0030】
被接続部90bは、ダイヤル部90aの裏面から、操作ダイヤル90の回転の軸方向に沿って突出する。被接続部90bは、ダイヤル部90aの裏面から突出した軸方向の端部90cが開口した略円筒形状である。被接続部90bは、端部90cの開口からダイヤル部90aの裏面に向けて軸方向に沿ってつながる穴部90dが形成される。
【0031】
被接続部90bは、径方向に対向した2か所に溝部90eを備える。溝部90eは、被接続部90bの外周面から穴部90dまで貫通する。溝部90eは、操作ダイヤル90の軸方向に延伸し、端部90cまでつながる。
【0032】
被接続部90bは、回転角度規制部90fを備える。回転角度規制部90fは、被接続部90bの外周面に、周方向に沿って凹部と凸部を設けて構成される。回転角度規制部90fは、リアカバー100に設けた図示しない弾性部材が係合する。これにより、操作ダイヤル90は、回転角度規制部90fの凹凸のピッチに応じて、回転する際の回転角度が規制された状態で、操作ダイヤル90を回転させる操作にクリック感が与えられる。
【0033】
操作ダイヤル90は、係止部90gを備える。係止部90gは、操作ダイヤル90の径方向に沿った被接続部90bの外側で、操作ダイヤル90の回転の周方向に沿った複数箇所に設けられる。係止部90gは、ダイヤル部90aの裏面から、操作ダイヤル90の回転の軸方向に沿って突出する。係止部90gは、ダイヤル部90aの裏面から突出した軸方向の端部に、操作ダイヤル90の径方向に沿って外側に向けて突出する凸部90hが形成される。
【0034】
リアカバー100は本体カバーの一例で、鉄筋結束機1Aの本体部10に取り付けられ、鉄筋結束機1Aの外装の一部を構成するリアカバー100は、周方向に並ぶ複数の係止部90gを結ぶ仮想の円が入る直径の穴101が形成され、穴101の縁に沿って、係止部90gの凸部90hが係止される被係止面102が形成される。
【0035】
操作ダイヤル90は、被接続部90b及び係止部90gがリアカバー100の穴101に挿入されると、係止部90gが弾性変形しながら凸部90hが穴101の縁を乗り越え、凸部90hが被係止面102に係止される。これにより、操作ダイヤル90は、係止部90gが穴101の縁に沿って移動可能な形態で、リアカバー100に回転可能に支持される。操作ダイヤル90の回転の中心は、穴101の中心と略合う位置となる。したがって、操作ダイヤル90の回転の中心が、リアカバー100で規定される。
【0036】
ロータリースイッチ91は、スイッチ本体91aと、スイッチ本体91aに対して回転可能な軸91bを備える。スイッチ本体91aは、図示しない内部端子間の接続の切り替えなどが、軸91bの回転で切り替えられる機構を備える。軸91bは円柱形状で、周方向に回転する。軸91bは、スイッチ本体91aから軸方向に突出する。軸91bは、外周面に、軸方向に沿って延伸する溝部91cが形成される。スイッチ本体91aは、軸91bの突出する面と反対側の面に、外部端子91dが設けられる。
【0037】
接続部92は、スイッチ接続部92aとダイヤル接続部92bを備える。スイッチ接続部92aは、軸方向の一方の端部92cが開口した略円筒形状である。スイッチ接続部92aは、略円筒形状の外径が、操作ダイヤル90の被接続部90bの穴部90dの内径より小さい寸法であり、穴部90dに挿入可能である。
【0038】
スイッチ接続部92aは、端部92cの開口から軸方向につながる穴部92dが形成される。スイッチ接続部92aは、略円筒形状の内径である穴部92dの内径が、ロータリースイッチ91の軸91bの外径と略同じ、または、若干大きい寸法であり、軸91bが挿入可能である。
【0039】
スイッチ接続部92aは、穴部92dの内面に、軸方向に沿って延伸する凸部92eを備える。凸部92eは、穴部92dの内周面から、径方向の内側に向けて所定の高さで突出し、ロータリースイッチ91の軸91bの溝部91cに入る形状である。
【0040】
凸部92eは、穴部92dの内周面から径方向の内側に向けて突出する高さが、スイッチ接続部92aの穴部92dにロータリースイッチ91の軸91bが挿入された状態で、溝部91cに入る寸法である。これにより、接続部92は、ロータリースイッチ91の軸91bに対し、周方向に自在に回転することが規制される。
【0041】
ダイヤル接続部92bは、スイッチ接続部92aの外周面から、スイッチ接続部92aの径方向の外側に向けて突出する。ダイヤル接続部92bは、スイッチ接続部92aの軸方向の他方の端部に設けられ、スイッチ接続部92aの径方向に対向した少なくとも2か所から、外側に向けて突出する。ダイヤル接続部92bは、円柱形状の突起部で、円柱形の外径が、操作ダイヤル90の被接続部90bの溝部90eの幅より小さい寸法である。
【0042】
ダイヤル接続部92bは、スイッチ接続部92aの外周面から径方向の外側に向けて突出する高さが、操作ダイヤル90の被接続部90bの穴部90dに接続部92が挿入された状態で、溝部90eに入る寸法である。
【0043】
基板93は、ケース94に図示しないネジなどで固定され、さらに図示しない樹脂で封止される。ロータリースイッチ91は、外部端子91dが基板93のスルーホール93aに挿入され、はんだ付けにより電気的な接続と固定が行われる。なお、ロータリースイッチ91は、スイッチ本体91aの一部が、軸91bが回転可能な状態で、樹脂で封止、基板93に固定される構成でもよい。ケース94は、ネジ94aでリアカバー100に固定される。
【0044】
<本実施の形態の操作部の作用効果例>
ロータリースイッチ91は、軸91bに接続部92が取り付けられる。接続部92は、スイッチ接続部92aの穴部92dに軸91bが挿入される。穴部92dに軸91bが挿入されると、穴部92dの凸部92eが軸91bの溝部91cに入る。これにより、接続部92は、ロータリースイッチ91の軸91bに対し、周方向に自在に回転することが規制される。
【0045】
操作ダイヤル90は、リアカバー100に取り付けられる。操作ダイヤル90は、被接続部90b及び係止部90gがリアカバー100の穴101に挿入されると、リアカバー100に回転可能に支持される。
【0046】
ロータリースイッチ91の軸91bに接続部92が取り付けられた状態で、ケース94がリアカバー100に取り付けられると、操作ダイヤル90の穴部90dに接続部92が挿入される。操作ダイヤル90の溝部90eは、被接続部90bの端部90cまでつながる。これにより、操作ダイヤル90の穴部90dに接続部92が挿入されると、接続部92のダイヤル接続部92bが、操作ダイヤル90の溝部90eに挿入される。
【0047】
操作ダイヤル90の溝部90eに接続部92のダイヤル接続部92bが挿入された状態で、操作ダイヤル90を回転させると、操作ダイヤル90が回転する力が、溝部90e及びダイヤル接続部92bを介して接続部92に伝達される。
【0048】
また、接続部92が回転すると、接続部92が回転する力が、接続部92の穴部92dに設けた凸部92e及び接続部92の穴部92dに挿入された軸91bの溝部91cを介して軸91bに伝達される。
【0049】
これにより、操作ダイヤル90は、接続部92を介してロータリースイッチ91の軸91bに接続される。また、操作ダイヤル90を回転させると、ロータリースイッチ91の軸91bが回転する。
【0050】
図5A図5Bに示すように、軸91bの延伸方向をX軸、図5Aに示すように、ダイヤル接続部92bの延伸方向をY軸、図5Bに示すように、ダイヤル接続部92bの延伸方向と直交する方向をZ軸とする。操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、接続部92のダイヤル接続部92bを回転軸として、所定の角度内で相対的に回転が可能である。すなわち、操作ダイヤル90は、図5Bの矢印Z1方向に、Y軸を回転中心としてX軸に対し傾斜可能である。また、操作ダイヤル90の溝部90eが軸方向に延伸することで、接続部92のダイヤル接続部92bは、溝部90eに沿って移動可能である。これにより、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、接続部92のダイヤル接続部92bが延伸する方向に対して傾斜する方向にも、所定の角度内で相対的に回転が可能である。すなわち、操作ダイヤル90は、図5Aの矢印Y1方向に、Z軸を回転中心としてX軸に対し傾斜可能である。よって、操作ダイヤル90は、接続部92のスイッチ接続部92aに対し、軸91bの延伸する方向と直交する2軸を回動中心とした回動自由度を有する。したがって、軸91bが延伸する方向(X軸)に対して傾斜する方向を第1の方向としたとき、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、軸91bが延伸する方向に対して任意の第1の方向へ、所定の角度内で相対的に傾斜することが可能である。
【0051】
さらに、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、操作ダイヤル90の穴部90dの内径と接続部92の外径の差、操作ダイヤル90の溝部90eの幅と接続部92のダイヤル接続部92bの外径の差などにより、軸91bが延伸する方向(X軸)と直交する方向であるY軸及びZ軸を含むY-Z平面に沿った第2の方向に、所定の範囲で相対的に移動可能である。よって、操作ダイヤル90は、接続部92のスイッチ接続部92aに対し、軸91bの延伸する方向と直交する方向の移動自由度を有する。
【0052】
また、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、軸91bが延伸する方向であるX軸に沿った第3の方向に、所定の範囲で相対的に移動可能である。
【0053】
上述したように、操作ダイヤル90は、リアカバー100に回転可能に支持される。これに対し、ロータリースイッチ91は、基板93を介してケース94に固定される。このような構成では、ケース94をリアカバー100に固定した際に、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、軸方向に対して所定の公差の範囲内で相対的に傾斜している場合がある。また、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、軸91bが延伸する方向と直交する方向に、互いの軸心が所定の範囲で相対的に位置がずれている場合がある。さらに、操作ダイヤル90とロータリースイッチ91の軸91bは、軸方向に所定の範囲で相対的に位置がずれている場合がある。
【0054】
これに対し、操作部9は、操作ダイヤル90が、接続部92を介してロータリースイッチ91の軸91bに接続される。接続部92は、操作ダイヤル90と、ロータリースイッチ91の軸91bを、軸91bの延伸する方向に対して傾斜する第1の方向、軸91bの延伸する方向に対して直交する第2の方向、及び、軸91bの延伸する方向に沿った第3の方向に、相対的に移動可能に接続する。
【0055】
これにより、操作部9は、操作ダイヤル90と、ロータリースイッチ91の軸心の位置のずれや傾きのずれを、接続部92で吸収することができる。したがって、ロータリースイッチ91の軸心と操作ダイヤル90の軸心との位置がずれていても組付けが可能である。また、ロータリースイッチ91の軸91bと操作ダイヤル90の垂直が出ていなくても、組付けが可能である。
【0056】
さらに、ロータリースイッチ91の軸心と操作ダイヤル90の軸心との位置がずれていても、ロータリースイッチ91の軸91bに負荷が掛かることを抑制できる。また、ロータリースイッチ91の軸91bと操作ダイヤル90の垂直が出ていなくても、ロータリースイッチ91の軸91bに負荷が掛かることを抑制できる。
【0057】
これにより、ケース94をリアカバー100に固定した際に、ロータリースイッチ91の軸91bに負荷が掛かることに起因して、ロータリースイッチ91の出力がエラーとなることを抑制できる。また、操作ダイヤル90は、回転角度規制部90fの凹凸のピッチに応じて、回転する際の回転角度が規制されることで、軸91bに対して上記各方向への移動の自由度を持たせた状態でも、操作ダイヤル90がガタつく感じを操作者に与えることなく、操作ダイヤル90を回転させる操作にクリック感を与えることができる。
【0058】
なお、以上の実施の形態では、ダイヤル接続部92bは、スイッチ接続部92aの径方向に対向した少なくとも2か所から、外側に向けて突出する構成とした。これに対し、ダイヤル接続部92bは、スイッチ接続部92aの周方向の3か所以上に設ける構成としてもよい。このような構成の場合、操作ダイヤル90の溝部90eを、ダイヤル接続部92bの配置、数に合わせて設ける。
【0059】
また、以上の実施の形態では、接続部92は、軸91bの延伸する方向と交差する径方向に突出する突起部であるダイヤル接続部92bを備え、操作ダイヤル90は、ダイヤル接続部92bが挿入される溝部90eを備える構成とした。これに対し、操作ダイヤル90が、軸91bの延伸する方向と交差する径方向に突出する突起部を備え、接続部92が、突起部が挿入される溝部を備える構成としてもよい。さらに、ロータリースイッチ91の軸91bに接続部92を一体に設けてもよい。
【0060】
<本実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0061】
鉄筋Sがカール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられ、トリガ12が操作されると、図示しない送りモータが正回転方向に駆動され、一対の送りギア30で挟持された2本のワイヤWが、矢印Fで示す正方向に送られる。
【0062】
正方向に送られるワイヤWは、カール形成部5のカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、環状送り経路Ruに沿って鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0063】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、さらにワイヤ送り部3で正方向に送られることで、ワイヤ係止体70に誘導される。ワイヤWの先端が送り規制部16に突き当てられる位置まで送られると、図示しない送りモータの駆動が停止される。
【0064】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する動作域では、回転が規制される。これにより、モータ80の回転が直線移動に変換され、スリーブ71は、前方向である矢印A1方向に移動する。スリーブ71が前方向に移動すると、ワイヤ係止体70の所定の動作でワイヤWが係止される。
【0065】
ワイヤ係止体70でワイヤWが係止される位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、送りモータを逆回転方向に駆動する。
【0066】
これにより、一対の送りギア30が逆転し、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
【0067】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータの逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80が正回転方向に駆動されることで、スリーブ71がさらに矢印A1で示す前方向に移動する。スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6に伝達されることで可動刃部61が回転し、ワイヤWの所定位置が、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0068】
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させて2本のワイヤWを切断するとほぼ同時に、ワイヤ係止体70でワイヤWが前方向に押され、ワイヤWの先端側及び終端側が鉄筋S側に折り曲げられる。
【0069】
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80がさらに正回転方向に駆動されることで、スリーブ71がさらに前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動すると、スリーブ71の回転の規制が解除される。
【0070】
これにより、モータ80がさらに正回転方向に駆動されることでスリーブ71が回転し、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作が開始される。ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されると、スリーブ71は、回転が規制された状態で後方向である矢印A2方向に移動する。
【0071】
スリーブ71が後方向に移動すると、ワイヤ係止体70によるワイヤWの係止が解消され、鉄筋Sを結束したワイヤWがワイヤ係止体70から抜ける。
【0072】
鉄筋結束機1Aは、操作部9で操作ダイヤル90を回転させることで、ロータリースイッチ91の軸91bが回転する。鉄筋結束機1Aの図示しない制御部は、ロータリースイッチ91の軸91bの回転角度に応じて、モータ80の回転量を制御する。これにより、ワイヤWを捩じって結束する結束力の大小が設定可能である。
【符号の説明】
【0073】
1A・・・鉄筋結束機、2・・・マガジン、20・・・リール、3・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、5・・・カール形成部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、6・・・切断部、7・・・結束部、70・・・ワイヤ係止体、71・・・スリーブ、8・・・駆動部、80・・・モータ、81・・・減速機、90・・・操作ダイヤル、90a・・・ダイヤル部、90b・・・被接続部、90c・・・端部、90d・・・穴部、90e・・・溝部、90f・・・回転角度規制部、90g・・・係止部、90h・・・凸部、91・・・ロータリースイッチ、91a・・・スイッチ本体、91b・・・軸、91c・・・溝部、91d・・・外部端子、92・・・接続部、92a・・・スイッチ接続部、92b・・・ダイヤル接続部、92c・・・端部、92d・・・穴部、92e・・・凸部、93・・・基板、93a・・・スルーホール、94・・・ケース、94a・・・ネジ、100・・・リアカバー(本体カバー)、101・・・穴、102・・・被係止面、W・・・ワイヤ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B