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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178512
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20241218BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J3/46
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096683
(22)【出願日】2023-06-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】木水 拓也
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
【Fターム(参考)】
5G015FA10
5G015GA05
5G015GB03
5G015HA12
5G015HA16
5G015JA01
5G015JA05
5G015JA22
5G015JA45
5G015JA47
5G066HA08
5G066HA15
5G066HB03
5G066LA02
(57)【要約】
【課題】3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システムを提供する。
【解決手段】交流電源Sの電力を変換して負荷50a~50cへ出力する電力変換部20a~20c、および、交流電源Sの電力を負荷50a~50cへ直接出力する第1バイパス回路30a~30cを含む無停電電源100a~100cを3系統以上用いて、3系統以上の負荷50a~50cに電力給電を行う無停電電源システム200であって、無停電電源100a~100cの各々は、情報通信部9a~9cを含み、情報通信部9a~9cは、他の情報通信部9a~9cと互いに接続されることによりループ状となるように接続されており、ループ状に接続された他の情報通信部9a~9cと通信を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力する第1バイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の前記負荷に電力給電を行う無停電電源システムであって、
前記無停電電源の各々は、
前記無停電電源における自系統の前記第1バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から電力が出力される母線の電圧を検出する検出部と、
自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行う同期制御部と、
前記検出部の検出結果に基づいて取得される検出情報を通信する情報通信部とを含み、
前記情報通信部は、他の前記情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の前記情報通信部と通信を行うように構成されており、
前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した前記検出情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている、無停電電源システム。
【請求項2】
前記所定の電圧は、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧を含み、
前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した前記検出情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記検出情報は、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から電力が出力される前記母線の電圧の値、周波数および位相の少なくとも1つを含み、
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した自系統の前記無停電電源の前記検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定して、判定した結果に基づいて自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した前記検出情報に基づいて、正常範囲内でない値の前記検出情報を有すると判定した他系統の前記無停電電源を、同期する対象から除外するようにする制御を行うように構成されている、請求項3に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記情報通信部は、前記無停電電源の各々の運転状態を示す運転状態情報をさらに通信するように構成されており、
前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている前記無停電電源があるという前記運転状態情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記無停電電源の各々は、自系統において並列に複数台接続され、自系統の前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部と前記検出情報の通信を行う並列通信部を含み、
前記並列通信部は、自系統の他の前記無停電電源の前記並列通信部と前記検出情報の通信を行うように構成されている、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項7】
前記母線は、前記無停電電源と前記負荷との接続を解除する開閉器をさらに備え、
前記検出部が、自系統の前記母線のうち、前記開閉器よりも前記無停電電源側の前記母線の電圧を検出するように構成されている、請求項1または6に記載の無停電電源システム。
【請求項8】
前記無停電電源とは別個に設けられ、前記開閉器よりも前記負荷側の前記母線に接続されるとともに、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力する第2バイパス回路と、
前記第2バイパス回路の電圧を検出するバイパス電圧検出部と、
前記バイパス電圧検出部によって得られた前記検出情報を通信するバイパス情報通信部と、を含むバイパス部をさらに備え、
前記バイパス情報通信部は、他の前記情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の前記情報通信部と通信を行うように構成されている、請求項7に記載の無停電電源システム。























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源に接続された2系統の無停電電源のうち、いずれかの無停電電源を用いて、3系統以上の負荷に電力を給電する無停電電源システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載の無停電電源システムは、3系統の負荷へ電力供給を行う2系統の無停電電源装置を備えている。無停電電源装置の各々は、交流電源からの電力を直接負荷へ供給するバイパス電源回路と、負荷へ供給する電力を調整する電力変換部と、自系統の電力変換部の出力および他系統の電力変換部の出力を検出する電圧検出器と、電圧検出器を介して電圧を取得する同期選択回路とを含む無停電電源を備える。
【0003】
また、上記特許文献1では、無停電電源装置の各々は、同期選択回路の取得した電圧を相互に通信するための信号中継回路をさらに備える。そして、上記特許文献1に記載の無停電電源システムでは、無停電電源装置内の同期選択回路が、信号中継回路を介して無停電電源装置の情報を相互に通信し、無停電電源装置の出力を同期させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5347415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、自系統の電力変換部の出力および他系統の電力変換部の出力の各々を検出するために複数の電圧検出器が備えられている。また、上記特許文献1では、2つの系統の無停電電源装置のうち、自系統の電力変換部の出力および他系統の電力変換部の出力の各々を、いずれかの無停電電源装置の出力電圧に同期させるような構成が開示されている。一方、3系統以上の無停電電源装置において、無停電電源装置の各々をいずれかの系統の無停電電源装置の出力電圧に同期させる場合には、3系統目以降の電力変換部の出力を検出するための新たな電圧検出器の追加が必要となるため、無停電電源装置の構成が複雑化し、大型になるという問題点がある。そこで、3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システムが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による無停電電源システムは、交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、交流電源の電力を負荷へ直接出力する第1バイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の負荷に電力給電を行う無停電電源システムであって、無停電電源の各々は、無停電電源における自系統の第1バイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から電力が出力される母線の電圧を検出する検出部と、自系統の電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行う同期制御部と、検出部の検出結果に基づいて取得される検出情報を通信する情報通信部とを含み、情報通信部は、他の情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の情報通信部と通信を行うように構成されており、同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による無停電電源システムは、上記のように、情報通信部は、他の情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されており、ループ状に接続された他の情報通信部と通信を行うように構成されており、同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている。これにより、他系統の母線の電圧を検出するための検出部(電圧検出器)を新たに設けることなく、情報通信部が、ループ状に接続された他系統の情報通信部と通信を行うことにより、全ての他系統の無停電電源における検出情報を取得することができる。そのため、同期制御部が、他系統の無停電電源における検出情報に基づいて、自系統の電力変換部から出力される電力を、所定の電圧に同期制御することが可能となる。その結果、3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システムを提供することができる。
【0009】
上記一の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、所定の電圧は、自系統の第1バイパス回路の電圧、または、他系統の母線の電圧を含み、同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、自系統の第1バイパス回路の電圧、または、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部の出力電圧を、自系統の第1バイパス回路の電圧および他系統の母線の電圧のうち、所望の電圧に同期する制御を行うことができる。その結果、自系統の電力変換部が出力する電圧を、適切な値に同期させて、負荷に電力供給を行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、検出情報は、自系統の第1バイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から電力が出力される母線の電圧の値、周波数および位相の少なくとも1つを含み、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した自系統の無停電電源の検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定して、判定した結果に基づいて自系統の電力変換部が出力する電圧を、自系統の第1バイパス回路の電圧、または、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、自系統の第1バイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から電力が出力される母線の電圧等に基づいて、同期対象として適切な値かどうかを判定することができる。そのため、自系統の電力変換部が出力する電圧を、適切な値を出力していることが判定された無停電電源の出力電圧に同期させることができる。その結果、自系統の電力変換部が出力する電圧を、より適切な値に同期させて、負荷に電力供給を行うことができる。
【0011】
上記無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した自系統の無停電電源の検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定する無停電電源システムにおいて、好ましくは、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、正常範囲内でない値の検出情報を有すると判定した他系統の無停電電源を、同期する対象から除外するようにする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、自系統の電力変換部が出力する電圧を正常でない動作をしている無停電電源に同期させてしまうことを抑制することができる。その結果、自系統の電力変換部が出力する電圧を、正常に動作をしている無停電電源に同期させて、負荷に電力供給を行うことができる。
【0012】
上記一の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、無停電電源の各々は、自系統において並列に複数台接続され、自系統の無停電電源の各々に含まれる同期制御部と検出情報の通信を行う並列通信部を含み、並列通信部は、自系統の他の無停電電源の並列通信部と検出情報の通信を行うように構成されている。このように構成すれば、1つの系統内に複数台の無停電電源が配置される場合にも、系統の各々における複数台の無停電電源に含まれる電力変換部からの出力電圧を同期させて、負荷に出力させることができる。その結果、1つの系統内に複数台の無停電電源がある場合にも、自系統の電力変換部が出力する電圧をいずれかの系統に同期させて、負荷に電力供給を行うことができる。
【0013】
上記一の局面による無停電電源システムにおいて、好ましくは、母線は、無停電電源と負荷との接続を解除する開閉器をさらに備え、検出部が、自系統の母線のうち、開閉器よりも無停電電源側の母線の電圧を検出するように構成されている。このように構成すれば、検出部が自系統の母線のうち、開閉器よりも無停電電源側の母線の電圧を検出するように構成されているため、開閉器を開いた状態(オフ状態)にすることによって、無停電電源をメンテナンスしたり、交換したりする場合に、無停電電源を容易に取り外すことができる。その結果、無停電電源をメンテナンスしたり、交換したりする場合の作業性を向上することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、無停電電源とは別個に設けられ、開閉器よりも負荷側の母線に接続されるとともに、交流電源の電力を負荷へ直接出力する第2バイパス回路と、第2バイパス回路の電圧を検出するバイパス電圧検出部と、バイパス電圧検出部によって得られた検出情報を通信するバイパス情報通信部と、を含むバイパス部をさらに備え、バイパス情報通信部は、他の情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の情報通信部と通信を行うように構成されている。このように構成すれば、無停電電源をメンテナンスしたり、交換したりする場合に無停電電源を取り外した系統においても、第2バイパス回路を介して負荷に電力供給を行うことができる。また、バイパス部の情報通信部を介して得られた検出情報に基づいて、無停電電源を取り外していない系統の電力変換部が出力する電圧を、第2バイパス回路の電圧と同期させることができる。その結果、1つの系統において無停電電源を取り外した場合にも、無停電電源を取り外していない系統の電力変換部が出力する電圧を、いずれかの系統の電圧に同期させて、負荷に電力供給を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態による無停電電源システムの構成を示した図である。
図2】本発明の第1実施形態による情報通信部の接続に関する構成を示した図である。
図3】4つの情報通信部をループ状に接続する場合を説明のための図である。
図4】比較例による無停電電源システムの構成を示した図である。
図5】本発明の第2実施形態による無停電電源システムの構成を示した図である。
図6】本発明の第3実施形態による無停電電源システムの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1を参照して、第1実施形態による無停電電源システム200の構成を説明する。
【0019】
(無停電電源システム200の構成)
図1に示すように、無停電電源システム200は、交流電源Sから出力される電力を、第1の系統Aの出力である母線10a、第2の系統Bの出力である母線10bおよび第3の系統Cの出力である母線10cから、3系統の負荷50a、50bおよび50cに供給するシステムである。無停電電源システム200は、交流電源Sから供給される電力を変換するためのトランス1a、1bおよび1cと、負荷50a、50bおよび50cに対して電力を供給する系統を切り替えるための切り替え機40a、40bおよび40cとを備える。また、無停電電源システム200は、系統Aにおいて、第1バイパス回路30aと、第2バイパス回路2aと、無停電電源100aとを備える。また、無停電電源システム200は、系統Bにおいて、第1バイパス回路30bと、第2バイパス回路2bと、無停電電源100bとを備える。また、無停電電源システム200は、系統Cにおいて、第1バイパス回路30cと、第2バイパス回路2cと、無停電電源100cとを備える。以下の説明では、第1の系統Aの構成について説明するが、第2の系統Bおよび第3の系統Cにおいても同様の説明が可能である。
【0020】
第1バイパス回路30aは、第1の系統Aの無停電電源100aに一部が含まれるように構成され、トランス1aから出力された電力を、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutに伝達するための回路である。第1バイパス回路30aは、開閉器31aと、電力線32aと、サイリスタスイッチ33aと、第1バイパス開閉器34aとを含むように構成されている。第1の系統Aの無停電電源100aにおいて、電力変換部20aが、異常により正常に動作できなくなった場合に、開閉器31aがオンとなり、サイリスタスイッチ33aを通して第1の系統Aの母線10aにおける接続点Aoutに電力が供給される。そして、サイリスタスイッチ33aに電流が流れ、第1バイパス開閉器34aがオンとなると、第1バイパス開閉器34aを介して、電力が供給されるように切り換わる。第1バイパス回路30aに用いられる電力線32aとしては、単線またはより線を被覆したケーブル線や金属バスバーが用いられる。
【0021】
第2バイパス回路2aは、第1の系統Aの無停電電源100aが、メンテナンスまたは交換などにより外されている際に、交流電源Sから供給された電力を、第2バイパス回路2aを介して負荷50a~50cに伝達するための回路である。第2バイパス回路2aは、トランス1aから出力された電力を、第1の系統Aの母線10aにおける接続点Aoutに伝達する電力線である。また、第2バイパス回路2aは、必要に応じて開閉する第2バイパス開閉器3aを備える。第2バイパス回路2aに用いられる電力線としては、単線またはより線を被覆したケーブル線や金属バスバーが用いられる。
【0022】
無停電電源100aは、停電時などに、負荷50a~50cに対して電力を供給するための電源である。無停電電源100aは、第1バイパス回路30aと、コンバータ部21aおよびインバータ部22aを含む電力変換部20aと、第1バイパス回路30aの電圧および母線10a上の接続点Aoutの電圧を検出する検出部7aと、電力変換部20aの動作を制御するための同期制御部8aと、検出部7aが検出した結果に基づいて得られた情報を通信するための情報通信部9aとを備えている。
【0023】
検出部7aは、分圧抵抗などにより構成されており、トランス12aを介して印加された第1バイパス回路30aの電圧、およびトランス11aを介して印加された母線10a上の接続点Aoutの電圧を検出する。また、検出部7aは、同期制御部8aと接続されており、検出した電圧の電圧値や周波数および位相などの情報を含む検出情報が同期制御部8aに伝達される。
【0024】
同期制御部8aは、検出部7a、情報通信部9aおよび電力変換部20aと接続されており、検出部7aが検出した電圧に基づく検出情報、および、情報通信部9aから取得した他系統からの検出情報に基づいて、電力変換部20aの動作を制御する。より具体的には、電力変換部20aのインバータ部22aから出力される母線10a上の接続点Aoutの電圧を、第1バイパス回路30aの電圧、B系の母線10b上の接続点Boutの電圧、または、C系の母線10a上の接続点Coutの電圧のいずれかに同期させるように、インバータ部22aの動作を制御する。また、同期制御部8aは、検出部7aから伝達された検出情報が、正常範囲内にあるか否かを判定し、判定した結果に基づいて、インバータ部22aの出力する電圧の同期対象を切り替えるような制御を行う。なお、同期制御部8aは、マイクロコンピュータなどが用いられ、たとえばPCB基板に実装される。同期制御部8aは、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0025】
情報通信部9aは、同期制御部8aと、B系の無停電電源100bに含まれる情報通信部9bおよびC系の無停電電源100cに含まれる情報通信部9cとに接続されており、検出部7aが検出した結果に基づいて得られた情報を通信する。情報通信部9a、9bおよび9cは、互いに接続されることにより、ループ状に接続されている。情報通信部9aは、ループ状に接続された情報通信部9bおよび9cと通信を行うことにより、検出部7bおよび検出部7cが検出した結果に基づいて得られた検出情報を取得し、同期制御部8aに伝達する。なお、情報通信部9a~9cはロジック回路を含む電子回路で構成されている。
【0026】
ここで、図2に、無停電電源100a~100cを簡略に示した図を用いて、ループ状に接続した情報通信部9a~9cの構成を説明する。図2に示すように、無停電電源100a~100cに含まれる情報通信部9a~9cは、全体としてみた時にループ状(環状)をなすように構成されており、情報通信部9a~9cの各々は、接続された他の情報通信部9a~9cと相互に情報を通信することにより、全ての情報通信部9a~9cが出力する情報を取得することができる。ここで、例えば図3に示すように、無停電電源100dが追加され、無停電電源100a~100dの各々に含まれる情報通信部9a~9dがループ状に接続された場合を想定した説明をする。このとき、情報通信部9aと9dとは、直接接続されていないが、ループ状に接続された情報通信部9bおよび9cを介して、情報を相互に通信する。また、情報通信部9bと9cとは、直接接続されていないが、ループ状に接続された情報通信部9aおよび9dを介して、情報を相互に通信する。このように、無停電電源の数が4つ以上に増えた場合にも、無停電電源の各々に含まれる情報通信部をループ状に接続することにより、全ての情報通信部を相互に接続することなく、情報の通信を行う。
【0027】
また、無停電電源100aの情報通信部9aと無停電電源100dの情報通信部9dとを接続する通信線が、故障などにより、通信に不具合が発生した場合について説明する。この場合、無停電電源100aの情報通信部9aと無停電電源100dの情報通信部9dとは、互いに接続されている通信線を用いて情報の通信を行うことはできないが、無停電電源100aの情報通信部9aと無停電電源100bの情報通信部9bを接続する通信線、無停電電源100bの情報通信部9bと無停電電源100cの情報通信部9cを接続する通信線、および、無停電電源100cの情報通信部9cと無停電電源100dの情報通信部9dを接続する通信線を用いて、相互に情報を通信する。このように、ループ状に接続された情報通信部9a~9dのうち、1箇所で通信に不具合が生じた場合にも、情報通信部9a~9dは、相互に情報の通信を行うことが可能である。
【0028】
電力変換部20aは、トランス1aを介して供給された交流電源Sからの電力を、母線10a上の接続点Aoutに電圧として出力するためのものである。また、電力変換部20aは、開閉器4a、5aおよび6aを開く(オフにする)ことにより、交流電源Sや負荷50aから電気的に切り離すことが可能なように構成されている。電力変換部20aを用いて電力を出力する場合には、開閉器4a、5aおよび6aを閉じる(オンにする)ことにより、コンバータ部21aに電力を供給する。コンバータ部21aは、供給された交流の電力を直流の電力に変換することができる、いわゆるAC―DCコンバータである。コンバータ部21aから出力された直流電力は、図示しない蓄電部に蓄えられるとともに、インバータ部22aに出力される。インバータ部22aは、コンバータ部21aまたは図示しない蓄電部から直流の電力が供給されたときに、同期制御部8aによって所望の交流電力を母線10a上の接続点Aoutに出力するように制御される。なお、コンバータ部21aおよびインバータ部22aは、ダイオードブリッジとスイッチなどを組み合わせた電子回路で構成されている。
【0029】
切り替え機40aは、母線10a上の接続点Aoutの電力、母線10b上の接続点Boutの電力および母線10c上の接続点Coutの電力のうち、いずれか2つの電力が入力され、そのうち1つの電力を負荷50aに供給するように切り替えるためのものである。この第1実施形態において、切り替え機40aは、母線10a上の接続点Aoutと、母線10a上の接続点Boutと、負荷50aとに接続されている。切り替え機40aは、例えばリレーなどを用いたスイッチであり、設定により所望の条件において、負荷50aに供給する電力を切り替える。負荷50aは、交流電力によって動作する電気機器であり、例えばモーターやポンプなどである。
【0030】
(第1実施形態における無停電電源システム200の動作)
ここで、第1実施形態における無停電電源システム200の動作の一例について説明する。この説明においては、第1の系統A、第2の系統Bおよび第3の系統Cの各々が、第1バイパス回路30a~30cおよび第2バイパス回路2a~2cを用いずに、無停電電源100a~100cの電力変換部20a、20bおよび20cを用いて、負荷側に電力を供給している場合について説明する。このとき、無停電電源100bの同期制御部8bは、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期するように、インバータ部22bの動作を制御している。また、同様に無停電電源100cの同期制御部8cは、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期するように、インバータ部22cの動作を制御している。
【0031】
ここで、第1実施形態において、第1の系統Aの無停電電源100aにおける電力変換部20aが、故障などの何らかの影響により、母線10a上の接続点Aoutに正常な電圧を出力できなくなった場合を説明する。このとき、同期制御部8aは、検出部7aが検出したAoutの電圧が、正常でないことを判定する。たとえば同期制御部8aは、電圧の値に対して、予めしきい値が設定されており、検出部7aが検出したAoutの電圧の値がしきい値より小さい値であるときに、Aoutの電圧が正常でないことを判定する。また、同期制御部8aは、電圧の周波数や、位相を検出して、正常でないことを判定してもよい。そして、同期制御部8aは、検出部7aが検出したAoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常でない判定結果を含む検出情報を、情報通信部9bに通信する。
【0032】
このとき、第2の系統Bの無停電電源100bの情報通信部9bは、第1の系統Aの無停電電源100aの情報通信部9aからAoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常でない判定結果を含む検出情報を取得する。これにより、同期制御部8bは、インバータ部22bの動作を、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期を行わないように切り替える制御を行う。また、第2の系統Bの無停電電源100bの情報通信部9bは、第3の系統Cの無停電電源100cの情報通信部9cと通信を行い、Aoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常でない判定結果を含む検出情報と、Boutの電圧およびBoutの電圧が正常であるという判定結果を含む検出情報を伝達する。そして、同期制御部8cは、インバータ部22cの動作を、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期を行わないような動作に切り替える制御を行う。なお、複数の無停電電源100a~100cは、同期対象とされる優先順位が設けられており、この第1実施形態においては、同期制御部8cが、インバータ部22cの出力を第2の系統Bの母線10b上の接続点Boutの電圧に同期をさせるように、インバータ部22cの動作を制御する。
【0033】
その後、第1の系統Aにおいては、第1バイパス回路30aを介して電力が供給されるように、開閉器4a、5aおよび6aが開状態(オフ状態)となり、開閉器31aおよび第1バイパス開閉器34aが閉状態(オン状態)となる。このとき、検出部7aは、トランス11aを介して、母線10a上の接続点Aoutの電圧を検出する。そして、同期制御部8aは、検出部7aから取得した検出結果に基づいて、母線10a上の接続点Aoutが正常であることを判定し、情報通信部9aに伝達する。さらに、検出部7aは、トランス12aを介して、第1バイパス回路30aの電力線32aにおける電圧を検出する。ここで、第1バイパス回路30aは、電力変換部20aのような、出力する電圧を変換する機器を備えないため、第1バイパス回路30aを用いて電力供給を行う場合、母線10a上の接続点Aoutに供給される電力は、交流電源Sから出力される電力がそのまま供給される。つまり、第1バイパス回路30aを用いて電力供給を行っている場合、母線10a上の接続点Aoutの電圧を、他系統の母線10b上の接続点Boutまたは母線10c上のCoutの電圧に同期させることができない。このとき、同期制御部8aは、検出部7aから取得した第1バイパス回路30aの電圧に基づいて、第1の系統Aにおいて電圧を同期制御できない状態となっているという運転状態情報を生成し、情報通信部9aに伝達する。
【0034】
第2の系統Bの無停電電源100bの情報通信部9bは、第1の系統Aの無停電電源100aの情報通信部9aから、検出部7aが検出したAoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常であるという検出情報と、第1の系統Aにおいて電圧を同期制御できない状態となっているという運転状態情報とを取得する。そして、同期制御部8bは、インバータ部22bから出力される電圧を、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期させるような制御を行う。また、第2の系統Bの無停電電源100bの情報通信部9bは、第3の系統Cの無停電電源100cの情報通信部9cと通信を行い、Aoutの電圧およびAoutの電圧が正常であるという情報を含む検出情報と、第1の系統Aにおいて電圧を同期制御できない状態となっているという運転状態情報と、Boutの電圧およびBoutの電圧が正常であるという情報を含む検出情報とを伝達する。これにより、同期制御部8cは、インバータ部22cの出力を、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期を行うような動作に切り替える制御を行う。
【0035】
上記のようにして、系統BおよびCの各々は、ループ状に接続された情報通信部9a~9cを介して他系統の検出情報および運転状態情報を取得する。そして、同期制御部8a~8cにより、自系統の電力変換部20bおよび20cが出力する母線10a上の接続点BoutまたはCoutの電圧を、他系統の母線10a上の接続点Aoutの電圧と同期するように制御を行う。
【0036】
(比較例)
ここで、図4に、無停電電源100a~100cの各々において、他系統の無停電電源100a~100cの母線10a上の接続点Aout、BoutおよびCoutの電圧を同期させて、3系統の負荷50a~50cに電力を供給する、比較例の無停電電源システム201について説明する。
【0037】
比較例の無停電電源システム201は、中央監視盤60を備える。中央監視盤60は、無停電電源100a~100cの各々に含まれる電力変換部20a~20cの動作を制御するための情報を出力する同期選択回路61と、無停電電源100a~100cの各々に含まれる情報通信部9a~9cと情報を通信するための中央情報通信部62と、母線10a上の接続点Aout、BoutおよびCoutの電圧を検出するための、中央検出部63とを備える。中央監視盤60に含まれる同期選択回路61は、中央検出部63が検出した母線10a上の接続点Aout、BoutおよびCoutの電圧に基づく検出情報を取得する。また、同期選択回路61は、無停電電源100a~100cの情報通信部9a~9cと通信を行うことにより得られた検出情報を取得する。そして、同期選択回路61は、取得した検出情報および運転状態情報に基づいて、同期される対象としていずれかの系統を選択するような情報を出力する。同期制御部8a~8cの各々は、自系統の出力を、情報通信部9a~9cを介して取得した同期対象の系統の母線10a上の接続点Aout、BoutおよびCoutの電圧に同期させるように、電力変換部20a~20cの動作を制御する。
【0038】
ここで、図1に示す第1実施形態の無停電電源システム200の場合、無停電電源100a~100cに含まれる検出部7a~7c、同期制御部8a~8cまたは情報通信部9a~9cのいずれかが故障した場合には、故障した設備を含む系統とは同期制御できなくなるものの、残りの系統を用いて同期制御を行って負荷50a~50cに電力を供給することが可能である。一方、図4に示す比較例の無停電電源システム201は、無停電電源システム200における無停電電源100a~100cの各々が持つ機能を中央監視盤60内に集約する構成であるため、同期選択回路61、中央情報通信部62または中央検出部63のいずれかが故障した時に、無停電電源100a~100cが全て同期制御を行えなくなる。
【0039】
(第1実施形態の効果)
次に、第1実施形態の効果について説明する。
【0040】
第1実施形態の無停電電源システム200は、交流電源Sの電力を変換して負荷50a~50cへ出力する電力変換部20a~20c、および、交流電源Sの電力を負荷50a~50cへ直接出力する第1バイパス回路30a~30cを含む無停電電源100a~100cを3系統用いて、3系統の負荷50a~50cに電力給電を行う無停電電源システム200である。無停電電源100a~100cの各々は、無停電電源100a~100cにおける自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、および、自系統の電力変換部20a~20cから電力が出力される母線10a上の接続点Aout、BoutまたはCoutの電圧を検出する検出部7a~7cと、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行う同期制御部8a~8cと、検出部7a~7cの検出結果に基づいて取得される検出情報を通信する情報通信部9a~9cとを含む。情報通信部9a~9cは、他の情報通信部9a~9cと互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の情報通信部9a~9cのいずれかと通信を行うように構成されている。同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている。これにより、他系統の母線10a上の接続点Aout、BoutまたはCoutの電圧を検出するための検出部を新たに設けることなく、情報通信部9a~9cが、ループ状に接続された他系統の情報通信部9a~9cと通信を行うことにより、全ての他系統の無停電電源100a~100cにおける検出情報を取得することができる。そのため、同期制御部8a~8cが、他系統の無停電電源100a~100cにおける検出情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cから出力される電力を、所定の電圧に同期制御することが可能となる。その結果、3系統の無停電電源100a~100cを同期制御させて3系統の負荷50a~50cに対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システム200を提供することができる。また、中央監視盤60のような全ての系統の母線10a上の接続点Aout、BoutまたはCoutの電圧を統括して検出する機構を設けることなく、情報通信部9a~9cが、ループ状に接続された他系統の情報通信部9a~9cと通信を行うことにより、他系統の無停電電源100a~100cにおける検出情報を取得することができる。そのため、同期制御部8a~8cが、他系統の無停電電源100a~100cの各々における検出情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cから出力される電力を同期制御するので、1つの機構に情報を集約して同期制御させる場合に比べて、故障により全ての無停電電源100a~100cを同期できなくなる可能性が小さく、信頼性の高い同期制御を行うことができる。
【0041】
なお、第1実施形態の無停電電源システム200では、所定の電圧は、自系統の第1バイパス回路30aの電圧、または、他系統の母線10a上の接続点Aout、BoutまたはCoutの電圧を含み、同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、または、他系統の母線10a上の接続点Aout、BoutまたはCoutの電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、自系統の電力変換部20a~20cの出力電圧を、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧および他系統の母線10aにおけるAout、BoutまたはCoutの電圧のうち、所望の電圧に同期する制御を行うことができる。その結果、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、適切な値に同期させて、負荷50a~50cに電力供給を行うことができる。
【0042】
また、第1実施形態では、検出情報は、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、および、自系統の電力変換部20a~20cから電力が出力される母線10aにおけるAout、BoutまたはCoutの電圧の値、周波数および位相の少なくとも1つを含み、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した自系統の無停電電源100a~100cの検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定して、判定した結果に基づいて自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、または、他系統の母線10aにおけるAout、BoutまたはCoutの電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、自系統の第1バイパス回路30a~30cの電圧、および、自系統の電力変換部20a~20cから電力が出力される母線10aにおけるAout、BoutまたはCoutの電圧等に基づいて、同期対象として適切な値かどうかを判定することができる。そのため、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、適切な値を出力していることが判定された無停電電源100a~100cの出力電圧に同期させることができる。その結果、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、より適切な値に同期させて、負荷50a~50cに電力供給を行うことができる。
【0043】
また、第1実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した自系統の無停電電源100a~100cの検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定する無停電電源システム200において、好ましくは、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、正常範囲内でない値の検出情報を有すると判定した他系統の無停電電源100a~100cを、同期する対象から除外するようにする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を正常でない動作をしている無停電電源100a~100cに同期させてしまうことを抑制することができる。その結果、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧を、正常に動作をしている無停電電源100a~100cに同期させて、負荷50a~50cに電力供給を行うことができる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、図5を用いて、第2実施形態による無停電電源システム202について説明する。無停電電源システム202の構成は、図1に示した無停電電源システム200の系統A~Cの各々にバイパス部110a、110bおよび110cが備えられた構成である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する点については、説明を省略する。
【0045】
第2実施形態では、系統A~Cの各々にバイパス部110a~110cが備えられる。ここでは第1の系統Aについて説明するが、第2の系統Bおよび第3の系統Cにおいても同様の説明が可能である。バイパス部110aは、第2バイパス回路2aの電力線の一部と、第2バイパス開閉器3aと、バイパス情報通信部15aと、バイパス電圧検出部13aとを含むように構成されている盤である。
【0046】
バイパス電圧検出部13aは、例えば分圧抵抗であり、トランス14aを介して、第2バイパス回路2aの電圧を検出するように構成されている。また、バイパス電圧検出部13aは、バイパス情報通信部15aと接続されており、検出した電圧の電圧値や周波数および位相などの情報を含む検出情報がバイパス情報通信部15aに伝達される。
【0047】
バイパス情報通信部15aは、バイパス電圧検出部13aと、第1の系統Aの無停電電源100aにおける情報通信部9aと、第3の系統Cの無停電電源100cにおける情報通信部9cとに接続されている。ここで、情報通信部9a~9cと、バイパス情報通信部15a~15cとは、バイパス情報通信部15a、情報通信部9a、バイパス情報通信部15b、情報通信部9b、バイパス情報通信部15c、情報通信部9cの順でループ状に接続されている。これにより、バイパス情報通信部15aは、ループ状に接続された情報通信部9aおよび9cと通信することにより、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cの各々が取得した検出情報を全て取得するように構成されている。
【0048】
(第2実施形態における無停電電源システム202の動作)
ここで、第2実施形態における無停電電源システム202の動作の一例について説明する。この説明においては、まず第1の系統A、第2の系統Bおよび第3の系統Cの各々が、第1バイパス回路30a~30cおよび第2バイパス回路2a~2cを用いずに、無停電電源100a~100cの電力変換部20a、20bおよび20cを用いて、負荷側に電力を供給している場合について説明する。
【0049】
このとき、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cの各々は、Aout、BoutおよびCoutの出力電圧が正常な範囲であるという検出情報を通信により取得する。また、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cは、系統A~Cの各々において、第1バイパス回路30a~30cと、第2バイパス回路2a~2cの電圧がゼロであるという検出情報を通信により取得する。第2実施形態では、無停電電源100bの同期制御部8bは、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期するように、インバータ部22bの動作を制御している。また、同様に無停電電源100cの同期制御部8cは、第1の系統Aの母線10a上の接続点Aoutの電圧に同期するように、インバータ部22cの動作を制御している。
【0050】
ここで、第2実施形態において、第1の系統Aの無停電電源100aが、サイリスタスイッチ33aの故障などの何らかの影響により、第1バイパス回路30aおよび電力変換部20aを用いて母線10a上の接続点Aoutに正常な電圧を出力できなくなった場合について説明する。このとき、同期制御部8aは、検出部7aが検出したAoutの電圧が正常でないことを判定する。そして、同期制御部8aは、検出部7aが検出したAoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常でないという検出情報を、バイパス情報通信部15bに伝達する。なお、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cはループ状に接続されているため、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cの各々は、検出部7aが検出したAoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常でないという検出情報を取得する。その後、第2の系統Bおよび第3の系統Cの電力変換部20bおよび20cに対する動作の制御は、第1実施形態と同様に行われる。
【0051】
このとき、第1の系統Aにおいて、無停電電源100aを介した電力供給ができなくなっているため、第2バイパス回路2aを用いた給電を行う。第2バイパス開閉器3aが閉じて、第2バイパス回路2aを用いた給電が開始すると、バイパス電圧検出部13aはトランス14aを介して、第2バイパス回路2aの電圧を検出する。バイパス情報通信部15aは、ループ状に接続された情報通信部9aと通信を行うことにより、バイパス電圧検出部13aから取得した検出情報を伝達する。また、情報通信部9aは、検出部7aが検出した母線10a上の接続点Aoutにおける電圧と、同期制御部8aによって判定された母線10a上の接続点Aoutから正常な電圧が出力されているという検出情報とを取得し、ループ状に接続されたバイパス情報通信部15bと通信を行うことにより、伝達する。なお、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cはループ状に接続されているため、情報通信部9a~9cおよびバイパス情報通信部15a~15cの各々は、検出部7aが検出したAoutの電圧、および、Aoutの電圧が正常であるという検出情報を取得する。
【0052】
上記の動作により、第1の系統Aの無停電電源100aが、第1バイパス回路30aおよび電力変換部20aを用いて母線10a上の接続点Aoutに正常な電圧を出力できなくなった場合においても、同期制御部8bおよび8cは、ループ状に接続された情報通信部9bおよび9cから取得した情報に基づいて、インバータ部22bおよび22cの動作を制御して、負荷50a~50cに電力供給を行う。
【0053】
(第2実施形態の効果)
次に、第2実施形態の効果について説明する。
【0054】
第2実施形態では、母線10aは、無停電電源100a~100cと負荷50a~50cとの接続を解除する電源出力開閉器16a、16bおよび16cをさらに備え、検出部7a~7cが、自系統の母線10aのうち、電源出力開閉器16a~16cよりも無停電電源100a~100c側の母線10aの電圧を検出するように構成されている。これにより、検出部7a~7cが自系統の母線10aのうち、電源出力開閉器16a~16cよりも無停電電源100a~100c側の母線10aの電圧を検出するように構成されているため、電源出力開閉器16a~16cを開いた状態(オフ状態)にすることによって、無停電電源100a~100cをメンテナンスしたり、交換したりする場合に、無停電電源100a~100cを容易に取り外すことができる。その結果、無停電電源100a~100cをメンテナンスしたり、交換したりする場合の作業性を向上することができる。
【0055】
また、第2実施形態では、無停電電源100a~100cとは別個に設けられ、電源出力開閉器16a~16cよりも負荷50a~50c側の母線10aに接続されるとともに、交流電源Sの電力を負荷50a~50cへ直接出力する第2バイパス回路2aと、第2バイパス回路2a~2cの電圧を検出するバイパス電圧検出部13a~13cと、バイパス電圧検出部13a~13cによって得られた検出情報を通信するバイパス情報通信部15a~15cと、を含むバイパス部110a~110cをさらに備える。バイパス情報通信部15a~15cは、他の情報通信部9a~9cと互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の情報通信部9a~9cと通信を行うように構成されている。これにより、無停電電源100aをメンテナンスしたり、交換したりする場合に無停電電源100aを取り外した系統においても、第2バイパス回路2aを介して負荷50aおよび50cに電力供給を行うことができる。また、バイパス部110a~110cの情報通信部9a~9cを介して得られた検出情報に基づいて、無停電電源100bの電力変換部20bまたは無停電電源100cの電力変換部20cが出力する電圧を、第2バイパス回路2aの電圧と同期させることができる。その結果、無停電電源100aを取り外した場合にも、無停電電源100bまたは100cの電力変換部20bまたは20cが出力する電圧を、いずれかの系統の電圧に同期させて、負荷50a~50cに電力供給を行うことができる。
【0056】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0057】
[第3実施形態]
次に、図6を用いて、第3実施形態による無停電電源システム203について説明する。以下に第1の系統Aについて説明するが、第2の系統Bおよび第3の系統Cにおいても同様の説明が可能である。なお、第3実施形態において、第1および第2実施形態と共通する点については、説明を省略する。
【0058】
無停電電源システム203の構成は、系統A~Cの各々において、無停電電源を並列に接続させている。具体的には、無停電電源システム203の構成は、無停電電源101aおよび102aと、無停電電源101aおよび102aの各々に対応した第2バイパス回路2aと、2つの第2バイパス回路2aのうち一方側に備えられたバイパス部110aと、を含むように構成されている。また、2つの第2バイパス回路2aと、無停電電源101aと、無停電電源102aとから出力される電力は、母線10a上の接続点Aoutにおいて共通となるような電力を供給するように構成されている。また、無停電電源システム203は、無停電電源101aおよび102aを切り離すような電源出力開閉器16aを備え、第2バイパス開閉器3aおよび電源出力開閉器16aにより、母線10a上の接続点Aoutに電力を供給する対象を切り替えるように構成される。
【0059】
無停電電源101aは、図1図4および図5に示した無停電電源100aの構成と異なり、図3に示した無停電電源101aにおいて、検出部7aは、母線10a上の接続点Aoutではなく、電源出力開閉器16aよりも無停電電源101a側の、電力変換部20aおよび第1バイパス回路30aの接点の電圧を検出するように構成されている。また、無停電電源101aは、並列通信部17aを備えており、同期制御部8aから、電圧の検出結果に基づく検出情報、および、無停電電源101aの運転状態に関する運転状態情報を取得する。
【0060】
無停電電源102aは、図1図4および図5に示した無停電電源100aの構成と異なり、検出部7aは、第1バイパス回路30aの入力側電圧のみを検出するように構成されている。また、無停電電源102aは、無停電電源101aと同様に並列通信部17aを備えている。そして、無停電電源101aの並列通信部17aおよび無停電電源102aの並列通信部17a同士は接続されており、互いの運転状態情報を相互に通信している。これにより、無停電電源101aおよび無停電電源102aは、並列通信部17aから取得した情報にもとづいて、各々の電力変換部20aの動作を、出力する電力が同期するように制御している。
【0061】
図6において、第2の系統Bおよび第3の系統Cの詳細な構成は略しているが、第1の系統Aと同様の構成が含まれている。このとき、第1の系統Aにおける無停電電源102aに含まれる情報通信部9aは、第2の系統Bにおけるバイパス部110bのバイパス情報通信部15bと接続される。このようにして、情報通信部9a~9cと、バイパス情報通信部15a~15cとが接続されていき、全体としてみた時にループ状になるように接続されている。
【0062】
(第3実施形態の効果)
次に、第3実施形態の効果について説明する。
【0063】
第3実施形態では、無停電電源101aおよび102a、101bおよび102b、または、101cおよび102cの各々は、自系統において並列に複数台接続されている。無停電電源101aおよび102aの各々は、同期制御部8aと検出情報の通信を行う並列通信部17aとを含む。また、無停電電源101bおよび102bの各々は、同期制御部8aと検出情報の通信を行う並列通信部17bとを含む。また、無停電電源101cおよび102cの各々は、同期制御部8cと検出情報の通信を行う並列通信部17cとを含む。並列通信部17aは、自系統の他の無停電電源101aおよび102a間で検出情報の通信を行う。また、並列通信部17bは、101bおよび102b間で検出情報の通信を行う。また、並列通信部17bは、101cおよび102c間で検出情報の通信を行う。これにより、1つの系統内に複数台の無停電電源101aおよび102a、101bおよび102b、または、101cおよび102cが配置される場合にも、系統の各々における複数台の無停電電源101aおよび102a、101bおよび102b、または、101cおよび102cに含まれる電力変換部20a~20cからの出力電圧を同期させて、負荷50a~50cに出力させることができる。その結果、1つの系統内に複数台の無停電電源100a~100cがある場合にも、自系統の電力変換部20a~20cが出力する電圧をいずれかの系統に同期させて、負荷50a~50cに電力供給を行うことができる。
【0064】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態または第2実施形態と同様である。
【0065】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0066】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、3系統の無停電電源100a~100cを用いて、3系統の負荷50a~50cに電力給電を行う無停電電源システム200の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、4系統以上の無停電電源を用いて、4系統以上の負荷に電力を供給するように構成されていてもよく、負荷の数や目標とする稼働率(負荷率)に応じて、無停電電源システムにおける系統の数を増やすとよい。なお、系統の数が増加すると、より多くの系統の切り替えが可能となるため、無停電電源システムの負荷率を向上させることができる。ただし、系統の数を増やすと、無停電電源システムが大型化するため、系統の数は3~5つが好ましい。
【0067】
また、上記第1~第3実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した自系統の無停電電源100a~100cの検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した自系統および他系統の無停電電源100a~100cの検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0068】
また、上記第1~第3実施形態では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、正常範囲内でない値の検出情報を有すると判定した他系統の無停電電源100a~100cを、同期する対象から除外するようにする制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、無停電電源100a~100cの各々に含まれる同期制御部8a~8cは、ループ状に接続された情報通信部9a~9cが通信を行うことにより取得した検出情報に基づいて、所定の時間の間、正常範囲内でない値の検出情報を有していると判定された他系統の無停電電源100a~100cを、同期する対象から除外するようにする制御を行ってもよい。
【0069】
また、上記第1~第3実施形態では、系統A~Cの各々において、無停電電源100a~100cとは別個に第2バイパス回路2aを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、系統A~Cの各々は、無停電電源100a~100cのみを備えるように構成されていてもよい。
【0070】
また、上記第3実施形態では、第1の系統Aにおいて無停電電源101aおよび102aを2つ並列に接続し、第2の系統Bにおいて無停電電源101bおよび102bを2つ並列に接続し、第3の系統Cにおいて無停電電源101cおよび102cを2つ並列に接続する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、系統A~Cの各々において、無停電電源を3つ以上の複数台並列に接続するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2a、2b、2c 第2バイパス回路
3a、3b、3c 第2バイパス開閉器
7a、7b、7c 検出部
8a、8b、8c 同期制御部
9a、9b、9c 情報通信部
10a、10b、10c 母線
13a、13b、13c バイパス電圧検出部
15a、15b、15c バイパス情報通信部
16a、16b、16c 電源出力開閉器
17a、17b、17c 並列通信回路
20a、20b、20c 電力変換部
21a、21b、21c コンバータ部
22a、22b、22c インバータ部
30a、30b、30c 第1バイパス回路
40a、40b、40c 切り替え機
50a、50b、50c 負荷
100a~102a、100b~102b、100c~102c 無停電電源
110a、110b、110c バイパス部
200a~203a、200b~203b、200c~203c 無停電電源システム
A 第1の系統
B 第2の系統
C 第3の系統
S 交流電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力する第1バイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の前記負荷に電力給電を行う無停電電源システムであって、
前記無停電電源の各々は、
前記無停電電源における自系統の前記第1バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から電力が出力される母線の電圧を検出する検出部と、
自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行う同期制御部と、
前記検出部の検出結果に基づいて取得される、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、および、自系統の前記電力変換部から電力が出力される前記母線の電圧の値、周波数および位相の少なくとも1つを含む検出情報を通信する情報通信部とを含み、
前記情報通信部は、他の前記情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の前記情報通信部と通信を行うように構成されており、
前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した前記検出情報が正常範囲内にあるか否かの判定結果に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている、無停電電源システム。
【請求項2】
前記所定の電圧は、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧を含み、
前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した前記検出情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した自系統の前記無停電電源の前記検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定して、判定した結果に基づいて自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、自系統の前記第1バイパス回路の電圧、または、他系統の前記母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した前記検出情報に基づいて、正常範囲内でない値の前記検出情報を有すると判定した他系統の前記無停電電源を、同期する対象から除外するようにする制御を行うように構成されている、請求項3に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記情報通信部は、前記無停電電源の各々の運転状態を示す運転状態情報をさらに通信するように構成されており、
前記同期制御部は、ループ状に接続された前記情報通信部が通信を行うことにより取得した、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている前記無停電電源があるという前記運転状態情報に基づいて、自系統の前記電力変換部が出力する電圧を、前記母線の電圧を同期制御できない状態となっている前記無停電電源の前記母線の電圧に同期させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記無停電電源の各々は、自系統において並列に複数台接続され、自系統の前記無停電電源の各々に含まれる前記同期制御部と前記検出情報の通信を行う並列通信部を含み、
前記並列通信部は、自系統の他の前記無停電電源の前記並列通信部と前記検出情報の通信を行うように構成されている、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項7】
前記母線は、前記無停電電源と前記負荷との接続を解除する開閉器をさらに備え、
前記検出部が、自系統の前記母線のうち、前記開閉器よりも前記無停電電源側の前記母線の電圧を検出するように構成されている、請求項1または6に記載の無停電電源システム。
【請求項8】
前記無停電電源とは別個に設けられ、前記開閉器よりも前記負荷側の前記母線に接続されるとともに、前記交流電源の電力を前記負荷へ直接出力する第2バイパス回路と、
前記第2バイパス回路の電圧を検出するバイパス電圧検出部と、
前記バイパス電圧検出部によって得られた前記検出情報を通信するバイパス情報通信部と、を含むバイパス部をさらに備え、
前記バイパス情報通信部は、他の前記情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の前記情報通信部と通信を行うように構成されている、請求項7に記載の無停電電源システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による無停電電源システムは、交流電源の電力を変換して負荷へ出力する電力変換部、および、交流電源の電力を負荷へ直接出力する第1バイパス回路を含む無停電電源を3系統以上用いて、3系統以上の負荷に電力給電を行う無停電電源システムであって、無停電電源の各々は、無停電電源における自系統の第1バイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から電力が出力される母線の電圧を検出する検出部と、自系統の電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行う同期制御部と、検出部の検出結果に基づいて取得される、自系統の第1バイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から電力が出力される母線の電圧の値、周波数および位相の少なくとも1つを含む検出情報を通信する情報通信部とを含み、情報通信部は、他の情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されて、ループ状に接続された他の情報通信部と通信を行うように構成されており、同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報が正常範囲内にあるか否かの判定結果に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
この発明の一の局面による無停電電源システムは、上記のように、情報通信部は、他の情報通信部と互いに接続されることによりループ状となるように接続されており、ループ状に接続された他の情報通信部と通信を行うように構成されており、同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した検出情報が正常範囲内にあるか否かの判定結果に基づいて、自系統の電力変換部が出力する電圧を、所定の電圧に同期させる制御を行うように構成されている。これにより、他系統の母線の電圧を検出するための検出部(電圧検出器)を新たに設けることなく、情報通信部が、ループ状に接続された他系統の情報通信部と通信を行うことにより、全ての他系統の無停電電源における検出情報を取得することができる。そのため、同期制御部が、他系統の無停電電源における検出情報に基づいて、自系統の電力変換部から出力される電力を、所定の電圧に同期制御することが可能となる。その結果、3系統以上の無停電電源を同期制御させて3系統以上の負荷に対して電力供給を行う、小型かつ簡単な構成の無停電電源システムを提供することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
この場合、好ましくは、無停電電源の各々に含まれる同期制御部は、ループ状に接続された情報通信部が通信を行うことにより取得した自系統の無停電電源の検出情報が正常範囲内にあるか否かを判定して、判定した結果に基づいて自系統の電力変換部が出力する電圧を、自系統の第1バイパス回路の電圧、または、他系統の母線の電圧に切り替えて同期させる制御を行うように構成される。このように構成すれば、自系統の第1バイパス回路の電圧、および、自系統の電力変換部から電力が出力される母線の電圧等に基づいて、同期対象として適切な値かどうかを判定することができる。そのため、自系統の電力変換部が出力する電圧を、適切な値を出力していることが判定された無停電電源の出力電圧に同期させることができる。その結果、自系統の電力変換部が出力する電圧を、より適切な値に同期させて、負荷に電力供給を行うことができる。