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  • 特開-衝撃工具用先端具及び接続部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178515
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】衝撃工具用先端具及び接続部材
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/00 20060101AFI20241218BHJP
   B22D 29/04 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B22D29/00 C
B22D29/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096689
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】510155210
【氏名又は名称】アピュアン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】渡部 幸雄
(57)【要約】
【課題】ワークに効率よく衝撃力を伝達できるエアー式衝撃工具用先端具を提供する。
【解決手段】エアー式衝撃工具用先端具1は、ハンマー13が衝突する衝突部材20と、衝突部材20とは別体で構成された先端当接部材30と、衝突部材20と先端当接部材30との間において当該衝突部材20と当該先端当接部材30とを直列状に連繋する複数の中間部材40と、衝突部材20、中間部材40、及び先端当接部材30において隣接する部材同士を接続する接続部材50と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体を具備し、前記工具本体内には、当該工具本体内を往復動するハンマーが備えられており、前記工具本体外から導入される駆動源を用いて前記ハンマーを往復動させることによって衝撃力を発生させてワークに衝撃を付与する衝撃工具の、その先端に装着されて所定のワークに衝撃を付与する衝撃工具用先端具であって、
前記ハンマーが衝突する衝突部材と、
前記衝突部材とは別体で構成された先端当接部材と、
前記衝突部材と前記先端当接部材との間において直列状に配置される1または複数の中間部材と、
前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材において隣接する部材同士を接続する接続部材と、
を具備する
ことを特徴とする衝撃工具用先端具。
【請求項2】
前記工具本体内にはシリンダ部が配置されており、前記シリンダ部内を前記ハンマーが往復動する構成であって、前記駆動源として前記工具本体外から導入される圧縮空気を用いて前記ハンマーが往復動するものであり、
前記先端当接部材は、前記シリンダ部の軸芯から偏芯した位置において前記ワークに当接してなる
請求項1に記載の衝撃工具用先端具。
【請求項3】
前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材は、それぞれ前記ハンマーと等しい質量を有する
請求項1又は請求項2に記載の衝撃工具用先端具。
【請求項4】
請求項1に記載の衝撃工具用先端具に用いられる接続部材であって、
内部空間を有する円筒形状の本体部を具備し、
前記本体部は、前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材のうち隣接する2個の部材の端部が収容される内部空間を有し、
前記本体部の外から前記内部空間に突き出されて、前記内部空間に収容される部材を係止する係止部材を備えた
ことを特徴とする接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに衝撃を付与する衝撃工具用の先端具、及び当該衝撃工具用先端具に用いられる接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋳砂を含むワークに衝撃を与えて当該ワークを振動させ、鋳砂を除去するために用いられるエアー式衝撃工具が知られている(例えば特許文献1参照)。このようなエアー式衝撃工具にあっては、シリンダ部内をエアー駆動によって往復動するハンマーが先端具の後端部に繰り返し衝突し、その衝撃を先端具の先端部からワークに付与するものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-74749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の衝撃工具用先端具にあっては、衝撃工具内のハンマーが繰り返し当該先端具に衝突することによって発生した衝撃力を当接するワークに伝達し、ワークを振動させて鋳砂を除去するものである。ここで、鋳砂を除去するために先端具が当接するワークの部位によっては非常に長くて重い先端具を使用する必要がある場合がある。このようにハンマーに対して重すぎる先端具を用いると、衝撃力が減衰してしまってワークに伝達することができず、作業効率が悪化する原因の一つとなってしまう。
【0005】
そこで本発明は、効率よく衝撃力をワークに伝達できる衝撃工具用先端具を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、ハンマーに比べて過大な質量を有していても衝撃力を減衰させずにワークに伝達できるエアー式衝撃工具用先端具に用いられる接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、工具本体を具備し、前記工具本体内には、当該工具本体内を往復動するハンマーが備えられており、前記工具本体外から導入される駆動源を用いて前記ハンマーを往復動させることによって衝撃力を発生させてワークに衝撃を付与する衝撃工具の、その先端に装着されて所定のワークに衝撃を付与する衝撃工具用先端具であって、前記ハンマーが衝突する衝突部材と、前記衝突部材とは別体で構成された先端当接部材と、前記衝突部材と前記先端当接部材との間において直列状に配置される1または複数の中間部材と、前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材において隣接する部材同士を接続する接続部材と、を具備することを特徴とする衝撃工具用先端具である。
【0008】
かかる構成にあっては、衝撃工具用先端具(以下、単に先端具ともいう)を前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材に分割することによって前記ハンマーから与えられる衝撃力を減衰させずに前記ワークに付与することができる。
【0009】
また、前記工具本体内にはシリンダ部が配置されており、前記シリンダ部内を前記ハンマーが往復動する構成であって、前記駆動源として前記工具本体外から導入される圧縮空気を用いて前記ハンマーが往復動するものであり、前記先端当接部材は、前記シリンダ部の軸芯から偏芯した位置において前記ワークに当接してなる構成が提案される。
【0010】
かかる構成とすることにより、複雑な形状を有するワークにおいて適切な部位に衝撃を付与してワークに付着した鋳砂を除去することができる。
【0011】
さらに、前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材は、それぞれ前記ハンマーと等しい質量を有する構成が提案される。
【0012】
かかる構成とすることにより、ハンマーが前記衝突部材に衝突することによって発生した衝撃力を無駄なく前記先端当接部材からワークに付与することができる。
【0013】
そして本発明は、前記衝撃工具用先端具に用いられる接続部材であって、内部空間を有する円筒形状の本体部を具備し、前記本体部は、前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材のうち隣接する2個の部材の端部が収容される内部空間を有し、前記本体部の外から前記内部空間に突き出されて、前記内部空間に収容される部材を係止する係止部材を備えたことを特徴とする接続部材である。
【0014】
かかる構成にあっては、前記衝撃工具用先端具において分割されている前記衝突部材、前記中間部材、及び前記先端当接部材のうち隣接するものを、衝撃力の伝達を阻害することなく接続することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の衝撃工具用先端具は、効率よく衝撃力をワークに伝達できる優れた効果がある。
【0016】
また本発明の接続部材は、ハンマーに比べて過大な質量を有していても衝撃力を減衰させずにワークに伝達できる衝撃工具用先端具が得られるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1にかかるエアー式衝撃工具用先端具の説明図である。
図2】実施例1にかかる接続部材の縦断面図である。
図3】実施例2にかかるエアー式衝撃工具用先端具の説明図である。
図4】実施例3にかかるエアー式衝撃工具用先端具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、実施例に従って説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜、設計変更が可能である。また便宜上、実施例において前後方向(打撃方向)を規定して説明しているが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔実施例1〕
図1に示すように、エアー式衝撃工具用先端具1(以下、単に先端具1ともいう)は、エアー式衝撃工具10の工具本体11に取り付けられる。
【0020】
エアー式衝撃工具10は、工具本体11内にシリンダ部12と、シリンダ部12内を前後方向に往復動するハンマー13と、を備えている。エアー式衝撃工具10は、工具本体11外から導入される圧縮空気を用いてハンマー13を往復動させることによって先端具1にハンマー13が繰り返し衝突するものである。
【0021】
先端具1は、それぞれ別体で構成された衝突部材20、先端当接部材30、中間部材40、及び接続部材50を備えている。
【0022】
衝突部材20は、ほぼ円柱形状を主体とし、工具本体11に取り付けられ、後端部にハンマー13が衝突して衝撃力が与えられるものである。
【0023】
先端当接部材30は、ほぼ円柱形状を主体とし、衝突部材20とは離れた位置に配置されており、先端部がワークWに当接してワークWに衝撃力を付与するものである。
【0024】
中間部材40は、ほぼ円柱形状を主体とし、衝突部材20から付与された衝撃力を先端当接部材30に伝達するものであり、衝突部材20と先端当接部材30との間において衝突部材20と先端当接部材30とを直列状に連繋するものである。中間部材40は本実施例においては複数配されているが、1個であってもよい。
【0025】
なお、衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40はそれぞれハンマー13と等しい質量を有している。換言すると、先端具1は、後端部から先端部にわたって長尺棒状となるところを個々の部材がハンマーと等しい質量となるように直列状に分割したものである。
【0026】
また、衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40のうち、互いに他の部材と隣接する前端部及び後端部の外周面部にはそれぞれ、前後方向に長い係止溝部41が凹状係止部として形成されている(図2参照)。
【0027】
さらに、衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40のうち、互いに他の部材と隣接する前端部及び後端部はそれぞれ、丸みを帯びた外側に凸の球面形状を有している。
【0028】
接続部材50は、図2に示すように、先端具1において衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40のうち隣接する部材同士を接続するものである。
【0029】
詳述すると、接続部材50は、内部空間Sを有する円筒形状の本体部51を備えている。内部空間Sには、衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40のうち隣接する2個の部材の端部が収容される。さらに、本体部51には係止部材挿通孔部52が内部空間Sと外部とを連通するように形成されており、この係止部材挿通孔部52には係止部材としての係止ネジ55が挿通されている。係止ネジ55は内部空間Sに突き出されており、内部空間Sに配された衝突部材20、先端当接部材30、又は中間部材40の端部に形成されている係止溝部41に係止する。これにより、内部空間Sに配された衝突部材20、先端当接部材30、又は中間部材40が抜脱不能とされるとともに、係止溝部41の前後長さの分だけわずかに前後動可能とされている。すなわち、係止ネジ55を基準として、凹状係止部としての係止溝部41の前側の端面と後側の端面とが規制面となって衝突部材20、先端当接部材30、又は中間部材40が限られた範囲で前後動する。
【0030】
かかる先端具1は、ハンマー13から与えられた衝撃力が衝突部材20から中間部材40を介して先端当接部材30へと順に伝達され、最終的には先端当接部材30が単独でワークWに衝突する。これによって衝撃力の減衰を抑制し、ハンマー13から与えられた衝撃力をそのままワークWに付与することができる。
【0031】
さらに、先端具1における衝撃力の伝達にあっては、衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40のうち隣接するそれぞれの部材の端部が凸状の球面部形状とされており、面ではなく点で衝撃力が伝達されることによって衝撃力の減衰が起こり難い。
【0032】
上述のように、先端具1にあっては衝撃力を無駄なくワークWに付与することができるため、エアー式衝撃工具10の動力源であるエアーの損失や効率の低減等が抑制され、高効率化を図ることができる。
【0033】
〔実施例2〕
エアー式衝撃工具用先端具2は、図3に示すように、実施例1における先端当接部材30に替えて先端当接部材60が用いられている。
【0034】
先端当接部材60におけるワークWに当接する先端部は、シリンダ部12の軸芯線αに直交する方向に伸びており、略T字形状を有している。これにより、シリンダ部12の軸芯線αから偏芯した位置X,Xにおいて先端当接部材60がワークWに当接することができる。これは特にワークWが複雑形状を有しており、かつ軸芯線α上で直線的に先端当接部材60を当接させることが困難な部位に衝撃力を付与したい場合に有効である。具体的には、位置X,Xにおいて打撃軸線βに沿って衝撃力を付与することができる。
【0035】
特に、先端具2のように先端部が前後方向に直線的な形状ではない異形状の場合には、先端具2の質量が大きくなってハンマー13から付与される衝撃力が大きく減衰してしまうところ、先端具2にあっては衝突部材20、中間部材40、及び先端当接部材60に分割されているため、個々の質量を小さく抑えることによって衝撃力を低減させることなくワークWに伝達することができる。
【0036】
〔実施例3〕
エアー式衝撃工具用先端具3は、図4に示すように、実施例1における中間部材40のうち、先端当接部材30に隣接するものを中間部材70としたものである。
【0037】
中間部材70は、後端部の軸芯線(すなわちシリンダ部12の軸芯線α)と先端部の軸芯線(すなわち打撃軸線β)とが偏芯したものである。これにより、シリンダ部12の軸芯から偏芯した位置Yにおいて先端当接部材60がワークWに当接することができる。このように、ワークWが複雑形状を有しており、かつ前後方向において直線的に先端当接部材60を当接させることが困難な部位に衝撃力を付与したい場合であって、先端当接部材30の形状を変更すると先端当接部材30の質量が大きくなり過ぎる場合には中間部材70を用いて各部材の質量の偏りを抑えることができる。
【0038】
上記実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
例えば接続部材50による衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40の接続態様は特に限定されず、収容空間Sに収容される2個の部材が抜脱せず、互いに衝突可能であれば係止部材の形状や取り付ける位置、個数等も自由に選択できる。また、衝突部材20、先端当接部材30、及び中間部材40の端面形状は、衝撃力の伝達ロスを可能な限り抑えるという点で球面部形状であることが望ましいが、本発明はそれに限定されず、平坦面形状であっても構わない。また、衝撃工具の駆動源はエアー源に限定されず、電源であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1,2,3 エアー式衝撃工具用先端具
10 エアー式衝撃工具
11 工具本体
12 シリンダ部
13 ハンマー
20 衝突部材
30,60 先端当接部材
40,70 中間部材
41 係止溝部
50 接続部材
51 本体部
52 係止部材挿通孔部
55 係止ネジ(係止部材)
W ワーク
図1
図2
図3
図4