(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178516
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241218BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096695
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】仲 顕照
(72)【発明者】
【氏名】降籏 久義
(72)【発明者】
【氏名】藤木 真和
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD17
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】移動体を安定して運行させることである。
【解決手段】情報処理装置は、移動体を移動させる経路の情報を取得する経路情報取得手段と、前記移動体を移動させる経路上の環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記移動体の自己位置姿勢を推定し、推定結果を前記環境情報に保存する推定手段と、前記環境情報に基づいて、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算する精度計算手段と、前記精度計算手段が計算した精度に応じて、前記移動体の経路を更新する経路設定手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を移動させる経路の情報を取得する経路情報取得手段と、
前記移動体を移動させる経路上の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記移動体の自己位置姿勢を推定し、推定結果を前記環境情報に保存する推定手段と、
前記環境情報に基づいて、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算する精度計算手段と、
前記精度計算手段が計算した精度に応じて、前記移動体の経路を更新する経路設定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記精度計算手段は、前記環境情報に含まれる画像に基づいて、精度を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記精度計算手段は、前記環境情報に含まれる形状に基づいて、精度を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記経路設定手段は、前記経路情報取得手段で取得した経路に含まれる1つ以上の領域ごとに、前記精度計算手段が計算した精度に応じて更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記精度計算手段は、前記経路情報取得手段で取得した経路に含まれない1つ以上の領域について、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算し、
前記経路設定手段は、前記精度計算手段が計算した精度に応じて、前記経路情報取得手段で取得した経路に含まれない1つ以上の領域を前記移動体の経路に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記経路情報設定手段によって設定された経路情報を表示装置に対して出力する表示手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記移動体の進行方向及び旋回方向を表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
移動体を移動させる経路の情報を取得する経路情報取得工程と、
前記移動体を移動させる経路上の環境情報を取得する環境情報取得工程と、
前記移動体の自己位置姿勢を推定し、推定結果を前記環境情報に保存する推定工程と、
前記環境情報に基づいて、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算する精度計算工程と、
前記精度計算工程で計算した精度に応じて、前記移動体の経路を更新する経路設定工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送車両などの移動体を、工場や物流倉庫といった環境内において自動で移動させるために、位置姿勢推定技術が提案されている。搬送車両としては、例えばAGV(Automated Guided Vehicle)が挙げられる。AGVは、Automated Guided Vehicleの略称である。
【0003】
移動体を自律走行させる場合、移動体が走行する経路が、位置姿勢の推定精度が高い経路となるように、位置姿勢推定の信頼度を用いる方法が知られている。例えば、特許文献1では、空間内の各位置に、その位置における位置姿勢推定の信頼度を対応付けた信頼度地図データを作成する。経路生成の際は、その信頼度地図データを参照し、信頼度が閾値以上である高信頼度領域を決定し、高信頼度領域を通過する経路を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.Engel,T.Schps, and D.Cremers.LSD-SLAM:Large-Scale Direct Monocular SLAM. In European Conference on Computer Vision(ECCV),2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では信頼度地図データがない場合は、移動体を安定して運行できないという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、移動体を安定して運行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態の情報処理装置は、移動体を移動させる経路の情報を取得する経路情報取得手段と、前記移動体を移動させる経路上の環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記移動体の自己位置姿勢を推定し、推定結果を前記環境情報に保存する推定手段と、前記環境情報に基づいて、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算する精度計算手段と、前記精度計算手段が計算した精度に応じて、前記移動体の経路を更新する経路設定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動体を安定して運行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係る移動体を含む倉庫での利用例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る情報処理装置のデータフロー図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る情報処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例1に係る経路のイメージ図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る更新処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例1に係る更新された経路のイメージ図である。
【
図8】本発明の実施例1に係る通知処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例2に係る更新処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施例2に係る更新された経路のイメージ図である。
【
図11】本発明の実施例3に係る通知処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例3に係るユーザ通知される画面のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
[実施例1]
まず、本発明の実施例1について説明する。本実施例は、本発明を物流倉庫で荷物を搬送する移動体の制御に適用した例である。
【0013】
図1は、実施例1に係る移動体を含む倉庫での利用例を示す模式図である。移動体101は、ステレオカメラ等のセンサ102,車輪103、及び情報処理装置104を有する。
【0014】
ユーザは、端末装置105によって、WiFiなどのネットワーク経由で、移動体101を直接操作することができる。端末装置105は、例えばノートパソコンである。端末装置105は、他の如何なる情報処理装置であってもよい。
【0015】
また、ユーザは、端末装置105を操作して、移動体101の走行経路を事前に設定することができる。移動体101は、事前に設定された走行経路に従って、倉庫内に存在する壁106を除いた走行可能領域107を、走行方向(前向き走行、後ろ向き走行)、及び旋回方向を組み合わせて移動することが可能である。
【0016】
図2は、
図1の情報処理装置104のハードウェア構成図である。201は、CPUであり、システムバス202に接続された各種デバイスの制御を行う。CPUは、Central Processing Unitの略称である。
【0017】
203は、ROMであり、BIOSのプログラムやブートプログラムを記憶する。ROMは、Read Only Memoryの略称である。BIOSは、Basic Input Output Systemの略称である。204は、RAMであり、CPU201の主記憶装置として使用される。RAMは、Random Access Memoryの略称である。
【0018】
205は、外部メモリであり、
図1の移動体101を動作させるプログラムを格納する。206は、入力部であり、キーボードやマウス、ロボットコントローラーであり、情報等の入力に係る処理を行う。
【0019】
207は、表示部であり、CPU201からの指示に従って情報処理装置104の演算結果を表示する。なお、表示部207は、液晶表示装置、プロジェクタ、LEDインジケーターなど、種類は問わない。
【0020】
208は、単眼のカメラ、ステレオカメラ、デプスカメラやLiDAR等のセンサであり、画像データや形状データ等の計測値を出力する。LiDARは、Light Detection and Rangingの略称である。209は、車輪制御部であり、CPU201による指示を受け付けて
図1の車輪103を制御する。
【0021】
図3は、本実施例で扱うプログラムコードとデータがどのような関係にあるかを示すデータフロー図である。301は、
図1の情報処理装置104に相当する情報処理装置である。302は、
図1の端末装置105を介して設定された走行経路を受け付け、経路情報303を入力する経路情報入力部である。304は、
図1のセンサ102を介して計測値を取得し、その計測値から周囲の環境を表現する環境情報305を作成する環境情報作成部である。
【0022】
306は、経路情報303に含まれる経路の一部について、環境情報305に基づいて、
図1の移動体101の算出された自己位置の精度を計算する精度計算部である。307は、精度計算部306で計算した精度によって移動体101の経路を更新する経路設定部である。
【0023】
308は、経路情報303及び環境情報305で得られた現在の位置姿勢情報から経路を車輪制御部209や表示部207へ通知する経路通知部である。309は、
図1のセンサ102を介して計測値を取得し、計測値から移動体101の自己位置を推定する位置姿勢情報推定部である。位置姿勢情報推定部309で作成された自己位置の情報は、環境情報305に保存される。
【0024】
これ以降の説明における、フローチャートによる処理手順は、一例であり、これに限定されるものではない。また、本発明の結果を満たす限りいかなる手順の組み合わせも、複数処理をまとめることも、処理を細分化することも可能である。また、各処理を個々に切り出してひとつの機能要素として単体として機能し、示している処理以外の処理と組み合わせて使用することも可能である。
【0025】
以下、本発明の実施例を図面およびフローチャートを参照して説明する。
図4は、本実施例に係る処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS101で、情報処理装置301は、情報処理装置301の初期化を行う。情報処理装置301は、この初期化において、
図2の外部メモリ205からプログラムを読み込み、情報処理装置301を動作可能な状態にする。
【0027】
ステップS102で、経路情報入力部302は、移動体101の走行経路を経路情報303として入力する処理を行う。経路情報303は、例えばある位置を原点として、走行位置を座標点で表現し、その座標点を1つ以上の列で表現したものである。
【0028】
ステップS103で、環境情報作成部304は、
図1のセンサ102から取得した計測値を元に環境情報305を作成する処理を行う。環境情報305は、例えばステレオカメラによってその場で撮影された画像データや過去に撮影された画像データ、LiDARによってその場で計測された形状データや過去に計測された形状データである。
【0029】
ステップS104で、位置姿勢情報推定部302は、
図1のセンサ102から取得した計測値に基づき自己位置の情報を出力する。本実施例では、センサ102は移動体101に固定されており、移動体101の移動・旋回と連動してセンサ102が移動・旋回するため、移動体101の位置姿勢はセンサ102の位置姿勢と対応している。また、センサを用いた位置姿勢推定方法としてはSLAM技術、Engelらの方法(非特許文献1)を使用する。SLAMは、Simultaneous Localization and Mappingの略称である。この方法は、屋外のような広域な環境において自己位置姿勢推定と地図作成を同時に実行するものである。
【0030】
ステップS105で、情報処理装置301は、経路情報303を更新する。経路情報303の更新方法は後述する。
【0031】
ステップS106で、経路情報通知部308は、経路情報303を通知する。経路情報303の通知方法は後述する。
【0032】
ステップS107で、情報処理装置301は、システム終了として、情報処理装置301の処理全体を終了するか否かを判断する。情報処理装置301がシステム終了であると判断した場合、処理を終了する。具体的には、情報処理装置301は、ユーザからの終了指示を
図2の入力部206により受信した場合に終了する。情報処理装置301がシステム終了ではないと判断した場合、ステップS102に戻り処理を継続する。
【0033】
図5は、
図3の経路情報303における経路のイメージ図である。401は、
図1の移動体101が走行不可能な壁の領域を示している。402は、経路情報303で使用する原点座標を示している。座標点403、座標点404、座標点405、座標点406、座標点407、座標点408、座標点409、座標点410、座標点411、及び座標点412によって、経路情報303は構成される。座標点403は、例えば原点402からの位置で表現されており、原点からX方向に100,Y方向に50の場合に(100,50)のように表現される。
【0034】
図1の端末装置105を使って、移動体101の走行経路が設定されると、例えば座標点403から順に座標点412までの経路が経路情報303として入力される。経路情報303は、移動体101が走行不可能な領域や座標点としているが、人の通行量や照明条件、表面の形状など前もって入力できる情報であれば特に限定するものではない。
【0035】
図6は、
図4のステップS105における経路情報303を更新する処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
ステップS201で、精度計算部306は、経路情報入力部302により入力された経路情報303から基本経路を取得する処理を行う。基本経路は、例えば
図5の座標点403から座標点412といった経路情報303の一部である。ここでは、基本経路を座標点としているが、点ではなく、ある一定の大きさの領域であっても同様である。
【0037】
ステップS202で、精度計算部306は、環境情報作成部304によって作成された環境情報305を取得する処理を行う。
【0038】
ステップS203で、精度計算部306は、ステップS201で取得した基本経路上での精度を計算する処理を行う。例えば、移動体101が基本経路上を、座標点403から座標点412に移動する場合、精度計算部306は、ステレオカメラで撮影した画像データを環境情報305として取得し、座標点毎に撮影した画像データを元に精度を計算する。ここでは、座標点毎に精度を計算するとしているが、移動時にランダムに計算してもよいし、ある一定時間毎に計算してもよい。精度計算部306は、精度がどの程度出るかについて、撮影された画像データに対して画像処理を行い、画像データ内に検出されたエッジ数や特徴点数をもとに計算する。また、精度計算部306は、精度がどの程度出るかについて、環境情報305としてLiDARによって計測された形状データが利用できる場合には、形状データの凹凸度合などで計算してもよい。精度計算部306は、環境情報に含まれる画像に基づいて、精度を計算してもよい。精度計算部306は、環境情報に含まれる形状に基づいて、精度を計算してもよい。
【0039】
ステップS204で、経路設定部307は、ステップS203で算出した精度が閾値と比較して高い精度なのか低い精度なのかを比較する処理を行う。経路設定部307が、精度が閾値よりも高いと判断した場合は、処理を終了する。経路設定部307が、精度が閾値以下である(低精度あり)と判断した場合は、ステップS205の処理が実行される。ここでは、経路設定部307は、精度を閾値と比較するとしているが、これまで算出した精度の累積した結果を閾値と比較するようにしてもよい。
【0040】
ステップS205で、経路設定部307は、ステップS202とは異なる経路となるように経路を更新する処理を行う。例えば、移動体101が
図5の座標点403から座標点409へと進む経路の途中において、座標点406の時点で精度が低いと判断された場合、経路設定部307は、座標点407とは異なる位置に経路を設定する処理を行う。例えば、走行不可能な領域から離れるように経路を設定し、設定後は精度の度合いを考慮して走行不可能な領域から一定の距離を保った位置が経路となるように設定する。また、移動体101の向きの変更を経路として設定してもよく、精度の度合いや最終的な経路位置に応じて、斜め方向や後ろ向きに旋回するように経路を変更してもよい。
【0041】
図7は、
図5の経路に対して、
図6のフローチャートを実行して得られる更新された経路のイメージ図である。501は、
図1の移動体101が走行不可能な壁の領域を示している。502は、経路情報303で使用する原点座標を示している。座標点503、座標点504、座標点505、座標点506、座標点507、座標点508、座標点509、座標点510、及び座標点511によって、更新された経路情報303は構成される。座標点503は、例えば原点502からの位置で表現されており、原点からX方向に100,Y方向に50の場合に(100,50)のように表現される。
【0042】
512は、更新される前の経路を示しており、
図6のフローチャートを実行することで、
図5の経路情報303が更新され、座標点503から座標点511を通る経路に変更されたことを示す。
【0043】
図8は、
図4のステップS106における経路情報303を通知する処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS301で、経路通知部308は、経路情報303を取得する処理を行う。ステップS302で、経路通知部308は、環境情報305を取得する処理を行う。ステップS303で、経路通知部308は、
図2の車輪制御部209へ経路情報303と環境情報305から得られる現在の位置姿勢情報から移動方向を通知する処理を行う。ステップS303で車輪制御部209へ通知を行うと、
図8の処理は終了する。
【0045】
以上説明してきた通り、移動体101は、経路情報303を更新することで、より高い精度で構成される経路を安定して走行することができる。
【0046】
<変形例1-1>
実施例1において、経路設定部307は、経路を更新する処理として、走行不可能な領域を考慮していた。しかし、走行不可能な領域だけでなく、人や物体を考慮して経路を更新する処理をしてもよい。例えば、環境情報305として人や物体を検知した場合は、人や物体から離れる方向に経路を設定してもよい。さらに、走行距離を考慮し、できるだけ短い経路となるように経路を設定してもよい。また、経路情報303に走行禁止領域など安全面に係る情報が含まれる場合は、より安全に走行できる経路となるように、走行禁止領域から離れた位置を走行するように経路を設定してもよい。
【0047】
<変形例1-2>
実施例1において、精度計算部306は、精度を計算する処理として、環境情報305の結果を考慮していた。しかし、環境情報305だけでなく経路情報303と組み合わせて、精度を算出してもよい。例えば、経路情報303から得られた走行不可能な領域にそって走行することを前提として精度を計算してもよい。
【0048】
さらに、人の通行量、通路の照明条件、通路の表面の形状を考慮して精度を計算してもよい。例えば、人通りが多い場合には精度を低く計算したり、照明が明るくなったり暗くなったり変化が大きい場合には精度を低く計算してもよく、通路の表面に凹凸がある場合に、精度を低く計算してもよい。
【0049】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例1においては、精度が低下したときに経路を更新することで移動体101が安定して走行できるようになることを示した。本実施例では、精度の低下が予想される場合に、経路を更新することで移動体101が安定して走行できるようにする方法について説明する。
【0050】
図9は、
図4のステップS105における精度の低下が予想される場合に経路情報303を更新する処理手順を示すフローチャートである。ステップS401で、精度計算部306は、経路情報入力部302により入力された経路情報303から基本経路を取得する処理を行う。
【0051】
ステップS402で、精度計算部306は、環境情報作成部304によって作成された環境情報305を取得する処理を行う。
【0052】
ステップS403で、精度計算部306は、ステップS401で取得した基本経路上での精度を計算する処理を行う。例えば、移動体101が基本経路上を、
図5の座標点403から座標点412に移動する場合、精度計算部306は、ステレオカメラで撮影した画像データを環境情報305として取得し、座標点403で撮影した画像データを元に精度を計算する。
【0053】
ステップS404で、精度計算部306は、ステップS401で取得した基本経路上以外の精度を計算する処理を行う。例えば、
図5の座標点403から座標点408が基本経路の場合、過去に作成された環境情報305の中から基本経路の座標点上からX方向に10以上離れた位置の環境情報305を取得するようにする。ここでは、X方向に固定値10ずれた位置としているが、ランダムに取得してもよいし、走行不可能な領域からの距離を考慮した数値でもよい。また、移動体101の前方向にのみセンサ102が固定されているような場合、センサ102の取り付け位置によって得られる環境情報305に違いがあるため、移動体101がその場で旋回した場合も基本経路以外の経路として扱ってもよい。
【0054】
ステップS405で、精度計算部306は、ステップS404で取得した基本経路とは異なる経路での精度を計算する処理を行う。例えば、ステップS404で、座標点403において、その場で180度旋回したときのステレオカメラで撮影した画像データを環境情報305として取得していた場合、基本経路とは異なる経路での精度は、その位置で旋回したときの計算結果となる。
【0055】
ステップS406で、経路設定部307は、ステップS403で算出した精度とステップS405で算出した精度を用いて経路を決定する。具体的には、経路設定部307は、ステップS401で取得した経路をそのまま使用するか、ステップS404で取得した基本経路とは異なる経路を使用するかを決定する処理を行う。どちらの経路を使用するかの判断は、例えばステップS403で算出した精度が十分に高く、ステップS405で取得した精度が低い場合には、ステップS403で扱った経路に決定する。別の決定方法としては、例えばステップS403で算出した精度が低く、ステップS405で取得した精度が高い場合には、基本経路とは異なる経路に決定する。
【0056】
ステップS407で、経路設定部307は、ステップS406で決定した経路で確定して更新するかどうかを判断する。経路設定部307が、ステップS406で決定した経路で更新すると判断した場合、ステップS408の処理が実行される。経路設定部307が、ステップS406で決定した経路で更新しないと判断した場合、ステップS404の処理が実行される。経路を確定して更新すると判断するのは、例えばステップS407で決定した経路が十分に高い精度のまま、ステップS401で取得した経路を置き換えて経路を構成できる場合である。
【0057】
ステップS408で、経路設定部307は、ステップS404からステップS407で確定した経路で更新する処理を行う。ステップS408で更新処理を行うと、
図9の処理を終了する。
【0058】
図10は、
図5の経路に対して、
図9のフローチャートを実行して得られる更新された経路のイメージ図である。601は、
図1の移動体101が走行不可能な壁の領域を示している。602は、経路情報303で使用する原点座標を示している。座標点603、座標点604、座標点605、座標点606、座標点607、座標点608、座標点609、座標点610、及び座標点611によって、更新された経路情報303は構成される。座標点603は、例えば原点602からの位置で表現されており、原点からX方向に100,Y方向に50の場合に(100,50)のように表現される。
【0059】
座標点607、座標点608、及び座標点609は、
図9のフローチャートを実行することで、
図5の経路情報303が更新されたことを示す。さらに、座標点607は、
図5の座標点407と同じ座標ではあるが、旋回を行い後ろ向きで走行することを示している。更新された経路情報303は、座標点603から座標点607まで前向き走行し、座標点607から座標点609まで後ろ向きで走行し、座標点609から座標点612まで前向き走行することを示す。
【0060】
以上説明してきた通り、移動体101は、経路情報303を更新することで、精度の低下が予想される場合に、より高い精度で構成される経路を安定して走行することができる。
【0061】
<変形例2-1>
実施例2において、経路設定部307は、経路を更新する処理として、精度の低下が見込まれるとき、より精度が高い経路がないかを過去の撮影データを元に探索する。しかし、変形例1-1と同様に、人や物体を考慮して更新する処理をしてもよい。さらに、走行距離や走行禁止領域など安全面に考慮して更新する処理をしてもよい。
【0062】
さらに、探索中に精度、人や物体、走行距離などを組み合わせて経路を更新する処理をしてもよい。例えば、最初は人や物体を考慮し、次に精度を考慮して経路を更新してもよい。また、経路を更新した後、実際の走行中に著しく精度が低下した場合は、一度走行した探索を開始した地点に戻り、再探索を行い、経路を更新してもよい。これは、実際に走行する事で、環境情報305が更新されるため、再探索時の精度の計算結果に違いが出る可能性があるためである。
【0063】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について説明する。実施例1及び実施例2においては、経路を更新し車輪制御部209へ通知することで、移動体101が安定して走行できることを説明した。実施例3では、ユーザに安定して走行できる経路を通知し、その後でユーザによる経路の再設定することで安定走行できる方法について述べる。
【0064】
図11は、
図4のステップS106における移動体101を安定して走行できる経路をユーザに通知する処理手順を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS501で、経路通知部308は、経路情報入力部302により入力された経路情報303から基本経路を取得する処理を行う。
【0066】
ステップS502で、経路通知部308は、環境情報作成部304によって作成された環境情報305を取得する処理を行う。
【0067】
ステップS503で、経路通知部308は、表示部207に更新された経路情報303の移動体101が通過する位置情報を通知する処理を行う。ここで、経路通知部308は、更新前後の経路情報303の位置情報を通知してもよく、更新後の経路情報303の位置情報のみを通知してもよい。
【0068】
ステップS504で、経路通知部308は、表示部207に更新された経路情報303の移動体101の旋回方向に関する情報と旋回する場合の位置情報を通知する処理を行う。ステップS504で表示部207へ通知を行うと、
図11の処理を終了する。
【0069】
図12は、
図11のフローチャートを実行する事で得られるユーザ通知される画面のイメージ図である。701は、
図2の表示部207で表示される経路画面である。ユーザは、経路画面701に表示されている内容を見て、
図1の移動体101を安定して走行する経路を確認する。702は、移動体101が走行不可能な壁の領域を示している。
【0070】
703は、更新前の経路を示している。704、705,706、及び707は、
図11の処理を実行することによって通知された経路を示している。704は、更新前の経路703から異なる位置を走行することを示している。705は、移動体101を旋回することを、その位置、角度、方向にて示している。706は、移動体101の走行方向が後ろ向きであることを示している。707は、移動体101を旋回することを、その位置、角度、方向にて示している。
【0071】
以上説明してきた通り、移動体101は、ユーザに安定して走行できる経路を通知し、その後でユーザによる経路の再設定によって安定して走行することができる。
【0072】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0074】
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
移動体を移動させる経路の情報を取得する経路情報取得手段と、
前記移動体を移動させる経路上の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記移動体の自己位置姿勢を推定し、推定結果を前記環境情報に保存する推定手段と、
前記環境情報に基づいて、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算する精度計算手段と、
前記精度計算手段が計算した精度に応じて、前記移動体の経路を更新する経路設定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
(構成2)
前記精度計算手段は、前記環境情報に含まれる画像に基づいて、精度を計算する
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)
前記精度計算手段は、前記環境情報に含まれる形状に基づいて、精度を計算する
ことを特徴とする構成1又は構成2に記載の情報処理装置。
(構成4)
前記経路設定手段は、前記経路情報取得手段で取得した経路に含まれる1つ以上の領域ごとに、前記精度計算手段が計算した精度に応じて更新する
ことを特徴とする構成1から構成3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
(構成5)
前記精度計算手段は、前記経路情報取得手段で取得した経路に含まれない1つ以上の領域について、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算し、
前記経路設定手段は、前記精度計算手段が計算した精度に応じて、前記経路情報取得手段で取得した経路に含まれない1つ以上の領域を前記移動体の経路に設定する
ことを特徴とする構成1から構成4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
(構成6)
前記経路情報設定手段によって設定された経路情報を表示装置に対して出力する表示手段をさらに備える、
ことを特徴とする構成1から構成5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
(構成7)
前記表示手段は、前記移動体の進行方向及び旋回方向を表示する
ことを特徴とする構成6に記載の情報処理装置。
(方法1)
移動体を移動させる経路の情報を取得する経路情報取得工程と、
前記移動体を移動させる経路上の環境情報を取得する環境情報取得工程と、
前記移動体の自己位置姿勢を推定し、推定結果を前記環境情報に保存する推定工程と、
前記環境情報に基づいて、前記移動体の自己位置姿勢を推定する精度を計算する精度計算工程と、
前記精度計算工程で計算した精度に応じて、前記移動体の経路を更新する経路設定工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
(プログラム1)
構成1から構成7のいずれか一つに記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0075】
101 移動体
102 センサ
103 車輪
104 情報処理装置
105 端末装置