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特開2024-178520ポリウレタンウレタンフォーム及びポリウレタンフォームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178520
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ポリウレタンウレタンフォーム及びポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20241218BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/48 033
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096702
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 智也
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG03
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB05
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB01
4J034KB02
4J034KC02
4J034KD03
4J034KD07
4J034KD12
4J034KE01
4J034KE02
4J034MA29
4J034QB01
4J034QB14
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】断熱性及び強度に優れたポリウレタンフォーム、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオール成分(A)、有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)及び中空粒子(F)を含む材料を反応させてなるポリウレタンフォームであって、ポリオール成分(A)が下記(1)~(3)のすべてを満たし、ポリウレタンフォームの重量に基づき中空粒子(F)の量が5~30重量%であるポリウレタンフォーム。
(1)ポリオール成分(A)は、水酸基価が25~60mgKOH/gであり、(2)ポリオール成分(A)の数平均官能基数が3~4であり、
(3)ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合が、ポリオール成分(A)の重量に基づき20重量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)、有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)及び中空粒子(F)を含む材料を反応させてなるポリウレタンフォームであって、
ポリオール成分(A)が下記(1)~(3)のすべてを満たし、
ポリウレタンフォームの重量に基づき中空粒子(F)の量が5~30重量%であるポリウレタンフォーム。
(1)ポリオール成分(A)は、水酸基価が25~60mgKOH/gであり、(2)ポリオール成分(A)の数平均官能基数が3~4であり、
(3)ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合が、ポリオール成分(A)の重量に基づき20重量%以下である。
【請求項2】
前記材料が、さらに分散剤(G)を含む請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
ポリウレタンフォームのコア密度(kg/m)が30~50である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法であって、
ポリオール成分(A)及び中空粒子(F)を含むポリオール組成物を調製する工程1と、
前記ポリオール組成物と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)の存在下に反応させる工程2と、を含むポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
工程1において、分散剤(G)を用いる請求項4に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
ポリウレタンフォームのコア密度(kg/m)が30~50である、請求項4に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンウレタンフォーム及びポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリウレタンフォームは、断熱性及び成形性等に優れるという観点から、断熱材料として検討されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-64050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のウレタンフォームにおいては、連続気泡が形成されやすいこと等に起因して対流熱伝達が起こり、断熱性が不十分となることがあり、さらなる改善が求められている。
また、ウレタンフォームをシート状等に成形して用いることも想定されるため、強度が高いことも求められている。
本発明の課題は、断熱性に優れ、強度に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、以下の通りである。
[1]ポリオール成分(A)、有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)及び中空粒子(F)を含む材料を反応させてなるポリウレタンフォームであって、ポリオール成分(A)が下記(1)~(3)のすべてを満たし、ポリウレタンフォームの重量に基づき中空粒子(F)の量が5~30重量%であるポリウレタンフォーム。
(1)ポリオール成分(A)は、水酸基価が25~60mgKOH/gであり、(2)ポリオール成分(A)の数平均官能基数が3~4であり、
(3)ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合が、ポリオール成分(A)の重量に基づき20重量%以下である。
[2]前記材料が、さらに分散剤(G)を含む請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
[3]ポリウレタンフォームのコア密度(kg/m)が30~50である、[1]または[2]に記載のポリウレタンフォーム。
[4][1]~[3]のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームの製造方法であって、ポリオール成分(A)及び中空粒子(F)を含むポリオール組成物を調製する工程1と、前記ポリオール組成物と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)の存在下に反応させる工程2と、を含むポリウレタンフォームの製造方法。
[5]工程1において、分散剤(G)を用いる[4]に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
[6]ポリウレタンフォームのコア密度(kg/m)が30~50である、[4]または[5]に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、断熱性に優れ、強度に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(ポリウレタンフォーム)
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分(A)、有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)及び中空粒子(F)を含む材料を反応させてなる。
【0008】
本発明において、ポリオール成分(A)は、下記(要件1)、(要件2)及び(要件3)のすべての要件を満たす。以下の要件を満たすことにより、断熱性及び強度に優れたポリウレタンフォームを提供することができる。
(要件1)ポリオール成分(A)は、水酸基価が25~60mgKOH/gである。
(要件2)ポリオール成分(A)の数平均官能基数が3~4である。
(要件3)ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合が、ポリオール成分(A)の重量に基づき20重量%以下である。
【0009】
要件1について説明する。本発明においてポリオール成分(A)の水酸基価は、水酸基価が25~60mgKOH/gである。ポリオール成分(A)の水酸基価は、得られるポリウレタンフォームの強度の観点から、好ましくは28mgKOH/g以上であり、より好ましくは30mgKOH/g以上である。ポリオール成分(A)の水酸基価は、得られるポリウレタンフォームの伸縮性の観点から、好ましくは55mgKOH/g以上であり、より好ましくは52mgKOH/g以上である。本明細書において水酸基価については単位を省略し、数値のみを記載することがある。水酸基価はJIS K0070に規定する方法に従い測定することができる。
【0010】
本発明においては、ポリオール成分(A)として、1種のポリオールまたは2種以上のポリオールを用いることができる。2種以上のポリオールを用いる場合、ポリオール成分(A)の水酸基価は、加重平均により算出することができる。例えば、ポリオール成分(A)が、水酸基価がOHVのポリオール(a1)と水酸基価がOHVのポリオール(a2)とからなり、その重量比[ポリオール(a1)の重量:ポリオール(a2)の重量]がW1:W2である場合、ポリオール成分(A)の水酸基価OHVは以下の式により算出できる。
OHV=(OHV×W1+OHV×W2)/(W1+W2)
【0011】
要件2について説明する。本発明において、ポリオール成分(A)の数平均官能基数は3~4である。ポリオール成分(A)の数平均官能基数は、伸縮性及び強度に優れるという観点から、好ましくは3.1~3.9である。ポリオール成分(A)は、数平均官能基数が3~4であればよく、当該成分(A)は、1分子当たりの官能基数が5以上のポリオールおよび/または1分子当たりの官能基数が2のポリオールを含んでいてもよい。ポリオール成分(A)の数平均官能基数はポリオール成分(A)として用いるポリオールの種類とその量を調整することにより上記範囲内とすることができる。ポリオール成分(A)の数平均官能基数は例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量と水酸基価により測定することができる。実施例で用いたポリオール成分については当該方法により数平均官能基数を測定した。
【0012】
要件3について説明する。本発明において、ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合は、ポリオール成分(A)の重量に基づき20重量%以下である。ポリオール成分(A)中のオキシエチレン単位の重量割合は、断熱性及びウレタンフォームの寸法安定性に優れるという観点から、ポリオール成分(A)の重量に基づき18重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合は、ポリオール成分(A)として用いるポリオールの種類とその量を調整することにより上記範囲内とすることができる。ポリオール成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の重量割合は例えばH-NMRにより測定することができる。
【0013】
オキシエチレン単位の重量割合の算出方法を具体的に説明する。水酸基が結合したメチレン基由来の信号は3.6ppm付近に観測され、メチル基由来の信号は1.1ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。オキシエチレン単位の重量割合は次の計算式により算出する。
オキシエチレン単位の重量割合 = [33(a-b)/(33a+23b)]×100
但し、式中、aは3.6ppm付近の水酸基が結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは1.1ppm付近のメチル基由来の信号の積分値である。
【0014】
ポリオール成分(A)として用いるポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、活性水素基含有化合物のアルキレンオキサイド(以下、AOと略することがある)付加物等が挙げられる。
活性水素含有化合物としては、多価アルコール(好ましくは2~6価のアルコール)、アルコール以外の2~6価の水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物ならびにチオール基含有化合物等が挙げられる。
【0015】
多価アルコールとしては、炭素数2~20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等)及び脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)]、炭素数3~20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)]、ならびに炭素数4~20の4価~6価のアルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール等)]等が挙げられる。
【0016】
アルコール以外の2~4価の水酸基含有化合物としては、2価~4価の多価フェノール(ヒドロキノン、ビスフェノ-ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン等)、ポリブタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック等)等が挙げられる。
【0017】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン及びアミノアルコール等が挙げられる。具体的には、アンモニア、炭素数1~20のアルキルアミン(ブチルアミン等)、アニリン、脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN-アミノエチルピペラジン等)、脂環式ポリアミン(ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)、ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)及びジシアンジアミド等が挙げられる。
【0018】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が挙げられる。ポリチオールとしては、2~4価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエタンジチオール及び1,6-ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0019】
AOとしては炭素数2~4のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略することがある)、プロピレンオキサイド(以下、POと略することがある)及びブチレンオキサイド(以下、BOと略記)が挙げられる。PO及びBOは、直鎖であっても分岐を有していてもよい。AOとしては、得られるポリウレタンフォームの強度の観点から、好ましくはPOを含むものであり、より好ましくはPO及びEOの組み合わせである。AOを2種以上含む場合の付加形式としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0020】
ポリオール成分(A)としては、得られるポリウレタンフォームの強度および伸縮性の観点から、好ましくは3価~6価のアルコールのAO付加物であり、より好ましくはグリセリンのAO付加物、ペンタエリスリトールのAO付加物およびこれらの組み合わせである。
【0021】
有機ポリイソシアネート(B)としては、軟質ポリウレタンフォームに使用される有機ポリイソシアネートであれば特に限定はないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0022】
芳香族ポリイソシアネートとしては、NCO基中の炭素を除く炭素数(以下のポリイソシアネートにおいて、炭素数と記載した場合にはNCO基中の炭素を除くものとする)が6~16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6~20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート及びトリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネートが挙げられる。
【0023】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6~10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネートが挙げられる。
【0024】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6~16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0025】
芳香脂肪族イソシアネートとしては、炭素数8~12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、カルボジイミド変性MDIが挙げられる。
【0026】
これらの有機ポリイソシアネート(B)のうち、反応性及び成形性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、さらに好ましくは、TDIである。
【0027】
本発明のポリウレタンフォームの物性は、ポリウレタンフォーム製造用の材料中の活性水素原子に対するイソシアネート基(NCO基)の割合を調整することで調整しうる。本発明において、活性水素原子に対するイソシアネート基(NCO基)の割合[イソシアネート指数(インデックス)ともいう]は、断熱性及び成形性の観点から、0.5~2が好ましく、さらに好ましくは0.6~1.5、特に好ましくは0.8~1.3である。
前記イソシアネート指数は、ポリウレタンフォーム製造用の材料中の活性水素原子含有基の当量に対する(D)中のイソシアネート基の当量の比率(%)として算出される。
【0028】
発泡剤(C)としては、水、液化炭酸ガス及び沸点が-5~70℃の低沸点化合物等が挙げられる。
【0029】
低沸点化合物としては、水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素等が挙げられる。水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素の具体例としては、塩化メチレン、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)(HCFC-123、HCFC-141b及びHCFC-142b等);HFC(ハイドロフルオロカーボン)(HFC-152a、HFC-356mff、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-245fa及びHFC-365mfc等)、ブタン、ペンタン及びシクロペンタン等が挙げられる。
【0030】
発泡剤(C)としては、成形性の観点から、水が好ましい。
発泡剤(C)として水を使用する場合、その使用量は、フォームのコア密度と断熱性の観点から、ポリオール成分、中空粒子及び分散剤の合計重量100重量部に対して、1.0~5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.5~4.5重量部である。
【0031】
触媒(D)としては例としては、トリエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、 N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの3級アミン及びそのカルボン酸塩;酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩;ジブチルスズジラウレート及びオクチル酸第一スズ等の有機金属化合物が挙げられる。触媒(D)は市販のものを用いてもよい。市販の触媒としては、東ソー(株)製「TEDA-L33」(トリエチレンジアミン/ジプロピレングリコール=33/67重量%溶液)、「TOYOCAT ET」(ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル/ジプロピレングリコール=70/30重量%溶液)及び日東化成(株)製「ネオスタンU-28」(オクチル酸第1スズ)等が挙げられる。触媒(E)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
触媒としては、成形性の観点から、トリエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、オクチル酸第1スズ及びこれらの2種以上の組み合わせが好ましい。
【0032】
触媒(D)の使用量は、成形性と硬化時間の観点から、ポリオール成分、中空粒子及び分散剤の合計重量100重量部に対して、0.01~6.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.05~4.0重量部である。
【0033】
整泡剤(E)としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられる公知の整泡剤(シリコーン系整泡剤及び非シリコーン系整泡剤等)が使用できる。具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)社製の「SZ-1959」、「SF-2904」、「SZ-1142」、「SZ-1720」、「SZ-1675t」、「SF-2936F」、「SZ-3601」、「SRX-294A」、「SH-193」、「L-580」、日本ユニカー(株)社製の「L-540」、「L-3601」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「L-626」、エボニックデグサジャパン(株)社製「B8715 LF2」等として市場から入手できるものが挙げられる。整泡剤としては、東レ・ダウコーニング(株)製の「L-580」、が好ましい。
【0034】
整泡剤(E)の使用量は、成形性及び反発弾性の観点から、ポリオール成分、中空粒子及び分散剤の合計重量100重量部に対して、0.2~5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5~3.0重量部である。
【0035】
中空粒子(F)としては、球状の外観形状を有し、その内部が空洞になっている粒子を用いうる。中空粒子の構造(外観形状、外径及び内径等)は、透過電子顕微鏡(TEM)の画像写真を用いて測定できる。
具体的には、中空粒子の中心を通るように、5箇所以上の粒子径(外径)及び内径をそれぞれ測定する。測定結果の平均値を、平均外径(平均粒子径)、平均内径とする。更に、平均外径(平均粒子径)及び平均内径を用いて下記式(2)から中空粒子の空孔率を算出する。
(平均内径)/(平均粒子径)×100 (2)
【0036】
中空粒子(F)の平均外径は、ポリウレタンフォームを薄膜状に成形した場合に、フォームの成形性の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは300nm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。中空粒子(F)の空孔率は、製造上および断熱性の観点から、中空粒子の体積に基づき、好ましくは30vol%以上、より好ましくは40vol%以上であり、好ましくは90vol%以下、より好ましくは85vol%以下である。
【0037】
中空粒子(F)としては、ポリスチレン製の中空粒子、及び金属酸化物(例えばシリカ等)を含む中空粒子等が挙げられる。中空粒子(F)としては市販のものを用いてもよい。市販の中空粒子としては、三水(株)製のPS中空粒子(平均外径:1μm、平均空孔率80vol%)、積水ポリマテック(株)製のPS中空粒子(平均外径:4μm、空孔率60vol%)、積水ポリマテック(株)製のPS中空粒子(平均外径:0.5μm、空孔率40vol%)等が挙げられる。
【0038】
本発明において中空粒子(F)の量は、ポリウレタンフォームの重量に基づき、5~30重量%である。中空粒子の量を5~30重量%とすることにより、断熱性に優れ、強度に優れたポリウレタンフォームを提供することができる。ポリウレタンフォームの重量に基づく中空粒子(F)の量は、断熱性の観点から好ましくは5.5重量%以上であり、より好ましくは6.0重量%以上であり、好ましくは29重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
【0039】
本発明においてポリウレタンフォームを製造するための材料は、ポリオール成分(A)、有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)及び中空粒子(F)に加えて分散剤(G)を含むことが好ましい。分散剤(G)はポリオール成分(A)中で中空粒子(F)を分散させる機能を有する。分散剤(G)を用いることにより、ウレタンフォーム材料中の中空粒子(F)の分散性を高めることができる。
【0040】
分散剤(G)としては、脂肪族ポリエーテル型非イオン性界面活性剤、多価フェノールのAO付加物、アリールアルキルフェノール(炭素数が14~62;スチレン化フェノール等)のAO付加物、等が挙げられる。分散剤(G)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。脂肪族ポリエーテル型非イオン界面活性剤としては、例えばポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物及びポリオキシエチレンアルキルエーテル等があげられる。多価フェノールのAO付加物としては、例えばビスフェノール類のEO付加物等が挙げられる。中空粒子(F)の分散性の観点から、分散剤(G)としては、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物等、ビスフェノールAのAO付加物等及びスチレン化フェノールのAO付加物が好ましい。
【0041】
分散剤(G)としては市販品を使用してもよい。このような市販品としては、三洋化成工業(株)製「ニューポールPE-64」、三洋化成工業(株)製「ニューポールBPE-100」、三洋化成工業(株)製「ニューポールBP-5P」、三洋化成工業(株)製「エレミノールHB-12」、及び三洋化成工業(株)製「ナロアクティーID-60」等が挙げられる。
【0042】
分散剤(G)の量は、ポリオール成分、中空粒子及び分散剤の合計重量100重量部に対して、0.01~2.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1~1.0重量部である。
【0043】
本発明のポリウレタンフォームの材料は、ポリオール成分(A)、有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)、中空粒子(F)及び分散剤(G)以外の他の助剤(H)を含んでいてもよい。
他の助剤(H)としては、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)及び酸化防止剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等が挙げられる。
【0044】
他の助剤(H)の使用量の合計は、ポリオール成分(A)100重量部に対して、好ましくは0重量部以上50重量部以下であり、さらに好ましくは0重量部以上30重量部以下である。
【0045】
本発明のポリウレタンフォームのコア密度は、ポリウレタンフォームの強度の観点から好ましくは30kg/m以上であり、より好ましくは31kg/m以上である。ポリウレタンフォームのコア密度は、断熱性の観点から好ましくは50kg/m以下であり、より好ましくは48kg/m以下である。
【0046】
(ポリウレタンフォームの製造方法)
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分(A)及び中空粒子(F)を含むポリオール組成物を調製する工程1と、ポリオール組成物と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)の存在下に反応させる工程2と、を含む製造方法により製造することが好ましい。当該製造方法により製造することにより、断熱性及び強度により優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0047】
工程1は、ポリオール成分(A)及び中空粒子(F)を含むポリオール組成物を調製する工程である。ポリオール成分(A)および中空粒子(F)としては、ポリウレタンフォームの材料として用いるポリオール成分(A)および中空粒子(F)と同じものを用いることができる。
【0048】
ポリオール組成物の調製は、ポリオール成分(A)と中空粒子(F)とを混合することにより行いうる。混合装置としては、例えばビーズミルなどを用いることができる。混合条件は用いる材料とその配合割合によって適宜設定しうる。
【0049】
工程1においては、ポリオール成分(A)と中空粒子(F)とともに分散剤(G)を用いることが好ましい。分散剤(G)を用いることにより中空粒子(F)の分散性が良好なものとなり、得られるポリウレタンフォームの構造の均一性とフォームの成形性を高めることができる。分散剤(G)としてはポリウレタンフォームの材料として用いる分散剤(G)と同じものを用いることができる。
【0050】
分散剤(G)の使用量は、ポリオール組成物100重量部に対して、0.01~2.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1~1.0重量部である。
【0051】
工程2は、工程1を行った後に得られるポリオール組成物と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)の存在下に反応させる工程である。工程2において用いる有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)としては、ポリウレタンフォームの材料として用いる有機ポリイソシアネート成分(B)、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)と同じものを用いることができる。
【0052】
工程2は、例えば、以下の方法によりおこないうる。まずポリオール組成物、発泡剤(C)、触媒(D)、整泡剤(E)および必要に応じ使用する他の助剤(H)を混合して混合物(以下「第1混合物」ともいう)を作製する。次に第1混合物に有機ポリイソシアネート成分(B)を加えて混合する。第1混合物に有機ポリイソシアネート成分(B)を加えて混合する。これにより、第1混合物に含まれるポリオール成分と有機ポリイソシアネート成分(B)とが反応する(ウレタン化反応)。次に、第1混合物と有機ポリイソシアネート成分(B)との反応により生成する反応物を発泡させることによりポリウレタンフォームが得られる。
【0053】
工程2は、発泡機及び/又は攪拌機を使用して行ってもよいし、密閉型又は開放型のモールド(金属製、樹脂製又は紙製)を用いて行ってもよい。第1混合物の混合条件(混合温度および混合時間など)及び第1混合物と有機ポリイソシアネート成分(B)との混合条件(混合温度、混合時間など)は、それぞれ、使用する材料および使用量を考慮して適宜設定することができる。発泡条件(発泡温度、発泡時間)についても、発泡剤及び使用する成分の種類及び量を考慮し適宜設定することができる。
【0054】
(ポリウレタンフォームの用途)
本発明のポリウレタンフォームおよび本発明の製造方法で得られたポリウレタンフォームは、強度及び断熱性に優れるので、断熱材としての用途に好適である。本発明のポリウレタンフォームはシート状の形状とした場合においても、強度が優れるので、シート状の断熱材としての用途において特に好ましい。ポリウレタンフォームをシート状の形状で用いる場合の厚みは、例えば10μm~100mm等としうる。シート状の断熱材として用いる場合の用途としては、例えば熱電変換モジュールや冷却器 (民生用では小型冷蔵庫、産業用では医療用あるいは実験用小型冷却器等)、発電機 (自動車、あるいは産業廃熱を利用した発電機、コジェネレーションに組み込んだ発電機、宇宙開発に用いる原子力電池等)の断熱材等として用いうる。
【実施例0055】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。反応温度は±10℃の範囲を含む。
【0056】
[製造例1:ポリオール(a-1)の製造]
ペンタエリスリトール136部に水酸化カリウムを触媒として用いて[触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準)]、反応温度120℃でプロピレンオキサイド(PO)7878部を付加し、官能基数4、水酸基価28mgKOH/g、EO単位の含有量0重量%のポリエーテルポリオール(a-1)を得た。
【0057】
[製造例2:ポリオール(a-2)の製造]
ペンタエリスリトール136部に水酸化カリウムを触媒として[触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準)]用いて反応温度120℃でPO6035部付加し、次いでEO842部を付加し、官能基数4、水酸基価32mgKOH/g、EO単位の含有量12重量%のポリエーテルポリオール(a-2)を得た。
【0058】
[製造例3:ポリオール(a-3)の製造]
グリセリン92部に水酸化カリウムを触媒として[触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準)]用いて反応温度120℃でPO2615部を付加し、次いでEO323部を付加し、次いでPO206部を付加し、官能基数3、水酸基価52mgKOH/g、EO単位の含有量10重量%のポリエーテルポリオール(a-3)を得た。
【0059】
[製造例4:ポリオール(a-4)の製造]
グリセリン92部に水酸化カリウムを触媒として[触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準)]用いて反応温度120℃でPO2573部を付加し、次いでEO140部を付加し、官能基数3、水酸基価60mgKOH/g、末端EO単位の含有量5重量%のポリエーテルポリオール(a-4)を得た。
【0060】
[ポリオールの物性値の測定方法]
製造例1~4で得られたポリオールの物性値は以下の方法により測定した。
(1)水酸基価
ポリオールの水酸基価はJIS K0070に規定する方法に従い測定した。
(2)官能基数
ポリオールの数平均官能基数は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリオールの数平均分子量と水酸基価を測定し算出した。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの条件>
装置本体:HLC-8420(東ソー(株)製)
カラム:東ソー(株)製TSKgel Super H4000、H3000、H2000
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:THF
溶離液流量:0.6ml/分
カラム温度:40℃
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:東ソー(株)製TSK STANDARD POLYSTYRENE
データ処理ソフト:EcoSEC Elite-WS解析(東ソー(株)製)(算出方法)
平均官能基数=Mn/(56100)×OHV
式中、MnはGPC測定の数平均分子量;OHVは水酸基価である。
(3)EO単位の含有量
上記ポリオール成分(A)のオキシエチレン単位の重量割合の算出方法に記載の方法で算出した。
【0061】
[ポリオール組成物(P-1)~(P-6)の製造]
表1に記載の種類及び量(部)のポリオール、中空粒子(F)および分散剤(G)を用いて、ポリオール成分中に中空粒子を分散させ、ポリオール組成物(P-1)~(P-6)を調製した。
ポリオール組成物の調製は、ビーズミル[ウルトラビスコミル(アイメックス社製)]を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒、粒径が0.4mmのガラスビーズを80体積%充填し、2パスの条件で行った。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に記載の各成分は以下の通りである。
<ポリオール成分(A)>
ポリオール(a-1):製造例1で得られたポリエーテルポリオール
ポリオール(a-2):製造例2で得られたポリエーテルポリオール
ポリオール(a-3):製造例3で得られたポリエーテルポリオール
ポリオール(a-4):製造例4で得られたポリエーテルポリオール
<中空粒子(F)>
(F-1):三水(株)製PS中空粒子(平均外径:1μm、平均空孔率80vol%)
(F-2):積水ポリマテック(株)製PS中空粒子(平均外径:4μm、平均空孔率60vol%)
(F-3):積水ポリマテック(株)製PS中空粒子(平均外径:0.5μm、平均空孔率40vol%)
<分散剤(G)>
(G-1):三洋化成工業(株)製「ニューポールPE-64」、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物
(G-2):三洋化成工業(株)製「ニューポールBPE-100」、ビスフェノールAのEO付加物
(G-3):三洋化成工業(株)製「ナロアクティーID-60」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
【0064】
<実施例1~6、比較例1~2>
攪拌機を使用して、表2に記載の材料[ポリオール組成物(P)またはポリオール(a-1)、発泡剤(C)、触媒(D)及び整泡剤(E)]を、表2に記載の量(重量部)で配合して、ハンドミキシング法(攪拌羽を容器中に挿入し攪拌させる方法)で、撹拌し混合物を得た。当該混合物の液温を25℃に調整した。
25℃に調整した混合物に、液温を25℃に調整した有機ポリイソシアネート(B)を表2に記載の量(重量部)混合し、3000回転/分で6~20秒間、ハンドミキシング法で撹拌して混合液を得た。
得られた混合液を上部が開放された400mm×400mm×200mmの直方体状の紙製の成形型に吐出して、一昼夜(温度25℃、湿度50%にて24時間)放置して発泡させ軟質ポリウレタンスラブフォームを作製した。発泡条件は以下の通りである。
<発泡条件>
成形型:400mm×400mm×200mmの直方体状の紙箱
ミキシング方法:3000rpmのミキサーで攪拌
原料温度:25±2℃
原料使用量:(a1)を300g使用
キュアー条件:25℃、1日間(24時間)
【0065】
一昼夜放置した後のポリウレタンスラブフォーム(以下「ポリウレタンフォーム」ともいう)のコア密度(kg/m)、引張強度(N/cm2)、切断伸度(%)及び熱伝導率(W/m・K)を測定した。測定方法は以下の通りである。測定結果を表2に示す。
【0066】
<測定方法>
(1)フォームのコア密度
JIS K6400に規定する方法に従い、ポリウレタンフォームのコア密度(kg/m)を測定した。コア密度は30kg/m~50kg/mであることが好ましい。
【0067】
(2)引張強度
JIS K6400に規定する方法に従い、ポリウレタンフォームの引張強度(N/cm)を測定した。引張強度は、1.1N/cm以上であることが好ましい。
【0068】
(3)切断伸度
JIS K6400に規定する方法に従い、ポリウレタンフォームの切断伸度(%)を測定した。切断伸度は、150%以上であることが好ましく、150%~200%がより好ましい。
【0069】
(4)熱伝導率
各例のポリウレタンフォームを、200mm(縦)×200mm(横)×35(厚み)mmの直方体形状に切り出して試験片を作製した。当該試験片の熱伝導率(W/m・K)を、JIS A1412-2に規定する方法に従い、熱伝導率測定機(「AUTO-Λ HC-074」、英弘精機(株)製)を用いて測定した。熱伝導率は低いほうが断熱性に優れている。熱伝導率は、0.025W/m・K以下が好ましい。
【0070】
表2に記載の各成分は次の通りである。
<ポリオール組成物(P)>
(P-1)~(P-6):ポリオール組成物(P-1)~(P-6)
<ポリオール>
ポリオール(a-1):製造例1で製造したポリエーテルポリオール
<有機ポリイソシアネート(B)>
(B-1):商品名「コロネートT-80」(日本ポリウレタン工業(株)製)、TDI
<発泡剤(C)>
(C-1):水
<触媒(D)>
(D-1):東ソー(株)製「TEDA-L33」、トリエチレンジアミン/ジプロピレングリコール=33/67重量%溶液
(D-2):東ソー(株)製「TOYOCAT ET」、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル/ジプロピレングリコール=70/30重量%溶液
(D-3):日東化成(株)製「ネオスタンU-28」、オクチル酸第1スズ
<整泡剤(E)>
(E-1):東レ・ダウコーニング製「L-580」
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、実施例1~6のポリウレタンフォームは比較例1~2のポリウレタンフォームと比較して、熱伝導率が低く、断熱性に優れていた。実施例1~6のポリウレタンフォームは比較例1のポリウレタンフォームと比較して、引張強度が高く強度に優れていた。比較例2のポリウレタンフォームは、引張強度が高いが、熱伝導率が高く断熱性が劣っていた。これらの結果から、本発明によれば断熱性及び強度に優れたポリウレタンフォーム、及びその製造方法を提供することができるということがわかる。