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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178527
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096712
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 悠希
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA22
3K339AA43
3K339BA21
3K339BA25
3K339CA30
3K339EA09
3K339FA08
3K339GB03
3K339GB13
3K339GB22
3K339GB26
3K339HA08
3K339JA21
3K339KA06
3K339LA06
3K339MA02
3K339MA07
3K339MC11
3K339MC35
3K339MC36
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】落下物での反射による周囲の人間への照射を防止して影響を低減する。
【解決手段】車両200に設けられる車両用表示装置100であって、車両200の外部へ所望の投影表示を行うロードプロジェクタ1と、制御ユニット4のCPU41と、を備え、CPU41は、車両200の外部のロードプロジェクタ1による投影範囲Apにおける落下物Rを検知するステップS25の手順と、落下物Rの検知に応じて、ロードプロジェクタ1による投影表示における、少なくとも当該落下物Rに対応する存在拡張領域Aeを消灯又は減光させるステップS35~ステップS45の手順を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる車両用表示装置であって、
前記車両の外部へ所望の投影表示を行う投影部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車両の外部の前記投影部による投影範囲における落下物を検知する落下物検知処理と、
前記落下物検知処理での前記落下物の検知に応じて、前記投影部による前記投影表示における、少なくとも当該落下物に対応する領域を消灯又は減光させる暗化処理
を実行することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記車両の外部を撮像する撮像部をさらに備え、
前記制御部は、前記落下物検知処理において、
前記撮像部による撮像結果を画像解析することにより前記落下物を識別する
ことを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、
前記落下物検知処理で前記落下物が検知された場合に、当該落下物が反射物であるか否かを判定する判定処理を実行し、
前記判定処理において前記落下物が前記反射物であると判定された場合に、前記暗化処理において、少なくとも当該反射物に対応する領域を消灯又は減光させる
ことを特徴とする請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記投影範囲は路面であり、
前記制御部は、前記判定処理において、
前記画像解析に基づき、前記撮像結果中に人物・動物の顔、空、及び建造物のうち少なくとも1つが含まれていた場合に、前記落下物が反射物であると判定する
ことを特徴とする請求項3記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記暗化処理において、
前記投影表示において、少なくとも前記落下物の外形を含む領域を消灯させるよう、前記投影部を制御する
ことを特徴とする請求項4記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記暗化処理において、
前記投影表示において、少なくとも前記落下物の外形を含む領域の輝度を他の領域の輝度よりも低くするよう、前記投影部を制御する
ことを特徴とする請求項4記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、
前記車両の外部の所定範囲における人体の存在を検知する人体検知処理を実行し、
前記暗化処理において、
前記人体検知処理により前記人体の存在が検知された場合に前記暗化処理を行い、前記人体の存在が検知されない場合には前記暗化処理を実行しない
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて所望の表示を行う車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の表示装置が知られている。この表示装置は、車両に搭載されたプロジェクタから路面などにホログラム再生像などを投影することで、自車両の周辺を走行する車両に所定の情報を報知するよう表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6344545号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の表示装置に用いられるプロジェクタは、一般的にその投射光の照度が高いことなどからできるだけ人の顔面等への照射を回避すべきとされている。しかしながら、プロジェクタが投影表示する屋外の路面には予期しない落下物が落ちている場合があり、さらにその落下物が光沢のある表面を有して投影光を反射する反射物である場合もあり得る。その場合には、プロジェクタから路面上に向けて投影された投影光が落下物に反射して周囲にいる人の顔面に照射してしまう可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、落下物での反射による周囲の人間への照射を防止して影響を低減できる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両200に設けられる車両用表示装置100であって、前記車両200の外部へ所望の投影表示を行う投影部1と、制御部41と、を備え、前記制御部41は、前記車両200の外部の前記投影部1による投影範囲Apにおける落下物Rを検知する落下物検知処理と、前記落下物検知処理での前記落下物Rの検知に応じて、前記投影部1による前記投影表示における、少なくとも当該落下物Rに対応する領域Arを消灯又は減光させる暗化処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、落下物での反射による周囲の人間への照射を防止して影響を低減できる車両用表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置を搭載した車両の全体構成を表す図。
図2】車両用表示装置のシステム構成を表す機能ブロック図。
図3】ロードプロジェクタの投影光が路面上の落下物で反射して周囲の人間に照射される状況を説明する図。
図4】ロードプロジェクタの投影範囲、投影座標と、車外カメラの撮像範囲、撮像座標との関係を表す図。
図5】落下物が反射物であるか否かの判定要因となる検知画像の例を表す図。
図6】落下物の範囲に対応して投影光を消灯、減光させる場合の投影表示内容易を表す図。
図7】制御ユニットのCPUによって実行される制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
本実施形態の車両用表示装置を搭載する車両を斜め前方側から見た全体斜視図を図1(a)に示し、また斜め後方側から見た全体斜視図を図1(b)に示す。なお、以下では、表示装置の構成の理解を容易にするために、車両の前方側を「前(Fr.)」、その反対側を「後(Re.)」、当該車両に搭乗した乗員から見た左側を「左(L)」、右側を「右(R)」、上側を「上(Up.)」、下側を「下(Lo.)」として各部を適宜説明する(各図中の矢印表記参照)。
【0011】
<車両用表示装置の全体構成>
これら図1(a)、図1(b)において、車両用表示装置100は、例えば自家用車、商用車、バス等の各種車両に搭載されるものであり、この例では12個のロードプロジェクタ1(投影部)と、12個の車外カメラ2(撮像部)と、タッチパネル3と、制御ユニット4と、を有する。
【0012】
ロードプロジェクタ1は、その近傍の路面上に所定の映像を投影表示する光学表示装置であり(後述の図3図4参照)、図示する例では当該車両200の前方側バンパ201と後方側バンパ202のそれぞれの左端位置、中央位置、右端位置、及び左右それぞれのサイドミラー203の下方位置の合計12か所に設けられている(図1参照)。なお、投影表示するのは意匠画像の映像であってもよいし、単なる白色光などであってもよい。またロードプロジェクタ1は、その投影範囲中の任意の座標位置における投影光の照射と消灯と減光を制御可能となっている。
【0013】
車外カメラ2は、上述した12個のロードプロジェクタ1それぞれに対応した近傍位置に個別に設けられ、それぞれ対応するロードプロジェクタ1の路面上における投影範囲Apとほぼ一致した撮像範囲Acで撮像して画像情報を出力可能な光学機器である(後述の図4参照)。
【0014】
タッチパネル3は、この例では車内のユーザ(運転者)の前方位置のインストルメントパネル(ダッシュボード)に配置されて液晶ディスプレイとタッチパッドを組み合わせた構成のデバイスである(図1参照)。このタッチパネル3は、例えばナビゲーション情報などの所定の情報を表示するとともに、各ロードプロジェクタ1それぞれの投影表示に関する制御指令をユーザから入力操作可能である。
【0015】
制御ユニット4は、その内部にCPU41及びメモリ42等を備えたコンピュータであり、図示する例ではタッチパネル3の前方側近傍のインストルメントパネル内に配置されている(図1参照)。図2は、制御ユニット4と上述した各構成部との接続構成を含めて車両用表示装置100全体のシステム構成を表す機能ブロック図である。この図2おいて、制御ユニット4が備えるCPU41(制御部)は、バス43を介して上述した12個の車外カメラ2とそれぞれ接続して画像情報が取得可能であるとともに、12個のロードプロジェクタ1にそれぞれ接続して投影表示のための各種の制御情報を個々に出力可能となっている。またCPU41は、タッチパネル3に対して各種の表示情報を出力可能であるとともに、各種の操作情報の入力も可能となっている。
【0016】
そしてCPU41は、メモリ42の一時記憶機能を利用しつつあらかじめ記憶された各種プログラムを実行することで当該車両用表示装置100全体の制御を行う。メモリ42は、特に図示しないRAM及びROMを備えた記憶装置である。上記の各種プログラムには、後述する図7等に示す手順を実行するためのプログラムが含まれている。なお、制御ユニット4と各構成部との接続は、例えばCAN(Controller Area Network)などの通信インターフェースを介した接続であってもよいし、ハードワイヤーを通じた電気接続であってもよい。
【0017】
<車両用表示装置の作動内容>
以下に、図3図6を参照しつつ、当該車両用表示装置100の作動内容について説明する。例えば図3の後方斜視図に示すように、いずれのロードプロジェクタ1も基本的には、その近傍の路面上における所定の投影範囲へ向けておよそ下方へ投影光を照射して所定の投影表示を行う。しかし、ロードプロジェクタ1が投影表示する屋外の路面には予期しない落下物Rが落ちている場合があり、さらにその落下物Rが例えば金属やプラスチック等を材質とした加工品のように光沢のある表面を有して投影光を反射する性質の反射物である場合もあり得る。そのような反射性能を有する落下物Rがロードプロジェクタ1の投影範囲に存在した場合には、ロードプロジェクタ1から路面上に向けて投影された投影光の一部が落下物Rの表面で反射して上方へ向かい、周囲にいる人間Mの顔面に照射されまぶしく感じてしまう可能性がある。
【0018】
ここで、設置されるロードプロジェクタ1の具体的な構成としては、単に白色光を投光するような投光器の他にも、近年では例えばホログラム投影機や空間光変調機(SLM;Spatial Light Modulator)等のようにレーザーを光源としたものも利用されている。このためロードプロジェクタ1の投影光は、一般的にその照度が高いことなどの理由からできるだけ人間Mの顔面等への直接的な照射を回避すべきとされている。しかし一方で、例えば夜間や地下などの暗がりなどといったロードプロジェクタ1での投光を必要とする状況では、できるだけ投光状態を確保したい要望もある。
【0019】
このため本実施形態では、まず制御ユニット4が図4に示すように、車両200の各ロードプロジェクタ1それぞれの投影範囲、つまり実際に投影光を照射している範囲における落下物Rの存在を検知する落下物検知処理を実行する。そして、図6に示すようにそれら落下物検知処理による落下物Rの検知に応じて、各ロードプロジェクタ1それぞれによる投影表示における、少なくとも当該落下物Rに対応する領域を消灯又は減光させる暗化処理を実行する。これにより、ロードプロジェクタ1による路面上への投影表示をできるだけ維持しつつ、落下物Rでの反射による周囲の人間Mへの照射を防止して影響を低減できる。
【0020】
具体的には、まず図4(a)に示すように各車外カメラ2がそれぞれ対応するロードプロジェクタ1の路面上の投影範囲Apを撮像する。ここで本実施形態では、上述するように対応する車外カメラ2とロードプロジェクタ1が互いに近接する配置で設けられ、かつ、それぞれの撮像方向Dcと投影方向Dpがほぼ同じ方向と姿勢に設定されていることで、路面上における撮像範囲Acと投影範囲Apがほぼ一致している。さらに、それら路面上における撮像範囲Acと投影範囲Apそれぞれの制御設定上のスケールも一致させていることで、上記図4(a)で撮像した画像情報である図4(b)に示すように、制御上における車外カメラ2の撮像座標Xc-Ycと、ロードプロジェクタ1の投影座標Xp-Ypをも一致させている。これにより、別途の座標変換処理を省略して、車外カメラ2の撮像座標Xc-Yc上の位置情報をそのままロードプロジェクタ1の投影座標Xp-Yp上の位置情報として利用できる。
【0021】
そして車外カメラ2が撮像した画像情報を画像解析することにより、図4(b)で図示する例のように、車外カメラ2の撮像座標Xc-Yc中、すなわちロードプロジェクタ1の投影座標Xp-Yp中における落下物R等の異物の有無と、その存在領域の検知を行う。図示する例では、車両200の車体に向かう方向の矢印のマークWを投影内容として表示しており、その矢印マークWのおよそ中央位置に略5角形の平板形状の落下物Rが存在してその存在範囲Arの外形輪郭がP1~P5の5点を結ぶ多角形範囲で検知されている。なお、この際に行う具体的な画像解析の処理としては、例えば畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)などの所謂深層学習を利用した異物検知処理や物体検知処理などの公知の手法を適用すればよい。
【0022】
さらに本実施形態の例では、検知した落下物Rが投影光を反射する反射物であるか否かの判定処理も行い、その判定結果に応じて暗化処理における消灯と減光の使い分けを行う。この判定処理では、画像情報中における落下物Rの存在範囲Ar内において、例えば図5(a)に示す顔面のような人物の肖像や、図5(b)に示す樹木の外観や、図5(c)に示すビル街の風景などが検知された場合に当該落下物Rを反射物と判定する。
【0023】
これらの検知画像は、ロードプロジェクタ1からの投影光と逆向きで、外界から当該反射物Rでの反射を介して車外カメラ2に入射した光で撮像された画像であり、通常では路面上から直接撮像し得ない画像である。したがって、検知画像自体は上下逆さまの向きであって、図示した例の画像以外にも犬や猫などの動物の肖像であったり、夕焼けや星空などの空の風景などの画像であってもよい。このような検知画像が撮像画像中で検知されることで、当該落下物Rはロードプロジェクタ1からの投影光をおよそ上方へ向けて反射する反射物であると判定できる。なお、このような検知画像の判定処理についても、上述した深層学習を利用した判別処理や物体検知処理などの公知の手法を適用すればよい。
【0024】
そして判定処理において落下物Rが反射物であると判定された場合には、図6(a)に示すように当該落下物Rの存在範囲Arに対応する領域に限定して完全に投影光を消灯するようロードプロジェクタ1の投影を制御する。なお図示する本実施形態の例では、車外カメラ2の撮像座標Xc-Ycにおける落下物Rの存在範囲Ar(P1~P5の5点を結ぶ多角形範囲;上記図4(b)参照)よりもマージン分で少し広く設定した存在拡張領域Ae(図中のP1′~P5′の5点を結ぶ多角形範囲)に対応して、ロードプロジェクタ1の投影座標Xp-Yp上の投影光を部分的に消灯する。
【0025】
また、判定処理において落下物Rが反射物でないと判定された場合でも、図6(b)に示すように念のために当該落下物Rの存在範囲Arに対応する領域に限定して投影光の輝度を減光するようロードプロジェクタ1の投影を制御する。このように、落下物Rが反射物であるか否かの判定結果に応じて消灯と減光の使い分けを行うことで、できるだけ投光状態を確保できるよう投影光の反射可能性に応じた制御が可能となる。
【0026】
<制御ユニットの制御手順>
本実施形態の車両用表示装置100における上記の暗化処理を実現するために、制御ユニット4のCPU41が実行する制御手順を図7のフローチャートにより説明する。図7の手順は、例えばいずれかのロードプロジェクタ1で何らかの投影表示を行うようタッチパネル3から指令された際に、特定のロードプロジェクタ1の個体を対象として当該手順の実行が開始される。
【0027】
まずステップS5で、当該手順の実行で制御の対象としているロードプロジェクタ1の個体に対して投影表示が指示されているか否かを判定する。対象のロードプロジェクタ1で投影表示を指示されていない場合、判定は満たされず(S5:No)、ステップS10へ移る。
【0028】
ステップS10では、対象のロードプロジェクタ1の個体に対し、その投影領域Apの全体を完全に消灯するよう制御する。そして、このフローを終了する。
【0029】
一方、上記ステップS5の判定において、対象のロードプロジェクタ1で投影表示が指示されている場合、判定が満たされ(S5:Yes)、ステップS15へ移る。
【0030】
ステップS15では、対象としているロードプロジェクタ1に対応する車外カメラ2で、これから投影表示しようとしている路面上の所定範囲を撮像する。
【0031】
次にステップS20へ移り、撮像した画像情報(撮像結果)に対して画像解析を行う。
【0032】
次にステップS25へ移り、画像解析の結果によって、対象のロードプロジェクタ1がこれから投影表示しようとしている範囲に落下物Rが存在しているか否かを判定する。落下物Rが存在していない場合、判定は満たされず(S25:No)、ステップS30へ移る。なお、このステップS25の手順が各請求項に記載の落下物検知処理に相当する。
【0033】
ステップS30では、対象のロードプロジェクタ1の個体で路面上の対応する所定範囲に予定されていた表示内容の全体をそのまま投影表示する。そして、このフローを終了する。
【0034】
一方、上記ステップS25の判定において、落下物Rが存在している場合、判定が満たされ(S25:Yes)、ステップS35へ移る。
【0035】
ステップS35では、画像解析の結果によって、落下物Rが反射物であるか否かを判定する。具体的には、画像情報中における落下物Rの存在範囲Ar内に例えば上記図5(a)~図5(c)に示すような特定の画像が検知されたか否かを判定する。落下物Rの存在範囲Ar内に特定の画像が検知されていない場合、判定は満たされず(S35:No)、ステップS40へ移る。なお、このステップS35の手順が各請求項に記載の判定処理に相当する。
【0036】
ステップS40では、ロードプロジェクタ1の投影表示に対し、マージン分を含んだ落下物Rの存在拡張領域Aeに限定して部分減光するよう投影制御する(図6(b)参照)。そして、このフローを終了する。
【0037】
一方、上記ステップS35の判定において、落下物Rの存在範囲Ar内に特定の画像が検知されている場合、判定が満たされ(S35:Yes)、ステップS45へ移る。
【0038】
ステップS45では、ロードプロジェクタ1の投影表示に対し、マージン分を含んだ落下物Rの存在拡張領域Aeに限定して部分消灯するよう投影制御する(図6(a)参照)。そして、このフローを終了する。なお、以上のステップS35~ステップS45の手順が各請求項に記載の暗化処理に相当する。
【0039】
そして以上のフローの手順は、何らかの投影表示が指示されている間において、当該車両に搭載されている12個のロードプロジェクタ1のそれぞれに対し制御対象として順次繰り返し実行される。
【0040】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果を、以下に説明する。前述したように、本実施形態の車両用表示装置100は、制御ユニット4のCPU41が、車両200の外部のロードプロジェクタ1による投影範囲Apにおける落下物Rを検知するステップS25の手順と、その落下物Rの検知結果に応じて、ロードプロジェクタ1による投影表示における、少なくとも当該落下物Rに対応する領域Arを消灯又は減光させるステップS35~ステップS45の暗化処理を実行する。
【0041】
これにより、落下物Rが検知されない場合はロードプロジェクタ1による路面上への投影表示を全体的に維持できる。また、落下物Rが検知された場合でもロードプロジェクタ1による路面上への投影表示をできるだけ維持しつつ、落下物Rでの反射による周囲の人間Mへの照射を防止して影響を低減できる。
【0042】
また、本実施形態では特に、車両200の外部を撮像する車外カメラ2をさらに備え、制御ユニット4のCPU41は、ステップS25の手順において車外カメラ2による撮像結果の画像情報を画像解析することにより落下物Rを識別する。これにより、カメラ撮像といった光学的検知とその画像解析により、迅速かつ正確な落下物の検知が可能となる。なお、車外カメラ2以外にも同じ光学的な物体検知手法としてレーザーの反射光の有無を検知する手法や、電磁波の反射有無や反射時間差を検知するレーダーを用いた検知手法なども適用可能である。
【0043】
また、本実施形態では特に、制御ユニット4のCPU41は、さらに、ステップS25の手順で落下物Rが検知された場合に、当該落下物Rが反射物であるか否かを判定するステップS35の手順を実行する。そして、落下物Rが反射物であると判定された場合に、暗化処理において、少なくとも当該反射物Rの存在範囲Arに対応する領域でロードプロジェクタ1の投影表示を部分的に消灯させる。これにより、ロードプロジェクタ1からの投影光が人間Mへ照射される可能性が高いものとみなして、反射物Rにおける投影光の反射を確実に防ぐことができる。
【0044】
また、本実施形態では特に、ロードプロジェクタ1による投影範囲Apは路面であり、制御ユニット4のCPU41は、ステップS35の手順において、画像解析に基づき、撮像画像中に人物、樹木、及び建造物のうち少なくとも1つが含まれていた場合に、当該落下物Rが反射物であると判定する。このように通常では路面上から直接撮像し得ない画像が含まれていると判定されたことで、落下物Rが反射物であることを高い信頼性で判定できる。
【0045】
また、本実施形態では特に、制御ユニット4のCPU41が、暗化処理において、ロードプロジェクタ1の投影表示において、少なくとも落下物Rの外形を含む存在拡張領域Aeを消灯させるよう、ロードプロジェクタ1を制御する。これにより、落下物Rへ照射される分の投影光だけを遮断でき、ロードプロジェクタ1による路面上への投影表示をできるだけ維持しつつ、落下物Rにおける投影光の反射を確実に防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態では特に、制御ユニット4のCPU41は、暗化処理において、投影表示において、少なくとも落下物Rの外形を含む存在拡張領域Aeの輝度を他の領域の輝度よりも低くするよう、ロードプロジェクタ1を制御する。これにより、落下物Rへ照射される分の投影光だけ輝度を低減でき、ロードプロジェクタ1による路面上への投影表示をできるだけ維持しつつ、落下物Rでの反射による周囲の人間Mへの照射による影響を低減できる。
【0047】
なお、ロードプロジェクタ1の投影光が反射物Rで反射される場合でも、その反射光が人間Mや動物以外の他の樹木や建築物に照射される分には特に問題はない。このため、特に図示しないが、制御ユニット4のCPU41が例えば別途のカメラの撮像画像の画像解析などによって車両200の外部の所定範囲における人体の存在を検知する人体検知処理を実行し、人体の存在が検知された場合にだけロードプロジェクタ1の暗化処理を行うようにしてもよい。これにより、反射光が人間Mに照射される可能性が高い場合だけ暗化処理を実行し、それ以外ではロードプロジェクタ1による路面上への投影表示をできるだけ維持できる。なお、人体検知処理における検知手法については、体温相当の温度検知や、レーザー又はレーダーなどの検知情報の動的な変化や、又はそれらの組み合わせによって行ってもよい。
【0048】
また、ロードプロジェクタ1と車外カメラ2の設置個所や設置個数は上記実施形態の構成に限られず、他の多様な箇所、個数で設置してもよい。
【0049】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。例えば、本実施形態では落下物Rが反射物である場合に、暗化処理として存在拡張領域Aeの輝度を他の領域の輝度よりも低くするようロードプロジェクタ1を制御していたが、存在拡張領域Aeを含む投影範囲Ap全体の輝度を消灯又は減光させてもよい。
【0050】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 ロードプロジェクタ(投影部)
2 車外カメラ(撮像部)
3 タッチパネル
4 制御ユニット
41 CPU(制御部)
42 メモリ
43 バス
100 車両用表示装置
200 車両
201 前方側バンパ
202 後方側バンパ
203 サイドミラー
Ac 撮像範囲
Ae 存在拡張領域
Ap 投影範囲
Ar 落下物の存在範囲
Dc 撮像方向
Dp 投影方向
M 人間
R 落下物、反射物
W 矢印マーク(投影表示)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7