(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178539
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】結束バンドの固定構造
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20241218BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H05K7/00 H
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096742
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】東 憲一
【テーマコード(参考)】
4E352
5G363
【Fターム(参考)】
4E352AA01
4E352BB02
4E352CC07
4E352CC40
4E352CC52
4E352DR02
4E352DR15
4E352DR25
4E352DR33
4E352DR40
4E352GG12
5G363AA16
5G363BA01
5G363DA13
5G363DA15
5G363DA16
5G363DC08
(57)【要約】
【課題】結束バンドで電線を固定するためのスペースが狭い電子機器であっても、作業性を落とすことなく、容易に電線を束ねて固定できる結束バンドの固定構造を提供する。
【解決手段】電線3が沿う底壁2a(壁)と、結束バンド4を挿通可能な空間Sを有する断面門形状の凸体7とを備える。凸体7は、底壁2aから突出する第1の凸部8と、第1の凸部8とは電線3の長手方向とは直交する方向に離間した位置に設けられた第2の凸部9と、第1の凸部8の突出端と第2の凸部9の突出端とを接続する接続部10とを有する。接続部10は、電線3の長手方向に延びる緊縛部12を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が沿う壁と、
結束バンドを挿通可能な空間を有する断面門形状に形成され、前記壁に凸設された凸体とを備え、
前記凸体は、
前記壁から突出する第1の凸部と、
前記第1の凸部とは前記電線の長手方向とは直交する方向に離間した位置において前記壁から突出する第2の凸部と、
前記第1の凸部の突出端と前記第2の凸部の突出端とを接続する接続部とを有し、
前記接続部は、前記電線の長手方向に延びる緊縛部を有していることを特徴とする結束バンドの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の結束バンドの固定構造において、
前記第2の凸部は、前記第1の凸部とは前記電線の長手方向にも離間した位置に設けられ、
前記緊縛部は、前記長手方向とは直交する方向において前記第1の凸部と前記第2の凸部の間に位置付けられ、前記第1の凸部と前記第2の凸部とにそれぞれ連結部を介して接続されていることを特徴とする結束バンドの固定構造。
【請求項3】
請求項1に記載の結束バンドの固定構造において、
前記緊縛部の一端は、前記第1の凸部と同一位置に設けられ、
前記緊縛部の他端は、前記第2の凸部に延長部を介して接続されていることを特徴とする結束バンドの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器の筐体にケーブルを結束バンドによって括り付ける際に用いる結束バンドの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の内部に配置される複数の電線を束ねるために結束バンドが使用される場合が多々ある。複数の電線を結束バンドで束ねて固定する従来の結束バンドの固定構造としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているものがある。特許文献1に示す結束バンドの固定構造は、板状の基台に形成された矩形の穴と、この穴の開口縁から穴内に延びる引掛部とを備えている。この結束バンドの固定構造においては、先ず、引掛部に結束バンドを巻き掛けて仮固定状態にしておき、その後、引掛部に載せた電線を載せる。そして、引掛部と電線とを結束バンドで束ね、結束バンドを締め付けることにより、引掛部に電線が固定される。
【0003】
特許文献2に開示されている結束バンドの固定構造は、電子機器の筐体に形成された結束バンド挿通用の穴と、この穴に結束バンドを誘導するガイド溝とを有している。この結束バンドの固定構造によれば、結束バンド挿通用の穴に通した結束バンドをガイド溝に沿わせることによって結束バンドを仮固定状態とし、その後、結束バンドに電線を載せて結束バンドを締め付けることによって、電線を結束バンドによって筐体に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-229283号公報
【特許文献2】特許第4042654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された結束バンドの固定構造では、結束バンドを引掛部に掛ける際に上から挿通するため結束バンドの先端部が基台の穴から外側に抜けてしまうことがあり、作業性が悪かった。特許文献2に開示された結束バンドの固定構造においては、結束バンドをガイド溝で保持することが可能であるが、ガイド溝を形成するスペースが必要で、結束バンドの固定構造を小型化することが難しいという問題があった。このような結束バンドの固定構造は、ガイド溝を形成するスペースを確保できない場合は採用することができない。
【0006】
本発明の目的は、結束バンドで電線を固定するためのスペースが狭い電子機器であっても、作業性を落とすことなく、容易に電線を束ねて固定できる結束バンドの固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明に係る結束バンドの固定構造は、電線が沿う壁と、結束バンドを挿通可能な空間を有する断面門形状に形成され、前記壁に凸設された凸体とを備え、前記凸体は、前記壁から突出する第1の凸部と、前記第1の凸部とは前記電線の長手方向とは直交する方向に離間した位置において前記壁から突出する第2の凸部と、前記第1の凸部の突出端と前記第2の凸部の突出端とを接続する接続部とを有し、前記接続部は、前記電線の長手方向に延びる緊縛部を有しているものである。
【0008】
本発明は、前記結束バンドの固定構造において、前記第2の凸部は、前記第1の凸部とは前記電線の長手方向にも離間した位置に設けられ、前記緊縛部は、前記長手方向とは直交する方向において前記第1の凸部と前記第2の凸部の間に位置付けられ、前記第1の凸部と前記第2の凸部とにそれぞれ連結部を介して接続されていてもよい。
【0009】
本発明は、前記結束バンドの固定構造において、前記緊縛部の一端は、前記第1の凸部と同一位置に設けられ、前記緊縛部の他端は、前記第2の凸部に延長部を介して接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、結束バンドを電線の長手方向に延ばして壁に沿う方向から凸体の内側の空間に通し、その後、結束バンドを凸体に対して回して結束バンドの位置を変えることにより、結束バンドで電線を緊縛部に束ねて固定できるようになる。したがって、本発明によれば、スペースがとれない電子機器でも作業性を落とすことなく、容易に電線を束ねて固定できる結束バンドの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明に係る結束バンドの固定構造を示す斜視断面図である。
【
図5】
図5は、結束バンドを凸体に通す手順を説明するための底壁と凸体の平面図である。
【
図6】
図6は、結束バンドを凸体に通す手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る結束バンドの固定構造の一実施の形態を
図1~
図6を参照して詳細に説明する。
図1に示す結束バンドの固定構造1は、電子機器の筐体2に電線3を結束バンド4で固定する構造である。
図1には、筐体2の一部分のみが描かれている。筐体2は、プラスチック材料によって形成されており、電線3が沿う底壁2aと、底壁2aに立設された第1の縦壁5および第2の縦壁6とを有している。第1の縦壁5と第2の縦壁6は、互いに平行になる状態で一方向に延びている。第1の縦壁5と第2の縦壁6との間隔は、作業者(図示せず)が人差し指と親指とを挿入できる程度の間隔である。
【0013】
電線3は、第1および第2の縦壁5,6が延びる方向を長手方向として底壁2aの上に配線され、結束バンド4によって底壁2aの後述する凸体7に固定されている。
凸体7は、
図3および
図4に示すように、結束バンド4を挿通可能な空間Sを有する断面門形状に形成され、底壁2aに凸設されている。この実施の形態による凸体7は、底壁2aに一体成型によって一体に形成されており、底壁2aから突出する第1、第2の凸部8,9と、これらの第1および第2の凸部8,9の突出端どうしを接続する接続部10とによって構成されている。底壁2aには、空間Sを成型するための金型(図示せず)が通された穴11が形成されている。
【0014】
第2の凸部9は、第1の凸部8とは電線3の長手方向(
図2においては上下方向)とは直交する方向に離間した位置に配置されている。この実施の形態による第2の凸部9は、第1の凸部8とは電線3の長手方向にも離間した位置に配置されている。
接続部10は、電線3の長手方向に直線状に延びる緊縛部12を有している。この緊縛部12は、電線3の長手方向とは直交する方向において、第1の凸部8と第2の凸部9との間に位置付けられている。緊縛部12の一端は、第1の凸部8に第1の連結部13を介して接続され、他端は、第2の凸部9に第2の連結部14を介して接続されている。第1の連結部13と第2の連結部14は、それぞれ電線3の長手方向とは直交する方向に延びている。
【0015】
このように構成された結束バンド4の固定構造1によって電線3を緊縛部12に固定するためには、先ず、
図5(A)に示すように、結束バンド4を電線3の長手方向に延びる姿勢として底壁2aに沿わせながら電線3の長手方向に平行移動させ、結束バンド4の先端を第1の凸部8と第2の凸部9との間に挿入する。そして、
図5(B)に示すように、結束バンド4が凸体7の内側の空間Sに通されて結束バンド4の両端側が凸体7の外に出る状態とする。
【0016】
次に、結束バンド4の一端部と他端部とをそれぞれ把持して底壁2aから持ち上げ、
図6(A),(B)中に二点鎖線Aで示す初期の位置から実線で示すように結束バンド4を凸体7に対して回す。このとき、
図6(A)中に二点鎖線Bで示すように結束バンド4が緊縛部12と交差するようになるまで結束バンド4の位置を変える。その後、凸体7の上の電線3を載せ、凸体7と電線3とを束ねるように結束バンド4を締結させることによって、電線3が凸体7(底壁2a)に固定される。このため、第1の縦壁5と第2の縦壁6とによって挟まれた狭いスペースの中で結束バンド4によって電線3を底壁2aに固定することができる。また、結束バンド4を電線3の長手方向に移動させ、回すため結束バンド4の先端部が穴11から底壁2aの外側に抜けてしまうことを防止できる。
したがって、この実施の形態によれば、スペースがとれない電子機器でも作業性を落とすことなく、容易に電線を束ねて固定できる結束バンドの固定構造を提供することができる。
【0017】
(凸体の変形例)
凸体は
図7~
図9に示す形状に形成することができる。
図7~
図9において、
図1~
図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0018】
図7および
図8に示す凸体21,22の第1の凸部8と第2の凸部9は、電線3の長手方向とは直交する方向(
図7および
図8においては左右方向)において同一位置に形成されている。
図7に示す凸体21の接続部10は、平面視においてZ字状に形成されている。
図7に示す凸体21においては、第1の凸部8と第2の凸部9との間に緊縛部12が位置付けられている。緊縛部12の一端と第1の凸部8とが第1の連結部13によって接続され、緊縛部12の他端と第2の凸部9とが第2の連結部14によって接続されている。
【0019】
図8に示す凸体22の接続部10は、平面視においてU字状に形成されている。
図8に示す凸体22においては、第1の凸部8から電線3の長手方向に延びる第1の緊縛部23と、第2の凸部9から第1の緊縛部23と同一方向に延びる第2の緊縛部24と、第1の緊縛部23の先端と第2の緊縛部24の先端とを接続するU字状の連結部25とによって形成されている。この凸体22においては、第1の緊縛部23と第2の緊縛部24の何れか一方に結束バンド4を掛けて電線3を括り付けることができる。
【0020】
図9に示す凸体26の第1の凸部8と第2の凸部9とは、電線3の長手方向と、電線3の長手方向とは直交する方向との両方に離間している。この凸体7の接続部10は平面視においてL字状に形成されている。この凸体7の緊縛部12の一端は、第1の凸部8と同一位置に設けられている。緊縛部12の他端は、第2の凸部9に延長部27を介して接続されている。
図7~
図9に示す凸体21,22,26においても、結束バンド4を電線3の長手方向に通した後に結束バンド4を緊縛部12,23,24と交差するように回すことができるから、スペースがとれない電子機器でも作業性を落とすことなく、容易に電線を束ねて固定できるようになる。
【符号の説明】
【0021】
1…固定構造、2a…底壁(壁)、3…電線、4…結束バンド、7,21,22,26…凸体、8…第1の凸部、9…第2の凸部、10…接続部、12…緊縛部、13…第1の連結部、14…第2の連結部、27…延長部、S…空間。