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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178543
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A47B 55/00 20060101AFI20241218BHJP
   A47B 96/20 20060101ALI20241218BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B96/20 C
B32B15/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096750
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】平松 伸也
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】小栗 りえ
(72)【発明者】
【氏名】三輪 奈美
【テーマコード(参考)】
3B067
4F100
【Fターム(参考)】
3B067AA00
3B067AA05
3B067EA00
3B067EA02
4F100AB01A
4F100AB04A
4F100AJ11C
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK17C
4F100AK41B
4F100AK41C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA19C
4F100EC18B
4F100EC18C
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100GB07
4F100GB23
4F100GB48
4F100GB81
4F100JB06C
4F100JJ04
4F100JL06C
(57)【要約】
【課題】表面に汚れが付着し難く、仮に汚れが付着したとしても、その汚れを消し易い貯蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵庫10は、金属製の基材20と、基材20の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層21と、第1層21の表面21A側に配された第2層22であって、その表面22Aが庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層22と、を備え、第2層22は、第2樹脂成分と、第2樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫であって、
金属製の基材と、
基材の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層と、
前記第1層の表面側に配された第2層であって、その表面が庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層と、を備え、
前記第2層は、
第2樹脂成分と、
前記第2樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、を含む、貯蔵庫。
【請求項2】
貯蔵庫であって、
金属製の基材と、
基材の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層と、
前記第1層の表面側に配された第2層であって、その表面が庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層と、を備え、
前記第2層は、
第2樹脂成分と、
前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分と、を含む、貯蔵庫。
【請求項3】
前記第2層は、前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含む、請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記第1層は、前記第1樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分を含む、請求項1または請求項3に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記第1層は、前記第1樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含む、請求項2または請求項3に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記第2層は、前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含み、
前記第1層は、前記第1樹脂成分よりも撥油性及び撥水性の高い撥油撥水成分を含む、請求項1に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的に、特許文献1に記載の貯蔵庫(冷却貯蔵庫)は、前面が開口する断熱箱体と、断熱箱体の前面開口を開閉する扉と、断熱箱体上に画成された機械室の前面を開閉自在に閉じるフロントパネル(グリル)と、を備えている。このフロントパネルは、金属製の板状部材にて構成された本体を備える。また、扉の材料としては、金属製の材料が採用されることがある。一方、特許文献2には、樹脂塗装(ポリエステル塗装)がなされた金属板(ステンレス板)を備える化粧板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-238216号公報
【特許文献2】特開2004-243647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の貯蔵庫における金属製のフロントパネルや扉の表面に対し、例えば特許文献2に開示の樹脂塗装がなされた構成では、塗装された樹脂層の表面に、油性又は水性ペンで文字、図形、記号等(文字等)を記載すると、樹脂層に文字等が浸透し、消し難くなる可能性がある。また、有色の調味料(食材や飲料に加えられたものを含む)が樹脂層の表面に接触し、この表面が着色する可能性がある。従って、このような汚れが表面に付着し難く、仮に汚れが付着したとしても、その汚れを消し易い貯蔵庫を提供することが望まれる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、表面に汚れが付着し難く、仮に汚れが付着したとしても、その汚れを消し易い貯蔵庫を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の貯蔵庫は、金属製の基材と、基材の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層と、前記第1層の表面側に配された第2層であって、その表面が庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層と、を備え、前記第2層は、第2樹脂成分と、前記第2樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、を含む。
【0007】
また、本開示の貯蔵庫は、金属製の基材と、基材の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層と、前記第1層の表面側に配された第2層であって、その表面が庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層と、を備え、前記第2層は、第2樹脂成分と、前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、表面に汚れが付着し難く、仮に汚れが付着したとしても、その汚れを消し易い貯蔵庫を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る貯蔵庫を示す正面図
図2】フロントパネルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
(1)本開示の貯蔵庫は、金属製の基材と、基材の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層と、前記第1層の表面側に配された第2層であって、その表面が庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層と、を備え、前記第2層は、第2樹脂成分と、前記第2樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、を含む。
【0011】
(2)また、本開示の貯蔵庫は、金属製の基材と、基材の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層と、前記第1層の表面側に配された第2層であって、その表面が庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層と、を備え、前記第2層は、第2樹脂成分と、前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分と、を含む。
【0012】
(3)(1)に記載の貯蔵庫において、前記第2層は、前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含んでいてもよい。
【0013】
(4)(1)または(3)に記載の貯蔵庫において、前記第1層は、前記第1樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分を含んでいてもよい。
【0014】
(5)(2)または(3)に記載の貯蔵庫において、前記第1層は、前記第1樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含んでいてもよい。
【0015】
(6)(1)に記載の貯蔵庫において、前記第2層は、前記第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含み、前記第1層は、前記第1樹脂成分よりも撥油性及び撥水性の高い撥油撥水成分を含んでいてもよい。
【0016】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を図1等によって説明する。本実施形態では、貯蔵庫として、4ドア型の縦型冷却貯蔵庫10を例示する。尚、図1において紙面手前側を冷却貯蔵庫10の正面側(庫外側)とする。また、図2において上側をフロントパネル18の正面側(庫外側)とする。
【0017】
図1に示すように、冷却貯蔵庫10は、全体として上下方向を長辺とする直方体状をなしている。冷却貯蔵庫10は、前方に開口した断熱箱体である本体部11と、本体部11の開口を開閉する複数の扉16と、本体部11の上方に配された機械室12と、を備える。冷却貯蔵庫10において、本体部11と扉16とにより囲まれる内部空間(貯蔵室)や機械室12の内側の空間を、庫内側とし、その外側の空間を、庫外側とする。冷却貯蔵庫10は、貯蔵室に飲食物を貯蔵して冷却することが可能とされる。
【0018】
本体部11は、貯蔵室の底を構成する下壁部13と、下壁部13の側方両端部(左右側の方向における両端部)から上方に立ち上がった2つの側壁部14と、下壁部13の後端部(背面側の方向における端部)から上方に立ち上がった後壁部(不図示)と、側壁部14や後壁部の上端部に接続し、貯蔵室の天井を構成する上壁部15と、を備える。扉16は、各壁部13,14,15の前端部によって構成される開口部に対し回動可能に取り付けられている。
【0019】
各壁部13,14,15、及び扉16は、その表面が庫内側を向く板状の内壁部と、内壁部の庫外側に配され、その表面が庫外側を向く板状の外壁部と、を備えた二重構造をなす板状体である。この内壁部と外壁部の間には、断熱材(例えば発泡したウレタンフォームやメラミンフォーム)が充填されている。扉16は、扉本体部16Aと、扉本体部16Aの下側に配された扉下端部16Bと、を備える。
【0020】
機械室12は、側方両側に配された2つのサイドパネル17と、2つのサイドパネル17の正面側に配されたフロントパネル18と、2つのサイドパネル17の背面側に配されたバックパネル(不図示)と、を備える。各パネル17,18は、板状体とされる。各パネル17,18によって囲まれた内部空間(機械室12の内部空間)には、貯蔵室を冷却する冷却装置の一部(圧縮機、凝縮器、及び凝縮器ファン等)が配されている。フロントパネル18は、機械室12の内部空間を正面側から開閉できるように、回動可能とされる。フロントパネル18は、フロントパネル本体部18Aと、フロントパネル本体部18Aの下側に配されたフロントパネル下端部18Bと、フロントパネル本体部18Aの左右方向における両側に配された2つのフロントパネル側端部18Cと、を備える。
【0021】
以下、図2を用いてフロントパネル18の断面構成を説明する。尚、扉16の内壁部や外壁部も同様の構成とする。フロントパネル18は、基材20と、基材20の表面20A側に配された第1層21と、第1層21の表面21A側に配された第2層22であって、その表面22Aが庫外側(正面側)に露出した面(庫外側を向く面)とされる第2層22と、基材20の裏面20B側に配された裏面層23であって、その裏面23Aが庫内側(背面側)に露出した面とされる裏面層23と、を備える。第1層21及び第2層22は、基材20の表面20A側に配された表面層と呼んでもよい。基材20の表面20Aは、第1層21の裏面21Bと接している。第1層21の表面21Aは、第2層22の裏面22Bと接している。基材20の裏面20Bは、裏面層23の表面23Bと接している。
【0022】
基材20の厚みは、特に限定されないが、例えば数百μmでもよく、数mmでもよい。第1層21や裏面層23の厚みは、特に限定されないが、例えばそれぞれ数μmでもよい。第2層22の厚みは、特に限定されないが、例えば数μmでもよく、数十μmでもよい。基材20は、第1層21、第2層22、又は裏面層23よりも厚みが厚い(フロントパネル18において厚みが最も厚い)構成としてもよい。第2層22は、第1層21又は裏面層23よりも厚みが厚い構成としてもよい。裏面層23は、第1層21よりも厚みが薄い(フロントパネル18において厚みが最も薄い)構成としてもよい。
【0023】
基材20は、金属製の板材とされる。基材20の材料は、金属であれば特に限定されないが、アルミニウム、銅、鉄等の群(純金属)、又はステンレス、銅合金、アルミニウム合金等の群(合金)のうち、1種又は2種以上を採用することができる。ステンレスとしては、SUS430等のフェライト系、SUS304等のオーステナイト系、又はSUS410等のマルテンサイト系のうちいずれかを採用することができる。例えば、基材20の材料としては、SUS430を採用してもよく、SUS304を採用してもよい。
【0024】
第1層21は、主成分である第1樹脂成分と、第1樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、第1樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分と、を含む。第2層22は、主成分である第2樹脂成分と、第2樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分と、を含む。尚、第1層21(又は第2層22)が、撥油成分と撥水成分の両者を含む場合や、撥油性及び撥水性を兼ねた成分を含む場合を、撥油撥水成分を含む、と記載することがある。
【0025】
撥油成分は、第1層21や第2層22の撥油性を高める成分である。「撥油性」とは、ある材料の表面に油を落とし、その材料の表面に対するぬれやすさを数値化した値(その材料の表面に対する油の接触角)とすることができる。例えば、第2層22について、第2樹脂成分のみを含む場合と、第2樹脂成分及び撥油成分を含む場合とでは、後者の方が、第2層22の表面に対する油の接触角が大きい。
【0026】
撥水成分は、第1層21や第2層22の撥水性を高める成分である。「撥水性」とは、ある材料の表面に水を落とし、その材料の表面に対するぬれやすさを数値化した値(その材料の表面に対する水の接触角)とすることができる。例えば、第2層22について、第2樹脂成分のみを含む場合と、第2樹脂成分及び撥水成分を含む場合とでは、後者の方が、第2層22の表面に対する水の接触角が大きい。
【0027】
第1樹脂成分の材料及び第2樹脂成分の材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びアクリル系樹脂等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。第1樹脂成分と第2樹脂成分は、同一成分でもよく、異なる成分でもよい。第1樹脂成分及び第2樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂を採用してもよい。
【0028】
第1層21に含まれる撥油成分(第1撥油成分)、及び第2層22に含まれる撥油成分(第2撥油成分)としては、特に限定されず、例えば、フッ素系化合物、シリコン系化合物、天然ワックス、合成ワックス等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。第1撥油成分と第2撥油成分は、同一成分でもよく、異なる成分でもよい。また、第1層21の全体に対する第1撥油成分の割合(例えば質量の割合)と、第2層22の全体に対する第2撥油成分の割合(例えば質量の割合)は、同一でもよく、異なっていてもよい。この第2撥油成分の割合は、第1撥油成分の割合よりも高くてもよい。尚、各層21,22における撥油性を高めるために、各層21,22に含まれる樹脂成分の架橋密度を高めることとしてもよい。第2層22の撥油性を第1層21よりも高めたい場合は、第2樹脂成分の架橋密度が第1樹脂成分の架橋密度よりも高い構成としてもよい。
【0029】
第1層21に含まれる撥水成分(第1撥水成分)、及び第2層22に含まれる撥水成分(第2撥水成分)としては、特に限定されず、例えば、フッ素系化合物、シリコン系化合物、天然ワックス、合成ワックス等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。第1撥水成分と第2撥水成分は、同一成分でもよく、異なる成分でもよい。また、第1層21の全体に対する第1撥水成分の割合(例えば質量の割合)と、第2層22の全体に対する第2撥水成分の割合(例えば質量の割合)は、同一でもよく、異なっていてもよい。この第2撥水成分の割合は、第1撥水成分の割合よりも高くてもよい。さらに、撥水成分は、撥油成分と同一成分でもよく(撥油性を有していてもよく)、異なる成分でもよい。尚、各層21,22における撥水性を高めるために、各層21,22に含まれる樹脂成分の架橋密度を高めることとしてもよい。第2層22の撥水性を第1層21よりも高めたい場合は、第2樹脂成分の架橋密度が第1樹脂成分の架橋密度よりも高い構成としてもよい。
【0030】
第2撥油成分は、第1撥油成分よりも撥油性が高くてもよい。第2撥水成分は、第1撥水成分よりも撥水性が高くてもよい。第2樹脂成分は、第1樹脂成分よりも撥油性もしくは撥水性(又は撥油性及び撥水性)が高くてもよい。第1層21及び第2層22は、上記各成分の他に、添加剤を含んでいてもよい。
【0031】
上記フッ素系化合物としては、パーフルオロアルキル基含有フッ素化合物、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロオレフィンとビニルエーテル等の不飽和モノマーとの共重合体、フッ素含有アクリル樹脂、フッ素含有ポリエステル樹脂等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。
【0032】
上記シリコン系化合物としては、例えば、フッ素含有シリコン樹脂、アクリル結合を有するシリコン樹脂、エポキシを有するシリコン樹脂、ウレタン結合を有するシリコン樹脂等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。フッ素含有シリコン樹脂としては、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物が挙げられる。パーフルオロアルキル基含有シラン化合物としては、例えば、パーフルオロイソブチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
上記天然ワックスとしては、キャンデリラワックス等の植物系ワックス、みつろう等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。 また、上記合成ワックスとしては、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類、モンタンワックス誘導体、塩素化パラフィン等のパラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。
【0034】
裏面層23の材料は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びアクリル系樹脂等からなる群のうち、1種又は2種以上を採用することができる。この中でも、エポキシ系樹脂を採用することができる。裏面層23の材料は、第1樹脂成分の材料や第2樹脂成分の材料と同一でもよく、異なっていてもよい。
【0035】
基材20に第1層21、第2層22、及び裏面層23を付する方法は、特に限定されないが、例えば、スプレー塗装、ローラ塗装、電着塗装、又はディッピング塗装等の塗装方法を採用することができる。また、各層をフィルム状にしたものを基材20に貼り付ける方法であってもよい。第2層22は、基材20に第1層21を付した後に、第1層21の表面21Aに対し付されることとしてもよい。
【0036】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の貯蔵庫10は、金属製の基材20と、基材20の表面側に配され、第1樹脂成分を含む第1層21と、第1層21の表面21A側に配された第2層22であって、その表面22Aが庫外側又は庫内側に露出した面とされる第2層22と、を備え、第2層22は、第2樹脂成分と、第2樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分と、を含む。
【0037】
このような貯蔵庫10によると、その表面22Aが庫外側又は庫内側に露出した面とされる、第2層22について、撥油成分を含んでいるので、第2層22の表面に油性ペンで記載した文字等が、第2層22の内部に浸透することや、有色の調味料が第2層22の表面22Aに接触し、表面22Aが着色することを、抑制できる。このように、文字等や調味料の着色を含む種々の汚れが付着し難くなったり、仮に汚れが付着したとしても、その汚れが消し易く(拭き取り易く)なったりするので、清掃が容易な貯蔵庫10となる。また、第2層22に油分が浸透し難くなるため、潤滑性を付与し易くなり、耐摩耗性を向上できる貯蔵庫10となる。これにより、貯蔵庫10を輸送するときやユーザーが取り扱う際に、貯蔵庫10の表面が傷付くことを抑制し、外観を保つことが可能となる。また、ラベルや保護シート等の粘着部材を第2層22の表面22Aに付したとしても、この粘着部材を剥がし易くなる。例えば断熱材として貯蔵庫10に充填される発泡剤が漏れて第2層22の表面22Aに付着した場合でも、この漏れた発泡剤を剥がし易くなるので、剥離できずに廃棄される貯蔵庫10を低減することができる。また、金属製基材20の表面20Aを保護する樹脂製の層を、第1層21及び第2層22の、少なくとも2層構造とし、第2層22において撥油性を高めることとすれば、第1層21に安価な材料を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0038】
第2層22は、第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含む。
【0039】
このような貯蔵庫10によると、第2層22の表面22Aにおいて、撥油性及び撥水性に係る機能をいずれも発揮可能な構成とすることができる。
【0040】
第1層21は、第1樹脂成分よりも撥油性の高い撥油成分を含む。
【0041】
このような貯蔵庫10によると、撥油性に係る機能をより向上できる構成とすることができる。
【0042】
第1層21は、第1樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含む。
【0043】
このような貯蔵庫10によると、撥水性に係る機能をより向上できる構成とすることができる。
【0044】
第2層22は、第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分を含み、第1層21は、第1樹脂成分よりも撥油性及び撥水性の高い撥油撥水成分を含む。
【0045】
このような貯蔵庫10によると、第1層21及び第2層22において、撥油性及び撥水性に係る機能をいずれも好適に発揮可能な構成とすることができる。
【0046】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を説明する。本実施形態の貯蔵庫は、上記実施形態1の貯蔵庫10のフロントパネル18において、第1層21が、第1樹脂成分を含んでおり、第2層22が、第2樹脂成分と、第2樹脂成分よりも撥水性の高い撥水成分と、を含んでいる構成とされる。一方、第1層21は、上記撥油成分、撥水成分を含んでいない。また、第2層22は、上記撥油成分を含んでいない。
【0047】
基材の表面側に配された樹脂製の層に対し紫外線が当たり、その部分に水分が付着すると、当該部分に皺が入って白化して見えることで、貯蔵庫の意匠性が低下する虞がある。しかしながら、上記のような貯蔵庫10によると、その表面22Aが庫外側又は庫内側に露出した面とされる、第2層22について、撥水成分を含んでいるので、仮に第2層22の表面22Aに水分が付着したとしても、撥水されて上記事態を防ぐことができる。また、第2層22の表面22Aに水性ペンで記載した文字等が、第2層22の内部に浸透することや、有色の調味料が第2層22の表面22Aに接触し、表面22Aが着色することを、抑制できる。このように、文字等や調味料の着色を含む種々の汚れが付着し難くなったり、仮に汚れが付着したとしても、その汚れが消し易くなったりするので、清掃が容易な貯蔵庫10となる。また、第2層22に水分が浸透し難くなるため、潤滑性を付与し易くなり、耐摩耗性を向上できる貯蔵庫10となる。これにより、貯蔵庫10を輸送するときやユーザーが取り扱う際に、貯蔵庫10の表面が傷付くことを抑制し、外観を保つことが可能となる。また、ラベルや保護シート等の粘着部材を第2層22の表面22Aに付したとしても、この粘着部材を剥がし易くなる。例えば断熱材として貯蔵庫10に充填される発泡剤が漏れて第2層22の表面22Aに付着した場合でも、この漏れた発泡剤を剥がし易くなるので、剥離できずに廃棄される貯蔵庫10を低減することができる。また、金属製基材20の表面20Aを保護する樹脂製の層を、第1層21及び第2層22の、少なくとも2層構造とし、第2層22において撥水性を高めることとすれば、第1層21に安価な材料を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3を説明する。本実施形態の貯蔵庫は、扉やフロントパネル等の板状体において、第1部と、当該板状体の端部を構成する第2部と、を備え、第2部における基材の表面側に配された第2層(又は第1層)に含まれる撥油成分(又は撥水性分)は、第1部における基材の表面側に配された第2層(又は第1層)に含まれる撥油成分(又は撥水性分)に対し、撥油性(又は撥水性)が高い構成とされる。
【0049】
上記第1部としては、上記実施形態1の図1に示すように、フロントパネル本体部18A、又は扉本体部16Aが相当する。上記第2部としては、フロントパネル下端部18B、フロントパネル側端部18C、又は扉下端部16Bが相当する。例えば、フロントパネル下端部18Bやフロントパネル側端部18Cにおける基材の表面側に配された第2層に含まれる撥油成分(端部側撥油成分)は、フロントパネル本体部18Aにおける基材の表面側に配された第2層に含まれる撥油成分(本体部側撥油成分)に対して、撥油性が高い。また、扉下端部16Bにおける基材の表面側に配された第2層に含まれる撥水成分(端部側撥水成分)は、扉本体部16Aにおける基材の表面側に配された第2層に含まれる撥水成分(本体部側撥水成分)に対して、撥水性が高い。
【0050】
このような構成とすれば、例えば使用者が触れ易く汚れ易い部分(例えばフロントパネル下端部18Bやフロントパネル側端部18C)の撥油性を局所的(部分的)に高めて、撥油性に係る機能を効果的に発揮させると共に、それ以外の部分では撥油性を相対的に低下させてコストダウンを図ることが可能となる。また、例えば付着した水が滴って溜まり易い部分(例えば扉下端部16B)の撥水性を局所的(部分的)に高めて、撥水性に係る機能を効果的に発揮させると共に、それ以外の部分では、撥水性を相対的に低下させてコストダウンを図ることが可能となる。
【0051】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
(1)上記実施形態以外にも、第2層と第1層に含有される成分は適宜変更可能である。例えば、第2層が、撥油成分のみを含み、第1層が、撥油成分もしくは撥水成分又は撥油成分及び撥水成分を含んでいてもよい。また、第2層が、撥水成分のみを含み、第1層が、撥油成分もしくは撥水成分又は撥油成分及び撥水成分を含んでいてもよい。
【0053】
(2)第2層は、第2樹脂成分としての樹脂に、撥油成分や撥水成分としての特定の構造(例えばフッ素原子やフッ素含有アルキル基等)が結合した材料であってもよい。
【0054】
(3)上記実施形態以外にも、基材に付される層の数は適宜変更可能である。例えば、基材と第1層との間や、第1層と第2層との間に、第3層やそれ以上の数の層が配されていてもよい。また、基材の裏面に裏面層が配されていなくてもよく、裏面層が2層以上配されていてもよい。
【0055】
(4)基材、第1層、及び第2層の構成が適用される部分は、フロントパネル及び扉の内壁部や外壁部に限定されない。このような構成が適用される部分は、例えば、機械室を構成するサイドパネル、バックパネル、又は、貯蔵庫の本体部を構成する下壁部、側壁部、後壁部、上壁部等でもよい。尚、本技術が扉や各壁部の内壁部に適用される場合、庫内側が基材及び各層の表面側とされる。本技術が扉や各壁部の外壁部に適用される場合、庫外側が基材及び各層の表面側とされる。
【0056】
(5)貯蔵庫の全体構成は適宜変更可能である。貯蔵庫は、2ドア式や6ドア式でもよく、横型でもよい。また、冷凍貯蔵庫であってもよく、冷蔵及び冷凍の機能を有する貯蔵庫であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…冷却貯蔵庫、20…基材、21…第1層、22…第2層
図1
図2