(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178558
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】給電ケーブル収納装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241218BHJP
E05B 65/52 20060101ALI20241218BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20241218BHJP
B60L 53/18 20190101ALN20241218BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
E05B65/52 Z
H02G3/04 018
B60L53/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096775
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 裕規
【テーマコード(参考)】
5G357
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G357DA10
5G357DB01
5G357DC20
5G357DD02
5G357DE01
5G357DE02
5G357DE08
5G357DE10
5G357DF02
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5H125AA01
5H125AC12
5H125FF13
(57)【要約】
【課題】給電ケーブルを収納するケーブルケースが持ち運びできる場合に、ケーブルケースに設けた開閉蓋の施錠をし忘れた場合であっても防犯性を高めることができる給電ケーブル収納装置を実現する。
【解決手段】給電ケーブル収納装置は、固定対象物12に固定される固定部材14と、前記固定部材14に着脱可能なケーブルケース16と、ホールカバー34と、を備え、前記ケーブルケース16は、給電ケーブルを収納する収納部18と、前記収納部18の前面側の開口を開閉する開閉蓋20と、を有し、前記開閉蓋20は、前記開閉蓋20の施錠および解錠を可能にする第1施錠装置22を有し、前記収納部18は、前記固定部材14との施錠および解錠を可能にする第2施錠装置24と、前記収納部18の背面側に設けられるコンセント用ホール26と、を有し、前記ホールカバー34は、コンセント36を貫通させた前記コンセント用ホール26を塞ぐ、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象物に固定される固定部材と、
前記固定部材に着脱可能なケーブルケースと、
ホールカバーと、
を備え、
前記ケーブルケースは、
給電ケーブルを収納する収納部と、
前記収納部の前面側の開口を開閉する開閉蓋と、
を有し、
前記開閉蓋は、前記開閉蓋の施錠および解錠を可能にする第1施錠装置を有し、
前記収納部は、
前記固定部材との施錠および解錠を可能にする第2施錠装置と、
前記収納部の背面側に設けられるコンセント用ホールと、
を有し、
前記ホールカバーは、コンセントを貫通させた前記コンセント用ホールを塞ぐ、
ことを特徴とする給電ケーブル収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の給電ケーブル収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載されているバッテリに給電する際に用いる給電装置に関して、様々な技術が提案されている。特に、給電ケーブルを含むケーブルユニットが収納される給電装置の収納部の構造については、見栄え、利便性、盗難防止、などを考慮した工夫が必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、充電スタンド側に充電ケーブルおよび充電プラグが付設されている自動車充電設備における充電プラグの保持構造が開示されている。当該充電設備の充電スタンド本体には、開閉自在な前扉が設けられており、当該前扉には施錠装置が取り付けられている。その結果、関係者以外は前扉を開放できないため、ケーブルユニットの盗難や外部からの不正アクセスに対応し得るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給電ケーブル収納装置においては、利用者が多くの場所でバッテリに給電できるように、給電ケーブルが収納されるケーブルケースが給電設備から着脱可能な構造が提案されている。その一方、ケーブルケースが持ち運び可能になることで、盗難防止の対策も必要となる。また、見栄えの面だけではなく、防犯の面からも給電ケーブルが外部に露出していない構造が好ましい。そこで、ケーブルケースに扉を設け、さらに、施錠装置を取り付けることで、防犯性を高めた給電ケーブル収納装置がある。
【0006】
しかし、ケーブルケースが給電設備から着脱可能な場合において、ケーブルケースの扉の施錠を忘れた場合には、盗難防止性が損なわれる。すなわち、従来の給電ケーブル収納装置の構造では、盗難防止の対策としては不十分な場合がある。
【0007】
そこで、本明細書では、給電ケーブルを収納するケーブルケースが持ち運びできる場合に、ケーブルケースに設けた扉の施錠をし忘れた場合であっても、防犯性を高めることができる給電ケーブル収納装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する給電ケーブル収納装置は、固定対象物に固定される固定部材と、前記固定部材に着脱可能なケーブルケースと、ホールカバーと、を備え、前記ケーブルケースは、給電ケーブルを収納する収納部と、前記収納部の前面側の開口を開閉する開閉蓋と、を有し、前記開閉蓋は、前記開閉蓋の施錠および解錠を可能にする第1施錠装置を有し、前記収納部は、前記固定部材との施錠および解錠を可能にする第2施錠装置と、前記収納部の背面側に設けられるコンセント用ホールと、を有し、前記ホールカバーは、コンセントを貫通させた前記コンセント用ホールを塞ぐ、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示の給電ケーブル収納装置によれば、固定部材に対してケーブルケースを着脱可能とすることで利用者の利便性を向上できる。また、第2施錠装置を設け、かつ、コンセントを貫通させたコンセント用ホールを塞ぐ構造とすることで、利用者が開閉蓋の施錠をし忘れた場合であっても、防犯性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】固定部材および固定部材に着脱可能なケーブルケースを模式的に示す斜視図である。
【
図2】固定部材にケーブルケースを取り付けるときの構造を示す図である。
【
図3】コンセント用ホールの構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して車両用の給電ケーブル収納装置について説明する。なお、各図において、「Fr」および「Up」は、それぞれ、給電ケーブル収納装置の収納部の前面および上方を示している。
【0012】
図1は、固定部材および固定部材に着脱可能なケーブルケースを模式的に示す斜視図である。
図1に示す車両用の給電ケーブル収納装置10は、BEVやPHEVに搭載されているバッテリに給電する際に用いる給電装置を構成し、外部電源へ接続する電源ケーブル(図示なし)と車両へ接続する給電ケーブル(図示なし)とを収納する。なお、以下、給電ケーブル収納装置10に収納されるケーブルは、「給電ケーブル」と称する。給電ケーブル収納装置10は、固定対象物12に固定される壁付けブラケットである固定部材14と、固定部材14に着脱可能なケーブルケース16と、を備える。固定対象物12とは、例えば、給電装置の壁部であり、家などの外壁や給電ステーションの外壁である。以下、
図1を参照して、ケーブルケース16および固定部材14についてさらに詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、ケーブルケース16は、給電ケーブルを収納する本体部分である収納部18と、収納部18の前面側の開口を開閉する開閉蓋20とを有する。本例においては、ケーブルケース16は、正面視において長方形と半円を組み合わせた形状であり、上部に取っ手が設けられた扁平なバッグ形状であるが、形状はこれに限定されない。開閉蓋20の一方の側部には、例えば、蝶番(図示なし)が取り付けられ、当該蝶番によって収納部18に対して回動可能な状態とされている。また、開閉蓋20は、
図1に示すように、その施錠および解錠を可能にする第1施錠装置22を有する。第1施錠装置22は、開閉蓋20に設けられた第1鍵部22aと収納部18に設けられた第1鍵掛かり部22bとを係合させて施錠する。収納部18は、固定部材14との施錠および解錠を可能にする第2施錠装置24と、コンセント用ホール26と、を有する。第2施錠装置24は、収納部18の一方の側面に設けられた第2鍵部24aと固定部材14の一方の側部に設けられた第2鍵掛かり部24bとを係合させて施錠する。なお、第1施錠装置22および第2施錠装置24には、シリンダー錠など公知の各種施錠構造を採用することができ、特定の鍵を用いて施錠および解錠可能とすることができる。コンセント用ホール26は、収納部18の背面側に設けられる。
図1においては、開閉蓋20が開放されており、後述するホールカバーを収納部18に組み付ける前の状態を示しているため、コンセント用ホール26が目視できる。収納部18は、さらに、その背面に4つの仮付け用爪部28を有する。
図1においては、収納部18の下端に設けられた2つの仮付け用爪部28は前面からは見えないため、隠れ線として破線で示している。この仮付け用爪部28については、後述する。
【0014】
図1に示すように、固定部材14は、略長方形の板状の部材である。固定部材14は、上述した第2鍵掛かり部24bに加えて、仮付け用爪掛かり部30と、壁付け固定部32と、を有する。仮付け用爪掛かり部30は、固定部材14の上部の左右2箇所と、下端の左右2箇所に設けられる。この4つの仮付け用爪掛かり部30には、収納部18の背面に設けられた4つの仮付け用爪部28がそれぞれ取り付けられる。
図1においては、仮付け用爪部28を仮付け用爪掛かり部30にそれぞれ取り付ける様子を、想像線として二点鎖線で示している。
図1においては固定部材14の下部は図示を省略しているが、壁付け固定部32は、固定部材14の上端および下端にそれぞれ設けられる。壁付け固定部32において、固定部材14は、例えば、ボルトおよび取付金具を用いて、固定対象物12に固定される。
【0015】
次に、
図2を用いて、上記したケーブルケース16の各部が固定部材14へ取り付けられるときの様子を説明する。
図2は、固定部材にケーブルケースを取り付けるときの構造を示す図である。
図2には、固定部材14の概略正面図を示し、固定部材の各箇所の断面図を二点鎖線で囲んだ拡大図で示す。
【0016】
図2のA-A断面図およびB―B断面図は、仮付け用爪部28を仮付け用爪掛かり部30にそれぞれ取り付けた状態を示す図である。A-A断面図の二点鎖線の矢印でも示すように、収納部18と固定部材14との取り付けは、上方から、収納部18を仮付け用爪掛かり部30に対して差し込むようにして行われる。
図2のC-C断面図は、第2施錠装置24を施錠するときの様子を示す図である。上記のように、仮付け用爪部28を仮付け用爪掛かり部30にそれぞれ取り付けて、ケーブルケース16が固定部材14に取り付けられた後において、第2施錠装置24は、第2鍵部24aと第2鍵掛かり部24bとにより施錠される。具体的には、C-C断面の拡大図に示すように、第2鍵部24aを第2鍵掛かり部24bが有する孔部に挿入し、二点鎖線の矢印でも示すように回転させることで、第2鍵部24aと第2鍵掛かり部24bとが係合され、第2施錠装置24は施錠される。
【0017】
次に、コンセント用ホール26とその近傍の構造について説明する。
図2には、D-D断面図を示しているが、これは、給電ケーブル収納装置10の構成要素の1つであるホールカバー34が、収納部18の背面のコンセント用ホール26(
図1参照)に組み付けられた状態を示す図である。より正確には、コンセント用ホール26およびホールカバー34は、固定部材14を構成する部材ではないが、
図2においては、固定部材14のコンセント用ホール26と対向する箇所をD-D断面として示している。ホールカバー34は、挿入部34aと、爪部34bと、を有する。挿入部34aは、ホールカバー34の前面側の上端に設けられる。また、爪部34bは、ホールカバー34の前面側の下方から前側に突出するように設けられる。収納部18へのホールカバー34の組み付けは、収納部18に設けられたコンセント用ホール26の上端に、挿入部34aを挿入し、ホールカバー34の下部を前側に押し込み、爪部34bが収納部18の底部に掛かることで行われる。なお、固定部材14にケーブルケース16が取り付けられているときは、ホールカバー34の背面側において、固定部材14の下部が、ホールカバー34の押さえ部として機能する。
【0018】
次に、
図3を用いて、コンセント用ホール26およびホールカバー34の構造についてさらに説明する。
図3は、コンセント用ホールの構造を模式的に示す斜視図である。また、
図3のE部は、コンセント用ホール26の拡大図である。
図3のE部の左側の図は、コンセント36を貫通させる前のコンセント用ホール26を示した図である。また、
図3のE部の右側の図は、コンセント36を貫通させた後コンセント用ホール26をホールカバー34で塞いだ状態を示した図である。かかる構成により、コンセント用ホール26は塞がれているため、コンセント36がケーブルケース16の前面側から抜けることが防止される。
【0019】
上記の通り、本明細書で開示する給電ケーブル収納装置においては、ケーブルケースを固定部材に対して着脱可能とし、第2施錠装置が設けられ、ホールカバーがコンセントを貫通させた後ケーブルケースのコンセント用ホールが塞がれる構成とした。かかる構成によって、ケーブルケースが持ち運び可能となるため、利用者の利便性を向上できる。また、第2施錠装置を設けることで、利用者が開閉蓋の施錠をし忘れた場合であっても、防犯性を高めることができる。さらに、コンセントを貫通させたコンセント用ホールを塞ぐことで、コンセントがケーブルケースの前面側から抜けることがない。すなわち、給電ケーブルをケーブルケースから取り外そうとしても、コンセントによって当該取り外しができなくなるため、防犯性をさらに高めることができる。
【0020】
なお、これまでの説明は一例であり、本明細書で開示する給電ケーブル収納装置は、少なくとも、給電ケーブルを収納する収納部の開口部分に開閉蓋が配置され、第1施錠装置および第2施錠装置が設けられ、ホールカバーがコンセントを貫通させた後ケーブルケースのコンセント用ホールが塞がれる構成であればよい。したがって、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、固定部材14にケーブルケース16が取り付けられるときの構成は、
図2の各断面図で示す構成に限らない。
【符号の説明】
【0021】
10 給電ケーブル収納装置、12 固定対象物、14 固定部材、16 ケーブルケース、18 収納部、20 開閉蓋、22 第1施錠装置、22a 第1鍵部、22b 第1鍵掛かり部、24 第2施錠装置、24a 第2鍵部、24b 第2鍵掛かり部、26 コンセント用ホール、28 仮付け用爪部、30 仮付け用爪掛かり部、32 壁付け固定部、34 ホールカバー、34a 挿入部、34b 爪部、36 コンセント。