(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178559
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B65G47/14 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096777
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】浦 正樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 智也
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA01
3F080BA01
3F080BA02
3F080BF01
3F080BF28
3F080CC01
3F080CC26
3F080CE01
3F080CG01
3F080CG14
3F080DA00
3F080DB08
3F080EA09
3F080EA10
3F080EA15
(57)【要約】
【課題】物品の特性に応じて回転搬送体への物品の供給方式を切り替えられる。
【解決手段】円板状の回転搬送体12の中心部側に第1搬送面12Aを設け、回転搬送体12の外周部側に第2搬送面12Bを設ける。第1搬送面12A上にシュート26Bから物品M1を落下させる第1供給部18と、物品M1とは異なる種類の物品を水平方向に移動させて第2搬送面12Bに移乗させる第2供給部20を設ける。回転搬送体12上を搬送される物品をカメラ32で撮像し、搬送される物品を順次ロボット14で取り上げて排出コンベヤ16へ移載する。第1搬送面12Aには物品M1の転動を防止する転動防止部材を設け、第2搬送面12Bは転動防止部材を設けず平板状とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の回転搬送体と、回転搬送体上に物品を供給する供給手段と、回転搬送体上を搬送される物品を撮像する撮像手段と、当該回転搬送体に隣接して配置された排出手段と、回転搬送体上を搬送される物品を取り上げて上記排出手段に移載する移載手段と、上記撮像手段の撮像結果に基づいて上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品搬送装置において、
上記回転搬送体が、
中心部側に位置し、上記物品の転動を防止する転動防止部材が設けられた第1搬送面と、
外周部側に位置し、上記転動防止部材が設けられていない平板状の第2搬送面とから構成され、
上記供給手段が、
上記第1搬送面上方の所定位置に配置した落下供給部を介して物品を当該回転搬送体上に落下させる第1供給部と、
物品を水平方向に移動させて上記第2搬送面上に移乗させる第2供給部とから構成される
ことを特徴とする物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板状の回転搬送体上に供給された物品を取り上げて排出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜ベルトで搬送される袋体を鉛直軸周りに回転する回転テーブル上に落下させ、撮像装置の映像を基に回転テーブル上の袋体をパラレルリンクロボットでピックアップし搬送ベルトに受け渡す装置が知られている(特許文献1)。また、ホッパから部品を旋回ステージ上に落下させ、移送ロボットにより旋回ステージ上の部品をピックアップする装置において、旋回ステージの表面に、部品に傾斜を与えない大きさや密度に設定された、溝、突起、起毛の植設による粗面処理を施す構成が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6921673号公報
【特許文献2】特許第6453980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品搬送装置は、異なるワーク(物品)のロットを取り扱えることが好ましく、この場合ワークの特性に合わせた搬送をすることが望ましい。しかし、特許文献1、2の構成では、物品を回転搬送体の上に落下させているため、処理能力は高いものの表面が鏡面仕上げされた物品など美観が重視される物品を取り扱うことができない。
【0005】
本発明は、物品の特性に応じて回転搬送体への物品の供給方式を切り替えられる物品搬送装置を提供することを目的とします。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品搬送装置は、円板状の回転搬送体と、回転搬送体上に物品を供給する供給手段と、回転搬送体上を搬送される物品を撮像する撮像手段と、当該回転搬送体に隣接して配置された排出手段と、回転搬送体上を搬送される物品を取り上げて上記排出手段に移載する移載手段と、上記撮像手段の撮像結果に基づいて上記移載手段を制御する制御手段とを備えた物品搬送装置において、上記回転搬送体が、中心部側に位置し、上記物品の転動を防止する転動防止部材が設けられた第1搬送面と、外周部側に位置し、上記転動防止部材が設けられていない平板状の第2搬送面とから構成され、上記供給手段が、上記第1搬送面上方の所定位置に配置した落下供給部を介して物品を当該回転搬送体上に落下させる第1供給部と、物品を水平方向に移動させて上記第2搬送面上に移乗させる第2供給部とから構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品の特性に応じて回転搬送体への物品の供給方式を切り替えられる物品搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である物品搬送装置の配置を第1運転モードにおいて示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態である物品搬送装置の配置を第2運転モードにおいて示す平面図である。
【
図3】回転搬送体の第2供給部周辺の拡大平面図である。
【
図4】第1搬送面に設けられる複数種類の転動防止部材の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1、
図2は、本発明の一実施形態である物品搬送装置の配置を示す平面図であり、
図1は第1種類の物品を取り扱う第1運転モードにおける物品搬送の様子を示し、
図2は第2種類の物品を取り扱う第2運転モードにおける物品搬送の様子を示す。
【0010】
本実施形態の物品搬送装置10は、鉛直軸周りに一定速度で回転される円板状の回転搬送体12上に供給された物品を、スカラロボットなどのロボット(移載手段)14により順次ピックアップし、回転搬送体12に隣接する排出コンベヤ(排出手段)16へと移載する。物品搬送装置10では、例えば特性の異なる第1種類の物品M1と第2種類の物品M2が取り扱われる。第1種類の物品M1は、例えば比較的衝撃に強い、あるいは多少の傷等が発生しても問題とはならない物品であり、第2種類の物品M2は、例えば比較的衝撃に弱い、あるいは表面が鏡面仕上げされた物品など美観が重視される物品である。なお、
図1~
図3では、物品M1、M2として容器を想定して描かれている。
【0011】
物品搬送装置10は、第1運転モードにおいて回転搬送体12の上方から物品M1を落下させて回転搬送体12上に供給する第1供給部18と、第2運転モードにおいて回転搬送体12の側方から物品M2を押し出して回転搬送体12上へと供給する第2供給部20とを備える。回転搬送体12には回転軸周りにセンターガイド22が設けられ、その周囲に物品M1を搬送するための円環状の第1搬送面12A、更にその外側には物品M2を搬送する円環状の第2搬送面12Bが設けられる。
【0012】
第1供給部18は、ホッパ24に貯留される物品M1を、その向きや間隔がランダムな状態で連続的に掻き上げて搬送する供給コンベヤ26を備える。供給コンベヤ26の両側辺には、物品M1が供給コンベヤ26から落下するのを防止するサイドガイド26Aが設けられ、供給コンベヤ26の下流端には物品M1を回転搬送体12の第1搬送面12Aへと案内するシュート(落下供給部)26Bが設けられる。なお、シュート26Bは例えば第1搬送面12の外周部近くに物品M1を落下させる。
【0013】
第2供給部20は、例えば回転搬送体12に隣接し、回転搬送体12の第2搬送面12Bと略同じ高さ配置されるデッドプレート28を備える。デッドプレート28上に供給された物品M2は、サーボシリンダ、ボールねじ等の各種電動アクチュエータ、または、流体アクチュエータで構成されるプッシャ駆動装置20Aにより進退動されるプッシャ20Bを用いて回転搬送体12の外周部に向けて水平方向に移動され、第2搬送面12Bへと押し出され移乗される。なお、回転搬送体12の回転やプッシャ駆動装置20Aの駆動は、制御装置(制御手段)30によって制御される。
【0014】
物品M2は、例えばコンテナCによりM行N列を単位にデッドプレート28上に供給され、プッシャ20Bにより列を単位に第2搬送面12Bに押し出される。デッドプレート28の両側辺にはサイドガイド20Cが設けられ、プッシャ20Bに押し出されるM行N列の物品M2がデッドプレート28から落下することが防止される。また、回転搬送体12の外周部、すなわち第2搬送面12Bの外周部には、第2供給部20に隣接する部分を除き、第2搬送面12B上の物品M2が回転搬送体12から落下することを防止するサイドガイド12Cが設けられる。本実施形態において物品M2は1列を単位に第2搬送面12Bに押し出され、第2搬送面12Bは物品M2の1列分に対応する幅とされる。しかし、複数列を単位に押し出す場合、第2搬送面12Bは物品M2の複数列分の幅とされる。
【0015】
本実施形態において、シュート26Bは、物品M1が回転搬送体12の周方向に沿って落下するように配置される。また、ロボット14は、例えば回転搬送体12の回転軸を挟んでシュート26Bの略反対側に配置され、回転搬送体12に隣接してその接線方向に沿って配置される排出コンベヤ16に隣接して配置される。第2供給部20はロボット14よりも下流側かつシュート26Bよりも上流側に配置される。また、シュート26Bよりも下流側かつロボット14よりも上流側の回転搬送体12の上方には、カメラ(撮像手段)32が配置される。
【0016】
カメラ32は、第1、第2供給部18、20よりも下流側かつロボット14よりも上流側に位置する第1搬送面12Aと第2搬送面12Bを含む領域を撮像エリアAとし、撮像エリアAを搬送される物品M1または物品M2の画像は制御装置30へと送られる。制御装置30は、カメラ32の画像から撮像エリアA内の個々の物品(M1、M2)の位置や姿勢を認識し、第1、第2運転モードに合わせてロボット14の駆動を制御する。
【0017】
図3は、回転搬送体12の第2供給部20周辺の拡大平面図である。
図3に示されるように第1搬送面12Aを構成する領域には、一面に亘って転動防止部材34が敷設される。転動防止部材34は、第1供給部18のシュート26Bから落下した物品M1の転動を防止するための部材であり、
図4(a)~(d)に示されるように様々な形態が考えられる。
【0018】
図4(a)は、先丸円柱(砲弾)型、
図4(b)は角柱型、
図4(c)は円柱型、
図4(d)はブラシ型である。なお、ブラシ型は
図4(d)のブラシを
図3のように格子状に配置するのではなく、第1搬送面12A全体に一様に植毛された構成でもよい。
【0019】
なお、転動防止部材34の材質は、樹脂(エンジニアリングプラスチック)やゴム等の弾性部材で構成されており、その硬度は物品の性状に応じて選定すれば良い。また、各転動防止部材34を回転搬送体12に螺合あるいは嵌合される構造として、適宜に交換可能に構成しても良い。
【0020】
一方、第2搬送面12Bは、転動防止部材34が設けられていない平板状の領域であり、第1搬送面12Aと第2搬送面12Bの境界は、本実施形態のように転動防止部材34の有無により画定してもよいが、円環状の部材を設置してより明確に分離してもよい。
【0021】
次に、本実施形態の物品搬送装置10における物品の搬送動作について、
図1、
図2を参照して説明する。
【0022】
図1に示される第1運転モードでは、第1供給部18のシュート26Bから物品M1がランダムに第1搬送面12Aに落とされる形で物品が供給される。第1搬送面12Aに落下した物品M1の殆どは第1搬送面12A上で横転し、転動防止部材34により一定の横臥状態に維持される。
【0023】
転動防止部材34によりその姿勢が維持された物品M1は、回転搬送体12の回転により排出コンベヤ16、すなわちロボット14に向けて搬送される。この間、第1搬送面12A上に散らばる物品M1は、撮像エリアAにおいてカメラ32により撮影され、それぞれの位置および姿勢が制御装置30により検出される。
【0024】
制御装置30は検出結果に基づきロボット14を制御して、検出された物品M1の1つをロボット14でピックアップし排出コンベヤ16に移載する。ロボット14のハンドは、把持式、吸着式等など物品M1、M2の種類に応じて交換可能であり、不図示のハンド昇降機構で下降され第1搬送面12A上から目的とする物品M1を順次取り上げる。物品M1は、第1搬送面12A上で横臥姿勢にあるので、ロボット14はハンドを90°回転させて物品M1を起立状態にし、排出コンベヤ16上に順次整列させる。なお、ロボット14のハンドを90°回転させる構成は必須ではなく、横臥姿勢のままで排出コンベヤ16上に移載するようにしても良い。
【0025】
一方、
図2に示される第2運転モードでは、第2供給部20のデッドプレート28上にM行N列で整列された物品M2が、プッシャ20Bにより1列ずつ第2搬送面12Bに押し出される形で供給される。各物品M2は例えば起立姿勢で供給され、起立姿勢を維持したまま第2搬送面12Bへと移載される。物品M2は第2搬送面12B上を回転搬送体12の外周に沿って搬送され、撮像エリアAにおいて各物品M2の位置はカメラ32を通して確認される。ロボット14は、同位置上方に基づきハンドを下降させ第2搬送面12B上の物品M2を順次取り上げ排出コンベヤ16上に整列させる。
【0026】
以上のように、本実施形態の物品搬送装置によれば、物品の特性に応じて回転搬送体への物品の供給方式を切り替えることができ、異なる特性を有する複数種類の物品をより適正に取り扱うことができる。
【0027】
なお、本実施形態では物品として容器を例に説明を行ったが、物品はキャップなど容器に限定されるものではない。また、本実施形態で挙げられた転動防止部材は例示的なものであり、物品の転動を防止できるものであれば本実施形態に限定されるものではなく、例えば特許文献2に記載の構成も採用し得る。
【0028】
また、第1供給部、第2供給部も本実施形態に限定されるものではなく、第1供給部は第1搬送面に例えば上方から物品を供給し、第2供給部は側方から第2搬送面に物品を順次供給できればよい。第2供給部としては例えば第2搬送面に向けて物品を移送するベルトコンベヤやトップチェーンコンベヤで構成される搬送コンベヤであってもよい。あるいは上述した実施形態において、デッドプレート28と回転搬送体12との間に搬送コンベヤを配置し、プッシャ20Bによってデッドプレート28からこの搬送コンベヤへと物品を押し出し、その後、回転搬送体12へと乗り移らせるようにしても良い。またプッシャによってデッドプレート上を搬送される区間と、その下流側に配置される搬送コンベヤ上を搬送される区間と、この搬送コンベヤの終端に配置されたデッドプレートを介して回転搬送体12へと乗り移らせることも可能であり、これらを適宜の順で配置して構成しても良い。
【0029】
本実施形態では移載用のロボット(移載手段)としてスカラロボットを採用したが、パラレルリンクや多軸ロボットなど、回転搬送体上の特定の物品をピックアップして排出装置へと移載できる装置であれば本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態では排出装置(排出手段)として排出コンベヤを例に説明を行ったが、排出装置はコンベヤに限定されるものではなく、例えば搬送用のホイールなど物品の搬送を行えれば本実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
10 物品搬送装置
12 回転搬送体
12A 第1搬送面
12B 第2搬送面
14 ロボット(移載手段)
16 排出コンベヤ(排出手段)
18 第1供給部
20 第2供給部
26B シュート(落下供給部)
30 制御装置(制御手段)
32 カメラ(撮像手段)
34 転動防止部材
M1 第1種類の物品
M2 第2種類の物品